JP2023132748A - 建築物とその施工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、建築物とその施工方法に関する。
山留め壁には、親杭横矢板壁や鋼製矢板壁等の既製矢板壁と、柱列山留め壁や連続地中壁等の場所打ち壁とがあり、柱列山留め壁には、場所打ち鉄筋コンクリート柱列山留め壁や鋼管柱列山留め壁、ソイルセメント柱列山留め壁(ソイルセメント柱列式連続壁)等がある。
例えば上記するソイルセメント柱列式連続壁は仮設構造物である一方、本設構造物である建物の備える地下部の側壁と連結されることにより、ソイルセメント柱列式連続壁を本設構造物である建築物の基礎の一部として利用する形態も存在する。このように、ソイルセメント柱列式連続壁を山留め壁としてのみならず、本設構造物の基礎の一部としても利用することにより、本設構造物の基礎の構造をよりシンプルにでき、例えば基礎のコンクリート数量や鉄筋数量を低減できることから、施工コストの大幅な削減を図ることができる。
ここで、上記するソイルセメント柱列式連続壁を本設構造物である建築物の基礎の一部として利用する形態の具体的な構成を、図1と図2を参照して説明する。図1は、建築物の一例を示す縦断面図であり、図2は、図1のII-II矢視図である。
図示例の建築物100は、地盤G内にある建物10の備える地下部11の側壁15及び底盤17と、建物10の周囲に施工されているソイルセメント柱列式連続壁20とが接合されることにより、構成されている。例えば平面視矩形の建物10の地下部11の側壁15の周囲に、平面視矩形枠状のソイルセメント柱列式連続壁20が造成され、複数箇所にて双方が接合される。図1は、建物10の側壁15と底盤17、柱16の一部のみを取り出して図示している。
ソイルセメント柱列式連続壁20は、平面視円形のソイルセメント30の一部が相互にラップするようにして造成され、平面視円形の削孔G1内にあるソイルセメント30の内部には、ウェブ41と、建物10側にある第1フランジ42と、建物10と反対側の第2フランジ43とを有する、H形鋼により形成される芯材40が埋設されている。
ソイルセメント30に埋設される芯材40のうち、上方の建物10側の第1フランジ42には、複数のスタッドジベル50が溶接等により接合されて側方に張り出し、張り出しているスタッドジベル50が地下部11の側壁15や底盤17に埋設されることにより、建物10とソイルセメント柱列式連続壁20の一体化が図られている。建物10の自重や、建物が地震時に変位した際に生じる押込み力等は、押込み荷重N1として建物10からスタッドジベル50を介して芯材40に伝達される。
芯材40のウェブ41の下方には、複数のスタッドジベル45が溶接等により接合されてウェブ41の側方に張り出し、ソイルセメント30の内部に埋設されている。芯材40に伝達された押込み荷重N1に対して、芯材40の先端の先端面積A1と先端周囲地盤のN値とによる先端支持力と、各スタッドジベル45による支圧力と、ソイルセメント30と地盤Gとの摩擦力(もしくは、芯材40とソイルセメント30との摩擦力)により、ソイルセメント柱列式連続壁20の支持力を確保している。
しかしながら、芯材40の表面は平滑であり、芯材40とソイルセメント30の間の摩擦力はわずかであること、図2に示すようにH形鋼からなる芯材40の先端面積A1は、例えばソイルセメント柱列式連続壁20の全面積と比較してもわずかであり、従って大きな先端支持力を期待し難いこと等から、ソイルセメント柱列式連続壁20における押込み荷重に対する耐力(支持性能)には改善の余地がある。
一方、ソイルセメント柱列式連続壁20を本設構造物の基礎の一部として利用する形態では、建物10に地震時の水平力が作用して建物10が変位し、この変位に起因して建物10に引抜き力N2(引抜き荷重)が生じた際に、この引抜き荷重N2もスタッドジベル50を介して芯材40に伝達される。この際、芯材40の下方に取り付けられている棒状のスタッドジベル45には、大きな引抜き抵抗力を期待することはできず、上記するようにソイルセメント30と芯材40の摩擦力が小さいことを合わせ勘案すると、ソイルセメント30から芯材40が引き抜かれる恐れもある。
