JP2023132174A - 充填材、構造体及び構造体の製造方法 - Google Patents

充填材、構造体及び構造体の製造方法 Download PDF

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孝一 刈茅
Koichi Karikaya
健夫 黒田
Takeo Kuroda
朱音 齊藤
Akane Saito
英一 吉田
Hidekazu Yoshida
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Abstract

【課題】充填した箇所及びその周囲を緻密化し、構造物を長期に安定した状態に保持することができる充填材を提供する。【解決手段】本発明に係る充填材は、硬化性成分と、発泡剤と、陽イオン又は陰イオンを放出可能なイオン放出性化合物とを含む充填材であり、前記イオン放出性化合物が、難水溶性塩を生成可能であり、前記充填材が発泡可能である。【選択図】図1

Description

本発明は、構造物に用いることができる充填材に関する。また、本発明は、充填材を用いた構造体、及び充填材を用いる構造体の製造方法に関する。
トンネル、地下鉄、地下商店街、及び地下通路等の地下構造物は、地下空間の開発とともに増加している。ここで、地下構造物を建造する際に、コンクリートの硬化や乾燥に伴いコンクリートが収縮した場合には、地下構造物とその背面の地盤との間に、空洞が生じることがある。また、地震等の外部応力や、地下水の減少に伴う地盤沈下等によっても、地下構造物とその背面の地盤との間に、空洞が生じることがある。
このような空洞を長期間放置すると、地盤(地山)が崩落したり、地下構造物が傾いたりすることにより、地下構造物の内部の安全を確保できないおそれがある。地下構造物にかかる土圧を均一化し、地盤の崩壊を防ぐために、地下構造物とその背面の地盤との間の空洞に、充填材を注入する裏込め工法が用いられることがある。
下記の特許文献1には、複合式裏込め注入止水工法が開示されている。上記複合式裏込め注入止水工法は、以下の工程を備える。地下コンクリート構造物に発生したクラック又はその近傍に、注入孔を形成し、上記注入孔より第1材料を注入し、上記コンクリート部材の背面に上記第1材料による改良体を造成する工程。上記第1材料と異なる第2材料を、上記注入孔又はその近傍に別途形成した注入孔より注入し、上記改良体を逸走防止の壁体として、上記クラック生成部分のコンクリート部材背面近傍に上記第2材料による遮水体を造成する工程。
下記の特許文献2には、硬化材の主材と反応剤とを充填箇所で反応固化させる二液混合タイプの裏込め材が開示されている。上記裏込め材は、上記主材としてエアモルタルを含み、上記反応剤として水ガラスを含む。
特開平04-001366号公報 特開2019-044417号公報
地下構造物を補強するために、地下構造物と地盤との間の空洞に、従来の裏込め材(充填材)を注入した場合には、地下構造物の強度をある程度高めることができる。
しかしながら、地下構造物を補強した後に、外部応力や環境条件の変化等により、充填した箇所の周囲の地下構造物又は地盤に新たなひび割れや微細な空隙が発生すると、再度の補強が必要となる。
従来、既設の地下構造物及び地下構造物の周囲を、長期間にわたり自己治癒的に修復又は強化する方法は知られていない。
本発明の目的は、充填した箇所及びその周囲を緻密化し、構造物を長期に安定した状態に保持することができる充填材を提供することである。また、本発明の目的は、上記充填材を用いた構造体、及び上記充填材を用いる構造体の製造方法を提供することである。
本発明の広い局面によれば、硬化性成分と、発泡剤と、陽イオン又は陰イオンを放出可能なイオン放出性化合物とを含む充填材であり、前記イオン放出性化合物が、難水溶性塩を生成可能であり、前記充填材が発泡可能である、充填材が提供される。
本発明に係る充填材のある特定の局面では、前記硬化性成分が、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物とを含む。
本発明に係る充填材のある特定の局面では、前記イオン放出性化合物の粒子径が、150μm以下である。
本発明に係る充填材のある特定の局面では、前記硬化性成分100重量部に対して、前記イオン放出性化合物の含有量が、5重量部以上100重量部以下である。
本発明に係る充填材のある特定の局面では、前記発泡剤が、水である。
本発明の広い局面によれば、充填対象部を有する充填対象物と、前記充填対象部に充填された充填物とを備え、前記充填物は、上述した充填材により形成されており、前記充填物は、前記充填材中の前記硬化性成分が硬化され、かつ前記充填材が発泡された充填物である、構造体が提供される。
本発明の広い局面によれば、充填対象物の充填対象部に、上述した充填材を充填する充填工程と、前記充填材中の前記硬化性成分を硬化させ、かつ、前記充填材を発泡させる硬化発泡工程とを備える、構造体の製造方法が提供される。
本発明に係る充填材は、硬化性成分と、発泡剤と、陽イオン又は陰イオンを放出可能なイオン放出性化合物とを含む充填材であり、上記イオン放出性化合物が、難水溶性塩を生成可能であり、上記充填材が発泡可能である。本発明に係る充填材では、上記の構成が備えられているので、充填した箇所及びその周囲を緻密化し、構造物を長期に安定した状態に保持することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る充填材を用いた、構造体の製造方法を説明するための模式図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
(充填材)
本発明に係る充填材は、硬化性成分と、発泡剤と、陽イオン又は陰イオンを放出可能なイオン放出性化合物(以下、「イオン放出性化合物」と記載することがある)とを含む。本発明に係る充填材では、上記イオン放出性化合物が、難水溶性塩を生成可能である。本発明に係る充填材では、上記充填材が発泡可能である。本発明に係る充填材は、難水溶性塩生成用充填材である。本発明に係る充填材は、発泡性充填材である。
なお、本明細書において、「難水溶性塩」とは、難水溶性塩1gを水100g中に入れ、20℃で10分間保持したときに、水に溶ける難水溶性塩の重量が0.1g以下である塩を意味する。
本発明に係る充填材では、上記の構成が備えられているので、充填した箇所及びその周囲の強度を高めることができ、かつ高い強度を長期間維持することができる。より具体的には、充填対象物の充填対象部に充填材が充填された状態で、上記充填材中の上記イオン放出性化合物がイオンを放出することにより、難水溶性塩が生成され、コンクリーションが形成される。これにより、充填した箇所及びその周囲が緻密化され、構造物を長期に安定した状態に保持することができる。本発明は、構造物の予防保全に寄与する。本発明は、特に、既設の地下構造物の予防保全に寄与する。
本発明に係る充填材では、充填対象物の充填対象部に充填材を充填した後、硬化性成分が硬化し、充填した箇所及びその周囲の強度を高めることができる。また、充填した箇所において、上記充填材が、地盤又は構造物に付着した水分等と接触した場合には、上記充填材中の上記イオン放出性化合物がイオンを放出することにより、水分等と充填材との接触面において、難水溶性塩を生成可能である。すなわち、本発明に係る充填材は、上記充填材の表面に、難水溶性塩の層を生成可能である。生成した難水溶性塩により、充填した箇所及びその周囲の強度はさらに高められる。なお、上記難水溶性塩は、通常、数カ月~数年をかけて生成すると考えられる。また、生成した難水溶性塩により、充填材と水分とのさらなる接触が効果的に抑えられ、硬化性成分の硬化物の劣化及び構造物の劣化を効果的に抑えることができる。なお、上記充填材は、上記硬化性成分の硬化反応後の充填材であってもよく、充填材の硬化発泡体であってもよい。
さらに、上記充填材は発泡可能である。このため、上記充填材の硬化発泡体は、軽量であるので、地下構造物とその背面の地盤との間の空洞に用いられた場合に、地下構造物への荷重負荷を軽減することができる。また、充填材の使用量を低減することができるので、経済的である。
さらに、発泡可能ではない充填材を用いた場合には、空洞全体に充填材が充填されていない状態で充填材が硬化されると、充填材が充填されていない部分に空隙が残りやすい。これに対して、本発明に係る充填材では、該充填材が発泡可能であるので、空洞全体に充填材が充填されていない状態で充填材が硬化されても、上記充填材の発泡により、充填材が充填されていない部分が効果的に埋められ、空洞全体にわたって充填物が充填されやすくなる。本発明において、充填材が発泡可能であることは、充填した箇所及びその周囲を緻密化し、構造物を長期に安定した状態に保持するという効果を得るために大きく寄与する。
