JP2023130076A - ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】発泡が抑制され、かつ、耐汚染性に優れる塗膜を形成することができるポリウレタン樹脂組成物を提供すること。【解決手段】ガラス転移温度が20℃以上である(メタ)アクリルポリオール、および、ケチミン化合物を含む主剤と、ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを含有するポリウレタン樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン樹脂組成物、塗膜、塗膜付き基材およびその製造方法に関する。
従来、船舶、橋梁、タンク、プラント、海上ブイ、海中パイプライン等の(大型鉄鋼)構造物は、防食性等の各種機能を付与することを目的として、様々な仕様の塗膜で被覆されている。例えば、下塗り塗料としてエポキシ樹脂系防食塗料を塗装した後、形成された防食塗膜上に、意匠性や耐候性を高める目的で、上塗り塗料が塗装されている。
前記上塗り塗料としては、ポリウレタン樹脂組成物が知られている。
このようなポリウレタン樹脂組成物は、ポリオールとイソシアネートとの反応により塗膜を形成するが、イソシアネートは、空気中の水分と反応し、炭酸ガスを発生させやすいため、ポリウレタン樹脂組成物から形成される塗膜には、発泡が生じやすいという問題がある。
この問題に関し、例えば、特許文献1には、(ポリウレタン)プレポリマーと、ポリオキシアルキレンポリアミンおよびケトン化合物から得られるケチミン化合物とを含む硬化性組成物によれば、発泡のない塗膜を形成できたことが記載されている。
特開2001-151844号公報
近年、環境保全や作業環境の安全性などの観点から、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)の含有量に関する規制が厳しくなっており、前記のようなポリウレタン樹脂組成物においても、ハイソリッド型ポリウレタン樹脂組成物が望まれている。
しかしながら、従来のポリウレタン樹脂組成物をハイソリッド化した場合に、該ハイソリッド化により得られたハイソリッド型ポリウレタン樹脂組成物から塗膜を形成すると、発泡が顕著に生じることが分かった。
また、例えば、ポリウレタン樹脂組成物を、上塗り塗膜を形成する上塗り塗料として使用する場合、該上塗り塗膜には、汚れにくい、つまり耐汚染性に優れることが求められる場合があるが、従来のポリウレタン樹脂組成物から形成される塗膜には、この耐汚染性の点でも改良の余地があった。
本発明は、以上のことに鑑みてなされたものであり、発泡が抑制され、かつ、耐汚染性に優れる塗膜を形成することができるポリウレタン樹脂組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決する方法について鋭意検討を重ねた結果、特定の組成物によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成例は以下の通りである。
[1] ガラス転移温度が20℃以上である(メタ)アクリルポリオール、および、ケチミン化合物を含む主剤と、
ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤と
を含有するポリウレタン樹脂組成物。
[2] 前記ポリウレタン樹脂組成物の固形分100質量%に対する前記ポリイソシアネート化合物の固形分の含有量が、5質量%以上である、[1]に記載のポリウレタン樹脂組成物。
[3] 前記ケチミン化合物が、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、メタキシリレンジアミンおよびジエチレントリアミンからなる群から選択される少なくとも1種を用いて得られた化合物である、[1]または[2]に記載のポリウレタン樹脂組成物。
[4] 前記(メタ)アクリルポリオールがスチレン骨格を有する化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物。
[5] 前記ポリウレタン樹脂組成物が、該組成物中の固形分体積が40%以上のハイソリッド型ポリウレタン樹脂組成物である、[1]~[4]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物。
[6] 船舶用である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物から形成された塗膜。
[8] 下塗り塗膜が形成された基材と[7]に記載の塗膜とを含有する塗膜付き基材。
[9] 下記工程1~3を含む、塗膜付き基材の製造方法。
工程1:基材に、下塗り塗膜を形成する工程
工程2:工程1で形成された下塗り塗膜上に、[1]~[6]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物を塗装する工程
工程3:塗装されたポリウレタン樹脂組成物を乾燥させて塗膜を形成する工程
本発明によれば、発泡が抑制され、かつ、耐汚染性に優れる塗膜を形成することができるポリウレタン樹脂組成物、特にハイソリッド型ポリウレタン樹脂組成物を提供することができる。
また、ポリウレタン樹脂組成物を塗装する際に、該組成物を塗り重ねてしまい、形成される塗膜が厚くなる場合があり、形成される塗膜の厚みが厚くなるほど従来は、発泡が生じやすかったが、本発明に係るポリウレタン樹脂組成物によれば、厚膜の塗膜を形成した(形成してしまった)場合であっても、十分に発泡を抑制することができる。
≪ポリウレタン樹脂組成物≫
本発明に係るポリウレタン樹脂組成物(以下単に「本組成物」ともいう。)は、ガラス転移温度が20℃以上である(メタ)アクリルポリオール、および、ケチミン化合物を含む主剤と、ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを含有する。
本組成物は、前記主剤と硬化剤とからなる多成分型の組成物であるため、1成分型の組成物(例:ポリウレタンプレポリマーとケチミン化合物とからなる組成物)に比べ、貯蔵安定性に優れる組成物となり、耐候性や光沢保持率などの塗膜性能に優れる塗膜を容易に形成することができる。
