JP2023131571A - 積層体の製造方法および製造装置、ならびにプリプレグの製造方法および製造装置 - Google Patents

積層体の製造方法および製造装置、ならびにプリプレグの製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】表面に突起が発生することを抑制しつつ高効率にプリプレグを製造できる積層体の製造方法および製造装置、ならびにプリプレグの製造方法および製造装置を提供すること。【解決手段】開繊装置20において、連続繊維束1の搬送方向と交差する方向へ変形させる外力を加えることにより、連続繊維束1に緊張と弛緩の状態を繰り返し生じさせて開繊し、張力付与装置30によって開繊された連続繊維束2に張力を付与し、開繊され張力が付与された連続繊維束2に樹脂シート3を積層し、形成された積層体4に荷重をかけて連続繊維束2に樹脂を含浸してプリプレグ5を得る。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体の製造方法および製造装置、ならびにプリプレグの製造方法および製造装置に関する。
航空機や自動車に用いる成形体を得るための成形材料として、プリプレグが知られている。繊維が一方向に揃えられたシート状の繊維束に樹脂を含浸した一方向プリプレグ(UDプリプレグ)は、プリプレグの一種であり、例えばクリールから送り出した繊維束を開繊してシート状にした後、樹脂シートを積層して樹脂を含浸させることによって得られる。
特許文献1には、給糸体から送り出されてくる繊維束の張力を緊張と弛緩が交互に反復するように変化させ、かつ空気を通過させることにより、拡幅開繊繊維束を高能率に製造する技術が開示されている。
特許第4813581号公報
しかし、搬送中の繊維束に緊張と弛緩を繰り返させて開繊する方法では、得られるプリプレグにおいて、繊維束内の単繊維が蛇行しやすくなり、繊維が余ることで、プリプレグの表面で繊維が局所的に突き出た形状の突起が生じやすい。プリプレグの表面に突起が生じると、プリプレグを成形して得た成形体の強度低下に繋がるうえ、外観も悪くなる。
本発明は、表面に突起が発生することを抑制しつつ高効率にプリプレグを製造できる積層体の製造方法および製造装置、ならびにプリプレグの製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]繊維束と樹脂シートが積層された積層体を製造する方法であって、
繊維束の搬送方向と交差する方向へ変形させる外力を加えることにより、前記繊維束に緊張と弛緩の状態を繰り返し生じさせて開繊する開繊工程と、
開繊された前記繊維束に張力を付与する張力付与工程と、
開繊され張力が付与された前記繊維束に樹脂シートを積層する積層工程と、を含む積層体の製造方法。
[2]前記張力付与工程として、前記開繊工程と前記積層工程の間の前記繊維束に張力付与装置によって張力を付与する、[1]に記載の積層体の製造方法。
[3]前記張力付与工程において前記繊維束に付与された後の張力がフィラメント1000本あたりで3g/錘・K以上である、[1]または[2]に記載の積層体の製造方法。
[4]前記張力付与工程において前記繊維束に付与された後の張力が繊維目付1g/mあたりで45g/錘×m/g以上である、[1]または[2]に記載の積層体の製造方法。
[5]前記張力付与装置が擦過バーを含む、[2]に記載の積層体の製造方法。
[6]前記張力付与装置がブレーキロールを含む、[2]に記載の積層体の製造方法。
[7]前記張力付与装置の最も下流側の前記繊維束との接点から前記繊維束と前記樹脂シートの接触点までの距離LがL<300mmを充たす、[2]、[5]または[6]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の積層体の製造方法で積層体を得て、前記積層体に荷重をかけて繊維束に樹脂を含浸させる、プリプレグの製造方法。
[9]前記繊維束と前記樹脂シートとの接触点で含浸ロールによって荷重をかけて前記含浸を開始する、[8]に記載のプリプレグの製造方法。
[10]繊維束を送り出す給糸体と、
前記給糸体から送り出されてくる前記繊維束の搬送形態をその搬送方向と交差する方向へ変形させることにより、搬送されている前記繊維束に緊張と弛緩とを繰り返させて開繊する開繊装置と、
開繊された前記繊維束に張力を付与する張力付与装置と、
張力が付与されている状態の開繊された前記繊維束に樹脂シートを積層する積層装置と、を備える積層体の製造装置。
[11]前記張力付与装置が前記開繊装置と前記積層装置の間に配置されている、[10]に記載の積層体の製造装置。
[12][10]または[11]に記載の積層体の製造装置と、含浸ロールと、を備える、プリプレグの製造装置。
本発明によれば、表面に突起が発生することを抑制しつつ高効率にプリプレグを製造できる積層体の製造方法および製造装置、ならびにプリプレグの製造方法および製造装置を提供できる。
実施形態のプリプレグの製造装置の概略構成を示した模式図である。 張力付与装置の一例を示した模式図である。 張力付与装置の一例を示した模式図である。 張力付与装置の一例を示した模式図である。 開繊装置の他の例を示した模式図である。