本発明に係る充填材は、発泡させて用いられる。充填材を良好に発泡させる観点からは、上記充填材に含まれる上記硬化性成分の硬化反応時に、上記充填材は発泡可能であることが好ましい。充填材を良好に発泡させる観点からは、上記充填材は、上記充填材に含まれる上記硬化性成分の硬化反応時に、発泡させて用いられることが好ましい。充填材を良好に発泡させる観点からは、上記充填材に含まれる上記硬化性成分の硬化完了前に、上記充填材は発泡可能であることが好ましい。充填材を良好に発泡させる観点からは、上記充填材は、上記充填材に含まれる上記硬化性成分の硬化完了前に、発泡させて用いられることが好ましい。
また、本発明に係る充填材は、充填する箇所が乾燥状態であっても、湿潤状態であっても用いることができる。さらに、本発明に係る充填材は、充填する箇所から水が流出している場合であっても、用いることができる。このため、本発明に係る充填材は、様々な用途の構造物を保全することができ、また、迅速に補修又は補強することができる。
上記構造物としては、地下構造物が挙げられる。地下コンクリート構造物、地下トンネル、海底トンネル、及び山岳トンネル等が挙げられる。本発明に係る充填材は、地下構造物と地下構造物の背面の地盤との間の空洞に好適に用いられる。
本発明の効果が効果的に発揮されることから、上記充填材は、地盤又はコンクリートを含む充填対象物用の充填材であることが好ましい。本発明の効果が効果的に発揮されることから、上記充填材は、地盤又はコンクリートを含む充填対象物の充填対象部に充填されて用いられることが好ましい。
以下、本発明に係る充填材に用いられる各成分の詳細などを説明する。
<硬化性成分>
上記充填材は、硬化性成分を含む。上記硬化性成分は、硬化可能な成分である。上記硬化性成分は、23℃で液状であってもよく、23℃でペースト状であってもよく、23℃で半固形状であってもよい。上記硬化性成分としては、硬化性化合物、硬化剤、及び触媒等が挙げられる。上記硬化性成分は、上記硬化性化合物と、上記硬化剤とを含むことが好ましい。上記硬化性化合物、上記硬化剤、及び上記触媒はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記充填材は、硬化性化合物を含むことが好ましい。上記充填材は、上記硬化性成分として、硬化性化合物を含むことが好ましい。上記硬化性化合物としては、硬化剤との混合により硬化可能な硬化性化合物、加熱により硬化可能な熱硬化性化合物、及び光の照射により硬化可能な光硬化性化合物等が挙げられる。上記充填材を充填する箇所に充填してから硬化させる観点及び保存安定性の観点から、上記硬化性化合物は、上記硬化剤との混合により硬化可能な硬化性化合物であることが好ましい。上記硬化剤との混合により硬化可能な硬化性化合物は、熱硬化性化合物であってもよく、熱硬化性化合物でなくてもよい。上記硬化剤との混合により硬化可能な硬化性化合物は、例えば、硬化剤との混合により、0℃以下で硬化可能な硬化性化合物であってもよい。
上記硬化性化合物としては、ポリオール化合物、エポキシ化合物、シリコーン化合物、フェノール化合物、ビニルエステル化合物、及びナフトキサジン化合物等が挙げられる。本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記硬化性化合物は、ポリオール化合物であることが好ましい。
上記ポリオール化合物は、2個以上の水酸基を有する化合物である。上記ポリオール化合物としては、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記ポリオール化合物は、ポリマーポリオールであってもよい。上記ポリオール化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリラクトンポリオールとしては、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、及びポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、水酸基含有化合物とカーボネート化合物との脱アルコール反応物等が挙げられる。上記水酸基含有化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びノナンジオール等が挙げられる。上記カーボネート化合物としては、ジエチレンカーボネート、及びジプロピレンカーボネート等が挙げられる。
上記芳香族ポリオールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、及びクレゾールノボラック等が挙げられる。
上記脂環族ポリオールとしては、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロヘキシルメタンジオール、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジオール等が挙げられる。
上記脂肪族ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、及びヘキサンジオール等が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールとしては、多塩基酸と多価アルコールとの脱水縮合物、ラクトンの開環重合物、及びヒドロキシカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等が挙げられる。上記多塩基酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びコハク酸等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。上記ラクトンとしては、ε-カプロラクトン、及びα-メチル-ε-カプロラクトン等が挙げられる。上記ヒドロキシカルボン酸としては、ひまし油、及びひまし油とエチレングリコールとの反応生成物等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、活性水素原子を2個以上有する活性水素化合物とアルキレンオキサイドとの開環重合体等が挙げられる。上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。上記活性水素化合物の分子量は小さいことが好ましい。上記活性水素化合物としては、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及び1,6-ヘキサンジオール等のジオール化合物;グリセリン、及びトリメチロールプロパン等のトリオール化合物;エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等のアミン化合物等が挙げられる。
上記ポリマーポリオールとしては、ポリオール化合物に不飽和有機化合物がグラフト重合されたグラフト重合体、ポリブタジエンポリオール、多価アルコールの変性ポリオール、及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
上記グラフト重合体における上記ポリオール化合物としては、上記芳香族ポリオール、上記脂環族ポリオール、上記脂肪族ポリオール、上記ポリエステルポリオール、及び上記ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記グラフト重合体における上記不飽和有機化合物としては、アクリロニトリル、スチレン、及びメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記多価アルコールの変性ポリオールとしては、多価アルコールとアルキレンオキサイドとの反応変性物等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びこれらの誘導体等の4価以上8価以下のアルコール;フェノール、フロログルシン、クレゾール、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1-ヒドロキシナフタレン、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン、及び1-ヒドロキシピレン等のフェノール化合物;ポリブタジエンポリオール;ひまし油ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体;ポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2以上100以下)ポリオール;フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)等が挙げられる。上記アルキレンオキサイドとしては、炭素数が2以上、6以下のアルキレンオキサイドが挙げられる。上記アルキレンオキサイドの具体例としては、エチレンオキサイド、1,2-プロピレンオキサイド、1,3-プロピレオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、及び1,4-ブチレンオキサイド等が挙げられる。性状や反応性を良好にする観点からは、上記アルキレンオキサイドは、1,2-プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド又は1,2-ブチレンオキサイドであることが好ましく、1,2-プロピレンオキサイド又はエチレンオキサイドであることがより好ましい。上記アルキレンオキサイドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アルキレンオキサイドを2種以上用いる場合の付加の形態は、ブロック付加であってもよく、ランダム付加であってもよく、ブロック付加とランダム付加との双方であってもよい。
