JP2023138245A - 二次電池、電池パック及び車両 - Google Patents

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惟子 小板橋
Yuiko Koitabashi
一臣 吉間
Kazuomi Yoshima
亜里 近藤
Ari Kondo
さやか 盛本
Sayaka Morimoto
哲也 笹川
Tetsuya Sasagawa
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Abstract

【課題】ガス発生及び抵抗上昇を抑制することが可能な二次電池、該二次電池を含む電池パック、並びに、該電池パックを含む車両を提供する。【解決手段】実施形態によれば、正極と、負極と、非水電解質とを含む二次電池が提供される。正極は、正極活物質含有層と、正極活物質含有層の少なくとも一部に形成される硫黄含有層とを含む。非水電解質は、硫黄含有イミド化合物及びスルトン化合物のうちの少なくとも1種からなるか、硫黄含有イミド化合物、スルトン化合物及びプロパンスルホン酸エステルのうちの少なくとも1種からなる硫黄含有化合物を含む。二次電池は、下記(1)式を満たす。1×10-6≦E/A≦9×10-4(1)(1)式において、Aは正極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量(g/m3)で、Eは非水電解質中の硫黄含有化合物の濃度(mol/L)。【選択図】 図1

Description

実施形態は、二次電池、電池パック及び車両に関する。
ニオブチタン酸化物を負極活物質として含む電極を二次電池に用いることが検討されている。この二次電池は、寿命性能に課題がある。その理由として、ガス発生、抵抗上昇などが挙げられる。
特開2021-144819号公報 国際公開第2013/137418号 国際公開第2013/145109号
Zeli WuらによるThe Roles of Sulfur-Containing Additives and Their Working Mechanism on the Temperature-Dependent Performances of Li-Ion Batteries,Journal of The Electrochemical Society,165(11)A2792-A2800(2018)
実施形態は、ガス発生及び抵抗上昇を抑制することが可能な二次電池、該二次電池を含む電池パック、並びに、該電池パックを含む車両を提供することを目的とする。
実施形態によれば、正極と、負極と、非水電解質とを含む二次電池が提供される。正極は、正極活物質含有層と、正極活物質含有層の少なくとも一部に形成される硫黄含有層とを含む。非水電解質は、硫黄含有イミド化合物及びスルトン化合物のうちの少なくとも1種からなるか、硫黄含有イミド化合物、スルトン化合物及びプロパンスルホン酸エステルのうちの少なくとも1種からなる硫黄含有化合物を含む。二次電池は、下記(1)式を満たす。
1×10-6≦E/A≦9×10-4 (1)
(1)式において、Aは正極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量(g/m3)で、Eは非水電解質中の硫黄含有化合物の濃度(mol/L)。
他の実施形態によれば、実施形態の二次電池を含む電池パックが提供される。
他の実施形態によれば、実施形態の電池パックを含む車両が提供される。
実施形態の二次電池を端子延出方向と垂直な方向に切断した断面図。 図1のA部の拡大断面図。 実施形態の二次電池の部分切欠断面図。 図3の電池についての側面図。 実施形態の二次電池の製造方法の一例を示す模式的な平面図。 実施形態の電池パックの分解斜視図。 図6の電池パックの電気回路を示すブロック図。 実施形態の二次電池が搭載された車両の例を示す模式図。 実施形態に係る車両の他の例を概略的に示した図。 実施例28の非水電解質のトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す図。 図10のTICにおけるピークP1付近の拡大図。 図10のTICにおける7~9Time/min付近の拡大図。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によれば、正極と、負極と、非水電解質とを含む二次電池が提供される。正極は、正極活物質含有層と、正極活物質含有層の少なくとも一部に形成される硫黄含有層とを含む。非水電解質は、硫黄含有イミド化合物及びスルトン化合物のうちの少なくとも1種からなるか、あるいは硫黄含有イミド化合物、スルトン化合物及びプロパンスルホン酸エステルのうちの少なくとも1種からなる硫黄含有化合物を含む。また、二次電池は下記(1)式を満たす。
1×10-6≦E/A≦9×10-4 (1)
(1)式において、Aは正極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量(g/m3)で、Eは非水電解質中の硫黄含有化合物の濃度(mol/L)である。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、非水電解質中に硫黄含有イミド化合物及びスルトン化合物のうちの少なくとも1種からなるか、あるいは硫黄含有イミド化合物、スルトン化合物及びプロパンスルホン酸エステルのうちの少なくとも1種からなる硫黄含有化合物(以下、硫黄含有化合物と称す)が存在していると、二次電池の寿命性能が改善されることを見出した。このメカニズムは以下の通りと推測される。高温時、特に高温でSOC(state of charge)が高い条件下では、非水電解質と正極との反応が進み、非水電解質の酸化分解が生じてガスが発生する。非水電解質中に硫黄含有化合物が存在すると、硫黄含有化合物が正極と反応して分解するため、非水電解質中の硫黄含有化合物以外の成分(例えば非水溶媒)と正極との反応を抑制することができる。また、正極活物質含有層の少なくとも一部に硫黄含有層が存在すると、正極と非水電解質との反応を抑制することができる。E/Aは、非水電解質中の硫黄含有化合物量と、正極活物質含有層における硫黄含有層量とのバランスを表している。例えば、Eが小さい又はAが大きいと、E/Aが小さくなる。また、Eが大きいあるいはAが小さいと、E/Aが大きくなる。それぞれの場合、非水電解質中の硫黄含有化合物と正極との反応よりも、非水電解質の硫黄含有化合物以外の成分と正極との反応が進むため、ガス発生または抵抗上昇が生じる。E/Aが(1)式の範囲を満たすことにより、高温かつ高SOC条件下での非水電解質中の硫黄含有化合物と正極との反応が進むため、高温かつ高SOC条件下での非水電解質の硫黄含有化合物以外の成分と正極との反応を抑えることができると共に、硫黄含有層による正極の保護機能を高めることができる。そのため、高温かつ高SOC条件下でのガス発生を抑制することができ、電池の抵抗上昇を抑えることができる。これにより、二次電池の寿命性能を向上することができる。
また、実施形態の二次電池において、負極が、負極活物質含有層と、負極活物質含有層の少なくとも一部に形成される硫黄含有層とを含み得る。この二次電池が下記(2)式を満たすことが望ましい。
2×10-6≦E/D≦3×10-4 (2)
(2)式において、Dは負極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量(g/m3)で、Eは非水電解質中の硫黄含有化合物の濃度(mol/L)。
(2)式を満たすことにより、二次電池の寿命性能をさらに向上することができる。このメカニズムは以下の通りと推測される。高温環境下では、正極と非水電解質との反応に加え、負極と非水電解質との反応も生じ得る。(2)式を満たすことにより、非水電解質中の硫黄含有化合物と負極との反応を促すことができるため、高温条件下での非水電解質の硫黄含有化合物以外の成分と負極との反応を抑えることができると共に、硫黄含有層による負極の保護機能を高めることができるため、高温条件下でのガス発生を抑制することができ、電池の抵抗上昇を抑えることができる。これにより、二次電池の寿命性能を向上することができる。
以下、正極、負極、硫黄含有層、及び非水電解質について説明する。また、実施形態の二次電池は、これらの部材に加え、セパレータと外装部材を備えていても良い。これらの構成についても以下に説明する。
1)正極
正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。正極活物質含有層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極活物質含有層は、正極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
正極活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。正極は、正極活物質として、1種類の化合物を単独で含んでいてもよく、或いは2種類以上の化合物を組み合わせて含んでいてもよい。酸化物及び硫化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24又はLixMnO2;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4;0<x≦1、LixFe1-yMnyPO4;0<x≦1、0<y≦1、LixCoPO4;0<x≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV25)、LiNixCoyz2(x+y+z=1、x≧0.8、MはMnおよびAlからなる)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。
上記のうち、正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24;0<x≦1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(LixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4;0<x≦1、LixFe1-yMnyPO4;0<x≦1、0<y≦1、LixCoPO4;0<x≦1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、電池電圧を高めることができる。LixNi1-y-zCoyMnz2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物において、y及びzが0<y+z≦0.2であるものは、高いエネルギー密度を実現することができる。
正極活物質の一次粒径は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。一次粒径が100nm以上の正極活物質は、工業生産上の取り扱いが容易である。一次粒径が1μm以下の正極活物質は、リチウムイオンの固体内拡散をスムーズに進行させることが可能である。
正極活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。0.1m2/g以上の比表面積を有する正極活物質は、Liイオンの吸蔵・放出サイトを十分に確保できる。10m2/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
結着剤は、分散された正極活物質の間隙を埋め、また、正極活物質と正極集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、正極活物質と正極集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック及び黒鉛のような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。また、導電剤を省略することもできる。