本発明のプリプレグの製造方法は、繊維が一方向に揃えられたシート状の繊維束に樹脂が含浸されたプリプレグ、いわゆる一方向プリプレグ(UDプリプレグ)を製造する方法であって、下記の開繊工程、張力付与工程、積層工程および含浸工程を含む。
開繊工程:繊維束の搬送方向と交差する方向へ変形させる外力を加えることにより、前記繊維束に緊張と弛緩の状態を繰り返し生じさせて開繊する。
張力付与工程:開繊された前記繊維束に張力を付与する。
積層工程:開繊され張力が付与された前記繊維束に樹脂シートを積層する。
含浸工程:前記積層体に荷重をかけて繊維束に樹脂を含浸させる。
実施形態の一例としては、開繊工程から含浸工程までを一連のラインで連続的に実施してプリプレグを製造する方法を例示できる。また、他の一例としては、開繊工程、張力付与工程および積層工程を一連のラインで連続的に実施する積層体の製造方法によって積層体を製造し、それとは別のラインで含浸工程を実施してプリプレグを製造してもよい。
<製造装置>
以下、本発明のプリプレグの製造方法に用い得るプリプレグの製造装置の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
図1に示すように、本実施形態のプリプレグの製造装置100(以下、単に「製造装置100」とも記す。)は、複数の給糸体10と、開繊装置20と、張力付与装置30と、積層装置40と、含浸機50と、を備えている。
以下の説明においては、各図に示すXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。このXYZ直交座標系においては、XY平面が水平で、X軸方向が繊維束の搬送方向であり、Y軸方向が繊維束の幅方向であり、Z軸方向がXY平面に垂直な上下方向である。
給糸体10は、連続繊維束1を送り出せるものであればよく、例えば、クリールに取り付けられたボビンパッケージから外取りで連続繊維束1が引き出されるものを例示できる。また、ボビンが抜き取られたパッケージから内取りで連続繊維束1が引き出されるものであってもよい。
複数の給糸体10から送り出された各連続繊維束1は、水平でかつ搬送方向に垂直な方向(Y軸方向)に所定の間隔をあけ、互いに平行となるように開繊装置20へと搬送される。連続繊維束1の搬送には、ガイドロール、ダンサーロール等を適宜使用することができる。
給糸体10の数は、各給糸体10から送り出される連続繊維束1のフィラメント数、目的とする積層体およびプリプレグの幅等に応じて適宜設定することができる。
図1に示す開繊装置20は、張力変動装置21と、張力変動装置21の下流側に配置された横振動開繊装置22と、を備えている。
張力変動装置21は、一対のガイドロール23,23と、縦振動バー24と、を備えている。
一対のガイドロール23,23は、回転軸がいずれもY軸方向に平行となるように、かつ連続繊維束1の搬送方向(X軸方向)に間隔をあけて配置されている。
縦振動バー24は、一対のガイドロール23,23の間の上方に、回転軸がY軸方向と平行となるように配置されている。縦振動バー24は、回転軸をY軸方向に平行としたまま上下方向(Z軸方向)に往復運動(縦振動)し、一対のガイドロール23,23の間を通過する連続繊維束1を上方から断続的に押さえつけることができる。
張力変動装置21では、一対のガイドロール23,23の上側をそれらの周面に沿って通過する連続繊維束1が、それら一対のガイドロール23,23の間で縦振動バー24によって上方から断続的に押さえつけられる。これにより、連続繊維束1にその搬送方向と交差する上下方向(Z軸方向)へ変形させる外力を加えることによって、搬送されている連続繊維束1に緊張と弛緩とを繰り返し生じさせ、連続繊維束1をY軸方向に拡幅して開繊する。
縦振動バー24による張力変動の周期、すなわち緊張と弛緩の周期は、一定周期であってもよく、変則的な周期であってもよい。
縦振動バー24の運動は、上下方向の往復運動だけには限定されず、例えば連続繊維束1を押さえつけているときには連続繊維束1とともに搬送方向(X軸方向)にも移動するようにしてもよい。これにより、縦振動バー24と連続繊維束との擦れが低減され、毛羽の発生が抑制されやすくなる。
上方から見たときの縦振動バー24の軸方向と連続繊維束1の繊維方向とがなす角度は、限定されるものではないが、例えば0~30°とすることができる。
上方から見たときの縦振動バー24の中心軸とガイドロール23の中心軸との距離は、限定されるものではないが、15~45mmが好ましい。前記距離が前記範囲内であると、縦振動バー24とガイドロール23を取り付けやすく、開繊した繊維束が再び集束することを抑制しやすい。
ガイドロール23の外径は、限定されるものではないが、例えば12~60mmとすることができる。
縦振動バー24の外径は、限定されるものではないが、例えば12~60mmとすることができる。
ガイドロール23及び縦振動バー24の表面は、梨地処理、クロムめっき、研磨処理等の表面処理が施されていてもよい。
