JP2023126208A - 水中油型乳化組成物 - Google Patents

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Katsunori Shirai
俊也 名桐
Toshiya Nagiri
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Ryoichi Takenaka
史織 丸山
Shiori Maruyama
敏光 寺尾
Toshimitsu Terao
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Abstract

【課題】本発明の目的は、塩化亜鉛を有効成分とした水中油型の乳化組成物の、分離抑制性/及び又は薬剤放出性に優れた製剤処方を提供することである。【解決手段】(A)30重量%以上の塩化亜鉛と、(B)炭化水素油及び高級アルコールからなる群より選択される油性基剤と、(C)ノニオン性界面活性剤と、(D)水及び多価アルコールからなる群より選択される水性基剤とを含む水中油型乳化組成物であって、前記(B)成分と前記(C)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量が52重量部以上であり、且つ、前記(B)成分と前記(D)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量が11.7重量部以上であるものは、分離抑制性に優れており、前記(D)成分が、水及びポリエチレングリコールであるものは、薬剤放出性に優れている。【選択図】なし

Description

本発明は、分離抑制性及び/又は薬剤放出性に優れた水中油型乳化組成物に関する。
外用剤には、皮膚悪性腫瘍及び乳癌の皮膚病変などの治療に用いられるものがあり、その有効性及び必要性は広く認められている。例えば、モーズ軟膏として、塩化亜鉛を有効成分とし、通常の止血剤では制御できないがん性皮膚潰瘍部位における出血又は滲出液を止める効能を有する外用剤が知られている。
この製剤は、モーズ(Frederic Edward Mohs)により研究された当初の処方から、原料入手性、患部への塗布性、及び経時による粘度上昇防止の観点で改良が重ねられている。改良処方としては、いわゆるデンプン処方(非特許文献1)、ソルビトール処方(非特許文献2)、及びマクロゴール処方(非特許文献3)等が知られている。デンプン処方は、塩化亜鉛、酸化亜鉛、グリセリン、水及びデンプンといった入手容易な原料で構成されており、院内製剤として実際に使用されている。ソルビトール処方は、デンプン処方にさらにソルビトールが加えられることで、塗布性が改良されている。マクロゴール処方は、ソルビトール処方のデンプン及びソルビトールをマクロゴール及び結晶セルロースに置き換えたものであり、経時による粘度上昇が比較的抑えられている。
医療ジャーナル, Vol. 41, No. 9, 2005, p.2289-2294 薬剤学, 75 (4), 264-270 (2015) The Pharmaceutical Society of Japan, 137(4) 477-484 (2017)
このような塩化亜鉛を有効成分とした外用剤は酸性度が強いため、塗布した外用剤が患部以外の場所に垂れ落ちると、正常皮膚を傷害するリスクが極めて高い。上記の改良処方では、塗布性又は粘度上昇抑制性等の点で改良されているものの、がん性皮膚潰瘍部位のような湿潤部分に対する接着性の点については改善の余地がある。
生体組織に対する接着性を向上させるためには、油性基剤をさらに配合することが有効と考えられる。油性基剤をさらに配合するためには乳化組成物の形態にしなければならないが、塩化亜鉛を有効成分としたこれまでの外用剤では、乳化組成物として製剤される場合の製剤特性について十分に検討されてこなかった。そこで、本発明者が、塩化亜鉛を有効成分とした外用剤を水中油型の乳化組成物の形態で製剤したところ、有効成分の酸性度が強いという当該外用剤独特の特徴により、極めて分離しやすいという課題に直面した。
一方で、塩化亜鉛を有効成分とした外用剤の効能を向上させるための製剤設計についても十分に検討されておらず、改善の余地がある。
以上の点に鑑み、本発明の目的は、塩化亜鉛を有効成分とした水中油型の乳化組成物の、分離抑制性及び/又は薬剤放出性に優れた製剤処方を提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、塩化亜鉛を有効成分とした水中油型の乳化組成物において、油性基剤の比率を所定の範囲内に調整することで、優れた分離抑制性が奏されることを見出した。また、ポリエチレングリコールを配合した場合には、優れた薬剤放出性が奏されることを見出した。さらに、油性基剤の比率の調整又はポリエチレングリコールの配合に加えて、ノニオン性界面活性剤のHLB値及び/又は含有量を所定の範囲内に調整した場合には優れた変色抑制性も奏されること、ケイ酸化合物を更に配合した場合には接着性がさらに向上すること、並びに、ケイ酸化合物の配合量を所定量に調整することで薬剤放出性が一層向上することも見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)30重量%以上の塩化亜鉛と、(B)炭化水素油及び高級アルコールからなる群より選択される油性基剤と、(C)ノニオン性界面活性剤と、(D)水及び多価アルコールからなる群より選択される水性基剤とを含み、
前記(B)成分と前記(C)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量が52重量部以上であり、且つ、
前記(B)成分と前記(D)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量が11.7重量部以上である、水中油型乳化組成物。
項2. (A)30重量%以上の塩化亜鉛と、(B)炭化水素油及び高級アルコールからなる群より選択される油性基剤と、(C)ノニオン性界面活性剤と、(D)水及び多価アルコールからなる群より選択される水性基剤とを含み、
前記(D)成分が、水及びポリエチレングリコールである、水中油型乳化組成物。
項3. 前記(B)成分と前記(C)成分と前記(D)成分との合計量100重量部に対する前記(D)成分の含有量が42重量部以上である、項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
