JP2023142888A - 半導体用接着フィルム、ダイシングダイボンディングフィルム、及び、半導体装置を製造する方法 - Google Patents

半導体用接着フィルム、ダイシングダイボンディングフィルム、及び、半導体装置を製造する方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023142888000001
【課題】本開示の一側面は、高温で高い引張破断強度を示す硬化物を形成する半導体用接着フィルムに関する。
【解決手段】半導体チップを、基板上に搭載された他の半導体チップを埋め込みながら基板に接着するため、又は、半導体チップを、他の半導体チップに接続されたワイヤの一部又は全体を埋め込みながら他の半導体チップに接着するために用いられる、接着フィルム10が開示される。接着フィルム10が、熱硬化性成分、エラストマー、及び無機フィラーを含有する。エラストマーの含有量が、接着フィルム10の質量を基準として10~30質量%である。無機フィラーの含有量が、接着フィルム10の質量を基準として40~50質量%である。
【選択図】図4

Description

本開示は半導体用接着フィルム、ダイシングダイボンディングフィルム、及び、これらを用いて半導体装置を製造する方法に関する。
半導体チップを基板に接着するための接着フィルムにより、他の半導体チップに接続されたワイヤを埋め込むことが必要とされることがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2007-053240号公報
本開示の一側面は、高温で高い引張破断強度を示す硬化物を形成する半導体用接着フィルムに関する。
本開示の一側面は、半導体チップを、基板上に搭載された他の半導体チップを埋め込みながら前記基板に接着するため、又は、半導体チップを、他の半導体チップに接続されたワイヤの一部又は全体を埋め込みながら前記他の半導体チップに接着するために用いられる、接着フィルムに関する。言い換えると、本開示の一側面は、接着フィルムの、半導体チップを、基板上に搭載された他の半導体チップを埋め込みながら前記基板に接着するため、又は、半導体チップを、他の半導体チップに接続されたワイヤの一部又は全体を埋め込みながら前記他の半導体チップに接着するための応用又は使用に関する。当該接着フィルムが、熱硬化性成分、エラストマー、及び無機フィラーを含有する。前記エラストマーの含有量が、当該接着フィルムの質量を基準として10~30質量%である。前記無機フィラーの含有量が、当該接着フィルムの質量を基準として40~50質量%である。
半導体チップを、他の半導体チップを埋め込みながら基板に接着するために用いられる接着フィルムは、FOD(Film Over Die)用接着フィルムと称されることがある埋込型の接着フィルムである。半導体チップを、他の半導体チップに接続されたワイヤの一部又は全体を埋め込みながら他の半導体チップに接着するために用いられる接着フィルムは、FOW(Film Over Wire)用接着フィルムと称されることがある埋込型の接着フィルムである。
本開示の別の一側面は、第一の半導体チップが搭載された基板に、上記接着フィルムにより第二の半導体チップを接着することを含む、半導体装置を製造する方法に関する。前記第一の半導体チップが、前記接着フィルムによって埋め込まれる。
本開示の更に別の一側面は、第一の半導体チップに、上記接着フィルムにより第二の半導体チップを接着することを含む、半導体装置を製造する方法に関する。前記第一の半導体チップが、前記接着フィルムによって埋め込まれる。
100℃を超える高温で高い引張破断強度を示す硬化物を形成する半導体用接着フィルムが提供される。この接着フィルムを例えばFOWフィルム又はFODフィルムとして用いることにより、ワイヤ及び/又は半導体チップの埋め込みにともなう信頼性の低下を抑制し、熱衝撃に対する高い耐性を有する半導体装置を製造することができる。FOWフィルム又はFODフィルムを用いて製造される半導体装置は、反り、又は接着フィルムのクラックの影響等の影響により信頼性の低下を生じ易いが、本開示の一側面に係る接着フィルムを用いることで信頼性の低下が効果的に抑制され得る。埋込性に優れる接着フィルムを用いることにより、埋め込み不足に起因する反りの発生が抑制され得る。
接着フィルムの一例を示す模式断面図である。 接着フィルムを有する積層シートの一例を示す模式断面図である。 接着フィルムを有する積層シートの一例を示す模式断面図である。 半導体装置の一例を示す模式断面図である。 半導体装置を製造する方法の一例を示す工程図である。 半導体装置を製造する方法の一例を示す工程図である。 半導体装置を製造する方法の一例を示す工程図である。 半導体装置を製造する方法の一例を示す工程図である。 半導体装置を製造する方法の一例を示す工程図である。 半導体装置の別の一例を示す模式断面図である。 半導体装置の別の一例を示す模式断面図である。
本発明は以下の例に限定されるものではない。以下の例において、その構成要素(ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。以下に例示される数値及びその範囲も、本開示を制限するものではない。
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリル共重合体等の他の類似表現についても同様である。
図1は、接着フィルムの一例を示す模式断面図である。図1に示される接着フィルム10は、熱硬化性成分、エラストマー、及び無機フィラーを含有する熱硬化性接着剤から形成されたフィルムであることができる。接着フィルム10は、半硬化(Bステージ)状態であってもよい。
(a)熱硬化性成分
