JP2023140538A - 熱式流量センサ - Google Patents

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まゆみ 湯山
Mayumi Yuyama
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Abstract

【課題】短い助走距離でしかも小型のセンサチップを使用しながら高流量を計測することが可能な熱式流量センサを提供する。【解決手段】被測定用の流体が流れる流路8を形成する流路形成部材2を備える。流路形成部材2に設けられ、流路8を流路断面積が等しい第1~第4の分流部12~15に分ける分流板11を備える。流路形成部材2に設けられ、第1の分流部12に露出するセンサエレメント24を有するセンサチップ3を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、流体の流れを発達した流れとする流路を備えた熱式流量センサに関する。
流路を流れる流体の流量や流速を測定する技術が工業・医療分野などで幅広く利用されている。流量や流速を測定する装置としては、電磁流量計、渦流量計、コリオリ式流量計、熱式流量計など様々な種類があり、用途に応じて使い分けられている。熱式流量計は、気体も測定対象とすることも可能であり、質量流量が測定できるなどの利点がある(特許文献1)。
熱式流量計では、熱式流量センサの箇所を通過する流体が、この箇所より上流側において発達した流れであることが、精度良く流量を測定する上で重要となる。
特開2006-349577号公報
ここで、上述した流れが発達するために必要な助走距離を確保するため、熱式流量センサを設けた流路の前段に、従来、さらに配管やチューブなどをつなげていた。ところが、この取り付けのための継手の締め付け方や、取り付けた追加の管の微妙な曲がり具合が、測定精度・再現性に影響をもたらすという問題があった。特に、高流量域になると流速分布の乱れが大きくなるため、上述した追加の管による問題が、流量レンジ拡大の妨げになっていた。しかも、流路内にセンサチップが組み込まれた構造で高流量を測定する場合には、熱式流量センサのセンサチップを太い測定管の中央部まで延びるように形成しなければならないから、センサチップが大型化してしまうという問題もある。
測定管に配管やチューブをつなげることにより生じる不具合は、助走距離を熱式流量センサが含まれる製品内で確保することにより解消することができる。しかし、この構成を採ると、製品サイズが大きくなってしまうという新たな問題が生じる。
本発明の目的は、短い助走距離でしかも小型のセンサチップを使用しながら高流量を計測することが可能な熱式流量センサを提供することを目的とする。
この目的を達成するために本発明に係る熱式流量センサは、被測定用の流体が流れる流路を形成する流路形成部材と、前記流路形成部材に設けられ、前記流路を流路断面積が等しい複数の分流部に分ける少なくとも1つの分流板と、前記流路形成部材に設けられ、前記分流部に露出するセンサエレメントを有する少なくとも一つのセンサチップとを備えているものである。
本発明は、前記熱式流量センサにおいて、前記分流板は、互いに直交する少なくとも2つの板部材によって形成されていてもよい。
本発明は、前記熱式流量センサにおいて、前記流路形成部材は、前記流路の流路断面の形状が矩形となるように4つの流路壁を有し、前記センサチップは、前記4つの流路壁のうち、互いに隣り合う2つの前記流路壁を含む前記分流部について流量を測定するように配置されていてもよい。
本発明において、流路形成部材の流路を流れる流体の総流量は、1つの分流部を流れる流体の流量に分流部の数を乗じることにより求めることができる。
分流部を流れる流体の流れを発達した流れとするために必要な助走距離は、分流板を備えていない場合の流路における助走距離より短くなる。また、分流部を流れる流体の流量を測定するために必要なセンサチップは、分流板を備えていない場合の流路を流れる流体の流量を測定するために必要なセンサチップより小さくてよい。
したがって、本発明によれば、小型化を図りながら、助走距離を確保することが可能な熱式流量センサを提供することができる。
図1は、本発明に係る熱式流量センサの断面図である。 図2は、図1におけるII-II線断面図である。 図3は、分流板の変形例を示す熱式流量センサの断面図である。 図4は、複数のセンサチップを備えた熱式流量センサの断面図である。
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る熱式流量センサの一実施の形態を図1~図3を参照して詳細に説明する。
図1に示す熱式流量センサ1は、流路形成部材2にセンサチップ3を組み付けて構成されている。流路形成部材2は、断面形状が長方形となる角筒を構成する4つの流路壁4~7を有している。詳述すると、通路形成部材2は、断面形状である長方形の2つの長辺となる一対の第1および第2の流路壁4,5と、これらの第1および第2の流路壁4,5の両端どうしを接続する第3および第4の流路壁6,7とを有している。また、流路形成部材2は、これらの第1~第4の流路壁4~7によって囲まれた流路8を有している。
流路8には液体または気体からなる被測定用の流体が流される。第1の流路壁4と第2の流路壁5との間には、複数の分流板11が設けられている。この実施の形態においては、3枚の分流板11が設けられ、流路形成部材2の内部の流路8が3枚の分流板11によって第1~第4の分流部12~15に分けられている。
分流板11は、流路8を流路断面積が等しい複数の分流部(第1~第4の分流部12~15)に分けている。ここでいう流路断面積とは、上流側から見た流路8の断面積である。第1~第4の分流部12~15の個々の流路断面の形状は矩形である。分流板11は、図2に示すように、流路形成部材2の上流端2aから所定の長さだけ下流側に延びている。流体の流れる方向は、図2中に白抜きの矢印で示すように、図2において下から上に向かう方向である。流体の流れる方向における分流板11の長さが第1~第4の分流部12~15の長さに相当する。
