JP2023134350A - 磁性材料及び回転電機 - Google Patents

磁性材料及び回転電機 Download PDF

Info

Publication number
JP2023134350A
JP2023134350A JP2022195701A JP2022195701A JP2023134350A JP 2023134350 A JP2023134350 A JP 2023134350A JP 2022195701 A JP2022195701 A JP 2022195701A JP 2022195701 A JP2022195701 A JP 2022195701A JP 2023134350 A JP2023134350 A JP 2023134350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic material
particles
material according
matrix
magnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022195701A
Other languages
English (en)
Inventor
倫浩 末綱
Tomohiro Suetsuna
直幸 眞田
Naoyuki Sanada
宏彰 木内
Hiroaki Kiuchi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to CN202310183073.8A priority Critical patent/CN116759181A/zh
Priority to US18/176,588 priority patent/US20230290548A1/en
Publication of JP2023134350A publication Critical patent/JP2023134350A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】優れた磁気特性及び機械特性及び熱的安定性を有する、磁性材料、回転電機を提供する。【解決手段】実施の形態の磁性材料は、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素Xを含む磁性材料であって、母相と、Ta、W、Nb及びMoから選ばれる少なくとも1つの第2の元素YとCを含む粒子と、を有する磁性材料である。【選択図】図1

Description

本発明の実施の形態は、磁性材料及び回転電機に関する。
現在、軟磁性材料は、回転電機(例えば、モータ、発電機など)、変圧器、インダクタ、トランス、磁性インク、アンテナ装置等の様々なシステム、デバイスの部品のコアや磁性楔(くさび)などに適用されており非常に重要な材料である。尚、磁性楔とは、回転電機においてコイルを入れるスロット部の蓋の様なもので、通常は非磁性の楔が使用されるが、磁性の楔を採用することによって、磁束密度の疎密が緩和され、高調波損失が低減され、モータ効率や発電効率が向上する。軟磁性材料は、使用される周波数帯域において、高い透磁率、低い損失を有することが求められ、磁気飽和を防ぐために高い飽和磁化も必要となる。損失は、主に、ヒステリシス損失、渦電流損失から構成されるが、ヒステリシス損失低減のためには保磁力低減が重要であり、渦電流損失低減のためには電気抵抗率の向上や金属成分のサイズ低減等が重要である。また、各々のシステム、デバイス、に組み込んだ際に求められるその他の特性としては、高い熱的安定性、高強度、高靱性、等も挙げられる。また、複雑な形状に適用するためには、板やリボンの形状よりも圧紛体や焼結体の方が好ましい。なお、圧紛体や焼結体の場合は、飽和磁化、透磁率、損失、強度、靱性などの点で特性が劣化することが知られており、特性の向上が好ましい。
次に既存の軟磁性材料について、その種類と問題点について説明する。10kH以下のシステム用の既存の軟磁性材料としては、珪素鋼板(FeSi)が挙げられる。珪素鋼板は歴史が古く、大電力を扱う回転電機、トランスのコア材料のほとんどに採用されている材料である。無方向珪素鋼板から方向性珪素鋼板へと高特性化が図られ、発見当初に比べると進化はしているが、近年では特性改善は頭打ちになってきている。特性としては、高飽和磁化、高透磁率、低損失を同時に満たすことが特に重要である。世の中では、珪素鋼板を超える材料の研究がアモルファス系、ナノクリスタル系の組成を中心に盛んに行われてはいるが、すべての面で珪素鋼板を超える材料組成はいまだ見付かっていない。また複雑な形状に適用可能な圧紛体や焼結体の研究も行われているが、圧紛体や焼結体においては板やリボンと比べて、特性が悪いという欠点を有している。
10kHz~100kHzのシステム用の既存の軟磁性材料としては、センダスト(Fe-Si-Al)、ナノクリスタル系ファインメット(Fe-Si-B-Cu-Nb)、Fe基若しくはCo基アモルファス・ガラスのリボン・圧粉体、若しくはMnZn系フェライト材料が挙げられる。しかしながら、いずれも高透磁率、低損失、高飽和磁化、高い熱的安定性、高強度、高靱性、を完全に満たしてはおらず不十分である。
100kHz以上(MHz帯域以上)の既存の軟磁性材料としては、NiZn系フェライト、六方晶フェライト等が挙げられるが、高周波での磁気特性が不十分である。
以上のことから、高飽和磁化、高透磁率、低損失、高い熱的安定性、優れた機械特性を有する磁性材料の開発が好ましい。特に、高飽和磁化、低損失、高い熱的安定性、高強度の特性を有する磁性材料の開発が好ましい。
特開2013-65844号公報
本発明が解決しようとする課題は、優れた磁気特性及び機械特性及び熱的安定性を有する磁性材料、及び、回転電機を提供することにある。
実施の形態の磁性材料は、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素Xを含む磁性材料であって、母相と、Ta、W、Nb及びMoから選ばれる少なくとも1つの第2の元素YとCを含む粒子と、を有する磁性材料である。
第1の実施の形態の磁性材料において、析出粒子の形態を示す模式図である。 第1の実施の形態の磁性材料において、Si割合を評価する際の断面を示す模式図である。 第2の実施の形態のモータシステムの概念図である。 第2の実施の形態のモータの概念図である。 第2の実施の形態のモータコア(ステータ)の概念図である。 第2の実施の形態のモータコア(ロータ)の概念図である。 第2の実施の形態の変圧器・トランスの概念図である。 第2の実施の形態のインダクタ(リング状インダクタ、棒状インダクタ)の概念図である。 第2の実施の形態のインダクタ(チップインダクタ、平面インダクタ)の概念図である。 第2の実施の形態の発電機の概念図である。
以下、図面を用いて実施の形態を説明する。尚、図面中、同一又は類似の箇所には、同一又は類似の符号を付している。
(第1の実施の形態)
本実施の形態の磁性材料は、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素を含む磁性材料であって、母相と、TaとCを含む析出粒子と、を有する磁性材料である。
本実施の形態の磁性材料は、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素Xを含む磁性材料であって、母相と、Ta、W、Nb及びMoから選ばれる少なくとも1つの第2の元素YとCを含む粒子と、を有する磁性材料である。この粒子は、析出粒子ともいう。
