JP2023146548A - 眼鏡レンズおよび眼鏡レンズの設計方法 - Google Patents

眼鏡レンズおよび眼鏡レンズの設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】眼鏡レンズのレンズ表面における局所的な凹部により遠視軽減機能を実現する上で好適な技術を提供する。【解決手段】物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面11と、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面12と、を有して構成されており、前記ベース面11の度数Pbと、前記デフォーカス面12のデフォーカス度数Psとが、-0.25Ps<Pb<-Psの関係を満足するように、眼鏡レンズ1を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、眼鏡レンズおよび眼鏡レンズの設計方法に関する。
遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの一形態として、通常処方されたレンズ表面(ベース面)に、度数を持つ局所的な凹部(セグメント面)を付加するものがある。
例えば、特許文献1には、光の進行方向において網膜上の位置Aよりも物体側から離れた(すなわち位置Aよりも奥側の)位置に光束を収束させる作用を持つようにデフォーカス領域を構成した眼鏡レンズに関する記載がある。
国際公開第2020/067028号
本発明は、眼鏡レンズのレンズ表面における局所的な凹部により遠視軽減機能を実現する上で好適な技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、
物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、
を有して構成されており、
前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psとが、-0.25Ps<Pb<-Psの関係を満足する
眼鏡レンズである。
本発明の第2の態様は、
物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、
を有して構成されており、
前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psと、前記光学面の基になるレンズ基材の屈折率Nとが、Pb<-0.5(N-1)-Psの関係を満足する
眼鏡レンズである。
本発明の第3の態様は、
物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、
を有して構成されており、
前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psと、前記デフォーカス面の配置ピッチLと、前記デフォーカス面の平面サイズφとが、(-Ps×φ)/L<Pbの関係を満足する
眼鏡レンズである。
本発明の第4の態様は、
物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方について、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、を有するように、前記光学面を設計する工程を備え、
前記光学面を設計する工程では、前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psとが、-0.25Ps<Pb<-Psの関係を満足するように、前記ベース面および前記デフォーカス面を設計する
眼鏡レンズの設計方法である。
本発明の第5の態様は、
物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方について、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、を有するように、前記光学面を設計する工程を備え、
前記光学面を設計する工程では、前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psと、前記光学面の基になるレンズ基材の屈折率Nとが、Pb<-0.5(N-1)-Psの関係を満足するように、前記ベース面および前記デフォーカス面を設計する
眼鏡レンズの設計方法である。
本発明の第6の態様は、
物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方について、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、を有するように、前記光学面を設計する工程を備え、
前記光学面を設計する工程では、前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psと、前記デフォーカス面の配置ピッチLと、前記デフォーカス面の平面サイズφとが、(-Ps×φ)/L<Pbの関係を満足するように、前記ベース面および前記デフォーカス面を設計する
眼鏡レンズの設計方法。
本発明によれば、眼鏡レンズのレンズ表面における局所的な凹部により遠視軽減機能を実現する上で好適なものとなる。
遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの一形態の要部構成例を示す側断面図である。 遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの金型加工の一形態を示す説明図である。 遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの外観視の一形態を示す説明図である。 遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの形状測定の一形態を示す説明図である。 遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの形状測定の他の一形態を示す説明図である。 遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの物体側の面の一形態を示す平面図である。 遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの光学特性を模式的に例示する説明図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示であって、本発明は例示された態様に限定されるものではない。