項4. 前記(C)成分の含有量が、12.7重量%以下である、項1~3のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
項5. 前記(C)成分の含有量が1~7.5重量%である、項1~4のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
項6. 前記(C)成分が1種又は複数種のノニオン性界面活性剤であり、
各ノニオン性界面活性剤のHLBを含有量で加重平均して表される前記(C)成分のHLB値が8~17である、項1~5のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
項7. 前記(D)成分が多価アルコールを含み、且つ前記多価アルコールが固体のポリアルキレングリコールを含む、項1~6のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
項8. 前記(B)成分が、炭化水素油及び高級アルコールの両方を含む、項1~9のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
項9. 前記高級アルコールが直鎖状アルコールである、項1~8のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
項10. さらにケイ酸化合物を含む、項1~11のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
項11. 前記ケイ酸化合物の含有量が0.7重量%以下である、項10に記載の水中油型乳化組成物。
項12. 前記(C)成分が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアラキルエーテルからなる群より選択される、項1~11のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
項13. 前記(C)成分が2種以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテルであり、それぞれのポリオキシアルキレンアルキルエーテルの疎水性アルキル基が互いに同じである、項12に記載の水中油型乳化組成物。
項14. 前記(B)成分と前記(C)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量が52重量部以上であり、且つ、
前記(B)成分と前記(D)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量が11.7重量部以上である、項2~13のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
項15. がん性皮膚潰瘍部位における出血又は滲出液の抑制剤、若しくは、がん性皮膚潰瘍の縮小剤として用いられる、項1~14のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
項16. 項1~14のいずれかに記載の水中油型乳化組成物の、がん性皮膚潰瘍部位における出血又は滲出液の抑制、若しくは、がん性皮膚潰瘍の縮小のための使用。
項17. がん性皮膚潰瘍患者に、項1~14のいずれかに記載の水中油型乳化組成物を塗布する工程を含む、がん性皮膚潰瘍部位における出血又は滲出液の抑制方法、若しくは、がん性皮膚潰瘍の縮小方法。
本発明によれば、塩化亜鉛を有効成分とした水中油型の乳化組成物の、分離抑制性及び/又は薬剤放出性に優れた製剤処方が提供される。
本発明の第1の水中油型乳化組成物は、(A)30~60重量%の塩化亜鉛(以下において、「(A)成分」とも記載する。)と、(B)炭化水素及び高級アルコールからなる群より選択される油性基剤(以下において、「(B)成分」とも記載する。)と、(C)ノニオン性界面活性剤(以下において、「(C)成分」とも記載する。)と、(D)水及び多価アルコールからなる群より選択される水性基剤(以下において、「(D)成分」とも記載する。)とを含み;前記(B)成分と前記(C)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量(以下において、「比率1」とも記載する。)が52重量部以上であり;且つ、前記(B)成分と前記(D)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量(以下において、「比率2」とも記載する。)が11.7重量部以上であることを特徴とする。
本発明の第2の水中油型乳化組成物は、(A)30~60重量%の塩化亜鉛(以下において、「(A)成分」とも記載する。)と、(B)炭化水素及び高級アルコールからなる群より選択される油性基剤(以下において、「(B)成分」とも記載する。)と、(C)ノニオン性界面活性剤(以下において、「(C)成分」とも記載する。)と、(D)水及び多価アルコールからなる群より選択される水性基剤(以下において、「(D)成分」とも記載する。)とを含み、前記(D)成分が、水及びポリエチレングリコールであることを特徴とする。
第1の水中油型乳化組成物と第2の水中油型乳化組成物とをまとめて、「水中油型乳化組成物」と記載する。以下、本発明の水中油型乳化組成物について詳述する。
(A)塩化亜鉛
本発明の水中油型乳化組成物は、(A)成分として、特定濃度の塩化亜鉛を含有する。塩化亜鉛は、モーズ軟膏の成分として公知の成分である。
塩化亜鉛は、蛋白質変性作用に基づく組織の収斂及び腐食作用、並びに殺菌作用を有する。したがって、塩化亜鉛は、腫瘍の固定、それに伴う止血及び浸出液の抑制、並びに二次感染による悪臭の軽減等を奏する。本発明で用いられる塩化亜鉛としては、外用組成物として使用可能なものであれば特に制限なく使用できる。例えば、第十七改正日本薬局方に記載されている塩化亜鉛が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物中の塩化亜鉛の含有量は、30重量%以上である。好ましい塩化亜鉛の含有量の下限としては、40重量%以上、より好ましくは43重量%以上が挙げられる。塩化亜鉛の含有量の上限としては特に限定されないが、分離抑制性をより好ましく得る等の観点からは、例えば60重量%以下、好ましくは55重量%以下、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましく46重量%以下が挙げられる。
(B)油性基剤
