JP2023132451A - 精子搬送容器および精子搬送容器に用いるインナーカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】精子を入れる採精用容器と、潜熱蓄熱材を備えこの採精用容器を収容するインナーカートリッジと、このインナーカートリッジを収容する外装容器とからなる精子搬送容器において、採精用容器あるいはインナーカートリッジの取り出しが容易な精子搬送容器を提供すること、また、このような精子搬送容器に用いるインナーカートリッジにおいて、採精用容器の取り出しが容易な精子搬送容器に用いるインナーカートリッジを提供することを目的とする。【解決手段】精子搬送容器100は、精子を入れておく採精用容器1と、潜熱蓄熱材21を備え、採精用容器1を収容するインナーカートリッジ2と、インナーカートリッジ2を収容する外装容器4と、外装容器4に収容された採精用容器1あるいはインナーカートリッジ2を付勢する弾性体3と、からなる。【選択図】 図2
Description
本発明は、潜熱蓄熱材を用いた精子搬送容器およびこの精子搬送容器に用いるインナーカートリッジに関する。詳しくは、精子を入れる採精用容器と、潜熱蓄熱材を用いてこの採精用容器を収容して保温するインナーカートリッジと、を備えた精子搬送容器およびこの精子搬送容器に用いるインナーカートリッジに関する。
難治性不妊の治療として、精子や卵子を体外に採取して治療する生殖補助治療(ART)が急速に発展し、広く普及している。日本においても治療件数は、年間45万人以上と推定される。なお、精液の中に精子が含まれていることから、「精子」と「精液」は厳密には異なる用語となるが、本願において「精子」と「精液」を使い分ける技術的な意義はあまりないので、「精子」という用語で統一して記載している。
治療の際、精子を採取する場所として、一般的にはクリニックか自宅ということになるが、クリニックで射精する行為は精神的負担が大きいという理由から、その半数程度は自宅で精子の採取が行われている。また、現在のコロナ禍においてクリニックの採精室の閉鎖が増え、自宅での精子採取も増えている。
このような事情から、精子を自宅で採取するニーズは、生殖補助治療の増加に伴って今後ますます増えていくことが十分に考えられる。そして、自宅で精子を採取した場合には、クリニックまでその精子を運んでくる必要がある。
その際、射精された人間の精子は、暑いと運動能力が低下し、寒いと死んでしまう精子が増えてしまうため、20~25℃という適切な温度環境で運搬することが望ましい。従って、適切な温度環境で運搬することが治療成績の向上につながることになる。
精子を運搬する際、現在実際に販売されるものとして、非特許文献1の採精用容器が知られている。この採精用容器は、精子を収容する内容器と、この内容器を覆う外容器との二層構造となっており、内容器と外容器との間を空気層とする構成となっている。また、この非特許文献1の採精用容器に関しては、特許文献1にも開示されており、詳細な内容が記載されている。
また、非特許文献2のような採精用容器も知られている。この採精用容器は、非特許文献1の採精用容器とは異なり、単に容器と蓋からなる簡単なものとなっている。また、非特許文献2の採精用容器に関しては、非特許文献3にあるように更にこの採精用容器を収容する保温容器を備えた構成の精子搬送容器も知られている。
その他に、特許文献2にある採精用容器も知られている。この採精用容器は特許文献1と同じように、内ケースと外ケースの二層構造の容器となっており内ケースと外ケースの間に、空気、蓄熱材、発熱材、保冷剤などが入る構成となっている。
このように様々な採精用容器が知られている中で、最適な温度環境で運搬する方法について検証した非特許文献4についても知られている。この文献の中では、真空断熱構造を有する保温容器に採精用容器を入れて搬送することが有益であることが述べられている。
また、本願の発明者においても特許文献4に記載している潜熱蓄熱材を使用する保温具について先に出願している。これは、精子を入れておくものとしてシリンジを用い、潜熱蓄熱材を用いたシート状の保温具でこのシリンジを包み込むというものである。また、この潜熱蓄熱材は、物質の相変化のエネルギーを利用して特定の温度を維持することのできる材料であり、発熱材や保冷材と異なり、季節に関係無く使用することができる。
