JP2023142073A - 圧縮永久歪試験用冶具 - Google Patents

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Abstract

【課題】試験を行ったシール用のOリングに対する耐久性評価として、Oリングが実際に使用された場合に発揮する耐久性とあまり相違しない耐久性評価を得ることができる圧縮永久歪試験用冶具を提供する。【解決手段】Oリング2が外嵌される外周部15を有するOリング支持体10と、Oリング支持体10の外周部15に外嵌される押圧環状体20と、が備えられている。押圧環状体20は、Oリング支持体10の外周部15に外嵌されることにより、内周部22によってOリング2をOリング支持体10の外周部15に押圧する。Oリング支持体10の外周部15に、Oリング2が入り込む環状溝16が設けられている。【選択図】図7

Description

本発明は、シール用のOリングの圧縮永久歪試験に用いる圧縮永久歪試験用冶具に関する。
シール用のOリングは、一定の圧縮を受けた状態で長期間に亘って使用された場合、シールに必要な厚みまで回復することができなくなり、シール性能が失われるので、シール性能の耐久性評価を得るべく圧縮永久歪試験が行われる。Oリングのサンプルそのままの状態、あるいはサンプルから切り出した試験片を平行な圧縮板で圧縮して耐久性評価を得る試験方法が従来から知られている。
また、特許文献1に、Oリングなどの試験体を挟む一対の押さえ板、一対の押さえ板を接近する方向に締め付けるボルトとナットを備え、一対の押さえ板の締め付けによって試験体に圧縮荷重を掛ける圧縮試験冶具が示されている。
特開2019-113335号公報
従来、Oリングの圧縮永久歪試験を行った際、Oリングを従来の試験とは異なる方向の圧縮によりシール性能を発揮する装置、器具などに組付けて使用した場合にOリングが発揮する耐久性とは異なる耐久性を有するものとしての耐久性評価を得ることになり、Oリングを装置、器具などに組付けて実際に使用した場合、Oリングが評価した耐久性よりも早期に劣化することがある。
本発明は、試験を行ったOリングに対する耐久性評価として、Oリングが従来の試験とは異なる方向の圧縮によりシール性能を発揮する装置、器具などに組付けて実際に使用された場合に発揮する耐久性とあまり相違しない耐久性評価を得ることができる圧縮永久歪試験用冶具を提供する。
本発明は、シール用のOリングの圧縮永久歪試験に用いる圧縮永久歪試験用冶具であって、前記Oリングが外周部に外嵌されることにより、前記Oリングを支持するOリング支持体と、前記外周部に脱着可能に外嵌する環状に構成され、前記外周部に外嵌されることにより、前記Oリング支持体に支持された前記Oリングに内周部が接触して前記Oリングを前記外周部に押圧する押圧環状体と、が備えられ、前記外周部または前記内周部に、前記Oリングが入り込むように前記外周部または前記内周部の全周にわたって形成された環状溝が設けられている。
本構成によると、Oリングを押圧環状体の内周部とOリング支持体の外周部との間に適切に取り付けることにより、Oリングが押圧環状体の内周部によってOリング支持体の外周部に押圧され、OリングをOリングの外径(直径)に沿う方向(従来の試験とは異なる方向)の圧縮荷重が掛かった状態に維持しつつ圧縮永久歪試験を行うことができるので、Oリングが従来の試験とは異なる方向の圧縮によりシール性能を発揮する装置、器具などに組み付けられて実際に使用された場合に発揮する耐久性とあまり相違しない耐久性を有する耐久性評価を、試験を行ったOリングに対する耐久性評価として得ることができる。
本発明においては、前記外周部に前記環状溝が設けられていると好適である。
本構成によると、押圧環状体をOリング支持体の外周部に外嵌させるとき、Oリングを環状溝に入り込ませておくことにより、押圧環状体がOリングに接触してOリングがずれ動かされそうになっても、Oリングのずれ動きがOリングを係止する環状溝によって防止されるので、押圧環状体をOリング支持体に取付け易い。
本発明においては、前記Oリング支持体は、前記外周部に外嵌された前記Oリングの軸芯に沿う方向に間隔を空けて並ぶ状態で複数個の前記Oリングを支持可能に構成され、前記押圧環状体は、前記Oリング支持体に支持された前記複数個の前記Oリングを前記外周部に押圧するように構成されていると好適である。