熱硬化性成分は、熱硬化反応によって架橋構造を形成する官能基を有する化合物である(a1)熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性成分が、熱硬化性樹脂と反応する(a2)硬化剤を更に含んでもよい。熱硬化性樹脂は、接着性の観点から、エポキシ基を有する化合物であるエポキシ樹脂を含んでもよい。その場合、硬化剤が、フェノール性水酸基を有する化合物であるフェノール樹脂を含んでもよい。
熱硬化性成分の含有量(熱硬化性樹脂と硬化剤の合計の含有量)が、接着フィルム10の質量を基準として20~45質量%であってもよい。熱硬化性成分の含有量が、接着フィルム10の質量を基準として、21質量%以上、22質量%以上、23質量%以上、24質量%以上、25質量%以上、26質量%以上、27質量%以上、又は28質量%以上であってもよく、44質量%以下、43質量%以下、42質量%以下、41質量%以下、40質量%以下、39質量%以下、38質量%以下、37質量%以下、36質量%以下、又は35質量%以下であってもよい。
エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェノールフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及び、多官能フェノール化合物若しくは多環芳香族化合物(アントラセン等)から誘導されるジグリシジルエーテル化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。接着フィルムのタック性、及び柔軟性などの観点から、エポキシ樹脂がクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はこれらの組み合わせであってもよい。
熱硬化性樹脂は、25℃で液体である液状エポキシ樹脂を含んでもよい。液状エポキシ樹脂の含有量が、接着フィルム10の質量を基準として5~15質量%であってもよい。熱硬化性樹脂は、30℃未満の軟化点を示すエポキシ樹脂を含んでもよい。これらのエポキシ樹脂を含む接着フィルムは良好な柔軟性を有し易く、また、接着フィルムによる半導体チップ及びワイヤの埋込性がより向上する。熱硬化性樹脂は、50℃以上の軟化点を示すエポキシ樹脂を含んでもよい。
硬化剤として用いられるフェノール樹脂の例としては、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール及び/又はα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトールとホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化ナフタレンジオール、フェノールノボラック、フェノール等のフェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノール樹脂が、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂又はこれらの組み合わせであってもよい。
フェノール樹脂の水酸基当量は、70g/eq以上、又は70~300g/eqであってもよい。フェノール樹脂の水酸基当量が70g/eq以上であると、接着フィルムの貯蔵弾性率がより増大する傾向がある。フェノール樹脂の水酸基当量が300g/eq以下であると、発泡、及びアウトガスの発生がより抑制され得る。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含み、硬化剤がフェノール樹脂を含む場合、エポキシ樹脂のエポキシ当量とフェノール樹脂の水酸基当量との比(エポキシ当量:水酸基当量)は、硬化性の観点から、0.30/0.70~0.70/0.30、0.35/0.65~0.65/0.35、0.40/0.60~0.60/0.40、又は0.45/0.55~0.55/0.45であってもよい。当該当量比が0.30/0.70以上であると、より充分な硬化性が得られる傾向にある。当該当量比が0.70/0.30以下であると、粘度が高くなり過ぎることを防ぐことができ、より充分な流動性を得ることができる。
硬化剤の軟化点は、50~200℃、又は60~150℃であってもよい。200℃以下の軟化点を有する硬化剤は、熱硬化性樹脂と良好な相溶性を有し易い。
(b)エラストマー
エラストマーは、例えば55℃以下のガラス転移温度(Tg)を示す高分子化合物であることができる。(b)成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル樹脂及びこれらの変性体が挙げられる。
エラストマーの含有量が、接着フィルム10の質量を基準として10~30質量%であってもよい。エラストマーの含有量が、接着フィルム10の質量を基準として11質量%以上、12質量%以上、13質量%以上、14質量%以上、15質量%以上、16質量%以上、17質量%以上、18質量%以上、19質量%以上、20質量%以上、又は21質量%以上であってもよく、29質量%以下、28質量%以下、27質量%以下、26質量%以下、25質量%以下、又は24質量%以下であってもよい。接着フィルムが2種以上のエラストマーを含む場合、それらの合計量がエラストマーの含有量である。