そしてまた、本願の発明者も様々な採精用容器が知られている中で、最適な温度環境で運搬する方法について検証を行い、非特許文献5について発表を行った。具体的には、この非特許文献5において、非特許文献2のような精子を入れる採精用容器だけ、或いは、非特許文献3のような採精用容器を収容する保温容器を備えた構成の精子搬送用容器に比べて、採精用容器と、潜熱蓄熱材を備えこの採精用容器を収容して保温するインナーカートリッジと、このインナーカートリッジを収容する外装容器と、からなる精子搬送用容器を用いることが、精子の搬送に非常に有効であることを発表している。
株式会社北里コーポレーション「transporter S-高性能採精容器-」 検索日:令和4年2月22日〈https://www.kitazato.co.jp/ja/pdf/sperm/transporterS.pdf〉
株式会社ナカメディカル「採精用コンテナ」 検索日:令和4年2月22日〈http://www.nakamedical.co.jp/pdf_img/201409/ivf/cata_nm4370s.pdf〉
株式会社ナカメディカル「SEED POD」 検索日:令和4年2月22日〈http://www.nakamedical.co.jp/pdf_img/202012/cata_seedpod_2.pdf〉
「日本受精着床学会雑誌」2021 Vol.38 No.1 低温化における精子運動能低下を抑制する保温容器の検討(p.82-87)
第66回日本生殖医学会学術講演会・総会 開催日:令和3年11月11~12日 「潜熱蓄熱材を活用した精液保温器の温度維持機能の検証」筆頭発表者氏名:大林徹也(所属:鳥取大学研究推進機構)
このように、本願発明者が見出した精子の搬送として最適である、精子を入れる採精用容器と、潜熱蓄熱材を備えこの採精用容器を収容して保温するインナーカートリッジと、このインナーカートリッジを収容する外装容器と、からなる精子搬送容器による精子の搬送を実現するため、本願発明者は更にこの精子搬送容器の製品化を検討した。その中で、次のような問題が生じた。
非特許文献5に開示するような、インナーカートリッジを真空断熱容器や樹脂断熱容器などの筒状の外装容器に入れる構成とする精子搬送容器の場合、あまり大きな外装容器を用いると、クリニックへ持参する際の携帯が悪く、また製品がコスト高になるなど使用者への負担が増すことにもなる。
したがって、外装容器の大きさは、インナーカートリッジが入る程度の大きさが適している。しかし、このような大きさの外装容器を用いると、採精用容器やインナーカートリッジを取り出す際に取り出し難いという問題が生じた。
特に、採精用容器内の精子は非常に貴重なものなので、クリニックに持ち込まれた後、できるだけ無駄なく採精用容器から精子を回収する必要があるが、外装容器から採精用容器やインナーカートリッジを取り出す際に精子搬送容器が下向きに傾斜されたり、逆さまにされたりして、精子が採精用容器の蓋や容器の側面に無駄に付着してしまうとその後の回収が難しくなるという問題が生じる。この付着の問題は、外装容器と採精用容器やインナーカートリッジとの間に無駄に広い隙間があると、搬送時の振動によっても生じる。
そこで、本発明は、精子を入れる採精用容器と、潜熱蓄熱材を備えこの採精用容器を収容するインナーカートリッジと、このインナーカートリッジを収容する外装容器とからなる精子搬送容器において、採精用容器あるいはインナーカートリッジの取り出しが容易な精子搬送容器を提供することを目的とする。また、このような精子搬送容器に用いるインナーカートリッジにおいて、採精用容器の取り出しが容易な精子搬送容器に用いるインナーカートリッジを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の精子搬送容器は、精子を入れておく採精用容器と、潜熱蓄熱材を備え、前記採精用容器を収容するインナーカートリッジと、前記インナーカートリッジを収容する外装容器と、前記外装容器に収容された前記採精用容器あるいは前記インナーカートリッジを付勢する弾性体と、からなることを特徴とする。
本発明の精子搬送容器によれば、弾性体の付勢により採精用容器あるいはインナーカートリッジが上方に押し上げられて、外装容器内から採精用容器が取り出し易くなる。したがって、採精用容器を外装容器から取り出すときに、採精用容器が下向きや逆さまにならずに済むため、貴重な精子が、例えば採精用容器のキャップ裏側など、採精用容器内に無駄に付着して回収量が減少するという問題がない。また、弾性体の押圧により、外装容器と採精用容器との間に隙間が生じないので、搬送時の振動を抑制でき、採精用容器内での無駄な付着を低減することができる。また、採精用容器とインナーカートリッジとの密着性が高まるので、潜熱蓄熱材による保温効果がより高まることになる。