以上で説明したように、ソイルセメント柱列式連続壁を本設構造物の基礎の一部として利用することにより、施工コストの大幅な削減を図ることができる一方で、従来のソイルセメント柱列式連続壁には、本設構造物から作用する押込み荷重や引抜き荷重に対する耐力に関して改善の余地があることから、このような押込み荷重と引抜き荷重の双方に対して高い耐力を有するソイルセメント柱列式連続壁を備えた建築物が望まれる。
ここで、特許文献1には、逆打ち工法を用いた施工において、一階の床の工事完成後に支保工として使用し、本体の重量の一部を負担する、ソイルセメント壁が提案されている。このソイルセメント壁は、ソイルセメントに埋設される芯材の表面に、凹凸が設けられていたり、スタッドジベルが設けられていることにより、芯材に対してソイルセメントとの付着手段が施されている。
特許文献1に記載されるソイルセメント壁においても、上記する図1と図2を参照して説明したように、芯材にスタッドジベルが取り付けられているに過ぎないことから、本設構造物から作用する押込み荷重や引抜き荷重に対する耐力を十分に有しているとは言い難い。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、建物の少なくとも側壁と、建物の周囲に施工されているソイルセメント柱列式連続壁とが接合されている建築物に関し、建物から作用する押込み荷重や引抜き荷重の双方に対して高い耐力を有する、ソイルセメント柱列式連続壁を備えた建築物とその施工方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による建築物の一態様は、
地盤内にあって建物の備える地下部の少なくとも側壁と、前記建物の周囲に設けられているソイルセメント柱列式連続壁とが接合され、前記ソイルセメント柱列式連続壁は、ソイルセメントの内部に芯材が埋設されている、建築物であって、
前記芯材の下方にコンクリート体が設けられていることを特徴とする。
地盤内にあって建物の備える地下部の少なくとも側壁と、前記建物の周囲に設けられているソイルセメント柱列式連続壁とが接合され、前記ソイルセメント柱列式連続壁は、ソイルセメントの内部に芯材が埋設されている、建築物であって、
前記芯材の下方にコンクリート体が設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、地盤内にあって建物の備える地下部の少なくとも側壁と接合されている、ソイルセメント柱列式連続壁を構成する芯材の下方にコンクリート体が設けられていることにより、例えばH形鋼等により形成される芯材よりも先端面積の大きなコンクリート体によって、芯材の先端支持力を高めることができ、建物から作用する押込み荷重に対する高い支持性能を備えたソイルセメント柱列式連続壁となる。さらに、外形が直方体や多角形体、円柱体等、様々な立体形状のコンクリート体により、芯材を介してコンクリート体に引抜き荷重が作用した際に、芯材の側方に張り出しているコンクリート体の上面が上方のソイルセメントから抵抗を受けることにより、コンクリート体の引抜き抵抗力が向上し、結果として芯材の引抜き荷重に対する耐力も向上する。
ここで、「建物の少なくとも側壁と」とは、建物の(地下部)側壁の他に、側壁と底盤の双方が含まれる。
また、本発明による建築物の他の態様は、
前記コンクリート体の平面視寸法が前記芯材の平面視寸法よりも大きいことを特徴とする。
前記コンクリート体の平面視寸法が前記芯材の平面視寸法よりも大きいことを特徴とする。
本態様によれば、コンクリート体の先端面積が芯材の先端面積よりも大きいことにより、芯材の先端支持力を高めることができる。ここで、コンクリート体の先端面積は、最大では、例えば周囲のソイルセメントの面積に近い面積まで広げることができる。
また、本発明による建築物の他の態様は、
前記コンクリート体が、前記芯材に対して前記ソイルセメント内に埋設される前に設置されている、プレキャストコンクリート部材であることを特徴とする。
前記コンクリート体が、前記芯材に対して前記ソイルセメント内に埋設される前に設置されている、プレキャストコンクリート部材であることを特徴とする。
