JP2023126033A - Memsセンサ - Google Patents

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Masayuki Samukawa
春生 野間
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【課題】MEMSセンサの感度を向上させる。【解決手段】少なくとも1つのひずみ検知素子31と、各ひずみ検知素子上に設けられた一対のひずみゲージ317L、317Rと、を備えるMEMSセンサ1であって、一対のひずみゲージ317L、317Rは、各ひずみ検知素子の応力集中部312のみに並べて設けられていることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本開示は、MEMSセンサに関する。
近年、産業分野及び医療分野等において、産業用ロボット、仮想現実の普及、遠隔医療の発達等が進んでおり、MEMSセンサを利用した触覚センシング技術が注目を集めている。かかるMEMSセンサとしてはさまざまな技術が提案されているが(例えば特許文献1~3、非特許文献1)、標準的な技術は未確立である。
特開2008-128940号公報 特開2006-208248号公報 特開2006-201061号公報 河内彪博 他:「MEMS触覚センサの温度変化による出力信号のドリフト特性の考察」、電気学会センサ・マイクロマシン部門総合研究会、MSS-20-26、2020年7月
MEMSセンサにおけるマイクロカンチレバー構造等のひずみ検知素子に対する外力印加による変形の検出にはひずみゲージが用いられている。ひずみゲージは、ひずみ検知素子の変形を、かかる変形に伴う電気抵抗の変化に基づき検出する。ここでひずみ検知素子の変形は微小であるため感度を向上させるには工夫が必要である。特にひずみ検知素子の変形が微小であることから出力の増幅が必要になり、出力増幅過程において出力信号にノイズが混入してしまう恐れがあった。このように従来のMEMSセンサには感度の点で課題があった。
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、MEMSセンサの感度を向上することにある。
本開示の一実施形態に係るMEMSセンサは、
少なくとも1つのひずみ検知素子と、
各ひずみ検知素子上に設けられた一対のひずみゲージと、
を備えるMEMSセンサであって、
前記一対のひずみゲージは、各ひずみ検知素子の応力集中部のみに並べて設けられていることを特徴とする。
また本開示の一実施形態に係るMEMSセンサは、
各ひずみ検知素子がカンチレバー構造であることを特徴とする。
また本開示の一実施形態に係るMEMSセンサは、
前記応力集中部が前記カンチレバー構造の固定端近傍であることを特徴とする。
また本開示の一実施形態に係るMEMSセンサは、
前記一対のひずみゲージが、前記固定端近傍において前記カンチレバー構造の短手方向に並べて設けられていることを特徴とする。
また本開示の一実施形態に係るMEMSセンサは、
前記一対のひずみゲージに接続され、複数の参照用抵抗を備えたホイートストンブリッジ回路を備え、
前記複数の参照用抵抗が前記ひずみゲージの近傍に設けられることを特徴とする。
また本開示の一実施形態に係るMEMSセンサは、
前記ひずみゲージと前記参照用抵抗とが、同一の材料からなることを特徴とする。
また本開示の一実施形態に係るMEMSセンサは、
前記材料がNiCrであることを特徴とする。
また本開示の一実施形態に係るMEMSセンサは、
前記ひずみ検知素子の個数が2であることを特徴とする。
本開示の一実施形態によれば、MEMSセンサの感度を向上させることが可能となる。
本開示の一実施形態に係るMEMSセンサの概略構成を示す図である。 比較例に係るMEMSセンサの概略構成を示す図である。 本開示の一実施形態に係るマイクロカンチレバーの概略構成を示す図である。 本開示の一実施形態に係るマイクロカンチレバーの作成手順を示す図である。 本開示の一実施形態に係るMEMSセンサによる外力の検出原理を示す図である。 比較例に係るMEMSセンサの回路構成の概略図である。 本開示の一実施形態に係るMEMSセンサの回路構成の概略図である。 本開示の一実施形態に係る参照用抵抗の配置を示す図である。 垂直及び水平荷重の印加試験の概要を示す図である。 