JP2023127335A - 円錐ころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】高モーメント剛性および長寿命化を図ることが可能な円錐ころ軸受を提供する。【解決手段】円錐ころ軸受100は、外輪10と、円錐ころ30とを備える。外輪10において軌道面10caと第2端面との間にある内径面の部分には、径方向における内側に突出している鍔部10eが形成されている。第1中心軸10fを通る断面において、軌道面10caは第1中心軸10f側に凸のクラウニング形状を有する。円錐ころ30の第2中心軸を通る断面において、外周面30cは第2中心軸から離れる方向に凸のクラウニング形状を有する。第4端面30b側において規定される外周面30cの最大直径をDw、外輪10における軌道面10cのクラウニング凸量をd、外周面のクラウニング凸量をrとする。r、Dw、dの間に所定の関係が成立する。【選択図】図1

Description

本開示は、円錐ころ軸受に関する。
例えば、特開2020-098026号公報(特許文献1)には、円錐ころ軸受が記載されている。特許文献1に記載の円錐ころ軸受は、外輪と、複数の円錐ころとを有している。外輪内径面には、円錐ころに接触する軌道面と、鍔部とが形成されている。特許文献1では、円錐ころ軸受の中心軸と外輪の軌道面とのなす角度である接触角を40°~50°とし、さらに円錐ころのころ角度を3.5°以下にすることで、高モーメント剛性および長寿命化を図っている。
特開2020-098026号公報
上述した特許文献1では、外輪の軌道面または円錐ころの外周面(転動面)のクラウニング形状について言及していない。当該クラウニング形状は、軸受の高モーメント剛性および長寿命化に大きく影響する。この点で、上述した特許文献1に開示された技術には改善の余地がある。
本開示は、高モーメント剛性および長寿命化を図ることが可能な円錐ころ軸受を提供することを目的とする。
本開示に従った円錐ころ軸受は、外輪と、円錐ころとを備える。外輪は、第1端面、第2端面、内径面および外径面を有する。第1端面および第2端面は、外輪の中心軸である第1中心軸に沿った軸方向における端面である。内径面および外径面は、第1中心軸を中心とする円周に沿う周方向に沿って延在する。内径面は、第1中心軸に面する。外径面は、軸方向に直交し、第1中心軸を通る径方向における内径面の反対面である。内径面は軌道面を含む。軌道面は、周方向に沿って延在している。軌道面は、第1端面から第2端面に向かうにつれて外径面との距離が小さくなるように第1中心軸に対して傾斜している。軌道面と第2端面との間にある内径面の部分には、径方向における内側に突出している鍔部が形成されている。第1中心軸を通る断面において、軌道面は第1中心軸側に凸のクラウニング形状を有する。円錐ころは、第3端面と第4端面と外周面とを有する。第4端面は、円錐ころの中心軸である第2中心軸に沿う方向において、第3端面の反対面である。第4端面は鍔部に面する。外周面は、第3端面と第4端面とを繋ぐ。第4端面側において規定される外周面の最大直径は第3端面の直径より大きい。第2中心軸を通る断面において、外周面は第2中心軸から離れる方向に凸のクラウニング形状を有する。外周面の最大直径をDw、外輪における軌道面のクラウニング凸量をd、外周面のクラウニング凸量をrとする。外周面のクラウニング凸量rがゼロの場合、d/Dwの値は0.017%以上0.084%以下である。外周面のクラウニング凸量rの値がゼロを超え0.00017Dw以下の場合、d/Dwの値は0.008%以上0.084%以下である。外周面のクラウニング凸量rの値が0.00017Dwを超え0.00027Dw以下の場合、d/Dwの値は0以上0.084%以下である。外周面のクラウニング凸量rの値が0.00027Dwを超え0.00039Dw以下の場合、d/Dwの値は0以上0.062%以下である。外周面のクラウニング凸量rの値が0.00039Dwを超え0.00062Dw以下の場合、d/Dwの値は0以上0.039%以下である。外周面のクラウニング凸量rの値が0.00062Dwを超え0.00084Dw以下の場合、d/Dwの値は0以上0.027%以下である。
上記円錐ころ軸受において、軌道面のクラウニング形状および外周面のクラウニング形状の少なくともいずれか一方が曲線状であってもよい。
上記円錐ころ軸受において、軌道面のクラウニング形状および外周面のクラウニング形状の少なくともいずれか一方が、曲線状部分と直線状部分とを含んでもよい。
上記円錐ころ軸受において、軌道面のクラウニング形状および外周面のクラウニング形状の少なくともいずれか一方が、複数の直線状部分により構成されてもよい。