正極活物質含有層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
結着剤の量を2質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を20質量%以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。
導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上95質量%以下、2質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。
導電剤の量を3質量%以上にすることにより、上述した効果を発揮することができる。また、導電剤の量を15質量%以下にすることにより、電解質と接触する導電剤の割合を低くすることができる。この割合が低いと、高温保存下において、電解質の分解を低減することができる。
正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99質量%以上であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、及びクロムなどの遷移金属の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
また、正極集電体は、その表面に正極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、正極集電タブとして働くことができる。
正極は、例えば、正極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、活物質含有層と集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、正極を作製する。或いは、正極は、次の方法により作製してもよい。まず、活物質、導電剤及び結着剤を混合して、混合物を得る。次いで、この混合物をペレット状に成形する。次いで、これらのペレットを集電体上に配置することにより、正極を得ることができる。
2)負極
負極は、集電体と負極活物質含有層とを含むことができる。負極活物質含有層は、集電体の片面又は両面に形成され得る。負極活物質含有層は、負極活物質と、任意に導電剤及び結着剤とを含むことができる。
負極活物質は、リチウムまたはリチウムイオンを吸蔵放出できるものであれば特に限定されない。使用する負極活物質の種類も1種類または2種類以上にすることができる。負極活物質の例には、チタン含有酸化物及び炭素材料が挙げられる。チタン含有酸化物の例として、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi37、0≦y≦3)、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えば、Li4+xTi512、0≦x≦3)、単斜晶型二酸化チタン(TiO2)、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、ホランダイト型チタン複合酸化物、直方晶型(orthorhombic)チタン複合酸化物、ニオブチタン複合酸化物が挙げられる。チタン含有酸化物のリチウムイオンの吸蔵放出電位は0.4V(vs.Li/Li+)以上である。
上記直方晶型チタン含有複合酸化物の例として、Li2+aM(I)2-bTi6-cM(II)d14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、M(I)は、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。M(II)はZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、-0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+aNa2Ti614(0≦a≦6)が挙げられる。
上記ニオブチタン複合酸化物の例として、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物が挙げられる。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の例として、LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表される化合物が挙げられる。ここで、M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、-0.3≦δ≦0.3である。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の具体例として、LixNb2TiO7(0≦x≦5)が挙げられる。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の他の例として、LixTi1-yM3y+zNb2-z7-δで表される化合物が挙げられる。ここで、M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoより選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、-0.3≦δ≦0.3である。
炭素材料の例として、黒鉛、ハードカーボンなどを挙げることができる。負極に炭素材料を用いるとき、負極集電体に銅箔が用いられる。
負極活物質のうち、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、リチウムイオンの吸蔵放出電位が1.0V(vs.Li/Li+)付近であるため、硫黄含有化合物との分解反応を適度に生じさせることができる。なお、チタン酸リチウムのリチウムイオンの吸蔵放出電位は1.4V(vs.Li/Li+)付近であり、炭素材料のリチウムイオンの吸蔵放出電位は0V(vs.Li/Li+)付近である。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、カーボンナノチューブ、アセチレンブラックなどのカーボンブラック及び黒鉛のような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。あるいは、導電剤を用いる代わりに、活物質粒子の表面に、炭素コートや電子導電性無機材料コートを施してもよい。
結着剤は、分散された活物質の間隙を埋め、また、活物質と集電体を結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
活物質含有層中の活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、一例として、負極活物質、導電剤及び結着剤を、それぞれ、68質量%以上96質量%以下、2質量%以上30質量%以下及び2質量%以上30質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤の量を2質量%以上とすることにより、活物質含有層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の量を2質量%以上とすることにより、活物質含有層と集電体との結着性が十分となり、優れたサイクル性能を期待できる。一方、導電剤及び結着剤はそれぞれ30質量%以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。
集電体は、活物質にリチウム(Li)が挿入及び脱離される電位において電気化学的に安定である材料が用いられる。負極活物質にリチウムイオンの吸蔵放出電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上のものを用いる場合の集電体の一例は、銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金である。集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。このような厚さを有する集電体は、電極の強度と軽量化のバランスをとることができる。
また、集電体は、その表面に負極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、負極集電タブとして働くことができる。
負極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、活物質含有層と集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、負極を作製する。或いは、負極は、次の方法により作製してもよい。まず、活物質、導電剤及び結着剤を混合して、混合物を得る。次いで、この混合物をペレット状に成形する。次いで、これらのペレットを集電体上に配置することにより、負極を得ることができる。
3)硫黄含有層
硫黄含有層は、正極活物質含有層の表面の少なくとも一部に存在する。硫黄含有層は、負極活物質含有層の表面の少なくとも一部に存在していても良い。
硫黄含有層は、硫黄含有イミド化合物、及び、スルトン化合物のうちの少なくとも1種からなるか、硫黄含有イミド化合物、スルトン化合物及びプロパンスルホン酸エステルのうちの少なくとも1種からなる硫黄含有化合物が、正極活物質含有層又は負極活物質含有層において分解することにより形成される。
硫黄含有イミド化合物の例として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(フルオロメタンスルホニル)アミド(LiFSA)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(LiTFSA)が挙げられる。硫黄含有化合物は、これらの化合物からなる群より選択される1種を含んでいてもよく、2種以上を混合して含んでいてもよい。
スルトン化合物の例として、1,3-プロパンスルトン(PS)、1,4-ブタンスルトン、1,3-プロペンスルトン、2,4-ブタンスルトンなどが挙げられる。硫黄含有化合物は、これらの化合物からなる群より選択される1種を含んでいてもよく、2種以上を混合して含んでいてもよい。
硫黄含有化合物のうち好ましいのは、スルトン化合物である。電解質が分解反応をするよりも前に硫黄含有化合物が分解反応を起こし、ガス発生抑制になるが、その分解電位はスルトン化合物が適切であるからである。
硫黄含有層は、硫黄原子(S)に加え、他の種類の原子を含んでいても良い。他の種類の原子の例として、酸素原子(O)、炭素原子(C)などが挙げられる。
硫黄含有層が正極活物質含有層の少なくとも一部に形成される場合、硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量(g/m3)Aは、0(g/m3)より大きく3500(g/m3)以下の範囲にすることができる。Aを上記範囲にすることにより、正極によるリチウムイオンの吸蔵放出を硫黄含有層が阻害することなく、正極抵抗の上昇を抑制することができる。Aの上限値の好ましい値は3260(g/m3)である。硫黄含有層による正極の保護機能を十分にするため、Aの下限値は430(g/m3)にすることが望ましい。
硫黄含有層が負極活物質含有層の少なくとも一部に形成される場合、硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量(g/m3)Dは、0(g/m3)より大きく6600(g/m3)以下の範囲にすることができる。Dを上記範囲にすることにより、負極によるリチウムイオンの吸蔵放出を硫黄含有層が阻害することなく、負極抵抗の上昇を抑制することができる。Dの上限値の好ましい値は4720(g/m3)である。硫黄含有層による負極の保護機能を十分にするため、Dの下限値は700(g/m3)にすることが望ましい。