本発明の水中油型乳化組成物は、(B)成分として、炭化水素油及び高級アルコールからなる群より選択される特定の油性基剤を所定の比率で含有する。
本発明で使用される炭化水素油としては、薬学的に許容されるものであれば、固体状炭化水素油、半固体状(ペースト状)炭化水素油、及び液状炭化水素油のいずれであってもよい。固体状炭化水素油としては、パラフィンワックス(固体パラフィン)、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。半固体状(ペースト状)炭化水素油としては、ワセリン及びゲル化炭化水素等が挙げられる。液状炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン等が挙げられる。
これらの多価水素油は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
これらの炭化水素の中でも、好ましくは固形炭化水素油が挙げられ、より好ましくはパラフィンワックス(固体パラフィン)が挙げられる。
高級アルコールとしては、薬学的に許容される炭素数6以上の1価アルコールであればよく、例えば、炭素数8~24の1価アルコール、好ましくは炭素数10~22の1価アルコール、より好ましくは炭素数14~20の1価アルコール、更に好ましくは炭素数16~18の1価アルコールが挙げられる。
本発明で使用される高級アルコールの炭素鎖は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。また、本発明で使用される高級アルコールの炭素鎖は、飽和型又は不飽和型のいずれであってもよいが、好ましくは飽和型が挙げられる。
本発明で使用される高級アルコールとして、具体的には、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リノグリセリルアルコール等の直鎖状高級アルコール;イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の分枝鎖状高級アルコールが挙げられる。これらの高級アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で使用される高級アルコールとしては、分離抑制性をより一層向上させる観点から、好ましくは直鎖状高級アルコール(つまり、高級アルコールとして分岐状アルコールを含まないこと)が挙げられ、より好ましくは炭素数10~22の直鎖状1価アルコール、さらに好ましくは炭素数14~20の直鎖状1価アルコール、一層好ましくは炭素数16~18の直鎖状1価アルコール、特に好ましくはセタノール及びステアリルアルコールが挙げられる。
本発明においては、(B)成分として、炭化水素油及び高級アルコールのうち、いずれかを用いてもよいし、両方を用いてもよいが、分離抑制性及び/又は変色抑制性を向上させる観点から、炭化水素油及び高級アルコールの両方を用いることが好ましい。
本発明の第1の水中油型乳化組成物において、(B)成分と(C)成分との合計量100重量部に対する(B)の含有量(比率1)は、52重量部以上である。本発明の第2の水中油型乳化組成物において、(B)成分と(C)成分との合計量100重量部に対する(B)の含有量(比率1)は、好ましくは52重量部以上である。分離抑制性をより一層向上させる観点から、比率1としては、好ましくは60重量部以上、より好ましくは65重量部以上、さらに好ましくは70重量部以上が挙げられる。比率1の上限としては特に限定されないが、例えば100重量部未満、好ましくは95重量部以下、より好ましくは90重量部以下、さらに好ましくは80重量部以下が挙げられる。
本発明の第1の水中油型乳化組成物において、(B)成分と(D)成分との合計量100重量部に対する(B)の含有量(比率2)は、11.7重量部以上である。本発明の第2の水中油型乳化組成物において、(B)成分と(D)成分との合計量100重量部に対する(B)の含有量(比率2)は、好ましくは11.7重量部以上である。分離抑制性をより一層向上させる観点から、比率2として、好ましくは15.5重量部以上、より好ましくは25重量部以上、さらに好ましくは30重量部以上が挙げられる。比率2の上限としては特に限定されないが、例えば63重量部以下、好ましくは50重量部以下、より好ましくは45重量部以下、さらに好ましくは40重量部以下、さらに好ましくは35重量部以下が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物における(B)成分の具体的な含有量(総量)としては、例えば6~46.5重量%、好ましくは11.5~46.5重量%、さらに好ましくは13~35重量%、好ましくは15~32重量%が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物において、(A)成分1重量部に対する(B)成分の含有量としては、好ましくは0.34~0.73重量部が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物における(B)成分が炭化水素油を含む場合の炭化水素油の具体的な含有量としては、例えば0.8~16重量%、好ましくは9~14重量%が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物における(B)成分が高級アルコールを含む場合の高級アルコールの具体的な含有量としては、例えば3~16重量%、好ましくは4~8重量%が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物における(B)成分が炭化水素油及び高級アルコールを含む場合の、炭化水素油1重量部当たりの高級アルコールの含有量としては、例えば0.2~8.2重量部、好ましくは0.35~1重量部が挙げられる。
(C)ノニオン性界面活性剤
本発明の水中油型乳化組成物は、(C)成分としてノニオン性界面活性剤を含有する。
本発明で使用されるノニオン性界面活性剤としては、本発明で使用される非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアラキルエーテル、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの重合体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
