JP2023133998A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ストールしたエンジンの再始動処理が継続して繰り返し実行されてしまうのを抑制してハイブリッド車両を適正に退避走行へと移行させる。【解決手段】本開示のハイブリッド車両の制御装置は、走行用の動力を出力可能なエンジンと、走行用の動力を出力可能な電動機と、当該電動機と電力をやり取りするバッテリとを含むハイブリッド車両を制御するものであり、エンジンの回転数が予め定められたストール回転数未満になったか否かを判定すると共に、当該回転数がストール回転数未満になったと判定した回数をカウントし、カウントした回数が予め定められた閾値以上になったときに、電動機からの動力のみによりハイブリッド車両を退避走行させる。【選択図】図2
Description
本開示は、それぞれ走行用の動力を出力可能なエンジンおよび電動機を含むハイブリッド車両の制御装置に関する。
従来、内燃機関、電動発電機およびバッテリを含むハイブリッド車両として、内燃機関がストールして運転停止しており、かつ運転者により通常の運転操作とは異なる特殊な操作が行われて緊急時操作信号が出力されたときに、電動発電機からの動力のみで当該ハイブリッド車両を退避走行させる制御装置を含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかるハイブリッド車両において、緊急時操作信号は、運転者が予め設定された時間内に予め設定された回数だけアクセルペダルの踏み込み操作を行ったとき、または運転者が予め設定された時間内に予め設定された回数だけ変速機のシフトレバーの切り替え操作を行ったときに出力される。
しかしながら、上記従来のハイブリッド車両では、緊急時であっても、運転者により上記特殊な操作が行われて緊急時操作信号が出力されない限り、電動発電機のみから動力を出力させる退避走行が開始されない。このため、上記従来のハイブリッド車両では、ストールした内燃機関の再始動を妨げる何らかの異常が発生しているにも拘わらず、当該内燃機関の再始動処理が継続して繰り返し実行されてしまい、車両が走行不能になるおそれもある。
そこで、本開示は、ストールしたエンジンの再始動処理が継続して繰り返し実行されてしまうのを抑制してハイブリッド車両を適正に退避走行へと移行させることを主目的とする。
本開示のハイブリッド車両の制御装置は、走行用の動力を出力可能なエンジンと、走行用の動力を出力可能な電動機と、前記電動機と電力をやり取りするバッテリとを含むハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジンの回転数が予め定められたストール回転数未満になったか否かを判定すると共に、前記回転数が前記ストール回転数未満になったと判定した回数をカウントし、前記回数が予め定められた閾値以上になったときに、前記電動機からの動力のみにより前記ハイブリッド車両を退避走行させるものである。
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の制御装置により制御されるハイブリッド車両1を示す概略構成図である。同図に示すハイブリッド車両1は、エンジン(内燃機関)2と、モータジェネレータMGと、動力伝達装置3と、油圧式のクラッチK0と、高電圧バッテリ(高電圧蓄電装置)4と、補機バッテリとしての低電圧バッテリ(低電圧蓄電装置)5と、モータジェネレータMGを駆動する電力制御装置(以下、「PCU」という)6とを含む。更に、ハイブリッド車両1は、エンジン2を制御するエンジン電子制御ユニット(以下、「EGECU」という)20と、動力伝達装置3を制御する変速電子制御ユニット(以下、「TMECU」という)30と、PCU6を制御するモータ電子制御ユニット(以下、「MGECU」という)60と、EGECU20、TMECU30およびMGECU60と相互に情報をやり取りしてハイブリッド車両1を統括的に制御するハイブリッド電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70とを含む。
エンジン2は、複数の燃焼室(気筒)におけるガソリン(炭化水素系燃料)と空気との混合気の燃焼に伴うピストンの往復運動をクランクシャフト(出力軸)CSの回転運動へと変換する多気筒ガソリンエンジン(例えば、V型6気筒エンジン)であり、電子制御式のスロットルバルブやそれぞれ複数の吸気バルブおよび排気バルブ、可変動弁機構、複数の燃料噴射弁、複数の点火プラグ、排気浄化装置等(何れも図示省略)を含む。また、エンジン2は、図1に示すように、主に極低温環境下における当該エンジン2のクランキングに供されるスタータ(エンジン始動装置)STや当該エンジン2により駆動されて電力を発生するオルタネータA等を含む。かかるエンジン2のクランクシャフトCSは、ダンパ機構D(例えば、フライホイールダンパ)の入力部材に連結される。
