JP2023128406A - 貯水施設の被覆構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】水面を被覆することができ、かつ水面を有効に利用できる貯水施設1の被覆構造10を提供する。【解決手段】貯水施設1の水面を被覆するための被覆構造10は、水面に設けられ、複数の主フロート16を備えたフロート集合体11と、水面を被覆するべくフロート集合体11の外周に設けられたシート13と、主フロート16に支持された複数の太陽光パネル12とを備える。これにより、フロート集合体11とシート13とによって水面を被覆することができる。また、被覆構造10が複数の太陽光パネル12を備えるため、水面を有効に利用できる。【選択図】図1
Description
本発明は、農業用水や工業用水等の貯水施設の水面を被覆するための被覆構造に関する。
貯水施設においては、用水の蒸発を防ぐ目的や、アオコの発生等による水質汚染を防ぐ目的等のために水面を天蓋で覆うことがある。このような天蓋として、水面上に載置されるシート状の合成樹脂製の浮体と、この浮体の上面に取り付けられた合成樹脂製シートとを組み合わせたシート状浮体が公知である(特許文献1)。シート状浮体の周辺部には、全周にわたってカーテン状シートが固着され、カーテン状シートの外縁部は貯水施設の側壁の上端部に固着されている。カーテン状シートは水位の変動に伴って自在に追動する。
また、貯水施設の内面をカーテン状シートで覆う必要がない天蓋として、扁平な浮力体の周囲の少なくとも1側に、水中に垂下する垂下体を取り付け、この垂下体に錘を設けて天蓋ブロックとし、この天蓋ブロックを水面上に連続させものが公知である(特許文献2)。この天蓋は、貯水施設の周囲に取り付けられた係留策によって係止される。
しかしながら、上記の従来技術では、天蓋は貯水施設を覆う機能のみを果たしている。したがって、用水の蒸発を防ぐことや水質汚染を防ぐことはできるが、水面が有効に利用されているとは言えず、水面の有効利用において改善の余地がある。
本発明は、以上の背景に鑑み、水面を被覆することができ、かつ水面を有効に利用できる貯水施設の被覆構造を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明のある態様は、貯水施設(1)の水面を被覆するための被覆構造(10)であって、前記水面に設けられ、複数の主フロート(16)を備えたフロート集合体(11)と、前記水面を被覆するべく前記フロート集合体の外周に設けられたシート(13)と、前記主フロートに支持された複数の太陽光パネル(12)とを備える。
この態様によれば、フロート集合体とシートとによって水面を被覆することができる。また、被覆構造が複数の太陽光パネルを備えるため、水面を有効に利用することができる。
上記の態様において、前記貯水施設(1)は、略水平な底面(4)と、前記底面の外縁から傾斜して延びる斜面(5)とを有し、前記底面及び前記斜面が非透水性の遮水シート(6)によって覆われた人口貯水池であり、前記主フロート(16)が、平面視で前記底面に対応する前記水面の領域に配置されるとよい。
水位が低下すると、被覆構造は人口貯水池の底面及び斜面を含む底に接触することがある。この態様によれば、被覆構造が貯水施設の底面に接触する際に、太陽光パネルを支持する重い主フロートは底面にて遮水シートに接触するため、遮水シートの破損が抑制される。
上記の態様において、前記フロート集合体(11)が、前記主フロート(16)の外周に設けられて前記太陽光パネル(12)を支持しない複数の被覆専用フロート(18)を更に備えるとよい。
この態様によれば、主フロートから水面の外周縁までの距離が大きい場合でも、シートの幅が過大になることを防止できる。これにより、風によってシートが煽られることが抑制される。
上記の態様において、前記被覆専用フロート(18)が、平面視で前記底面(4)に対応する前記水面の領域に配置されるとよい。
この態様によれば、水位が低下して被覆構造が貯水施設の底面に接触する際に、被覆専用フロートが斜面にて遮水シートに接触することで遮水シートが破損することが抑制される。
上記の態様において、前記被覆専用フロート(18)が、前記主フロート(16)よりも柔らかい素材から形成され、更に、平面視で前記斜面(5)に対応する前記水面の領域に配置されるとよい。
この態様によれば、被覆専用フロートは、水位が低下したときに斜面にて遮水シートに接触し得るが、フロートよりも柔らかい素材から形成されているため、遮水シートの破損を抑制することができる。