上記円錐ころ軸受において、接触角が40°以上50°以下であってもよく、ころ角度が3.5°以下であってもよい。
上記によれば、高モーメント剛性および長寿命化を図ることが可能な円錐ころ軸受が得られる。
本実施の形態に係る円錐ころ軸受の部分模式図である。 図1に示された円錐ころ軸受の外輪を示す部分断面模式図である。 図1に示された円錐ころ軸受の内輪を示す部分断面模式図である。 図1に示された円錐ころ軸受の円錐ころを示す模式図である。 図1に示された円錐ころ軸受の第1変形例を説明するための部分断面模式図である。 図1に示された円錐ころ軸受の第2変形例を説明するための部分断面模式図である。 図1に示された円錐ころ軸受の第3変形例を説明するための部分模式図である。 図1に示された円錐ころ軸受の第4変形例を説明するための部分模式図である。 円錐ころ軸受におけるモーメント剛性比とd/Dwとの関係を示すグラフである。 円錐ころ軸受における最大接触面圧比とd/Dwとの関係を示すグラフである。 円錐ころ軸受におけるエッジ面圧A/最大接触面圧Bとd/Dwとの関係を示すグラフである。
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
<円錐ころ軸受の構成>
図1は、本実施の形態に係る円錐ころ軸受100の部分模式図である。図2は、図1に示された円錐ころ軸受100の外輪10を示す部分断面模式図である。図3は、図1に示された円錐ころ軸受100の内輪20を示す部分断面模式図である。図4は、図1に示された円錐ころ軸受100の円錐ころ30を示す模式図である。
図1には、軸方向に平行であり、かつ第1中心軸10fを通る軸受100の断面の一部が示されている。図1に示されるように、円錐ころ軸受100は、外輪10と、内輪20と、複数の円錐ころ30と、保持器40とを主に有している。円錐ころ軸受100は、例えば、ロボットや建設機械の減速機に使用される。
外輪10の中心軸を、第1中心軸10fとする。第1中心軸10fに沿う方向を、軸方向とする。軸方向に直交し、かつ第1中心軸10fを通る方向を、径方向とする。第1中心軸10fを中心とする円周に沿う方向を、周方向とする。
外輪10は、第1端面10aと、第2端面10bと、内径面10cと、外径面10dとを有している。第1端面10a及び第2端面10bは、軸方向における外輪10の端面である。第2端面10bは、軸方向における第1端面10aの反対面である。
内径面10cは、周方向に沿って延在している。内径面10cは、第1中心軸10f側を向いている。内径面10cは、軌道面10caを有している。軌道面10caは、円錐ころ30に接触する内径面10cの部分である。軌道面10caは、周方向に沿って延在している。軸方向に平行であり、かつ第1中心軸10fを通る断面視において、軌道面10caは、径方向における軌道面10caと外径面10dとの間の距離が第1端面10a側から第2端面10b側に向かうにつれて小さくなるように傾斜している。
外径面10dは、周方向に沿って延在している。外径面10dは、第1中心軸10fとは反対側を向いている。このことを別の観点から言えば、外径面10dは、径方向における内径面10cの反対面である。外輪10は、外径面10dにおいて、図示しないハウジングに嵌め合わされる。
軌道面10caと第2端面10bとの間にある内径面10cの部分には、鍔部10eが形成されている。鍔部10eは、径方向における内側に向かって突出している。円錐ころ30に接触する鍔部10eの面を、鍔面とする。
内輪20は、第1端面20aと、第2端面20bと、内径面20cと、外径面20dとを有している。第1端面20a及び第2端面20bは、軸方向における内輪20の端面である。第2端面20bは、軸方向における第1端面20aの反対面である。内径面20cは、周方向に沿って延在している。内径面20cは、第1中心軸10f側を向いている。内輪20は、内径面20cにおいて、図示しない軸に嵌め合わされる。
外径面20dは、周方向に延在している。外径面20dは、第1中心軸10fとは反対側を向いている。このことを別の観点から言えば、外径面20dは、径方向における内径面20cの反対面である。内輪20は、外径面20dが外輪10の内径面10cと間隔を空けて対向するように、外輪10の径方向における内側に配置されている。
外径面20dは、軌道面20daを有している。軌道面20daは、円錐ころ30に接触する外径面20dの部分である。軌道面20daは、周方向に沿って延在している。軸方向に平行であり、かつ第1中心軸10fを通る断面視において、軌道面20daは、径方向における軌道面20daと内径面20cとの間の距離が第1端面20a側から第2端面20b側に向かうにつれて大きくなるように傾斜している。なお、内輪20には、鍔部は形成されていない。
