JP2023144365A - スパンボンド不織布 - Google Patents

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Kota Murai
大樹 島田
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Abstract

【課題】 保液性に優れ、かつ、細孔径が小さく、フィルタ性能の高い、特に電池セパレータへの利用に好適なスパンボンド不織布およびその製造方法を提供すること。【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂からなる繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維の繊維断面の長軸の長さa、短軸の長さbとしたとき、前記スパンボンド不織布の厚さ方向の断面における一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率a/bと、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率a/bとが、ともに1.5以上4.0以下であり、前記領域Aおよび前記領域Cの間となる領域Bに含まれる繊維の扁平率a/bが1.0以上1.5未満である、スパンボンド不織布。【選択図】 図2

Description

本発明は、主にポリオレフィン系樹脂からなる繊維から構成され、特に二次電池セパレータに好適に用いることができるスパンボンド不織布に関するものである。
近年、不織布は様々な用途に使用されており、例えば、産業資材、土木資材、建築資材、生活資材、農業資材、衛生資材および医療用資材等が挙げられる。
中でも、デジタル社会の広がりにより、繰り返し充放電可能な二次電池の需要が増え、それに伴って電池部材、特に電池セパレータへの不織布の利用が広がっている。電池セパレータは、電極で発生するデンドライトによる両極間のショートを防止するため、細孔径の細化や、優れたイオン伝導性を確保するため、電解液に濡れ易く、電解液を保液する能力が求められる。
現在、電池セパレータに用いられる不織布は、細孔径の小ささや緻密性の高さから主に湿式不織布が用いられている。しかし、二次電池市場の価格競争の高まりにより、湿式不織布に比べてより生産性が高く、安価なスパンボンド不織布やメルトブロー不織布を用いた二次電池セパレータの利用が広まっている。
スパンボンド不織布を利用した電池セパレータとしては、例えば、特許文献1では、再生繊維または合成繊維で構成された不織布を含む、鉛蓄電池用不織布セパレータが提案されている。また、特許文献2では、少なくとも1つのスパンボンド層と少なくとも1つのメルトブローン層とを有する、濡らすことができる弾性不織布ウェブを含む電池セパレータであって、前記のウェブが、特定の破壊強度、引張強度、および、平均孔径を有する電池セパレータが提案されている。
国際公開第2017/150279号 特表2004-516625号公報
しかしながら、特許文献1で提案された技術では、不織布への無機微粒子添加によって、細孔径の細化や電解液の保液性はある程度高まるものの、無機微粒子の脱離があったり、無機微粒子を分散させたスラリーを不織布に塗工した際の塗工層と不織布層との間の熱収縮差があったりするなど、工程通過性に課題がある。
また、特許文献2で提案された中で、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布というような積層構成の不織布は、その層ごとに保液性が異なるため、保液バランスが崩れやすい。その上、積層不織布は一般的に嵩高く、電池の小型化や内部抵抗を小さくする観点においては不適である。
そこで本発明の目的は、上記の課題を鑑み、保液性に優れ、かつ、細孔径が小さく、フィルタ性能の高い、特に電池セパレータへの利用に好適なスパンボンド不織布およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目標を達成するべく検討を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維で構成されるスパンボンド不織布であって、前記の不織布の厚さ方向の断面において、該スパンボンド不織布の表面に含まれる繊維の扁平率が大きく、厚さ方向中央部に含まれる繊維の扁平率が小さいスパンボンド不織布とすることによって、優れた保液性能をもちつつ、デンドライトの非通過性やフィルタ性能の高いスパンボンド不織布を得ることができるという知見を得た。
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至った物であり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