本構成によると、複数個のOリングを押圧環状体の内周部によってOリング支持体の外周部に押圧される状態にできるので、複数個のOリングの試験を纏めて行うことができ、かつ、各Oリングが装置、器具などに組付けられて実際に使用された場合に発揮する耐久性とあまり相違しない耐久性を有する耐久性評価を、試験を行った複数個のOリングのそれぞれに対する耐久性評価として得ることができる。
本発明においては、前記Oリング支持体は、前記外周部に外嵌された前記Oリングの軸芯に沿う方向に間隔を空けて並ぶ状態で複数個の前記Oリングを支持可能に構成され、前記Oリング支持体に支持された前記複数個の前記Oリングを前記外周部に各別に押圧する複数個の前記押圧環状体が備えられ、前記複数個の前記押圧環状体は、前記外周部に対して各別に脱着可能に構成されていると好適である。
本構成によると、複数個の押圧環状体をOリング支持体に対して各別に脱着することにより、複数個のOリングを個々に、Oリング支持体に対して脱着することができるので、複数個のOリングの試験を行うのに、複数個のOリングを纏めて行うことができるのみならず、試験の開始タイミングあるいは終了タイミングを異ならせた複数の試験グループに複数個のOリングを分けて行うことができる。
本発明においては、前記押圧環状体に、前記押圧環状体の内部と前記押圧環状体の外部とを連通させる連通路部が形成されていると好適である。
本構成によると、Oリング支持体の外周部と押圧環状体の内周部との間の隙間が連通路部を介して隙間の外部に開放されるので、Oリングを挟む外側部材と内側部材の間の隙間が隙間の外部に開放される状態となる装置、器具などに使用されるOリングにあっては、Oリングが装置、器具などに組付けられて実際に使用される場合に位置する環境と同じ、あるいはあまり違わない環境に位置する状態で試験を行うことができ、Oリングが実際に使用された場合に発揮する耐久性とあまり相違しない耐久性を有する耐久性評価を、試験を行ったOリングに対する耐久性評価として得ることができる。
本発明においては、前記Oリングが前記外周部に外嵌され、かつ、前記外周部に外嵌された前記押圧環状体の前記内周部によって前記外周部に押圧された状態において、前記外周部と前記内周部との間に前記Oリングを挟んで隣り合う一対の隙間が現出され、かつ、前記一対の隙間の一方の隙間に前記Oリングを加圧する流体を供給する第1流体供給路と、前記一対の隙間の他方の隙間に前記Oリングを加圧する流体を供給する第2流体供給路とが各別に形成されるように構成されていると好適である。
本構成によると、第1流体供給路によって供給する流体の圧力と、第2体供給路によって供給する流体の圧力とを相違させることにより、Oリングの軸芯に沿う方向におけるOリングの両側に異なる圧力を掛けてOリングの気密性を確認することができるので、装置、器具などに組付けられて実際に使用される場合に圧力が掛かるOリングにあっては、実際に使用された場合に発揮する耐久性、気密性とあまり相違しない耐久性、気密性を有する耐久性評価、気密性評価を、試験を行ったOリングに対する耐久性評価、気密性評価として得ることができる。
圧縮永久歪試験用冶具の全体を示す斜視図である。 Oリング支持体を示す側面図である。 第1環状押圧体を示す側面図である。 第1環状押圧体を示す底面図である。 第2環状押圧体を示す側面図である。 第2環状押圧体を示す底面図である。 Oリングを支持した状態の圧縮永久歪試験用冶具の一部切欠き状態での側面図である。 第1の別実施形態の圧縮永久歪試験用冶具を示す断面図である。 第2の別実施形態の圧縮永久歪試験用冶具を示す断面図である。
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、圧縮永久歪試験用冶具1の全体を示す斜視図である。圧縮永久歪試験用冶具1は、シール用のOリング2(図7参照)に対し、Oリング2の外径(直径)に沿う方向(従来の圧縮永久歪試験とは異なる方向)である図7の左右方向のシール耐久性を評価する圧縮永久歪試験を行うのに用いるものである。Oリング2は、軸芯に沿う方向視で所定の外径(直径)を備えた円環状のゴムであり、線部の断面形状が円形である。図1に示されるように、圧縮永久歪試験用冶具1は、Oリング2を支持するOリング支持体10、および、Oリング2をOリング支持体10に押圧する複数個の押圧環状体20を備えている。本実施形態では、5個の押圧環状体20を備えている。本実施形態では、Oリング支持体10および押圧環状体20は、クロムめっき鋼あるいは研磨したステンレス鋼を用いて作製する。規格P-42のOリング(線形が3.5mm、外径が48.7mm)を試験対象とする他、各種サイズのOリングを試験対象とすることが可能であり、Oリング支持体10および押圧環状体20は、試験対象のOリング2に適応したサイズを備えるように構成する。
