JP2023125216A - 橋脚構造 - Google Patents

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勝哉 池野
Katsuya Ikeno
州彦 宇野
Kunihiko Uno
佳男 篠田
Yoshio Shinoda
修一 藤倉
Shuichi Fujikura
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Utsunomiya University
Penta Ocean Construction Co Ltd
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NIPPON CONCRETE GIJUTSU KK
Utsunomiya University
Penta Ocean Construction Co Ltd
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Abstract

【課題】従来の鉄筋コンクリート造の橋脚に替わる安全且つ効率的に施工可能な橋脚構造の提供。【解決手段】この橋脚構造1は、頂版11と橋脚本体12とに跨って埋設される複数の鉛直方向に向けた補強芯材13,13…を備え、補強芯材13は、細長平板状のウェブ部と、ウェブ部の両側部よりウェブ部の表面及び/又は裏面と交差する方向に張り出したフランジ部と、ウェブ部と頂版11及び橋脚本体12を構成するコンクリートとを付着させる付着強化手段とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、主に鋼管矢板井筒基礎等の基礎に支持される頂版上に橋脚本体が立設されてなる橋脚構造に関する。
橋梁や高架道路を支持する橋脚としては、支持力が大きく、井筒剛性により橋脚全体の平面寸法を小さくできることから「鋼管矢板井筒基礎」方式のものが広く用いられている。
「鋼管矢板井筒基礎」方式の橋脚20は、図10~図12に示すように、地盤21に打設した複数の鋼管矢板22,22によって閉鎖型の井筒23を形成し、この井筒23の頭部を鉄筋コンクリート造の頂版24によって結合し、頂版24上に鉄筋コンクリート造の橋脚本体25を立設するようになっている。
このような橋脚20は、図10、図12に示すように、水平方向に向けた棒状鉄筋からなる複数の引張補強部材26,26を格子状に配置してなる主鉄筋群27が上下複数段配置に埋設されたコンクリート製の頂版24と、頂版24上に立設されたコンクリート製の橋脚本体25とを備え、頂版24と橋脚本体25とに跨って縦向きにした棒状鉄筋からなる複数の補強芯材28,28…が埋設された構造となっている。
補強芯材28,28…は、図10~図12に示すように、周方向に間隔をおいて平面視筒状になるように配置され、この複数の補強芯材28,28…からなる芯材群29が外側を鉄筋軸方向に間隔をおいて配置された複数の帯鉄筋又は中間帯鉄筋30,30…によって拘束されている。
一方、頂版24は、所定の厚み、一般的には5m~10m程度の厚みを有するため、図10、図12に示すように、コンクリート内に互いに間隔をおいて格子状に配置された複数の引張補強部材からなる主鉄筋群27、27が構造物の鉄筋軸直角断面において互いに間隔をおいて上下又は左右で複数段に亘って配置されている。
特開2016-204861号公報
近年では、巨大化する地震への対応のため耐震設計に関する基準類が改訂され、高い曲げ耐力及びせん断耐力が求められる場合が多くなっており、それに伴い鉄筋が過密に配置されることから、施工性の低下が懸念される。
このような過密配筋は、大量の太径の鉄筋が小ピッチ(例えば、100~150mmピッチ)で配筋されるため、鉄筋の組み立て作業や検査作業が煩雑であることによる作業効率の低下や、作業スペースが制限されるため作業員の安全性を損なうおそれがあった。