複数の円錐ころ30は、軌道面10caと軌道面20daとの間において、周方向に沿って並んでいる。円錐ころ30の中心軸を、第2中心軸とする。円錐ころ30は、第3端面30a(小端面)と、第4端面30b(大端面)と、外周面30cとを有している。
第3端面30a及び第4端面30bは、第2中心軸に沿う方向における円錐ころ30の端面である。第4端面30bは、第2中心軸に沿う方向における第3端面30aの反対面であり、鍔部10eに面するとともに鍔面に接触している。大端面である第4端面30b側において規定される外周面30cの最大直径Dwは、第3端面30aの直径よりも大きい。外周面30cは、第3端面30a及び第4端面30bに連なっている。具体的には、外周面30cは面取り部30daを介して第3端面30aと接続されている。外周面30cは面取り部30dbを介して第4端面30bと接続されている。面取り部30da、30dbは、それぞれ第2中心軸30fに対して傾斜した円錐面である。面取り部30da、30dbは、第2中心軸30fを通る断面において直線状であるが、当該断面において曲線状であってもよい。外周面30cは、円錐面に沿うように延在している。外周面30cは、軌道面10ca及び軌道面20daに接触している。上記最大直径Dwは、第4端面30b側から見た、外周面30cと面取り部30bdとの接続部の幅である。
保持器40は、周方向において隣り合っている2つの円錐ころ30の間の間隔が一定範囲内となるように、複数の円錐ころ30を保持している。
<外輪10、内輪20及び円錐ころ30の詳細構成>
図1および図2に示されるように、第1中心軸10fを通る断面において、外輪10の軌道面10caは第1中心軸10f側に凸のクラウニング形状を有する。図2に示された外輪10における軌道面10caのクラウニング形状は曲線状である。軌道面10caのクラウニング凸量dは、クラウニングの最大凸部から最小凹部までの高さである。図2に示された外輪10の軌道面10caでは、最小凹部は当該軌道面10caの軸方向における両側の端部に位置する。当該両側の端部(最小凹部)をつなぐ直線L10から最も離れた軌道面10caの表面部分が最大凸部となる。図2に示された外輪10では、最大凸部は軌道面10caの軸方向における中央部に位置する。
図1および図3に示されるように、第1中心軸10fを通る断面において、内輪20の軌道面20daは円錐ころ30側に凸のクラウニング形状を有する。内輪20における軌道面20daのクラウニング凸量をdiとする。図3に示された内輪20における軌道面20daのクラウニング形状は曲線状である。軌道面20daのクラウニング凸量diは、クラウニングの最大凸部から最小凹部までの高さである。図3に示された内輪20の軌道面20daでは、最小凹部は当該軌道面20daの軸方向における両側の端部に位置する。当該両側の端部(最小凹部)をつなぐ直線L20から最も離れた軌道面20daの表面部分が最大凸部となる。図3に示された内輪20では、最大凸部は軌道面20daの軸方向における中央部に位置する。
図1および図4に示されるように、第2中心軸30fを通る断面において、円錐ころ30の外周面30cは第2中心軸30fから離れる方向に凸のクラウニング形状を有する。円錐ころ30における外周面30cのクラウニング凸量をrとする。図4に示された円錐ころ30における外周面30cのクラウニング形状は曲線状である。外周面30cのクラウニング凸量rは、クラウニングの最大凸部から最小凹部までの高さである。図4に示された円錐ころ30の外周面30cでは、最小凹部は当該外周面30cの第2中心軸30fに沿った方向における両側の端部(面取り部30da、30dbとの接続部)に位置する。当該両側の端部(最小凹部)をつなぐ直線L30から最も離れた外周面30cの表面部分が最大凸部となる。図4に示された円錐ころ30では、最大凸部は外周面30cの第2中心軸30fに沿った方向における中央部に位置する。
上述した円錐ころ軸受100において、円錐ころ30の外周面30cのクラウニング凸量rと、第4端面30b側において規定される外周面30cの最大直径Dwと、外輪10の軌道面10caのクラウニング凸量dとの間に以下の関係が成立する。すなわち、外周面のクラウニング凸量rがゼロの場合、d/Dwの値は0.017%以上0.084%以下である。外周面のクラウニング凸量rの値がゼロを超え0.00017Dw以下の場合、d/Dwの値は0.008%以上0.084%以下である。外周面のクラウニング凸量rの値が0.00017Dwを超え0.00027Dw以下の場合、d/Dwの値は0以上0.084%以下である。外周面のクラウニング凸量rの値が0.00027Dwを超え0.00039Dw以下の場合、d/Dwの値は0以上0.062%以下である。外周面のクラウニング凸量rの値が0.00039Dwを超え0.00062Dw以下の場合、d/Dwの値は0以上0.039%以下である。外周面のクラウニング凸量rの値が0.00062Dwを超え0.00084Dw以下の場合、d/Dwの値は0以上0.027%以下である。