これらのノニオン性界面活性剤の中でも、分離抑制性をより一層向上させる観点、及び/又は変色抑制性を向上させる観点から、好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアラキルエーテルが挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、ポリアルキレングリコールと高級アルコールとのエーテルである。高級アルコールとしては、炭素数8~24の1価アルコールが挙げられ、具体的には、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リノグリセリルアルコール等の直鎖状高級アルコールが挙げられ、好ましくはステアリルアルコール及びベヘニルアルコールが挙げられる。また、ポリアルキレングリコールのアルキレン基としては炭素数2~3が挙げられ、ポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの組み合わせが挙げられ、好ましくはポリエチレングリコールが挙げられる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおけるアルキレンオキサイド付加数としては、例えば2~35、好ましくは2~20が挙げられる。これらのポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
ポリオキシアルキレンアラキルエーテルは、ポリアルキレングリコールとアラキルアルコールとのエーテルである。アラキルアルコールとしては、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等が挙げられる。また、ポリアルキレングリコールのアルキレン基としては炭素数2~3が挙げられ、ポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの組み合わせが挙げられ、好ましくはポリエチレングリコールが挙げられる。ポリオキシアルキレンアラキルエーテルにおけるアルキレンオキサイド付加数としては、例えば2~35、好ましくは2~20が挙げられる。これらのポリオキシアルキレンアラキルエーテルは、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアラキルエーテルのうちいずれか一方を用いてもよいし、両方を組み合わせて用いてもよいが、分離抑制性をより一層向上させる観点から、好ましくは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが用いられる。
また、本発明において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを複数種(つまり、2種以上)用いる場合、それぞれのポリオキシアルキレンアルキルエーテルの疎水性アルキル基(つまり、上記の高級アルコールに由来するアルキル基)は、同じであっても異なっていてもよいが、分離抑制性をより一層向上させる観点から、好ましくは互いに同じである。
(C)成分として用いられるノニオン性界面活性剤それぞれのHLB値としては特に限定されず、例えば7~19が挙げられる。また、(C)成分として用いられる1種又は複数種のノニオン性界面活性剤それぞれのHLBを含有量で加重平均して表されるHLB値(以下において、「(C)成分のHLB値」とも記載する。)としても特に限定されないが、例えば8~17が挙げられる。また、変色抑制性を向上させる観点から、(C)成分のHLB値としては、好ましくは11.5~15、11.5~13、又は11.5~12が挙げられる。なお、(C)成分のHLB値の算出方法については、例えば、(C)成分として、HLBが8のノニオン性界面活性剤3重量%とHLBが17のノニオン性界面活性剤2重量%とを組み合わせて用いる場合、含有量に基づく重み付けで各HLBを加重平均することで、{8×3/(3+2)}+{17×2/(3+2)}=11.6と算出される。
本発明の水中油型乳化組成物における(C)成分の量は、(B)成分の量との関係が上記の通り(つまり、(B)成分と(C)成分との合計量100重量部に対する(B)の含有量で、52重量部以上)であることを限度として特に限定されない。本発明の水中油型乳化組成物における(C)成分の具体的な含有量としては、例えば、12.7重量%以下が挙げられる。変色抑制性を向上させる観点から、(C)成分の具体的な含有量としては、好ましくは1~7.5重量%、より好ましくは1.5~7.5重量%、3~7重量%、又は4~6重量%が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物において、(A)成分1重量部に対する(C)成分の含有量としては、好ましくは0.09~0.14重量部が挙げられる。
(D)水性基剤
本発明の水中油型乳化組成物は、(D)成分として、水及び多価アルコールからなる群より選択される水性基剤を含有する。本発明の第1の水中油型乳化組成物は、通常、(D)成分として水を含み、好ましくは水と多価アルコールとの両方を含む。また、本発明の第2の水中油型乳化組成物において、(D)成分は、水及びポリエチレングリコールである。
本発明の第1の水中油型乳化組成物で使用される多価アルコ―ルとしては、薬学的に許容されるものであれば特に限定されない。本発明で用いられる多価アルコールの具体例としては、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコール等が挙げられる。
本発明の第1の水中油型乳化組成物及び第2の水中油型乳化組成物において、ポリエチレングリコールの分子量は特に限定されず、例えば、JIS K 1557に準拠して測定される水酸基価に基づいて算出される数平均分子量で、例えば3600~22000が挙げられる。つまり、ポリエチレングリコールとしては、25℃で液状のポリエチレングリコール、25℃で半固体状(ペースト状)のポリエチレングリコール、25℃で固体状のポリエチレングリコールのいずれであってもよい。これらの多価アルコールは、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。具体的なポリエチレングリコールの例としては、第十七改正日本薬局方に記載されているマクロゴール400(数平均分子量400)、マクロゴール1500(数平均分子量550)、マクロゴール4000(数平均分子量3100)、マクロゴール6000(数平均分子量8600)、マクロゴール20000(数平均分子量20000)が挙げられる。