Oリング支持体10は、図1,2に示されるように、Oリング支持体10の下部に形成された台座部11、および、台座部11から上向きに延びるOリング支持部12を備えている。Oリング支持体10は、Oリング支持部12の上端部で開口が天板部13によって塞がれた円筒状に構成されている。試験対象のOリング2を高温、低温あるいは常温にする熱媒体をOリング支持体10の内部空間14に入れることができ、Oリング2を試験温度に維持し易い。本実施形態では、Oリング支持体10を円筒状にしているが、内部空間が無い中実にした円柱状のOリング支持体の採用が可能である。
Oリング支持体10は、Oリング支持部12の外周部15に複数個のOリング2が外嵌されることにより、複数個のOリング2を支持するように構成されている。外周部15は、Oリング支持体10の軸芯10a(図7参照)に沿う方向視において円形に形成されている。本実施形態では、Oリング支持体10は、5個のOリング2を支持するように構成されている。Oリング支持部12による5個のOリング2の支持は、5個のOリング2がOリング2の軸芯に沿う方向に間隔を空けて並ぶ状態で行われる。
具体的には、図1,2,7に示されるように、Oリング支持部12の外周部15のうち、Oリング支持体10の軸芯10aに沿う方向に間隔を空けて並ぶ5箇所の部位に、外周部15の全周にわたる環状溝16が設けられている。環状溝16は、外周部15において外周部15の径方向内方側にくぼむ状態で形成されている。Oリング支持部12は、図7に示されるように、5つの環状溝16のそれぞれにOリング2が入れられることにより、5個のOリング2を支持する。図7に示されるように、5個の環状溝16のそれぞれに入れられたOリング2は、線部の一部が環状溝16から外部(径方向外方側)に出る状態で環状溝16に係止される。
5個の押圧環状体20のそれぞれは、図7に示されるように、Oリング支持部12の外周部15に脱着可能に外嵌するように円環状に構成されている。図4,6に示されるように、5個の押圧環状体20のそれぞれの内周部22は、押圧環状体20の軸芯20cに沿う方向視で円形に形成されている。図7に示されるように、Oリング支持部12の外周部15のうち環状溝16が形成されていない部位の外径よりも押圧環状体20の内周部22の内径の方が若干大径に形成されている。図3,4,5,6に示されるように、5個の押圧環状体20それぞれの下部に、押圧環状体20の内部(径方向内方側)と外部(径方向外方側)とを連通させる連通路部21が形成されている。5個の押圧環状体20それぞれの連通路部21は、図4,6に示されるように、押圧環状体20の周方向に間隔を空け並ぶ4箇所に形成されている。4箇所の連通路部21は、切欠き部によって構成されている。本実施形態では、連通路部21を4箇所に設けているが、これに限らず、3箇所以下、あるいは、5箇所以上に設けることが可能である。本実施形態では、連通路部21は、切欠き部によって構成されているが、連通路部21としては、貫通孔の採用が可能である。
5個の押圧環状体20のうちの1個の押圧環状体20の軸芯方向に沿う方向における長さL1が5個の押圧環状体20のうちの他の4個の押圧環状体20の軸芯方向に沿う方向における長さL2よりも長く設定されている。4個の押圧環状体20の長さL2は、同じ長さに設定されている。
図7に示されるように、5個の押圧環状体20それぞれは、Oリング支持部12の外周部15に外嵌されて作用位置に位置すると、押圧環状体20の内周部22がOリング支持部12の環状溝16において外周部15に支持されているOリング2の外周部に接触し、内周部22によってOリング2をOリング支持体10の外周部15に押圧するように構成されている。内周部22によって外周部15に押圧されたOリング2は、内周部22と外周部15とによってOリング2の外径(直径)に沿う方向に挟持され、外径に沿う方向の圧縮荷重を付与される。
