JP2023124236A - オレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法 Download PDF

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恭行 原田
Yasuyuki Harada
浩志 寺尾
Hiroshi Terao
郁子 恵比澤
Ikuko Ebisawa
文哉 飯塚
Fumiya Iizuka
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Abstract

【課題】オレフィン・環状オレフィン共重合体の好適な製造方法を提供する。【解決手段】(A)下記式[A-1]で表される遷移金属化合物と、(B)(B-1)有機金属化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィン(X)と環状オレフィン(Y)とを共重合させることを特徴とするオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法に係る。(A)下記式[A-1]で表される遷移金属化合物(PI)-M-Ln・・・[A-1]〔式中、Mは第3~11族金属であり;各PIは、独立に下記式[A-2]で表される配位子〕TIFF2023124236000047.tif24163【選択図】なし

Description

本発明はオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法に関する。
オレフィンと特定の環状オレフィンとを共重合させて得られるオレフィン・環状オレフィン系共重合体は、高いガラス転移温度を持ち、光学特性、機械特性、熱特性などに優れ、しかもこれらの物性のバランスがよいため、例えば光学系の用途、例えば、DVDのピックアップレンズ、スマートフォンなどの撮像用レンズ、メモリディスクや光学ファイバーなどの材料に適することが知られている。また、その高い耐熱性から各種成形体のベースポリマーとしての可能性もある。 (例えば、特許文献1)
このようなオレフィン・環状オレフィン系共重合体は、従来可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とから形成されるバナジウム系触媒の存在下に、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素溶媒中で、または環状オレフィン自体を溶媒として、オレフィンと特定の環状オレフィンとを共重合させることにより製造されている。しかし、このようなバナジウム系触媒は重合活性が低い傾向がある。
一方、メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒は、環状オレフィンに対する重合活性などの面で優れることが示されており(例えば、特許文献2)、様々な構造の遷移金属化合物が盛んに開発されている。
中でも、シクロペンタジエニル配位子と周期律表第15族、第16族などのヘテロ元素配位子からなるメタロセン化合物が、エチレンとノルボルネン等の環状オレフィンとの共重合において高い重合活性と高い環状オレフィン共重合性を示すことが記載されている。(例えば、特許文献3や非特許文献1)
特開2004-107486号公報 特開昭61-221206号公報 国際公開第2007/026743号
Macromolecules 2011,44,1986-1998
しかしながら、従来の遷移金属化合物ではオレフィン・環状オレフィン系共重合体の製造において、重合活性や、得られる共重合体の分子量、環状オレフィン共重合性などの観点で更なる改善の余地があった。
このような従来技術に鑑み、本発明は、オレフィン・環状オレフィン共重合体の好適な製造方法を提供することを目的としている。
発明者らは、特定のヘテロ元素配位子を有する非メタロセン化合物を用いることで、環状オレフィン含量の高く、分子量の高いオレフィン・環状オレフィン共重合体を高い重合活性で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(A)下記式[A-1]で表される遷移金属化合物(A)と、
(B)(B-1)有機金属化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)
とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィン(X)と環状オレフィン(Y)とを共重合させることを特徴とするオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法に係る。
(A)下記式[A-1]で表される遷移金属化合物
(PI)-M-Ln・・・[A-1]
〔式中、Mは第3~11族金属であり;各PIは、独立に下記式[A-2]で表される配位子であり:
Figure 2023124236000001
式[A-2]中、R1~R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1~40の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、R1~R3のうちの2個以上の基が互いに結合して環を形成していてもよく;
Lは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~40の炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、共役ジエン系誘導体基から選ばれ、シクロペンタジエニル型配位子および前記PI配位子ではない配位子であり;
nは、Mの価数を満たす1~6の整数であり、nが2以上の場合、複数のLは互いに同一でも異なっていてもよい。〕
本発明によれば、高い重合活性で、環状オレフィン含量の高く、分子量の高いオレフィン・環状オレフィン共重合体を製造することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
〈遷移金属化合物(A)〉
本発明のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法に用いる遷移金属化合物(A)は下記一般式[A-1]で表されることを特徴としている。
(A)下記式[A-1]で表される遷移金属化合物
(PI)-M-Ln・・・[A-1]
〔式中、Mは周期表第3~11族の遷移金属原子から選ばれる原子であり;(PI)は、下記式[A-2]で表される配位子であり、
Figure 2023124236000002
式[A-2]中、R1~R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1~40の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、R1~R3のうちの2個以上の基が互いに結合して環を形成していてもよく;
Lは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~40の炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、共役ジエン系誘導体基から選ばれ、シクロペンタジエニル型配位子および前記PI配位子ではない配位子であり;
nは、Mの価数を満たす1~6の整数であり、nが2以上の場合、複数のLは互いに同一でも異なっていてもよい。〕
前記一般式[A-1]において、Mは周期律表第3~11族の遷移金属原子(3族にはランタノイドも含まれる)を示し、好ましくは4~5族の金属原子であり、より好ましくは4族の遷移金属原子であり、特に好ましくはチタンである。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウム、イットリウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウムなどであり、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、より好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはチタンである。
