JP2023144769A - 亜鉛電池 - Google Patents

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Tomoshi Murase
聡真 鈴木
Soma Suzuki
同通 山口
Tomomichi Yamaguchi
武 伊藤
Takeshi Ito
茂和 安岡
Shigekazu Yasuoka
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Abstract

【課題】自己放電を抑制し、容量を長期間維持可能な亜鉛電池を提供する。【解決手段】電池2は、外装缶10と、外装缶10内にアルカリ電解液とともに収容された電極群22とを備え、電極群22は、正極24と、負極26とがセパレータ28を介して重ね合わされてなり、負極26は、少なくとも亜鉛粉末を含んでおり、この亜鉛粉末を構成する亜鉛粒子の平均粒径が、49μm以上、71μm以下であり、前記アルカリ電解液の液量をAとし、前記負極の理論容量をBとした場合に、前記負極の理論容量に対する前記アルカリ電解液の液量の比であるA/Bが、0.30mL/Ah以上、0.60mL/Ah以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、亜鉛電池に関する。
亜鉛電池は、負極活物質に亜鉛、亜鉛合金又は亜鉛含有化合物を用いる電池であり、電池の普及とともに古くから研究開発されてきた電池の一種である。亜鉛等を負極に用いる電池としては、一次電池、二次電池(蓄電池)等が挙げられ、例えば、正極活物質に空気中の酸素を用いる空気亜鉛電池、正極活物質にニッケル含有化合物を用いるニッケル亜鉛電池、正極活物質にマンガン含有化合物を用いるマンガン亜鉛電池、正極活物質に銀含有化合物を用いる銀亜鉛電池、亜鉛イオン電池等が研究及び開発されている。特に、空気亜鉛一次電池、マンガン亜鉛一次電池、銀亜鉛一次電池は実用化され、広く世界で使用されている。
また、近年においては、各種のポータブル機器やハイブリッド電気自動車等の各種機器に電池が使用されるようになっており、電池の用途は拡大している。このような用途の拡大にともない、多くの産業において電池の開発や改良の重要性が高まっており、主に電池の性能やその二次電池化の面で優れた新たな電池の開発や改良が望まれている。このような状況において、亜鉛電池に対してもより高性能化が望まれている。ここで、亜鉛電池における高度化すべき性能の一つとして、自己放電の抑制が挙げられる。
現在、亜鉛電池の自己放電を抑制するための研究が種々行われており、亜鉛電池の自己放電抑制の効果を高めることが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2019-133844号公報
ここで、亜鉛電池における自己放電の態様の一つとして、負極における局部電池反応による自己放電がある。詳しくは、亜鉛電池の負極は、負極活物質としての亜鉛の粒子の集合体である亜鉛粉末を含む負極合剤が負極基材に保持されて形成されている。負極基材は、通常、亜鉛とは異種の金属で出来ている。電池内において、負極は電解液とともに収容されていることから、亜鉛粒子は電解液中で異種金属と接触することになる。このように、亜鉛粒子が電解液中で異種金属と接触すると局部電池反応が生じ、亜鉛は自己溶解するため、充電した容量が減少する。また、負極基材と接触した亜鉛粒子と接触した他の亜鉛粒子においても局部電池反応が生じ自己溶解することがある。このように、亜鉛電池においては局部電池反応により自己放電が進み、充電した容量が減少する問題がある。
しかしながら、局部電池反応による自己放電の抑制に関しては、十分な研究成果は挙げられていないのが現状である。
電池の用途は益々拡大しており、自己放電抑制の更なる改善が求められている中、局部電池反応による自己放電を抑制することは重要であると考えられる。
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、自己放電を抑制し、容量を長期間維持可能な亜鉛電池を提供することにある。
本発明によれば、容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、前記電極群は、正極と、負極とがセパレータを介して重ね合わされてなり、前記負極は、少なくとも亜鉛粉末を含んでおり、前記亜鉛粉末を構成する亜鉛粒子の平均粒径が、49μm以上、71μm以下であり、前記アルカリ電解液の液量をAとし、前記負極の理論容量をBとした場合に、前記負極の理論容量に対する前記アルカリ電解液の液量の比であるA/Bが、0.30mL/Ah以上、0.60mL/Ah以下である、亜鉛電池が提供される。
