JP2023124032A - 複合材料の製造方法 - Google Patents

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JP2023124032A JP2022027577A JP2022027577A JP2023124032A JP 2023124032 A JP2023124032 A JP 2023124032A JP 2022027577 A JP2022027577 A JP 2022027577A JP 2022027577 A JP2022027577 A JP 2022027577A JP 2023124032 A JP2023124032 A JP 2023124032A
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穂高 横溝
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Abstract

【課題】強化繊維と樹脂からなる複合材料を高い生産性でかつ低コストで製造する方法を提供する。【解決手段】複数の強化繊維からなる強化繊維束を長手方向に沿って連続的にスリットし、複数の細幅ストランドにした状態で、繊維長3~100mmに連続的にカットし、これを樹脂に含浸させて、強化繊維と樹脂とを含む複合材料を製造する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、強化繊維と樹脂とを含む複合材料の製造方法に関する。
強化繊維を強化材として使用した複合材料は、引張強度・引張弾性率が高く、線膨張係数が小さいので寸法安定性に優れ、さらに耐熱性、耐薬品性、耐疲労特性、耐摩耗性、電磁波シールド性、及びX線透過性にも優れることから、炭素繊維を強化材として使用した複合材料は、自動車、スポーツ・レジャー、航空・宇宙、一般産業用途などに幅広く適用されている。
例えば特許文献1及び特許文献2には、SMCやスタンパブルシートと呼ばれる成形用材料が記載されている。
特開2009-114611号公報 特開2009-114612号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載された発明では、一方向に強化繊維が引き揃えられた繊維束を裁断しているのみであり、樹脂の含浸効率は低い。
本発明は、従来の諸問題を解決する製造プロセスに関するものであり、その主たる目的は、強化繊維と樹脂からなる複合材料を高い生産性でかつ低コストで製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
1.複数の強化繊維からなる強化繊維束を長手方向に沿って連続的にスリットし、複数の細幅ストランドにした状態で、繊維長3~100mmに連続的にカットし、前記強化繊維の束間に樹脂を含浸させて、強化繊維と樹脂とを含む複合材料を製造する方法。
2.樹脂は熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である、請求項1に記載の複合材料の製造方法。
本発明の製造方法によれば、低コストで表面品位及び物性に優れた複合材料を低コストで効率よく製造することができる。作成した複合材料を加熱加圧することで成形体を製造することができる。また、本発明の方法によれば、複合材料の薄肉化や均一な等方化が可能であり、これを用いて成形することにより、外観、物性の両面で優れた成形体を得ることができる。したがって、本発明の方法により製造される複合材料は、例えば、自動車、鉄道車両、航空機等の内板、外板、構成部材等、さらには、各種電気製品、機械・装置類のフレームや筐体等の成形材料として有用である。
本発明の複合材料の製造方法を示す模式図。 給糸方式を示す模式図。 給糸方式を示す模式図。 下受けローラーに押し付けて分繊する模式図。 シェア刃方式で強化繊維束を分繊させる模式図。 ギャング方式で強化繊維束を分繊させる模式図。 スリット装置を描いた模式図。 ブレードを抜き差しして、強化繊維束をスリットさせた模式図。 ロータリーカッタを用いたカット工程の一例の模式図である。 好ましいロータリーカッタの一例について、正面と断面の概略を示す模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[強化繊維]