上記円錐ころ軸受100において、図1に示される接触角αは40°以上50°以下である。ここで、接触角αとは、軌道面10caが第1中心軸10fと成す角度である。より具体的には、図1に示されるように、第1中心軸10fを通る断面において、外輪10の軌道面10caにおける両端を通る直線L10と第1中心軸10fとがなす角度を接触角αとする。
また、図4に示される円錐ころ30のころ角度βは3.5°以下である。ここで、ころ角度βとは、円錐ころ30の外周面30cの延長線がなす円錐の頂角である。具体的には、第2中心軸30fを通る断面において、円錐ころ30の外周面30cにおける両端(最小凹部)を通る直線L30がなす円錐の頂角をころ角度βとする。
また、上述した円錐ころ軸受100において、円錐ころ30における外周面30cのクラウニング凸量rと、第4端面30b側において規定される外周面30cの最大直径Dwと、内輪20における軌道面20daのクラウニング凸量diとの間に以下の関係が成立する。円錐ころ30の外周面30cのクラウニング凸量rがゼロの場合、di/Dwの値は0.017%以上0.084%以下である。外周面30cのクラウニング凸量rの値がゼロを超え0.00017Dw以下の場合、di/Dwの値が0.008%以上0.084%以下である。外周面30cのクラウニング凸量rの値が0.00017Dwを超え0.00027Dw以下の場合、di/Dwの値は0以上0.084%以下である。外周面30cのクラウニング凸量rの値が0.00027Dwを超え0.00062Dw以下の場合、di/Dwの値は0以上0.039%以下である。外周面30cのクラウニング凸量rの値が0.00062Dwを超え0.00084Dw以下の場合、di/Dwの値は0以上0.027%以下である。
<作用>
本発明者らは、円錐ころ軸受100の外輪10における軌道面10caと円錐ころ30の外周面30cとのクラウニング形状の関係を検討した。たとえば、円錐ころ30の外周面30cおよび外輪10の軌道面10caにおけるクラウニング凸量r、dが相対的に小さい場合、外輪10の軌道面10caにおいて円錐ころ30の外周面30cの端部が接触する領域に加えられる応力(以下、エッジ面圧とも呼ぶ)が大きくなる。外周面30cにおいて上記端部以外の領域が接触する軌道面10caでの最大の接触面圧(以下、最大接触面圧とも呼ぶ)より上記エッジ面圧が大きくなる場合、円錐ころ軸受100の寿命が短くなる恐れがある。
一方、円錐ころ30の外周面30cおよび外輪10の軌道面10caにおけるクラウニング凸量r、dが相対的に大きい場合、上述したエッジ面圧の増大は抑制されるものの、軌道面10caと外周面30cとが互いに凸形状となっているため、結果的に円錐ころ軸受100のモーメント剛性が低下する。さらに、軌道面10caと円錐ころ30の外周面30cとの接触距離が短くなるため、結果的に最大接触面圧が大きくなる。この場合も、円錐ころ軸受100の寿命は短くなる。
そこで、本発明者らは研究の結果、外輪10の軌道面10caにおけるクラウニング凸量dと円錐ころ30の外周面30cにおけるクラウニング凸量rおよび大端面である第4端面30b側において規定される外周面30cの最大直径Dwとの関係を上記のように規定することで、円錐ころ軸受100において高モーメント剛性と長寿命化とを両立できることを見出した。また、内輪20の軌道面20daにおけるクラウニング凸量diと円錐ころ30の外周面30cにおけるクラウニング凸量rおよび上記最大直径Dwとの関係についても、上記のように規定することで、円錐ころ軸受100において高モーメント剛性と長寿命化とを両立できることを見出した。
上記円錐ころ軸受100において、軌道面10caのクラウニング形状および外周面30cのクラウニング形状の少なくともいずれか一方は曲線状である。この場合、上述したエッジ面圧の増大を抑制する効果を容易に得ることができる。
上記円錐ころ軸受100において、接触角αは40°以上50°以下である。また、ころ角度βは3.5°以下である。このように上記円錐ころ軸受100では接触角αを急勾配に設定するとともにころ角度βを上記のように小さくすることによっても、高いモーメント剛性が得られる。
<変形例の構成および作用>
