JP2023133122A - 耐孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板 - Google Patents

耐孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板 Download PDF

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正治 秦野
Masaharu Hatano
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Abstract

【課題】Si含有量を1.0質量%超とし、鋼中に含有する特定成分の適正化を図るととも、鋼中に存在する介在物を制御し、鋼中における結晶粒の結晶方位を制御する耐孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供する。【解決手段】C、Si、Mn、P、S、O、Cr、Mo、N、Al、NbおよびTi等を含有し、鋼板中のCr、SiおよびMoの各含有量、ならびにNbおよびTiの各含有量がそれぞれ所定の条件式を満足し、かつ、鋼板中に存在する析出物は、平均サイズが円相当径にして5.0μm以下であり、かつ、ステンレス鋼板の母材に占める前記析出物の面積率Aが2.0%以下である、耐孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、耐孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板に関する。
従来、軟磁気特性に優れる金属材料として、パーマロイや電磁鋼板が用いられてきた。しかし、パーマロイはNiを多量に添加しており高価である。また、電磁鋼板は、耐食性を補うためNiメッキ処理しており、製造コストが高いという問題がある。これらを代替する金属材料としてNiを含有しないか、またはNiを含有しても少量であるフェライト系ステンレス鋼が認知されつつある。これまで、軟磁気特性および耐食性を兼備するフェライト系ステンレス鋼はMoの添加により耐食性を担保してきた。しかしながら、Mo等の合金元素は、高価であることから、安価な金属材料の提供には至っていなかった。
近時では、発明者らの鋭意研究の結果としてフェライト系ステンレス鋼板における、1.0質量%を超える量のSiの添加が、耐孔食性を向上させるのに有効であることがわかってきた。しかしながら、フェライト系ステンレス鋼板は、Siを多量に添加することで、CおよびNが活性化し、炭窒化物等の析出を促進し軟磁気特性を低下させるという問題がある。また、鋼中にMoを多量に添加すること、または、鋼板表面にNiメッキを施すことは、フェライト系ステンレス鋼板を安価に製造するという目的に反することになる。したがって、耐孔食性を高めるためにSiを1.0質量%超える量を添加したフェライト系ステンレス鋼板では、安価でかつ耐孔食性と軟磁気特性との両方を備えることは難しいという問題点がある。
これまで、例えば、特許文献1は、C:0.08~0.20%、Cr:11.5~18.0%を含有するマルテンサイト系ステンレス鋼であって、組織中の炭化物密度が5×10個/mm以上、フェライト粒径7μm以上であり、残留磁束密度Br:0.9T以下、角形比:0.65以下である磁性用ステンレス鋼を開示している。また、特許文献2は、C:0.08~0.20%、Cr:11.5~18.0%、Mo:0.05~1.30%またはW:0.05~0.80%を1種または2種含有するマルテンサイト系ステンレス鋼であり、最大透磁率μ1500以上、0.2%耐力30kgf/mm以上である磁性用ステンレス鋼を開示している。また、特許文献3は、重量%で、Cが0.005%未満、Si:0.1~1.5%、Mn:1.0%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:9.0~17.0%、N:0.02%以下、Ni:1.0%以下、Al:1.0%以下、Ti:1.0%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である鋼であって、これに温度範囲が800~850℃および均熱時間が0~10minの磁気焼鈍を施すことにより、最大透磁率μを10000以上とした軟磁性ステンレス鋼を開示している。
また、特許文献4は、重量%で、C:0.02%以下、N:0.02%以下、Mn:1.0%以下、Cr:9.0~17.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、所定の式で表される結晶面強度比Kが10以上で、最大透磁率μmax:2000emu以上を有する板厚2.0mm以下の軟磁性ステンレス鋼薄鋼板を開示している。また、特許文献5は、質量%で、C:0.02~0.15%,Si:0.5~3.0%,Mn:2.0%以下,S:0.1~0.5%,Cr:10~22%,Al:0.01~4.0%,Ti:0.5~1.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる快削軟磁性ステンレス鋼を開示している。また、特許文献6は、半硬質磁性材料で形成されたロータと当該ロータに及ぼす回転磁界を発生させるステータを備えたヒステリシスモータであって、励磁コイルとともに当該ヒステリシスモータのステータを構成するステータヨークが、C:0.05質量%以下、N:0.05質量%以下、Si:3.0質量%以下、Mn:1.0質量%以下、Ni:1.0質量%以下、P:0.04質量%以下、S:0.01質量%以下、Cr:5.0~20.0質量%、Ti:0.5質量%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
4.3×%Cr+19.1×%Si>40.2・・式(1)
64×%Si+35×%Cr+480×%Ti
≧221×%C+247×%N+40×%Mn+80×%Ni+460・・式(2)
t≧0.23÷f1/2 ・・式(3)
式(1)及び(2)を満足する組成を有するとともに、使用周波数をf(kHz)とするとき式(3)を満たす板厚tのFe-Cr系軟磁性ステンレス鋼板で形成されているヒステリシスモータを開示している。
しかしながら、特許文献1~3はいずれも、炭窒化物に関する記載はあるが、その他の析出物に関する記載はなく、また、耐孔食性に関して記載されていない。また、特許文献4~6はいずれも、炭窒化物およびその他の析出物に関する記載はあるが、耐孔食性に関して記載されていない。したがって、1.0質量%超えのSiを含有したフェライト系ステンレス鋼板を、安価で、かつ、優れた耐孔食性および軟磁気特性の双方を備えることに関して考慮されていない問題点がある。
特開平05-171369号公報 特開平06-013220号公報 特開平10-176250号公報 特開2000-064000号公報 特開2006-152354号公報 特開2009-038907号公報