また、前記粒子は、立方晶型結晶構造を有し、前記第1の元素Xを含み、XC型の化合物相を有する事が好ましい。例えば、TaCoC、NbFeC、NbCoC、WFeC、WCoC、WNiC、MoFeC、MoCoC、MoNiC、等の方の化合物相を有する事が好ましい。この時、結晶構造は、Fd3mの空間群を有することがより好ましい。格子定数はFe、Si等の含有量によって変わってくるが、例えば、11.2Å程度などが好ましい。また、前記析出粒子が配置される母相は立方晶型結晶構造を有することが好ましく、より好ましくは、体心立方晶型結晶構造を有することが好ましい。格子定数は含有元素とその含有量によって変わってくるが、例えば、2.85Å程度などが好ましい。また、前記析出粒子のうち、前記母相に対して配向している前記析出粒子を有することが好ましい。なお、配向の関係は、例えば、(0-40)粒子//(0-10)母相、又は、(-404)粒子//(-101)母相の関係を有することが好ましい。より好ましくは、例えば、(0-40)粒子//(0-10)母相、かつ、(-404)粒子//(-101)母相の関係を有することが好ましい。これらの方位関係は一例であり、上記と等価な方位関係を有することが好ましい。また、一つの前記母相内に含まれる2個以上の析出粒子が互いに配向していることが好ましい。また、前記母相に対して配向している前記析出粒子が、前記母相に対して格子ミスマッチが10%以下であることが好ましい。より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。なお、前記析出粒子がX33C型の立方晶型結晶構造を有し、母相が体心立方晶型結晶構造を有する場合、格子ミスマッチは、格子ミスマッチ=|析出粒子の格子定数/4-母相の格子定数|/母相の格子定数×100(%)の式で計算される。このような粒子が磁性材料に含まれることによって、析出強化のメカニズムによって、強度などの機械特性や熱的安定性が大幅に向上する。
なお、配向関係を調べるための測定方法は問わないが、例えば電子線回折などで行う。電子線回折像などから、粒子の「ある結晶面」と母相の「ある結晶面」とが平行又は略平行になっていれば、配向していると判断する。また、(hkl)は(nh nk nl)と平行であるため(nは正もしくは負の整数)、例えば、(0-40)粒子//(0-10)母相は、(040)粒子//(010)母相、(040)粒子//(0-10)母相、(0-40)粒子//(010)母相と同様の意味であり、(020)粒子 //(0-10)母相、(020)粒子//(010)母相、(0-20)粒子//(010)母相、(0-20)粒子//(0-10)母相と同様の意味であり、(010)粒子//(0-10)母相、(010)粒子//(010)母相、(0-10)粒子//(010)母相、(0-10)粒子//(0-10)母相と同様の意味である。
前記粒子は、前記第1の元素XがCoであり、前記第2の元素YがTaである事が好ましい。より好ましくは、FeとSiの少なくとも一つを含むことが好ましく、更に好ましくはFeとSiの両方を含む事が好ましい。また、前記粒子が配置される母相に含まれる元素(例えば0.1%未満の明らかな不純物元素を除く)を、前記粒子が含むことが好ましい。これらによって、析出粒子と母相の組成が似たものになるため、熱的安定性や、強度、硬度などの機械的特性が向上し好ましい。
磁性材料は、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素を含む。なお、磁性材料は、Fe、Coを含み、Coの量はFeとCoの合計量に対して10原子%以上60原子%以下であることが好ましく、10原子%以上40原子%以下含まれることが更に好ましい。これによって磁気異方性が適度に大きく付与されやすく、磁気特性(高透磁率、低損失等)が向上するため好ましい。また、Fe-Co系は高飽和磁化を実現し易いため好ましい。更にFeとCoの組成範囲が上記の範囲に入ることによって、より高い飽和磁化が実現出来好ましい。
磁性材料は、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも一つの非磁性金属を含むことが好ましい。これによって、磁性材料の熱的安定性や耐酸化性を高めることができる。中でも、Al、Siは、磁性材料の主成分であるFe、Co、Niと固溶し易く、熱的安定性や耐酸化性の向上に寄与するために特に好ましい。その中でも特にSiが熱的安定性や耐酸化性の向上の点で好ましい。前記非磁性金属の量は磁性材料全体に対して1原子%以上25原子%以下、より好ましくは5原子%以上20原子%以下、更に好ましくは5原子%以上15原子%以下含まれることが好ましい。
磁性材料は、TaとCを含む析出粒子を有することが好ましい。このような析出粒子が磁性材料に含まれることによって、析出強化のメカニズムによって、強度などの機械特性や熱的安定性が大幅に向上する。なお、前記析出粒子は、Coも含むことが好ましい。更に好ましくは、FeとSiの少なくとも一つを含むことが好ましく、更に好ましくはFeとSiの両方を含む事が好ましい。また、前記析出粒子が配置される母相に含まれる元素(例えば0.1%未満の明らかな不純物元素を除く)を、前記析出粒子が含むことが好ましい。これらによって、析出粒子と母相の組成が似たものになるため、熱的安定性や、強度、硬度などの機械的特性が向上し好ましい。
前記析出粒子はTa3Co3Cの立方晶型結晶構造(これにFeとSiの少なくとも一つが含まれることが好ましい)を有することが好ましく、Fd3mの空間群を有することがより好ましい。格子定数はFe、Si等の含有量によって変わってくるが、例えば、11.2Å程度などが好ましい。また、前記析出粒子が配置される母相は立方晶型結晶構造を有することが好ましく、より好ましくは、体心立方晶型結晶構造を有することが好ましい。格子定数は含有元素とその含有量によって変わってくるが、例えば、2.85Å程度などが好ましい。また、前記析出粒子のうち、前記母相に対して配向している前記析出粒子を有することが好ましい。なお、配向の関係は、例えば、(020)析出粒子//(0-10)母相、もしくは、(20-2)析出粒子//(-101)母相の関係を有することが好ましい。より好ましくは、例えば、(020)析出粒子//(0-10)母相、かつ、(20-2)析出粒子//(-101)母相の関係を有することが好ましい。あるいは、(020)析出粒子//(010)母相、もしくは、(20-2)析出粒子//(10-1)母相の関係を有することが好ましい。より好ましくは、例えば、(020)析出粒子//(010)母相、かつ、(20-2)析出粒子//(10-1)母相の関係を有することが好ましい。これらの方位関係は一例であり、上記と等価な方位関係を有することが好ましい。また、一つの前記母相内に含まれる2個以上の析出粒子が互いに配向していることが好ましい。また、前記母相に対して配向している前記析出粒子が、前記母相に対して格子ミスマッチが10%以下であることが好ましい。より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。なお、前記析出粒子がTa3Co3Cの立方晶型結晶構造を有し、母相が体心立方晶型結晶構造を有する場合、格子ミスマッチは、格子ミスマッチ=|析出粒子の格子定数/4-母相の格子定数|/母相の格子定数×100(%)の式で計算される。
これらはいずれも、磁性材料の強度などの機械特性や熱的安定性を向上するのに効果的である。
析出粒子の平均粒径は1nm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以上1μm以下であることが好ましく、更に好ましくは1nm以上100nm以下であることが好ましい。これによって、高強度などの機械特性や熱的安定性の向上が可能になり、かつ、磁壁のピニングを最小限に抑えられるため低保磁力化が可能となる(低ヒステリシス損失が可能)。また、析出粒子が配置されることによって渦電流損失を低減する効果も付与される。なお、平均粒径は、TEM(Transmission Electron Microscope:透過型電子顕微鏡)又はSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)などで観察することにより求めることができる。また、計算機上で顕微鏡写真の画像解析を行い求めることも可能である。いずれにおいても、複数の視野で、10個以上の析出粒子を対象として求めることが好ましい。できるだけ多くの析出粒子を対象として求めることが平均的な情報を取得できるため、好ましい。なお、10個以上の析出粒子を観察することが出来ない場合は、できる限り多くの析出粒子を観察し、それらに対して平均した値を採用することが好ましい。
