JP2022135025A - 電波吸収シート - Google Patents

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尚曄 李
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Abstract

【課題】電波吸収シート表面での反射波と、電波吸収シートを透過する透過波との両方において、所定の周波数の電波を吸収できる電波吸収シートを実現すること【解決手段】抵抗皮膜1と、誘電体層2と、反射層3とを順次積層してシート状に形成された電波吸収シートであって、前記反射層3が、導電性材料で形成された複数個の閉ループ3aが電波吸収シートの主面方向内において2次元方向に並んで配置された閉ループ共振体として形成されている。【選択図】図2

Description

本開示は、電波干渉型の電波吸収シートに関し、特に、所定の周波数の電波の反射量と透過量とを両方ともに減衰させることができる電波吸収シートに関する。
電気回路などから外部へと放出される漏洩電波や、不所望に反射した電波の影響を回避するために、電波を吸収する電波吸収シートが用いられている。
近年は、携帯電話などの移動体通信や無線LAN、料金自動収受システム(ETC)などで、数ギガヘルツ(GHz)の周波数帯域を持つセンチメートル波、さらには、30ギガヘルツから300ギガヘルツの周波数を有するミリ波帯、ミリ波帯域を超えた高い周波数帯域の電波として、1テラヘルツ(THz)の周波数を有する電波を利用する技術の研究も進んでいる。
このようなより高い周波数の電波を利用する技術トレンドに対応して、不要な電波を吸収する電波吸収体やユーザの利便性を向上したシート状の電波吸収体である電波吸収シートにおいても、ミリ波帯域からそれ以上の帯域の電波を吸収可能とするものへの要望は、より高くなることが考えられる。
このような電波吸収シートとして、誘電体層の一方の表面に抵抗皮膜を、他方の表面に電波を反射する反射層とが形成され、反射層での反射波の位相をシート表面で反射した表面反射波に対して1/2波長分ずらすことで互いに打ち消し合い、電波吸収シートから反射する電波を吸収する、電波干渉型(λ/4型とも称される)の電波吸収シートが知られている。電波干渉型の電波吸収シートは、比重の大きな磁性体粒子によって磁気的に電波を吸収する電波吸収シートなどと比べて軽量であり、容易に製造することができるため低コスト化が可能という利点を有している。
従来、電波干渉型の電波吸収シート(電波吸収体)では、誘電体層の表面に形成される抵抗皮膜として、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの金属酸化物、金属窒化物ないしはこれらの混合体を、イオンプレーティング法、蒸着法、スパッタリング法などによって形成したものが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
また、電波干渉型の電波吸収シートとして、誘電体層の表面に形成される抵抗皮膜に導電性有機高分子膜を採用することで、高い可撓性を備えた取り扱いの容易な電波吸収シートが提案されている(特許文献3参照)。
特開平06-120689号公報 特開平09-232787号公報 国際公開番号WO2018/088492号公報
上記電波干渉型の電波吸収シートでは、電波が入射する側とは反対側の背面に、誘電体層を透過した電波を反射させる反射層が形成されている。このため、電波干渉型の電波吸収シートでは、通常、電波吸収シートに入射した電波が背面側に透過することはなく、電波吸収シートから反射される反射波において、所定の周波数の電波が吸収されるという反射減衰特性としての電波吸収特性が示される。
しかし、今後も電波通信を利用した情報伝達に関する技術分野がさらに発展することが見込まれる中で、例えば、空中電波を発信するアンテナ送信機の内部で不要電波を吸収する場合など、電波吸収シートを電波が透過することが必要である一方で、所定の周波数の電波については、電波吸収シートからの反射波と電波吸収シートを透過する透過波との両方の電波が吸収されることが好ましい場合がある。従来の電波干渉型の電波吸収シートでは、電波吸収シートを透過する電波は存在しなかったため、このような用途に使用することはできない。
本開示は、上記従来の課題を解決し、電波吸収シート表面での反射波と、電波吸収シートを透過する透過波との両方において、所定の周波数の電波を吸収することができる電波吸収シートを実現することを目的とする。
上記課題を解決するため本願で開示する電波吸収シートは、抵抗皮膜と、誘電体層と、反射層とを順次積層してシート状に形成された電波吸収シートであって、前記反射層が、導電性材料で形成された複数個の閉ループが電波吸収シートの主面方向内において2次元方向に並んで配置された閉ループ共振体として形成されていることを特徴とする。