本発明のスパンボンド不織布は、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維の繊維断面の長軸の長さa、短軸の長さbとしたとき、前記のスパンボンド不織布の厚さ方向の断面における一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率a/bと、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率a/bとが、ともに1.5以上4.0以下であり、前記の領域Aおよび前記の領域Cの間となる領域Bに含まれる繊維の扁平率a/bが1.0以上1.5未満である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記のスパンボンド不織布の平均細孔径が1μm以上20μm以下であり、かつ、前記のスパンボンド不織布の最大細孔径が1μm以上30μm以下である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記の繊維の平均単繊維直径が1μm以上20μm以下である。
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維から構成され、保液性に優れ、かつ、デンドライトの非通過性およびフィルタ性能の高い、スパンボンド不織布が得られる。これらの特性から、本発明のスパンボンド不織布は、特に二次電池セパレータ用途として好適に用いることができる。
図1は、本発明のスパンボンド不織布を構成する繊維の断面における、長軸の長さaと短軸の長さbとを例示・説明する、断面概念図である。 図2は、本発明のスパンボンド不織布の一実施態様を例示・説明する、断面概念図である。 図3は、本発明のスパンボンド不織布のフィルタ性能の評価に用いた試験システムの態様を例示・説明する、断面概念図である。
本発明のスパンボンド不織布は、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維の繊維断面の長軸の長さa、短軸の長さbとしたとき、前記スパンボンド不織布の厚さ方向の断面における一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率a/bと、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率a/bとが、ともに1.5以上4.0以下であり、前記領域Aおよび前記領域Cの間となる領域Bに含まれる繊維の扁平率a/bが1.0以上1.5未満である。
以下に、これら本発明の構成要素について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
[ポリオレフィン系樹脂]
本発明のスパンボンド不織布で用いられるポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、あるいは、これらが混合された樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体もしくはエチレンと各種α-オレフィンとの共重合体などが挙げられ、また、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体もしくはプロピレンと各種α-オレフィンとの共重合体などが挙げられる。中でも、紡糸性や強度の特性の観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
このポリプロピレン系樹脂について、プロピレン単位の割合が60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上である。このようにすることで良好な紡糸性を維持し、かつ強度を向上させることができる。
前記のポリオレフィン系樹脂は、メルトフローレート(MFRと略記することがある)が75g/10分以上850g/10分以下であることが好ましい。MFRを75g/10分以上、より好ましくは120g/10分以上、さらに好ましくは155g/10分以上であることで、延伸時の応力を低くすることができ、速い紡糸速度で延伸したとしても、安定した紡糸が可能となる。そして、これにより、スパンボンド不織布の繊維径が細くなることで、平均細孔径が小さく、電池セパレータに加工した際にデンドライトの非透過性の高い不織布を得ることができる。一方、MFRを850g/10分以下、より好ましくは600g/10分以下、さらに好ましくは400g/10分以下であることで、ポリオレフィン系樹脂の分子量が大きくなり、繊維1本あたりの強度が高くなるため、電池セパレータとして使用するのに十分な強度の不織布を得ることができる。
なお、本発明において、ポリオレフィン系樹脂のMFRは、ASTM D1238 (A法)によって測定される値を採用する。なお、この規格によれば、例えば、ポリプロピレンは荷重:2.16kg、温度:230℃にて、ポリエチレンは荷重:2.16kg、温度:190℃にて測定することが規定されている。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂としては、2種以上の混合物であってもよく、また、その他のポリオレフィン系樹脂や熱可塑性エラストマー等を含有する樹脂組成物を用いることもできる。当然、MFRの異なる2種類以上の樹脂を任意の割合でブレンドして、ポリオレフィン系樹脂のMFRを調整することもできる。この場合、主となるポリオレフィン系樹脂に対してブレンドする樹脂のMFRは、10g/10分~1000g/10分であることが好ましく、より好ましくは20g/10分~800g/10分、さらに好ましくは30g/10分~600g/10分である。このようにすることにより、ブレンドしたポリオレフィン系樹脂に部分的に粘度斑が生じ、繊度が不均一化したり、紡糸性が悪化したりすることを防ぐことができる。そして、これによって、均一な不織布物性をもち、ムラが少ないスパンボンド不織布とすることができる。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、耐候剤、光安定剤、防曇剤、ブロッキング剤、滑剤、核剤、および酸化チタン等の顔料等の添加物、あるいは他の重合体を必要に応じて添加することができる。
