JP2023129314A - コレステロール吸収阻害剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】コレステロール含有胆汁酸ミセルを強力に崩壊しコレステロールの吸収を阻害することで、高コレステロール血症及びこれが危険因子となる疾病の予防と治療に有効利用できる天然物由来のコレステロール吸収阻害剤を提供する。【解決手段】フトモモ科クンゼア属に属する植物であるカヌカの葉及び/又は樹皮の抽出物又は精製物、より好適には水若しくは含水溶媒による抽出物を含有してなるコレステロール吸収阻害剤。又は、これを配合してなる経口組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の植物を原料として使用したコレステロール吸収阻害剤に関するものである。より詳細には、フトモモ科クンゼア属に属するカヌカ(Kunzea ericoides)等の植物の抽出物を含有してなるコレステロール吸収阻害剤及びこれを配合した飲食品、医薬品、飼料、ペットフード等の経口用組成物に関する。
日本では、食生活の欧米化が進むとともに、肉類や油脂類の摂取量が増え、高コレステロール血症の患者が増加している。令和元年「国民健康・栄養調査」では、総コレステロール値が240mg/dL以上の人の割合は男性12.9%、女性22.4%であり、10年前の平成21年(男性:10.0%、女性:13.9%)と比べて増加していると報告されている。「健康日本21(第二次)」の目標値は男性:10%、女性:17%であり、目標を達成できていないのが現状である。高コレステロール血症は動脈硬化のリスクを高め、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす可能性があることから、その予防は非常に重要である。
消化管内に存在するコレステロールは胆汁酸ミセルに取り込まれた後、小腸上皮細胞に到達し、単分子として放出される。放出されたコレステロールは、カイロミクロンに組み込まれ、血中へと輸送される。そのため、コレステロールが体内に吸収されるためには、小腸内腔で胆汁酸ミセルへ溶解することが必須である。
高コレステロール血症等の脂質異常症の予防及び治療のためには主に食事療法や運動療法が用いられているが、効果が得られるまでに長期間を要することや、強固な意思を要するために、多忙な現代においてはその実行と継続は困難を伴い、一過性に終わることが多い。
薬物投与による治療は主に重症の高コレステロール血症患者や脂質異常症患者に対して適用され、薬物の副作用の懸念もあり、いずれも汎用的な方法とは言い難い。したがって、より安全かつ容易に高コレステロール血症を予防及び改善する方法を提供することが求められている。
高コレステロール血症を予防するための観点から、過剰なコレステロール吸収を抑制するためにコレステロールから変換される胆汁酸の吸収を阻害する物質や小腸でのコレステロール輸送体を阻害する物質が開発されている。胆汁酸ミセルの形成は小腸からコレステロールを吸収するために必須な過程である。したがって、コレステロール含有胆汁酸ミセルの形成を阻害する又は胆汁酸ミセルの崩壊を促進する物質は、高コレステロール血症及びこれに伴う前記疾病の予防と治療に有効である。
これらの観点から、コレステロール吸収を阻害する天然成分やこれを含む様々な供給源、加工物が提案されており、例えば、緑茶の成分であるエピガロカテキンガレート等のガレート型カテキン(特許文献1)、卵白タンパク質(特許文献2)、塩基性アミノ酸残基を含むペプチド(特許文献3)、植物ステロール、植物スタノール(非特許文献1)、テアフラビン(非特許文献2)、ニガウリ水性抽出物(非特許文献3)、乳酸菌(非特許文献4)、Sapindus trifoliatus由来Sapindin(非特許文献5)等を挙げることができる。
なお、本発明において使用するカヌカ(学名:Kunzea ericoides)はフトモモ科クンゼア属に属する植物であり、ニュージーランドを原産地とし当該国のみに自生する。一般的にはカヌカ、ホワイトマヌカ、ホワイトティーツリー等と呼ばれている。ニュージーランド先住民のマオリ族はカヌカを伝統的な治療及び儀式に用いてきた。葉の煎薬は排尿障害の治療や解熱剤として使用されてきたほか、葉を煮たときに生じる蒸気を吸い込むことによる咳や風邪の治療に用いられた。種子を煎じた薬は外用として炎症を抑え、下痢のときには飲用されていた。又、葉や種子はそのまま噛んで赤痢症状の改善にも用いられた。樹脂滲出物による火傷の治療、種子や葉や樹皮を煎じた薬による炎症の治療、樹皮を煎じた薬は外用薬として鎮静剤や口腔、目の病気の治療、殺菌剤として使用されてきた(非特許文献6、非特許文献7)。