圧縮永久歪試験用冶具1を用いてのOリング2の圧縮永久歪試験は、次の試験要領に基づいて行う。試験要領の説明は、5個の押圧環状体20のうち、軸芯に沿う方向の長さが長い方の押圧環状体20を第1押圧環状体20aと呼称し、5個の押圧環状体20のうち、軸芯に沿う方向の長さが短い方の4個の押圧環状体20のそれぞれを第2押圧環状体20bと呼称して行う。
図7に示されるように、一つ目のOリング2をOリング支持体10のOリング支持部12に上方から外嵌させて5箇所の環状溝16のうちの最も下の環状溝16に入り込ませる。この後、第1押圧環状体20aを連通路部21が下側に位置する取付け姿勢でOリング支持部12に上方から外嵌させ、第1押圧環状体20aの下部を台座部11の上部に当接させて第1押圧環状体20aのOリング支持部12における位置決めを行わせる。すると、第1押圧環状体20aが作用位置になり、第1押圧環状体20aの内周部22が一つ目のOリング2の外周部に接触して一つ目のOリング2が内周部22によって外周部15に押圧され、一つ目のOリング2は、Oリング2の外径(直径)に沿う方向の圧縮荷重を受けた試験状態になる。外周部15と内周部22との間の隙間Sのうち、一つ目のOリング2よりも下に位置する部分が第1押圧環状体20aの連通路部21を介して隙間Sの外部に開放された状態になる。
次に、二つ目のOリング2をOリング支持部12に上方から外嵌させて5箇所の環状溝16のうちの下から2番目の環状溝16に入り込ませる。この後、4個の第2押圧環状体20bのうちの1個の第2押圧環状体20bすなわち一つ目の第2押圧環状体20bを連通路部21が下側に位置する取付け姿勢でOリング支持部12に上方から外嵌させ、第2押圧環状体20bの下部を第1押圧環状体20aの上部に当接させて一つ目の第2押圧環状体20bのOリング支持部12における位置決めを行わせる。すると、一つ目の第2押圧環状体20bが作用位置になり、一つ目の第2押圧環状体20bの内周部22が二つ目のOリング2の外周部に接触して二つ目のOリング2が内周部22によって外周部15に押圧され、二つ目のOリング2は、Oリング2の外径(直径)に沿う方向の圧縮荷重を受けた試験状態になる。外周部15と内周部22との間の隙間Sのうち、二つ目のOリング2よりも下に位置する部分が一つ目の第2押圧環状体20bの連通路部21を介して隙間Sの外部に開放された状態になる。
次に、二つ目のOリング2を下から2番目の環状溝16に入り込ませた場合と同様に、三つ目のOリング2をOリング支持部12に外嵌させて5箇所の環状溝16のうちの下から3番目の環状溝16に入り込ませる。この後、一つ目の第2押圧環状体20bを作用位置にした場合と同様に、残る3個の第2押圧環状体20bのうちの1個の第2押圧環状体20bすなわち二つ目の第2押圧環状体20bを連通路部21が下側に位置する取付け姿勢でOリング支持部12に外嵌させ、二つ目の第2押圧環状体20bの下部を一つ目の第2押圧環状体20bの上部に当接させて二つ目の第2押圧環状体20bのOリング支持部12における位置決めを行わせる。すると、二つ目の第2押圧環状体20bが作用位置になり、三つ目のOリング2が二つ目の第2押圧環状体20bの内周部22によってOリング支持部12の外周部15に押圧され、三つ目のOリング2は、Oリング2の外径(直径)に沿う方向の圧縮荷重を受けた試験状態になる。外周部15と内周部22との間の隙間Sのうち、三つ目のOリング2よりも下に位置する部分が二つ目の第2押圧環状体20bの連通路部21を介して隙間Sの外部に開放された状態になる。
次に、二つ目のOリング2を下から2番目の環状溝16に入り込ませた場合と同様に、四つ目のOリング2をOリング支持部12に外嵌させて5箇所の環状溝16のうちの下から4番目の環状溝16に入り込ませる。この後、一つ目の第2押圧環状体20bを作用位置にした場合と同様に、残る2個の第2押圧環状体20bのうちの1個の第2押圧環状体20bすなわち三つ目の第2押圧環状体20bを連通路部21が下側に位置する取付け姿勢でOリング支持部12に外嵌させ、三つ目の第2押圧環状体20bの下部を二つ目の第2押圧環状体20bの上部に当接させて三つ目の第2押圧環状体20bのOリング支持部12における位置決めを行わせる。すると、三つ目の第2押圧環状体20bが作用位置になり、四つ目のOリング2が三つ目の第2押圧環状体20bの内周部22によってOリング支持部12の外周部15に押圧され、四つ目のOリング2は、Oリング2の外径(直径)に沿う方向の圧縮荷重を受けた試験状態になる。外周部15と内周部22との間の隙間Sのうち、四つ目のOリング2よりも下に位置する部分が三つ目の第2押圧環状体20bの連通路部21を介して隙間Sの外部に開放された状態になる。
