JP2023142944A - 溶接継手 - Google Patents

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洋介 中嶋
Yosuke Nakajima
真人 二階堂
Masato Nikaido
圭一 佐藤
Keiichi Sato
信孝 清水
Nobutaka Shimizu
博巳 平山
Hiromi Hirayama
浩資 伊藤
Hiroshi Ito
隼 吉本
Hayato Yoshimoto
勇治 鶴
Yuji Tsuru
大吾 石井
Daigo Ishii
雅史 仁田脇
Masafumi Nitawaki
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Abstract

【課題】柱継手のような閉鎖断面部材に形成される溶接継手へのアンダーマッチ溶接継手の適用。【解決手段】閉鎖断面部材同士の間に形成される溶接継手であって、上記溶接継手は上記閉鎖断面部材の断面全周にわたって形成され、上記溶接継手を構成する溶接金属の引張強さが、母材の引張強さの52%以上93%未満である溶接継手が提供される。また、閉鎖断面部材同士の間に形成される溶接継手であって、上記溶接継手は上記閉鎖断面部材の断面全周にわたって形成され、上記閉鎖断面部材の内部にコンクリートが充填され、上記溶接継手を構成する溶接金属の引張強さが、母材の引張強さの42%以上93%未満である溶接継手が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、溶接継手に関する。
近年の建築構造物の超高層化、大スパン化に伴い、超高層建築物の主要柱で超高強度鋼が採用される事例が増えている。しかしながら、超高強度鋼の場合、溶接部で母材と同等以上の強度(オーバーマッチ)を確保するため、高価な溶接材料を用いることが必須である。また、溶接割れ防止のために高い予熱温度の管理が求められるため、普及が進んでいない。そこで、予熱作業の緩和を目的に、母材に対して低強度の溶接(アンダーマッチ溶接)材料を適用する検討が進められている。例えば、特許文献1には、鋼材同士の溶接継手をアンダーマッチ溶接にした場合に、開先角度、ルートギャップおよび余盛り高さが所定の条件を満たすことによって、溶接金属部で破壊が生じることを防止できる溶接継手が記載されている。
特開2015-091599号公報
しかしながら、上記のようなアンダーマッチ溶接継手の検討は、まだ限られた部位を対象にして行われているのみであり、さまざまな部位の中でどの部位にアンダーマッチ溶接継手が適用できるか、また適用にあたってどのような条件を設定すればよいかは、必ずしも十分に検討されていない。例えば、工事現場で溶接される柱継手は最も予熱作業の緩和が期待される部位であるが、柱継手へのアンダーマッチ溶接継手の適用については、これまで十分に検討されていない。
そこで、本発明は、柱継手のような閉鎖断面部材に形成される溶接継手へのアンダーマッチ溶接継手の適用を可能にする、新規かつ改良された溶接継手を提供することを目的とする。
[1]閉鎖断面部材同士の間に形成される溶接継手であって、上記溶接継手は上記閉鎖断面部材の断面全周にわたって形成され、上記溶接継手を構成する溶接金属の引張強さが、母材の引張強さの52%以上93%未満である溶接継手。
[2]閉鎖断面部材同士の間に形成される溶接継手であって、上記溶接継手は上記閉鎖断面部材の断面全周にわたって形成され、上記閉鎖断面部材の内部にコンクリートが充填され、上記溶接継手を構成する溶接金属の引張強さが、母材の引張強さの42%以上93%未満である溶接継手。
[3]開先角度θが、上記母材の引張強さの規格値Fおよび上記溶接金属の降伏せん断力τとの間で式(i)の関係を満たす、[1]または[2]に記載の溶接継手。
Figure 2023142944000002

[4]前記溶接金属部で破壊が生じることを防止できる軟質度aSrが、開先角度α(°)、ルートギャップg(mm)、余盛り高さe(mm)、0以上であって式(iii)の関係を満たすβ’及びαの値のうち小さい方の値βとの間で式(ii)の関係を満たし、
前記溶接金属の降伏せん断力τが、前記母材の引張強さの実勢値bσu、前記軟質度aSrおよび溶接材料の降伏比Y.Rとの間で式(iv)の関係を満たす、請求項3に記載の溶接継手。