本明細書において強化繊維は、炭素繊維、アラミド繊維、およびガラス繊維からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。より好ましくは、強化繊維は炭素繊維又はガラス繊維である。
[炭素繊維]
1.炭素繊維全般
本発明に用いられる炭素繊維としては、一般的にポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油・石炭ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維などが知られているが、本発明においてはこれらのいずれの炭素繊維であっても好適に用いることができる。なかでも、本発明においては引張強度に優れる点でポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いることが好ましい。PAN系炭素繊維としては、例えば帝人株式会社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40-24KS(平均繊維径7μm)が利用できる。
2.炭素繊維のサイジング剤
本発明に用いられる炭素繊維は、表面にサイジング剤が付着しているものであってもよい。サイジング剤が付着している炭素繊維を用いる場合、当該サイジング剤の種類は、炭素繊維の種類、及び、複合材料に用いる樹脂の種類に応じて適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではない。
3.炭素繊維の繊維直径
本発明に用いられる炭素繊維の単糸(一般的に、単糸はフィラメントと呼ぶ場合がある)の繊維直径は、炭素繊維の種類に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。平均繊維直径は、通常、3μm~50μmの範囲内であることが好ましく、4μm~12μmの範囲内であることがより好ましく、5μm~8μmの範囲内であることがさらに好ましい。炭素繊維が繊維束状である場合は、繊維束の径ではなく、繊維束を構成する炭素繊維(単糸)の直径を指す。炭素繊維の平均繊維直径は、例えばJIS R7607:2000に記載された方法によって測定することができる。
[ガラス繊維]
本発明に用いられる強化繊維がガラス繊維の場合について説明する。
1.ガラス繊維全般
本発明に使用されるガラス繊維は一般的にガラス繊維と称されるものであればいかなるガラス繊維でもよい。Aガラス、Cガラス、Eガラス等のガラス組成を特に限定するものではなく、場合によりTiO2、SO3、P2O5等の成分を含有するものであっても良い。
ガラス繊維としては、例えば日東紡績社製のガラス繊維E-glass RS240QR-483(番手:2400g/1000m)が利用できる。
2.ガラス繊維のサイジング剤
本発明に用いられるガラス繊維は、表面にサイジング剤が付着しているものであってもよい。サイジング剤が付着しているガラス繊維を用いる場合、当該サイジング剤の種類は、ガラス繊維の種類、複合材料に用いる樹脂の種類に応じて適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではない。ガラス繊維は、有機シラン系化合物、有機チタン系化合物、有機ボラン系化合物及びエポキシ系化合物等の、従来公知のカップリング剤で予め処理をしてあるものが好ましく使用することが出来る。
3.ガラス繊維の繊維直径
ガラス繊維の平均繊維直径は、1μm~50μmが好ましく、5μm~20μmがより好ましい。平均繊維径が小さすぎると熱可塑性樹脂の繊維への含浸性が困難となり、大きすぎると成形性や加工性に悪影響をもたらす可能性がある。
[強化繊維の繊維長]
[数平均繊維長Lnと重量平均繊維長Lw]
一般に、個々の強化繊維の繊維長をLiとすると、複合材料中の数平均繊維長Lnと重量平均繊維長Lwは、以下の式(1)、(2)により求められる。なお、数平均繊維長Lnと重量平均繊維長Lwの単位は、mmである。
Ln=ΣLi/I ・・・式(1)
Lw=(ΣLi)/(ΣLi) ・・・式(2)
ここで、「I」は、測定した強化繊維の数を示す。
繊維長が一定長の場合は数平均繊維長と重量平均繊維長は同じ値になる。複合材料からの強化繊維の抽出は、例えば、500℃×1時間程度の加熱処理を施し、炉内にて樹脂を除去することによって行うことができる。
平均繊維長は、例えば、複合材料から無作為に抽出した100本の繊維の繊維長を、ノギス等を用いて1mm単位まで測定し、式(1)に基づいて求めることができる。