本願で開示する電波吸収シートは、反射層が、複数個の閉ループが電波吸収シートの主面内において2次元方向に並んで配置された閉ループ共振体として構成された電波干渉型の電波吸収シートである。このため、一部の電波は反射層を透過することができるので、電波吸収シートで反射される所定の周波数の電波を減衰する反射減衰特性と、電波吸収シートを透過する所定の周波数の電波を減衰する透過減衰特性との2つの電波吸収特性を備えた電波吸収シートを実現することができる。
本実施形態にかかる電波吸収シートの構成を説明する断面図である。 反射層である閉ループ共振体の構成を説明するイメージ図である。 実施例にかかる電波吸収シートにおける、閉ループの配置ピッチPと反射減衰量の周波数特性との関係を示す図である。 実施例にかかる電波吸収シートにおける、閉ループの配置ピッチPと透過減衰量の周波数特性との関係を示す図である。
本願で開示する電波吸収シートは、抵抗皮膜と、誘電体層と、反射層とを順次積層してシート状に形成された電波吸収シートであって、前記反射層が、導電性材料で形成された複数個の閉ループが電波吸収シートの主面方向内において2次元方向に並んで配置された閉ループ共振体として形成されている。
このような構成とすることで、本願で開示する電波吸収シートは、複数個の閉ループが2次元方向に並んだ閉ループ共振体によって反射層が形成されているため、電波干渉型の電波吸収シートでありながら、電波吸収シートに入射した電波を透過させることができる。このとき、反射層に複数個並んで配置されている閉コイルの配置ピッチPや大きさなどを変えることによって、反射層で反射される電波と吸収される電波の周波数を変化させることができ、電波吸収シートにおける反射減衰特性と透過減衰特性とを制御することができる。その結果、所定の周波数の反射波と所定の周波数の透過波との両方を低減させることができる電波吸収シートを実現できる。
本願で開示する電波吸収シートにおいて、前記閉ループの配置ピッチPが0.1mm~10mmであることが好ましい。このようにすることで、20GHzから300GHzまでの所望の周波数に吸収のピークが存在する電波吸収特性を備えた電波吸収シートを作製することができる。
また、前記閉ループを構成する前記導電性材料が、無機導電材料、有機導電材料、金属メッキ膜のうちのいずれか一つ以上を含むことが好ましい。これらの材料を用いることで、複数個の閉ループが並んで配置された閉ループ共振体としての反射層を容易に作製することができる。
さらに、前記電波吸収シートは、所定の周波数の電波に対する電波吸収シート表面での反射減衰量が-10dB以上、および/または、電波吸収シートを透過する電波の透過減衰量が-8dB以上であることが好ましい。実用十分な電波吸収特性を有する電波吸収シートを実現することができる。
さらにまた、前記電波吸収シートにおける、反射減衰量のピーク周波数、および、透過減衰量のピーク周波数が、いずれも20GHz~300GHzの範囲内にあることが好ましい。このようにすることで、レーダー装置や大容量通信関連装置などの、今後利用される様々な周波数の電波を吸収する電波吸収シートとすることができる。
また、前記電波吸収シートにおける、反射減衰量のピーク周波数と透過減衰量のピーク周波数とが略一致しているようにすることができる。なお、ここで、反射減衰量のピーク周波数と透過減衰量のピーク周波数とが略一致しているとは、両ピーク周波数の差が10GHz以下であることを意味する。
以下、本願で開示する電波吸収シートについて、図面を参照して説明する。
(実施の形態)
まず、本実施形態にかかる電波吸収シートの全体構成について説明する。
図1は、本実施形態にかかる電波吸収シートの構成を示す断面図である。
なお、図1は、本実施形態にかかる電波吸収シートの構成を理解しやすくするために記載された図であり、図中に示された部材の大きさや厚みについて現実に即して表されたものではない。
本実施形態で例示する電波吸収シートは、抵抗皮膜1、誘電体層2、反射層3が積層されて形成されている。なお、図1では省略するが、反射層3の背面側、すなわち、反射層3において誘電体層2が配置されている側とは反対側の表面には、接着層4を積層形成することができる。また、抵抗皮膜1の前面側、すなわち、抵抗皮膜1において誘電体層2が配置されている側とは反対側の表面には、保護層5を積層形成することができる。
本実施形態にかかる電波吸収シートは、誘電体層2に入射した電波11が、誘電体層2の背面側に配置されている反射層3と誘電体層2との界面で反射されて、反射波12として再び外部へと放出される。このとき、誘電体層2の厚さdを、入射した電波の波長として実効的波長の1/4とする(d=λ/4=πC/2ω√εr、ω:角振動数、εr:誘電体層の誘電率)ことで、入射波11の位相11a(正確には、電波吸収シートの表面で反射する表面反射波の位相)と反射波12の位相12a(反射層の表面で反射した反射波の位相)とが打ち消し合って、電波吸収シートからの反射波12が実質的に吸収されたようになる。
誘電体層2の背面側に積層して形成される反射層3は、誘電体層2との境界面である誘電体層2側の表面で、入射してきた電波を反射する層である。