また、後述する繊維を紡出する際、部分的な粘度斑の発生を防ぎ、繊維の繊度を均一化し、さらに繊維径を後述するように細くするため、用いる樹脂に対して、この樹脂の分子量を低下させてMFRを上げても良い。MFRを上げる方法としては、例えば、使用前に樹脂を加熱して熱分解する方法や、過酸化物を添加して熱処理する方法等が考えられる。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂の融点は、80℃以上200℃以下であることが好ましい。融点を好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上であることにより、実用に耐え得る耐熱性が得られやすくなる。また、融点を好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下とすることにより、口金から吐出された糸条を冷却し易くなり、繊維同士の融着を抑制し、細い繊維径でも安定した紡糸が行い易くなる。そして、これによって、電池セパレータに利用した際に、細繊度で細孔径の小さいスパンボンド不織布とすることができる。
[繊維]
本発明に係るスパンボンド不織布を構成する繊維は、前記のポリオレフィン系樹脂からなる。そして、この繊維は平均単繊維直径が1μm以上20μm以下であることが好ましい。平均単繊維直径が1μm以上、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上であることにより、紡糸性の低下を防ぎ、安定した平均単繊維径を有する不織布層を形成することができるため、電池セパレータに利用した際に、細孔径分布のバラツキが狭く、デンドライトがより通過しにくいスパンボンド不織布を得ることができる。一方、平均単繊維直径を20μm以下とし、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下とすることにより、地合いが良く、不織布の平均細孔径および最大細孔径がより小さくなり、電池セパレータに加工した際、デンドライトがより通過しにくいスパンボンド不織布とすることができる。
なお、本発明のスパンボンド不織布を構成するポリオレフィン系樹脂からなる繊維の平均単繊維径(μm)は、以下の手順によって算出される値を採用するものとする。
(1)スパンボンド不織布からランダムに小片サンプルを10個採取する。
(2)マイクロスコープまたは走査型電子顕微鏡で500~2000倍の断面写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の幅(直径)を測定する。繊維の断面が異形の場合には断面積を測定し、同一の断面積を有する正円の直径を求める。
(3)測定した100本の直径の値を平均し、小数点以下第二位を四捨五入して平均単繊維径(μm)とする。
[スパンボンド不織布]
本発明のスパンボンド不織布を構成するポリオレフィン系樹脂からなる繊維は、繊維断面の長軸の長さをaとし、短軸の長さをbとしたとき、前記のスパンボンド不織布の厚さ方向の断面における、一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率a/bと、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率a/bとが、ともに1.5以上4.0以下であり、前記領域Aおよび前記領域Cの間となる領域Bに含まれる繊維の扁平率a/bが1.0以上1.5未満である。
ここで、図1において、例示・説明されるように、繊維断面の長軸の長さaとは、繊維軸方向から繊維断面を見たとき、繊維断面に外接し、該断面の輪郭線(1)上の2点を通過するように引いた外接円(2)の直径(3)のことである。また、繊維断面の短軸の長さbとは、上記の外接円と繊維外周との接点を結んだ直線(上記の外接円の直径にあたる)に対し、鉛直に交わる方向に垂線を引くとき、その垂線が繊維断面を切り取る最大の長さ(4)のことである。
そして、図2において例示・説明されるように、本発明に係るスパンボンド不織布は、スパンボンド不織布(5)の厚さ方向の断面において、一方の表面から30%の領域を領域A(6)、他方の表面から30%の領域を領域C(8)、さらに、その間の領域を領域B(7)とする。
このスパンボンド不織布の厚さ方向の断面における一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率a/bと、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率a/bとが、ともに1.5以上、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.8以上であることにより、不織布表面が平滑化し、厚みの均一な不織布を得ることができ、電池セパレータに加工した際に内部抵抗に偏りが無く、サイクル特性に優れた電池セパレータを得ることができる。また、不織布表面の繊維が扁平化することで、より緻密になり、平均細孔径および最大細孔径の大きさが小さくなるため、高いフィルタ性能を示し、電池セパレータに加工した際、デンドライトがより通過しにくいスパンボンド不織布となる。一方、領域Aに含まれる繊維の扁平率a/bと、領域Cに含まれる繊維の扁平率a/bとが、ともに4.0以下、好ましくは3.9以下、より好ましくは3.8以下であることにより、適度な剛性を有する電池セパレータを容易に得ることができる。