4)非水電解質
非水電解質は、硫黄含有イミド化合物及びスルトン化合物のうちの少なくとも1種からなるか、硫黄含有イミド化合物、スルトン化合物及びプロパンスルホン酸エステルのうちの少なくとも1種からなる硫黄含有化合物を含む。
非水電解質としては、例えば液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、電解質塩と、電解質塩を溶解可能な有機溶媒と、硫黄含有化合物とを含む。電解質塩の濃度は、0.5mol/L以上2.5mol/L以下であることが好ましい。硫黄含有化合物は、電解質塩または有機溶媒を兼ねていても良い。
硫黄含有イミド化合物、スルトン化合物は、それぞれ、電解質塩または有機溶媒としての機能を備えるものでも、備えていないものでもよい。硫黄含有イミド化合物、及び、スルトン化合物の例は、硫黄含有層において述べた通りである。
非水電解質中の硫黄含有化合物の濃度(mol/L)Eは、0(mol/L)より大きく4.5×10-1(mol/L)以下の範囲にすることができる。Eを上記範囲にすることにより、非水電解質のイオン伝導性を適切な範囲に収めることができる。Eの上限値の好ましい値は、1.6×10-1(mol/L)である。ガス発生と抵抗上昇を抑制する効果を高めるため、Eの下限値は8.2×10-2(mol/L)にすることが望ましい。
電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、LiTFSI、及びLiFSIのようなリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。電解質塩は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF6が最も好ましい。
有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)、プロピオンメチルカーボネート(propione methyl carbonate;PMC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)、プロピオン酸エチル(ethyl propionate;EP)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。
ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide;PEO)、又はこれらの混合物が含まれる。
或いは、非水電解質としては、液状非水電解質及びゲル状非水電解質の他に、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、高分子固体電解質、及び無機固体電解質等を用いてもよい。
実施形態の二次電池に含まれる非水電解質は、プロパンスルホン酸エステルをさらに含んでいても良い。これにより、高温貯蔵時、高温でSOCが高い条件でのガス発生を抑制する効果を高めることができるため、電池の抵抗上昇をさらに抑えることができる。その結果、二次電池の寿命性能をさらに向上することができる。プロパンスルホン酸エステルの例に、プロパンスルホン酸メチル、プロパンスルホン酸エチル及びプロパンスルホン酸プロピルよりなる群から選択される少なくとも1種が含まれる。
非水電解質は、硫黄含有化合物としてスルトン化合物とプロパンスルホン酸エステルを含有していても良い。非水電解質のガスクロマトグラフィー-重量分析(GC-MS:gas chromatograph-mass spectrometry)によるトータルイオンクロマトグラムにおいて、スルトン化合物のピーク面積値Aを10とした際に、プロパンスルホン酸エステルのピーク面積値Bが0.01以上40以下であることが望ましい。ピーク面積値Bを0.01以上40以下にすることにより、二次電池の抵抗値を低い値に抑えつつ、二次電池を高温下、高温でSOCが高い条件で使用した際のガス発生量を抑制することができる。ピーク面積値Bのより好ましい範囲は0.2以上20以下である。ガスクロマトグラフィー-重量分析の方法は、後述する。
5)セパレータ
セパレータは、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。安全性の観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔質フィルムを用いることが好ましい。これらの多孔質フィルムは、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能なためである。
セパレータとして、無機固体電解質を含む電解質層を用いても良い。リチウムイオン伝導性無機固体電解質としては、例えば、リチウムイオン伝導性の酸化物系固体電解質、リチウムイオン伝導性の硫化物系固体電解質を挙げることができる。リチウムイオン伝導性の酸化物系固体電解質としては、NASICON型構造のリチウムリン酸固体電解質、アモルファス状のLIPON(Li2.9PO3.30.46)、又は、ガーネット型構造のLLZ(Li7La3Zr212)などを挙げることができる。
6)外装部材
外装部材としては、例えば、ラミネートフィルムからなる容器、又は金属製容器を用いることができる。
ラミネートフィルムの厚さは、例えば、0.5mm以下であり、好ましくは、0.2mm以下である。
ラミネートフィルムとしては、複数の樹脂層とこれらの樹脂層間に介在した金属層とを含む多層フィルムが用いられる。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)等の高分子材料を含んでいる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなることが好ましい。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形され得る。
金属製容器の壁の厚さは、例えば、1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは、0.2mm以下である。
金属製容器は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、及びケイ素等の元素を含むことが好ましい。アルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル、及びクロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は100質量ppm以下であることが好ましい。
外装部材の形状は、特に限定されない。外装部材の形状は、例えば、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、又はボタン型等であってもよい。外装部材は、電池寸法や電池の用途に応じて適宜選択することができる。
硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量(g/m3)、非水電解質中の硫黄含有化合物の濃度(mol/L)の測定方法を以下に説明する。
充電状態(SOC:State of Charge)が50%の二次電池の外装部材を開封して電極群を取り出す。電極群を一つに束ねている治具(テープなど)を外し、最外層がセパレータの場合にはセパレータをめくって1層目の電極(例えば負極)を取り出す。さらにセパレータをめくり1層目の電極(例えば正極)を取り出す。セパレータをめくって電極を取り出す操作を繰り返し、電極群を構成している全ての正極と負極を取り出す。取り出した電極及びセパレータを遠心分離器にかけて非水電解質を抽出する。非水電解質中の硫黄含有化合物の濃度は、ICP(誘導結合プラズマ;Inductively Coupled Plasma)発光分析で測定される。
一方、硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子質量を測定する場合には、上記遠心分離器にかけた正極及び負極それぞれをメチルエチルカーボネート(MEC)で洗浄し、真空乾燥する。各電極を一定面積(2×2cm2)に打ち抜き、一定量の純水(10cc)を添加して超音波照射を30min以上行う。その抽出液をICPで分析して抽出液中のS量を測定することで、各電極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子質量を得る。
非水電解質のガスクロマトグラフィー-重量分析(gas chromatograph-mass spectrometry:GC-MS)について説明する。
上述の方法で抽出した非水電解質をアセトニトリルで20倍の体積に希釈し、測定試料とする。測定試料に対し、下記表1Aに示す条件でGCMS測定を行う。
測定試料の質量スペクトルから、測定試料に含まれている成分を同定することができる。例えば、質量スペクトルにおいて、m/zが122.65と58の位置に表れるピークは、プロパンスルトンに由来する。また、質量スペクトルにおいて、m/zが124、111及び83の位置に表れるピークは、プロパンスルホン酸エチルに由来する。
質量スペクトルの結果に基づき、測定試料のトータルイオンクロマトグラム(total ion chromatogram:TIC)において、プロパンスルトンのようなスルトン化合物のピーク面積値Aと、プロパンスルホン酸エチルのようなプロパンスルホン酸エステルのピーク面積値Bを求める。ピーク面積値Aを10とした場合のピーク面積値Bを算出する。
実施形態の二次電池の例を図1~図4を参照して説明する。
図1及び図2に、ラミネートフィルム製外装部材を用いた二次電池の一例を示す。
図1及び図2に示すように、扁平状の捲回電極群1は、2枚の樹脂フィルムの間に金属層を介在したラミネートフィルムからなる袋状外装部材12内に収納されている。扁平状の捲回電極群1は、外側から負極4、セパレータ5、正極3、セパレータ5の順で積層した積層物を短辺方向に平行な軸を中心にして渦巻状に捲回し、この積層物をプレス成型することにより形成される。最外層の負極4は、図2に示すように負極集電体4aの内面側の片面に負極活物質を含む負極層(負極活物質含有層)4bを形成した構成を有し、その他の負極4は、負極集電体4aの両面に負極層4bを形成して構成されている。正極3は、正極集電体3aの両面に正極層(正極活物質含有層)3bを形成して構成されている。
捲回電極群1の外周端近傍において、負極端子13は最外層の負極4の負極集電体4aに接続され、正極端子14は内側の正極3の正極集電体3aに接続されている。これらの負極端子13および正極端子14は、袋状外装部材12の開口部から外部に延出されている。袋状外装部材12の開口部をヒートシールすることにより捲回電極群1を密封している。ヒートシールする際、負極端子13および正極端子14は、この開口部にて袋状外装部材12により挟まれる。なお、硫黄含有層15は、正極活物質含有層3bの表面の一部に形成され、セパレータ5と接している。
図3及び図4に、金属製容器を用いた二次電池の一例を示す。