エンジン2を制御するEGECU20は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータや各種駆動回路、各種ロジックIC等を含む。また、EGECU20は、クランク角センサやエアフローメータ、スロットル開度センサ、空燃比センサ、水温センサ、アクセルペダルポジションセンサといった各種センサ(何れも図示省略)の検出値を取得すると共に、HVECU70からの指令信号等を受信する。更に、EGECU20は、クランク角センサの検出値に基づいてエンジン2(クランクシャフトCS)の回転数Neを算出すると共に、エンジン2の回転数Neとエアフローメータにより検出される吸入空気量とに基づいて負荷率KLを算出する。EGECU20は、各種センサの検出値や回転数Ne等の算出値、HVECU70からの指令信号等に基づいて、スロットルバルブや可変動弁機構、それぞれ複数の燃料噴射弁および点火プラグ等を制御する。
モータジェネレータMGは、永久磁石が埋設されたロータや三相コイルが巻回されたステータを含む同期発電電動機(三相交流電動機)であり、PCU6を介して高電圧バッテリ4と電力をやり取りする。モータジェネレータMGは、高電圧バッテリ4からの電力により駆動されて駆動トルクを発生する電動機として作動すると共に、ハイブリッド車両1の制動に際して回生制動トルクを出力する。また、モータジェネレータMGは、負荷運転されるエンジン2からの動力の少なくとも一部を用いて電力を生成する発電機としても作動する。図1に示すように、モータジェネレータMGのロータは、伝達軸TSに固定される。
動力伝達装置3は、トルク増幅機能を有するトルクコンバータ(流体伝動装置)31やロックアップクラッチ32、機械式オイルポンプ33、電動オイルポンプ34、変速機(自動変速機)35、作動油を調圧する油圧制御装置36等を含む。トルクコンバータ31は、フロントカバー(入力部材)を介して伝達軸TSに連結されるポンプインペラと、変速機35の入力軸35iに連結されるタービンランナと、タービンランナからポンプインペラへと向かう作動油の流れを整流してトルクを増幅させるステータとを含む。ロックアップクラッチ32は、フロントカバーと変速機35の入力軸35iとを連結すると共に両者の連結を解除する多板摩擦式あるいは単板摩擦式の油圧クラッチである。
変速機35は、入力軸35i、出力軸35o、複数の遊星歯車、それぞれ複数のクラッチおよびブレーキ(変速用係合要素)を含む例えば4段-10段変速式の多段変速機である。変速機35は、伝達軸TSからトルクコンバータ31あるいはロックアップクラッチ32の何れか一方を介して入力軸35iに伝達された動力を複数段階に変速して出力軸35oからデファレンシャルギヤDFおよびドライブシャフトDSを介して左右の車輪(駆動輪)Wに出力する。油圧制御装置36は、複数の油路が形成されたバルブボディや複数のレギュレータバルブ、複数のリニアソレノイドバルブ等を含む。油圧制御装置36は、機械式オイルポンプ33および電動オイルポンプ34の少なくとも何れか一方からの作動油(油圧)を調圧してトルクコンバータ31やロックアップクラッチ32、変速機35のクラッチおよびブレーキ等に供給する。
動力伝達装置3を制御するTMECU30は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータや各種駆動回路、各種ロジックIC等を含む。また、TMECU30は、シフトポジションセンサやアクセルペダルポジションセンサ、入力軸35iの回転数を検出する入力回転数センサ、出力軸35oの回転数を検出する出力回転数センサ、車速センサといった各種センサ等(何れも図示省略)の検出値を取得すると共に、HVECU70からの指令信号等を受信する。TMECU30は、各種センサの検出値やHVECU70からの指令信号等に基づいて動力伝達装置3すなわち油圧制御装置36を制御する。
