JP7356109B2 - 角形鋼管の変形性能の評価方法 - Google Patents
角形鋼管の変形性能の評価方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7356109B2 JP7356109B2 JP2020076870A JP2020076870A JP7356109B2 JP 7356109 B2 JP7356109 B2 JP 7356109B2 JP 2020076870 A JP2020076870 A JP 2020076870A JP 2020076870 A JP2020076870 A JP 2020076870A JP 7356109 B2 JP7356109 B2 JP 7356109B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cross
- steel pipe
- model
- sectional
- full
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)
Description
試験体中央部に通しダイアフラムを配した角形鋼管に正負の交番繰り返し載荷する3点曲げ試験において、前記角形鋼管と前記通しダイアフラムの溶接接合部の変形性能を実大断面の試験体に代わって評価する方法であって、
前記実大断面の試験体のせん断スパン比との比率が下記式(1)を満たすように、前記実大断面の試験体から、前記実大断面の対角上に位置する2つの角部を評価部分として切り出して、鋼管となるように接合した小型断面モデルの試験体を用いて、前記角形鋼管と前記通しダイアフラムの溶接接合部の変形性能を評価する、角形鋼管の変形性能の評価方法である。
0.8≦実大断面の試験体のせん断スパン比/小型断面モデルの試験体のせん断スパン比≦1.2 ・・・(1)
せん断スパン比は、下記式(2)を用いて計算される。
せん断スパン比=L/B ・・・(2)
ここで、
L:鋼管長さ(mm)
B:鋼管断面における対角線長さ(mm)
前記小型断面モデルの試験体の載荷方法は、前記実大断面の試験体を用いた場合に角部溶接止端部に発生する相当塑性歪と同等になるように、交番繰り返し載荷の変位量を設定する、態様1に記載の角形鋼管の変形性能の評価方法である。
前記交番繰り返し載荷の変位量は、一様モデルおよび分割モデルの解析モデルを用いて導出される、載荷変位と角部溶接止端部の相当塑性歪の関係式から求められ、
前記分割モデルは、前記角形鋼管の平板部および角部の各々の0.2%耐力を用いる、態様2に記載の角形鋼管の変形性能の評価方法である。
前記関係式は、幅厚比D/tの関数である、態様3に記載の角形鋼管の変形性能の評価方法である。
ただし、
D:鋼管の辺長(mm)
t:鋼管の公称板厚(mm)
上述したように、高強度・厚肉材の実大断面における試験には設備の更新や大型の試験装置が必要である。そこで、本発明者らは、実大断面を有する鋼管(以下、「実大断面コラム」という場合がある。)から切り出された小型断面モデルの試験体(以下、単に「小型断面モデル」という場合がある。)を用いて、実大断面コラムの変形性状を評価する手法について鋭意研究した。しかし、断面の小型化により断面形状が大きく変わると、本来評価すべき実大断面コラムに対し対等な評価ができないと考えられる。
(2)最も応力が集中する角部溶接止端部の相当塑性歪に着目し、実大断面コラムと小型断面モデルとで同等の相当塑性歪が発生するような載荷プログラム(載荷履歴)を導出した。図2は、実大断面コラムと小型断面モデルとにおける、載荷変位と相当塑性歪との関係に、実大断面コラムの相当塑性歪に合わせこむように小型断面モデルの載荷変位を制御するイメージを記載した図である。図2に示すように、小型断面モデルにおいて、実大断面コラムで発生する相当塑性歪と同等となるような載荷プログラムを導出した。すなわち、実大断面コラムにおける載荷変位nδpのときの相当塑性歪に対応する小型断面モデルにおける載荷変位((n+n’)δp)を求めることができる載荷プログラムを導出した。そして、当該載荷プログラムを用いて曲げ試験を行うことにより、実大断面コラムと同等の溶接止端部の塑性変形挙動を小型断面モデルにて再現することができることが分かった。特に、本発明者らは、FEAより、載荷変位と角部溶接止端部の相当塑性歪との関係は、D/t(幅厚比)と大きく相関があることを初めて見出した。D(mm)は、鋼管の辺長である。t(mm)は、鋼管の公称板厚である。この関係をふまえ、実大断面コラムと小型断面モデルのD/t(幅厚比)の違いに着目し、載荷プログラムを導出した。
本発明の実施形態に係る変形性能の評価方法(以下、単に「本評価方法」という。)を説明する前に、本発明の実施形態でも用いられる3点曲げ試験方法を説明する。