ノギスで測定できない、短い繊維が含まれている場合、樹脂を除去した後、得られた強化繊維を界面活性剤入りの水に投入し、超音波振動により充分に撹拌させた。撹拌された分散液を計量スプーンによりランダムに採取し評価用サンプルを得て、ニレコ社製画像解析装置Luzex APにて繊維数3000本の長さを計測すると良い。繊維長の測定値を用いて、前述の式(1)、(2)と同様にして数平均繊維長Ln、重量平均繊維長Lwを求めることができる。
[強化繊維の体積割合]
複合材料の強化繊維体積割合(Vf)は、下記式(3)で求めることができる。強化繊維体積割合に特に限定は無いが、強化繊維体積割合(Vf)は、10~60Vol%であることが好ましく、20~50Vol%であることがより好ましく、25~45Vol%であればさらに好ましい。
強化繊維体積割合(Vf)=100×強化繊維体積/(強化繊維体積+樹脂体積) 式(3)
[強化繊維体積割合(Vf)の分析]
強化繊維体積割合の分析に限定は無いが、下記のように測定すると良い。
複合材料からサンプルを切り出し、500℃×1時間、炉内にて樹脂を燃焼除去し、処理前後の試料の質量を秤量することによって強化繊維と樹脂の質量を算出する。次に、各成分の比重を用いて、強化繊維と樹脂の体積割合を算出する。
Vf=100×強化繊維体積/(強化繊維体積+樹脂体積)
[樹脂]
複合材料に用いられる樹脂は、熱硬化性であっても、熱可塑性であっても良い。
1.熱可塑性樹脂
用いられる樹脂が熱可塑性樹脂の場合、その種類は特に限定されるものではなく、所望の軟化点又は融点を有するものを適宜選択して用いることができる。上記熱可塑性樹脂としては、通常、軟化点が180℃~350℃の範囲内のものが用いられるが、これに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂フッ素系樹脂、熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂等を挙げることができる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。2種類以上の熱可塑性樹脂を併用する態様としては、例えば、相互に軟化点又は融点が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様や、相互に平均分子量が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様等を挙げることができるが、この限りではない。
熱可塑性樹脂を使用する場合、ポリオレフィン樹脂又はポリアミド樹脂を用いることが好ましく、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド6、又はポリアミド6.6を用いることがより好ましい。
2.熱硬化性樹脂
樹脂が熱硬化性樹脂の場合、複合材料は強化繊維を用いたシートモールディングコンパウンド(SMCと呼ぶ場合がある)を用いたものであることが好ましい。シートモールディングコンパウンドはその成形性の高さから、複雑形状であっても、容易に成形することができる。シートモールディングコンパウンドは、流動性や賦形性が連続繊維に比べて高く、容易にリブやボスの作成ができる。
3.樹脂はポリマーだけでなく、モノマーやオリゴマーであっても良い。
[その他の剤]
本発明で用いる複合材料中には、本発明の目的を損なわない範囲で、有機繊維または無機繊維の各種繊維状または非繊維状のフィラー、難燃剤、耐UV剤、安定剤、離型剤、顔料、軟化剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含んでいてもよい。
[複合材料の製造方法]
[複合材料の製造方法:強化繊維束の巻き出し]
1.1 クリール方式
強化繊維束をボビンから供給する際には、ボビンがクリールに縦置きで支持され、一定のバックテンションを与えて、ボビンを回転させながら給糸する方式(以下、クリール方式という場合がある。)が一般的である。クリール方式では、給糸の際に強化繊維束に撚りが付与されることはない利点がある。しかしその反面、使用中の強化繊維束の終端を次に使用する強化繊維束の始端と予め連結させることができないため、糸替えのために製造を一時停止する必要は生じる。クリールを用いないプル方式(2.プル方式)としても良い。
1.2 クリール部からの強化繊維束の繰り出し
本発明では複数のボビンを連続的に走行させると好ましい。連続的に走行させるとは、連続した強化繊維束を張力などにより一定方向に移動させることを意味し、連続生産のために必要な動作である。さらに、複数の強化繊維束を、同時に連続的に走行させることにより、より生産性が向上する。連続的に走行させるためには、連続した強化繊維束をボビンに巻き付けるなどして、強化繊維束繰り出せるようにクリールスタンド等に複数セットしておき、同時に連続した強化繊維束の片側をローラー状の拡幅冶具、ダンサーローラーやニップローラーなどにより張力を与えたり、摩擦を有する機構で強化繊維束に引張駆動力を作用させて移動させたりする必要がある。
1.3 繰り出し張力
強化繊維束の走行方向上流側に配置した、強化繊維束を巻き出す巻き出し(繰り出す繰り出し)装置(図示せず)などから強化繊維束を巻き出す(繰り出す)。強化繊維束の巻き出し(繰り出し)方向は、ボビンの回転軸と垂直に交わる方向に引き出す横出し方式や、ボビン(紙管)の回転軸と同一方向に引き出す縦出し方式が考えられるが、解除撚りを低減したい場合は横出し方式が好ましい。
また、巻き出し時のボビンの設置姿勢については、任意の方向に設置することができる。中でも、クリールにボビンを突き刺した状態において、クリール回転軸固定面でない側のボビンの端面が水平方向以外の方向を向いた状態で設置する場合は、強化繊維束に一定の張力がかかった状態で保持されることが好ましい。強化繊維束に一定の張力が無い場合は、強化繊維束がパッケージ(ボビンに強化繊維束が巻き取られた巻体)からズレ落ちパッケージから離れる、もしくは、パッケージから離れた強化繊維束がクリール回転軸に巻きつくことで、巻き出しが困難になることが考えられる。
1.4 繰り出し張力の制御
バックテンションの好ましい値は10~10000cN/本であり、より好ましくは100~1000cN/本)である。ボビンの径が変わっても張力が一定となるよう制御されることが好ましい。
2.プル方式
給糸方式としては、図2、図3に示すように、ボビンを縦に置き、その内側又は外側から繊維を縦取りで給糸する方式を用いても良い(以下、プル方式という場合がある。)プル方式は強化繊維としてガラス繊維を用いるときに主に利用される。プル方式は、使用中の繊維の終端を次に使用する繊維の始端に予め連結しておくことができるため、糸替え時に製造を中断させることなく、連続的な製造が可能となり、生産性が良好である。
例えば特公平1-33342号公報には、ガラス繊維を強化繊維とする縦取り給糸による繊維強化プラスチック成形体の製造方法が開示されている。ガラス繊維を拡幅する場合は、この公報に記載されているように、ガラス繊維として複数のストランドを平行に引揃えたロービングを、1回の巻付け長当り1回の割合で、撚りを与えながら円筒状に巻付けた巻体とし、この巻体からロービングを逆撚りの方向に引出す方法を用いることが好ましい。
一方、ガラス繊維を拡幅しない場合は、巻き出し時に撚りが生じても大きな問題にはならない。
[複合材料の製造方法:スプライス]
強化繊維束の巻量や梱包量はその取り扱い性の観点から、ある一定の重量に制限されるので、太い強化繊維束(例えば24,000~48,000フィラメント)の場合には、強化繊維束の長さが従来の強化繊維束(例えば3,000~6,000フィラメント)に比べると、大幅に短くなる。高次加工の工程において、原料である強化繊維束の切り替えは、原料の強化繊維束がなくなる前に、一旦、加工装置をストップし、強化繊維束を交換するのが一般的である。この場合、加工装置のスタート・ストップに多大の労力を要し、かつ、加工装置を一旦停止するため収率が悪化するという問題がある。そこで、連続的に強化繊維束の接続するスプライス装置を用いることが好ましい。強化繊維束の接続方法(スプライス)に特に限定は無いが、以下の技術を使用可能である。
1.流体の吹き付け
強化繊維束を自動でスプライスにあたり、強化繊維束を重ね合わせ部を形成した後、該重ね合わせ部を高速流体処理による絡合により接続しても良い。
強化繊維束同士を接続するに際して、まず、強化繊維束同士を相互に重ね合わせて重ね合わせ部を形成するにあたり、強化繊維束を扁平なものとすると良い。すなわち、強化繊維束同士を相互に重ね合わせるために、まずそれぞれの強化繊維束が概ね平行になるように配置し、強化繊維束にほとんど撚りをかけずに引き揃えて扁平とする。このとき、その重ね合わせ部における強化繊維束の扁平度を10~500の範囲、好ましくは25~250の範囲にするものである。強化繊維束の扁平度は、強化繊維束の幅Wを、強化繊維束の高さHで割った値である。