次に、二つ目のOリング2を下から2番目の環状溝16に入り込ませた場合と同様に、五つ目のOリング2をOリング支持部12に外嵌させて5箇所の環状溝16のうちの下から5番目の環状溝16に入り込ませる。この後、一つ目の第2押圧環状体20bを作用位置にした場合と同様に、残っている第2押圧環状体20bすなわち四つ目の第2押圧環状体20bを連通路部21が下側に位置する取付け姿勢でOリング支持部12に外嵌させ、四つ目の第2押圧環状体20bの下部を三つ目の第2押圧環状体20bの上部に当接させて四つ目の第2押圧環状体20bのOリング支持部12における位置決めを行わせる。すると、四つ目の第2押圧環状体20bが作用位置になり、五つ目のOリング2が四つ目の第2押圧環状体20bの内周部22によってOリング支持部12の外周部15に押圧され、五つ目のOリング2は、Oリング2の外径(直径)に沿う方向の圧縮荷重を受けた試験状態になる。外周部15と内周部22との間の隙間Sのうち、五つ目のOリング2よりも下に位置する部分が四つ目の第2押圧環状体20bの連通路部21を介して隙間Sの外部に開放された状態になる。
このように、5個のOリング2のそれぞれがOリング2の外径(直径)に沿う方向における圧縮荷重を掛けた状態で5個のOリング2を支持する圧縮永久歪試験用冶具1を試験環境の下に設定試験時間が経過するまでの間、置いておく。試験環境としては、常温試験の場合、Oリング2を常温に維持する試験環境を採用し、高温試験の場合、Oリング2を高温に維持する試験環境を採用し、低温試験の場合、Oリング2を低温に維持する試験環境を採用する。
Oリング支持部12の外周部15と押圧環状体20の内周部22との間の隙間Sが連通路部21を介して隙間Sの外部に解放される。Oリング2を挟む外側部材と内側部材の間の隙間が隙間の外部に開放される状態となる装置、器具などに組み付けて使用されるOリング2にあっては、Oリング2が実際に使用される場合に位置する環境と同じ、あるいはあまり違わない環境に位置する状態で試験を行うことができる。
第1押圧環状体20a、第2押圧環状体20bをOリング支持部12の外周部15に外嵌させる際、第1押圧環状体20aあるいは第2押圧環状体20bがOリング2に接触してOリング2がずれ動かされそうになっても、Oリング2がずれ動かないように環状溝16によって係止される。
5個の押圧環状体20を個々にOリング支持部12に対して脱着することにより、5個のOリング2を個々にOリング支持部12に対して脱着することができる。5個のOリング2を試験の開始タイミングあるいは終了タイミングを異ならせた複数の試験グループに分けて、5個のOリング2の試験を行うことが可能である。
〔別実施形態〕
(1)図8は、第1の別実施形態の圧縮永久歪試験用冶具1を示す断面図である。第1の別実施形態の圧縮永久歪試験用冶具1では、図8に示されるように、2個のOリング2がOリング支持部12の外周部15に外嵌され、押圧環状体20がOリング支持部12の外周部15に外嵌され、2個のOリング2が押圧環状体20の内周部22によって外周部15に押圧された状態において、外周部15と内周部22との間に、2個のOリング2のうちの上側のOリング2を挟んで隣り合う一対の隙間S,S、および、2個のOリング2のうちの下側のOリング2を挟んで隣り合う一対の隙間S,Sが現出されるように構成されている。
上側のOリング2を挟んで隣り合う一対の隙間S,Sのうちの上側のOリング2よりも下に位置し、かつ、下側のOリング2を挟んで隣り合う一対の隙間S,Sのうちの下側のOリング2よりも上に位置する第1隙間S1に連通する第1流体供給路30が備えられている。第1流体供給路30は、Oリング支持体10の内部に設けられた内部空間と、この内部空間を第1隙間S1に連通させるようにOリング支持部12の周壁部に穿設された貫通孔31とによって構成されている。第1流体供給路30は、Oリング支持体10の内部空間に接続された注入口(図示せず)から流体としての空気、ガスなどが注入され、注入された流体を第1隙間S1に供給することにより、上側のOリング2を下方から流体によって加圧し、下側のOリング2を上方から流体によって加圧する。第1流体供給路30に流体圧検出路32を介して気密性確認用の圧力計33が接続されている。