図3は、3点曲げ試験機1の概略図である。図3の左図は、3点曲げ試験機1の正面図である。図3の右図は、3点曲げ試験機1の側面図である。本発明の実施形態では、実大断面コラムも小型断面モデルも図3に示すような3点曲げ試験機1を使用する。3点曲げ試験機1は、試験体2の中央部を固定し、ロードセル21を介して油圧ジャッキ22により両端(すなわち、ダイアフラム3とは反対側の鋼管の両端部)を載荷することにより、3点曲げ試験を実施する。
図4Aは、試験体2の概略図である。図4Bは、図4AのA-Aにおける断面図である。図5は、中央固定部のダイアフラム3の表面から一方側の端部4までの試験体2に対する載荷のイメージを示した模式図である。図4Aおよび図4Bに示すように、本実施形態では、試験体2は、角形鋼管であり、中央の柱梁接合部を通しダイアフラム形式としている。図4Bに示すように、試験体2は、断面が略正方形の管状で、角部はアールがつけられている。本発明においては、角部の曲率半径Rは、3.5×t(t:公称板厚)としている。また、中央固定部のダイアフラム3には大きな負荷がかかるため、変形しないよう補強材(リブ)5を設置している。図5に示すように、試験体2は、鋼管断面における上下対角線方向と平行方向に載荷される。そのため、当該対角線上にある鋼管の2つの角部であって、ダイアフラム3の表面との溶接止端部(図5の符号6で示した部位)には、最も応力が集中する。この部位を「角部溶接止端部」という。より詳細には、後述する図14Cに示すように、角部溶接止端部とは、鋼管母材の面と溶接ビードの表面とが交わる点であり、溶接の熱影響を大きく受ける部位である。
図6を参照して、日本鉄鋼連盟などで推奨されている標準的な載荷プログラム(載荷履歴)を説明する。図6は、標準的な載荷プログラム(載荷履歴)を示したグラフである。図6の横軸は、交番の繰り返し数を示している。図6の縦軸は、載荷変位を、後述する変位の基準値の倍数で示している。載荷プログラムは、鋼構造建物が受ける長周期地震動を想定して、図6に示すような漸増変位振幅による交番繰返し載荷を標準載荷プログラムとしている。本実施形態に係る3点曲げ試験では、ダイアフラム3を介して2つ鋼管が接合された試験体2の中央部を固定し、当該ダイアフラム3とは反対側の当該鋼管の端部で正負の交番繰り返し載荷する。
t:鋼管の公称板厚(mm)
tM:鋼管平板部の実測板厚(mm)
R:鋼管断面における角部の曲率半径(mm)
D:鋼管の辺長(鋼管断面において、各辺を延長することによって得られる正方形の一片の長さ)(mm)
L:鋼管長さ(ダイアフラムの表面から載荷端部までの長さ)(mm)
A:鋼管の断面積(mm2)
B:鋼管断面における対角線長さ(mm)
I:断面二次モーメント(mm4)
Z:断面係数
Zp:塑性断面係数(mm2)
Zp,p:角形鋼管平板部の塑性断面係数(mm2)
Zp,c:角形鋼管角部の塑性断面係数(mm2)
Mp:柱の全塑性モーメント(kN・m)
Mp,c:分割モデルにおける柱の全塑性モーメント(kN・m)
Q:荷重(kN)
Qc:分割モデルにおける荷重(kN)
δ:変位量(mm)
θ:回転角(mm)
δp:柱の全塑性モーメントMpに対応する変位量(mm)
δp,c:分割モデルにおける柱の全塑性モーメントMp,cに対応する変位量(mm)
θp:柱の全塑性モーメントMpに対応する弾性相対回転角(rad)
θp,c:分割モデルにおける柱の全塑性モーメントMp,cに対応する弾性相対回転角(rad)
σy平板部:角形鋼管平板部の0.2%耐力(N/mm2)
σy角部:角形鋼管角部の0.2%耐力(N/mm2)
εeq:角部溶接止端部の相当塑性歪
εeq,c:分割モデルにおける角部溶接止端部の相当塑性歪
E:ヤング率(N/mm2)
G:せん断弾性係数(N/mm2)
図8および図9を参照して、本発明の特徴的な小型断面モデル7について説明する。図8は、小型断面モデル7の断面模式図である。図9は、小型断面モデル7の作製イメージを示した模式図である。図8に示すように、小型断面モデル7は、評価角部8’と溶接金属9とを含む。図9に示すように、小型断面モデル7は、実大断面コラム10において最も応力の集中する角部溶接止端部6を含む2つの評価角部8(図9左図の上下の角部)のみを切り出して、これらの端部11を加工した後に(評価角部8’)、これらが溶接された鋼管とされている。溶接は、手溶接とした。2つの評価角部8の一方は、他方と同一の形状であり、2つの評価角部8の一方の加工された端部11が、他方の加工された端部11と溶接される。以上により、断面形状が実大断面コラム10と大きく変わらない。そのため、実大断面コラム10と同様の試験設備や計測要領にて対等な評価が可能となる。図9に示すように、実大断面コラムの辺長Dは、小型断面モデルの辺長D’に変調される。また、実大断面コラムの対角線長さBは、小型断面モデルの対角線長さB’に変調される。なお、図9では、端部11が加工された2つの評価角部8は、評価角部8’として示されている。また、上記端部11の加工は、溶接時にV開先となるように加工することが好ましい。