<発明者が得た知見>
ここで、本発明の実施形態の説明に先立ち、発明者が得た知見について説明する。
図1は、遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの一形態の要部構成例を示す側断面図である。図例のように、遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズとしては、レンズ表面(ベース面)11に局所的な凹部(セグメント面)12を付加した形態のものがある。
かかる構成の眼鏡レンズにおいて、ベース面11を通過した光は、装用者の眼球の網膜上の位置Aに焦点を結ぶ。つまり、ベース面11は、網膜上に焦点を結ぶように、装用者の処方を基に適宜設計された屈折力を実現するようになっている。一方、セグメント面12を通過した光は、網膜上よりも物体側から離れた位置(すなわち、位置Aより奥側の位置B)に焦点を結ぶ。つまり、セグメント面12は、位置Aからデフォーカスした位置に焦点を結ぶように、ベース面11とは乖離したデフォーカス度数Psを有しており、これによりベース面11の部分とは異なる屈折力を実現するようになっている。このことから、以下の説明では、セグメント面のことを「デフォーカス面」ということもある。
このように、眼鏡レンズは、原則としてベース面11が光束を網膜上の位置Aに収束させる一方で、セグメント面12が網膜よりも奥側の位置Bに光束を収束させる。このような光学特性を有することで、眼鏡レンズは、装用者の眼の屈折異常のうち、遠視について、これを軽減させる機能(すなわち遠視軽減機能)を奏することになる。
ところで、セグメント面12が凹形状である場合、その凹形状の態様によっては、以下に述べるような不都合が生じてしまうおそれがある。
眼鏡レンズを構成するレンズ基材は、通常、金型を用いた成形加工によって製造される。そして、レンズ基材の製造に用いる金型は、レンズ基材の表面形状に応じた切削加工を経ることによって形成される。金型加工は、例えば、ベース面に局所的な凸部がセグメント面として付加された表面形状であれば、ベース面形状を掘ってからセグメント面形状を掘り足すといった手順で順次切削加工を行うことが可能である。しかしながら、セグメント面が凹形状であると、そのような手順での順次切削加工を行うことができず、ベース面形状とセグメント面形状とを併せて同時に形成する必要がある。
その場合に、ベース面形状とセグメント面形状との関係によっては、レンズ製造上の不都合が生じてしまうおそれがある。
図2は、遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの金型加工の一形態を示す説明図である。
金型加工にあたっては、例えば、金型において曲率が負かつ小さい(凹カーブがきつい)曲面形状については先丸バイトを用い、曲率が正または負であっても大きい(凸カーブまたは凹カーブが緩い)曲面形状については平バイトを用いるといったように、形成する曲面形状に応じて先端形状の異なるバイトを使い分けることが一般的である。そのため、例えば、図2(a)に示すように、金型20におけるベース面形状の対応部分とセグメント面形状の対応部分とが、平バイト21と先丸バイト22とを使い分ける必要がある関係である場合には、金型加工の生産性(効率)の低下を招くおそれがある。これに対し、図2(b)に示すように、金型20におけるそれぞれの対応部分を同一バイト23で加工可能であれば、生産性低下は抑制できる。しかしながら、生産性低下を抑制できても、仮に加工すべき曲面形状にバイト23の先端形状が適していないと、バイト23の送りピッチに従って周期的にできた加工痕が残ってしまうおそれがある。このような加工痕は、光の回折作用を起こして虹目と呼ばれる干渉色のような反射を見せる要因となる可能性があり、加工品質の低下を招き得るので、その発生を抑止すべきである。
つまり、ベース面形状とセグメント面形状との関係については、レンズ製造上の不都合を回避すべく、金型20を同一バイトで加工可能であり、しかもそのバイトの先端形状がそれぞれの曲面形状に適したものであることが好ましい。
また、セグメント面12が凹形状である場合には、外光の反射光が凹形状によって集光し得るので、その凹形状の態様によっては、眼鏡レンズの外観視上の不都合が生じてしまうおそれがある。
図3は、遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの外観視の一形態を示す説明図である。
遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの装用者は、一定の距離間隔(例えば、ソーシャルディスタンスとして確保すべき2m程度の間隔)を保った状態で、他者と対面することがあり得る。その場合に、例えば、図3(a)に示すように、セグメント面を構成する凹形状の態様が、外光の反射光を対面する他者に集光させる態様のもの(例えば緩い凹カーブのもの)であると、対面する他者(すなわち、眼鏡レンズを外観視する者)が眩しさを感じてしまうといった不都合が生じ得る。
つまり、セグメント面を構成する凹形状の態様については、図3(b)に示すように、外光の反射光が対面する他者よりも手前側で集光して発散光に変わるようにするもの(例えばきつい凹カーブのもの)であることが好ましい。外光の反射光が発散光に変われば、対面する他者が眩しさを感じてしまうことがなく、眼鏡レンズの外観視上の不都合を回避し得るからである。
なお、このような現象は、凹形状ならではのものであり、図3(c)に示すように、セグメント面が凹形状以外(凸形状や平坦形状等)であれば問題とはならない。