さらに、前記の領域Aおよび領域Cの間となる領域Bに含まれる繊維の扁平率a/bは1.5未満、好ましくは1.2以下であることにより、ポリオレフィン系樹脂の繊維間に隙間ができ、保液性に優れた不織布を得ることができる。一方、領域Bに含まれる繊維の扁平率a/bは1.0以上、好ましくは1.1以上であることで、より緻密になり、平均細孔径および最大細孔径の大きさが小さくなるため、高いフィルタ性能を示す不織布となる。
なお、前記の領域Aおよび領域Cの間となる領域Bに含まれる繊維の扁平率a/bは、それぞれ以下のようにして測定、算出される。
(1)スパンボンド不織布からランダムに小片サンプル10個採取する。
(2)小片サンプルの断面について、走査型電子顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス製電子顕微鏡「VHX-D500」など)で500~2000倍の断面写真を撮影する。
(3)繊維軸に対して鉛直方向に撮影されている繊維を選定して、小片サンプルの各領域(領域A、領域B、領域C)から10本ずつ、単繊維の長軸の長さa(μm)、短軸の長さb(μm)を測定する。
(4)それぞれ、下記の式により繊維の扁平率を求める
扁平率=(長軸の長さaの平均値)/(短軸の長さbの平均値)
(5)各小片サンプルについて(2)~(4)を繰り返し、得られた値(各領域でそれぞれ100個)について扁平率の算術平均値を算出し、この値の小数点以下第二位を四捨五入する。
本発明のスパンボンド不織布は、平均細孔径が1μm以上20μm以下であることが好ましい。平均細孔径が好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下であることにより、電池セパレータに加工した際、デンドライトがより通過しにくいスパンボンド不織布とすることができる。一方、平均細孔径が好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上とすることにより、電池セパレータに加工する際に、親水性のモノマー液が不織布内部まで入り込むことができるため、親水加工処理しやすく、これによって、保液性の高い不織布を得ることができる。
本発明のスパンボンド不織布は、最大細孔径が1μm以上30μm以下であることが好ましい。最大細孔径が好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下とすることで、細孔径分布の均一性に優れたものとなり、緻密性の向上や電池セパレータに加工した際に、優れたデンドライトの非通過性を得ることができる。一方、最大細孔径が好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上とすることで、電池セパレータに加工する際に、親水加工処理しやすく、また、イオン透過性の高い不織布を得ることができる。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の平均細孔径および最大細孔径は、JIS K3832:1990「精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイント試験方法」の「7.1 フィルタディスクバブルポイント試験」に従って、以下の方法で測定、算出される値である。
(1) スパンボンド不織布の任意の5か所から2cm×2cmの試験片を採取する
(2) 試験片を測定液(例えば、Porous Materials,Inc.製のGalwick試薬(表面張力:16mN/m)など)に1分間浸漬させる
(3) 試験片を測定装置(例えば、Porous Materials,Inc.製のパームポロメーター「CFP-1500」など)へ配置する
(4) 測定開始を開始し、気泡の出現が認められた時の、試験片の上流と下流との間の圧力差Pmax(Pa)を読み取る
(5) 最大細孔径dmax(μm)を以下の式で算出する
max=C×γ/Pmax
ここで、Cは圧力定数(-)、γは測定液の表面張力(mN/m)である。
(6) さらに、ウェット加圧法とドライ加圧法とを行い、横軸:試験片の上流と下流との間の圧力差(Pa)、縦軸:試験片を透過した流体の流量(L/分)として、ウェット流量曲線とハーフドライ流量曲線とをプロットする。
(7) ウェット流量曲線とハーフドライ流量曲線の交点における圧力差Pave(Pa)を読み取る。
(8) 平均細孔径dave(μm)を以下の式で算出する
ave=C×γ/Pave
ここで、Cは圧力定数(-)、γは測定液の表面張力(mN/m)である。
(9) (2)~(8)を全ての試験片について行い、各試験片の最大細孔径dmax(μm)、平均細孔径dave(μm)の算術平均値を求め、その小数点以下第2位を四捨五入した値を、その不織布の最大細孔径(μm)、平均細孔径(μm)とする。