カヌカの葉の抽出物には、微量成分としてグロビュロール、スパチュレノール、ビリジフロロール、ベツリン酸、オレアノール酸、ウルソール酸等のテルペン類、5,7-ジヒドロキシ-6-メチルフラバノン等のフラボノイド類が含まれていることが知られており、これらの成分等により前述の薬理作用が発現すると言われている(非特許文献6)。
又、カヌカの葉を亜臨界水抽出法にて抽出した抽出物には、没食子酸、ケルセチン、カテキン等が主要な成分として検出されたという報告がある(非特許文献8)。
又、カヌカを加工して得られるオイルを産業的に利用する試みとして、カヌカオイルを含む殺真菌性エマルジョン(特許文献4)等が提案されている。しかしながらカヌカの葉の抽出物とコレステロール吸収阻害との関連について言及するものは見当たらない。
特開2004-262927号公報 特開2013-027334号公報 特開2021-052597号公報 特表2005-538157号公報
Ikeda I. J Oleo Sci.第64巻、第9-18頁、2015年 Vermeer MA, Mulder TP, Molhuizen HO. J Agric Food Chem. 第56巻、第12031-12036頁、2008年 Su J, Wang H等、Int J Food Sci Nutr. 第67巻、第20-28頁、2016年 Tsai CC, Lin PP等、ScientificWorldJournal. 第2014巻、第690752頁、2014年 Vinarova L, Vinarov Z等、Food Funct. 第6巻、第501-512頁、2015年 Rebecca M. Wyatt等、Phytother.Res.、第19巻、第963―970頁、2005年 Maria Lis-Balchin、Aromatherapy Science: A Guide for Healthcare Professionals、第217-218頁、2006年 Sinemobong Essien等、Journal of Supercritical Fluids、第158巻、第104721頁、2020年
これまでに提案されたコレステロール吸収阻害物は、薬剤として使用されるものは優れた効果を有するものの副作用があったり、医師の指導のもとに用法用量を守らなければならない等の制限があった。このため、効果・効能の認められた有効成分が含まれており、且つ作用が穏やかで、長期間にわたって摂取しても安全性の高いコレステロール吸収阻害剤の提供が求められている。又、食品原材料から分離した抽出物や成分は、薬剤よりも副作用が少ない等の利点を有するが、実際的には効果が低かったり、実用的ではない摂取条件下での実験結果に基づくものであったり、あるいは通常の食事形態において大量に摂取しなければならず、いずれも十分に満足できる効果を発揮するものではなかった。よって本発明は、コレステロール含有胆汁酸ミセルを強力に崩壊することで、コレステロールの吸収を阻害し、高コレステロール血症及びこれが危険因子となる各種疾病の予防や治療に有効利用でき、副作用の恐れの殆どない、安全性の高い、コレステロール吸収阻害剤及びこれを配合した飲食品、医薬品、医薬部外品、家畜用飼料、ペットフード等の経口用組成物を提供することを課題とした。
前記課題を解決するために、本発明者らは、安全性に優れ、強力なコレステロール含有胆汁酸ミセル崩壊阻害作用を発現し、高コレステロール血症やこれに関連する様々な疾患の予防及び治療に有効利用することができるコレステロール吸収阻害剤を提供するために鋭意検討を重ねた結果、特定の植物を用いると極めて高いコレステロール含有胆汁酸ミセルの崩壊作用が発現されること、又、これを飲食品、医薬品、医薬部外品、家畜用飼料、ペットフード等の産業分野において有効活用し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の特徴は次の点にある。
(1)本発明のコレステロール吸収阻害剤は、フトモモ科クンゼア(Kunzea)属に属する植物又はその加工物を有効成分として含むものである。