強化繊維束同士を接続する手段に特に限定はないが、高速流体を用いて繊維を絡ませると良い(絡合)。高速流体処理に用いる流体は、空気、水、蒸気等が適用可能であるが、作業性、経済性の点で空気を使用するのが好ましい。また、絡合部の高次加工などの次工程でのプロセス通過性をさらに良くするために、次工程に悪影響しないようであれば、絡合部を水で濡らしたり、サイジング剤で処理したり、適宜付与しても良い。
絡合に使用する流体の圧力条件は、強化繊維束の伸度、流体が液体か気体か、また噴出孔の径の大きさで最適な条件は異なるが、いずれにしても毛羽の発生が少ない圧力に調整する。
2.手動で結ぶ
強化繊維束を手で結んで繋ぐ方法でもかまわない。但し強化繊維束の本数が多い場合、作業時間は非常に長くなり、生産性を著しく悪化させてしまう。
3.接着剤の使用
強化繊維束を重ね合わせ部を形成して後、該重ね合わせ部に接着剤を付与しても良い。この接着剤として、強化繊維束に含浸させる樹脂と同一の樹脂を用いると好ましい。これにより、継ぎ合わせ部を、強化繊維束の断線などを引き起こすことなく、高い生産速度にて製造ラインを通すことができる。接着剤として用いる樹脂に特に限定はなく、強化繊維束へ含浸させるマトリクス樹脂がポリアミド樹脂の場合、例えば樹脂フィルムを接着したい強化繊維束の間に挟み、温度を樹脂の融点以上に上げ、プレス・冷却することにより接着しても良い。接着温度、圧力、時間は樹脂により適切な範囲を選択することが好ましい。
4.アキュームレーターの使用
工程を止めずに強化繊維束のスプライスを行いたい場合、アキュームレーターを設けて一時的に強化繊維の流れを止める束の速度を止めることが好ましい。
[張力制御]
張力制御は、強化繊維束毎、複数の強化繊維束毎にも調整できるし、全ての強化繊維束を一括して調整することもできる。
1.ニップロール
強化繊維束はクリールから引き出され、一方向に引き揃えられてニップロール等の張力制御装置を通過した後に拡幅手段に向かうと良い。ニップロール方式にて前後の張力を変化させることができ、所定の張力範囲となるように張力を制御できる。ニップロールを複数設けて、張力制御点数を増しても良い。所定の張力をかけた緊張状態にて順次接触通過される。また、1本又は複数のロール(多連ロール)を用いて強化繊維束の走行速度とロール回転速度に差を付けることにより張力を制御しても良い。多連ロールであれば張力制御点を生み出すことができ、張力制御できる範囲を拡大することも容易である。
2.サクションロール
強化繊維束をニップさせずにテンションカットする方法として、サクションロールを用いても良い。サクションロールのロールの表面には多数の小さな穴が開いており、ロール内部から空気を吸引することで、強化繊維束を吸い付けてテンションをカットすることができる。ただし吸引するためにはロール以外に個別の吸引装置が必要となる(初期投資が必要になる)。
3.微細溝ロール
テンションカットにおける初期投資の問題を解決する方法として、ロールの表面に小さい溝を切ってある「微細溝ロール」を提案できる。テンションカットで重要になるのは、ロールと強化繊維束が十分に「グリップ(摩擦)」している点にある。微細溝ロールの特徴であるロール表面の小さな溝が、強化繊維束とロールの間に存在する「空気」を逃がすことで、十分な摩擦力を確保することが可能となる。また、ニップ方式のような強化繊維束のねじれなども発生しにくいため、蛇行・シワの低減化にも効果がある。工程中のロールすべてにおいて、鏡面よりもブラスト処理したものは巻き付きにくい。
[張力を制御する位置]
張力制御手段を設置する位置に特に限定は無く、クリールから拡幅工程まで、拡幅前後や、スリット(分繊)前後に設けても良い。
拡幅の前後で強化繊維束の張力が変化することがあるため、拡幅手段の近辺には強化繊維束の張力を検知する張力検知手段を少なくとも1つ備えてもよく、複数備えて張力差を演算してもよい。
[張力検出]
張力の検出にはロードセル(荷重測定器)付きのローラーを用いてもよい。このときニップロールは制御のみに使用するとよい。張力制御(ニップロール)と張力検出(ローラー)は別のロールで行うことが好ましい。
[開繊]
本発明に置いて、開繊とは拡幅と分繊の上位概念を示す文言として定義する。
以下、拡幅と分繊についてそれぞれ詳述する。
[拡幅]
