JP2023135048A - タイヤ - Google Patents

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JP2023135048A JP2022040058A JP2022040058A JP2023135048A JP 2023135048 A JP2023135048 A JP 2023135048A JP 2022040058 A JP2022040058 A JP 2022040058A JP 2022040058 A JP2022040058 A JP 2022040058A JP 2023135048 A JP2023135048 A JP 2023135048A
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康揮 森田
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】熱可塑性エラストマーを用いた、操縦安定性に優れたタイヤを提供する。【解決手段】トレッド部とサイドウォール部を熱可塑性エラストマー組成物で形成したタイヤであって、正規リムにリム組み後、所定空気圧を充填した際のトレッドクラウン部の最表面におけるタイヤ半径方向の変位Aが(1)を満たし、(1)A≦3.0%トレッドクラウン部における全厚みT(mm)、タイヤの外径Dt(mm)が(2)を満たす。(2)T/Dt≦0.034<所定空気圧>タイヤの仮想体積Vが15000cm3以上の場合:250(kPa)タイヤの仮想体積Vが15000cm3未満の場合:0.0152×V+22.553(kPa)タイヤの仮想体積V(mm3)は、正規リムに組付け、内圧を大気圧とした状態でのタイヤの外径Dt(mm)、断面幅Wt(mm)、断面高さH(mm)により算出されるV={(Dt/2)2-(R/2)2}×π×WtR=Dt-2H【選択図】なし

Description

本開示は、タイヤに関する。
タイヤは一般的に加硫ゴム組成物がその大半の構成部材を占め、加硫ゴム組成物はリサイクルが難しいことから、リサイクル性を高めるため、例えば熱可塑性エラストマーを用いたタイヤが検討されていた。しかしながら、上記熱可塑性エラストマーを用いたタイヤを実用化した例は乏しく、現状も実用化に向けて課題が残っていた。
本開示は、前記課題を解決し、熱可塑性エラストマーを用いたタイヤにおいて、操縦安定性に優れたタイヤを提供することを目的とする。
本開示は、トレッド部及びサイドウォール部が熱可塑性エラストマー組成物から形成されたタイヤであって、
正規リムにリム組み後、以下の所定空気圧を充填した際のトレッドクラウン部の最表面におけるタイヤ半径方向の変位Aが、下記式(1)を満たし、
(1)A≦3.0%
トレッドクラウン部における全厚みT(mm)、タイヤの外径Dt(mm)が、下記式(2)を満たすタイヤに関する。
(2)T/Dt≦0.034
<所定空気圧>
タイヤの仮想体積Vが15000cm以上の場合:250(kPa)
タイヤの仮想体積Vが15000cm未満の場合:0.0152×V+22.553(kPa)
なお、タイヤの仮想体積V(mm)は、タイヤの外径Dt(mm)、タイヤの断面幅Wt(mm)、リム径R(mm)、タイヤの断面高さH(mm)を用い、以下の式により算出される値である。
V={(Dt/2)-(R/2)}×π×Wt
R=Dt-2H
(式中、Dt、Wt、Hは、いずれもタイヤを正規リムに組付け、内圧を大気圧とした状態での値である。)
本開示によれば、トレッド部及びサイドウォール部が熱可塑性エラストマー組成物から形成され、かつ前記式(1)、(2)を満たすタイヤであるので、操縦安定性に優れたタイヤを提供できる。
空気入りタイヤ2の一部が示された断面図。 図1のタイヤ2のトレッド部4の近辺が示された拡大断面図。
本開示のタイヤは、トレッド部及びサイドウォール部が熱可塑性エラストマー組成物から形成され、かつ前記式(1)、(2)を満たす。
前記作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。
実使用時の少し高い内圧を負荷させた際、変形量が3.0%以下(式(1))であることで、トレッド部の転動時の変形量を小さくすることができ、それに伴う発熱を低減させることができる為、熱可塑性エラストマーの各部材の可塑化を抑制することができ、良好な応答性が得られ、操縦安定性が向上すると考えられる。
また、トレッドクラウン部の全厚みとタイヤ外径の比を所定以下(式(2))とすることで、タイヤ内部の熱をトレッド部から放出させやすくすることができ、トレッド部内での蓄熱も抑制される為、さらにタイヤ全体の可塑化を抑制させやすくすることが可能となり、良好な操縦安定性が得られると考えられる。
従って、トレッド部及びサイドウォール部を熱可塑性エラストマー組成物で形成し、かつ前記式(1)、(2)を満たすタイヤは、操縦安定性に優れていると推察される。
このように、前記タイヤは、トレッド部及びサイドウォール部が熱可塑性エラストマー組成物から形成されたタイヤにおいて、式(1)「A≦3.0%」、式(2)「T/Dt≦0.034」を備えた構成のタイヤにすることにより、優れた操縦安定性を付与するという課題(目的)を解決するものである。すなわち、式(1)「A≦3%」、式(2)「T/Dt≦0.034」の構成は課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、優れた操縦安定性を付与することであり、そのための解決手段として当該パラメーターを満たすような構成にしたものである。
前記タイヤは、正規リムにリム組み後、以下の所定空気圧を充填した際のトレッドクラウン部の最表面におけるタイヤ半径方向の変位Aが、下記式(1)を満たす。
(1)A≦3.0%
<所定空気圧>
タイヤの仮想体積Vが15000cm以上の場合:250(kPa)
タイヤの仮想体積Vが15000cm未満の場合:0.0152×V+22.553(kPa)
なお、タイヤの仮想体積V(mm)は、タイヤの外径Dt(mm)、タイヤの断面幅Wt(mm)、リム径R(mm)、タイヤの断面高さH(mm)を用い、以下の式により算出される値である。
V={(Dt/2)-(R/2)}×π×Wt
R=Dt-2H
(式中、Dt、Wt、Hは、何れもタイヤを正規リムに組付け、内圧を大気圧とした状態での値である。)
Aは、タイヤの用途に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは12.0%以下、より好ましくは5.0%以下、更に好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1.0%以下である。下限は、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、更に好ましくは0.3%以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
乗用車用タイヤの場合、Aは、好ましくは5.0%以下、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下、特に好ましくは0.5%以下である。下限は、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、更に好ましくは0.3%以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
競技用タイヤ(カート用タイヤなど)の場合、Aは、好ましくは12.0%以下、より好ましくは2.0%以下、更に好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1.2%以下である。下限は、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、更に好ましくは0.3%以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記タイヤは、効果がより良好に得られる観点から、タイヤの仮想体積Vが下記式を満たすことが望ましい。
V≧4000cm
Vは、タイヤの用途に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは5000cm以上、より好ましくは10000cm以上、更に好ましくは20000cm以上である。上限は、好ましくは450000cm以下、より好ましくは42000cm以下、更に好ましくは40000cm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
乗用車用タイヤの場合、Vは、好ましくは20000cm以上、より好ましくは30000cm以上、更に好ましくは32000cm以上、特に好ましくは37698cm以上である。上限は、好ましくは450000cm以下、より好ましくは42000cm以下、更に好ましくは40000cm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
競技用タイヤ(カート用タイヤなど)の場合、Vは、好ましくは4500cm以上、より好ましくは4800cm以上、更に好ましくは5000cm以上、特に好ましくは5108cm以上である。上限は、好ましくは10000cm以下、より好ましくは7000cm以下、更に好ましくは6000cm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記タイヤは、効果がより良好に得られる観点から、タイヤの外径Dtが下記式を満たすことが望ましい。
Dt≧200mm
Dtは、タイヤの用途に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは250mm以上、より好ましくは350mm以上、更に好ましくは450mm以上、特に好ましくは550mm以上である。上限は、好ましくは800mm以下、より好ましくは700mm以下、更に好ましくは670mm以下、特に好ましくは650mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
乗用車用タイヤの場合、Dtは、好ましくは550mm以上、より好ましくは600mm以上、更に好ましくは620mm以上、特に好ましくは630mm以上、最も好ましくは632mm以上である。上限は、好ましくは750mm以下、より好ましくは700mm以下、更に好ましくは680mm以下、特に好ましくは670mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
競技用タイヤ(カート用タイヤなど)の場合、Dtは、好ましくは220mm以上、より好ましくは230mm以上、更に好ましくは240mm以上、特に好ましくは250mm以上、最も好ましくは255mm以上である。上限は、好ましくは350mm以下、より好ましくは300mm以下、更に好ましくは280mm以下、特に好ましくは270mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記タイヤは、効果がより良好に得られる観点から、タイヤの断面幅Wtが下記式を満たすことが望ましい。
Wt≧100mm
