JP2023125049A - 細胞懸濁液を送達するための医療機器および方法 - Google Patents

細胞懸濁液を送達するための医療機器および方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023125049A
JP2023125049A JP2022028958A JP2022028958A JP2023125049A JP 2023125049 A JP2023125049 A JP 2023125049A JP 2022028958 A JP2022028958 A JP 2022028958A JP 2022028958 A JP2022028958 A JP 2022028958A JP 2023125049 A JP2023125049 A JP 2023125049A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell suspension
balloon
container
medical device
cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022028958A
Other languages
English (en)
Inventor
文哉 大橋
Fumiya Ohashi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP2022028958A priority Critical patent/JP2023125049A/ja
Publication of JP2023125049A publication Critical patent/JP2023125049A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Media Introduction/Drainage Providing Device (AREA)
  • Infusion, Injection, And Reservoir Apparatuses (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、簡便な機構と、簡単な作業で、目的部位に適切に細胞懸濁液を送達するための医療機器を実現することを目的とする。【解決手段】 細胞懸濁液を目的部位に送達するための医療機器であって、中空のシャフト体、細胞懸濁液を収容可能な収容体、および膨張可能なバルーン体を含み、収容体およびバルーン体はシャフト体上に隣接して配置され、バルーン体は収容体側に突設された先鋭部を有し、バルーン体をシャフト体の軸方向に膨張させ、先鋭部を収容体に押し付けることで開裂できるように構成されている、前記医療機器。【選択図】 図1

Description

本発明は、細胞懸濁液を送達するための医療機器および方法に関する。
近年、損傷した組織等の修復のために、種々の細胞を移植する試みが行われている。例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患により損傷した心筋組織の修復のために、胎児心筋細胞、骨格筋芽細胞、間葉系幹細胞、心臓幹細胞、ES細胞、iPS細胞等の利用が試みられている(非特許文献1)。
このような試みの一環として、スキャフォールドを利用して形成した細胞構造物や、細胞をシート状に形成したシート状細胞培養物が開発されてきた(非特許文献2)。
また、細胞等の移植による損傷した組織等の修復の別の例として、重症下肢疾患に対するCD34陽性細胞治療が挙げられる。かかる治療において、CD34陽性細胞を、生理食塩水に溶解して、重篤な虚血状態にある両足の数十か所に、筋肉注射により注入している(非特許文献3)。
Haraguchi et al., Stem Cells Transl Med. 2012 Feb;1(2):136-41 Sawa et al., Surg Today. 2012 Jan;42(2):181-4 Fujita et al., Circulation Journal Vol.78, February 2014: 490-501
本発明は、簡便な機構と、簡単な作業で、目的部位に適切に細胞懸濁液を送達するための医療機器を実現することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を進める中で、細胞懸濁液を収容した収容体を目的部位に送達して開裂させることで、細胞懸濁液のロスを最小限に抑えつつ適切に目的部位に送達できることを見出し、かかる知見に基づいてさらに研究を続けた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1]細胞懸濁液を目的部位に送達するための医療機器であって、中空のシャフト体、細胞懸濁液を収容可能な収容体、および膨張可能なバルーン体を含み、収容体およびバルーン体はシャフト体上に隣接して配置され、バルーン体は収容体側に突設された先鋭部を有し、バルーン体をシャフト体の軸方向に膨張させ、先鋭部を収容体に押し付けることで開裂できるように構成されている、前記医療機器。
