JP2023132196A - 情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム - Google Patents

情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】良好な品質の被加工物を得ることができる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを得る。
【解決手段】情報処理装置10は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、設定された加工条件に応じて加工される被加工物の品質に相関する要素に関する動的な状態変数であって、第1時点における状態変数と、第1時点における加工条件と、を取得し、第1時点における状態変数及び加工条件に基づいて、第1時点よりも後の第2時点における状態変数を予測し、予測した第2時点における状態変数に基づいて、被加工物の予め定められた目標品質を達成するために要する第2時点における加工条件を導出する。
【選択図】図5

Description

本開示は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
従来、被加工物の加工条件を最適化することによって、被加工物の品質を向上させる技術が知られている。例えば、特許文献1には、工作機械に関する状態データと、工作物の精度データと、によって学習された学習済み機械学習モデルを用いて、ある時点における状態データから、工作機械に対する指令データを決定することが開示されている。
特開2021-057030号公報
ところで、被加工物を加工するための工具等の状態は、動的に変動する場合がある。工具等の状態が変動すると被加工物の品質にも影響を与え得るため、動的に変動する工具等の状態を考慮して、被加工物の品質をより向上できる技術が要望されている。
本開示は、良好な品質の被加工物を得ることができる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
本開示の第1の態様は、情報処理装置であって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、設定された加工条件に応じて加工される被加工物の品質に相関する要素に関する動的な状態変数であって、第1時点における状態変数と、第1時点における加工条件と、を取得し、第1時点における状態変数及び加工条件に基づいて、第1時点よりも後の第2時点における状態変数を予測し、予測した第2時点における状態変数に基づいて、被加工物の予め定められた目標品質を達成するために要する第2時点における加工条件を導出する。
上記第1の態様において、プロセッサは、入力を第1時点における状態変数及び加工条件とし、出力を第2時点における状態変数とするよう学習された学習済モデルを用いて、第2時点における状態変数を予測してもよい。
上記第1の態様において、プロセッサは、第1時点における状態変数及び加工条件に基づいて、第2時点における被加工物の品質を予測し、予測した第2時点における被加工物の品質と、目標品質と、の差に応じて算出される評価値を最小化するような加工条件を導出してもよい。
上記第1の態様において、プロセッサは、入力を第1時点における状態変数及び加工条件とし、出力を第2時点における被加工物の品質とするよう学習された学習済モデルを用いて、第2時点における被加工物の品質を予測してもよい。
上記第1の態様において、第2時点は、第1時点における被加工物に予め定められた量の加工を施した後の時点であってもよい。
上記第1の態様において、第2時点は、第1時点から予め定められた期間が経過した時点であってもよい。
上記第1の態様において、プロセッサは、第2時点における状態変数と、第2時点における加工条件と、を取得し、第2時点における状態変数及び加工条件に基づいて、第2時点よりも後の第3時点における状態変数を予測し、予測した第3時点における状態変数に基づいて、目標品質を達成するために要する第3時点における加工条件を導出してもよい。
上記第1の態様において、プロセッサは、導出した加工条件に応じて被加工物を加工する制御を行ってもよい。
上記第1の態様において、被加工物は、略円筒形であり、回転しながら加工されるものであってもよい。
上記第1の態様において、被加工物は、略円筒形であり、被加工物の加工に用いる工具が回転しながら被加工物を加工するものであってもよい。