縦振動バー24はバーである必要はなく、回転するロールであってもよい。ロールと連続繊維束との擦れを最小限に抑えて毛羽の発生を抑制しやすいという観点では、縦振動バー24を回転するロールにすることが好ましく、フリーロールにすることがより好ましい。フリーロールとしては、例えば、ロール本体が固定軸に対してベアリング等を介して回転自在に取りつけられたものを例示できる。またその場合には回転するロールの形状は必ずしも円形である必要はなく、オーバル型、角丸長方形型、角丸十字型などがある。
張力変動装置21は、搬送される連続繊維束1の張力を周期的に変動させることができるものであればよく、図1に示す態様には限定されない。例えば一対の縦振動バー24とガイドロール23によって断続的に連続繊維束1に外力を加える態様であってもよい。また、3つのガイドロール23と、そのそれぞれの間の上方に配置された2つの縦振動バー24によって断続的に連続繊維束1に外力を加える態様であってもよい。
また、張力変動装置21は、ガイドロール23と縦振動バー24との間で空気を流動させる機構を備えていてもよい。
図1の例では、張力変動装置21は1個であるが、この態様には限定されず、張力変動装置21を2個以上設置してもよい。張力変動装置を複数設置する場合、張力変動装置の数は、例えば2~4個であり得る。
張力変動装置21には、その上流側に、連続繊維束1に対して熱風を吹き付ける熱風装置28が設けられていてもよい。開繊しようとする繊維束に熱風を吹き付けることにより、繊維束中でフィラメント同士を結着させている結着剤が溶融し、開繊効率が高くなる。
横振動開繊装置22は、複数のガイドロール26と、複数の横振動ロール27とを備え、それらガイドロール26と横振動ロール27が連続繊維束1の搬送方向(X軸方向)に交互に配置されている。ガイドロール26の回転軸と横振動ロール27の回転軸は、いずれもY軸方向に平行である。
また横振動ロール27はロールである必要はなく、回転しないバーであってもよい。
各々の横振動ロール27は、水平でかつ連続繊維束1の搬送方向に垂直な方向(Y軸方向)に往復運動(横振動)することが可能である。横振動ロール27の横振動においては、その回転軸はY軸方向と平行に維持される。
図1に示す横振動開繊装置22では、各連続繊維束1を交互に配置されたガイドロール26の上側と横振動ロール27の下側に接するように搬送しつつ、横振動ロール27をY軸方向に横振動させる。これにより、各連続繊維束1がY軸方向にさらに拡幅され、繊維束間の隙間が埋められてシート状の連続繊維束2が形成される。
なお、横振動開繊装置22では、各連続繊維束1を交互に配置されたガイドロール26の下側と横振動ロール27の上側に接するように搬送してもよい。
本発明に用いる開繊装置は、図1に示した開繊装置20には限定されない。例えば、開繊装置において繊維束の搬送形態を変形させる方向は、繊維束の搬送方向(X軸方向)と交差する方向であればよく、上下方向(Z軸方向)には限定されない。具体的には、繊維束の搬送形態を、Y軸方向や、Y軸方向とZ軸方向の間の方向へ変形させることにより、搬送されている繊維束に緊張と弛緩とを繰り返させる開繊装置であってもよい。
また、他の一例の開繊装置は、横振動開繊装置を備えていなくてもよい。
本発明に用いる開繊装置は、張力変動装置21の代わりに、図5に例示したエア開繊装置29を備えていてもよい。図5における図1と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
エア開繊装置29は、一対のガイドロール23,23と縦振動バー24に加えて、吸引風洞管25を備えている。
吸引風洞管25は、上面にスリット状の開口が形成された風洞管であり、該開口からエアを吸引する機構を有する。吸引風洞管25の開口はY軸方向に延びている。吸引風洞管25が上面の開口からエアを吸引する機構としては、限定するものではないが、例えば、吸引風洞管25に吸気ポンプを接続してエアを吸引する機構を例示できる。
一対のガイドロール23,23は、吸引風洞管25の上面側において、前記開口の上流側と下流側にそれぞれ位置するように配置されている。
エア開繊装置29では、一対のガイドロール23,23上を搬送される連続繊維束1が、吸引風洞管25の開口からエアが吸引されることにより、一対のガイドロール23,23の間で吸引風洞管25の上面へと引き寄せられる。さらに、一対のガイドロール23,23の間で連続繊維束1が縦振動バー24によって上方から断続的に押さえつけられる。これにより、連続繊維束1の搬送形態が上下方向(Z軸方向)へ変形されることによって、搬送されている連続繊維束1に緊張と弛緩とを繰り返させ、連続繊維束1をY軸方向に拡幅して開繊する。
エア開繊装置29の数は、1個には限定されず、2個以上設置してもよい。エア開繊装置を複数設置する場合、エア開繊装置の数は、例えば2~4個であり得る。
張力付与装置30は、開繊された連続繊維束2に張力を付与する装置である。
張力付与装置30は、開繊装置20と積層装置40の間に配置されていること、すなわち開繊後から樹脂シートとの積層までの間の連続繊維束2に張力を直接付与する装置であることが好ましい。なお、樹脂シートと積層される連続繊維束2に所望の張力を付与できるものであれば、開繊途中または開繊前の連続繊維束1に張力を付与することによって、樹脂シートと積層される連続繊維束2に間接的に張力を付与する張力付与装置であってもよい。