本発明の第1の水中油型乳化組成物において、これらの多価アルコールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の第1の水中油型乳化組成物において、これらの多価アルコールの中でも、好ましくは2価アルコールが挙げられる。また、変色抑制性を向上させる観点から、(D)成分は、好ましくは半固体状又は固体状ポリエチレングリコール、より好ましくは固体状ポリエチレングリコールを含み、より好ましくは数平均分子量2500~10000のポリエチレングリコールを含み、さらに好ましくは数平均分子量2800~4500のポリエチレングリコールを含む。本発明の第2の水中油型乳化組成物において、薬剤放出性を一層向上させる観点から、ポリエチレングリコールは好ましくは固体状ポリエチレングリコールを含み、より好ましくは数平均分子量2500~10000のポリエチレングリコールを含み、さらに好ましくは数平均分子量2800~4500のポリエチレングリコールを含む。
本発明の第1の水中油型乳化組成物における(D)成分の量は、(B)成分の量との関係が上記の通り(つまり、(B)成分と(D)成分との合計量100重量部に対する(B)の含有量で、11.7重量部以上)であることを限度として特に限定されない。本発明の第2の水中油型乳化組成物における(D)成分の量は、(B)成分の量との関係が上記の通り(つまり、(B)成分と(D)成分との合計量100重量部に対する(B)の含有量で、11.7重量部以上)となる量に設定されることが好ましい。本発明の水中油型乳化組成物における(D)成分の具体的な含有量(総量)としては、例えば、16~50重量%、好ましくは25~40重量%、さらに好ましくは30~36重量%が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物において、(A)成分1重量部に対する(D)成分の含有量としては、好ましくは0.56~0.91重量部が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物における(D)成分の量は、水中油型乳化組成物の塗布性を向上させる観点から、(B)成分と(C)成分と(D)成分との合計量100重量部に対する(D)成分の含有量(以下において、「比率3」とも記載する。)で、好ましくは42重量部以上、48重量部以上、又は52重量部以上が挙げられる。比率3の上限としては特に限定されないが、例えば76重量部以下、70重量部以下、又は60重量部以下が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物における水の含有量としては、例えば10~50重量%、好ましくは14~42重量%、より好ましくは20~34重量%、さらに好ましくは25~30重量%が挙げられる。
本発明の第1の水中油型乳化組成物が多価アルコールを含む場合の多価アルコールの含有量としては、例えば0.5~22重量%、好ましくは1~20重量%、より好ましくは2.5~10重量%、さらに好ましくは3~7重量%が挙げられる。本発明の第2の水中油型乳化組成物に含まれるポリエチレングリコールの含有量としては、例えば0.5~22重量%、好ましくは1~20重量%、より好ましくは2.5~10重量%、さらに好ましくは3~7重量%が挙げられる。
本発明の第1の水中油型乳化組成物における(D)成分が水及び多価アルコールを含む場合の、水1重量部当たりの多価アルコールの含有量としては、例えば0.02~0.85重量部、好ましくは0.05~0.5重量部、より好ましくは0.1~0.3重量部が挙げられる。本発明の第2の水中油型乳化組成物における水1重量部当たりのポリエチレングリコールの含有量としては、例えば0.02~0.85重量部、好ましくは0.05~0.5重量部、より好ましくは0.1~0.3重量部が挙げられる。
ケイ酸化合物
本発明の水中油型乳化組成物は、さらに、ケイ酸化合物を含むことができる。ケイ酸化合物は、水中油乳化組成物の接着性向上及び/又は薬剤放出性の向上を目的として配合することができる。
ケイ酸化合物としては、二酸化ケイ素(SiO2)を構成要素に含む化合物であり、その具体例としては、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。これらのケイ酸化合物は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。これらのケイ酸化合物の中でも、好ましくは二酸化ケイ素が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物がケイ酸化合物を含む場合のケイ酸化合物の含有量としては、例えば0.1~3重量%、好ましくは0.3~2重量%、より好ましくは0.4~0.8重量%が挙げられる。
また、本発明の水中油型乳化組成物がケイ酸化合物を含む場合のケイ酸化合物の含有量としては、薬剤放出性を一層向上させる観点から、好ましくは0.7重量%以下、より好ましくは0.6重量%以下、さらに好ましくは0.55重量%以下が挙げられる。当該ケイ酸化合物の含有量の下限としては特に限定されないが、例えば0.1重量%以上、0.3重量%以上、又は0.4重量%以上が挙げられる。
その他の成分
本発明の水中油型乳化組成物は、上記の成分の他に、必要に応じて、皮膚外用剤等に通常使用される他の基剤及び/又は添加剤を含んでもよい。このような基剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、エステル油、脂肪酸トリグリセリド、高級脂肪酸、シリコーンオイル等の、上記(B)成分以外の油性基剤;1価低級(炭素数1~5)アルコール等の、上記(D)成分以外の水性基剤;アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の、上記(C)成分以外の界面活性剤が挙げられる。また、添加剤としては、セルロース誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、及びこれらのエステル化物等)、ポリビニルアルコール、着色剤(二酸化チタン等)、着香剤、pH調整剤、湿潤剤(dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、D-ソルビトール液等)、安定化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、L-アルギニン、L-アスパラギン酸、DL-アラニン、グリシン、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン、ローズマリー抽出物等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、緩衝剤、溶解補助剤、可溶化剤、保存剤等が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物は、上記の成分の他に、必要に応じて、皮膚悪性腫瘍及び乳癌の皮膚病変等の治療に用いられる薬剤を含んでいてもよい。このような薬剤としては、酸化亜鉛、酸化亜鉛製剤(亜鉛華デンプン、亜鉛華軟膏、及びフェノール・亜鉛華リニメント等)等が挙げられる。
