以下実施の形態を、図面を参照して説明する。図1はエコシステムの構成例を示す説明図である。エコシステム100は事業者向けにレンディングを行う金融機関が運営している。エコシステム100はサーバ1及び端末2を含む。また、プラットフォーマ3はエコシステム100とデータ連携が可能なシステムを示す。インターネット上で利用者とサービス提供者を結び付ける基盤(プラットフォーム)となるサービスやシステムなどを提供・運営する事業者のことをプラットフォーマというが、ここでは、プラットフォーマが運営するコンピュータシステムをプラットフォーマ3と記す。会計システム4は主としてクラウドサービスにより会計サービスを提供するシステムである。金融機関サーバ5は金融機関において口座の入出金情報等を管理するいわゆる勘定系サーバである。金融機関サーバ5には、エコシステム100を運営する金融機関において、口座の入出金情報等を管理する勘定系サーバを含む。モデルベンダ6は信用リスクを判定するスコアリングモデル等を用いたサービスを提供する情報提供会社や信用情報機関である。その他ベンダ7は金融機関が業務を行う上で利用するサービスを提供する会社等である。金融機関が利用するサービスとして想定するのは、AML(Anti-Money Laundering)サービス、eKYC、個人信用情報提供サービス等である。AMLサービスはマネー・ローンダリングを防止するためのサービスである。eKYC(electronic Know Your Customer:電子本人確認)は、身元確認をオンラインで提供するサービスである。個人信用情報提供サービスは、信用情報機関による個人信用情報の提供サービスである。個人信用情報は、個人の年収や住宅情報、勤務先等の属性情報及び、ローンや公共料金等の支払い情報等である。サーバ1、端末2並びにプラットフォーマ3、会計システム4、金融機関サーバ5、モデルベンダ6及びその他ベンダ7はネットワークNにより、互いに通信可能に接続されている。ネットワークNはインターネット、一般公衆網、携帯電話網、又は、専用線網である。また、ネットワークNは、これら複数種のネットワークを組み合わせたものや、VPN(Virtual Private Network:仮想専用通信網)などの仮想ネットワークでもよい。
図2はサーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。サーバ1は制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部15及び読み取り部16を含む。制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部15及び読み取り部16はバスBにより接続されている。サーバ1はサーバコンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)等で構成する。また、サーバ1を複数のコンピュータからなるマルチコンピュータ、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシン又は量子コンピュータで構成しても良い。さらに、サーバ1の機能をクラウドサービスで実現してもよい。
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有する。制御部11は、補助記憶部13に記憶された制御プログラム1P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、サーバ1に係る種々の情報処理、制御処理等を行い、第1送信部、受信部、取得部、及び、第2送信部等の機能部を実現する。
主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等である。主記憶部12は主として制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
補助記憶部13はハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等であり、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1Pや各種DB(Database)を記憶する。補助記憶部13は、ユーザDB131、連携アカウントDB132、入出金DB133、プラットフォーマDB134、代表者・事業主DB135及び法人DB136等を記憶する。また、補助記憶部13は与信モデル141、及び、事業性評価モデル142を記憶する。さらに、補助記憶部13は評価結果DB137、付与条件DB138、特典DB139及び付与履歴DB13Aを記憶してもよい。補助記憶部13はサーバ1と別体で、外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部13に記憶する各種DB等を、サーバ1とは異なるデータベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。補助記憶部13が記憶するデータベースは図2に示したものに限らず、必要に応じて、他のデータベースを補助記憶部13は記憶してもよい。
通信部15はネットワークNを介して、端末2並びにプラットフォーマ3、会計システム4、金融機関サーバ5、モデルベンダ6及びその他ベンダ7と通信を行う。また、制御部11が通信部15を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム1Pをダウンロードし、補助記憶部13に記憶してもよい。
読み取り部16はCD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読み取り部16を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、補助記憶部13に記憶してもよい。また、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでもよい。
図3は端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。端末2はエンドユーザが使用する端末である。端末2はノートパソコン、パネルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン等で構成する。端末2は制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、通信部24、入力部25、及び、表示部26を含む。各構成はバスBで接続されている。
制御部21は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部21は、補助記憶部23に記憶された制御プログラム2P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、種々の機能を提供する。
主記憶部22は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部22は主として制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
補助記憶部23はハードディスク又はSSD等であり、制御部21が処理を実行するために必要な各種データを記憶する。補助記憶部23は端末2と別体で、外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部23に記憶する各種DB等を、データベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
通信部24はネットワークNを介して、サーバ1、プラットフォーマ3と通信を行う。また、制御部21が通信部24を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム2Pをダウンロードし、補助記憶部23に記憶してもよい。
入力部25はキーボードやマウスである。表示部26は液晶表示パネル等を含む。表示部26はサーバ1が出力したレンディング情報などを表示する。また、入力部25と表示部26とを一体化し、タッチパネルディスプレイを構成してもよい。なお、端末2は外部された表示装置に表示を行ってもよい。
図4はユーザDBの例を示す説明図である。ユーザDB131はエンドユーザの情報を記憶する。エンドユーザは法人や個人事業主であり、エコシステム100を利用して、金融機関等から資金調達を行う。ユーザDB131はユーザID列、種別列、名称・氏名列に及びメールアドレス列を含む。ユーザID列はエンドユーザを一意に特定可能なユーザIDを記憶する。種別列はエンドユーザが種別を記憶する。種別は例えば、法人又は個人事業主である。名称・氏名列は法人の名称又は個人事業主の氏名を記憶する。メールアドレス列はユーザの連絡先メールアドレスを記憶する。なお、ユーザIDとしてメールアドレスを使用してもよい。この場合、ユーザID列の値と、メールアドレス列の値とが、一致することもありうる。