本発明に係る亜鉛電池は、容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、前記電極群は、正極と、負極とがセパレータを介して重ね合わされてなり、前記負極は、少なくとも亜鉛粉末を含んでおり、前記亜鉛粉末を構成する亜鉛粒子の平均粒径が、49μm以上、71μm以下であり、前記アルカリ電解液の液量をAとし、前記負極の理論容量をBとした場合に、前記負極の理論容量に対する前記アルカリ電解液の液量の比であるA/Bが、0.30mL/Ah以上、0.60mL/Ah以下である。この構成により、本発明に係る亜鉛電池は、負極における局部電池反応の発生を抑えることができ自己放電を抑制することができる。このため、本発明の亜鉛電池は、充電した容量を長期間維持可能である。
一実施形態に係るニッケル亜鉛電池を部分的に破断して示した斜視図である。
以下、一実施形態に係るニッケル亜鉛電池(以下、電池とも表記する)2を、図面を参照して説明する。
電池2は、例えば、4/3FAサイズの円筒型電池である。詳しくは、図1に示すように、電池2は、上端が開口した有底円筒形状をなす容器としての外装缶10を備えている。外装缶10は導電性を有し、その底壁35は負極端子として機能する。外装缶10の開口には封口体11が固定されている。この封口体11は、蓋板14及び正極端子20を含み、外装缶10を封口するとともに正極端子20を提供する。蓋板14は、導電性を有する円板形状の部材である。外装缶10の開口内には、蓋板14及びこの蓋板14を囲むリング形状の絶縁パッキン12が配置され、絶縁パッキン12は外装缶10の開口縁37をかしめ加工することにより外装缶10の開口縁37に固定されている。すなわち、蓋板14及び絶縁パッキン12は互いに協働して外装缶10の開口を気密に閉塞している。
ここで、蓋板14は中央に中央貫通孔16を有し、蓋板14の外面上には中央貫通孔16を塞ぐゴム製の弁体18が配置されている。更に、蓋板14の外面上には、弁体18を覆うようにしてフランジ付き円筒形状をなす金属製の正極端子20が電気的に接続されている。この正極端子20は弁体18を蓋板14に向けて押圧している。なお、正極端子20には、図示しないガス抜き孔が設けられている。
通常時、中央貫通孔16は弁体18によって気密に閉じられている。一方、外装缶10内にガスが発生し、その内圧が高まれば、弁体18は内圧によって圧縮され、中央貫通孔16を開き、その結果、外装缶10内から中央貫通孔16及び正極端子20のガス抜き孔(図示せず)を介して外部にガスが放出される。つまり、中央貫通孔16、弁体18及び正極端子20は電池のための安全弁を形成している。
外装缶10には、電極群22が収容されている。この電極群22は、それぞれ帯状の正極24、負極26及びセパレータ28を含んでいる。詳しくは、これら正極24及び負極26は、セパレータ28を間に挟み込んだ状態で渦巻状に巻回されている。すなわち、セパレータ28を介して正極24及び負極26が互いに重ね合わされている。電極群22の最外周は負極26の一部(最外周部)により形成され、外装缶10の内周壁と接触している。すなわち、負極26と外装缶10とは互いに電気的に接続されている。
外装缶10内には、電極群22の一端と蓋板14との間に正極リード30が配置されている。詳しくは、正極リード30は、その一端が正極24に接続され、その他端が蓋板14に接続されている。従って、正極端子20と正極24とは、正極リード30及び蓋板14を介して互いに電気的に接続されている。なお、蓋板14と電極群22との間には円形の上部絶縁部材32が配置され、正極リード30は上部絶縁部材32に設けられたスリット39内を通って延びている。また、電極群22と外装缶10の底部との間にも円形の下部絶縁部材34が配置されている。
更に、外装缶10内には、所定量のアルカリ電解液(図示せず)が注入されている。アルカリ電解液は、電極群22に含浸されており、主にセパレータ28に保持されている。このアルカリ電解液は、正極24と負極26との間での充放電の際の電気化学反応(充放電反応)を進行させる。このアルカリ電解液としては、KOH、NaOH及びLiOHのうちの少なくとも一種を溶質として含む水溶液を用いることが好ましい。またアルカリ電解液の濃度についても特には限定されず、例えば7Nのものが用いられる。さらに、電池2は、ニッケル亜鉛電池であるので、上記したアルカリ電解液に酸化亜鉛を飽和濃度まで溶解させたものを用いることが好ましい。これにより、アルカリ電解液への負極からの亜鉛の溶け出しを少なく抑えることができる。