本態様によれば、コンクリート体が、芯材に対してソイルセメント内に埋設される前に設置されているプレキャストコンクリート部材であることにより、高品質なコンクリート体を芯材に確実に設置することができ、コンクリート体を備えた芯材のソイルセメント内への建て込み施工も良好になり、コンクリート体を場所打ちコンクリートにて施工する際の多大な手間を解消することができる。
また、本発明による建築物の他の態様は、
前記芯材に第1スタッドジベルが取り付けられており、
前記コンクリート体の内部に前記第1スタッドジベルが埋設されていることを特徴とする。
前記芯材に第1スタッドジベルが取り付けられており、
前記コンクリート体の内部に前記第1スタッドジベルが埋設されていることを特徴とする。
本態様によれば、芯材に取り付けられている第1スタッドジベルがコンクリート体の内部に埋設されていることにより、芯材とコンクリート体の接合強度を高めることができる。すなわち、第1スタッドジベルの支圧力やせん断力により、芯材から作用する押込み荷重と引抜き荷重の双方を、コンクリート体に有効に伝達することができる。例えば、コンクリート体の内部に芯材が単に埋設されているだけの形態では、引抜き荷重が作用した際にコンクリート体から芯材が引抜かれる恐れがある。
また、本発明による建築物の他の態様は、
前記コンクリート体の表面に凹凸が設けられていることを特徴とする。
前記コンクリート体の表面に凹凸が設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、コンクリート体の表面に凹凸が設けられ、この凹凸にソイルセメントが入り込んでいることにより、コンクリート体と周囲のソイルセメントとの摩擦力(周面摩擦力)が高くなり、コンクリート体を含む芯材の支持力をより一層高めることができる。
また、本発明による建築物の他の態様は、
前記芯材の上方に第2スタッドジベルが接合され、前記第2スタッドジベルが前記地下部の側壁に埋設されることにより、前記側壁と前記ソイルセメント柱列式連続壁が接合されることを特徴とする。
前記芯材の上方に第2スタッドジベルが接合され、前記第2スタッドジベルが前記地下部の側壁に埋設されることにより、前記側壁と前記ソイルセメント柱列式連続壁が接合されることを特徴とする。
本態様によれば、芯材の上方に設けられている第2スタッドジベルが地下部の側壁に埋設され、側壁とソイルセメント柱列式連続壁が接合されることにより、建物から作用する押込み荷重と引抜き荷重を第2スタッドジベルを介して芯材に有効に伝達することができ、芯材を含むソイルセメント柱列式連続壁にて押込み荷重と引抜き荷重の双方を負担することが可能になる。
また、本発明による建築物の施工方法の一態様は、
地盤内にあって建物の備える地下部の少なくとも側壁と、前記建物の周囲に設けられているソイルセメント柱列式連続壁とが接合されている、建築物の施工方法であって、
削孔内のソイルセメントの内部に、建物側の第1フランジと、前記建物と反対側の第2フランジと、ウェブとを備えるH形鋼により形成されている芯材を建て込むことにより、ソイルセメント柱列式連続壁を施工する、A工程と、
前記ソイルセメント柱列式連続壁の上端にあるソイルセメントを切削して、前記第1フランジの一部を露出させ、前記第1フランジの露出部に第2スタッドジベルを接合する、B工程と、
前記建物のうち、少なくとも前記第1フランジと当接する前記側壁を施工し、前記側壁に前記第2スタッドジベルを埋設することにより、前記地下部の少なくとも側壁と前記ソイルセメント柱列式連続壁とを相互に接合する、C工程と、を有し、
前記A工程において、前記芯材の建て込みに際して、前記芯材の下方にコンクリート体を設置しておくことを特徴とする。
地盤内にあって建物の備える地下部の少なくとも側壁と、前記建物の周囲に設けられているソイルセメント柱列式連続壁とが接合されている、建築物の施工方法であって、
削孔内のソイルセメントの内部に、建物側の第1フランジと、前記建物と反対側の第2フランジと、ウェブとを備えるH形鋼により形成されている芯材を建て込むことにより、ソイルセメント柱列式連続壁を施工する、A工程と、