本開示の一実施形態に係るMEMSセンサと、比較例に係るMEMSセンサとに垂直方向の荷重を印加した場合のひずみゲージの抵抗変化率を示す図である。 本開示の一実施形態に係るMEMSセンサと、比較例に係るMEMSセンサとにマイクロカンチレバーの長手方向の荷重を印加した場合のひずみゲージの抵抗変化率を示す図である。 本開示の一実施形態に係るMEMSセンサと、比較例に係るMEMSセンサとにマイクロカンチレバーの短手方向の荷重を印加した場合のひずみゲージの抵抗変化率を示す図である。 本開示の一実施形態に係るMEMSセンサに水平方向の荷重を360°変化させて印加した場合のひずみゲージの抵抗変化率を示す図である。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一符号は、同一または同等の構成要素を示す。本実施形態のMEMSセンサは、一例として触覚計測用のセンサ(触覚センサ)である場合について説明する。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
図1を参照して、本実施形態に係るMEMSセンサ1の構成を説明する。MEMSセンサ1はSi基板上に微小構造のひずみ検知素子を有する。またMEMSセンサ1は、その全体がエラストマ(例えばPoly-dimethyl-siloxane(PDMS))でカバーされた突起構造を有する。エラストマの頂部に外力が作用するとエラストマ全体が変形し、その変形に引っ張られて同時にひずみ検知素子が変形する。このひずみ検知素子の変形に伴う抵抗変化を計測して、計算機内部で外力を算出する。図1(a)は、本実施形態に係るMEMSセンサ1の斜視図である。図1(b)は、本実施形態に係るMEMSセンサ1の写真である。本実施形態に係るMEMSセンサ1は、弾性樹脂2により封止されたセンサチップ3と、接触部4とを備える。
図1に示す通り、センサチップ3は弾性樹脂2により封止されることにより保護されている。弾性樹脂2は例えばエラストマ(例えばPoly-dimethyl-siloxane(PDMS))である。以下本実施形態では、弾性樹脂2がPDMSであるとして説明する。
センサチップ3は、プリント基板5上に設けられている。センサチップ3はひずみ検知素子31~33を含む。本実施形態においてひずみ検知素子31~33は、ひずみゲージの搭載されたカンチレバー構造を有する。換言すると本実施形態においてひずみ検知素子31~33は、ひずみゲージの搭載された3つのマイクロカンチレバー(微小カンチレバー)31~33である。以下、ひずみ検知素子31~33をそれぞれマイクロカンチレバー31~33ともいう。マイクロカンチレバー31~33は、力の大きさ及び方向を検出するために傾斜構造をしている。センサチップ3のサイズは5mm角の正方形である。マイクロカンチレバー31~33は、センサチップ3のチップ中央から直径1mmの円内に,先端が120度回転した方向を向くように配置されている。なお本実施の形態では、MEMSセンサ1がマイクロカンチレバーを3個備える例を説明するが、これに限られない。MEMSセンサ1が備えるマイクロカンチレバーの個数は2個であってもよい。つまり、MEMSセンサ1が備えるマイクロカンチレバーは、マイクロカンチレバー31及びマイクロカンチレバー32のみであってもよい。この場合、マイクロカンチレバー31及びマイクロカンチレバー32は、センサチップ3のチップ中央から直径1mmの円内に,先端が120度~180度回転した方向を向くように配置されている。
接触部4は対象物と接触する部位である。接触部4の形状及び材質は、対象物の性質及び用途に応じて適宜定められる。対象物の性質は、対象物の硬度、柔軟性、脆性、耐久性、耐摩耗性等を含む。例えば対象物が柔軟であるかどうか、対象物が壊れやすいか否かに応じて、接触部4の硬度、及び対象物との接触面積が適宜調整され得る。例えば接触部4の形状は半球形、円柱形、楕円柱形、角柱形、三角錐形等である。接触部4の形状はこれに限られず、突起状の形状であれば任意の形状を採用可能である。接触部4の材質は、例えばPDMS、アクリル等である。接触部4の材質はこれに限られず、任意の材料を採用可能である。接触部4は、対象物との接触個所を限定し、またセンサチップ3への荷重を中心方向に集中させる役割を果たす。