また、遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズについては、その表面形状の形状測定を行う必要が生じる場合があり得る。その場合に、ベース面形状とセグメント面形状との関係によっては、形状測定を行う上での不都合が生じてしまうおそれがある。
図4は、遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの形状測定の一形態を示す説明図である。図5は、遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの形状測定の他の一形態を示す説明図である。
眼鏡レンズの表面形状の形状測定は、例えば、白色干渉計を用いて行う。白色干渉計は、表面の凹凸によって生じる光路差で得られる干渉縞の情報を高さ情報に変換することで、表面形状の形状測定を行う。ただし、白色光の干渉深度は、2μm程度と狭い。そのため、例えば、図4(a)に示すようなベース面形状のサグ量が大きい場合や、図4(b)に示すようなセグメント面形状のサグ量が大きい場合には、形状測定に用いる白色干渉計の深度では表面形状を検出できないといった不都合が生じてしまうおそれがある。つまり、白色干渉計の深度によらず形状測定を行えるようにするためには、図4(c)に示すように、ベース面形状とセグメント面形状とのいずれもサグ量が小さいほうが有利である。
眼鏡レンズの表面におけるセグメント面の位置測定に際しては、例えば、図5(a)に示すように、ベース面とセグメント面との境界位置を手掛かりにして当該セグメント面の中心位置を特定することが考えられる。しかしながら、その場合には、境界位置がダレていると中心位置が正しく分からなくなるといった不都合が生じてしまうおそれがある。したがって、セグメント面の中心位置は、図5(b)に示すように、境界位置に加えてセグメント面の極小点も加味した上で特定することが好ましい。つまり、セグメント面の中心位置を正しく特定し得るようにするためには、極小点を特定し得るセグメント面形状である必要がある。
以上のように、形状測定を行う上での不都合を回避するためには、ベース面形状とセグメント面形状との関係が、いずれもサグ量が小さく、しかも極小点を特定し得るセグメント面形状であることが好ましい。
本発明は、以上に説明した発明者の知見に基づいて案出されたもので、眼鏡レンズのレンズ表面における局所的な凹部により遠視軽減機能を実現する上で好適な技術を提供するものである。以下、かかる技術について、本実施形態において具体的に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
(1)眼鏡レンズの構成
本実施形態に係る眼鏡レンズ1は、図1に示すように、物体側の面2と眼球側の面3とを二つの光学面として有する。「物体側の面」は、眼鏡レンズ1を備えた眼鏡が装用者に装用された際に物体側に位置する表面である。「眼球側の面」は、その反対、すなわち眼鏡レンズ1を備えた眼鏡が装用者に装用された際に眼球側に位置する表面である。
また、眼鏡レンズ1は、レンズ基材を備えて構成されている。レンズ基材は、例えば、チオウレタン、アリル、アクリル、エピチオ等の熱硬化性樹脂材料によって形成されている。なお、レンズ基材を構成する樹脂材料としては、所望の屈折度が得られる他の樹脂材料を選択してもよい。また、樹脂材料ではなく、無機ガラス製のレンズ基材としてもよい。
レンズ基材の物体側の面と眼球側の面との少なくとも一方には、被膜が形成されている。被膜としては、例えば、ハードコート膜および反射防止膜(AR膜)が挙げられるが、これらに加えて、さらに他の膜が形成されていてもよい。
ハードコート膜は、例えば、熱可塑性樹脂またはUV硬化性樹脂を用いて形成されている。ハードコート膜は、ハードコート液にレンズ基材を浸漬させる方法や、スピンコート等を使用することにより、形成することができる。このようなハードコート膜の被覆によって、眼鏡レンズ1の耐久性向上が図れるようになる。
反射防止膜は、例えば、ZrO、MgF、Al等の反射防止剤を真空蒸着により成膜することにより、形成されている。このような反射防止膜の被覆によって、眼鏡レンズ1を透した像の視認性向上が図れるようになる。
なお、後述する眼鏡レンズ1の表面形状は、当該眼鏡レンズ1を構成するレンズ基材によって実現されるものであってもよいし、そのレンズ基材を覆う被覆によって実現されるものであってもよい。
また、本実施形態に係る眼鏡レンズ1は、遠視軽減機能を奏する遠視軽減レンズである。そのために、眼鏡レンズ1は、物体側の面2と眼球側の面3の二つの光学面の少なくとも一方が、ベース面11と、複数のデフォーカス面12と、を有して構成されている。本実施形態においては、ベース面11およびデフォーカス面12が物体側の面2に設けられている。つまり、ベース面11と複数のデフォーカス面12とによって、物体側の面2が構成されている。ただし、これに限定されることはなく、物体側の面2は、ベース面11およびデフォーカス面12に加えて、これら以外の面を有していてもよい。
(ベース面)
ベース面11は、装用者の処方屈折力に基づいて設計されたレンズ上の領域部分を構成する面である。ベース面11を有することで、本実施形態に係る眼鏡レンズ1は、物体側からベース面11に入射した光束を、眼球側の面3から出射させ、装用者の眼球の瞳孔を介して網膜上の所定の位置(位置A)に収束させるように構成されている。
本実施形態において、ベース面11は、物体側に位置する面であり、物体側に向けて突出する凸面によって構成されている。ベース面11を構成する凸面は、装用者の処方屈折力を実現可能であって、本発明の目的を損なわない範囲であれば、その表面形状が特に限定されるものではない。すなわち、ベース面11の表面形状は、例えば、球面形状、非球面形状、トーリック面形状、またはそれらが混在した形状であってもよい。本実施形態においては、ベース面11が球面形状である場合を例示する。
なお、ベース面11によって実現される処方屈折力は、装用者の眼鏡への適応度や好み等に応じて、屈折度数が弱めまたは強めに設定されていてもよい。その場合、光束が収束する位置は、厳密には網膜の直上ではなく、わずかにずれた位置となるが、本明細書においては網膜上への収束とみなす。