Figure 2023142944000003

[5]溶接組立箱形断面柱または鋼管柱を軸方向に接合する柱継手である、[1]から[4]のいずれか1項に記載の溶接継手。
[6]開先面の開先角度が異なる2つ以上の部分によって構成され、上記2つ以上の部分では開先ルート部に最も近い部分の開先角度が最も大きく、上記開先ルート部から離れた部分になるにつれて開先角度が小さくなる、[1]から[5]のいずれか1項に記載の溶接継手。
[7]溶接金属の表層および止端部が母材の面に対して凹状になるように滑らかに削り込まれている、[1]から[6]のいずれか1項に記載の溶接継手。
[8]開先面から突出するノッチが形成される、[1]から[7]のいずれか1項に記載の溶接継手。
[9]開先面にバタリング溶接が形成される、[1]から[8]のいずれか1項に記載の溶接継手。
上記の構成によれば、溶接継手を閉鎖断面部材の断面全周にわたって形成することによって、板材軸方向と平行の板縁が、異なる面の板によって拘束されて幅方向に収縮されないため、平継手よりも大きな母材の塑性拘束効果を受けることが考えられるため、溶接継手を軟質度(母材の引張強さに対する溶接金属の引張強さの割合)が93%未満のアンダーマッチ溶接継手を用いても部材耐力を確保することができる。例えば柱継手のような閉鎖断面部材の溶接継手をアンダーマッチ溶接継手にすることによって、オーバーマッチ継手に比べて溶接材料の費用を抑えることができるのに加えて、高い予熱温度の管理が必要なくなり、施工性が向上する。
本発明の一実施形態に係る溶接継手の適用部位を示す図である。 溶接部の面内せん断応力について説明するための図である。 本発明の実施形態に係る溶接継手の効果を検証する実験における試験体の形状を示す図である。 実験におけるNo.1試験体のモーメント-部材角の関係を示すグラフである。 実験におけるNo.2試験体のモーメント-部材角の関係を示すグラフである。 実験におけるNo.3試験体のモーメント-部材角の関係を示すグラフである。 閉鎖断面による塑性拘束効果について実施した有限要素法(FEM)解析のモデルを示す図である。 溶接組立箱形断面柱の解析結果における軟質度と曲げモーメントとの関係を示すグラフである。 CFT柱の解析結果における軟質度と曲げモーメントの関係を示すグラフである。 解析例3における相当塑性ひずみを示すコンター図である。 解析例8における相当塑性ひずみを示すコンター図である。 溶接部の第1の構成例を示す図である。 溶接部の第2の構成例を示す図である。 溶接部の第3の構成例を示す図である。 溶接部の第4の構成例を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る溶接継手の適用部位を示す図である。図示された例において、溶接組立箱形断面柱1およびH形鋼梁2を含む柱梁架構には、溶接組立箱形断面柱1の角継手3、H形鋼梁2のフランジを溶接組立箱形断面柱1に接合する柱梁継手4、および溶接組立箱形断面柱1の柱継手5の3種類の溶接継手が含まれる。柱継手5は、溶接組立箱形断面柱1が軸方向に接合される継手であり、例えばH形鋼梁2が接合される部分とそれ以外の部分との間に形成される。拡大図に示されるように、柱継手5は、溶接組立箱形断面柱1を構成する鋼板51,52の間に開先を形成し、裏当て金54を配置して溶接金属53を充填することによって形成される。柱継手5は、一般的には工事現場で溶接される。以下では、この柱継手5にアンダーマッチ溶接継手を適用した例について説明する。ここで、アンダーマッチ溶接継手は、溶接金属53の引張強さが母材(鋼板51,52)の引張強さよりも小さい溶接継手を意味する。
なお、柱継手5の他に、角継手3および柱梁継手4のいずれか、または両方をアンダーマッチ溶接継手にすることも可能である。角継手3および柱梁継手4については柱継手5とは条件が異なるため、アンダーマッチ溶接継手を適用する場合の条件は柱継手とは異なりうる。一般的に、角継手3は工場で溶接され、柱梁継手4は工場もしくは工事現場で溶接される。