本実施形態にかかる電波吸収シートでは、この反射層3が複数個の閉ループが並んで配置された閉ループ共振体として構成されることで、誘電体層2を透過して反射層3に入射した電波によって引き起こされる共振作用によって一部の電波を反射して反射波12aとするとともに、共振周波数と一致する電波を反射層3自体で吸収する。また、一部の電波は透過波13として、反射層3を透過する。なお、反射層3の構成と閉ループ共振体としての効果については後に詳述する。
抵抗皮膜1は、誘電体層2の前面側、すなわち誘電体層2の反射層3が積層されている側とは反対の側の吸収される電波が入射する側に形成され、電波吸収シートと空気との間のインピーダンス整合を行う。
空気中を伝搬してきた電波が電波吸収シートに入射する際、電波吸収シートの入力インピーダンス値を空気中のインピーダンス値(実際には真空のインピーダンス値)である377Ωに近づけることで、電波吸収シートへの電波の入射時に電波の反射・散乱が生じて電波吸収特性が低下することを防ぐことが重要となる。抵抗皮膜1は、導電性有機高分子の膜として形成することができ、この場合には、抵抗皮膜1が可撓性を有するため、誘電体層2や反射層3がともに可撓性を有する場合には、可撓性を有する電波吸収シートを構成することかができる。
[各部材の詳細について]
次に、本実施形態にかかる電波吸収シートを構成する各部材について詳述する。
<抵抗皮膜>
本実施形態にかかる電波吸収シートの抵抗皮膜は、導電性を有する無機材料の薄膜として作製することができる。
具体的には、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの金属酸化物、金属窒化物ないしはこれらの混合体を、イオンプレーティング法、蒸着法、スパッタリング法、各種塗布法などの薄膜形成方法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂製基材の上にコーティングして抵抗皮膜を作製することができる。
また、本実施形態にかかる電波吸収シートの抵抗皮膜は、導電性高分子の薄膜としても作製することができる。抵抗皮膜を高分子膜によって形成する場合には、導電性有機高分子として共役導電性有機高分子を用いることができ、ポリチオフェンやその誘導体、ポリピロールやその誘導体を用いることが好ましい。
この他にも、抵抗皮膜としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子を使用することができ、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、および、これらの共重合体等を用いることができる。
なお、抵抗皮膜に用いられる導電性有機高分子として、ポリアニオンをカウンターアニオンとして用いることができる。ポリアニオンとしては特に限定されないが、上述した抵抗皮膜1に用いられる共役導電性有機高分子に、化学酸化ドープを生じさせることができるアニオン基を含有するものが好ましい。このようなアニオン基としては、例えば、一般式-O-SO3X、-O-PO(OX)2、-COOX、-SO3Xで表される基等(各式中、Xは水素原子またはアルカリ金属原子を示す。)が挙げられ、中でも、共役導電性有機高分子へのドープ効果に優れることから、-SO3X、および、-O-SO3Xで表される基が特に好ましい。
上記導電性有機高分子は、1種を単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。上記例示した材料の中でも、透明性と導電性とがより高くなることから、ポリピロール、ポリ(3-メトキシチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(2-アニリンスルホン酸)、ポリ(3-アニリンスルホン酸)から選ばれる1種または2種からなる重合体が好ましい。
特に、共役系の導電性有機高分子とポリアニオンの組み合わせとしては、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン:PEDOT)と、ポリスチレンスルホン酸(PSS)を用いることが好ましい。
また、本実施形態にかかる電波吸収シートの抵抗皮膜においては、導電性有機高分子の電気伝導度を制御して、電波吸収シートの入力インピーダンスを空気中のインピーダンス値と整合させるために、ドーパントを併用することができる。ドーパントとしては、ヨウ素、塩素等のハロゲン類、BF3、PF5等のルイス酸類、硝酸、硫酸等のプロトン酸類や、遷移金属、アルカリ金属、アミノ酸、核酸、界面活性剤、色素、クロラニル、テトラシアノエチレン、TCNQ等が使用できる。抵抗皮膜の表面抵抗値は、導電性有機高分子とドーパントとの配合割合によって調整することができる。導電性有機高分子とドーパントとの好ましい配合割合は、一例として質量比で導電性高分子:ドーパント=1:2~1:4とすることができる。