図1に、前記析出粒子の形態を示すが、析出粒子2は、磁性材料100の表面8や、母相4の粒界6や、母相の粒内のいずれか少なくとも1ヶ所(表面、粒界、粒内)に配置されることが好ましい。より好ましくは、二つ以上(表面と粒界、表面と粒内、粒界と粒内)、更に好ましくは3ヶ所(表面と粒界と粒内)に配置されることが好ましい。特に、母相の粒界に配置される事が好ましい。これによって「析出強化による強度などの機械特性及び熱的安定性の向上」の効果を大きくすることができる。
特に、母相の粒界に配置される事によって、粒界が強化され、粒界破壊の進展を阻害する効果が発揮され易く、好ましい。これらによって「析出強化による強度などの機械特性及び熱的安定性の向上」の効果を大きくすることができる。
磁性材料は、表面部のSi割合が、磁性材料中心部のSi割合に対して1.1倍以上であることが好ましい。これによって、低保磁力化、低ヒステリシス損失が可能となり、また表面がSiリッチになることによって渦電流損失が抑制され好ましい。
Si割合に関しては、次の様な手順で評価する事が好ましい。まず、図2に示す様に、磁性材料において最も長い辺の方向を「長さ方向」、最も短い辺の方向を「厚さ方向」、長さ方向の辺よりも短く、厚さ方向の辺よりも長い辺の方向を「幅方向」とする。この時、長さ方向の中央部分において、長さ方向に垂直な面を「断面」とする。この断面において、厚さ方向の中心線に対して9つの正方形で区分けして、中心部のSi割合、および表面部のSi割合(2箇所の平均)を比較して評価を行う。Si割合としては、SEM、TEM等のエネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)などで評価を行う。
また、前記第1の元素がFeとCoからなる事が好ましい。Si割合は、磁性材料全体に対して、1原子%以上25原子%以下、より好ましくは5原子%以上20原子%以下、更に好ましくは5原子%以上15原子%以下であることが好ましい。これによって、低保磁力化、低ヒステリシス損失が可能となり、電気抵抗率も高く設定でき渦電流損失を抑制でき好ましい。
磁性材料は、密度が6g/cm以上であることが好ましく、より好ましくは7g/cm以上、更に好ましくは7.5g/cm以上である。密度は、例えばアルキメデス法や単純に重量/体積による測定などによって評価することができる。また、相対密度は90%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上であることが好ましい。
磁性材料は、機械特性として、3点曲げ強度が200MPa以上の特性を有することが好ましく、より好ましくは300MPa以上、更に好ましくは500MPa以上が好ましい。3点曲げ強度は、例えばJIS-R1601等の規格に定められた3点曲げ試験方法に準じて測定することが可能である。
磁性材料は、保磁力が80A/m以下であることが好ましく、より好ましくは40A/m以下、更に好ましくは20A/m以下が好ましい。これによって、低ヒステリシス損失化が可能となる。なお、保磁力は、振動試料型磁力計(VSM:Vibrating Sample Magnetometer)等を用いて、簡単に評価できる。保磁力が低い場合は、低磁界ユニットを用いることによって、8A/m(0.1Oe)以下の保磁力も測定することができる。VSMで保磁力を算出する際は、横軸と交わる二つの点(磁化がゼロになる磁界H1、H2)の磁界の差分を2で割った値を採用することができる(つまり保磁力=|H2-H1|/2で算出できる)。
磁性材料は、飽和磁化が1.7T以上であることが好ましく、より好ましくは1.8T以上であることが好ましい。質量飽和磁化としては180emu/g以上であることが好ましく、より好ましくは、190emu/g以上である。以上によって磁気飽和が抑制され、システム上で磁気特性を十分に発揮することが出来好ましい。
以上の様な構成によって、高飽和磁化、低保磁力、低損失(低ヒステリシス損失、低渦電流損失)の優れた磁気特性、高い熱的安定性、高強度の優れた機械特性を実現することができる。
次に、本実施の形態の磁性材料の製造方法について説明する。尚、製造方法に関しては、特に限定されず、あくまで一例として説明する。
上記のように、下記に説明する本実施の形態の磁性材料の製造方法は、あくまで一例である。そのため、本実施の形態の析出粒子の製造工程は、下記に限定されるものではない。よって、本実施の形態の「析出粒子」は「粒子」の一例である。
第1の工程は、成型用の準備の工程である。例として、磁性金属リボンを製造し、これを熱処理したのちに粉砕し成型する。この場合、磁性金属リボンの製造においては、たとえば、ロール急冷装置やスパッタ装置などの成膜装置を用いて、製造する。ロール急冷装置は、大量合成に適しているため望ましい。特に単ロール急冷装置が簡便で好ましい。また、磁性金属リボンを熱処理する場合は、熱処理するための電気炉に入れやすくするため、適当なサイズにリボンを切断しても良い。例えば、ミキサー装置等を用いて適当な大きさに切断しても良い。熱処理を行うことによって、粉砕性が向上しやすくなり好ましい。尚、熱処理の雰囲気は、低酸素濃度の真空雰囲気下、不活性雰囲気下、還元性雰囲気下が望ましく、更に望ましくは、H(水素)、CO(一酸化炭素)、CH(メタン)等の還元雰囲気下が好ましい。この理由としては、磁性金属リボンが酸化していても還元雰囲気で熱処理を施すことによって、酸化してしまった金属を還元して、金属に戻すことが可能となるためである。これによって、酸化し飽和磁化が減少した磁性金属リボンを還元して、飽和磁化を回復させることもできる。熱処理された磁性金属リボンは、粉砕して扁平磁性金属粒子を製造する。尚、本粉砕の前に、磁性金属リボン若しくは薄膜を、ミキサー装置等を用いて適当な大きさに切断しても良い。本粉砕においては、例えばビーズミルや遊星型ミルやミキサー等の粉砕装置によって粉砕を行う。尚、粉砕装置は、特に種類を選ばない。例えば、遊星ミル、ビーズミル、ミキサー回転ボールミル、振動ボールミル、撹拌ボールミル(アトライター)、ジェットミル、遠心分離機、又はミルと遠心分離を組み合わせた手法などが挙げられる。得られた扁平磁性金属粒子は成型を行う。例えば、一軸プレス成型、ホットプレス成型、CIP成型、HIP成型等で成型を行う。プレス圧は高い方が好ましく、10000kgf/cm以上であることが好ましい。また、プレスを1回行った後、熱処理を行ない(例えばH雰囲気で1000℃熱処理)、再度プレスを行う、という操作を複数回(例えば2回以上)行なうことが、緻密化(高密度化、飽和磁化向上)にとって好ましい。これによって、成型体を得る。
第2の工程は、得られた成型体を熱処理する工程である。この時、真空中で熱処理を行なうことが好ましい。この時、真空中で熱処理を行う際に、Ta箔の上に成型体を配置することが好ましい。
もしくは、Nb箔、W箔、Mo箔、Ta、Nb、W、Woのいずれか1種以上を含む合金箔の上に成型体を配置することが好ましい。なお、用いる箔の種類によって、熱処理時に析出する粒子の組成を制御可能である。Ta箔を用いると粒子にTaが含まれ、Nb箔を用いるとNbが含まれ、W箔を用いるとWが含まれ、Mo箔を用いるとMoが含まれる。以下ではTa箔の場合を例にとって説明する(Nb、W、Moの場合も、Taの場合と同様である)。
熱処理温度は1100℃以上が好ましく、より好ましくは1200℃以上である。真空度は高いことが好ましく、10-1Pa以下であることが好ましく、より好ましくは10-2Pa以下、更に好ましくは10-3Pa以下である。また、熱処理を行なう炉内はカーボンが周囲に配置されていることが好ましい。