セパレータ28の材料としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布に親水性官能基を付与したもの、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基を付与したもの等を用いることができる。具体的には、スルホン化処理が施されてスルホン基が付与されたポリオレフィン繊維を主体とする不織布を用いることが好ましい。ここで、スルホン基は、硫酸又は発煙硫酸等の硫酸基を含む酸を用いて不織布を処理することにより付与される。このようなスルホン基を有する繊維を含むセパレータを用いた電池は、優れた自己放電特性を発揮する。より好ましくは、不織布の上に、例えばポリオレフィン系微多孔膜に親水性官能基を付与した耐デンドライトセパレータを重ねて二重化する。これにより、内部短絡の発生を抑制できショート耐性をより高めることができる。
正極24は、多孔質構造を有する導電性の正極芯材と、この正極芯材に保持された正極合剤とを含んでいる。上記したような正極芯材としては、例えば、3次元網目状の骨格を有するニッケル製の金属体である。この金属体の骨格は正極芯材の全体にわたって広がっており、この骨格の隙間により連通孔が形成されている。そして、この連通孔の中に正極合剤が充填されている。このような金属体としては、例えば、発泡ニッケルを用いることができる。
正極合剤は、正極活物質、正極添加剤及び結着剤を含む。この結着剤は、正極活物質、及び正極添加剤を互いに結着させるとともに正極活物質、及び正極添加剤を正極芯材に結着させる働きをする。ここで、結着剤としては、例えば、親水性若しくは疎水性のポリマーを挙げることができる。また、必要に応じて増粘剤を添加することが好ましい。増粘剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
正極活物質としては、水酸化ニッケルが用いられる。この水酸化ニッケルの形態としては、粉末状のものが用いられる。つまり、水酸化ニッケル粒子の集合体である水酸化ニッケル粉末が用いられる。この水酸化ニッケル粒子は、高次化されている水酸化ニッケル粒子を採用することが好ましい。
上記した水酸化ニッケル粒子は、Co、Zn、Cd等を固溶しているものを用いることが好ましい。
また、上記した水酸化ニッケル粒子は、表面がコバルト化合物を含む表面層で覆われている態様とすることが好ましい。この表面層としては、3価以上に高次化されたコバルト化合物を含む高次コバルト化合物層を採用することが好ましい。
上記した高次コバルト化合物層は、導電性に優れており、導電性ネットワークを形成する。この高次コバルト化合物層としては、3価以上に高次化されたオキシ水酸化コバルト(CoOOH)などのコバルト化合物を含む層を採用することが好ましい。
導電性ネットワークを形成する他の方法として、水酸化ニッケル粒子の表面にコバルト化合物を含む表面層を形成する代わりにコバルト化合物の粉末を正極合剤に添加する方法を採用することが好ましい。このコバルト化合物の粉末としては、水酸化コバルト粉末を挙げることができる。コバルト化合物の粉末を添加する方法は、水酸化ニッケルの粒子の表面にコバルト化合物の表面層を形成する方法よりも簡便に導電性ネットワークを形成できるメリットがある。
次に、正極添加剤としては、酸化イットリウムが挙げられる。また、酸化コバルト、金属コバルト、水酸化コバルト等のコバルト化合物、金属亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛等の亜鉛化合物、酸化エルビウム等の希土類化合物等を用いることも好ましい。
次に、正極24は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、上記したようにして得られた正極活物質粒子の集合体である正極活物質粉末に、正極添加剤、結着剤、水及び増粘剤を添加して混練し、正極合剤スラリーを調製する。得られた正極合剤スラリーは、例えば、発泡ニッケルに充填され、その後乾燥処理が施される。乾燥処理後、水酸化ニッケル粒子等が充填された発泡ニッケルは、ロール圧延されてから裁断される。これにより、正極合剤を含む正極24が得られる。
