JP2023140678A - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2023140678A
JP2023140678A JP2022046642A JP2022046642A JP2023140678A JP 2023140678 A JP2023140678 A JP 2023140678A JP 2022046642 A JP2022046642 A JP 2022046642A JP 2022046642 A JP2022046642 A JP 2022046642A JP 2023140678 A JP2023140678 A JP 2023140678A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
thermosetting resin
polysiloxane
weight
cured product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022046642A
Other languages
English (en)
Inventor
慎吾 金谷
Shingo Kanetani
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagase Chemtex Corp
Original Assignee
Nagase Chemtex Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagase Chemtex Corp filed Critical Nagase Chemtex Corp
Priority to JP2022046642A priority Critical patent/JP2023140678A/ja
Publication of JP2023140678A publication Critical patent/JP2023140678A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)

Abstract

【課題】屈折率が高く、耐熱性および成形性にも優れる硬化物を得ることのできる、熱硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)ポリシロキサンを33~85重量%、(B)芳香族骨格を含むエポキシ化合物又はオキセタン化合物を13~65重量%、および(C)熱カチオン開始剤を0.05~2.0重量%を含み、前記(A)ポリシロキサンは、重量平均分子量が1,000~10,000であり、(a1)ジフェニルシランジオール、および(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの、モル比(a1)/(a2)=0.9~5.0での縮合物である、熱硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、該組成物の硬化物、および、該硬化物を含む光学部品に関する。
スマートフォンや自動車用カメラ用の光学レンズでは、シクロオレフィンポリマーや、フルオレン系ポリエステル等の透明熱可塑性樹脂が主に用いられている。しかしながら、近年、光学デバイスの小型化及び製造工程の合理化が進められており、リフロープロセスで実装可能な耐熱性レンズモジュールが求められている。リフロープロセスは最大260℃に達するため、従来の熱可塑性樹脂の適用は困難である。また、ガラスでは複雑な形状加工が難しい。
特許文献1は、シルセスキオキサン誘導体および脂環式エポキシ樹脂を含む光学部品成型用樹脂組成物を記載し、特許文献2は、シルセスキオキサン誘導体および(メタ)アクリル基含有化合物を含む光学部品成型用樹脂組成物を記載している。しかし、これらの樹脂組成物の硬化物は屈折率が中程度である。
特許文献3は、ジフェニルシラン構造を有する硬化性シリコーン樹脂組成物を開示している。しかし、シロキサン構造が直鎖構造であるため耐熱性が十分ではなく、硬化物の屈折率も十分に高いとはいえない。
特許文献4は、ジフェニルシランジオール等のシラノール化合物とアルコキシシラン化合物との重合物を含む、感光性ポリオルガノシロキサン組成物を開示している。しかし、この組成物は光学用途ではなく、硬化物の屈折率に関する言及はない。
特開2018-009154号公報 特開2013-023625号公報 特開2020-122061号公報 特開2010-006982号公報
本発明は、屈折率が高く、耐熱性および成形性にも優れる硬化物を得ることのできる、熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々検討したところ、ジフェニルシラン構造を所定の割合で含むポリシロキサンと、芳香族骨格を含むエポキシ化合物またはオキセタン化合物の硬化物が、屈折率が高く、耐熱性および成形性に優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(A)ポリシロキサンを33~85重量%、
(B)芳香族骨格を含むエポキシ化合物又はオキセタン化合物を13~65重量%、および
(C)熱カチオン開始剤を0.05~2.0重量%
を含み、
前記(A)ポリシロキサンは、
重量平均分子量が1,000~10,000であり、
(a1)ジフェニルシランジオール、および(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの、モル比(a1)/(a2)=0.9~5.0での縮合物である、熱硬化性樹脂組成物に関する。
前記(A)ポリシロキサンが、(a1)ジフェニルシランジオール、および(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの非水条件での塩基性触媒による縮合物であることが好ましい。
前記(A)ポリシロキサンが、(a1)ジフェニルシランジオール、および(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの、モル比(a1)/(a2)=1.5~4.5での縮合物であることが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、波長589nmにおける屈折率が1.57以上である硬化物を得るためのものであることが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、粘度が5,000~70,000mPa・sであることが好ましい。