[2]バルーン体が、さらにシャフト体の半径方向に膨張するように構成されている、[1]に記載の医療機器。
[3]バルーン体が、収容体の両側に配置されている、[1]または[2]に記載の医療機器。
[4]収容体が、シャフト体の軸方向に複数設けられている、[1]~[3]のいずれか一つに記載の医療機器。
[5] シャフト体が、バルーン体内に連通する連通孔、および/または収容体内に連通する連通孔を有する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の医療機器。
[6]シャフト体内を摺動し、連通孔を介して、バルーン体内に流体を注入、および/または収容体内に細胞懸濁液を注入可能な管状体をさらに含む、[5]に記載の医療機器。
[7]細胞懸濁液を目的部位に送達するための方法であって、[1]~[6]のいずれか一つに記載の医療機器を提供するステップ、細胞懸濁液を収容体内へ収容するステップ、医療機器を目的部位に送達するステップ、およびバルーン体を膨張させ、先鋭部を収容体に押し付けることで開裂させるステップを含む、前記方法。
[8]バルーン体を膨張させることが、バルーン体をシャフト体の半径方向に膨張させることを含む、[7]に記載の方法。
[9]目的部位が血管壁である、[7]または[8]に記載の方法。
本発明によれば、簡便な機構と、簡単な作業で、目的部位に適切に細胞懸濁液を送達できるため、作業性や製造コストの点において大きなメリットがある。
本発明によれば、少量の細胞懸濁液を目的部位に適切に送達できるため、細胞懸濁液のロスを少なくすることができる。また、複数の収容体に収納した細胞懸濁液を複数の目的部位に対して連続的に送達することができるため、下肢血管のような長い距離の血管内にある複数の患部に対して、適切に細胞懸濁液を投与することができる。
本発明によれば、収容体に隣接するバルーン体を膨張させて血管内を閉塞させて血流を止め、下流側にある収容体内の細胞懸濁液を投与することができるため、細胞懸濁液が血流に流されることがなく、細胞を患部に対してロスなく適切に生着させることができる。
本発明によれば、シャフト体に設けられた連通孔と、連通孔を介してバルーン体および/または収容体に連通することができる管状体とを組み合わせることにより、細胞懸濁液の収容体内への収容、バルーン体の膨張による収容体の開裂などを簡単な機構と操作により行うことができる。
図1は、本発明の第1実施態様に係る医療機器を示す概念図である。
本発明において、「細胞懸濁液」とは、細胞が任意の媒体中で懸濁状態となっているものをいう。細胞は、単一の細胞の状態であってもよく、または細胞同士が介在物質を介して連結されていてもよい。細胞は、任意の遺伝子または任意の遺伝子を含むウイルスベクターなどを含んでいてもよい。また、細胞は、細胞培養物であってもよい。本発明において、細胞培養物は、細胞培養ステップを経て得られるものを指し、これらに限定されるものではないが、スフェロイド、シート状細胞培養物およびシート状細胞培養物の破砕片を包含する。
本発明において、細胞を懸濁する媒体は、これらに限定されないが、水、生理食塩水、培地、緩衝液、希釈液、細胞保存液およびゲルなどの膨潤体などが挙げられる。
本発明において「シート状細胞培養物」とは、細胞が互いに連結してシート状になったものをいう。細胞同士は、直接(接着分子などの細胞要素を介するものを含む)および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも物理的(機械的)に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも物理的(機械的)に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。シート状細胞培養物は、1の細胞層から構成されるもの(単層)であっても、2以上の細胞層から構成されるもの(積層(多層)体、例えば、2層、3層、4層、5層、6層など)であってもよい。また、シート状細胞培養物は、細胞が明確な層構造を示すことなく、細胞1個分の厚みを超える厚みを有する3次元構造を有してもよい。例えば、シート状細胞培養物の垂直断面において、細胞が水平方向に均一に整列することなく、不均一に(例えば、モザイク状に)配置された状態で存在していてもよい。
シート状細胞培養物は、好ましくはスキャフォールド(支持体)を含まない。スキャフォールドは、その表面上および/またはその内部に細胞を付着させ、シート状細胞培養物の物理的一体性を維持するために当該技術分野において用いられることがあり、例えば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)製の膜等が知られているが、本発明のシート状細胞培養物は、かかるスキャフォールドがなくともその物理的一体性を維持することができる。また、本発明のシート状細胞培養物は、好ましくは、シート状細胞培養物を構成する細胞由来の物質のみからなり、それら以外の物質を含まない。
本発明において、「シート状細胞培養物の破砕片」とは、シート状細胞培養物を破砕することにより、複数の破砕片へと分割したものを指す。破砕片の大きさは、これに限定されるものではないが、破砕片のうち大部分が、微小血管へ入らず、かつ注射針の内部を通る大きさであることが好ましい。かかる大きさは、例えば、シート形状の平面の対角線の長さの平均が30μm~1000μmであり、好ましくは100μm~500μmである。本発明において破砕は、シート状細胞培養物の破砕片を得られるものであれば、既知の任意の方法によって行うことができ、例えば、シリンジおよびニードルまたはピペットなどにより、シート状細胞培養物を含む媒体を懸濁することによって行うことができる。
本発明の細胞懸濁液に含まれる細胞は、特に限定されず、例えば、接着細胞(付着性細胞)が挙げられる。接着細胞は、例えば、接着性の体細胞等を含む。体細胞の例としては、例えば、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞等)、筋衛星細胞、間葉系幹細胞(例えば、骨髄、脂肪組織、末梢血、皮膚、毛根、筋組織、子宮内膜、胎盤、臍帯血由来のもの等)、心筋細胞、線維芽細胞、心臓幹細胞等の組織幹細胞、胚性幹細胞、iPS(induced pluripotent stem)細胞等の多能性幹細胞、滑膜細胞、軟骨細胞、上皮細胞(例えば、口腔粘膜上皮細胞、網膜色素上皮細胞、鼻粘膜上皮細胞等)、内皮細胞(例えば、血管内皮細胞等)、肝細胞(例えば、肝実質細胞等)、膵細胞(例えば、膵島細胞等)、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞等が挙げられる。体細胞は、iPS細胞から分化させたもの(iPS細胞由来細胞)であってよく、iPS細胞由来の心筋細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞、滑膜細胞、軟骨細胞等が挙げられる。
細胞は浮遊細胞を含む。浮遊細胞の例としてはTリンパ球やBリンパ球を含む。
一態様において、本発明の細胞懸濁液に含まれる細胞は、血管新生を促進できる細胞、例えば、血管新生を促進する因子、例えば、VEGFなどのサイトカインを分泌できる細胞が特に好ましい。
本発明において、用語「対象」は、任意の生物個体、好ましくは動物、さらに好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトの個体を意味する。本発明の医療機器は、下肢の疾患を有している対象の病変部位付近の脈管内で使用される。一態様において、医療機器は、末梢動脈疾患の患者において、血流量が悪化している病変部位、例えば、下肢の大腿内転筋群における脈管内で使用される。
本発明において、「目的部位」とは、例えば、対象の病変部位付近の脈管が挙げられる。目的部位としては、例えば、脈管において、損傷(創傷)が存在する部位や、その近傍が挙げられる。損傷(創傷)は、これらに限定されるものではないが、血管の狭窄や閉塞を含み、このような場合においては、目的部位は、血管の狭窄や閉塞が起こっている部位や、その近傍である。目的部位は、予め投与前に超音波検査やCT検査などによって決定されてもよい。
本発明において、細胞懸濁液は、対象の組織内、好ましくは、対象の脈管内、脈管周辺の組織内、より好ましくは下肢の疾患を有している対象の病変部位付近の脈管内、脈管周辺の組織内へ投与される。一態様において、細胞懸濁液は、末梢動脈疾患の患者において、血流量が悪化している病変部位、例えば、下肢の大腿内転筋群における脈管内、脈管周辺の組織中へ投与される。一態様において、細胞懸濁液を、病変部位付近の脈管内、脈管周辺の組織内に投与することにより、例えば投与7日後に、健常状態と比較して、例えば35%、40%、45%まで血流量を改善することができる。一態様において、細胞懸濁液を、病変部位付近の脈管内、脈管周辺の組織内に投与することにより、対照の生理食塩水と比較して、例えば、血流量を約1.5倍、約2倍、約2.5倍改善することができる。
一態様において、本発明の医療機器により細胞懸濁液を投与される対象は、下肢の疾患を有する。下肢の疾患は、下肢に障害を有するあらゆる疾患を含む。かかる疾患の例として、これらに限定されないが、末梢動脈疾患、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症および糖尿病足病変などが挙げられる。好ましくは、本発明における下肢の疾患は、下肢において血管が狭窄または閉塞し、その下肢の血流量が悪化している疾患、例えば、末梢動脈疾患である。本発明において、末梢動脈疾患は、これらに限定されるものではないが、下肢閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膠原病などを含み、特に重症化した下肢閉塞性動脈硬化症を重症下肢虚血と称する。
特定の理論に拘束されることはないが、本発明の医療機器により投与される細胞懸濁液の下肢の疾患への作用は、投与された本発明の細胞懸濁液に含まれる細胞から持続的に分泌されるVEGFなどのサイトカインやエクソソームが、虚血部位の細胞に直接的および/または間接的に作用し、血管新生を促進することによるものと考えられる。
エクソソームとは、細胞由来の膜質二重膜から構成される小胞である。小胞中にはタンパク質、mRNA、microRNAなどの核酸が内包されている。エクソソームは多くの細胞種から放出されるが、特に間葉系幹細胞由来のエクソソームが好ましい。間葉系幹細胞由来のエクソソームは血管新生、抗炎症作用、創傷治癒といった様々な作用を有している。エクソソームのみを回収するには細胞を無血清培地で培養することができる。エクソソームのサイズとしては例えば20~1000nmである。
本発明において、「医療機器」とは、ヒトもしくは動物の疾病の診断、治療もしくは予防に使用されること、またはヒトもしくは動物の身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等を指す。
本発明において、「細胞懸濁液を目的部位に送達する」とは、疾患を有する部位(目的部位)を治療するために、細胞懸濁液を収容した収容体を血管を通して患部に送達し、収容体を開裂させて投与するという、治療行為を行うことを含むことができる。本発明において、目的部位は、典型的には不整脈や再狭窄の原因となる血管内皮細胞の損傷部位(患部)であるが、他にも、創傷治癒、疼痛緩和、血流改善、梗塞、静脈瘤などの治療のために、細胞懸濁液を送達するために使用することもできる。
本発明において、「バルーン体」とは、その内腔(バルーン体の内表面)とシャフト体との間の空間に生理食塩水や気体などの流体を収容でき、膨張および収縮が可能な部材をいう。バルーン体は、流体を注入して内圧を高めることで膨張させることができ、流体を排出して内圧を低くすることで収縮させることができる。バルーン体は、シャフト体を周方向に取り囲むように配置され、膨張させると、シャフト体の軸方向に膨張するように構成されている。また、バルーン体は、膨張させると、さらにシャフト体の半径方向に膨張するように構成することもできる。
バルーン体の軸方向への膨張は、膨張したバルーン体を隣接する収容体に押し付けて開裂できるだけの距離と圧力が確保されるように構成されればよい。バルーン体をシャフト体の半径方向に膨張するように構成した場合、膨張させて血管内を閉塞(塞栓)させ、血管内の血流を止めるために使用することもできる。この場合は、バルーン体の膨張後の直径が、1mm~10mm、好ましくは2mm~8mm、より好ましくは3mm~7mmとなるように、構成することができる。
収容体およびバルーン体は、シャフト体上に隣接して配置されるが、この際に、バルーン体が収容体より血流の上流側になるように配置することが好ましい。すなわち、シャフト体の半径方向に膨張させたバルーン体で血管内を閉塞させることで、血流を堰き止め、細胞を患部に対して適切に生着させることができる。また、バルーン体は、収容体から見て、血流の上流側だけでなく、血流の下流側、すなわち、収容体の両側に配置することもできる。これにより、血管内に密閉空間を形成し、かかる密閉空間内に細胞懸濁液が放出(投与)されるため、血流の影響を最小限に抑えることができる。
一態様において、バルーン体は、収容体側に突設された先鋭部を有し、バルーン体を膨張させて先鋭部で収容体を開裂できるように構成することもできる。すなわち、「先鋭部」とは、シャフト体を軸方向に移動させ、収容体に押し当てることで開裂できる先鋭の部材をいう。かかる先鋭の部材としては、針状、ステント状、錐状の部材など、様々なものが考えられるが、当業者であれば、収容体の材料や強度に合わせて、収容体を開裂できる好適な部材や形状を選択することができる。
本発明において、「収容体」とは、内側に細胞懸濁液を収容できる空間を有する部材をいう。収容体は、シャフト体上にどのように配置してもよいが、例えばシャフト体を周方向に取り囲むように配置することができ、これにより、シャフト体と収容体との間に細胞懸濁液を収容することができる。バルーン体は、膨張および収縮させること、収容体は、バルーン体を押し付けて開裂させることを目的とした部材であり、収容体の強度は、バルーン体の強度より小さくなるように構成することが好ましい。
バルーン体および収容体の材料としては、弾性樹脂材料が挙げられ、かかる弾性樹脂材料としては、限定されず、例えば、ポリアミド、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン、ポリウレタン系エラストマー、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、「シャフト体」とは、収容体やバルーン体をその先端部分に配置した状態で、目的部位に送達することができる長尺の部材をいう。シャフト体の長さは、30cm~250cm、好ましくは60cm~200cm、より好ましくは90cm~150cmとすることができる。
シャフト体は、屈曲した血管内などに挿入して目的部位にアプローチできるように、屈曲可能に構成することができる。シャフト体は、中空体として構成することができ、シャフト体の基端側から生理食塩水や気体などの流体や細胞懸濁液などを入れて、シャフト体の先端側に送り込むことができる。
一態様において、シャフト体は、バルーン体内に連通する連通孔、および/または収容体内に連通する連通孔を設けることができる。これにより、シャフト体の基端側から流体を送り込み、バルーン体内に連通孔を介して注入して膨張させることができる。また、シャフト体の基端側から細胞懸濁液を送り込み、連通孔を介して収容体内に注入(収容)することもできる。一態様において、医療機器は、シャフト体内を摺動し、連通孔を介して、バルーン体に流体を注入する、および/または収容体に細胞懸濁液を注入することができる管状体をさらに含むことができる。シャフト体の先端部は閉塞させることができる。
本発明において、「管状体」とは、基端側から流体や細胞懸濁液を送り込み、開口部から放出することができる、長尺の中空部材をいう。すなわち、管状体をシャフト体内で摺動させることで、管状体の開口部をシャフト体の連通孔に対して位置決めして連通させることができる。これにより、シャフト体上で位置の異なる収容体および/またはバルーン体に、適切に流体や細胞懸濁液を注入することができる。連通孔は、開閉可能に構成することもできる。管状体は、用途に合わせて複数本使用することもできる。開口部を複数設けることもできる。
一態様において、シャフト体は、収容体が配置されている先端部分を取り外し可能に構成することができる。すなわち、長尺で距離のあるシャフト体内に細胞懸濁液を送り込む場合は、先端部にある収容体に到達させるために大量の細胞懸濁液が必要となるが、収容体を含む先端部分を取り外し可能に構成することで、少ない量の細胞懸濁液でも収容体内を満たすことができる。連通孔を介して収容体に細胞懸濁液を注入した後に、連通孔を閉じて細胞懸濁液を収容体内に適切に保持することもできる。
収容体は、シャフト体上に複数設けることで、複数の患部に細胞懸濁液を送達することができる。バルーン体は、複数の収容体に隣接して、同様に複数設けることができる。すなわち、収容体による細胞懸濁液の投与位置をシフトさせることで、別の位置にある複数の患部に連続的に細胞懸濁液を投与して行くことができる。また、シャフト体上の連通孔や管状体の開口部も同様に、複数の収容体やバルーン体の位置に合わせて複数設けることができる。
下肢の大腿内転筋群における血管においては、血管内の複数の場所に患部が存在していることが多く、これら複数の患部に対してカテーテルで細胞懸濁液を送るとしたら、カテーテルの基端から先端に至るまで細胞懸濁液が必要となり、少量でも高価な細胞懸濁液をカテーテルを使用して送り込むとカテーテル内部のデッドボリュームの細胞懸濁液が無駄になるため適切ではない。それに対して、本発明の医療機器は、収容体内に細胞懸濁液を収容して患部に送達するため、細胞懸濁液のロスが少なく有利である。
シャフト体および管状体の材料としては、特に限定されず、各種公知の材料を単独でまたは複数組み合わせて用いることができる。このような材料としては、例えば、金属、軟質塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴム、スチレンーエチレンーブチレンースチレン共重合体(SEBS)、スチレンーエチレンープロピレンースチレン共重合体(SEPS)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ナイロンなどのポリアミド樹脂及びポリアミドエラストマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂及びポリエステルエラストマー、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、本発明の好適な実施態様に係る医療機器ついて、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施態様に係る医療機器の概念図を示す。
なお、本願における各図において、説明を容易とするため、各部材の大きさは、適宜強調されており、図示の各部材は、実際の大きさを示すものではない。また、図中左側を医療機器の先端側、図中右側を医療機器の基端側として説明し、便宜上、医療機器の基端側は省略している。
第1実施態様
まず、本発明の第1実施態様について説明する。
図1aに示されるように、本発明の第1実施態様に係る医療機器Mは、中空のシャフト体1、収容体2およびバルーン体3を含む。収容体2およびバルーン体3は、シャフト体1上に隣接して配置されている。バルーン体3は、収容体2の両側に配置されている。収容体2には、細胞懸濁液が収容されている。バルーン体3は、内側に生理食塩水などの流体を収容可能な空間を有し、膨張および収縮可能に構成されている。
収容体2およびバルーン体3は、シャフト体1を周方向に取り囲むように配置されている。シャフト体1は、収容体2内に連通する連通孔12、およびバルーン体3内に連通する連通孔11を有する。バルーン体3は、収容体2側に突設された先鋭部31を有し、その軸方向反対側には、バルーン体3の軸方向の移動を制限するための固定部32を有する。先鋭部31は、その先鋭な先端側が収容体2の方向に向くように、バルーン体3上に突設されている。
医療機器Mを使用する際は、まず、収容体2に細胞懸濁液を収容する。収容体2への細胞懸濁液の収容は、細胞懸濁液を入れたシリンジなどを収容体2へ穿刺して注入した後に針孔を溶着する、シャフト体1の基端側から細胞懸濁液を流し込み、連通孔12を介して収容体2へ注入する、管状体4の基端側から細胞懸濁液を流し込み、管状体4の開口部41から連通孔12を介して収容体2へ注入するなどの様々な手法をとることができる。
図1aに示されるように、医療機器Mは、収容体2に細胞懸濁液を収容し、バルーン体3を収縮させた状態で血管V内に挿入する。次に、図1bに示されるように、バルーン体3内に流体を注入することで、バルーン体3をシャフト体1の半径方向に膨張させる。バルーン体3内への流体の注入は、シャフト体1の基端側から流体を流し込み、連通孔11を介してバルーン体3へ注入する、管状体4の基端側から流体を流し込み、管状体4の開口部41から連通孔11を介してバルーン体3へ注入するなどの様々な手法をとることができる。
管状体4を使用して、細胞懸濁液や流体を注入する場合は、シャフト体1の基端側から管状体4を挿入し、管状体4の開口部41をシャフト体1の連通孔11や収容体2の連通孔12に対して位置決めする。そして、管状体4の基端側から細胞懸濁液や流体を送り込み、開口部41から連通孔11、12を介してバルーン体3や収容体2内に注入することができる。連通孔11、12を開閉可能に構成することで、注入した細胞懸濁液や流体を閉じ込めることができる。管状体4は、複数本使用してもよいし、複数の開口部41を設けてもよい。
流体を注入して、収容体2の両側のバルーン体3をシャフト体1の半径方向に膨張させると、血管Vが閉塞され、血管Vおよびバルーン体3に取り囲まれた密閉空間が形成される。そして、図1cに示されるように、さらにバルーン体3内に流体を注入すると、バルーン体3はシャフト体1の軸方向に膨張し始める。バルーン体3は固定部32により軸方向の移動が制限されるため、固定部32の反対方向、すなわち収容体2方向に膨張する。すると、バルーン体3上に設けられた先鋭部31が収容体2に押し付けられて開裂が起こる。
収容体2が開裂されると、収容体2内の細胞懸濁液が放出されて血管V内の患部Aに投与される。細胞懸濁液は、血管Vおよびバルーン体3に取り囲まれた密閉空間に放出されるため、細胞が血流に流されることなく患部Aに作用するため、治療効果が高まる。細胞は30分ほどで患部Aに定着するため、その後はバルーン体3から流体を放出して収縮させた上で、医療機器Mを血管V内から回収する。
本発明の医療機器Mは、1つの収容体2に隣接する1つのバルーン体3を軸方向に膨張させることで、収容体2を開裂させて細胞懸濁液を投与するという、所期の効果を発揮させることができる。この際に、収容体2から見て、血流の上流側にバルーン体3を配置し、バルーン体3をシャフト体1の半径方向に膨張させることで、血流を堰き止めることもできる。収容体2およびバルーン体3を複数設けることで、複数の患部Aに細胞懸濁液を投与することもできる。
先鋭部31をバルーン体3の両側に設けることで、バルーン体3の両側に隣接する2つの収容体2を開裂できるように構成することもできる。先鋭部31を省略し、バルーン体3を収容部2に直接押し付けて開裂させることもできる。収容部2に薄肉部を設けることで、開裂が起こりやすくなるように構成することもできる。先鋭部としてステントを使用し、かかるステントを収容部2の内側(外側でもよい)に配置し、バルーン体3の膨張に伴ってステントが拡張することで、収容部2を内側から開裂させることもできる。
本発明の医療機器の使用は、以下の工程によって順次行うことができる。
(1)医療機器を提供する
(2)細胞懸濁液を収容体内へ収容する
(3)医療機器を目的部位に送達する
(4)バルーン体をシャフト体の軸方向に膨張させ、先鋭部を収容体に押し付けることで開裂させる
バルーン体を膨張させることは、バルーン体をシャフト体の半径方向に膨張させることを含んでもよい。
以上、本発明によれば、簡便な機構と、簡単な作業で、目的部位に適切に細胞懸濁液を送達できるため、作業性や製造コストの点において大きなメリットがある。
本発明によれば、少量の細胞懸濁液を目的部位に適切に送達できるため、細胞懸濁液のロスを少なくすることができる。また、複数の収容体に収納した細胞懸濁液を複数の目的部位に対して連続的に送達することができるため、下肢血管のような長い距離の血管内にある複数の患部に対して、適切に細胞懸濁液を投与することができる。
本発明によれば、収容体に隣接するバルーン体を膨張させて血管内を閉塞させて血流を止め、下流側にある収容体内の細胞懸濁液を投与することができるため、細胞懸濁液が血流に流されることがなく、細胞を患部に対してロスなく適切に生着させることができる。
本発明によれば、シャフト体に設けられた連通孔と、連通孔を介してバルーン体および/または収容体に連通することができる管状体とを組み合わせることにより、細胞懸濁液の収容体内への収容、バルーン体の膨張による収容体の開裂などを簡単な機構と操作により行うことができる。
M 医療機器
1 シャフト体
11 連通孔
12 連通孔
2 収容体
3 バルーン体
31 先鋭部
32 固定部
4 管状体
41 開口部
A 患部
V 血管

Claims (9)

  1. 細胞懸濁液を目的部位に送達するための医療機器であって、中空のシャフト体、細胞懸濁液を収容可能な収容体、および膨張可能なバルーン体を含み、収容体およびバルーン体はシャフト体上に隣接して配置され、バルーン体は収容体側に突設された先鋭部を有し、バルーン体をシャフト体の軸方向に膨張させ、先鋭部を収容体に押し付けることで開裂できるように構成されている、前記医療機器。
  2. バルーン体が、さらにシャフト体の半径方向に膨張するように構成されている、請求項1に記載の医療機器。
  3. バルーン体が、収容体の両側に配置されている、請求項1または2に記載の医療機器。
  4. 収容体が、シャフト体の軸方向に複数設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療機器。
  5. シャフト体が、バルーン体内に連通する連通孔、および/または収容体内に連通する連通孔を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療機器。
  6. シャフト体内を摺動し、連通孔を介して、バルーン体内に流体を注入、および/または収容体内に細胞懸濁液を注入可能な管状体をさらに含む、請求項5に記載の医療機器。
  7. 細胞懸濁液を目的部位に送達するための方法であって、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の医療機器を提供するステップ、
    細胞懸濁液を収容体内へ収容するステップ、
    医療機器を目的部位に送達するステップ、および
    バルーン体を膨張させ、先鋭部を収容体に押し付けることで開裂させるステップを含む、前記方法。
  8. バルーン体を膨張させることが、バルーン体をシャフト体の半径方向に膨張させることを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 目的部位が血管壁である、請求項7または8に記載の方法。
