JP2023132750A - アンテナ装置及び無線端末 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023132750000001
【課題】パッチアンテナを広帯域化可能にする。
【解決手段】アンテナ装置は、所定の平面形状のアンテナ素子を形成する金属層と、金属層の下側に配置されるグランドと、を備え、金属層は、平面形状を形成する第1金属と、第1金属に形成されており、平面形状の縁を一部切り欠く切欠部と、切欠部の内側において第1金属から所定の間隔を空けて配置される電磁界結合素子である第2金属と、平面形状の外側に形成されており、切欠部の開口部分を通じて第2金属に接続される給電線路と、を形成し、第2金属は、開口部分における幅が、開口部分よりも切欠部の内側部分における最大幅より小さい。
【選択図】図1

Description

本発明は、アンテナ装置及び無線端末に関する。
無線端末には、各種のアンテナが用いられている(特許文献1-5を参照)。
特開2010-136296号公報 特開2012-19503号公報 特開2015-043542号公報 特開2006-033069号公報 特表2013-532436号公報
薄型のアンテナの一例として、パッチアンテナが知られている。パッチアンテナは、例えば、平面上に複数配列したいような場合に好適である。しかしながら、パッチアンテナは、帯域が比較的狭い。
開示の技術の1つの側面は、パッチアンテナを広帯域化可能にすることを目的とする。
開示の技術の1つの側面は、次のようなアンテナ装置によって例示される。
所定の平面形状のアンテナ素子を形成する金属層と、
金属層の下側に配置されるグランドと、を備え、
金属層は、
平面形状を形成する第1金属と、
第1金属に形成されており、平面形状の縁を一部切り欠く切欠部と、
切欠部の内側において第1金属から所定の間隔を空けて配置される電磁界結合素子である第2金属と、
平面形状の外側に形成されており、切欠部の開口部分を通じて第2金属に接続される給電線路と、を形成し、
第2金属は、開口部分における幅が、開口部分よりも切欠部の内側部分における最大幅より小さい、
アンテナ装置。
開示の技術によれば、パッチアンテナを広帯域化可能である。
図1は、実施形態に係るアンテナ装置を示した図である。 図2は、比較例に係るアンテナ装置を示した図である。 図3は、帯域幅の比較結果を示したグラフである。 図4は、帯域幅の検証結果を示した表である。 図5は、Sパラメータ(スミスチャート)の比較結果を示した図である。 図6は、Zパラメータ(実部)の比較結果を示した図である。 図7は、Zパラメータ(虚部)の比較結果を示した図である。 図8は、アンテナ装置における電流分布を表したイメージ図である。 図9は、第1金属と第2金属との間の間隔を変化させた場合のトータル効率を示したグラフである。 図10は、整合回路を追加したアンテナ装置を示した図である。 図11は、整合回路を追加したアンテナ装置のトータル効率の一例を示したグラフである。 図12は、第1金属の形状に関するバリエーションを示した図である。 図13は、第2金属の形状に関するバリエーションを示した図である。 図14は、測距用にアンテナ装置を複数配列した形態の一例を示した図である。 図15は、アンテナ装置同士の距離を変化させた場合のSパラメータを示したグラフである。 図16は、アンテナ装置同士の距離を変化させた場合の動作利得を示したグラフである。 図17は、スマートフォンの一例を示した図である。
<実施形態>
以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。
実施形態に係るアンテナ装置は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、アンテナ装置は、所定の平面形状のアンテナ素子を形成する金属層と、金属層の下側に配置されるグランドと、を備え、金属層は、平面形状を形成する第1金属と、第1金属に形成されており、平面形状の縁を一部切り欠く切欠部と、切欠部の内側において第1金属から所定の間隔を空けて配置される電磁界結合素子である第2金属と、平面形状の外側に形成されており、切欠部の開口部分を通じて第2金属に接続される給電線路と、を形成し、第2金属は、開口部分における幅が、開口部分よりも切欠部の内側部分における最大幅より小さい。