前記ソイルセメント柱列式連続壁の上端にあるソイルセメントを切削して、前記第1フランジの一部を露出させ、前記第1フランジの露出部に第2スタッドジベルを接合する、B工程と、
前記建物のうち、少なくとも前記第1フランジと当接する前記側壁を施工し、前記側壁に前記第2スタッドジベルを埋設することにより、前記地下部の少なくとも側壁と前記ソイルセメント柱列式連続壁とを相互に接合する、C工程と、を有し、
前記A工程において、前記芯材の建て込みに際して、前記芯材の下方にコンクリート体を設置しておくことを特徴とする。
本態様によれば、ソイルセメント柱列式連続壁を施工するA工程において、削孔内に充填されたソイルセメントに芯材を建て込むに当たり、下方にコンクリート体が予め設置されている芯材を建て込むことにより、建物から作用する押込み荷重と引抜き荷重の双方に対する耐力の高いソイルセメント柱列式連続壁と、このソイルセメント柱列式連続壁を備えた建築物を効率的に施工することができる。
また、本発明による建築物の施工方法の他の態様は、
前記コンクリート体の先端面積が前記芯材の先端面積よりも大きいことを特徴とする。
前記コンクリート体の先端面積が前記芯材の先端面積よりも大きいことを特徴とする。
本態様によれば、コンクリート体の先端面積が芯材の先端面積よりも大きいことにより、芯材の先端支持力を高めることができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の建築物とその施工方法によれば、建物の少なくとも側壁と、建物の周囲に施工されているソイルセメント柱列式連続壁とが接合されている建築物に関し、建物から作用する押込み荷重や引抜き荷重の双方に対して高い耐力を有する、ソイルセメント柱列式連続壁を備えた建築物を提供することができる。
以下、実施形態に係る建築物とその施工方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態に係る建築物]
はじめに、図3乃至図5を参照して、実施形態に係る建築物の一例について説明する。ここで、図3は、実施形態に係る建築物の一例を示す縦断面図であり、図4は、図3のIV-IV矢視図であって、コンクリート体の途中で切断した横断面図であり、図5は、コンクリート体による先端支持力と引抜き抵抗力を説明する模式図である。尚、図3は、実施形態に係る建築物の施工方法の一例のC工程を説明する図でもあり、以下で詳説する施工方法の際にも参照する。
はじめに、図3乃至図5を参照して、実施形態に係る建築物の一例について説明する。ここで、図3は、実施形態に係る建築物の一例を示す縦断面図であり、図4は、図3のIV-IV矢視図であって、コンクリート体の途中で切断した横断面図であり、図5は、コンクリート体による先端支持力と引抜き抵抗力を説明する模式図である。尚、図3は、実施形態に係る建築物の施工方法の一例のC工程を説明する図でもあり、以下で詳説する施工方法の際にも参照する。
図示する建築物200は、地盤G内にある建物10の備える地下部11の側壁15及び底盤17と、建物10の周囲に施工されているソイルセメント柱列式連続壁20とが接続されることにより、構成されている。例えば平面視矩形の建物10の地下部11の側壁15の周囲には、平面視矩形枠状のソイルセメント柱列式連続壁20が造成され、複数箇所にて双方が接合される。尚、建物10の平面視形状は多様であり、建物10の平面視形状に応じた枠状にソイルセメント柱列式連続壁20が造成される。
建物10は、RC(Reinforced Concrete、鉄筋コンクリート)造、S(Steel、鉄骨)造、SRC(Steel Reinforced Concrete、鉄骨鉄筋コンクリート)造や、これらのハイブリッド構造の建物のいずれであってもよく、建物10には、オフィスビルやマンション、体育館やショッピングモール、各種公共建物等、様々な形態が含まれる。以下、図示例では、少なくとも地下部11の側壁15と底盤17がRC造の建物として説明する。
一方、ソイルセメント柱列式連続壁20は、平面視円形のソイルセメント30の一部が相互にラップするようにして造成され、平面視円形の削孔G1内にあるソイルセメント30の内部には、H形鋼により形成される芯材40が埋設されている。ここで、芯材としては、H形鋼の他、鋼矢板やコンクリート二次製品等が適用されてもよい。