また、熱処理時に高真空を実現するために真空ポンプを用いる際、油回転ポンプや油拡散ポンプのオイルとして、アルキルナフタレン等のカーボンを含むオイルを用いる事が好ましい(炉内にオイルが逆流し、蒸発する事によってカーボンが生成)。
以上によって、真空熱処理時に、Fe、Co、Si等が部分的に蒸発しながら、焼結が進行する。この時、SiよりもFe、Coの方が蒸発しやすいので(蒸気圧が高いため)、原料組成から焼結後の組成はずれる(ややSiリッチ、Fe、Coプアーになる)。材料表面は、中心部に比べて、特に、ややSiリッチ、Fe、Coプアーとなる。また、真空熱処理時に、Ta箔からTaが材料に拡散していき、炉内もしくは雰囲気中のカーボンも材料に拡散していく。以上の挙動は、Ta箔に材料を配置し、炉内もしくは雰囲気中にカーボンが配置された状態で、真空中で高温で熱処理を行なうことによってはじめて起こる。以上の真空熱処理によって、Ta-Co-C(Fe、Si含む)の析出粒子が母相に生成する。なお、原料組成にTa、Cを含んでいる方が好ましいが、原料組成に含まれていなくても、上記の通り、プロセス中においてTa、Cを取り込み、析出粒子を生成することが可能である。また、適切な真空度、熱処理温度を設定することによって、Ta3Co3Cの立方晶型結晶構造を有する(Fe、Si含む)析出粒子が生成する。また、析出粒子は母相に対して配向し、格子ミスマッチが低い状態となる。なお、得られた成型体(磁性材料)は熱処理によって格子歪みを適度に除去することが好ましい。この時の熱処理は、不活性雰囲気下、還元性雰囲気下が好ましく、更に好ましくは、H、CO、CH等の還元雰囲気下が好ましい。
なお、上記のような製造方法で製造した磁性材料は圧粉体(成型体)を焼結したものであるため、複雑な形状への適用が可能である。一方で、第1の工程においては、組成を調整した電磁鋼板(珪素鋼板)をそのまま準備するのでも構わない。その後、第2の工程で電磁鋼板(珪素鋼板)を真空中で熱処理することによって、本実施の形態の磁性材料を得ることができる。
以上、本実施形態によれば、低い磁気損失等の優れた磁気特性及び高強度などの優れた機械特性、熱的安定性を有する磁性材料の提供が可能になる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態のシステム及びデバイス装置は、第1の実施の形態の磁性材料を有するものである。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。このシステム、デバイス装置に含まれる磁性材料の部品は、例えば、各種モータや発電機などの回転電機(例えば、モータ、発電機など)、変圧器、インダクタ、トランス、チョークコイル、フィルタ等のコアや、回転電機用の磁性楔(磁性くさび)等である。図3は、第2の実施の形態のモータシステムの概念図である。モータシステムは、回転電機システムの一例である。モータシステムとは、モータの回転数や電力(出力パワー)を制御する制御系を含めたシステムのことである。モータの回転数を制御する方式としては、ブリッジサーボ回路による制御、比例電流制御、電圧比較制御、周波数同期制御、PLL(Phase Locked Loop:位相同期ループ)制御、等による制御方法がある。一例として、PLLによる制御法について図3に示してある。PLLによるモータの回転数を制御するモータシステムは、モータと、モータの回転の機械的変位量を電気信号に変換してモータの回転数を検出するロータリーエンコーダと、ある命令により与えられたモータの回転数とロータリーエンコーダにより検出されたモータの回転数を比較しそれらの回転数差を出力する位相比較器と、当該回転数差を小さくするようにモータを制御するコントローラと、を備える。一方、モータの電力を制御する方法としては、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御、PAM(Pulse Amplitude Modulation:パルス電圧振幅波形)制御、ベクトル制御、パルス制御、バイポーラ駆動、ペデスタル制御、抵抗制御、等による制御方法がある。またその他の制御方法として、マイクロステップ駆動制御、多相駆動制御、インバータ制御、スイッチング制御、等の制御方法がある。一例として、インバータによる制御法について図3に示してある。インバータによるモータの電力を制御するモータシステムは、交流電源と、交流電源の出力を直流電流に変換する整流器と、当該直流電流を任意の周波数による交流に変換するインバータ回路と、当該交流により制御されるモータと、を備える。
図4は、第2の実施の形態のモータの概念図を示す。モータ200は、回転電機の一例である。モータ200においては、第1のステータ(固定子)と第2のロータ(回転子)が配置されている。図では、ロータがステータの内側に配置されているインナーロータ型を示しているが、ロータがステータの外側に配置されるアウターロータ型でも構わない。
図5は、第2の実施の形態のモータコア(ステータ)の概念図である。図6は、第2の実施の形態のモータコア(ロータ)の概念図である。モータコア300(モータのコア)としては、ステータ及びロータのコアが該当する。この点を、以下に説明する。図5は第1のステータの断面概念図例である。第1のステータは、コアと、巻き線と、を有する。巻き線は、コア内側に設けられた、コアが有する突起の一部に巻き付けられている。このコア内に第1の実施形態の磁性材料を配置することができる。図6は第1のロータの断面概念図例である。第1のロータは、コアと、巻き線と、を有する。巻き線は、コア外側に設けられた、コアが有する突起の一部に巻き付けられている。このコア内に第2の実施形態の磁性材料を配置することができる。
なお、図5、図6はあくまでモータの一例を示したものであり、磁性材料の適用先としてはこれに限定されるものではない。磁束を導きやすくするためのコアとして、あらゆる種類のモータに適用することができる。
図7は、第2の実施の形態の変圧器・トランスの概念図である。図8は、第2の実施の形態のインダクタ(リング状インダクタ、棒状インダクタ)の概念図である。図9は、第2の実施の形態のインダクタ(チップインダクタ、平面インダクタ)概念図である。これらもあくまで一例として示したものである。変圧器・トランス400、インダクタ500においてもモータコアと同様に、磁束を導きやすくするために、又は高い透磁率を利用するために、あらゆる種類の変圧器・トランス、インダクタに磁性材料を適用することができる。
図10は、第2の実施の形態の発電機600の概念図である。発電機600は、回転電機の一例である。発電機600は、第1の実施形態の磁性材料をコアとして用いた第2のステータ(固定子)630と、第1の実施形態の磁性材料をコアとして用いた第2のロータ(回転子)640の、いずれか一方又はその両方を備えている。図では、第2のロータ(回転子)640は第2のステータ630の内側に配置されているが、外側に配置されていても構わない。第2のロータ640は、発電機600の一端に設けられたタービン610と、シャフト620を介して接続されている。タービン610は、例えば図示しない外部から供給される流体により回転する。なお、流体により回転するタービンに代えて、自動車の回生エネルギー等の動的な回転を伝達することによって、シャフトを回転することも可能である。第2のステータ630及び第2のロータ640には、各種公知の構成を採用することができる。なお、第2のロータ640には、タービン610からの静電気や発電に伴う軸電流による帯電が発生する。このため、発電機600は、第2のロータ640からの帯電を放電させるためのブラシ650を備えている。