図1に示すように、第1の流路壁4における第3の流路壁6と隣り合う部分には、センサチップ3が設けられている。センサチップ3は、図2に示すように、温度センサ21,22とヒータ23とを含むセンサエレメント24を有し、センサエレメント24が第1の流路壁4の壁面と同一平面上に位置して第1の分流部12に露出するように第1の流路壁4に組み付けられている。このセンサチップ3は、第1~第4の流路壁4~7のうち、互いに隣り合う2つの流路壁、すなわち第1の流路壁4と第3の流路壁6を含む第1の分流部12の流量を測定する。この場合、流路8の総流量(全ての分流部を流れる流体の総流量)は、第1の分流部12を流れる流体の流量に分流部の数を乗じることにより求めることができる。すなわち、第1の分流部12の流量を4倍することにより流路8の総流量を求めることができる。
第1の分流部12におけるセンサチップ3と流路形成部材2の上流端2aとの間の距離Lは、センサチップ3の直上を通過する流体の流れが発達した流れ(層流)となる助走距離と等しいか、それより僅かに長くなるように設定されている。助走距離は、第1の分流部12の流路断面の寸法に基づいて下記の式(1)により求めることができる。
助走距離=0.065ReD……(1)
式(1)において、Reはレイノルズ数である。レイノルズ数は、(D×Vm)/cstで求められる。
Dは矩形流路の場合、2ab/(a+b)である。aおよびbは、第1の分流部12の流路断面の辺の長さである。
Vmは断面平均速度[m/s]である。
cstは動粘度[m2/s]である。
第1の分流部12の助走距離は、流路形成部材2に分流板11が設けられていない場合の流路8の助走距離と較べると短くなる。
また、センサチップ3は、流路8の一側部に位置する第1の分流部12の流量を測定するように、第1の流路壁4における第3の流路壁6と隣接する端部に設けられているから、流路8の中央部の流量を測定する場合と較べて小型のものを使用することができる。
したがって、この実施の形態によれば、短い助走距離でしかも小型のセンサチップを使用しながら高流量を計測することが可能な熱式流量センサを提供することができる。
(分流板の変形例)
分流板は、図3に示すように構成することができる。図3において、図1および図2によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図3に示す分流板11は、第1および第2の流路壁4,5と平行に延びる第1の板部材11aと、第3および第4の流路壁6,7と平行に延びる第2~第4の板部材11b~11dとによって構成されている。第2~第4の板部材11b~11dは、第1の板部材11aとは直交している。
この実施の形態においては、流路8が第1~第4の板部材11a~11dによって8等分され、流路断面積が等しい第1~第8の分流部31~38に分けられている。
なお、第1の板部材11aと直交する板部材は、図3に示す例では3枚であるが、1枚でもよい。すなわち、分流板11は、互いに直交する少なくとも2つの板部材によって形成することができる。
分流板11を図3に示すように構成することにより、図1に示す形態を採る場合と較べて各分流部の通路断面積を更に小さくすることができるから、より一層小さい熱式流量センサを実現することができる。
(第2の実施の形態)
センサチップ3は、図4に示すように設置することができる。図4において、図1および図2によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する
図4に示すセンサチップ3は、第1の分流部12の流量を測定する位置と、第4の分流部15の流量を測定する位置とにそれぞれ設置されている。詳述すると、これらのセンサチップ3,3のうち一方のセンサチップ3は、第1の流路壁4と第3の流路壁6とを含む第1の分流部12について流量を測定するように第1の流路壁4に配置されている。他方のセンサチップ3は、第1の流路壁4と第4の流路壁7とを含む第4の分流部15について流量を測定するように第1の流路壁4に配置されている。すなわち、これら2つのセンサチップ3,3は、第1~第4の流路壁4~7のうち、互いに隣り合う2つの流路壁を含む分流部について流量を測定するように配置されている。
このように2つのセンサチップ3,3を使用することにより、測定精度が高くなるとともに、流量の測定において再現性が良い熱式流量センサを実現することができる。
1…熱式流量センサ、2…流路形成部材、3…センサチップ、4~7…第1~第4の流路壁、8…流路、11…分流板、11a~11d…第1~第4の板部材、12~15,31~34…第1~第4の分流部、24…センサエレメント、35~38…第5~第8の分流部。

Claims (3)

  1. 被測定用の流体が流れる流路を形成する流路形成部材と、
    前記流路形成部材に設けられ、前記流路を流路断面積が等しい複数の分流部に分ける少なくとも1つの分流板と、
    前記流路形成部材に設けられ、前記分流部に露出するセンサエレメントを有する少なくとも一つのセンサチップとを備えていることを特徴とする熱式流量センサ。
  2. 請求項1に記載の熱式流量センサにおいて、
    前記分流板は、互いに直交する少なくとも2つの板部材によって形成されていることを特徴とする熱式流量センサ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の熱式流量センサにおいて、
    前記流路形成部材は、前記流路の流路断面の形状が矩形となるように4つの流路壁を有し、
    前記センサチップは、前記4つの流路壁のうち、互いに隣り合う2つの前記流路壁を含む前記分流部について流量を測定するように配置されていることを特徴とする熱式流量センサ。
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