0.8≦実大断面コラムのせん断スパン比/小型断面モデルのせん断スパン比≦1.2 ・・・(1)
せん断スパン比=L(鋼管の中央固定部から端部までの鋼管長さ)/B(鋼管断面における対角線長さ) ・・・(2)
図10を参照して、本評価方法を説明する。図10は、本評価方法を示すフローチャートである。本評価方法では、まず実大断面コラム10のサイズを確認する(ステップS1)。続いて、ステップS1で決定した実大断面コラム10のサイズに対応する小型断面モデル7の試験体サイズを決定する(ステップS2)。続いて、ステップS2で決定した試験体サイズに基づいて、小型断面モデル7を作製する(ステップS3)。続いて、鋼管平板部の板厚、並びに平板部及び角部の0.2%耐力を測定する(ステップS4)。続いて、ステップS4で測定した鋼管板厚及び0.2%耐力等を用いて、FEAにより導出された後述する関係式3(関係式3’)を用いて載荷プログラムを策定する(ステップS5)。続いて、ステップS5で策定した載荷プログラムを用いて3点曲げ試験を実施し、角形鋼管柱の変形性能を評価する(ステップS6)。以下に、各ステップの詳細を説明する。
まず、評価対象となる実大断面コラム10のサイズを、試験目的に応じて決定する。試験目的とは、例えば試験機荷重の制約の上限側で評価する、評価可能な最大鋼管長さで評価する、等である。図11に実大断面コラム10の各種パラメータとして、辺長D、対角線長さBおよび板厚tを示す。
上述したように、小型断面モデル7の試験体サイズは、ステップS1で決定した実大断面コラム10のサイズから算出されるせん断スパン比と、小型断面モデル7のせん断スパン比と、が同等となるように決定する。
ステップS2で決定した試験体サイズに基づいて、小型断面モデル7を作製する。作製方法は、実大断面コラム10と小型断面モデル7の作製に用いる鋼板は、同チャージ(すなわち、出鋼成分が同じ)、且つ同一圧延鋼板から採取することを前提とする。そして、小型断面モデル7は、以下のように作製することが好ましい。すなわち、実大断面の鋼管柱を製罐し、中央固定部のダイアフラムとロボット溶接する。続いて、鋼管長手方向に切断し、2つの評価角部8を切り出す。当該切断は、熱影響による変形を小さくするため、鋸切断加工が好ましい。続いて、上述したように、2つの評価角部の端部11を加工した後に、これらを溶接して小型断面モデル7を作製する(以下、このような工法を「第1工法」と呼ぶ)。第1工法をとることで、小型断面モデル7でも柱-ダイアフラム溶接部の実施工(ロボット溶接)を再現した評価が可能となる。第1工法とは異なり、例えば鋼管柱から小型断面を有する試験体を作製してから、該試験体をダイアフラムに溶接しようとした場合(以下、このような工法を「第2工法」と呼ぶ)、小型断面に対応した適切なロボット溶接プログラムが現状存在しない。第2工法は、実施工(ロボット溶接)と異なる溶接方法となる。そのため、第1工法は、第2工法より好ましい。
鋼管平板部の板厚を測定する。鋼管平板部の引張試験の際に自動測寸機にて検出される板厚を実測板厚tMとした。また、JISZ 2241(2011)に基づいて、鋼管平板部の0.2%耐力を測定する。試験片は、1A号試験片とする。また、JISZ 2241(2011)に基づいて、鋼管角部の0.2%耐力を測定する。いずれの0.2%耐力も、JISZ 2241による「耐力(オフセット法)」を用いて算出する。試験片は、鋼管角部外側のt/4位置より採取する4号試験片とする。以上測定された鋼管平板部の板厚tM、及び平板部・角部の0.2%耐力は、後述する載荷プログラムの策定時に用いられる。
FEAにより、小型断面モデル7における載荷プログラムを策定する。該載荷プログラムは、小型断面モデル7の角部溶接止端部6に負荷される相当塑性歪が、実大断面コラム10の角部溶接止端部6に負荷される相当塑性歪と同等になるように策定される。これにより、小型断面モデル7と実大断面コラム10とで対等な評価が可能となる。載荷プログラムの策定の詳細は、後述する。なお、相当塑性歪が「同等」とは、3%程度の誤差は許容される。
ステップS5で策定された載荷プログラムを用いて、小型断面モデル7について3点曲げ試験を実施する。図12は、小型断面モデル7を用いた場合の、図3AのA-Aに相当する位置における試験体2の概略断面図である。図12に示すように、実大断面モデルと同様に、中央固定部のダイアフラム3には大きな負荷がかかるため、変形しないよう補強材(リブ)12を設置している。3点曲げ試験は、従来の試験装置を用いて、上述した方法で実施する。これにより、高強度・厚肉材の実大断面コラム10を評価対象とする場合でも、小型断面モデルで代替し従来の試験装置を用いて変形性能を評価することができる。すなわち、小型断面モデルを用いて、実大断面の試験体を用いた場合と対等な評価をすることができる。