Wtは、タイヤの用途に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは120mm以上、より好ましくは125mm以上、更に好ましくは130mm以上である。上限は、好ましくは250mm以下、より好ましくは230mm以下、更に好ましくは210mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
乗用車用タイヤの場合、Wtは、好ましくは150mm以上、より好ましくは180mm以上、更に好ましくは200mm以上、特に好ましくは205mm以上である。上限は、好ましくは250mm以下、より好ましくは230mm以下、更に好ましくは210mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
競技用タイヤ(カート用タイヤなど)の場合、Wtは、好ましくは120mm以上、より好ましくは125mm以上、更に好ましくは130mm以上、特に好ましくは133mm以上である。上限は、好ましくは200mm以下、より好ましくは170mm以下、更に好ましくは150mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記タイヤは、効果がより良好に得られる観点から、タイヤの断面高さHが下記式を満たすことが望ましい。
H≧50mm
Hは、タイヤの用途に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは80mm以上、より好ましくは90mm以上、更に好ましくは100mm以上、特に好ましくは110mm以上である。上限は、好ましくは180mm以下、より好ましくは160mm以下、更に好ましくは140mm以下、特に好ましくは130mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
乗用車用タイヤの場合、Hは、好ましくは90mm以上、より好ましくは100mm以上、更に好ましくは105mm以上、特に好ましくは110mm以上、最も好ましくは113mm以上である。上限は、好ましくは180mm以下、より好ましくは160mm以下、更に好ましくは140mm以下、特に好ましくは130mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
競技用タイヤ(カート用タイヤなど)の場合、Hは、好ましくは55mm以上、より好ましくは57mm以上、更に好ましくは60mm以上、最も好ましくは64mm以上である。上限は、好ましくは90mm以下、より好ましくは80mm以下、更に好ましくは70mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記タイヤは、効果がより良好に得られる観点から、タイヤの断面幅Wt、タイヤの断面高さHが下記式を満たすことが望ましい。
H/Wt×100≧35%
H/Wt×100の下限は、好ましくは35%以上、より好ましくは45%以上、更に好ましくは48%以上、特に好ましくは50%以上、最も好ましくは55%以上である。上限は、好ましくは70%以下、より好ましくは65%以下、更に好ましくは60%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本開示において、前記Aは、正規リムにリム組み後、所定空気圧を充填した際のトレッドクラウン部の最表面におけるタイヤ半径方向の変位であり、具体的には、以下の式により算出される値を指す。
A=〔{(タイヤを正規リムに組付け、内圧を前記所定空気圧とした状態におけるトレッドクラウン部の最表面のタイヤ半径方向の外径)-(タイヤを正規リムに組付け、内圧を大気圧とした状態におけるトレッドクラウン部の最表面のタイヤ半径方向の外径)}/(タイヤを正規リムに組付け、内圧を大気圧とした状態におけるトレッドクラウン部の最表面のタイヤ半径方向の外径)〕×100(%)
本開示において、トレッドクラウン部は、タイヤ断面において、タイヤ赤道面に位置する部分を指す。
トレッドクラウン部の最表面は、該トレッドクラウン部のトレッド表面(タイヤ赤道線上のトレッド表面)を指す。トレッドクラウン部に周方向溝を有する場合には、当該周方向溝のタイヤ最表面側の端部を繋ぎ合わせた直線と、タイヤ赤道面との交点をトレッド表面とする。
本開示において、「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば ”Design Rim”、或いはETRTOであれば”Measuring Rim”を意味する。
「所定空気圧」は、前記のとおり、タイヤの仮想体積Vが15000cm以上の場合は250kPaであり、タイヤの仮想体積Vが15000cm未満の場合は0.0152×V+22.553で算出される値(kPa)である。
「タイヤの仮想体積V」は、前記のとおり、V={(Dt/2)-(R/2)}×π×Wtで算出される値である。
「タイヤの外径Dt」は、前記のとおり、タイヤを正規リムに組付け、内圧を大気圧とした状態のタイヤの外径である。
「タイヤの断面幅Wt」は、タイヤを正規リムに組付け、内圧を大気圧とした状態のタイヤにおいて、タイヤ側面の模様や文字など全てを含むサイドウォール間の直線距離(タイヤの総幅)からタイヤの側面の模様、文字などを除いた幅である。
「タイヤの断面高さH」は、タイヤを正規リムに組付け、内圧を大気圧とした状態のタイヤにおいて、タイヤの最小外径位置(タイヤ半径方向の先端の位置)からタイヤの最大外径位置(タイヤ赤道線上の位置)までのタイヤ半径方向に沿った長さである。
前記タイヤは、トレッドクラウン部における全厚みT(mm)、タイヤの外径Dt(mm)が、下記式(2)を満たす。
(2)T/Dt≦0.034
T/Dtは、タイヤの用途に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは0.030以下、より好ましくは0.025以下、更に好ましくは0.020以下、特に好ましくは0.016以下である。下限は、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.010以上、更に好ましくは0.012以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
乗用車用タイヤの場合、T/Dtは、好ましくは0.030以下、より好ましくは0.025以下、更に好ましくは0.020以下、特に好ましくは0.016以下である。下限は、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.008以上、更に好ましくは0.010以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
競技用タイヤ(カート用タイヤなど)の場合、T/Dtは、好ましくは0.030以下、より好ましくは0.025以下、更に好ましくは0.022以下、特に好ましくは0.020以下である。下限は、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.010以上、更に好ましくは0.013以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記タイヤは、効果がより良好に得られる観点から、トレッドクラウン部における全厚みT(mm)が下記式を満たすことが望ましい。
T≦15.0mm
Tは、タイヤの用途に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは10.0mm以下、より好ましくは8.0mm以下、更に好ましくは6.0mm以下、特に好ましくは5.0mm以下である。下限は、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上、更に好ましくは2.5mm以上、特に好ましくは3.0mm以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
乗用車用タイヤの場合、Tは、好ましくは12.0mm以下、より好ましくは11.0mm以下、更に好ましくは10.0mm以下である。下限は、好ましくは5.0mm以上、より好ましくは7.0mm以上、更に好ましくは8.0mm以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
競技用タイヤ(カート用タイヤなど)の場合、Tは、好ましくは8.0mm以下、より好ましくは7.0mm以下、更に好ましくは5.0mm以下である。下限は、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上、更に好ましくは3.0mm以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本開示において、「トレッドクラウン部における全厚みT」とは、タイヤの回転軸を含む平面で切った断面において、赤道面上におけるトレッド表面からトレッド内面までの距離を指し、トレッドクラウン部が熱可塑性エラストマー組成物で構成されない部位(補強層、支持部材など)を含む場合、当該部位も含めた赤道面上におけるトレッド表面からトレッド内面までの距離を指す。また、タイヤ赤道面上に溝を有する場合においては、該溝のタイヤ半径方向最表面側の端部間を繋いだ直線と、赤道面の交点からの直線距離である。
タイヤの外径Dtは、前記のとおりである。
以下、適宜図面を参照しつつ、好ましい実施形態の一例に基づいて前記タイヤを詳細に説明する。なお、本実施形態は一例であり、本開示がこれに拘束されることは意図しない。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド部4、一対のサイドウォール部6を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車などに装着できる。タイヤ2は、更に、ベーストレッドや、その他の部材(クリンチ、ビード、カーカス、ベルト、バンド、インナーライナー、チェーファーなど)の役割を備えさせたエラストマー層やゴム層、支持層などを有してもよい。
トレッド部4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド部4は、路面と接地するトレッド面11を形成する。トレッド部4は、単一の熱可塑性エラストマー組成物であっても、複数の熱可塑性エラストマー組成物を積層させたもの、加硫ゴム組成物及び熱可塑性エラストマー組成物を積層させたものであっても良い。複数の組成物の積層物とする場合には、タイヤ半径方向に積層させ、通常の乗用車用タイヤ同様にベーストレッド等の役割を付与することやタイヤ幅方向に繋げることで、直進時、旋回時の性能のバランス向上などが可能となると考えられる。