そこで、本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、Si含有量を1.0質量%超とし、鋼中に含有する特定成分の適正化を図るととも、鋼中に存在する介在物と、鋼中における結晶粒の結晶方位とを制御することによって、安価で、かつ、孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供することである。
以下に、本発明の特徴を列記する。
(1)質量%で、
C:0.020%以下、
Si:1.0%超2.5%以下、
Mn:1.0%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0030%未満
O:0.0040%未満
Cr:15.5%以上23.0%以下
Mo:0.5%以下、
N:0.020%以下、
Al:0.20%以下、
Nb:0.30%以下、および、
Ti:0.30%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有するフェライト系ステンレス鋼板であって、
前記ステンレス鋼板中のCr、Si、Mo、NbおよびTiの各含有量を、それぞれ{Cr}、{Si}、{Mo}、{Nb}および{Ti}で表すとき、
{Cr}、{Si}および{Mo}が、下記(式1)の関係を満足するとともに、
{Nb}および{Ti}が、下記(式2)の関係を満足し、
前記ステンレス鋼板中に存在する析出物は、平均サイズが円相当径にして5.0μm以下であり、かつ、前記ステンレス鋼板の母材に占める前記析出物の面積率Aが下記(式3)の関係を満足する、耐孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
(式1):PI={Cr}+2{Si}+3{Mo}≧19.0
(式2):0.10≦({Nb}+{Ti})≦0.30
(式3):A≦2.0%
(2)前記ステンレス鋼板の圧延面と平行な面で結晶方位を測定するとき、RD面方位が<110>である結晶粒および<112>である結晶粒の合計の面積率S1が80%以下であり、かつ、RD面方位が<111>である結晶粒の面積率S2が10%以下である、(1)に記載の耐孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
(3)前記化学組成が、質量%で、
B:0.0050%以下、
Ni:1.0%以下、
Cu:1.0%以下、
V:0.50%以下、
W:0.50%以下、
Ca:0.0100%以下、
Mg:0.010%以下、
Zr:0.50%以下、
Co:0.50%以下、
Ga:0.10%以下、
La:0.10%以下、
Y:0.10%以下、
Hf:0.10%以下、および、
REM:0.10%以下の群から選択される1種又は2種以上をさらに含有する、(1)または(2)に記載の耐孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
本発明は、鋼中のSi含有量を1.0質量%超とし、鋼中に含有する特定成分の適正化を図るとともに、鋼中に存在する介在物と、鋼中における結晶粒の結晶方位とを制御することによって、安価で、かつ、耐孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明はこの発明における実施形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明者らは、課題を解決するために、フェライト系ステンレス鋼板において、耐孔食性および軟磁気特性を改善する添加元素の作用効果について鋭意検討を行い、下記の新しい知見を得て本発明をなすに至った。
本発明のフェライト系ステンレス鋼板(以下、単に「ステンレス鋼板」と記す。)は、Crを主成分として含有し、金属組織としてはフェライト相を主体とする組織であり、以下に示す化学組成を有している。
さらに、本発明のステンレス鋼板は、多くの耐孔食性用途に使用される。例えば、フェライト系で軟磁気特性に優れていることから、EV自動車のリレー、モータ、シールドケースに用いられる。また、耐食性を兼備することで自動給水器、自動散水機、家庭用電化製品等の水を使用する環境も好適である。
従来は、軟磁気特性を向上させるために、Si添加が有効であることは知られている。Si添加の電磁鋼板は、一般に低い外部磁場であっても高い磁束密度が得られることから、電磁弁の鉄心等に広く利用されてきた。このように、普通鋼板に対するSi添加は、軟磁気特性の向上にも有効であった。しかし、普通鋼板に対してSiを1%を超えて添加すると、N、Cの活量を向上させ、炭窒化物の析出を促進することがある。このような炭窒化物は、孔食起点となるために耐孔食性の低下に繋がった。また、炭窒化物は、磁壁移動をピンニングして軟磁気特性の低下にも繋がった。さらに、炭窒化物は、冷間圧延前の鋼板の結晶粒径を小さくし、かつ、軟磁気特性の低い結晶方位を有する結晶粒が生成されやすくなるという問題がある。このように、Si添加するだけでは、軟磁気特性の向上には限定的であった。
そこで、CおよびNを低減した高純度フェライト系ステンレス鋼板で、Mo添加鋼など既存材料からの安価化を意図してSiを添加した場合、所定の化学組成を含有し、熱間圧延からの最終の鋼板までの製造条件を制御することで、析出物の状態、生成される結晶粒の結晶方位を制御することで、耐食性、特に、耐孔食性と軟磁気特性の双方に優れたステンレス鋼板を得ることができる。
以下に、本発明のステンレス鋼板を具体的に説明する。
本発明のステンレス鋼板は、化学組成が、質量%で、
C:0.020%以下、
Si:1.0%超2.5%以下、
Mn:1.0%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0030%未満
O:0.0040%未満
Cr:15.5%以上23.0%以下
Mo:0.5%以下、
N:0.020%以下、
Al:0.20%以下、
Nb:0.30%以下、
Ti:0.30%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
(化学組成)
以下に、各必須添加元素の限定理由について説明する。なお、以下の化学組成の各成分の説明では、「質量%」を単に「%」として示す。
(C:0.020%以下)
C(炭素)は、ステンレス鋼中に不可避的に含有する元素である。しかし、母相に含有することで加工性と耐食性を低下させるため、C含有量は少ないほど良いし、また、その他の添加される金属と非磁性の炭化物を形成し、磁壁移動を妨げることで軟磁気特性を低下させることから、上限を0.020%以下とする。また、C含有量を、好ましくは0.05%以下にすることで、さらに、耐食性として特に耐孔食性を向上させることができる。一方、Cは侵入型固溶元素であり、結晶粒界への偏析傾向も大きい元素であり結晶粒界の強化にも寄与するには下限を0.001%以上とすることが好ましい。
(Si:1.0%超2.5%以下)