また、過密配筋では、打設時におけるコンクリートの充填性等に懸念があり、主材である鋼材への保護性能の低下による鉄筋コンクリート構造物の品質低下の原因となるおそれがあった。
補強芯材は、地震等により繰り返し荷重が橋脚に作用した際に、降伏強度を超えて塑性化し、ヒンジのように回転剛性を失った橋脚本体における頂版との接続部である塑性ヒンジ部において最も大きなモーメントが作用し、その際に圧縮側の補強芯材が座屈して孕み出し、かぶりコンクリートが剥落するおそれがあることから、芯材群を拘束する帯鉄筋や中間帯鉄筋の上下方向ピッチを短くする必要があり、過密配筋の原因となっている。
一方、頂版は、一般的に5m~10m程度の厚みを有するため、コンクリート内に互いに間隔をおいて配置された複数の鉄筋からなる主鉄筋群が構造物において互いに間隔をおいて上下又は左右で複数段に亘って配置される場合が一般的である。
通常鉄筋は、結束線で相互に結束されるため、主鉄筋群を予め工場等でユニット化して施工現場に運搬し、設置することは、鉄筋自体が撓み易く、且つ、結束線よる鉄筋同士の結束では、強度が確保できず、容易にばらけるため困難である。
そのため、ユニット化された鉄筋群のプレファブ化は困難であり、例えば、上下複数段の鉄筋を配筋する際には、施工現場において下段の鉄筋群を組み立てた後、予め鋼材によって製作された架台(所謂ウマ架台)を設置し、この架台に支持させて上段の鉄筋群を組み立てており、作業効率が悪いという問題があった。
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、安全且つ効率的に施工可能な橋脚構造の提供を目的としてなされたものである。
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、水平方向に向けた引張補強部材が上下複数段配置に埋設されたコンクリート製の頂版と、該頂版上に立設されたコンクリート製の橋脚本体と、前記頂版と前記橋脚本体とに埋設される複数の鉛直方向に向けた補強芯材とを備えた橋脚構造において、前記補強芯材は、細長平板状のウェブ部と、該ウェブ部の両側部より該ウェブ部の表面及び/又は裏面と交差する方向に張り出したフランジ部と、前記ウェブ部と前記頂版及び前記橋脚本体を構成するコンクリートとを付着させる付着強化手段とを備えていることにある。
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記補強芯材は、前記橋脚本体において前記橋脚本体の設計で想定される主たる曲げモーメントが作用する方向に弱軸側を向けて配置されていることにある。
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記補強芯材は、前記橋脚本体の塑性ヒンジ部に適用される塑性ヒンジ部用芯部材と、前記塑性ヒンジ部以外の部分に適用される薄肉芯部材との2種の部材によって構成され、該薄肉芯部材のウェブ部及フランジ部が前記塑性ヒンジ部用芯部材のウェブ部及フランジ部よりも肉薄に形成されていることにある。
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1~3の何れか一の構成に加え、前記付着強化手段は、前記ウェブ部の表面及び/又は裏面に突設された複数の棒状部材を備えている
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項4の構成に加え、前記フランジ部は、前記ウェブ部のポアソン効果によって生じる圧縮力が有効に作用する幅に形成され、前記棒状部材は、前記補強芯材の軸方向降伏引張力から前記ウェブ部のポアソン効果により前記フランジ部と前記コンクリートとの間に生じる摩擦力による負担分を除いたせん断力を負担可能な本数となっていることにある。
請求項6に記載の発明の特徴は、請求項1~5の何れか一の構成に加え、前記引張補強部材は、細長平板状のウェブ部と、該ウェブ部の両側部より該ウェブ部の表面及び/又は裏面と交差する方向に張り出したフランジ部と、前記ウェブ部と前記頂版及び前記橋脚本体を構成するコンクリートとを付着させる付着強化手段とを備えていることにある。