柱継手5にアンダーマッチ溶接継手を適用する場合、以下の課題がある。まず、柱継手5は溶接組立箱形断面柱1の周方向全周にわたって形成されるため、直応力を受ける部位である。そこにアンダーマッチ溶接継手を適用すると、地震時に材料強度の低い溶接金属53が先に塑性化し破断するため、部材耐力が必要耐力を満たさない可能性がある。次に、柱継手5にアンダーマッチ溶接継手を適用すると、母材である鋼板51、52と溶接金属53との溶接接合線FLをはさんで材質が不連続になるため、図2に示すように地震時の応力方向に対して角度をもって形成される溶接融合線FLに沿って過大な面内せん断力τが作用する可能性がある。この面内せん断力τによって不連続面に沿ってひずみが集中し、早期に脆性破断が発生する可能性がある。
上記の課題のうち、部材耐力については、溶接組立箱形断面柱1が閉鎖断面部材であることから、柱継手5を断面全周にわたって連続して形成することによって、板材軸方向と平行の板縁が、異なる面の板によって拘束されて幅方向に収縮されないため、平継手よりも大きな母材の塑性拘束効果が期待できる。また、図1の例に示されるように溶接組立箱形断面柱1の内部にコンクリート11を充填してCFT(Concrete-Filled Tube)柱とすることによって、断面内側に向かって収縮しようとする柱継手5の溶接金属53を拘束し、部材耐力をさらに向上させることができる。
また、面内せん断力τによる早期の脆性破断については、図2に示すように適切な開先角度θを設定することによって、溶接金属53の応力が母材(鋼板51,52)の引張強さの規格値に達する前に早期の脆性破断が生じないようにすることができる。具体的には、溶接融合線FLに沿う面内せん断力τと溶接融合線FLに対して垂直な方向の応力σとの合応力Tは母材(鋼板51,52)に作用する引張力Pに等しいため、母材の断面積Aと開先角度θとを用いて面内せん断力τおよび応力σは以下の式(1),(2)のように表せる。
Figure 2023142944000004
ここで、母材(鋼板51,52)に作用する引張力Pが引張強さの規格値Fに到達したとき、式(2)においてP/A=Fになる。このときの面内せん断力τが、溶接金属53の降伏せん断力τ以下であれば、面内せん断力τによる早期の脆性破断を防止することができる。この条件は、以下の式(3)で表される。より具体的には、特開2015-091599号公報で提案されている式(4)は、開先角度α(°)、ルートギャップg(mm)、余盛り高さe(mm)、0以上であって式(5)を満たすβ’及びαの値のうち小さい方の値βが所定の条件を満たすことによって、溶接金属部で破壊が生じることを防止できる軟質度aSrを算定することができる。軟質度は42%以上aSr以下、溶接材料の降伏比はY.Rの場合に、母材の引張強さの実勢値σおよび前記溶接金属の降伏せん断力τとの間で式(6)の関係を満たす開先角度θを算出してもよい。また、例えば780N/mm鋼材に対して590N/mm鋼材用の溶接材料を用いる場合には、τ/Fが0.35~0.45程度となるため、開先角度θは25°~35°程度が望ましい。
Figure 2023142944000005
上記のように柱継手5を構成することによって、柱継手5にアンダーマッチ溶接継手を適用しても柱の部材耐力を確保することができる。ここで、「低強度溶接金属をもつ溶接継手の静的引張強度に関する研究」豊田政男,大阪大学博士論文,1973年や、「軟質溶接継手の力学的挙動と強度に関する研究」日本溶接学会鉄鋼部会SJ委員会総合報告書,1975年では、板状の母材間の溶接部について、板厚に対する板幅が5倍以上であり、溶接材料の引張強さの母材の引張強さに対する割合(以下、軟質度Srともいう)が93%以上であれば、継手の耐力が母材の引張強さ以上になることが記載されている。これに対して、本実施形態では、柱継手5における母材(鋼板51,52)と溶接金属53との間で軟質度Srが93%未満であっても、柱の部材耐力を確保することができる。具体的には、柱継手5における軟質度Srは、溶接組立箱形断面柱1の内部にコンクリート11が充填されない場合は52%以上、溶接組立箱形断面柱1の内部にコンクリート11が充填される場合は42%以上の範囲で設定することが可能である。
(実験結果)