(2)前記阻害剤は、カヌカ(Kunzea ericoides)の葉及び/又は樹皮の乾燥粉末、その抽出物又は精製物を有効成分として含むものであることが望ましい。
(3)前記阻害剤において、抽出物は水及び/又は親水性有機溶媒を用いて抽出されたものであることが望ましい。
(4)前記阻害剤において、親水性有機溶媒はエタノール又はこの含水物(含水率30~99質量%)であることが望ましい。
(5)本発明の経口用組成物は、前記コレステロール吸収阻害剤を配合してなるものである。
(6)前記経口用組成物は、飲食品又は医薬品の態様が望ましい。
(7)又、本発明は、前記コレステロール吸収阻害剤を経口摂取する高コレステロール血症の予防又は改善方法(但し、医療行為を除く)を特徴とする。
本発明によりコレステロール含有胆汁酸ミセル崩壊効果を有する剤が提供され、これを含む飲食品、医薬品、医薬部外品、飼料等の分野において、前記剤の態様のまま又は前記分野の従来の各種製品に配合した形態で有効利用することが可能となる。より具体的には、食事性コレステロールの腸管吸収の抑制・高コレステロール血症等の予防、アイスクリームやホイップクリーム等の口溶け・食感改良、水と油の乳化分離剤、乳の凝固剤または凝固促進剤等に利用することが可能である。
先ず、本発明のコレステロール吸収阻害剤は、クンゼア属に属する植物ないしはその加工物を含有してなることを特徴とするものである。クンゼア(Kunzea)属に属する植物は、前述のように、フトモモ科に分類され、本発明に係るものの例は後述するように種々あるが、代表例としてカヌカ(学名:Kunzea ericoides)を挙げることができる。カヌカはニュージーランドを原産地とし当該国のみに自生する。ニュージーランド先住民のマオリ族はカヌカを伝統的な治療及び儀式に用いてきた。その後、入植した初期のヨーロッパ人も、薬用植物として筋肉痛及び関節リウマチ等に用いてきた。
クンゼア属の植物の例としてKunzea acicularis、Kunzea acuminata、Kunzea affinis(クンゼア・アフィニス)、Kunzea ambigua(クンゼア・アンビグア)、Kunzea baxteri(クンゼア・バクステリ)、Kunzea bracteolata、Kunzea calida、Kunzea cambagei、Kunzea capitata(クンゼア・カピタータ)、Kunzea ericifolia、Kunzea ericoides(カヌカ、クンゼア・エリコイデス)、Kunzea eriocalyx、Kunzea flavescens、Kunzea glabrescens、Kunzea graniticola、Kunzea jucunda(クンゼア・ジュクンダ)、Kunzea micrantha、Kunzea micromera(クンゼア・ミクロメラ)、Kunzea montana、Kunzea muelleri、Kunzea newbyi 、Kunzea obovata、Kunzea opposita、Kunzea parvifolia(クンゼア・パルビフォーリア)、Kunzea pauciflora(クンゼア・パウキフロラ)、Kunzea pomifera(ムントリー)、Kunzea preissiana、Kunzea pulchella(クンゼア・プルケラ)、Kunzea recurva、Kunzea rupestris、Kunzea spicata、Kunzea strigosa、Kunzea villiceps等を挙げることができる。
本発明で用いるカヌカ等のクンゼア属に属する植物の態様は、前記植物の葉部や樹皮部が望ましく、葉及び/又は樹皮そのもの、これに乾燥、細断あるいは粉砕等の加工処理を施したもの、これらを溶媒で抽出した抽出液、該抽出液から溶媒を除いた抽出物、該抽出物にシリカゲル、ケイ酸マグネシウム、イオン交換樹脂、活性アルミナ、セルロース、活性炭等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーや溶剤分別等の精製処理を施した精製物のいずれでも良い。食品用途に使用する場合は、前記植物の葉及び/又は樹皮を乾燥し適宜に粉砕した粉末、該乾燥物の細断片や粉末を水又は親水性有機溶媒で抽出した抽出物とするのが利便性や製造コストの点から望ましい。又、医薬品用途に使用する場合は、前記の抽出液、抽出物、あるいは高純度の精製物が望ましい。