図1のタイヤ2において、それぞれのサイドウォール部6は、トレッド部4の端と接合部5で接合されており、半径方向略内向きに延びている。サイドウォール部6は、単一の熱可塑性エラストマー組成物であっても、複数の熱可塑性エラストマー組成物を積層させたもの、加硫ゴム組成物及び熱可塑性エラストマー組成物を積層させたものであっても良い。このサイドウォール部6は、トレッド部4とタイヤ軸方向に接合されているが、トレッド部4がサイドウォール部6のタイヤ半径方向外側に被さる様に接合されていても、サイドウォール部6がトレッド部4のタイヤ半径方向外側に被さる様に接合されていても良い。また、このサイドウォール部6の半径方向内側部分のビード部において、リムとの勘合性や操縦安定性などの観点から、チェーファー、ビード補強層に該当する部材を備えても良い。また、サイドウォール部6は、タイヤ表面から内表面の間で複数の異なる組成物からなる積層構造であっても良い。
タイヤ1のトレッド部4及びサイドウォール部6は、熱可塑性エラストマー組成物で構成されている。熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性エラストマーを含む組成物である。
効果がより良好に得られる観点から、トレッド部2を構成する熱可塑性エラストマー組成物は、複素弾性率Et*が下記式を満たすことが望ましい。
Et*≧5.0MPa
(式中、Et*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。)
Et*の下限は、好ましくは6.0MPa以上、より好ましくは6.5MPa以上、更に好ましくは7.0MPa以上である。上限は、好ましくは15.0MPa以下、より好ましくは13.0MPa以下、更に好ましくは11.0MPa以下、特に好ましくは10.0MPa以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
Et*を所定範囲、特に5.0MPa≦Et*≦13.0MPaとすることで、前記作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、トレッド部が所定範囲のEt*を有することで、内圧によるトレッド部の変形を小さくし易くなること及び良好な応答性が発揮され、操縦安定性が向上すると推察される。
効果がより良好に得られる観点から、サイドウォール部3を構成する熱可塑性エラストマー組成物は、複素弾性率Es*が下記式を満たすことが望ましい。
Es*≧13.0MPa
(式中、Es*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。)
Es*の下限は、好ましくは25.0MPa以上、より好ましくは35.0MPa以上、更に好ましくは40.0MPa以上、特に好ましくは42.0MPa以上、最も好ましくは42.7MPa以上である。上限は、好ましくは130.0MPa以下、より好ましくは100.0MPa以下、更に好ましくは80.0MPa以下、特に好ましくは70.0MPa以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
Es*を所定範囲、特に13.0MPa≦Es*≦80.0MPaとすることで、前記作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、サイドウォール部が所定範囲のEs*を有することで、良好な応答性が発揮され、操縦安定性が向上すると推察される。
効果がより良好に得られる観点から、トレッド部2を構成する熱可塑性エラストマー組成物の複素弾性率Et*(MPa)、サイドウォール部3を構成する熱可塑性エラストマー組成物の複素弾性率Es*(MPa)が下記式を満たすことが望ましい。
Es*/Et*≦10.0
(式中、Et*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。Es*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。)
Es*/Etの上限は、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.1以下、更に好ましくは2.4以下、特に好ましくは2.1以下、最も好ましくは1.9以下である。下限は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.3以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
Es*/Et*を所定の範囲とすることで、前記作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、トレッド部の弾性率に対して、サイドウォール部の弾性率を十分に高くすることで、トレッド部で生じた摩擦に対して、サイドウォール部が過度に変形することなく、力を車両に伝達し、車両の方向をかえやすくすることが出来るため、良好な応答性が発揮され、操縦安定性が向上すると推察される。
本明細書において、複素弾性率E*とは、タイヤ成形後の熱可塑性エラストマー組成物のE*を意味し、ゴム組成物であれば、加硫後の弾性率に相当するものである。具体的には、実施例に記載の方法により測定される熱可塑性エラストマー組成物のE*を意味する。
本明細書において、熱可塑性エラストマー組成物のE*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。測定サンプルは製造されたタイヤの各部材から幅4mm、長さ20mm、厚さ1mmの大きさで採取され、タイヤの周方向とサンプルの長手方向は一致させる。
熱可塑性エラストマー組成物のE*は、熱可塑性エラストマー組成物に配合される薬品(特に、熱可塑性エラストマー、充填材、オイルなどの軟化剤)の種類や量によって調整することが可能であり、例えば、ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いると、E*が大きくなる傾向があり、ポリエステル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いると、E*が小さくなる傾向がある。また、軟化剤の量を減量したり、充填材の量を増量することにより、E*は大きくなる傾向がある。
前記熱可塑性エラストマー組成物に使用される熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー(エラストマースチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-イソブチレンブロック共重合体(SIB)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン・ブテン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン-ブタジエン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SBBS)等)、塩ビ系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ウレタン系熱可塑性エラストマー(熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU))が好ましい。
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(ウレタン系熱可塑性エラストマー)としては、例えば、イソシアネート、ポリオール、必要に応じて鎖延長剤で構成されるものが挙げられる。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーを構成するイソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有するイソシアネート化合物であれば特に限定されず、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’-ビトリレン-4,4’-ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、4,4’-メチレン-ビス(フェニルイソシアネート)等の芳香族イソシアネート;4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環式イソシアネート又は脂肪族イソシアネート等が挙げられる。これらは、1種を用いてもし、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーを構成するポリオール(高分子量ポリオール)としては、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ-ε-カプロラクトン(PCL)などのラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;アクリルポリオールなどが挙げられる。なかでも、長期保管後の乗り心地性能の観点から、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましい。これらは、1種を用いてもし、2種以上を併用してもよい。
鎖延長剤としては、低分子量ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール等を挙げることができる。なかでも、長期保管後の乗り心地性能などの観点から、低分子量のポリオールが好ましい。
前記低分子量ポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオール;ペンタエリスリトールなどのテトラオール;ソルビトールなどのヘキサオールなどが挙げられ、また、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオールや、アニリン系ジオール、ビスフェノールA系ジオール等のジオールも挙げられる。これらは、1種を用いてもし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンなどのトリアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族系ジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンなどの脂環式系ジアミン、芳香族ジアミンなどのジアミンなどが挙げられる。芳香族ジアミンとしては、例えば、1つの芳香環に2個のアミノ基が結合している単環式芳香族ジアミンでもよいし、少なくとも1つのアミノ基が1つの芳香環に結合しているアミノフェニル基を2個含む多環式芳香族ジアミンでもよい。単環式芳香族ジアミンとしては、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンなどのアミノ基が芳香環に直接結合しているタイプ;キシリレンジアミンのようなアミノ基が低級アルキレン基を介して芳香環に結合しているタイプなどが挙げられる。また、多環式芳香族ジアミンとしては、ジアミノジフェニルアルカン(4,4’-ジアミノジフェニルメタン及びその誘導体など)などが挙げられる。これらは、1種を用いてもし、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、公知の方法により合成でき、合成方法としては、ワンショット法、プレポリマー法を挙げることができる。ワンショット法とは、イソシアネートとポリオール等とを一括に反応させて高分子量化する方法である。一方、プレポリマー法とは、多段階でイソシアネートとポリオール等とを反応させて高分子量化する方法であり、例えば、一旦低分子量のウレタンプレポリマーを合成した後、続けて、該プレポリマーと上述した鎖延長剤とを反応させて高分子量化する方法である。