ソイルセメント30は、地盤Gを掘削することにより発生する土砂と、多軸混練オーガー機等(図示せず)の先端から吐出されるセメントミルクを混合撹拌することにより造成され、硬化前のソイルセメントの内部に芯材40が挿入されることにより構築される。
図示例のソイルセメント柱列式連続壁20は、建物10を施工する際の山留め壁であることに加えて、建物10が施工された後は、建物10の地下部11に接合されることにより、建物10の基礎として機能する。
ソイルセメント30に埋設される芯材40のうち、上方の建物10側の第1フランジ42には、複数の第2スタッドジベル50が溶接接合されて側方に張り出し、張り出している第2スタッドジベル50が地下部11の側壁15や底盤17に埋設されることにより、建物10とソイルセメント柱列式連続壁20の一体化が図られている。
ソイルセメント柱列式連続壁20において、ソイルセメント30に埋設される芯材40の下方には、コンクリート体60が一体に設けられており、コンクリート体60もソイルセメント30の内部に埋設されている。
図示例のコンクリート体60の外形は直方体であるが、その他、直方体以外の多角柱体や円柱体、楕円柱体等、様々な立体形状のコンクリート体が適用できる。
図4に示すように、芯材40の下方のウェブ41の両広幅面には、複数(図示例はそれぞれ四本で計八本)の第1スタッドジベル47が溶接接合されている。ここで、コンクリート体60の内部には、芯材40を包囲する鉄筋や、芯材40に長手方向に延設する鉄筋等が埋設されていてもよい。
芯材40のウェブ41から側方に張り出す複数の第1スタッドジベル47がコンクリート体60に埋設されることにより、芯材40とコンクリート体60の一体性が高まり、芯材40からコンクリート体60に押込み荷重N1や引抜き抵抗力N2が作用した際に、コンクリート体60から芯材40が引き抜かれたり、押し出されるといった懸念が解消される。
コンクリート体60は、ソイルセメント30に対して芯材40を建て込む際に予め芯材40に取り付けられている、プレキャストコンクリート部材である。
図4から明瞭に理解できるように、コンクリート体60の断面積A2(先端面積)は、H形鋼からなる芯材40の断面積(先端面積)に比べて格段に大きくなるように設定されている。図示例のコンクリート体60では、その先端面積A2が周囲のソイルセメント30の先端面積に近接した面積となるように設定されている。
このように、先端面積A2の大きなコンクリート体60が芯材40の下方に一体に設けられていることにより、芯材40の先端支持力の算定においては、図5に示すように、コンクリート体60の下面63の先端面積A2と、その周囲のソイルセメント30の一軸圧縮強さとにより先端支持力が算定されることから、例えば図2に示す芯材40の先端面積A1に比べて芯材40の先端支持力R1を格段に高めることができる。
このことにより、建物10から第2スタッドジベル50を介して芯材40に伝達された押込み荷重N1に対して、芯材40を含むソイルセメント柱列式連続壁20の耐力を高めることが可能になる。
一方、図5に示すように、芯材40の下方において芯材40の側方にコンクリート体60が張り出していることにより、建物10から第2スタッドジベル50を介して芯材40に伝達された引抜き荷重N2に対して、コンクリート体60の上面62に対して上方のソイルセメント30から引抜き抵抗力R2を受けることとなり、従って、作用する引抜き荷重N2に対して、芯材40を含むソイルセメント柱列式連続壁20の耐力を高めることも可能になる。
ここで、図示を省略するが、コンクリート体60の側面61には、多数の凹凸が設けられていてもよい。この凹凸は、側面61を目粗しする方法により、あるいは、型枠内にコンクリートを充填してコンクリート体60を芯材40の下方に製作する際に、型枠の内面に凹凸を設けておく方法等により、形成することができる。
コンクリート体60の側面61に多数の凹凸が設けられていることにより、コンクリート体60と周囲のソイルセメント30との摩擦力が高くなり、コンクリート体を含む芯材の支持力をより一層高めることができる。
[実施形態に係る建築物の施工方法]