上記第1の態様において、被加工物は、刃物であり、被加工物の加工は、砥石を用いて刃物を研削する研削加工であり、加工条件は、砥石の回転数、切込量、切込時間、切込速度及び切込回数、刃物を支持する支持体の回転数、並びに砥石と支持体の相対速度のうち少なくとも1つを含むものであってもよい。
上記第1の態様において、被加工物は、刃物であり、被加工物の加工は、砥石を用いて刃物を研削する研削加工であり、状態変数は、砥石の駆動モータ負荷、刃物を支持する支持体の駆動モータ負荷、支持体の軸振動及び軸アコースティックエミッション、並びに研削液温度のうち少なくとも1つを含むものであってもよい。
上記第1の態様において、被加工物は、刃物であり、被加工物の加工は、砥石を用いて刃物を研削する研削加工であり、被加工物の品質は、刃物の刃先に関するチッピングの大きさ及び数、刃先端半径、並びに面粗度のうち少なくとも1つを含むものであってもよい。
本開示の第2の態様は、情報処理方法であって、設定された加工条件に応じて加工される被加工物の品質に相関する要素に関する動的な状態変数であって、第1時点における状態変数と、第1時点における加工条件と、を取得し、第1時点における状態変数及び加工条件に基づいて、第1時点よりも後の第2時点における状態変数を予測し、予測した第2時点における状態変数に基づいて、被加工物の予め定められた目標品質を達成するために要する第2時点における加工条件を導出する処理を含む。
本開示の第3の態様は、情報処理プログラムであって、設定された加工条件に応じて加工される被加工物の品質に相関する要素に関する動的な状態変数であって、第1時点における状態変数と、第1時点における加工条件と、を取得し、第1時点における状態変数及び加工条件に基づいて、第1時点よりも後の第2時点における状態変数を予測し、予測した第2時点における状態変数に基づいて、被加工物の予め定められた目標品質を達成するために要する第2時点における加工条件を導出する処理をコンピュータに実行させるためのものである。
上記態様によれば、本開示の情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムは、良好な品質の被加工物を得ることができる。
制御システムの概略構成図である。 加工方法、工具及び被加工物の組合せの具体例を示す図である。 円筒研削盤の概略構成図である。 情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 情報処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。 刃先端半径を説明するための図である。 情報の入出力を説明するための図である。 状態変数予測モデルの学習データの一例である。 品質予測モデルの学習データの一例である。 目標品質の一例である。 最適加工条件データの一例である。 実施例に係る品質を示す図である。 情報処理の一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。まず、図1を参照して、本実施形態に係る制御システム1の構成の一例について説明する。図1に示すように、制御システム1は、情報処理装置10と、工具2と、被加工物4と、を含む。
工具2は、被加工物4を加工するための工具、工作機械及び道具等である。被加工物4の加工とは、例えば、研削加工及び切削加工等の各種機械加工である。研削加工とは、例えば、円筒研削、平面研削、内面研削、心なし研削、ねじ研削、歯車研削、ならい研削及び切断等であってもよい。切削加工とは、例えば、旋削、穴あけ、中ぐり、フライス削り、平削り、形削り、立削り、ブローチ削り及びのこ引き等であってもよい。図2に、被加工物4の加工方法、並びに工具2及び被加工物4の組合せの具体例を示す。
図3に、砥石2Aを用いて略円筒形の刃物4Bを研削する円筒研削盤6の概略構成を示す。円筒研削盤6では、砥石2Aを刃物4Bに当てることで、刃物4Bの研削が行われる。この際、砥石2Aは回転軸Aを軸として矢印a方向に回転され、刃物4Bは回転軸Bを軸として矢印b方向に回転駆動する支持体2Bに支持される。すなわち、刃物4B(支持体2B)は回転しながら加工され、砥石2Aは回転しながら刃物4Bを加工する。支持体2B及び砥石2Aは、それぞれ駆動モータ(不図示)によって回転駆動される。
また、円筒研削盤6においては、砥石2A及び/又は支持体2Bが、支持体2Bの回転軸Bの方向(図3のx方向)に移動することによって、刃物4Bの全体が加工されてもよい(所謂トラバース加工)。また、円筒研削盤6においては、研削液を用いた湿式研削が行われてもよい。
情報処理装置10は、砥石2A及び支持体2Bに関する各種の加工条件を設定し、砥石2A及び支持体2Bの動作を制御する。すなわち、刃物4Bは、情報処理装置10により設定された加工条件に応じて加工される。刃物4Bが被加工物4の一例であり、砥石2A及び支持体2Bが工具2の一例である。