次に、上記のような本発明の実施形態に係る溶接継手の効果を検証する実験の結果について説明する。柱スキンプレートに780N/mm級鋼を用いた超高強度CFT柱の柱継手にアンダーマッチ溶接継手を適用した実験を実施した。実験の条件について、図3および表1を参照して説明する。図3には、試験体の形状が示されている。No.1~No.3試験体では試験体中央から200mmずつ離れた2つの位置P,Pで柱の全周にわたって柱継手を形成した。柱継手の開先形状は、開先角度35°、ルートギャップ7mmである。No.1~No.3試験体の間では、柱継手の溶接材料が異なる。柱継手について、No.1試験体では軟質度Sr=101.4%、No.2試験体では軟質度Sr=81.1%、No.3試験体では軟質度Sr=71.8%である。従って、No.2試験体およびNo.3試験体が本発明の実施形態に係る溶接継手、すなわち柱継手に軟質溶接継手を適用した例である。
Figure 2023142944000006
実験は、3点曲げ試験法によって実施した。図3において矢印Q,Qとして示されるように、試験体中央部の載荷点を載荷板で挟み込み、材軸直交方向の繰り返し載荷を加えた。端部の支点は水平移動が自由なピンローラー支承とした。載荷は柱部材変位角Rにより制御した。すべての試験体について、載荷は漸増正負交番繰返し載荷として、弾性範囲での予備載荷(R=1/800で2サイクル)後、R=1/400を基準として0.25%ずつ漸増(各2サイクル)、R=1/100以降は0.5%ずつ漸増し、R=1/25まで載荷を行った。その後、試験体が破断するまでR=1/12.5での一定振幅載荷とした。
図4は、No.1試験体のモーメントM-部材角Rの関係を示すグラフである。部材角Rは、左右の柱部材角の平均値である。No.1試験体では、R=1/12.5での載荷の17サイクル目負側の載荷途中で柱継手に脆性破断が発生して実験を終了したが、最大耐力は「建築構造用高強度780N/mm鋼材(H-SA700)利用技術指針」日本鉄鋼連盟、第二版、2021年3月で規定されるCFT部材の終局曲げ耐力を上回った。なお、CFT部材の終局曲げ耐力は、実勢値を用いて算定している。
図5は、No.2試験体のモーメントM-部材角Rの関係を示すグラフである。部材角Rは、左右の柱部材角の平均値である。No.2試験体では、R=1/12.5での載荷の6サイクル目正側の載荷途中で柱継手に脆性破断が発生して実験を終了したが、最大耐力は「建築構造用高強度780N/mm鋼材(H-SA700)利用技術指針」日本鉄鋼連盟,第二版,2021年3月で規定されるCFT部材の終局曲げ耐力を上回り、またNo.1試験体と同等であった。なお、CFT部材の終局曲げ耐力は、実勢値を用いて算定している。
図6は、No.3試験体のモーメントM-部材角Rの関係を示すグラフである。部材角Rは、左右の柱部材角の平均値である。No.3試験体では、R=1/12.5での載荷の1サイクル目正側の載荷途中で脆性破断が発生して実験を終了したが、こちらも最大耐力は「建築構造用高強度780N/mm鋼材(H-SA700)利用技術指針」日本鉄鋼連盟,第二版,2021年3月で規定されるCFT部材の終局曲げ耐力を上回り、またNo.1試験体と同等であった。なお、CFT部材の終局曲げ耐力は、実勢値を用いて算定している。
以上の実験の結果によって、CFT柱の柱継手が例えば軟質度Sr=81.1%や軟質度Sr=71.8%のアンダーマッチ溶接継手であっても、継手を全周に形成することによって柱の部材耐力を確保できることが示された。また、アンダーマッチ溶接継手であっても、オーバーマッチ溶接継手と同等のモーメントM-部材角Rを確保できることが示された。
(FEM解析結果)
図7は、閉鎖断面による塑性拘束効果について実施した有限要素法(FEM)解析のモデルを示す図である。本発明の実施形態の効果を検証するために、図7に示されるような柱継手のモデルで構造解析を実施した。柱断面寸法は、柱せい250mm、板厚が22mm、幅厚比≒11であり、780N/mm級鋼材(引張強さ901N/mm)、設計基準強度150N/mm級(圧縮応力度166N/mm以上)で形成される。柱継手の溶接材料については、軟質度が0.33~1.01の真応力-真ひずみ関係を用いており、表2に示す解析例1~11でそれぞれ異なる。充填コンクリートの圧縮応力度は、表2に示す値を用いており、解析例1~5は、充填コンクリートなしの溶接組立箱形断面柱とし、解析例6~11は、CFT柱とした。開先形状は、開先角度35°の傾斜面で、ルートギャップの大きさは7mmである。