Si(ケイ素)は、脱酸するのに有効な元素であり、耐酸化性を向上させる。また、硬度を高くし、機械的強度の向上に貢献する。さらに、耐食性、特に、塩水などの中性環境下における耐孔食性を向上させることができる。また、電気抵抗率を増大させることから、鉄損を低減して軟磁気特性を向上させる。したがって、Siの添加は、下限は少なくとも1.0%超えとする。一方、Siは、固溶強化元素として作用し、加工性の低下や溶接性の低下を招くほか、過度な添加は析出物の形成を促進して軟磁気特性の低下に繋がるため、上限を2.5%以下とする。それぞれの効果と製造性を考慮して、Si含有量は、好ましくは1.0%超2.0%以下とする。
(Mn:1.0%以下)
Mn(マンガン)は、脱酸元素でO(酸素)の固定で有効な元素である。一方、MnS硫化物を形成し腐食の起点になることがあり、また、Mnは、フェライト相を不安定化しマルテンサイト相を形成し、軟磁気特性および耐酸化性の低下を招くため、Mn含有量の上限を1.0%以下とする。一方、Mnは、母相中のO(酸素)の脱酸やS(硫黄)の硫化物にすることでSの固定の作用を確保するために、Mn含有量は、下限を0.01%以上とすることが好ましい。Mn含有量は、上記の効果と製造コストを考慮して0.05~0.5%とすることがより好ましい。
(P:0.040%以下)
P(リン)は、ステンレス鋼中に不可避的に含有する元素である。Pは、形成するリン化物が軟磁気特性を低下させるほか、加工性や溶接性を阻害する元素であるため、P含有量は少ないほど良いため、P含有量の上限を0.040%以下とする。ただし、Pの過度の低減は、精錬コストの増加に繋がるため、P含有量の下限を0.005%以上とすることが好ましい。P含有量のより好ましい範囲は、製造コストを考慮して0.010~0.030%とする。
(S:0.0030%以下)
S(硫黄)は、ステンレス鋼中に不可避的に含有する元素である。Sは、形成する硫化物が軟磁気特性を低下させる元素であり、また、結晶粒界に偏析し、熱間加工性や耐食性、特に耐候性を低下させる傾向があることから、S含有量は少ないほど良く、S含有量の上限を0.0030%以下とする。ただし、Sの過度の低減は、原料及び精錬コストの増加に繋がるため、S含有量の下限を0.0001%以上とすることが好ましい。S含有量のより好ましい範囲は、脆化の抑制や製造コストを考慮して0.0010~0.0020%とする。
(O:0.0040%未満)
O(酸素)は、ステンレス鋼板中に不可避的に含有する元素である。他の添加元素と酸化物を形成し、磁壁移動を妨げるサイトとなることから、軟磁気特性を劣化させる好ましくない元素である。また、形成された酸化物は、加工性、靭性等の機械的特性を低下させることから、Oの含有量は0.0040%未満にし、好ましくは0.0035%以下にする。さらに好ましいO含有量は0.0010%以下である。しかし、Oの過度の低減は、原料及び精錬コストの増加に繋がるため、下限を0.0001%以上とすることが好ましい。
(Cr:15.5%以上23.0%以下)
Cr(クロム)は、本発明のフェライト系ステンレス鋼の基本元素であり、耐食性、特に耐候性や耐酸化性を確保するために必須の元素である。Crは、Siと同様にマルテンサイトの生成を抑制し、軟磁気特性を向上させる有効成分である。このような作用は、Crを15.5%以上含有させることで発揮することができる。しかし、23.0%を超えるCrの添加は、飽和磁束密度を低下させるとともに、硬度が高くなり加工性を劣化させる。このため、Cr含有量は15.5%以上23.0%以下とする。これらの効果をより一層発揮させるには、Cr含有量を16.0~20.0%とすることが好ましい。
(Mo:0.5%以下)
Mo(モリブデン)は、NiやCuと同様に耐食性、耐酸化性に加えて、耐候性を得るために有効な元素である。特に、低pH環境下における孔食の進行を抑制する耐孔食性に効果がある。Mo含有量は、それぞれの効果が発現するために、Moは0.10%以上とすることが好ましい。ただし、過度な含有量は、合金コストの上昇と熱間加工及び冷間加工の製造性を阻害するため、Mo含有量の上限は、0.5%以下とする。
(N:0.020%以下)
N(窒素)は、ステンレス鋼板中に不可避的に含有する元素である。Nは、Cと同様に加工性と耐食性を低下させるため、N含有量は少ないほど良い。さらに、Nは、他の添加元素と窒化物を形成し軟磁気特性を低下させることから、N含有量の上限を0.020%以下とする。ただし、Nの過度の低減は、精錬コストの増加に繋がるため、N含有量の下限を0.001%とすることが好ましい。また、Nは、Cと同様に侵入型固溶元素であるものの、結晶粒界への偏析傾向は小さく、結晶粒界の強化に殆ど寄与せず、本発明の目標とする腐食における鋭敏化することから、N含有量の好ましい範囲は、性能と製造コストを考慮して0.005~0.015%とする。
(Al:0.20%以下)
Al(アルミニウム)は、脱酸元素として極めて有効な元素である。一方、鋼の靭性や溶接性の低下を招くため、Al含有量の上限を0.20%以下とする。Alは、特に、Siとともに酸化物を形成し、母相中のO(酸素)を低減する。しかし、酸化物が多くなると磁壁移動を妨げて軟磁気特性を低下させ、かつ、腐食の起点となり耐孔食性を低下させる元素であるが、Al含有量が0.20%以下であれば、軟磁気特性の低下や耐孔食性の低下は生じない。また、Al含有量の下限は、脱酸効果を考慮して0.01%以上とすることが好ましく、製造性と性能を考慮して、Al含有量は0.01~0.10%とすることが好適である。
(Nb:0.30%以下)
Nb(ニオブ)は、CおよびNを固定する作用により、加工性及び耐食性に有効な元素である。しかし、炭窒化物を形成し、磁壁移動を妨げて軟磁気特性を低下させることから、Nb含有量は、0.30%以下とする。Nb含有量は、それぞれその効果が発現する0.01%以上とすることが好ましい。Nb含有量の好ましい範囲は、それぞれの効果と合金コストおよび製造性を考慮して、0.01~0.25%とする。
(Ti:0.30%以下)
Ti(チタン)は、Nbと同様に、CおよびNを固定する作用により、加工性及び耐食性に有効な元素である。しかし、炭窒化物を形成し、磁壁移動を妨げて軟磁気特性を低下させることから、Ti含有量は、0.30%以下とする。Ti含有量は、それぞれその効果が発現する0.01%以上とすることが好ましい。Ti含有量の好ましい範囲は、それぞれの効果と合金コストおよび製造性を考慮して、0.01~0.25%とする。
また、本発明のステンレス鋼板は、必要に応じて、以下に示す任意添加元素をさらに添加することができる。
(B:0.0050%以下)
B(ホウ素)は、熱間加工性や耐二次加工脆性を向上させる元素であり、ステンレス鋼への添加は有効である。Bの含有量は、これらの効果を発現する0.00050%以上とすることが好ましい。しかし、B含有量が多くなると、伸びの低下、疲労強度の低下をもたらすため、上限を0.0050%とする。好ましくは、材料コストや加工性を考慮して0.0005~0.0020%とする。
(Ni:1.0%以下)
Ni(ニッケル)は、耐食性に有効な元素であり、すき間腐食における耐候性に対して効果がある。本発明のステンレス鋼は、耐孔食性を得るには、Ni含有量は0.03%超とすることが好ましい。一方、Ni含有量が1.0%超えだと、フェライト相を不安定化して軟磁気特性の低下、合金コストの上昇や材料強度の上昇による加工性の低下を招くため、Ni含有量の上限は1.0%とする。Ni含有量の好ましい範囲は、性能と合金コストを考慮して、0.8%以下とする。