ところで、工具2の状態は、情報処理装置10により設定された加工条件に応じて動的に変動する場合がある。工具2の状態が変動すると、被加工物4の品質に影響を与える場合がある。そこで、本実施形態に係る情報処理装置10は、良好な品質の被加工物4を得るために、動的に変動する工具2の状態が考慮された加工条件を用いて工具2を制御する。以下、本実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例について説明する。
まず、図4を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成の一例を説明する。図4に示すように、情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)21、不揮発性の記憶部22、及び一時記憶領域としてのメモリ23を含む。また、情報処理装置10は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ24、キーボード及びマウス等の入力部25、並びにネットワークI/F(Interface)26を含む。ネットワークI/F26は、工具2との有線又は無線通信を行う。CPU21、記憶部22、メモリ23、ディスプレイ24、入力部25及びネットワークI/F26は、システムバス及びコントロールバス等のバス28を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。記憶部22には、情報処理装置10における情報処理プログラム27が記憶される。CPU21は、記憶部22から情報処理プログラム27を読み出してからメモリ23に展開し、展開した情報処理プログラム27を実行する。CPU21が本開示のプロセッサの一例である。情報処理装置10としては、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ及びスマートフォン等の各種コンピュータを適用できる。
次に、図5を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の機能的な構成の一例について説明する。図5に示すように、情報処理装置10は、取得部30、第1予測部32、第2予測部34、導出部36及び制御部38を含む。CPU21が情報処理プログラム27を実行することにより、取得部30、第1予測部32、第2予測部34、導出部36及び制御部38として機能する。
取得部30は、第1時点における状態変数X1と、第1時点における加工条件Y1と、を取得する。「状態変数」とは、被加工物4の品質に相関する要素に関する動的な変数である。例えば、取得部30は、砥石2A及び支持体2B等の工具2に備えられたセンサ(不図示)によって得られる状態変数X1を取得してもよい。また例えば、第1時点が加工の開始時点の場合、取得部30は、加工条件Y1として予め定められている初期条件を取得してもよい。
状態変数X1は、図3の円筒研削盤6の場合、例えば、砥石2Aを回転駆動させるための駆動モータの負荷、支持体2Bを回転駆動させるための駆動モータの負荷、支持体2Bの軸振動及び軸アコースティックエミッション(AE:Acoustic Emission)、並びに研削液の温度等である。砥石2A及び支持体2Bの駆動モータの負荷は、例えばサンプリング単位ごとの平均値で表されてもよい。支持体2Bの軸振動及び軸AEは、例えばある周波数における強度平均で表されてもよい。
加工条件Y1は、図3の円筒研削盤6の場合、例えば、砥石2Aの回転数、砥石2Aの刃物4Bに対する切込量、切込時間、切込速度及び切込回数のうち少なくとも1つであってもよい。また例えば、支持体2Bの回転数、並びに砥石2Aと支持体2Bの回転軸Bの方向(図3のx方向)における相対速度のうち少なくとも1つであってもよい。砥石2A及び支持体2Bの回転数は、例えば単位時間あたりの回転数及び/又は回転距離で表されてもよい。
品質Z1は、図3の円筒研削盤6の場合、例えば、刃物4Bの刃先に関するチッピングの大きさ及び数、刃先端半径R、並びに面粗度のうち少なくとも1つである。チッピングの大きさ及び数は、例えば任意に抽出した領域に含まれるチッピングの大きさ及び数で表されてもよいし、単位面積あたりのチッピングの大きさ及び数の平均値、中央値、最小値及び最大値等の代表値で表されてもよい。図6に、図3の破線で囲った領域ROにおける刃物4Bのxy平面における断面図を示す。図6には刃先端半径Rを例示している。なお、刃先端半径Rは、各刃物4Bの先端の曲率半径の平均値、中央値、最小値及び最大値等の代表値で表されてもよい。面粗度は、例えば算術平均粗さRa及び表面粗さRz等で表されてもよい。