上側のOリング2を挟んで隣り合う一対の隙間S,Sのうちの上側のOリング2よりも上に位置する第2隙間S2、かつ、下側のOリング2を挟んで隣り合う一対の隙間S,Sのうちの下側のOリング2よりも下に位置する第3隙間S3に連通する第2流体供給路35が備えられている。第2流体供給路35は、圧縮永久歪試験用冶具1を覆う供給路形成部材36の内部空間と、この内部空間を第3隙間S3に連通させるように押圧環状体20の下部に設けられた切欠き部37とによって構成されている。第2流体供給路35は、供給路形成部材36の内部空間に接続された注入口(図示せず)から流体としての空気あるいはガスが注入され、注入された流体を第2隙間S2および第3隙間S3に供給することにより、上側のOリング2を上方から流体によって加圧し、下側のOリング2を下方から流体によって加圧する。
第1流体供給路30は、第2流体供給路35が供給する流体の圧力よりも高い圧力の流体を供給するように構成されている。上側のOリング2および下側のOリング2それぞれの軸芯に沿う方向での両側に異なる圧力を掛け、上側のOリング2および下側のOリング2それぞれの気密性を確認するように構成されている。第1流体供給路30の圧力低下が生じる時間でOリング2の寿命を判定できる。
本実施形態では、第1流体供給路30が第2流体供給路35よりも高圧の流体を供給するように構成されているが、これに替え、第2流体供給路35が第1流体供給路30よりも高圧の流体を供給するように構成してもよい。
(2)図9は、第2の別実施形態の圧縮永久歪試験用冶具1を示す断面図である。第2の別実施形態の圧縮永久歪試験用冶具1では、図9に示されるように、1個のOリング2がOリング支持部12の外周部15に外嵌され、押圧環状体20がOリング支持部12の外周部15に外嵌され、Oリング2が押圧環状体20の内周部22によって外周部15に押圧された状態において、外周部15と内周部22との間に、Oリング2を挟んで隣り合う一対の隙間S,Sが現出されるように構成されている。
Oリング2を挟んで隣り合う一対の隙間S,SのうちのOリング2よりも下に位置する下の隙間Sに連通する第1流体供給路30が備えられている。第1流体供給路30は、Oリング支持体10の台座部11の内部に設けられた内部空間と、この内部空間を下の隙間Sに連通させるようにOリング支持部12の下部に設けられた貫通孔38とによって構成されている。第1流体供給路30は、台座部11の内部空間に接続された注入口(図示せず)から流体としての空気あるいはガスが注入され、注入された流体を下の隙間Sに供給することにより、Oリング2を下方から流体によって加圧する。
Oリング2を挟んで隣り合う一対の隙間S,SのうちのOリング2よりも上に位置する上の隙間Sに連通する第2流体供給路35が備えられている。第2流体供給路35は、圧縮永久歪試験用冶具1を覆う供給路形成部材36の内部空間によって構成されている。第2流体供給路35は、供給路形成部材36の内部空間に接続された注入口(図示せず)から流体として空気あるいはガスが注入され、注入された流体を上の隙間Sに供給することにより、Oリング2を上方から流体によって加圧する。
第1流体供給路30は、第2流体供給路35が供給する流体の圧力よりも高い圧力の流体を供給するように構成されている。Oリング2の軸芯に沿う方向での両側に異なる圧力を掛け、Oリング2の気密性を確認するように構成されている。
本実施形態では、第1流体供給路30が第2流体供給路35よりも高圧の流体を供給するように構成されているが、これに替え、第2流体供給路35が第1流体供給路30よりも高圧の流体を供給するように構成してもよい。
(3)本実施形態では、Oリング支持体10に5個のOリング2を支持するように構成した例を示したが、1個のみなど4個以下、6個以上のOリング2を支持するものであってもよい。