入手が容易であり、利便性に優れることから、上記ポリオール化合物は、ポリエステルポリオール、又はポリエーテルポリオールであることが好ましい。
上記ポリオール化合物の硬化剤としては、イソシアネート化合物等が挙げられる。イソシアネート化合物は、1個以上のイソシアネート基を有する化合物である。硬化反応を効率的に進行させる観点からは、上記イソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物であることが好ましい。上記ポリイソシアネート化合物は、2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。上記ポリイソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。上記イソシアネート化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
上記脂環族ポリイソシアネートとしては、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
入手が容易であり、利便性に優れることから、上記イソシアネート化合物は、ジフェニルメタンジイソシアネートであることが好ましい。
本発明の効果をより一層効果的に発揮させる観点からは、上記硬化性成分が、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物とを含むことが好ましく、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを含むことがより好ましい。上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物とを硬化反応させることにより、ウレタン樹脂を得ることができる。上記硬化性成分は、ウレタン樹脂組成物(ウレタン樹脂生成用組成物)であることが好ましい。上記ウレタン樹脂組成物は、ウレタン化反応可能である。上記ウレタン樹脂組成物は、ウレタン樹脂組成物の硬化反応により、ウレタン樹脂が形成される組成物である。
上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物とは、ウレタン結合を効率的に形成するように、適宜の配合量で用いることができる。反応効率を高める観点からは、上記ポリオール化合物100重量部に対して、上記イソシアネート化合物の含有量は、好ましくは100重量部以上、より好ましくは120重量部以上、さらに好ましくは130重量部以上であり、好ましくは180重量部以下、より好ましくは160重量部以下、さらに好ましくは150重量部以下である。上記イソシアネート化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、未反応の上記ポリオール化合物又は未反応の上記イソシアネート化合物が少なくなる。
本発明の効果をより一層効果的に発揮させる観点からは、上記ポリオール化合物の硬化剤(イソシアネート化合物)は、ジフェニルメタンジイソシアネート、又はトルエンジイソシアネートであることが好ましい。
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、水添加ビスフェノールA型エポキシ化合物、ダイマー酸変性ビスフェノールA型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ダイマー酸型エポキシ化合物、トリエポキシプロピルイソシアヌレート(トリグリシジルイソシアヌレート)、ヒダントインエポキシ化合物、脂肪族系エポキシ化合物、ジシクロ環型エポキシ化合物、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、及びグリシジルアミン型エポキシ化合物等が挙げられる。
上記エポキシ化合物の硬化剤(エポキシ硬化剤)としては、アミン化合物、イミダゾール化合物、アミド化合物、シアノ化合物、及び酸無水物等が挙げられる。上記アミン化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、それらのアミンアダクト、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。上記イミダゾール化合物としては、メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、イソプロピルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、ウンデシルイミダゾール、ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、及び2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。上記アミド化合物としては、ポリアミド等が挙げられる。上記シアノ化合物としては、ジシアンジアミド等が挙げられる。上記酸無水物としては、無水マレイン酸及びその化合物、無水フタル酸及びその化合物等が挙げられる。
上記エポキシ化合物と上記エポキシ硬化剤とを反応させることにより、エポキシ樹脂の硬化物を得ることができる。
本発明の効果をより一層効果的に発揮させる観点からは、上記エポキシ化合物は、ビスフェノールA型エポキシ化合物、又はビスフェノールF型エポキシ化合物であることが好ましい。本発明の効果をより一層効果的に発揮させる観点からは、上記エポキシ硬化剤は、アミン系硬化剤(アミン化合物)、又は酸系硬化剤であることが好ましい。
上記シリコーン化合物としては、ケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。上記オルガノポリシロキサンの主鎖は、ジオルガノシロキサンの重合体が一般的であるが、一部枝分かれした構造又は環状の構造を有していてもよい。上記オルガノポリシロキサンが有するアルケニル基としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、ペテニル基、へキセニル基、オクテニル基、及びシクロへキセニル基等が挙げられる。
上記シリコーン化合物の硬化剤(架橋剤)としては、SiH基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、フェニルメチルハイドロジェンポリシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、及び両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等が挙げられる。
上記フェノール化合物としては、ノボラック型フェノール、ビフェノール型フェノール、ナフタレン型フェノール、ジシクロペンタジエン型フェノール、アラルキル型フェノール、及びジシクロペンタジエン型フェノール等が挙げられる。
上記フェノール化合物の硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミン、及びパラホルムアルデヒド等が挙げられる。