シャフトは、第2のロータに対してタービンとは反対側に配置された、図示しない整流子と接触している。第2のロータの回転により発生した起電力は、発電機の電力として、図示しない相分離母線及び図示しない主変圧器を介して、系統電圧に昇圧されて送電される。なお、第2のロータには、タービンからの静電気や発電に伴う軸電流による帯電が発生する。このため、発電機は、第2のロータの帯電を放電させるためのブラシを備えている。
また、本実施形態の回転電機は、鉄道車両に好ましく用いることができる。例えば、鉄道車両を駆動するモータ200や、鉄道車両を駆動するための電気を発生する発電機500に好ましく用いることができる。
また、本実施形態の回転電機は、各種発電機に好ましく用いることができる。
以上のシステム及びデバイス装置に適用するために、磁性材料は、種々の加工を施すことを許容する。例えば焼結体の場合は、研磨や切削等の機械加工が施され、粉末の場合はエポキシ樹脂、ポリブタジエンのような樹脂との混合が施される。必要に応じて更に表面処理が施される。また、必要に応じて巻線処理がなされる。
本実施の形態のシステム及びデバイス装置によれば、優れた特性(高効率、低損失)を有するモータシステム、モータ、変圧器、トランス、インダクタ及び発電機が実現可能となる。
(実施例)
以下に、実施例1~4を、比較例1と対比しながらより詳細に説明する。以下に示す実施例及び比較例によって得られる磁性材料について、析出粒子の有無、析出粒子の組成、析出粒子の結晶構造、析出粒子の配向の有無、析出粒子と母相の格子ミスマッチ、析出粒子の平均粒径をまとめたものを表1に示す。
(実施例1)
まず、単ロール急冷装置を用いて、Fe-Co-Si-Ta-C(Fe70Co30(原子%)-5重量%Si)のリボンを作製する。次に得られたリボンをH雰囲気中300℃で熱処理を行う。次に、このリボンを、ミキサー装置を用いて粉砕し、扁平磁性金属粒子を得る。その後、得られた扁平磁性金属粒子を12000kgf/cmで一軸プレス成型を行い、H雰囲気中で1000℃で熱処理を行う。その後、一軸プレス成型とH雰囲気中での1000℃熱処理を5回繰り返し、成型体を得る。その後、Ta箔に成型体を配置し、真空中(10-2Pa以下)で1200℃で熱処理(炉内にカーボンが配置)を行った後、H雰囲気中で1000℃で熱処理を行い、磁性材料を得た。得られた磁性材料に含まれる析出粒子の平均粒径は約10nmであった。析出粒子と母相の格子ミスマッチは約1%であった。
(実施例2)
真空中熱処理条件を制御することによって、析出粒子の平均粒径を約100nmにしたこと以外は実施例1とほぼ同じである。この時、析出粒子と母相の格子ミスマッチは約2%であった。
(実施例3)
真空中熱処理条件を制御することによって、析出粒子の平均粒径を約1μmにしたこと以外は実施例1とほぼ同じである。この時、析出粒子と母相の格子ミスマッチは約5%であった。
(実施例4)
真空中熱処理条件を制御することによって、析出粒子の平均粒径を約2μmにしたこと以外は実施例1とほぼ同じである。この時、析出粒子と母相は配向していなかった。
(実施例5)
Fe-Co-Si-Ta-C(Fe70Co30(原子%)-5重量%Si)の代わりにFe-Co-Si-Nb-C(Fe70Co30(原子%)-5重量%Si)、Ta箔の代わりにNb箔としたこと以外は実施例1とほぼ同じである。得られた磁性材料に含まれる析出粒子の平均粒径は約10nmであった。析出粒子と母相の格子ミスマッチは約1%であった。
(実施例6)
Fe-Co-Si-Ta-C(Fe70Co30(原子%)-5重量%Si)の代わりにFe-Co-Si-W-C(Fe70Co30(原子%)-5重量%Si)、Ta箔の代わりにW箔としたこと以外は実施例1とほぼ同じである。得られた磁性材料に含まれる析出粒子の平均粒径は約10nmであった。析出粒子と母相の格子ミスマッチは約1%であった。
(実施例7)
Fe-Co-Si-Ta-C(Fe70Co30(原子%)-5重量%Si)の代わりにFe-Co-Si-Mo-C(Fe70Co30(原子%)-5重量%Si)、Ta箔の代わりにMo箔としたこと以外は実施例1とほぼ同じである。得られた磁性材料に含まれる析出粒子の平均粒径は約10nmであった。析出粒子と母相の格子ミスマッチは約1%であった。
(比較例1)
組成をFe-Co-Si(Fe70Co30(原子%)-5重量%Si)とし、熱処理時にTa箔を用いず、雰囲気をAr雰囲気にすること以外は実施例1とほぼ同じである。得られた磁性材料には析出粒子は見られなかった。
次に、実施例1~5及び比較例1の評価用磁性材料に関して、飽和磁化、保磁力、鉄損、曲げ強度(3点曲げ強度)、曲げ強度(3点曲げ強度)の経時変化割合を評価する。鉄損、曲げ強度の経時変化割合に関しては、以下の方法で評価する。評価結果を表2に示す。
(1)鉄損:B-Hアナライザーを用いて100Hz、1Tの動作条件での鉄損を測定する。尚、100Hz、1Tの条件で直接測定出来ない場合は、鉄損の周波数依存性、磁束密度依存性を測定し、そのデータから100Hz、1Tの鉄損を推定する(そしてこの推定値を採用する)。
(2)曲げ強度の経時変化割合:評価用試料を温度100℃、大気中で100時間加熱した後、曲げ強度を測定し、経時変化(100時間加熱後の曲げ強度/加熱なしの曲げ強度)を求める。
表1から明らかなように、実施例1~4の磁性材料は、Ta-Fe-Co-Si-C組成でTaCoC(XC)立方晶型結晶構造の析出粒子を含んでいた。また、実施例1~3では、析出粒子は母相に対して配向しており、格子ミスマッチも10%以下であった。また、析出粒子の平均粒径は1nm以上1μm以下であった。実施例4では、析出粒子は母相に対して配向しておらず、析出粒子の平均粒径は約2μmと大きめだった。これに対して比較例1では、析出粒子は生成していなかった。
実施例5の磁性材料は、Nb-Fe-Co-Si-C組成、実施例6の磁性材料は、W-Fe-Co-Si-C組成、実施例7の磁性材料は、Mo-Fe-Co-Si-C組成で、いずれもXC立方晶型結晶構造の析出粒子を含んでいた。また、析出粒子は母相に対して配向しており、格子ミスマッチも10%以下であった。また、析出粒子の平均粒径は1nm以上1μm以下であった。
表2から明らかなように、実施例1~7の磁性材料は、比較例1の磁性材料と比べて、飽和磁化、保磁力、鉄損、曲げ強度、曲げ強度の経時変化割合において優れていることが分かる。つまり、磁気的特性、熱的安定性、機械特性(強度)において優れていることが分かる。また、実施例1~4の中でも特に実施例1~3は実施例4に比べて、磁気的特性、熱的安定性、機械特性(強度)において優れていることが分かる。
以上の結果は、Ta-Fe-Co-Si-C組成でTaCoC立方晶型結晶構造の析出粒子を含むことによってもたらされている。また、析出粒子が母相に対して配向し、格子ミスマッチも低く、析出粒子の平均粒径も1nm以上1μm以下になることによって、更に特性が向上する。
または、以上の結果は、Ta(Nb、W、Mo)-Fe-Co-Si-C組成でXC立方晶型結晶構造の析出粒子を含むことによってもたらされている。また、析出粒子が母相に対して配向し、格子ミスマッチも低く、析出粒子の平均粒径も1nm以上1μm以下になることによって、更に特性が向上する。
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、上記の実施形態を、以下の技術案にまとめることができる。
技術案1
Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素Xを含む磁性材料であって、
母相と、
Ta、W、Nb及びMoから選ばれる少なくとも1つの第2の元素YとCを含む粒子と、
を有する磁性材料。
技術案2
前記粒子は、立方晶型結晶構造を有し、前記第1の元素Xを含み、XC型の化合物相を有する技術案1に記載の磁性材料。
技術案3
前記粒子は前記母相の粒界に存在する技術案1又は技術案2に記載の磁性材料。
技術案4
前記第1の元素XはCoであり、前記第2の元素YはTaである技術案1から技術案3のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案5