本発明のスパンボンド不織布の目付は、20g/m以上100g/m以下であることが好ましい。目付を好ましくは20g/m以上とし、より好ましくは30g/m以上とすることにより、不織繊維の本数が増加し、不織布の細孔径が小さくなる。また、実用に供しうる機械的強度を得ることができる。
一方、目付を好ましくは100g/m以下とし、より好ましくは70g/m以下とすることにより、厚みが薄くなり内部抵抗が小さい不織布を得ることができる。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の目付はJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」に準じ、以下の手順によって測定される。
(1)20cm×25cmの試験片を、試料の幅1mあたり3枚採取する。
(2)標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量る。
(3)その算術平均値を1mあたりの質量(g/m)で表す。
本発明のスパンボンド不織布は、不織布表面繊維の扁平率が大きいことにより、平均細孔径および最大細孔径が小さく、フィルタ性能に優れ、また、不織布内部繊維の扁平率が小さいことにより、繊維間に空隙が生まれ高い保液性を示し、かつ安価で生産性が高いことから、電池用セパレータを初め、電解コンデンサ用隔離材、液体フィルタ用濾材、ハウスラップ等に好適に用いることができる。
[スパンボンド不織布の製造方法]
次に、本発明のスパンボンド不織布を製造する方法の好ましい態様について、具体的に説明する。
本発明のスパンボンド不織布は、スパンボンド法により製造される長繊維不織布である。スパンボンド法は、生産性や機械的強度に優れている他、短繊維不織布で起こりやすい毛羽立ちや繊維の脱落を抑制することができる。また、捕集したスパンボンド不織繊維ウェブあるいは熱圧着したスパンボンド不織布(どちらもSと表記する)を、SS、SSSおよびSSSSと複数層積層することにより、生産性や地合均一性が向上するため好ましい態様である。
スパンボンド法では、まず溶融した熱可塑性樹脂を紡糸口金から長繊維として紡出し、これをエジェクターにより圧縮エアで吸引延伸した後、移動するネット上に繊維を捕集して不織繊維ウェブを得る。さらに得られた不織繊維ウェブに熱接着処理を施し、スパンボンド不織布が得られる。
紡糸口金やエジェクターの形状は特に制限されないが、例えば、丸形や矩形等、種々の形状のものを採用することができる。なかでも、圧縮エアの使用量が比較的少なくエネルギーコストに優れること、糸条同士の融着や擦過が起こりにくく、糸条の開繊も容易であることから、矩形口金と矩形エジェクターの組み合わせが好ましく用いられる。
本発明では、ポリオレフィン系樹脂を押出機において溶融し、計量して紡糸口金へと供給し、長繊維として紡出する。ポリオレフィン系樹脂を溶融し紡糸する際の紡糸温度は、200℃以上270℃以下であることが好ましく、より好ましくは190℃以上260℃以下であり、さらに好ましくは200℃以上250℃以下である。紡糸温度を上記範囲内とすることにより、安定した溶融状態とし、優れた紡糸安定性を得ることができる。
紡出された長繊維の糸条は、次に冷却される。紡出された糸条を冷却する方法としては、例えば、冷風を強制的に糸条に吹き付ける方法、糸条周りの雰囲気温度で自然冷却する方法、および紡糸口金とエジェクター間の距離を調整する方法等が挙げられ、またはこれらの方法を組み合わせる方法を採用することができる。また、冷却条件は、紡糸口金の単孔あたりの吐出量、紡糸温度および雰囲気温度等を考慮して適宜調整して採用することができる。
次に、冷却固化された糸条は、エジェクターから噴射される圧縮エアによって牽引され、延伸される。
紡糸速度は、3000m/分以上6500m/分以下であることが好ましい。紡糸速度が好ましくは3000m/分以上、より好ましくは3500m/分以上であり、さらに好ましくは4000m/分以上であることにより、高い生産性を有することになり、また繊維の配向結晶化が進み、高強度の長繊維を得ることができる。
一方、紡糸速度を6500m/分以下、より好ましくは6400m/分とすることにより、生産時に糸切れ等の欠点の発生を防ぐことができる。
続いて、得られた長繊維を、移動するネット上に捕集して不織繊維ウェブを得る。
本発明では、前記の不織繊維ウェブに対して、ネット上でその片面から熱フラットロールを当接して仮接着させることも好ましい態様である。このようにすることにより、ネット上を搬送中に不織繊維ウェブの表層がめくれたり吹き流れたりして地合が悪化することを防いだり、糸条を捕集してから熱圧着するまでの搬送性を改善することができる。
続いて、得られた不織繊維ウェブを、融着させることにより融着部を形成させ、意図するスパンボンド不織布を得ることができる。
本発明のスパンボンド不織布の不織繊維ウェブを融着させる方法は上下一対のロール表面がフラット(平滑)なロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールにより熱融着させてシートを得ることができる。フラットロールを使用することで、不織布表面が平滑で厚み差のない不織布を得ることができ、電池セパレータに加工した際に内部抵抗の偏りが無く、サイクル特性に優れた電池セパレータを得ることができる。