Figure 2023142944000007
解析モデルは図7に示すようにX方向(部材の板幅方向)について対称性を考慮した1/2モデルとし、モデル化の要素には6面体1次要素を用いた。解析変数は柱継手溶接材料、充填コンリートの有無である。載荷方法は、部材端部(自由端)にY方向(負)の強制変位dを与える単調載荷とした。載荷点位置は、X、Z方向については変位を拘束されており、載荷点位置反対側の端部(固定端)は、X、Y、Zの各方向について変位を拘束されている。また、対称面の変位はX方向について拘束されている。柱スキンプレートおよび溶接材料の降伏条件としてはフォンミーゼスの降伏条件を採用し、コンクリートの降伏曲面としては、ドラッガープラガー則を採用している。解析には汎用非線形構造解析プログラム「MARC2021」を用いた。
図8は、溶接組立箱形断面柱の解析結果における軟質度と曲げモーメントとの関係を示すグラフである。なお、縦軸に、General Yield法を用いて算定される初期剛性を1/2倍した線とモーメント―部材角関係が交わる点の接線剛性と初期剛性が交わる点の曲げモーメント(Mp_g)を全塑性モーメント(M)で除した値を示し、横軸に軟質度Srを示す。グラフに示されるように、溶接組立箱形断面柱の材端で生じる曲げモーメントは、軟質度Srが0.52程度で全塑性モーメントと同等になることがわかる(Mp_g/M=1)。
図9は、CFT柱の解析結果における軟質度と曲げモーメントの関係を示すグラフである。なお、縦軸に、最大耐力時の曲げモーメントもしくは解析最終ステップの曲げモーメント(Mmax)を「建築構造用高強度780N/mm鋼材(H-SA700)利用技術指針」日本鉄鋼連盟、第二版、2021年3月で規定されるCFT部材の終局曲げ耐力(M)で無次元化した値を示し、横軸に軟質度Srを示す。グラフに示されるように、CFT柱の材端で生じる曲げモーメントは、軟質度Srが0.42程度で終局曲げモーメントと同等になることがわかる(Mmax/M=1)。
図10は、解析例3における部材角1/20rad時の相当塑性ひずみを示すコンター図である。図11は、解析例8における部材角1/20rad時の相当塑性ひずみを示すコンター図である。部材角1/20rad時は、解析例3において「建築構造用高強度780N/mm鋼材(H-SA700)利用技術指針」日本鉄鋼連盟、第二版、2021年3月で規定されるCFT部材の終局曲げ耐力(M)を満たし、解析例8において全塑性モーメントを満たしている。図10、図11に示されるように、溶接組立箱形断面柱の解析例3に比べて、溶接組立箱形断面柱の内部にコンクリートを充填してCFT(Concrete-Filled Tube)柱とした解析例8では、断面内側に向かって収縮しようとする柱継手の変形を拘束し、柱スキンプレートが塑性化することにより部材耐力をさらに向上させることができる。
以上で説明したように、本発明の一実施形態によれば、アンダーマッチ溶接継手である柱継手を柱の断面全周にわたって連続して形成することによって、塑性拘束効果によって部材耐力を確保することができる。また、適切な開先角度を設定することによって、溶接部の面内せん断力による早期の脆性破断を防止できる。
なお、本発明の実施形態は、上記で説明したような溶接組立箱形断面柱に限らず、冷間成型角形鋼管柱や鋼管杭などの任意の閉鎖断面部材同士の間に形成される溶接継手に適用することができる。
(溶接部の構成例)
ここからは、上述した本発明の実施形態で適用可能な溶接部の構成について説明する。なお、これらの構成は、本発明の実施形態、つまり閉鎖断面部材の全周に軟質溶接継手を形成する場合に限らず適用可能である。また、上記で説明した実験や解析では以下の溶接部の構成は採用されておらず、本発明の実施形態は以下の溶接部の構成がなくても実施可能である。
図12は、溶接部の第1の構成例を示す図である。この例では、開先面55が開先角度θが異なる2つの部分55A,55Bによって構成される。開先面55は、角度が異なる3つ以上の部分によって構成されてもよい。この場合、開先ルート部に最も近い部分(図示された例では部分55A)の開先角度θが最も大きく、ルート部から離れた部分(図示された例では部分55B)になるにつれて開先角度θが小さくなる。これによって、開先幅を確保しつつ一部で開先角度を小さくし、溶接後に開先面55に沿って現れる溶接融合線に沿って発生する面内せん断力を低減することができる。