さらに、抵抗皮膜を形成する材料としては、他にポリフッ化ビニリデン、水溶性ポリエステルを含むことが好ましい。これらを含むことで、抵抗皮膜の耐候性が向上するため、抵抗皮膜の表面抵抗値の経時的な変化を抑えることができ、抵抗被膜を保護する保護層の材料や厚さの設計裕度を広げることができる。
抵抗皮膜における導電性有機高分子の含有量は、抵抗皮膜組成物に含まれる固形分の全質量に対して、10質量%以上35質量%以下であることが好ましい。含有量が10質量%を下回ると、抵抗皮膜の導電性が低下する傾向にある。このため、インピーダンス整合をとるために抵抗皮膜の表面電気抵抗値を所定の範囲とした結果、抵抗皮膜の膜厚が大きくなることによって、電波吸収シート全体が厚くなったり光学特性が低下したりする傾向がある。一方、含有量が35質量%を超えると、導電性有機高分子の構造に起因して抵抗皮膜をコーティングする際の塗布適正が低下して、良好な抵抗皮膜を形成しづらくなり、抵抗皮膜のヘイズが上昇して、やはり光学特性が低下する傾向にある。
また抵抗被膜がカーボンマイクロコイル、カーボンナノチューブ、グラフェン等のカーボン材料を含む構成でも良い。
カーボンマイクロコイルは、主としてアセチレンの触媒活性化熱分解法によって得られる一種の気相成長カーボンファイバーであり、コイル径がミクロンオーダーの3D-ヘリカル/らせん構造をなしている材料である。コイル径は1~10μmであり、該コイルを形成するカーボンファイバー径は0.1~1μmであり、コイルの長さは1~10mmであることが好ましい。
カーボンナノチューブは、具体的には例えばアーク放電法、レーザー蒸発法、熱分解法等の気相成長法によって得ることができる。本実施形態にかかる電波吸収シートの抵抗皮膜として用いられるカーボンナノチューブとしては、単層および多層のいずれであってもよい。
グラフェンは、例えば剥離転写法、SiC熱分解法、化学気相成長法、カーボンナナノチューブを切開する方法等によって得ることができる。本実施形態にかかる電波吸収シートの抵抗皮膜として用いられるグラフェンとしては、所望するアスペクト比を容易に得られること、および、電磁波吸収シートにおける配向性の観点から、鱗片形状の紛体状グラフェンを用いることが好ましい。
なお、上記したカーボン材料を分散させる樹脂としては、水溶性ポリエステル樹脂を用いることができる。
また、導電性有機高分子を用いた抵抗皮膜は、抵抗皮膜の形成用塗料としてのコーティング組成物を基材の上に塗布して乾燥することにより形成することができる。
抵抗皮膜形成用塗料を基材の上に塗布する方法としては、例えば、バーコート法、リバース法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ダイコート法、ディッピング法、スピンコート法、スリットコート法、スプレーコート法等の塗布方法を用いることができる。塗布後の乾燥は、抵抗皮膜形成用塗料の溶媒成分が蒸発する条件であればよく、100~150℃で5~60分間行うことが好ましい。溶媒が抵抗皮膜に残っていると強度が劣る傾向にある。乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥法、加熱乾燥法、真空乾燥法、自然乾燥等により行うことができる。また、必要に応じて、塗膜にUV光(紫外線)やEB(電子線)を照射して塗膜を硬化させることで抵抗皮膜を形成してもよい。
なお、抵抗皮膜を形成するために用いられる基材としては特に限定されないが、樹脂、ゴム、ガラス、セラミックス等の種々のものが使用できる。
<誘電体層>
本実施形態にかかる電波吸収シートの誘電体層は、酸化チタン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ガラス、シリコーンゴムなどの誘電体で形成することができる。なお、誘電体層は、1種の材料で1層の構成として形成することができ、また、同種、異種の材料を2層以上積層した構成とすることもできる。誘電体層の形成には、塗布法やプレス成型法、押出成型法などを用いることができる。
上述のように、本実施形態にかかる電波吸収シートは、電波吸収シート表面で反射した表面反射波と、反射層で反射されて位相が1/2波長ずれた反射波との干渉により、表面反射波と反射層での反射波とが打ち消し合って電波を吸収する。このため、誘電体層の厚さ(図1におけるd)は吸収しようとする電波の周波数の逆数である波長に対応して定められる。
なお、dの値は、抵抗皮膜と反射層との間が空間となっている場合、すなわち、誘電体層が誘電率=1の空気で形成されている場合はd=λ/4が成り立つが、誘電体層の誘電率がεrである場合には、d=1/(4√εr)となって誘電体層の厚さdを、1/(4√εr)だけ薄くすることができる。誘電体層を薄く形成することで、電波吸収シート全体の薄型化を実現でき、電波吸収シートの軽量化や可撓性に優れた電波吸収シートの実現に寄与する。
<反射層>
本実施形態にかかる電波吸収シートは、反射層が、平面上に複数個の閉ループが並んで配置された閉ループ共振体として構成されている。