接触部4は、センサチップ3に取り外し可能に固定されてもよい。本開示において取り外し可能とは、剥離可能であること、脱着可能であること等を含む。例えば接触部4はセンサチップ3に、再剥離が可能な粘着性接着剤により取り外し可能(剥離可能)に固定される。粘着性接着剤として、例えばセメダイン株式会社の液状粘着剤BBXを用いることができる。このように接触部4はセンサチップ3から取り外し可能であるため、本実施形態にかかるMEMSセンサ1は、様々な用途及び対象物に合わせた形状又は材質の接触部4を適宜交換して用いることができる。
次に、マイクロカンチレバーの概略構成を示す。まず比較のために比較例に係るMEMSセンサ101及びマイクロカンチレバー41の概略構成を図2に示す。図2(a)に示すように、比較例に係るMEMSセンサ101は、MEMSセンサ1と同様に、弾性樹脂102により封止されたセンサチップ103と、接触部104とを備える。センサチップ103はひずみ検知素子41~43を含む。比較例においてセンサチップ103に含まれるひずみ検知素子41~43は、ひずみゲージの搭載された3つのマイクロカンチレバー41~43である。図2(b)に示すように、比較例に係るマイクロカンチレバー41は、自由端411と、固定端412と、ひずみゲージ417とを含む。ここで図2に示すように、ひずみゲージ417は、マイクロカンチレバー41の全面にわたって配置されている。具体的にはひずみゲージ417は、マイクロカンチレバー41の全面にわたってミアンダ状に配置されている。換言するとひずみゲージ417は、マイクロカンチレバー41の自由端311から固定端312にわたって設けられている。
続いて図3を参照して本実施形態に係るマイクロカンチレバー31の概略構成を示す。マイクロカンチレバー31は、自由端311と、固定端312と、一対のひずみゲージ317L、317Rとを含む。ここで図2に示すように、一対のひずみゲージ317L、317Rは、ひずみ検知素子(マイクロカンチレバー31)の固定端312において、ひずみ検知素子の短手方向に沿って並べて設けられている。換言すると、一対のひずみゲージ317L、317Rは、ひずみ検知素子の応力集中部のみに並べて設けられている。マイクロカンチレバー32及び33の構成はマイクロカンチレバー31と同様である。すなわち、一対のひずみゲージ327L、327Rは、ひずみ検知素子(マイクロカンチレバー32)の固定端において、ひずみ検知素子の短手方向に沿って並べて設けられている。また一対のひずみゲージ337L、337Rは、ひずみ検知素子(マイクロカンチレバー33)の固定端において、ひずみ検知素子の短手方向に沿って並べて設けられている。
図4を参照して、本実施形態に係るマイクロカンチレバー31の作成手順を示す。マイクロカンチレバー32及び33の作成手順はマイクロカンチレバー31と同一であるため説明は省略する。マイクロカンチレバー31の作製には、支持基板313、BOX層314、及び活性層315の3層構造からなるSilicon on Insulator(SOI)ウェハが使用される。ここで支持基板313はSiからなる。BOX層314はSiO2からなる。活性層315はSiからなる。作製の前準備としてSOIウェハには予めアセトン超音波洗浄および希フッ酸による自然酸化膜除去の成膜前処理が行われる。
まずSOIウェハ上に絶縁層316としてSi3N4をLPCVD法により、ひずみゲージ317R及びひずみゲージ317LとしてNiCr、及び配線部318としてAuがスパッタリング法によりそれぞれ成膜され、フォトリソグラフィ法とエッチングによってパターニングされる。続いてカンチレバー構造を傾斜させるための膜319としてCrが電子ビーム蒸着法により成膜され、リフトオフ法によってパターニングされる。その後、選択的にエッチングをすることで中空構造を作製する方法(以下、犠牲層エッチングともいう。)を用いて、BOX層314を犠牲層としカンチレバー構造が形成される。
フォトリソグラフィ法によるパターニング後において、活性層315をエッチングしカンチレバー構造が残される。ここで犠牲層エッチングを均一かつ効率的に行うため、マイクロカンチレバー31にはBOX層314が露出した孔が複数配置される。続いてマイクロカンチレバー31となる活性層315を支持基板313から離すため、バッファードフッ酸(Buffered Hydrogen Fluoride, BHF)を用いてBOX層314が選択的にエッチングされる。バッファードフッ酸として例えばステラケミファ株式会社のNH4F濃度20%の製品を用いることができる。ここで活性層315が基板から離れ中空構造となる際に、膜319(Cr)と活性層315(Si)の線膨張係数の差による引張応力によってマイクロカンチレバー31は自律的に傾斜構造となる。犠牲層エッチング後はセンサチップ3を純水で洗浄し、また純水の表面直力によってマイクロカンチレバーが支持基板313に張り付くスティッキングを防ぐためエタノール置換を行う。その後、真空乾燥を行いセンサチップ3が完成する。