特に、貯蔵安定性に優れる組成物となる点で、本組成物は、ケチミン化合物をポリイソシアネート化合物を含む硬化剤に配合するのではなく、該硬化剤とは異なる主剤に配合することを特徴の一つとする。
本組成物は、前記主剤と硬化剤とを含む多成分型の組成物であれば特に制限されず、用いる成分によっては、前記第1剤および第2剤以外の第3剤を含む3成分型以上の組成物としてもよい。
これら主剤、硬化剤および第3剤等の剤(以下これらをまとめて「第n剤」ともいう。)は、通常、それぞれ別個の容器にて保存、貯蔵、運搬等され、使用の際(例:塗装直前)に混合して本組成物とした後用いられる。つまり、これら第n剤は、本組成物を調製するためのキットの構成要素であるともいえ、さらに換言すれば、本組成物は、前記主剤と硬化剤とを含むポリウレタン樹脂組成物用キットであるといえる。
本発明において、第n剤は、これらの剤を調製した後、本組成物を調製するまでの間貯蔵され得る剤であり、例えば、下記実施例に記載のケチミン化合物や、前記特許文献1に記載の(ポリウレタン)プレポリマーなどは、通常、該ケチミン化合物や(ポリウレタン)プレポリマーを調製した後ほどなくして他の成分と混合して使用されるため、本発明における第n剤には該当しない。
本組成物は、前記第n剤を混合して調製されるが、この調製の後またはこの調製の際に、塗装方法等に応じて、希釈して用いられることがある。
本明細書における各説明は、このような希釈に関する内容以外は、希釈される前についての説明である。
本組成物は、環境保全や作業環境の安全性などの観点から、所謂、ハイソリッド型ポリウレタン樹脂組成物であることが好ましい。
前記ハイソリッド型ポリウレタン樹脂組成物としては、本組成物中の固形分体積の含有量が、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上の組成物が挙げられる。なお、該本組成物中の固形分の含有量の上限は特に制限されないが、好ましくは80%以下である。
本組成物中の固形分体積(ボリュームソリッドともいう。)は、ISO3233:1998に準拠して測定できる。
本組成物の固形分は、本組成物(第n剤を混合した直後の組成物)1±0.1gを平底皿に量り採り、質量既知の針金を使って均一に広げ、加熱温度125℃で1時間(常圧下)加熱した時の、加熱残分(不揮発分)および該針金の質量を測定し、これらの加熱前後の質量から算出される本組成物の加熱残分の質量百分率の値として算出することができる。
また、下記各成分の固形分(例:アクリルポリオールの固形分)は、該各成分中の溶剤および分散媒以外の成分のことをいう。
なお、本組成物の固形分は、本組成物を調製する際に用いる各成分の固形分の総和とほぼ一致するため、本組成物を調製する際に用いる各成分の固形分から算出することもできる。
本組成物中のVOC含有量は、環境保全や作業環境の安全性等の点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下であり、本組成物中のVOC含有量は、好ましくは450g/L以下、より好ましくは400g/L以下である。
本組成物中のVOC含有量は、組成物比重および本組成物の固形分の値を用い、下記式(1)および(2)から算出することができる。なお、組成物比重、および固形分は、以下のような測定値でも、用いる本組成物を調製する際に用いる各成分から算出した値でも構わない。
VOC含有量(質量%)=(100-固形分)/100・・・(1)
VOC含有量(g/L)=組成物比重×1000×(100-固形分)/100・・・(2)
組成物比重(g/ml):23℃の温度条件下で、本組成物(第n剤を混合した直後の組成物)を内容積100mlの比重カップに充満し、該組成物の質量を測定することで算出される値。
本組成物は、鉄鋼(鉄、鋼、合金鉄、炭素鋼、マイルドスチール、合金鋼等)、非鉄金属(亜鉛、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛メッキ、亜鉛溶射等)、ステンレス(SUS304、SUS410等)などの基材に好適に用いられ、特に鉄鋼またはステンレス製の基材に好適に用いられる。このような基材として、具体的には、船舶、橋梁、またはこれら以外の構造物に用いられ、船舶、橋梁、海洋構造物、プラント、タンク、コンテナ等の(大型の)鉄鋼またはステンレス製の構造物に好適に用いられ、さらには、船舶、特に船舶のデッキ部や上構部、外舷部に好適に用いられる。
本組成物は、上塗り塗料として、前記基材、特に、下塗り塗膜が形成された前記基材に好適に用いることができる。
<主剤>
本組成物の主剤は、ガラス転移温度が20℃以上である(メタ)アクリルポリオール、および、ケチミン化合物を含有すれば特に制限されない。
[(メタ)アクリルポリオール]
前記(メタ)アクリルポリオールとしては、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上の(メタ)アクリルポリオールであれば特に限定されない。
本組成物に用いる(メタ)アクリルポリオールは、1種でもよく、2種以上でもよい。
なお、本組成物は、Tgが20℃以上の(メタ)アクリルポリオールを用いればよく、Tgが20℃以上の(メタ)アクリルポリオールとともに、Tgが20℃未満の(メタ)アクリルポリオールを用いてもよいが、本組成物に用いる(メタ)アクリルポリオールの全てが、Tgが20℃以上の(メタ)アクリルポリオールであることが好ましい。
本明細書において、(メタ)アクリルは、アクリルおよび/またはメタクリルのことを意味し、下記「(メタ)アクリレート」などの表現も同様のことを意味する。
(メタ)アクリルポリオールとしては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物の単独または共重合体、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物と、該化合物と共重合可能な他の化合物との共重合体、これら(共)重合体の変性物が挙げられる。