以下、張力付与装置30の具体例を例示するが、それらに限定されるものではない。
図2に示す例の張力付与装置30は、軸方向がY軸方向に平行な複数の擦過バー31が連続繊維束2の搬送方向(X軸方向)に間隔をあけて配置されている。
この例の張力付与装置30では、搬送される連続繊維束2が複数の擦過バー31に擦り付けられることにより、連続繊維束2に張力が付与される。
各擦過バー31は、軸周りに回転しないことが好ましいが、周速が連続繊維束2の搬送速度(ライン速度)よりも遅い速度で回転駆動されていてもよい。
擦過バー31の周面の表面粗さRaは、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。擦過バー31の周面の表面粗さRaが前記下限値以上であれば、連続繊維束2が擦過バー31の周面に貼り付きにくくなり、連続繊維束2に安定して張力を付与することができる。また、擦過バー31の周面の表面粗さRaは、2.0以下が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましい。擦過バー31の周面の表面粗さRaが前記上限値以下であれば、擦過バーで毛羽立ちが発生しづらくなる。擦過バー31の周面の表面粗さRaの好ましい上限値と下限値は、任意に組み合わせることができ、例えば0.5~1.3が好ましい。
本発明において、表面粗さRaは、JIS B 0601-2001に従って測定される値を意味する。
図3に示す例の張力付与装置30は、軸方向がY軸方向に平行な複数のブレーキロール32が連続繊維束2の搬送方向(X軸方向)に間隔をあけて配置されている。
この例の張力付与装置30では、一定以上のトルクが加わることによって回転する複数のブレーキロール32によって連続繊維束2を搬送することにより、連続繊維束2に張力が付与される。
ブレーキロール32の周面の表面粗さRaは、擦過バー31と同様の理由から、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。また、ブレーキロール32の周面の表面粗さRaは、2.0以下が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましい。ブレーキロール32の周面の表面粗さRaの好ましい上限値と下限値は、任意に組み合わせることができ、例えば0.5~1.3が好ましい。
図4に示す例の張力付与装置30は、搬送される連続繊維束2を上下から挟み込むブレーキロール32とニップロール33とを備えている。
この例の張力付与装置30では、搬送される連続繊維束2をブレーキロール32とニップロール33で上下から挟み込むことにより、連続繊維束2に張力が付与される。
張力付与装置30は、図2~4に示したものには限定されず、例えばこれらの2つ以上を組み合わせたものであってもよい。本発明では、張力付与装置は、少なくとも擦過バーまたはブレーキロールを有していることが好ましい。
積層装置40は、開繊され張力が付与された連続繊維束2に樹脂シート3を積層する装置である。
積層装置40は、搬送される連続繊維束2の上方に配置された第一樹脂シート供給体41と、搬送される連続繊維束2の下方に配置された第二樹脂シート供給体42と、を備えている。積層装置40は、第一樹脂シート供給体41から送り出された樹脂シート3と、第二樹脂シート供給体42から送り出された樹脂シート3を、搬送される連続繊維束2の上下に貼り合わせて積層する。
含浸機50は、連続繊維束2と樹脂シート3とが積層された積層体4を上下から挟み込んで荷重をかける複数対の含浸ロール51を備えている。
搬送される積層体4が複数対の含浸ロール51によって挟み込まれて上下から加圧されることにより、樹脂シート3を形成する樹脂が連続繊維束2に含浸される。
図1に示す例では、含浸機50が備える最も上流側の一対の含浸ロール51が、積層装置40における連続繊維束2と樹脂シート3とを貼り合わせる貼合ロールを兼ねている。すなわち、この例の製造装置100では、連続繊維束2と樹脂シート3との接触点で含浸ロール51によって荷重がかかり、含浸が開始されるようになっている。このように、連続繊維束2と樹脂シート3とを積層したと同時に含浸が開始されるようにすれば、搬送される積層体4がロールに抱かれた際の内外周差によって連続繊維束2と樹脂シート3にズレが生じることが抑制されるため、不具合が生じにくくなる。
なお、積層装置40は、含浸機50の最も上流側の一対の含浸ロール51とは別に、貼合ロールを備えていてもよい。この場合、貼合ロールによって積層される連続繊維束2と樹脂シート3の接触点から含浸機50の最も上流側の一対の含浸ロール51までは、積層体4がX軸方向に直線的に搬送されるようにすることが好ましい。そのような態様にすることでも、搬送される積層体4がロールに抱かれた際の内外周差によって連続繊維束2と樹脂シート3にズレが生じることを抑制することができる。
なお、本発明のプリプレグの製造装置は、前記した製造装置100のように、給糸体、開繊装置、張力付与装置、積層装置および含浸機を備え、開繊、張力付与、積層および含浸を一連のラインで連続的に実施するものには限定されない。例えば、本発明のプリプレグの製造装置は、給糸体、開繊装置、張力付与装置および積層装置を備える積層体の製造装置と、含浸装置とを別々のラインで備えていてもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