前記粒子はFeとSiの少なくとも一つを含む技術案1から技術案4のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案6
前記粒子が配置される前記母相に含まれる元素を前記粒子が含む技術案1から技術案5のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案7
前記粒子はTa3Co3Cの立方晶型結晶構造を有する技術案1から技術案6のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案8
前記粒子が配置される前記母相は体心立方晶型結晶構造を有する技術案1から技術案7のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案9
前記粒子は前記母相に対して配向している技術案1から技術案8のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案10
前記母相に対して配向している前記粒子が、前記母相に対して格子ミスマッチが10%以下である技術案9に記載の磁性材料。
技術案11
一つの前記母相内に含まれる2個以上の前記粒子は互いに配向している技術案9に記載の磁性材料。
技術案12
前記母相に対して前記粒子が(020)粒子//(0-10)母相又は(20-2)粒子//(-101)母相で配向している技術案11に記載の磁性材料。
技術案13
前記母相に対して前記粒子が(0-40)粒子//(0-10)母相又は(-404)粒子//(-101)母相で配向している技術案11に記載の磁性材料。
技術案14
前記粒子の平均粒径が1nm以上10μm以下である技術案1から技術案13のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案15
前記磁性材料の表面部のSi割合が、磁性材料中心部のSi割合に対して1.1倍以上である技術案1から技術案14のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案16
前記第1の元素がFeとCoからなり、Si割合が、前記磁性材料全体に対して、1原子%以上25原子%以下である技術案1から技術案15のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案17
密度が6g/cm以上である技術案1から技術案16のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案18
3点曲げ強度が200MPa以上である技術案1から技術案17のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案19
保磁力が80A/m以下である技術案1から技術案18のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案20
飽和磁化が1.7T以上である技術案1から技術案19のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案21
技術案1から技術案20のいずれか1項に記載の磁性材料を備える回転電機。
2 :析出粒子
4 :母相
6 :粒界
8 :表面
100:磁性材料
200:モータ(回転電機)
300:モータコア
400:変圧器・トランス
500:インダクタ
600:発電機(回転電機)
610:タービン
620:シャフト
630:第2のステータ(固定子)
640:第2のロータ(回転子)
650:ブラシ
なお、上記の実施形態を、以下の技術案にまとめることができる。
技術案1
Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素Xを含む磁性材料であって、
母相と、
Ta、W、Nb及びMoから選ばれる少なくとも1つの第2の元素YとCを含む粒子と、
を有する磁性材料。
技術案2
前記粒子は、立方晶型結晶構造を有し、前記第1の元素Xを含み、XC型の化合物相を有する技術案1に記載の磁性材料。
技術案3
前記粒子は前記母相の粒界に存在する技術案1又は技術案2に記載の磁性材料。
技術案4
前記第1の元素XはCoであり、前記第2の元素YはTaである技術案1から技術案3のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案5
前記粒子はFeとSiの少なくとも一つを含む技術案1から技術案4のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案6
前記粒子が配置される前記母相に含まれる元素を前記粒子が含む技術案1から技術案5のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案7
前記粒子はTa3Co3Cの立方晶型結晶構造を有する技術案1から技術案6のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案8
前記粒子が配置される前記母相は体心立方晶型結晶構造を有する技術案1から技術案7のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案9
前記粒子は前記母相に対して配向している技術案1から技術案8のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案10
前記母相に対して配向している前記粒子が、前記母相に対して格子ミスマッチが10%以下である技術案9に記載の磁性材料。
技術案11
一つの前記母相内に含まれる2個以上の前記粒子は互いに配向している技術案9又は技術案10に記載の磁性材料。
技術案12
前記母相に対して前記粒子が(020)粒子//(0-10)母相又は(20-2)粒子//(-101)母相で配向している技術案9から技術案11のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案13
前記母相に対して前記粒子が(0-40)粒子//(0-10)母相又は(-404)粒子//(-101)母相で配向している技術案9から技術案12のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案14
前記粒子の平均粒径が1nm以上10μm以下である技術案1から技術案13のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案15
前記磁性材料の表面部のSi割合が、磁性材料中心部のSi割合に対して1.1倍以上である技術案1から技術案14のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案16
前記第1の元素がFeとCoからなり、Si割合が、前記磁性材料全体に対して、1原子%以上25原子%以下である技術案1から技術案15のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案17
密度が6g/cm以上である技術案1から技術案16のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案18
3点曲げ強度が200MPa以上である技術案1から技術案17のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案19
保磁力が80A/m以下である技術案1から技術案18のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案20
飽和磁化が1.7T以上である技術案1から技術案19のいずれか1項に記載の磁性材料。
技術案21
技術案1から技術案20のいずれか1項に記載の磁性材料を備える回転電機。