流動性の観点から、エラストマーがアクリル樹脂を含んでいてもよい。ここで、アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単位を含むポリマーを意味する。アクリル樹脂における(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量は、アクリル樹脂の全体量を基準として、例えば、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってもよい。アクリル樹脂は、エポキシ基、アルコール性又はフェノール性の水酸基、及びカルボキシル基等の架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単位を含んでいてもよい。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルとアクリロニトリルとを単量体単位として含む共重合体であるアクリルゴムであってもよい。
エラストマー(例えばアクリル樹脂)のガラス転移温度(Tg)は、-50℃以上、-30℃以上、0℃以上、又は3℃以上であってもよく、50℃以下、45℃以下、40℃以下、35℃以下、30℃以下、又は25℃以下であってもよい。エラストマーのTgが低いと、接着フィルムが良好な柔軟性を有し易い傾向がある。良好な柔軟性を有する接着フィルムは、ボイドを十分に排除しながら半導体ウエハに貼り付けられ易く、また、密着性の低下によるダイシング時のチッピングも抑制され得る。ガラス転移温度(Tg)は、DSC(熱示差走査熱量計)(例えば、株式会社リガク製「Thermo Plus 2」)を用いて測定される値を意味する。エラストマーのTgは、エラストマーを構成する構成単位(アクリル樹脂の場合、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位)の種類及び含有量を調整することによって、所望の範囲に調整することができる。
エラストマー(例えばアクリル樹脂)の重量平均分子量(Mw)は、10万以上、20万以上、又は30万以上であってよく、300万以下、200万以下、又は100万以下であってもよい。エラストマーのMwがこのような範囲にあると、フィルム形成性、及び、接着フィルムにおける強度、可撓性、タック性等を適切に制御することができると共に、リフロー性に優れ、埋込性を向上することができる。Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算された値を意味する。
アクリル樹脂の市販品の例としては、SG-70L、SG-708-6、WS-023 EK30、SG-280 EK23、HTR-860P-3CSP、HTR-860P-3CSP-30B(いずれもナガセケムテックス株式会社製)、及び、H-CT-865(昭和電工マテリアルズ株式会社製)が挙げられる。
(c)無機フィラー
無機フィラーは、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミウィスカ、窒化ホウ素、及びシリカから選ばれる少なくとも1種であってもよい。溶融粘度の調整の観点から、無機フィラーがシリカを含んでもよい。
無機フィラーの平均粒径は、流動性の観点から、0.01μm以上、又は0.03μm以上であってもよく、1.5μm以下、1.0μm以下、0.8μm以下、0.08μm以下、又は0.06μm以下であってもよい。平均粒径の異なる2種以上の無機フィラーを組み合わせてもよい。ここで、平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって求められる粒度分布における積算頻度50%の粒径を意味する。なお、無機フィラーの平均粒径は、無機フィラーが含有される接着フィルムを用いることによっても求めることができる。この場合、接着フィルムを加熱して樹脂成分を分解することによって得られる残渣を溶媒に分散して分散液を作製し、これにレーザー回折・散乱法を適用して得られる粒度分布から、無機フィラーの平均粒径を求めることができる。
接着フィルムは、以下の条件を全て満たす(c1)第一の無機フィラー及び(c2)第二の無機フィラーを含んでもよい。接着フィルムが(c1)成分及び(c2)成分を含有することにより、埋込性を向上させることができ、さらには、硬化後において、破断強度を向上させることができる。
・(c1)成分の平均粒径は、300~1000nmである。
・(c2)成分の平均粒径は、(c1)成分の平均粒径に対して、0.05~0.70倍である。
・(c1)成分及び(c2)成分の合計の含有量は、接着フィルム全量を基準として、30~60質量%である。
(c1)成分の平均粒径は、300~1000nmであり、350nm以上、400nm以上、又は450nm以上であってもよく、900nm以下、800nm以下、700nm以下、又は600nm以下であってもよい。
(c2)成分の平均粒径は、300nm未満であってよく、250nm以下、220nm以下、又は200nm以下であってもよい。(C2)成分の平均粒径は、例えば、10nm以上、50nm以上、又は100nm以上であってもよい。
本明細書において、(c1)成分及び(c2)成分に関するこれらの平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算頻度50%の粒径を意味する。なお、(c1)成分及び(c2)成分の平均粒径は、(c1)成分及び(c2)成分が含有される接着フィルムを用いることによっても求めることができる。この場合、接着フィルムを加熱して樹脂成分を分解することによって得られる残渣を溶媒に分散して分散液を作製し、これにレーザー回折・散乱法を適用して得られる粒度分布から、300~1000nmの範囲にあるピークの数値を(c1)成分の平均粒径とすることができ、300nm未満の範囲にあるピークの数値を(c2)成分の平均粒径とすることができる。
(c2)成分の平均粒径は、(c1)成分の平均粒径に対して、0.05~0.70倍である。(c2)成分の平均粒径は、(c1)成分の平均粒径に対して、0.10倍以上、0.20倍以上、又は0.30倍以上であってもよく、0.60倍以下、0.50倍以下、又は0.40倍以下であってもよい。