熱接着時の熱フラットロールの表面温度は、使用している熱可塑性樹脂の融点(以降、Tm(℃)と記載することがある)に対し30℃低い温度から10℃高い温度(すなわち、(Tm-30℃)~(Tm+10℃))とすることが好ましい態様である。熱ロールの表面温度を熱可塑性樹脂の融点に対し好ましくは-30℃(すなわち、(Tm-30℃)、以下同様)以上とし、より好ましくは-20℃(Tm-20℃)以上とし、さらに好ましくは-10℃(Tm-10℃)以上とすることにより、強固に熱接着させ実用に供しうる強度のスパンボンド不織布を得ることができる。また、熱エンボスロールの表面温度を熱可塑性樹脂の融点に対し好ましくは+10℃(Tm+10℃)以下とし、より好ましくは+5℃(Tm+5℃)以下とし、さらに好ましくは+0℃(Tm+0℃)以下とすることにより、過度な熱接着を抑制し、不織布内部に適当な空隙をあたえ、保液性の高いスパンボンド不織布を得ることができる。
熱接着時の熱フラットロールの線圧は、200N/cm以上700N/cm以下とすることが好ましい。ロールの線圧を好ましくは200N/cm以上とし、より好ましくは250N/cm以上とし、さらに好ましくは300N/cm以上とすることにより、スパンボンド不織布の一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維と、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維を扁平化し、かつ、強固に熱接着させ実用に供しうる強度のスパンボンド不織布を得ることができる。一方、ロールの線圧を好ましくは700N/cm以下とし、より好ましくは650N/cm以下とし、さらに好ましくは600N/cm以下とすることにより、スパンボンド不織布の厚さ方向中央から上下それぞれ20%の領域Bに含まれる繊維の扁平化を抑制し、スパンボンド不織布内部に適度に空隙を持たせることができる。
接着時の熱フラットロールは前記のスパンボンド不織布を得るため、必要に応じて軸クロスおよびフラットロール間のクリアランス距離を調整することができる。
また本発明では、スパンボンド不織布の厚みを調整することを目的に、上記の熱フラットロールによる熱接着の前および/あるいは後に、上下一対のフラットロールからなる熱カレンダーロールにより熱圧着を施すことができる。上下一対のフラットロールとは、ロールの表面に凹凸のない金属製ロールや弾性ロールのことであり、金属製ロールと金属製ロールを対にしたり、金属製ロールと弾性ロールを対にしたりして用いることができる。
また、ここで弾性ロールとは、金属製ロールと比較して弾性を有する材質からなるロールのことである。弾性ロールとしては、例えば、ペーパー、コットンおよびアラミドペーパー等のいわゆるペーパーロールや、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂および硬質ゴム、およびこれらの混合物からなる樹脂製のロールなどが挙げられる。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
[測定方法]
(1)樹脂のメルトフローレート(MFR)(g/10分):
樹脂のMFRは、荷重が2.16kgで、温度が190℃の条件で測定した。
(2)スパンボンド不織布を構成するポリオレフィン系樹脂からなる繊維の平均単繊維径(μm):
ポリオレフィン系樹脂からなる繊維の平均単繊維径は、走査型電子顕微鏡として株式会社キーエンス製電子顕微鏡「VHX-D500」を用いて、前記の方法により測定した。
(3)紡糸速度(m/分):
上記の平均単繊維径と使用する樹脂の固体密度から、長さ10000m当たりの質量を平均単繊維繊度(dtex)として、小数点以下第二位を四捨五入して算出した。平均単繊維繊度と、各条件で設定した紡糸口金単孔から吐出される樹脂の吐出量(以下、単孔吐出量と略記する。)(g/分)から、次の式に基づき、紡糸速度を算出した
紡糸速度(m/分)=(10000×[単孔吐出量(g/分)])/[平均単繊維繊度(dtex)]。
(4)扁平率:
領域A、領域B、領域Cに含まれる繊維の扁平率は、走査型電子顕微鏡として株式会社キーエンス製電子顕微鏡「VHX-D500」を用いて、前記の方法により測定した。
(5)平均細孔径(μm)、最大細孔径(μm):
スパンボンド不織布の平均細孔径、最大細孔径は、パームポロメーターとして、Porous Materials,Inc.製の「CFP-1500」を用いて、前記の方法で測定した。なお、測定サンプル径は25mmとし、表面張力既知の測定液としては、Galwick(表面張力:16mN/m)を使用した。
(6)スパンボンド不織布の目付(g/m):
スパンボンド不織布の目付は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」に基づき、前記の方法で測定した。
(7)保液性の評価(%):
JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.9.2 保水率」に基づいて測定した。具体的には、以下の手順である。
(i)スパンボンド不織布から100mm×100mmの試験片を5枚採取した。
(ii)各試験片について、1枚あたりの質量mを測定した。
(iii)試験片を20℃の蒸留水中に10分間浸漬した。
(iv)前記の試験片を蒸留水中から取り出し、速やかに試験片の一端をクリップで固定し、1分間吊り下げた。
(v)この後、速やかに1枚あたりの質量mを測定し、下式により保水率(%)を求めた。