前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリル化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記他の化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する(メタ)アクリル化合物;イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリル化合物;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエーテル結合を有する(メタ)アクリル化合物;ベンジル(メタ)アクリレート;2-エチル-2-メチル-[1,3]-ジオキソラン-4-イル-メチル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート;マレイン酸ジエチル、フタル酸ジエチル等の不飽和カルボン酸エステル化合物;スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、塩化ビニル等のビニル化合物;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。
前記他の化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記変性物としては特に制限されないが、例えば、アルキド樹脂変性(メタ)アクリルポリオール、脂肪酸変性(メタ)アクリルポリオールが挙げられ、これらの中でも、耐汚染性および光沢に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、アルキド樹脂変性(メタ)アクリルポリオールが好ましい。
なお、前記変性物は、その変性成分由来の構造単位の割合が50質量%未満の樹脂のことをいう。
前記アルキド樹脂変性アクリル系樹脂は、従来公知の方法で得ることができ、具体的には、1種以上の前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物の単独または共重合体と1種以上のアルキド樹脂とを用いて合成することができ、1種以上の前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物および他の化合物の共重合体と1種以上のアルキド樹脂とを用いて合成することができ、1種以上の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物と、1種以上のアルキド樹脂と、必要により1種以上の前記他の化合物とを用いて合成することができる。
前記アルキド樹脂は、従来公知の方法で得ることができるが、従来公知の(半)乾性油または(半)乾性油脂肪酸と、従来公知の酸成分と、従来公知の多価アルコール成分とを重縮合させて得られる樹脂であることが好ましい。
(メタ)アクリルポリオールとしては、(メタ)アクリルポリオールのTgを容易に調整でき、(メタ)アクリルポリオールのコストを低下できる点や、塗膜強度に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、スチレン骨格を有する化合物であることが好ましい。また、該スチレン骨格を有する化合物としては、スチレン骨格を有する(メタ)アクリルポリオール、スチレン骨格を有する(メタ)アクリルポリオールのアルキド樹脂変性物が好ましい。
(メタ)アクリルポリオールのTgは、耐汚染性および塗膜硬度に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、20℃以上であり、好ましくは25℃以上、より好ましくは30℃以上であり、さらに好ましくは40℃以上である。該Tgの上限は、耐クラック性に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下である。
本明細書におけるTgは、Fox T.G.,Bull.Am.Physics Soc.1,3,第123頁(1956)に記載の、下記Foxの式により近似的に算出することができる。
Figure 2023130076000001
[式中、Xnは、(メタ)アクリルポリオールの合成に用いるモノマーの合計100質量%に対するあるモノマーnの質量分率(質量%/100)であり、Tgnは、該モノマーnのホモポリマーのガラス転移温度(ケルビン)である。]
Tgnは、例えば、Polymer Handbook 2nd Edition,J.Wiley & Sons,New York(1975)に記載の値を参考にできる。このハンドブックによれば、例えば、ポリスチレンのTgは373Kであり、ポリ(メチルメタクリレート)のTgは378Kであり、ポリ(ブチルメタクリレート)のTgは297Kであり、ポリメタクリル酸2-ヒドロキシルエチルのTgは328Kであり、ポリメタクリル酸のTgは458Kである。
(メタ)アクリルポリオールのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は、耐候性に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、好ましくは3,000~40,000、より好ましくは4,000~25,000である。
なお、本組成物をハイソリッド型ポリウレタン樹脂組成物とする場合、低分子量の(メタ)アクリルポリオールを用いることが好ましい。このようなハイソリッド型ポリウレタン樹脂組成物に用いる(メタ)アクリルポリオールのMwとしては、好ましくは22,000以下、より好ましくは4,000~18,000である。
(メタ)アクリルポリオールの水酸基価は、耐候性および耐汚染性に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、好ましくは30~200mgKOH/gであり、より好ましくは40~150mgKOH/gである。
なお、本組成物をハイソリッド型ポリウレタン樹脂組成物とする場合、高水酸基価の(メタ)アクリルポリオールを用いることが好ましい。このようなハイソリッド型ポリウレタン樹脂組成物に用いる(メタ)アクリルポリオールの水酸基価としては、好ましくは40mgKOH/g以上、より好ましくは45~100mgKOH/gである。
前記水酸基価は、以下の方法で測定される値である。