上記アンテナ装置によれば、広帯域化可能である。また、上記アンテナ装置は、例えば、無線端末に実装することができる。無線端末としては、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルコンピュータ、携帯電話、ノートブック型パーソナルコンピュータ等を挙げることができる。
<実施形態>
以下、上記アンテナ装置の詳細を説明する。図1は、実施形態に係るアンテナ装置を示した図である。図1ではアンテナ装置1の外観を示すために全体視矩形の形態を例示しているが、アンテナ装置1は、このような外観を呈する形態に限定されるものではない。アンテナ装置1は、各種の処理を司る電子回路の配線基板の一部であってもよいし、その他の部材の一部であってもよい。配線基板は、硬質なリジッド基板であっても屈曲可能なフレキシブル基板であってもよい。
アンテナ装置1は、グランド4、グランド4に積層される誘電体層3、誘電体層3に積層される金属層2を備える。金属層2は、平面形状のアンテナ素子を形成する金属層であり、第1金属5や第2金属6、給電線路7を形成する。すなわち、金属層2は、第1金属5や第2金属6を備えたパッチアンテナを形成する。金属層2としては、例えば、銅箔の層が挙げられる。
第1金属5は、全体的に略長方形の平面形状を形成する金属層である。第1金属5は、
所定の設計周波数帯の電波を放射する放射素子として機能する。第1金属5は、長方形の平面形状の縁に存在する2つの短辺のうちの一辺の中央部付近に、当該縁を一部切り欠く切欠部5Aを有している。また、第1金属5は、長方形の平面形状の縁に存在する2つの長辺の各中央部付近に、当該縁を一部切り欠くような形態のスリット5Cを有している。スリット5Cは、例えば、周波数の調整用に形成される。
第2金属6は、全体的に台形の平面形状を形成する金属層である。第2金属6は、切欠部5Aの内側において第1金属5から所定の間隔(W3)を空けて配置されている。第2金属6は、第1金属5に高調波信号の給電を行う電磁界結合素子として機能する。
給電線路7は、第1金属5が形成する略長方形の平面形状の外側に形成されており、切欠部5Aの開口部分5Bを通じて第2金属6に接続される金属層である。給電線路7は、第2金属6に高調波信号を直接給電する。
ところで、全体的に台形の平面形状を形成する第2金属6は、台形の上底に相当する部分である始端部分6Aにおいて給電線路7と接続されている。そして、第2金属6は、始端部分6Aの部分で最小幅(W1)となっており、開口部分5Bから切欠部5Aの内部へ向かうに従って徐々に拡幅し、台形の下底に相当する部分である終端部分6Bにおいて最大幅(W2)となっている。そして、切欠部5Aは、このような形態の第2金属6に合わせる形となっている。故に、第1金属5の縁を切り欠く切欠部5Aは、略長方形の平面形状を形作る第1金属5の外縁部分から第1金属5の中心部へ向かうに従って徐々に広がる形態の切り欠きとなっている。また、第1金属5は、開口部分5Bにおける幅が、開口部分5Bよりも切欠部5Aの内側部分における切欠部5Aの最大幅より小さくなっている。
また、第1金属5は、第2金属6が存在する一方の側から他方の側へ至る部分の長さ(L1)、換言すると、長手方向における長さ(L1)が、第1金属5から放射する所定の設計周波数帯に応じた長さになっている。そして、第1金属5は、長辺の中央部付近に、所定の幅(W4)のスリット5Cを有する形態となっている。
このような形態のアンテナ装置1では、給電線路7から第2金属6へ給電された高調波信号が、第2金属6と第1金属5との間における電磁界結合によって第1金属5へ伝わる。そして、第1金属5から電波が放射されることになる。
<シミュレーションによる検証>
上記実施形態のアンテナ装置1は、第2金属6を切欠部5A内で拡幅させない形態のパッチアンテナよりも広帯域化可能である。第2金属6を切欠部5A内で拡幅させることによる効果について電磁界シミュレータで検証したので、以下、検証内容について説明する。以下の検証においては、設計周波数を7.5GHzとしている。
本検証においては、上記実施形態に係るアンテナ装置1の第2金属6を切欠部5A内で拡幅させない形態のものを比較例として用意した。図2は、比較例に係るアンテナ装置を示した図である。
比較例に係るアンテナ装置101は、実施形態に係るアンテナ装置1と同様に、グランド104、グランド104に積層される誘電体層103、誘電体層103に積層される金属層102を備える。金属層102は、平面形状のアンテナ素子を形成する金属層であり、第1金属105や第2金属106、給電線路107を形成する。