請求項7に記載の発明の特徴は、請求項6の構成に加え、互いに水平方向に間隔をおいて配置された複数の前記引張補強部材が連結部材によって連結されてなる引張補強部材群を備えていることにある。
請求項8に記載の発明の特徴は、請求項7の構成に加え、複数の前記引張補強部材群が互いに上下に間隔をおいて配置され、前記補強部材群間が群体連結部材によって連結されユニット化されていることにある。
請求項9に記載の発明の特徴は、請求項6~8の何れか一の構成に加え、前記引張補強部材は、前記頂版において前記頂版の設計で想定される主たる曲げモーメントが作用する方向に弱軸側を向けて配置されていることにある。
請求項10に記載の発明の特徴は、請求項9の構成に加え、前記引張補強部材は、前記ウェブ部を貫通する貫通孔が形成されていることにある。
請求項11に記載の発明の特徴は、請求項6~8の何れか一の構成に加え、前記引張補強部材は、前記頂版において前記頂版の設計で想定される主たる曲げモーメントが作用する方向に強軸側を向けて配置されていることにある。
本発明に係る橋脚構造は、請求項1の構成を具備することによって、従来の鉄筋コンクリート構造の橋脚本体において複数の鉄筋が負担する引張力を一の補強芯材によって負担することができ、従来の鉄筋コンクリート構造の橋脚本体における鉄筋の数量に比べて補強芯材の数量が少なくてよく、過密配筋を回避し、効率よく施工することができる。
また、本発明において、請求項2の構成を具備することによって、コンクリートに対する補強芯材の十分な有効高さを確保することができるとともに、所定の有効高さとなるようにコンクリート断面を小さくすることもできる。
また、本発明において、請求項3の構成を具備することによって、十分な耐力を確保しつつ、設計の合理化を図ることができる。
さらに、本発明において、請求項4の構成を具備することによって、補強芯材とコンクリートとのより高い付着強度を確保することができるとともに、コンクリートに生じるひび割れを分散させることができる。
さらにまた、本発明において、請求項5の構成を具備することによって、補強芯材に引張力が作用した際、ウェブ部のポアソン効果によって対向するフランジ部間の距離が縮まることでフランジ部によってコンクリートを拘束し、フランジ部とコンクリートとの間の摩擦力が増加することに基づいて、棒状部材の負担を軽減し、棒状部材の本数を少なくすることができる。
さらに、本発明において、請求項6の構成を具備することによって、従来の鉄筋コンクリート構造の頂版において複数の鉄筋が負担する引張力を一の引張補強部材によって負担することができ、従来の鉄筋コンクリート構造の頂版における鉄筋の数量に比べて引張補強部材の数量が少なくてよく、過密配筋を回避し、効率よく施工することができる。
さらにまた、本発明において、請求項7乃至8の構成を具備することによって、引張補強部材を用いてプレファブ化することができ、引張補強部材群を陸上の工場や製造ヤード、台船上等で予め組み立て、組み立てた状態で一括して運搬し、設置することができるので、施工現場における作業の省力化を図ることができる。
また、本発明において、請求項9の構成を具備することによって、コンクリートに対する引張補強部材の十分な有効高を確保することができるとともに、所定の有効高となるようにコンクリート断面を小さくすることもできる。
また、本発明において、請求項10の構成を具備することによって、コンクリート打設時のエア溜まりを防止するだけでなく、孔あき鋼板ジベルのような構造となるため、周囲のコンクリートとの付着力が増し、コンクリートの充填性を確保することができる。また、貫通孔を通してバイブレータを挿入し、締固めを実施することができる。
また、本発明において、請求項11の構成を具備することによって、更に好適に曲げモーメントに抵抗できる。