上記の態様において、前記シート(13)は、前記フロート集合体(11)の周囲に環状に配置され、前記フロート集合体に内側連結ロープ(20)を介して連結された内縁(13a)と、満水時に前記水面の外側に位置する前記貯水施設(1)の部位(7)に取り付けられた外縁(13b)とを有するとよい。
この態様によれば、水位が変化したときにシートによって覆われない水面の部分が生じることを抑制することができる。
上記の態様において、前記シート(13)の前記内縁(13a)が前記フロート集合体(11)の下側に前記フロート集合体に重なるように配置されるとよい。
この態様によれば、水位が低下したときに、シートの内縁がフロート集合体の下側を摺動する。水位の低下に伴って、シートとフロート集合体とのオーバーラップ量は小さくなるが、シートによって水面が被覆された状態が維持される。よって、貯水施設内の水の蒸発を効果的に抑制することができる。
上記の態様において、前記シート(13)の前記内縁(13a)が前記フロート集合体(11)の上側に前記フロート集合体に重なるように配置されるとよい。
この態様によれば、水位が低下したときに、シートの内縁がフロート集合体の上側を摺動する。水位の低下に伴って、シートとフロート集合体とのオーバーラップ量は小さくなるが、水面を被覆した状態が維持される。よって、貯水施設内の水の蒸発を効果的に抑制することができる。
上記の態様において、前記シート(13)は、前記フロート集合体(11)の周囲に環状に配置され、前記フロート集合体に取り付けられた内縁(13a)と、満水時に前記水面の外側に位置する前記貯水施設(1)の部位(7)に外側連結ロープ(30)を介して連結された外縁(13b)とを有するとよい。
この態様によれば、水位が上昇した後、外側連結ロープを引っ張ることで水面を被覆するようにシートを展開させることができる。フロート集合体にオーバーラップさせる必要がないため、作業が容易である。
上記の態様において、前記外側連結ロープ(30)が弾性素材からなる伸縮ロープであるとよい。
この態様によれば、水位が上昇した後、ロープを引っ張らなくても水面を被覆するようにシートを展開させることができる。よって、被覆構造のメンテナンスが容易である。
以上の態様によれば、水面を被覆することができ、かつ水面を有効に利用できる貯水施設の被覆構造を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。
≪第1実施形態≫
まず、図1~図5を参照して本発明の第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態に係る貯水施設1の満水時における被覆構造10の平面図である。図1に示すように、ここでは貯水施設1は人口貯水池であり、平面視で矩形をなすものとして説明する。他の実施形態では、貯水施設1は自然に存在する池や湖、人口の貯水槽であってもよい。貯水施設1の用途は、上水用、工業用水用、農業用水用などの貯水であってよい。
まず、図1~図5を参照して本発明の第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態に係る貯水施設1の満水時における被覆構造10の平面図である。図1に示すように、ここでは貯水施設1は人口貯水池であり、平面視で矩形をなすものとして説明する。他の実施形態では、貯水施設1は自然に存在する池や湖、人口の貯水槽であってもよい。貯水施設1の用途は、上水用、工業用水用、農業用水用などの貯水であってよい。
被覆構造10は、貯水施設1に貯められた水2の蒸発を防止するために水面を被覆するように設けられている。被覆構造10は、フロート集合体11と、フロート集合体11に設けられた複数の太陽光パネル12と、フロート集合体11の外周に設けられたシート13とを有している。フロート集合体11は貯水施設1の水面の略中央に設けられ、シート13はフロート集合体11の外周に全周にわたって設けられている。フロート集合体11は、図示しない係留設備によって貯水施設1の底部や外周部に係留されている。
フロート集合体11は、太陽光パネル12を支持する複数の主フロート16と、互いに隣接する主フロート16を接続するための複数の連結フロート17と、複数の主フロート16の外周に設けられた複数の被覆専用フロート18とを備えている。主フロート16は、縦横それぞれに複数列に配置されている。各主フロート16は1枚の太陽光パネル12を支持している。連結フロート17は、互いに隣接する主フロート16間の隙間を埋めるように配置される。他の実施形態では、主フロート16同士が互いに連結され、連結フロート17が設けられなくてもよい。