(Cu:1.0%以下)
Cu(銅)は、耐食性に有効な元素であり、加工性および耐孔食性を得るために好適な元素である。特に、低pH環境下における孔食の進行を抑制する耐孔食性に効果がある。本発明のステンレス鋼は、P偏析を遅延させて加工性を得るには、Cu含有量は0.03%超とすることが好ましい。一方、Cu含有量が1.0%超えだと、フェライト相を不安定化し軟磁気特性の低下、合金コストの上昇や材料強度の上昇による加工性の低下を招くため、Cu含有量の上限は1.0%とする。Cu含有量の好ましい範囲は、性能と合金コストを考慮して、0.05~0.5%、とする。
(V:0.50%以下)
V(バナジウム)は、耐食性の改善に有効な元素である。特に、炭窒化物の生成により固溶CおよびNの低減させることで、高純度フェライト系ステンレス鋼の耐食性と軟磁気特性の改善に寄与することから必要に応じて添加する。Vの含有量は、それぞれその効果が発現する0.01%以上とすることが好ましい。それぞれの含有量が0.50%超えだと、合金コストの上昇や製造性の低下に繋がる他、過度な析出物による軟磁気特性の低下を招くため、それぞれの含有量の上限を0.50%以下とする。それぞれの含有量の好ましい範囲は、加工性及び製造性と合金コストを考慮して、0.02~0.30%である。
(W:0.50%以下)
Wは、耐食性の改善にも有効な元素であり、鋼中に固溶して耐食性の改善に寄与することから、必要に応じて添加する。添加する場合は、それぞれその効果が発現する0.01%以上とする。過度な添加は合金コストの上昇や製造性の低下に繋がり、特に、0.5%超の添加は、固溶強化と析出強化により硬質化と伸びの低下を招くため、上限を0.50%以下とする。好ましい範囲は、性能及び製造性と合金コストを考慮して、0.02~0.3%である。
(Co、Zr:いずれも0.50%以下)
Co(コバルト)、Zr(ジルコニウム)は、鋼の清浄度を向上させて軟磁気特性および耐二次加工脆性を得るために有効な元素であり、必要に応じて添加する。添加する場合は、それぞれその効果が発現する0.01%以上とする。過度な添加は合金コストの上昇や製造性の低下に繋がるため、上限を0.50%とする。好ましい範囲は、性能及び製造性と合金コストを考慮して、0.02~0.3%である。
(Ca:0.010%以下)
Ca(カルシウム)は、脱酸元素として極めて有効な元素である。特に、Siとともに酸化物を形成し、母相中のO(酸素)を低減する。さらに、熱間加工性やステンレス鋼の清浄度を向上させる元素であり、必要に応じて添加する。Caの含有量は、それぞれの効果を発現する0.0003%以上とすることが好ましい。しかし、Caの含有量が0.010%超えると、酸化物・硫化物を形成し磁壁移動を妨げて軟磁気特性を低下させ、かつ、形成される硫化物が水溶性であることから耐孔食性の低下に繋がるため、Caの含有量の上限を0.010%とする。好ましくは、製造性や耐酸化性を考慮して0.009%以下とする。
(Mg:0.010%以下)
Mg(マグネシウム)は、脱酸元素として極めて有効な元素である。特に、Siとともに酸化物を形成し、母相中のO(酸素)を低減する。さらに、熱間加工性やステンレス鋼の清浄度を向上させる元素であり、必要に応じて添加する。Mgの含有量は、それぞれの効果を発現する0.0003%以上とすることが好ましい。しかし、Mgは、製造性の低下、および酸化物・硫化物が多く形成されて耐食性・耐孔食性の低下に繋がる。また、酸化物・硫化物を形成し磁壁移動を妨げて軟磁気特性を低下させるため、Mgの含有量の上限を0.010%とする。好ましくは、製造性や耐酸化性を考慮して0.009%以下とする。
(Ga:0.10%以下)
Ga(ガリウム)は、熱間加工性や鋼の清浄度を向上させ、耐酸化性や熱間加工性を著しく向上させる効果を持つため、必要に応じて添加する。それらの含有量は、それぞれその効果が発現する0.001%以上とする。しかし、Gaは、酸化物を容易に形成することで磁壁移動を妨げて軟磁気特性を低下させ、かつ、合金コストの上昇と製造性の低下に繋がるだけであるため、上限を0.10%以下とする。好ましくは、効果と経済性および製造性を考慮して、少なくとも1種以上で0.001~0.050%とする。
(Y、Hf、La、REM:いずれも0.10%以下)
Y(イットリウム)、Hf(ハフニウム)、La(ランタン)、REM(希土類元素)は、熱間加工性や鋼の清浄度を向上させ、耐酸化性や熱間加工性を著しく向上させる効果を持つため、必要に応じて添加する。それらの含有量は、それぞれその効果が発現する0.001%以上とする。しかし、La、Y、Hf、REMは、酸化物を容易に形成することで磁壁移動を妨げて軟磁気特性を低下させ、かつ、合金コストの上昇と製造性の低下に繋がるだけであるため、Y、Hf、La、REMの各含有量の上限をそれぞれ0.10%以下とする。好ましくは、効果と経済性および製造性を考慮して、少なくとも1種以上で0.001~0.050%とする。
REMは、Ce、Pr、Sm等のランタノイド系列、アクチノイド系列の希土類金属及びこれらの複合した金属を示している。
(残部はFeおよび不可避的不純物)
残部はFeおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物としては、例えばAs及びSbなどが挙げられるが、ここで不可避的不純物とは、ステンレス鋼を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
さらに、本発明のステンレス鋼板は、ステンレス鋼板中のCr、Si、Mo、NbおよびTiの各含有量を、それぞれ{Cr}、{Si}、{Mo}、{Nb}および{Ti}で表すとき、{Cr}、{Si}および{Mo}が、下記(式1)の関係を満足するとともに、{Nb}および{Ti}が、下記(式2)の関係を満足し、前記ステンレス鋼板中に存在する析出物は、平均サイズが円相当径にして5.0μm以下であり、かつ、前記ステンレス鋼板の母材に占める前記析出物の面積率Aが下記(式3)の関係を満足する。
(式1):PI={Cr}+2{Si}+3{Mo}≧19.0
(式2):0.10≦({Nb}+{Ti})≦0.30
(式3):A≦2.0%
((式1)について)
さらに、本発明のフェライト鋼板は、Cr、Si、Moの各含有量を、それぞれ{Cr}、{Si}、{Mo}で表すとき、(式1)の関係を満足する。
(式1):{Cr}+2{Si}+3{Mo}≧19.0
Crを含有するステンレス鋼板は、塩素イオン等のハロゲン系イオンを含む環境で起こる腐食で、塩素イオン等の作用により不働態皮膜が局部的に破壊され、その部分が優先破壊されることにより孔食が進行する。この孔食は、ステンレス鋼板が含有する元素によって腐食の進行が大きく変動する。一般に、ステンレス鋼板の耐孔食性の指標として孔食指数(PI=Cr+3Mo)が知られている。本発明のステンレス鋼板は、孔食指数(PI)としてSiの効果を新たに見出して得られた(式1)を満足している。