性状・製剤形態等
本発明の水中油型乳化組成物の製剤形態については特に制限されないが、塗布性及び皮膚上での保留性の観点から、通常、クリーム剤である。また、本発明の外用組成物の具体的態様は、通常、外用医薬品が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物のpH(25℃)としては、例えば0.6~2.6が挙げられる。また、本発明の水中油型乳化組成物の稠度としては、JIS K2220に準じて測定した25℃での稠度として、例えば80~130(1/10mm)、好ましくは85~125(1/10mm)、より好ましくは95~120(1/10mm)、より好ましくは100~110(1/10mm)が挙げられる。
また、本発明の水中油型乳化組成物は、用時調製剤及び市販製剤のいずれであってもよいが、本発明の水中油型乳化組成物は分離抑制性に優れているため、市販製剤であることが特に好ましい。
用途
本発明の水中油型乳化組成物は、がん性皮膚潰瘍部位における出血又は滲出液が認められる患部に塗布することにより使用される。このような患部は、進行した皮膚がん、又は体表に露出した皮膚がん以外のがん(例えば、乳がん、頭頸部がん等)によって広範囲のがん性皮膚潰瘍を生じており、出血又は滲出液が認められる。本発明の水中油型乳化組成物は、このようながん性皮膚潰瘍部位における出血又は滲出液、若しくはこれらによって引き起こされる感染又は悪臭に対して生活の質(QOL)を改善する目的で用いることができる。また、本発明の水中油型乳化組成物は、がん性皮膚潰瘍の縮小の目的で用いてもよい。
本発明の水中油型乳化組成物は、例えば、モーズ法の適応と同様に使用できる。具体的には、本発明の外用組成物をがん性皮膚潰瘍の表面に塗布することで、腫瘍組織を固定する。腫瘍組織の固定においては、腫瘍血管を硬化させることで腫瘍組織を変性壊死させ、壊死組織を固定乾燥させることができる。腫瘍組織の固定を確認した後は、必要に応じ、塗布された水中油型乳化組成物を除去することができる。
用法・用量
本発明の水中油型乳化組成物は、がん性皮膚潰瘍部位における出血又は滲出液が認められる患部の大きさや、出血、滲出液の程度に応じた用法及び用量で用いることができ、例えばモーズ法に基づく用法及び用量で用いることができる。例えば、患部の症状に応じた期間、患部に7~10日に1回程度塗布することができる。
製造方法
本発明の水中油型乳化組成物は、公知の乳化製剤の製造方法に従って製造することができる。本発明の乳化組成物の製造方法として、例えば、以下に示す方法が挙げられる。先ず、(B)成分及び必要に応じて添加される他の油性成分を混合して油相用組成物を調製する。別途、(A)成分及び(D)成分、及び必要に応じて添加される他の水溶性成分を混合して水相用組成物を調製する。なお、(C)成分については、前記水相用組成物又は油相用組成物のいずれか一方又は双方に配合していればよいが、好ましくは、前記油相用組成物に配合しておくことができる。次いで、得られた水相用組成物と油相用組成物を混合し、ホモジナイザー等の乳化手法によって乳化させることにより、本発明の水中油型乳化組成物が得られる。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1
表1~表10に示す水中油型乳化組成物を以下の手順で製造した。まず、表1~表10に示す(B)成分、及び(C)成分を混合し、加熱溶解することにより、油相用組成物を調製した。また、別途、表1~10に示す(A)成分、(D)成分及び軽質無水ケイ酸を混合し、水相用組成物を調製した。温調した油相用組成物に、水相用組成物を徐々に添加しホモミキサーを用いて粒子(油滴)を微細化し、撹拌しながら冷却して水中油型の乳化組成物を得た。得られた水中油型乳化組成物について、以下<1>分離抑制性の評価を行った。また、幾つかの組成物については、以下<2>から<8>の評価又は測定を行った。結果を表1~10に示す。
<1>分離抑制性
すべての水中油型乳化組成物について、分離抑制性の評価を行った。具体的には、水中油型乳化組成物20~30gをガラス瓶(内径約30mm)に入れ、50℃で4週間保存した。保存後における水中油型乳化組成物の外観を、以下の基準に当てはめて目視にて評価した。
○:分離が認められない
△:水相がわずかに(水相厚が全体の5%未満)分離した
×:水相が多少(水相厚が全体の5%以上10%未満)分離した
××:水相がかなり(水相厚全体の10%以上)分離した
<2>流動性のなさ
実施例1~25の水中油型乳化組成物について、流動性のなさの評価を行った。具体的には、水平なプラスチック板上に、水中油型乳化組成物約5.5gを内径30mm、高さ5mmの円領域にまんべんなく広げ、プラスチック板を水平面から90°傾け、15分以内に、上記円領域から水中油型乳化組成物がはみ出したか否かを評価した。水中油型乳化組成物がはみ出さなかった場合は○、水中油型乳化組成物がはみ出した場合は×とした。
<3>塗布性
実施例1~25,57~66,73,74,76,81,83~85,87~90,92~95,97,99,101,104,105,107,114,125の水中油型乳化組成物について、塗布性(柔らかさ及び展延性の総合評価)の評価を行った。具体的には、手袋をした上で、人差し指の第一関節部で掬い取り、鶏むね肉に塗布し、以下の基準に当てはめて評価を行った。
◎:柔らかさ及び展延性に大変優れており、容易に塗布ができる
○:柔らかさ及び展延性がよいため塗布ができる
△:やや硬く展延性に劣るため塗布が難しい(塗布自体は可能)
×:硬く展延性に難があり塗布ができない
<4>変色抑制性
実施例1,3~53の水中油型乳化組成物について、変色抑制性の評価を行った。具体的には、水中油型乳化組成物20~30gをガラス瓶(内径約30mm)に入れ、50℃で4週間保存した。保存後における水中油型乳化組成物の外観を、以下の基準に当てはめて目視にて評価した。
○:保存前と同じ
△:保存前と比較して僅かに着色