図2は、反射層である閉ループ共振体の構成を説明するイメージ図である。
図2に示すように、反射層3は、複数個の閉ループ3aが、縦/横両方向に等間隔でマトリクス状に並んで配置されて構成されている。なお、図2では、閉ループ3aとして矩形(正方形)のものを例示したが、円形(リング状)の閉ループを配置してもかまわない。また、矩形と円形の閉ループが混在していてもかまわない。ただし、面全体で均一な電波吸収特性を得る上では、すなわち、電波吸収シートの所定周波数の電波に対する電波吸収特性がシート面内においてばらつかないようにするためには、閉ループの配置パターンが統一されていることが好ましい。具体的には、例えば正方形の閉ループと円形の閉ループとが交互に並んでいる、または、一方の形状の閉ループが所定の数並んだ後に他方の形状の閉ループが所定数配置されている、という状態が繰り返される等、反射層全体の閉ループ配置パターンが、小面積での配置パターンが面的に繰り返されるようにすることが好ましい。また、閉ループが長方形や長円形、楕円形の場合、長短の方向がそろってしまうと電波吸収シートの配置の向きによって電波吸収特性に影響が出る場合もあるため、長手方向が一致しないような配置パターン、例えば縦/横が繰り返される等のパターンとすることが好ましく、正方形、または円形(正円形)である方がより好ましい。
閉ループ共振体としての反射層3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂製の基材上に導電性材料を用いてループ形状を形成、配置することで作製できる。
閉ループ3aを構成する導電性材料としては、ITO(酸化インジウム錫)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、カーボンブラックなどの無機導電性材料、PEDOT-PSS、ポリアセチレン、ポリチオフェンなどの有機導電性材料、無電解メッキ膜や電解メッキ膜などの金属メッキ膜などを使用することができる。
基材上に複数個の閉ループ3aを形成する方法としては、インクジョット法やスクリーン印刷法などの各種印刷法、基材となるシートの全面に導電性材料を塗布した後に、閉ループを形成する部分にマスクをしてマスクで覆われていない部分を酸などを用いて導電性材料を除去する方法、ループ以外の部分にレーザー光を照射して導電性材料を除去する方法を用いることができる。また他にも、光硬化性樹脂とマスクパターンとを用いたフォトリソグラフ法や、基材全面に無電解メッキ触媒の機能を妨げる失活剤を塗布し、その後閉ループを形成する部分の失活剤を光や熱で除去した後に、無電解メッキ用触媒液と無電解メッキ液を順次接触させて、閉ループ部分に無電解メッキ膜、さらにその上に電解メッキ膜を形成する方法など、使用する導電性材料の特性に合った従来のパターン形成法を広く採用することができる。
図2の拡大図に示すように、本実施形態にかかる電波吸収シートの反射層3では、正方形の枠状の閉ループ3aが形成されていて、閉ループ3aの一片の長さaは、一例として0.20mm、閉ループ3aの線幅bは、一例として40μm、隣り合う閉ループ3a同士の間隔cは、一例として0.14mmである。閉ループ3aの線幅bについては、閉ループ3aが導波路を形成して、導波路内に入り込んだ電波が外に飛び出さないような条件とすることが好ましく、導電性材料にもよるが、2~200μmであることが好ましい。
本実施形態にかかる電波吸収シートでは、反射層に形成された閉ループ3aの配置ピッチP(=a+c:閉ループの繰り返し間隔)や、閉ループ3aの一片の長さ(図2中のa)や線幅(図2中のb)を変化させることによって、電波吸収シートでの電波吸収特性が変化する。その内容については、後に詳述する。
<接着層>
上述したように、図1では示していないが、本実施形態にかかる電波吸収シートでは、反射層の背面側に適宜接着層を設けることができる。接着層を有することで、電波吸収シートを所定の場所に容易に貼り付けることができるようになる。接着層4は、粘着性の樹脂ペーストを塗布することで容易に形成できる。
なお、接着層4は、本実施形態にかかる電波吸収シートにおいて必須の部材ではなく、電波吸収シートを所定の場所に配置するに当たっては、電波吸収シートが貼り付けられる部材側に接着のための部材が配置されていてもよく、また、電波吸収シートを所定の場所に配置する際に、電波吸収シートと配置場所との間に接着剤を供給する、または、両面テープを用いるなどの接着方法を採用することができる。
<保護層>
また、図1では図示を省略するが、抵抗皮膜の表面、すなわち、電波吸収シートにおいて電波が入射する側の最表面に保護層を形成することができる。上述のように、抵抗皮膜の抵抗値が空気中のインピーダンスと整合していない場合には、電波吸収層の電波吸収特性が低下する。保護層は、抵抗皮膜が外力によって傷つけられたり、紫外線や水分の影響を受けてその表面抵抗値が変化したりしないように保護する膜であり、特に、抵抗皮膜として導電性有機高分子膜を用いた場合には、これを保護する上で有用である。