クラッチK0は、上記油圧制御装置36とは異なる第2の油圧制御装置37から供給される油圧に応じて、ダンパ機構Dの出力部材すなわちエンジン2のクランクシャフトCSと伝達軸TSすなわちモータジェネレータMGのロータとを連結すると共に両者の連結を解除するものである。本実施形態において、クラッチK0は、第2の油圧制御装置37から供給される係合油圧の低下に伴って解放されると共に係合油圧の上昇に伴って係合する常開型の油圧クラッチである。クラッチK0が係合すると、エンジン2(クランクシャフトCS)は、クラッチK0を介してモータジェネレータMGに連結される。
これにより、エンジン2は、ダンパ機構D、クラッチK0、伝達軸TS(モータジェネレータMG)、動力伝達装置3等を介して左右の車輪Wに連結される。クラッチK0は、モータジェネレータMGのロータの内部に配置されてもよく、ダンパ機構DとモータジェネレータMGとの軸方向における間に配置されてもよい。また、本実施形態において、クラッチK0に油圧を供給する第2の油圧制御装置37は、例えばモータジェネレータMGの下方に配置され、上記機械式オイルポンプ33および電動オイルポンプ34の少なくとも何れか一方からの油圧を調圧してクラッチK0に油圧を給排するようにHVECU70により制御される。
高電圧バッテリ4は、例えば200-300V程度の定格出力電圧を有するリチウムイオン二次電池あるいはニッケル水素二次電池である。ただし、高電圧バッテリ4は、キャパシタであってもよく、二次電池およびキャパシタの双方を含んでもよい。低電圧バッテリ5は、例えば12Vの定格出力電圧を有する鉛蓄電池等であり、上記オルタネータAからの電力等により充電される。低電圧バッテリ5は、エンジン2のスタータSTや電動オイルポンプ34、油圧制御装置36,37といった補機や、各種ECU等の電子機器に電力を供給する。
PCU6は、モータジェネレータMGを駆動するインバータや昇圧コンバータ、DC/DCコンバータ等(何れも図示省略)を含み、システムメインリレーSMRを介して高電圧バッテリ4に接続されると共に低電圧バッテリ5に接続される。インバータは、例えばスイッチング素子としての6個のトランジスタと、これらのトランジスタに逆方向に並列接続された6個のダイオードとを含むものである。昇圧コンバータは、高電圧バッテリ4からの電圧を昇圧してインバータに供給すると共に、インバータからの電圧を降圧して高電圧バッテリ4に供給する。DC/DCコンバータは、高電圧バッテリ4あるいはインバータからの電力を降圧して低電圧系すなわち低電圧バッテリ5や各種補機等に供給する。
MGECU60は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータや、各種駆動回路、各種ロジックIC等を含む。MGECU60は、昇圧コンバータの昇圧前電圧および昇圧後電圧、図示しない回転位置センサ(レゾルバ)により検出されるモータジェネレータMGのロータ(伝達軸TS)の回転位置、モータジェネレータMGに印加される相電流等を取得すると共に、HVECU70からの指令信号等を受信する。MGECU60は、これらの検出値やHVECU70からの指令信号等に基づいてインバータや昇圧コンバータをスイッチング制御する。また、MGECU60は、所定時間(微小時間)おきに、回転位置センサの検出値に基づいてモータジェネレータMGのロータ(伝達軸TS)の回転数Nm(rpm)を算出すると共に、当該ロータの角速度ωmおよび角加速度αmを算出する。
HVECU70は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータや、各種駆動回路、各種ロジックIC等を含む。HVECU70は、スタートスイッチ(IGスイッチ)からの信号や、アクセルペダルポジションセンサにより検出されるアクセル開度Acc(アクセルペダルの踏み込み量)、車速センサにより検出される車速V、アクセル開度Accおよび車速Vに対応した変速機35の変速比γ、MGECU60からのモータジェネレータMGの回転数Nm等を取得する。更に、HVECU70は、図示しない電源管理装置(電源管理ECU)から、当該電源管理装置により算出される高電圧バッテリ4のSOC、目標充放電電力Pb*、許容充電電力Win、許容放電電力Wout等を取得する。HVECU70は、これらの情報に基づいて、エンジン2の目標パワーPe*および目標回転数Ne*、動力伝達装置3(油圧制御装置36)への指令値、モータジェネレータMGへのトルク指令値Tm*等を設定すると共に、クラッチK0(第2の油圧制御装置37)を制御する。