上記ビニルエステル化合物としては、エポキシ化合物と不飽和一塩基酸との反応物等が挙げられる。上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ノボラック型ポリグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、並びに1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族系グリシジルエーテル類等が挙げられる。上記不飽和一塩基酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸等が挙げられる。上記エポキシ化合物と、上記アクリル酸及び上記メタクリル酸との反応物としては、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ビニルエステル化合物の硬化剤としては、有機過酸化物等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーベンゾエート、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、パーオキシエステル、及びパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記硬化性化合物の23℃での粘度は、選択する材料により適宜調整することができる。上記硬化性化合物の23℃での粘度は、イオン放出性化合物が均一に混合し充填時に分離しない程度で、低い方が好ましい。充填箇所(空隙部)への充填性を良好にする観点からは、上記硬化性化合物の23℃での粘度は、は好ましくは100000mPa・s以下、より好ましくは10000mPa・s以下、さらに好ましくは5000mPa・s以下である。
充填箇所(空隙部)への充填性を良好にする観点からは、上記硬化剤の23℃での粘度は、好ましくは100000mPa・s以下、より好ましくは10000mPa・s以下、さらに好ましく5000mPa・s以下である。
なお、充填材の粘度は、反応の経過により高くなることがある。充填材の粘度(例えば23℃)は、混合後注入時において好ましくは100000mPa・s以下である。
また、充填材の粘度をコントロールするために、充填材にチクソ剤を適宜添加してもよい。チクソ剤としては、無機系微粒子、及び高分子架橋体等が挙げられる。
上記粘度は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、23℃及び20rpmの条件で測定可能である。
上記充填材100重量%中、上記硬化性成分の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、好ましくは95重量%以下、より好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下である。上記硬化性成分の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記充填材100重量%中、上記硬化性化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、好ましくは95重量%以下、より好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下である。上記硬化性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記硬化性化合物100重量部に対して、上記硬化剤の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、好ましくは250重量部以下である。上記硬化性化合物が、ポリオール化合物又はエポキシ化合物である場合、上記硬化性化合物100重量部に対して、上記硬化剤の含有量は、好ましくは40重量部以上、より好ましくは50重量部以上、さらに好ましくは70重量部以上であり、好ましくは250重量部以下、より好ましくは200重量部以下、さらに好ましくは150重量部以下である。上記硬化性化合物が、フェノール化合物である場合、上記硬化性化合物100重量部に対して、上記硬化剤の含有量は、好ましくは17重量部以上であり、好ましくは100重量部以下である。上記硬化性化合物が、ビニルエステル化合物である場合、上記硬化性化合物100重量部に対して、上記硬化剤の含有量は、好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは5重量部以下である。上記硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記硬化性成分が、上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物とを含む場合に、上記充填材100重量%中、上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物との合計の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。また、上記充填材100重量%中、上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物との合計の含有量は、好ましくは99重量%以下、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは93重量%以下である。上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物との合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記硬化性成分は、触媒を含むことが好ましい。上記触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化性成分の硬化物としてウレタン樹脂を得る場合における上記触媒としては、ウレタン化触媒、及び三量化触媒等が挙げられる。上記硬化性成分の硬化物としてウレタン樹脂を得る場合には、上記硬化性成分は、ウレタン化触媒を含むことが好ましい。上記ウレタン化触媒は、上記ポリオール化合物の水酸基と、上記イソシアネート化合物のイソシアネート基との反応を促進させ、ウレタン結合の形成を促進する。
上記ウレタン化触媒としては、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫ジウラレート及びジブチルビス(オレオイルオキシ)スタンナン等の有機錫化合物;トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル及びN,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン等の第3級アミン化合物;N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル,N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、並びにイミダゾール環中の第2級アミン官能基がシアノエチル基で置換されたイミダゾール化合物等が挙げられる。上記ウレタン化触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ウレタン化触媒は、上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物とが良好に反応するように、適宜の含有量で用いることができる。上記ポリオール化合物100重量部に対して、上記ウレタン化触媒の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.02重量部以上、好ましくは1.0重量部以下、より好ましくは0.8重量部以下である。上記ウレタン化触媒の含有量が上記下限以上であると、ウレタン化反応が効果的に進行する。上記ウレタン化触媒の含有量が上記上限以下であると、上記イソシアネート化合物のイソシアネート基の三量化が阻害されにくくなる。
上記三量化触媒は、イソシアネート化合物のイソシアネート基の三量化反応を促進させ、イソシアヌレート環の形成を促進する。さらに、上記三量化触媒は、発泡成形体の燃焼時の膨張を抑制する。
上記三量化触媒としては、芳香族化合物、カルボン酸のアルカリ金属塩、カルボン酸の4級アンモニウム塩、及び4級アンモニウム塩/エチレングリコール混合物等が挙げられる。上記芳香族化合物としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、及び2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等が挙げられる。上記カルボン酸のアルカリ金属塩としては、酢酸カリウム、及び2-エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。上記三量化触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記三量化触媒は、三量化反応が良好に促進されるように、適宜の含有量で用いることができる。上記ポリオール化合物100重量部に対して、上記三量化触媒の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、好ましくは1.0重量部以下、好ましくは0.8重量部以下である。上記三量化触媒の含有量が上記下限以上であると、上記充填材の発泡により形成される発泡体の過度な膨張を抑制しやすい。上記三量化触媒の含有量が上記上限以下であると、ウレタン結合の生成が阻害されにくくなる。