×:保存前と比較して明らかな着色
<5>接着時間
実施例10,59,64~66,73,74,76,81,83~90,92,94,95,97,99,101,104,105,107の水中油型乳化組成物について、接着時間の評価を行った。具体的には、水平な鶏むね肉上に、水中油型乳化組成物約5.5gを内径30mm、高さ0.5mmの円領域にまんべんなく広げ、鶏むね肉を水平面から90°傾け、水中油型乳化組成物が落下するまでに要した時間(分)を測定した。なお、測定時間は最大60分まで評価した。接着時間が60分に近いほど、接着性に優れていると評価できる。
<6>pH
実施例10,83,84,89,90,95,99,100,103~105,107の水中油型乳化組成物について、pH計を用い、20~25℃でのpHを測定した。
<7>薬剤放出量
実施例10,57~61,64~65,70,71,73~75,81,83,85,87~90,92~94,97,101,104,107,118,126の水中油型乳化組成物について、薬剤放出性の評価を行った。具体的には、内径約30mm、高さ64mmのガラス瓶に攪拌子を入れ精製水約30gでガラス瓶内部を満たし、別途、孔径0.22μmのフィルターの上面に載置した内径15mm・高さ5mmの円形リング中に水中油型乳化組成物をまんべんなく充填し、フィルターの下面をガラス瓶中の水面に接触させて設置した。攪拌子の回転数を300rpmに設定し、15分間撹拌した。ガラス瓶中の精製水を採取し、円形リング中の水中油型乳化組成物からフィルターを介して精製水中に放出された塩化亜鉛の量(mg)を測定した。
<8>稠度
実施例10,57~61,64~66,73,74,76,81,83~85,87~90,92~95,97,99~101,103~105,107の水中油型乳化組成物について、稠度(1/10mm)を測定した。具体的には、水中油型乳化組成物をそのまま試料とし、25℃に調整した試料を測定容器に充填し、過剰の試料を除いて試料表面を平らにした状態で、JIS K2220に準じて測定した。測定には、EUROPEAN PHARMACOPEIA 9.0、2.9.9 MEASUREMENT OF CONSISTENCY BY PENETROMETRY Figure 2.9.9.-3に記載されたMicro-cone、suitable container、shaftを用いた。
Figure 2023126208000001
Figure 2023126208000002
Figure 2023126208000003
Figure 2023126208000004
Figure 2023126208000005
Figure 2023126208000006
Figure 2023126208000007
Figure 2023126208000008
Figure 2023126208000009
Figure 2023126208000010
実施例1~127と比較例1~9との対比に示される通り、(A)30重量%以上の塩化亜鉛と、(B)炭化水素油及び高級アルコールからなる群より選択される油性基剤と、(C)ノニオン性界面活性剤と、(D)水及び多価アルコールからなる群より選択される水性基剤とを含む水中油型乳化組成物において、前記(B)成分と前記(C)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量(比率1)が52重量部以上であり、且つ、前記(B)成分と前記(D)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量(比率2)が11.7重量部以上である要件を満たす場合(実施例1~127)に、優れた分離抑制性が得られることが確認できた。
なお、(B)成分として炭化水素を含まず高級アルコールのみを含む場合(実施例26~29,54~56,122~127)にあっては、比率1は52~90重量部、及び/又は、比率2が15.7重量部以上である場合(実施例26~29,122~127)の方が、より優れた分離抑制性が得られることも確認できた。これに対し、(B)成分として炭化水素と高級アルコールとの両方を含む場合(実施例1~25,30~53,57~121)は、比率1が52重量部以上、及び比率2が11.7重量部以上のより広い範囲で優れた分離抑制性が得られる点でさらに好ましいことが確認できた。
また、実施例46と実施例47との対比に示されるように、(B)成分に含まれる高級アルコールが直鎖状アルコールで分岐状アルコールが含まれない場合(実施例46)に、分離抑制性が向上することが認められた。
塗布性について試験した実施例1~25,57~66,73,74,76,81,83~85,87~90,92~95,97,99,101,104,105,107,114,125の水中油型乳化組成物の中でも、前記(B)成分と前記(C)成分と前記(D)成分との合計量100重量部に対する前記(D)成分の含有量(比率3)が42重量部以上である場合(実施例4~6,9~25,57~66,73,74,76,81,83~85,87~90,92~95,97,99,101,104,105,107,114,125)に、塗布性がより一層向上していた。
変色抑制性について試験した実施例1,3~53の水中油型乳化組成物の中でも、(B)成分として炭化水素油及び高級アルコールの両方を含む場合(実施例1,3~53)にあっては、(C)成分の含有量が1~7.5重量%、及び(C)成分のHLB値(加重平均)が8~15の場合(実施例1,4~6,9~11,13,14~22,30~53)に優れた変色抑制性が得られ、(C)成分の含有量が1.5~7.5重量%、及び(C)成分のHLB値(加重平均)が11.5~15の場合(実施例1,4~6,9~11,14~17,19~22,32~42)に、より優れた変色抑制性が得られた。
また、変色抑制性について試験した実施例1,3~53の水中油型乳化組成物の中でも、(B)成分として炭化水素を含まず高級アルコールのみを含む場合(実施例26~29)にあっては、(D)成分が固体のポリアルキレングリコールを含む場合(実施例28,29)に、優れた変色抑制性が得られた。
実施例86と実施例87との対比、及び実施例104と実施例105との対比から、さらにケイ酸化合物を含む場合(実施例87,105)に、接着性が向上したことが認められた。
試験例2