図5は連携アカウントDBの例を示す説明図である。連携アカウントDB132はプラットフォーマ3とデータ連携を行うために必要なエンドユーザの情報を記憶する。連携アカウントDB132はユーザID列、Pfer名称列、及び、トークン情報列を含む。ユーザID列はエンドユーザのユーザIDを記憶する。Pfer名称列はデータ連携するプラットフォーマ3の名称を記憶する。トークン情報列は、プラットフォーマ3から付与されたアクセストークン、リフレッシュトークン等を記憶する。
図6は入出金DBの例を示す説明図である。入出金DB133はエンドユーザが利用する銀行口座の入出金情報を記憶する。入出金DB133はユーザID列、銀行コード列、店番列、口座番号列、口座種別列、種別列、日時列、金額列、振替先列、及び、残高列を含む。ユーザID列はユーザIDを記憶する。銀行コード列は銀行を特定する銀行コードを記憶する。店番列は銀行店舗の番号を記憶する。口座番号列は口座番号を記憶する。口座種別列は口座の種別を記憶する。口座種別は例えば、普通、当座、定期、貯蓄である。種別列は取引の種別を記憶する。取引の種別は例えば、入金、出金、振替である。日時列は取引が行われた日時を記憶する。金額列は取引された金額を記憶する。振替先列は振替先を記憶する。残高列は口座残高を記憶する。入出金DB133が記憶する入出金情報は、金融機関サーバ5より取得する。なお、入出金DB133を一時的なデータベースとし、入出金情報が必要になった際に、金融機関サーバ5より必要な入出金情報を取得して入出金DB133を構築してもよい。また、ユーザがアグリゲーションサービスを利用しており、複数の金融機関における入出金情報をアグリゲーションサービスが保有している場合、アグリゲーションサービスから入出金情報を取得してもよい。
図7はプラットフォーマDBの例を示す説明図である。プラットフォーマDB134はプラットフォーマ3が提供するプラットフォーマ3の情報を記憶する。プラットフォーマDB134はID列、名称列、リンク列及びタグ列を含む。ID列はプラットフォーマ3を一意に特定するIDを記憶する。名称列はプラットフォーマ3の名称を記憶する。リンク列はプラットフォーマ3にアクセスするためのリンク情報を記憶する。リンク情報は例えばURL(Uniform Resource Locator)である。タグ列はプラットフォーマ3を特徴づけるタグを記憶する。プラットフォーマDB134はプラットフォーマ記憶部の一例である。
図8は代表者・事業主DBの例を示す説明図である。代表者・事業主DB135はエンドユーザが法人である場合に、法人の代表者についての情報を、エンドユーザが個人事業主である場合に、個人事業主についての情報を、記憶する。代表者・事業主DB135はユーザID列、氏名列、電話番号列、メール列及び携帯電話列を含む。ユーザID列はユーザIDを記憶する。氏名列は代表者又は個人事業主の氏名を記憶する。電話番号列は電話番号を記憶する。メール列は代表者又は個人事業主のメールアドレスを記憶する。携帯電話列は、代表者又は個人事業主の携帯電話番号を記憶する。なお、代表者・事業主DB135が記憶する内容をユーザDB131に持たせ、代表者・事業主DB135を設けなくともよい。
図9は法人DBの例を示す説明図である。法人DB136は法人の情報を記憶する。法人DB136は法人番号列、ユーザID列、所在地列及び代表電話列を含む。法人番号列は法人の識別番号を記憶する。識別番号は例えば国税庁から付与される13桁の法人番号である。それに限らず、識別番号として、信用調査機関が付与した企業識別コードや証券コードを利用してもよい。識別番号は記憶されていることが望ましいが、記憶されていなくともよい。ユーザID列はユーザIDを記憶する。所在地列は法人の所在地を記憶する。代表電話列は法人の代表電話番号を記憶する。電話番号については、代表電話番号以外の番号を記憶してもよい。なお、法人DB136が記憶する内容をユーザDB131に持たせ、法人DB136を設けなくともよい。
図10は与信モデルの構造例を示す説明図である。与信モデル141はエンドユーザの入出金データ、会計データ、サービスデータを入力すると、判定結果を出力する。サービスデータはプラットフォーマ3から得た利用履歴等である。入出金データは入出金DB133から取得する。会計データは会計システム4から取得する。判定結果は融資の可否、融資枠等である。例えば、融資枠は融資額、返済期間、利率を含む。与信モデル141は第1モデル1411、第2モデル1412、第3モデル1413及び結合器1414を含む。第1モデル1411は、入出金データをもとに所定の判定ロジックを用いて、エンドユーザへの融資の可否を判定する。第2モデル1412は、会計データをもとに所定の判定ロジックを用いて、エンドユーザへの融資の可否を判定する。第3モデル1413はサービスデータから、エンドユーザへの融資の可否を判定する。結合器1414は第1モデル1411の判定結果と、第2モデル1412の判定結果と、第3モデル1413の判定結果とを結合し、最終的な判定結果を出力する。また、与信モデル141が融資可と判定した場合、融資枠の設定を行う。融資枠の設定を与信モデル141が行ってもよいし、所定のロジックを用いて別途、行ってもよい。与信モデル141を構成する第1モデル1411、第2モデル1412、第3モデル1413を全て、サーバ1が備えるのではなく、モデルベンダ6が備えてもよい。この場合、モデルベンダ6から、第1モデル1411、第2モデル1412又は第3モデル1413の判定結果を、サーバ1は取得する。また、与信モデル141は、入出金データ、会計データ、サービスデータの3つのデータが揃っている場合だけでなく、任意の2つのデータ又は任意の1つのデータのみが入力された場合でも、適切な判定が行えることが望ましい。与信モデル141は3つのモデルを含むがそれに限らず、単一のモデルであってもよいし、2つのモデルを含む構成でもよい。
図11は第3モデルの構造例を示す説明図である。第3モデル1413はエンドユーザのサービスデータを入力とし、エンドユーザの事業についての評価点を出力とするニューラルネットワークである。サービスデータはプラットフォーマ3から得た利用履歴等である。図11では3つのプラットフォーマ3からサービスデータを得て、第3モデル1413へ入力する例を示している。プラットフォーマAデータはプラットフォーマAから得たサービスデータである。同様に、プラットフォーマBデータ、プラットフォーマCデータは、それぞれプラットフォーマB、プラットフォーマCから得るサービスデータである。ニューラルネットワークは例えばCNN(Convolution Neural Network)であり、サービスデータの入力を受け付ける入力層と、評価点を出力する出力層とを有する。
入力層は、サービスデータを入力として受け付ける複数のニューロンを有し、入力された項目値を中間層に受け渡す。中間層は、入力層から入力された各値を畳み込むコンボリューション層と、コンボリューション層で畳み込んだ値をマッピングするプーリング層とが交互に連結された構成を有し、入力された情報を圧縮しながら最終的に評価値を抽出する。出力層は、中間層から出力された評価値に基づいて、評価点を出力する。評価点は例えば、0から1までの値を取る。評価点は離散値でもよく、例えば1から5までの整数値を取るようにしてもよい。
なお、以下の説明では第3モデル1413がCNNであるものとして説明するが、第3モデル1413はCNNに限定されず、CNN以外のニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク、決定木など、他の学習アルゴリズムで構築されたモデルであってもよい。
第3モデル1413は、サービスデータ及びラベル(正解の評価点)からなる訓練データを用いて、以下のように生成する。サーバ1は、訓練データに含まれるサービスデータを入力層に入力し、中間層での演算処理を経て、出力層から評価点を取得する。サーバ1は、出力層から出力された評価点を、訓練データに含むラベル、すなわち正解値と比較し、出力ノードの出力値が正解値に近づくように、中間層での演算処理に用いるパラメータを最適化する。当該パラメータは、例えばニューロン間の重み(結合係数)、各ニューロンで用いられる活性化関数の係数などである。パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、例えばサーバ1は誤差逆伝播法を用いて各種パラメータの最適化を行う。サーバ1は、全ての訓練データを用いて上記の学習処理を行い、学習済みの第3モデル1413を生成する。