本発明に係る橋脚構造の一例を示す断面図である。 同上のX-X線矢視断面図である。 同上のY-Y線矢視断面図である。 同上の引張補強部材群を組み立てた状態を示す斜視図である。 (a)は図1中の補強芯材又は引張補強部材を示す拡大断面図、(b)は同平面図、(c)は同他の一例を示す平面図、(d)は同引張補強部材の他の一例を示す拡大断面図である。 (a)は同上の補強芯材又は引張補強部材の棒状部材の設計手法を示すフローチャート、(b)は同フローチャート中の摩擦力の計算手法を示すフローチャートである。 本発明の効果を確認する交番載荷実験の実施態様を示す正面図である。 同上の交番載荷実験の結果を示すグラフである。 同上の交番載荷実験による試験体の損傷状態を示す写真である。 従来の橋脚構造の一例を示す断面図である。 同上のX-X線矢視断面図である。 同上のY-Y線矢視断面図である。
次に、本発明に係る橋脚構造1の実施態様を図1~図9に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1は橋脚構造1、符号2は地盤である。
橋脚構造1は、水平方向に向けた引張補強部材3,3…が上下複数段配置に埋設されたコンクリート製の頂版11と、頂版11上に立設されたコンクリート製の橋脚本体12と、頂版11と橋脚本体12とに跨って埋設される複数の鉛直方向に向けた補強芯材13,13…とを備え、頂版11が鋼管矢板井筒基礎14に支持されている。尚、本実施例では、頂版11及び橋脚本体12を平面視矩形状とした場合を例に説明するが、頂版11及び橋脚本体12の態様はこれに限定されず、例えば、それぞれ平面視円形状や小判型状等であってもよい。
この橋脚構造1は、一般的な鉄筋コンクリート造の橋脚に使用される複数の鉄筋に替えて、H形鋼やI形鋼等の鋼材によって構成された引張補強部材3,3…及び補強芯材13,13…を使用することにより、施工の省力化が図られている。
鋼管矢板井筒基礎14は、地盤2に打設した複数の鋼管矢板15,15…によって閉鎖型の井筒が形成され、この井筒の頭部内側にコンクリート造の頂版11が構築され、頂版11によって各鋼管矢板15,15…が結合されている。
頂版11は、図1、図3に示すように、互いに水平方向に間隔をおいて配置された複数の引張補強部材3,3…を備えてプレファブ化された一又は複数段(本実施例では二段)に配置された引張補強部材群9,9を備え、この引張補強部材群9,9が頂版11のコンクリート内に埋設され、従来のRC構造に替わる強化コンクリート構造を成している。
尚、本実施例では、施工時の効率化を考慮し、上下複数段(本実施例では二段)に配置された引張補強部材群9,9を群体連結部材10,10によって連結して引張補強部材群ユニット16としているが、引張補強部材群9,9をそれぞれ独立して用いてもよい。
ここで強化コンクリート構造とは、一般的な棒状鉄筋に替えて引張補強部材3,3…を使用したRC構造のみならず、引張補強部材3,3…と棒状鉄筋とを併用したRC構造も含むものとする。また、本発明においては、製作する構造物の形状や施工条件等に応じて、棒状鉄筋を併用してもよい。
引張補強部材群9,9は、図4に示すように、複数の引張補強部材3,3…が水平方向に互いに間隔をおいて配置され、引張補強部材3,3…の端部が連結部材8,8によって連結されてプレファブ化されている。尚、引張補強部材3を連結部材8として用いてもよい。
両引張補強部材群9,9は、互いに上下に間隔をおいて2段に配置され、引張補強部材群9,9間がH形鋼や溝形鋼等からなる群体連結部材10,10によって連結されユニット化されている。
尚、上述の実施例では、引張補強部材群9,9を群体連結部材10,10によって連結してユニット化した例について説明したが、各引張補強部材群9,9を群体連結部材10,10で連結せず、それぞれ独立して用いてもよい。
また、頂版11の厚みによっては、引張補強部材群9を複数段配置とせず、一段配置とする場合もある。
さらに、各引張補強部材3,3…を連結部材8で連結せず、それぞれ独立して配置するようにしてもよい。
