JP2023132076A - 電波吸収体 - Google Patents

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Masao Fujita
将之 豊田
Masayuki Toyoda
尚曄 李
Sang Yeop Lee
恭弥 高野
Kyoya Takano
紳介 原
Shinsuke Hara
一世 渡邊
Kazuyo Watanabe
章史 笠松
Akifumi Kasamatsu
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Abstract

【課題】電波干渉型の電波吸収体において、広い周波数帯域の電波を良好に吸収することができる電波吸収体を実現する。【解決手段】電波1入射面側から第1誘電体層11と抵抗層12と第2誘電体層13と反射層14とが順次積層された電波干渉型の電波吸収体であって、前記抵抗層の抵抗値が110Ω/sq以上150Ω/sq以下である。【選択図】図1

Description

本開示は、不所望な電波を吸収する電波吸収体に関し、特に、いわゆる電波干渉型の電波吸収体であり、吸収される電波の周波数帯域を広く設定することが可能な電波吸収体に関する。
電気回路などから外部へと放出される漏洩電波や、不所望に反射した電波の影響を回避するために、電波を吸収する電波吸収体が用いられている。
近年は、携帯電話などの移動体通信や無線LAN、料金自動収受システム(ETC)などで、数ギガヘルツ(GHz)の周波数帯域を持つセンチメートル波、さらには、30ギガヘルツから100ギガヘルツの周波数を有するミリ波帯、ミリ波帯域を超えた高い周波数帯域の電波としてテラヘルツ(THz、100GHz~)帯域の周波数を有する電波を利用する技術の研究も進んでいる。
このような高い周波数の電波を利用する技術トレンドに対応して、不要な電波を吸収する電波吸収体に対しても、ミリ波帯域からそれ以上の高い周波数帯域の電波を吸収可能とするものへの要望がより強くなることが考えられる。
不要な電波の反射を抑えて吸収する電波吸収体としては、誘電体層の電波入射側表面に抵抗皮膜が設けられ、反対側の裏面には電波を反射する反射層が設けられて、反射層で反射して外部に放射される電波の位相を抵抗皮膜の表面で反射する電波の位相から1/2波長分ずらすことで、電波吸収体から反射する電波を打ち消しあって吸収するいわゆる電波干渉型(反射型とも言う)のものが知られている。電波干渉型の電波吸収体は、磁性体粒子によって磁気的に電波を吸収するタイプの電波吸収体と比べて軽量であり、容易に製造することができるため低コスト化が可能という利点を有している。
発明者らは、薄型に形成された電波干渉型の電波吸収体である電波吸収シートとして、誘電体層の表面に形成される抵抗皮膜に導電性有機高分子膜を採用することで、所望する周波数帯域の電波を良好に吸収することができるとともに高い可撓性を備えた、取り扱いの容易な電波吸収シートを提案している(特許文献1参照)。
国際公開番号WO2018/088492号公報
一般に、電波吸収体や電波吸収シートでは、その使用環境や目的に応じて当該電波吸収体や電波吸収シートに吸収させる電波の周波数(吸収周波数)が設定される。電波干渉型の電波吸収シートの場合は、電波吸収の原理から誘電率がεの誘電体層の厚さdを、吸収させる電波の誘電体内での伝搬時の波長λ(=1/周波数)に応じてd=λ/4=πc/(2ω√ε)として作製されるが、このようにして作製された電波吸収体の電波吸収特性、すなわち、入射する電波の周波数が変化した場合の電波吸収量の変化を示す反射減衰量特性は極めて急峻な変化を示し、吸収周波数とは異なる周波数の電波の吸収特性は大きく低減してしまう。
本開示は、上記従来の電波吸収シートの課題を解決し、電波干渉型の電波吸収体において、広い周波数帯域の電波を良好に吸収することができる電波吸収体を実現することを目的とする。
上記課題を解決するため本願で開示する電波吸収体は、電波入射面側から第1誘電体層と抵抗層と第2誘電体層と反射層とが順次積層された電波干渉型の電波吸収体であって、前記抵抗層の抵抗値が110Ω/sq以上150Ω/sq以下であることを特徴とする。
本願で開示する電波吸収体は、第1誘電体層、抵抗層、第2誘電体層、反射層が順次積層された構成とすることで、2つの誘電体層による所定の周波数の電波を吸収するキャンセル効果が複合されることとなる。この結果、電波吸収体に吸収される電波の周波数特性を、より広い周波数帯域に対して高い吸収特性を有するブロードなものとすることができる。
本実施形態にかかる電波吸収シートの構成を説明する部分断面図である。 本実施形態にかかる電波吸収シートにおける電波吸収特性を確認するためのモデル図とシミュレーションに用いられる等価回路図である。図2(a)が本実施形態にかかる電波吸収シートの構成のもの、図2(b)が従来の電波吸収シートの構成のものをそれぞれ示す。 シミュレーションに用いる電波吸収シートのモデルと実際に作製した電波吸収シートの構成を説明するモデル図である。 実際に作製した電波吸収シートの反射減衰特性を、シミュレーション結果と比較する図である。 抵抗層の抵抗値を変化させた場合の、反射減衰特性の変化を示す図である。