なお、保護層は、本実施形態にかかる電波吸収シートにおいて必須の構成要件ではなく、導電性有機高分子の材料によって、表面への水分の付着に伴う表面抵抗値の変化や抵抗皮膜の表面が傷つくことへの懸念が小さい場合には、保護層がない電波吸収シートの構成を選択可能である。
保護層5としては、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料を用いることができる。なお、保護層として用いられる樹脂材料は一定の抵抗値を有するが、保護層の膜厚を薄く設定することで、保護層の有無による電波吸収シートの表面抵抗値への影響を実用上問題ないレベルとすることができる。
[閉ループの配置ピッチPによる電波吸収特性の検討]
本実施形態にかかる電波吸収シートでは、反射層に配置された複数個の閉ループによる共振作用によって、電波吸収シートの表面で反射する電波の吸収特性と電波吸収シートを透過する電波の吸収特性が変化する。以下、閉ループの配置間隔である配置ピッチPが変化することによる、電波吸収シートの電波吸収特性の変化との関係について説明する。
図3は、本実施形態にかかる電波吸収シート表面での電波の反射特性について、閉ループの配置ピッチPと電波の反射減衰量の周波数特性との関係を示す図である。
図3では、反射層3に配置された一辺aが0.20mmの正方形の閉ループ3aの配置間隔cを変化させることで閉ループ3aの配置ピッチP(=a+c)を変化させたときの、電波吸収シートに入射した電波が反射波となった際の反射減衰量の周波数による変化をデシベル(dB)で表示したものである。なお、図4に示す透過電波の減衰量のデータを含めて、周波数特性の変化の解析は、Ansys社(アンシス・ジャパン株式会社)製の高周波電界シミュレーションソフトである「Ansys HFSS」(製品名)を用いて行った。
図3において、符号21で示す太実線が閉ループ3aの配置ピッチPが0.26mm(c=0.06mm)、符号22で示す一点鎖線が閉ループ3aの配置ピッチPが0.30mm(c=0.10mm)、符号23で示す細実線が閉ループ3aの配置ピッチPが0.34mm(c=0.14mm)、符号24で示す破線が閉ループ3aの配置ピッチPが0.38mm(c=0.18mm)、符号25で示す一点鎖線が閉ループ3aの配置ピッチPが0.42mm(c=0.22mm)の場合の、電波吸収シート表面で反射した電波の減衰量を示している。
それぞれのピッチでの反射減衰量のピークは、配置ピッチPが0.26mmの場合、ピーク周波数が293GHzで減衰量が-39.3dB、配置ピッチPが0.30mmの場合、ピーク周波数が270GHzで減衰量が-25.2dB、配置ピッチPが0.34mmの場合、ピーク周波数が249GHzで減衰量が-24.9dB、配置ピッチPが0.38mmの場合、ピーク周波数が229GHzで減衰量が-30.2dB、配置ピッチPが0.42mmの場合、ピーク周波数が212GHzで減衰量が-43.9dBとなっている。
なお、このシミュレーションに当たって、反射層3に配置されたそれぞれの閉ループ3aは上述したとおり正方形の枠状とし、各閉ループは一辺の長さaが0.20mm、閉ループ3aの線幅bは40μmとした。また、誘電体層2の誘電率は3.3、誘電体層2の厚さは136μmとして、仮に反射層3が金属箔で構成されたもの(電波を全反射するもの)であった場合には、反射減衰量のピーク周波数が250GHzとなる条件とした。
図3に示すように、実施例にかかる電波吸収シートにおいて、反射層3の閉ループ3aの配置ピッチPを変化させることで反射減衰特性のピークは、212GHz~293GHzの間で変化することがわかる。また、それぞれのピーク周波数での反射減衰量(dB値)の大きさも変化している。これは、本実施形態にかかる電波吸収シートでは、閉ループ3aの配置ピッチPによって反射層3で反射される電波の周波数が変化し、この反射した周波数の電波に対する誘電体層2の誘電率と厚みとによる反射減衰の作用とが組み合わさった結果であると考えられる。
なお、上述のように反射減衰量のビーク周波数は変化するものの上記検討した閉ループ3aの配置ピッチPの範囲では、いずれの場合もピーク周波数において-20dB以上という高い電波吸収特性を有していることがわかる。さらに、電波の周波数が10GHz以下の場合でも、-9dB(約80%の吸収量)、さらに40GHz以下の周波数の電波に対しても、-6dB(約70%の吸収量)という実用上十分な電波吸収特性を有している。このため、現在モバイル通信用のルーター等に用いられている2~5GHzの周波数の電波や、今後モバイル通信の主流となる5Gで使用される周波数(28GHz、39GHz)の電波、さらには、70GHz以上の将来のデータ通信で中心的に用いられると考えられるより高い周波数帯域の電波をも、良好に吸収することができることがわかる。
図4は、反射層3に配置された閉ループ3aの配置ピッチPを変更したときの、電波吸収シートに入射した電波が背面側に透過した際の減衰量である透過減衰量の周波数による変化をデシベル(dB)で表示したものである。