上述のように構成されるハイブリッド車両1では、システム停止により機械式オイルポンプ33および電動オイルポンプ34が油圧を発生していないとき(駐車中)に、常開型のクラッチK0が解放されることでエンジン2と伝達軸TSすなわちモータジェネレータMGとの接続が解除される。そして、システム起動後、ハイブリッド車両1は、基本的に、クラッチK0が解放された状態で伝達軸TSを介して駆動系としての動力伝達装置3に出力されるモータジェネレータMGからのトルク(動力)により発進する。
また、ハイブリッド車両1の停車中(駐車中を含む)あるいはハイブリッド車両1がモータジェネレータMGからのトルクにより走行している間、HVECU70は、予め定められたエンジン始動条件が成立するか否かを判定する。HVECU70は、エンジン始動条件が成立したと判定した場合、ハイブリッド車両1の走行状態に応じた態様の始動処理を実行してエンジン2を始動させると共にクラッチK0を係合させる。エンジン2の始動処理は、基本的に、クラッチK0をスリップ係合させながら、エンジン2を始動させるためのクランキングトルクを出力するように高電圧バッテリ4からの電力によりモータジェネレータMGを駆動するものである。これにより、エンジン2の始動完了後には、当該エンジン2を例えば最適燃費ライン付近の動作点で作動させながら、高電圧バッテリ4のSOCに応じてモータジェネレータMGにより発電される電力で高電圧バッテリ4を充電したり、高電圧バッテリ4からの電力によりモータジェネレータMGを駆動してエンジン2およびモータジェネレータMGの双方から車輪Wにトルクを出力したりすることができる。従って、ハイブリッド車両1では、エンジン2の燃費向上を図りつつ、動力性能を良好に確保することが可能となる。
更に、エンジン2の運転中、HVECU70は、予め定められたエンジン停止条件が成立するか否かを判定する。HVECU70は、エンジン停止条件が成立したと判定した場合、エンジン2の運転停止処理を実行すると共にクラッチK0を解放させる。これにより、ハイブリッド車両1の状態に応じてエンジン2を間欠的に停止させて、エンジン2の燃費向上を図ると共にハイブリッド車両1におけるエネルギ効率をより向上させることが可能となる。エンジン停止条件の成立に応じてエンジン2の運転が停止された後には、エンジン始動条件の成立に応じて上記始動処理(再始動処理)が実行され、当該エンジン2が再度始動されることになる。
また、エンジン2の運転中、EGECU20は、当該エンジン2の始動時やアイドル制御時に用いられるクランク角センサやエアフローメータ、スロットル開度センサ、空燃比センサ、水温センサ、燃料噴射弁、点火プラグ、可変動弁機構といった部品(要素)の異常診断を予め定められたタイミングで実行する。EGECU20は、当該異常診断によりエンジン2の始動等に関連する部品のすべてが正常である判定したときに、エンジン運転停止禁止フラグFを“0”に設定する。また、EGECU20は、当該部品の何れかに故障等の異常が発生していると判定したときに、エンジン運転停止禁止フラグFを“1”に設定すると共に、インストルメントパネル等に設置された表示画面等の所定の警告灯(MIL警告灯)を点灯させる。EGECU20によりエンジン運転停止禁止フラグFが“0”に設定されているときには、上記エンジン運転停止条件の成立に応じたエンジン2の運転停止(間欠運転)が許可される。これに対して、EGECU20によりエンジン運転停止禁止フラグFが“1”に設定されると、エンジン運転停止条件の成立に応じたエンジン2の運転停止が禁止されると共に、モータジェネレータMGによる補機の充電のためのトルクを超えた駆動トルク(アシストトルク)の出力が禁止される。
すなわち、エンジン2の始動等に関連した部品の何れかに異常(故障)が発生している場合、運転停止後のエンジン2の再始動に際して、例えば各燃焼室に供給される燃料の不足等によりエンジン2がストールしてしまい、当該エンジン2の再始動処理が継続して繰り返し実行されてしまうおそれがある。これを踏まえて、ハイブリッド車両1では、エンジン2の運転中に当該エンジン2の始動等に関連した部品の故障が発生すると、エンジン2の運転停止(間欠運転)が禁止される。また、上記部品の故障に起因してエンジン2がストールしてしまうような場合には、ハイブリッド車両1を速やかに退避走行させることが好ましい。このため、ハイブリッド車両1では、エンジン2の始動等に関連した部品の異常に起因したストールの発生に応じてハイブリッド車両1を適正に退避走行へと移行させるべく、HVECU70により図2に示すルーチンが所定時間(微小時間)おきに繰り返し実行される。