本願で開示する電波吸収体は、電波入射面側から第1誘電体層と抵抗層と第2誘電体層と反射層とが順次積層された電波干渉型の電波吸収体であって、前記抵抗層の抵抗値が110Ω/sq以上150Ω/sq以下である。
このような構成とすることで、抵抗層が入射した電波の一部を反射するとともに他を透過させるため、第1誘電体層による電波吸収効果と第2誘電体層による電波吸収効果とが複合して、広い周波数帯域にわたって高い反射減衰量が得られるブロードな電波吸収特性を実現することができる。
上記電波吸収体において、前記第1誘電体層の表面インピーダンスが377Ωであることが好ましい。このようにすることで、電波吸収体の表面が空気中のインピーダンス値と一致するいわゆるインピーダンスマッチングが実現され、より多くの電波が第1誘電体層に入射するため、より高い電波吸収特性を備えた電波吸収体を実現することができる。
また、吸収する電波の中心周波数が100GHz以上であり、かつ、電波減衰量が-10dB以上となる周波数帯域幅が100GHz以上であることが好ましい。このようにすることで、今後の利用増が期待できる高周波数帯域における広帯域の電波吸収特性が実現される。
さらに、前記第2誘電体層が粘着性を有することが好ましい。このようにすることで、抵抗層と第2誘電体層と反射層とを、第2誘電体層自体が備える粘着性で接着することができ、各層を接着するための接着剤が不要となるため、電波吸収体を低コストで製造することができる。
さらにまた、前記抵抗層が、導電性有機高分子膜、金属膜、スパッタ膜、蒸着膜のいずれかで形成されていることが好ましい。
また、本願で開示する電波吸収体は、前記第1誘電体層、前記抵抗層、前記第2誘電体層、前記反射層がいずれも薄膜状に作製され、全体として可撓性を有するシート状に形成されていることが好ましい。電波吸収体において可撓性を有するシート状とすることで、所望する場所に配置する場合などに取扱いが容易な電波吸収体を実現することができる。
以下、本願で開示する電波吸収体について、図面を参照して説明する。
ここでは、本願で開示する電波吸収体として、主面積に対して厚さが十分に小さくシートとして把握できる電波吸収シートを例示して説明する。このように、本願で開示する電波吸収体とは、その表面積と厚さとの関係でシートとして捉えられる電波吸収シートと、相対的に厚さが厚く全体がブロック形状として把握される電波吸収ブロックとの両方を含む概念である。
なお、後述するように、電波干渉型の電波吸収体の誘電体層の厚さは基本的に吸収する電波の周波数の逆数に比例することから、吸収する電波の周波数がミリ波帯域以上の高い周波数の電波吸収体では誘電体層の厚さはそれほど厚くはならない。また、例えば、ノイズ源となる電子機器の表面に隙間無く配置する場合や、外殻を構成する筐体の内部に配置された電子機器を不所望な外部電波から保護する場合などの用途の場合、電波吸収体が一定以上の表面積を有していることが実用上有効である。このため、本願で開示する電波吸収体は、一定の表面積を有し厚さが小さいシート状の形態を採ることがより一般的であると考えられる。
(実施の形態)
図1は、本実施形態にかかる電波吸収シート(電波吸収体)の構成を示す一部断面斜視図である。
なお、図1は、本実施形態にかかる電波吸収シートの構成を理解しやすくするために記載された図であり、図中に示された部材の大きさ、特に各層の厚さに関しては必ずしも現実に即して表されたものではない。
[電波吸収シートの全体構成]
本実施形態で例示する電波吸収シート10は、吸収される電波1の入射面側から、表面誘電体層11a、樹脂製基材11b、抵抗層12、第2誘電体層13,反射層14が順次積層されて構成されている。
なお、図1に例示する電波吸収シート10では、表面誘電体層11aの背面側(入射側表面とは反対の側)に、導電性高分子膜で構成された抵抗層12を塗布する基材としての樹脂製基材11bが配置されていて、表面誘電体層11aと樹脂製基材11bとで第1誘電体層11が構成されている。
本実施形態にかかる電波吸収シート10は、基本的には電波干渉型(λ/4型、反射型とも称される)であり、表面誘電体層11aに入射した電波1は、一部が抵抗層12で反射され残りは抵抗層12を透過する。抵抗層12を透過した電波1は、第2誘電体層13を透過した後に反射層14で反射される。また、表面誘電体層11aの電波1が入射する側の表面抵抗値は、その比誘電率を考慮して377Ω/sqとなるように設定されていて、より多くの電波1が電波吸収シート10の内部に侵入することができるように、いわゆるインピーダンスマッチングがとられている。