(デフォーカス面)
複数のデフォーカス面12は、それぞれが、ベース面11とは異なる度数のセグメント面として機能するように設計されたレンズ上の領域部分を構成する面である。デフォーカス面12を有することで、本実施形態に係る眼鏡レンズ1は、物体側からデフォーカス面12に入射した光束を、眼球側の面3から出射させ、装用者の眼球の瞳孔を介して位置Aよりも物体側から離れた位置(すなわち、位置Aより網膜の奥側の位置B)に収束させるように構成されている。
本実施形態において、デフォーカス面12は、ベース面11と同様に物体側に位置する面であるが、ベース面11とは異なる表面形状を有することで、光束をベース面11による集光位置には集光させないように構成されている。
デフォーカス面12は、局所的な凹形状のセグメント面として構成されている。このような表面形状の違いがあることで、デフォーカス面12は、眼球側の面3がベース面11の対向領域とデフォーカス面12の対向領域とで同じ表面形状であっても、光束をベース面11による集光位置とは異なる位置(具体的には、位置Aより網膜の奥側の位置B)に収束させ得ることになる。
つまり、ベース面11の度数をPb(単位:D、ディオプタ)、デフォーカス面12のデフォーカス度数をPs(単位:D、ディオプタ)とすると、度数Pbとデフォーカス度数Psとは、Ps<-0.25、かつ、Pb+Ps≧0の関係を満足する。
ここで、ベース面11の度数Pbは、ベース面11のカーブを単位:D(ディオプタ)で表したものであり、Pb=1000/{曲率半径×(屈折率-1)}の関係を満足するものである。
また、デフォーカス面12のデフォーカス度数Psは、単なる「度数」ではなく「デフォーカス度数」と称していることから、デフォーカス面12のカーブのベース面11に対する乖離を単位:D(ディオプタ)で表したものである。つまり、デフォーカス度数Psは、デフォーカス面12におけるベース面11との相対的な差分に相当する。したがって、Pb+Psがデフォーカス面12の度数となる。
なお、デフォーカス面12の表面形状は、例えば、球面形状とすることが考えられるが、これに限定されることはなく、他の面形状としても構わない。例えば、球面収差による深度拡張効果を付加するべくセグメント内の中心部と周辺部とで曲率の異なる非球面形状とする、眼球収差にあわせた非点収差を付加するべくセグメント内の断面によって曲率の異なるトロイダル形状をしている、コマ収差による深度拡張効果を付加するべくセグメントが非対称的な形状をしている、あるいは前記収差を複合すべく、前記形状を複合した形状をしていても良い。
図6は、遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの物体側の面の一形態を示す平面図である。
上述のように、本実施形態において、眼鏡レンズ1の物体側の面は、ベース面11と、複数のデフォーカス面12と、を備えて構成されている。
これらのうち、複数のデフォーカス面12は、図6に示すように、例えば、平面視で円形状に形成されており、それぞれが島状に(つまり、互いに隣接することなく離間した状態で)配置されている。つまり、各デフォーカス面12は、それぞれが離散的(すなわち、それぞれが連続しておらず、ばらばらに散らばった状態で)配置されている。ただし、ここでは、各デフォーカス面12の全てが島状に配置される場合を例示するが、これに限定されることはなく、隣り合う領域の外縁同士が連結する、あるいは接するものを含むように各デフォーカス面12が配置されていてもよい。いずれの場合においても、各デフォーカス面12の配置態様は、周期性を有することが好ましい。これにより、特定の方向にぼやける等の不快感を抑制し、眼鏡レンズ1の装用感を向上させることができる。なお、デフォーカス面12の配置個数は、特に限定されないが、例えば、20個以上500個以下である。
また、複数の各デフォーカス面12は、例えば、図6(a)に示すように、眼鏡レンズ1のレンズ全域にわたって形成されていてもよいが、これに限定されることはない。例えば、図6(b)に示すように、眼鏡レンズ1のレンズ中心(幾何中心、光学中心、または芯取り中心)の近傍領域を除き、その領域を囲うように形成されていてもよい。さらには、他の一部領域(例えば、レンズ中心の近傍領域のみ)に部分的に形成されていてもよい。あるいは、眼鏡レンズ1の中心近傍と外縁近傍を除いた、所定の領域に、形成されていてもよい。
(2)眼鏡レンズの光学特性
次に、上述した構成の眼鏡レンズ1の光学特性について説明する。
図7は、遠視軽減機能を奏する眼鏡レンズの光学特性を模式的に例示する説明図である。
上述した構成の眼鏡レンズ1は、ベース面11と複数のデフォーカス面12とを備えることで、以下のような光学特性が実現される。
例えば、図7(a)に示すように、ベース面11を通過した光は、装用者の眼球30の瞳孔31を介して網膜32上の位置Aに焦点を結ぶ。つまり、ベース面11は、位置Aである網膜32上に焦点を結ぶように、装用者の処方を基に適宜設計された屈折力を実現するようになっている。
その一方で、例えば、図7(b)に示すように、デフォーカス面12を通過した光は、装用者の眼球30の瞳孔31を介して位置Aよりも物体側から離れた位置(すなわち、位置Aより網膜の奥側の位置B)に焦点を結ぶ。つまり、デフォーカス面12は、位置Aからデフォーカスした位置Bに焦点を結ぶように、ベース面11とは乖離したデフォーカス度数Psを有しており、これによりベース面11の部分とは異なる屈折力を実現するようになっている。
なお、ここでいう「焦点を結ぶ」とは、光が集中して結像することを意味するが、必ずしも無収差の結像である必要はなく、球面収差や非点収差を持つものであってもよい。
このように、眼鏡レンズ1は、原則としてベース面11が光束を網膜32上の位置Aに収束させる一方で、デフォーカス面12が配置された部分においては、位置Aより網膜32の奥側の位置Bに光束を収束させる。このような光学特性を有することで、眼鏡レンズ1は、装用者の眼の屈折異常のうち、遠視について、これを軽減させる機能(すなわち遠視軽減機能)を奏することになる。
(3)セグメント面形状の具体例