電極群1は、矩形筒状の金属製容器2内に収納されている。電極群1は、例えば、正極3及び負極4がこれらの間にセパレータ5を介在させつつ、これらの短辺方向に平行な軸を中心にして偏平型の渦巻き状に捲回されることにより形成される。硫黄含有層は、図示を省略するが、正極活物質含有層3bの表面の一部に形成され、セパレータ5と接している。図4に示すように、電極の積層方向と交差する電極群1の端面に位置する正極3の端部の複数個所それぞれに帯状の正極リード6が電気的に接続されている。また、この端面に位置する負極4の端部の複数個所それぞれに帯状の負極リード7が電気的に接続されている。この複数ある正極リード6は、一つに束ねられた状態で正極集電タブ8と電気的に接続されている。正極リード6と正極集電タブ8から正極端子が構成されている。また、負極リード7は、一つに束ねられた状態で負極集電タブ9と接続されている。負極リード7と負極集電タブ9から負極端子が構成されている。金属製の封口板10は、金属製容器2の開口部に溶接等により固定されている。正極集電タブ8及び負極集電タブ9は、それぞれ、封口板10に設けられた取出穴から外部に引き出されている。封口板10の各取出穴の内周面は、正極集電タブ8及び負極集電タブ9との接触による短絡を回避するために、絶縁部材11で被覆されている。実施形態の二次電池の製造方法を図5を参照して説明する。図5は、ラミネートフィルムからなる袋状外装部材を用いた二次電池の製造方法の概略を示す模式図である。
まず、硫黄含有層未形成の正極3と、硫黄含有層未形成の負極4の間にセパレータ5を配置して電極群1を作製する。電極群1の正極3には正極端子14を電気的に接続し、電極群1の負極4に負極端子13を電気的に接続する。
正負極端子13,14を有する電極群1を、ラミネートフィルムからなる袋状外装部材12内に収納した後、第1端部21aを除いた他の端部21bを熱融着により封止する。次いで、袋状外装部材12内に第1端部21aから非水電解質を注入し、減圧下で第1端部21aを熱融着で封止する。これにより、第1封止がなされた二次電池30を得る。
次いで、第1封止がなされた二次電池30に、室温(例えば25℃)で初回充放電を行い、その後、エージングを室温以上の温度で実施する。エージングの温度は、例えば30℃以上80℃以下の範囲にすることができる。初回充放電とエージングを経ることにより、正極活物質含有層3bの表面の少なくとも一部に、硫黄含有層15が形成される。この際、電池の充電状態(SOC:State of Charge)、負極電位、エージング温度と時間等を調整することで、負極活物質含有層4bの表面の少なくとも一部に硫黄含有層を形成することができる。
エージング後、二次電池30の温度を常温に戻した後、アルゴン雰囲気中で、第1端部21aよりも内側で未封止の切断線22に沿って袋状外装部材12を切断して開封し、袋状外装部材12内のガスを外部に放出させる。なお、袋状外装部材12から切断線22に沿って切り取った部分を符号23で示す。
次いで、硫黄含有化合物か、あるいは硫黄含有化合物を含む非水電解質を、袋状外装部材12内に供給し、切断線22に沿った端部24を減圧下(例えば-90kPa)で封止する第2封止を行う。硫黄含有層の形成により、非水電解質中の硫黄含有化合物が消費されるが、その後、硫黄含有化合物か、あるいは硫黄含有化合物を含む非水電解質を補充することにより、非水電解質中の硫黄含有化合物の濃度を目的範囲に設定することができる。従って、初充放電工程あるいはエージング工程での温度、時間あるいはSOCなどの条件、硫黄含有化合物の補充量、などの製造条件を調整することにより、E/Aを目的範囲内に設定することができる。これにより、実施形態の二次電池31が得られる。
実施形態の二次電池の非水電解質に、プロパンスルホン酸エステルを含有させる場合、上述の方法におけるエージングの温度を、95℃より高く、かつ120℃以下の範囲にすることが望ましい。これにより、プロパンスルトンのようなスルトン化合物と有機溶媒との反応を促進してプロパンスルホン酸エステルの生成を促すことができる。プロパンスルホン酸エチルは、例えば、DEC及び/又はEPを含む有機溶媒とスルトン化合物を用いることによって得ることができる。プロパンスルホン酸メチルは、例えば、MECを含む有機溶媒とスルトン化合物を用いることによって得ることができる。一方、プロパンスルホン酸プロピルは、例えば、PCを含む有機溶媒とスルトン化合物を用いることによって得ることができる。また、エージング工程で消費されたスルトン化合物を補うため、スルトン化合物か、あるいはスルトン化合物を含む非水電解質を補充することにより、非水電解質中の硫黄含有化合物の濃度を目的範囲に設定することができる。
上記方法の代わりに、以下の方法によって非水電解質にプロパンスルホン酸エステルを含有させても良い。すなわち、上記方法における第1封止がなされる前の初回に注入する非水電解質にプロパンスルホン酸エステルを含有させることによって、非水電解質にプロパンスルホン酸エステルを含有させることができる。この場合、ガス放出後、スルトン化合物の補充を省略することができる。
以上説明した第1の実施形態の二次電池によれば、(1)式(1×10-6≦E/A≦9×10-4 を満たすため、高温下でのガス発生量と抵抗上昇を抑制することができ、高温においても優れた寿命性能を実現することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る電池パックは、実施形態に係る二次電池(単電池)を1個又は複数個具備することができる。複数の二次電池は、電気的に直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて接続され、組電池を構成することもできる。実施形態に係る電池パックは、複数の組電池を含んでいてもよい。
実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用することもできる。
また、実施形態に係る電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、二次電池からの電流を外部に出力するため、及び二次電池に電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車等の車両の動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
図6及び図7に、電池パック50の一例を示す。この電池パック50は、図6に示した構造を有する扁平型電池を複数含む。図6は電池パック50の分解斜視図であり、図7は図6の電池パック50の電気回路を示すブロック図である。
複数の単電池51は、外部に延出した負極端子13及び正極端子14が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ52で締結することにより組電池53を構成している。これらの単電池51は、図7に示すように電気的に直列に接続されている。
プリント配線基板54は、負極端子13および正極端子14が延出する単電池51側面と対向して配置されている。プリント配線基板54には、図7に示すようにサーミスタ(Thermistor)55、保護回路(Protective circuit)56および通電用の外部端子としての外部機器への通電用の外部端子57が搭載されている。なお、プリント配線基板54が組電池53と対向する面には、組電池53の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
正極側リード58は、組電池53の最下層に位置する正極端子14に接続され、その先端はプリント配線基板54の正極側コネクタ59に挿入されて電気的に接続されている。負極側リード60は、組電池53の最上層に位置する負極端子13に接続され、その先端はプリント配線基板54の負極側コネクタ61に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ59,61は、プリント配線基板54に形成された配線62,63を通して保護回路56に接続されている。
サーミスタ55は、単電池51の温度を検出し、その検出信号は保護回路56に送信される。保護回路56は、所定の条件で保護回路56と通電用の外部端子としての外部機器への通電用端子57との間のプラス側配線64aおよびマイナス側配線64bを遮断できる。所定の条件とは、例えばサーミスタ55の検出温度が所定温度以上になったときである。また、所定の条件とは単電池51の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単電池51もしくは単電池51全体について行われる。個々の単電池51を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単電池51中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図6および図7の場合、単電池51それぞれに電圧検出のための配線65を接続し、これら配線65を通して検出信号が保護回路56に送信される。
正極端子14および負極端子13が突出する側面を除く組電池53の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート66がそれぞれ配置されている。
組電池53は、各保護シート66およびプリント配線基板54と共に収納容器67内に収納される。すなわち、収納容器67の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート66が配置され、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板54が配置される。組電池53は、保護シート66およびプリント配線基板54で囲まれた空間内に位置する。蓋68は、収納容器67の上面に取り付けられている。
なお、組電池53の固定には粘着テープ52に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
図6、図7では単電池51を直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには並列に接続してもよい。あるいは、直列接続と並列接続を組合せてもよい。組み上がった電池パックをさらに直列または並列に接続することもできる。
また、図6及び図7に示した電池パックは組電池を一つ備えているが、実施形態に係る電池パックは複数の組電池を備えるものでもよい。複数の組電池は、直列接続、並列接続、又は直列接続と並列接続の組合せにより、電気的に接続される。
また、電池パックの態様は用途により適宜変更される。実施形態に係る電池パックは、大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に好適に用いられる。具体的には、デジタルカメラの電源として、または、例えば二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、あるいは鉄道用車両(例えば電車)などの車両用電池、または定置用電池として用いられる。特に、車両に搭載される車載用電池として好適に用いられる。
以上説明した第2の実施形態の電池パックは、実施形態の二次電池を備えるため、高温下でのガス発生及び電池抵抗の上昇を抑制することができ、高温においても優れた寿命性能を実現することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の車両は、実施形態の二次電池を1又は2以上含むか、あるいは実施形態の電池パックを含む。
第3実施形態に係る電池パックを搭載した自動車等の車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものであると良い。また、車両は、車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含んでいても良い。
図8に、実施形態に係る一例の電池パックを具備した自動車の一例を示す。
図8に示す自動車71は、車体前方のエンジンルーム内に、実施形態に係る一例の電池パック72を搭載している。自動車における電池パックの搭載位置は、エンジンルームに限られない。例えば、電池パックは、自動車の車体後方又は座席の下に搭載することもできる。
図9は、実施形態に係る車両の一例の構成を概略的に示した図である。図9に示した車両300は、電気自動車である。