ポリウレタンの合成には、公知の触媒を使用できる。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンなどのモノアミン類;N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等のポリアミン類;1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミン等の環状ジアミン類;ジブチルチンジラウリレート、ジブチルチンジアセテートなどの錫系触媒などが挙げられる。これらは、1種を用いてもし、2種以上を併用してもよい。
ポリウレタンのイソシアネートとポリオールとの構成比率は、特に限定されるものではないが、ポリオールの水酸基に対するイソシアネートのイソシアネート基のNCO/OH比(モル比)が好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上である。上記下限を下回る場合には、イソシアネート成分が少なすぎるため、ウレタンの機械的強度が低下する傾向がある。一方、前記NCO/OH比(モル比)は、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.2以下、更に好ましくは2.0以下である。上記上限を上回る場合には、イソシアネート成分が過剰となるため、吸湿しやすく、ウレタンの機械的強度が低くなる場合がある。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、前記熱可塑性エラストマー組成物において、エラストマー成分100質量%中の熱可塑性エラストマーの含有量は特に限定されないが、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。上限は特に限定されず、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記熱可塑性エラストマー組成物には、前記熱可塑性エラストマー以外の他のエラストマー成分を配合してもよい。他のエラストマー成分としては、例えば、ジエン系ゴムを使用できる。ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。タイヤ用途に好適に使用できるという観点から、他のエラストマーとしては、SBR、BR、イソプレン系ゴムが好ましい。
上記ジエン系ゴムは、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、前記効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、H-NMR測定により算出される。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
SBRは、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。変性SBRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物がSBRを含有する場合、エラストマー成分100質量%中のSBRの含有量は、長期保管後の乗り心地性能等の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐摩耗性が向上するという理由から、シス含量が90質量%以上のハイシスBRが好ましい。
また、BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。変性BRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物がBRを含有する場合、エラストマー成分100質量%中のBRの含有量は、耐摩耗性等の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物がイソプレン系ゴムを含有する場合、エラストマー成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、低燃費性等の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物は、効果がより良好に得られる観点から、架橋剤を含むことが好ましい。前記架橋剤としては公知の架橋剤を適宜使用できるが、部分的に前記熱可塑性エラストマー同士を結合させてネットワークを形成できる作用を有するものを好適に使用できる。この場合、例えば、前記熱可塑性エラストマーの架橋状態を合成時に調整するのではなく、架橋剤を後入れし、二軸押出機で混練、熱処理をすることで、硬度の変化を抑制しつつ、架橋状態を変えることが可能である。
このような架橋剤としては、効果がより良好に得られる観点から、前述のイソシアネートを好適に使用できる。イソシアネートのなかでも、MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネートが好ましく、MDIがより好ましい。これらは、1種を用いてもし、2種以上を併用してもよい。
なお、架橋剤としてイソシアネート、熱可塑性エラストマーとして前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる場合、前記熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを構成するイソシアネートとは別に、架橋剤としてのイソシアネートを含む。つまり、この場合、前記熱可塑性エラストマー組成物は、架橋済の熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、イソシアネート(別の架橋剤)とを含むことになる。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、前記架橋剤(熱可塑性エラストマーの構成成分以外に別途配合する架橋剤)の含有量は、エラストマー成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上、特に好ましくは3.0以上である。上限は、好ましくは15.0質量部以下、より好ましくは10.0質量部以下、更に好ましくは7.0質量部以下、特に好ましくは5.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な長期保管後の乗り心地性能などが得られる傾向がある。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、架橋剤としてのイソシアネート(熱可塑性エラストマーの構成成分のイソシアネート以外に別途配合するイソシアネート)の含有量は、エラストマー成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上、特に好ましくは3.0以上である。上限は、好ましくは15.0質量部以下、より好ましくは10.0質量部以下、更に好ましくは7.0質量部以下、特に好ましくは5.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、架橋剤としてのMDI(熱可塑性エラストマーの構成成分のMDI以外に別途配合するMDI)の含有量は、エラストマー成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上、特に好ましくは3.0以上である。上限は、好ましくは15.0質量部以下、より好ましくは10.0質量部以下、更に好ましくは7.0質量部以下、特に好ましくは5.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物は、フィラーを適宜配合でき、例えば、繊維等が挙げられる。一般に熱可塑性エラストマーへの分散が困難な繊維状フィラーも使用可能であり、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維、短繊維状セルロース、ゲル状化合物等の難分散性フィラーでも好適に適用できる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、良好な補強性が得られるという点から、セルロースミクロフィブリルが好ましい。セルロースミクロフィブリルとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。これらのミクロフィブリル化植物繊維は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、セルロースミクロフィブリルとは、典型的には、平均繊維径が10μm以下の範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維を意味する。典型的なセルロースミクロフィブリルは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されている。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の製造方法としては特に限定されないが、例えば、上記セルロースミクロフィブリルの原料を必要に応じて水酸化ナトリウム等のアルカリで化学処理した後、リファイナー、二軸混練機(二軸押出機)、二軸混練押出機、高圧ホモジナイザー、媒体撹拌ミル、石臼、グラインダー、振動ミル、サンドグラインダー等により機械的に磨砕ないし叩解する方法が挙げられる。これらの方法では、化学処理によって原料からリグニンが分離されるため、リグニンを実質的に含有しないミクロフィブリル化植物繊維が得られる。また、その他の方法として、上記セルロースミクロフィブリルの原料を超高圧処理する方法なども挙げられる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、例えば、(株)スギノマシン等の製品を使用できる。
なお、上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、上記製造方法により得られたものに更に、酸化処理や種々の化学変性処理などを施したものや、上記セルロースミクロフィブリルの由来となり得る天然物(例えば、木材、パルプ、竹、麻、ジュート、ケナフ、農作物残廃物、布、紙、ホヤセルロース等)をセルロース原料として、酸化処理や種々の化学変性処理などを行い、その後に必要に応じて解繊処理を行ったものも使用できる。例えば、酸化処理を施したミクロフィブリル化植物繊維を好適に使用できる。