次に、エコシステム100で行われる情報処理について説明する。図12はメイン処理の手順例を示すフローチャートである。メイン処理は、エンドユーザがプラットフォーマ3の画面において、レンディング開始のリンクを選択することで開始する。端末2の制御部21はリンク情報に基づいて、開始要求をサーバ1へ送信する(ステップS1)。サーバ1の制御部11は開始要求を受信する(ステップS2)。制御部11は端末2へログイン画面を送信する(ステップS3)。端末2の制御部21はログイン画面を受信する(ステップS4)。制御部21はログイン画面を表示部26に表示する(ステップS5)。エンドユーザはエコシステム100に登録済であれば、IDとパスワードとを入力し、ログイン操作をする。エンドユーザはエコシステム100に未登録であれば、登録操作をする。制御部21はユーザの操作が登録であるか否かを判定する(ステップS6)。制御部21はユーザの操作が登録であると判定した場合(ステップS6でYES)、ユーザ登録処理を行う(ステップS7)。ユーザ登録処理はサーバ1と協働して行う処理であるが、公知の技術であるので、説明を省略する。制御部21はユーザの操作が登録でない判定した場合(ステップS6でNO)、又はユーザ登録処理の完了後、ログイン要求をサーバ1へ送信する(ステップS8)。ログイン要求には、IDとパスワードとが含まれている。サーバ1の制御部11はログイン要求に含まれているIDとパスワードとによりユーザ認証を行う(ステップS9)。なお、エンドユーザがプラットフォーマ3とのデータ連携を許可している場合においては、ユーザ認証時にワンタイムパスワードによる認証を行うことが望ましい。不正アクセスによる情報流出のリスクをより低減する目的である。制御部11はホーム画面を端末2へ送信する(ステップS10)。端末2の制御部21はホーム画面を受信する(ステップS11)。制御部21はホーム画面を表示部26に表示する(ステップS12)。エンドユーザはホーム画面において行いたい処理を選択する。ここで想定する処理は、データ連携処理、仮審査処理である。仮審査処理は、以前に少なくとも1回、データ連携処理を実行していないと実行できない。審査に必要なデータが得られないからである。制御部21はエンドユーザがデータ連携処理を選択したか否かを判定する(ステップS13)。制御部21はエンドユーザがデータ連携処理を選択したと判定した場合(ステップS13でYES)、データ連携処理を行う(ステップS14)。その後、制御部21はステップS13へ処理を戻す。データ連携処理の内容は後述する。制御部21はエンドユーザがデータ連携処理を選択していないと判定した場合(ステップS13でNO)、エンドユーザが仮審査処理を選択した否かを判定する(ステップS15)。制御部21はエンドユーザが仮審査処理を選択したと判定した場合(ステップS15でYES)、仮審査処理を行う(ステップS16)。その後、制御部21はステップS13へ処理を戻す。制御部21はエンドユーザが仮審査処理を選択していないと判定した場合(ステップS15でNO)、メイン処理を終了する。
図13はデータ連携処理の手順例を示すフローチャートである。端末2の制御部21はデータ連携処理の開始要求をサーバ1へ送信する(ステップS31)。ここでは、データ連携に3つ種別があると想定しており、開始要求にエンドユーザが選択した種別の情報が含まれている。3種別とは、金融機関の入出金情報のデータ連携、会計情報のデータ連携、その他のプラットフォーマ3が提供するサービスの利用データ等の連携である。サーバ1の制御部11は開始要求を受信する(ステップS32)。制御部11は選択画面を端末2へ送信する(ステップS33)。選択画面は種別に応じた画面である。金融機関の入出金情報のデータ連携の場合、金融機関を選択するための画面である。会計情報のデータ連携の場合、会計サービスを選択するための画面である。プラットフォーマ3の利用データ等の連携の場合、連携可能なプラットフォーマ3を選択するための画面である。端末2の制御部21は選択画面を受信し、表示部26に表示する(ステップS34)。エンドユーザは選択画面でデータ連携先を選択する。制御部21はエンドユーザがデータ連携先として選択したプラットフォーマ3へデータ連携の要求を送信する(ステップS35)。プラットフォーマ3はデータ連携の要求を受信する(ステップS36)。プラットフォーマ3は端末2へ入力画面を送信する(ステップS37)。入力画面はプラットフォーマ3へログインするため情報を入力する画面である。多くの場合、ユーザIDとパスワードの入力を求める画面である。端末2の制御部21は入力画面を受信し表示する(ステップS38)。エンドユーザは入力部25を介して、ユーザID、パスワード等を入力する。制御部21はユーザID、パスワード等のログイン情報をプラットフォーマ3へ送信する(ステップS39)。プラットフォーマ3はログイン情報を受信する(ステップS40)。プラットフォーマ3はユーザ認証後に連携のためのトークンを発行し、サーバ1へ送信する(ステップS41)。サーバ1の制御部11はトークンを受信し、連携アカウントDB132に記憶する(ステップS42)。制御部11はトークンを用いて、プラットフォーマ3にエンドユーザのデータ要求を送信する(ステップS43)。要求にはエンドユーザのユーザIDが含まれている。プラットフォーマ3は要求を受信する(ステップS44)。プラットフォーマ3はユーザIDに基づき、エンドユーザのデータを抽出する(ステップS45)。プラットフォーマ3は抽出したデータをサーバ1へ送信する(ステップS46)。連携の種別が金融機関の入出金情報の場合、金融機関のシステムがステップS36及びS37、S40及びS41、並びにS44からS46を行う。連携の種別が会計情報の場合、会計情報システムがステップS36及びS37、S40及びS41、並びにS44からS46を行う。サーバ1の制御部11はデータを受信し、補助記憶部13に記憶する(ステップS47)。制御部11は更新されたホーム画面を端末2へ送信する(ステップS48)。端末2の制御部21はホーム画面を受信し表示する(ステップS49)。その後、制御部21はデータ連携の呼び出し元へ処理を戻す。なお、制御部11は、入力画面へ入力されたユーザID及びパスワードを連携アカウントDB132に記憶する。
図14は仮審査処理の手順例を示すフローチャートである。端末2の制御部21は仮審査の要求をサーバ1へ送信する(ステップS61)。サーバ1の制御部11は要求を受信する(ステップS62)。制御部11はエンドユーザのデータを取得する(ステップS63)。制御部11は、入出金データ、会計データ、又は、サービスデータの中から、少なくとも一つのデータを取得する。制御部11は取得した入出金データ、会計データ、サービスデータをモデルへ入力する(ステップS64)。制御部11は入出金データ、会計データ、サービスデータを与信モデル141へ入力する。制御部11は与信モデル141から評価を取得する(ステップS65)。制御部11は与信モデル141からの評価に基づき、エンドユーザへの融資条件を生成する(ステップS66)。制御部11は融資条件を含む結果画面を生成し、端末2へ送信する(ステップS67)。端末2の制御部21は結果画面を受信し表示する(ステップS68)。制御部21は処理を呼び出し元へ戻す。
続いて、端末2に表示される画面について説明する。図15はプラットフォーマ画面の一例を示す説明図である。プラットフォーマ画面d01は、エンドユーザがプラットフォーマ3の提供するサービスの利用時に、端末2に表示される画面である。プラットフォーマ画面d01には、連携する金融機関への借入申込の準備としての事前審査を案内する旨の案内表示d011と、案内を参照するための参照ボタンd012とが表示されている。図15はクラウドファンディングを提供するプラットフォーマ3の画面例であるが、クラウドファンディング以外のサービスを提供するプラットフォーマ3についても、同様に案内表示d011と、参照ボタンd012とが表示される。エンドユーザが参照ボタンd012をクリックすると、事前審査についての案内ページが表示される。なお、プラットフォーマ3を運営する事業者が、銀行法に基づく銀行代理業の許可を取得している場合は、参照ボタンd012を、事前審査の申込ボタンとしてもよい。この場合、エンドユーザが当該申込ボタンをクリックすると、事前審査の開始要求が、端末2らサーバ1へ送信され、上述のメイン処理が開始される。例えば、申込ボタンにはサーバ1へ事前審査の開始要求を行うためのURLがハイパーリンクとして設定されている。端末2がエコシステム100にログイン済みの状態であれば、エンドユーザが申込ボタンをクリックすると、事前審査の開始要求がされる。端末2がエコシステム100へログインしていない状態の場合は、ログイン画面が表示され、ログインが完了すると、事前審査の開始要求がされる。
図16はログイン画面の一例を示す説明図である。ログイン画面d02はエコシステム100へのログインを行うための画面である。ログイン画面d02はID入力欄d021、パスワード入力欄d022、ログインボタンd023及び登録ボタンd024を含む。ID入力欄d021はエコシステム100でのログインIDを入力する欄である。ログインIDはエコシステム100から付与されるID、又は、エンドユーザが使用するメールアドレスが使用される。パスワード入力欄d022はログインパスワードを入力する欄である。エンドユーザがログインボタンd023を選択すると、ログイン要求がサーバ1へ送信される。エコシステム100への登録が済んでいないエンドユーザは、登録ボタンd024を選択して、登録手続きを行う。