本実施形態にかかる電波吸収シートでは、表面誘電体層11aの表面で表面反射された電波と、抵抗層12で反射された電波および反射層14で反射された電波との位相を逆転させて打ち消し合うことによって、電波吸収シート10からの反射波を減衰させて見かけ上電波1を吸収することができる。
[各部材の詳細について]
次に、本実施形態にかかる電波吸収シート10を構成する各部材について説明する。
<誘電体層>
本実施形態にかかる電波吸収シートの第1誘電体層11(表面誘電体層11a+樹脂製基材11b)、第2誘電体層13は、いずれも、酸化チタン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ガラス、シリコーンゴムなどの各種誘電体で形成することができる。
なお、第1誘電体層11、第2誘電体層13は、いずれも1種の材料で形成された1層構成のものとして形成することができる。また、同種、異種の材料を2層以上積層した構成とすることもできる。図1に示す本実施形態の電波吸収シート10では、上述したように抵抗層12を形成するための樹脂製基材11bとしてポリエチレンテレフタレート(PET)のシートが用いられていて、第1誘電体層11は、表面誘電体層11aと樹脂製基材11bとの2層によって構成されていることになる。
なお、抵抗層12を、電波1が入射する側の表面に配置された誘電体層の背面に直接形成した場合や、抵抗層12を形成する際に基材が不要な場合には、電波吸収シート10の表面に配置された誘電体層が単独で第1誘電体層11を構成することとなる。
また、第1誘電体層11と第2誘電体層13とは同じ誘電体材料を用いて形成することができ、また、その層構成数を含めて異なる誘電体材料を用いて構成することも可能である。
第1誘電体層11、および、第2誘電体層13の厚さは、電波吸収シート10によって吸収したい電波1の周波数である吸収周波数に応じて、それぞれの誘電体層を構成する誘電性部材の誘電率を勘案して適宜求めることができる。一例として、電波吸収シート10で吸収される電波1の中心周波数が100GHzから400GHzまでの場合には、第1誘電体層11、第2誘電体層12を比誘電率が2~3程度の一般的な誘電材料を用いて、その厚さを80μmから250μmとすることが好ましい。比誘電率が2~3程度の誘電体層の場合に、その厚みが80μmよりも薄いと電波吸収シートで吸収される電波の中心波長が400GHzよりも高くなる。一方、誘電体層の厚みが250μmよりも厚い場合には、電波吸収シートで吸収される電波の中心波長が100GHzよりも低くなる。
図1に示す本実施形態にかかる電波吸収シート10では、表面誘電体層11aと第2誘電体層13とを、いずれも透光性があり粘着性を有するアクリル系のOCA(Optical Clear Adhesive)で構成している。表面誘電体層11aまたは第1誘電体層11と、第2誘電体層13とに、粘着性を有する樹脂材料を用いることで、第1誘電体層11と必要な基材を含む抵抗層12、さらに、抵抗層12と第2誘電体層13と反射層14とを誘電体層が有する接着力によって接着することができるため、電波吸収シート10の構成を簡易なものとして製造時の作業性の向上や材料低減ができるため、電波吸収シート10を作製するコストを低減することができる。OCAとしては、上記したアクリル系OCA以外に、シリコーン系OCA、ウレタン系OCAなどを用いることができる。
もちろん、各層を接着するために両面粘着シートなどの粘着材料を用いることができ、各層を接着する面に接着剤を塗布して電波吸収シート10としての積層体を構成することもできる。
また、図1に実施の形態として例示した電波吸収シート10の表面誘電体層11aや第2誘電体層13のように、透明または一定以上の透光性を有する材料で形成された層を用い、さらに、抵抗層12と反射層14とを透光性を有する材料で構成した場合には、全体として一定以上の全光線透過率を有する透光性を備えた電波吸収シート10を実現することができる。電波吸収シート10の全光線透過率は60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
<抵抗層>
本実施形態に示す電波吸収シート10の抵抗層12は、第1誘電体層11と第2誘電体層13との間に配置され、第1誘電体層11を透過した電波1の一部を反射し、残りを透過させる機能を果たす。
抵抗層12における電波1を反射する割合は、抵抗層12の抵抗値によって定まり、抵抗値が377Ωと相違が大きくなればなるほど反射する電波の割合が低下し透過する電波の割合が増える。また、入射する電波の周波数によっても抵抗層12を透過する電波の割合が変化し、同じ抵抗値の抵抗層12である場合、電波1の周波数が高くなるほど抵抗層12を透過する割合が増える。