表11に示す水中油型乳化組成物を以下の手順で製造した。まず、表11に示す(B)成分、及び(C)成分を混合し、加熱溶解することにより、油相用組成物を調製した。また、別途、表11に示す(A)成分、(D)成分及び軽質無水ケイ酸を混合し、水相用組成物を調製した。温調した油相用組成物に、水相用組成物を徐々に添加しホモミキサーを用いて粒子(油滴)を微細化し、撹拌しながら冷却して水中油型の乳化組成物を得た。得られた水中油型乳化組成物について、試験例1の<1>及び<7>と同様にして、分離抑制性及び薬剤放出性を評価した。結果を表11に示す。表11では、試験例1の実施例10、74及び75も結果も併せて示す。
Figure 2023126208000011
実施例10、74、75、128~144に示される通り、(A)30重量%以上の塩化亜鉛と、(B)炭化水素油及び高級アルコールからなる群より選択される油性基剤と、(C)ノニオン性界面活性剤と、(D)水及び多価アルコールからなる群より選択される水性基剤とを含む水中油型乳化組成物において、前記(B)成分と前記(C)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量(比率1)が52重量部以上であり、且つ、前記(B)成分と前記(D)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量(比率2)が11.7重量部以上である要件を満たすことによって、優れた分離抑制性が得られることが確認できた。
また、実施例10、74、75、128~138と実施例139~144との対比に示される通り、(A)30重量%以上の塩化亜鉛と、(B)炭化水素油及び高級アルコールからなる群より選択される油性基剤と、(C)ノニオン性界面活性剤と、(D)水及び多価アルコールからなる群より選択される水性基剤とを含む水中油型乳化組成物において、(D)成分が水及びポリエチレングリコールである場合(実施例10、74、75、128~138)、薬剤放出性も向上することが確認できた。さらに、実施例10、74、128~138と実施例75との対比に示される通り、軽質無水ケイ酸の量が0.7重量%以下である場合(実施例10、74、128~138)に、薬剤放出性がより一層向上することも確認できた。このことは、試験例1の実施例10、57~61、64~65、70~71、73~74、81、83、85、87~90、92~94、97、101、107と、実施例75、118、126との対比で、軽質無水ケイ酸の量が0.7重量%以下である場合(実施例10、57~61、64~65、70~71、73~74、81、83、85、87~90、92~94、97、101、107)に、薬剤放出性がより一層向上することとも共通していた。

Claims (14)

  1. (A)30重量%以上の塩化亜鉛と、(B)炭化水素油及び高級アルコールからなる群より選択される油性基剤と、(C)ノニオン性界面活性剤と、(D)水及び多価アルコールからなる群より選択される水性基剤とを含み、
    前記(B)成分と前記(C)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量が52重量部以上であり、且つ、
    前記(B)成分と前記(D)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量が11.7重量部以上である、水中油型乳化組成物。
  2. (A)30重量%以上の塩化亜鉛と、(B)炭化水素油及び高級アルコールからなる群より選択される油性基剤と、(C)ノニオン性界面活性剤と、(D)水及び多価アルコールからなる群より選択される水性基剤とを含み、
    前記(D)成分が、水及びポリエチレングリコールである、水中油型乳化組成物。
  3. 前記(B)成分と前記(C)成分と前記(D)成分との合計量100重量部に対する前記(D)成分の含有量が42重量部以上である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  4. 前記(C)成分の含有量が、12.7重量%以下である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  5. 前記(C)成分の含有量が1~7.5重量%である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  6. 前記(C)成分が1種又は複数種のノニオン性界面活性剤であり、
    各ノニオン性界面活性剤のHLBを含有量で加重平均して表される前記(C)成分のHLB値が8~17である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  7. 前記(D)成分が多価アルコールを含み、且つ前記多価アルコールが固体のポリアルキレングリコールを含む、請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
  8. 前記(B)成分が、炭化水素油及び高級アルコールの両方を含む、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  9. 前記高級アルコールが直鎖状アルコールである、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  10. さらにケイ酸化合物を含む、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  11. 前記ケイ酸化合物の含有量が0.7重量%以下である、請求項10に記載の水中油型乳化組成物。
  12. 前記(C)成分が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアラキルエーテルからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  13. 前記(C)成分が2種以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテルであり、それぞれのポリオキシアルキレンアルキルエーテルの疎水性アルキル基が互いに同じである、請求項12に記載の水中油型乳化組成物。
  14. 前記(B)成分と前記(C)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量が52重量部以上であり、且つ、
    前記(B)成分と前記(D)成分との合計量100重量部に対する前記(B)の含有量が11.7重量部以上である、請求項2に記載の水中油型乳化組成物。
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