(4)上記した実施形態では、Oリング支持体10の外周部15に環状溝16が備えられた例を示したが、外周部15に環状溝16が備えられず、押圧環状体20の内周部22に環状溝が備えられたものでもよい。
(5)上記した実施形態では、Oリング支持体10に同一サイズの複数個のOリング2を支持するよう構成した例を示したが、これに限らず、Oリング支持部12を外径が上端側ほど小さい上細り形状に形成し、サイズが異なる複数個のOリングをOリング支持体に支持する構成を採用したものでもよい。
(6)上記した実施形態では、連通路部21が備えられた例を示したが、連通路部21を備えないものでもよい。
(7)上記した実施形態では、複数個のOリング2を個々にOリング支持体10の外周部15に押圧する複数個の押圧環状体20を設けた例を示したが、複数個のOリング2に対応する一つだけの押圧環状体20を備え、複数のOリング2を単一の押圧環状体によってOリング支持体10の外周部15に押圧する構成を採用したものでもよい。
(8)上記した実施形態では、第1流体供給路30および第2流体供給路35を備えた例を示したが、第1流体供給路30および第2流体供給路35を備えないものでもよい。
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、又、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、シール用のOリングの圧縮永久歪試験に用いる圧縮永久歪試験用冶具に適用できる。
2 Oリング
10 Oリング支持体
15 外周部
16 環状溝
20 押圧環状体
21 連通路部
22 内周部
30 第1流体供給路
35 第2流体供給路
S 隙間
S1 第1隙間(隙間)
S2 第2隙間(隙間)
S3 第3隙間(隙間)

Claims (6)

  1. シール用のOリングの圧縮永久歪試験に用いる圧縮永久歪試験用冶具であって、
    前記Oリングが外周部に外嵌されることにより、前記Oリングを支持するOリング支持体と、
    前記外周部に脱着可能に外嵌する環状に構成され、前記外周部に外嵌されることにより、前記Oリング支持体に支持された前記Oリングに内周部が接触して前記Oリングを前記外周部に押圧する押圧環状体と、が備えられ、
    前記外周部または前記内周部に、前記Oリングが入り込むように前記外周部または前記内周部の全周にわたって形成された環状溝が設けられている圧縮永久歪試験用冶具。
  2. 前記外周部に前記環状溝が設けられている請求項1に記載の圧縮永久歪試験用冶具。
  3. 前記Oリング支持体は、前記外周部に外嵌された前記Oリングの軸芯に沿う方向に間隔を空けて並ぶ状態で複数個の前記Oリングを支持可能に構成され、
    前記押圧環状体は、前記Oリング支持体に支持された前記複数個の前記Oリングを前記外周部に押圧するように構成されている請求項1または2に記載の圧縮永久歪試験用冶具。
  4. 前記Oリング支持体は、前記外周部に外嵌された前記Oリングの軸芯に沿う方向に間隔を空けて並ぶ状態で複数個の前記Oリングを支持可能に構成され、
    前記Oリング支持体に支持された前記複数個の前記Oリングを前記外周部に各別に押圧する複数個の前記押圧環状体が備えられ、
    前記複数個の前記押圧環状体は、前記外周部に対して各別に脱着可能に構成されている請求項1または2に記載の圧縮永久歪試験用冶具。
  5. 前記押圧環状体に、前記押圧環状体の内部と前記押圧環状体の外部とを連通させる連通路部が形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の圧縮永久歪試験用冶具。
  6. 前記Oリングが前記外周部に外嵌され、かつ、前記外周部に外嵌された前記押圧環状体の前記内周部によって前記外周部に押圧された状態において、前記外周部と前記内周部との間に前記Oリングを挟んで隣り合う一対の隙間が現出され、かつ、前記一対の隙間の一方の隙間に前記Oリングを加圧する流体を供給する第1流体供給路と、前記一対の隙間の他方の隙間に前記Oリングを加圧する流体を供給する第2流体供給路とが各別に形成されるように構成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の圧縮永久歪試験用冶具。
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