また、本発明の精子搬送容器は、前記外装容器が、本体と蓋とからなり、前記弾性体は、前記蓋が未装着の状態において、前記採精用容器の一部が前記本体から露出するように突出させることが好ましい。これにより、採精用容器を摘まみ易くなるので、確実に採精用容器を外装容器から取り出し易くなる。
また、本発明の精子搬送容器は、前記採精用容器の一部が前記インナーカートリッジから露出することが好ましい。これにより、外装容器からインナーカートリッジを取り出すことなく採精用容器のみを素早く、容易に取り出すことができる。
また、本発明の精子搬送容器は、前記潜熱蓄熱材を備える前記インナーカートリッジは、硬質な空洞体の中に前記潜熱蓄熱材が注入されて形成されていることが好ましい。これにより、温度変化による潜熱蓄熱材の体積変化が生じても、インナーカートリッジの形状が変わらないので、採精用容器をインナーカートリッジに収容する際に収容し易く、また、採精用容器との密着性も変わらない。
また、本発明のインナーカートリッジは、精子を入れておく採精用容器と、前記採精用容器を入れておく外装容器と、からなる精子搬送用容器に用いるインナーカートリッジであって、該インナーカートリッジは、潜熱蓄熱材を備え、前記採精用容器の一部を露出させて前記採精用容器を収容し、前記外装容器に収容されることを特徴とする。
本発明のインナーカートリッジによれば、外装容器に入った採精用容器を直接摘まんで取り出すことができる。また、採精用容器をインナーカートリッジに収容する際にも、インナーカートリッジから露出することになる採精用容器の露出箇所を摘まんだままで最後まで確実にインナーカートリッジに収容することができる。
以下、実施形態及び図面を参照にして本発明を実施するための形態を説明するが、以下に示す実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
[実施形態]
図1、図2を用いて、実施形態の精子搬送容器100の要部の構成を説明する。本実施形態の精子搬送容器100は、自宅で採取した精子をクリニックへ搬送する際の使用を想定したものである。具体的には、精子搬送容器100は、採精用容器1と、インナーカートリッジ2と、弾性体3と、外装容器4と、からなるものである。
図1、図2を用いて、実施形態の精子搬送容器100の要部の構成を説明する。本実施形態の精子搬送容器100は、自宅で採取した精子をクリニックへ搬送する際の使用を想定したものである。具体的には、精子搬送容器100は、採精用容器1と、インナーカートリッジ2と、弾性体3と、外装容器4と、からなるものである。
採精用容器1は、自宅で採取された精子(図示せず)を入れるための樹脂製の円形容器であり、上部11(キャップ部)と、下部12(本体部)とで構成されている。下部12に精子が入り、上部11によって閉じられる。この採精用容器1は、保温機能を特に必要としないので、使い捨てできるよう、本実施形態のようにできるだけ単純な構成で、低コストなものが好ましい。したがって、採精用容器1は、専用品であっても構わないが、非特許文献2にあるような市販の採精用容器を用いることもできる。なお、採精用容器1は、保温機能を特に必要としないが、保温機能を備えていてもよく、特許文献1(非特許文献や特許文献2の採精用容器を用いることもできる。また、採精用容器1は、100ml前後の大きさのものを用いることができる。
インナーカートリッジ2は、図1、図2に示すように、潜熱蓄熱材21が密閉されたコップ形の容器となっている。より具体的には、インナーカートリッジ2は、採精用容器1を収容できるコップ形をしており、内部に空洞が形成された硬質な空洞体24からなる。そして、この空洞体24の内部に潜熱蓄熱材21が充填されている。この潜熱蓄熱材21は、図2に示すように、空洞体24を形成する側壁22、底23に充填される。なお、底23には潜熱蓄熱材21を充填しない構成を採用することもできるが、保温性を考慮すると本実施形態のように、底23にも充填する構成が好ましい。