図5は、図1に示された円錐ころ軸受100の第1変形例を説明するための部分断面模式図である。図5では、円錐ころ軸受100における外輪10の軌道面10caまたは内輪20の軌道面20daが示されている。図5は、第1中心軸10f(図1参照)に沿った断面が示されている。図5に示された円錐ころ軸受100の第1変形例は、基本的には図1から図4に示された円錐ころ軸受100と同様の構成を備えるが、外輪10の軌道面10caまたは内輪20の軌道面20daの形状が図1から図4に示された円錐ころ軸受100と異なっている。以下、外輪10の軌道面10caについて説明する。図5に示された円錐ころ軸受の外輪10の軌道面10caのクラウニング形状は、複数の直線状部分10caa、10cab、10cacにより構成されている。具体的には、軌道面10caのクラウニング形状は、軸方向における軌道面10caの中央部を含む直線状部分10cacと、当該直線状部分10cacの軸方向での両端部に接続された直線状部分10caaおよび直線状部分10cabとを含む。直線状部分10caaおよび直線状部分10cabの延在方向は、直線状部分10cacの延在方向と交差する。すなわち、直線状部分10caa、10cab、10cacにより断面形状が台形状であるクラウニング形状が形成されている。軌道面10caのクラウニング形状が図5に示されるような形状であっても、図1から図4に示された円錐ころ軸受100と同様の効果を得ることができる。
また、内輪20の軌道面20daについても、断面形状が台形状であるクラウニング形状としてもよい。すなわち、軌道面20daのクラウニング形状は、軸方向における軌道面20daの中央部を含む直線状部分20dacと、当該直線状部分20dacの軸方向での両端部に接続された直線状部分20daaおよび直線状部分20dabとを含む。直線状部分20daaおよび直線状部分20dabの延在方向は、直線状部分20dacの延在方向と交差する。軌道面20daのクラウニング形状が図5に示されるような形状であっても、図1から図4に示された円錐ころ軸受100と同様の効果を得ることができる。
図6は、図1に示された円錐ころ軸受100の第2変形例を説明するための部分断面模式図である。図6は図5に対応する。図6に示された円錐ころ軸受100の第2変形例は、基本的には図5に示された円錐ころ軸受100と同様の構成を備えるが、外輪10の軌道面10caまたは内輪20の軌道面20daの形状が図5に示された円錐ころ軸受100と異なっている。以下、外輪10の軌道面10caについて説明する。図6に示された円錐ころ軸受の外輪10の軌道面10caのクラウニング形状は、曲線状部分10cad、10caeと直線状部分10cacとを含んでいる。具体的には、軌道面10caのクラウニング形状は、軸方向における軌道面10caの中央部を含む直線状部分10cacと、当該直線状部分10cacの軸方向での両端部に接続された曲線状部分10cadおよび曲線状部分10caeとを含む。曲線状部分10cadおよび曲線状部分10caeの断面形状は外側に凸の曲線状である。すなわち、直線状部分10cacと曲線状部分10cad、10caeとにより断面形状が曲線状であって一部(頂部)のみが直線状となっているクラウニング形状が形成されている。軌道面10caのクラウニング形状が図6に示されるような形状であっても、図1から図4に示された円錐ころ軸受100と同様の効果を得ることができる。
また、内輪20の軌道面20daについても、図6に示された断面形状のクラウニング形状としてもよい。すなわち、軌道面20daのクラウニング形状は、軸方向における軌道面20daの中央部を含む直線状部分20dacと、当該直線状部分20dacの軸方向での両端部に接続された曲線状部分20dadおよび曲線状部分20daeとを含む。曲線状部分20dadおよび曲線状部分20daeの断面形状は外側に凸の曲線状である。直線状部分20dacと曲線状部分20dad、20daeとにより断面形状が曲線状であって一部(頂部)のみが直線状となっているクラウニング形状が形成されている。軌道面20daのクラウニング形状が図6に示されるような形状であっても、図1から図4に示された円錐ころ軸受100と同様の効果を得ることができる。