図17はホーム画面の一例を示す説明図である。ホーム画面d03は、エコシステム100にログインした後に表示される画面である。ホーム画面d03は仮審査ボタンd031、口座連携表示d032、会計連携表示d033、PFer連携表示d034、口座連携ボタンd035、会計連携ボタンd036、PFer連携ボタンd037、申込ボタンd038、一覧ボタンd039及び金額表示d03Aを含む。仮審査ボタンd031をエンドユーザが選択すると、上述の仮審査処理が起動し、端末2からサーバ1へ仮審査の要求が送信される。図17では仮審査が申し込める状態ではないので、文字が細いフォントで表示され、ボタンの外形を点線としている。この場合、仮審査ボタンd031を選択しても、仮審査の申し込みはできない。口座連携表示d032は金融機関との連携の状況を表示する。図17では、いずれの金融機関との連携も行われていない状況を示している。会計連携表示d033は会計サービスとの連携の状況を表示する。図17では、いずれの会計サービスとの連携も行われていない状況を示している。本実施の形態においては、少なくとも、金融機関又は会計サービスとのデータ連携が行われていないと、仮審査、借入申込はできないようになっているので、上述したように仮審査ボタンd031は機能しない状態になっている。PFer連携表示d034は、プラットフォーマ3との連携の状況を表示する。図17では、いずれのプラットフォーマ3との連携も行われていない状況を示している。口座連携ボタンd035は金融機関との連携を設定するためのボタンである。会計連携ボタンd036は会計サービスとの連携を設定するためのボタンである。PFer連携ボタンd037はプラットフォーマ3との連携を設定するためのボタンである。口座連携ボタンd035、会計連携ボタンd036、又は、PFer連携ボタンd037が選択されると、上述したデータ連携処理が起動し、端末2からサーバ1へ開始要求が送信される。申込ボタンd038をエンドユーザが選択すると、端末2からサーバ1へ借入申込の要求が送信される。図17では借入申込みが行える状態ではないので、文字が細いフォントで表示され、ボタンの外形を点線としている。この場合、申込ボタンd038を選択しても、借入申込みは行えない。一覧ボタンd039を選択すると、データ連携が可能な金融機関、会計サービス、プラットフォーマ3の一覧が表示される。金額表示d03Aはエンドユーザが借入可能な金額が表示される。図17では、仮審査が行われていない状況なので、金額は表示されていない。なお、連携が行なわれているか否かに関わらず、仮審査ボタンd031は常に機能する状態としてもよい。この場合、仮審査ボタンd031が選択された際、仮審査に進むためにはデータ連携が必要な場合は、データ連携が必要な旨のメッセージを表示し、連携設定をエンドユーザへ促すことが望ましい。また、仮審査ボタンd031は画面の構成要素には含まず、データ連携が設定された時点や、エンドユーザがログインした時点で、仮審査が実行されるようにしてもよい。
図18はサービス選択画面の一例を示す説明図である。サービス選択画面d04はデータ連携を行うサービスを選択する画面である。サービス選択画面d04は選択ボタンd041を含む。図18では選択ボタンd041は4つ表示されているが、3つ以下、または、5つ以上であってもよい。また、連携可能なサービスが多数の場合、目的のサービスを選択するのが困難になるため、サービス名称の検索や、サービス内容による絞り込みが行えるようにしてもよい。さらに、サービス選択画面d04に表示するサービスには、エンドユーザが既にデータ連携を設定したサービスは含めないようにする。既にデータ連携を設定したサービスは、連携アカウントDB132を参照すれば判定可能である。サービス選択画面は、プラットフォーマ3の一覧を表示する画面の一例である。
図19はログイン情報入力画面の例を示す説明図である。ログイン情報入力画面(以下、「入力画面」と記す。)d05は、データ連携先のプラットフォーマ3へログインするためのログイン情報を入力する画面である。入力画面d05はメールアドレス入力欄d051、パスワード入力欄d052、承諾ボタンd053及びキャンセルボタンd054を含む。メールアドレス入力欄d051にはログインIDとして用いるメールアドレスを入力する。ログインIDとしてメールアドレスが使用できないプラットフォーマ3については、メールアドレスの代わりにログインIDを入力する欄となる。パスワード入力欄d052にはログインパスワードを入力する。エンドユーザが承諾ボタンd053を選択すると、プラットフォーマ3からデータを収集することを承諾したものとする。また、ログイン情報がプラットフォーマ3へ送信され、ユーザ認証が行なわれる。プラットフォーマ3は認証に成功すると、アクセスするためのトークンを発行し、サーバ1へ送信する。サーバ1は、プラットフォーマ3へデータの要求を行う。キャンセルボタンd054を選択すると、データ連携は行わず、ホーム画面へ戻る。入力画面d05は同意画面の一例である。また、承諾ボタンd053を選択した旨の情報は、サーバ1へ送信される。当該情報は同意情報の一例である。エンドユーザが承諾ボタンd053を選択したことを契機に、トークンが発行され、当該トークンをサーバ1が受信するので、当該トークンも同意情報とみなせる。
図20はホーム画面の他の例を示す説明図である。ホーム画面d06は、仮審査の申込が可能である場合のホーム画面である。ホーム画面d06は仮審査ボタンd061、口座連携表示d062、会計連携表示d063、PFer連携表示d064、口座連携ボタンd065、会計連携ボタンd066、PFer連携ボタンd067、申込ボタンd068、一覧ボタンd069及び金額表示d06Aを含む。仮審査ボタンd061から金額表示d06Aのそれぞれは、ホーム画面d03の仮審査ボタンd031から金額表示d03Aと同様である。以下の説明では、主として図17と異なる構成について説明する。図20においては、仮審査が申し込める状態であるため、仮審査ボタンd061が選択可能に表示されている。上述したが、仮審査ボタンd061を常に選択可能に表示してもよい。エンドユーザは仮審査ボタンd061を選択して、上述の仮審査処理が起動することが可能である。図20では、金融機関とのデータ連携が完了している。そのため、口座連携表示d062には、連携口座における入出金情報に基づく、エンドユーザの評価値、ここでは70が表示されている。図20においても、いずれの会計サービスとの連携も行われていない状況であるため、会計連携表示d063には評価値は表示されていない。図20では、少なくとも一つのプラットフォーマ3との連携が完了しているので、PFer連携表示d064には、エンドユーザの評価値、ここでは10が表示されている。図20では、仮審査が完了していないため、図17同様、申込ボタンd068は動作しないように表示されている。また、図17同様に仮審査が行われていない状況なので、金額表示d06Aには、依然として金額が表示されていない。
図21はホーム画面の他の例を示す説明図である。ホーム画面d07は、借入申込が可能である場合のホーム画面である。ホーム画面d07は口座連携表示d072、会計連携表示d073、PFer連携表示d074、口座連携ボタンd075、会計連携ボタンd076、PFer連携ボタンd077、申込ボタンd078、一覧ボタンd079及び金額表示d07Aを含む。口座連携表示d072から金額表示d07Aのそれぞれは、ホーム画面d06の口座連携表示d062から金額表示d06Aと同様である。以下の説明では、主として図20と異なる構成について説明する。図21においては、仮審査が完了した状態であるため、仮審査ボタンd071が表示されていない。図21では、仮審査が完了しているため、申込ボタンd078が選択可能に表示されている。エンドユーザは申込ボタンd078を選択することにより、借入の申込が可能である。また、金額表示d07Aには、仮審査の結果、借入可能と判定された金額が表示されている。ホーム画面d07における金額表示d07Aは融資条件の一例であり、レンディングに関する情報の一例でもある。
図21において、エンドユーザが口座連携ボタンd075、会計連携ボタンd076又はPFer連携ボタンd077を操作し連携先を追加した場合、融資条件が変わる場合がある。この場合、エンドユーザが仮審査を申し込まなくとも、データ連携後に仮審査を実行した後に、仮審査結果を反映したホーム画面d07を表示してもよい。または、データ連携後に表示するホーム画面d07に、仮審査ボタンd071を表示し、エンドユーザが仮審査を申し込めるようにしてもよい。