本実施形態として示す電波吸収シート10の場合は、吸収する電波1の中心周波数を300GHzと設定していて、抵抗層12の抵抗値は130Ω/sqとしている。なお、電波吸収シート10で吸収する電波1の中心周波数を300GHzとする場合には、広帯域幅の周波数を良好に吸収するために、抵抗層12の抵抗値は110Ω/sq以上150Ω/sq以下とすることが好ましい。抵抗層12の抵抗値が110Ω/sqより小さいと、電波吸収シート10に入射した電波1の多くが抵抗層12で反射されてしまい、第2誘電体層13による電波吸収作用が小さくなる。一方、抵抗層12の抵抗値が150Ω/sqより大きい場合は、電波吸収シート10に入射した電波1の多くが抵抗層12を透過してしまうため、第1誘電体層11のみによる電波吸収作用が小さくなる。本実施形態の電波吸収シート10では、抵抗層12で反射される電波1と反射層14で反射される電波1とのバランスを良くして、表面誘電体層11aの表面で表面反射された電波1との干渉作用を適度に複合させることで、広い周波数帯域の電波を良好に吸収することができるようになるため、抵抗層12の抵抗値の値をその中心周波数に応じた所定の範囲の値とすることが重要となる。
なお、図1に示す本実施形態にかかる電波吸収シート10に用いられる抵抗層12としては、抵抗値が上述した110Ω/sq以上150Ω/sqとなるものであれば特に制限はない。具体的には、導電性有機高分子膜、スパッタ膜、蒸着膜などを良好に用いることができる。また、上述の導電性有機高分子膜、スパッタ膜、蒸着膜は、膜厚や形成密度によって抵抗値を制御することが可能であるため、所望の抵抗値を有する抵抗層12を容易に形成することができる点で好ましい。
抵抗層12として用いられる導電性有機高分子としては、共役導電性有機高分子が用いられ、ポリチオフェンやその誘導体、ポリピロールやその誘導体を用いることが好ましい。
また、抵抗層12としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子を使用することができ、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、および、これらの共重合体等を用いることができる。
なお、抵抗層12に用いられる導電性有機高分子として、ポリアニオンをカウンターアニオンとして用いることができる。ポリアニオンとしては特に限定されないが、上述した抵抗皮膜1に用いられる共役導電性有機高分子に、化学酸化ドープを生じさせることができるアニオン基を含有するものが好ましい。このようなアニオン基としては、例えば、一般式-O-SO3X、-O-PO(OX)2、-COOX、-SO3Xで表される基等(各式中、Xは水素原子またはアルカリ金属原子を示す。)が挙げられ、中でも、共役導電性有機高分子へのドープ効果に優れることから、-SO3X、および、-O-SO3Xで表される基が特に好ましい。
上記導電性有機高分子は、1種を単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。上記例示した材料の中でも、透明性と導電性とがより高くなることから、ポリピロール、ポリ(3-メトキシチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(2-アニリンスルホン酸)、ポリ(3-アニリンスルホン酸)から選ばれる1種または2種からなる重合体が好ましい。
特に、共役系の導電性有機高分子とポリアニオンの組み合わせとしては、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン:PEDOT)と、ポリスチレンスルホン酸(PSS)を用いることが好ましい。
また、本実施形態にかかる電波吸収シート10の抵抗層12においては、導電性有機高分子の電気伝導度を制御して、所定の抵抗値を得るために、ドーパントを併用することができる。ドーパントとしては、ヨウ素、塩素等のハロゲン類、BF3、PF5等のルイス酸類、硝酸、硫酸等のプロトン酸類や、遷移金属、アルカリ金属、アミノ酸、核酸、界面活性剤、色素、クロラニル、テトラシアノエチレン、TCNQ等が使用できる。
抵抗層12における導電性有機高分子の含有量は、抵抗層12組成物に含まれる固形分の全質量に対して、10質量%以上35質量%以下であることが好ましい。含有量が10質量%を下回ると、抵抗層12の導電性が低下する傾向にある。このため、インピーダンス整合をとるために抵抗層12の表面電気抵抗値を所定の範囲とした結果、抵抗層12の膜厚が大きくなることによって、電波吸収シート全体が厚くなったり、透光性を備える場合では光学特性が低下したりする傾向がある。一方、含有量が35質量%を超えると、導電性有機高分子の構造に起因して抵抗層12をコーティングする際の塗布適正が低下して、良好な抵抗層12を形成しづらくなり、透光性を有する場合には、抵抗層12のヘイズが上昇してやはり光学特性が低下する傾向にある。
また抵抗層12がカーボンマイクロコイル、カーボンナノチューブ、グラフェン等のカーボン材料を含む構成でも良い。