丸底フラスコ中に(メタ)アクリルポリオール2gを正確に秤量し、アセチル化試薬(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、95~100℃のグリセリン浴中で1時間加熱する。その後フラスコをグリセリン浴から取り出し、放冷した後に水1mlを加えて振り動かす。再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エタノール5mlを加える。次いで、フェノールフタレイン-エタノール溶液を加え、0.5M(N/2)水酸化カリウム-エタノール溶液で滴定し、紫色の呈色が30秒間消えなくなった時を滴定の終点として本試験のN/2水酸化カリウム-エタノール溶液の使用量を確認する。
また、前記本試験と並行して、(メタ)アクリルポリオールを用いない以外は同様にして空試験を行い、空試験のN/2水酸化カリウム-エタノール溶液の使用量を確認する。
(メタ)アクリルポリオールの水酸基価A(mgKOH/g)は、次式により算出する。
A=[{(B-C)×f×28.05}/S]+D
[S:秤量した(メタ)アクリルポリオールの使用量(g)、B:空試験のN/2水酸化カリウム-エタノール溶液の使用量(ml)、C:本試験のN/2水酸化カリウム-エタノール溶液の使用量(ml)、f:N/2水酸化カリウム-エタノール溶液のファクター、D:酸価(mgKOH/g)]
なお、前記酸価は、以下のようにして測定する。
コニカルビーカーに(メタ)アクリルポリオール1~5gを正確に秤量し、トルエン/エタノール=7/3(体積比)混合溶液を30~50ml加えて該(メタ)アクリルポリオールを溶かし、指示薬としてフェノールフタレイン-エタノール溶液を2滴加え、N/10水酸化カリウム-エタノール溶液で滴定し、液の赤みが30秒間消えなくなったときを滴定の終点とする。
(メタ)アクリルポリオールの酸価D(mgKOH/g)は次式により算出する。
D=(B×f×5.61)/S
[S:秤量した(メタ)アクリルポリオールの使用量(g)、B:N/10水酸化カリウム-エタノール溶液の使用量(ml)、f:N/10水酸化カリウム-エタノール溶液のファクター]
本組成物中の(メタ)アクリルポリオールの含有量は、耐発泡性、耐汚染性および耐候性にバランスよく優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは10~70質量%、より好ましくは20~50質量%である。
[ケチミン化合物]
前記ケチミン化合物としては特に制限されないが、具体的には、一級または二級アミノ基含有化合物とケトン化合物との反応生成物が挙げられる。
本組成物に用いるケチミン化合物は、1種でもよく、2種以上でもよい。
前記アミノ基含有化合物としては、一級アミノ基含有化合物が好ましく、アミノ基を2個以上有する化合物が好ましい。
前記アミノ基含有化合物としては、アミン化合物であってもよく、アミン化合物を変性(例:ポリアミド化、エポキシアダクト化、マンニッヒ化、アルキルフェノール化)した変性体であってもよい。
アミノ基含有化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記アミン化合物としては、例えば、脂肪族系アミン、脂環族系アミン、芳香族系アミン、複素環系アミン、ポリオキシアルキレンポリアミン、アミノアルコキシシランが挙げられる。
前記脂肪族系アミンの具体例としては、メチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等のアルキレンポリアミン;ジエチレントリアミン[DETA]、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ノナエチレンデカミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレン-ビス(トリメチレン)ヘキサミン等のポリアルキレンポリアミン;ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノブチルアミン等のアルキルアミノアルキルアミン;が挙げられる。
前記以外の脂肪族系アミンとしては、例えば、テトラ(アミノメチル)メタン、テトラキス(2-アミノエチルアミノメチル)メタン、1,3-ビス(2'-アミノエチルアミノ)プロパン、トリス(2-アミノエチル)アミン、ビス(シアノエチル)ジエチレントリアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン(IPDA)、メンセンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン[ノルボルナンジアミン、NBDA]、o-キシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン[MXDA]、p-キシリレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン、ビス(アミノエチル)ナフタレン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、1-(2'-アミノエチルピペラジン)、1-[2'-(2''-アミノエチルアミノ)エチル]ピペラジンが挙げられる。
前記脂環族系アミンの具体例としては、シクロヘキサンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン(特に、4,4'-メチレンビスシクロヘキシルアミン)、4,4'-イソプロピリデンビスシクロヘキシルアミン、ノルボルナンジアミン、2,4-ジ(4-アミノシクロヘキシルメチル)アニリンが挙げられる。
前記芳香族系アミンの具体例としては、フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノベンゾフェノン、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルフェニルメタン、2,4'-ジアミノビフェニル、2,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジアミノビフェニルが挙げられる。
前記複素環系アミンの具体例としては、1,4-ジアザシクロヘプタン、1,11-ジアザシクロエイコサン、1,15-ジアザシクロオクタコサンが挙げられる。