Claims (21)

  1. Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素Xを含む磁性材料であって、
    母相と、
    Ta、W、Nb及びMoから選ばれる少なくとも1つの第2の元素YとCを含む粒子と、
    を有する磁性材料。
  2. 前記粒子は、立方晶型結晶構造を有し、前記第1の元素Xを含み、XC型の化合物相を有する請求項1に記載の磁性材料。
  3. 前記粒子は前記母相の粒界に存在する請求項1に記載の磁性材料。
  4. 前記第1の元素XはCoであり、前記第2の元素YはTaである請求項1に記載の磁性材料。
  5. 前記粒子はFeとSiの少なくとも一つを含む請求項1に記載の磁性材料。
  6. 前記粒子が配置される前記母相に含まれる元素を前記粒子が含む請求項1に記載の磁性材料。
  7. 前記粒子はTa3Co3Cの立方晶型結晶構造を有する請求項1に記載の磁性材料。
  8. 前記粒子が配置される前記母相は体心立方晶型結晶構造を有する請求項1に記載の磁性材料。
  9. 前記粒子は前記母相に対して配向している請求項1に記載の磁性材料。
  10. 前記母相に対して配向している前記粒子が、前記母相に対して格子ミスマッチが10%以下である請求項9に記載の磁性材料。
  11. 一つの前記母相内に含まれる2個以上の前記粒子は互いに配向している請求項9に記載の磁性材料。
  12. 前記母相に対して前記粒子が(020)粒子//(0-10)母相又は(20-2)粒子//(-101)母相で配向している請求項11に記載の磁性材料。
  13. 前記母相に対して前記粒子が(0-40)粒子//(0-10)母相又は(-404)粒子//(-101)母相で配向している請求項11に記載の磁性材料。
  14. 前記粒子の平均粒径が1nm以上10μm以下である請求項1に記載の磁性材料。
  15. 前記磁性材料の表面部のSi割合が、磁性材料中心部のSi割合に対して1.1倍以上である請求項1に記載の磁性材料。
  16. 前記第1の元素がFeとCoからなり、Si割合が、前記磁性材料全体に対して、1原子%以上25原子%以下である請求項1に記載の磁性材料。
  17. 密度が6g/cm以上である請求項1に記載の磁性材料。
  18. 3点曲げ強度が200MPa以上である請求項1に記載の磁性材料。
  19. 保磁力が80A/m以下である請求項1に記載の磁性材料。
  20. 飽和磁化が1.7T以上である請求項1に記載の磁性材料。
  21. 請求項1に記載の磁性材料を備える回転電機。
JP2022195701A 2022-03-14 2022-12-07 磁性材料及び回転電機 Pending JP2023134350A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN202310183073.8A CN116759181A (zh) 2022-03-14 2023-03-01 磁性材料及旋转电机
US18/176,588 US20230290548A1 (en) 2022-03-14 2023-03-01 Magnetic material and rotating electric machine