次に、図10のステップS5における載荷プログラムの策定方法について詳細に説明する。図13は、載荷プログラムの策定方法を示したフローチャートである。
Mp=Zp×σy平板部 ・・・(4)
ここで、Zpは、塑性断面係数である。
Mp,c=Zp,p×σy平板部+Zp,c×σy角部 ・・・(5)
ここで、Zp,pは平板部についての塑性断面係数、Zp,cは、角部についての塑性断面係数である。Zp,p+Zp,c=Zpとなる。
εeq=f(D/t)×(δ/δp-γ) ・・・関係式1
εeq,c=g(D/t)×(δ/δp,c)-α ・・・関係式2
εeq,c=g(D/t)×(δ/δp,c)-β ・・・関係式3
[1-1.解析モデル(図13のステップS51に対応)]
まず、載荷プログラムの導出に用いた解析モデルについて説明する。図14Aは、実大断面コラム10の解析モデルを示す図である。図14Bは、小型断面モデル7の解析モデルを示す図である。図14Cは、溶接止端部近傍の解析モデルを示す図である。解析モデルは、試験体の対称性を考慮し、中央の通しダイアフラム位置が固定端であると考え、図14A~図14Cに示すような片持ち柱の1/2モデルとし、ソリッド要素を用いた。図14Aおよび図14Bに示すように、解析モデルでは、片持ち柱先端で、矢印方向に荷重を加えている。図14Cに示すように、開先角度は35°、ルート間隔は7mm、余盛高さは10mmに設定した。
次に、載荷プログラムの導出について説明する。塑性変形挙動の支配因子として、角部溶接止端部の応力三軸度と相当塑性歪が考えられる。それぞれについて表1の解析モデルを用いて幅厚比D/tの影響をFEAにて調査した。図15は、各種幅厚比D/tにおける載荷変位と応力三軸度との関係を示したグラフである。図15に示すように、載荷変位-応力三軸度のグラフは、幅厚比D/tにあまり依存していないことが分かった。すなわち、応力三軸度についてはD/tによる影響が小さいことが分かった。一方、図16は、各種幅厚比D/tにおける載荷変位と相当塑性歪との関係を示したグラフである。図16に示すように、載荷変位-相当塑性歪のグラフは、幅厚比D/tに依存していることが分かった。すなわち、相当塑性歪については幅厚比D/tによる影響が大きいことが分かった。
まず、鋼管平板部の0.2%耐力σy平板部のみを用いて算出したδpに基づいて、図17に示すような載荷変位と溶接止端部の相当塑性歪との関係(すなわち、一様モデルにおける載荷変位と相当塑性歪との関係)をFEAから求める。図17に示すようなグラフを、表1の解析モデル番号A~Eについて、すなわち幅厚比D/tを変えたモデルについて作成したものが、上述の図16である。図16における各曲線の傾きf(D/t)と幅厚比D/tとの関係をまとめると、図18に示すようになる。図18のグラフの線形近似式を図18中に示した。該線形近似式は、図16における各曲線の傾きとD/tとの関係を示している。ここで、図16において、幅厚比D/tが変化しても、いずれの曲線のx切片も概ね0.5である。そのため、上記線形近似式と上記x切片とにより、下記の一様モデルにおける載荷変位-相当塑性歪の関係式1’が得られる。関係式1’は、上記関係式1に対応する。
次に、鋼管角部と平板部それぞれの0.2%耐力σyを用いて算出したδp,cをもとに載荷変位と溶接止端部の相当塑性歪との関係(すなわち、分割モデルにおける載荷変位と相当塑性歪との関係)をFEAから求めた。上述の一様モデルの場合と同様に、曲線の傾きg(D/t)とD/tとの関係から、分割モデルにおける載荷変位-相当塑性歪の関係式2’が得られる。関係式2’は、上記関係式2に対応する。ただし、一様モデルでは幅厚比D/tが変化してもx切片がほぼ固定されていたのに対し、分割モデルではδ/δp,c≦2の領域については直線近似からの乖離が大きくなった。そのため、δ/δp,c>2の範囲で直線近似し、一旦y切片を未知数αとして関係式2’を得た。
図19は、一様モデルにおける載荷変位と相当塑性歪との関係(関係式1’)と、分割モデルにおける載荷変位と相当塑性歪との関係(関係式2’)と、を合わせて示したグラフである。より詳細には、図19は、一様モデルで解析したときの所定の幅厚比D/tにおける載荷変位と相当塑性歪との関係(関係式1’)と、分割モデルで解析したときの所定の幅厚比D/tにおける載荷変位と相当塑性歪との関係(関係式2’)と、を合わせて示している。図19に示すように、関係式1’と関係式2’とは、δ/δp=2付近で交わることが分かる。そこで、εeq,c(δ/δp,C=2)=εeq(δ/δp=2)とすると、関係式2’の未知数αが求まり、下記の分割モデルにおける載荷変位-相当塑性歪の関係式3’が導かれる。関係式3’は、上記関係式3に対応する。関係式3’をδ/δp,cについて解くと、関係式4が得られる。すなわち、変位量δ/δp,cが幅厚比D/tの関数である関係式4が得られる。