保水率(%)=(m-m)/m×100
(vi)測定は5枚の試験片で行い、平均値の小数点以下第一位を四捨五入して算出した。なお、保水率60%以上のスパンボンド不織布を保液性が高いものであると評価した。
(8)フィルタ性能の評価
図3は本発明の実施例にかかる捕集性能試験を実施する試験システムの構成を説明するための図である。図3に示す試験システムは、試験サンプルをセットするサンプルホルダーと、流量計と、流量調整バルブと、ブロワと、ダスト供給装置と、切替コックと、パーティクルカウンターを備える。流量計と、流量調整バルブと、ブロワと、ダスト供給装置とを有し、ダスト供給装置はサンプルホルダーと連結している。流量計は、流量調整バルブを介してブロワに接続している。サンプルホルダーには、ブロワの吸気によって、ダスト供給装置からダストが供給される。サンプルホルダーにパーティクルカウンターを接続し、切替コックを介して、試験サンプルの上流側のダスト個数と下流側のダスト個数をそれぞれ測定することができる。まず、スパンボンド不織布の任意の部分から、15cm×15cmのサンプルを3個採取し、採取した試験サンプルをサンプルホルダーにセットする。試験サンプルの評価面積は、115cmとした。捕集性能の測定にあたっては、ポリスチレン0.309U 10質量%溶液(ナカライテスク株式会社製)を蒸留水で200倍まで希釈し、ダスト供給装置に充填した。風量をフィルタ通過速度が4.5m/分になるように流量調整バルブで調整し、ダスト濃度を2万~7万個/(2.83×10-4(0.01ft))の範囲で安定させ、試験サンプルの上流のダスト個数Dおよび下流のダスト個数Dを、パーティクルカウンター(リオン株式会社製「KC-01D」)でダスト粒径0.3~0.5μmの範囲についてそれぞれ測定した。得られた値を下記計算式に代入して求めた数値の小数点以下第一位を四捨五入し捕集性能(%)を求めた。
捕集性能(%)=〔1-(D/D)〕×100
ここで、D:下流のダスト個数(3回の合計)、D:上流のダスト個数(3回の合計)である。
[実施例1]
MFR150g/10分、融点150℃のホモポリマーからなるポリプロピレン樹脂(PP)を押出機で溶融し、孔径φ0.30mm、孔深度2mmの矩形口金から、紡糸温度235℃、単孔吐出量0.20g/分の条件で紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、これを矩形エジェクターにおいて、エジェクター圧力を0.35MPaとした圧縮エアによって牽引、延伸し、移動するネット上に不織繊維ウェブを捕集した。得られた不織繊維ウェブを上下一対の熱フラットロール(表1では「フラット」と表記した)を用いて、線圧:500N/cm、熱接着温度:130℃の条件で熱接着した。結果を表1に示す。
得られたスパンボンド不織布の目付は52g/cm、平均繊維径8.6μmであり、不織布の一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率が1.9、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率が1.9、厚さ方向中央から上下それぞれ20%の領域Bに含まれる繊維の扁平率が1.2であった。
[実施例2]
スパンボンド不織布の目付が52g/cmであったところ、移動するネットの移動速度を変更して30g/cmに変更した以外は、実施例1同様にして、スパンボンド不織布を得た。結果を表1に示す。
得られたスパンボンド不織布の平均繊維径は8.6μmであり、不織布の一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率が1.9、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率が1.9、厚さ方向中央から上下それぞれ20%の領域Bに含まれる繊維の扁平率が1.3であった。
[実施例3]
紡出時の単孔吐出量が0.20g/分であったところを0.40g/分に変更し、さらに、スパンボンド不織布の目付52g/cmであったところを、移動するネットの移動速度を変更して30g/cmに変更した以外は、実施例1同様にして、スパンボンド不織布を得た。結果を表1に示す。
得られたスパンボンド不織布の平均繊維径は10.0μmであり、不織布の一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率が1.9、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率が1.8、厚さ方向中央から上下それぞれ20%の領域Bに含まれる繊維の扁平率が1.3であった。
[実施例4]
熱接着時の線圧が500N/cmであったところを、300N/cmに変更し、熱接着温度が130℃であったところを、140℃に変更し、さらに、スパンボンド不織布の目付52g/cmであったところを、移動するネットの移動速度を変更して目付60g/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布を得た。結果を表1に示す。
得られたスパンボンド不織布の平均繊維径は11.8μmであり、不織布の一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率が2.2、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率が2.0、厚さ方向中央から上下それぞれ20%の領域Bに含まれる繊維の扁平率が1.3であった。