また、この頂版11には、周方向に間隔をおいて矩形筒状を成すように配置された補強芯材13,13…の下部が埋設され、各補強芯材13,13…が頂版11の上面より上向きに突出している。
橋脚本体12は、図1、図2に示すように、頂版11の上面より突出した複数の補強芯材13,13…が平面視矩形筒状に配置された補強芯材群17を備え、従来のRC構造に替わる強化コンクリート構造を成している。
ここで強化コンクリート構造とは、一般的な棒状鉄筋に替えて補強芯材13,13…を使用したRC構造のみならず、補強芯材13,13…と棒状鉄筋とを併用したRC構造も含むものとする。また、本発明においては、製作する構造物の形状や施工条件等に応じて、棒状鉄筋を併用してもよい。
尚、橋脚構造1では、地震時において、繰り返し載荷を受けるため、靭性に富んだ粘り強さが求められる。即ち、せん断破壊を先行させると急激に崩壊するおそれがあり、橋脚本体12に粘りをもたせるため曲げ破壊が先行するように補強芯材13,13…の配置が設計されている。
この橋脚本体12は、補強芯材13,13…の外側に所定厚のかぶりコンクリートが配置され、補強芯材群17の外側に沿って上下に間隔をおいて配置された複数の帯鉄筋・中間帯鉄筋18,18…で拘束することによってかぶりコンクリートの剥落を防止している。
引張補強部材3,3…及び補強芯材13,13…は、図5に示すように、細平板状のウェブ部4と、ウェブ部4の両側部より表面及び裏面と交差する方向に張り出した細平板状のフランジ部5,5と、ウェブ部4とコンクリート2との付着を強化する棒状の付着強化手段6とを備えている。
ウェブ部4は、コンクリートとの有効定着長を満たす一定の長さL、例えば、ウェブ部4の幅Hの6倍の長さ以上の細長平板状に形成され、その両側部と一体にフランジ部5,5が形成されている。
フランジ部5,5は、ウェブ部4の両側部の表面及び裏面より交差する方向、本実施例では表面及び裏面と垂直方向に張出し、フランジ部5,5とウェブ部4とによって断面がI形状又はH形状を成すようになっている。
このフランジ部5,5の片側幅Bにおける片側有効幅bは、ウェブ部4に引張力が作用した際のポアソン効果によって生じる圧縮力が有効に作用する幅であって、例えば、フランジ部5,5の板厚t2の2倍程度の幅に形成されている。
よって、フランジ部5は、片側幅Bがウェブ部4の幅に対し短く、例えば、細幅H形鋼のようにH形鋼に分類されるものであっても、断面はI字状を成している。
尚、上述の実施例では、フランジ部5,5がウェブ部4の表面及び裏面側にそれぞれ張り出した形状について説明したが、図5(d)に示すように、溝形鋼等のようにフランジ部5,5が表面又は裏面の何れか片側のみに張り出したものであってもよい。
付着強化手段は、図5に示すように、ウェブ部4の表面及び裏面若しくは図5(d)の様にフランジ部5を有する面に突設された複数の棒状部材6,6…を備え、この棒状部材6,6…がコンクリート2内に埋設されることによってウェブ部4とコンクリート2とが強固に付着されるようになっている。
棒状部材6,6…は、下端が溶接によってウェブ部4に固定された丸棒状の本体部6aと、本体部6aの頭部に一体に支持された拡径部6bとを備えている。
この棒状部材6の固定手段は、溶接に限定されず、例えば、ウェブ部に孔を開けて嵌合させてもよく、ネジ止めする等してもよい。
棒状部材6は、例えば、ウェブ部4の片側幅Bと略同じ高さに形成されている。尚、棒状部材6の高さは、本実施例に限定されず、所望するコンクリートとの付着強度及びせん断力を勘案して任意の高さや異なる径の部材とすることができる。
この棒状部材6,6…には、市場に流通する頭付きスタッドを利用することができる。尚、棒状部材6,6…は、頭部に拡径部6bを有しない所謂頭無しスタッドであってもよい。
また、棒状部材6,6…は、上述の実施例に限定されず、特に図示しないが、異形鉄筋のように、外周面に付着強化用凹部が形成されたものであってもよく、付着強化用凹部を有する本体部6aの頭部に拡径部6bを有するものであってもよい。さらに、棒状部材6,6…は、ボルトやネジ等によっても代用することができる。