カーボンマイクロコイルは、主としてアセチレンの触媒活性化熱分解法によって得られる一種の気相成長カーボンファイバーであり、コイル径がミクロンオーダーの3D-ヘリカル/らせん構造をなしている材料である。コイル径は1~10μmであり、該コイルを形成するカーボンファイバー径は0.1~1μmであり、コイルの長さは1~10mmであることが好ましい。
カーボンナノチューブは、具体的には例えばアーク放電法、レーザー蒸発法、熱分解法等の気相成長法によって得ることができる。本実施形態にかかる電波吸収シート10の抵抗層12として用いられるカーボンナノチューブとしては、単層および多層のいずれであってもよい。
グラフェンは、例えば剥離転写法、SiC熱分解法、化学気相成長法、カーボンナナノチューブを切開する方法等によって得ることができる。本実施形態にかかる電波吸収シート10の抵抗層12として用いられるグラフェンとしては、所望するアスペクト比を容易に得られること、および、電波吸収シート10における配向性の観点から、鱗片形状の紛体状グラフェンを用いることが好ましい。
なお、上記したカーボン材料を分散させる樹脂としては、水溶性ポリエステル樹脂を用いることができる。
なお、抵抗層12は、上述のように抵抗層12の形成用塗料としてのコーティング組成物を樹脂製の基材の上に塗布して乾燥することにより形成することができる。
抵抗層形成用塗料を基材の上に塗布する方法としては、例えば、バーコート法、リバース法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ダイコート法、ディッピング法、スピンコート法、スリットコート法、スプレーコート法等の塗布方法を用いることができる。塗布後の乾燥は、抵抗層形成用塗料の溶媒成分が蒸発する条件であればよく、100~150℃で5~60分間行うことが好ましい。また、必要に応じて、塗膜にUV光(紫外線)やEB(電子線)を照射して塗膜を硬化させることで抵抗層12を形成してもよい。
なお、抵抗層12を形成するために用いられる基材としては特に限定されないが、透明性を有する透明基材が好ましい。このような透明基材の材質としては、例えば、樹脂、ゴム、ガラス、セラミックス等の種々のものが使用でき、上述したように本実施形態で例示する電波吸収シート10では厚さが50μmのPET膜を用いている。
<反射層>
反射層14は、第2誘電体層13を透過した電波1を反射する層である。反射層12では、抵抗層12とは異なり電波1を透過させる必要は無い。このため、なるべく低い抵抗値であることが好ましく、抵抗値が0Ω/sqであることが最も好ましい。このような反射層14としては、金属箔や金属板を良好に使用できる。
電波吸収シート10として可撓性を有するようにするためには、反射層14を構成する材料としては金属箔がより好ましく、銅箔、アルミ箔、金箔などの各種の金属箔を用いることができる。これらの中でも、コストと空気中での酸化の影響を考慮すると、反射層14としてアルミ箔を用いることが特に好ましい。反射層14を形成するアルミ箔などの金属箔は、金属材料を圧延することで容易に実現できる。また、非金属製材料の表面に金属を蒸着した蒸着膜で反射層14を形成する場合には、従来各種蒸着膜の形成に用いられている蒸着方法を、蒸着する金属材料と基材となる樹脂などの非金属性材料の耐熱温度などとを考慮して適宜選択することが好ましい。
反射層14の厚さは、可撓性を有する電波吸収シート10とする場合としてアルミ箔を用いた場合には、1μm~20μmであることが好ましい。
また、図1に示す本実施形態にかかる電波吸収シート10において、第2誘電体層13の抵抗層12が形成されている側とは反対側の表面に直接金属材料の蒸着膜を形成することで、反射層14を金属などの導電性材料の蒸着膜のみで形成することができる。第2誘電体層13の背面側に金属蒸着膜を形成した場合には、第2誘電体層13と反射層14とを別々に形成してこれを密着配置させる場合と比較して、第2誘電体層13と反射層14との間に間隙が生じない。このため、第2誘電体層13を透過した電波1を第2誘電体層13の背面側表面の位置で反射させることができ、所望する電波吸収量の周波数特性を有する電波吸収シート10を実現することが容易となる。
一方で、反射層14に金属箔を用いる場合と比較して、蒸着膜を用いる場合には、蒸着膜における導電性材料の密度を均一に、かつ十分に形成する必要がある。発明者らの検討結果によれば、反射層の抵抗値は1Ω/sq以下となるようにすることが好ましく、金属蒸着膜の厚さを十分に制御して抵抗値を所望する値以下とすることが好ましい。
また、電波吸収シート10として可撓性とともに透光性を有するようにするためには、反射層14として、導電性の繊維により構成された導電性メッシュが採用できる。導電性メッシュは、一例としてポリエステルモノフィラメントで織ったメッシュに金属を付着させて導電性とすることで構成できる。金属としては、導電性の高い銅、銀などを用いることができる。また、メッシュの表面を覆う金属膜による反射を低減するために、金属膜のさらに外側に黒色の反射防止層を付与したものも製品化されている。