図2のルーチンの開始に際して、HVECU70は、EGECU20からのエンジン2の回転数Neや上述のエンジン運転停止禁止フラグFの値といった処理に必要なデータを取得する(ステップS100)。次いで、HVECU70は、取得したエンジン2の回転数Neが予め定められたストール回転数Nestl未満であるか否かを判定する(ステップS110)。本実施形態において、ステップS110にて用いられる閾値としてのストール回転数Nestlは、エンジン2がストールしたとみなすことができる例えば150rpm程度に定められている。ステップS110にて回転数Neがストール回転数Nestl以上であると判定した場合(ステップS110:NO)、HVECU70は、エンジン2がストールしていないとみなし、ステップS110以降の処理を実行することなく、その時点で図2のルーチンを一旦終了させる。
また、ステップS110にて回転数Neがストール回転数Nestl未満であると判定した場合(ステップS110:YES)、HVECU70は、エンジン2がストールしたとみなし、エンジン2のストールの発生回数を示すカウンタCestlをインクリメントする(ステップS120)。なお、カウンタCestlは、ハイブリッド車両1の走行が終了してスタートスイッチがオフされた時点でリセットされ、スタートスイッチがオンされた時点では“0”になっている。また、ハイブリッド車両1において、上記クラッチK0は、回転数Neがストール回転数Nestl未満になった段階では解放されている。
ステップS120にてカウンタCestlをインクリメントした後、HVECU70は、ステップS100にて取得したエンジン運転停止禁止フラグFの値に基づいてエンジン2の運転停止(間欠運転)が許可されているか否かを判定する(ステップS130)。ステップS130にてエンジン運転停止禁止フラグFの値が“0”であってエンジン2の運転停止(間欠運転)が許可されていると判定した場合(ステップS130:YES)、HVECU70は、上記カウンタCestlと比較される判定閾値Crefを予め定められた値C1に設定する(ステップS140)。本実施形態において、値C1は、例えば“3”から“5”程度の正の整数である。また、ステップS130にてエンジン運転停止禁止フラグFの値が“1”であってエンジン2の運転停止(間欠運転)が禁止されていると判定した場合(ステップS130:NO)、HVECU70は、上記カウンタCestlと比較される判定閾値Crefを上記値C1よりも小さく定められた値C0に設定する(ステップS145)。本実施形態において、値C0は、例えば“1”または“2”といった正の整数である。
ステップS140またはS145の処理の後、HVECU70は、カウンタCestlがステップS140またはS145にて設定された判定閾値Cref以上であるか否かを判定する(ステップS150)。ステップS150にてカウンタCestlが判定閾値Cref未満であると判定した場合(ステップS150:NO)、HVECU70は、エンジン2がストールしたとしても、それが一時的なものであるとみなし、ステップS150以降の処理を実行することなく、その時点で図2のルーチンを一旦終了させる。
これに対して、ステップS150にてカウンタCestlが判定閾値Cref以上であると判定した場合(ステップS150:YES)、HVECU70は、ストールしたエンジン2を再始動させようとしても、再始動に失敗するおそれがあるとみなし、エンジン2の再始動(始動処理の実行)を禁止する(ステップS160)。更に、HVECU70は、モータジェネレータMGからのトルク(動力)のみによりハイブリッド車両1を退避走行させるべくMG退避走行フラグをONすると共に、インストルメントパネル等に設置された表示画面等に例えば「路肩に停車させてPレンジに入れてください。」といった警告を表示させ(ステップS170)、図2のルーチンを一旦終了させる。ステップS160にてエンジン2の再始動(運転)を禁止し、かつステップS170にてMG退避走行フラグをONした後、HVECU70は、クラッチK0を解放させた状態で、モータジェネレータMGがハイブリッド車両1の走行に要求されるトルクを出力するようにMGECU60と協働してPCU6を制御する。
上述のように、ハイブリッド車両1の制御装置としてのHVECU70は、エンジン2の回転数Neが予め定められたストール回転数Nestl未満になったと判定した回数をカウントし、エンジン2のストールの発生回数を示すカウンタCestlが予め定められた判定閾値Cref(値C1またはC0)以上になったときに、モータジェネレータMGからのトルク(動力)のみによりハイブリッド車両1を退避走行させる(ステップS100-S170)。これにより、ストールしたエンジン2の再始動処理が継続して繰り返し実行されてしまうのを抑制し、ハイブリッド車両1を走行に不能にすることなく適正に退避走行へと移行させることが可能となる。