第1金属105は、第1金属5と同様、全体的に略長方形の平面形状を形成する金属層である。そして、第1金属105は、切欠部105Aやスリット105Cを有している。
第2金属106は、第2金属6と同様、切欠部105Aの内側において第1金属105から所定の間隔(W103)を空けて配置される金属層である。そして、第2金属106は、第1金属105に高調波信号の給電を行う電磁界結合素子として機能する。しかし、第2金属106は、第2金属6とは異なり、始端部分106Aから終端部分106Bまで一定の横幅を有する全体視長方形の平面形状を形成する。第2金属106は、始端部分106Aの部分において給電線路107と接続されており、給電線路107から高調波信号が直接給電される。
本シミュレーションでは、比較例としてこのようなアンテナ装置101を用意し、実施形態に係るアンテナ装置1との比較を行った。図3は、帯域幅の比較結果を示したグラフである。図3のグラフでは、効率が-4dB以上となる帯域幅について着目している。本シミュレーションにおいては、各部の寸法を下記の設定条件に設定したアンテナ装置1及びアンテナ装置101を模擬している。
<設定条件>
W1,W101(mm)=0.50
W2(mm)=3.50
W3,W103(mm)=0.25
W4,W104(mm)=0.50
W5,W105(mm)=8.00
W6,W106(mm)=10.00
W7,W107(mm)=0.90
L1,L101(mm)=10.00
L2(mm)=2.50
L102(mm)=3.00
L3,L103(mm)=1.00
L4,L104(mm)=12.00
L5,L105(mm)=4.75
誘電体層の比誘電率=3.4
誘電体層における誘電損失=0.002
図3のグラフを見ると判るように、効率が-4dBとなる帯域幅は、比較例に係るアンテナ装置101では130MHzであるのに対し、実施形態に係るアンテナ装置1では160MHzであった。よって、実施形態に係るアンテナ装置1は、比較例に係るアンテナ装置101に比べて最大23%程度の広帯域化が可能であると言える。
また、比較例に係るアンテナ装置101の帯域幅(130MHz)以上の帯域幅が得られる寸法条件を確認するため、W2を2.00mmから6.00mmまでの範囲内で0.50mm刻みに変化させた場合と、L2を1.00mmから3.50mmまでの範囲内で0.50mm刻みに変化させた場合における、効率が-4dBとなる帯域幅についても検証を行った。図4は、帯域幅の検証結果を示した表である。
図4の表に示すように、効率が-4dBとなる帯域幅が130MHz以上となるのは、表においてグレー表示で示すように、概ねW2が2.00mmから5.00mmまでの範囲内で、L2が1.00mmから2.50mmまでの範囲内であると言える。そして、効率が-4dBとなる帯域幅が130MHzより大きくなるのは、概ねW2が2.50mmから4.50mmまでの範囲内で、L2が1.00mmから2.50mmまでの範囲内であると言える。また、効率が-4dBとなる帯域幅が最も大きくなるのは、W2が3.50mmで、L2が2.50mmの場合であると言える。
図5は、Sパラメータ(スミスチャート)の比較結果を示した図である。また、図6は、Zパラメータ(実部)の比較結果を示した図である。また、図7は、Zパラメータ(虚部)の比較結果を示した図である。図5から図7までに示す各図では、W2を1.0mmから6.0mmまでの範囲内で1.0mm刻みに変化させた場合におけるパラメータをそれぞれ示している。図6では、特性インピーダンス50Ωを基準にしたものを表している。
図6を見ると判るように、W2が大きくなるにつれてレジスタンス成分が増加することが判る。また、図7のグラフにおいて7.5GHzの部分に着目すると判るように、W2が1.0mmから5.0mmまでの範囲内においては、W2が大きくなるにつれてインダクタンス成分が0Ωに近づくことが判る。よって、W2を適宜の大きさに調整することにより、アンテナ装置1を適当なレジスタンス成分とインダクタンス成分を有するアンテナにすることができることが判る。