本発明のステンレス鋼板は、耐孔食性を評価できる手法として孔食電位測定を採用し、含有する添加元素のうち、多くの添加元素を測定し、CrとMoに加えて、特に効果が見出されたSiに着目して、その各含有量{Cr}、{Si}および{Mo}の影響について検討した。孔食電位測定はJIS G 0577に準拠して行い、30℃の3.5質量%NaCl水溶液中における電流値が100μA/cmを超える電位を孔食電位V‘c100と定めた。本発明のステンレス鋼板において、1.0%を超える{Si}を含有する場合には、{Cr}の増加はもとより{Si}の増加によっても耐孔食性が向上し、その効果は{Cr}の2倍であることを知見した。この効果が生じるメカニズムは、必ずしも明らかではないが、不働態皮膜の分析から、皮膜内層および鋼界面に生成するSiの酸化物がハロゲンイオンによる不働態皮膜の破壊を抑制する作用を発現したものと推察している。さらに、1.0%を超えてSiを添加した場合においても、{Mo}を含有する場合には、その効果は{Cr}の3倍あることを知見した。したがって、本発明のステンレス鋼板は、孔食指数(PI)として、PI={Cr}+2{Si}+3{Mo}と表している。
さらに、SUS430J1L(19Crフェライト系ステンレス鋼板)、SUS443J1(21Crフェライト系ステンレス鋼板)とSUS304(18Cr-8Niオーステナイト系ステンレス鋼板)と孔食電位V‘c100を比較した。本発明のステンレス鋼板の(式1)をPI≧19.0にすることで、SUS430J1L(19Crフェライト系ステンレス鋼板)と同等の孔食電位0.20Vとすることができた。また、本発明のステンレス鋼板をPI≧21.0にすることで、SUS443J1(21Crフェライト系ステンレス鋼板)とSUS304(18Cr-8Niオーステナイト系ステンレス鋼板)と同等の孔食電位0.30Vとすることができた。そこで、本発明のステンレス鋼板の孔食指数(PI)を19.0以上とした。
また、本発明のステンレス鋼板における孔食指数(PI)が25.0を超えると、鋼中のSi含有量{Si}が多くなりすぎる傾向があるため、引張強度および硬度が高くなりすぎて加工性が低下する他、過度な析出物の形成により軟磁気特性が低下する不利益がある。また、同様に、鋼中のMo含有量{Mo}が大きくなると、原材料費が高くなるという不利益がある。このため、孔食指数(PI)の上限は25.0とすることが好ましい。
((式2)について)
さらに、本発明のフェライト鋼板は、ステンレス鋼板中のNb、Tiの各含有量を、それぞれ{Nb}、{Ti}で表すとき、(式2)の関係を満足する。
(式2):0.10≦({Nb}+{Ti})≦0.30
Nb(ニオブ)およびTi(チタン)は、ともにCおよびNを固定する安定化元素の作用により、加工性及び耐粒界腐食性における耐食性を抑えて、金属組織の改善にも有効な元素である。添加する場合は、それぞれその効果が発現するため、ステンレス鋼板中に含有するNbおよびTiの含有量を(合計)で0.10%以上とする。また、NbおよびTiは、CおよびNの酸化物、窒化物を形成することで、ステンレス鋼の軟磁気特性の低下を抑えることができる。しかし、NbおよびTiが過剰にあると、多量に生成される酸化物、窒化物が、磁壁移動のピンニングサイトになり、保磁力と磁束密度の軟磁気特性を低下させる。また、NbおよびTiの過度な添加は合金コストの上昇や再結晶温度上昇に伴う製造性の低下にも繋がるため、NbおよびTiの含有量の上限を合計で0.30%以下とする。さらに、NbおよびTiの過度の添加は、製造時における表面品質の低下を招くことがある。したがって、NbおよびTiの合計含有量の好ましい範囲は、効果と合金コストおよび製造性を考慮して、0.15~0.25%とすることが好ましい。
((式3)について)
さらに、本発明のフェライト鋼板は、鋼板中に存在する析出物が平均サイズが円相当径にして5.0μm以下であり、かつ、ステンレス鋼板の母材に占める析出物の面積率Aが(式3)の関係を満足する。
(式3):A≦2.0%
さらに、本発明のステンレス鋼板において、酸化物、硫化物(例えば、MnS)、炭窒化物(例えば、(Nb、Ti)C、M23型の炭化物、Ti(C,N),(Nb、Ti)(C,N)等の炭窒化物等)、リン化物(例えば、FeTiP等)、および、Nb、Ti、Fe等を含む合金相(例えば、FeNb等)から形成される析出物が生成される。これら析出物は、磁壁移動を妨げるピンニングサイトになり、軟磁気特性を低下させる。さらに、このピンニングサイトの効果は、析出物の大きさと面積率に影響される。したがって、本発明のステンレス鋼板では、鋼板中に存在する析出物が平均サイズが円相当径にして5.0μm以下であり、かつ、ステンレス鋼板の母材に占める析出物の面積率Aが(式3)の関係を満足する。これによって、析出物による軟磁気特性の低下を抑制することができる。
析出物は、円相当径、面積率を以下のように測定した。
圧延面を化学エッチングした後、光学顕微鏡を用いて、0.1μm以上の析出物を抽出した。抽出した析出物は、JIS G 0555(鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法)に準拠して以下の3区分に分け、平均サイズ(観察数n=10)を円相当径として求めた。
その後、各区分の面積率は、「(各区分の析出物の計測数)×(円相当径から求めた面積)/(観察視野面積)×100」として表している。
さらに、析出物は、光学顕微鏡で観察した析出物の形状、および析出物の組成分析の結果から、以下の3種類に分類した。
(1)A系析出物(硫化物系):先端が丸いまたは鋭い、アスペクト比が3以上の析出物。JIS G 0555(附属書A(規定)グループA、B、C、DおよびDS介在物の標準図)規格のグループA,Cに相当する。
(2)B系析出物(酸化物系、炭窒化物系):変形せず、角張っており、アスペクト比が3未満の析出物。JIS規格のグループB、Dに相当する。
(3)C系析出物(リン化物系、Nb、Tiを含む合金相):円形または円形に近い、アスペクト比が3未満の析出物。JIS規格のグループDS(個別介在物)に相当する。
ここで、析出物の面積率Aは、A系析出物の面積率A1と、B系析出物の面積率A2と、C系析出物の面積率A3との合計を表している。
析出物は、その平均サイズを円相当径として求める。ここで、「円相当径」とは、画像などに描画されている図形の面積に相当する、真円の直径のことである。これにより、複数の複雑な図形を比較する際の便宜的な数値として用いられる円相当径を5.0μm以下にすることで、磁壁移動を妨げることが少なくなる。同様に、析出物の円相当径を5.0μm以下にすることで、析出物が孔食の起点となるのを抑制させることができる。また、析出物の平均サイズの下限値は、測定装置の検出限界等の理由から、円相当径にして0.01μmとする。
また、析出物の面積率Aを(式3)に示されるように、2.0%以下にする。面積率が2.0%を超えると、磁壁移動を妨げるピンニングサイトが増加し、軟磁気特性が低下する。したがって、面積率Aを2.0%以下にすることで、磁壁移動を妨げることがなく、軟磁気特性の低下を抑えることができる。