予め決められている各載荷変位(4、6・・・)における実大断面コラムの相当塑性歪(εeq,c)を関係式3’より求めた。続いて、求めた各相当塑性歪(εeq,c)に対応する小型断面モデルの各載荷変位(δ/δp,c)を関係式4により求めた。なお、実大断面コラムの載荷変位2に対応する小型断面モデルの載荷変位は、関係式の適用外のため、実大断面コラムの載荷変位4、6および8に対応する小型断面モデルの各載荷変位(δ/δp,c)と、実大断面コラムの各載荷変位(δ/δp)との各々の比率の平均(すなわち、実大断面コラムの載荷変位4に対する小型断面モデルの載荷変位(δ/δp,c)の比率と、実大断面コラムの載荷変位6に対する小型断面モデルの載荷変位(δ/δp,c)の比率と、実大断面コラムの載荷変位8に対する小型断面モデルの載荷変位(δ/δp,c)の比率との平均)をとって、当該比率の平均値を、実大断面コラムの載荷変位2に乗ずることにより求めた。小型断面モデルの実験では、実大断面コラムの載荷変位4、6、8・・・に対応する小型断面モデルの各載荷変位についても、この当該比率の平均値を実大断面コラムの載荷変位に乗ずることにより決定し、これを載荷プログラムとした。このように策定された載荷プログラムを用いることにより、各載荷ステップにおいて、実大断面コラム10の溶接止端部と小型断面モデル7の溶接止端部とにおける相当塑性歪が同等になる。
次に、実大断面コラム及び小型断面モデルの実際の試験体を用いて、載荷プログラムを策定し、当該載荷プログラムを用いて3点曲げ試験を実施することにより、本評価方法を検証した。
2 試験体
3 ダイアフラム面
5、12 補強材
6 角部溶接止端部
7 小型断面モデル
8、8’ 評価角部
9 溶接金属
10 実大断面コラム
Claims (4)
- 試験体中央部に通しダイアフラムを配した角形鋼管に正負の交番繰り返し載荷する3点曲げ試験において、前記角形鋼管と前記通しダイアフラムの溶接接合部の変形性能を実大断面の試験体に代わって評価する方法であって、
前記実大断面の試験体のせん断スパン比との比率が下記式(1)を満たすように、前記実大断面の試験体から、前記実大断面の対角上に位置する2つの角部を評価部分として切り出して、鋼管となるように接合した小型断面モデルの試験体を用いて、前記角形鋼管と前記通しダイアフラムの溶接接合部の変形性能を評価する、角形鋼管の変形性能の評価方法。
0.8≦実大断面の試験体のせん断スパン比/小型断面モデルの試験体のせん断スパン比≦1.2 ・・・(1)
せん断スパン比は、下記式(2)を用いて計算される。
せん断スパン比=L/B ・・・(2)
ここで、
L:鋼管長さ(mm)
B:鋼管断面における対角線長さ(mm) - 前記小型断面モデルの試験体の載荷方法は、前記実大断面の試験体を用いた場合に角部溶接止端部に発生する相当塑性歪と同等になるように、交番繰り返し載荷の変位量を設定する、請求項1に記載の角形鋼管の変形性能の評価方法。
- 前記交番繰り返し載荷の変位量は、一様モデルおよび分割モデルの解析モデルを用いて導出される、載荷変位と角部溶接止端部の相当塑性歪の関係式から求められ、
前記分割モデルは、前記角形鋼管の平板部および角部の各々の0.2%耐力を用いる、請求項2に記載の角形鋼管の変形性能の評価方法。 - 前記関係式は、幅厚比D/tの関数である、請求項3に記載の角形鋼管の変形性能の評価方法。
ただし、
D:鋼管の辺長(mm)
t:鋼管の公称板厚(mm)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020076870A JP7356109B2 (ja) | 2020-04-23 | 2020-04-23 | 角形鋼管の変形性能の評価方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020076870A JP7356109B2 (ja) | 2020-04-23 | 2020-04-23 | 角形鋼管の変形性能の評価方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021173607A JP2021173607A (ja) | 2021-11-01 |
JP7356109B2 true JP7356109B2 (ja) | 2023-10-04 |
Family
ID=78278223