図8は、アンテナ装置1における電流分布を表したイメージ図である。図8に示す微細なブロック矢印は、電流分布のシミュレーション結果を示している。また、図8に示す太線の矢印(K1およびK2)は、シミュレーション結果から読み取れる全体的な電流分布の傾向を示している。図8に示す太線の矢印を見ると判るように、アンテナ装置1においては、第2金属6が配置されている切欠部5Aから第1金属5の長手方向(図8における下方向)へ向かって真っ直ぐに進む電流経路K1の他に、切欠部5Aから第1金属5の短手方向(図8における左右方向)へやや向かいつつ徐々に長手方向へ進む電流経路K2が存在する。説明を単純化するために、以下、電流経路K1と電流経路K2の2つに着目する形で説明を行うが、アンテナ装置1に発生する実際の電流経路はこのように2つを明確に区別できるものではない。アンテナ装置1では、第1金属5において切欠部5Aが存在する箇所から流れ始める電流経路が無数に存在する。
電流経路K1は、切欠部5Aから第1金属5の長手方向へ向かって真っ直ぐに進む経路であるから、第1金属5における最短の電流経路であると言える。これに対し、電流経路K2は、切欠部5Aから第1金属5の短手方向へやや向かいつつ徐々に長手方向へ進む経路であるから、電流経路K1よりも長い電流経路であると言える。そして、電流経路K2の長さは、W2の長さを大きくすれば長くなることが構造的に明らかである。
実施形態に係るアンテナ装置1が比較例のアンテナ装置101よりインダクタンス成分を0Ωに近づけることができるのは、電流経路K2のように経路の長い電流経路が生ずるためと考えられる。また、実施形態に係るアンテナ装置1が比較例のアンテナ装置101より広帯域化できるのは、経路の短い電流経路K1の他に経路の長い電流経路K2が発生するためと考えられる。よって、第2金属6の開口部分5Bにおける幅(W1)を、開口部分5Bよりも切欠部5Aの内側部分における第2金属6の最大幅(W2)より小さくすることで、開口部分5B付近で第1金属5に発生する電流が第1金属5の短手方向へ向かい、経路の短い電流経路K1の他に経路の長い電流経路K2が第1金属5に発生し、アンテナ装置1がアンテナ装置101より広帯域化することになると言える。
そして、本検証では、設計周波数を7.5GHzとし、第2金属6の開口部分5Bにおける幅(W1)を0.50mmと仮定しているから、特定の設計周波数における波長をλ(mm)と仮定した場合、幅(W1)の条件式としては、例えば、下記の式(1)が導き出せる。
W1≦0.0125λ (1)
また、図4に示した帯域幅の検証結果に鑑みると、開口部分5Bよりも切欠部5Aの内側部分における第2金属6の最大幅(W2)の条件式としては、例えば、下記の式(2)
が導き出せる。
W2≦0.125λ (2)
また、図4に示した帯域幅の検証結果に鑑みると、開口部分5Bから開口部分5Bの反対側までの長さ(L2)の条件式としては、例えば、下記の式(3)が導き出せる。
L2≦0.0625λ (3)
ところで、アンテナ装置1を実際に製造する際は、第1金属5と第2金属6との間の間隔(W3)がエッチングの精度等によりばらつく可能性があるため、間隔(W3)を変化させた場合についてもシミュレーションで検証を行った。図9は、第1金属5と第2金属6との間の間隔を変化させた場合のトータル効率を示したグラフである。図9では、前述した<設定条件>に従ったアンテナ装置1において、W3を0.15mmから0.35mmまでの範囲内で0.05mm刻みに変化させた場合のトータル効率を示している。図9のグラフにおいて7.5GHz付近に着目すると判るように、設計上のW3の寸法が0.25mmである場合に、実際のW3が±0.05mm程度の誤差を有していても、ピーク効率は±0.8dB程度しか変化しないことが判る。この程度のピーク効率の変化であれば、実機の電界強度を測定する測定機の計測誤差と同程度である。また、アンテナ装置1を実際に製造する際においても、W3が設計値に対し±0.05mmよりも大きくなるような製造上の誤差を生じる可能性は極めて低い。したがって、アンテナ装置1の製造時に第1金属5と第2金属6との間の間隔(W3)が多少ばらついても、アンテナ装置1の性能に影響は無いと言える。
<変形例>
なお、上記実施形態に係るアンテナ装置1には、例えば、整合回路を設けてもよい。図10は、整合回路を追加したアンテナ装置1を示した図である。また、図11は、整合回路を追加したアンテナ装置1のトータル効率の一例を示したグラフである。アンテナ装置1には、例えば、図10に示すように、給電線路7に整合回路7A,7Bを追加してもよい。整合回路7A,7Bを用いれば、アンテナ装置1のアンテナ形状を変更するよりも容易にインピーダンスの整合をとることが可能である。