上記硬化性成分の硬化物としてフェノール樹脂を得る場合における上記触媒としては、酸触媒等が挙げられる。上記硬化性成分の硬化物としてフェノール樹脂を得る場合には、上記硬化性成分は、酸触媒を含むことが好ましい。
上記硬化性成分の硬化物としてポリエステル樹脂を得る場合における上記触媒としては、有機過酸化物等が挙げられる。上記硬化性成分の硬化物としてポリエステル樹脂を得る場合には、上記硬化性成分は、有機過酸化物を含むことが好ましい。
<発泡剤>
上記充填材は、発泡剤を含む。発泡剤とは、分解により気体を生じる物質又はそれ自体気体となる物質である。
上記発泡剤としては、水、及び有機ハロゲン化合物等が挙げられる。入手が容易であり、利便性に優れることから、上記発泡剤は水であることが好ましい。上記硬化性成分がイソシアネート化合物を含む場合、水はイソシアネート化合物と反応してCOを発生させることにより発泡剤として作用する。上記発泡剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機ハロゲン化合物としては、有機塩素化合物、有機フッ素化合物、有機臭素化合物、及び有機ヨウ素化合物等が挙げられる。上記有機ハロゲン化合物は、水素原子の全てがハロゲン原子で置換された有機ハロゲン化合物であってもよく、水素原子の一部がハロゲン原子で置換された有機ハロゲン化合物であってもよい。上記硬化性成分の硬化反応時の上記充填材の発泡性を良好にし、得られる発泡体の熱伝導率をより一層長期にわたり低く維持する観点からは、上記有機ハロゲン化合物は、有機塩素化合物、又は有機フッ素化合物であることが好ましい。
上記有機塩素化合物としては、飽和有機塩素化合物、及び不飽和有機塩素化合物等が挙げられる。上記飽和有機塩素化合物としては、ジクロロエタン、プロピルクロライド、イソプロピルクロライド、ブチルクロライド、イソブチルクロライド、ペンチルクロライド、及びイソペンチルクロライド等が挙げられる。上記硬化性成分の硬化反応時の上記充填材の発泡性を良好にし、得られる発泡体の熱伝導率をより一層長期にわたり低く維持する観点からは、上記有機塩素化合物は、飽和有機塩素化合物であることが好ましく、炭素数が2~5の飽和有機塩素化合物であることがより好ましい。
上記有機フッ素化合物としては、飽和有機フッ素化合物、及び不飽和有機フッ素化合物等が挙げられる。
上記飽和有機フッ素化合物としては、ハイドロフルオロカーボン等が挙げられる。上記ハイドロフルオロカーボンとしては、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオブタン(HFC365mfc)及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC4310mee)等が挙げられる。
上記不飽和有機フッ素化合物としては、ハイドロフルオロオレフィン等が挙げられる。上記ハイドロフルオロオレフィンとしては、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)(E及びZ異性体)、及び1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO1336mzz)(E及びZ異性体)等が挙げられる。
さらに、上記有機フッ素化合物としては、塩素原子とフッ素原子と2重結合とを有する化合物も挙げられる。上記塩素原子とフッ素原子と2重結合とを有する化合物としては、1,2-ジクロロ-1,2-ジフルオロエテン(E及びZ異性体)、及びヒドロクロロフルオロオレフィン等が挙げられる。上記ヒドロクロロフルオロオレフィンとしては、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)(E及びZ異性体)、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yd)(E及びZ異性体)、1-(4)クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zb)(E及びZ異性体)、2-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xe)(E及びZ異性体)、2-クロロ-2,2,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xc)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、3-クロロ-1,2,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233ye)(E及びZ異性体)、3-クロロ-1,1,2-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yc)、3,3-ジクロロ-3-フルオロプロペン、1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1223xd)(E及びZ異性体)、2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(E及びZ異性体)、及び2-クロロ-1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(E及びZ異性体)等が挙げられる。
上記発泡剤の含有量は、硬化性化合物、イオン放出性化合物の配合量によって適宜選択することができる。上記充填材100重量%中、上記発泡剤の含有量は、好ましくは0.02重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上である。上記発泡剤の含有量が上記下限以上であると、上記硬化性成分の硬化反応時の上記充填材の発泡性を良好にすることができる。なお、2種以上の発泡剤を用いる場合には、上記発泡剤の含有量は、各発泡剤の合計の含有量を意味する。上記充填材100重量%中、上記発泡剤の含有量は、2重量%以下であってもよい。なお、2種以上の発泡剤を用いる場合には、上記発泡剤の含有量は、各発泡剤の合計の含有量を意味する。
上記硬化性化合物100重量部に対して、上記発泡剤の含有量は、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上である。上記発泡剤の含有量が上記下限以上であると、上記硬化性成分の硬化反応時の上記充填材の発泡性を良好にすることができる。上記硬化性化合物100重量部に対して、上記発泡剤の含有量は、3重量部以下であってもよい。なお、2種以上の発泡剤を用いる場合には、上記発泡剤の含有量は、各発泡剤の合計の含有量を意味する。
上記硬化性成分が、上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物とを含む場合に、上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物との合計100重量部に対して、上記発泡剤(水、有機ハロゲン化合物)の含有量は、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上である。上記発泡剤の含有量が上記下限以上であると、上記硬化性成分の硬化反応時の上記充填材の発泡性を良好にすることができる。上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物との合計100重量部に対して、上記発泡剤(水、有機ハロゲン化合物)の含有量は、2重量部以下であってもよい。なお、2種以上の発泡剤を用いる場合には、上記発泡剤の含有量は、各発泡剤の合計の含有量を意味する。
<イオン放出性化合物>
上記充填材は、陽イオン又は陰イオンを放出可能なイオン放出性化合物(イオン放出性化合物)を含む。上記イオン放出性化合物は、難水溶性塩を生成可能である。