(c1)成分の含有量は、接着フィルム全量を基準として、5~40質量%であってよく、6質量%以上、8質量%以上、又は10質量%以上であってもよく、35質量%以下、32質量%以下、又は30質量%以下であってもよい。
(c2)成分の含有量は、接着フィルム全量を基準として、10~50質量%であってよく、15質量%以上、18質量%以上、又は20質量%以上であってもよく、45質量%以下、42質量%以下、又は40質量%以下であってもよい。
(c1)成分及び(c2)成分の合計の含有量は、接着フィルム全量を基準として、30~60質量%であり、35質量%以上、40質量%以上、又は45質量%以上であってもよく、55質量%以下、52質量%以下、又は50質量%以下であってもよい。
(c1)成分の含有量は、(c1)成分及び(c2)成分の合計の含有量を基準として、10~70質量%であってよく、15質量%以上、18質量%以上、又は20質量%以上であってもよく、65質量%以下、62質量%以下、又は60質量%以下であってもよい。
(c2)成分の含有量は、(c1)成分及び(c2)成分の合計の含有量を基準として、30~90質量%であってよく、35質量%以上、38質量%以上、又は40質量%以上であってもよく、85質量%以下、82質量%以下、又は80質量%以下であってもよい。
無機フィラーの含有量は、接着フィルム10全体の質量を基準として、40~50質量%であってもよい。無機フィラーの含有量は、接着フィルム10全体の質量を基準として、41質量%以上、又は42質量%以上であってもよく、49質量%以下であってもよい。
(d)カップリング剤
接着フィルム10は、カップリング剤を更に含んでもよい。カップリング剤は、シランカップリング剤であってもよい。シランカップリング剤の例としては、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、及び3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(e)硬化促進剤
接着フィルム10は、熱硬化性成分の硬化反応を促進する硬化促進剤を更に含んでもよい。硬化促進剤の例としては、イミダゾール及びその誘導体、有機リン系化合物、第二級アミン、第三級アミン、及び第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。反応性の観点から硬化促進剤がイミダゾール又はその誘導体であってもよい。イミダゾールの誘導体の例としては、2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、及び1-シアノエチル-2-メチルイミダゾールが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
接着フィルム10は、必要により、その他の成分をさらに含有していてもよい。その他の成分の例としては、顔料、イオン補捉剤、及び酸化防止剤が挙げられる。
接着フィルム10の厚さは、例えば、1μm以上、3μm以上、20μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、50μm以上、又は60μm以上であってもよく、200μm以下、150μm以下、120μm以下、80μm以下、又は60μm以下であってもよい。接着フィルム10がFOW用接着フィルムである場合、ワイヤが半導体チップに接触しないようにワイヤを埋め込むために、例えば20~120μm、30~80μm、又は50~60μmであってもよい。接着フィルム10がFOD用接着フィルムである場合、半導体チップ(例えば、コントローラチップ)の全体を適切に埋め込むために、例えば接着フィルム10の厚さが40~200μm、60~150μm又は100~120μmであってもよい。
接着フィルム10は、60~150℃の範囲において2000Pa・s以上の最低溶融粘度を有してもよい。最低溶融粘度が20000Pa・s以上であると、接着フィルムの半導体チップ端部からのはみ出し(ブリード)が効果的に抑制され得る。接着フィルム10は、60~150℃の範囲において200000Pa・s以下の最低溶融粘度を有してもよい。ここでの最低溶融粘度は、後述の実施例における条件で測定されるずり粘度の、60~150℃の範囲における最低値である。
接着フィルム10は、60℃において35000Pa・s以下のずり粘度を有してもよい。60℃におけるずり粘度が、35000Pa・s以下であると、接着フィルムの埋込性がより向上する傾向がある。同様の観点から、接着フィルム10の60℃におけるずり粘度が、34000Pa・s以下、33000Pa・s以下、32000Pa・s以下、31000Pa・s以下、又は30000Pa・s以下であってもよい。10000Pa・s以上であってもよい。ここでのずり粘度は、後述の実施例における条件で測定される値である。
加熱により硬化した接着フィルム10が、125℃において7MPa以上の引張破断強度を示してもよい。硬化後に125℃において高い引張破断強度を示す接着フィルムは、熱衝撃に対する高い耐性を有する半導体装置を与えることができる。硬化した接着フィルム10の125℃における引張破断強度は、100MPa以下であってもよい。ここでの引張弾性率は、110℃で1時間、及びそれに続く175℃で5時間の加熱により硬化した接着フィルム10である試験片を用いて測定される値であることができる。
硬化した接着フィルム10の150℃における貯蔵弾性率は、1000MPa以下、500MPa以下、又は300MPa以下であってもよく、10MPa以上、15MPa以上、又は20MPa以上であってもよい。接着フィルム10の硬化後の150℃における貯蔵弾性率が1000MPa以下であると、チップ、ワイヤ、又は半導体基板を充分に埋め込むとともに、反りを抑制できる傾向にある。接着フィルムの硬化後の150℃における貯蔵弾性率が10MPa以上であると、圧着時に半導体チップの端からのはみ出しを抑制できる傾向にある。