主フロート16及び連結フロート17は、硬質の樹脂によって形成された中空構造体である。主フロート16及び連結フロート17の内部は空洞であってもよく、比重が1よりも小さい発泡ポリスチレンのような浮体が設けられていてもよい。或いは、安定性向上のために、適度な量の水2や錘が主フロート16及び連結フロート17の内部に設けられていてもよい。
被覆専用フロート18は、太陽光パネル12を支持しないフロートである。被覆専用フロート18は主フロート16と同じ材料によって形成されてもよく、主フロート16と異なる材料によって形成されてもよい。本実施形態では、被覆専用フロート18は主フロート16と同じ硬質の樹脂によって形成された中空構造体である。被覆専用フロート18は主フロート16の外周に(すなわち、フロート集合体11の外周部に)全周にわたって配置されている。図示例では、被覆専用フロート18は主フロート16の全周にわたって2列又は3列に配置されている。被覆専用フロート18は、隣接する主フロート16、連結フロート17又は被覆専用フロート18に対し、ロープ等の連結手段19(図2参照)を介して連結されている。
係留設備は、フロート集合体11を地盤に連結することで所定の平面位置に留めるための設備であり、例えば、アンカー部材に連結される一端とフロート集合体11に連結される他端とを有する複数の係留ロープによって構成される。係留ロープは、フロート集合体11の外周部から外方に向けて延出していてよく、フロート集合体11の底部から下方に向けて延出していてもよい。
シート13は、非透水性シートからなり、水面のフロート集合体11によって被覆されない領域を被覆するように水面上に配置されている。シート13は1よりも小さい比重を有しており、水面上に浮いている。シート13は、1枚ものの構成とされてもよく、複数に分割された構成されてもよい。本実施形態では、4枚のシート13が、フロート集合体11の外周の水面の領域のうち、隅部を除く領域の全体を被覆するように、貯水施設1の4辺に沿って配置されている。すなわち、シート13はフロート集合体11の外周に全周にわたって矩形の環状に配置されている。他の実施形態では、貯水施設1の1辺に沿う水面の部分に複数のシート13が設けられてもよい。
ここで、「環状に」とは、周方向に一連に繋がっていることを意味するものではなく、周方向の大半(50%以上)にわたって延在していることを意味する。他の実施形態では、フロート集合体11の外周の一部(例えば、取水口又は排水桝に対応する部分や、フロート集合体11へのアクセス設備部分など、シート13を配置することが難しい部分)にシート13が設けられていなくてもよい。
図2は、図1に示す被覆構造10の左半の側面図である。なお、図2は満水時の状態を示している。図2に示すように、貯水施設1は、略水平な底面4と、底面4の外周縁から傾斜して延びる斜面5とを有している。底面4は矩形をなし、底面4の4辺から4つ斜面5が延びている。底面4及び斜面5は非透水性の遮水シート6によって覆われている。これにより、貯水施設1に貯留した水2は地盤中に漏洩することがない。貯水施設1は、遮水シート6によって地盤漏洩による水位の低減が防止され、被覆構造10によって大気中への蒸発による水位の低減が防止される。
主フロート16は、平面視で底面4に対応する水面の領域に配置されている。被覆専用フロート18も、平面視で底面4に対応する水面の領域に配置されている。シート13は、主に平面視で斜面5に対応する水面の領域に配置されている。
シート13は、内側連結ロープ20を介してフロート集合体11に連結された内縁13aと、満水時に水面の外側に位置する貯水施設1の法肩部7に取り付けられた外縁13bとを有している。シート13の外縁13bはアンカー21によって法肩部7に固定されている。シート13の内縁13aはフロート集合体11の下側にフロート集合体11に重なるように配置されている。内側連結ロープ20は、シート13の内縁13aを、フロート集合体11の外周部(具体的には被覆専用フロート18)に連結している。内側連結ロープ20は、シート13と区別するために点線で示される。
貯水施設1及び被覆構造10は以上のように構成されている。このように、被覆構造10が複数の太陽光パネル12を備えることによって水面の有効利用が図られている。また、被覆構造10は、複数の主フロート16を備えたフロート集合体11と、フロート集合体11の外周に設けられたシート13とを備える。これにより、水面が被覆構造10によって被覆され、貯水施設1の水位が変化したとき被覆構造10が水位の変化に追従して変形し、水面の全体が被覆された状態が維持される。