反射層14としては、他にも、直径が数十から数百μmの細い銅線などの金属線が、縦横に配置された導電性金属格子を用いることができる。
なお、上述のメッシュや導電性金属格子により反射層14を構成した場合には、可撓性と透光性とを確保するために、反射層14として求められる抵抗値を実現できる限りにおいて、最低限の厚さを有するように構成されることとなる。
メッシュや導電性格子として形成される反射層14の開口率は、透光性を確保する観点からはより大きい方が、反射層14としてその表面で電波を確実に反射して電波吸収シート10としての電波吸収特性を高くする観点からはより小さい方が好ましい。発明者らの検討によると、開口率が35%以上85%以下であることが好ましく、開口率が35%以上75%以下であることがより好ましい。
<接着層>
図1での図示は省略しているが、本実施形態にかかる電波吸収シート10を所定の位置に容易に配置できるように、反射層14の背面に接着層を形成することができる。
接着層としては、粘着テープなどの粘着層として利用される公知の材料、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を用いることができる。また被着体に対する粘着力の調節、糊残りの低減のために、粘着付与剤や架橋剤を用いることができる。被着体に対する粘着力は5N/10mm~12N/10mmが好ましい。粘着力が5N/10mmより小さいと、電波吸収シート10が被着体から容易に剥がれてしまったり、ずれてしまったりすることがある。また、粘着力が12N/10mmより大きいと、電波吸収シート10を被着体から剥離しにくくなる。
また接着層の厚さは、20μm~100μmが好ましい。接着層の厚さが20μmより薄いと、粘着力が小さくなり、電波吸収シート10が被着体から容易に剥がれたり、ずれたりすることがある。接着層の厚さが100μmより大きいと、電波吸収シート10を被着体から剥離しにくくなる。また接着層の凝集力が小さい場合は、電波吸収シート10を剥離した場合、被着体に糊残りが生じる場合がある。また、電波吸収シート10全体としての可撓性を低下させる要因となる。
なお、本実施形態にかかる電波吸収シート10に使用可能な接着層としては、電波吸収シート10を被着物体に剥離不可能に貼着する接着層とすることができるとともに、剥離可能な貼着を行う接着層とすることもできる。なお、本実施形態にかかる電波吸収シート10において、接着層を備えた構成とすることは必須の要件ではなく、電波吸収シート10を所望する部材に対して、従来一般的な各種の接着方法を用いて接着することができる。
(実施例)
以下、本実施形態にかかる電波吸収シート10の電波吸収特性の検討を行った検討結果について説明する。
[電波吸収特性について]
発明者らは、第1誘電体層と抵抗層と第2誘電体層と反射層とが順次積層された本願で開示する電波吸収シートにおける電波吸収の原理、特に、吸収される電波の周波数特性がブロードなものとなって、一例として100GHz以上の広い周波数帯域にわたって、-10dB(90%)以上の反射減衰特性が得られる理由と、電波吸収特性をコントロールすることの可能性について、電波吸収シートのモデルを作製し、シミュレーションを行うとともにモデルに即した電波吸収シートを実際に作製して対比を行った。
図2は、発明者らが検討に用いた電波吸収体(シート)のモデルとシミュレーションの基本となる等価回路図とを示している。図2(a)が本願で開示する電波吸収体(シート)のモデルと透過回路図を、図2(b)が表面抵抗層(抵抗被膜)と誘電体層と反射層とを備えた従来の電波吸収シートのモデルと透過回路図を示している。
まず、図2(b)に示す、従来の電波干渉型(λ/4型)の電波吸収体(シート)の場合についてみると、電波吸収シートの表面には空気中のインピーダンス377Ωにマッチングされた抵抗値が377Ωの表面抵抗層(抵抗皮膜)25が配置され、電波吸収シートで吸収される電波の波長λに対応させて厚さλ/4に設定された誘電体層26を介して、反射層27が配置される。図2(b)に示した等価回路のように、電波吸収シートの表面であるポートP1は表面抵抗層と同じ電位となるため、表面抵抗層25で反射された電波と、厚さがλ/4である誘電体層を透過して反射層で反射され誘電体層26を透過した電波とが打ち消しあって、見かけ上電波吸収される。
このため、誘電体層26の厚みλ/4として設定された波長λの電波は良好にキャンセルされるが、電波の波長がシフトするとそのキャンセル効果が急激に低下する電波吸収特性となる。
一方、図2(a)に示す本実施形態にかかる電波吸収シートのモデルは、電波が入射する表面から、第1誘電体層21、抵抗層22、第2誘電体層23、反射層24が順次積層されている。