また、本発明は、波長589nmにおける屈折率が1.57以上である前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物に関する。
硬化物は、波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることが好ましい。
また、本発明は、前記硬化物を含む光学部品に関する。
前記光学部品はレンズであることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、屈折率が高く、耐熱性および成形性に優れる。該硬化物は、リフロープロセスで実装可能な耐熱性レンズモジュールの材料として好適に使用できる。
<<熱硬化性樹脂組成物>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)ポリシロキサンを33~85重量%、(B)芳香族骨格を含むエポキシ化合物又はオキセタン化合物を13~65重量%、および(C)熱カチオン開始剤を0.05~2.0重量%を含み、前記(A)ポリシロキサンは、重量平均分子量が1,000~10,000であり、(a1)ジフェニルシランジオール、および(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの、モル比(a1)/(a2)=0.9~5.0での縮合物であることを特徴とする。
<(A)ポリシロキサン>
(A)ポリシロキサンは、(a1)ジフェニルシランジオール、および(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの縮合物である。よって、(A)ポリシロキサンはシロキサン結合(Si-O-Si)を主鎖として有し、側鎖に(a1)ジフェニルシランジオールに由来するフェニル基、および、(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランに由来するエポキシ基またはオキセタニル基を含む。また、(A)ポリシロキサンは、(a1)ジフェニルシランジオール、および(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの縮合物であるため、分岐状のシロキサン結合を有する。
(a2)トリアルコキシシランは、エポキシ基またはオキセタニル基を含んでいれば特に限定されない。エポキシ基としては、脂環式エポキシ基、グリシジル基が挙げられる。また、アルコキシシラン構造としては、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシランが挙げられる。
このような(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの具体例として、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
(A)ポリシロキサンは、(a1)ジフェニルシランジオール、および(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの縮合により得られる。縮合に用いる(a1)ジフェニルシランジオール、および(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランのモル比(a1)/(a2)は、0.9~5.0であるが、1.5~4.5が好ましく、1.5~4.0がより好ましい。(a1)/(a2)が0.9未満では熱硬化性樹脂組成物の硬化物の屈折率が低下する傾向があり、5.0を超えると熱硬化性樹脂組成物が硬化しにくくなる傾向がある。
縮合反応は、(a1)ジフェニルシランジオールの水酸基と、(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの加水分解により形成された水酸基と間で生じる。(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの加水分解と、縮合反応は、一段階で行うことができる。反応時の温度条件は特に限定されないが、好ましくは10~150℃、より好ましくは40~120℃である。時間条件は特に限定されないが、好ましくは1~24時間、より好ましくは2~12時間である。
縮合反応は、非水条件で行うことが好ましい。非水条件で行うことにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の透明度を向上できる。非水条件での縮合反応としては、例えば、シールドバキューム内で、真空ポンプにより真空度を上げた条件での反応が挙げられる。
縮合反応により(A)ポリシロキサンが得られるが、(A)ポリシロキサン中には、未反応のアルコキシ基、アルコキシ基が加水分解した水酸基、或いは、ジフェニルシランジオールに由来する水酸基が一部残存していてもよい。
式(I)により表されるアルコキシシランの加水分解縮合反応は、触媒、溶媒、(a2)成分以外のアルコキシシラン等の任意成分の存在下で行ってもよい。触媒としては、塩基性触媒、酸性触媒が挙げられる。
塩基性触媒としては、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の水酸化物、四級アンモニウム塩、アルカリ金属炭酸塩、金属アルコキシド、アミン化合物、窒素含有芳香族性環式化合物、アンモニア等が挙げられる。
アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム等が挙げられる。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムが挙げられる。
四級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、テトラベンジルアンモニウム塩、テトラナフチルアンモニウム塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヒドロキシド等が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