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020076870A Active JP7356109B2 (ja) | 2020-04-23 | 2020-04-23 | 角形鋼管の変形性能の評価方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7356109B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114659766B (zh) * | 2022-03-11 | 2023-08-29 | 长江精工钢结构(集团)股份有限公司 | 一种用于钢结构的多环境抗变形检测装置 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001041866A (ja) | 1999-07-28 | 2001-02-16 | Takenaka Komuten Co Ltd | 鋼管柱梁接合部の耐力推定方法 |
JP2011094406A (ja) | 2009-10-30 | 2011-05-12 | Kobe Steel Ltd | 外ダイアフラム形式の角形鋼管柱 |
JP2012117995A (ja) | 2010-12-03 | 2012-06-21 | Jfe Steel Corp | 冷間成形角形鋼管の変形状態評価方法 |
JP2014025862A (ja) | 2012-07-30 | 2014-02-06 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 構造物の強度試験装置および強度試験方法 |
-
2020
- 2020-04-23 JP JP2020076870A patent/JP7356109B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001041866A (ja) | 1999-07-28 | 2001-02-16 | Takenaka Komuten Co Ltd | 鋼管柱梁接合部の耐力推定方法 |
JP2011094406A (ja) | 2009-10-30 | 2011-05-12 | Kobe Steel Ltd | 外ダイアフラム形式の角形鋼管柱 |
JP2012117995A (ja) | 2010-12-03 | 2012-06-21 | Jfe Steel Corp | 冷間成形角形鋼管の変形状態評価方法 |
JP2014025862A (ja) | 2012-07-30 | 2014-02-06 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 構造物の強度試験装置および強度試験方法 |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
中野達也,部分断面モデルの断面設計と実大断面コラムへの変形性能の換算法 鉄骨造建築物の安全性向上に資する新自動溶接技術の開発 その8,日本建築学会大会学術梗概集(関東),2011年08月,1069-1070 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021173607A (ja) | 2021-11-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Nip et al. | Cyclic testing and numerical modelling of carbon steel and stainless steel tubular bracing members | |
Wang et al. | Experimental investigation and modeling of cyclic behavior of high strength steel | |
Cerik et al. | Simulation of ship collision and grounding damage using Hosford-Coulomb fracture model for shell elements | |
Yan et al. | Ductile fracture simulation of constructional steels based on yield-to-fracture stress–strain relationship and micromechanism-based fracture criterion | |
JP5644436B2 (ja) | 冷間成形角形鋼管の変形状態評価方法 | |
Ban et al. | Cyclic loading tests on welded connections of stainless-clad bimetallic steel and modelling | |
Kim et al. | Numerical simulation of Y-type perfobond rib shear connectors using finite element analysis | |