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022039090 2022-03-14
JP2022039090 2022-03-14

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023134350A true JP2023134350A (ja) 2023-09-27

Family

ID=88143586

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022195701A Pending JP2023134350A (ja) 2022-03-14 2022-12-07 磁性材料及び回転電機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023134350A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US12049686B2 (en) 2018-08-02 2024-07-30 Kabushiki Kaisha Toshiba Plurality of flaky magnetic metal particles, pressed powder material, and rotating electric machine

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US12049686B2 (en) 2018-08-02 2024-07-30 Kabushiki Kaisha Toshiba Plurality of flaky magnetic metal particles, pressed powder material, and rotating electric machine

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Talaat et al. Review on soft magnetic metal and inorganic oxide nanocomposites for power applications
JP7176021B2 (ja) 圧粉材料及び回転電機
US11459645B2 (en) Plurality of flaky magnetic metal particles, pressed powder material, and rotating electric machine
US10071421B2 (en) Flaky magnetic metal particles, pressed powder material, rotating electric machine, motor, and generator
JP6725737B2 (ja) 扁平磁性金属粒子、圧粉材料、回転電機、モータ、発電機
US10090088B2 (en) Soft magnetic material, rotating electric machine, motor, and generator
US10937576B2 (en) Flaky magnetic metal particles, pressed powder material, rotating electric machine, motor, and generator
JP7258646B2 (ja) 複数の扁平磁性金属粒子、圧粉材料及び回転電機
JP6965300B2 (ja) 複数の扁平磁性金属粒子、圧粉材料、及び回転電機
JP7438900B2 (ja) 圧粉材料及び回転電機
JP2017059816A (ja) 軟磁性材料、回転電機、モータ及び発電機
CN113496799B (zh) 压粉材料及旋转电机
JP7412937B2 (ja) 磁性材料、回転電機及び磁性材料の製造方法。
CN104685581A (zh) 永磁体以及使用所述永磁体的发动机和发电机
US20230290548A1 (en) Magnetic material and rotating electric machine
JP2023134350A (ja) 磁性材料及び回転電機
JP6725738B2 (ja) 複数の扁平磁性金属粒子、圧粉材料及び回転電機
US12104230B2 (en) Pressed powder material and rotating electric machine
CN116759181A (zh) 磁性材料及旋转电机
JP7150537B2 (ja) 磁石材料、永久磁石、回転電機、及び車両
US20200075203A1 (en) Magnet material, permanent magnet, rotary electric machine, and vehicle
US20240021348A1 (en) Permanent magnet and rotary electric machine
JP2019046857A (ja) 永久磁石、回転電機、及び車両
JP2023138191A (ja) 圧粉材料及び回転電機
JP2023132116A (ja) 磁性楔及び回転電機

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230303

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240917