被覆構造10の水位変化時の動作について説明する。図3は水位低下時の被覆構造10の動作説明図である。図3には、(A)満水位の状態及び(B)水2がなくなった低水位の状態が示されている。水2が工業用水や農業用水などとして利用され、貯水施設1の水位が低下すると、被覆構造10は(A)に示す状態から(B)に示す状態に変化する。
上記のように、シート13の内縁13aは、フロート集合体11に内側連結ロープ20を介して連結され、シート13の外縁13bは、満水時に水面の外側に位置する貯水施設1の法肩部7に取り付けられている。これにより、水位が変化したときにシート13によって覆われない水面の部分が生じることを抑制される。
具体的には、シート13の外縁13bが貯水施設1の法肩部7に固定されているため、シート13の内縁13aがフロート集合体11に対して摺動する。本実施形態では、シート13の内縁13aがフロート集合体11の下側にフロート集合体11に重なるように配置されている。そのため、水位が低下したときに、シート13の内縁13aがフロート集合体11の下側を摺動する。水位の低下に伴って、シート13とフロート集合体11とのオーバーラップ量は小さくなり、(B)に示す状態ではシート13の内縁13aはフロート集合体11の外側に位置している。しかしながら、水位が0に近くなるまで、フロート集合体11の外側の水面の領域がシート13によって覆われた状態が維持される。したがって、貯水施設1内の水2の蒸発が効果的に抑制される。
図4は、水位低下時における被覆構造10の平面図である。図3(B)及び図4に示すように、フロート集合体11は、水位低下時に貯水施設1の底面4(具体的には、底面4に張られて遮水シート6)に接触する。つまり、主フロート16を含むフロート集合体11は、平面視で底面4に対応する水面の領域に配置されている。これにより、被覆構造10が貯水施設1の底面4に接触する際に、太陽光パネル12を支持する重い主フロート16は底面4にて遮水シート6に接触するため、遮水シート6の破損が抑制される。
上記のように、主フロート16の外周には、太陽光パネル12を支持しない複数の被覆専用フロート18が設けられている。そのため、図3(A)に示すように主フロート16から水面の外周縁までの距離が大きい場合でも、シート13の幅が過大になることが防止される。これにより、風によってシート13が煽られることが抑制される。
また、図3(B)及び図4に示すように、被覆専用フロート18も、平面視で貯水施設1の底面4に対応する水面の領域に配置されている。これにより、水位が低下して被覆構造10が貯水施設1の底面4に接触する際に、被覆専用フロート18が斜面5にて遮水シート6に接触することで遮水シート6が破損することが抑制される。よって、主フロート16と同様に硬質の材料によって被覆専用フロート18を形成することが可能になり、被覆専用フロート18の耐候性を向上させることができる。
図5は水位上昇時の被覆構造10の動作説明図である。図5には、(A)水2がない低水位の状態及び(B)水2が増えた満水位の状態が示されている。貯水施設1の建設時や貯水が必要なときに川などから水2が供給されて貯水施設1の水位が上昇すると、被覆構造10は(A)に示す状態から(B)に示す状態に変化する。
このとき、シート13の内縁13aはフロート集合体11の外側に位置しているため、シート13は弛んだ状態になっている。上記のようにシート13の内縁13aは内側連結ロープ20によってフロート集合体11に連結されている。そのため、作業員がフロート集合体11上で内側連結ロープ20を引っ張ることにより、シート13の内縁13aがフロート集合体11の下に重なる図3(A)の状態にすることができる。
≪第2実施形態≫
次に、図6~図8を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。特に断りがない限り、以降の実施形態においても同様とする。
次に、図6~図8を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。特に断りがない限り、以降の実施形態においても同様とする。
図6は第2実施形態に係る貯水施設1の被覆構造10の左半の側面図であり、図2に対応している。図6に示すように、本実施形態では、シート13の内縁13aがフロート集合体11の上側にフロート集合体11に重なるように配置されている。
図7は水位低下時の被覆構造10の動作説明図であり、図8は水位上昇時の被覆構造10の動作説明図である。図7(A)は図3(A)に対応し、図7(B)は図3(B)に対応している。また、図8(A)は図5(A)に対応し、図8(B)は図5(B)に対応している。