作製されたセンサチップ3はプリント基板5上にエポキシ接着剤を用いて接着される。エポキシ接着剤として、例えばエスコ株式会社の超速エポキシ接着剤を用いることができる。またセンサチップ3は配線接続部によりプリント基板5と電気的に接続される。配線接続部は例えば金細線(Φ25 μm)により構成され、センサチップ3とプリント基板5とはワイヤボンディングにより接続される。
図5は、MEMSセンサ1による外力の検出原理を示す概略図である。図4に示されるように、外力が接触部4に加えられると、マイクロカンチレバー31~33が変形する。接触部4に当該外力が加わると、接触部4の変形に伴いマイクロカンチレバー31~33のたわみ量が変化する。ここでマイクロカンチレバー31~33上のひずみゲージ317L、317Rの電気抵抗の変化を測定することによって、加えられた力の大きさを推定できる。マイクロカンチレバー31~33は傾斜構造をしており、それぞれ異なる角度で配置されている。例えば、図5(a)に示すように接触部4に垂直力(垂直荷重)が印加された場合、PDMSは非圧縮性のため水平方向に逃げるように移動し水平方向に膨張する。つまりこの場合、全てのマイクロカンチレバー31~33のたわみ量が増加し、ひずみゲージ317L、317Rの電気抵抗は一様に減少する。他方で、図4(b)に示すように、せん断力(せん断荷重)が印加された場合、せん断荷重の方向によってマイクロカンチレバー31~33はそれぞれ異なる動きを示す。またひずみゲージ317L、317Rの電気抵抗も同様に異なる応答を示す。従って、あらかじめ各マイクロカンチレバー31~33の荷重に対する感度特性を測定しておくことにより、印加された力の大きさ及び方向を推定できる。
次にMEMSセンサ1の回路構成について説明する。まず図6に、比較例に係るMEMSセンサ101のマイクロカンチレバー41に係る回路構成を示す。カンチレバー42及び43に係る回路構成はマイクロカンチレバー41に係る回路構成と同様であるため説明は省略する。マイクロカンチレバー41に係る回路構成はホイートストンブリッジ回路であり、ひずみゲージ417がホイートストンブリッジ回路の一辺に設けられる。また参照用抵抗418~420がホイートストンブリッジ回路の残りの三辺に設けられる。ひずみゲージの抵抗変化率(dR/R)に対するひずみ出力(V)はR>>dRの場合に以下の近似式(1)により表される。
Figure 2023126033000002
ここでEは電源電圧である。なお一般にマイクロカンチレバー41の構成においてR>>dRとみなすことができる。
図7は、本実施形態に係るMEMSセンサ1のマイクロカンチレバー31に係る回路構成の概略図である。マイクロカンチレバー32及び32に係る回路構成はマイクロカンチレバー31に係る回路構成と同様であるため説明は省略する。図7に示すように、MEMSセンサ1のマイクロカンチレバー31に係る回路構成としては、ホイートストンブリッジ回路の対辺2ゲージ法を用いる。つまりかかる回路構成は、ホイートストンブリッジ回路の二辺にひずみゲージ317L、317Rが設けられ、ホイートストンブリッジ回路の他の2辺に参照用抵抗511、512が設けられる回路構成を有する。かかる回路構成においてひずみゲージの抵抗変化率(dR/R)に対するひずみ出力(V)はR>>dRの場合に以下の近似式(2)により表される。
Figure 2023126033000003
ここでEは電源電圧である。なおマイクロカンチレバー31の構成においてもdRはRと比較して十分に小さく、R>>dRとみなすことができる。
つまり、本実施形態に係るMEMSセンサ1の回路構成は比較例に係るMEMSセンサ101の回路構成と比較して、ひずみ出力が2倍になる。換言すると本実施形態に係るMEMSセンサ1は比較例に係るMEMSセンサ101と比較して、回路構成に基づき2倍の出力を得られ、これにより本実施形態に係るMEMSセンサ1はセンサ感度の向上を図ることができる。