金属アルコキシドとしては、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムプロポキシド、ナトリウムプロポキシド、カリウムプロポキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、リチウムブトキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、リチウムt-ブトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド等が挙げられる。
アミン化合物としては、アニリン、トルイジン、ベンジルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、n-ブチルアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等が挙げられる。
窒素含有芳香族性環式化合物としては、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-プロピルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-アミノべンゾイミダゾール、ピリジン等が挙げられる。
酸性触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸、ホウ酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルフォン酸、及びp-トルエンスルホン酸等が挙げられる。
これらのなかでも、(A)ポリシロキサンを効率的に形成できることから塩基性触媒が好ましく、アルカリ土類金属の水酸化物がより好ましく、水酸化バリウムがさらに好ましい。
触媒の配合量は、モノマー成分の合計に対する触媒のモル比が0.0001~0.1となる量が好ましく、0.0005~0.01となる量がより好ましい。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチル-1-アセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(a2)成分以外のアルコキシシランとしては、例えば、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルフェノキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、メトキシジメチル(フェニル)シラン、トリフェニルメトキシシラン、メトキシ(ジメチル)オクタデシルシラン、メトキシ(ジメチル)-n-オクチルシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。(a2)成分以外のアルコキシシランを用いる場合、その使用量は、(a2)成分100重量部に対し0.1~10重量部が好ましい。
縮合反応の終了後は、必要に応じて反応溶液のpHの調整や、溶媒の留去を行ってもよい。
また、必要に応じて、縮合物をトルエン、キシレン、2-プロパノールなどの溶媒に溶解し、ろ過、遠心分離等により触媒を除去してもよい。
(A)ポリシロキサンの重量平均分子量は1,000~10,000であるが、1,800~5,000が好ましい。1,000未満では硬化膜が白化し、表面外観が劣ることがあり、10,000を超えると液安定性(ポットライフ)が低下することがある。ここで、重量平均分子量はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)にて測定した値である。
熱硬化性樹脂組成物における(A)ポリシロキサンの含有量は33~85重量%であるが、35~85重量%が好ましく、40~80重量%がより好ましく、50~80重量%がさらに好ましい。33重量%未満では耐熱性が悪化することがあり、85重量%を超えると高粘度となりハンドリング性が低下することがある。
<(B)芳香族骨格を含むエポキシ化合物又はオキセタン化合物>
芳香族骨格を含むエポキシ化合物又はオキセタン化合物は、芳香族骨格を含む限り特に限定されない。
芳香族骨格を含むエポキシ化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、o-フェニルフェノールグリシジルエーテル、p-sec-ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、2,3-プロピルフェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンジグリシジルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、カテコールジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、t-ブチルヒドロキノンジグリシジルエーテル、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノンジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも1分子あたりエポキシ基を1~2個含む化合物が好ましく、1分子あたりエポキシ基を1個含む化合物がより好ましく、フェニルグリシジルエーテル、o-フェニルフェノールグリシジルエーテルがさらに好ましい。
芳香族骨格を含むオキセタン化合物としては、3-メチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、イソフタル酸-ビス(3-エチルオキセタン-3-イル)等が挙げられる。これらの中でも1分子あたりオキセタニル基を1~2個含む化合物が好ましく、1分子あたりオキセタニル基を1個含む化合物がより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物における(B)芳香族骨格を含むエポキシ化合物又はオキセタン化合物の含有量は13~65重量%であるが、15~65重量%が好ましく、20~60重量%がより好ましく、20~50重量%がさらに好ましい。13重量%未満では高粘度となりハンドリング性や成形性が悪化することがあり、65重量%を超えると耐熱性が悪化することがある。