次に、以上のような光学特性を有する眼鏡レンズ1のデフォーカス面12について、その面形状の具体的な態様を説明する。
既述のように、デフォーカス面12が凹形状である場合、その凹形状の態様によっては、レンズ製造上の不都合が生じてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態においては、レンズ製造上の不都合を回避すべく、ベース面11とデフォーカス面12とが以下に説明する関係を満足するように、ベース面11の表面形状(すなわちベース面形状)と、デフォーカス面12の表面形状(すなわちセグメント面形状)とが、それぞれ設定されている。
例えば、眼鏡レンズ1を構成するレンズ基材の屈折率をN、ベース面11の度数をPb[D(ディオプタ)]、デフォーカス面12のデフォーカス度数をPs[D]とする。その場合、デフォーカス面12の屈折度数[D]は、Pb+Psで表される。また、デフォーカス面12の曲率[1/M]は、(Pb+Ps)/(N-1)で表される。なお、屈折率Nとは、e線(波長546.1nm)での屈折率Neのことを指す。
ここで、デフォーカス面12は、遠視軽減機能を奏するための領域なので、光束を位置Aより網膜奥側の位置Bに収束させるべく、最低限必要なデフォーカス度数Ps[D]が、以下の(1)式によって規定される。
Ps<-0.25 ・・・(1)
また、デフォーカス面12が凹形状であっても、レンズ製造上の不都合が生じないようにするためには、ベース面11とデフォーカス面12の曲率の絶対値を同等にすることが考えられる。それぞれの曲率が同等であれば、金型20を同一バイトで加工可能となるからである。
ベース面11とデフォーカス面12とは、Pb=-0.5Psの関係を満足するときに、それぞれの曲率が等しくなる。したがって、ベース面11の度数Pbが1<Pb<4程度であると想定すると、度数Pbとデフォーカス度数Psとは、以下の(2)式によって規定される関係であれば、ベース面11とデフォーカス面12の曲率の絶対値を同等にし得るようになる。
-0.25Ps<Pb<-Ps ・・・(2)
なお、より好ましくは、ベース面11の度数Pbを1<Pb<3程度と想定すると、度数Pbとデフォーカス度数Psとを、以下の(2)´式によって規定される関係となるようにしてもよい。
-0.25Ps<Pb<-0.5Ps ・・・(2)´
以上のように、本実施形態においては、ベース面11の度数Pbと、デフォーカス面12のデフォーカス度数Psとが、少なくとも-0.25Ps<Pb<-Psの関係を満足するように、ベース面形状とセグメント面形状とがそれぞれ設定されている。したがって、本実施形態に係る眼鏡レンズ1によれば、デフォーカス面12が凹形状であっても、遠視軽減機能を確実に奏しつつ、レンズ製造上の不都合が生じてしまうのを回避することが可能となる。
(4)眼鏡レンズの設計方法、製造方法
本発明は、眼鏡レンズ1の設計方法、または、製造方法にも適用可能である。
例えば、眼鏡レンズ1の設計方法は、物体側と眼球側の二つの光学面2,3の少なくとも一方について、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球30の網膜32上の位置Aに収束させるベース面11と、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面12と、を有するように、光学面2,3を設計する工程を備える。そして、光学面2,3を設計する工程では、ベース面11の度数Pbと、デフォーカス面12のデフォーカス度数Psとが、少なくとも-0.25Ps<Pb<-Psの関係、より好ましくは-0.25Ps<Pb<-0.5Psの関係を満足するように、ベース面11およびデフォーカス面12を設計する。
眼鏡レンズ1の製造方法についても略同様であり、上述の各工程を経て、眼鏡レンズ1の製造を行う。なお、ここで説明する工程以外については、公知技術を利用して実現すればよい。
以上のような眼鏡レンズ1の設計方法、または、製造方法を経ることで、本実施形態に係る眼鏡レンズ1を得ることができる。
(5)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
本実施形態において、眼鏡レンズ1は、ベース面11と複数のデフォーカス面12とを有しており、ベース面11が光束を網膜32上の位置Aに収束させる一方で、デフォーカス面12が位置Aより網膜32の奥側の位置Bに光束を収束させる。このような光学特性を有することで、眼鏡レンズ1は、装用者の眼の屈折異常のうち、遠視について、これを軽減させる機能(すなわち遠視軽減機能)を奏することになる。
しかも、本実施形態において、眼鏡レンズ1は、ベース面11の度数Pbと、デフォーカス面12のデフォーカス度数Psとが、少なくとも-0.25Ps<Pb<-Psの関係を満足するように、ベース面形状とセグメント面形状とがそれぞれ設定されている。したがって、デフォーカス面12が凹形状であっても、本実施形態のような態様であれば、レンズ製造上の不都合が生じてしまうのを回避することが可能となる。
つまり、本実施形態によれば、レンズ製造上の不都合を回避し得るようになり、その結果として、眼鏡レンズ1のレンズ表面における局所的な凹部により遠視軽減機能を実現する上で好適なものとなる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、ここでは、主として第1実施形態の場合との相違点について説明する。
既述のように、デフォーカス面12が凹形状である場合、その凹形状の態様によっては、眼鏡レンズ1の外観視上の不都合が生じてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態においては、眼鏡レンズ1の外観視上の不都合を回避すべく、ベース面11とデフォーカス面12とが以下に説明する関係を満足するように、ベース面形状とセグメント面形状とがそれぞれ設定されている。