ここで一般に電気抵抗は温度に依存するため、環境温度の変化及び接触物との温度差により、出力にはドリフトが生じる。これを低減するためにひずみゲージを有する回路ではホイートストンブリッジ回路による自己温度補償が一般に用いられているが、回路を構成する各抵抗の温度及び温度係数の相違によって温度補償が十分に行えない。
かかる温度補償に係る課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る参照用抵抗511、512は、ひずみゲージ317L、317Rの近傍に設けられる。図8は、本開示の一実施形態に係る参照用抵抗511、512のチップ3上における配置を示す図である。図8に示すように、参照用抵抗511、512は、ひずみゲージ317L、317Rの近傍に設けられている。具体的には例えば参照用抵抗511、512は、ひずみゲージ317L、317Rから所定範囲内のセンサチップ3上に設けられる。より具体的には図8では参照用抵抗511、512は、ひずみゲージ317L、317Rの両脇に設けられている。このように参照用抵抗511、512が、ひずみゲージ317L、317Rの近傍に設けられることにより、ひずみゲージ317L、317Rと参照用抵抗511、512との温度差を低減することができ、温度による抵抗変化の影響を低減することができる。なお図8に示すように、マイクロカンチレバー32に係る回路における参照用抵抗513、514も、マイクロカンチレバー32上のひずみゲージ327L、327Rの近傍に設けられる。同様にマイクロカンチレバー33に係る回路における参照用抵抗515、516も、マイクロカンチレバー33上のひずみゲージ337L、337Rの近傍に設けられる。
また本開示の一実施形態に係る参照用抵抗511、512は、ひずみゲージ317L、317Rと同一の材料からなる。かかる材料は例えばNiCrである。参照用抵抗511、512が、ひずみゲージ317L、317Rと同一の材料である場合、温度特性の差による影響を低減できる。このように参照用抵抗511、512の材料をひずみゲージ317L、317Rと同一にすることにより、ひずみ出力Vの温度依存性を低減することができ、センサ感度を向上させることができる。
図9から図13を参照して、本実施形態に係るMEMSセンサ1に対する荷重の印加試験の概要を説明する。本試験では、本実施形態に係るMEMSセンサ1及び比較例に係るMEMSセンサ101のそれぞれについて各方向の力に対するひずみゲージの応答を評価するために、MEMSセンサ1及びMEMSセンサ101に垂直荷重及び水平荷重(せん断荷重)を印加し、そのときの各ひずみゲージの抵抗変化率を測定した。
図9は、本実施形態に係るMEMSセンサ1の垂直及び水平荷重の印加試験の概要を示す図である。図9(a)(b)に示すように、本実施形態に係るMEMSセンサ1は3軸ステージに配置され、治具6によりそれぞれ垂直荷重又は水平荷重が印加される。各ひずみゲージの抵抗変化率は、デジタルマルチメータ8により計測される。比較例に係るMEMSセンサ101の垂直及び水平荷重の印加試験の手法も同一である。
図10は、本実施形態に係るMEMSセンサ1と、比較例に係るMEMSセンサ101とに垂直方向の荷重を印加した場合のひずみゲージの抵抗変化率を示す図である。なお図10~図13において、本実施形態に係るMEMSセンサ1のひずみゲージ317L及びひずみゲージ317Rに係る抵抗変化率は“ひずみゲージL”及び“ひずみゲージR”として示されている。他方でMEMSセンサ101のひずみゲージ417に係る抵抗変化率は“比較例”として示されている。図10に示すように、ひずみゲージ317L及びひずみゲージ317Rに係る抵抗変化率の傾きは、ひずみゲージ417に係る抵抗変化率の傾きより約5~6倍大きい。換言するとひずみゲージ317L及びひずみゲージ317Rの方がひずみゲージ417よりも感度が約5~6倍高い。これは、ひずみゲージ317L及びひずみゲージ317Rが、比較例のひずみゲージ417と比較して、応力集中する固定端312近傍に配置されていることに起因する。つまり本実施形態に係るMEMSセンサ1では、一対のひずみゲージ317L、317Rが、マイクロカンチレバー31の応力集中部のみに並べて設けられているため、センサの感度を高めることができている。