前記アミノアルコキシシランの具体例としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。
前記ポリオキシアルキレンポリアミンの具体例としては、ポリオキシエチレンポリアミン、ポリオキシプロピレンポリアミン、ポリオキシテトラメチレンポリアミン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリアミン等のポリオキシアルキレンポリアミン類(例:ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル)が挙げられる。
これらのアミン化合物の中でも、耐発泡性および耐汚染性に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、メタキシリレンジアミン、ジエチレントリアミンが好ましく、耐発泡性に顕著に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、ジエチレントリアミンがより好ましい。
前記ケトン化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルtert-ブチルケトン、エチルブチルケトン、ジメチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルへキシルケトン、メチルシクロへキシルケトン、メチルフェニルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノンが挙げられる。これらの中でも、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンが好ましい。
ケトン化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
ケチミン化合物は、前記アミノ基含有化合物のアミノ基1個に対し、ケトン化合物のカルボニル基の数が0.5~1.0個となる量で反応させて得られた化合物であることが好ましい。
本組成物中のケチミン化合物の含有量は、耐発泡性に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは0.2~2質量%、より好ましくは0.4~1質量%である。
[添加剤]
前記主剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、(メタ)アクリルポリオールおよびケチミン化合物以外の他の成分、例えば、顔料、揺変剤(タレ止め・沈降防止剤)、分散剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、可塑剤、界面活性剤、有機溶剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、pH調整剤等の従来公知の添加剤を必要に応じて適宜配合してもよい。
これら添加剤はそれぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
・顔料
前記顔料としては、従来公知の着色顔料、体質顔料が挙げられる。着色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、弁柄、酸化鉄、水酸化鉄、群青等の無機顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム(沈降性硫酸バリウムや簸性硫酸バリウムを含む)、炭酸カルシウム、カリ長石、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ベントナイト、炭酸マグネシウム、シリカが挙げられる。
本組成物が顔料を含有する場合、その含有量は、柔軟性および下塗り塗膜に対する付着性にバランスよく優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは20~70質量%、より好ましくは40~60質量%である。
本組成物が顔料を含有する場合、本組成物中の顔料体積濃度(PVC)は、柔軟性および下塗り塗膜に対する付着性にバランスよく優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、好ましくは5~35%、より好ましくは15~25%である。
前記PVCとは、本組成物中の固形分の体積に対する、顔料の合計の体積濃度のことをいう。PVCは、具体的には下記式より求めることができる。
PVC[%]=本組成物中の全ての顔料の体積合計×100/本組成物中の固形分の体積
前記本組成物中の固形分の体積は、本組成物の固形分の質量および真密度から算出することができる。前記固形分の質量および真密度は、測定値でも、用いる原料から算出した値でも構わない。
前記顔料の体積は、用いた顔料の質量および真密度から算出することができる。前記顔料の質量および真密度は、測定値でも、用いる原料から算出した値でも構わない。例えば、本組成物の固形分より顔料と他の成分とを分離し、分離された顔料の質量および真密度を測定することで算出することができる。
・揺変剤
前記揺変剤としては、例えば、Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの有機粘土系塩類、ベントナイトクレイ、ヘクトライトクレイ等のクレイ類および該クレイ類の有機変性物(例:有機変性ヘクトライトクレイ)、酸化ポリエチレン系ワックス、エチレン・酢酸ビニル系ワックス、ポリアマイド系ワックス、水添ヒマシ油系ワックス、合成微粉シリカが挙げられる。これらの中でも、平滑性に優れる塗膜を容易に形成できる等の点から、有機変性ヘクトライトクレイなどの有機系揺変剤が好ましい。
本組成物が揺変剤を含有する場合、その含有量は、平滑性に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは0.4~2.0質量%、より好ましくは0.8~1.6質量%である。
・分散剤
前記分散剤としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシ基、リン酸基、アミノ基、これらの塩の基、アンモニウム塩基等の顔料吸着基(顔料親和性基)を有し、脂肪酸、ポリアミノ、ポリエーテル、ポリエステル、ポリポリウレタン、ポリアクリレート等の相溶性鎖を有する共重合体等の各種分散剤が挙げられる。