接着フィルム10を、例えば、フリップチップ型半導体装置の半導体素子の裏面を保護する保護シート、又は、フリップチップ型半導体装置の半導体素子の表面と被着体との間を封止するための封止シートとして用いてもよい。
接着フィルム10は、図2又は図3に例示される積層シートの形態で供給されてもよい。図2に示される積層シート100は、基材20と基材20上に設けられた接着フィルム10とを備える。図3に示される積層シート110は、接着フィルム10の基材20とは反対側の面上に設けられた保護フィルム30を更に備える。
基材20は、樹脂フィルムであってもよく、その例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、又はポリイミドのフィルムが挙げられる。基材20としての樹脂フィルムの厚さは、例えば、60~200μm又は70~170μmであってもよい。
基材20は、ダイシングフィルムであってもよい。基材20がダイシングフィルムである積層シートは、ダイシングダイボンディングフィルムとして使用することができる。ダイシングダイボンディングフィルムはテープ状であってもよい。
ダイシングフィルムの例としては、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、及びポリイミドフィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。ダイシングフィルムは、必要に応じて、プライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、又はエッチング処理によって表面処理された樹脂フィルムであってもよい。ダイシングフィルムは、粘着性を有していてもよい。粘着性を有するダイシングフィルムは、例えば、粘着性が付与された樹脂フィルム、又は、樹脂フィルム及びその片面上に設けられた粘着層を有する積層体であってもよい。粘着層は、感圧型又は紫外線硬化型の粘着剤から形成することができる。感圧型粘着剤は、短時間の加圧で一定の粘着性を示す粘着剤である。放射線硬化型粘着剤は、放射線(例えば、紫外線)の照射によって、粘着性が低下する性質を有する粘着剤である。粘着層の厚さは、半導体装置の形状、寸法に応じて適宜設定できるが、例えば、1~100μm、5~70μm、又は10~40μmであってもよい。ダイシングフィルムである基材20の厚さが、経済性及びフィルムの取扱い性の観点から、60~150μm又は70~130μmであってもよい。
保護フィルム30は、基材20と同様の樹脂フィルムであってもよい。保護フィルム30の厚さは、例えば、15~200μm又は70~170μmであってもよい。
半導体装置及びその製造方法
図4は、接着フィルムを用いて製造される半導体装置の一例を示す模式断面図である。半導体装置200は、主として、基板14と、基板14に搭載された第一の半導体チップWa及び第二の半導体チップWaaと、第二の半導体チップWaaを封止する封止層42と、第二の半導体チップWaaを基板14に接着する接着フィルム10とから構成される。基板14は、有機基板90と、有機基板90上に設けられた回路パターン84、94とを有する。第一の半導体チップWaは接着剤41によって基板14に接着されている。第一の半導体チップWaに第一のワイヤ88が接続されており、第一の半導体チップWaは第一のワイヤ88を介して回路パターン84に電気的に接続されている。第一の半導体チップWaの全体、及び第一のワイヤ88の全体が、接着フィルム10に埋め込まれている。第二の半導体チップWaaに第二のワイヤ98が接続されており、第二の半導体チップWaaは第二のワイヤ98を介して回路パターン84に電気的に接続されている。第二の半導体チップWaaの全体、及び第二のワイヤ98の全体が封止層42に埋め込まれている。
図5、図6、図7、図8及び図9は、図4の半導体装置200を製造する方法の一例を示す工程図である。図5~9に示される方法は、基板14に第一の半導体チップWaを、接着剤41を介して接着することと、第一の半導体チップWaと基板14(回路パターン84)とを接続する第一のワイヤ88を設けることと、第二の半導体チップWbb、及びこれに付着した接着フィルム10を有する接着剤付チップを準備することと、接着剤付チップを基板14に圧着し、それにより、第一の半導体チップWa及び第一のワイヤ88が接着フィルム10によって埋め込まれるように第二の半導体チップWaaを基板14に接着することと、第二の半導体チップWaaと基板14(回路パターン84)とを接続する第二のワイヤ98を設けることとを含む。その後、封止層44を形成することにより、図4に示される半導体装置200が得られる。
第一の半導体チップWaの厚さは、10~170μmであってもよい。第一の半導体チップWaは、半導体装置200を駆動するためのコントローラチップであってもよい。第一の半導体チップWaがフリップチップ型のチップであってもよい。第一の半導体チップWaのサイズは、通常、第二の半導体チップWaaのサイズ以下である。第一の半導体チップWaと基板14との間に介在する接着剤41は、通常の半導体用接着剤であることができる。