図11は、本実施形態に係るMEMSセンサ1と、比較例に係るMEMSセンサ101とに水平方向の荷重を印加した場合のひずみゲージの抵抗変化率を示す図である。図11における水平方向の荷重は、マイクロカンチレバー31とマイクロカンチレバー41のそれぞれの長手方向(各マイクロカンチレバーの固定端から自由端へ向かう方向)の荷重である。図11に示すように、ひずみゲージ317L及びひずみゲージ317Rに係る抵抗変化率の傾きは、ひずみゲージ417に係る抵抗変化率の傾きよりも大きい。換言するとひずみゲージ317L及びひずみゲージ317Rの方がひずみゲージ417よりも感度が高い。これは、ひずみゲージ317L及びひずみゲージ317Rが、比較例のひずみゲージ417と比較して、応力集中する固定端312近傍に配置されていることに起因する。つまり本実施形態に係るMEMSセンサ1では、一対のひずみゲージ317L、317Rが、マイクロカンチレバー31の応力集中部のみに並べて設けられているため、センサの感度を高めることができている。
図12は、本実施形態に係るMEMSセンサ1と、比較例に係るMEMSセンサ101とに水平方向の荷重を印加した場合のひずみゲージの抵抗変化率を示す図である。図12における水平方向の荷重は、本実施形態に係るMEMSセンサ1と、比較例に係るMEMSセンサ101とにマイクロカンチレバーの短手方向(長手方向と垂直の方向)の荷重である。かかる荷重の方向はマイクロカンチレバーのねじり方向であるため、図12に示すように、ひずみゲージ317L及びひずみゲージ317Rに係る抵抗変化率は正負が逆である。したがって、MEMSセンサ1のひずみゲージ317L及びひずみゲージ317Rの出力を合計することで、マイクロカンチレバー31のねじれ方向の変形の影響を相殺することができる。つまり本実施形態に係るMEMSセンサ1では、一対のひずみゲージ317L、317Rが、マイクロカンチレバー31の固定端近傍において短手方向に並べて設けられているため、ねじれ方向の変形の影響を相殺することもでき、これによりセンサの感度を高めることもできる。
図13は、本実施形態に係るMEMSセンサ1の抵抗変化率の角度依存性を示す図である。具体的には図13は、水平方向の荷重を360度変更して印加した場合のひずみゲージ317L、317Rの抵抗変化率を示している。ここで図13におけるθは、水平方向の荷重の角度を示しており、θ=0°のとき、荷重の方向が図12と同一方向(マイクロカンチレバー31の短手方向)であり、時計回りを正としている。すなわち例えばθ=90°のときに、荷重の方向が図11と同一の方向(マイクロカンチレバー31の長手方向)になるようにθは定められている。図13に示すように、水平方向の荷重の角度に応じて、ひずみゲージ317L、317Rが異なる角度依存性を示している。当該角度依存性を利用することにより、本実施形態に係るMEMSセンサ1は、印加される水平方向の荷重を高い感度で検知することができる。換言するとMEMSセンサ1が備えるマイクロカンチレバーの個数が2個であっても、水平方向の荷重を高精度で検知することができる。
以上に説明したように、本実施形態に係るMEMSセンサ1は、ひずみゲージ317L、317Rが、マイクロカンチレバー31の応力集中部のみに並べて設けられているため、比較例のMEMSセンサ101よりもセンサの感度が高い。また、本実施形態に係るMEMSセンサ1によれば、ねじれの影響を低減できるため、各検知素子の出力からx,y,z軸の力に変換する際の校正行列の誤差を小さくでき、より正確なベクトル力の計測が可能となる。
さらに本実施形態に係るMEMSセンサ1は、ホイートストンブリッジ回路の対辺2ゲージ法が用いられることからひずみ出力を比較例よりも2倍にすることができるため、これによってもセンサの感度を高めることができる。またひずみ出力が増加するため、本実施形態に係るMEMSセンサ1はセンサ出力の増幅量を抑えることができ、出力増幅における機械的及び電気的なノイズの影響も抑えることができる。
また本実施形態によれば、ホイートストンブリッジ回路の参照用抵抗511、512が、ひずみゲージ317L、317Rの近傍に設けられる。これにより、外部温度及び参照用抵抗511、512における自己加熱によるドリフトを抑えることができ、高温又は低温環境での計測、又は温度差の大きいものへの接触時の計測の際にも高感度を維持することができる。例えば人の手に設置して物体の把持状況を計測する場合、これまでは体温の影響を低減するため温度が安定するまで待機する必要があった。しかし本実施形態に係るMEMSセンサ1によれば、温度が安定するまで待機する必要がなく、即時に計測を開始できるようになる。