また、HVECU70は、エンジン2の始動等に関連した部品の異常(故障)により当該エンジン2の運転停止が禁止されているときに(ステップS130:NO)、当該部品の異常によりエンジン2の運転停止が禁止されていないとき(ステップS130:YES,S140)に比べてカウンタCestlと比較される判定閾値Crefを小さく設定する(ステップS145)。すなわち、エンジン2の始動等に関連した部品の異常により当該エンジン2の運転停止が禁止されているときには、ストールしたエンジン2を再始動させ得ない可能性が高い。これを踏まえて、ステップS145にて判定閾値Crefをより小さい値C0に設定することで、エンジン2のストールの発生回数すなわちカウンタCestlがより少ない(小さい)うちにハイブリッド車両1をモータジェネレータMGのみからトルクを出力させる退避走行へと速やかに移行させることができる。これにより、退避走行への移行前に登坂路におけるハイブリッド車両1のずり下がりや、ハイブリッド車両1の急停車時におけるロックアップクラッチ32の解放の遅れ等を良好に抑制することが可能となる。
更に、ハイブリッド車両1において、モータジェネレータMGは、エンジン2の始動要求に応じて、高電圧バッテリ4からの電力を消費してエンジン2を始動させるためのクランキングトルクを出力する。かかるハイブリッド車両1において、エンジン2の回転数Neがストール回転数Nestl未満になったと判定された回数すなわちカウンタCestlが判定閾値Cref以上になったときに当該ハイブリッド車両1をモータジェネレータMGのみからトルクを出力させる退避走行へと移行させることで、モータジェネレータMGによるエンジン2のクランキングが繰り返し実行されることによる高電圧バッテリ4のSOCの低下(枯渇)を良好に抑制することが可能となる。
また、ハイブリッド車両1は、モータジェネレータMGに連結される変速機35と、エンジン2とモータジェネレータMGとを連結すると共に両者の連結を解除するクラッチK0とを含む。これにより、クラッチK0を解放してエンジン2をモータジェネレータMGから切り離して、ハイブリッド車両1の退避走行を円滑に実施することが可能となる。
なお、ハイブリッド車両1のエンジン2は、ディーゼルエンジン、LPGエンジンあるいはバイオ燃料エンジン等であってもよい。また、ハイブリッド車両1は、変速機35の出力軸35oからのトルクをデファレンシャルギヤDFと更なる他のデファレンシャルギヤとに分配して伝達可能なトランスファを含む4輪駆動車両であってもよい。更に、変速機35は機械式の無段変速機やデュアルクラッチトランスミッション等であってもよい。また、モータジェネレータMGのロータと伝達軸TSとの間に、両者を連結・切離するクラッチが配置されてもよい。更に、ハイブリッド車両1からオルタネータAが省略されてもよい。また、EGECU20、TMECU30およびHVECU70の機能が、1つまたは2つの複数の電子制御装置に集約されてもよい。
以上説明したように、本開示のハイブリッド車両の制御装置は、走行用の動力を出力可能なエンジン(2)と、走行用の動力を出力可能な電動機(MG)と、前記電動機(MG)と電力をやり取りするバッテリ(4)とを含むハイブリッド車両(1)の制御装置(60,70)において、前記エンジンの回転数(Ne)が予め定められたストール回転数(Nestl)未満になったか否かを判定すると共に、前記回転数(Ne)が前記ストール回転数未満(Nestl)になったと判定した回数(Cestl)をカウントし、前記回数(Cestl)が予め定められた閾値(Cref,C1,C0)以上になったときに、前記電動機(MG)からの動力のみにより前記ハイブリッド車両(1)を退避走行させるものである。
本開示のハイブリッド車両の制御装置は、エンジンの回転数が予め定められたストール回転数未満になったと判定した回数をカウントし、当該回数が予め定められた閾値以上になったときに、電動機からの動力のみによりハイブリッド車両を退避走行させる。これにより、ストールしたエンジンの再始動処理が継続して繰り返し実行されてしまうのを抑制し、ハイブリッド車両を走行に不能にすることなく適正に退避走行へと移行させることが可能となる。
また、前記制御装置(70)は、前記エンジン(2)の始動に関連した要素の異常により前記エンジン(2)の運転停止が禁止されているときに(ステップS130:NO)、前記要素の異常により前記エンジンの運転停止が禁止されていないとき(ステップS130:YES,S140)に比べて前記閾値(Cref)を小さく設定する(ステップS145)ものであってもよい。