例えば、眼鏡レンズの装用者は、一定の距離間隔(例えば、ソーシャルディスタンスとして確保すべき2m程度の間隔)を保った状態で、他者と対面することがあり得る(図3参照)。その場合に、デフォーカス面12が凹形状であっても、眼鏡レンズ1の外観視上の不都合が生じないようにするためには、外光の反射光が対面する他者よりも手前側で集光して発散光に変わるようにするものであることが好ましい(図3(b)参照)。外光の反射光が発散光に変われば、対面する他者が眩しさを感じてしまうことがなく、眼鏡レンズ1の外観視上の不都合を回避し得るからである。
ここで、対面する他者との距離間隔を2m程度と想定すると、当該他者に到達し得る反射光が発散光に変わるようにするためには、デフォーカス面12の曲率=(Pb+Ps)/(N-1)<-0.5となるようにすることが考えられる。このような曲率であれば、外光の反射光が対面する他者よりも手前側で集光するからである。
したがって、(Pb+Ps)/(N-1)<-0.5の関係を変換すると、ベース面11の度数Pbとデフォーカス面12のデフォーカス度数Psとは、以下の(3)式によって規定される関係を満足することになる。
Pb<-0.5(N-1)-Ps ・・・(3)
以上のように、本実施形態においては、ベース面11の度数Pbと、デフォーカス面12のデフォーカス度数Psと、光学面2,3の基になるレンズ基材の屈折率Nとが、Pb<-0.5(N-1)-Psの関係を満足するように、ベース面形状とセグメント面形状とがそれぞれ設定されている。したがって、本実施形態に係る眼鏡レンズ1によれば、デフォーカス面12が凹形状であっても、遠視軽減機能を確実に奏しつつ、眼鏡レンズ1の外観視上の不都合が生じてしまうのを回避することが可能となる。
つまり、本実施形態によれば、眼鏡レンズ1の外観視上の不都合を回避し得るようになり、その結果として、眼鏡レンズ1のレンズ表面における局所的な凹部により遠視軽減機能を実現する上で好適なものとなる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、眼鏡レンズ1の設計方法、または、製造方法に適用可能である。
例えば、眼鏡レンズ1の設計方法であれば、物体側と眼球側の二つの光学面2,3の少なくとも一方について、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球30の網膜32上の位置Aに収束させるベース面11と、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面12と、を有するように、光学面2,3を設計する工程を備える。そして、光学面2,3を設計する工程では、ベース面11の度数Pbと、デフォーカス面12のデフォーカス度数Psと、光学面2,3の基になるレンズ基材の屈折率Nとが、Pb<-0.5(N-1)-Psの関係を満足するように、ベース面11およびデフォーカス面12を設計する。
眼鏡レンズ1の製造方法についても略同様である。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、ここでも、主として第1実施形態または第2実施形態の場合との相違点について説明する。
既述のように、デフォーカス面12が凹形状である場合、その凹形状の態様によっては、眼鏡レンズ1の形状測定を行う上での不都合が生じてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態においては、眼鏡レンズ1の形状測定を行う上での不都合を回避すべく、ベース面11とデフォーカス面12とが以下に説明する関係を満足するように、ベース面形状とセグメント面形状とがそれぞれ設定されている。
例えば、眼鏡レンズ1についての形状測定を白色干渉計等で行うためには、ベース面形状とセグメント面形状とのいずれもサグ量が小さいほうが有利である(図4参照)。そのためには、少なくとも凹形状のデフォーカス面12について、その凹形状を掘り下げ過ぎない形状とすること(すなわち、金型を加工するバイトを動かすレンジが深くなり過ぎないようにすること)が必要である。さらに、デフォーカス面12が凹形状である場合に、そのデフォーカス面12の位置測定に際しては、極小点を特定し得るセグメント面形状であることが好ましい(図5参照)。
そのためには、金型加工の一周期あたりのベース面11のサグ量+デフォーカス面12の掘り下げ量>0の関係を満たすようにすることが考えられる。
したがって、デフォーカス面12の配置ピッチをL[mm]、デフォーカス面12の平面サイズをφ[mm]とすると、ベース面11の度数Pbと、デフォーカス面12のデフォーカス度数Psとの関係は、以下の(4)式で表すことができる。なお、配置ピッチLは、最も近接して配置される二つのデフォーカス面12のセグメント中心同士の間隔の大きさを表す値である。また、平面サイズφは、デフォーカス面12の平面的な大きさを表す値であり、例えば平面円形状の場合は直径サイズが該当する。
Pb×L+Ps×φ>0 ・・・(4)
この(4)式を変換すると、屈折度数Pbとデフォーカス度数Psとは、以下の(4)´式によって規定される関係を満足することになる。
(-Ps×φ)/L<Pb ・・・(4)´
以上のように、本実施形態においては、ベース面11の度数Pbと、デフォーカス面12のデフォーカス度数Psと、デフォーカス面12のの配置ピッチLと、デフォーカス面12の平面サイズφとが、(-Ps×φ)/L<Pbの関係を満足するように、ベース面形状とセグメント面形状とがそれぞれ設定されている。したがって、本実施形態に係る眼鏡レンズ1によれば、デフォーカス面12のが凹形状であっても、遠視軽減機能を確実に奏しつつ、眼鏡レンズ1の形状測定を行う上での不都合が生じてしまうのを回避することが可能となる。
つまり、本実施形態によれば、眼鏡レンズ1の形状測定を行う上での不都合を回避し得るようになり、その結果として、眼鏡レンズ1のレンズ表面における局所的な凹部により遠視軽減機能を実現する上で好適なものとなる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態または第2実施形態の場合と同様に、眼鏡レンズ1の設計方法、または、製造方法に適用可能である。