潜熱蓄熱材21は、物質の相変化のエネルギーを利用して特定の温度を維持することのできる材料であり、発熱材や保冷材と異なり、季節に関係無く使用することができるという利点がある。そして、人間の精子は、暑いと運動能力が低下し、寒いと死んでしまう精子が増えてしまうため、20℃~25℃という適切な温度環境で運搬することが望ましい。したがって、潜熱蓄熱材21は、20℃~25℃の保温を目標とするものであり、本実施形態では、融点が20℃の20℃対応ノルマルパラフィン系潜熱蓄熱材(例えば、株式会社スギヤマゲンのサーモストレージ20)を用いることができる。また、本実施形態では、60gの潜熱蓄熱材21を用いている。
なお、潜熱蓄熱材21は、温度によって固化したりゲル化したりする。このため、潜熱蓄熱材21を密封する空洞体24の材質は、本実施形態のように硬質なものが好ましい。これは、空洞体24を軟質なもので形成することも可能であるが、潜熱蓄熱材21の固化やゲル化に伴ってインナーカートリッジ2の形状が変形してしまうおそれがあるからであり、インナーカートリッジ2が変形すると、採精用容器1を収容し難くなったり、採精用容器1との密着性が落ちてしまったりするおそれがあるからである。
したがって、パネル24の材質としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、などが挙げられ、本実施形態では製造、コストの点から硬質のポリ塩化ビニル樹脂を使用している。
また、この空洞体24を製造する方法としては、融着成型、ブロー成型、回転成型、押出成形、などが挙げられ、生産量、価格、綺麗さなどを考慮して選択することができる。そして、この空洞体24の内部に加熱してゲル化あるいは液化された潜熱蓄熱材21が流し込まれ、流し口が封止されることにより、インナーカートリッジ2が製造される。
弾性体3は、図2に示すように、インナーカートリッジ2の底23と外装容器4との間に配置されて、インナーカートリッジ2を上方に付勢する。本実施形態の弾性体3は、図1に示すように、スポンジ状のものである。なお、弾性体3は、スポンジに限定するものではなく、インナーカートリッジ2を上方に付勢するものであればよく、ゴム状のものやバネ状の弾性体3を用いることもできる。
外装容器4は、採精用容器1を収容したインナーカートリッジ2を収容する容器であり、本体41と蓋42からなり、ねじの螺入によって蓋42が本体41に閉められる構造となっている。外装容器4としては、真空断熱や樹脂断熱などの保温性がある容器が好ましく、本実施形形態においては、外装容器4として、魔法瓶と呼ばれるような真空断熱構造の容器を用いている。
この点、図3、図4を用いて説明する。図3は冬季の使用を想定した比較実験の結果を示す表である。図4は夏季の使用を想定した比較実験の結果を示す表である。また、図3、4で示す1は真空断熱構造の外装容器を用いた本実施形態の精子搬送容器であり、2は樹脂製の外装容器を用いた本発明の精子搬送容器であり、3はインナーカートリッジ2を用いないで採精用容器を真空容器に収納しただけの比較例であり、4は採精用容器のみの比較例である。
図3の冬季を想定した実験結果から、1(真空断熱性外装容器)の本実施形態の精子搬送容器を用いると表に示す3時間を越えて4時間53分もの間20℃以上を保つことができた。したがって、遠く(例えば、隣接する県)のクリニックへ搬送するような場合でも十分な搬送時間を確保できる。また、2(樹脂製外装容器)の本発明の精子搬送容器を用いても1時間以上もの間20℃以上を保つことができるので、近くのクリニックへ搬送する程度であれば十分な搬送時間を確保することができる。
図2の夏季を想定した実験結果から、1(真空断熱性外装容器)の本実施形態の精子搬送容器を用いると表に示す3時間を越えて4時間25分もの間25℃以下に抑えることができた。したがって、遠く(例えば、隣接する県)のクリニックへ搬送するような場合でも十分な搬送時間を確保できる。また、2(樹脂製外装容器)の本発明の精子搬送容器を用いても他の3、4の比較例に比べると長い時間25℃以下に抑えることができた。
このように図3、4の結果を基に、外装容器4としては、真空断熱性の外装容器を用いることで冬季や夏季の過酷な環境下でも十分な搬送時間を確保することができる。
なお、外装容器4は、専用品であっても構わないが、市販の採精用容器を用いることもできる。特に真空断熱性の外装容器4は、最近様々なメーカから様々な製品が販売されていることから、市販品を用いることで精子搬送容器100のコストを抑えることができる。
[精子搬送容器100の組み立て]
図1の試作品の撮像を用いて精子搬送容器100の組み立て方法を説明する。図1の(S1)は精子搬送容器100の組み立て前を示す撮像である。まず、精子が入った採精用容器1がインナーカートリッジ2に収容される(S2)。次に、弾性体3が外装容器4に配置される(S3)。次にインナーカートリッジ2が外装容器4に挿入される(S4)。そして、外装容器4の蓋42が閉められる(図2のS11参照)。