図13は、溶接部の第2の構成例を示す図である。この例では、溶接後の溶接金属53の表層および止端部が母材(鋼板51,52)の面に対して凹状になるように滑らかに削り込まれている。これによって、溶接金属53の表層および止端部に形成される可能性があるノッチを除去することができる。ノッチは、き裂の発生の起点になるため、上記のような加工によってき裂が発生しにくくなり、早期の脆性破断を防止することができる。
図14は、溶接部の第3の構成例を示す図である。この例では、開先面55から突出するノッチ56が形成される。これによって、母材と溶接金属との境界の滑りを抑制することができるため、溶接後に開先面55に沿って現れる溶接融合線に沿って発生する面内せん断力を低減することができる。
図15は、溶接部の第4の構成例を示す図である。この例では、開先面にバタリング溶接57が形成される。これによって、開先面に凹凸形状が形成され、母材と溶接金属との境界の滑りを抑制することができるため、溶接後に開先面に沿って現れる溶接融合線に沿って発生する面内せん断力を低減することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1…溶接組立箱形断面柱、2…H形鋼梁、3…角継手、4…柱梁継手、5…柱継手、11…コンクリート、51,52…鋼板、53…溶接金属、54…裏当て金、55…開先面、56…ノッチ、57…バタリング溶接。

Claims (9)

  1. 閉鎖断面部材同士の間に形成される溶接継手であって、
    前記溶接継手は前記閉鎖断面部材の断面全周にわたって形成され、
    前記溶接継手を構成する溶接金属の引張強さが、母材の引張強さの52%以上93%未満である溶接継手。
  2. 閉鎖断面部材同士の間に形成される溶接継手であって、
    前記溶接継手は前記閉鎖断面部材の断面全周にわたって形成され、
    前記閉鎖断面部材の内部にコンクリートが充填され、
    前記溶接継手を構成する溶接金属の引張強さが、母材の引張強さの42%以上93%未満である溶接継手。
  3. 開先角度θが、前記母材の引張強さの規格値Fおよび前記溶接金属の降伏せん断力τとの間で式(i)の関係を満たす、請求項1または請求項2に記載の溶接継手。
    Figure 2023142944000008
  4. 前記溶接金属部で破壊が生じることを防止できる軟質度aSrが、開先角度α(°)、ルートギャップg(mm)、余盛り高さe(mm)、0以上であって式(iii)の関係を満たすβ’及びαの値のうち小さい方の値βとの間で式(ii)の関係を満たし、
    前記溶接金属の降伏せん断力τが、前記母材の引張強さの実勢値σ、前記軟質度aSrおよび溶接材料の降伏比Y.Rとの間で式(iv)の関係を満たす、請求項3に記載の溶接継手。
    Figure 2023142944000009
  5. 溶接組立箱形断面柱または鋼管柱を軸方向に接合する柱継手である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の溶接継手。
  6. 開先面の開先角度が異なる2つ以上の部分によって構成され、
    前記2つ以上の部分では開先ルート部に最も近い部分の開先角度が最も大きく、前記開先ルート部から離れた部分になるにつれて開先角度が小さくなる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の溶接継手。
  7. 溶接金属の表層および止端部が母材の面に対して凹状になるように滑らかに削り込まれている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の溶接継手。
  8. 開先面から突出するノッチが形成される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の溶接継手。
  9. 開先面にバタリング溶接が形成される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の溶接継手。
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