図9に示す車両300は、車両用電源301と、車両用電源301の上位制御手段である車両ECU(ECU:Electric Control Unit、電気制御装置)380と、外部端子370と、インバータ340と、駆動モータ345とを備えている。
車両300は、車両用電源301を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。しかしながら、図9では、車両300への二次電池の搭載箇所は概略的に示している。
車両用電源301は、複数(例えば3つ)の電池パック312a、312b及び312cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)311と、通信バス310と、を備えている。
3つの電池パック312a、312b及び312cは、電気的に直列に接続されている。電池パック312aは、組電池314aと組電池監視装置(VTM:Voltage Temperature Monitoring)313aと、を備えている。電池パック312bは、組電池314bと組電池監視装置313bと、を備えている。電池パック312cは、組電池314cと組電池監視装置313cと、を備えている。電池パック312a、312b、及び312cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パックと交換することができる。
組電池314a~314cのそれぞれは、直列に接続された複数の二次電池を備えている。各二次電池は、実施形態に係る二次電池である。組電池314a~314cは、それぞれ、正極端子316及び負極端子317を通じて充放電を行う。
電池管理装置311は、車両用電源301の保全に関する情報を集めるために、車両用電源301に含まれる組電池314a~314cの二次電池の電圧、温度などの情報を組電池監視装置313a~313cとの間で通信を行い収集する。
電池管理装置311と組電池監視装置313a~313cとの間には、通信バス310が接続されている。通信バス310は、1組の通信線を複数のノード(電池管理装置と1つ以上の組電池監視装置と)で共有するように構成されている。通信バス310は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
組電池監視装置313a~313cは、電池管理装置311からの通信による指令に基づいて、組電池314a~314cを構成する個々の二次電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての二次電池の温度を測定しなくてもよい。
車両用電源301は、正極端子と負極端子との接続を入り切りするための電磁接触器(例えば図9に示すスイッチ装置333)を有することもできる。スイッチ装置333は、組電池314a~314cへの充電が行われるときにオンするプリチャージスイッチ(図示せず)、電池出力が負荷へ供給されるときにオンするメインスイッチ(図示せず)を含む。プリチャージスイッチおよびメインスイッチは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオンおよびオフされるリレー回路(図示せず)を備える。
インバータ340は、入力した直流電圧をモータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ340は、後述する電池管理装置311あるいは車両全体動作を制御するための車両ECU380からの制御信号に基づいて、出力電圧が制御される。インバータ340の3相の出力端子は、駆動モータ345の各3相の入力端子に接続されている。
駆動モータ345は、インバータ340から供給される電力により回転し、その回転を例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達する。
また、図示はしていないが、車両300は、車両300を制動した際に駆動モータ345を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する回生ブレーキ機構を備えている。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ340に入力され、直流電流に変換される。直流電流は、車両用電源301に入力される。
車両用電源301の負極端子317には、接続ラインL1の一方の端子が、電池管理装置311内の電流検出部(図示せず)を介して接続されている。接続ラインL1の他方の端子は、インバータ340の負極入力端子に接続されている。
車両用電源301の正極端子316には、接続ラインL2の一方の端子が、スイッチ装置333を介して接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ340の正極入力端子に接続されている。
外部端子370は、後述する電池管理装置311に接続されている。外部端子370は、例えば、外部電源に接続することができる。
車両ECU380は、運転者などの操作入力に応答して電池管理装置311を他の装置と協調制御して、車両全体の管理を行なう。電池管理装置311と車両ECU380との間で、通信線により、車両用電源301の残容量等の車両用電源301の保全に関するデータ転送が行われる。
実施形態の車両によれば、実施形態に係る二次電池を含む電池パックを含み、該電池パック(例えば312a、312b及び312cの電池パック)は、寿命性能に優れているため、充放電性能に優れ、且つ信頼性の高い車両が得られる。さらに、それぞれの電池パックは安価で安全性が高いため、車両のコストを抑え、且つ安全性を高めることができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明するが、本発明は以下に掲載される実施例に限定されるものでない。
(実施例1)
以下の手順で、二次電池を作製した。
<正極の作製>
正極活物質として、リチウムニッケル複合酸化物(LiNi0.8Co0.1Mn0.12)粉末を準備した。導電剤として、アセチレンブラックを準備した。結着剤として、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を準備した。次に、正極活物質、導電剤及び結着剤を、90重量部:10重量部:10重量部の割合で、N-メチルピロリドン(NMP)に加えて混合し、正極スラリーを調製した。この正極スラリーを、厚さが15μmであるアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した。次いで、120℃の恒温槽内で塗膜を乾燥させて正極活物質含有層を形成し、正極活物質含有層をプレスし、正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質として、ニオブチタン複合酸化物(Nb2TiO7)粉末を準備した。ニオブチタン複合酸化物の平均二次粒子径は、7.5μmであった。ニオブチタン複合酸化物の比表面積は、4.0m2/gであった。また、導電剤としてアセチレンブラックを準備し、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を準備した。次に、負極活物質、導電剤及び結着剤を、90重量部:10重量部:10重量部の割合で、N-メチルピロリドン(NMP)に加えて混合し、負極スラリーを調製した。この負極スラリーを、厚さが15μmであるアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した。次いで、120℃の恒温槽内で塗膜を乾燥させて負極活物質含有層を形成し、負極活物質含有層をプレスし、負極を得た。
<電極群の作製>
セパレータとして、厚さが25μmであるポリエチレン製の2枚の不織布を準備した。次いで、正極、セパレータ、負極、セパレータをこの順で積層し、積層体を得た。次いで、この積層体を渦巻き状に捲回した。これを80℃で加熱プレスすることにより、偏平状電極群を作製した。電極群の正極に正極端子を電気的に接続した。また、電極群の負極に負極端子を電気的に接続した。
<電極群の収納>
ナイロン層/アルミニウム層/ポリエチレン層の3層構造を有し、厚さが0.1mmであるラミネートフィルムからなる容器を準備した。この容器に、先のように作製した電極群を収納した。次いで、容器の周縁部の一部を開放した状態で、容器内部を80℃で16時間、真空中で乾燥させた。
<液状非水電解質の調製>
プロピレンカーボネート(PC)及びジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:2)に、電解質としてLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた。更に、硫黄含有化合物として、1,3-プロパンスルトン(PS)を非水電解質中の濃度が0.5重量%となるように溶解させた。かくして、液状非水電解質(非水電解液)を得た。非水電解質の調製は、アルゴンボックス内で実施した。この段階での液状非水電解質の組成が、二次電池製造後の最終組成である。
<電池の作製>
電極群を収納した容器内に非水電解液を注入した。次いで、容器の周縁部の開放していた部分をヒートシールして、容器を密閉した。これにより、正負極端子(正負極タブとも称す)を含まない外形寸法が11cm×8cm×0.3cmであり、内形寸法(密封された部分の寸法)が9cm×7cm×0.25cmである電池を得た。この電池を第1封止済み電池と称する。
<初充電>
第1封止済み電池を、25℃の環境下で、以下の手順で初充電に供した。まず、第1封止済み電池を、3Vの電圧に達するまで0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、第1封止済み電池を、3Vの定電圧(CV)で充電した。定電圧充電は、定電流充電と定電圧充電との合計時間が10時間に達した時点で終了した。
<初回放電>
次に、第1封止済み電池を、25℃の環境下で、電圧が1.5Vに達するまで、0.2Cの定電流(CC)で放電した。
<後処理>
次に、第1封止済み電池を、25℃の環境下で3Vの電圧に達するまで、0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、第1封止済み電池を、電流値が1/20Cとなるまで3Vの定電圧(CV)で充電した。すなわち、第1封止済み電池を定電流定電圧(CCCV)充電に供した。その結果、第1封止済み電池のSOCは(100%)であった。この第1封止済み電池を80℃の恒温槽に入れ、24時間保持することでエージングを実施した。その後、アルゴンボックス中に第1封止済み電池を入れ、外装部材の封止部の1箇所を図5を参照して説明した方法で切断して外装部材内のガスを抜いた。初回充放電前と同じ濃度になるように液状非水電解質を追加し、切断により開放した端部をヒートシールで封止した。こうして、実施例1に係る二次電池を作製した。後処理で添加した液状非水電解質の組成を表5に示す。
(実施例2,3,6-20,22-24,26,27)
正極活物質の組成、負極活物質の組成、非水電解質の組成、E/A、E/D、正極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量A(g/m3)、負極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量D(g/m3)、非水電解質の硫黄含有化合物の濃度E(mol/L)、後処理で添加する非水電解質の組成を下記表1-表6に示すように設定すること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。なお、実施例で使用する正極活物質LiMn24はスピネル型の結晶構造を有する。一方、LiFePO4はオリビン型結晶構造を有する。
(実施例4)