図7を参照して、第1予測部32、第2予測部34及び導出部36の機能について説明する。図7では、各機能部への入力及び出力を図示している。
第1予測部32は、取得部30により取得された第1時点における状態変数X1及び加工条件Y1に基づいて、第1時点よりも後の第2時点における状態変数の予測値Xp2を予測する。なお、第2時点は、第1時点からの被加工物4の加工量及び/又は経過時間で定められてもよい。例えば、第2時点は、第1時点における被加工物4に予め定められた量(例えば2μm)の加工を施した後の時点であってもよい。また例えば、第2時点は、第1時点から予め定められた期間(例えば2秒)が経過した時点であってもよい。
具体的には、第1予測部32は、入力を第1時点における状態変数X1及び加工条件Y1とし、出力を第2時点における状態変数の予測値Xp2とするよう学習された状態変数予測モデルM1を用いて、第2時点における状態変数の予測値Xp2を予測してもよい。状態変数予測モデルM1は、例えばCNN(Convolutional Neural Network)及びRNN(Recurrent Neural Network)等のニューラルネットワークを含む。
図8に、状態変数予測モデルM1の学習データの一例を示す。図8に示すように、状態変数予測モデルM1の学習データは、ある時点tにおける加工条件Yt及び状態変数Xtと、ある時点tよりも後の時点t+1における状態変数Xt+1と、の実績データを含む。すなわち、状態変数予測モデルM1の学習データは、ある時点tにおいて加工条件に応じた加工が実行された場合、その後の時点t+1までに状態変数がどのように変動したかを示すデータである。なお、ある時点tとその後の時点t+1との間隔は、第1時点と第2時点との間隔と同じである。また、支持体の軸AEは、120kHzにおけるAEの強度平均の値であり、以下の図9、11~12についても同様である。
第2予測部34は、取得部30により取得された第1時点における状態変数X1及び加工条件Y1に基づいて、第2時点における被加工物4の品質の予測値Zp2を予測する。具体的には、第2予測部34は、入力を第1時点における状態変数X1及び加工条件Y1とし、出力を第2時点における被加工物4の品質の予測値Zp2とするよう学習された品質予測モデルM2を用いて、第2時点における被加工物4の品質の予測値Zp2を予測してもよい。品質予測モデルM2は、例えばCNN及びRNN等のニューラルネットワークを含む。
図9に、品質予測モデルM2の学習データの一例を示す。図9に示すように、品質予測モデルM2の学習データは、ある時点tにおける加工条件Yt及び状態変数Xtと、ある時点tよりも後の時点t+1における被加工物4の品質Zt+1と、の実績データを含む。すなわち、品質予測モデルM2の学習データは、ある時点tにおいて状態変数Xtである工具2により、加工条件Ytに応じた加工が実行された場合、その後の被加工物4の品質がどのようであったかを示すデータである。
導出部36は、第1予測部32により予測された第2時点における状態変数の予測値Xp2に基づいて、被加工物4の予め定められた目標品質Zrを達成するために要する第2時点における加工条件Y2を導出する。図10に、予め定められた目標品質Zrの一例を示す。目標品質Zrは、例えば記憶部22等に予め記憶されていてもよいし、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
図11に、ある時点tにおける工具2の状態変数がXtである場合に、目標品質Zrを満たすような良好な品質Ztが得られる加工条件Ytが予め定められた最適加工条件データの一例を示す。導出部36は、第1予測部32により予測された第2時点における状態変数の予測値Xp2を、最適加工条件データに照合することによって、第2時点において良好な品質が得られそうな加工条件Y2を導出してもよい。最適加工条件データは、例えば記憶部22等に予め記憶されていてもよい。
また、導出部36は、第2予測部34により予測された第2時点における被加工物4の品質の予測値Zp2と、目標品質Zrと、の差に応じて算出される評価値を最小化するような加工条件Y2を導出してもよい。例えば、被加工物4の品質は、加工にかかる所要時間とトレードオフの関係にある場合がある。そこで、導出部36は、被加工物4の品質及び加工にかかる所要時間を変数として算出される評価値を用い、被加工物4の品質の予測値Zp2が目標品質Zrを満たす範囲で、加工にかかる所要時間もできるだけ短くできるような加工条件Y2を導出してもよい。