次に、負極26について説明する。
負極26は、帯状をなす導電性の負極基材を有し、この負極基材に負極合剤が保持されている。
負極基材は、帯状の金属材からなる芯体と、この芯体を覆うスズの薄膜とを含んでいる。上記した芯体としては、多数の貫通孔を有する金属材が用いられ、例えば、発泡銅、銅パンチングメタル、銅エキスパンドメタル等を挙げることができる。また、上記したスズの薄膜としては、スズのめっき膜、スズの蒸着膜等を挙げることができる。
負極合剤は、負極基材の貫通孔内に充填されるばかりでなく、負極基材の両面上にも層状にして保持されている。この負極合剤は、負極活物質、及び結着剤を含み、必要に応じて負極添加剤及び増粘剤が添加される。
負極活物質としては、亜鉛を少なくとも含んでおり、亜鉛合金及び亜鉛含有化合物のうちの少なくとも1種を更に含むことができる。ここで、亜鉛合金を構成する原材料としては、亜鉛の他にビスマス、アルミニウム、インジウム等を用いることが好ましい。亜鉛含有化合物としては、例えば、酸化亜鉛(1種/2種/3種)、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、テトラヒドロキシ亜鉛イオン塩、亜鉛ハロゲン化物、酢酸亜鉛や酒石酸亜鉛、シュウ酸亜鉛をはじめとする亜鉛カルボキシラート化合物、亜鉛酸マグネシウム、亜鉛酸カルシウム、亜鉛酸バリウム、ホウ酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、アルミン酸亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸水素亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられる。
負極活物質の形態としては、粉末状のものが用いられる。つまり、負極活物質の粒子の集合体である負極活物質粉末が用いられる。負極活物質としての亜鉛の粒子の粒径は、49μm以上、71μm以下とする。
ここで、亜鉛合金の粒子の平均粒径は10~1000μmとすることが好ましく、亜鉛含有化合物の粒子の平均粒径は0.1~100μmとすることが好ましい。なお、本明細書において、平均粒径とは、質量基準による積算が50%にあたる平均粒径を意味し、粒子径分布測定装置を用いてレーザー回折・散乱法により求められる。
結着剤は、負極活物質、負極添加剤等を互いに結着させると同時に負極活物質、負極添加剤等を負極基材に結着させる働きをする。ここで、結着剤としては、合成ゴムが用いられる。特に、スチレンブタジエンゴム(SBR)は結着効果が高いため、結着剤としてSBRを使用することが好ましい。
負極添加剤は、負極の特性を改善する働きをする。この負極添加剤としては、例えば、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、酸化インジウム、水酸化インジウム、シュウ酸カリウムおよびそれらの水和物等を挙げることができる。
また、増粘剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースが用いられる。
次に、負極26は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、負極活物質(亜鉛等)の粒子の集合体である負極活物質粉末、負極添加剤、結着剤、及び水を混錬することにより、負極合剤ペーストを調製する。得られた負極合剤ペーストは負極基材に塗着され、乾燥処理が施される。乾燥後、負極活物質粉末、結着剤等を保持した負極基材は、全体的に圧延されて負極活物質の充填密度を高められ、これにより負極の中間製品が得られる。そして、この負極の中間製品は所定形状に裁断される。これにより負極26が製造される。
以上のようにして製造された正極24及び負極26は、セパレータ28を介在させた状態で、渦巻き状に巻回され、これにより電極群22が形成される。
このようにして得られた電極群22は、外装缶10内に収容される。次いで、当該外装缶10内には所定量のアルカリ電解液が注入される。
ここで、アルカリ電解液の液量をAとし、負極の理論容量をBとした場合に、負極の理論容量に対するアルカリ電解液の液量の比であるA/Bが、0.30mL/Ah以上、0.60mL/Ah以下となる所定量のアルカリ電解液が外装缶10内に注入される。上記した負極の理論容量とは、負極に含まれる全活物質の量から求められる放電容量のことを指す。