正極活物質の組成、負極活物質の組成、非水電解質の組成、E/A、E/D、正極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量A(g/m3)、負極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量D(g/m3)、非水電解質の硫黄含有化合物の濃度E(mol/L)、後処理で添加する非水電解質の組成を下記表1と表3と表5に示すように設定すると共に、エージング条件を変更すること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
実施例4のエージング条件は以下の通りである。すなわち、第1封止済み電池を、電流値が1/20Cとなるまで3.3Vの定電圧(CV)で充電した。この第1封止済み電池を80℃の恒温槽に入れ、24時間保持することでエージングを実施した。
(実施例5)
正極活物質の組成、負極活物質の組成、非水電解質の組成、E/A、E/D、正極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量A(g/m3)、負極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量D(g/m3)、非水電解質の硫黄含有化合物の濃度E(mol/L)、後処理で添加する非水電解質の組成を下記表1と表3と表5に示すように設定すると共に、エージングを実施しなかったこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例21)
正極活物質の組成、負極活物質の組成、非水電解質の組成、E/A、E/D、正極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量A(g/m3)、負極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量D(g/m3)、非水電解質の硫黄含有化合物の濃度E(mol/L)、後処理で添加する非水電解質の組成を下記表2と表4と表6に示すように設定すると共に、初充電から後処理までの充放電条件を下記に示すように設定すること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
なお、実施例21で使用する正極活物質Li(Ni0.5Mn1.5)O4はスピネル型の結晶構造を有する5V系正極活物質である。
実施例21の二次電池は、正極活物質にLi(Ni0.5Mn1.5)O4を用いるため、初充電から後処理までの充放電条件を以下の通りとした。
<初充電>
第1封止済み電池を、25℃の環境下で、以下の手順で初充電に供した。まず、第1封止済み電池を、3.7Vの電圧に達するまで0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、第1封止済み電池を、3.7Vの定電圧(CV)で充電した。定電圧充電は、定電流充電と定電圧充電との合計時間が10時間に達した時点で終了した。
<初回放電>
次に、第1封止済み電池を、25℃の環境下で、電圧が2.5Vに達するまで、0.2Cの定電流(CC)で放電した。
<後処理>
次に、第1封止済み電池を、25℃の環境下で3.7Vの電圧に達するまで、0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、第1封止済み電池を、電流値が1/20Cとなるまで3.7Vの定電圧(CV)で充電した。すなわち、第1封止済み電池を定電流定電圧(CCCV)充電に供した。その結果、第1封止済み電池のSOCは(100%)であった。この第1封止済み電池を80℃の恒温槽に入れ、24時間保持することでエージングを実施した。その後の工程は実施例1と同様にして実施例21に係る二次電池を作製した。
(実施例25)
正極活物質の組成、負極活物質の組成、非水電解質の組成、E/A、E/D、正極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量A(g/m3)、負極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量D(g/m3)、非水電解質の硫黄含有化合物の濃度E(mol/L)、後処理で添加する非水電解質の組成を下記表2と表4と表6に示すように設定すると共に、初充電から後処理までの充放電条件を下記に示すように設定すること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
実施例25の黒鉛を含む負極は、以下の方法で作製された。黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比90:10となるように混合し、得られた混合物を有機溶媒(N-メチルピロリドン)の存在下で混錬してスラリーを調製した。得られたスラリーを厚さが15μmの銅箔に塗布して乾燥し、プレスすることにより、負極を得た。また、黒鉛を含む負極を使用する場合、初充電から後処理までの工程を以下のように実施して二次電池を作製した。
<初充電>
第1封止済み電池を、25℃の環境下で、以下の手順で初充電に供した。まず、第1封止済み電池を、4.15Vの電圧に達するまで0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、第1封止済み電池を、4.15Vの定電圧(CV)で充電した。定電圧充電は、定電流充電と定電圧充電との合計時間が10時間に達した時点で終了した。
<初回放電>
次に、第1封止済み電池を、25℃の環境下で、電圧が2Vに達するまで、0.2Cの定電流(CC)で放電した。
<後処理>
次に、第1封止済み電池を、25℃の環境下で4.15Vの電圧に達するまで、0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、第1封止済み電池を、電流値が1/20Cとなるまで4.15Vの定電圧(CV)で充電した。すなわち、第1封止済み電池を定電流定電圧(CCCV)充電に供した。その結果、第1封止済み電池のSOCは(100%)であった。この第1封止済み電池を80℃の恒温槽に入れ、24時間保持することでエージングを実施した。その後、アルゴンボックス中に第1封止済み電池を入れ、外装部材の封止部の1箇所を図5を参照して説明した方法で切断して外装部材内のガスを抜いた。初回充放電前と同じ濃度になるように液状非水電解質を追加し、切断により開放した端部をヒートシールで封止した。こうして、実施例25に係る二次電池を作製した。
(比較例1)
正極活物質の組成、負極活物質の組成、非水電解質の組成、E/A、E/D、正極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量A(g/m3)、負極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量D(g/m3)、非水電解質の硫黄含有化合物の濃度E(mol/L)を下記表2と表4に示すように設定し、また、後処理のガス抜き後に液状非水電解質を追加せず、切断により開放した端部をヒートシールで封止すること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(比較例2-3)
正極活物質の組成、負極活物質の組成、非水電解質の組成、E/A、E/D、正極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量A(g/m3)、負極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量D(g/m3)、非水電解質の硫黄含有化合物の濃度E(mol/L)、後処理で添加する非水電解質の組成を下記表2と表4と表6に示すように設定すること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
<貯蔵試験>
各二次電池に対して、以下の通り貯蔵試験を行った。
実施例21と実施例25を除く電池を、3Vの電圧に達するまで、0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、電池を、電流値が1/20Cとなるまで、3Vの定電圧(CV)で充電した。すなわち、電池を定電流定電圧(CCCV)充電に供して、そのSOCを100%とした。この充電状態の電池を、55℃の恒温槽内に入れた。10日毎に55℃の恒温槽から電池を取り出し、25℃に冷却した後、再び3VのCCCV充電に供して、55℃の恒温槽に入れた。これを繰り返し、恒温槽内に90日に亘り保存した電池を25℃に冷却後、体積を測定し、試験前の体積との差分をガス発生量[ml]とした。結果は、実施例1で90日後で14mLであった。ガス発生量は、高温環境における寿命特性の指標となる。
実施例21の電池を、3.7Vの電圧に達するまで、0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、電池を、電流値が1/20Cとなるまで、3.7Vの定電圧(CV)で充電した。すなわち、電池を定電流定電圧(CCCV)充電に供して、そのSOCを100%とした。この充電状態の電池を、55℃の恒温槽内に入れた。10日毎に55℃の恒温槽から電池を取り出し、25℃に冷却した後、再び3.7VのCCCV充電に供して、55℃の恒温槽に入れた。これを繰り返し、恒温槽内に90日に亘り保存した電池を25℃に冷却後、体積を測定し、試験前の体積との差分をガス発生量[ml]とした。
実施例25の電池を、4.15Vの電圧に達するまで、0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、電池を、電流値が1/20Cとなるまで、4.15Vの定電圧(CV)で充電した。すなわち、電池を定電流定電圧(CCCV)充電に供して、そのSOCを100%とした。この充電状態の電池を、55℃の恒温槽内に入れた。10日毎に55℃の恒温槽から電池を取り出し、25℃に冷却した後、再び4.15VのCCCV充電に供して、55℃の恒温槽に入れた。これを繰り返し、恒温槽内に90日に亘り保存した電池を25℃に冷却後、体積を測定し、試験前の体積との差分をガス発生量[ml]とした。
<直流(DC:Direct Current)抵抗測定>
実施例21と実施例25を除く各二次電池に対して、貯蔵試験を実施する前に以下の通りDC抵抗測定を行った。電池を、電圧が1.5Vに達するまで、0.2Cの定電流(CC)で放電した。その後、電池を、2.25Vの電圧に達するまで、0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、電池を、電流値が1/20Cとなるまで、2.25Vの定電圧(CV)で充電することで、電池の充電状態をSOC50%とした。SOC50%に調整した電池を、10Cの定電流(CC)で10ms間放電し、この時の電圧値と電流値の差からDC抵抗[mΩ]を求めた。抵抗上昇率は、実施例1の場合、90日後で1.5であった。
実施例21の二次電池に対して、貯蔵試験を実施する前に以下の通りDC抵抗測定を行った。電池を、電圧が2.5Vに達するまで、0.2Cの定電流(CC)で放電した。その後、電池を、3.1Vの電圧に達するまで、0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、電池を、電流値が1/20Cとなるまで、3.1Vの定電圧(CV)で充電することで、電池の充電状態をSOC50%とした。SOC50%に調整した電池を、10Cの定電流(CC)で10ms間放電し、この時の電圧値と電流値の差からDC抵抗[mΩ]を求めた。