前記炭素原子数1~40の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、1-プロピル基、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、1-ヘプチル基、1-オクチル基、iso-プロピル基、sec-ブチル基(ブタン-2-イル基)、tert-ブチル基(2-メチルプロパン-2-イル基)、iso-ブチル基(2-メチルプロピル基)、ペンタン-2-イル基、2-メチルブチル基、iso-ペンチル基(3-メチルブチル基)、ネオペンチル基(2,2-ジメチルプロピル基)、シアミル基(1,2-ジメチルプロピル基)、iso-ヘキシル基(4-メチルペンチル基)、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、テキシル基(2,3-ジメチルブタ-2-イル基)、4,4-ジメチルペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、プロペニル基(プロパ-1-エン-1-イル基)、iso-プロペニル基(プロパ-1-エン-2-イル基)、アレニル基(プロパ-1,2-ジエン-1-イル基)、ブタ-3-エン-1-イル基、クロチル基(ブタ-2-エン-1-イル基)、ブタ-3-エン-2-イル基、メタリル基(2-メチルアリル基)、ブタ-1,3-ジエニル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、iso-ペンテニル基(3-メチルブタ-3-エン-1-イル基)、2-メチルブタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、プレニル基(3-メチルブタ-2-エン-1-イル基)などの直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基;
エチニル基、プロパ-2-イン-1-イル基、プロパルギル基(プロパ-1-イン-1-イル基)などの直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基; ベンジル基、2-メチルベンジル基、4-メチルベンジル基、2,4,6-トリメチルベンジル基、3,5-ジメチルベンジル基、クミニル基(4-iso-プロピルベンジル基)、2,4,6-トリ-iso-プロピルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、3,5-ジ-tert-ブチルベンジル基、1-フェニルエチル基、ベンズヒドリル基(ジフェニルメチル基)、クミル基などの芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプタトリエニル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;
フェニル基、トリル基(メチルフェニル基)、キシリル基(ジメチルフェニル基)、メシチル基(2,4,6-トリメチルフェニル基)、クメニル基(iso-プロピルフェニル基)、ジュリル基(2,3,5,6-テトラメチルフェニル基)、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、terフェニル基、ビナフチル基、アセナフタレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェロセニル基などの芳香族置換基(アリール基)などが挙げられる。
前記炭素原子数1~40の炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基;ケイ素含有基;ゲルマニウム含有基;またはスズ含有基を有していてもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
前記ハロゲン含有基としては、前記の炭化水素基の水素原子がハロゲンで置換されたものを含み、そのような水素原子がハロゲンで置換された炭化水素基として、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1~20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
前記ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基などが挙げられ、より具体的には、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基などのケイ素置換アルキル基; トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
前記酸素含有基としては、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコシキ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられる。
前記窒素含有基として具体的には、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられる。
前記イオウ含有基として具体的には、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p-クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p-トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられる。
前記リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
1~R3は、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状または環状アルキル基、あるいは炭素原子数6~20のアリール基であることが好ましい。具体的には、t-ブチル基、アダマンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビフェニル-2-イル基、o-トリル基が挙げられ、これらの中でも、t-ブチル基、アダマンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、およびビフェニル-2-イル基が好ましい。
Lは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~40の炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、共役ジエン系誘導体基から選ばれ、シクロペンタジエニル型配位子および前記PI配位子ではない配位子であり;
炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基としては、前記式[A-2]におけるR1~R3として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記ジエン系誘導体基は、前記一般式[A-1]におけるMに孤立電子対で配位可能な炭化水素化合物であり、例えば、1,3-ブタジエニル基、イソプレニル基(2-メチル-1,3-ブタジエニル基)、ピペリレニル基(1,3-ペンタジエニル基)、2,4-ヘキサジエニル基、1,4-ジフェニル-1,3-ペンタジエニル基、シクロペンタジエニル基、メタロシクロペンテニル基、1.5-シクロオクタジエニル基などが挙げられる。
前記シクロペンタジエニル型配位子は、π型結合によって金属に結合している5員環炭素環を有する置換配位子であり、置換シクロペンタジエニル配位子、置換テトラヒドロインデニル配位子、置換オクタヒドロフルオレニル配位子、置換ヒドロアズレニル配位子、置換ペンタヒドロアズレニル配位子、置換ジヒドロシクロペンテノアニュレン配位子、置換シクロペンテノピロール配位子、置換シクロペンテノチオフェン配位子および置換シクロペンテノジチオフェン配位子等の置換シクロペンタジエニル型配位子、置換インデニル配位子、置換テトラヒドロインデニル配位子、置換ベンゾインデニル配位子、置換ジヒドロインダセニル配位子、置換インデノピロール配位子、置換インデノインドール配位子および置換インデノチオフェン等の置換インデニル型配位子、ならびに置換フルオレニル配位子等を含む。シクロペンタジエニル型配位子としては、置換シクロペンタジエニル型配位子および置換インデニル型配位子が好ましく、より好ましくは、置換シクロペンタジエニル配位子、置換ジヒドロシクロペンテノアニュレン配位子、置換シクロペンテノチオフェン配位子、置換シクロペンテノジチオフェン配位子、置換インデニル配位子である。
Lの好ましい具体例としては、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ベンジル基、フェノキシ基、1,3-ブタジエニル基が挙げられる。
nは、Mの価数を満たす1~6の整数であり、nが2以上の場合、複数のLは互いに同一でも異なっていてもよい。
以下に、上記一般式[A-1]で表される遷移金属化合物(A)の具体的な例として式(a1)~(a12)で表される化合物を示すが、遷移金属化合物(A)はこれらに限定されるものではない。
Figure 2023124236000003
Figure 2023124236000004
Figure 2023124236000005
Figure 2023124236000006
Figure 2023124236000007
Figure 2023124236000008
Figure 2023124236000009
Figure 2023124236000010
Figure 2023124236000011
Figure 2023124236000012
Figure 2023124236000013
Figure 2023124236000014
〈化合物(B)〉
本発明のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法に用いる化合物(B)は、
(B-1)有機金属化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)である。
《有機金属化合物(B-1)》
有機金属化合物(B-1)(以下「成分(B-1)」ともいう。)としては、例えば、一般式(B-1a)で表される有機アルミニウム化合物(B-1a)、一般式(B-1b)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(B-1b)、一般式(B-1c)で表される第2族または第12族金属のジアルキル化合物(B-1c)等の、第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が挙げられる。
(B-1a):Ra mAl(ORbnpq
式(B-1a)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であり、かつm+n+p+q=3である。有機アルミニウム化合物(B-1a)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリシクロアルキルアルミニウムが挙げられる。
(B-1b):M2AlRa 4
式(B-1b)中、M2はLi、NaまたはKであり、Raは炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基である。錯アルキル化物(B-1b)としては、例えば、LiAl(C254、LiAl(C7154が挙げられる。
(B-1c):Rab3
式(B-1c)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、M3はMg、ZnまたはCdである。化合物(B-1c)としては、例えば、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジn-ブチルマグネシウム、エチルn-ブチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジn-ブチル亜鉛、ジフェニル亜鉛が挙げられる。
有機金属化合物(B-1)の中では、有機アルミニウム化合物(B-1a)が好ましい。
有機金属化合物(B-1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)》
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)(以下「成分(B-2)」ともいう。)としては、従来公知のアルミノキサンをそのまま使用することができる。具体的には、下記一般式[B2-1]
および/または下記一般式[B2-2]
Figure 2023124236000016
(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基、nは2以上の整数を示す)で表わされる化合物、特開平2-78687号公報、特開平2-167305号公報に記載れたベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物、特開平3-103407号公報に記載されている二種類以上のアルキル基を有するアルミノキサンが挙げられる。
また、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)として、下記一般式[B2-3]で表されるような修飾メチルアルミノキサン等も挙げられる。
(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基、mおよびnはそれぞれ独立に2以上の整数を示す。)
この修飾メチルアルミノキサンはトリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて調製されるものである。このような化合物は一般にMMAOと呼ばれている。このようなMMAOは、米国特許第4960878号明細書および米国特許第5041584号明細書で挙げられている方法で調製することができる。
さらに、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)として、下記一般式[B2-4]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物も挙げることができる。
(式中、Rcは炭素数1から10の炭化水素基を示す。Rdは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1から10の炭化水素基を示す。)
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)としては、市販品のために入手が容易なメチルアルミノキサン、およびトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを用いて調製したMMAOが好ましい。このうち、各種溶媒への溶解性および保存安定性が改良されたMMAOが特に好ましい。
《遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)》
遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)(以下「イオン性化合物(B-3)」または「成分(B-3)」ともいう。)としては、特表平1-501950号公報、特表平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、米国特許第5321106号明細書などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
イオン性化合物(B-3)としては、好ましくは下記一般式[B3-1]で表されるホウ素化合物が挙げられる。
(式中、Re+としては、H+、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。)
fからRiは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1から20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基から選ばれる置換基であり、好ましくは置換アリール基である。
前記一般式[B3-1]で表されるホウ素化合物の例としては、特開2012-72365号公報の[0196]~[0217]に記載されたものを挙げることができ、これらの中でも、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
イオン性化合物(B-3)は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いでもよい。
(担体(C))
前記担体(C)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体であり、触媒成分として遷移金属化合物および担体を使用したオレフィン重合において従来使用されているもの、たとえば特開2012-72365号公報の[0220]~[0235]に記載されたものを使用することができる。
(有機化合物成分(D))
前記オレフィン重合用触媒の構成成分として、必要に応じて有機化合物成分(D)を用いてもよい。有機化合物成分(D)は、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩等が挙げられる。
〔オレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法〕
本発明のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法は、上述した本発明の遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィン(X)と環状オレフィン(Y)とを共重合することを特徴としている。
本発明のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法においては、2種以上のオレフィンと環状オレフィンを共重合して共重合体を製造してもよい。
重合における、本発明に係わるオレフィン重合用触媒を構成する各成分の使用法、重合器への添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。以下では、遷移金属化合物(A)、化合物(B)、担体(C)および有機化合物成分(D)を、それぞれ「成分(A)~(D)」ともいう。
(1)成分(A)を単独で重合器に添加する方法。
(2)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。(3)成分(A)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(B)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)成分(B)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(A)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)成分(A)と成分(B)とを成分(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記の各方法においては、任意の段階で成分(D)が添加されてもよい。
上記の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2種は予め接触されていてもよい。
成分(B)が担持されている上記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。また、成分(C)に成分(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
オレフィンと環状オレフィンとの共重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、遷移金属化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-12~10-2モル、好ましくは10-10~10-3モルになるような量で用いられる。
有機金属化合物(B-1)は、有機金属化合物(B-1)と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-1)/M〕が通常0.01~50,000、好ましくは0.05~10,000となるような量で用いられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属(M)とのモル比〔(B-2)/M〕が、通常10~5,000、好ましくは20~2,000となるような量で用いられる。
イオン化イオン性化合物(B-3)は、イオン化イオン性化合物(B-3)と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-3)/M〕が、通常1から10,000、好ましくは1から5,000となるような量で用いられる。
担体(C)を用いる場合は、遷移金属化合物(A)と担体(C)との重量比〔(A)/(C)〕が好ましくは0.0001~1、より好ましくは0.0005~0.5、さらに好ましくは0.001~0.1となるような量で用いられる。
本発明の製造方法において、前記重合工程における重合温度は、通常-50~+200℃、好ましくは0~180℃であり;重合圧力は、通常常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法において行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。
得られるオレフィン・環状オレフィン共重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させるか、化合物(B)の使用量により調節することができる。水素を添加する場合、その量は生成する共重合体1kgあたり0.001から5,000NL程度が適当である。
本発明のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法において重合反応に供されるオレフィン(X)の例としては、直鎖状または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。
本発明においては、前記の触媒の存在下に、直鎖状または分岐状のオレフィンと、環状オレフィン(Y)との共重合を行い、オレフィン・環状オレフィン共重合体を製造することを特徴とする。好ましくは、下記の(Z-1)で規定されるオレフィンと、(Z-2)で規定される環状オレフィンとの共重合を行い、オレフィン・環状オレフィン共重合体を製造することを特徴とする。
(Z-1)炭素原子数2~30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン
前記直鎖状または分岐状のα-オレフィンとしては、炭素原子数2~30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン(Z-1)が挙げられる。
α-オレフィン(Z-1)の炭素原子数は、好ましくは2~20である。
α-オレフィン(Z-1)の具体例としてはエチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、および1-エイコセンが挙げられる。より好ましくは直鎖状のオレフィンであり、特に好ましくはエチレンである。
(Z-2)一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]、一般式[Z-IV]または一般式[Z-V]で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン
前記環状オレフィンとしては、下記一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]、一般式[Z-IV]または一般式[Z-V]で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン(Z-2)が挙げられる。
Figure 2023124236000020
〔式[Z-I]中、uは0または1であり、
vは0または正の整数であり、
wは0または1であり、
61~R78ならびにRa1およびRb1は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R75~R78は、互いに結合して単環または、多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
Figure 2023124236000021
〔式[Z-II]中、xおよびdは0または1以上の整数であり、
yおよびzは0、1または2であり、
81~R99は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。〕
Figure 2023124236000022
〔式[Z-III]中、R100およびR101は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基であり、fは1≦f≦18である。〕
Figure 2023124236000023
〔一般式[Z-IV]中、xは0または1以上の整数であり、
111~R118は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、
121~R124は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、隣接する2つの基は互いに結合し単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。〕
Figure 2023124236000024
〔一般式[Z-V]中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3であり、R18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のとき、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31、R28とR28は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。〕
以下、一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]、一般式[Z-IV]、および一般式[Z-V]について詳説する。
《一般式[Z-I]》
式[Z-I]中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1である。なおwが1の場合には、wを用いて表される環は6員環となり、wが0の場合には、この環は5員環となる。
61~R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