図7は、図1に示された円錐ころ軸受100の第3変形例を説明するための部分模式図である。図7は、図4に示された円錐ころ30の部分模式図となっている。図7に示された円錐ころ軸受100の第3変形例は、基本的には図1から図4に示された円錐ころ軸受100と同様の構成を備えるが、円錐ころ30の外周面30cの形状が図1から図4に示された円錐ころ軸受100と異なっている。図7に示された円錐ころ軸受の円錐ころ30の外周面30cのクラウニング形状は、複数の直線状部分30ca、30cb、30ccにより構成されている。具体的には、外周面30cのクラウニング形状は、第2中心軸30f(図4参照)における外周面30cの中央部を含む直線状部分30ccと、当該直線状部分30ccの第2中心軸方向での両端部に接続された直線状部分30caおよび直線状部分30cbとを含む。直線状部分30caおよび直線状部分30cbの延在方向は、直線状部分30ccの延在方向と交差する。すなわち、直線状部分30ca、30cb、30ccにより断面形状が台形状であるクラウニング形状が形成されている。外周面30cのクラウニング形状が図7に示されるような形状であっても、図1から図4に示された円錐ころ軸受100と同様の効果を得ることができる。
図8は、図1に示された円錐ころ軸受100の第4変形例を説明するための部分模式図である。図8は図7に対応する。図8に示された円錐ころ軸受100の第4変形例は、基本的には図7に示された円錐ころ軸受100と同様の構成を備えるが、円錐ころ30の外周面30cの形状が図7に示された円錐ころ軸受100と異なっている。図8に示された円錐ころ軸受の円錐ころ30における外周面30cのクラウニング形状は、曲線状部分30cd、30ceと直線状部分30ccとを含んでいる。具体的には、外周面30cのクラウニング形状は、第2中心軸方向における外周面30cの中央部を含む直線状部分30ccと、当該直線状部分30ccの第2中心軸方向での両端部に接続された曲線状部分30cdおよび曲線状部分30ceとを含む。曲線状部分30cdおよび曲線状部分30ceの断面形状は外側に凸の曲線状である。すなわち、直線状部分30ccと曲線状部分30cd、30ceとにより断面形状が曲線状であって一部(頂部)のみが直線状となっているクラウニング形状が形成されている。外周面30cのクラウニング形状が図8に示されるような形状であっても、図1から図4に示された円錐ころ軸受100と同様の効果を得ることができる。
<実施例1>
(試料)
上述した外輪10の軌道面10caのクラウニング凸量dと円錐ころ30の第4端面30b側において規定される外周面30cの最大直径Dw及び外周面30cのクラウニング凸量rとの関係を確認するため、円錐ころ軸受の試料として、図1に示された円錐ころ軸受と同様の構成を有する試料1-1から8-8が準備された。各試料については、外輪10の軌道面10caにおけるクラウニング凸量dと円錐ころ30の外周面30cのクラウニング凸量rとが変化された。
なお、試料1-1から試料8-8では、円錐ころ軸受の上記外周面30cのクラウニング凸量rと上記最大直径Dwとの比(r/Dw)と、上記軌道面10caのクラウニング凸量dと最大直径Dwとの比(d/Dw)とが表1から表4に示されるように変化された。
Figure 2023127335000002
Figure 2023127335000003
Figure 2023127335000004
Figure 2023127335000005
(検討内容)
モーメント剛性比:
上記各試料について、モーメント剛性を算出し、試料1-1のモーメント剛性の値を基準としてモーメント剛性比を求めた。なお、ここでモーメント剛性とは、軸において単位角度を傾けるのに必要なモーメント荷重で示され、値が大きくなるほどモーメント剛性が高いことを意味する。
最大接触面圧比:
上記各試料について、最大接触面圧を算出し、試料1-1の最大接触面圧の値を基準として最大接触面圧比を求めた。ここでいう最大接触面圧とは、軸受に一定の荷重を負荷した時、外輪の軌道面と円錐ころの外周面が線接触する領域に加えられる、端部を除く最大の接触面圧を意味する。
各試料について、エッジ面圧を求め、上述した最大接触面圧との比率(エッジ面圧の値/最大接触面圧の値)を算出した。ここでいうエッジ面圧とは、軸受に一定の荷重を負荷した時、外輪の軌道面と円錐ころの外周面が線接触する端部の領域に加えられる、最大の面圧を意味する。なお、上述した各特性値は、従来周知の解析モデルを用いたシミュレーションソフトによって算出することができる。
(結果)
以下、検討結果を表5から表8に示す。
Figure 2023127335000006
Figure 2023127335000007
Figure 2023127335000008
Figure 2023127335000009
モーメント剛性比が小さくなると、円錐ころ軸受のモーメント剛性の低下により、当該円錐ころ軸受が組み込まれた減速機などの機械装置における性能が劣化する恐れがある。そのため、モーメント剛性比に関する評価である評価1の欄には、当該機械装置における性能の劣化が問題とならない(良好である)場合をA、問題となる(不可である)場合をBと記載した。