なお、このときに、析出物を形状により分類している。しかし、析出物は形状により分類したA系析出物(硫化物系)、B系析出物(酸化物系、炭窒化物系)、C系析出物(リン化物系、Nb、Tiを含む合金相)のいずれも鋼板に影響するほどの磁気特性は有しておらず、ピンニングサイトとしての作用は同等であった。したがって、析出物は、円相当径を5.0μm以下、面積率Aを2.0%以下にすることで、優れた軟磁気特性を得られることが分かった。
(表面の結晶方位)
さらに、本発明のステンレス鋼板は、圧延面と平行な面で結晶方位を測定するとき、RD面方位が<110>である結晶粒と、RD面方位が<112>である結晶粒の合計の面積率S1が80%以下であり、かつ、RD面方位が<111>である結晶粒の面積率S2が10%以下であることが好ましい。なお、結晶粒の面積率S1と面積率S2と、RD面方位が<100>である結晶粒を含む面積率S3、および、これら以外のすべてのRD面方位が<210>等の高次な方位である結晶粒の面積率S4との合計で100%とする。
結晶方位は、以下のように測定する。
試料は、鋼板の幅中央部から長さおよび幅が、10mmL×10mmWの板を切り出し、板厚が半分となるように圧延面から減厚した。その後、圧延面をコロイダルシリカ仕上とし、減厚面(圧延平行面)を、走査電子顕微鏡(SEM)と組み合わせて、電子線後方散乱回折(EBSD:Electron BackScatter Diffraction)法で測定した。
また、特定の結晶方位を有する結晶粒の面積率は、OIMソフト(株式会社TSLソリューションズ製)を用いて以下のように測定する。上記の装置を用いて測定した各測定点の方位を、位置に応じて色分けして図示し、IPF(Inverse Pole Figure)マップを得る。このときに、各方位との角度差が、許容角度(Tolerance Angle)を15°以下の結晶粒が測定視野の面積に占める割合を、一つの結晶方位を有する結晶粒の面積率として算出した。
また、軟磁気特性は、以下のように測定する。
鋼板の幅中央部から外径φ45mm×内径Φ33mm×厚さ0.8mmの試験片を放電加工にて切り出した。その後、試験片に、一次巻き線を100回、二次巻き線を100回巻き付け、B-Hトレーサーを用いたリング試験に供した。この時の、外部磁場は最大で1000エルステッド(Oe)まで印加し、初磁化曲線から1000エルステッド(Oe)時における磁束密度(B1:ガウス(G))と、B-H曲線から保磁力(Hc(エルステッド:Oe))とを測定した。
フェライト系ステンレス鋼は、<111>方位が磁化困難軸であり、<100>方位が磁化容易軸である。その他の結晶方位は、磁化の容易性がこれらの間にある。したがって、実際にどの方向で使用するかにもよるが、圧延面と平行な面で結晶方位を測定するとき、磁化困難軸である<111>方位を抑制して、保磁力を小さくし、磁束密度を高くすることができるステンレス鋼が望ましい。しかし、Siを含有するフェライト系ステンレス鋼は通常の製造条件で鋼板とした場合、圧延安定方位である<110>方位を有する結晶粒と、<111>方位を有する結晶粒とを形成しやすく、軟磁気特性の向上効果を十分に得られない。
本発明のステンレス鋼は、化学組成および製造条件を制御することで、RD面方位が<110>である結晶粒とRD面方位が<112>である結晶粒の合計の面積率S1を80%以下とし、かつ、RD面方位が<111>である結晶粒の面積率S2を10%以下と小さくなるようにする。
これによって、保磁力を1.00エルステッド(Oe)以下にすることができ、外部磁場の変化に追従することが可能になる。外部磁場の変化に追従するために、0.85エルステッド(Oe)以下に小さくすることが好ましい。また、面積率S1を80%以下にし、かつ、面積率S2が10%以下にすることで、測定の外部磁場1000エルステッド(Oe)時における磁束密度(B1)を、1800ガウス(G)以上、好ましくは2000ガウス(G)以上にすることができる。
上述した化学組成を有する本発明のステンレス鋼板の製造方法について説明する。本実施形態のステンレス鋼板の製造方法は、例えば、製鋼-熱間圧延-熱延板焼鈍-酸洗-冷間圧延-冷延板焼鈍の工程を含む。この製造工程において、以下に示す条件で熱間圧延後の巻取り、次に、熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延及び冷延板焼鈍を施し、その後、磁気焼鈍を施すことで、耐孔食性および軟磁気特性に優れたステンレス鋼板が得られる。
熱延板焼鈍、冷延板焼鈍および磁気焼鈍は、いずれもバッチ式焼鈍でも連続式焼鈍であってもよい。また、各焼鈍の雰囲気は、必要であれば水素ガスあるいは窒素ガスなどの無酸化雰囲気で焼鈍する光輝焼鈍でもよく、大気中で焼鈍でもよい。冷延板焼鈍後は、ソルト処理、酸洗、電解酸洗等を行ってもよい。また、これらの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、冷延板焼鈍後に、形状矯正のためのテンションレベラー工程を実施してもよい。本発明のステンレス鋼板は、特に磁気特性を要求される用途に好適に使用できる。その場合、部品への加工後に磁気焼鈍を施すことで磁気特性に優れた製品を得ることができる。本発明のステンレス鋼は、モーターコア等のモーター部品、リレーや電磁弁、さらにそれらのコア、ヨーク、コネクタやハウジングなどに好適に用いることができる。このために、冷延板焼鈍後に、利用する用途に合わせて、切削加工、放電加工等の成形加工後に、磁気焼鈍を行う。
本発明のステンレス鋼板では、上記の化学組成を満足すれば通常のプロセス条件で製造しても本発明の目標とする耐孔食性および軟磁気特性を確保することも可能であるが、好適な金属組織の要件を満たすために、以下のように製造することが好ましい。
熱間圧延工程における仕上温度は、一般的な範囲内であってよく、900℃以上で行う。巻取温度は、必要に応じて300℃~900℃の範囲で設定すればよいが、本発明のステンレス鋼では500℃以下にし、仕上-巻取間の冷却速度を20℃/秒以上にする。これによって、析出物の過剰な析出を抑えることができる。
次に、熱間加工後は、900℃以上で、好ましくは920℃~1000℃で熱延板焼鈍を行う。加熱時間は特に限定しないが、再結晶完了の観点から10秒~120秒とすることが好ましい。
次に、冷間圧延工程は、ゼンジミアミル、タンデムミルのいずれで圧延してもよい。冷間圧延においては、ロール粗度、ロール径、圧延油、圧延パス回数、圧延速度、圧延温度などは一般的な範囲内で適宜選択すればよい。冷間圧延の途中に中間焼鈍を入れてもよい。
冷間圧延後に冷延板焼鈍を行うが、焼鈍温度は、加工ひずみを除去するために900℃以上であって、結晶粒の成長を抑制させるために950℃以下とする。特に、均熱温度は900℃~950℃とする。冷延板焼鈍の温度が900℃未満であると再結晶が不十分となるおそれがある。また冷延板焼鈍の温度が950℃超であると結晶粒の成長抑制が不十分となるおそれがある。冷延板焼鈍における加熱時間は特に限定しないが、再結晶促進の観点から10秒~120秒とすることが好ましい。