このモデルにおける第1誘電体層21の表面であるポートP1のインピーダンス値は、第1誘電体層の比誘電率を考慮して、入射する電波の波長λの4分の1の厚みにおいて空気中のインピーダンスと同じく377Ωに設定されている。第1誘電体層21の背面に配置された抵抗層22の抵抗値をXΩとする。また、第2誘電体層23の厚みも、第1誘電体層21の厚みと同様に電波の波長λの4分の1とし、ポートP2となる反射層24の抵抗値は0Ω(=グランド)とする。
このような構成において、第1誘電体層21においては、その厚みがλ/4に設定されることで、表面で反射された電波と背面に位置する抵抗層22で反射された電波との位相が打ち消し合うことで、波長λの電波が見かけ上吸収される。また、第2誘電体層23に関しては、その表面の抵抗層22の抵抗値Xが377Ωよりも低い値(一例として108Ω)に設定されることで、上記説明した図2(b)に示す従来の電波吸収体の構造と比較してよりオープン(開放)に近い状態となり、ポート2(P2)側の影響が抑えられる。このようにして、第1誘電体層21による電波吸収効果と、ポート2側の影響が抑えられて電波吸収効果のピークがシフトされた第2誘電体層23による電波吸収効果との相乗効果によって、図2(b)に示した従来の電波吸収体の場合と比較して電波減衰量の周波数特性がよりブロードなものとなる。なお、第1誘電体層21の表面で反射した電波と反射層24で反射された電波との間にも電波吸収作用が生じるため、図2(a)に示した本実施形態にかかる電波減衰量の周波数特性はよりブロードなものとなる。
そこで、Ansys HFSSシミュレーションを行って、本実施形態で示した電波吸収シートにおける電波反射減衰量の周波数特性を求めるとともに、シミュレーションのモデルとなった電波吸収シートを実際に試作して、その反射減衰量の周波数特性を実測した。
図3は、上記シミュレーションで用いた電波吸収体の具体的なモデルを示している。
上記シミュレーションでは、図1として示した本実施形態にかかる電波吸収シートの構成に併せて、比誘電率2.55、厚さ100μmの表面誘電体層31aと、比誘電率3.2、厚さ50μmの樹脂製基材31bとが積層された第1誘電体層31、抵抗値が130Ω/sqの抵抗層32、比誘電率2.55、厚さ150μmの第2誘電体層33、抵抗値が0Ω/sq(=グランド)の反射層34が積層されたものについて、周波数150GHz~500GHzにおける反射減衰量を計算した。
一方、現実の電波吸収シートは、表面誘電体層31aとして比誘電率が2.55、厚さが100μmのアクリルOCAを用い、これに積層して、比誘電率3.2、厚さ50μmのPET基材31b上に抵抗値が140Ω/sqのPEDOT抵抗層32が形成されたものを配置し、さらに第2誘電体層33として比誘電率が2.55、厚さが150μmのアクリルOCAを用いて、反射層34はアルミ箔を用いて構成した。
この電波吸収シートの周波数150GHz~500GHzにおける反射減衰量の周波数特性を、アドバンステスト社のTHZ-TDS TAS7500SP(製品名)を用いて測定した。電波吸収特性は、上述したシミュレーションの結果と同様に、入射波に対する反射波の減衰量を反射減衰量として求め、dBで表示した。
図4に、電波吸収シートの反射減衰量の周波数特性示す。
図4において、符号41で示す実線が実際に作製した電波吸収シートの測定結果を、符号42で示す破線が上記したシミュレーションの結果を示している。
図4から、実際に作成したモデルの測定結果と、シミュレーション結果とがほぼ一致しており、上記シミュレーションによって、所望する電波吸収特性を備えた電波吸収シートを設計することが可能であることが確認できた。
図5は、本実施形態に示す電波吸収シートで抵抗層の抵抗値を変化させた場合の電波吸収シートの反射減衰量の変化を示す図である。
測定は図3に示したモデルを用い、上記図4で示した反射減衰量の周波数特性を測定したものと同様に、表面誘電体層31aとして比誘電率が2.55、厚さが100μmのアクリルOCAを、また、第2誘電体層33として比誘電率が2.55、厚さが150μmのアクリルOCAを、反射層34としてアルミ箔を用いたものにおいて、比誘電率3.2、厚さ50μmのPET基材31b上に形成したPEDOT抵抗層32の抵抗値を140Ω/sq、130Ω/sq、120Ω/sq、110Ω/sqと変化させてそれぞれ形成したものを作製した。
図5において、符号51が抵抗層32の抵抗値が140Ω/sqのもの、符号52が抵抗層32の抵抗値が130Ω/sqのもの、符号53が抵抗層32の抵抗値が120Ω/sqのもの、符号54が抵抗層32の抵抗値が110Ω/sqのものをそれぞれ示す。なお、図4に示した、抵抗層の抵抗値が130Ω/sqの場合のシミュレーション結果を符号55として示している。