その後、電極群22及びアルカリ電解液を収容した外装缶10は、正極端子20を備えた封口体11により封口され、電池2が得られる。得られた電池2は、初期活性化処理が施され、使用可能状態とされる。
[実施例]
1.電池の製造
(実施例1)
(1)正極の製造
正極活物質として準備された水酸化ニッケルの粉末100重量部に、水酸化コバルトの粉末25重量部、酸化イットリウムの粉末0.5重量部、酸化亜鉛の粉末0.5重量部、酸化ニオブの粉末0.3重量部、結着剤としての親水性ポリマーを0.2重量部、及び増粘剤としてのヒドロキシプロピルセルロースの粉末を0.2重量%含む水50.0重量部を添加して混練し、正極合剤のスラリーを調製した。
ついで、この正極合剤のスラリーを正極芯材としてのシート状の発泡ニッケルに充填した。ここで、発泡ニッケルとしては、面密度(目付)が約350g/m、多孔度が95%、厚みが1.3mmであるものを用いた。
次いで、正極合剤のスラリーが充填された発泡ニッケルに乾燥処理を施した。その後、正極合剤が充填された発泡ニッケルの全体を圧延したのち、所定寸法に裁断して、4/3FAサイズ用の正極24を得た。なお、正極24の正極容量は2500mAhである。
(2)負極の製造
酸化亜鉛の粉末100重量部、亜鉛の粉末25重量部、結着剤としてのスチレンブタジエンゴムの粉末4重量部、ヒドロキシプロピルセルロースの粉末1重量部、及び水100重量部を準備した。そして、これら、酸化亜鉛の粉末、亜鉛の粉末、スチレンブタジエンゴムの粉末、ヒドロキシプロピルセルロースの粉末、及び水を25℃の環境下において混練し、負極合剤ペーストを調製した。
ここで、酸化亜鉛の粉末を構成する酸化亜鉛の粒子の平均粒径は0.75μm、亜鉛の粉末を構成する亜鉛粒子の平均粒径は71μmであった。
一方、負極基材を以下のようにして製造した。まず、負極基材の芯体として、銅パンチングメタルを準備した。この銅パンチングメタルは、厚さが60μmであり、直径1.5mmの丸孔が千鳥状に多数穿設されている。次いで、この銅パンチングメタルに従来の方法によりスズの電解めっきを施した。このとき、スズめっき膜の厚さは5.0μmとした。このようにして、スズめっき膜を有する銅パンチングメタルからなる負極基材を得た。
上記のようにして得られた負極合剤ペーストを負極基材の両面に均等、且つ、厚さが一定となるように塗布した。
負極合剤ペーストの乾燥後、負極合剤を保持した負極基材を圧延したのち、所定寸法に裁断して、4/3FAサイズ用の負極26を得た。この時、負極26の負極合材中の酸化亜鉛の重量は6.54g、亜鉛の重量は1.64gであった。
ニッケル亜鉛電池の負極において、活物質である亜鉛は以下のように2電子反応を伴う充放電反応をする。
放電:Zn+2OH→ZnO+HO+2e
充電:Zn+2OH←ZnO+HO+2e
活物質として負極26の負極合材中に含まれる亜鉛(Zn)、及び酸化亜鉛(ZnO)のそれぞれの重量当たりの理論容量は、亜鉛の原子量を65.4、酸素の原子量を16.0、ファラデー定数F=96500C/molとして以下のように求めることができる。
Figure 2023144769000002
Figure 2023144769000003
故に、負極26の理論容量は、活物質である亜鉛(Zn)及び酸化亜鉛(ZnO)のそれぞれの理論容量の和であるので、以下のように求めることができる。
負極の理論容量=820×1.64+659×6.54=5655[mAh]
(3)ニッケル亜鉛電池の組み立て
上記のようにして得られた正極24及び負極26をこれらの間にセパレータ28を挟んだ状態で渦巻状に巻回し、電極群22を製造した。ここでの電極群22の製造に使用したセパレータ28は、スルホン化処理が施されたポリオレフィン繊維製不織布の基布に親水化処理が施されたポリプロピレン製の微多孔膜からなる耐デンドライトセパレータを重ねて二重化した構造を有しており、その厚みは0.16mm(目付量74g/m)であった。
一方、アルカリ金属の水酸化物を溶質として含み、かつ酸化亜鉛を飽和した水溶液であるアルカリ電解液を準備した。このアルカリ電解液には、アルカリ金属の水酸化物として水酸化カリウムが30重量%含まれている。
ついで、有底円筒形状の外装缶10内に上記した電極群22を収容するとともに、準備したアルカリ電解液を3.41mL注入した。その後、封口体11で外装缶10の開口を塞ぎ、公称容量2000mAhの4/3FAサイズの電池2を組み立てた。