<製造方法>
以下、本発明のプリプレグの製造方法の一例として、図1に示した製造装置100を用いたプリプレグの製造について説明する。
まず、複数の給糸体10のそれぞれから送り出されてくる連続繊維束1を、水平でかつ搬送方向に垂直な方向(Y軸方向)に所定の間隔をあけて、互いに平行となるように開繊装置20へと搬送する。
連続繊維束1の搬送速度(ライン速度)は、限定するものではないが、例えば1~50m/minとすることができる。
開繊装置20では、張力変動装置21において、連続繊維束1をX軸方向に搬送しつつ、一対のガイドロール23,23の間で縦振動バー24によって上方から断続的に連続繊維束1を押さえつける。このように、連続繊維束1の搬送方向と交差する上下方向(Z軸方向)へ変形させる外力を加えることにより、連続繊維束1に緊張と弛緩の状態を繰り返し生じさせ、連続繊維束1をY軸方向に拡幅して開繊する。この例では、さらに横振動開繊装置22において、各連続繊維束1を交互に配置されたガイドロール26と横振動ロール27に沿わせて搬送しつつ、横振動ロール27をY軸方向に横振動させ、各連続繊維束1をさらに開繊しながらならして、繊維束間の隙間を埋めてシート状の連続繊維束2を形成させる(開繊工程)。
開繊工程における緊張時と弛緩時の連続繊維束1の張力差は、フィラメント1000本あたり、10g/錘・K以上が好ましく、30g/錘・K以上がより好ましく、50g/錘・K以上がさらに好ましい。フィラメント1000本あたりの張力差が前記下限値以上であれば、繊維束の開繊性が高くなる。また、開繊工程における緊張時と弛緩時の連続繊維束1の張力差は、フィラメント1000本あたり、4000g/錘・K以下が好ましく、3000g/錘・K以下がより好ましく、2000g/錘・K以下がさらに好ましい。フィラメント1000本あたりの張力差が前記上限値以下であれば、装置の振動を抑えつつ、繊維束を安定的に開繊できる。前記の張力差の上限値と下限値は任意に組み合わせることができ、例えば50~2000g/錘・Kが好ましい。
なお、単位の「g/錘・K」におけるKは、フィラメントが1000本であることを意味する。
開繊工程における緊張時と弛緩時の連続繊維束1の張力差は、繊維目付1g/mあたり、10g/錘×m/g以上が好ましく、30g/錘×m/g以上がより好ましく、50g/錘×m/g以上がさらに好ましい。繊維目付1g/mあたりの張力差が前記下限値以上であれば、繊維束の開繊性が高くなる。また、開繊工程における緊張時と弛緩時の連続繊維束1の張力差は、繊維目付1g/mあたり、4000g/錘×m/g以下が好ましく、3000g/錘×m/g以下がより好ましく、2000g/錘×m/g以下がさらに好ましい。繊維目付1g/mあたりの張力差が前記上限値以下であれば、装置の振動を抑えつつ、繊維束を安定的に開繊できる。前記の張力差の上限値と下限値は任意に組み合わせることができ、例えば50~2000g/錘×m/gが好ましい。
前記の開繊工程における緊張時と弛緩時の繊維束の張力は、緊張時と弛緩時の連続繊維束1錘あたりの張力を当該繊維束の繊維目付(単位:g/m)で除した値である。
縦振動バー24の縦振動回数は、50rpm以上が好ましく、100rpm以上がより好ましく、200rpm以上がさらに好ましい。縦振動バー24の縦振動回数が前記下限値以上であれば、繊維束の開繊性が高くなる。また、縦振動バー24の縦振動回数は、2000rpm以下が好ましく、1500rpm以下がより好ましく、1000rpm以下がさらに好ましい。縦振動バー24の縦振動回数が前記上限値以下であれば、装置の振動を抑えつつ、繊維束を安定的に開繊できる。
開繊工程において1つの弛緩を挟む緊張と緊張を与えるバーの振幅は、特に限定するものではないが、例えば5~20mmとすることができる。
横振動ロール27の横振動速度は、100m/min以上が好ましく、200m/min以上がより好ましく、300m/min以上がさらに好ましい。横振動ロール27の横振動速度が前記下限値以上であれば、繊維束が均一に開繊する。また、横振動ロール27の横振動速度は、1500m/min以下が好ましく、1200m/min以下がより好ましく、1000m/min以下がさらに好ましい。横振動ロール27の横振動速度が前記上限値以下であれば、繊維束がロールと接触する事で開繊しやすくなる。
開繊効率が高くなる点から、張力変動装置21で開繊させる連続繊維束1には熱風装置28から熱風を吹き付けてもよい。
連続繊維束1に吹き付ける熱風の温度は、限定されるものではないが、例えば60~130℃とすることができる。
開繊工程後、例えば図2に示す張力付与装置30において、開繊後の連続繊維束2を複数の擦過バー31に擦り付けつつ搬送することにより、連続繊維束2に張力を付与する。もしくは、図3に示す張力付与装置30において、複数のブレーキロール32によって連続繊維束2を搬送することにより、連続繊維束2に張力を付与する。もしくは、図4に示す張力付与装置30において、搬送される連続繊維束2をブレーキロール32とニップロール33で上下から挟み込むことにより、連続繊維束2に張力を付与する(張力付与工程)。