また、第1金属5の形状は、例えば、次のように変形してもよい。図12は、第1金属5の形状に関するバリエーションを示した図である。図12(A)では、第1金属5からスリット5Cを省略したアンテナ装置1を示している。また、図12(B)では、スリット5Cを上記実施形態よりも長くしたアンテナ装置1を示している。また、図12(C)では、第1金属5からスリット5Cを省略する代わりに、第1金属5の中心部付近に第1金属5を貫通するスリット8を設けたアンテナ装置1を示している。また、図12(D)では、スリット5Cを上記実施形態よりも長くし、更に、第1金属5の中心部付近に第1金属5を貫通するスリット8を設けたアンテナ装置1を示している。第1金属5の形状をこのように変形すれば、電流経路K1の長さや電流経路K2の長さが上記実施形態から変化することになるため、帯域幅をより広げたり狭めたりすることが可能となる。
また、第2金属6の形状は、例えば、次のように変形してもよい。図13は、第2金属6の形状に関するバリエーションを示した図である。図13(A)では、第2金属6を六角形に変形したアンテナ装置1を示している。また、図13(B)では、第2金属6を五角形に変形したアンテナ装置1を示している。また、図13(C)では、第2金属6を2つの台形を連ねたような形態に変形したアンテナ装置1を示している。また、図13(D)では、第2金属6を一部が欠けた三角形のような形態に変形したアンテナ装置1を示している。また、図13(E)では、第2金属6を下底に一部切り欠きを設けたような形態に変形したアンテナ装置1を示している。また、図13(F)では、第2金属6を円形に変形したアンテナ装置1を示している。これらの変形例に係る第2金属6は、何れも、開
口部分5Bにおける幅が、開口部分5Bよりも切欠部5Aの内側部分における最大幅より小さい。よって、第2金属6を変形したこれらのアンテナ装置1は、何れも、上記実施形態で示した電流経路K1及び電流経路K2に相当するような電流経路を発生し、比較例に係るアンテナ装置101より広帯域化する。これらの変形例は、例えば、設計周波数を7.5GHzとする場合であれば、開口部分5Bから開口部分5Bの反対側までの長さ(L2)を2.5mm(=0.0625λ)以下とし、開口部分5Bよりも切欠部5Aの内側部分における第2金属6の最大幅(W2)を5mm(=0.125λ)とすることにより、上記実施形態と同様に最大23%程度の広帯域化を図ることが可能と考えられる。
<適用例1>
上記実施形態のアンテナ装置1は、一般的な無線通信にも適用可能であるが、比較例のアンテナ装置101より広帯域化可能であるため、例えば、広帯域の信号を取り扱うUWB(Ultra Wide Band)への適用に好適である。UWBでは、例えば、高精度な距離測定
(測距)等も可能であるため、アンテナ装置1の配置の仕方として、複数のアンテナ装置1を縦横に並べたような使用形態が考えられる。図14は、測距用にアンテナ装置1を複数配列した形態の一例を示した図である。例えば、図14に示すように、3つのアンテナ装置1を同一基板上の同一平面内に用意する。当該平面を例えば垂直面に見立てた場合に、アンテナ装置1が上下に2つ(Ant1,2)と、アンテナ装置1が左右に2つ(Ant1,3)並ぶような形態で配置すれば、当該平面に対峙する無線識別子(タグ)から各アンテナ装置1へ入射する無線信号の位相を使って上下方向の測角及び左右方向の測角を行い、当該無線識別子が存在する方向や距離を特定することができる。
比較例のアンテナ装置101よりも広帯域化可能なアンテナ装置1を、UWBにおける距離測定に適用した場合におけるアンテナ装置1同士の距離の特性を確認するため、図14に示した3つのアンテナ装置1のうち、左右に配置した2つのアンテナ装置1(Ant1,3)の中心点間の距離を18.75mm(=λ/2)と12.50mm(=λ/3)と9.38mm(=λ/4)の3段階で配置した場合のシミュレーションを行った。なお、上下に配置した2つのアンテナ装置1(Ant1,2)の中心点間の距離については、給電線路7を配置する都合でスペースが無いため、18.75mm(=λ/2)で固定した。
図15は、アンテナ装置1同士の距離を変化させた場合のSパラメータを示したグラフである。図15のグラフに示すように、アンテナの結合を表すS31(S3,1)は2つのアンテナ装置1(Ant1,3)が近づくにしたがって-25dBから-10dBまで増加した。実用上はS31が-9dB以下であれば支障がない。よって、S31に着目した場合、2つのアンテナ装置1(Ant1,3)の中心点間の距離は9.38mm(=λ/4)以上であれば問題無いと言える。