Sun et al. | Hysteretic behavior and simplified simulation method of high-strength steel end-plate connections under cyclic loading | |
Cui et al. | Dynamic behaviour of square tubular T-joints under impact loadings | |
Hai et al. | Experimental and numerical investigation on Q690 high strength steel beam-columns under cyclic lateral loading about weak axis | |
JP7356109B2 (ja) | 角形鋼管の変形性能の評価方法 | |
Yang et al. | Load bearing capacity of welded Q460GJ steel H-columns under eccentric compression | |
Zhao et al. | Shear capacity of H-shaped steel beam with randomly located pitting corrosion | |
Yang et al. | Experimental and numerical studies on cyclic behaviour of superior high-performance steel welded I-section beam-column | |
Cheng et al. | Hot spot stress and fatigue behavior of bird-beak SHS X-joints subjected to brace in-plane bending | |
Tran | Experimental and analytical studies on the seismic behavior of reinforced concrete columns with light transverse reinforcement | |
Liao et al. | Fracture analysis of high-strength steel beam-column connections with initial defects | |
Yang et al. | Seismic behaviour of stainless-clad bimetallic steel welded box-section beam-columns | |
CN106404534A (zh) | 基于变形模量的既有结构混凝土疲劳残余应变测试方法 | |
Main et al. | An experimental and computational study of precast concrete moment frames under a column removal scenario | |
JP7358798B2 (ja) | 解析方法、プログラム及びシステム | |
Vallejos | Characterization of large diameter reinforcement under large strain cyclic reversals | |
Azuma et al. | Prediction of brittle fracture from defects at groove face of complete joint penetration welded joints | |
Altai et al. | Effect of the post-peak behavior on collapse of structural systems | |
Jia et al. | Ductile cracking simulation procedure for welded joints under monotonic tension |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20221205 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230831 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230905 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230913 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7356109 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |