JP2023124858A - 粘着剤組成物、及び、粘着テープ - Google Patents

粘着剤組成物、及び、粘着テープ Download PDF

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Takehiro Ogata
彰 下地頭所
Akira Shimojitosho
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Abstract

【課題】表面の凹凸部分に水分を保持した状態にある被着体に対しても高い接着強度を発揮することのできる粘着剤組成物を提供する。また、該粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープを提供する。【解決手段】アクリル共重合体と、下記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)等を有する化合物(T1)とを含有し、前記アクリル共重合体は、SP値が9.5以上、14.0以下の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を50重量%以上含有する粘着剤組成物。TIFF2023124858000030.tif31156式中、R1は水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。nは2以上4以下の整数を表し、n’は2以上5以下の整数を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物、及び、粘着テープに関する。
従来から、様々な用途において部品を固定する際、粘着テープが広く用いられている。具体的には、例えば、携帯電子機器の表面を保護するためのカバーパネルをタッチパネルモジュール又はディスプレイパネルモジュールに接着したり、タッチパネルモジュールとディスプレイパネルモジュールとを接着したりするために、粘着テープが用いられている。このような部品の固定に用いられる粘着テープには、高い粘着性に加え、使用される部位の環境に応じて、耐熱性、熱伝導性、耐衝撃性等の機能が要求されている(例えば、特許文献1~3)。
特開2015-052050号公報 特開2015-021067号公報 特開2015-120876号公報
粘着性の向上を目的として、ベースポリマーに粘着付与樹脂を添加した粘着剤組成物が知られている。粘着付与樹脂は、通常、ベースポリマーのバルクの力学特性、表面極性等を変化させて、接着強度を向上させる。
近年、粘着テープの用途が広がり、粘着剤組成物にはより高い性能が求められている。例えば、通常接着強度が得られにくい湿潤状態にある被着体に対しても充分な接着強度を発揮できることが求められている。特に、コンクリート、モルタル等からなる表面に凹凸部分を有する被着体が、その凹凸部分に水分を保持した状態にある場合、充分な接着強度を発揮できる粘着剤組成物を得ることは極めて困難であった。
本発明は、表面の凹凸部分に水分を保持した状態にある被着体に対しても高い接着強度を発揮することのできる粘着剤組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープを提供することを目的とする。
本開示1は、アクリル共重合体と、下記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)、及び、構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)を有する化合物(T1)とを含有し、上記アクリル共重合体は、SP値が9.5以上、14.0以下の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を50重量%以上含有する粘着剤組成物である。
本開示2は、上記SP値が9.5以上、14.0以下の(メタ)アクリル酸エステルは、アルキル基の炭素数が4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する本開示1の粘着剤組成物である。
本開示3は、上記化合物(T1)は、更に、テルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)を有する本開示1又は2の粘着剤組成物である。
本開示4は、上記化合物(T1)は、上記構成単位(A)の含有率が1モル%以上、60モル%以下である本開示1、2又は3の粘着剤組成物である。
本開示5は、上記化合物(T1)は、上記構成単位(A)の含有率が0.9重量%以上、60重量%以下である本開示1、2、3又は4の粘着剤組成物である。
本開示6は、上記化合物(T1)は、重量平均分子量が400以上、1万以下である本開示1、2、3、4又は5の粘着剤組成物である。
本開示7は、上記構成単位(A)は、上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)においてn及びn’が2である本開示1、2、3、4、5又は6の粘着剤組成物である。
本開示8は、上記構成単位(A)は、上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)においてn及びn’が3である本開示1、2、3、4、5又は6の粘着剤組成物である。
本開示9は、上記化合物(T1)は、少なくとも部分的に水素添加された水素添加体である本開示1、2、3、4、5、6、7又は8の粘着剤組成物である。
本開示10は、上記化合物(T1)の含有量が、上記アクリル共重合体100重量部に対して1重量部以上、100重量部以下である本開示1、2、3、4、5、6、7、8又は9の粘着剤組成物である。
本開示11は、上記アクリル共重合体は、カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を0.5重量%以上、20重量%以下含有する本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の粘着剤組成物である。
本開示12は、更に、塩基性化合物を含有する本開示11の粘着剤組成物である。
本開示13は、更に、フィラーを含有する本開示12の粘着剤組成物である。
本開示14は、アクリル共重合体と、下記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)、及び、構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)を有する化合物(T1)とを含有し、上記アクリル共重合体は、アルキル基の炭素数が4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を50重量%以上含有する粘着剤組成物である。
本開示15は、本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14の粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープである。
本開示16は、上記粘着剤層は、ゲル分率が5重量%以上、55重量%以下である本開示15の粘着テープである。
Figure 2023124858000001
Figure 2023124858000002
Figure 2023124858000003
Figure 2023124858000004
式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。Rは脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。n及びlはそれぞれ2以上、4以下の整数を表し、n’及びl’はそれぞれ2以上5以下の整数を表す。m及びkはそれぞれ1以上、4以下の整数を表し、m’及びk’はそれぞれ1以上、5以下の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
Figure 2023124858000005
Figure 2023124858000006
Figure 2023124858000007
Figure 2023124858000008
式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。Rは脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。n及びlはそれぞれ2以上、4以下の整数を表し、n’及びl’はそれぞれ2以上5以下の整数を表す。m及びkはそれぞれ1以上、4以下の整数を表し、m’及びk’はそれぞれ1以上、5以下の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、アクリル共重合体を含有する粘着剤組成物において、粘着付与樹脂として特定の化合物(T1)を配合することで接着強度を高めるとともに、アクリル共重合体として比較的極性の高い特定のアクリル共重合体を用いることを検討した。本発明者らは、このような粘着剤組成物であれば、表面の凹凸部分に水分を保持した状態(湿潤状態)にある被着体に対しても高い接着強度を発揮できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の粘着剤組成物は、アクリル共重合体と、下記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)、及び、構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)を有する化合物(T1)とを含有する。
Figure 2023124858000009
Figure 2023124858000010
Figure 2023124858000011
Figure 2023124858000012
式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。Rは脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。n及びlはそれぞれ2以上、4以下の整数を表し、n’及びl’はそれぞれ2以上5以下の整数を表す。m及びkはそれぞれ1以上、4以下の整数を表し、m’及びk’はそれぞれ1以上、5以下の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
上記化合物(T1)は、上記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)、及び、構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)を有する。このような構成単位(A)を有する化合物(T1)を含有することで、本発明の粘着剤組成物は、高い接着強度を発揮することができる。
なかでも、被着体との相互作用を大きく改善できるため、被着体に対しても接着強度を高めることができることから、上記構成単位(A)は、上記構成単位(A-1)、上記構成単位(A-1’)、上記構成単位(A-2)、上記構成単位(A-2’)、上記構成単位(A-3)、及び、上記構成単位(A-3’)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。更に、上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
上記化合物(T1)は、上記構成単位(A)を側鎖中に有していてもよいし、主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有していてもよい。なかでも、粘着付与樹脂として用いられる場合に必要とされる好適な物性を有することができることから、上記化合物(T1)は、上記構成単位(A)を主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有することが好ましい。
上記構成単位(A)において、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基は特に限定されず、例えば、置換又は非置換の炭素数1~20のアリール基等が挙げられる。
上記極性官能基は特に限定されず、Rとしては水酸基以外の極性官能基を、Rとしてはカルボキシ基以外の極性官能基を、RとしてはORで表される基以外の極性官能基を、RとしてはNRで表される基以外の極性官能基を用いることができる。上記極性官能基として、具体的には例えば、アミノ基、カルボキシ基、カルボニル基、アルコキシ基、水酸基、ニトリル基、ニトロ基等が挙げられる。
上記極性官能基を有する脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、上記のような脂肪族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。上記極性官能基を有する芳香族炭化水素基も特に限定されず、例えば、上記のような芳香族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。
上記構成単位(A)において、Rは脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基は特に限定されず、例えば、置換又は非置換の炭素数1~20のアリール基等が挙げられる。
上記構成単位(A)において、R及びRはそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。
なお、上記化合物(T1)において、1つの構成単位(A-1)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-1)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-1’)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-1’)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
同様に、1つの構成単位(A-2)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-2)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-2’)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-2’)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
同様に、1つの構成単位(A-3)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-3)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-3’)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-3’)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
同様に、1つの構成単位(A-3)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-3)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-3’)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-3’)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
同様に、1つの構成単位(A-4)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-4)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-4’)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-4’)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
同様に、1つの構成単位(A-4)に含まれる複数のR及びRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-4)に含まれる複数のR及びRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-4’)に含まれる複数のR及びRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-4’)に含まれる複数のR及びRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記構成単位(A)において、n及びlはそれぞれ2以上、4以下の整数であり、n’及びl’はそれぞれ2以上、5以下の整数であれば特に限定されないが、原料の入手のし易さの観点から、n、l、n’及びl’が2又は3であることが好ましい。粘着剤組成物の接着強度をより高めることができることから、n、l、n’及びl’が3であることがより好ましい。
上記構成単位(A)において、m及びkはそれぞれ1以上、4以下の整数であり、m’及びk’はそれぞれ1以上、5以下の整数であれば特に限定されないが、原料の入手のし易さの観点から、m、k、m’及びk’が1、2又は3であることが好ましい。粘着剤組成物の接着強度をより高めることができることから、m、k、m’及びk’が1であることがより好ましい。
上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)として、より具体的には例えば、ジヒドロキシベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(n及びn’が2の場合)、トリヒドロキシベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(n及びn’が3の場合)等が挙げられる。これらの構成単位は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ジヒドロキシベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、レゾルシノール、ピロカテコール、ハイドロキノン、ジヒドロキシトルエン、ジヒドロキシキシレン、ジヒドロキシフェニルエチルアミン塩酸塩、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシフェニル酢酸、ジヒドロキシヒドロ桂皮酸、ジヒドロキシフェニルプロピオン酸、ジヒドロキシフェニルアラニン、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシアセトフェノン、ジアセチルジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシフェニル-2-ブタノン、ジヒドロキシフェニル酢酸メチル、ベンジルジヒドロキシフェニルケトン、ジヒドロキシベンズアミド、ジヒドロキシメトキシベンゼン、ジヒドロキシベンジルアルコール、ジヒドロキシフェニルエタノール、ジヒドロキシフェニルグリコール、ジヒドロキシフェニルアセトニトリル、ジヒドロキシニトロベンゼン等が挙げられる。これらのジヒドロキシベンゼン又はその誘導体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく被着体と相互作用しやすいことから、ピロカテコールが好ましい。
上記トリヒドロキシベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、ピロガロール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、フロログルシノール、トリヒドロキシトルエン、トリヒドロキシジフェニルメタン、6-ヒドロキシ-L-ドーパ、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸ブチル、没食子酸イソブチル、没食子酸イソアミル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸ステアリル、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシフェニルエタノン、トリヒドロキシフェニルブタノン、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシベンズアミド、トリヒドロキシニトロベンゼン等が挙げられる。これらのトリヒドロキシベンゼン又はその誘導体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく被着体と相互作用しやすいことから、ピロガロールが好ましい。
上記構成単位(A-2)及び上記構成単位(A-2’)として、より具体的には例えば、安息香酸、サリチル酸、ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、2-メチル安息香酸、3-メチル安息香酸、4-メチル安息香酸、2-エチル安息香酸、3-エチル安息香酸、4-エチル安息香酸、4-tert-ブチル安息香酸、2-ビニル安息香酸、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸、4,4’-スチルベンジカルボン酸、これらの誘導体等に由来する構成単位等が挙げられる。これらの構成単位は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく、被着体と相互作用しやすいことから、4-ビニル安息香酸が好ましい。
上記構成単位(A-3)及び上記構成単位(A-3’)として、より具体的には例えば、ジアルコキシベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(l及びl’が2の場合)、トリアルコキシベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(l及びl’が3の場合)等が挙げられる。
上記ジアルコキシベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、1,4-ジメトキシベンゼン等が挙げられる。上記トリアルコキシベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、1,2,3-トリメトキシベンゼン、1,2,4-トリメトキシベンゼン、1,3,5-トリメトキシベンゼン等が挙げられる。これらのトリアルコキシベンゼン又はその誘導体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく被着体と相互作用しやすいことから、1,2,3-トリメトキシベンゼン、1,2,4-トリメトキシベンゼン、及び、1,3,5-トリメトキシベンゼンが好ましい。
上記構成単位(A-4)及び上記構成単位(A-4’)として、より具体的には例えば、アミノベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(k及びk’が1の場合)等が挙げられる。上記アミノベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン等が挙げられる。これらのアミノベンゼン又はその誘導体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記構成単位(A)は、石油由来材料のみからなってもよいが、生物由来材料を含むことが好ましい。石油資源の枯渇や、石油由来製品の燃焼による二酸化炭素の排出が問題視されている。そこで、石油由来材料に代えて生物由来材料を用いることにより、石油資源を節約する試みがなされるようになっている。上記構成単位(A)が生物由来材料を含んでいれば、石油資源を節約する観点で好ましい。また、上記構成単位(A)が生物由来材料を含んでいれば、生物由来材料は元々大気中の二酸化炭素を取り込んで生成されるため、これを燃焼させても総量としては大気中の二酸化炭素を増やすことがないと考えられ、二酸化炭素の排出量を削減する観点からも好ましい。
生物由来材料を含む上記構成単位(A)を構成するモノマーとしては、例えば、レゾルシノール、ジヒドロキシフェニルエチルアミン塩酸塩、ジヒドロキシヒドロ桂皮酸、ジヒドロキシフェニルアラニン、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシベンジルアルコール、ピロガロール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、フロログルシノール、6-ヒドロキシ-L-ドーパ、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸ブチル、没食子酸イソブチル、没食子酸イソアミル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸ステアリル、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシベンズアミド、トリヒドロキシニトロベンゼン等が挙げられる。
上記化合物(T1)における上記構成単位(A)の含有率(モル基準)は特に限定されないが、好ましい下限は1モル%、好ましい上限は60モル%である。上記構成単位(A)の含有率が1モル%以上であれば、上記化合物(T1)を粘着剤組成物に配合することにより、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができる。上記構成単位(A)の含有率が60モル%以下であれば、上記化合物(T1)は、粘着付与樹脂として用いられる場合に必要とされる好適な物性を有することができる。上記構成単位(A)の含有率のより好ましい下限は5モル%、より好ましい上限は50モル%であり、更に好ましい下限は10モル%、更に好ましい上限は30モル%である。
また、上記化合物(T1)における上記構成単位(A)の含有率(重量基準)は特に限定されないが、好ましい下限は0.9重量%、好ましい上限は60重量%である。上記構成単位(A)の含有率が0.9重量%以上であれば、上記化合物(T1)を粘着剤組成物に配合することにより、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができる。上記構成単位(A)の含有率が60重量%以下であれば、上記化合物(T1)は、粘着付与樹脂として用いられる場合に必要とされる好適な物性を有することができる。上記構成単位(A)の含有率のより好ましい下限は5重量%、より好ましい上限は50重量%であり、更に好ましい下限は10重量%、更に好ましい上限は30重量%である。
上記化合物(T1)は、更に、テルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)を有することが好ましい。
上記構成単位(B)を有することにより、上記化合物(T1)は、粘着付与樹脂として用いられる場合に必要とされる好適な物性を有することができる。
なかでも、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができることから、テルペン系モノマーに由来する構成単位又はビニル系モノマーに由来する構成単位が好ましく、テルペン系モノマーに由来する構成単位とビニル系モノマーに由来する構成単位とを併用することも好ましい。
上記テルペン系モノマーは特に限定されず、例えば、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン、δ-3-カレン、ジメチルオクタトリエン、アロオシメン、ミルセン、オシメン、リナロール、コスメン等が挙げられる。なかでも、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができることから、α-ピネン、β-ピネン又はリモネンが好ましい。
上記ビニル系モノマーは特に限定されないが、上記化合物(T1)と上記アクリル共重合体との相溶性を向上させる観点から、1分子中に芳香環を2以上含む構造(例えば、ナフタレン構造、アントラセン構造、ビフェニル構造、アントラキノン構造、ベンゾフェノン構造等)を有さないビニル系モノマーが好ましい。上記1分子中に芳香環を2以上含む構造を有さないビニル系モノマーとして、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセン、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、クマロン、インデン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、2-フェニル-2-ブテン等が挙げられる。なかでも、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができることから、スチレンが好ましい。
上記共役ジエン系モノマーは特に限定されず、例えば、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、シクロペンタジエン等が挙げられる。なかでも、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができることから、イソプレンが好ましい。
これらのモノマー(b)は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記構成単位(B)は、石油由来材料のみからなってもよいが、生物由来材料を含むことが好ましい。石油資源の枯渇や、石油由来製品の燃焼による二酸化炭素の排出が問題視されている。そこで、石油由来材料に代えて生物由来材料を用いることにより、石油資源を節約する試みがなされるようになっている。上記構成単位(B)が生物由来材料を含んでいれば、石油資源を節約する観点で好ましい。また、上記構成単位(B)が生物由来材料を含んでいれば、生物由来材料は元々大気中の二酸化炭素を取り込んで生成されるため、これを燃焼させても総量としては大気中の二酸化炭素を増やすことがないと考えられ、二酸化炭素の排出量を削減する観点からも好ましい。
生物由来材料を含む上記構成単位(B)を構成する上記モノマー(b)としては、例えば、テルペン系モノマー、エチレン、プロピレン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
上記化合物(T1)における上記構成単位(B)の含有率は特に限定されないが、好ましい下限は40モル%、好ましい上限は99モル%である。上記構成単位(B)の含有率が40モル%以上であれば、上記化合物(T1)は、粘着付与樹脂として用いられる場合に必要とされる好適な物性を有することができる。上記構成単位(B)の含有率が99モル%以下であれば、上記構成単位(A)の含有率を充分に確保することができるため、上記化合物(T1)を粘着剤組成物に配合することにより、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができる。上記構成単位(B)の含有率のより好ましい下限は50モル%、より好ましい上限は90モル%である。
上記化合物(T1)は、上記構成単位(A)を有する化合物であれば特に限定されないが、上記構成単位(A)を主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有する場合、下記式で表される構造を有する共重合体であることが好ましい。
このような構造を有する共重合体は、後述するようなカチオン重合を用いた方法により得られる共重合体であり、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができる。
Figure 2023124858000013
式中、Aは構成単位(A)を表し、Bは構成単位(B)を表し、s及びtはそれぞれ1以上の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
上記化合物(T1)は、上記構成単位(A)を有する化合物であれば特に限定されないが、上記構成単位(A)及び上記構成単位(B)を有する共重合体であることが好ましく、更に他の構成単位を有してもよい。共重合体である場合、上記構成単位(A)と上記構成単位(B)とは、ランダムに共重合していてもよいし、例えばそれぞれがブロックセグメントを形成したうえでブロックセグメント同士が結合する場合のように規則性又は周期性をもって共重合していてもよい。
上記化合物(T1)は、不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を有することが好ましい。
上記化合物(T1)は、上記不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を上記構成単位(A)又は上記構成単位(B)中に有していてもよいし、他の構成単位中に有していてもよい。なかでも、合成のし易さの観点から、上記不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を上記構成単位(B)又は他の構成単位中に有することが好ましい。このような上記不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を有する上記構成単位(B)又は他の構成単位は特に限定されないが、テルペン系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)が好ましい。即ち、上記化合物(T1)は、上記不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を、テルペン系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)中に有することが好ましい。なかでも、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができることから、テルペン系モノマーに由来する構成単位中に有することが好ましい。
また、上記他の構成単位としては、例えば、上記構成単位(A)には含まれない他のフェノール系モノマーに由来する構成単位、無水マレイン酸に由来する構成単位等も挙げられる。
上記他のフェノール系モノマーは特に限定されず、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ノリルフェノール、メトキシフェノール、ブロモフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらの他のフェノール系モノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物(T1)の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)の好ましい下限が400、好ましい上限が1万である。上記重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、上記化合物(T1)は、粘着付与樹脂として用いられる場合に必要とされる好適な物性を有することができる。上記重量平均分子量(Mw)のより好ましい下限は500、より好ましい上限は5000であり、更に好ましい下限は700、更に好ましい上限は3000である。
上記重量平均分子量(Mw)を上記範囲に調整するには、例えば、上記化合物(T1)の組成、重合方法、重合条件等を調整すればよい。
なお、重量平均分子量(Mw)及び後述するような分子量分布(Mw/Mn)は、以下の方法により測定できる。
試料の溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過する。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(例えば、Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、試料のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求める。カラムとしては、例えば、GPC KF-802.5L(昭和電工社製)を用い、検出器としては、示差屈折計を用いる。
上記化合物(T1)のヤング率は特に限定されないが、25℃におけるヤング率の好ましい下限が10MPaである。上記25℃におけるヤング率が10MPa以上であれば、上記化合物(T1)は、適度な硬さを有し、粘着剤というよりもむしろ粘着付与樹脂として用いられる場合に必要とされる好適な物性を有することができる。上記25℃におけるヤング率のより好ましい下限は50MPa、更に好ましい下限は70MPaである。
上記25℃におけるヤング率の上限は特に限定されないが、上記化合物(T1)を配合した粘着剤組成物が硬くなりすぎて接着強度が低下することを抑制する観点から、好ましい上限は10000MPa、より好ましい上限は5000MPaである。
上記25℃におけるヤング率を上記範囲に調整するには、例えば、上記化合物(T1)の分子量、上記化合物(T1)における上記構成単位(A)及び上記構成単位(B)の組成、含有率等を調整すればよい。
なお、25℃におけるヤング率は、引張り試験装置(例えば、ORIENTEC社製、テンシロン)を用い、引張速度200mm/min、掴み具間距離15mm、25℃の条件で引張り試験することにより測定できる。このときの測定サンプルは、例えば、化合物(T1)を10×50mmのサイズの金型に充填し、ガラス転移温度より100℃高い温度で融解して厚さ1mmの試験片を作製することにより調製することができる。
上記化合物(T1)のガラス転移温度は特に限定されないが、好ましい下限が0℃、好ましい上限が200℃である。上記ガラス転移温度が上記範囲内であれば、上記化合物(T1)は、ヤング率が上記範囲に調整され易く、粘着付与樹脂として用いられる場合に必要とされる好適な物性を有することができる。上記ガラス転移温度のより好ましい下限は10℃、より好ましい上限は150℃である。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量計(例えば、日立ハイテクサイエンス社製、SIIExstar 6000/DSC 6220)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定を行った際に1strunで得られる値を用いることができる。
上記化合物(T1)のヨウ素価は特に限定されないが、好ましい下限が2g/100g、好ましい上限が180g/100gである。上記ヨウ素価が上記範囲内であれば、上記化合物(T1)を粘着剤組成物に配合することにより、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができる。上記ヨウ素価のより好ましい下限は70g/100g、より好ましい上限は170g/100gである。
なお、ヨウ素価とは、不飽和二重結合の量(C=C結合量)を示す指標であり、「JIS K 0070:1992」に記載の方法に準じて測定したものを指す。
上記化合物(T1)中の炭素(炭素原子)に占める生物由来の炭素(炭素原子)の含有率は特に限定されないが、炭素に占める生物由来の炭素の含有率が10%以上であることが好ましい。生物由来の炭素の含有率が10%以上であることが「バイオベース製品」であることの目安となる。
上記生物由来の炭素の含有率が10%以上であれば、石油資源を節約する観点や、二酸化炭素の排出量を削減する観点から好ましい。上記生物由来の炭素の含有率のより好ましい下限は30%、更に好ましい下限は60%、更により好ましい下限は70%、一層好ましい下限は90%である。上記生物由来の炭素の含有率の上限は特に限定されず、100%であってもよい。
なお、生物由来の炭素には一定割合の放射性同位体(C-14)が含まれるのに対し、石油由来の炭素にはC-14がほとんど含まれない。そのため、上記生物由来の炭素の含有率は、化合物(T1)に含まれるC-14の濃度を測定することによって算出することができる。具体的には、多くのバイオプラスチック業界で利用されている規格であるASTM D6866-20に準じて測定することができる。
上記化合物(T1)には、上述したような化合物(T1)の水素添加体も含まれる。即ち、上記化合物(T1)は、少なくとも部分的に水素添加された水素添加体であってもよい。なお、水素添加体とは、上述したような化合物(T1)に存在する炭素-炭素二重結合を少なくとも部分的に水素添加により飽和化した化合物である。即ち、本発明の樹脂組成物は、上記化合物(T1)中の炭素-炭素二重結合の一部が水添された水添体を含有してもよく、上記化合物(T1)中の炭素-炭素二重結合の全てが水添された水添体を含有してもよい。このような水素添加体であっても、粘着剤組成物に配合する粘着付与樹脂として好適に用いられ、粘着剤組成物の接着強度を高めることができる。なかでも、上記構成単位(B)としてのテルペン系モノマーに由来する構成単位における炭素-炭素二重結合が少なくとも部分的に水素添加されていることが好ましい。
上記化合物(T1)を製造する方法は特に限定されないが、上記構成単位(A)を主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有する場合は、例えば、次のような方法が好ましい。即ち、上記構成単位(A)を構成するモノマー(a)と、上記構成単位(B)を構成するテルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)とを共重合させる方法(以下、製造方法[I]ともいう)である。
上記モノマー(a)としては、下記式で表されるモノマー(a-1)、モノマー(a-2)、モノマー(a-3)及びモノマー(a-4)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2023124858000014
式中、Rはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表し、n’’は2以上、5以下の整数を表す。
上記n’’は2又は3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
Figure 2023124858000015
Figure 2023124858000016
Figure 2023124858000017
式中、R、R及びRはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。Rは脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。m’’は1以上、5以下の整数を表す。l’’は2以上、5以下の整数を表す。k’’は1以上、5以下の整数を表す。
上記化合物(T1)の製造方法[I]では、上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とをカチオン重合により共重合させることが好ましい。
カチオン重合を用いることにより、上記モノマー(a)のフェノール性水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基等の官能基を予め化学修飾により保護することなく上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とを共重合させることができ、その後の脱保護も不要となる。このため、より簡便な1段階の反応工程により上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とを共重合させることができ、不純物の低減及び収率の向上にもつながる。
上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とをカチオン重合により共重合させる方法としては、上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とをルイス酸の存在下で反応させる方法が好ましい。このような方法によれば、上記モノマー(b)のカチオンが生じて、上記モノマー(b)同士のカチオン重合が進行するとともに、上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とのFridel-Craftsアルキル化反応が進行すると考えられる。このような反応が繰り返し起こることにより、上記モノマー(a)に由来する構成単位(A)と、上記モノマー(b)に由来する構成単位(B)とを有する共重合体を得ることができる。
上記ルイス酸は特に限定されず、従来公知のルイス酸を用いることができ、例えば、塩化アルミニウム(AlCl)、ジエチルアルミニウムクロリド(EtAlCl)、塩化すず(IV)(SnCl)、塩化チタン(IV)(TiCl)、三塩化ホウ素(BCl)、三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF・EtO)等が挙げられる。なかでも、より高い収率が得られることから、塩化アルミニウム(AlCl)が好ましい。
より具体的には例えば、上記モノマー(a)としてピロガロールを用い、上記モノマー(b)としてα-ピネンを用い、これらをルイス酸である塩化アルミニウム(AlCl)の存在下で反応させる場合、下記スキームに示す反応が進行すると考えられる。
即ち、上記モノマー(b)であるα-ピネンのカチオンが生じて、α-ピネン同士のカチオン重合が進行する(下記スキームの上段)とともに、上記モノマー(a)であるピロガロールと上記モノマー(b)であるα-ピネンとのFridel-Craftsアルキル化反応が進行する(下記スキームの中段)。このような反応が繰り返し起こることにより、ピロガロールに由来する構成単位と、α-ピネンに由来する構成単位とを有する共重合体を得ることができる(下記スキームの下段)。なお、このような共重合体は、ピロガロールに由来する構成単位を主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有するものとなる。
Figure 2023124858000018
式中、s及びtはそれぞれ1以上の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
上記化合物(T1)を製造する方法として、上記構成単位(A)を側鎖中に有する場合は、例えば、次のような方法が好ましい。即ち、上記構成単位(A)を構成するモノマー(a)に更に不飽和二重結合を導入したモノマー(a’)と、上記構成単位(B)を構成するテルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)とを共重合させる方法(以下、製造方法[II]ともいう)である。
上記モノマー(a’)としては、例えば、2-ビニル安息香酸、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸、4,4’-スチルベンジカルボン酸等が挙げられる。これらのモノマー(a’)は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく、被着体と相互作用しやすいことから、4-ビニル安息香酸が好ましい。
上記化合物(T1)の製造方法[II]においても、上記化合物(T1)の製造方法[I]と同様に上記モノマー(a’)と上記モノマー(b)とをカチオン重合により共重合させることが好ましい。
上記モノマー(a’)と上記モノマー(b)とをカチオン重合により共重合させる方法としては、上記モノマー(a’)と上記モノマー(b)とを上述したようなルイス酸の存在下で反応させる方法が好ましい。このような方法によれば、上記モノマー(a’)中の不飽和二重結合と、上記モノマー(b)中の不飽和二重結合とのカチオン重合が進行し、上記モノマー(a’)に由来する構成単位(A)と、上記モノマー(b)に由来する構成単位(B)とを有する共重合体を得ることができる。
本発明の粘着剤組成物における上記化合物(T1)の含有量は特に限定されないが、従来の粘着付与樹脂に比べて少量であっても粘着剤組成物の接着強度を高めることができ、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限が1重量部、好ましい上限が100重量部である。上記化合物(T1)の含有量が1重量部以上であれば、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができる。上記化合物(T1)の含有量が100重量部以下であれば、粘着剤組成物が硬くなりすぎて接着強度が低下することを抑制することができる。上記化合物(T1)の含有量のより好ましい下限は3重量部、より好ましい上限は35重量部であり、更に好ましい下限は5重量部、更に好ましい上限は30重量部であり、更により好ましい上限は20重量部である。
本発明の粘着剤組成物は、更に、ロジンエステル系樹脂、テルペン系樹脂及び石油系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の粘着付与樹脂(T2)を含有してもよい。なかでも、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができることから、ロジンエステル系樹脂又はテルペン系樹脂が好ましい。
上記粘着付与樹脂(T2)は、軟化温度の好ましい下限が70℃、好ましい上限が170℃である。上記軟化温度が70℃以上であれば、粘着剤組成物が柔らかくなりすぎて接着強度が低下することを抑制することができる。上記軟化温度が170℃以下であれば、粘着剤組成物から形成される粘着剤層の界面の濡れ性が向上し、界面剥離してしまうことを抑制することができる。上記軟化温度のより好ましい下限は120℃である。
なお、軟化温度とは、JIS K2207環球法により測定した軟化温度である。
上記粘着付与樹脂(T2)は、水酸基価の好ましい下限が25、好ましい上限が150である。上記水酸基価が上記範囲内であることで、粘着剤組成物から形成される粘着剤層の界面の濡れ性が向上し、界面剥離してしまうことを抑制することができる。上記水酸基価のより好ましい下限は30、より好ましい上限は130である。
なお、水酸基価は、JIS K1557(無水フタル酸法)により測定できる
上記粘着付与樹脂(T2)の含有量は特に限定されないが、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限は10重量部、好ましい上限は100重量部である。上記粘着付与樹脂(T2)の含有量が10重量部以上であれば、粘着剤組成物の接着強度をより高めることができる。上記粘着付与樹脂(T2)の含有量が100重量部以下であれば、粘着剤組成物が硬くなりすぎて接着強度が低下することを抑制することができる。上記粘着付与樹脂(T2)の含有量のより好ましい下限は15重量部、より好ましい上限は60重量部であり、更に好ましい上限は50重量部、更により好ましい上限は40重量部である。
上記アクリル共重合体は、SP値が9.5以上、14.0以下の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を50重量%以上含有する。
このようなアクリル共重合体は、比較的極性の高いアクリル共重合体であるといえる。上記化合物(T1)とともに上記アクリル共重合体を含有することで、本発明の粘着剤組成物は、表面の凹凸部分に水分を保持した状態にある被着体に対しても高い接着強度を発揮することができる。
上記SP値が上記範囲内であれば、粘着剤組成物は、表面の凹凸部分に水分を保持した状態にある被着体に対しても高い接着強度を発揮することができる。上記SP値の好ましい下限は9.6、好ましい上限は12.0であり、より好ましい下限は9.7、より好ましい上限は11.0である。
なお、SP値とは溶解度パラメーターとも呼ばれ、Fedors法(R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14(2),147-154(1974))を用いて算出された、溶解のしやすさを表すことのできる指標である(単位=(cal/cm0.5)。重合体のSP値は、重合体に含まれるそれぞれの成分のSP値及び重量比率をもとに、加重平均により算出することができる。
上記SP値が9.5以上、14.0以下の(メタ)アクリル酸エステルは特に限定されないが、アルキル基の炭素数が4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが特に好ましい。
アクリル共重合体と、上記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)、及び、構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)を有する化合物(T1)とを含有し、上記アクリル共重合体は、アルキル基の炭素数が4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を50重量%以上含有する粘着剤組成物もまた、本発明の1つである。
上記アルキル基の炭素数が4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。これらのアルキル基の炭素数が4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、上記アクリル共重合体が高い粘着力を発揮することができることから、(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。
上記アクリル共重合体における上記SP値が9.5以上、14.0以下の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量は、下限が50重量%である。上記SP値が9.5以上、14.0以下の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量が50重量%以上であれば、粘着剤組成物は、表面の凹凸部分に水分を保持した状態にある被着体に対しても高い接着強度を発揮することができる。上記SP値が9.5以上、14.0以下の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量の好ましい下限は60重量%、更に好ましい下限は80重量%である。
上記SP値が9.5以上、14.0以下の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量の上限は特に限定されないが、後述するような架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を一部有することが好ましいことから、好ましい上限は98重量%、より好ましい上限は95重量%である。
上記アクリル共重合体は、更に、他の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有していてもよい。
上記他の(メタ)アクリル酸エステルは特に限定されず、例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの他の(メタ)アクリル酸エステルは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、上記アクリル共重合体が高い粘着力を発揮することができることから、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記アクリル共重合体は、架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を有することが好ましい。
上記アクリル共重合体が上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を有することにより、架橋剤が添加されることにより、粘着剤組成物から形成される粘着剤層において上記アクリル共重合体の架橋構造が形成される。これにより、粘着剤層のゲル分率及びバルクの強度が上がり、接着強度が向上する。上記架橋性官能基は特に限定されず、例えば、アミノ基、カルボキシ基、カルボニル基、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。
上記架橋性官能基を有するモノマーとして、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとして、より具体的には例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの架橋性官能基を有するモノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、粘着剤組成物から形成される粘着剤層のゲル分率及びバルクの強度を上げる観点から、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレート等の水酸基を有するモノマー、又は、(メタ)アクリル酸等のカルボキシ基を有するモノマーが好ましい。
上記アクリル共重合体における上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は20重量%である。上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量をこの範囲内とすることにより、粘着剤組成物から形成される粘着剤層のゲル分率及びバルクの強度が上がり、接着強度が向上する。上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量のより好ましい下限は0.05重量%、より好ましい上限は5重量%である。
上記架橋性官能基を有するモノマーのなかでも、上記カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は、上記アクリル共重合体における好ましい下限が0.5重量%、好ましい上限が20重量%である。上記カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量をこの範囲内とすることにより、粘着剤組成物から形成される粘着剤層のゲル分率及びバルクの強度が上がり、接着強度が向上する。上記カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量のより好ましい下限は1重量%、より好ましい上限は10重量%である。
上記アクリル共重合体は、必要に応じて、上述したような上記SP値が9.5以上、14.0以下の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、上記他の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及び上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位以外の共重合可能な他の重合性モノマーに由来する構成単位を含んでいてもよい。
上記アクリル共重合体を得るには、上述したようなモノマーの混合物を、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。上記モノマー混合物をラジカル反応させる方法、即ち、重合方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。
上記アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、好ましい下限は20万、好ましい上限は200万である。上記重量平均分子量(Mw)が20万以上であれば、粘着剤組成物から形成される粘着剤層のバルクの強度が上がり、接着強度が向上する。上記重量平均分子量(Mw)が200万以下であれば、粘着剤組成物から形成される粘着剤層の界面の濡れ性が向上し、界面剥離してしまうことを抑制することができる。上記重量平均分子量(Mw)のより好ましい下限は40万、より好ましい上限は150万である。
上記アクリル共重合体の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(分子量分布、Mw/Mn)は特に限定されないが、好ましい下限は1.05、好ましい上限は5.0である。上記アクリル共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.05以上であると、粘着剤の柔軟性が高くなり、表面に凹凸部分を有する被着体への接着強度がより改善しやすくなる。上記アクリル共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下であると、低分子成分の割合が抑えられ、粘着剤組成物から形成される粘着剤層のバルクの強度が上がり、接着強度が向上する。上記アクリル共重合体の分子量分布(Mw/Mn)のより好ましい上限は4.5であり、更に好ましい上限は4であり、更により好ましい上限は3.5である。
上記重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲に調整するには、例えば、上記アクリル共重合体の組成、重合方法、重合条件等を調整すればよい。
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。
上記架橋剤の種類及び量を調整することによって、粘着剤組成物から形成される粘着剤層のゲル分率を調整しやすくなる。上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
上記架橋剤の含有量は、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部であり、より好ましい下限が0.1重量部、より好ましい上限が5重量部である。
本発明の粘着剤組成物は、上記アクリル共重合体が上記カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を含有する場合、更に、塩基性化合物を含有することが好ましい。
上記アクリル共重合体が上記カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を含有する場合に更に上記塩基性化合物を含有することで、粘着剤組成物は、被着体表面に存在する水分を吸収しやすくなり、接着強度がより改善しやすくなる。
上記塩基性化合物は特に限定されず、例えば、アンモニウムヒドロキシド化合物が挙げられる。より具体的には例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド 、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。これらの塩基性化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、粘着剤組成物における他の成分との相溶性に優れることから、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
上記塩基性化合物の含有量は、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が5重量部であり、より好ましい下限が1重量部、より好ましい上限が3重量部である。
本発明の粘着剤組成物は、上記アクリル共重合体が上記カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を含有しかつ粘着剤組成物が上記塩基性化合物を含有する場合、更に、フィラーを含有することが好ましい。
上記フィラーを含有することで、上記アクリル共重合体が上記カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を含有しかつ粘着剤組成物が上記塩基性化合物を含有する場合であっても、粘着剤組成物から形成される粘着剤層のゲル分率及びバルクの強度が上がり、接着強度が向上する。
上記フィラーは特に限定されず、有機フィラーであってもよく、無機フィラーであってもよく、有機無機フィラーであってもよい。なかでも、粘着剤組成物の凝集力をより改善できることから、無機フィラーが好ましい。
上記無機フィラーは特に限定されず、例えば、ケイ素、チタン、アルミニウム、カルシウム、ホウ素、マグネシウム及びジルコニアの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機フィラーが挙げられる。なかでも、市販品で安価かつ入手が容易なことから、シリカやタルクが好ましい。
上記フィラーは、表面修飾されていてもよい。上記フィラーを表面修飾する修飾官能基は特に限定されず、例えば、アルキルシラン基、メタクリロイル基及びジメチルシロキサン基等が挙げられる。なかでも、適度な疎水性を有することから、ジメチルシロキサン基が好ましい。
上記フィラーの平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は10μmである。上記フィラーの平均粒子径が上記範囲内であれば、粘着剤組成物から形成される粘着剤層のゲル分率及びバルクの強度が上がり、接着強度が向上する。上記フィラーの平均粒子径のより好ましい下限は0.5μm、より好ましい上限は1μmである。
なお、上記平均粒子径は、数平均粒子径であることが好ましい。上記平均粒子径は、例えば、任意のフィラー50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各フィラーの粒子径の平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。
上記フィラーの含有量は特に限定されないが、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限が5重量部、好ましい上限が40重量部である。上記フィラーの含有量が上記範囲内であれば、粘着剤組成物から形成される粘着剤層のゲル分率及びバルクの強度が上がり、接着強度が向上する。上記フィラーの含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は30重量部である。
本発明の粘着剤組成物は、接着強度を向上させる目的で、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、エポキシシラン類、アクリルシラン類、メタクリルシラン類、アミノシラン類、イソシアネートシラン類等が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、遮光性を付与する目的で、着色材を含有してもよい。上記着色材は特に限定されず、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、酸化チタン等が挙げられる。なかでも、比較的安価で化学的に安定であることから、カーボンブラックが好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、導電微粒子、酸化防止剤、発泡剤等の従来公知の微粒子及び添加剤を含有してもよい。
本発明の粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープもまた、本発明の1つである。
上記粘着剤層のゲル分率は特に限定されないが、好ましい下限は5重量%、好ましい上限は55重量%である。上記ゲル分率が5重量%以上であれば、上記粘着剤層のバルクの強度が上がり、接着強度が向上する。上記ゲル分率が55重量%以下であれば、上記粘着剤層の界面の濡れ性が向上し、界面剥離してしまうことを抑制することができる。上記ゲル分率のより好ましい下限は15重量%、より好ましい上限は50重量%であり、更に好ましい下限は20重量%、更に好ましい上限は45重量%である。
上記粘着剤層のゲル分率は、例えば、上記アクリル共重合体の組成、重量平均分子量等を調整する、上記架橋剤の種類及び量を調整する等により、上記範囲内に調整することができる。
なお、粘着剤層のゲル分率は、以下の方法により測定できる。
粘着テープを50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製する。試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出する。なお、試験片には、粘着剤層を保護するための離型フィルムは積層されていないものとする。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W)(1)
(W:基材の重量、W:浸漬前の試験片の重量、W:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は20μm、好ましい上限は100μmであり、より好ましい下限は25μm、より好ましい上限は80μmである。上記粘着剤層の厚みがこの範囲内であれば、上記粘着剤層が充分な接着強度を有することができる。
なお、粘着剤層の厚みは、ダイヤル厚み計(例えば、Mitutoyo社製、「ABSデジマチックインジケーター」)を使用して測定できる。
本発明の粘着テープは、基材を有していてもよい。この場合、上記粘着剤層は上記基材の片面に積層されていてもよいし、上記基材の両面に積層されていてもよい。
上記基材は特に限定されず、例えば、樹脂フィルム等が挙げられる。上記樹脂フィルムは特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のポリエステル系樹脂フィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルムが挙げられる。また、上記基材として、ポリエチレン発泡体シート、ポリプロピレン発泡体シート等のポリオレフィン発泡体シート、ポリウレタン発泡体シート、不織布等も挙げられる。なかでも、PETフィルムが好ましい。
上記基材の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は30μmであり、より好ましい下限は8μm、より好ましい上限は20μmである。
本発明の粘着テープは、必要に応じて、上記粘着剤層及び上記基材以外の他の層を有してもよい。
本発明の粘着テープの製造方法は特に限定されず、例えば、上記粘着剤層が上記基材の両面に積層されている場合、以下のような方法が挙げられる。
まず、アクリル共重合体、化合物(T1)、粘着付与樹脂(T2)、架橋剤等に溶剤を加えて粘着剤組成物Aの溶液を作製して、この粘着剤組成物Aの溶液を基材の表面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層Aを形成する。次に、形成された粘着剤層Aの上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層Aに対向した状態に重ね合わせる。
次いで、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面に粘着剤組成物Bの溶液を塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に粘着剤層Bが形成された積層フィルムを作製する。得られた積層フィルムを粘着剤層Aが形成された基材の裏面に、粘着剤層Bが基材の裏面に対向した状態に重ね合わせて積層体を作製する。そして、上記積層体をゴムローラー等によって加圧する。これにより、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得ることができる。
また、同様の要領で積層フィルムを2組作製し、これらの積層フィルムを基材の両面のそれぞれに、積層フィルムの粘着剤層を基材に対向させた状態に重ね合わせて積層体を作製し、この積層体をゴムローラー等によって加圧してもよい。これにより、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得ることができる。
本発明の粘着剤組成物、及び、本発明の粘着テープの用途は特に限定されないが、表面の凹凸部分に水分を保持した状態にある被着体に対しても高い接着強度を発揮することができることから、例えば、コンクリート、モルタル等からなる表面に凹凸部分を有する被着体が、その凹凸部分に水分を保持して湿潤状態にある場合にも好適に用いられる。これらの用途における本発明の粘着テープの形状は特に限定されず、例えば、正方形、長方形、額縁状、円形、楕円形、ドーナツ型等が挙げられる。
本発明によれば、表面の凹凸部分に水分を保持した状態にある被着体に対しても高い接着強度を発揮することのできる粘着剤組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(合成例1)
(アクリル共重合体の調製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器に酢酸エチル100重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。酢酸エチルが沸騰してから、30分後に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.08重量部を投入した。ここに表1に示すモノマー混合物を1時間30分かけて、均等かつ徐々に滴下し反応させた。滴下終了30分後にアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加し、更に5時間重合反応させ、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、固形分25重量%のアクリル共重合体の溶液を得た。
得られたアクリル共重合体の溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過した。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。カラムとしては、GPC KF-806L(昭和電工社製)を用い、検出器としては、示差屈折計を用いた。
(合成例2~4)
(アクリル共重合体の調製)
モノマー混合物を表1に示すように変更したこと以外は合成例1と同様にして、アクリル共重合体を得た。
Figure 2023124858000019
(合成例A)
(化合物(T1)の調製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器にトルエン50重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。30分後にトルエンを75℃に保持しながら塩化アルミニウム(AlCl)2重量部を投入した。ここに、カテコール(ピロカテコール)(n=2)及びα-ピネン合計50重量部(モル比は表2に示すとおり)をトルエン50重量部に溶かした溶液を1時間30分かけて、徐々に滴下し反応させた。4時間重合反応させた後、反応器内にピリジン0.1重量部を加えながら冷却することにより、塩化アルミニウム(AlCl)から発生した塩酸を中和した。中和により生じた沈殿物を濾過し、得られた濾液の分液操作を行った後、トルエンを揮発させて、固体状の化合物(T1)を得た。
得られた化合物(T1)についてH-NMR測定を行い、化合物(T1)が、カテコール(ピロカテコール)に由来する構成単位(A)と、α-ピネンに由来する構成単位(B)とを有する共重合体(構成単位(A)を主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有する共重合体)であることを確認した。
得られた化合物(T1)をテトラヒドロフランに溶かした溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過した。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、化合物(T1)のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)を求めた。カラムとしては、GPC KF-802.5L(昭和電工社製)を用い、検出器としては、示差屈折計を用いた。
(化合物(T1)の生物由来の炭素の含有率の測定)
得られた化合物(T1)について、ASTM D6866-20に準じて生物由来の炭素の含有率を測定した。
(合成例B~I及びK~M)
(化合物(T1)の調製)
モノマーを表2に示すように変更したこと以外は合成例Aと同様にして、化合物(T1)を得た。なお、合成例Dと合成例Iとでは同じモノマーを使用したが、ピロガロール(n=3)及びα-ピネン合計70重量部(モル比は表2に示すとおり)をトルエン30重量部に溶かした溶液を滴下することにより重量平均分子量(Mw)の異なる化合物(T1)を得た。
(合成例J)
(化合物(T1)の調製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器にトルエン50重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。30分後にトルエンを75℃に保持しながら塩化アルミニウム(AlCl)2重量部を投入した。ここに、4-ビニル安息香酸(m=1)及びα-ピネン合計50重量部(モル比は表2に示すとおり)をトルエン50重量部に溶かした溶液を1時間30分かけて、徐々に滴下し反応させた。4時間重合反応させた後、反応器内にピリジン0.1重量部を加えながら冷却することにより、塩化アルミニウム(AlCl)から発生した塩酸を中和した。中和により生じた沈殿物を濾過し、得られた濾液の分液操作を行った後、トルエンを揮発させて、固体状の化合物(T1)を得た。
得られた化合物(T1)についてH-NMR測定を行い、化合物(T1)が、4-ビニル安息香酸に由来する構成単位(A)と、α-ピネンに由来する構成単位(B)とを有する共重合体(構成単位(A)を側鎖中に有する共重合体)であることを確認した。
得られた化合物(T1)をテトラヒドロフランに溶かした溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過した。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、化合物(T1)のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)を求めた。カラムとしては、GPC KF-802.5L(昭和電工社製)を用い、検出器としては、示差屈折計を用いた。
Figure 2023124858000020
(実施例1)
(1)粘着テープの製造
アクリル共重合体(合成例1)の固形分100重量部に対して、化合物(T1)(合成例A)35重量部を添加した。更に、酢酸エチル(不二化学薬品社製)30重量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL45」)1.5重量部を添加し、攪拌して、粘着剤組成物の溶液を得た。
厚み150μmの離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面に粘着剤組成物の溶液を塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み50μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層を、基材となる厚み50μmのコロナ処理したPETフィルムの表面と貼り合わせた。次いで、同様の要領で、基材の反対の表面にも、上記と同じ粘着剤層を貼り合わせた。その後40℃で48時間加熱することで養生を行った。これにより、粘着剤層が基材の両面に積層されており、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた粘着テープを得た。
(2)ゲル分率の測定
粘着テープを50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製した。試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出した。なお、試験片には、粘着剤層を保護するための離型フィルムは積層されていない。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W)(1)
(W:基材の重量、W:浸漬前の試験片の重量、W:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
(実施例2~23、比較例1~4)
アクリル共重合体、化合物(T1)、粘着付与樹脂(T2)及び架橋剤の種類及び量を表3に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。使用した粘着付与樹脂(T2)、架橋剤及びフィラーを以下に示す。
ロジンエステル系樹脂(荒川化学工業社製、商品名「パインクリスタルKE359」)
テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、商品名「YSポリスターG150」)
イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL45」)
フィラー(トクヤマ社製、商品名「レオロシールMT-10」)
<評価>
実施例及び比較例で得られた粘着テープについて、以下の方法により評価を行った。結果を表3に示した。
(1)対モルタル180°ピール試験
試験用モルタル板(日本テストパネル社製、商品名セメント・モルタル板)を用意し、粒度#3000の研磨剤で研磨することで被着体とした。粘着テープを10mm幅に切り出して試験片を得た。得られた試験片の粘着剤層をモルタル被着体上に載せた。次いで、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーを一往復させることにより、試験片とモルタル被着体とを貼り合わせた。その後、23℃で1時間静置して試験サンプルを作製した。静置後の試験サンプルについて、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、剥離力を測定した。
次いで、モルタル被着体を水中に3分間浸漬し、表面の凹凸部分に水分を保持した状態(湿潤状態)とした。モルタル被着体を水中から取り出し、表面の湿潤度を道路橋床版水分計(HI-100、ケット化学研究所社製)を用いて測定したところ、カウント値が300であった。浸漬後のモルタル被着体を用い、浸漬前と同様にして、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、剥離力を測定した。また、湿潤前後での剥離力の低下率を算出した。なお、一般的に剥離力が3N/cm以上であれば、粘着テープが被着体に対して充分な接着強度を有しているといえる。
対モルタル180°ピール試験(浸漬前及び浸漬後)
◎:剥離力が5N/cm以上
○:剥離力が3N/cm以上、5N/cm未満
△:剥離力が1N/cm以上、3N/cm未満
×:剥離力が1N/cm未満
湿潤前後での剥離力の低下率
◎:剥離力の低下率が70%以上
○:剥離力の低下率が50%以上、70%未満
△:剥離力の低下率が10%以上、50%未満
×:剥離力の低下率が10%未満
Figure 2023124858000021
本発明によれば、表面の凹凸部分に水分を保持した状態にある被着体に対しても高い接着強度を発揮することのできる粘着剤組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープを提供することができる。

Claims (16)

  1. アクリル共重合体と、下記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)、及び、構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)を有する化合物(T1)とを含有し、
    前記アクリル共重合体は、SP値が9.5以上、14.0以下の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を50重量%以上含有する
    ことを特徴とする粘着剤組成物。
    Figure 2023124858000022
    Figure 2023124858000023
    Figure 2023124858000024
    Figure 2023124858000025
    式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。Rは脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。n及びlはそれぞれ2以上、4以下の整数を表し、n’及びl’はそれぞれ2以上5以下の整数を表す。m及びkはそれぞれ1以上、4以下の整数を表し、m’及びk’はそれぞれ1以上、5以下の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
  2. 前記SP値が9.5以上、14.0以下の(メタ)アクリル酸エステルは、アルキル基の炭素数が4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. 前記化合物(T1)は、更に、テルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)を有することを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  4. 前記化合物(T1)は、前記構成単位(A)の含有率が1モル%以上、60モル%以下であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  5. 前記化合物(T1)は、前記構成単位(A)の含有率が0.9重量%以上、60重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  6. 前記化合物(T1)は、重量平均分子量が400以上、1万以下であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  7. 前記構成単位(A)は、前記構成単位(A-1)及び前記構成単位(A-1’)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記構成単位(A-1)及び前記構成単位(A-1’)においてn及びn’が2であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  8. 前記構成単位(A)は、前記構成単位(A-1)及び前記構成単位(A-1’)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記構成単位(A-1)及び前記構成単位(A-1’)においてn及びn’が3であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  9. 前記化合物(T1)は、少なくとも部分的に水素添加された水素添加体であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  10. 前記化合物(T1)の含有量が、前記アクリル共重合体100重量部に対して1重量部以上、100重量部以下であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  11. 前記アクリル共重合体は、カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を0.5重量%以上、20重量%以下含有することを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  12. 更に、塩基性化合物を含有することを特徴とする請求項11記載の粘着剤組成物。
  13. 更に、フィラーを含有することを特徴とする請求項12記載の粘着剤組成物。
  14. アクリル共重合体と、下記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)、及び、構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)を有する化合物(T1)とを含有し、
    前記アクリル共重合体は、アルキル基の炭素数が4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を50重量%以上含有する
    ことを特徴とする粘着剤組成物。
    Figure 2023124858000026
    Figure 2023124858000027
    Figure 2023124858000028
    Figure 2023124858000029
    式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。Rは脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。n及びlはそれぞれ2以上、4以下の整数を表し、n’及びl’はそれぞれ2以上5以下の整数を表す。m及びkはそれぞれ1以上、4以下の整数を表し、m’及びk’はそれぞれ1以上、5以下の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
  15. 請求項1~11のいずれか、又は14記載の粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有することを特徴とする粘着テープ。
  16. 前記粘着剤層は、ゲル分率が5重量%以上、55重量%以下であることを特徴とする請求項15記載の粘着テープ。

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