実施例25の二次電池に対して、貯蔵試験を実施する前に以下の通りDC抵抗測定を行った。電池を、電圧が2.0Vに達するまで、0.2Cの定電流(CC)で放電した。その後、電池を、3.8Vの電圧に達するまで、0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、電池を、電流値が1/20Cとなるまで、3.8Vの定電圧(CV)で充電することで、電池の充電状態をSOC50%とした。SOC50%に調整した電池を、10Cの定電流(CC)で10ms間放電し、この時の電圧値と電流値の差からDC抵抗[mΩ]を求めた。
各二次電池の正極活物質の組成、負極活物質の組成、非水電解質の組成、E/A、E/D、正極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量A(g/m3)、負極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量D(g/m3)、非水電解質の硫黄含有化合物の濃度E(mol/L)、90日後のガス発生量[mL]、抵抗上昇率、後処理で添加する非水電解質の組成を、表1~表6に示す。E/A、E/D、A、D、Eそれぞれの値は、前述の方法で求めた。表3、4には、非水電解質の硫黄含有化合物の濃度E(mol/L)を、非水電解質量として6.25mLではなく、6.25*10-3Lを使用して算出した結果と、この算出結果に基づいて得たE/AとE/Dを示す。
表1-表6から明らかな通り、実施例1-27によると、比較例1-3に比して、90日間貯蔵後のガス発生量が少なく、抵抗上昇率が低かった。比較例1~3は、非水電解質に硫黄含有イミド化合物及びスルトン化合物のいずれも含まない例である。
正極活物質と負極活物質の組成が同じである実施例1~14を比較すると、非水電解質にスルトン化合物を含有する実施例1-8,13,14の方が、非水電解質に硫黄含有イミド化合物を含有する実施例9-12よりもガス発生と抵抗上昇の抑制効果に優れている傾向があることがわかる。
また、実施例15-27に示す通り、正極活物質または負極活物質を実施例1とは異なるもの、例えば、正極活物質をスピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物、リチウムコバルト複合酸化物等に変更したり、あるいは負極活物質をスピネル構造を有するチタン酸リチウム、炭素材料、直方晶型チタン複合酸化物、単斜晶型二酸化チタンなどに変更しても、ガス発生と抵抗上昇の抑制効果が得られる。
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例の二次電池によれば、(1)式(1×10-6≦E/A≦9×10-4 を満たすため、高温下でのガス発生量と抵抗上昇を抑制することができ、高温においても優れた寿命性能を実現することができる。
(実施例28)
<電極群の作製>
実施例1で説明したのと同様な方法で電極群を準備した。
<電極群の収納>
実施例1で説明したのと同様な方法で行った。
<液状非水電解質の調製>
プロピレンカーボネート(PC)及びジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:2)に、電解質としてLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた。硫黄含有化合物として1,3-プロパンスルトン(PS)とプロパンスルホン酸エチルを用意した。これらをそれぞれの非水電解質中の濃度が1.5重量%となるように溶解させた。かくして、液状非水電解質(非水電解液)を得た。非水電解質の調製は、アルゴンボックス内で実施した。
<電池の作製>
実施例1で説明したのと同様な方法で行った。
<初充電>
実施例1で説明したのと同様な方法で行った。
<初回放電>
実施例1で説明したのと同様な方法で行った。
<後処理>
次に、第1封止済み電池を、25℃の環境下で3Vの電圧に達するまで、0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、第1封止済み電池を、電流値が1/20Cとなるまで3Vの定電圧(CV)で充電した。すなわち、第1封止済み電池を定電流定電圧(CCCV)充電に供した。その結果、第1封止済み電池のSOCは(100%)であった。この第1封止済み電池を80℃の恒温槽に入れ、24時間保持することでエージングを実施した。その後、アルゴンボックス中に第1封止済み電池を入れ、外装部材の封止部の1箇所を図5を参照して説明した方法で切断して外装部材内のガスを抜いた。次いで、切断により開放した端部をヒートシールで封止して第2封止を行った。こうして、実施例28に係る二次電池を作製した。
(実施例29)
以下に説明する液状非水電解質を用いること以外は、実施例28と同様にして二次電池を製造した。プロピレンカーボネート(PC)及びメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒(体積比率1:2)に、電解質としてLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた。硫黄含有化合物として1,3-プロパンスルトン(PS)とプロパンスルホン酸メチルを用意した。これらをそれぞれの非水電解質中の濃度が1.5重量%となるように溶解させた。かくして、液状非水電解質(非水電解液)を得た。
(実施例30)
以下に説明する液状非水電解質を用いること以外は、実施例28と同様にして二次電池を製造した。プロピレンカーボネート(PC)及びジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:2)に、電解質としてLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた。硫黄含有化合物として、1,3-プロパンスルトン(PS)とプロパンスルホン酸プロピルを用意した。これらをそれぞれの非水電解質中の濃度が1.5重量%となるように溶解させた。かくして、液状非水電解質(非水電解液)を得た。
(実施例31~33)
以下を除いて実施例1と同様にして二次電池を製造した。1回目に注液する液状非水電解質の組成を表9に示す通りに変更した。後処理におけるエージング条件を120℃の温度で24時間実施に変更した。後処理で添加する液状非水電解質の組成を表11に示す通りに変更した。
(実施例34)
正極活物質に、実施例15で用いたのと同様な種類の正極活物質を用いること以外は、実施例28と同様にして二次電池を製造した。
(実施例35)
以下を除いて実施例28と同様にして二次電池を製造した。正極活物質に、実施例16で用いたのと同様な種類の正極活物質を用いた。また、液状非水電解質の組成を表10に示す通りに変更した。
(実施例36)
正極活物質に、実施例18で用いたのと同様な種類の正極活物質を用いること以外は、実施例28と同様にして二次電池を製造した。
(実施例37)
正極活物質に、実施例19で用いたのと同様な種類の正極活物質を用いること以外は、実施例28と同様にして二次電池を製造した。
(実施例38)
正極活物質に、実施例20で用いたのと同様な種類の正極活物質を用いること以外は、実施例28と同様にして二次電池を製造した。
(実施例39)
<電極群の作製>
実施例21で説明したのと同様な方法で電極群を準備した。
<電極群の収納>
実施例21で説明したのと同様な方法で行った。
<液状非水電解質の調製>
プロピレンカーボネート(PC)及びジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:2)に、電解質としてLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた。硫黄含有化合物として、1,3-プロパンスルトン(PS)とプロパンスルホン酸エチルを用意した。これらをそれぞれの非水電解質中の濃度が1.5重量%となるように溶解させた。かくして、液状非水電解質(非水電解液)を得た。非水電解質の調製は、アルゴンボックス内で実施した。
<電池の作製>
実施例21で説明したのと同様な方法で行った。
<初充電>
実施例21で説明したのと同様な方法で行った。
<初回放電>
実施例21で説明したのと同様な方法で行った。
<後処理>
次に、第1封止済み電池を、25℃の環境下で3.7Vの電圧に達するまで、0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、第1封止済み電池を、電流値が1/20Cとなるまで3.7Vの定電圧(CV)で充電した。すなわち、第1封止済み電池を定電流定電圧(CCCV)充電に供した。その結果、第1封止済み電池のSOCは(100%)であった。この第1封止済み電池を80℃の恒温槽に入れ、24時間保持することでエージングを実施した。その後、アルゴンボックス中に第1封止済み電池を入れ、外装部材の封止部の1箇所を図5を参照して説明した方法で切断して外装部材内のガスを抜いた。次いで、切断により開放した端部をヒートシールで第2封止した。こうして、実施例39に係る二次電池を作製した。
(実施例40)
正極活物質に、実施例22で用いたのと同様な種類の正極活物質を用いること以外は、実施例28と同様にして二次電池を製造した。
(実施例41)
正極活物質に、実施例23で用いたのと同様な種類の正極活物質を用いること以外は、実施例28と同様にして二次電池を製造した。
(実施例42)
負極活物質に、実施例24で用いたのと同様な種類の負極活物質を用いること以外は、実施例28と同様にして二次電池を製造した。
(実施例43)
<電極群の作製>
実施例25で説明したのと同様な方法で電極群を準備した。
<電極群の収納>
実施例25で説明したのと同様な方法で行った。
<液状非水電解質の調製>
プロピレンカーボネート(PC)及びジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:2)に、電解質としてLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた。硫黄含有化合物として、1,3-プロパンスルトン(PS)とプロパンスルホン酸エチルを用意した。これらをそれぞれの非水電解質中の濃度が1.5重量%となるように溶解させた。かくして、液状非水電解質(非水電解液)を得た。非水電解質の調製は、アルゴンボックス内で実施した。
<電池の作製>
実施例25で説明したのと同様な方法で行った。
<初充電>
実施例25で説明したのと同様な方法で行った。
<初回放電>
実施例25で説明したのと同様な方法で行った。
<後処理>
次に、第1封止済み電池を、25℃の環境下で4.15Vの電圧に達するまで、0.2Cの定電流(CC)で充電した。次いで、第1封止済み電池を、電流値が1/20Cとなるまで4.15Vの定電圧(CV)で充電した。すなわち、第1封止済み電池を定電流定電圧(CCCV)充電に供した。その結果、第1封止済み電池のSOCは(100%)であった。この第1封止済み電池を80℃の恒温槽に入れ、24時間保持することでエージングを実施した。その後、アルゴンボックス中に第1封止済み電池を入れ、外装部材の封止部の1箇所を図5を参照して説明した方法で切断して外装部材内のガスを抜いた。次いで、切断により開放した端部をヒートシールで第2封止した。こうして、実施例43に係る二次電池を作製した。
(実施例44)
負極活物質に、実施例26で用いたのと同様な種類の負極活物質を用いること以外は、実施例28と同様にして二次電池を製造した。
(実施例45)
負極活物質に、実施例27で用いたのと同様な種類の負極活物質を用いること以外は、実施例28と同様にして二次電池を製造した。
実施例28~45のE/A、E/D、正極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量A(g/m3)、負極の硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量D(g/m3)、非水電解質の硫黄含有化合物の濃度E(mol/L)を、表11に示す。非水電解質の硫黄含有化合物の濃度E(mol/L)は、非水電解質量として6.25*10-3Lを使用して算出した結果である。