張力付与工程後、積層装置40において、第一樹脂シート供給体41から送り出された樹脂シート3と、第二樹脂シート供給体42から送り出された樹脂シート3を、開繊され張力が付与された連続繊維束2の上下に積層する(積層工程)。また、含浸機50の最も上流側の含浸ロール51により、連続繊維束2と樹脂シート3とを積層すると同時に荷重をかけて含浸を開始し、複数対の含浸ロール51で繊維束に樹脂を含浸してプリプレグ(UDプリプレグ)5を得る(含浸工程)。得られたプリプレグ5は、例えば巻取機で巻き取ることができる。
本実施形態では、開繊された連続繊維束2に張力付与工程で張力が付与されることにより、積層工程において、張力が付与された状態の連続繊維束2に樹脂シート3が積層される。これにより、樹脂シート3と積層される連続繊維束2が充分に緊張し、局所的に繊維が蛇行したり弛緩したりしにくくなるため、得られる積層体4およびプリプレグ5の表面に突起が発生することが抑制される。
本発明では、樹脂シート3と積層する連続繊維束2に充分な張力を付与しやすい点から、張力付与工程として、開繊工程と積層工程の間の繊維束に張力付与装置によって張力を付与することが好ましい。
張力付与工程において繊維束に付与する張力は、開繊工程で繊維束が弛緩しているときに樹脂シートと積層される繊維束の張力と一致する。仮に開繊工程で弛緩している状態(縦振動バー24が連続繊維束1から離れている状態)の連続繊維束1の張力がゼロであっても、張力付与工程で付与される張力により、樹脂シートとの積層時の連続繊維束1は最低限の張力を有する。そのため、得られる積層体4およびプリプレグ5の表面に突起が発生することが抑制される。
張力付与工程において繊維束に付与された後の張力は、フィラメント1000本あたり、3g/錘・K以上が好ましく、4g/錘・K以上がより好ましく、5g/錘・K以上がさらに好ましい。張力付与工程で付与された後のフィラメント1000本あたりの張力が前記下限値以上であれば、得られる積層体4およびプリプレグ5の表面に突起が発生することを抑制しやすい。また、張力付与工程において繊維束に付与された後の張力は、フィラメント1000本あたり、600g/錘・K以下が好ましく、400g/錘・K以下がより好ましく、300g/錘・K以下がさらに好ましい。張力付与工程で付与された後のフィラメント1000本あたりの張力が前記上限値以下であれば、得られるプリプレグにおいて繊維間に隙間ができるワレの発生を抑制しやすい。前記の張力付与工程で付与された後の張力の上限値と下限値は任意に組み合わせることができ、例えば5~300g/錘・Kが好ましい。
張力付与工程において繊維束に付与された後の張力は、繊維目付1g/mあたり、45g/錘×m/g以上が好ましく、60g/錘×m/g以上がより好ましく、75g/錘×m/g以上がさらに好ましい。張力付与工程で付与された後の繊維目付1g/mあたりの張力が前記下限値以上であれば、得られる積層体4およびプリプレグ5の表面に突起が発生することを抑制しやすい。また、張力付与工程において繊維束に付与された後の張力は、繊維目付1g/mあたり、9000g/錘×m/g以下が好ましく、6000g/錘×m/g以下がより好ましく、4500g/錘×m/g以下がさらに好ましい。張力付与工程で付与された後の繊維目付1mg/mあたりの張力が前記上限値以下であれば、得られるプリプレグにワレが生じにくい。前記の張力付与工程で付与された後の張力の上限値と下限値は任意に組み合わせることができ、例えば75~4500g/錘×m/gが好ましい。
前記の張力付与工程で付与された後の繊維目付1g/mあたりの張力は、張力付与工程において繊維束に付与された後の1錘あたりの張力を当該繊維束の繊維目付(単位:g/m)で除した値である。
得られるプリプレグにワレが生じにくくなる点から、張力付与装置30の最も下流側の連続繊維束2との接点から、連続繊維束2と樹脂シート3の接触点までの距離Lは、L<300mmを充たすことが好ましい。距離Lは、300mm未満が好ましく、200mm以下がより好ましく、150mm以下がさらに好ましい。装置レイアウトの観点から、距離Lは、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、3mm以上がさらに好ましい。距離Lの上限値と下限値は任意に組み合わせることができ、例えば3mm以上150mm未満が好ましい。
図2に示す張力付与装置30の場合、距離Lは、最も下流側の擦過バー31と連続繊維束2との接点から、連続繊維束2と樹脂シート3の接触点までの距離である。図3に示す張力付与装置30の場合、距離Lは、最も下流側のブレーキロール32と連続繊維束2との接点から、連続繊維束2と樹脂シート3の接触点までの距離である。図4に示す張力付与装置30の場合、距離Lは、ブレーキロール32およびニップロール33と連続繊維束2との接点から、連続繊維束2と樹脂シート3の接触点までの距離である。
連続繊維束1は、強化繊維の集合体からなる長尺の連続した繊維束である。