図4において、符号31で示す太実線が閉ループ3aの配置ピッチPが0.26mm(c=0.06mm)、符号32で示す一点鎖線が閉ループ3aの配置ピッチPが0.30mm(c=0.10mm)、符号33で示す細実線が閉ループ3aの配置ピッチPが0.34mm(c=0.14mm)、符号34で示す破線が閉ループ3aの配置ピッチPが0.38mm(c=0.18mm)、符号35で示す一点鎖線が閉ループ3aの配置ピッチPが0.42mm(c=0.22mm)の場合の、電波吸収シート表面で反射した電波の減衰量を示している。
それぞれの配置ピッチPでの透過減衰量のピークは、配置ピッチPが0.26mmの場合、ピーク周波数が418GHzで減衰量が-40.3dB、配置ピッチPが0.30mmの場合、ピーク周波数が315GHzで減衰量が-41.0dB、配置ピッチPが0.34mmの場合、ピーク周波数が251GHzで減衰量が-39.6dB、配置ピッチPが0.38mmの場合、ピーク周波数が206GHzで減衰量が-38.4dB、配置ピッチPが0.42mmの場合、ピーク周波数が171GHzで減衰量が-37.9dBとなっている。
図4に示すように、実施例にかかる電波吸収シートにおいて、反射層3の閉ループ3aの配置ピッチPを変化させることで透過減衰量のピーク周波数は、171GHz~418GHzの間で変化することがわかる。一方、図3に示した反射減衰特性のものとは異なり、透過減衰量のピーク周波数が変化しても、減衰量の最大値は約-40dBでほぼ一定となっている。これは、反射減衰の場合は、電波干渉型での電波吸収のビーク周波数を定める要素である誘電体層2の誘電率や厚みの影響を受けるのに対して、透過減衰の場合は、反射層3での閉ループ3aでの電波の共振によって所定の周波数の電波が閉ループ共振体に閉じ込められて、吸収されたものであることを示している。
また、透過減衰量については、電波の周波数に関係なく-4dB以上の電波吸収特性を有していることがわかる。このため、電波吸収シートを透過する電波の吸収特性としても、上述した現在モバイル通信用のルーター等に用いられている2~5GHzの周波数、Gで使用される周波数(28GHz、39GHz)、さらに、70GHz以上のbeyond5Gや6G等、今後実際に使用される各周波数帯域の電波を良好に吸収することができることがわかる。
なお、図3に示した反射減衰特性と図4に示した透過減衰特性とから、本実施形態にかかる電波吸収シートでは、反射層の閉ループの配置ピッチPを適宜調整することによって、反射減衰量のピーク周波数と、透過減衰量のピーク周波数とをそれぞれシフトさせることができる。言い換えれば、閉ループの配置ピッチPを選択することで、反射減衰量のピーク周波数と透過減衰量のピーク周波数とをほぼ一致させることができる。図3と図4に示した、電波減衰量のシミュレーション結果から、一つの閉ループが一辺0.20mmの枠状の正方形であり、誘電体層の誘電率が3.3、厚さが136μmの場合には、閉ループの配置ピッチPを0.34mmとすることで、反射吸収のピーク周波数と透過吸収のピーク周波数とをいずれも約250GHz(249GHz)に一致させることができる。
なお、本実施形態にかかる電波吸収シートにおいて、上述した複数個の閉ループ3aの配置ピッチPを変化させることによる電波吸収のピーク周波数のシフトは、閉ループ3aの配置ピッチPが変わることによって生じる反射層3での共振条件(共振周波数)の変化に起因していることに他ならない。このため、複数個の閉ループ3aの形状を同じにしたまま配置ピッチPを変化させた上述の場合に限られず、閉ループ3aの一辺の長さ(図2中のa)や閉ループ3aの線幅(図2中のb)を変化させて反射層3での共振条件を変更することによっても、本実施形態にかかる電波吸収シートにおける反射吸収特性や透過吸収特性のピーク周波数を変化させることができる。
この場合、aの値が大きくなるとピーク周波数が大きくなる方向へ、反対にaの値が小さくなるとピーク周波数は小さい方向へ行くように制御可能である。また、bの値が大きくなると周波数は変わらず、電波吸収シートを透過する電波の吸収量(透過減衰量)が大きくなる。逆にbの値が小さくなると、透過する電波の吸収量が小さくなる。
以上説明したように、本実施形態に示す電波吸収シートでは、反射層として設けられた閉ループ共振体での共振周波数が、閉ループの配置ピッチP等によって変化することを利用して、電波吸収シートでの電波の反射吸収特性である反射減衰量と、透過吸収特性である透過減衰量とのピーク周波数を変更することかでき、特に、両者のピーク周波数を略一致させる(具体的には吸収のピーク周波数の差を10GHz以下とする)ことで、特定の周波数を有する電波の反射波と透過波との両方を吸収できるという、ユニークな電波吸収特性を備えた電波吸収シートを実現することができる。