上記の植物から抽出物を得る抽出溶媒としては、水及び/又は低級アルコールを挙げることができる。低級アルコールは、その炭素数が大きくなるとカヌカ等のクンゼア属に属する植物の油性物質が抽出される傾向が大きくなるため、炭素数が5程度までのものが望ましく、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール等を例示できる。炭素数が大きい低級アルコールを使用する場合は、脱脂粕中の油性成分の抽出を抑制するために含水率を高めるのがよい。例えば、n-プロパノールの場合の含水率は約20質量%~約50質量%とし、n-ブタノールの場合の含水率は約40質量%~約70質量%とする。望ましい抽出溶媒は水、メタノール及びエタノール、及び、これらの含水アルコール(含水率:0~100質量%)である。親水性有機溶媒が含水物の場合の水分含量は、例えば含水エタノールのときは30~99質量%、より好ましくは50~99質量%である。この範囲を外れると本発明の所望の効果が減少する。
上記の植物から抽出物を得るときの加熱温度は、抽出溶媒に水を用いた場合は常圧下1~90℃又は高圧下1~121℃が好ましく、抽出溶媒にエタノール等を使用した親水性有機溶媒を用いた場合は常圧下1~70℃が好ましい。
本発明に係る抽出物を簡便かつ効率的に得るには、水又は含水エタノールで抽出するのが良い。抽出処理は該抽出原料に対して1~20質量倍程度の前記抽出溶媒を加え、常圧若しくは加圧下、常温又は加熱状態で、適宜に撹拌して10分~1時間抽出処理する。不溶物を濾過又は遠心分離して除き、必要であれば前記方法で再度抽出操作を行い、抽出液を得る。さらに該抽出液から減圧蒸留、凍結乾燥、噴霧乾燥等の公知の手段で溶媒を除去することによって本発明に係る抽出物を得ることができる。
前述のように、本発明によれば、クンゼア属に属する植物であるカヌカの加工物を含むコレステロール吸収阻害剤が提供される。本コレステロール吸収阻害剤は、コレステロール含有胆汁酸ミセルを崩壊する作用に優れるため、小腸からのコレステロールの体内吸収を低減させ、血中コレステロールの代謝改善を促し、高コレステロール血症やこれに関連する各種疾病の予防を可能にする。よって、本発明に係るコレステロール吸収阻害剤はそのまま本発明の所望の目的のために使用しても差し支えないが、本発明ではこれを配合してなる組成物も提供される。該組成物の態様としては飲食物、食品添加物、家畜用飼料、ペットフード等の種々のものがあり、食用組成物又は医薬用組成物が好適である。
なお、本発明のコレステロール吸収阻害剤は、本発明の趣旨に反しないかぎり種々の原料や成分を併用して配合することができる。例えば、通常の食品や医薬品に使用される賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料等がある。又、コレステロール吸収抑制作用をもつ公知の素材であって前記以外のものを併用することも本発明の望ましい態様のひとつである。
本発明の食用組成物は、前述のコレステロール吸収阻害剤を配合してなることを特徴とする。該コレステロール吸収阻害剤は、カヌカ等のクンゼア属に属する植物であって、この形態が望ましくは葉及び/樹皮の抽出物又は精製物を必須原料として含有してなるものである。
この食用組成物の態様としては、前記の乾燥粉末、抽出物若しくは精製物をそのまま又は前記コレステロール吸収阻害剤を液状、ゲル状、粉末状あるいは固形状の食品、例えば、野菜ジュース、果汁飲料、清涼飲料、茶等の飲料類、即席麺、スープ、ゼリー、プリン、ヨーグルト、ケーキプレミックス製品、菓子類、ふりかけ、味噌、醤油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、植物性クリーム、焼肉用たれや麺つゆ等の調味料、麺類、うどん、蕎麦、スパゲッティ、ハムやソーセージ等の畜肉魚肉加工食品、ハンバーグ、コロッケ、ふりかけ、佃煮、ジャム、牛乳、クリーム、バター、スプレッドやチーズ等の粉末状、固形状又は液状の乳製品、マーガリン、パン、ケーキ、クッキー、チョコレート、キャンディー、グミ、ガム、ゼリー等の各種一般加工食品のほか、粉末状、顆粒状、丸剤状、錠剤状、ソフトカプセル状、ハードカプセル状、ペースト状又は液体状の栄養補助食品、特定保健用食品、機能性表示食品、健康食品、濃厚流動食や嚥下障害用食品の治療食等に添加した形態となすことができる。