最大接触面圧比が大きくなると、軌道面での最大接触面圧が高くなることで円錐ころ軸受が短寿命化する恐れがある。そのため、最大接触面圧比に関する評価である評価2の欄には、短寿命化が問題とならない(良好である)場合をA、問題となる(不可である)場合をBと記載した。
エッジ面圧と最大接触面圧との関係に関して、エッジ面圧が最大接触面圧を大きく超える(例えばエッジ面圧/最大接触面圧の値が1を大きく超える)と軸受の短寿命化が問題となる。そのため、エッジ面圧/最大接触面圧に関する評価である評価3の欄には、当該エッジ面圧/最大接触面圧の値が1.32未満である(良好である)場合をA、当該値が1.32以上となる(不可である)場合をBと記載した。なお、当該エッジ面圧/最大接触面圧の値が1未満であることがより好ましい。
上述した検討結果をまとめたグラフを図9から図11に示す。図9は、円錐ころ軸受におけるモーメント剛性比とd/Dwとの関係を示すグラフである。図10は、円錐ころ軸受における最大接触面圧比とd/Dwとの関係を示すグラフである。図11は、円錐ころ軸受におけるエッジ面圧A/最大接触面圧Bとd/Dwとの関係を示すグラフである。
図9から図11において、横軸はd/Dwの値を示す。図9において縦軸はモーメント剛性比を示す。図10において縦軸は最大接触面圧比を示す。図11において縦軸はエッジ面圧(A)/最大接触面圧(B)を示す。図9から図11では、円錐ころのクラウニング凸量rが同じ試料グループごとにデータがグラフ化されている。
試料1-1から試料1-8のグループ(円錐ころのクラウニング凸量rがゼロの試料)について、全ての評価が良好な試料は試料1-3から試料1-7である。試料2-1から試料2-8のグループ(円錐ころのクラウニング凸量rが0.00008Dwの試料)について、全ての評価が良好な試料は試料2-2から試料2-7である。試料3-1から試料3-8のグループ(円錐ころのクラウニング凸量rが0.00017Dwの試料)について、全ての評価が良好な試料は試料3-2から試料3-7である。試料4-1から試料4-8のグループ(円錐ころのクラウニング凸量rが0.00027Dwの試料)について、全ての評価が良好な試料は試料4-1から試料4-7である。試料5-1から試料5-8のグループ(円錐ころのクラウニング凸量rが0.00039Dwの試料)について、全ての評価が良好な試料は試料5-1から試料5-6である。試料6-1から試料6-8のグループ(円錐ころのクラウニング凸量rが0.00062Dwの試料)について、全ての評価が良好な試料は試料6-1から試料6-5である。試料7-1から試料7-8のグループ(円錐ころのクラウニング凸量rが0.00084Dwの試料)について、全ての評価が良好な試料は試料7-1から試料7-4である。試料8-1から試料8-8のグループ(円錐ころのクラウニング凸量rが0.00137Dwの試料)について、全ての評価が良好な試料は無かった。
上記の結果から、図9から図11に示されたグラフの許容内と表示された範囲において、高モーメント剛性および長寿命化を図ることが可能な円錐ころ軸受を実現できることが示される。なお、上記の検討は外輪の軌道面と円錐ころとの関係について検討しているが、内輪と円錐ころとの関係についても同様の傾向である。また、上述した結果は円錐ころ軸受の接触角αが40°以上50°以下の範囲およびころ角度βが3.5°以下である場合に同様の傾向を示す。
<実施例2>
(試料)
クラウニングの形状の影響を確認するため、上記試料2-2と同様の構成の円錐ころ軸受(円錐ころのクラウニング凸量rが0.00008Dw、d/Dwの値が0.008%)を試料9として準備した。また、円錐ころの外周面のクラウニング形状および外輪の軌道面のクラウニング形状をそれぞれ図6および図8に示された形状とし、他の構成は試料9と同様とした円錐ころ軸受を試料10として準備した。また、円錐ころの外周面のクラウニング形状および外輪の軌道面のクラウニング形状をそれぞれ図5および図7に示された形状とし、他の構成は試料9と同様とした円錐ころ軸受を試料11として準備した。
(検討内容)
上記試料9から試料11について、実施例1と同様にモーメント剛性、最大接触面圧おおびエッジ面圧/最大接触面圧の値を求めた。
(結果)
求めた値を、試料9の値を基準として規格化した。結果を表9に示す。
Figure 2023127335000010