図1の試作品の撮像を用いて精子搬送容器100の組み立て方法を説明する。図1の(S1)は精子搬送容器100の組み立て前を示す撮像である。まず、精子が入った採精用容器1がインナーカートリッジ2に収容される(S2)。次に、弾性体3が外装容器4に配置される(S3)。次にインナーカートリッジ2が外装容器4に挿入される(S4)。そして、外装容器4の蓋42が閉められる(図2のS11参照)。
[弾性体3の作用]
図2の(S11)に示すように、スポンジ状の弾性体3は、蓋42を閉めることによって潰されて押圧されるので、外装容器4の蓋42が閉じられた状態では、外装容器4とインナーカートリッジ2を離間する方向に付勢した状態になっている。このために、図2の(S12)に示すように、外装容器4の蓋42が開かれると、弾性体3の付勢力によって採精用容器1を収納しているインナーカートリッジ2が上方に押し上げられることになる。
図2の(S11)に示すように、スポンジ状の弾性体3は、蓋42を閉めることによって潰されて押圧されるので、外装容器4の蓋42が閉じられた状態では、外装容器4とインナーカートリッジ2を離間する方向に付勢した状態になっている。このために、図2の(S12)に示すように、外装容器4の蓋42が開かれると、弾性体3の付勢力によって採精用容器1を収納しているインナーカートリッジ2が上方に押し上げられることになる。
この時、本実施形態においては、採精用容器1の上部11が外装容器4の本体41の上端43から露出する程度に突出(図2のS12のL)させる弾性体3を用いている。したがって、この突出した部分を指や鉗子などで摘まむことができるので、採精用容器1を外装容器4から簡単に取り出すことができる。
なお、この時、本実施形態とは異なり、採精用容器1が収納されたインナーカートリッジ2の上部が、外装容器4の本体41の上端43から露出するように突出させる弾性体3を用いることもできる。この場合、インナーカートリッジ2の露出した上部を摘まんで外装容器4から取り出すこともできる。
また、本実施形態の精子搬送容器100は、採精用容器1の上部11がインナーカートリッジ2から露出するように突出した状態で採精用容器1が収納されているので、インナーカートリッジ2を外装容器4から取り出すことなく、採精用容器1のみを外装容器4から素早く取り出すこともできる。また、採精用容器1の一部がインナーカートリッジ2から露出する構成は、採精用容器1をインナーカートリッジ2に収容する際に、インナーカートリッジ1から露出する露出箇所を摘まんだままで最後まで確実にインナーカートリッジ2に収容することができるので、過剰に心配し易くなりやすい精子の搬送作業において、使用者の不安を少しでも抑えることになる。
このように本実施形態の精子搬送容器100は、突出した採精用容器1の上部11を摘まんで取り出すことができるので、精子搬送容器100を傾けたり逆さまにしたりしなくても、採精用容器1を取り出すことができる。したがって、貴重な精子が採精用容器1の上部11(キャップ部の裏側)や、下部12の側面(本体部の側面上方)に付着して回収量が減少するというようなことも生じ難い。また、採精用容器1を突出させて取り出すことができるので、取り出し易さを考慮して大型の外装容器を用いなくとも、採精用容器1を収容できる程度の小型の外装容器4を用いることができるので、精子搬送容器100のコストを抑えることができ、また持ち運びも非常に容易となる。
また、例えば、市販品の外装容器4を用いる場合には、メーカによって外装容器4の深さにも違いがある。このような深さの異なる外装容器4に対応する方法として、インナーカートリッジ2の高さを変更しなくても、外装容器4とインナーカートリッジ2の間に入れられた弾性体3の高さを変えるだけでよい。また、本実施形態のスポンジ状の弾性体3であれば、外装容器4の大きさに併せて切断することで高さ方向以外の大きさを調整することも容易に行うことができる。
また、本実施形態の精子搬送容器100は、潜熱蓄熱材21を備えたインナーカートリッジ2を用い、このインナーカートリッジ2に採精用容器1を収容する構成となっている。したがって、インナーカートリッジ2に収容される採精用容器1そのものに保温機能は特に必要とされない。したがって、採精用容器1の構成を簡単にできることから、特許文献1(非特許文献1)や特許文献2の採精用容器のように、内ケースと外ケースの二層構造の容器にする必要もないため、採精用容器1そのもののコストを抑えることができる。したがって、採精用容器1の使い捨てをより簡単に実現することもできる。