又、必要に応じてグルコース(ブドウ糖)、デキストリン、乳糖、澱粉又はその加工物、セルロース粉末等の賦形剤、ビタミン、ミネラル、動植物や魚介類の油脂、たん白(動植物や酵母由来の蛋白質、その加水分解物等を含む)、糖質、色素、香料、酸化防止剤、界面活性剤、その他の食用添加物、各種栄養機能成分を含む粉末やエキス類等の食用素材とともに混合して粉末、顆粒、ペレット、錠剤等の形状に加工したり、常法により前記例の一般加工食品に加工処理したり、これらを混合した液状物をゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等の被覆剤で被覆してカプセルに成形したり、飲料(ドリンク類)の形態に加工して、栄養補助食品や健康食品として利用することは好適である。とりわけ錠剤、カプセル剤やドリンク剤が望ましい。
前記の食品類や食用組成物における本発明のコレステロール吸収阻害剤の配合量は、当該食用組成物や剤、他の配合原料の種類、配合量、形熊、利用目的により一律に規定し難いが、一般の加工食品類に添加する場合では、飲食品中の前記抽出物の含量が約0.01質量%~約90質量%、より望ましくは約1質量%~約60質量%となるように、本発明のコレステロール吸収阻害剤をその他の飲食品製造用公知原料と適宜に組み合わせて処方を設計し、常法に従い目的とする飲食品を調製すればよい。本発明の飲食品は、ヒト成人の場合1日あたりの前記加工物の摂取量の目安を約10mg~約1,000mg、望ましくは約30mg~約500mg、更に望ましくは約50mg~約300mgとして任意の方法、例えば、食事の摂取と同時又は前後に、経口摂取、経管投与等の方法で体内に取り込むことができる。なお、本発明のコレステロール吸収阻害剤はそのまま食用に供しても差し支えない。
本発明のコレステロール吸収阻害剤を用いる医薬品は、前記のコレステロール吸収阻害剤に本発明の趣旨に反しない公知の賦形剤や添加物を適宜加え、常法により加工して錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等の製剤となすことができる。経口あるいは経腸投与して、コレステロール吸収の阻害あるいは前記諸症状の予防又は治療のために適用する。本発明のコレステロール吸収阻害剤の配合量はその形態や前記医薬製剤の種類、形態、用法及び用量等により一律に設定し難いが、前記抽出物の含量として概ね0.001質量%~60質量%である。経口投与する場合の摂取量はとくに限定されるものではないが、例えば、前記抽出物をベースにして、ヒト成人1日あたり約0.1mg~約1,000mg、望ましくは約1mg~約500mg、更に望ましくは約10mg~約300mgである。
又、本発明のコレステロール吸収阻害剤を家畜用飼料やペットフードに適用するには、前記飲食品の場合と同様に、公知の各種飼料や飲用水に配合したり、公知の原材料、添加物とともに錠剤状、顆粒状、カプセル状等の製剤形態のものに加工することができる。これらの場合、本発明のコレステロール吸収阻害剤の配合量及び摂取量は、前記抽出物の含量として約0.01質量%~約90質量%、より望ましくは約1質量%~約60質量%であり、1日あたりの摂取量の目安は、前記抽出物を基準として、適用動物の体重(kg)あたり約0.1mg~約100mg、より望ましくは約0.5mg~約50mgである。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これによって本発明が制限や限定を受けることはない。各例において、%、部及び比率はいずれも質量基準である。
製造例1
カヌカの葉又は樹皮を天日で半乾燥し、細断ないしは粉砕処理を施してカヌカの葉又は樹皮の各乾燥物を製造した。
製造例2
製造例1に記載のカヌカ葉(乾燥物)30gに水330mLを加え、121℃にて1時間加圧下で抽出処理した後、室温まで冷却し、濾過して濾液を分離した。この濾過残渣に再度水240mLを加えて同様に加熱し、冷却後、濾過して濾液を採取した。両濾液を合わせて減圧下で濃縮し、凍結乾燥及び粉砕して本発明に係る抽出物(試料A-1)8.4gを得た。これは、ストリクチニン、イソストリクチニン、クンゼアクロモンF等の成分を含有していた。
製造例3