制御部38は、導出部36により導出された加工条件Y2に応じて被加工物4を加工するよう工具2の制御を行う。
また、制御部38は、上記の取得部30、第1予測部32、第2予測部34及び導出部36による処理を繰り返し行うよう制御してもよい。具体的には、取得部30は、第2時点における状態変数X2と、導出部36により導出された第2時点における加工条件Y2と、を取得してもよい。第1予測部32は、取得部30により取得された第2時点における状態変数X2及び加工条件Y2に基づいて、第2時点よりも後の第3時点における状態変数の予測値Xp3を予測してもよい。第2予測部34は、取得部30により取得された第2時点における状態変数X2及び加工条件Y2に基づいて、第3時点における被加工物4の品質の予測値Zp3を予測してもよい。導出部36は、第1予測部32により予測された第3時点における状態変数の予測値Xp3に基づいて、目標品質Zrを達成するために要する第3時点における加工条件Y3を導出してもよい。
なお、第3時点は、第2時点からの被加工物4の加工量及び/又は経過時間で定められてもよい。例えば、第3時点は、第2時点における被加工物4に予め定められた量(例えば2μm)の加工を施した後の時点であってもよい。また例えば、第3時点は、第2時点から予め定められた期間(例えば2秒)が経過した時点であってもよい。
第4時点以降も同様に、被加工物4の加工が完了するまで、制御部38は、取得部30、第1予測部32、第2予測部34及び導出部36による処理を繰り返し行うよう制御してもよい。また、制御部38は、加工の開始時点からの加工量が予め定められた量(例えば20μm)を満たした場合に、被加工物4の加工が完了したと判定してもよい。
(実施例)
図12に、本実施形態に係る情報処理装置10によって導出された加工条件に応じて加工された被加工物4の品質の結果を示す。また、図12には比較例として、ユーザが任意に設定した加工条件に応じて加工された被加工物4の品質の結果も示している。図12から、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、被加工物4の品質を向上できていることが分かる。
次に、図13を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の作用を説明する。情報処理装置10において、CPU21が情報処理プログラム27を実行することによって、図13に示す情報処理が実行される。情報処理は、例えば、ユーザにより入力部25を介して実行開始の指示があった場合に実行される。
ステップS10で、制御部38は、時点tを1に設定する。ステップS12で、取得部30は、第t時点(第1時点)における状態変数Xt(X1)と、加工条件Yt(Y1)と、を取得する。ステップS14で、第1予測部32は、ステップS12で取得された状態変数Xt(X1)及び加工条件Yt(Y1)に基づいて、第t+1時点(第2時点)における状態変数の予測値Xpt+1(Xp2)を予測する。ステップS16で、第2予測部34は、ステップS12で取得された状態変数Xt(X1)及び加工条件Yt(Y1)に基づいて、第t+1時点(第2時点)における被加工物の品質の予測値Zpt+1(Zp2)を予測する。
ステップS18で、導出部36は、ステップS14で予測された状態変数の予測値Xpt+1(Xp2)に基づいて、第t+1時点(第2時点)における加工条件Yt+1(Y2)を導出する。この場合、導出部36は、ステップS16で予測された被加工物の品質の予測値Zpt+1(Zp2)と、目標品質Zrと、の差に応じて算出される評価値を最小化するような加工条件Yt+1(Y2)を導出してもよい。ステップS20で、制御部38は、ステップS18で導出された加工条件Yt+1(Y2)に応じて被加工物を加工するよう制御を行う。
ステップS22で、制御部38は、被加工物の加工が完了したか否かを判定する。被加工物の加工が完了していない場合(ステップS22がN)、ステップS24に移行し、制御部38は、時点tをインクリメント(tを1増加)して、ステップS12~S22の処理を繰り返す。一方、被加工物の加工が完了した場合(ステップS22がY)、本情報処理を終了する。
以上説明したように、本開示の一態様に係る情報処理装置10は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、設定された加工条件に応じて加工される被加工物の第1時点における品質に相関する要素に関する動的な状態変数と、第1時点における加工条件と、を取得し、第1時点における状態変数及び加工条件に基づいて、第1時点よりも後の第2時点における状態変数を予測し、予測した第2時点における状態変数に基づいて、被加工物の予め定められた目標品質を達成するために要する第2時点における加工条件を導出する。すなわち、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、動的に変動する工具2の状態が考慮された加工条件を用いて工具2を制御できるので、被加工物の品質を向上できる。