なお、本実施形態では、ホイートストンブリッジ回路の参照用抵抗511~516が、それぞれ対応する一対のひずみゲージ(317L、317R、327L、327R、337L、337R)の近傍に設けられる例を示したが、参照用抵抗511~516は、それぞれ対応する一対のひずみゲージが設けられた検知素子上に設けられてもよい。つまり例えば参照用抵抗511、512は、マイクロカンチレバー31上に設けられてもよい。具体的には例えば参照用抵抗511、512は、マイクロカンチレバー31のひずみゲージ317L、317Rが設けられた裏面に設けられてもよい。また参照用抵抗511、512は、マイクロカンチレバー31のひずみゲージ317L、317Rが設けられた裏面の固定端に設けられてもよい。
なお、本実施形態ではMEMSセンサ1が触覚センサである場合について説明したがこれに限られない。MEMSセンサ1は触覚センサ以外であってもよく、例えば圧力センサ、流量センサ等のセンサであってもよい。あるいはMEMSセンサ1は、近接覚センサであってもよい。
また本実施形態ではセンサチップ3がマイクロカンチレバー31~33を含む例を説明したがこれに限られない。センサチップ3は、マイクロカンチレバーに加えて、或いはマイクロカンチレバーの代わりに任意のひずみ検知素子を含んでもよい。かかるひずみ検知素子は、例えば両端固定梁であってもよい。またひずみ検知素子が矩形である場合において、四辺を固定した梁であってもよく、また四辺の一部を固定した梁であってもよい。いずれの場合においても、ひずみゲージは、ひずみ検知素子の応力集中部のみに設けられる。
本開示を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各部材に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。
1、101 MEMSセンサ
2、102 弾性樹脂
3、103 センサチップ
31、32、33、41、42、43 マイクロカンチレバー
311
313 支持基板
314 BOX層
315 活性層
316 絶縁層
317R、317L、327R、327L、337R、337L、417 ひずみゲージ
318 配線部
319 膜
418、419、420、511、512、513、514、515、516 参照用抵抗
4、104 接触部
5 プリント基板
6 治具
7 3軸ステージ
8 デジタルマルチメータ

Claims (8)

  1. 少なくとも1つのひずみ検知素子と、
    各ひずみ検知素子上に設けられた一対のひずみゲージと、
    を備えるMEMSセンサであって、
    前記一対のひずみゲージは、各ひずみ検知素子の応力集中部のみに並べて設けられていることを特徴とするMEMSセンサ。
  2. 請求項1に記載のMEMSセンサであって、
    各ひずみ検知素子はカンチレバー構造であることを特徴とする、MEMSセンサ。
  3. 請求項2に記載のMEMSセンサであって、
    前記応力集中部は前記カンチレバー構造の固定端近傍であることを特徴とする、MEMSセンサ。
  4. 請求項3に記載のMEMSセンサであって、
    前記一対のひずみゲージは、前記固定端近傍において前記カンチレバー構造の短手方向に並べて設けられていることを特徴とする、MEMSセンサ。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のMEMSセンサであって、
    前記一対のひずみゲージに接続され、複数の参照用抵抗を備えたホイートストンブリッジ回路を備え、
    前記複数の参照用抵抗は前記ひずみゲージの近傍に設けられることを特徴とする、MEMSセンサ。
  6. 請求項5に記載のMEMSセンサであって、
    前記ひずみゲージと前記参照用抵抗とは、同一の材料からなることを特徴とするMEMSセンサ。
  7. 請求項6に記載のMEMSセンサであって、
    前記材料はNiCrであることを特徴とするMEMSセンサ。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のMEMSセンサであって、
    前記ひずみ検知素子の個数は2であることを特徴とする、MEMSセンサ。
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