また、エンドユーザが仮審査を受けた後や、借入申込した後に、エコシステム100からログアウトし、数日後に再度、ログインした場合は、以下の処理を行う。ホーム画面を表示する際に、最新の入出金情報やプラットフォーマ3からのサービス情報(最新データ)に基づき、仮審査を実行し、その結果を反映したホーム画面を表示する。なお、エンドユーザがログインする度に、エンドユーザの操作を要することなく、最新データに基づく仮審査を行い、その結果を反映したホーム画面d07を表示してもよい。また、エンドユーザがログインしなくとも、例えば1ヶ月に1回、最新データに基づく仮審査の処理を、サーバ1がバッチ処理などで実行してもよい。ここで言うホーム画面は、図21に示したホーム画面d07を想定している。
本実施の形態は、以下の効果を奏する。財務情報に限らず、金融機関の口座入出金情報、会計システムの会計データ、プラットフォーマ3の利用履歴などの情報を用いて、借入可能金額等のレンディング情報を生成することが可能となる。
(変形例)
上記の図10により与信モデル141の例を示したが、与信モデル141を構成する3つのモデルを統合したモデルを用いて、仮審査をおこなってもよい。図22は、与信モデルの他の構造例を示す説明図である。与信モデル141はエンドユーザの入出金データ、会計データ、サービスデータ等を入力とし、エンドユーザの評価点を出力とするニューラルネットワークである。サービスデータはプラットフォーマ3から得た利用履歴等である。ニューラルネットワークは、例えば、RNN(Recurrent Neural Network)、長短期記憶(LSTM:Long Short Term Memory)ネットワーク、又は、Transformerであり、入出金データ、会計データ、サービスデータの入力を受け付ける入力層と、評価点を出力する出力層とを有する。なお、与信モデル141がニューラルネットワーク以外のベイジアンネットワーク、決定木など、他の学習アルゴリズムで構築されたモデルであってもよい。
なお、与信モデル141へ、会計システムの利用情報である会計データを入力するのではなく、会計データより得られるキャッシュフローを入力してもよい。入出金データには、口座のその他の情報(アカウント)、例えば、開設してからの経過年月数や、所定期間毎の平均残高等を含めてもよい。また、与信モデル141へ入力するサービスデータとして、プラットフォーマ3の利用履歴等ではなく、利用履歴から求めた事業性評価値としてもよい。例えば、利用履歴から求めた利用頻度や利用金額などから事業性評価を行う。
入力層は、入出金データ、会計データ、サービスデータを入力として受け付ける複数のニューロンを有し、入力された項目値を中間層に受け渡す。中間層は、入力層から入力された各値を畳み込むコンボリューション層と、コンボリューション層で畳み込んだ値をマッピングするプーリング層とが交互に連結された構成を有し、入力された情報を圧縮しながら最終的に評価値を抽出する。出力層は、中間層から出力された評価値に基づいて、評価点を出力する。評価点は例えばデフォルト確率であり、0から1までの値を取る。または、評価点は格付けに相当する値としもよい。
与信モデル141は、入出金データ、会計データ、サービスデータ及びラベル(正解の評価点)からなる訓練データを用いて、以下のように生成する。サーバ1は、訓練データに含まれる入出金データ、会計データ、サービスデータを入力層に入力し、中間層での演算処理を経て、出力層から評価点を取得する。サーバ1は、出力層から出力された評価点を、訓練データに含むラベル、すなわち正解値と比較し、出力ノードの出力値が正解値に近づくように、中間層での演算処理に用いるパラメータを最適化する。当該パラメータは、例えばニューロン間の重み(結合係数)、各ニューロンで用いられる活性化関数の係数などである。パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、例えばサーバ1は誤差逆伝播法を用いて各種パラメータの最適化を行う。サーバ1は、全ての訓練データを用いて上記の学習処理を行い、学習済みの与信モデル141を生成する。
与信モデル141を仮審査で用いる際は、サーバ1の制御部11は、与信モデル141が出力した評価点、又は、格付け値を取得する。制御部11は、評価点、又は、格付け値と、エンドユーザの口座残高や口座残高の変動、売上高や資本金などとから、融資額等を定める。
図22に示した与信モデル141では、入出金データ、会計データ、プラットフォーマAデータ、プラットフォーマBデータの4種類のデータを入力としているが、入力データが1種類の場合でも、妥当な出力が得られるように、与信モデル141を学習することが望ましい。また、プラットフォーマのデータについては、2種類の場合のみならず、1種類、又は、3種類以上のデータを与信モデル141へ入力した場合であっても、妥当な出力が得られるように、与信モデル141を学習することが望ましい。
(実施の形態2)
本実施の形態は、エンドユーザの事業性評価を複数観点で行う形態に関する。図23は事業性評価モデルの構造例を示す説明図である。事業性評価モデル142は、エンドユーザが利用するプラットフォーマ3のデータを入力とし、エンドユーザの事業性評価を複数の観点で行い、観点毎に評価値を出力するニューラルネットワークである。入力データは、プラットフォーマ3から得たプラットフォーマ3の利用履歴等である。ニューラルネットワークは例えばCNNであり、データの入力を受け付ける入力層と、各観点の評価値を出力する出力層とを有する。観点は、例えば、経営の効率性、取引の機会、競合環境、市場規模、資金調達の必要性等である。他の観点のセットとして、商品力、生産力、営業販売力、顧客基盤、組織管理力等でもよい。なお、入力データとして、入出金データ、会計データを含めてもよい。
入力層は、各種データを入力として受け付ける複数のニューロンを有し、入力された値を中間層に受け渡す。中間層は、入力層から入力された各値を畳み込むコンボリューション層と、コンボリューション層で畳み込んだ値をマッピングするプーリング層とが交互に連結された構成を有し、入力された情報を圧縮しながら最終的に評価値を抽出する。出力層は、中間層から出力された評価値に基づいて、各観点の評価値を出力する。評価値は、1、2、3、4、5の何れかのように離散値であってもよいし、0から1までの連続値であってもよい。
なお、以下の説明では事業性評価モデル142がCNNであるものとして説明するが、事業性評価モデル142はCNNに限定されず、CNN以外のニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク、決定木など、他の学習アルゴリズムで構築されたモデルであってもよい。
事業性評価モデル142は、入力する各種データ及び各観点のラベル(正解の評価値)からなる訓練データを用いて、以下のように生成する。サーバ1は、訓練データに含まれる各種データを入力層に入力し、中間層での演算処理を経て、出力層から各観点の評価値を取得する。サーバ1は、出力層から出力された各観点の評価値を、訓練データに含む各観点のラベル、すなわち各観点の正解値と比較し、出力ノードの出力値が正解値に近づくように、中間層での演算処理に用いるパラメータを最適化する。当該パラメータは、例えばニューロン間の重み(結合係数)、各ニューロンで用いられる活性化関数の係数などである。パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、例えばサーバ1は誤差逆伝播法を用いて各種パラメータの最適化を行う。サーバ1は、全ての訓練データを用いて上記の学習処理を行い、学習済みの事業性評価モデル142を生成する。なお、事業性評価モデル142を、与信モデル141を構成する第3モデル1413として利用してもよい。
図24は評価結果DBの例を示す説明図である。評価結果DB137はエンドユーザ毎の事業性評価の結果を記憶する。評価結果DB137はユーザID列、総合評価点列、経営の効率性列、取引の機会列、競合環境列、市場規模列、及び、資金調達の必要性列を含む。ユーザID列はユーザIDを記憶する。総合評価点列は事業性評価の総合点を記憶する。総合点は観点毎の点数に基づいて計算される。例えば、総合点は各観点の評価の平均点である。総合点は観点毎の評価の合計点でもよい。経営の効率性列は経営の効率性についての評価点を記憶する。取引の機会列は取引の機会についての評価点を記憶する。競合環境列は競合環境についての評価点を記憶する。市場規模列は市場規模についての評価点を記憶する。資金調達の必要性列は資金調達の必要性についての評価点を記憶する。
図25は事業性評価処理の手順例を示すフローチャートである。事業性評価処理はプラットフォーマ3のデータからエンドユーザの事業性を評価する処理である。サーバ1の制御部11はデータを取得する(ステップS81)。取得するデータは連携済みのプラットフォーマ3のデータである。制御部11は取得したデータを事業性評価モデル142へ入力する(ステップS82)。制御部11は事業性評価モデル142から観点毎の評価値を取得する(ステップS83)。制御部11は観点毎の評価値から総合評価点を算出する(ステップS84)。制御部11は観点毎の評価値と総合評価点とを評価結果DB137に記憶し(ステップS85)、処理を終了する。事業性評価処理はエンドユーザのログイン時に実行する。また、バッチ処理などにより定期的に実行する。