酸化処理の態様としては、例えば、N-オキシル化合物を用いた酸化処理などが例示される。上記N-オキシル化合物を用いた酸化処理は、例えば、水中においてN-オキシル化合物を酸化触媒とし、ミクロフィブリル化植物繊維に共酸化剤を作用させる方法で行うことができる。上記N-オキシル化合物としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)及びその誘導体などが挙げられる。上記共酸化剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径は、10μm以下であることが好ましい。上記範囲であることにより、エラストマー中でのミクロフィブリル化植物繊維の分散性を向上できる。また、加工中のミクロフィブリル化植物繊維の破損が抑えられる傾向にある。当該平均繊維径は、500nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましく、50nm以下が特に好ましい。また、該平均繊維径の下限は特に制限されないが、ミクロフィブリル化植物繊維の絡まりがほどけにくく、分散し難いという理由から、4nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、20nm以上が更に好ましい。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維長は、100nm以上であることが好ましく、より好ましくは300nm以上、更に好ましくは500nm以上である。また、5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましく、3μm以下が特に好ましく、2μm以下が最も好ましい。平均繊維長が下限未満の場合や上限を超える場合は、前述の平均繊維径と同様の傾向がある。
なお、上記ミクロフィブリル化植物繊維が2種以上の組み合わせからなる場合、上記平均繊維径、上記平均繊維長は、ミクロフィブリル化植物繊維全体での平均として算出される。
本明細書において、上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径及び平均繊維長は、走査型電子顕微鏡写真による画像解析、透過型電子顕微鏡写真による画像解析、原子間力顕微鏡写真による画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)等によって測定できる。
上記短繊維状セルロースは、エラストマー中での分散性が良好なことから、エラストマーの破壊強度を損なうことなく、維持又は改善でき、エラストマー物性が良好になる。
上記短繊維状セルロースの繊維幅は、3~200μmであることが好ましい。通常、熱可塑性エラストマー複合体に配合される繊維状のフィラーは、繊維幅が小さいほどエラストマーの補強性の面で好ましいが、一方で繊維幅の小さい繊維状フィラーは配向しにくい傾向があるところ、エラストマーの補強性と繊維の配向性のバランスの観点、更にはエラストマー中での分散性の観点から、当該繊維幅としては、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましい。また、120μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。
上記短繊維状セルロースの繊維長は、20~1000μmであることが好ましい。繊維幅同様に、エラストマーの補強性と繊維の配向性のバランスの観点、更にはエラストマー中での分散性の観点から、当該繊維長としては、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、200μm以上が更に好ましい。また、700μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。
上記短繊維状セルロースは、繊維幅と繊維長との比(繊維長/繊維幅)が5~1000であることが好ましい。繊維幅同様に、エラストマーの補強性と繊維の配向性のバランスの観点から、当該繊維幅と繊維長との比としては、6以上が好ましく、10以上がより好ましい。また、800以下が好ましく、500以下がより好ましく、400以下が更に好ましく、300以下が特に好ましい。
上記短繊維状セルロースの繊維幅及び繊維長は、走査型原子間力顕微鏡写真の画像解析、走査型電子顕微鏡写真の画像解析、透過型顕微鏡写真の画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)等によって測定できる。
ゲル状化合物は、ミクロフィブリル化植物繊維や短繊維状セルロースをゲル化させて得られる物質である。このようなゲル化物を用いた場合にも、該ゲル状化合物を良好に分散できる。ゲル化の方法としては特に限定されず、超高圧ホモジナイザー等を用いて撹拌する方法等が挙げられる。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、前記難分散性フィラーの含有量は、エラストマー成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物は、各種物性の観点から、フィラーとしてシリカを含んでもよい。シリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、シリカの含有量は、エラストマー成分100質量部に対して、好ましくは25質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは170質量部以下、特に好ましくは100質量部以下、最も好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは70m/g以上、より好ましくは140m/g以上、更に好ましくは160m/g以上である。下限以上にすることで、良好な長期保管後の乗り心地性能、破壊強度が得られる傾向がある。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは500m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
上記熱可塑性エラストマー組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。3質量部以上であると、良好な破壊強度等が得られる傾向がある。また、上記含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。20質量部以下であると、配合量に見合った効果が得られる傾向がある。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物は、各種物性の観点から、フィラーとしてカーボンブラックを含んでもよい。カーボンブラックを用いることで、エラストマー組成物の強度を向上させやすくすることが出来ると考えられる。
カーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、カーボンブラックの含有量は、エラストマー成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
上記熱可塑性エラストマー組成物は、前記難燃性フィラー、シリカ、カーボンブラック以外の他のフィラーを配合してもよい。他のフィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどが挙げられる。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物は、可塑剤を配合してもよい。可塑剤としては、特に限定されないが、オイル、液状樹脂などの25℃で液状の可塑性を有する液体可塑剤、樹脂(常温(25℃)で固体状態のポリマー)等の25℃で固体状の可塑性を有する固体可塑剤等が挙げられる。これら可塑剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、可塑剤の含有量(液体可塑剤、固体可塑剤等の合計量)は、エラストマー成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記オイルとしては、特に限定されず、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイル、TDAE、MES等の低PCA(多環式芳香族)プロセスオイル、植物油脂、及びこれらの混合物等、従来公知のオイルを使用できる。なかでも、耐摩耗性及び破壊特性の点では、アロマ系プロセスオイルが好ましい。上記アロマ系プロセスオイルとしては、具体的には、出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルAHシリーズ等が挙げられる。
上記液状樹脂としては、特に制限されないが、例えば、液状の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂、またはこれらの水素添加物などが挙げられる。
液状芳香族ビニル重合体とは、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂であり、スチレンの単独重合体、α-メチルスチレンの単独重合体、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体などの液状樹脂が挙げられる。
液状クマロンインデン樹脂とは、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂であり、クマロン、インデン以外に骨格に含まれていてもよいモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
液状インデン樹脂とは、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む液状樹脂である。
液状テルペン樹脂とは、αピネン、βピネン、カンフェン、ジペテンなどのテルペン化合物を重合して得られる樹脂や、テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料として得られる樹脂であるテルペンフェノールに代表される液状テルペン系樹脂である。
液状ロジン樹脂とは、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、または、これらの水素添加物に代表される液状ロジン系樹脂である。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、前記液体可塑剤の含有量は、エラストマー成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
固体樹脂としては、特に限定されないが、例えば、固体状のスチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン系樹脂、p-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂、アクリル系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD系樹脂)、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状のスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして用いた固体状ポリマーであり、スチレン系単量体を主成分(50質量%以上)として重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、スチレン系単量体(スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等)をそれぞれ単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体及びこれと共重合し得る他の単量体のコポリマーも挙げられる。