ここで、得られた電池2においては、アルカリ電解液の液量をAとし、負極の理論容量をBとした場合に、負極の理論容量に対するアルカリ電解液の液量の比であるA/Bは、A/B=3.41/5.655=0.60mL/Ahであった。
(4)初期活性化処理
得られた電池2に対し、温度25℃の環境下にて、0.1Itの充電電流で公称容量の100%まで充電を行った後、0.2Itの放電電流で電池電圧が1.3Vになるまで放電させる充放電作業を1サイクルとする充放電サイクルを1回行った。このようにして初期活性化処理を行い、電池2を使用可能状態とした。
(実施例2)
負極の製造において、亜鉛の粉末を構成する亜鉛粒子の平均粒径を49μmとしたことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛電池を製造した。
(比較例1)
負極の製造において、亜鉛の粉末を構成する亜鉛粒子の平均粒径を85μmとしたこと、及び、ニッケル亜鉛電池の組み立てにおいて、注入したアルカリ電解液の量を4.83mLとしたことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛電池を製造した。ここで、負極の理論容量に対するアルカリ電解液の液量の比であるA/Bは、A/B=4.83/5.655=0.85mL/Ahであった。
(比較例2)
負極の製造において、亜鉛の粉末を構成する亜鉛粒子の平均粒径を85μmとしたことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛電池を製造した。
(比較例3)
ニッケル亜鉛電池の組み立てにおいて、注入したアルカリ電解液の量を4.83mLとしたことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛電池を製造した。ここで、負極の理論容量に対するアルカリ電解液の液量の比であるA/Bは、A/B=4.83/5.655=0.85mL/Ahであった。
(比較例4)
負極の製造において、亜鉛の粉末を構成する粒子の平均粒径を49μmとしたこと、及び、ニッケル亜鉛電池の組み立てにおいて、注入したアルカリ電解液の量を4.83mLとしたことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛電池を製造した。ここで、負極の理論容量に対するアルカリ電解液の液量の比であるA/Bは、A/B=4.83/5.655=0.85mL/Ahであった。
(比較例5)
負極の製造において、SBRに代えて同量のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いて負極合剤ペーストを作成したことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛電池を製造した。しかしながら、この比較例5の場合、負極基材からの負極活物質の脱落量が増加し、十分な電池容量を得ることができなかった。
2.ニッケル亜鉛電池の評価
(1)自己放電評価
初期活性化処理済みの実施例1、2、比較例1~4の電池に対し、25℃の環境下にて、0.1Itの充電電流で公称容量の100%まで充電を行った後、0.2Itの放電電流で電池電圧が1.3Vになるまで放電させる充放電作業を1サイクルとする充放電サイクルを3回行った。ここで、3回目の放電の際の放電容量を求めた。この放電容量を初期容量Cとした。
次いで、初期容量Cを求めた後の電池を25℃の環境下にて、0.1Itの充電電流で公称容量の100%まで充電を行った後、35℃の環境下にて1ヶ月間放置した。1ヶ月間放置した後の電池を再び25℃の室温環境下に置き、0.2Itの放電電流で電池電圧が1.3Vになるまで放電させ、このときの放電容量を求めた。この放電容量を残存容量Dとした。
そして、以下に示す(I)式より残存率Rを求めた。得られた結果を表1に示した。
R[%]=(D/C)×100・・・(I)
ここで、残存率Rの値が大きいほど電池の容量が残っており自己放電が抑制されていることを示す。
Figure 2023144769000004
(2)考察
比較例1と、比較例2とは、負極の理論容量に対するアルカリ電解液の液量の比であるA/Bが異なっており、A/Bの値は、比較例1よりも比較例2の方が低い。このような比較例2の残存率Rは、比較例1の残存率Rに比べ1.8%向上している。つまり、A/Bの値が低いほど残存率Rは向上する。