強化繊維としては、特に限定されず、例えば、炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、高強度ポリエステル繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維等の各種の無機繊維または有機繊維を例示できる。これらの中でも、比強度、比弾性の点から、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維が好ましく、機械物性や軽量化の点から炭素繊維が特に好ましい。強化繊維として炭素繊維を用いる場合、金属による表面処理を施してもよい。繊維束に含まれる強化繊維は、1種でもよく、2種以上でもよい。
強化繊維の繊維径は、限定するものではないが、例えば4~10μmとすることができる。
連続繊維束1の1錘あたりのフィラメント数は、限定するものではないが、例えば1000~100000本とすることができる。
連続繊維束1の繊維目付は、限定するものではないが、例えば0.2~4g/mとすることができる。
樹脂シート3は、例えば離型処理が施された紙、樹脂フィルム等のキャリアシート上に樹脂が塗布されることによって形成される。キャリアシートは含浸後の任意のタイミングで剥離することができる。
第一樹脂シート供給体41および第二樹脂シート供給体42からは、予めキャリアシート上に樹脂シート3が形成されているものを送り出してもよく、キャリアシートを送り出し、搬送中のキャリアシート上に樹脂を塗布して樹脂シート3を形成してもよい。
樹脂シート3に用いる樹脂としては、特に限定されず、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂を例示できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂を例示できる。
樹脂シート3に用いる樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
樹脂には、必要に応じて、難燃剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、導電性フィラー等の添加剤を配合してもよい。
以上説明したように、本発明では、繊維束に緊張と弛緩を繰り返させて開繊する手法を用いるため、高効率に開繊を行うことができる。また、開繊された繊維束に張力を付与して樹脂シートと積層するため、得られる積層体やプリプレグに突起が生じることを抑制することができる。
なお、本発明の製造方法は、前記した製造装置100を用いる方法には限定されない。例えば、開繊工程、張力付与工程および積層工程を一連のラインで連続的に実施する積層体の製造方法によって積層体を製造し、別ラインで含浸工程を実施してプリプレグを製造してもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
図1に示したプリプレグの製造装置100を用いて、繊維目付29g/m、樹脂含有率40重量%のUDプリプレグを製造した。
連続繊維束1としては、連続炭素繊維束(三菱ケミカル製、商品名「TR50S15L AD」、フィラメント数:15,000本、繊維目付1000mg/m)を4本使用し、開繊装置20へと搬送される各連続繊維束1のY軸方向の間隔は34.5mmとした。
マトリックス樹脂としては、三菱ケミカル株式会社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂「828」(エポキシ当量:184~194、常温で液状)45重量部、三菱ケミカル株式会社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂「jER1002」(エポキシ当量:600~700、常温で固体状)35重量部、DIC株式会社製のフェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンN775」(軟化点70~80℃)30重量部を予め溶解させて均一な混合樹脂を製造した後、三菱ケミカル株式会社製のジシアンジアミド「jERキュアDICY7(分子量:84)6重量部と、保土谷化学工業株式会社製「DCMU-99」(分子量:233)4重量部とを混錬してプリプレグ用の一液硬化型エポキシ樹脂組成物を調製したものを用いた。また、このエポキシ樹脂組成物はロールコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製して、前記炭素繊維に付与された。
連続繊維束1の搬送速度(ライン速度)は1.0m/minとした。開繊工程における張力変動装置21の縦振動バー24の縦振動速度は6m/min、1つの弛緩を挟む緊張と緊張の時間間隔は2.85m秒とした。開繊工程における緊張時と弛緩時の連続繊維束1の張力差は、フィラメント1000本あたり3.3g/錘・K、繊維目付1g/mあたり10g/錘×m/gとした。
張力付与装置30としては、図4に示すブレーキロール32とニップロール33の組み合わせを使用した。張力付与工程において張力付与装置30によって連続繊維束2に付与された後の張力は、フィラメント1000本あたり3.3g/錘・K、繊維目付1g/mあたり50g/錘×m/gとした。ブレーキロール32およびニップロール33と連続繊維束2との接点から連続繊維束2と樹脂シート3の接触点までの距離Lは100mmとした。