表9に示されるように、クラウニング形状において試料10及び試料11のように頂面の断面形状が直線状となった場合、モーメント剛性は試料9(クラウニングの断面形状全て曲線状の場合)より高くなる。一方、最大接触面圧およびエッジ面圧/最大接触面圧の値は試料9より試料10及び試料11の方が小さくなっている。つまり、試料10および試料11の方が、試料9より高モーメント剛性かつ長寿命となっている傾向が示された。この傾向は、クラウニング凸量の値に関わらず示された。また、軌道面のクラウニング形状および円錐ころの外周面のクラウニング形状のいずれか一方のみが試料10または試料11のようなクラウニング形状とされた場合も、同様の傾向が示された。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
10 外輪、10a,20a 第1端面、10b,20b 第2端面、10c,20c 内径面、10ca,20da 軌道面、10caa,10cab,20daa,20dab,30ca,30cb,30cc 直線状部分、10cad,10cae,20dad,20dae,30ce 曲線状部分、10d,20d 外径面、10e 鍔部、10f 第1中心軸、20 内輪、30a 第3端面、30b 第4端面、30c 外周面、30da,30db 面取り部、30f 第2中心軸、40 保持器、100 軸受。

Claims (5)

  1. 外輪と、
    円錐ころとを備え、
    前記外輪は、前記外輪の中心軸である第1中心軸に沿った軸方向における端面である第1端面および第2端面と、前記第1中心軸を中心とする円周に沿う周方向に沿って延在する内径面および外径面とを有し、
    前記内径面は、前記第1中心軸に面しており、
    前記外径面は、前記軸方向に直交し、前記第1中心軸を通る径方向における前記内径面の反対面であり、
    前記内径面は、前記周方向に沿って延在しており、かつ前記第1端面から前記第2端面に向かうにつれて前記外径面との距離が小さくなるように前記第1中心軸に対して傾斜している軌道面を含み、
    前記軌道面と前記第2端面との間にある前記内径面の部分には、前記径方向における内側に突出している鍔部が形成されており、
    前記第1中心軸を通る断面において、前記軌道面は前記第1中心軸側に凸のクラウニング形状を有し、
    前記円錐ころは、前記円錐ころの中心軸である第2中心軸に沿う方向において、第3端面と、前記第3端面の反対面であり、前記鍔部に面する第4端面とを有し、さらに、前記円錐ころは、前記第3端面と前記第4端面とを繋ぐ外周面を有し、
    前記第4端面側において規定される前記外周面の最大直径は前記第3端面の直径より大きく、
    前記第2中心軸を通る断面において、前記外周面は前記第2中心軸から離れる方向に凸のクラウニング形状を有し、
    前記外周面の前記最大直径をDw、前記外輪における前記軌道面のクラウニング凸量をd、前記外周面のクラウニング凸量をrとしたときに、
    前記外周面の前記クラウニング凸量rがゼロの場合、d/Dwの値が0.017%以上0.084%以下であり、
    前記外周面の前記クラウニング凸量rの値がゼロを超え0.00017Dw以下の場合、d/Dwの値が0.008%以上0.084%以下であり、
    前記外周面の前記クラウニング凸量rの値が0.00017Dwを超え0.00027Dw以下の場合、d/Dwの値が0以上0.084%以下であり、
    前記外周面の前記クラウニング凸量rの値が0.00027Dwを超え0.00039Dw以下の場合、d/Dwの値が0以上0.062%以下であり、
    前記外周面の前記クラウニング凸量rの値が0.00039Dwを超え0.00062Dw以下の場合、d/Dwの値が0以上0.039%以下であり、
    前記外周面の前記クラウニング凸量rの値が0.00062Dwを超え0.00084Dw以下の場合、d/Dwの値が0以上0.027%以下である、円錐ころ軸受。
  2. 前記軌道面の前記クラウニング形状および前記外周面の前記クラウニング形状の少なくともいずれか一方が曲線状である、請求項1に記載の円錐ころ軸受。
  3. 前記軌道面の前記クラウニング形状および前記外周面の前記クラウニング形状の少なくともいずれか一方が、曲線状部分と直線状部分とを含む、請求項1に記載の円錐ころ軸受。
  4. 前記軌道面の前記クラウニング形状および前記外周面の前記クラウニング形状の少なくともいずれか一方が、複数の直線状部分により構成される、請求項1に記載の円錐ころ軸受。
  5. 接触角が40°以上50°以下であり、
    ころ角度が3.5°以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の円錐ころ軸受。
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