すなわち、エンジンの始動に関連した要素の異常により当該エンジンの運転停止が禁止されているときには、ストールしたエンジンを再始動させ得ない可能性が高いことから、閾値を小さくすることで、エンジンのストールの発生に応じてハイブリッド車両を電動機のみから動力を出力させる退避走行へと速やかに移行させることが可能となる。
更に、前記電動機(MG)は、前記エンジン(2)の始動要求に応じて、前記バッテリ(4)からの電力を消費して前記エンジン(2)を始動させるためのクランキングトルクを出力するものであってもよい。
かかるハイブリッド車両において、エンジンの回転数がストール回転数未満になったと判定された回数が予め定められた閾値以上になったときに当該ハイブリッド車両を電動機のみから動力を出力させる退避走行へと移行させることで、電動機によるエンジンのクランキングが継続して繰り返し実行されることによるバッテリのSOCの低下を抑制することが可能となる。
また、前記ハイブリッド車両(1)は、前記電動機(MG)に連結される変速機(35)と、前記エンジン(2)と前記電動機(MG)とを連結すると共に両者の連結を解除するクラッチ(K0)とを含むものであってもよい。
これにより、クラッチを解放してエンジンを電動機から切り離して、ハイブリッド車両の退避走行を円滑に実施することが可能となる。
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本開示の発明は、ハイブリッド車両の製造産業等において利用可能である。
1 ハイブリッド車両、2 エンジン、20 EGECU(エンジン電子制御装置)、3 動力伝達装置、4 高電圧バッテリ、5 低電圧バッテリ、6 電力制御装置(PCU)、30 TMECU(変速電子制御装置)、35 変速機、60 MGECU(モータ電子制御装置)、70 HVECU(ハイブリッド電子制御ユニット)、K0 クラッチ。
Claims (4)
- 走行用の動力を出力可能なエンジンと、走行用の動力を出力可能な電動機と、前記電動機と電力をやり取りするバッテリとを含むハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジンの回転数が予め定められたストール回転数未満になったか否かを判定すると共に、前記回転数が前記ストール回転数未満になったと判定した回数をカウントし、前記回数が予め定められた閾値以上になったときに、前記電動機からの動力のみにより前記ハイブリッド車両を退避走行させるハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジンの始動に関連した要素の異常により前記エンジンの運転停止が禁止されているときに、前記要素の異常により前記エンジンの運転停止が禁止されていないときに比べて前記閾値を小さくするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記電動機は、前記エンジンの始動要求に応じて、前記バッテリからの電力を消費して前記エンジンを始動させるためのクランキングトルクを出力するハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1から3の何れか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記ハイブリッド車両は、前記電動機に連結される変速機と、前記エンジンと前記電動機とを連結すると共に両者の連結を解除するクラッチとを含むハイブリッド車両の制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2022039301A JP2023133998A (ja) | 2022-03-14 | 2022-03-14 | ハイブリッド車両の制御装置 |
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Family Applications (1)
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2022
- 2022-03-14 JP JP2022039301A patent/JP2023133998A/ja active Pending
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