第二の半導体チップWaa及び接着フィルム10からなる接着剤付チップは、例えば、図2に例示される積層シート100と同様の構成を有するダイシングダイボンディングフィルムを用いて準備することができる。この場合、例えば、半導体ウエハの片面に、積層シート100(ダイシングダイボンディングフィルム)が、その接着フィルム10が半導体ウエハに接する向きで貼り付けられる。接着フィルム10が貼り付けられる面は、半導体ウエハの回路面であってもよく、その反対側の裏面であってもよい。積層シート100(ダイシングダイボンディングフィルム)が貼り付けられた半導体ウエハをダイシングにより分割することにより、個片化された第二の半導体チップWaaが形成される。ダイシングの例としては、回転刃を用いるブレードダイシング、及び、レーザーによって半導体ウエハとともに接着フィルム10を切断する方法が挙げられる。ダイシングの後、紫外線照射により、ダイシングフィルムの粘着力を低下させてもよい。第二の半導体チップWaaは、分割された接着フィルム10とともにピックアップされる。
第二の半導体チップWaaは、幅20mm以下のサイズを有していてもよい。第二の半導体チップWaaの幅(又は一辺の長さ)が、3~15mm、又は5~10mmであってもよい。
第二の半導体チップWaaを形成するために用いられる半導体ウエハは、例えば、10~100μmの厚さを有する薄型半導体ウエハであってもよい。半導体ウエハは、単結晶シリコンの他、多結晶シリコン、各種セラミック、ガリウム砒素等の化合物半導体のウエハであってもよい。第二の半導体チップWaaも同様の半導体ウエハから形成されたものであることができる。
図7に示されるとおり、接着フィルム10及び第二の半導体チップWaaからなる接着剤付チップが、接着フィルム10によって第一のワイヤ88及び第一の半導体チップWaが覆われるように載置される。次いで、図8に示されるように、第二の半導体チップWaaを基板14に圧着させることで基板14に対して第二の半導体チップWaaが固定される。圧着のための加熱温度は、50~200℃、又は100~150℃であってもよい。圧着のための加熱温度が高いと接着フィルム3が柔らかくなるため埋込性がより向上する傾向にある。圧着時間は、0.5~20秒、又は1~5秒であってもよい。圧着のための圧力は、0.01~5MPa、又は0.02~2MPaであってもよい。
圧着の後、接着フィルム10を含む構造体を更に加熱し、それにより接着フィルム10を硬化させてもよい。そのための温度及び時間は、接着フィルム10の硬化温度等により適宜設定することができる。温度は段階的に変化させてもよい。加熱温度は、例えば40~300℃又は60~200℃であってもよい。加熱時間は、例えば30~300分であってもよい。
図9に示されるとおり、基板14と第二の半導体チップWaaとが第二のワイヤ98を介して電気的に接続される。第二のワイヤ98は、例えば、金線、アルミニウム線、又は銅線であってもよい。第二のワイヤ98の接続のための加熱温度は、80~250℃又は80~220℃の範囲内であってもよい。第二のワイヤ98の接続のための加熱時間は数秒~数分間であってもよい。第二のワイヤ98の接続のために、超音波による振動エネルギーと印加加圧とによる圧着エネルギーが付与されてもよい。第一のワイヤ88の種類及び接続方法も、第二のワイヤ98と同様であることができる。
その後、回路パターン84、第二のワイヤ98及び第二の半導体チップWaaを封止する封止層42が封止材により形成される。封止層42は、例えば金型を用いた通常の方法により形成することができる。封止層42が形成された後、加熱により接着フィルム10及び封止層42を更に熱硬化してもよい。そのための加熱温度は例えば165~185℃であってもよく、加熱時間は0.5~8時間程度であってもよい。
図10は、接着フィルムを用いて製造される半導体装置の別の一例を示す模式断面図である。図10に示される半導体装置201は、主として、基板14と、基板14に搭載された第一の半導体チップWa及び第二の半導体チップWaaと、第一の半導体チップWa及び第二の半導体チップWaaを封止する封止層42と、第二の半導体チップWaaを第一の半導体チップWaに接着する接着フィルム10とから構成される。基板14は、有機基板90と、有機基板90上に設けられた回路パターン84と、有機基板90の回路パターン84とは反対側の面上に設けられた接続端子95とを有する。第一の半導体チップWaは接着剤41によって基板14に接着されている。第一の半導体チップWaに第一のワイヤ88が接続されており、第一の半導体チップWaは第一のワイヤ88を介して回路パターン84に電気的に接続されている。第一のワイヤ88の一部が、接着フィルム10に埋め込まれている。第二の半導体チップWaaに第二のワイヤ98が接続されており、第二の半導体チップWaaは第二のワイヤ98を介して回路パターン84に電気的に接続されている。
図10に示される半導体装置201は、第一の半導体チップWaに接着フィルム10により第二の半導体チップWaaを接着することを含む、半導体装置200の製造方法と同様の方法によって製造することができる。
図11は、接着フィルムを用いて製造される半導体装置の別の一例を示す模式断面図である。図11に示される半導体装置202は、主として、基板14(有機基板90)と、基板14に搭載された第一の半導体チップWa及び第二の半導体チップWaaと、第一の半導体チップWa及び第二の半導体チップWaaを封止する封止層42と、第二の半導体チップWaaを、第一の半導体チップWaの全体を埋め込みながら基板14に接着する接着フィルム10とから構成される。第一の半導体チップWaはフリップチップ型のチップであり、複数の電極96を介して基板14と電気的に接続されている。第一の半導体チップWaと基板14との間にアンダーフィル50が充填されている。
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.接着フィルムの作製
(1)原材料
以下の原材料を準備した。
(a1)熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)