上記他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロニトリル類、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル類、クロロプレン、ブタジエンイソプレンなどのジエン類、1-ブテン、1-ペンテンのようなオレフィン類;無水マレイン酸等のα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物;等が例示できる。
なかでも、固体状のα-メチルスチレン系樹脂(α-メチルスチレン単独重合体、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体等)が好ましい。
固体状のクマロンインデン樹脂としては、前述の液状状態のクマロンインデン樹脂と同様の構成単位を有する固体樹脂が挙げられる。
固体状のテルペン系樹脂としては、ポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。
ポリテルペンは、テルペン化合物を重合して得られる樹脂及びそれらの水素添加物である。テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
固体状のポリテルペンとしては、上述したテルペン化合物を原料とするα-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β-ピネン/リモネン樹脂などのテルペン樹脂の他、該テルペン樹脂に水素添加処理した水素添加テルペン樹脂等の固体樹脂も挙げられる。
固体状のテルペンフェノールとしては、上記テルペン化合物とフェノール系化合物とを共重合した固体樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した固体樹脂が挙げられ、具体的には、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びホルマリンを縮合させた固体樹脂が挙げられる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。
固体状の芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン樹脂を芳香族化合物で変性して得られる固体樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した固体樹脂が挙げられる。なお、芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体;クマロン、インデンなどが挙げられる。
固体状のp-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂としては、p-t-ブチルフェノールとアセチレンとを縮合反応させて得られる固体樹脂が挙げられる。
固体状のアクリル系樹脂としては特に限定されないが、不純物が少なく、分子量分布がシャープな樹脂が得られるという点から、無溶剤型アクリル系固体樹脂を好適に使用できる。
固体状の無溶剤型アクリル樹脂は、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
固体状のアクリル系樹脂は、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないことが好ましい。また、上記アクリル系樹脂は、連続重合により得られる組成分布や分子量分布が比較的狭いものが好ましい。
上述のように、固体状のアクリル系樹脂としては、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないもの、すなわち、純度が高いものが好ましい。固体状のアクリル系樹脂の純度(該樹脂中に含まれる樹脂の割合)は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上である。
固体状のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
また、固体状のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体と共に、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルを使用してもよい。
固体状のアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル成分のみで構成される樹脂であっても、(メタ)アクリル成分以外の成分をも構成要素とする樹脂であっても良い。
また、固体状のアクリル系樹脂は、水酸基、カルボキシル基、シラノール基等を有していてよい。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、前記固体可塑剤の含有量は、エラストマー成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
液体可塑剤、固体可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、RutgersChemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXTGエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、老化防止剤の含有量は、エラストマー成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。下限以上にすることで、充分な耐オゾン性が得られる傾向がある。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。上限以下にすることで、良好な外観が得られる傾向がある。
上記熱可塑性エラストマー組成物は、ステアリン酸を含んでもよい。トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、ステアリン酸の含有量は、エラストマー成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部以上、より好ましくは0.5~5質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
上記熱可塑性エラストマー組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、酸化亜鉛の含有量は、エラストマー成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
上記熱可塑性エラストマー組成物には、ワックスを配合してもよい。ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。なお、ワックスの含有量は、耐オゾン性、コストの点から、適宜設定すれば良い。
上記熱可塑性エラストマー組成物がジエン系ゴム成分を含む場合、ジエン系ゴム成分のポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な前記性能バランスを付与するという点で、硫黄を配合してもよい。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、硫黄の含有量は、前記ジエン系ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは6.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記熱可塑性エラストマー組成物は、加硫促進剤を含んでもよい。
トレッド部4、サイドウォール部6を構成する熱可塑性エラストマー組成物において、加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、エラストマー成分100質量部に対して、通常、0.3~10質量部、好ましくは0.5~7質量部である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、前記性能バランスの観点から、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
上記熱可塑性エラストマー組成物には、上記成分以外にも、離型剤や顔料等の応用分野に従って、それらの使用に使われる通常の添加物を適宜配合してもよい。
上記熱可塑性エラストマー組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、上記熱可塑性エラストマー等の各成分を用いて、射出成型等の公知の成型法を用いて製造できる。また、上記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、必要に応じて架橋する方法などにより製造できる。なお、混練条件としては、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。
なかでも、上記熱可塑性エラストマー組成物は、上記熱可塑性エラストマー等を含む組成物を100℃以上の条件下で熱処理を施して作製されるものであることが好ましく、特に、上記熱可塑性ポリウレタンエラストマー及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを含む組成物を100℃以上の条件下で熱処理を施して作製されるものであることが好ましい。該熱処理温度は、130℃以上がより好ましく、140℃以上が更に好ましく、150℃以上が特に好ましい。熱処理時間は特に限定されず、適宜設定すれば良いが、0.5~24時間が好ましく、2~12時間がより好ましく、3~8時間が更に好ましい。
タイヤ2において、それぞれのサイドウォール部6は、トレッド部4の端と接合されているが、効果がより良好に得られる観点から、接合部6は、タイヤの赤道面からタイヤの断面幅Wtの1/4の距離(Wt/4)よりもタイヤ幅方向外側に位置することが望ましい。
このような効果が得られるメカニズムは明らかではないが、トレッド部を構成する熱可塑性エラストマー組成物全体が接地しやすくなり、更に操縦安定性が向上するものと推察される。
トレッド部4、サイドウォール部6、必要に応じて他の部材の接合は、熱可塑性エラストマー組成物同士を接合する公知の方法を使用できる。例えば、熱板溶着、接着剤溶着、振動溶着、超音波溶着、射出溶着、レーザー溶着技術などが挙げられる。
図1に示されるように、トレッド部4は、効果がより良好に得られる観点から、該トレッド部4内において、トレッド部補強層4aを備えていることが望ましい。