上記イオン放出性化合物は、陽イオンを放出可能な化合物であってもよく、陰イオンを放出可能な化合物であってもよく、陽イオンと陰イオンとの双方を放出可能な化合物であってもよく、陽イオンを放出可能な化合物と陰イオンを放出可能な化合物との混合物であってもよい。上記イオン放出性化合物は、粒子状であってもよい。上記イオン放出性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記イオン放出性化合物は、地盤又は構造物に付着した水分等との接触により、難水溶性塩を生成することが好ましい。上記充填材を充填した箇所に至った水又は湿気により、上記イオン放出性化合物より陽イオン又は陰イオンが放出されることが好ましい。具体的には、上記イオン放出性化合物が陽イオンを放出可能な化合物である場合には、上記イオン放出性化合物から放出された陽イオンと、水分等に溶解した陰イオンとが化学反応し、難水溶性塩が形成されることが好ましい。上記イオン放出性化合物が陰イオンを放出可能な化合物である場合には、上記イオン放出性化合物から放出された陰イオンと、水分等に溶解した陽イオンとが化学反応し、難水溶性塩が形成されることが好ましい。また、上記イオン放出性化合物が、陽イオンと陰イオンとの双方を放出可能な化合物、又は陽イオンを放出可能な化合物と陰イオンを放出可能な化合物との混合物である場合には、上記イオン放出性化合物から放出された陽イオンと陰イオンとが、水分等を媒体に移動し、出会ったポイントで難水溶性塩が形成されることが好ましい。
上記イオン放出性化合物としては、無機塩、イオン交換性樹脂、及びイオン錯体等が挙げられる。
上記陽イオンを放出可能な化合物としては、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、カルシウムアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム及び炭酸水素カルシウム等が挙げられる。上記陽イオンを放出可能な化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記陽イオンを放出可能な化合物は、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、カルシウムアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、又は炭酸水素カルシウムであることが好ましい。本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記陽イオンを放出可能な化合物は、カルシウムイオンを放出可能な化合物であることが好ましい。
上記陰イオンを放出可能な化合物としては、炭酸水素カルシウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。上記陰イオンを放出可能な化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記陰イオンを放出可能な化合物は、炭酸水素カルシウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウムであることが好ましい。本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記陰イオンを放出可能な化合物は、炭酸水素イオン又は炭酸イオンを放出可能な化合物であることが好ましい。
上記陽イオンと陰イオンとの双方を放出可能な化合物としては、炭酸水素カルシウム等が挙げられる。
充填した箇所より周辺へ形成するコンクリーションを良好にする観点からは、上記充填材は、陽イオンを放出可能な化合物と陰イオンを放出可能な化合物との混合物であることが好ましく、カルシウムイオンを放出可能な化合物と炭酸水素イオン又は炭酸イオンを放出可能な化合物との混合物であることがより好ましい。
上記難水溶性塩としては、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、及び水酸化鉄等が挙げられる。
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記難水溶性塩は、炭酸カルシウムであることが好ましい。
上記イオン放出性化合物は、粒子であってもよい。上記イオン放出性化合物は、球状であってもよく、球状以外の形状であってもよく、扁平状であってもよい。上記イオン放出性化合物は、球状であることが好ましい。
上記イオン放出性化合物の粒子径は、好ましくは5.0μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは120μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。上記イオン放出性化合物の粒子径が上記下限以上であると、発泡倍率及び独立気泡率を良好にすることができる。上記イオン放出性化合物の粒子径が上記上限以下であると、充填材を充填対象部に充填する際の粘度を良好にすることができる。また、上記イオン放出性化合物の粒子径が上記上限以下であると、充填した箇所において上記イオン放出性化合物が良好に分散するため、上記充填材の発泡時に発生する気泡の破泡を防ぐことができ、上記硬化性成分の硬化反応時の上記充填材の発泡性を良好にすることができる。
上記イオン放出性化合物の粒子径は、平均粒子径であることが好ましい。上記平均粒子径は、数平均粒子径を示す。上記イオン放出性化合物の平均粒子径は、任意のイオン放出性化合物50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記硬化性成分100重量部に対して、上記イオン放出性化合物の含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは30重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは80重量部以下である。上記イオン放出性化合物の含有量が上記下限以上であると、陽イオン又は陰イオンがより一層効果的に放出され、難水溶性塩が良好に生成される。上記イオン放出性化合物の含有量が上記上限以下であると、上記硬化性成分の硬化反応時の上記充填材の発泡性を良好にすることができ、かつ、充填材を充填対象部に充填する際の粘度を良好にすることができる。
上記硬化性化合物と上記硬化剤との合計100重量部に対して、上記イオン放出性化合物の含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは30重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは80重量部以下である。上記イオン放出性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、陽イオン又は陰イオンがより一層効果的に放出され、難水溶性塩が良好に生成される。また、上記イオン放出性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、充填材の発泡構造を良好にすることができる。
上記硬化性成分が、上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物とを含む場合に、上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物との合計100重量部に対して、上記イオン放出性化合物の含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは30重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは80重量部以下である。上記イオン放出性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、陽イオン又は陰イオンがより一層効果的に放出され、難水溶性塩が良好に生成される。また、上記イオン放出性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、充填材の発泡構造を良好にすることができる。
上記充填材100重量%中、上記イオン放出性化合物の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。上記イオン放出性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、陽イオン又は陰イオンがより一層効果的に放出され、難水溶性塩が良好に生成される。また、上記イオン放出性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、充填材の発泡構造を良好にすることができる。
<他の成分>
上記充填材は、必要に応じて、上記硬化性成分、上記発泡剤及び上記イオン放出性化合物以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、反応促進剤、酸化防止剤、及び着色剤等が挙げられる。上記他の成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(充填材の他の詳細)