本組成物が分散剤を含有する場合、その含有量は、平滑性に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.1~0.3質量%である。
・光安定剤
前記光安定剤としては、ヒンダードアミン系等の光安定剤が挙げられる。
該ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルが挙げられる。
本組成物が光安定剤を含有する場合、その含有量は、耐候性に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは0.1~2質量%、より好ましくは0.3~1.0質量%である。
・レベリング剤
本組成物には、該レベリング剤を配合することが好ましい。
前記レベリング剤としては特に制限されないが、例えば、フッ素系、アクリル系、シリコーン系等の各種レベリング剤が挙げられる。
本組成物がレベリング剤を含有する場合、その含有量は、本組成物を塗装した際のハジキを改善して、被塗物面(例:基材)への濡れ性を向上させ、膜厚の均一な塗膜を容易に得ることができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは0.01~1.0質量%、より好ましくは0.05~0.3質量%である。
・消泡剤
前記消泡剤としては、例えば、ポリマー系、アクリル系、シリコーン系、ミネラルオイル系、オレフィン系などの従来公知の各種消泡剤を使用することができるが、中でも、ポリマー系やオレフィン系の消泡剤が好ましい。
本組成物が消泡剤を含有する場合、その含有量は、本組成物の製造時や塗装時に泡の発生を抑えることができ、また、本組成物中に発生した泡を破泡することができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは0.01~2.0質量%、より好ましくは0.1~1.0質量%である。
・有機溶剤
本組成物は、有機溶剤を含有していてもよく、所謂溶剤系塗料(水系塗料とは異なる)であることが好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、芳香族系、脂肪族系、ケトン系、エーテル系、エステル系、アルコール系等の従来公知の有機溶剤が挙げられ、具体的には、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル又はエステル系溶剤;n-ブチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、本組成物中のVOC含有量が前記範囲となる量で用いることが好ましい。
<硬化剤>
本組成物の硬化剤は、ポリイソシアネート化合物を含有すれば特に制限されない。
[ポリイソシアネート化合物]
前記ポリイソシアネート化合物としては特に限定されず、従来公知のポリイソシアネート化合物が挙げられ、具体的には、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート基含有直鎖状炭化水素、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート基含有分岐状炭化水素、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート等のイソシアネート基含有環状炭化水素、p-フェニレンジイソシアネート、3,3'-ジメチルジフェニル-4,4'-ジイソシアネート、1,3-キシレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート基含有芳香族炭化水素;前述のイソシアネートの2量体または3量体(ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体)などが挙げられる。
これらの中でも、ポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、これらイソシアネートのイソシアヌレート変性体が好ましい。
本組成物に用いるポリイソシアネート化合物は、1種でもよく、2種以上でもよい。
本組成物中のポリイソシアネート化合物の含有量は、耐発泡性、耐汚染性および耐候性にバランスよく優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは5.0~18.0質量%、さらに好ましくは8.0~15.0質量%である。
また、本組成物をハイソリッド型ポリウレタン樹脂組成物とする場合、低分子量であり高水酸基価の(メタ)アクリルポリオールを用いることが好ましい。このような(メタ)アクリルポリオールを用いる場合には、ポリイソシアネート化合物が該(メタ)アクリルポリオールと十分に反応するように、多くのポリイソシアネート化合物を使用する必要がある傾向にある。このような場合のポリイソシアネート化合物の使用量としては、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは8.0質量%以上、より好ましくは9.0~15.0質量%である。
このように、ポリイソシアネート化合物を多く使用する場合、従来の組成物では、発泡が顕著に生じていたが、本組成物によれば、ポリイソシアネート化合物を多く使用する場合であっても、発泡が抑制された塗膜を容易に得ることができる。
また、本組成物中のポリイソシアネート化合物の含有量は、耐発泡性、耐汚染性および耐候性にバランスよく優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、下記式で表される反応比が、好ましくは0.7~1.5、より好ましくは0.9~1.3となる量であることが望ましい。
反応比=ポリイソシアネート化合物のNCO当量/(ポリオール化合物のOH当量+ケチミン化合物の活性水素当量)
[添加剤]