さらに、磁気焼鈍の条件は、適用製品、用途等に応じて適宜決定すればよいが、磁気焼鈍は加熱温度が900℃以上で、好ましくは950℃以下とする。加熱時間を1~10時間で行うことが望ましく、より好ましくは加熱時間を1~3時間とすることが望ましい。このような磁気焼鈍を行うことで、加工歪みの除去及び結晶粒の粗大化が起こり、磁気特性が良好となり、磁束密度B1、保磁力を向上させることができる。
以上説明したように、熱延板焼鈍、冷延板焼鈍、これら焼鈍後に行う磁気焼鈍は、900℃以上で実施することが好ましい。
このときに、析出物の円相当径を5.0μm以下にするには、熱間圧延は8.0mm以下の板厚になるように行う。これにより、同時に、析出物の面積率Aを2.0%以下にすることができる。さらに、熱間圧延は5.0mm以下の板厚になるように行うことで、RD面方位が<111>である結晶粒の面積率S2が10%以下に抑えることができる。また、本実施形態のステンレス鋼板の製造方法によって、保磁力0.85エルステッド以下で、磁束密度(B1)が1800ガウス(G)以上であって、孔食電位が0.20V以上のステンレス鋼板を得ることができる。
本発明を以下の実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
表1は、実施例1~13、比較例1~7に用いた鋼種A~Kにおける必須添加元素及び一部では任意添加元素の含有量を示している。
Figure 2023133122000001
表2は、表1に示す化学組成(質量%)を有するフェライト系ステンレス鋼を溶製し、加熱温度800℃~1050℃の範囲で熱間圧延を行い、15~60℃/sの冷却速度で、巻取温度300℃~600℃の範囲で巻取り、3.5mm~8.0mmの範囲の厚さの熱延鋼板を製造した後、900℃以上で熱延板焼鈍、酸洗を行った。その後、冷間圧延を行い、950℃以下で冷延板焼鈍を行い、その後酸洗をした。次に、950℃または、1150℃で磁気焼鈍を行った。それぞれ実施例1~13、比較例1~7の製造条件を以下に示している。
Figure 2023133122000002
以下、実施例1~13、比較例1~7の特性を評価した。
表3は、本発明のステンレス鋼の特性として、耐孔食性に関する(式1)の左辺の値、また、(式2)の中央の値、析出物の平均の円相当径、析出物の面積率Aおよび各A系、B系、C系析出物の面積率A1、A2、A3、および圧延方向に平行な結晶方位それぞれの面積率S1、面積率S2、面積率S3をを評価した。
耐孔食性に関する(式1)の左辺の値、析出物の評価に関する(式2)の中央の値は、表1に示す鋼種ごとに化学組成により計算して求めた。
析出物は、以下のように測定した。
試料となるステンレス鋼板の幅中央部から長さおよび幅が、10mmL×10mmWの板を切り出し、板厚中心部まで圧延面から減厚した。圧延面を化学エッチングした後、光学顕微鏡を用いて、0.1μm以上の析出物を観察した。
析出物は、JIS G 0555(鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法)に準拠して以下の3区分に分離し、平均サイズ(観察数10)を円相当径として求めた。
析出物は、サイズとは円相当径として求める。円相当径とは、画像などに描画されている図形の面積に相当する、真円の直径のことである。
各区分の面積率は、「(各区分の計測数)×(円相当径から求めた面積)/(観察視野面積)×100」として表している。
析出物は、光学顕微鏡観察により、その形状により、A系析出物(硫化物系)、B系析出物(酸化物系、炭窒化物系)、C系析出物(リン化物系、Nb、Tiを含む合金相)の3種類に分類した。また、このときに、析出物の組成分析をに行っている。FE-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡:株式会社日本電子製)を用いて介在物を検出し、その部分をさらに、EDX(エネルギー分散型X線分析)装置で点分析により、組成を測定した。ここで、析出物の面積率Aは、A系析出物の面積率A1と、B系析出物の面積率A2と、C系析出物の面積率A3との合計を表している。
また、結晶方位および措定の結晶方位を有する結晶粒の面積率は、以下のように測定する。試料は、鋼板の幅中央部から長さおよび幅が、10mmL×10mmWの板を切り出し、板厚が半分となるように圧延面から減厚した。その後、圧延面をコロイダルシリカ仕上とし、減厚面(圧延面)を、走査電子顕微鏡(SEM)と組み合わせて、電子線後方散乱回折(EBSD:Electron BackScatter Diffraction)法で測定した。つぎに、このようにして求めた各測定点の方位を、位置に応じて色分けして図示し、IPF(Inverse Pole Figure)マップを得る。このときに、各方位との角度差が、許容角度(Tolerance Angle)を15°以下の結晶粒が測定視野の面積に占める割合を面積率を、一つの結晶方位を有する結晶粒とし、この結晶粒が測定視野の面積に占める割合を面積率と測定した。
Figure 2023133122000003
次に、表4は、本発明のステンレス鋼の表面の耐孔食性と軟磁気特性を保磁力と磁束密度(B1)で評価している。
また、耐孔食性の評価方法について説明する。
試験材をせん断加工して、20mm×15mmの寸法の耐食性試験片を作製した。試験片の一端に導線をスポット溶接して接続し、試験面10mm×10mm以外をシリコーン樹脂により被覆した。試験液として、3.5%のNaCl水溶液を使用し、30℃でAr脱気において試験を行った。上記のNaCl水溶液中に試験面を完全に浸し、10分間の放置をした後、ポテンショスタットを用いた動電位法により、電位掃引速度20mV/minで、自然電極電位からアノード電流密度が500μA/cmに達するまで電位を測定し、アノード分極曲線を得た。孔食電位は、アノード分極曲線において100μA/cmに対応する電位のうち、最も貴な値を孔食電位(V)とした。
なお、このときに、孔食電位が0.20V未満では、十分な耐孔食性が得られないとして「×(不可)」と、孔食電位が0.20V以上0.30V未満では、19Cr含有フェライト系ステンレス鋼(SUS304J1L)と同等の耐孔食性が得られているとして「〇(良)」と、孔食電位が0.30V以上では、21Cr含有フェライト系ステンレス鋼および18-8オーステナイト系ステンレス鋼(SUS443J1、SUS304)と同等の耐孔食性が得られているとして「◎(優)」として耐孔食性を評価した。
次に、軟磁気特性の評価方法について説明する。
鋼板の幅中央部から外径φ45mm×内径Φ33mm×厚さ0.8mmの試験片を放電加工にて切り出した。その後、試験片に、一次巻き線を100回、二次巻き線を100回巻き付けた後に、B-Hトレーサーを用いたリング試験に供した。この時の、外部磁場は最大で1000エルステッド(Oe)まで印加し、初磁化曲線から1000エルステッド(Oe)時における磁束密度(B1)と、B-H曲線から保磁力(Hc)を測定した。