例えば、眼鏡レンズ1の設計方法であれば、物体側と眼球側の二つの光学面2,3の少なくとも一方について、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球30の網膜32上の位置Aに収束させるベース面11と、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面12と、を有するように、光学面2,3を設計する工程を備える。そして、光学面2,3を設計する工程では、ベース面11の度数Pbと、デフォーカス面12のデフォーカス度数Psと、デフォーカス面12の配置ピッチLと、デフォーカス面12の平面サイズφとが、(-Ps×φ)/L<Pbの関係を満足するように、ベース面11およびデフォーカス面12を設計する。
眼鏡レンズ1の製造方法についても略同様である。
<変形例等>
以上に本発明の各実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、上述の例示的な開示内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、
を有して構成されており、
前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psとが、-0.25Ps<Pb<-Psの関係を満足する
眼鏡レンズ。
また、例えば、物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、
を有して構成されており、
前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psと、前記光学面の基になるレンズ基材の屈折率Nとが、Pb<-0.5(N-1)-Psの関係を満足する
眼鏡レンズ。
また、例えば、物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、
を有して構成されており、
前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psと、前記デフォーカス面の配置ピッチLと、前記デフォーカス面の平面サイズφとが、(-Ps×φ)/L<Pbの関係を満足する
眼鏡レンズ。
例えば、以上に説明した第1実施形態~第3実施形態の各実施形態は、それぞれを個別に実施する場合に限定されることはなく、これらの複数を適宜組み合わせて実施するようにしても構わない。
また、例えば、上述した各実施形態では、眼鏡レンズ1における複数のデフォーカス面12について、これらの全てが第1実施形態~第3実施形態のいずれかで説明した関係を満足する場合を想定することができるが、本発明がこれに限定されることはない。つまり、少なくとも一部のデフォーカス面12について、第1実施形態~第3実施形態のいずれかで説明した関係を満足していれば、当該関係を満足しないデフォーカス面が混在していても、本発明の技術的範囲に属するものとする。
また、複数のデフォーカス面12の平面的な配置についても、具体例(図6(a)、(b)参照)を例に挙げているが、本発明がこれに限定されることはない。つまり、デフォーカス面12は、レンズ上の複数箇所に配置されていればよく、その配置態様が特定に態様に限定されるものではない。
また、例えば、上述した各実施形態では、ベース面11の度数Pbおよびデフォーカス面12のデフォーカス度数Psについて、具体的な値を例示して説明したが、本発明がこれに限定されることはなく、適宜設定することができる。
つまり、ベース面11は、装用者の処方情報を基に設計された形状を有するものとすることができる。例えば、ベース面11(例えば物体側面)と、これに対向する他方の面(たとえば眼球側の面)を備えることによって、眼鏡レンズ1は、処方度数(標準的装用状態で、実質的に網膜上に結像するように決定された度数)を発揮するものとすることができる。また、デフォーカス面12の形状についても、同様に装用者の処方情報を基に設計された形状とすることができる。そのうえで、請求項に規定された設計上の工夫を行うことで、本発明の作用効果が得られる。
また、例えば、上述した各実施形態では、ベース面11およびデフォーカス面12が物体側の面に設けられている場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。
一般に、多くの眼鏡レンズは、物体側に凸面を有するので、その物体側の面に、ベース面11およびデフォーカス面12を設けることができる。ただし、眼球側の面に凸面を有する場合には、その眼球側の面に、ベース面11およびデフォーカス面12を配置してもよい。
また、例えば、上述した各実施形態では、物体側の面2と眼球側の面3とによって構成される眼鏡レンズ1を例示しているが、これに限定されることはなく、他の態様(例えば、レンズ内部に、偏光フィルム等の機能性膜などを含む、多面接合構成を有するもの)も本発明の技術的範囲に含まれる。
眼鏡レンズ1においては、ベース面11およびデフォーカス面12が備える度数、デフォーカス度数の一部または全部を、レンズのいずれかの面に、刻印等によって記録することができる。また、レンズに関するその他の情報(例えば、後述の装用者情報)の少なくとも一部についても、同一の、又は異なる手段によって、眼鏡レンズ1に記録することができる。
また、眼鏡レンズ1については、当該レンズの装用者に関する、装用者情報とひもづけ(リンク)された状態で、管理されることがある。すなわち、眼鏡レンズ1と、当該装用者情報をあわせて、レンズ製品として取り扱われ、又は、取引の対象となることがある。
その場合に、例えば、装用者情報は、レンズの取引過程で使用される、レンズ袋に記録され、又は、眼鏡店を含む取引業者の有する記録媒体に記録され、又は、レンズの照合が可能な状態で、電子通信回線によって提供され、又は伝達されることができる。
装用者情報は、当該装用者の処方情報(例えば、球面度数、円柱度数、乱視軸など)を含んでもよく、又は、装用パラメータ(装用者の瞳孔間距離、使用するフレームにより決定される装用時前傾角、フレーム角膜間距離など)を含んでもよい。
本発明の技術的範囲には、以下の眼鏡レンズが含まれる。
例えば、物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて位置Aに収束させるベース面と、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、