この棒状部材6,6…は、図5(b)に示すように、幅方向で隣り合う各棒状部材6,6…の位置をウェブ部4長手方向で揃えて整列させた配置(整列配置)としてもよく、図5(c)に示すように、隣り合う各棒状部材6,6…の位置をウェブ部4長手方向に所定の間隔でずらし、各棒状部材6,6…を千鳥状に配置(千鳥配置)としてもよい。
この棒状部材6,6…の本数は、図6(a)に示すフローチャートの手順に基づいて決定されるが、ウェブ部4のポアソン効果によって対向したフランジ部5,5間の距離が縮まることでフランジ部5,5がコンクリートを拘束し、軸方向降伏引張力の一部を負担し、棒状部材6,6…の負担を軽減することができるので本数を抑えることができる。
具体的には、先ず、単一の鋼材の引張降伏力fym×Amが対応する複数の鉄筋の降伏引張力fys×Asより大きくなる鋼材を選定し(s1)、引張補強部材3,3…3及び補強芯材13,13…の引張降伏力T=fym×Amを求める(s2)。ここで、fysは鉄筋の引張降伏強度、fymは鋼材の引張降伏強度、Amは単一の鋼材の断面積、Asは対応する複数の鉄筋の断面積である。
次に、フランジ部5,5が負担できる摩擦力T1=τ×2b×L×2(尚、図5(d)に示す片側フランジのものではT1=τ×b×L×2)を求める(s3)。ここで、τはウェブ降伏時のフランジ部5,5の内側に作用する摩擦応力、bはフランジ部5,5の片側有効幅、Lはウェブ部4の有効定着長である。
以下、フランジ部5が負担できる摩擦力T1の具体的な計算方法について、図6(b)に示すフローチャートに基づいて説明する。
有効定着長Lは、実験等に基づいてL=6×Hと仮定し(s31)、これに基づいて軸方向引張力が作用した場合のポアソン効果による有効圧縮力Txを次式より計算する(s32)。
Tx=E・ν・εfw・Ae
=E・ν・Ae・Ty/(E・Aw)
=Ty・ν・Ae/Aw
ここで、Eはヤング率、νはポアソン比、εfwはウェブ部4の降伏ひずみ、Aeはウェブ部4の有効定着断面積(Ae=t1×L)、Awはウェブ部4の断面積(Aw=t1×H)、Tyはウェブの降伏引張力である。
次に、上記有効圧縮力Txと実験による経験則によって有効圧縮力が作用した際の片側フランジ部5,5の片側有効幅bをb=2×t2と仮定する(s33)。尚、t2はフランジ部5の板厚である。
そして、対向するフランジ部5,5から内側のコンクリートへ向けて作用する圧縮応力σ=Tx/(b×L×2)を算出し、ウェブ降伏時のフランジ部5,5内側に作用する摩擦応力τ=σ×μを計算する(s34)。尚、μはコンクリートと鋼との摩擦係数である。
以上の手順を経て、フランジ部5,5とコンクリート2との間に作用する摩擦力T1=τ×2b×L×2を求める。
そして、上記手順を経て得られた引張補強部材3,3…3全体及び補強芯材13,13…全体の軸方向降伏引張力Tとフランジ部5が負担できる摩擦力T1に基づいて棒状部材6,6…が負担すべきせん断力T2=T-T1を計算する(s4)。
最後に、得られた棒状部材6,6…が負担すべきせん断力T2を基に棒状部材6,6…の本数及び配置を決定する(s5)。
棒状部材6,6…の本数及び配置の決定は、複合構造標準示方書や道路橋示方書等に記載されている一般的な頭付きスタッドを使用した設計手法等に基づいて行うことができる。
このように構成された各引張補強部材3,3……及び補強芯材13,13…は、図1~図3に示すように、設計で想定される主たる曲げモーメントが作用する方向に弱軸側を向けて頂版11及び橋脚本体12を構成するコンクリート内に配置されている。
即ち、頂版11では、頂版11の設計で想定される主たる曲げモーメントが作用する頂版11の上下表面(以下、コンクリート表面)に引張補強部材3,3…3の強軸側を向けて配置するとSRC構造と同様に断面の有効高が小さくなってしまうため、コンクリート表面に対し弱軸側、即ちウェブ部4とコンクリート表面とが平行となるように配置され、従来の鉄筋22,22…と同じ向きに長手方向を向けて埋設される。