このような効果が得られるメカニズムは明らかではないが、トレッド部内に補強層を備えることで、内圧が高い状態及び転動時の変形が抑制され、更に操縦安定性が向上するものと推察される。
トレッド部補強層4aは、トレッド部4を補強する作用機能を有する部材であれば、特に制限なく適用可能である。
図1のタイヤ2は、トレッド部補強層4aをトレッド部内の若干タイヤ半径方向内側に設けられているが、トレッド部4内の任意の位置に設けることが可能であり、補強効果を考慮し、適宜位置を選択すれば良い。例えば、トレッド部内のタイヤ半径方向中央付近、外側方向、内側方向、トレッド部の最内面などが挙げられる。
タイヤ2は、効果がより良好に得られる観点から、トレッド部4及び/又はサイドウォール部6のタイヤ内腔側の少なくとも一部に支持部材8が備えられていることが望ましい。
このような効果が得られるメカニズムは明らかではないが、トレッド部やサイドウォール部のタイヤ内腔面側に支持部材を設けることで、タイヤ全体が支えられる様になり、変形が抑制され、更に操縦安定性が向上するものと推察される。
図1のタイヤ2では、トレッド部4及びサイドウォール部6のタイヤ内面の全面に支持部材8が設けられているが、トレッド部4の内面のみ、又はサイドウォール部6の内面のみに、支持部材8が設けられていてもよい。また、トレッド部4、サイドウォール部6の内面の一部に支持部材8が設けられていてもよい。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、トレッド部4及びサイドウォール部6のタイヤ内面の全面に支持部材8が設けられていることが望ましい。
なお、トレッド部4と支持部材8との間や、サイドウォール部6と支持部材8との間に、他の層や部材が設けられていてもよい。
トレッド部補強層4a、支持部材8は、効果がより良好に得られる観点から、各種樹脂を用いた層、部材であることが望ましい。
トレッド部補強層4a、支持部材8に使用可能な樹脂としては、上述の効果を付与できる任意の樹脂を使用できる。
具体的には、ポリエチレン系樹脂(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂;環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;各種のナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;アセタール系樹脂;セルロース系樹脂;などが挙げられる。
なかでも、効果がより良好に得られる観点から、トレッド部補強層4aでは、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。
また、支持部材8では、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
また、トレッド部補強層4a、支持部材8には、スチール等の金属繊維コードや、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどの有機繊維コードも好適に使用できる。
効果がより良好に得られる観点から、支持部材8は、引張弾性率が0.05GPa以上が好ましく、0.1GPa以上がより好ましく、0.5GPa以上が更に好ましく、0.9GPa以上が特に好ましい。上限は、13.0GPa以下が好ましく、3.0GPa以下がより好ましく、2.0GPa以下が更に好ましく、1.5GPa以下が特に好ましい。
なお、本開示において、引張弾性率は、JIS R7606に準拠して、計測される値である。
引張弾性率を所定範囲、特に0.1~13.0GPaとすることで、前記作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、支持部材が所定範囲の引張弾性率を有することで、良好な応答性が発揮され、操縦安定性が向上すると推察される。
トレッド部補強層4aの厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは0.8mm以上、特に好ましくは1.0mm以上であり、また、好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2.0mm以下、更に好ましくは1.5mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本開示において、「トレッド部補強層の厚み」は、タイヤの回転軸を含む平面で切った断面において、トレッド部補強層の表面上の各点におけるトレッド部補強層の厚みの平均値である。図2のタイヤにおいて、T4aはトレッド部補強層の表面上の1点における厚みを示し、トレッド部補強層4aの厚みは各点の平均値を意味する。
トレッド部補強層4aのタイヤ幅方向の断面幅は、好ましくは50mm以上、より好ましくは65mm以上、更に好ましくは70mm以上であり、また、好ましくは300mm以下、より好ましくは270mm以下、更に好ましくは250mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本開示において、「トレッド部補強層のタイヤ幅方向の断面幅」は、タイヤの回転軸を含む平面で切った断面において、トレッド部補強層のタイヤ幅方向の両端間の直線距離であり、図1のタイヤ2では、W4aを意味する。
トレッド部補強層4aのタイヤ周方向の断面幅(mm)/トレッド部補強層4aの厚み(mm)は、好ましくは50以上、より好ましくは65以上、更に好ましくは70以上であり、また、好ましくは300以下、より好ましくは270以下、更に好ましくは250以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
支持部材8の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは0.8mm以上、特に好ましくは1.0mm以上であり、また、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.8mm以下、更に好ましくは1.5mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本開示において、「支持部材の厚み」は、タイヤの回転軸を含む平面で切った断面において、支持部材の表面上の各点における支持部材の厚みの平均値である。図2のタイヤにおいて、T8は支持部材の表面上の1点における厚みを示し、支持部材8の厚みは各点の平均値を意味する。
タイヤ2は操縦安定性などの観点からビード部において、クリンチやビードエイペックスの様な従来のタイヤが取り得るゴム組成物と同様の役割を果たす組成物層を設けても良く、スチールコードを巻回された非伸縮性ワイヤーからなるコアを設けても良い。
また、タイヤ2は、トレッド部及びサイドウォール部において、従来のタイヤ同様にカーカスを備えても良い。カーカスはカーカスプライからなり、カーカスプライは、並列された多数のコードと被覆層とからなる。それぞれのコードがタイヤ赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°が好適である。換言すれば、このカーカスはラジアル構造を有することが好ましい。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
さらにタイヤ2は、トレッド部にベルト層及びベルト補強層を設けても良い。
図示されていないが、ベルト層及びベルト補強層は、それぞれ、並列された多数のコードと被覆層を含んでも良い。ベルト層を備える場合、それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜していることが好ましく、傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。ベルト層が複数層存在する場合には、隣合う二層のタイヤ赤道面に対する傾斜方向は逆になっていることが好ましい。ベルト層のコードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。この場合、この有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト補強層を設ける場合には、ベルト層のタイヤ半径方向外側に設けられることが好ましい。図示されていないが、ベルト補強層は、コードと被覆層を含む。コードは、螺旋状に巻かれており、いわゆるジョイントレス構造を有しても良い。コードは、実質的に周方向に延び、周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト層が拘束されるので、ベルト層のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
上記のカーカス、ベルト層、ベルト補強層の何れかを設けることにより、タイヤに加わる変形を小さくすることが可能となり、タイヤの保管時の永久歪みを小さくし、保管後の乗り心地を良化させやすくすることが可能になると考えられる。
また、タイヤの最内層には、耐空気透過性に優れたエラストマー層を備えても良い。このエラストマー層はブチルゴムを含むいわゆるインナーライナーであっても、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体などを用いた熱可塑性エラストマー層であっても良い。このような層を設けることで空気圧を保持しやすくなり、保管時においてタイヤが車重により変形することを防ぎやすくなり、長期保管後の乗り心地性能を維持しやすくなると考えられる。
図2には、本タイヤ2のトレッド部4のタイヤ軸を含む平面で切った断面が示されている。図1、2において、赤道面CLの位置であるクラウンセンター17が「トレッドクラウン部」に相当する。そして、タイヤ2を正規リムにリム組み後、所定空気圧を充填した際のトレッドクラウン部の最表面14におけるタイヤ半径方向の変位Aが、前記式(1)を満たしている。
タイヤ2において、トレッド部4のタイヤ半径方向断面の赤道面上における全厚さT(トレッドクラウン部における全厚み)は、タイヤの軸を含む平面で切った断面において、赤道面上におけるトレッド表面11(タイヤ1がタイヤ赤道面上に溝を有するので、溝7のタイヤ半径方向最表面側の端部間を繋いだ直線)からトレッド内面12までの距離である。そして、トレッドクラウン部における全厚みT(mm)、タイヤの外径Dt(mm)が、前記式(2)を満たしている。
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本開示の範囲は実施例に限られない。
以下に示す各種薬品を用いて各表に従って配合を変化させて得られる組成物、組成物からなるタイヤを検討して下記評価方法に基づいて算出した結果を各表に示す。
TPU1:BASF製エラストラン1198ATR(ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマー)
TPU2:BASF製エラストラン1180A(ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマー)