なお、閉ループの配置ピッチPを調整して、電波吸収シートでの反射減衰量と透過減衰量とのピークを一致させる場合には、その一致させたピークとする周波数の電波をより効率よく吸収できる誘電体層を用いる、すなわち、誘電体層の誘電率と厚さとを当該一致させる周波数に対応したものとして設計することが好ましい。
以上の検討結果から、本実施形態にかかる電波吸収シートは、抵抗皮膜、誘電体層、反射層が積層された電波干渉型の電波吸収シートとして基本構成を有しながら、反射層が閉ループ共振体となっていることで、一定の周波数の電波を透過させるとともに、反射減衰量と透過減衰量についてそれぞれのピーク周波数を有するという特徴的な電波吸収特性を有する。
また、閉ループ3aの配置ピッチが変化した場合でも、10GHz以下の低周波数の電波においても、反射減衰量で-9dB以上の電波減衰量を、透過減衰量では周波数に関係なく-4dB以上の電波減衰量を有している。
なお、上記実施形態において、反射層の閉ループの配置間隔Pを0.26mmから0.42mmの範囲で変化させたシミュレーションを行った。このシミュレーションの結果から明らかなように、閉ループの配置間隔Pが大きくなるほど電波吸収シートにおける吸収特性のピーク周波数が小さくなる。発明者らの検討では。閉ループの配置ピッチPが5mmの場合数十M(メガ)となることが確認された。また、配置ピッチPが、0.2mmの場合には、周波数350GHz程度までの電波の反射吸収特性、透過吸収特性ともに良好であることがわかった。
以上説明したように、本願で開示する電波吸収シートは、抵抗皮膜、誘電体層、反射層が積層された電波干渉型の電波吸収シートでありながら、反射層が、導電性材料で形成された複数個の閉ループが電波吸収シートの主面方向内において2次元方向に並んで配置された閉ループ共振体として形成されているという、特徴ある構成を備えることで、一定の周波数を有する電波が透過されるとともに、透過する電波に対しても所定の電波吸収特性を有する。
このため、例えば、空中電波を発信するアンテナ送信機の内部で不要電波を吸収する場合など、電波吸収シートを電波が透過することが必要である一方で、所定の周波数の電波の反射量の減衰効果と、同じ周波数、若しくは異なる所定の周波数の電波については、電波吸収シートを透過する電波をからの反射波と電波吸収シートを透過する透過波との両方の電波が吸収されることが好ましい場合などに好適に利用できる、という格別の作用を奏することができる。
なお、上述のように反射層が複数個の閉ループが所定の間隔で並んで配置された構成であるため、反射層を形成する素材に透光性のある部材を用いることで、反射層が一定の開口率を有することとなる。この場合において、抵抗皮膜と誘電体層、さらに任意的に付加可能な保護層や接着層などの構成部材全てに透光性を有する部材を採用することで、電波吸収シート全体として、一定以上の透光性を有するようにすることができる。このようにすることで、例えば、電波シールド状態に置かれる居室のカーテンなど、内部、もしくは、外部の様子を視認可能としつつも不所望な電波を吸収可能な電波吸収シートを実現することができる。また、電波特性の測定時に不所望な電波を吸収するために衝立状の電波吸収体を配置する場合などでは、電波吸収シートを貼り付けて衝立として使用するための支持部材とともに光を透過させるようにすることで、電波吸収体の向こう側の測定機器や測定対象機器の様子を容易に観測することができるようになる。
本願で開示する電波吸収シートは、シート表面での反射吸収特性と、シートを透過する透過吸収特性との両方を備えるという、特徴ある電波吸収シートとして有用である。
1 抵抗皮膜
2 誘電体層
3 反射層
3a 閉ループ
P 閉ループの配置ピッチ

Claims (6)

  1. 抵抗皮膜と、誘電体層と、反射層とを順次積層してシート状に形成された電波吸収シートであって、
    前記反射層が、導電性材料で形成された複数個の閉ループが電波吸収シートの主面方向内において2次元方向に並んで配置された閉ループ共振体として形成されていることを特徴とする、電波吸収シート。
  2. 前記閉ループの配置ピッチPが0.1mm~10mmである、請求項1に記載の電波吸収シート。
  3. 前記閉ループを構成する前記導電製材料が、無機導電材料、有機導電材料、金属メッキ膜のうちのいずれか一つ以上を含む、請求項1または2に記載の電波吸収シート。
  4. 前記電波吸収シートは、所定の周波数の電波に対する電波吸収シート表面での反射減衰量が-10dB以上、および/または、電波吸収シートを透過する電波の透過減衰量が-8dB以上である、請求項1~3のいずれかに記載の電波吸収シート。
  5. 前記電波吸収シートにおける、反射減衰量のピーク周波数、および、透過減衰量のピーク周波数が、いずれも20GHz~300GHzの範囲内にある、請求項4に記載の電波吸収シート。
  6. 前記電波吸収シートにおける、反射減衰量のピーク周波数と透過減衰量のピーク周波数とが略一致している、請求項1~5のいずれかに記載の電波吸収シート。
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