図7に示すように、本実施形態では、シート13の内縁13aがフロート集合体11の上側に配置されているため、水位が低下したときに、シート13の内縁13aはフロート集合体11の上側を摺動する。水位の低下に伴って、シート13とフロート集合体11とのオーバーラップ量は小さくなり、(B)に示す状態ではシート13の内縁13aはフロート集合体11の外側に位置している。しかしながら、水位が0に近くなるまで、フロート集合体11の外側の水面の領域がシート13によって覆われた状態が維持される。したがって、貯水施設1内の水2の蒸発が効果的に抑制される。
図8に示すように、貯水施設1の水位が上昇すると、被覆構造10は(A)に示す状態から(B)に示す状態に変化する。このとき、シート13の内縁13aはフロート集合体11の外側に位置しているため、シート13は弛んだ状態になっている。上記のようにシート13の内縁13aは内側連結ロープ20によってフロート集合体11に連結されている。そのため、作業員はフロート集合体11上で内側連結ロープ20を引っ張ることにより、シート13の内縁13aがフロート集合体11の上に重なる図7(A)の状態にすることができる。この際、シート13の内縁13aをフロート集合体11の上に重ねるため、第1実施形態に比べて作業が容易である。
≪第3実施形態≫
次に、図9~図11を参照して本発明の第3実施形態について説明する。図9は第3実施形態に係る貯水施設1の被覆構造10の左半の側面図である。図9に示すように、本実施形態では、被覆専用フロート18が第1実施形態よりも貯水施設1の外側まで、具体的には平面視で貯水施設1の斜面5に対応する水面の領域まで至るように配置されている。本実施形態の被覆専用フロート18は、主フロート16よりも柔らかい素材から形成されている。被覆専用フロート18は、例えば発泡ポリスチレンから形成されてよい。シート13の幅は、被覆専用フロート18の幅が広くなった分だけ狭くなっている。
次に、図9~図11を参照して本発明の第3実施形態について説明する。図9は第3実施形態に係る貯水施設1の被覆構造10の左半の側面図である。図9に示すように、本実施形態では、被覆専用フロート18が第1実施形態よりも貯水施設1の外側まで、具体的には平面視で貯水施設1の斜面5に対応する水面の領域まで至るように配置されている。本実施形態の被覆専用フロート18は、主フロート16よりも柔らかい素材から形成されている。被覆専用フロート18は、例えば発泡ポリスチレンから形成されてよい。シート13の幅は、被覆専用フロート18の幅が広くなった分だけ狭くなっている。
図10は水位低下時の被覆構造10の動作説明図であり、図11は水位上昇時の被覆構造10の動作説明図である。図10(A)は図3(A)に対応し、図10(B)は図3(B)に対応している。また、図11(A)は図5(A)に対応し、図11(B)は図5(B)に対応している。
図10に示すように、水位が低下すると、シート13の内縁13aはフロート集合体11の下側を摺動する。水位の低下に伴って、シート13とフロート集合体11とのオーバーラップ量は小さくなり、(B)に示す状態ではシート13の内縁13aはフロート集合体11の外側に位置する。フロート集合体11の外側に配置された被覆専用フロート18は、水位低下時に貯水施設1の斜面5(具体的には、底面4に張られて遮水シート6)に接触する。
しかしながら、被覆専用フロート18は主フロート16よりも柔らかい素材から形成されているため、遮水シート6の破損が抑制される。一方、被覆専用フロート18の幅が広くなった分だけシート13の幅が狭くなっているため、風によってシート13が煽られることが一層抑制される。
図11に示すように、貯水施設1の水位が上昇すると、被覆構造10は(A)に示す状態から(B)に示す状態に変化する。このとき、シート13の内縁13aはフロート集合体11の外側に位置しているため、シート13は弛んだ状態になるが、作業員がフロート集合体11上で内側連結ロープ20を引っ張ることにより、図10(A)の状態に戻すことができる。
≪第4実施形態≫
次に、図12~図14を参照して本発明の第4実施形態について説明する。図12は第4実施形態に係る被覆構造10の平面図である。本実施形態では、シート13をフロート集合体11に連結する内側連結ロープ20(図2)が設けられておらず、代わりに、シート13を法肩部7に連結する外側連結ロープ30が設けられている。具体的には、シート13の内縁13aはフロート集合体11に結合され、シート13の外縁13bは貯水施設1の法肩部7に外側連結ロープ30を介して連結されている。外側連結ロープ30は、図12に示す満水状態においてシート13の外縁13bからアンカー21までの距離よりも十分に長い長さを有しており、法肩部7に弛んだ状態或いは巻かれた状態で配置されている。