・N-500P-10(商品名、DIC株式会社製、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:204g/eq、軟化点:75~85℃)
・EXA-830CRP(商品名、DIC株式会社製、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:159g/eq)
・EXA-4816(商品名、DIC株式会社製、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:400g/eq)
・jER YX-7110B80(商品名、三菱ケミカル株式会社製、液状エポキシ樹脂、エポキシ当量:900~1200g/eq)
(a2)硬化剤(フェノール樹脂)
・MEH-7800M(商品名、明和化学株式会社製、フェニルアラルキル型フェノール樹脂、水酸基当量:174g/eq、軟化点:80℃)
・PSM-4326(商品名、群栄化学株式会社製、フェノールノボラック樹脂、水酸基当量:105g/eq)
(b)エラストマー
・アクリル樹脂A(HTR-860P-3CSP(商品名、ナガセケムテックス株式会社製、重量平均分子量:80万、Tg:12℃)
・アクリル樹脂B(ブチルアクリレート/エチルアクリレート/エチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート/スチレンの共重合体、重量平均分子量:40万、Tg:5℃)
(c)無機フィラー
・無機フィラーA(SC2050-HLG(商品名)、アドマテックス株式会社製、シリカフィラー分散液、平均粒径:0.50μm)
・無機フィラーB(シリカフィラー分散液、平均粒径:0.18μm)
(d)カップリング剤
・A-189(商品名、GE東芝シリコーン株式会社製、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)
(e)硬化促進剤
・2PZ-CN(商品名、四国化成工業株式会社製、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール)
(2)接着剤ワニス
(a1)熱硬化性樹脂、(a2)硬化剤、(b)エラストマー、(c)無機フィラー、(d)シランカップリング剤及び(e)硬化促進剤を表1又は表2に示す配合比(質量部)で含む、実施例又は比較例の接着剤ワニスを調製した。表に示される無機フィラーの配合比は、固形分(シリカフィラー)の量である。まず(a1)熱硬化性樹脂、(a2)硬化剤、(c)無機フィラー、及び、シクロヘキサノンを含む混合物を撹拌した。そこに(a)エラストマーを加え、混合物を撹拌した。その後、(d)カップリング剤及び(e)硬化促進剤を加え、各成分が均一になるまで混合物を撹拌して、実施例1~8及び比較例1~3の接着剤ワニスを得た。各接着剤ワニスを100メッシュのフィルターでろ過し、真空脱泡した。
(3)接着フィルム
支持フィルムとして、厚さ38μmの離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを準備した。支持材フィルム上に各接着剤ワニスを塗布した。塗膜を90℃で5分間、続いて140℃で5分間の2段階で加熱により乾燥して、Bステージ状態の接着フィルム(厚さ60μm)を支持フィルム上に形成した。
2.評価
(1)接着フィルムのずり粘度及び最低溶融粘度
複数枚の接着フィルムを80℃で貼り合わせ、1±0.05mmの厚さを有する積層体を形成した。積層体から直径9mmの円形の表面を有する測定サンプルを打ち抜いた。測定サンプルを直径8mmの円形アルミプレート冶具上に取り付けた。測定サンプルのずり粘度をARES(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用い、以下の条件で測定した。測定結果から、60℃でのずり粘度、及び、60~150℃の範囲内でのずり粘度の最低値(最低溶融粘度)を読み取った。
測定条件
・測定温度:35~160℃
・昇温速度:5℃/分
・歪み:5%
・周波数:4.4Hz
・初期荷重:10g
(2)硬化した接着フィルムの引張破断強度
接着フィルムを80℃で貼り合わせ、約120μmの厚さを有する積層体を形成した。積層体から、ダンベル状の試験片を切り出し、これを110℃で1時間、続いて175℃で5時間の加熱により硬化させた。硬化した試験片を用いて、以下の条件で引張試験を行った。試験片が破断した時点の応力から引張破断強度を求めた。
測定条件
治具間距離:80mm
測定温度:125℃
引張速度:300mm/分
(3)耐TCT性
評価用半導体装置の作製
評価用半導体装置を、以下の手順で作製した。
接着フィルム及びダイシング用粘着フィルムを備えるダイシングダイボンディングフィルム(接着フィルムの厚さ:10μm、ダイシング用粘着フィルムの厚さ:110μm、昭和電工マテリアルズ株式会社製)を準備した。このダイシングダイボンディングフィルムに、40μm厚の半導体ウエハを、接着層が半導体ウエハに接する向きで、ステージ温度70℃で貼り付けた。ダイシングダイボンディングフィルムに貼り付けられた半導体ウエハを、フルオートダイサーDFD-6361(株式会社ディスコ製)を用いて切断し、2mm×5mmのサイズを有するチップ(第一の半導体チップ)を形成した。第一の半導体チップ及びこれに付着した接着層をダイボンダDB830Plus+(ファスフォードテクノロジ株式会社製)を用いてピックアップし、第一の半導体チップを、ダミー回路を有するガラスエポキシ基板(有機基板)に、接着層を介して圧着した。第一の半導体チップが圧着される位置は、ダミー回路の中央に調整された。