なお、上記実施形態においては、導出部36が、第2予測部34により予測された被加工物4の品質の予測値Zp2を用いて、加工条件を導出する形態について説明したが、これに限らない。例えば、各種センサによって被加工物4の品質をリアルタイムで実測可能な場合、導出部36は、第2予測部34により予測された被加工物4の品質の予測値Zp2に代えて、被加工物4の品質の実測値を用いて、加工条件を導出してもよい。この場合、情報処理装置10は第2予測部34の機能を備えていなくてもよい。
また、上記実施形態においては、第1予測部32及び第2予測部34がCNN及びRNN等の学習モデルを用いて、第2時点における状態変数の予測値Xp2及び品質の予測値Zp2を予測する形態について説明したが、これに限らない。例えば、第1予測部32は、ある時点tにおける状態変数Xt及び加工条件Ytと、その後の時点t+1における状態変数Xt+1と、の相関データを用いて、第2時点における状態変数の予測値Xp2を予測してもよい。また例えば、第2予測部34は、ある時点tにおける状態変数Xt及び加工条件Ytと、その後の時点t+1における被加工物4の品質Zt+1と、の相関データを用いて、第2時点における被加工物4の品質の予測値Zp2を予測してもよい。これらの相関データは、例えば予め導出されて、記憶部22に記憶されていてもよい。
また、上記実施形態において、例えば、取得部30、第1予測部32、第2予測部34、導出部36及び制御部38といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
また、上記実施形態では、情報処理プログラム27が記憶部22に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム27は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラム27は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。さらに、本開示の技術は、情報処理プログラムに加えて、情報処理プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
本開示の技術は、上記実施形態例及び実施例を適宜組み合わせることも可能である。以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。
1 制御システム
2 工具
2A 砥石
2B 支持体
4 被加工物
4B 刃物
6 円筒研削盤
10 情報処理装置
21 CPU
22 記憶部
23 メモリ
24 ディスプレイ
25 入力部
26 ネットワークI/F
27 情報処理プログラム
28 バス
30 取得部
32 第1予測部
34 第2予測部
36 導出部
38 制御部
A、B 回転軸
M1 状態変数予測モデル
M2 品質予測モデル
R 刃先端半径
RO 領域

Claims (15)

  1. 少なくとも1つのプロセッサを備え、
    前記プロセッサは、
    設定された加工条件に応じて加工される被加工物の品質に相関する要素に関する動的な状態変数であって、第1時点における前記状態変数と、前記第1時点における前記加工条件と、を取得し、
    前記第1時点における前記状態変数及び前記加工条件に基づいて、前記第1時点よりも後の第2時点における前記状態変数を予測し、
    予測した前記第2時点における前記状態変数に基づいて、前記被加工物の予め定められた目標品質を達成するために要する前記第2時点における前記加工条件を導出する
    情報処理装置。
  2. 前記プロセッサは、
    入力を前記第1時点における前記状態変数及び前記加工条件とし、出力を前記第2時点における前記状態変数とするよう学習された学習済モデルを用いて、前記第2時点における前記状態変数を予測する
    請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記プロセッサは、
    前記第1時点における前記状態変数及び前記加工条件に基づいて、前記第2時点における前記被加工物の品質を予測し、