前記硬化剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリイソシアネート化合物以外の他の成分、例えば、顔料、揺変剤(タレ止め・沈降防止剤)、分散剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、可塑剤、界面活性剤、有機溶剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、pH調整剤等の従来公知の添加剤を必要に応じて適宜配合してもよい。
これら添加剤はそれぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
これら添加剤の具体例は、前記主剤の欄に記載の具体例と同様である。
<本組成物の調製方法>
前記主剤および硬化剤は、これらの剤に配合する各成分を混合(混練)することで、調製することができ、この混合(混練)の際には、各成分を一度に添加・混合してもよく、複数回に分けて添加・混合してもよい。
本組成物は、これら主剤、硬化剤および必要に応じて用いられる他の剤(例:第3剤)を混合(混練)することで、調製することができる。
前記混合(混練)の際には、従来公知の混合機、分散機、攪拌機等の装置を使用でき、該装置としては、例えば、ディスパー、混合・分散ミル、モルタルミキサー、ロール、ペイントシェーカー、ホモジナイザーが挙げられる。なお、前記混合(混練)の際には、季節、環境等に応じて加温、冷却等しながら行ってもよい。
≪塗膜、塗膜付き基材≫
本発明に係る塗膜(以下「本塗膜」ともいう。)は、前記本組成物を用いて形成され、本発明に係る塗膜付き基材(以下「本塗膜付き基材」ともいう。)は、本塗膜と基材とを有する積層体である。
本塗膜の膜厚は、乾燥膜厚で、通常は20~200μm、好ましくは50~100μmである。
前記基材の材質としては特に制限されず、例えば、鉄鋼(鉄、鋼、合金鉄、炭素鋼、マイルドスチール、合金鋼等)、非鉄金属(亜鉛、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛メッキ、亜鉛溶射等)、ステンレス(SUS304、SUS410等)が挙げられ、好ましくは鉄鋼またはステンレスである。
前記基材としては、具体的には、船舶、橋梁、またはこれら以外の構造物が好ましく、船舶、橋梁、海洋構造物、プラント、タンク、コンテナ等の(大型の)鉄鋼またはステンレス製の構造物がより好ましく、船舶がさらに好ましく、船舶のデッキ部や上構部、外舷部が特に好ましい。
前記基材は、基材への密着性や防食性の向上を目的とした下塗り塗膜を有していてもよく、該下塗り塗膜を有していることが好ましい。つまり、本塗膜付き基材は、下塗り塗膜が形成された基材と本塗膜とを含有する塗膜付き基材であることが好ましい。
なお、本明細書における下塗り塗膜とは、本塗膜と基材との間に設けられる塗膜(本塗膜の下に設けられる塗膜)のことをいい、狭義の公知の下塗り塗膜(プライマー塗膜)のみならず、所謂中塗り塗膜と称呼される公知の塗膜も含む。
前記下塗り塗膜は、1層でもよく、2層以上でもよい。
前記プライマー塗膜としては、エポキシ樹脂系、無機ジンク系等の各種プライマー組成物より形成される塗膜等が挙げられる。前記中塗り塗膜としては、エポキシ樹脂系、ポリウレタン樹脂系等の各種中塗り塗料組成物より形成される塗膜等が挙げられる。
前記下塗り塗膜の膜厚は、乾燥膜厚で、通常は50~500μm、好ましくは100~350μmである。
前記基材としては、基材に付着した錆、汚れ、塗料(旧塗膜)等を落とす洗浄処理やブラスト処理等の前処理を行った基材であってもよく、該前処理を行った基材に前記下塗り塗膜が形成された基材であってもよい。
前記下塗り塗膜が形成された基材と本塗膜とを含有する塗膜付き基材は、例えば、下記工程1~3を含む方法で製造することができる。
工程1:基材に、下塗り塗膜を形成する工程
工程2:工程1で形成された下塗り塗膜上に、本組成物を塗装する工程
工程3:塗装された本組成物を乾燥させて本塗膜を形成する工程
前記工程1や2における塗装方法としては、例えば、刷毛塗り、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装、ロールコーター塗装が挙げられる。作業性や生産性等に優れ、大面積の基材に対して容易に塗装でき、本発明の効果をより発揮できる等の点から、スプレー塗装が好ましい。
前記膜厚の下塗り塗膜や本塗膜は、1回の塗装で形成してもよいし、2回以上の塗装(2回以上塗り)で形成してもよい。
前記下塗り塗膜を形成する際の条件や前記工程3の条件として、例えば、乾燥時間は、通常は1~30日間、好ましくは1~7日間程度が挙げられ、乾燥温度は、通常は5~40℃、好ましくは10~30℃であり、例えば常温であってもよい。
本発明について実施例を挙げ、更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[合成例1]<ケチミン化合物1の合成>
反応器内にジエチレントリアミン103.0質量部と、メチルイソブチルケトン400.0質量部とを仕込み、窒素気流下で、生成する水を共沸により除きながら105~135℃で14時間反応を続けた。次に、残留ケトンを除きながら190℃まで昇温を行い、190℃に到達したところで、反応器内の圧力を190mmHgに減圧し、反応時に生成した水を、該圧力下で減圧回収した。その後、80℃まで降温した後に、フェニルグリシジルエーテル180.2質量部を加えて、同温度で1時間保温した後、100℃まで昇温を行い、2時間保温した。2時間の保温終了後、脱水剤としてオルソギ酸トリメチル2.7質量部を加えてケチミン化合物1を得た。
[合成例2]<ケチミン化合物2の合成>
反応器内にメタキシリレンジアミン136.0質量部と、メチルイソブチルケトン400.0質量部とを仕込み、窒素気流下で、生成する水を共沸により除きながら100~135℃で16時間反応を続けた。次に、残留ケトンを除きながら190℃まで昇温を行い、190℃に到達したところで、反応器内の圧力を40mmHgに減圧し、反応時に生成した水を、該圧力下で減圧回収した。その後、80℃まで降温した後に、フェニルグリシジルエーテル23.2質量部を加えて、同温度で1時間保温した後、100℃まで昇温を行い、2時間保温した。2時間の保温終了後、脱水剤としてオルソギ酸トリメチル2.9質量部を加えてケチミン化合物2を得た。
[合成例3]<ケチミン化合物3の合成>