続いて、端末2が表示する画面について説明する。端末2が表示する画面の大半は実施の形態1と同様であるが、実施の形態1とは異なるホーム画面について説明する。図26はホーム画面の他の例を示す説明図である。図26に示すホーム画面d08はデータ連携及び仮審査を終了した状態で表示される画面である。ホーム画面d08は入出金情報表示d081、入出金評価値d082、会計情報表示d083、会計評価値d084、事業性評価表示d085、事業性評価値d086、銀行表示d087、会計サービス表示d088、申込ボタンd089、一覧ボタンd08A、及び、金額表示d08Bを含む。入出金情報表示d081、会計情報表示d083、及び、事業性評価表示d085はエンドユーザの評価項目を示す。入出金評価値d082、会計評価値d084、及び、事業性評価値d086は、それぞれ入出金情報、会計情報、プラットフォーマ3から取得したサービス情報に基づくエンドユーザの評価値を示す。銀行表示d087は入出金情報の連携がされている銀行を示す。会計サービス表示d088は会計情報の連携がされている会計サービスを示す。申込ボタンd089をエンドユーザが選択すると、端末2からサーバ1へ借入申込の要求が送信される。一覧ボタンd08Aを選択すると、データ連携が可能な金融機関、会計サービス、プラットフォーマ3の一覧が表示される。金額表示d08Bはエンドユーザが借入可能な金額を表示する。
本実施の形態は、以下の効果を奏する。事業性評価モデル142を利用することにより、複数のプラットフォーマ3から取得したサービスデータを用いて、共通する複数の観点(共通する評価軸)で、エンドユーザの事業性を評価することが可能となる。
(事業性評価の活用)
事業性評価の結果をエンドユーザ等が活用するために、エコシステム100が提供する機能について説明する。図27はホーム画面の他の例を示す説明図である。図27に示すホーム画面d09の構成の中で、既に説明したものと同様な構成については符号及び説明を省略する。図27に示すホーム画面d09は事業性評価の結果を観点別に示すものである。ホーム画面d09は、評価結果d091及び連携サービス表示d092を含む。評価結果d091は事業性評価を観点別に示す。図27に示す例では事業性評価の観点は、経営の効率性、取引の機会、競合環境、市場規模、及び、資金調達の必要性の5つである。これら5つの観点は、事業性評価モデル142と一致させている。各観点の評価値は、事業性評価モデル142からの出力に基づく。事業性評価の各観点は5段階評価であり、1が最低評価、5が最高評価である。黒星が評価値を示す。例えば経営の効率性は星2つ、評価値2を示している。図27において、市場規模については評価できていないため、それを示すため、他の観点よりも文字が細いフォントで小さめに表示している。連携サービス表示d092は、データ連携が可能なプラットフォーマ3提供のサービスを示す。連携サービス表示d092の中で、通常の表示はエンドユーザが既にデータ連携を設定済みのサービスを示す。文字が細いフォントで小さめに表示しているサービスはデータ連携が未設定のサービスを示す。データ連携が未設定のサービスとして連携サービス表示d092は、エンドユーザの事業性評価の結果に基づき、エンドユーザにデータ連携、及び、利用を推奨するサービスを選択して表示してもよい。なお、観点毎の評価値の表示方法は図27に示したものに限らない。例えば、レーダチャートで示してもよい。また、観点毎の評価値を評価時点と対応付けて複数、記憶しておき、評価値の推移を折れ線グラフ等で表示できるようにしてもよい。
図28は一覧画面の例を示す説明図である。一覧画面d10はデータ連携が可能な金融機関やプラットフォーマ3、又は、プラットフォーマ3の提供サービスを一覧表示する。一覧画面d10は連携先名称欄d101、種別欄d102、凡例表示d103、処理選択欄d104、ラジオボタンd105、及び、追加ボタンd106を含む。連携先名称欄d101はデータ連携が可能な金融機関名称や提供サービス名称を表示する。種別欄d102はデータ連携により得られる情報の種別、又は、評価可能となる事業性評価の観点を表示する。凡例表示d103は種別欄d102の凡例を表示する。種別欄d102において、該当する観点は白黒反転表示となっている。例えば、IJネットサービスとのデータ連携を行うと、市場規模及び資金調達の必要について、事業性評価を行うためのデータが得られることを示している。種別欄d102を設定するためのデータは、予めプラットフォーマDB134に記憶しておく。処理選択欄d104は各データ連携先についての処理を選択する欄である。図28では、新規利用、連携、解除の3種の処理が表示される。新規利用は口座開設又はユーザ登録を希望する場合に選択する。連携はデータ連携を希望する場合に選択する。選択した金融機関に口座がない場合や選択したサービスへのユーザ登録が完了していない場合に、連携を選択したときは、ログイン情報の入力画面において、口座開設やユーザ登録を行う画面に遷移するハイパーリンクをエンドユーザが選択することになる。解除を選択すると、データ連携を解除することができる。既にデータ連携を行なっている金融機関及び提供サービスについては、新規利用、連携は選択できないように表示され、解除のみが選択可能に表示されている。ラジオボタンd105は複数の金融機関又はプラットフォーマ3とデータ連携を開始する場合に、対象となる金融機関又はサービスを選択する。追加ボタンd106を選択すると、ラジオボタンd105で選択された金融機関又はプラットフォーマ3とのデータ連携を行うための設定処理、上述のデータ連携処理が実行される。図28の例では、EFネットサービス、IJネットサービス、KLネットサービス、MNネットサービス、OPネットサービスがラジオボタンd105により選択されているから、追加ボタンd106を選択すると、これら5つのサービスについてのデータ連携処理が順次、実行される。なお、種別欄d102に表示する情報の種別、事業性評価の観点は一例であり、他の種別及び他の観点も採用可能である。
図29は一覧画面作成処理の手順例を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は端末2から、データ連携先一覧の要求を受信する(ステップS101)。制御部11はエンドユーザが既にデータ連携を行なっているサービス(連携済サービス)を取得する(ステップS102)。連携済サービスは連携アカウントDB132から取得可能である。制御部11はデータ連携の候補となるサービス(候補サービス)を選択する(ステップS103)。制御部11はプラットフォーマDB134から連携可能サービスを抽出する。制御部11が抽出したサービスから連携済サービスを除いたものが、候補サービスとなる。制御部11は絞り込みを行う。候補サービスそれぞれについて、プラットフォーマDB134から、データ連携により評価可能となる事業性評価の観点を取得する。また、エンドユーザの事業性評価の観点毎の評価値を評価結果DB137等から取得する。制御部11は評価値を昇順に並べ替え、上位2つの観点を選択する。制御部11は、候補サービスを選択した観点に対応するサービスに絞り込み(ステップS104)、絞り込んだサービスについての一覧を作成する(ステップS105)。制御部11は作成した一覧を端末2へ送信し(ステップS106)、処理を終了する。
このように、データ連携を設定する候補サービス一覧を表示する際に、エンドユーザの事業性評価の結果を利用することにより、エンドユーザの成長に資するプラットフォーマ3の提供サービスを、一覧表示することが可能となる。当該一覧表示は推奨情報の一例である。それにより、エンドユーザがプラットフォーマ3のサービスの利用を開始し、事業性評価が向上することが期待される。その結果、エコシステム100により、エンドユーザとプラットフォーマ3とはWin-Winの関係を築くことが可能となる。
(インセンティブ付与)
エンドユーザがプラットフォーマ3とのデータ連携を行うことを促すために、インセンティブの付与を行なってもよい。以下、インセンティブ付与の例を説明する。
図30は付与条件DBの例を示す説明図である。付与条件DB138はインセンティブ、ここではポイントをエンドユーザへ付与する条件を記憶する。付与条件DB138は条件ID列、事業性評価列、付与間隔列、有効期限列及びポイント数列を含む。条件ID列は付与条件を一意に特定可能な条件IDを記憶する。事業性評価列は付与を受けるための事業性評価の条件を記憶する。事業性評価列はさらに総合評価点列、経営の効率性列、取引の機会列、競合環境列、市場規模列、及び、資金調達の必要性列を含む。総合評価点列は事業性評価の総合点を記憶する。経営の効率性列、取引の機会列、競合環境列、市場規模列、及び、資金調達の必要性列はそれぞれ、経営の効率性の観点、取引の機会の観点、競合環境の観点、市場規模の観点、及び、資金調達の必要性の観点についての評価値を記憶する。付与間隔列はポイントを付与する間隔を記憶する。有効期限列はポイントの有効期限を記憶する。ポイント数列は付与するポイント数を記憶する。