<(C)熱カチオン開始剤>
熱カチオン開始剤は、(A)ポリシロキサンと(B)芳香族骨格を含むエポキシ化合物又はオキセタン化合物との熱硬化を実現する化合物であれば特に限定されない。熱カチオン開始剤としては、例えばアンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、有機ホウ素化合物、フェロセン類等が挙げられる。具体例としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボレートが挙げられる。熱カチオン開始剤の商品名としてはK-PURE CXC-1612、K-PURE CXC-1821、K-PURE CXC-1756(以上、King industries社製)、FX-TP-BC-PC―AD-57103、FX-TP-BC-PC―AD-57110、FX-TP-BC-PC―AD-57130(以上、日本触媒社製)が挙げられる。これらの中でもアンモニウム塩の熱カチオン開始剤が好ましく、K-PURE CXC-1612がより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物における(C)熱カチオン開始剤の含有量は0.05~2.0重量%であるが、0.1~1重量%が好ましい。0.05重量%未満では硬化不良となることがあり、2.0重量%を超えると硬化物の着色(黄変)が著しくなることがある。
熱硬化性樹脂組成物は、(A)ポリシロキサン、(B)芳香族骨格を含むエポキシ化合物又はオキセタン化合物、および(C)熱カチオン開始剤、ならびに必要に応じて後述する任意成分を混合することにより得られる。混合は、撹拌機を用いた撹拌混合や、ロールミルを用いた混練等により行うことができる。各成分の混合順は特に限定されない。混合時の温度は1~60℃が好ましい。
<任意成分>
熱硬化性樹脂組成物は、(A)ポリシロキサン、(B)芳香族骨格を含むエポキシ化合物又はオキセタン化合物、(C)熱カチオン開始剤に加えて、任意に他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、無機微粒子、レベリング剤、離型剤等が挙げられる。
無機微粒子としては特に限定されないが、例えば、金属酸化物微粒子、窒化物、2種以上の金属元素から構成される複合酸化物、金属酸化物に異種の元素がドープされた化合物等が挙げられる。金属酸化物微粒子として、具体的には、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉄(Fe、FeO、Fe)、酸化銅(CuO、CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ニオブ(Nb)、酸化モリブデン(MoO)、酸化インジウム(In、InO)、酸化スズ(SnO)、酸化タンタル(Ta)、酸化タングステン(WO、W)、酸化鉛(PbO、PbO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO、Ce)、酸化アンチモン(Sb、Sb)、酸化ゲルマニウム(GeO、GeO)等が挙げられる。
無機微粒子の配合量は、熱硬化性樹脂組成物の固形分中0.001~5重量%が好ましく、0.01~1重量%がより好ましく、0.05~0.5重量%がさらに好ましい。
レベリング剤としては特に限定されず、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系化合物;パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素系化合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プロピレンオキシド重合体、エチレンオキシド重合体などのポリエーテル系化合物;ヤシ油脂肪酸アミン塩、ガムロジン等のカルボン酸;ヒマシ油硫酸エステル類、リン酸エステル、アルキルエーテル硫酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、スルホン酸エステル、コハク酸エステル等のエステル系化合物;アルキルアリールスルホン酸アミン塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のスルホン酸塩化合物;ラウリルリン酸ナトリウム等のリン酸塩化合物;ヤシ油脂肪酸エタノールアマイド等のアミド化合物;アクリル系化合物等が挙げられる。
レベリング剤の配合量は、熱硬化性樹脂組成物の固形分中0.001~5重量%が好ましく、0.01~1重量%がより好ましく、0.05~0.5重量%がさらに好ましい。
離型剤としては、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレートなどが挙げられる。なお、熱硬化性樹脂組成物に含まれる(A)ポリシロキサンに離型効果があるため、離型剤は必須ではない。
離型剤の配合量は、熱硬化性樹脂組成物の固形分中0.05~5重量%が好ましく、0.1~2重量%がより好ましい。
<物性および用途>
熱硬化性樹脂組成物の粘度は5,000~70,000mPa・sが好ましく、10,000~50,000mPa・sがより好ましい。5,000mPa・s未満では金型の隙間から樹脂が漏れ易くなることがあり、70,000mPa・sを超えると硬化物に気泡が残ることがある。
熱硬化性樹脂組成物は、(a1)ジフェニルシランジオールと(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランとの縮合物である(A)ポリシロキサンを含むため、その硬化物は高い屈折率を有する。熱硬化性樹脂組成物は、波長589nmにおける屈折率が1.57以上である硬化物を得る用途に好適に使用することができる。前記屈折率は1.60以上であることがより好ましい。