一方、橋脚本体12では、橋脚本体12の設計で想定される主たる曲げモーメントが作用する橋脚本体12外周面(以下、コンクリート表面)に補強芯材13,13…の強軸側を向けて配置するとSRC構造と同様に断面の有効高が小さくなってしまうため、コンクリート表面に対し弱軸側、即ちウェブ部4とコンクリート表面とが平行となるように配置され、従来の鉄筋22,22…と同じ向きに長手方向を向けて埋設される。
このように構成された橋脚構造1は、従来の橋脚における複数の鉄筋を一つの引張補強部材3,3…3及び補強芯材13,13…で代替することができ、少ない引張補強部材3,3……及び補強芯材13,13…で従来の鉄筋コンクリート造の橋脚と同等又はそれ以上の性能を発揮することができる。
以下に、この橋脚構造1を模した柱部材に関する交番載荷実験の結果を説明する。
この交番載荷実験は、図7に示すように、本発明の橋脚構造1を模した試験体20と従来の鉄筋コンクリート造の橋脚を模した試験体21とに対し、試験体の上部側方より油圧シリンダ等の載荷装置22によって地震慣性力のような繰り返し載荷Pを作用させ、その場合の耐荷力及び塑性率を計測するとともに、コンクリートのひび割れ分散性及び損傷性状を確認した。
図8に両試験体の荷重変位関係を示す。
従来の鉄筋コンクリート造の試験体21では、ステップ後半に荷重が大きく低下しているのに対し、本発明の構造を有する試験体20では粘り強い耐力を示していることが分かる。
また、図9に示す写真で損傷状況を比較すると、従来の鉄筋コンクリート造の試験体では、10δy時に柱の根元でひどく損傷し、主筋が座屈してコンクリートが多く剥落しているが、本発明に係る構造では補強芯材13,13…が座屈しにくく、かぶりコンクリートの剥落は少ないことが確認された。
また、この橋脚構造1では、補強芯材13,13…が頂版11と橋脚本体12とに亘って配置され、且つ、補強芯材13,13…が従来の棒状鉄筋と比べて座屈し難いI形鋼(H形鋼)によって構成されているので、橋脚本体12の塑性ヒンジ部に作用するモーメントに対する耐力も強いため、塑性ヒンジ部の補強芯材13,13…を拘束する帯鉄筋・中間帯鉄筋18,18…の間隔を従来より広くとることが可能となる。尚、塑性ヒンジ部とは、地震等により繰り返し荷重が橋脚に作用した際に、降伏強度を超えて塑性化し、ヒンジのように回転剛性を失った部分をいう。
また、前記モーメントが大きく作用しない橋脚本体12上部の補強芯材13,13…群を拘束する帯鉄筋・中間帯鉄筋18,18…の間隔を塑性ヒンジ部付近よりさらに疎にすることができ、その分、作業の省力化が可能となる。
尚、上述の実施例では、付着強化手段として棒状部材6を使用した例について説明したが、付着強化手段の態様はこれに限定されるものではなく、例えば、棒状以外の形状の突起物をウェブ部4の表面及び/又は裏面に突設させてもよく、ウェブ部4の表面と裏面とで異なる径や形状の棒状部材6を用いてもよい。
また、コンクリートの充填性及び付着強化のため引張補強部材3のウェブ部4に貫通孔を有したもの(一般に孔あきジベルと呼ばれる)を形成してもよい。
さらに、上述の実施例では、頂版11の設計で想定される主たる曲げモーメントが作用する頂版11の上下表面(以下、コンクリート表面)に対し弱軸側、即ちウェブ部4とコンクリート表面とが平行となるように配置された場合について説明したが、コンクリートの充填性を重視し、頂版11の上下表面(以下、コンクリート表面)に対し引張補強部材3,3…3の強軸側を向けて配置してもよい。
また、補強芯材13,13…の態様は、上述の実施例に限定されず、例えば、補強芯材13,13…を、橋脚本体12の塑性ヒンジ部に適用される塑性ヒンジ部用芯部材と、塑性ヒンジ部以外の部分に適用される薄肉芯部材との2種類の部材によって構成し、薄肉芯部材のウェブ部及フランジ部が塑性ヒンジ部用芯部材のウェブ部及フランジ部よりも肉薄に形成してもよい。