製造例1に記載のカヌカ葉(乾燥物)20gに水220mLを加え、85~90℃にて1時間抽出処理した後、室温まで冷却し、濾過して濾液を分離した。この濾過残渣に再度水160mLを加えて同様に加熱し、冷却後、濾過して濾液を採取した。両濾液を合わせて減圧下で濃縮し、凍結乾燥及び粉砕して本発明に係る抽出物(試料A-2)3.5gを得た。
製造例4
製造例1に記載のカヌカ葉(乾燥物)20gに50%エタノール(含水率:50%)160mLを加え、70℃にて1時間抽出処理した後、室温まで冷却し、濾過して濾液を分離した。この濾過残渣に再度50%含水エタノール120mLを加えて同様に加熱し、冷却後、濾過して濾液を採取した。両濾液を合わせて減圧下で濃縮し、凍結乾燥及び粉砕して本発明に係る抽出物(試料A-3)5.5gを得た。
製造例5
製造例1に記載のカヌカ葉(乾燥物)20gに70%エタノール(含水率:30%)160mLを加え、70℃にて1時間抽出処理した後、室温まで冷却し、濾過して濾液を分離した。この濾過残渣に再度70%含水エタノール120mLを加えて同様に加熱し、冷却後、濾過して濾液を採取した。両濾液を合わせて減圧下で濃縮し、凍結乾燥及び粉砕して本発明に係る抽出物(試料A-4)5.9gを得た。
製造例6
製造例1に記載のカヌカ樹皮(乾燥物)50gに水600mLを加え、121℃にて1時間加圧下で抽出処理した後、室温まで冷却し、濾過して濾液を分離した。この濾過残渣に再度水400mLを加えて同様に加熱し、冷却後、濾過して濾液を採取した。両濾液を合わせて減圧下で濃縮し、凍結乾燥及び粉砕して本発明に係る抽出物(試料A-5)7.5gを得た。
試験例1:コレステロール含有胆汁酸ミセル崩壊活性の検討
本発明に係るカヌカの加工処理物について、以下に述べる方法を用いてコレステロール含有胆汁酸ミセル崩壊活性に及ぼす影響を調べた。
コレステロール含有胆汁酸ミセル形成
卵黄レシチン500 μLをメタノール5 mLで溶解し、コレステロール9.7 mg、卵黄レシチンメタノール溶液230 μLをクロロホルム1 mL溶解した後ナスフラスコに移し、エバポレーターを使用し減圧濃縮した。タウロコール酸ナトリウム0.18 gを溶解した15 mMリン酸バッファー(pH7.3)50 mLを減圧濃縮後のナスフラスコに加え、超音波発生装置にかけ乳化(2分、75W)し、コレステロール含有胆汁酸ミセル溶液を作製した。
試料A-1又は各原料の乾燥物を試料A-1と同様の手順で加圧熱水抽出したマテ茶熱水抽出物(比較試料1)、グァバ茶熱水抽出物(比較試料2)、ケルナー熱水抽出物(比較試料3)、ホームベル熱水抽出物(比較試料4)を5、2.5、5、10 mg/mLの濃度で調製し、それぞれ100 μLに胆汁酸ミセル溶液1.9 mLを加え、インキュベート(37℃、1 h)した。その後、メンブレンフィルターを通し、酸化アルミニウムを加え10,000 rpmで5分間遠心分離した。上清500 μl に発色剤(コレステロールE-テストワコー)500 μLと混合させインキュベート(37℃、1h)した。600 nmの吸光度を測定し、50%阻害を算出した。
コレステロール含有胆汁酸ミセルの50%崩壊濃度としてIC50(g/L)値を求めた。尚、試験例1で得られた結果から、常法に従って、上清のコレステロール量が50%となる場合の試料A-1及び比較試料1~4の濃度を算出し、得られた値を50%崩壊濃度とした。この結果を表1に示す。
表1 コレステロール含有胆汁酸ミセル崩壊作用
表1のデータから、カヌカの葉由来の試験物質(試料A-1)は比較試料と比べて非常に強力にコレステロール含有胆汁酸ミセル崩壊作用を有することが明らかになった。
試験例2:マウスにおけるコレステロール吸収阻害作用の検討
本発明に係るカヌカの加工処理物について、以下に述べる方法を用いてコレステロール吸収阻害作用に及ぼす影響を調べた。
4週齢ddy系雄マウス(日本クレア(株))を1週間予備飼育した後、1群6~8匹とし、AIN-93Mを基準とした高脂肪食を摂取させる対照群または試料A-1を1%添加した高脂肪食を摂取させるA-1群に群分けした。各々の飼料を12週間自由摂取させ、飼育最終日に屠殺を行い、血漿を得た。得られた血漿を発色剤(コレステロールE-テストワコー)と混合させインキュベート(37℃、5分)した。その後、600 nmの吸光度を測定し、血漿中総コレステロール濃度を算出した。データは平均値±標準誤差で表わした。