[比較例1]
熱接着時の線圧が500N/cmであったところを、100N/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布を得た。結果を表1に示す。
得られたスパンボンド不織布の目付は52g/cm、平均繊維径は8.8μmであり、不織布の一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率が1.4、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率が1.4、厚さ方向中央から上下それぞれ20%の領域Bに含まれる繊維の扁平率が1.3であった。
[比較例2]
熱接着時の線圧が500N/cmであったところを、1000N/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布を得た。結果を表1に示す。
得られたスパンボンド不織布の目付は52g/cm、平均繊維径は8.4μmであり、不織布の一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率が2.6、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率が2.5、厚さ方向中央から上下それぞれ20%の領域Bに含まれる繊維の扁平率が2.0であった。
[比較例3]
熱接着時に、上下一対の熱フラットロールを用いていたところ、片方のロール表面が平滑なロールと、他方のロール表面にダイヤ柄(一辺が0.5mmの菱形が1.0mm間隔で千鳥配置されたもの)の彫刻が施されたロールとの組み合わせからなる、熱エンボスロール(表1では「エンボス」と表記した)に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布を得た。結果など表1に示す。
得られたスパンボンド不織布の目付は52g/cm、平均繊維径は8.2μmであり、不織布の一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率が1.2、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率が1.2、厚さ方向中央から上下それぞれ20%の領域Bに含まれる繊維の扁平率が1.2であった。
Figure 2023144365000002
実施例1~4のスパンボンド不織布は、繊維の繊維断面の長軸の長さa、短軸の長さbとしたとき、前記スパンボンド不織布の厚さ方向の断面における一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率a/bと、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率a/bとが、ともに1.5以上4.0以下であり、前記領域Aおよび前記領域Cの間となる領域Bに含まれる繊維の扁平率a/bが1.0以上1.5未満であり、保水率60%以上と高い保液性を示しつつ、フィルタ性能においても20%以上であった。
一方、比較例1のスパンボンド不織布は領域A、領域B、領域Cに含まれる繊維の扁平率が全て小さく、細孔径が大きいものであったため、フィルタ性能に劣るものであった。また、比較例2のスパンボンド不織布は領域A、領域B、領域Cに含まれる繊維の扁平率が全て大きく、不織布内の空隙が少ないため、保液性能に劣るものであった。そして、比較例3のスパンボンド不織布は、熱エンボスロールを用いて熱接着しており、領域A、領域B、領域Cに含まれる繊維の扁平率が全て小さくなり、細孔径が大きくなった、フィルタ性能に劣るものであった。
1:繊維の断面
2:繊維の断面の外接円
3:繊維断面の長軸の長さa
4:繊維断面の短軸の長さb
5:スパンボンド不織布
6:領域A
7:領域B
8:領域C
11:サンプルホルダー
12:ダスト収納箱
13:流量計
14:流量調整バルブ
15:ブロワ
16:パーティクルカウンター
17:切替コック
18:圧力計
M:測定サンプル

Claims (3)

  1. ポリオレフィン系樹脂からなる繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維の繊維断面の長軸の長さa、短軸の長さbとしたとき、前記スパンボンド不織布の厚さ方向の断面における一方の表面から30%の領域Aに含まれる繊維の扁平率a/bと、他方の表面から30%の領域Cに含まれる繊維の扁平率a/bとが、ともに1.5以上4.0以下であり、前記領域Aおよび前記領域Cの間となる領域Bに含まれる繊維の扁平率a/bが1.0以上1.5未満である、スパンボンド不織布。
  2. 前記スパンボンド不織布の平均細孔径が1μm以上20μm以下であり、かつ、前記スパンボンド不織布の最大細孔径が1μm以上30μm以下である、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
  3. 前記繊維の平均単繊維直径が1μm以上20μm以下である、請求項1または2に記載のスパンボンド不織布。
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