次に、図6及び図7と、図3を参照して、実施形態に係る建築物の施工方法の一例について説明する。ここで、図6と図7はそれぞれ、実施形態に係る建築物の施工方法の一例のA工程とB工程を説明する図である。また、既述するように、図3は、実施形態に係る建築物の一例を示す縦断面図であって、かつ、実施形態に係る建築物の施工方法の一例のC工程を説明する図である。
次に、図6及び図7と、図3を参照して、実施形態に係る建築物の施工方法の一例について説明する。ここで、図6と図7はそれぞれ、実施形態に係る建築物の施工方法の一例のA工程とB工程を説明する図である。また、既述するように、図3は、実施形態に係る建築物の一例を示す縦断面図であって、かつ、実施形態に係る建築物の施工方法の一例のC工程を説明する図である。
建築物の施工方法では、まず、図6に示すように、建物の構築に先行して、建物の構築エリアの周囲に、山留め壁として、例えば平面視矩形枠状のソイルセメント柱列式連続壁20を施工する。
ソイルセメント柱列式連続壁20の施工方法は、公知のSMW(Soil Mixing Wall)工法等が適用でき、地中障害物の撤去にはじまり、ガイドウォール(図示せず)を設置し、ソイルセメントの配合を行い、設計配合のセメントスラリーを多軸混練オーガー機等のオーガーヘッドの先端から吐出しながら削孔混連し、所定深度に到達後に反復混連を行いながらオーガーヘッドを引き上げることにより、削孔G1内にソイルセメント30を造成する。
そして、ソイルセメント30が硬化する前に、ソイルセメント30の内部に芯材40をX1方向に挿入して建て込みを行う。また、造壁手順としては、第1エレメントを造成し、次いで、間隔を置いて第2エレメントを造成し、次いで、第3エレメントの両端の孔を第1エレメントと第2エレメントの双方の一方端の孔にラップさせながら造成する、連続方式や、各エレメントの孔が追随する位置に間隔を置いて複数の孔を先行削孔しておき、次いで、各エレメントの孔を先行削孔された孔にラップさせるようにして各エレメントを造成する、先行削孔併用方式などが適用できる。
この芯材40の建て込みに際して、芯材40の下方には、予めコンクリート体60をプレキャストコンクリート部材として設置しておく。
このように、芯材40の下方に設置されるコンクリート体60がプレキャストコンクリート部材であることにより、高品質なコンクリート体60を芯材40に確実に設置することができ、コンクリート体60を備えた芯材40のソイルセメント30内への建て込み施工も良好になる。例えば、コンクリート体を場所打ちコンクリートにて施工する場合は多大な手間を要することになり、形状等の品質面においても不確実性が高くなるが、このような施工手間や品質の不確実性が解消される(以上、A工程)。
次に、図7に示すように、ソイルセメント柱列式連続壁20のうち、建物側の上方領域30aを切削して、第1フランジ42の一部を露出させる。
次いで、露出した第1フランジ42に対して、複数の第2スタッドジベル50を溶接接合する(以上、B工程)。
次いで、図3に示すように、建物10のうち、少なくとも第2フランジ43と当接する地下部11の側壁15と底盤17を施工し、側壁15と底盤17に複数の第2スタッドジベル50が埋設されることにより、地下部11の側壁15及び底盤17とソイルセメント柱列式連続壁20とを相互に接合する。
その後、建物10の全体を施工することにより、建物10とソイルセメント柱列式連続壁20とが相互に接合された建築物200が施工される(以上、C工程)。
図示例の施工方法によれば、A工程において、削孔G1内のソイルセメント30に芯材40を建て込むに当たり、その下方にコンクリート体60が予め設置されている芯材40を建て込むことにより、建物から作用する押込み荷重N1と引抜き荷重N2の双方に対する耐力の高いソイルセメント柱列式連続壁20を効率的に施工することができ、ソイルセメント柱列式連続壁20と建物10が一体とされている建築物200の効率的な施工を実現できる。
上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:建物
11:地下部
15:側壁
16:柱
17:底盤