この結果を表2に示す。表2のデータから、本発明に係るカヌカの葉由来の試験物質(試料A-1)を経口摂取することにより、血漿中総コレステロール濃度が顕著に低下することを確認した。この結果は、試験例1で示されたコレステロール含有胆汁酸ミセル崩壊作用に起因するものと考えられた。
表2 血漿中総コレステロール濃度(マウス)
なお、ほとんど全ての植物体(組織)やその抽出物、精製物にはタンニン類、プロアントシアニジン類、カテキン類等が含まれていることが一般に知られており、本発明に係るカヌカの植物体やその加工物もかかる公知成分を含有することが当然に予想されるが、同時に多種多様なその他成分や未知成分も含まれており、これらの含有成分を解明し本発明に係る活性成分を個々に特定することは、煩雑な作業や長期間にわたる労力、多大なコストを要するため、現実的ではない。
試作例1(錠剤)
試料A-1からなる本発明のコレステロール吸収阻害剤5.0kgを化工澱粉(松谷化学工業(株)製、商品名:パインフロー、登録商標)3.5Kg、第3リン酸カルシウム0.3Kg、ビタミンB0.3Kg、ビタミンB0.2Kg、ビタミンB0.3Kg及びビタミンC0.4Kgと共に配合機に仕込み10分間撹拌混合した。該混合物を直打式打錠機に供給して直径7mm、高さ4mm、重量150mgのタブレットを作成した後、コーティング機でシェラック薄膜をコ-ティングして錠剤形状の食品を試作した。
試作例2(クッキー)
家庭用ホイッパーにバター120g、ショートニング100g、上白糖90g及び牛乳100mLを入れ、撹拌しながら鶏卵1個を加えて充分に混合した後、薄力粉190g、ベーキングパウダー1gとともに試料A-1からなる本発明のコレステロール吸収阻害剤10gを添加して十分に捏ねあわせた。これを30分間ねかせた後、金型で50個に分割し、オーブンで焼いてバタークッキーを試作した。
試作例3(ジュース)
市販のオレンジジュース1Lに、試料A-1からなる本発明のコレステロール吸収阻害剤5gを加えて混合しコレステロール吸収防止オレンジジュースを試作した。これは元のオレンジジュースと比較して何ら遜色ないものであった。
試作例4(ペットフード)
小麦粉6.2kg、脱脂大豆1kg、牛脂500g、ミートミール360g、ビタミン・ミネラル類200g、試料A-1からなる本発明のコレステロール吸収阻害剤200gを添加して十分に混合した後、水2kgを添加し十分に捏ねあわせた。成形後、焼成して、ビスケットタイプのペットフードを試作した。
本発明の、カヌカをはじめとするクンゼア属に属する植物又はその加工物を含有してなることを特徴とするコレステロール吸収阻害剤は、これを経口摂取することにより、消化管内でのコレステロール含有胆汁酸ミセルの崩壊を促し、食事等由来のコレステロールの吸収を強力に抑制することで、高コレステロール血症を予防し、動脈硬化等の改善に役立ち、健康維持・増進の分野で有用に利用することが可能となる。又、前記コレステロール吸収阻害剤を含む飲食品は、エゼチミブ等の既存のコレステロール吸収阻害薬に比べて効き目が穏やかであり、又ニュージーランドで古くから薬用として用いられている生物資源の抽出物のため安全性が高いことから、飲用品として日常的に摂取することができる。

Claims (7)

  1. フトモモ科クンゼア属に属するカヌカ(Kunzea ericoides)の葉の抽出物を含有してなるコレステロール吸収阻害剤。
  2. 前記抽出物が水を用いて抽出されたものである請求項1に記載のコレステロール吸収阻害剤。
  3. 前記コレステロール吸収阻害がコレステロール含有胆汁酸ミセルの崩壊作用に基づくものである請求項1又は2に記載のコレステロール吸収阻害剤。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のコレステロール吸収阻害剤を含む経口組成物。
  5. 食事性コレステロールの腸管吸収を阻害するためのものである請求項4の経口組成物。
  6. 飲食品又はペットフードである請求項4~5に記載の経口組成物。
  7. フトモモ科クンゼア属に属するカヌカ(Kunzea ericoides)の葉の抽出物によりコレステロール含有胆汁酸ミセル崩壊及び/又はコレステロールの腸管吸収を阻害する方法。

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