を有して構成されており、
前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psとが、-0.25Ps<Pb<-Psの関係を満足する
眼鏡レンズ。
また、例えば、物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて位置Aに収束させるベース面と、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、
を有して構成されており、
前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psと、前記光学面の基になるレンズ基材の屈折率Nとが、Pb<-0.5(N-1)-Psの関係を満足する
眼鏡レンズ。
また、例えば、物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて位置Aに収束させるベース面と、
物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、
を有して構成されており、
前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psと、前記デフォーカス面の配置ピッチLと、前記デフォーカス面の平面サイズφとが、(-Ps×φ)/L<Pbの関係を満足する
眼鏡レンズ。
1…眼鏡レンズ、2…物体側の面、3…眼球側の面、11…ベース面、12…デフォーカス面(セグメント面)、30…眼球、31…瞳孔、32…網膜

Claims (6)

  1. 物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、
    物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、
    物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、
    を有して構成されており、
    前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psとが、-0.25Ps<Pb<-Psの関係を満足する
    眼鏡レンズ。
  2. 物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、
    物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、
    物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、
    を有して構成されており、
    前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psと、前記光学面の基になるレンズ基材の屈折率Nとが、Pb<-0.5(N-1)-Psの関係を満足する
    眼鏡レンズ。
  3. 物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方が、
    物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、
    物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、
    を有して構成されており、
    前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psと、前記デフォーカス面の配置ピッチLと、前記デフォーカス面の平面サイズφとが、(-Ps×φ)/L<Pbの関係を満足する
    眼鏡レンズ。
  4. 物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方について、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、を有するように、前記光学面を設計する工程を備え、
    前記光学面を設計する工程では、前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psとが、-0.25Ps<Pb<-Psの関係を満足するように、前記ベース面および前記デフォーカス面を設計する
    眼鏡レンズの設計方法。
  5. 物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方について、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、を有するように、前記光学面を設計する工程を備え、
    前記光学面を設計する工程では、前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psと、前記光学面の基になるレンズ基材の屈折率Nとが、Pb<-0.5(N-1)-Psの関係を満足するように、前記ベース面および前記デフォーカス面を設計する
    眼鏡レンズの設計方法。
  6. 物体側と眼球側の二つの光学面の少なくとも一方について、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて眼球の網膜上の位置Aに収束させるベース面と、物体側から入射した光束を眼球側へ出射させて前記位置Aよりも物体側から離れた位置Bに収束させる複数のデフォーカス面と、を有するように、前記光学面を設計する工程を備え、
    前記光学面を設計する工程では、前記ベース面の度数Pbと、前記デフォーカス面のデフォーカス度数Psと、前記デフォーカス面の配置ピッチLと、前記デフォーカス面の平面サイズφとが、(-Ps×φ)/L<Pbの関係を満足するように、前記ベース面および前記デフォーカス面を設計する
    眼鏡レンズの設計方法。
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