次に、図12~図14を参照して本発明の第4実施形態について説明する。図12は第4実施形態に係る被覆構造10の平面図である。本実施形態では、シート13をフロート集合体11に連結する内側連結ロープ20(図2)が設けられておらず、代わりに、シート13を法肩部7に連結する外側連結ロープ30が設けられている。具体的には、シート13の内縁13aはフロート集合体11に結合され、シート13の外縁13bは貯水施設1の法肩部7に外側連結ロープ30を介して連結されている。外側連結ロープ30は、図12に示す満水状態においてシート13の外縁13bからアンカー21までの距離よりも十分に長い長さを有しており、法肩部7に弛んだ状態或いは巻かれた状態で配置されている。
図13は水位低下時の被覆構造10の動作説明図であり、図14は水位上昇時の被覆構造10の動作説明図である。図13(A)は図3(A)に対応し、図13(B)は図3(B)に対応している。また、図14(A)は図5(A)に対応し、図14(B)は図5(B)に対応している。
図13に示すように、本実施形態では、シート13の内縁13aがフロート集合体11に取り付けられているため、水位が低下したときに、シート13の内縁13aはフロート集合体11と共に下降する。水位の低下に伴って、シート13は外縁13b側から順に貯水施設1の斜面5に接触し、外側連結ロープ30を引っ張りながら斜面5を下方へ摺動する。(B)に示す状態ではシート13の大部分は斜面5を被覆している。しかしながら、フロート集合体11の外側の水面の領域がシート13によって覆われた状態が維持される。したがって、貯水施設1内の水2の蒸発が効果的に抑制される。
図14に示すように、貯水施設1の水位が上昇すると、被覆構造10は(A)に示す状態から(B)に示す状態に変化する。このとき、図14(A)のシート13の外縁13bの位置は、図13(A)の位置に比べてフロート集合体11に近いため、シート13は弛んだ状態になっている。
本実施形態では、シート13が、フロート集合体11に取り付けられた内縁13aと、満水時に水面の外側に位置する貯水施設1の法肩部7に外側連結ロープ30を介して連結された外縁13bとを有している。具体的には、シート13の外縁13bは外側連結ロープ30によってアンカー21に連結されている。そのため、作業員は、水位が上昇した後、外側連結ロープ30を引っ張ることで水面を被覆するようにシート13を展開させることができる。シート13をフロート集合体11にオーバーラップさせる必要がないため、作業は容易である。
≪第5実施形態≫
次に、図15~図17を参照して本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、第4実施形態と重複する説明を省略し、第4実施形態と相違する点を説明する。
次に、図15~図17を参照して本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、第4実施形態と重複する説明を省略し、第4実施形態と相違する点を説明する。
図15は第5実施形態に係る貯水施設1の被覆構造10の平面図である。本実施形態では、外側連結ロープ30が弾性素材からなる伸縮ロープから形成されている。したがって、外側連結ロープ30は図12のように弛んだ状態になっていない。
図16は水位低下時の被覆構造10の動作説明図であり、図17は水位上昇時の被覆構造10の動作説明図である。図16(A)は図13(A)に対応し、図16(B)は図13(B)に対応している。また、図17(A)は図14(A)に対応し、図17(B)は図14(B)に対応している。
図16に示すように、本実施形態では、外側連結ロープ30が伸縮可能であるため、水位が低下したときに、アンカー21からシート13の外縁13bまでの距離が長くなることに伴って、外側連結ロープ30が伸長する。
図17に示すように、貯水施設1の水位が上昇すると、被覆構造10は(A)に示す状態から(B)に示す状態に変化する。このとき、外側連結ロープ30がシート13の外縁13bを引っ張っているため、シート13は弛んだ状態にならず、外側連結ロープ30を引っ張らなくても、シート13が水面を被覆する図16(A)の状態に戻る。よって、被覆構造10のメンテナンスが容易である。