比較例1、3、4は、亜鉛粒子の平均粒径が異なっており、比較例1に比べ平均粒径が小さい比較例3は、残存率Rが比較例1に比べ2.0%向上しており、更に比較例3よりも平均粒径が小さい比較例4は、残存率Rが比較例1に比べ3.1%向上している。つまり、負極活物質である亜鉛粒子の平均粒径が小さいほど残存率Rは向上する。
実施例1は、比較例1に比べA/Bの値が小さく、且つ亜鉛粒子の平均粒径が小さい態様である。実施例1の残存率Rは、比較例1の残存率Rに比べ7.6%向上している。実施例1は、比較例2及び比較例3の条件を組み合わせた態様であるが、実施例1の残存率Rは、比較例2及び比較例3が比較例1に対してそれぞれ向上した残存率Rの増加量の合計値である3.8%(比較例2の1.8%+比較例3の2.0%)よりも大幅に向上する結果となった。
実施例2は、比較例1に比べA/Bの値が小さく、且つ亜鉛粒子の平均粒径が小さい態様である。詳しくは、A/Bの値は実施例1と同等で亜鉛粒子の平均粒径は実施例1より更に小さい態様である。このような実施例2の残存率Rは、比較例1の残存率Rに比べ9.1%向上している。実施例2は、比較例2及び比較例4の条件を組み合わせた態様であるが、実施例2の残存率は、比較例2及び比較例4においてそれぞれ向上した残存率Rの増加量の合計値である4.9%(比較例2の1.8%+比較例4の3.1%)よりも大幅に向上する結果となった。
以上より、亜鉛粒子の平均粒径を適正化し、かつ負極の理論容量に対するアルカリ電解液の液量の比であるA/Bを適正化することで自己放電を低減し、残存率を大きく向上させることができる知見を得た。この知見より、亜鉛電池の自己放電を抑制し残存率Rを向上させるためには、負極活物質である亜鉛粒子の平均粒径を71μm以下とし、A/Bの値を0.60mL/Ah以下とすることが有効であり、これら亜鉛粒子の平均粒径の値及びA/Bの値がより小さいほど残存率Rの向上が期待できるといえる。しかしながら、亜鉛粒子の平均粒径が49μmを下回ると負極において水素ガスが発生しやすくなり、自己放電が大きくなるため、亜鉛の平均粒径の下限は49μm以上とすべきと考えられる。また、A/Bの値が0.3mL/Ahを下回ると、電解液量が少なく十分に充放電できなくなるため、A/Bの下限は0.3mL/Ahとすべきと考えられる。
よって、亜鉛粒子の平均粒径を49μm以上、71μm以下とし、負極の理論容量に対するアルカリ電解液の液量の比であるA/Bを0.30mL/Ah以上、0.60mL/Ah以下とすることにより、得られる亜鉛電池においては、優れた自己放電抑制効果が発揮され容量維持率が向上すると考えられる。
また、比較例5の結果より、負極の製造に際し、結着剤としてSBRを用いないと、負極基材からの負極活物質の脱落量が多くなり、十分な電池容量を得ることが難しくなる。このため、亜鉛電池において、高容量を長期間維持可能とするには、結着剤としてSBRを用いることが好ましいといえる。
なお、本発明は、上記した実施形態や実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、負極合剤に亜鉛を含有させる電池であれば、ニッケル亜鉛電池に限定されるものではなく、空気亜鉛電池等の正極にニッケルを使用しないその他の亜鉛電池に本発明を適用することもできる。また、本発明は、二次電池に限定されるものではなく、一次電池に用いても同様の自己放電抑制効果が得られる。
2 ニッケル亜鉛電池
22 電極群
24 正極
26 負極
28 セパレータ

Claims (2)

  1. 容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、
    前記電極群は、正極と、負極とがセパレータを介して重ね合わされてなり、
    前記負極は、少なくとも亜鉛粉末を含んでおり、
    前記亜鉛粉末を構成する亜鉛粒子の平均粒径が、49μm以上、71μm以下であり、
    前記アルカリ電解液の液量をAとし、前記負極の理論容量をBとした場合に、前記負極の理論容量に対する前記アルカリ電解液の液量の比であるA/Bが、0.30mL/Ah以上、0.60mL/Ah以下である、亜鉛電池。
  2. 前記負極は、結着剤としてスチレンブタジエンゴムを含む、請求項1に記載の亜鉛電池。
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