例えば、橋脚本体12の塑性ヒンジ部が頂版11から所定の高さまでであって、それより上部が塑性ヒンジ部以外の部分となる場合、頂版11から塑性ヒンジ部の上端に至る部分までを塑性ヒンジ用芯部材とし、塑性ヒンジ用芯部材の上端に薄肉芯部材を接合させ、補強芯材13を形成する。
この場合、最も曲げモーメント及びせん断力が作用する塑性ヒンジ部の強度を確保しつつ、それ以外の部分に薄肉芯部材に肉厚の薄いものを使用することで材料費の低減を図ることができる。
さらに、上述の実施例では、頂版11においても芯部材と同様の部材を使用した場合について説明したが、頂版11を一般的な棒状鉄筋を使用した鉄筋コンクリート構造とすることも可能である。
1 橋脚構造
2 地盤
3 引張補強部材
4 ウェブ部
5 フランジ部
6 棒状部材
8 連結部材
9 引張補強部材群
10 群体連結部材
11 頂版
12 橋脚本体
13 補強芯材
14 鋼管矢板井筒基礎
15 鋼管矢板
16 引張補強部材群ユニット
17 補強芯材群
18 帯鉄筋・中間帯鉄筋

Claims (11)

  1. 水平方向に向けた引張補強部材が上下複数段配置に埋設されたコンクリート製の頂版と、該頂版上に立設されたコンクリート製の橋脚本体と、前記頂版と前記橋脚本体とに埋設される複数の鉛直方向に向けた補強芯材とを備えた橋脚構造において、
    前記補強芯材は、細長平板状のウェブ部と、該ウェブ部の両側部より該ウェブ部の表面及び/又は裏面と交差する方向に張り出したフランジ部と、前記ウェブ部と前記頂版及び前記橋脚本体を構成するコンクリートとを付着させる付着強化手段とを備えていることを特徴とする橋脚構造。
  2. 前記補強芯材は、前記橋脚本体において前記橋脚本体の設計で想定される主たる曲げモーメントが作用する方向に弱軸側を向けて配置されている請求項1に記載の橋脚構造。
  3. 前記補強芯材は、前記橋脚本体の塑性ヒンジ部に適用される塑性ヒンジ部用芯部材と、前記塑性ヒンジ部以外の部分に適用される薄肉芯部材との2種の部材によって構成され、該薄肉芯部材のウェブ部及フランジ部が前記塑性ヒンジ部用芯部材のウェブ部及フランジ部よりも肉薄に形成されている請求項1又は2に記載の橋脚構造。
  4. 前記付着強化手段は、前記ウェブ部の表面及び/又は裏面に突設された複数の棒状部材を備えている請求項1~3の何れか一に記載の橋脚構造。
  5. 前記フランジ部は、前記ウェブ部のポアソン効果によって生じる圧縮力が有効に作用する幅に形成され、
    前記棒状部材は、前記補強芯材の軸方向降伏引張力から前記ウェブ部のポアソン効果により前記フランジ部と前記コンクリートとの間に生じる摩擦力による負担分を除いたせん断力を負担可能な本数となっている請求項4に記載の橋脚構造。
  6. 前記引張補強部材は、細長平板状のウェブ部と、該ウェブ部の両側部より該ウェブ部の表面及び/又は裏面と交差する方向に張り出したフランジ部と、前記ウェブ部と前記頂版及び前記橋脚本体を構成するコンクリートとを付着させる付着強化手段とを備えている請求項1~5の何れか一に記載の橋脚構造。
  7. 互いに水平方向に間隔をおいて配置された複数の前記引張補強部材が連結部材によって連結されてなる引張補強部材群を備えている請求項6に記載の橋脚構造。
  8. 複数の前記引張補強部材群が互いに上下に間隔をおいて配置され、前記補強部材群間が群体連結部材によって連結されユニット化されている請求項7に記載の橋脚構造。
  9. 前記引張補強部材は、前記頂版において前記頂版の設計で想定される主たる曲げモーメントが作用する方向に弱軸側を向けて配置されている請求項6~8の何れか一に記載の橋脚構造。
  10. 前記引張補強部材は、前記ウェブ部を貫通する貫通孔が形成されている請求項9に記載の橋脚構造。
  11. 前記引張補強部材は、前記頂版において前記頂版の設計で想定される主たる曲げモーメントが作用する方向に強軸側を向けて配置されている請求項6~8の何れか一に記載の橋脚構造。
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