TPU3:BASF製エラストランC60A10WN(ポリエステル系熱可塑性ポリウレタンエラストマー)
TPU4:大日精化工業製レザミンP-2283(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)
TPU5:大日精化工業製レザミンP-6165(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)
TPU6:大日精化工業製レザミンPB-2285(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)
TPU7:大日精化工業製レザミンP-2275(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)
架橋剤:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、大日精化工業(株)社製のクロスネートEM-30(MDI含有率30~40%)、表1の架橋剤の配合量はMDIとしての量)
LDPE:日本ポリエチレン製 ノバテックLD LJ902
HDPE:日本ポリエチレン製 ノバテックHD HJ360
PET:ユニチカ製 SA-1206
(熱可塑性エラストマー組成物の作製)
表1の配合処方に従い、二軸押出機で混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物(熱処理無)を作製し、次いで、得られた熱可塑性エラストマー組成物(熱処理無)を乾燥機にて100℃、6時間の熱処理を行い、配合A~Hの熱可塑性エラストマー組成物(熱処理有)を得る。
Figure 2023135048000001
(試験用タイヤの作製)
表1の配合A~Hの熱可塑性エラストマー組成物(熱処理有)について、表2、3の仕様に従い、トレッド、サイドウォールの形状に射出成型する。
トレッドの射出成型において、トレッド部補強層を備える仕様では内部にトレッド部補強層が収められ、タイヤのトレッド部全体を形成する形とする(表2、3においてトレッド部補強層の欄が「-」の記載のものはトレッド部補強層なし、トレッド部補強層の厚み及びタイヤ幅方向の断面幅の記載があるものは、当該厚み及び断面幅であることを意味する)。
サイドウォール部の射出成型においては、リムとの勘合性を高めるため、ビードワイヤが内部に収められ、タイヤのサイド部全体を形成する形とする。
また、表2、3の仕様に従い、支持部材の形状に射出成型する(支持部材の欄が「-」の記載のものは支持部材なし、材質名が記載されているものは当該材質を用いた内部支持層を備えることを意味する)。
それぞれの射出成型物を後から溶着させることで、図1に示す試験用タイヤ(仕様:表2、3、表2:カート用タイヤ、表3:乗用車用タイヤ(205/55R16))を得る。
表1に従って配合を変化させて得られる配合A~Hの熱可塑性エラストマー組成物(熱処理有)、表2、3に仕様に従って得られる試験用タイヤを想定し、下記評価方法に基づいて算出される結果を表2、3に示す。なお、基準比較例は以下とする。
表2:比較例1-9
表3:比較例2-9
<粘弾性試験>
配合A~Hの熱可塑性エラストマー組成物(熱処理有)を用いて得られる前記試験用タイヤのトレッド及びサイドウォールから、配合A~Hのサンプルを幅4mm、長さ20mm、厚さ1mmの大きさで採取し、TAインスツルメント社製のRSAシリーズを用いて、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で、各サンプルの複素弾性率を測定する。
<引張弾性率>
支持部材の引張弾性率をJIS R7606に準拠して、測定する。
<操縦安定性>
試験用タイヤをリムに組付け、内圧をかけた状態で、排気量1500ccの乗用車を想定した加重を加えた状態で転動させた際の操縦安定性をシミュレーションにより算出する。結果は、基準比較例を100とする評点で表示し、数値が大きいほど、操縦安定性に優れることを示す。
Figure 2023135048000002
Figure 2023135048000003
本開示(1)はトレッド部及びサイドウォール部が熱可塑性エラストマー組成物から形成されたタイヤであって、
正規リムにリム組み後、以下の所定空気圧を充填した際のトレッドクラウン部の最表面におけるタイヤ半径方向の変位Aが、下記式(1)を満たし、
(1)A≦3.0%
トレッドクラウン部における全厚みT(mm)、タイヤの外径Dt(mm)が、下記式(2)を満たすタイヤである。
(2)T/Dt≦0.034
<所定空気圧>
タイヤの仮想体積Vが15000cm以上の場合:250(kPa)
タイヤの仮想体積Vが15000cm未満の場合:0.0152×V+22.553(kPa)
なお、タイヤの仮想体積V(mm)は、タイヤの外径Dt(mm)、タイヤの断面幅Wt(mm)、リム径R(mm)、タイヤの断面高さH(mm)を用い、以下の式により算出される値である。
V={(Dt/2)-(R/2)}×π×Wt
R=Dt-2H
(式中、Dt、Wt、Hは、いずれもタイヤを正規リムに組付け、内圧を大気圧とした状態での値である。)
本開示(2)はトレッド部とサイドウォール部との接合部が、タイヤ赤道面からWt/4(mm)よりもタイヤ幅方向外側に存在する本開示(1)記載のタイヤである。
本開示(3)はトレッド部内にトレッド部補強層を有する本開示(1)又は(2)記載のタイヤである。
本開示(4)はトレッド部のタイヤ内腔側及び/又はサイドウォール部のタイヤ内腔側に支持部材を備えた本開示(1)~(3)のいずれかに記載のタイヤである。
本開示(5)は支持部材の引張弾性率が0.1~13.0GPaである本開示(4)記載のタイヤである。
本開示(6)はトレッド部を構成する熱可塑性エラストマー組成物は、複素弾性率Et*が下記式を満たす本開示(1)~(5)のいずれかに記載のタイヤである。
5.0MPa≦Et*≦13.0MPa
(式中、Et*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。)
本開示(7)はサイドウォール部を構成する熱可塑性エラストマー組成物は、複素弾性率Es*が下記式を満たす本開示(1)~(6)のいずれかに記載のタイヤである。
13.0MPa≦Es*≦80.0MPa
(式中、Es*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。)
本開示(8)はタイヤの断面幅Wt(mm)、タイヤの断面高さH(mm)が下記式を満たす本開示(1)~(7)のいずれかに記載のタイヤである。
H/Wt×100≧45%
本開示(9)はトレッド部を構成する熱可塑性エラストマー組成物の複素弾性率Et*(MPa)、サイドウォール部を構成する熱可塑性エラストマー組成物の複素弾性率Es*(MPa)が下記式を満たす本開示(1)~(8)のいずれかに記載のタイヤである。
Es*/Et*≦7.0
(式中、Et*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率であるである。Es*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。)
2 空気入りタイヤ
4 トレッド部
5 接合部
6 サイドウォール部
4a トレッド部補強層
8 支持部材
11 トレッド表面
12 トレッド内面
14 トレッドクラウン部の最表面
17 トレッドクラウン部(クラウンセンター)
CL タイヤ2の赤道面
T トレッドクラウン部における全厚み
T4a トレッド部補強層の表面上の1点における厚み
W4a トレッド部補強層のタイヤ幅方向の断面幅
T8 支持部材の表面上の1点における厚み

Claims (9)

  1. トレッド部及びサイドウォール部が熱可塑性エラストマー組成物から形成されたタイヤであって、
    正規リムにリム組み後、以下の所定空気圧を充填した際のトレッドクラウン部の最表面におけるタイヤ半径方向の変位Aが、下記式(1)を満たし、
    (1)A≦3.0%
    トレッドクラウン部における全厚みT(mm)、タイヤの外径Dt(mm)が、下記式(2)を満たすタイヤ。
    (2)T/Dt≦0.034
    <所定空気圧>
    タイヤの仮想体積Vが15000cm以上の場合:250(kPa)
    タイヤの仮想体積Vが15000cm未満の場合:0.0152×V+22.553(kPa)
    なお、タイヤの仮想体積V(mm)は、タイヤの外径Dt(mm)、タイヤの断面幅Wt(mm)、リム径R(mm)、タイヤの断面高さH(mm)を用い、以下の式により算出される値である。
    V={(Dt/2)-(R/2)}×π×Wt
    R=Dt-2H
    (式中、Dt、Wt、Hは、いずれもタイヤを正規リムに組付け、内圧を大気圧とした状態での値である。)
  2. トレッド部とサイドウォール部との接合部が、タイヤ赤道面からWt/4(mm)よりもタイヤ幅方向外側に存在する請求項1記載のタイヤ。
  3. トレッド部内にトレッド部補強層を有する請求項1又は2記載のタイヤ。
  4. トレッド部のタイヤ内腔側及び/又はサイドウォール部のタイヤ内腔側に支持部材を備えた請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 支持部材の引張弾性率が0.1~13.0GPaである請求項4記載のタイヤ。
  6. トレッド部を構成する熱可塑性エラストマー組成物は、複素弾性率Et*が下記式を満たす請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ。
    5.0MPa≦Et*≦13.0MPa
    (式中、Et*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。)
  7. サイドウォール部を構成する熱可塑性エラストマー組成物は、複素弾性率Es*が下記式を満たす請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ。
    13.0MPa≦Es*≦80.0MPa
    (式中、Es*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。)
  8. タイヤの断面幅Wt(mm)、タイヤの断面高さH(mm)が下記式を満たす請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ。
    H/Wt×100≧45%
  9. トレッド部を構成する熱可塑性エラストマー組成物の複素弾性率Et*(MPa)、サイドウォール部を構成する熱可塑性エラストマー組成物の複素弾性率Es*(MPa)が下記式を満たす請求項1~8のいずれかに記載のタイヤ。
    Es*/Et*≦7.0
    (式中、Et*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。Es*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。)
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