JP2022028958A 2022-02-28 2022-02-28 細胞懸濁液を送達するための医療機器および方法 Pending JP2023125049A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022028958A JP2023125049A (ja) 2022-02-28 2022-02-28 細胞懸濁液を送達するための医療機器および方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022028958A JP2023125049A (ja) 2022-02-28 2022-02-28 細胞懸濁液を送達するための医療機器および方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023125049A true JP2023125049A (ja) 2023-09-07

Family

ID=87887811

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022028958A Pending JP2023125049A (ja) 2022-02-28 2022-02-28 細胞懸濁液を送達するための医療機器および方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023125049A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7828782B2 (en) Closed cell culture system
Ko et al. Enhanced re-endothelialization of acellular kidney scaffolds for whole organ engineering via antibody conjugation of vasculatures
AU2003237824B9 (en) System and method for treating cardiac arrhythmias with fibroblast cells
JP2010150261A (ja) 心臓状態を治療するための物質組成並びに関連するシステム及び方法
US20100280493A1 (en) Methods and Systems for Treating Injured Cardiac Tissue
KR20140010929A (ko) 인공보철 조직 판막
US20210052663A1 (en) Compositions and Methods for Treatment of Cardiovascular Disorders
JP2005524496A (ja) 非破壊性心伝導ブロック形成用システム及び方法
JP6740526B1 (ja) 血管血栓溶解用のダブルバルーン注射カテーテル器具
US20180200404A1 (en) Method for producing a fibrin-based bioartificial, primarily acellular construct, and the construct itself
Mbituyimana et al. Microneedle-based cell delivery and cell sampling for biomedical applications
WO2010127553A1 (zh) 主动性液压心室贴附支持系统
JP2023125049A (ja) 細胞懸濁液を送達するための医療機器および方法
WO2007112136A2 (en) Methods and systems for treating injured cardiac tissue
JP2023125060A (ja) 血管内に乱流を発生させるための医療機器および方法
JP2023034856A (ja) 細胞懸濁液を送達するための医療機器および方法
JP2023125015A (ja) 細胞懸濁液を送達するための医療機器および方法
JP2023125045A (ja) 目的部位に細胞が産生する液性因子を含む液体を投与するための医療機器
JP2023125046A (ja) 医療機器および使用方法
JP2023125051A (ja) 目的部位に細胞懸濁液を注入するための医療機器
JP2023034854A (ja) 細胞懸濁液を注入するための医療機器および方法
JP2023034850A (ja) バスケット部を備えた組織中の目的部位に細胞を投与するための医療機器
CN111345917A (zh) 小鼠心肌梗死后的心肌注射造模方法及装置
JPWO2020059854A1 (ja) シート状物貼付デバイス
JP4067419B2 (ja) 閉鎖型細胞培養システム