ここで、保磁力が、0.85エルステッド(Oe)以下であれば高周波の磁化の変化に対応できることから実用に好ましく適用できると、0.85エルステッド(Oe)超え1.0エルステッド(Oe)以下であれば磁化の変化に追従できることから実用に適用できると、1.0エルステッド(Oe)を超えると磁化の変化に対応が遅く軟磁気特性が低いとして実用に適用できないと評価した。
また、磁束密度(B1)が、2000G以上であれば、低い外部磁場でも十分な磁束密度が得られることから実用上好ましいと、1800G以上2000G未満であれば、低い外部磁場でも磁束密度が得られることから実用に適していると、1800G未満では高い外部磁場でも十分な磁束密度が得られないとして実用には適用できないと評価した。
Figure 2023133122000004
表3および表4に示す結果から、実施例1~13のステンレス鋼は、(式1)の左辺の値、また、(式2)の中央の値、析出物の円相当径、面積率A、および結晶方位に関する面積率S1、S2のいずれもが本発明の適正範囲を満たしている。
これにより、表4に示す結果から、実施例1~13のステンレス鋼は、耐孔食性がすべて「〇」以上の良好であることが分かる。また、実施例1~13のステンレス鋼は、軟磁気特性のうち磁束密度(B1)がいずれも1800G以上であり、保磁力がいずれも1.0エルステッド(Oe)以下であることから、すべて実用に適用できることがわかる。
それに対し、比較例1は、製造条件の熱間圧延温度、巻取温度、冷却速度のいずれも低いことから、ステンレス鋼中の析出物の面積率Aが大きく、かつ、結晶方位に関する面積率S1、S2とも高く、本発明の範囲外でことから、磁束密度(B1)が1800G未満であり、保磁力が1.0エルステッド(Oe)を超えていて実用に適用できないことがわかる。
比較例2は、(式1)の左辺の値が19.0以上であり、耐孔食性が「○」であった。一方、C、Oが上限を超えておりステンレス鋼中の析出物の面積率Aが大きく、かつ、結晶方位に関する面積率S2が高く、本発明の範囲外であることから、磁束密度(B1)が1800G未満であり、保磁力が1.0エルステッド(Oe)を超えていることで、実用に適用できないことがわかる。
比較例3は、(式1)の左辺の値が19.0以上で、耐孔食性が「○」であった。一方、ステンレス鋼中のSiの含有量が0.9%と少ないことから、磁束密度(B1)が1800G未満であり、保磁力が1.0エルステッド(Oe)を超えていることで、実用に適用できないことがわかる。
比較例4は、(式1)の左辺の値が19.0以上で、耐孔食性が「○」であった。一方、ステンレス鋼中のSiの含有量が2.6%と大きく、析出物の面積率Aと結晶方位に関する面積率S2とが高く本発明の範囲外であることから、磁束密度(B1)が1800G未満であり、保磁力が1.0エルステッド(Oe)を超えていることで、実用に適用できないことがわかる。
比較例5は、磁束密度(B1)が1800G以上であり、保磁力が1.0エルステッド(Oe)以下であるが、(式1)の値が低く、耐孔食性が「×」と劣っていることがわかる。
比較例6は、磁束密度(B1)が1800G以上であり、保磁力が1.0エルステッド(Oe)以下であるが、(式1)の値が低く、耐孔食性が「×」と劣っていることがわかる。
比較例7は、(式1)の左辺の値が19.0以上で、耐孔食性が「〇」であったが、(式2)の中央の値が発明の範囲外であり、析出物の円相当径が5.0μmを超えており、磁束密度(B1)が1800G未満であり、保磁力が1.0エルステッド(Oe)を超えていることで、実用に適用できないことがわかる。
これらの実施例1~13および比較例1~7の結果から、本発明の目標とした耐孔食性および軟磁気特性を得るためには、本発明で規定する化学組成の範囲と、孔食性に関する(式1)の左辺の値、また、(式2)の中央の値、析出物の平均の円相当径、析出物の面積率Aおよび結晶方位に関する面積率S1、面積率S2が本発明の範囲内にあることが重要であることがわかる。更に、微量元素であるB、Ni、Cu、V、W、Ca、Mg、Zr、Co、Ga、La、Hf、Y、REMの添加や、本発明で規定する好ましい製造方法は、耐孔食性および軟磁気特性の向上に有効である。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.020%以下、
    Si:1.0%超2.5%以下、
    Mn:1.0%以下、
    P:0.040%以下、
    S:0.0030%未満、
    O:0.0040%未満、
    Cr:15.5%以上23.0%以下、
    Mo:0.5%以下、
    N:0.020%以下、
    Al:0.20%以下、
    Nb:0.30%以下、および、
    Ti:0.30%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有するフェライト系ステンレス鋼板であって、
    前記ステンレス鋼板中のCr、Si、Mo、NbおよびTiの各含有量を、それぞれ{Cr}、{Si}、{Mo}、{Nb}および{Ti}で表すとき、
    {Cr}、{Si}および{Mo}が、下記(式1)の関係を満足するとともに、
    {Nb}および{Ti}が、下記(式2)の関係を満足し、
    前記ステンレス鋼板中に存在する析出物は、平均サイズが円相当径にして5.0μm以下であり、かつ、前記ステンレス鋼板の母材に占める前記析出物の面積率Aが下記(式3)の関係を満足する、耐孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
    (式1):PI={Cr}+2{Si}+3{Mo}≧19.0
    (式2):0.10≦({Nb}+{Ti})≦0.30
    (式3):A≦2.0%
  2. 前記ステンレス鋼板の圧延面と平行な面で結晶方位を測定するとき、RD面方位が<110>である結晶粒およびRD面方位が<112>である結晶粒の合計の面積率S1が80%以下であり、かつ、RD面方位が<111>である結晶粒の面積率S2が10%以下である、請求項1に記載の耐孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
  3. 前記化学組成が、質量%で、
    B:0.0050%以下、
    Ni:1.0%以下、
    Cu:1.0%以下、
    V:0.50%以下、
    W:0.50%以下、
    Ca:0.0100%以下、
    Mg:0.010%以下、
    Zr:0.50%以下、
    Co:0.50%以下、
    Ga:0.10%以下、
    La:0.10%以下、
    Y:0.10%以下、
    Hf:0.10%以下、および、
    REM:0.10%以下の群から選択される1種又は2種以上をさらに含有する、請求項1または2に記載の耐孔食性および軟磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
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