<貯蔵試験と直流(DC:Direct Current)抵抗測定>
実施例39の二次電池に対しては、実施例21で説明したのと同様な条件でこれらの測定を行った。また、実施例43の二次電池に対しては、実施例25で説明したのと同様な条件でこれらの測定を行った。
実施例39、43を除く実施例28~38、40~42、44,45に対しては、実施例21と実施例25以外の対象に対して実施したのと同様な条件でこれらの測定を行った。これらの結果を、表12に示す。
<150日後ガス発生量の測定>
実施例1~45に対し、恒温槽での保存期間を90日から150日に延長すること以外は、前述したのと同様な条件で貯蔵試験を実施し、その結果を表7、表8、表12に示す。
<面積値Bの測定>
実施例28~45の二次電池の非水電解質に対し、前述した条件でGCMS測定を行い、ピーク面積値Aを10とした場合のピーク面積値Bを求め、ピーク面積値Bを表12に示す。実施例28の非水電解質のトータルイオンクロマトグラム(TIC)を図10に示す。図11に、図10のTICにおけるピークP1付近の拡大図を示す。また、図12に、図10のTICの7~9Time/min付近の拡大図を示す。
図10に示すTICは、縦軸がIntensity/a.u.(ピーク強度 任意単位)で、横軸がTime/min(保持時間)である。ピークP1は、プロパンスルトンに由来する。また、図12に示す、7~9Time/min付近に表れたピークP2は、プロパンスルホン酸エチルに由来する。一方、図10に示す、5~7Time/minの間に位置するピークP3は、プロピレンカーボネートに由来する。また、図10に示す、5Time/minより小さい範囲に位置するピークPは、ジエチルカーボネートに由来する。なお、実施例31-33の非水電解質に対するGCMS測定の結果、以下のことを確認できた。実施例31はプロパンスルホン酸エチルを含有していた。実施例32はプロパンスルホン酸メチルを含有していた。実施例33はプロパンスルホン酸プロピルを含有していた。実施例31-33以外の実施例については、GCMS測定の結果、表9と表10に記載した通りの種類のプロパンスルホン酸エステルを含有していたことを確認した。
表7~表12の結果から、以下のことがわかった。実施例28-45の二次電池は、90日間貯蔵後のガス発生量、150日間貯蔵後のガス発生量が少なく、抵抗上昇率が低かった。実施例28-45の150日間貯蔵後のガス発生量と、実施例1-27の150日間貯蔵後のガス発生量を比較すると、実施例28-45の方が低かった。実施例28-45は、非水電解質にプロパンスルホン酸エステルを含むためである。
また、実施例34-45に示す通り、正極活物質または負極活物質を実施例28とは異なるもの、例えば、正極活物質をスピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物、リチウムコバルト複合酸化物等に変更したり、あるいは負極活物質をスピネル構造を有するチタン酸リチウム、炭素材料、直方晶型チタン複合酸化物、単斜晶型二酸化チタンなどに変更しても、ガス発生と抵抗上昇の抑制効果が得られる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
出願当初の実施形態発明を付記する。
[1]
正極と、負極と、非水電解質とを含み、
前記正極は、正極活物質含有層と、前記正極活物質含有層の少なくとも一部に形成される硫黄含有層とを含み、
前記非水電解質は、硫黄含有イミド化合物及びスルトン化合物のうちの少なくとも1種からなる硫黄含有化合物を含み、
下記(1)式を満たす、二次電池。
1×10-9≦E/A≦9×10-7 (1)
(1)式において、Aは前記正極の前記硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量(g/m3)で、Eは前記非水電解質中の前記硫黄含有化合物の濃度(mol/L)。
[2]
前記Aは、0(g/m3)より大きく3500(g/m3)以下の範囲にある、[1]に記載の二次電池。
[3]
前記Eは、0(mol/L)より大きく4.5×10-4(mol/L)以下の範囲にある、[1]または[2]に記載の二次電池。
[4]
前記負極は、負極活物質含有層と、前記負極活物質含有層の少なくとも一部に形成される硫黄含有層とを含み、
下記(2)式を満たす、[1]~[3]のいずれかに記載の二次電池。
2×10-9≦E/D≦3×10-7 (2)
(2)式において、Dは前記負極の前記硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量(g/m3)で、Eは前記非水電解質中の前記硫黄含有化合物の濃度(mol/L)。
[5]
前記Dは、0(g/m3)より大きく6600(g/m3)以下の範囲にある、[4]に記載の二次電池。
[6]
前記負極活物質含有層は、一般式LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表されるニオブチタン複合酸化物、及び、一般式LixTi1-yM3y+zNb2-z7-δで表されるニオブチタン複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
前記M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つであり、前記M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つであり、前記M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoからなる群より選択される少なくとも1つであり、前記xは0≦x≦5を満たし、前記yは0≦y<1を満たし、前記zは0≦z<2を満たし、前記δは-0.3≦δ≦0.3を満たす、[4]~[5]の何れかに記載の二次電池。
[7]
[1]~[6]のいずれか1項に記載の二次電池を一つまたは二以上含む、電池パック。
[8]
通電用の外部端子と、
保護回路とをさらに含む[7]に記載の電池パック。
[9]
前記二次電池を二以上具備し、前記二以上の二次電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている、[7]または[8]に記載の電池パック。
[10]
[7]~[9]のいずれか1項に記載の電池パックを搭載した車両。
[11]
前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、[10]に記載の車両。
1…電極群、2…容器(外装部材)、3…正極、3a…正極集電体、3b…正極活物質含有層、4…負極、4a…負極集電体、4b…負極活物質含有層、5…セパレータ、6…正極リード、7…負極リード、8…正極集電タブ、9…負極集電タブ、10…封口板、11…絶縁部材、12…外装部材、13…負極端子、14…正極端子、30…第1封止がなされた二次電池、31…二次電池、50…電池パック、51…単位セル、53…組電池、54…プリント配線基板、55…サーミスタ、56…保護回路、57…通電用の外部端子、71…自動車、72…電池パック、300…車両、301…車両用電源、310…通信バス、311…電池管理装置、312a~c…電池パック、313a~c…組電池監視装置、314a~c…組電池、316…正極端子、317負極端子、340…インバータ、345…駆動モータ、370…外部端子、380…車両ECU、L1、L2…接続ライン、W…駆動輪。

Claims (14)

  1. 正極と、負極と、非水電解質とを含み、
    前記正極は、正極活物質含有層と、前記正極活物質含有層の少なくとも一部に形成される硫黄含有層とを含み、
    前記非水電解質は、硫黄含有イミド化合物及びスルトン化合物のうちの少なくとも1種からなるか、硫黄含有イミド化合物、スルトン化合物及びプロパンスルホン酸エステルのうちの少なくとも1種からなる硫黄含有化合物を含み、
    下記(1)式を満たす、二次電池。
    1×10-6≦E/A≦9×10-4 (1)
    (1)式において、Aは前記正極の前記硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量(g/m3)で、Eは前記非水電解質中の前記硫黄含有化合物の濃度(mol/L)。
  2. 前記Aは、0(g/m3)より大きく3500(g/m3)以下の範囲にある、請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記Eは、0(mol/L)より大きく4.5×10-1(mol/L)以下の範囲にある、請求項1または請求項2に記載の二次電池。
  4. 前記負極は、負極活物質含有層と、前記負極活物質含有層の少なくとも一部に形成される硫黄含有層とを含み、
    下記(2)式を満たす、請求項1または請求項2に記載の二次電池。
    2×10-6≦E/D≦3×10-4 (2)
    (2)式において、Dは前記負極の前記硫黄含有層の単位体積あたりの硫黄原子の質量(g/m3)で、Eは前記非水電解質中の前記硫黄含有化合物の濃度(mol/L)。
  5. 前記Dは、0(g/m3)より大きく6600(g/m3)以下の範囲にある、請求項4に記載の二次電池。
  6. 前記負極活物質含有層は、一般式LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表されるニオブチタン複合酸化物、及び、一般式LixTi1-yM3y+zNb2-z7-δで表されるニオブチタン複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
    前記M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つであり、前記M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つであり、前記M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoからなる群より選択される少なくとも1つであり、前記xは0≦x≦5を満たし、前記yは0≦y<1を満たし、前記zは0≦z<2を満たし、前記δは-0.3≦δ≦0.3を満たす、請求項4に記載の二次電池。
  7. 前記非水電解質の前記硫黄含有化合物は、前記プロパンスルホン酸エステル及び前記スルトン化合物を含む、請求項1または請求項2に記載の二次電池。
  8. 前記プロパンスルホン酸エステルは、プロパンスルホン酸メチル、プロパンスルホン酸エチル及びプロパンスルホン酸プロピルよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または請求項2に記載の二次電池。
  9. 前記非水電解質のガスクロマトグラフィー-重量分析によるトータルイオンクロマトグラムにおいて、前記スルトン化合物のピーク面積値Aを10とした際に、前記プロパンスルホン酸エステルのピーク面積値Bが0.01以上40以下である、請求項7に記載の二次電池。
  10. 請求項1または請求項2に記載の二次電池を一つまたは二以上含む、電池パック。
  11. 通電用の外部端子と、
    保護回路とをさらに含む請求項10に記載の電池パック。
  12. 前記二次電池を二以上具備し、前記二以上の二次電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている、請求項10に記載の電池パック。
  13. 請求項10に記載の電池パックを搭載した車両。
  14. 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、請求項13に記載の車両。

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