上記充填材は、混合により用いられる充填材であることが好ましい。上記充填材は、上記硬化性成分と、上記発泡剤と、上記イオン放出性化合物とを混合して用いられる充填材であることが好ましい。
上記充填材は、以下の構成(1)又は構成(2)を備えることが好ましい。
構成(1):上記充填材は、第1の組成物と、第2の組成物とを有し、上記第1の組成物が、上記硬化性化合物と上記発泡剤とを含み、上記第2の組成物が、上記硬化剤を含み、上記第1の組成物及び上記第2の組成物の少なくとも一方が、上記イオン放出性化合物を含む。
構成(2):上記充填材は、第1の組成物と、第2の組成物と、第3の組成物とを有し、上記第1の組成物が、上記硬化性化合物と上記発泡剤とを含み、上記第2の組成物が、上記硬化剤を含み、上記第3の組成物が、上記イオン放出性化合物を含む。
上記構成(1)を備える充填材において、上記第1の組成物と上記第2の組成物とは、混合される前の状態である。上記第1の組成物は、第1の混合用材料である。上記第2の組成物は、第2の混合用材料である。本明細書において、1種の上記硬化剤のみを含む第2の混合用材料も、組成物と呼ぶ。上記構成(1)を備える充填材では、上記第1の組成物が第1の容器に収容されており、上記第2の組成物が第2の容器に収容されていることが好ましい。上記構成(1)においては、上記第1の組成物と上記第2の組成物とを混合することにより、上記充填材を得ることができる。上記第1の組成物と上記第2の組成物とを混合して得られる上記充填材は、硬化性成分(硬化性化合物及び硬化剤)と、発泡剤と、イオン放出性化合物とを含む。
上記構成(2)を備える上記充填材において、上記第1の組成物と上記第2の組成物と上記第3の組成物とは、混合される前の状態である。上記第1の組成物は、第1の混合用材料である。上記第2の組成物は、第2の混合用材料である。上記第3の組成物は、第3の混合用材料である。本明細書において、1種の上記硬化剤のみを含む第2の混合用材料も、組成物と呼ぶ。本明細書において、1種の上記イオン放出性化合物のみを含む第3の混合用材料も、組成物と呼ぶ。上記構成(2)を備える上記充填材では、上記第1の組成物が第1の容器に収容されており、上記第2の組成物が第2の容器に収容されており、上記第3の組成物が第3の容器に収容されていることが好ましい。上記構成(2)においては、上記第1の組成物と上記第2の組成物と上記第3の組成物とを混合することにより、上記充填材を得ることができる。上記第1の組成物と上記第2の組成物と上記第3の組成物とを混合して得られる上記充填材は、硬化性成分(硬化性化合物及び硬化剤)と、発泡剤と、イオン放出性化合物とを含む。
上記充填材が、上記構成(1)又は上記構成(2)を備える場合には、硬化性化合物と硬化剤とを、充填材の使用時に混合することができるので、使用前の意図しない充填材の硬化を防ぐことができる。また、上記構成(1)又は上記構成(2)を備える場合には、硬化剤と発泡剤とを、充填材の使用時に混合することができるので、使用前の意図しない充填材の発泡を防ぐことができる。
上記構成(1)を備える充填材は、例えば、2液混合型充填材である。上記構成(2)を備える充填材は、例えば、3液混合型充填材である。
上記第2の組成物は、上記硬化剤のみを含んでいてもよい。上記第2の組成物は上記硬化剤であってもよい。上記第3の組成物は、上記イオン放出性化合物のみを含んでいてもよい。上記第3の組成物は上記イオン放出性化合物であってもよい。上記第1の組成物100重量%中の硬化剤の含有量は、上記第2の組成物100重量%中の硬化剤の含有量よりも少ないことが好ましく、上記第1の組成物は、硬化剤を含まないことが好ましい。上記第2の組成物100重量%中の硬化性化合物の含有量は、上記第1の組成物100重量%中の硬化性化合物の含有量よりも少ないことが好ましく、上記第2の組成物は、硬化性化合物を含まないことが好ましい。
上記構成(1)を備える充填材では、上記第1の組成物及び上記第2の組成物の少なくとも一方が、上記イオン放出性化合物を含む。この場合に、上記イオン放出性化合物は、上記第1の組成物に含まれていてもよく、上記第2の組成物に含まれていてもよく、上記第1の組成物と上記第2の組成物との双方に含まれていてもよい。
上記第1の組成物に含まれる上記硬化性化合物及び上記発泡剤以外の成分としては、整泡剤、酸化防止剤、及び着色剤等が挙げられる。
上記第2の組成物に含まれる上記硬化剤以外の成分としては、架橋剤、及び吸水剤等が挙げられる。
上記第3の組成物に含まれる上記イオン放出性化合物以外の成分としては、反応触媒、及び硬化促進剤等が挙げられる。
(構造体及び構造体の製造方法)
本発明に係る充填材を用いて、構造体を得ることができる。本発明に係る構造体は、充填対象部を有する充填対象物と、上記充填対象部に充填された充填物とを備える。上記充填物は、上記充填材により形成されている。上記充填物は、上記充填材中の上記硬化性成分が硬化され、かつ上記充填材が発泡された充填物である。上記充填物は、上記充填材の硬化発泡体である。
本発明に係る構造体の製造方法は、充填対象物の充填対象部に、上述した充填材を充填する充填工程と、上記充填材中の上記硬化性成分を硬化させ、かつ、上記充填材を発泡させる硬化発泡工程とを備える。
上記構造体の製造方法では、上記充填対象部に充填された充填物を備える構造体が得られる。上記充填物は、上記充填材中の上記硬化性成分が硬化され、かつ上記充填材が発泡された充填物である。上記充填物は、上記充填材の硬化発泡体である。
充填材を良好に発泡させる観点からは、上記硬化発泡工程において、上記硬化性成分の硬化反応時に、上記充填材を発泡させることが好ましい。充填材を良好に発泡させる観点からは、上記硬化発泡工程において、上記充填材に含まれる上記硬化性成分の硬化完了前に、上記充填材を発泡させることが好ましい。
上記構造体では、充填材を充填した箇所及びその周囲を緻密化することができ、長期に安定した状態に保持することができる。
本発明の効果が効果的に発揮されることから、上記充填対象物は、地盤又はコンクリートを含むことが好ましい。
上記構造体の製造方法は、上記充填材の第1の組成物と第2の組成物(と第3の組成物)とを混合して充填材を得る工程と、充填対象部に、上記充填材を充填する充填工程と、上記充填材中の上記硬化性成分を硬化させ、上記硬化性成分の硬化反応時に、上記充填材を発泡させる発泡硬化工程とを備えることが好ましい。
上記充填材の第1の組成物と第2の組成物(と第3の組成物)とを混合する方法は、特に限定されない。上記第1の組成物と上記第2の組成物(と上記第3の組成物)とは、充填材の充填(注入)時に混合されることが好ましい。混合には、ミキシングユニット、押出機、又はブレンダーを用いてもよい。使用前の意図しない充填材の硬化を防ぐ観点からは、上記第1の組成物と上記第2の組成物(と上記第3の組成物)とは、ミキシングユニットにより充填材の充填(注入)時に混合されることが好ましい。
充填対象部に上記充填材を充填する方法は、特に限定されない。充填対象部に上記充填材を充填する方法としては、構造物に構造物の前面から背面まで貫通する注入口を形成し、該注入口より充填対象部に充填材を注入する方法等が挙げられる。上記充填材の注入量は、充填する箇所(充填対象部)のサイズ等に応じて適宜変更可能である。上記充填対象部は、空洞であることが好ましい。上記充填対象部は、地下構造物と地盤との間の空洞であってもよい。上記充填材は、裏込め工法により充填されることが好ましい。
上記充填材を充填(注入)する際の圧力は、充填材の粘度、充填する箇所(充填対象部)のサイズ等に応じて、適宜変更可能である。上記充填材は、高圧で充填(注入)されてもよく、低圧で充填(注入)されてもよい。高圧で充填する場合の圧力は、好ましくは0.5MPa以上、好ましくは24MPa以下である。低圧で充填する場合の圧力は、好ましくは0.01MPa以上、好ましくは0.5MPa以下である。微細な空隙への充填を良好にする観点から、上記充填材を注入する際の圧力は、好ましくは1MPa以上、好ましくは30MPa以下である。
上記充填材を硬化させる条件は、硬化性成分の種類等により適宜変更可能である。上記充填材を発泡させる条件は、発泡剤の種類等により適宜変更可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る充填材を用いた、構造体の製造方法を説明するための模式図である。
構造物100は、地下構造物である。構造物100と、地盤102との間には、充填対象部(空洞)103が生じている。
充填材の供給装置5は、注入ガン51とタンク52とを備える。タンク52には、上記充填材が充填されている。