図31は特典DBの例を示す説明図である。特典DB139はポイント使用により得られる特典の情報を記憶する。特典DB139は特典ID列、利用対象列、内容列及びポイント数列を含む。特典ID列は特典を一意に特定な可能な特典IDを記憶する。利用対象列は特典を利用できる金融機関又はプラットフォーマ3のIDを記憶する。内容列は特典の内容を記憶する。ポイント数列は特典を利用するために必要なポイント数を記憶する。
図32は付与履歴DBの例を示す説明図である。付与履歴DB13Aはエンドユーザへのポイント付与の履歴を記憶する。付与履歴DB13AはユーザID列、条件ID列、付与日列、期限列、状態列及びポイント列を含む。ユーザID列はポイントを付与したエンドユーザのユーザIDを記憶する。条件ID列はポイント付与の契機となった付与条件の条件IDを記憶する。付与日列はエンドユーザへポイントを付与した日付を記憶する。期限列はポイントの使用期限を記憶する。状態列はポイントの状態を記憶する。状態は例えば、未使用、使用済である。ポイント列はエンドユーザへ付与したポイントの数量を記憶する。
図33はポイント付与処理の手順例を示すフローチャートである。ポイント付与処理は、エンドユーザがログインした際、仮審査を実行した際などに実行される。サーバ1の制御部11はエンドユーザの事業性評価の結果を取得する(ステップS121)。制御部11は付与条件DB138を参照し、事業性評価の結果に適合する付与条件を抽出する(ステップS122)。制御部11は抽出した付与条件の一つを選択する(ステップS123)。制御部11は選択した付与条件による直近のポイント付与日を取得する(ステップS124)。制御部11はポイントを付与するか否かを判定する(ステップS125)。取得した付与日と現在日付とから、付与条件に含まれる付与間隔の条件を満たしている場合、制御部11はポイントを付与すると判定する。付与間隔の条件を満たしていない場合、制御部11はポイントを付与しないと判定する。制御部11はポイントを付与すると判定した場合(ステップS125でYES)、付与するポイントを付与履歴DB13Aに記憶する(ステップS126)。ステップS126のあと、または制御部11はポイントを付与しないと判定した場合(ステップS125でNO)、未処理の付与条件があるか否かを判定する(ステップS127)。制御部11は未処理の付与条件があると判定した場合(ステップS127でYES)、処理をステップS123へ戻し、未処理の付与条件についての処理を行う。制御部11は未処理の付与条件がないと判定した場合(ステップS127でNO)、特典DB139を参照して、付与したポイントが利用可能な特典を抽出する(ステップS128)。制御部11は利用可能な特典の情報とともに、ポイントが付与された旨の付与メッセージを端末2へ送信し(ステップS129)、処理を終了する。
図34は付与通知画面の例を示す説明図である。付与通知画面d11は、例えばホーム画面等に重ねて、ポップアップ画面として表示する。付与通知画面d11は付与メッセージd111、利用可能特典表示d112、及び、閉じるボタンd113を含む。付与メッセージd111はポイントの付与を知らせるメッセージであり、付与されたポイントの数量が含まれている。利用可能特典表示d112は付与されたポイントで利用可能な特典を表示する。エンドユーザが閉じるボタンd113を選択すると、端末2の制御部21は付与通知画面を閉じる。
エンドユーザはプラットフォーマ3が提供するサービスを利用することにより、事業性評価の上昇と、それに伴うポイントの獲得が期待できる。その結果、エンドユーザのプラットフォーマ3の利用数の増加と評価向上とを目指す動機づけとなる。
ポイント付与処理の結果は、エンドユーザが利用しているプラットフォーマ3へ通知してもよい。そして、エンドユーザがプラットフォーマ3へログインした際に、上述の付与通知画面を表示してもよい。また、付与履歴DB13Aをプラットフォーマ3は参照可能とし、プラットフォーマ3のユーザ画面においても、エンドユーザは保有ポイントの数量を確認可能とすることが望ましい。そして、ポイントを利用して受けることが可能な特典を、プラットフォーマ3のユーザ画面でも一覧表示することが望ましい。
ポイントの付与方法は上述したものに限らない。事業性評価の結果に関わらず、データ連携を行っているプラットフォーマ3の数や期間に応じたポイントを定期的に、例えば、月ごとに付与してもよい。特典についてもポイントに応じて利用可能とする場合に限らず、プラットフォーマ3とのデータ連携を行っているエンドユーザに対して、特典の利用を許可してもよい。
(本人データ整合性確認)
本人データの整合性確認は、以下の機能である。サーバ1が有するユーザの情報と、連携するプラットフォーマ3が有するユーザの情報との整合性を確認し、ユーザの情報の信頼性を高めることを目的とする機能である。具体的には、上述のデータ連携処理が実行されると、サーバ1はプラットフォーマ3から、ユーザの情報が取得可能となるので、本人データ整合性確認する処理を実行する。
図35は整合性確認処理の手順例を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は本人情報を取得する(ステップS131)。制御部11は、予めデータ連携処理が完了しているプラットフォーマから本人情報を取得し、補助記憶部13に記憶している。制御部11はプラトッフォーマから取得しているエンドユーザの本人情報と、ユーザDB131に記憶してあるエンドユーザの情報との整合性を確認する(ステップS132)。制御部11は、氏名・名称、メールアドレス、所在地住所等、受信した本人情報とユーザDB131に記憶してあるユーザ情報とで共通する項目間で、整合性を確認する。制御部11は整合性の確認結果を記憶し(ステップS133)、処理を終了する。例えば確認結果は「整合性あり」、「整合性なし」である。
確認結果は点数化してもよい。複数のプラットフォーマとのデータ連携が完了しているエンドユーザにおいて、ユーザDB131に記憶してある本人情報と整合性がある判定したプラットフォーマの本人情報の数により、点数を定める。また、プラットフォーマ3から本人情報を得る際に、eKYC等により確認済みか否かの情報も取得し、プラットフォーマ3での本人確認が未実行の場合に、点数を下げてもよい。
整合性確認処理は仮審査の後に行われる本審査において実行されることを想定している。そのため、整合性確認の結果は、整合性確認処理において、エンドユーザへの通知は行わない。なお、確認結果が「整合性なし」であり、その時点で「本審査」を打ち切る場合は、その旨をエンドユーザへ通知してもよい。
プラットフォーマ3がアカウントアグリーゲーション等を行っており、エンドユーザが利用している金融機関口座の入出金データを保有している場合、当該口座と紐付けられた本人情報を、プラットフォーマ3はサーバ1へ送信してもよい。金融機関では特に慎重に本人確認を行っているため、金融機関が保有するデータと整合していれば、情報の信頼性が高まることになる。
(関連データ整合性確認)
関連データ整合性確認は、以下の機能である。エンドユーザが、複数のプラットフォーマ3とのデータ連携を設定している場合に、プラットフォーマ3それぞれから提供されるデータ間の関連性を用いて、それぞれのデータが整合しているかを確認する機能である。データが整合していれば、それぞれのプラットフォーマ3から連携されたデータの保有者が同一人であるといえる。例えば、第1のプラットフォーマ3から在庫データを、第2のプラットフォーマ3から受発注データを、第3のプラットフォーマ3から口座データを、サーバ1は参照可能な場合、これら3種類のデータの関連性を用いて、データの整合性を確認することが可能である。以下の説明では、在庫データ、会計データ、口座データの整合性を確認する例について述べる。
図36は整合性がある関連データの例を示すテーブルである。「在庫減少(販売)」、「在庫増加(仕入)」、「在庫金額(月末)」の各行は、在庫データである。「売上額」、「仕入額」の各行は、会計データである。「入金額」、「支払額」は口座データである。例えば、2022年1月に販売により在庫が減少し、「在庫減少(販売)」行の値が100となっている。それに対応し、「売上額」行に売上120が計上されている。そして、2022年3月に売上に対応した入金120が、「入金額」行に計上されており、在庫データ、会計データ、口座データの整合性が取れていることが確認できる。また、2022年2月に販売により在庫が120減少したことが、「在庫減少(販売)」行の値からわかる。それに対応して、2022年3月に120の仕入れを行ったことが、「在庫増加(仕入)」行の値から読み取れる。それに応じて、「仕入額」行に120が計上されている。そして、2022年5月に仕入れに対する支払いがされ、「支払額」行に120が計上されている。このような流れでも、在庫データ、会計データ、口座データの整合性が取れていることが確認できる。