なお、本実施形態では、弾性体3がインナーカートリッジ2を直接付勢することで、採精用容器1の上部11を外装容器4から突出させていたが、弾性体3がインナーカーリッジ2ではなく採精用容器1を付勢する構成としてもよい。具体的には、例えば、インナーカーカートリッジ2の底23に開口部を設けておき、その開口部の大きさに収まる大きさの弾性体3を用いることで、採精用容器1を弾性体3で直接付勢することができる。
また、本実施形態においては、インナーカートリッジ2と弾性体3は別体となっているが、必ずしも別体である必要はない。例えば、インナーカートリッジ2の底23に弾性体3を接着して取り付けたり、インナーカートリッジ2の底23に弾性体3となる弾性片を設けておいたりすることで、インナーカートリッジ2と弾性体3を一体に形成してもよい。
100:精子搬送容器
1:採精用容器
11:上部
12:下部
2:インナーカートリッジ
21:潜熱蓄熱材
24:空洞体
3:弾性体
4:外装容器
41:本体
42:蓋
43:上端
1:採精用容器
11:上部
12:下部
2:インナーカートリッジ
21:潜熱蓄熱材
24:空洞体
3:弾性体
4:外装容器
41:本体
42:蓋
43:上端
Claims (5)
- 精子を入れておく採精用容器と、
潜熱蓄熱材を備え、前記採精用容器を収容するインナーカートリッジと、
前記インナーカートリッジを収容する外装容器と、
前記外装容器に収容された前記採精用容器あるいは前記インナーカートリッジを付勢する弾性体と、
からなることを特徴とする精子搬送容器。 - 前記外装容器は、本体と蓋とからなり、
前記弾性体は、前記蓋が未装着の状態において、前記採精用容器の一部が前記本体から露出するように突出させることを特徴とする請求項1に記載の精子搬送容器。 - 前記採精用容器の一部が前記インナーカートリッジから露出することを特徴とする請求項1に記載の精子搬送容器。
- 前記潜熱蓄熱材を備える前記インナーカートリッジは、硬質な空洞体の中に前記潜熱蓄熱材が注入されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の精子搬送容器。
- 精子を入れておく採精用容器と、前記採精用容器を入れておく外装容器と、からなる精子搬送用容器に用いるインナーカートリッジであって、
該インナーカートリッジは、
潜熱蓄熱材を備え、
前記採精用容器の一部を露出させて前記採精用容器を収容し、前記外装容器に収容されることを特徴とする精子搬送用容器に用いるインナーカートリッジ
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022037787A JP2023132451A (ja) | 2022-03-11 | 2022-03-11 | 精子搬送容器および精子搬送容器に用いるインナーカートリッジ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022037787A JP2023132451A (ja) | 2022-03-11 | 2022-03-11 | 精子搬送容器および精子搬送容器に用いるインナーカートリッジ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023132451A true JP2023132451A (ja) | 2023-09-22 |
Family
ID=88065140
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022037787A Pending JP2023132451A (ja) | 2022-03-11 | 2022-03-11 | 精子搬送容器および精子搬送容器に用いるインナーカートリッジ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023132451A (ja) |
-
2022
- 2022-03-11 JP JP2022037787A patent/JP2023132451A/ja active Pending
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