<<硬化物>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱処理することにより硬化物が得られる。加熱前には、一般的な方法により金型による成形や、基材への塗布を行ってもよい。加熱時の温度条件は70~200℃が好ましく、120~150℃がより好ましい。時間条件は1~10分間が好ましく、2~5分間がより好ましい。
硬化物の屈折率は、波長589nmにおいて1.57以上であることが好ましく、1.60以上であることがより好ましい。
硬化物は耐熱性に優れており、高熱にさらされた場合でも変性が抑制される。硬化物の変性抑制は、例えば耐熱性試験後の硬化物の黄変の低下により確認でき、具体的には、硬化物を260℃で5分間加熱する耐熱性試験の前後での、波長450nmでの透過率に基づき、下記式により評価できる。
透過率の変化率(%)=(耐熱性試験後の透過率)/(耐熱性試験前の透過率)×100
上記式により表される透過率の変化率は、90%以上が好ましく、93%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。
<<光学部品>>
本発明の光学部品は、上記硬化物を含むため、屈折率が高く、耐熱性に優れる。光学部品としては、レンズ、フィルター、プリズム等が挙げられ、特にリフロープロセスで実装されるレンズが好ましい。また、光学部品は、上記硬化物を成型したウエハレベルレンズや、基材と上記硬化物とを含むハイブリッドレンズであってもよい。本発明の熱硬化性樹脂組成物から、例えばキャスティング成型や射出成型等の成型方法により、ウエハレベルレンズを製造することができる。これらの光学部品はTOF(Time of Flight)センサー、LiDARモジュール、スマートフォン等の携帯機器、デジタルカメラ、車載カメラ、DVD、光通信機器、医療機器等に使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。以下、「部」又は「%」は特記ない限り、それぞれ「重量部」又は「重量%」を意味する。
(1)以下に、(A)ポリシロキサンの合成例で使用した各種薬品を示す。
(1-1)シランモノマー
ジフェニルシランジオール(DPSD、東京化成工業)
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(A-186、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A-187、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)
(1-2)重合触媒
水酸化バリウム八水和物(シグマアルドリッチ社)
(2)以下に、実施例及び比較例で使用した各種薬品を示す。
(2-1)(A)ポリシロキサン
ポリシロキサン1(合成例1で製造)
ポリシロキサン2(合成例2で製造)
ポリシロキサン3(合成例3で製造)
ポリシロキサン4(合成例4で製造)
ポリシロキサン5(比較合成例1で製造)
(2-2)(B)芳香族骨格を含むエポキシ化合物
o-フェニルフェノールグリシジルエーテル(EX-142、ナガセケムテックス社)
フェニルグリシジルエーテル(EX-141、ナガセケムテックス社)
(2-3)(C)熱カチオン開始剤
アンモニウム塩系熱カチオン開始剤(CXC-1612、King industries社)
(3)評価方法
(3-1)屈折率
多波長アッベ屈折計(アタゴ社製、DR-M2)を用いて、厚み1mm、波長589nmにおける屈折率を測定した。
(3-2)粘度
粘度(mPa・s):E型粘度計(東機産業株式会社製、TV-20形コーンプレートタイプ)を用いて25℃での粘度を測定した。
(3-3)透過率
紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、V-670)を用いて厚み1mm、波長450nmの透過率を測定した。なお、透過率は、硬化直後と、試験片をホットプレートにおいて260℃で5分間加熱する耐熱性試験の後で測定し、下記式により変化率を求めた。なお、波長450nmでの透過率の低下は、硬化物の黄変を示す。
透過率の変化率(%)=(耐熱性試験後の透過率)/(耐熱性試験前の透過率)×100
(合成例1~4、比較合成例1)
(A)ポリシロキサンの製造
下記表1に記載のモル比となるようにモノマー成分を混合し、重合触媒をモノマー成分の合計に対しモル比0.0007で加えて、120℃まで昇温後、3時間熟成させることで、目的のポリシロキサンを合成した。
Figure 2023140678000001
(実施例1~6、比較例1~2)
下記表2に記載の重量比となるように各成分を混合し、熱硬化性樹脂組成物を得た。熱硬化性樹脂組成物を金型に充填し、150℃で10分間加熱することにより、厚み1mmの硬化物を得た。
熱硬化性樹脂組成物の粘度と、硬化物の屈折率および透過率を表2に示す。
Figure 2023140678000002
比較例1は(B)成分の量が少ないため、熱硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、硬化物に気泡が多数残り成形性に劣っていた。比較例2は(A)成分中の(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの量が少ないため硬化物が得られなかった。実施例1~6の硬化物は屈折率が高く、成形性に優れていた。また、耐熱性試験後も透過率の低下は小さく、黄変は抑えられていた。

Claims (9)

  1. (A)ポリシロキサンを33~85重量%、
    (B)芳香族骨格を含むエポキシ化合物又はオキセタン化合物を13~65重量%、および
    (C)熱カチオン開始剤を0.05~2.0重量%
    を含み、
    前記(A)ポリシロキサンは、
    重量平均分子量が1,000~10,000であり、
    (a1)ジフェニルシランジオール、および(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの、モル比(a1)/(a2)=0.9~5.0での縮合物である、
    熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリシロキサンが、(a1)ジフェニルシランジオール、および(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの非水条件での塩基性触媒による縮合物である、