20:ソイルセメント柱列式連続壁
30:ソイルセメント
30a:上方領域
40:芯材(H形鋼)
41:ウェブ
42:第1フランジ
43:第2フランジ
47:第1スタッドジベル(スタッドジベル)
50:第2スタッドジベル(スタッドジベル)
60:コンクリート体
61:側面
62:上面
63:下面
200:建築物
G:地盤
G1:削孔
N1:押込み荷重
N2:引抜き荷重
R1:先端支持力
R2:引抜き抵抗力
A2:先端面積(断面積)
11:地下部
15:側壁
16:柱
17:底盤
20:ソイルセメント柱列式連続壁
30:ソイルセメント
30a:上方領域
40:芯材(H形鋼)
41:ウェブ
42:第1フランジ
43:第2フランジ
47:第1スタッドジベル(スタッドジベル)
50:第2スタッドジベル(スタッドジベル)
60:コンクリート体
61:側面
62:上面
63:下面
200:建築物
G:地盤
G1:削孔
N1:押込み荷重
N2:引抜き荷重
R1:先端支持力
R2:引抜き抵抗力
A2:先端面積(断面積)
Claims (8)
- 地盤内にあって建物の備える地下部の少なくとも側壁と、前記建物の周囲に設けられているソイルセメント柱列式連続壁とが接合され、前記ソイルセメント柱列式連続壁は、ソイルセメントの内部に芯材が埋設されている、建築物であって、
前記芯材の下方にコンクリート体が設けられていることを特徴とする、建築物。 - 前記コンクリート体の先端面積が前記芯材の先端面積よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の建築物。
- 前記コンクリート体が、前記芯材に対して前記ソイルセメント内に埋設される前に設置されている、プレキャストコンクリート部材であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建築物。
- 前記芯材に第1スタッドジベルが取り付けられており、
前記コンクリート体の内部に前記第1スタッドジベルが埋設されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建築物。 - 前記コンクリート体の表面に凹凸が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建築物。
- 前記芯材の上方に第2スタッドジベルが接合され、前記第2スタッドジベルが前記地下部の側壁に埋設されることにより、前記側壁と前記ソイルセメント柱列式連続壁が接合されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建築物。
- 地盤内にあって建物の備える地下部の少なくとも側壁と、前記建物の周囲に設けられているソイルセメント柱列式連続壁とが接合されている、建築物の施工方法であって、
削孔内のソイルセメントの内部に、建物側の第1フランジと、前記建物と反対側の第2フランジと、ウェブとを備えるH形鋼により形成されている芯材を建て込むことにより、ソイルセメント柱列式連続壁を施工する、A工程と、
前記ソイルセメント柱列式連続壁の上端にあるソイルセメントを切削して、前記第1フランジの一部を露出させ、前記第1フランジの露出部に第2スタッドジベルを接合する、B工程と、
前記建物のうち、少なくとも前記第1フランジと当接する前記側壁を施工し、前記側壁に前記第2スタッドジベルを埋設することにより、前記地下部の少なくとも側壁と前記ソイルセメント柱列式連続壁とを相互に接合する、C工程と、を有し、
前記A工程において、前記芯材の建て込みに際して、前記芯材の下方にコンクリート体を設置しておくことを特徴とする、建築物の施工方法。 - 前記コンクリート体の先端面積が前記芯材の先端面積よりも大きいことを特徴とする、請求項7に記載の建築物の施工方法。
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JP2022038258A JP2023132748A (ja) | 2022-03-11 | 2022-03-11 | 建築物とその施工方法 |
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