図16は、アンテナ装置1同士の距離を変化させた場合の動作利得を示したグラフである。図16のグラフに示すように、アンテナの利得は2つのアンテナ装置1(Ant1,3)が近づくにしたがって低下し、2つのアンテナ装置1(Ant1,3)の中心点間の距離が9.38mm(=λ/4)の場合には動作利得が0.5dBiまで下がることが判る。よって、アンテナ装置1同士の間隔については、アンテナ装置1に対する動作利得の要求性能に応じて決定する必要があることが判る。
<適用例2>
上記実施形態や変形例は、適宜変形可能である。また、各種の無線端末に適用することもできる。図17は、スマートフォンの一例を示した図である。例えば、上記実施形態のアンテナ装置1は、無線端末の一種であるスマートフォン11に内蔵させてもよい。アンテナ装置1をスマートフォン11に適用すれば、アンテナ装置1を使って高速の無線通信
やUWBにおける距離測定等を行うことが可能となる。
1,101・・アンテナ装置
2,102・・金属層
3,103・・誘電体層
4,104・・グランド
5,105・・第1金属
6,106・・第2金属
7,107・・給電線路
8・・スリット
5A,105A・・切欠部
5B,105B・・開口部分
5C,105C・・スリット
6A,106A・・始端部分
6B,106B・・終端部分
7A・・整合回路
7B・・整合回路
K1・・電流経路
K2・・電流経路
11・・スマートフォン

Claims (11)

  1. 所定の平面形状のアンテナ素子を形成する金属層と、
    前記金属層の下側に配置されるグランドと、を備え、
    前記金属層は、
    前記平面形状を形成する第1金属と、
    前記第1金属に形成されており、前記平面形状の縁を一部切り欠く切欠部と、
    前記切欠部の内側において前記第1金属から所定の間隔を空けて配置される電磁界結合素子である第2金属と、
    前記平面形状の外側に形成されており、前記切欠部の開口部分を通じて前記第2金属に接続される給電線路と、を形成し、
    前記第2金属は、前記開口部分における幅が、前記開口部分よりも前記切欠部の内側部分における最大幅より小さい、
    アンテナ装置。
  2. 前記第2金属は、前記アンテナ素子の設計周波数における波長をλ(mm)とした場合に、前記開口部分における幅W1(mm)が式(1)
    W1≦0.0125×λ (1)
    を満たすことを特徴とする、
    請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記第2金属は、前記アンテナ素子の設計周波数における波長をλ(mm)とした場合に、前記開口部分よりも前記切欠部の内側部分における最大幅W2(mm)が式(2)
    W2≦0.125×λ (2)
    を満たすことを特徴とする、
    請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記第2金属は、前記アンテナ素子の設計周波数における波長をλ(mm)とした場合に、前記開口部分から前記開口部分の反対側までの長さL2(mm)が式(3)
    L2≦0.0625×λ (3)
    を満たすことを特徴とする、
    請求項1から3の何れか一項に記載のアンテナ装置。
  5. 前記第2金属は、前記開口部分における幅方向の部分に台形の上底が位置する台形状の金属である、
    請求項1から4の何れか一項に記載のアンテナ装置。
  6. 前記第1金属は、前記平面形状の縁にスリットを有する、
    請求項1から5の何れか一項に記載のアンテナ装置。
  7. 前記第1金属は、前記平面形状の内側部分にスリットを有する、
    請求項1から6の何れか一項に記載のアンテナ装置。
  8. 前記給電線路は、前記第2金属に接続される部分の幅が、前記第2金属に向かって一定又は徐々に細くなる、
    請求項1から7の何れか一項に記載のアンテナ装置。
  9. 前記金属層と前記グランドとの間に配置される誘電体層を更に備える、
    請求項1から8の何れか一項に記載のアンテナ装置。
  10. 前記給電線路に整合回路を設けた、
    請求項1から9の何れか一項に記載のアンテナ装置。
  11. 請求項1から10の何れか一項に記載のアンテナ装置を備える無線端末。
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