図37は整合性がある関連データの例を示すグラフである。縦軸は金額であり、単位は例えば100万円である。横軸は年月である。図37は在庫減少(販売)額と入金額との時間推移を示している。上述したように、販売してから代金の入金までには時間差があり、金額は一致しないが、グラフの形状から両データは整合していることが、視覚的に確認可能である。
図38は整合性が疑われる関連データの例を示すテーブルである。図38においては、2022年9月度から「在庫減少(販売)」と「売上額」との関係が変化している。「売上額」と「入金額」とは関連していることから、「在庫減少(販売)」と「入金額」との関係が変化していることが検知でき、在庫データ、会計データ、口座データの整合性が疑われる。
図39は整合性が疑われる関連データの例を示すグラフである。軸や示している値は、図37と同様である。上述したように、「在庫減少(販売)」と「入金額」との間では時間差があり、金額は一致しないものの、グラフの形状は同じようなるはずであるが、楕円で囲った部分においては、明らかに2つのグラフ形状が異なっており、データ整合性が疑われることは明らかである。
図40は関連データ整合性確認処理の手順例を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、データ連携によりプラットフォーマ3から得ているデータ項目(以下、「連携項目」という。)を取得する(ステップS151)。連携項目は補助記憶部13に記憶している。制御部11は連携項目(例えば、在庫データ、会計データ、口座データそれぞれに含まれるデータ項目)を用いて、整合性を確認するために利用できる規則を検索する(ステップS152)。規則は予め補助記憶部13に記憶しておく。制御部11は利用できる規則があるか否かを判定する(ステップS153)。検索にヒットしたら規則があると判定し、検索にヒットしなかったら規則がないと、制御部11は判定する。制御部11は利用できる規則があると判定した場合(ステップS153でYES)、規則に基づき整合性を確認するためのデータを取得する(ステップS154)。制御部11は取得したデータの整合性の確認を行う(ステップS155)。例えば、「売上÷在庫減少額」を月毎に算出する。算出した値について、全企業(もしくは同業種)の平均が1.2(標準偏差が0.1)を基準値として、1.0~1.4に収まっていない月が連続して3カ月発生した場合に、不整合があるものと判定する。制御部11は整合性の確認結果を記憶し(ステップS156)、処理を終了する。例えば確認結果は「整合性あり」、「整合性なし」である。制御部11は利用できる規則がないと判定した場合(ステップS153でNO)、結果に確認できない旨を示す「不可」を設定し(ステップS157)、処理を終了する。
関連データ整合性確認処理は仮審査の後に行われる本審査において実行されることを想定している。そのため、整合性確認の結果は、関連データ整合性確認処理において、エンドユーザへの通知は行わない。なお、確認結果が「整合性なし」であり、その時点で「本審査」を打ち切る場合は、その旨をエンドユーザへ通知してもよい。また、エンドユーザに対して、エコシステム100の利用制限を行ってもよい。
(複数モデルの結果の統合機能)
図10に示したように、与信モデル141は複数のモデルの結果を結合して、融資の可否等の審査結果を出力する構成も取りうる。以下、複数モデルの結果を統合する機能について説明する。なお、図10において、符号1414は結合器を示し、結合器1414は、第1モデル1411、第2モデル1412、第3モデル1413それぞれの判定結果を結合し、最終的な判定結果を出力すると述べたが、以下に説明する内容は、「統合」との表現がより適切であるため、「結合」ではなく、「統合」という。
以下の説明においては、Aモデル、Bモデルの2つモデルの結果を統合する場合の例を示す。2つのモデルは、上述した会計モデル、入出金モデル、サービスモデルであってもよいし、そうでなくともよい。Aモデル、Bモデルは、エンドユーザの会計データ、金融口座における入出金情報、在庫データ等を入力すると、判定結果を出力する。判定結果には、PD(Probability of Default:デフォルト確率)値と融資可能金額が含まれているとする。PD値が大きいほど、デフォルトする確率が高いということであり、PD値が小さいほど、デフォルトする確率が低いということである。Aモデルが出力したPD値をPDA、Bモデルが出力したPD値をPDBとする。このとき、エンドユーザのPD値を以下のように計算する。
PD値=α×PDA+β×PDB
0≦α≦1、0≦β≦1
α、βは係数である。α、βはエンドユーザの業種や、PDA及びPDBの値域によって、変動させてもよい。
次に金利の決定方法について説明する。まずベース金利を算出する。例えば、ベース金利はPD値と経費率と利鞘とを足し合わせたものとする。経費率と利鞘とは予め定めておくが、定期的に見直すことが望ましい。
次に、優遇金利を算出する。エンドユーザが、他のシステムとエコシステム100とのデータ連携を認めることにより、得られたデータの数(提供データ種類数)や、データ連携により事業性評価を行えた数(事業性評価スコアの数)により、優遇金利の値が決まる。例えば、以下のように求める。
X=r1×(提供データ種類数)
Y=r2×(事業評価スコア数)
0<r1<1、0<r2<1
優遇金利=min{上限値,X+Y}
min{値1,値2}は、値1と値2のうち、小さい方の値が採用されることを意味する。貸出金利は、ベース金利-優遇金利とする。
なお、学習モデル(ここではAモデル、Bモデル)が出力するPD値が、提供データ種類数、事業評価スコア数を十分に考慮した上での値であると、評価できる場合は、優遇金利の算出を行わなくともよい。
融資可能額の決定方法について説明する。例えば、PD値と同様に、2つの学習モデルが出力した融資可能金額に重みをつけて足したものを融資可能金額とする。
融資可能金額=γ×(モデルAの融資可能金額)+δ×(モデルBの融資可能金額)
0≦γ≦1、0≦δ≦1、但し、γ≠0又はδ≠0
γ、δは係数である。γ、δはエンドユーザの業種や、PDA及びPDBの値域によって、変動させてもよい。なお、学習モデルが融資可能金額を出力しない場合は、当該学習モデルへ入力されるデータ等に基づいて、融資可能金額を算出してもよい。また、学習モデルが融資可能金額を判定した基準時点と、処理時点との間に、エンドユーザが借入をしている場合、学習モデルが出力した融資可能金額から、その借入額を差し引いた額を、当該学習モデルにより決定された融資可能金額とすることが望ましい。
続いて、複数モデルの結果の統合機能を用いた審査処理について説明する。図41は審査処理の手順例を示すフローチャートである。審査処理はサーバ1で実行される処理であり、端末2等からの要求により、実行される。サーバ1の制御部11は審査に必要なデータを収集する(ステップS171)。制御部11は、データ連携しているプラットフォーマ3から得たデータが最新であるか否かを確認し、最新でない場合は、データを更新する。制御部11は複数の学習モデルへ、各モデルが求めている入力データを入力し、各学習モデルが出力したPD値を取得する(ステップS172)。制御部11は複数のPD値から、一つのPD値(使用デフォルト確率)を決定する(ステップS173)。制御部11は決定したPD値を用いて、融資金利を算出する(ステップS174)。制御部11は、融資可能額を算出する(ステップS175)。制御部11は審査要求をした端末2へ結果(金利、融資可能額)を出力し(ステップS176)、処理を終了する。
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本願の一態様に係る情報処理方法は、プラットフォーマが事業者にサービスを提供するサイトに設定されたレンディングを申し込むためのリンクを、前記事業者が操作したことに起因して、前記レンディングにおける同意画面を事業者端末へ送信し、前記事業者端末から、前記事業者の同意情報を受信し、前記事業者の登録情報、口座入出金情報、及び、会計システムの利用情報を取得し、前記プラットフォーマを含む複数のプラットフォーマより、各プラットフォーマのサービスの利用に関するサービスデータを取得し、前記各プラットフォーマの前記サービスデータに基づいて、複数観点の事業性評価の評価値を導出し、取得した前記登録情報、前記口座入出金情報、前記利用情報及び前記各プラットフォーマの前記サービスデータに基づき、前記事業者向けの融資条件を導出し、前記融資条件を含むレンディングに関する情報、複数観点の前記事業性評価の各評価値、及び、前記複数のプラットフォーマのリストを、前記事業者端末へ送信する処理をコンピュータが行うことを特徴とする。