    予測した前記第2時点における前記被加工物の品質と、前記目標品質と、の差に応じて算出される評価値を最小化するような前記加工条件を導出する
    請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
  4. 前記プロセッサは、
    入力を前記第1時点における前記状態変数及び前記加工条件とし、出力を前記第2時点における前記被加工物の品質とするよう学習された学習済モデルを用いて、前記第2時点における前記被加工物の品質を予測する
    請求項3に記載の情報処理装置。
  5. 前記第2時点は、前記第1時点における前記被加工物に予め定められた量の加工を施した後の時点である
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。
  6. 前記第2時点は、前記第1時点から予め定められた期間が経過した時点である
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。
  7. 前記プロセッサは、
    前記第2時点における前記状態変数と、前記第2時点における前記加工条件と、を取得し、
    前記第2時点における前記状態変数及び前記加工条件に基づいて、前記第2時点よりも後の第3時点における前記状態変数を予測し、
    予測した前記第3時点における前記状態変数に基づいて、前記目標品質を達成するために要する前記第3時点における前記加工条件を導出する
    請求項1から請求項6の何れか1項に記載の情報処理装置。
  8. 前記プロセッサは、
    導出した前記加工条件に応じて前記被加工物を加工する制御を行う
    請求項1から請求項7の何れか1項に記載の情報処理装置。
  9. 前記被加工物は、略円筒形であり、回転しながら加工される
    請求項1から請求項8の何れか1項に記載の情報処理装置。
  10. 前記被加工物は、略円筒形であり、
    前記被加工物の加工に用いる工具が回転しながら前記被加工物を加工する
    請求項1から請求項9の何れか1項に記載の情報処理装置。
  11. 前記被加工物は、刃物であり、
    前記被加工物の加工は、砥石を用いて前記刃物を研削する研削加工であり、
    前記加工条件は、前記砥石の回転数、切込量、切込時間、切込速度及び切込回数、前記刃物を支持する支持体の回転数、並びに前記砥石と前記支持体の相対速度のうち少なくとも1つを含む
    請求項9又は請求項10に記載の情報処理装置。
  12. 前記被加工物は、刃物であり、
    前記被加工物の加工は、砥石を用いて前記刃物を研削する研削加工であり、
    前記状態変数は、前記砥石の駆動モータ負荷、前記刃物を支持する支持体の駆動モータ負荷、前記支持体の軸振動及び軸アコースティックエミッション、並びに研削液温度のうち少なくとも1つを含む
    請求項9から請求項11の何れか1項に記載の情報処理装置。
  13. 前記被加工物は、刃物であり、
    前記被加工物の加工は、砥石を用いて前記刃物を研削する研削加工であり、
    前記被加工物の品質は、前記刃物の刃先に関するチッピングの大きさ及び数、刃先端半径、並びに面粗度のうち少なくとも1つを含む
    請求項1から請求項12の何れか1項に記載の情報処理装置。
  14. 設定された加工条件に応じて加工される被加工物の品質に相関する要素に関する動的な状態変数であって、第1時点における前記状態変数と、前記第1時点における前記加工条件と、を取得し、
    前記第1時点における前記状態変数及び前記加工条件に基づいて、前記第1時点よりも後の第2時点における前記状態変数を予測し、
    予測した前記第2時点における前記状態変数に基づいて、前記被加工物の予め定められた目標品質を達成するために要する前記第2時点における前記加工条件を導出する
    処理を含む情報処理方法。
  15. 設定された加工条件に応じて加工される被加工物の品質に相関する要素に関する動的な状態変数であって、第1時点における前記状態変数と、前記第1時点における前記加工条件と、を取得し、
    前記第1時点における前記状態変数及び前記加工条件に基づいて、前記第1時点よりも後の第2時点における前記状態変数を予測し、
    予測した前記第2時点における前記状態変数に基づいて、前記被加工物の予め定められた目標品質を達成するために要する前記第2時点における前記加工条件を導出する
    処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
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