    請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(A)ポリシロキサンが、(a1)ジフェニルシランジオール、および(a2)エポキシ基またはオキセタニル基を含むトリアルコキシシランの、モル比(a1)/(a2)=1.5~4.5での縮合物である、
    請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 波長589nmにおける屈折率が1.57以上である硬化物を得るための、
    請求項1~3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 粘度が5,000~70,000mPa・sである、
    請求項1~4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 波長589nmにおける屈折率が1.57以上である、請求項1~5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
  7. 波長589nmにおける屈折率が1.60以上である、請求項6に記載の硬化物。
  8. 請求項6または7に記載の硬化物を含む光学部品。
  9. レンズである請求項8に記載の光学部品。


JP2022046642A 2022-03-23 2022-03-23 熱硬化性樹脂組成物 Pending JP2023140678A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022046642A JP2023140678A (ja) 2022-03-23 2022-03-23 熱硬化性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022046642A JP2023140678A (ja) 2022-03-23 2022-03-23 熱硬化性樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023140678A true JP2023140678A (ja) 2023-10-05

Family

ID=88206457

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022046642A Pending JP2023140678A (ja) 2022-03-23 2022-03-23 熱硬化性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023140678A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9006354B2 (en) Composite composition of inorganic oxide particles and silicone resin, method of manufacturing the same, transparent composite, and method of manufacturing the same
EP1947128B1 (en) Thermosetting resin composition and photosemiconductor encapsulation material
US8524841B2 (en) Curable resin composition, optical material, and method for controlling optical material
US9453105B2 (en) Epoxy and alkoxysilyl group-containing silsesquioxane and composition thereof
WO2016006483A1 (ja) シンチレータパネル、放射線検出器およびその製造方法
JP5037584B2 (ja) 樹脂組成物及び光学部材
WO2012169237A1 (ja) 無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との複合組成物及び透明複合体
KR20130089596A (ko) 에폭시기 함유 실세스키옥산 변성 에폭시 수지, 경화성 수지 조성물, 경화물 및 코팅제
KR20180004213A (ko) 광기능성 막 및 이의 제조방법
KR101492251B1 (ko) 개질된 폴리실록산계 공중합체, 이 공중합체를 포함하는 코팅 조성물, 이를 이용하여 얻을 수 있는 코팅 플라스틱 기판과 이의 제조 방법, 및 상기 개질된 폴리실록산계 공중합체의 제조방법
TWI579339B (zh) 硬化性樹脂組成物
JP2011241380A (ja) 硬化成型体用樹脂組成物及び硬化成型体
JP6001317B2 (ja) カチオン硬化性樹脂組成物
JP6148870B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、及び、硬化物
JP5369553B2 (ja) シロキサン樹脂組成物、硬化物およびこれを用いた光半導体
JP2013138158A (ja) 撮像素子、色素含有レンズ及びレンズ成型用樹脂組成物
JP2023140678A (ja) 熱硬化性樹脂組成物
TW201431945A (zh) 硬化性樹脂組成物及光半導體密封用樹脂組成物
JP5778448B2 (ja) 硬化成型体用樹脂組成物及び硬化成型体
JP7195463B1 (ja) 熱硬化性樹脂組成物
JP5305707B2 (ja) 樹脂組成物及び光学部材
JP2006036900A (ja) 保護コート用樹脂組成物及び無色透明な保護膜
JP6001318B2 (ja) エポキシ系硬化物
KR102547175B1 (ko) 수계 대전방지용 고경도 조성물 및 이의 제조방법
TW202405057A (zh) 倍半矽氧烷衍生物及其製造方法、硬化性組成物、硬塗劑、硬化物、硬塗層、以及基材