まず、構造物100の前面から背面に向かって、所定の角度で穿孔し、注入口101を形成する。次いで、注入プラグ1と、注入ガン51とを接続する。その後、コンプレッサーを用いて、充填材を注入口101より充填対象部103に充填(注入)する(充填工程)。上記充填工程の前に、上記充填材が構造物の前面より流出することを防ぐために、構造物の前面側に、注入プラグの周囲を覆うように注入プレートを設置してもよい。
次に、上記充填材中の上記硬化性成分を硬化させ、上記充填材を発泡させる(発泡硬化工程)。このようにして、構造体を得ることができる。上記構造体では、上記充填材は、発泡している。上記構造体は、上記充填対象部に充填された充填物として、上記充填材の硬化発泡体を備える。上記構造体では、上記充填材の硬化発泡体が形成されている。
上記硬化発泡体は、上記硬化性成分の硬化物と、上記イオン放出性化合物とを含むことが好ましい。上記硬化発泡体中の上記イオン放出性化合物は、陽イオン又は陰イオンを放出可能な化合物である。上記硬化発泡体中の上記イオン放出性化合物は、上記硬化発泡体の内部又は表面に、難水溶性塩を生成可能である。
上記硬化発泡体の発泡倍率は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは5.0以上であり、好ましくは40.0以下、より好ましくは30.0以下、さらに好ましくは20.0以下である。上記硬化発泡体の発泡倍率が上記下限以上であると、充填対象部に対する充填性をより一層高めることができ、かつ硬化発泡体をより一層軽量化し、地下構造物への荷重負荷をより一層軽減することができる。上記硬化発泡体の発泡倍率が上記上限以下であると、上記硬化発泡体の強度を高めることができ、得られる構造体の耐久性を高めることができる。
上記構造体における上記硬化発泡体の密度は、充填箇所により適宜選択されるが、好ましくは0.03g/cm以上、より好ましくは0.04g/cm以上であり、好ましくは1g/cm以下、より好ましくは0.5g/cm以下である。上記硬化発泡体の密度が上記下限以上であると、充填対象部に対する充填性をより一層高めることができ、かつ硬化発泡体をより一層軽量化し、地下構造物への荷重負荷をより一層軽減することができる。上記硬化発泡体の密度が上記上限以下であると、上記硬化発泡体の強度を高めることができ、得られる構造体の耐久性を高めることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(硬化性成分)
硬化性化合物:ポリエーテルポリオール(住化コベストロウレタン社製「9158」、23℃における粘度500mPa・s)
硬化剤:ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー社製「ポリメリックMDI」、23℃における粘度200mPa・s)
触媒1:ジブチル錫ジマレート
触媒2:3級アミン化合物(東ソー社製「TOYOCAT-DB30」)
(発泡剤)
(整泡剤)
シリコンオイル(東レダウシリコン社製「SZ-1729」)
(イオン放出性化合物)
カルシウムイオンを放出可能な化合物:塩化カルシウム(富士フィルム和光純薬社製、平均粒子径107μm)
炭酸水素イオンを放出可能な化合物:炭酸水素ナトリウム(富士フィルム和光純薬社製、平均粒子径5mm品を粉砕し、100μm以下の粒子を分級した品)
(実施例1)
硬化性化合物(ポリエーテルポリオール)100重量部、触媒1(ジブチル錫マレート)0.1重量部、触媒2(3級アミン化合物)0.3重量部、発泡剤(水)0.12重量部、整泡剤(シリコンオイル)0.3重量部、塩化カルシウム10重量部、及び炭酸水素ナトリウム10重量部を混合して、第1の組成物を得た。第2の組成物として、硬化剤140重量部を用意し、2液混合型充填材を得た。次に、第1の組成物と第2の組成物とを混合して30秒撹拌し、23℃で5分静置して、充填材の硬化発泡体を得た。上記硬化発泡体では、硬化性成分は硬化していた。
(実施例2)
塩化カルシウム及び炭酸水素ナトリウムの配合量を、各10重量部から各20重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、充填材、及び充填材の硬化発泡体を得た。上記硬化発泡体では、硬化性成分は硬化していた。
(実施例3)
塩化カルシウム10重量部、及び炭酸水素ナトリウム10重量部に代えて、炭酸水素ナトリウム20重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、充填材、及び充填材の硬化発泡体を得た。上記硬化発泡体では、硬化性成分は硬化していた。
(比較例1)
塩化カルシウム及び炭酸水素ナトリウムを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、充填材、及び充填材の硬化発泡体を得た。上記硬化発泡体では、硬化性成分は硬化していた。
(評価)
(1)充填材の硬化発泡体における難水溶性塩の生成
得られた充填材の硬化発泡体について、10mm×10mm×10mmの立方体状に切り出して、試験サンプルを作製した。次いで、実施例1,2、及び比較例1の試験サンプルを、重りを用いてイオン交換水中に4ヵ月浸漬した。また、実施例3の試験サンプルを、重りを用いて4重量%の塩化カルシウム溶液(海水の100倍濃度を想定)に4ヵ月浸漬した。浸漬後、試験サンプルを取り出し、詳細に観察したところ、実施例1~3の試験サンプルの表面には、粒子が析出していた。この試験サンプルの表面を走査型電子顕微鏡で観察すると、緻密な結晶構造を持つ粒子(炭酸カルシウムのカルサイト構造)の集合体が確認された。すなわち、実施例1~3の試験サンプルでは、試験サンプルの表面に炭酸カルシウム(難水溶性塩)が生成されていた。一方、比較例1では、試験サンプルの表面に、粒子が析出していなかった。
(2)充填材の硬化発泡体の周囲における難水溶性塩の生成
砂岩ブロック(200mm×200mm×200mm)の一面に、直径20mmの貫通穴を開けた後、一方の開口部をFRP(繊維強化プラスチック)で表面塗装し、開口部を1つ有する空洞(充填対象部)を備える充填用ブロックを作製した。実施例1の第1の組成物と第2の組成物とを混合して30秒撹拌し、充填用ブロックの開口部より注入し、23℃で5分静置して、充填材の硬化発泡体を備えるブロックを得た。上記硬化発泡体では、硬化性成分は硬化していた。同様に、比較例1の第1の組成物と第2の組成物とを用いて、充填材の硬化発泡体を備えるブロックを得た。上記硬化発泡体では、硬化性成分は硬化していた。得られた2つのブロックについて、イオン交換水中に2ヵ月浸漬した。浸漬後、ブロックを取り出し、断面をスライスし内部構造を観察した。実施例1の充填材を用いたブロックでは、充填材の硬化発泡体の周囲のひび割れ又は微細な空隙に、炭酸カルシウム(難水溶性塩)が生成されていた。一方、比較例1の充填材を用いたブロックでは、充填材の硬化発泡体の周囲のひび割れ又は微細な空隙に、炭酸カルシウム(難水溶性塩)は生成されていなかった。
1…注入プラグ
5…供給装置
51…注入ガン
52…タンク
100…構造物
101…注入口
102…地盤
103…充填対象部(空洞)

Claims (7)

  1. 硬化性成分と、発泡剤と、陽イオン又は陰イオンを放出可能なイオン放出性化合物とを含む充填材であり、
    前記イオン放出性化合物が、難水溶性塩を生成可能であり、
    前記充填材が発泡可能である、充填材。
  2. 前記硬化性成分が、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物とを含む、請求項1に記載の充填材。
  3. 前記イオン放出性化合物の粒子径が、150μm以下である、請求項1又は2に記載の充填材。
  4. 前記硬化性成分100重量部に対して、前記イオン放出性化合物の含有量が、5重量部以上100重量部以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の充填材。
  5. 前記発泡剤が、水である、請求項1~4のいずれか1項に記載の充填材。
  6. 充填対象部を有する充填対象物と、
    前記充填対象部に充填された充填物とを備え、
    前記充填物は、請求項1~5のいずれか1項に記載の充填材により形成されており、
    前記充填物は、前記充填材中の前記硬化性成分が硬化され、かつ前記充填材が発泡された充填物である、構造体。
  7. 充填対象物の充填対象部に、請求項1~5のいずれか1項に記載の充填材を充填する充填工程と、
    前記充填材中の前記硬化性成分を硬化させ、かつ、前記充填材を発泡させる硬化発泡工程とを備える、構造体の製造方法。
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