繊維束の張力は、張力変動装置21の上流側に設置した張力計によって測定した。
[実施例2~8]
張力付与工程において連続繊維束2に付与された後の張力と距離Lを表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてUDプリプレグを製造した。
[実施例9、10]
連続繊維束1として、連続炭素繊維束(三菱ケミカル製、商品名「MR50R12L AD」、フィラメント数:12,000本、繊維目付573mg/m)を4本使用し、開繊装置20へと搬送される各連続繊維束1のY軸方向の間隔を20mmとし、張力付与工程において連続繊維束2に付与された後の張力を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてUDプリプレグを製造した。
[比較例1]
張力付与装置30を使用しない以外は、実施例1と同様にしてUDプリプレグを製造した。
[評価]
各例で得たUDプリプレグの表面を目視にて観察し、突起とワレ(繊維同士の間に生じた隙間)の発生について確認して以下の評価基準で評価した。
<突起の評価>
○:プリプレグ表面に突起が見られない。
×:プリプレグ表面に突起が見られる。
<ワレの評価>
○:UDプリプレグの繊維方向1mあたりのワレの個数が1個/m未満。
△:UDプリプレグの繊維方向1mあたりのワレの個数が1個/m以上。
各例の製造条件および評価結果を表1に示す。
Figure 2023131571000002
表1に示すように、張力付与工程で繊維束に張力を付与してから樹脂シートを積層して得た実施例1~10のUDプリプレグは、張力付与工程がない比較例1に比べて、突起の発生が抑制されていた。また、距離Lが300mm未満である実施例1~6、8~10のUDプリプレグでは、実施例7に比べてワレの発生も抑制されていた。
10…給糸体、20…開繊装置、21…張力変動装置、22…横振動開繊装置、23…ガイドロール、24…縦振動バー、25…吸引風洞管、26…ガイドロール、27…横振動ロール、28…熱風装置、29…エア開繊装置、30…張力付与装置、31…擦過バー、32…ブレーキロール、33…ニップロール、40…積層装置、41…第一樹脂シート供給体、42…第二樹脂シート供給体、50…含浸機、51…含浸ロール、100…プリプレグの製造装置。

Claims (12)

  1. 繊維束と樹脂シートが積層された積層体を製造する方法であって、
    繊維束の搬送方向と交差する方向へ変形させる外力を加えることにより、前記繊維束に緊張と弛緩の状態を繰り返し生じさせて開繊する開繊工程と、
    開繊された前記繊維束に張力を付与する張力付与工程と、
    開繊され張力が付与された前記繊維束に樹脂シートを積層する積層工程と、を含む積層体の製造方法。
  2. 前記張力付与工程として、前記開繊工程と前記積層工程の間の前記繊維束に張力付与装置によって張力を付与する、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記張力付与工程において前記繊維束に付与された後の張力がフィラメント1000本あたりで3g/錘・K以上である、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記張力付与工程において前記繊維束に付与された後の張力が繊維目付1g/mあたりで45g/錘×m/g以上である、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記張力付与装置が擦過バーを含む、請求項2に記載の積層体の製造方法。
  6. 前記張力付与装置がブレーキロールを含む、請求項2に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記張力付与装置の最も下流側の前記繊維束との接点から前記繊維束と前記樹脂シートの接触点までの距離LがL<300mmを充たす、請求項2、5または6のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体の製造方法で積層体を得て、前記積層体に荷重をかけて繊維束に樹脂を含浸させる、プリプレグの製造方法。
  9. 前記繊維束と前記樹脂シートとの接触点で含浸ロールによって荷重をかけて前記含浸を開始する、請求項8に記載のプリプレグの製造方法。
  10. 繊維束を送り出す給糸体と、
    前記給糸体から送り出されてくる前記繊維束の搬送形態をその搬送方向と交差する方向へ変形させることにより、搬送されている前記繊維束に緊張と弛緩とを繰り返させて開繊する開繊装置と、
    開繊された前記繊維束に張力を付与する張力付与装置と、
    張力が付与されている状態の開繊された前記繊維束に樹脂シートを積層する積層装置と、を備える積層体の製造装置。
  11. 前記張力付与装置が前記開繊装置と前記積層装置の間に配置されている、請求項10に記載の積層体の製造装置。
  12. 請求項10または11に記載の積層体の製造装置と、含浸ロールと、を備える、プリプレグの製造装置。
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