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。例えば、外側連結ロープ30が伸縮ロープによって構成される代わりに、外側連結ロープ30を所定の張力で巻き取る巻き取り装置が法肩部7に設けられてもよい。上記実施形態では、一例として貯水施設1が平面視で矩形をしているが、貯水施設1の形状はこれに限定されない。また、貯水施設1の底面4や斜面5はコンクリートで覆われていてもよい。この他、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、素材など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更することができる。また、上記実施形態は、構成の一部又は全部を互いに組み合わせてもよい。一方、上記実施形態に示した各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
1 :貯水施設
2 :水
4 :底面
5 :斜面
6 :遮水シート
7 :法肩部
10 :被覆構造
11 :フロート集合体
12 :太陽光パネル
13 :シート
13a :内縁
13b :外縁
16 :主フロート
17 :連結フロート
18 :被覆専用フロート
19 :連結手段
20 :内側連結ロープ
21 :アンカー
30 :外側連結ロープ
2 :水
4 :底面
5 :斜面
6 :遮水シート
7 :法肩部
10 :被覆構造
11 :フロート集合体
12 :太陽光パネル
13 :シート
13a :内縁
13b :外縁
16 :主フロート
17 :連結フロート
18 :被覆専用フロート
19 :連結手段
20 :内側連結ロープ
21 :アンカー
30 :外側連結ロープ
Claims (10)
- 貯水施設の水面を被覆するための被覆構造であって、
前記水面に設けられ、複数の主フロートを備えたフロート集合体と、
前記水面を被覆するべく前記フロート集合体の外周に設けられたシートと、
前記主フロートに支持された複数の太陽光パネルとを備える貯水施設の被覆構造。 - 前記貯水施設は、略水平な底面と、前記底面の外縁から傾斜して延びる斜面とを有し、前記底面及び前記斜面が非透水性の遮水シートによって覆われた人口貯水池であり、
前記主フロートが、平面視で前記底面に対応する前記水面の領域に配置されている請求項1に記載の貯水施設の被覆構造。 - 前記フロート集合体が、前記主フロートの外周に設けられて前記太陽光パネルを支持しない複数の被覆専用フロートを更に備える請求項2に記載の貯水施設の被覆構造。
- 前記被覆専用フロートが、平面視で前記底面に対応する前記水面の領域に配置されている請求項3に記載の貯水施設の被覆構造。
- 前記被覆専用フロートが、前記主フロートよりも柔らかい素材から形成され、更に、平面視で前記斜面に対応する前記水面の領域に配置されている請求項4に記載の貯水施設の被覆構造。
- 前記シートは、前記フロート集合体の周囲に環状に配置され、前記フロート集合体に内側連結ロープを介して連結された内縁と、満水時に前記水面の外側に位置する前記貯水施設の部位に取り付けられた外縁とを有する請求項2~5のいずれか1項に記載の貯水施設の被覆構造。
- 前記シートの前記内縁が前記フロート集合体の下側に前記フロート集合体に重なるように配置されている請求項6に記載の貯水施設の被覆構造。
- 前記シートの前記内縁が前記フロート集合体の上側に前記フロート集合体に重なるように配置されている請求項6に記載の貯水施設の被覆構造。
- 前記シートは、前記フロート集合体の周囲に環状に配置され、前記フロート集合体に取り付けられた内縁と、満水時に前記水面の外側に位置する前記貯水施設の部位に外側連結ロープを介して連結された外縁とを有する請求項2~5のいずれか1項に記載の貯水施設の被覆構造。
- 前記外側連結ロープが弾性素材からなる伸縮ロープである請求項9に記載の貯水施設の被覆構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022032735A JP2023128406A (ja) | 2022-03-03 | 2022-03-03 | 貯水施設の被覆構造 |
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JP2022032735A Pending JP2023128406A (ja) | 2022-03-03 | 2022-03-03 | 貯水施設の被覆構造 |
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2022
- 2022-03-03 JP JP2022032735A patent/JP2023128406A/ja active Pending
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