前記炭化水素基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数が1~30、好ましくは1~20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシルなどの炭素原子数が3~30、好ましくは3~20のシクロアルキル基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5~30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6~30、好ましくは6~20のアリール基;トリル、iso-プロピルフェニル、t-ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ-t-ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、モノトリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1~30、好ましくは1~20のハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミルなどのアリール置換アルキル基などが挙げられる。
さらに、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基;ゲルマニウム含有基;またはスズ含有基を有していてもよい。
上記炭化水素基としては、特に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数1~30、好ましくは1~20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3~30、好ましくは3~20のシクロアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1~30、好ましくは1~20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1~5個置換した置換アリール基などが好ましい。
さらに上記一般式[Z-I]において、R75とR76とが、R77とR78とが、R75とR77とが、R76とR78とが、R75とR78とが、またはR76とR77とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環の基を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環が二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環としては、具体的に以下のようなものが挙げられる。
Figure 2023124236000025
なお、上記例示において、1または2の番号を付した炭素原子は、上記一般式(I)においてそれぞれR75(R76)またはR77(R78)が結合している炭素原子を表す。
また、R75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2~20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデンなどが挙げられる。
《一般式[Z-II]》
式[Z-II]中、xおよびdは0または正の整数であり、yおよびzは0、1または2である。
また、R81~R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基である。
ハロゲン原子、炭化水素基としてはとしては、上記式[Z-I]中のハロゲン原子、炭化水素基と同じものを例示できる。
ここで、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接または炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R89とR93とが、または、R90とR91とが互いに共同して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレン基(-CH2CH2CH2-)の内のいずれかのアルキレン基を形成している。
さらに、y=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。具体的には、y=z=0のとき、R95とR92とにより形成される以下のような芳香族環が挙げられる。
Figure 2023124236000026
ここで、lは上記一般式[Z-II]におけるdと同じである。
《一般式[Z-III]》
式[Z-III]中、R100とR101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基であり、またfは1≦f≦18である。
炭素原子数1~5の炭化水素基としては好ましくはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはシクロアルキル基を挙げることができる。これらの具体例は上記式[Z-I]のR61~R78の具体例と同様である。
《一般式[Z-IV]》
一般式[Z-IV]において、xは0または1以上の整数である。
111~R118およびR121~R124は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよい。
ハロゲン原子、炭化水素基としてはとしては、上記式[Z-I]中のハロゲン原子、炭化水素基と同じものを例示できる。
また、R121~R124の隣接する2つの基は互いに結合して単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。これらのうち、R121とR122が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2023124236000027
Figure 2023124236000028
また、R122とR123が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2023124236000029
Figure 2023124236000030
また、R121とR122、R123とR124が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2023124236000031
これらの芳香族環上にハロゲン原子、アルキル基、およびアリール基から選ばれる置換基が置換された環状オレフィンも例として挙げられる。
《一般式[Z-V]》
一般式[Z-V]において、mおよびnは0、1または2であり、R18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環を形成していてもよく、該単環が二重結合を有していてもよい。
また、一般式[Z-V]において、mは0または1であることが好ましく、1であることがより好ましい。nは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。R18~R31は水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
また、炭素原子数1~20の炭化水素基としては、それぞれ独立に、例えば炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基、および芳香族炭化水素基等が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基等のアリール基またはアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基はフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
《一般式[Z-VI]》
Figure 2023124236000032
上記一般式(Z-VI)中、nおよびqはそれぞれ独立に0,1または2である。R1
17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R10~R17の内1つは結合手である。また、q=0のとき、R10とR11、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。また、q=1または2のとき、R10とR11、R11とR17、R17とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR16、R17とR17、R16とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
上記一般式[Z-I]、[Z-II]、[Z-III]、[Z-IV]、[Z-V]または[Z-VI]で表される環状オレフィンの好ましい具体例としては、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンなどの特開2011-122146号公報の[0176]~[0207]に例示された化合物が挙げられる。また、1,4-ジヒドロ―1,4メタノナフタレン、1,4-メタノ―1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレンも好ましい環状オレフィンである。
これらの一般式[Z-I]、[Z-II]、[Z-III]、[Z-IV]または[Z-V]で表される環状オレフィン(Z-2)は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法において重合、前記の(Z-1)、(Z-2)以外に他のオレフィンを反応に供してもよい。この様なオレフィンの例としては、共役/非共役ポリエン、ビニルシクロヘキサンが挙げられる。
前記共役/非共役ポリエンとしては、炭素原子数が4~30、好ましくは4~20であり、2つ以上の二重結合を有する環状または鎖状の炭化水素が挙げられる。その具体例としては、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエンブタジエン、イソプレン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの特開2011-122146号公報の[0211]に例示された化合物が挙げられる。
本発明のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法においては、上述したオレフィンと共に、オレフィン以外の重合性化合物を重合してもよく、このような重合性化合物の例としては、極性基および重合性不飽和結合を有する化合物、芳香族ビニル化合物、および官能基含有スチレン誘導体が挙げられる。
極性基および重合性不飽和結合を有する化合物の具体例としては、特開2011-122146号公報の[0208]~[0211]に極性基を有する不飽和炭化水素として例示された化合物が挙げられる。
芳香族ビニル化合物および官能基含有スチレン誘導体の具体例としては、特開2011-122146号公報の[0211]に例示された化合物が挙げられる。
本発明の製造方法の好ましい態様としては、前記α-オレフィン(Z-1)と前記環状オレフィン(Z-2)とを共重合する態様が挙げられる。この態様においては、前記α-オレフィン(Z-1)としてはエチレンが好ましく、前記環状オレフィン(Z-2)としてはテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、1,4-ジヒドロ―1,4メタノナフタレン、1,4-メタノ―1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン、ビシクロ[2,2,1]ヘプタ-2-エン、メチルフェニルノルボルネンが好ましい。
前記α-オレフィン(Z-1)と、前記環状オレフィン(Z-2)とを共重合するにおいて、α-オレフィン(Z-1)の圧力と環状オレフィン(Z-2)の濃度を任意に設定することができ、特に限定されるものではない。α-オレフィン(Z-1)の圧力は前記重合圧力が好ましく、環状オレフィン(Z-2)の濃度は0.001~100 mol/L、好ましくは0.01~10 mol/Lであり、より好ましくは0.1~1 mol/Lである。
本発明のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法は、1-ヘキセンなど直鎖状長鎖オレフィンとの共重合においては、シクロペンタジエニル配位子を持つメタロセン化合物を用いる従来技術に比べ、重合活性や共重合性の面で劣位にも関わらず、前記環状オレフィンとの共重合においては、優れた重合活性や共重合性を示す。これは、驚くべき結果であり、いかに当業者といえども容易に発見に至ることがない技術と言える。
〔オレフィン・環状オレフィン共重合体〕
本発明の製造方法で以下のオレフィン・環状オレフィン共重合体が得られうる。
(分子量)
本発明に係るオレフィン・環状オレフィン共重合体の分子量は、135℃、デカリン中で測定した極限粘度より決定される値で、0.1以上、10.0以下であることが好ましい。その下限値は、より好ましくは0.2、さらに好ましくは0.4である。一方、その上限値は、より好ましくは8.0、さらに好ましくは7.0である。
本発明に係るオレフィン・環状オレフィン共重合体は、その極限粘度が上記の範囲内であれば、成型性、強度、透明性などのバランスが良く、機械特性として強度(靭性)が求められる場合にも好適に使用することができる。
〈ガラス転移温度〉
上述のとおり、本発明に係るオレフィン・環状オレフィン共重合体は、高いガラス転移温度、たとえば100℃~250℃を示す。その下限値は、好ましくは110℃である。一方、その上限値は、溶融成型時の重合体の耐熱安定性の観点からは、より好ましくは230℃、さらに好ましくは220℃である。
前記ガラス転移温度の値は、以下の条件またはこれと同等の条件で測定した場合のものである。
測定条件:示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー社 DSC6220)を用いて、約5.0mgの試料(オレフィン・環状オレフィン共重合体)を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、その温度で5分間保持する。(ただし、250℃以上320℃以下の温度領域で分解する共重合体の場合は、常法の通り、適宜保持する温度を低く調整してもよい。)さらに降温速度10℃/分で0℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度20℃/分で300℃まで昇温する。この2度目の昇温の際に、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平行移動する形で感知される。この屈曲より低温のベースラインの接線と、屈曲した部分で傾きが最大となる点の接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
(共重合体の組成)
本発明に係るオレフィン・環状オレフィン共重合体は、(Z-1)由来のオレフィン構造単位と、(Z-2)由来のオレフィン構造単位とを含み、これらが連結した構造を有する。
全オレフィン構造単位を100モル%とすると、(Z-1)由来の構造単位の含有率は、好ましい下限値として40モル%、より好ましくは50モル%、さらに好ましくは60モル%である。好ましい上限値は、90モル%であり、より好ましくは80モル%である。一方、(Z-2)由来の構造単位の含有率の好ましい下限値は、10モル%、好ましくは20モル%である。一方好ましい上限値は60モル%、より好ましくは50モル%、さらに好ましくは40モル%である。
(Z-2)由来の構造単位の含有率が高いほど、ガラス転移温度が高くなる傾向がある。
前記オレフィン・環状オレフィン共重合体には、必要に応じて他の構造単位が含まれていても構わない。例えば、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物、1,5-ヘキサジエン、4-メチル-1,5-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等の非共役ジエン化合物、スチレンなどの芳香族ビニル化合物などを挙げることが出来る。このような化合物由来の構造単位の含有率は、前記の全オレフィン構造単位を100モル%とすると、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下である。
本発明に係るオレフィン・環状オレフィン共重合体は、従来の環状オレフィン共重合体の用途、例えば、プラスチックレンズなどの光学製品、フィルムなどの包装用品などに制限なく利用することが出来る。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[測定方法]
〔遷移金属化合物の構造〕
遷移金属化合物の構造は、1H-NMRスペクトル(400MHz、日本電子製ECZ400S)を用いて決定した。
〔オレフィン・環状オレフィン共重合体の極限粘度〕
135℃、デカリン中で測定した。
〔オレフィン・環状オレフィン共重合体の環状オレフィン含量〕
予めオレフィン・環状オレフィン共重合体の環状オレフィン含有量とDSC(示差走査熱量計)測定によるガラス転移温度(Tg)の相関式を求めた。DSC測定によるTgからこの相関式を用いて環状オレフィン含有量を算出した。
基準となるオレフィン・環状オレフィン共重合体の環状オレフィン含有量は、特開2011-122146号公報の[0216]~[0219]の記載に従い、13C-NMRスペクトルにより求めた。
〔オレフィン・環状オレフィン共重合体のガラス転移温度(Tg)〕
以下の条件またはこれと同等の条件でDSC測定を行い、共重合体のTgを求めた。
装置:エスアイアイナノテクノロジー社 DSC6220
測定条件:約5.0mgの試料(オレフィン・環状オレフィン共重合体)を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、その温度で5分間保持する。さらに降温速度10℃/分で0℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度20℃/分で300℃まで昇温する。この2度目の昇温の際に、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平行移動する形で感知される。この屈曲より低温のベースラインの接線と、屈曲した部分で傾きが最大となる点の接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
〔遷移金属化合物(a1)の製造〕
遷移金属化合物(a1)はOrganometallics,2000,19,2994-3000.に記載の方法に従い合成した。その構造を以下に記す。
Figure 2023124236000033
遷移金属化合物(a2)(A-2)は以下に示す方法で合成した。
(配位子(a2-L)の合成)
三方コックおよび磁気攪拌子を備えた100mLの三口フラスコを充分に窒素置換した後、三口フラスコにTris(1-adamantyl)phosphine2055mg(4.71mmol)、トルエン50mL、トリメチルシリルアジド800mg (6.94mmоl)を添加し、16時間加熱還流した。室温に戻し、溶媒を減圧留去した後、ヘキサンで洗浄した。得られた固体を減圧乾燥して下記式で表される目的物〔以下配位子(a2-L)と記載する。〕を2353mg(白色粉末、収率95%)得た。同定は、1H-NMR(CDCl3)の測定結果により行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ 2.21-1.67(45H,m)ppm, 0.05(9H,s)ppm
Figure 2023124236000034
(遷移金属化合物(a2)の合成)
三方コックおよび磁気攪拌子を備えた100mLの三口フラスコを充分に窒素置換した後、三口フラスコに先の反応で得られた配位子(a2-L)を2353mg(4.49mmоl)、トルエン45mLを添加した。続いて1.0mol/LのTiCl4(4.5mmоl)/トルエン溶液4.5mLを徐々に加えた後、17時間加熱還流した。室温まで冷却し、この溶液に対して1.0MのTiCl4(4.5mmоl)/トルエン溶液4.5mLを加えた後、22時間加熱還流した。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した後、ヘキサンで洗浄した。得られた固体を三方コックおよび磁気攪拌子を備えた100mLの三口フラスコに加え、トルエン40mLを加えた。TiCl4 380mg(2.00mmоl)を2mLのトルエンに溶解させた溶液を加えた後、18時間加熱還流した。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した後、ヘキサンで2回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥して下記式で表される目的物(以下「遷移金属化合物A-2」とも記載する。)2502mg(黄色粉末、収率92%)を得た。同定は、1H-NMR(CDCl3)の測定結果により行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ 2.67-1.76(45H,m)ppm
Figure 2023124236000035
遷移金属化合物(d-1)はSigma-Aldrich Co.LLCより購入した「塩化チタン(IV)テトラヒドロフラン錯体」をそのまま使用した。その構造を以下に記す。
Figure 2023124236000036
遷移金属化合物(d-2)はStrem Chemicals, Inc.より購入した「シクロペンタジエニルチタニウム(IV)トリクロリド」をそのまま使用した。その構造を以下に記す。
Figure 2023124236000037
遷移金属化合物(d-3)はOrganometallics,2003,22,1937-1947に記載の方法に従い合成した。その構造を以下に記す。
Figure 2023124236000038
〔オレフィン・環状オレフィン共重合体の製造〕
[実施例1]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、シクロヘキサン/ヘキサン(9/1)混合溶液250mLとテトラシクロドデセン(以下「TD」とも記載する。)60mmolを装入し、エチレン50リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、トリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で0.50mmol、引き続き、上記遷移金属化合物(a1)を0.002mmol、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.008mmolを加え重合を開始した。エチレンを50リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、50℃で10分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのアセトン/メタノール(3/1)混合溶媒中に加えてポリマーを析出させた。同溶媒で洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥し、オレフィン・環状オレフィン共重合体であるエチレン・テトラシクロドデセン共重合体を得た。
得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体重量(g)と遷移金属化合物(a1)添加量(mmol-Ti)から算出した重合活性(kg-polymer/mmol-Ti)およびエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の物性値を表1に示す。
[実施例2]
実施例1で用いた遷移金属化合物(a1)を上記遷移金属化合物(a2)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、オレフィン・環状オレフィン共重合体であるエチレン・テトラシクロドデセン共重合体を得た。
重合活性および得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の物性値を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で用いた遷移金属化合物(a1)を上記遷移金属化合物(d-1)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、オレフィン・環状オレフィン共重合体であるエチレン・テトラシクロドデセン共重合体を得た。
重合活性および得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の物性値を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で用いた遷移金属化合物(a1)を上記遷移金属化合物(d―2)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、オレフィン・環状オレフィン共重合体であるエチレン・テトラシクロドデセン共重合体を得た。
重合活性および得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の物性値を表1に示す。
[比較例3]
実施例1で用いた遷移金属化合物(a1)を上記遷移金属化合物(d―3)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、オレフィン・環状オレフィン共重合体であるエチレン・テトラシクロドデセン共重合体を得た。
重合活性および得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の物性値を表1に示す。
[参考例1]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、トルエン250mLを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、トリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で0.20mmol、引き続き、上記遷移金属化合物(a1)を0.005mmol、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.002mmolを加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、50℃で5分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む750ミリリットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。同溶媒で洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、エチレン重合体を得た。
重合活性および得られたエチレン重合体の物性値を表1に示す。
[参考例2]
参考例1で用いた遷移金属化合物(a1)を上記遷移金属化合物(d―3)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い,エチレン重合体を得た。
重合活性および得られたエチレン重合体の物性値を表1に示す。
[参考例3]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、トルエン250mLを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、1-オクテン10mL、トリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で0.50mmol、引き続き、上記遷移金属化合物(a2)を0.01mmol、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.02mmolを加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、60℃で10分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む反応物を少量の塩酸を含む1リットルのアセトン/メタノール(3/1)混合溶媒中に加えてポリマーを析出させた。同溶媒で洗浄後、120℃にて10時間減圧乾燥し、エチレン・1-オクテン共重合体を得た。
重合活性および得られたエチレン・1-オクテン共重合体の物性値を表1に示す。
[参考例4]
参考例3で用いた遷移金属化合物(a2)を上記遷移金属化合物(d―3)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い,エチレン・1-オクテン共重合体を得た。
重合活性および得られたエチレン・1-オクテン共重合体の物性値を表1に示す。
TD:テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ-4-エン

Claims (6)

  1. (A)下記式[A-1]で表される遷移金属化合物と、
    (B)(B-1)有機金属化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
    (B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)
    とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィン(X)と環状オレフィン(Y)とを共重合させることを特徴とするオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法:
    (A)下記式[A-1]で表される遷移金属化合物
    (PI)-M-Ln・・・[A-1]
    〔式中、Mは第3~11族金属であり;各PIは、独立に下記式[A-2]で表される配位子であり:
    Figure 2023124236000040
    式[A-2]中、R1~R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1~40の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、R1~R3のうちの2個以上の基が互いに結合して環を形成していてもよく;
    Lは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~40の炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、共役ジエン系誘導体基から選ばれ、シクロペンタジエニル型配位子および前記PI配位子ではない配位子であり;
    nは、Mの価数を満たす1~6の整数であり、nが2以上の場合、複数のLは互いに同一でも異なっていてもよい。〕
  2. 前記一般式[A-1]において、式[A-2]のR1~R3が、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状または環状アルキル基、あるいは炭素原子数6~20のアリール基である請求項1に記載のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法。
  3. 前記一般式[A-1]において、Mが、周期律表第4族または第5族の遷移金属原子である、請求項1または2に記載のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法。
  4. 前記一般式[A-1]において、Mがチタン原子である請求項1~3のいずれか1項に記載のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法。
  5. 前記オレフィン(X)が、炭素原子数2~30の直鎖状または分岐状のα-オレフィンであり、前記環状オレフィン(Y)が、下記式[Z-I]、式[Z-II]、式[Z-III]、式[Z-IV]、式[Z-V]または式[Z-VI]で表される環状オレフィンである請求項1~4のいずれか1項に記載のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法。
    Figure 2023124236000041
    [式[Z-I]中、uは0または1であり、
    vは0または正の整数であり、wは0または1であり、
    61~R78ならびにRa1およびRR1は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R75~R78は、互いに結合して単環または、多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。]
    Figure 2023124236000042
    [式[Z-II]中、xおよびdは0または1以上の整数であり、
    yおよびzは0、1または2であり、
    81~R99は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。]
    Figure 2023124236000043
    [式[Z-III]中、R100およびR101は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基であり、fは1≦f≦18である。]
    Figure 2023124236000044
    [式[Z-IV]中、xは0または1以上の整数であり、
    111~R118は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R121~R124は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、隣接する2つの基は互いに結合し単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。]
    Figure 2023124236000045
    [式[Z-V]中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3であり、R18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環の芳香族環であってもよい。]
    Figure 2023124236000046
    [上記一般式(Z-VI)中、nおよびqはそれぞれ独立に0,1または2である。R1
    17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R10~R17の内1つは結合手である。また、q=0のとき、R10とR11、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。また、q=1または2のとき、R10とR11、R11とR17、R17とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR16、R17とR17、R16とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。]
  6. 前記オレフィン(X)がエチレンであり、前記環状オレフィン(Y)がテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、1,4-ジヒドロ-1,4メタノナフタレン、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン、ビシクロ[2,2,1]ヘプタ-2-エン、メチルフェニルノルボルネンから選ばれる環状オレフィンである請求項1~5のいずれかに記載のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法。
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