反応器内にビス(アミノメチル)ノルボルナン154.0質量部と、メチルイソブチルケトン400.0質量部とを仕込み、窒素気流下で、生成する水を共沸により除きながら100~135℃で18時間反応を続けた。次に、残留ケトンを除きながら190℃まで昇温を行い、190℃に到達したところで、反応器内の圧力を40mmHgに減圧し、反応時に生成した水を、該圧力下で減圧回収した。その後、80℃まで降温した後に、フェニルグリシジルエーテル13.7質量部を加えて、同温度で1時間保温した後、100℃まで昇温を行い、2時間保温した。2時間の保温終了後、脱水剤としてオルソギ酸トリメチル3.2質量部を加えてケチミン化合物3を得た。
[実施例1]
アクリルポリオール1 40質量部、ケチミン化合物1 0.5質量部、酸化チタン28質量部、硫酸バリウム13質量部、揺変剤1質量部、分散剤0.3質量部、光安定剤0.5質量部、レベリング剤0.2質量部、消泡剤0.5質量部、酢酸ブチル8質量部、および、キシレン8質量部を、ペイントシェーカーを用いて分散し、主剤を調製した。
ポリイソシアネート化合物90質量部、および、酢酸ブチル10質量部を撹拌し、硬化剤を調製した。
調製した主剤92質量%と硬化剤8質量%とを混合し、脱泡することで、ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
[実施例2~9および比較例1~4]
主剤および硬化剤を構成する各成分の種類および配合量を、下記表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして主剤および硬化剤を調製した。
調製した主剤と硬化剤とを、表1の混合比(質量%)となるように混合し、脱泡することで、ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
なお、表1に記載の各成分の説明を表2に示す。
<耐発泡性>
基材(ブリキ板)に、アプリケーター(すきま350μm)を用いて、実施例および比較例で調製したポリウレタン樹脂組成物をそれぞれ塗装することで、試験板を作製した。
ポリウレタン樹脂組成物を塗装直後に、作製した試験板を23℃/50%RHの恒温恒湿槽に入れ、恒温恒湿槽に入れてから24時間後の試験板表面の塗膜のブリスターを目視し、ASTMの評価基準に基づき評価した。結果を表1に示す。
なお、ASTMの評価基準は、ブリスターの大きさが大きい方から2、4、6および8の順で示し、ブリスター量が「Few」の場合を「F」、ブリスター量が「Medium」の場合を「M」、ブリスター量が「Medium Dense」の場合を「MD」、ブリスター量が「Dense」の場合を「D」として、数字とアルファベットでブリスターの大きさと量を示す(例えば、ブリスターの大きさが8で量がFewの場合「8F」となる。)。また、ブリスターが確認されなかった場合を「10」とする。
Figure 2023130076000002
Figure 2023130076000003
<耐汚染性>
基材(ブリキ板)に、アプリケーター(すきま0.3mm)を用いて、実施例1~5および7~9で調製したポリウレタン樹脂組成物をそれぞれ塗装し、常温で7日間乾燥させた。その後、50℃で24時間強熱乾燥し、常温に戻すことで試験板を作製した。
作製した試験板の主面(面積の最も大きい面)の半分に、カーボンブラック水溶液(カーボンブラックの濃度5質量%)を塗装し、50℃で1時間乾燥させた後、流水でカーボンブラックを洗い流した。
試験板の主面のカーボンブラック水溶液を塗装していない部分のL値(L0)と、カーボンブラック水溶液を塗装し、流水でカーボンブラックを洗い流した部分のL値(L1)とを、コニカミノルタジャパン(株)製のSPECTROPHOTOMETER CM-3700A(光源:C、視野:2°)を用いて測定し、また、L値の差(ΔL=L1-L0)を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2023130076000004

Claims (9)

  1. ガラス転移温度が20℃以上である(メタ)アクリルポリオール、および、ケチミン化合物を含む主剤と、
    ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤と
    を含有するポリウレタン樹脂組成物。
  2. 前記ポリウレタン樹脂組成物の固形分100質量%に対する前記ポリイソシアネート化合物の固形分の含有量が、5質量%以上である、請求項1に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  3. 前記ケチミン化合物が、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、メタキシリレンジアミンおよびジエチレントリアミンからなる群から選択される少なくとも1種を用いて得られた化合物である、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  4. 前記(メタ)アクリルポリオールがスチレン骨格を有する化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  5. 前記ポリウレタン樹脂組成物が、該組成物中の固形分体積が40%以上のハイソリッド型ポリウレタン樹脂組成物である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  6. 船舶用である、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物から形成された塗膜。
  8. 下塗り塗膜が形成された基材と請求項7に記載の塗膜とを含有する塗膜付き基材。
  9. 下記工程1~3を含む、塗膜付き基材の製造方法。
    工程1:基材に、下塗り塗膜を形成する工程
    工程2:工程1で形成された下塗り塗膜上に、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物を塗装する工程
    工程3:塗装されたポリウレタン樹脂組成物を乾燥させて塗膜を形成する工程
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