図5に示すように、抵抗層32の抵抗値が大きい値であるほど反射減衰量のピーク周波数がより高周波数となり、吸収のピーク周波数における反射減衰量値もより大きくなる傾向であることがわかる。抵抗層32の抵抗値が小さくなることは、抵抗層32を透過する電波の量が増えて、電波吸収シート全体の電波吸収効果における第2誘電体層による電波吸収効果の影響がより強くなることを意味している。図3に示したように、上記測定に用いた電波吸収シートでは、第1誘電体層(31a+31b)と第2誘電体層33の厚みを同じ150μmとしているため、第2誘電体層による電波吸収効果が大きくなり、また、抵抗層32を透過する電波の量が多くなることで第1誘電体層の表面で反射する電波と反射層で反射する電波とのキャンセル効果がより強く加わることで、このような吸収周波数のピークのシフトと、反射減衰量のピーク値の増大が生じたものと考えられる。
以上説明したように、本実施形態に示す電波吸収シートでは、電波の入射面側から第1誘電体層、抵抗層、第2誘電体層、反射層が順次積層される構成とすることで、第1誘電体層、第2誘電体層、第1誘電体層および第2誘電体層をそれぞれ介することによる電波吸収効果が複合されて、従来の電波干渉型の電波吸収シートにおける電波吸収特性と比較してよりブロードな電波吸収特性を備えた電波吸収シートを実現することができる。
なお、第1誘電体層、第2誘電体層それぞれの比誘電率と厚さを変化させること、また、抵抗層の抵抗値を変化させることで、電波吸収シート全体としての電波吸収効果は変化するが、上記したシミュレーションを用いて電波吸収シート全体の電波吸収特性が算出できることが確認されているため、より好ましい電波吸収特性を備えた電波吸収シートを設計することが可能である。
また、上記実施形態では、第1誘電体層と第2誘電体層との2つの誘電体層を備えた電波吸収体(シート)の構成についてのみ説明したが、本願で開示する電波吸収体(シート)は、2つの誘電体層を備える構成に限られるものではない。
図1に示した電波吸収シートの構成において、第2誘電体層と反射層との間に第2抵抗層と第3誘電体層とがさらに積層された構成とするなど、抵抗層と誘電体層との組み合わせを2組以上備えて3層以上の誘電体層による電波吸収効果が複合された電波吸収体とすることが可能である。なお、複数以上の抵抗層が形成される場合には、入射した電波の少なくとも一部が反射層まで到達することができるように、電波の入射面側に位置する抵抗層の抵抗値がより大きく、かつ、377Ω/sq以下であり、最も反射層の側に位置する抵抗層の抵抗値を0Ω/sqより大きい値とすることが必要となる。
また、本願で開示する電波吸収シートは、複数の誘電体層、抵抗層、反射層それぞれを、可撓性を有する材料で形成することで、電波吸収シート全体として可撓性を有するものとすることかでき、所望する場所への配置時の取り扱いが容易なものとすることができる。
なお、シート状の形態のものに限らず、表面積に対して所定の厚さを有するブロック状の電波吸収体として実現する場合でも、全体として可撓性を有することができれば、電波吸収体を所定位置に配置する際の取り扱い性が向上し、実用性の高い電波吸収体とすることができる。
さらに、複数の誘電体層、抵抗層、反射層それぞれを、透光性を有する材料で形成することで、例えば窓や透明な壁などにタイル状に並べて配置して反対側を見通せる電波吸収ブロックとすることができる。この場合においても、複数の誘電体層による電波吸収効果が複合されることで、よりブロードな反射減衰特性を備えた電波吸収体を実現することができる。
本願で開示する電波吸収体は、第1誘電体層、抵抗層、第2誘電体層、反射層が順次積層される構成とすることで、広帯域の電波に対して良好な吸収特性を有する電波吸収体を実現することができる。
1 (入射)電波
10 電波吸収体
11 第1誘電体層
11a 表面誘電体層(第1誘電体層)
11b 樹脂製基材(第1誘電体層)
12 抵抗層
13 第2誘電体層
14 反射層

Claims (6)

  1. 電波入射面側から第1誘電体層と抵抗層と第2誘電体層と反射層とが順次積層された電波干渉型の電波吸収体であって、
    前記抵抗層の抵抗値が110Ω/sq以上150Ω/sq以下であることを特徴とする、電波吸収体。
  2. 前記第1誘電体層の表面インピーダンスが377Ωである、請求項1に記載の電波吸収体。
  3. 吸収する電波の中心周波数が100GHz以上であり、かつ、電波減衰量が-10dB以上となる周波数帯域幅が100GHz以上である、請求項1または2に記載の電波吸収体。
  4. 前記第2誘電体層が粘着性を有する、請求項1~3のいずれかに記載の電波吸収体。
  5. 前記抵抗層が、導電性有機高分子膜、金属膜、スパッタ膜、蒸着膜のいずれかで形成されている、請求項1~4のいずれかに記載の電波吸収体。
  6. 前記第1誘電体層、前記抵抗層、前記第2誘電体層、前記反射層がいずれも薄膜状に作製され、全体として可撓性を有するシート状に形成された、請求項1~5のいずれかに記載の電波吸収体。
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