実施例又は比較例の各接着フィルム(厚さ60μm)を貼り合せて、厚さ120μmの接着フィルムを形成した。これをダイシング用粘着フィルム(厚さ110μm、昭和電工マテリアルズ株式会社製)と貼り合せて、ダイシングダイボンディングフィルムを作製した。このダイシングダイボンディングフィルムを半導体ウエハ(厚さ:180μm)に貼り付けた。ダイシングダイボンディングフィルムに貼り付けられた半導体ウエハを接着フィルムとともに切断して、8mm×8mmのサイズを有するチップ(第二の半導体チップ)を形成した。第二の半導体チップ及びこれに付着した接着フィルムをピックアップし、第二の半導体チップを、第一の半導体チップを覆うように、有機基板上に接着フィルムを介して圧着した。第二の半導体チップの下部の中央に第一の半導体チップが位置するように、第二の半導体チップの位置が調整された。続いて、接着フィルム(厚さ20μm)とダイシング用粘着フィルム(厚さ110μm、昭和電工マテリアルズ株式会社製)と貼り合せて、ダイシングダイボンディングフィルムを作製した。このダイシングダイボンディングフィルムを半導体ウエハ(厚さ:110μm)に貼り付けた。ダイシングダイボンディングフィルムに貼り付けられた半導体ウエハを接着フィルムとともに切断して、8mm×8mmのサイズを有するチップ(第三の半導体チップから第六の半導体チップ)を形成した。第三の半導体チップから第六の半導体チップ及びこれに付着した接着フィルムをピックアップし、第三の半導体チップから第六の半導体チップを、第三の半導体チップからの順番に、第二の半導体チップの上部に圧着し、第一半導体チップ、第二半導体チップ及び第三の半導体チップから第六の半導体チップを積層した積層体を形成した。形成された積層体を、コンプレッションモールディング装置(PMC1040-S、TOWA株式会社製)を用いてモールドし、評価用半導体装置を得た(モールド温度:175℃、モールド後硬化:175℃(5時間))。
作製された評価用半導体装置を、-65℃で15分、及び150℃で15分の温度条件を繰り返すサイクル試験に供した。600サイクル後の評価用半導体装置を観察し、以下の基準で耐TCT性を評価した。
OK:接着フィルムのクラック未発生
NG:接着フィルムのクラック発生
Figure 2023142888000002
Figure 2023142888000003
表1及び表2に評価結果が示される。各実施例の接着フィルムは、比較例の接着フィルムに比べて、高温において顕著に高められた引張破断強度を示した。また、各実施例の接着フィルムを用いて接着された半導体素子を有する半導体装置は、優れた耐TCT性を示した。
10…接着フィルム、14…基板、20…基材(ダイシングフィルム)、30…保護フィルム、41…接着剤、42…封止層、84、94…回路パターン、88…第一のワイヤ、90…有機基板、98…第二のワイヤ、100、110…積層シート、200,201,202…半導体装置、Wa…第一の半導体チップ、Waa…第二の半導体チップ。

Claims (9)

  1. 半導体チップを、基板上に搭載された他の半導体チップを埋め込みながら前記基板に接着するため、又は、半導体チップを、他の半導体チップに接続されたワイヤの一部又は全体を埋め込みながら前記他の半導体チップに接着するために用いられる、半導体用接着フィルムであって、
    当該接着フィルムが、熱硬化性成分、エラストマー、及び無機フィラーを含有し、
    前記エラストマーの含有量が、当該接着フィルムの質量を基準として10~30質量%であり、
    前記無機フィラーの含有量が、当該接着フィルムの質量を基準として40~50質量%である、
    半導体用接着フィルム。
  2. 前記熱硬化性成分の含有量が、当該接着フィルムの質量を基準として20~45質量%%である、請求項1に記載の半導体用接着フィルム。
  3. 前記熱硬化性成分が、25℃で液体である液状エポキシ樹脂を含み、前記液状エポキシ樹脂の含有量が、当該接着フィルムの質量を基準として5~15質量%である、請求項1又は2に記載の半導体用接着フィルム。
  4. 当該接着フィルムが、60~150℃の範囲における2000Pa・s以上の最低溶融粘度、及び、60℃で35000Pa・s以下のずり粘度を示す、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
  5. 110℃で1時間、及びそれに続く175℃で5時間の加熱により硬化した当該接着フィルムが、125℃において7MPa以上の引張破断強度を示す、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
  6. ダイシングフィルムと、
    前記ダイシングフィルム上に設けられた請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体用接着フィルムと、
    を備えるダイシングダイボンディングフィルム。
  7. 第一の半導体チップが搭載された基板に、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体用接着フィルムにより第二の半導体チップを接着することを含み、
    前記第一の半導体チップが、前記接着フィルムによって埋め込まれる、
    半導体装置を製造する方法。
  8. 第一の半導体チップに、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着フィルムにより第二の半導体チップを接着することを含み、
    前記第一の半導体チップにワイヤが接続されており、
    前記ワイヤの一部又は全体が、前記接着フィルムによって埋め込まれる、
    半導体装置を製造する方法。
  9. 前記第一の半導体チップがコントローラチップである、請求項7又は8に記載の方法。
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