強化繊維束へ樹脂を含浸させる前に予め強化繊維束を拡幅しておくと良い。ここで拡幅とは、強化繊維束の幅を広げる処理を意味する。拡幅処理方法としては特に制限がなく、押し当て法、振動ロールを通過させる振動拡幅法、圧縮した空気を吹き付けるエア拡幅法などが好ましい。もちろん、最初から拡幅された強化繊維束を用いることもできる。
1.押し当て法
拡張スプレッダー、例えば凸型のピンなどを繊維に押し当てることで、強化繊維束を拡幅させることができる。
1.1 バーを用いた拡幅
強化繊維束ストランドを、その走行方向に直交して設置された断面形状が円形のバーに連続的に所定の張力下でバーに接触させ、強化繊維束を拡幅しても良い。このとき、強化繊維束は緊張状態で(1本又は複数の)バーへ接触通過させる。バーには強化繊維束の径よりも小さいピッチで多数の周方向溝を配設しても良い。更にはバーを下方向又は上方向に湾曲させることにより、周方向溝の曲率を変化させも良い。また、強化繊維束の走行方向に対して角度を持たせてバーを接触通過させても良い。更にはバーを複数本用いて、多段式に拡幅しても良い。拡幅の程度はバーの摩擦抵抗により変化する。摩擦抵抗はバーの材質により影響を受ける。
バーを構成する材料に制限はないが、例えば鉄、SUS、超硬合金等が挙げられる。更には表面に各種メッキを施しても良い。バーの形状についても特に限定はなく、ローラー形状(円柱形状)に限らず、四角柱等の多角柱形状等でもよい。バーとバーの間は間隔が空いていても、一体化させても良い。
バーは温度調整機能を持たせても良く、加温機能や冷却機能を持たせても良い。また強化繊維束抱き角調整機能を持たせても良い。例えば、バーの位置を強化繊維へ押し付けたり緩めたりすることで抱き角を調整できる。更には抱き角調整機能をプロセス制御に利用しても良い。
拡幅前の好ましい張力値について、バー拡幅を使用する場合は10~10000cN/本であり、10~1000cN/本がより好ましく、10~300cNが更に好ましい。
拡幅の前後で強化繊維束の張力が変化する場合があり、バーを用いた多段拡幅の場合は1段目、2段目と順に張力が上がる傾向にある。
強化繊維に付着させたサイズ剤によっては容易に拡幅できるため、設備としては多段拡幅を導入しても良いし、必要に応じて拡幅機構を通らないようバイパス機構を設けても良い。
2.振動拡幅法
強化繊維束は、少なくとも1つのソノトロードに接触し、このソノトロードにより上及び/又は下(鉛直方向)から強化繊維束へ導入される振動によって、この繊維ストランドが、長手方向に対して横で横方向に均等に拡幅されても良い。ソノトロードによって伝達される機械的な振動であると好ましく、超音波が使用されるとより好ましい。ソノトロードは、上又は下から繊維ストランドに接触する。
振動に限定は無いが、15kHz~80kHzの間にある周波数を有していれば好ましいく、20~40kHzであれば更に好ましい。20kHz未満の周波数の場合は、装置全体を実質的に拡大しかつ高価にする非常に大きいソノトロードが使用される。40kHz超の周波数の導入については、ソノトロードは小さくなるが、プロセス精度は、同程度で低下する。
超音波発振子を用いる場合は、交換可能なソノトロードを備え、これらソノトロードは、その端面を介して高周波の機械的振動(超音波)を強化繊維束に導入する。ソノードは複数あっても良い。強化繊維束は、ソノトロードに巻き付けることもでき、ソノトロードの接触面に対する迎角は、変更可能である。
強化繊維束内では、個々のフィラメントは、サイズ剤によって包囲されている。サイズ剤の組成は、繊維のメーカーに応じて異なっている。このようなサイズ剤は、強化繊維束の処理を容易化するが、サイズ剤は、フィラメントがお互いにくっつくことを生じさせるため、これが、強化繊維束の拡幅を困難にする場合がある。ソノトロードによって発せられる振動は、強化繊維束内に摩擦を生じさせ、これが、熱を発生させ、サイズ剤の軟化を生じさせ、拡幅を容易にすることができる。例えば炭素繊維のような導電性の繊維は、付加的に熱伝導に寄与する。ソノトロードの接触面の領域のみでサイズ剤の軟化し、その直後に既に再び繊維ストランドの冷却が行なわれるので、サイズ剤/繊維の量比が変化しない。
3.流体拡幅法
繊維の進行方向に対し、交差方向に流体を通過させて強化繊維束を流体の下流方向へ弓なりに撓ませて拡幅しても良い。
流体は気流であることが好ましい。強化繊維束を搬送しながら流送過程にある強化繊維束に気流を通過させることによって強化繊維束を構成するフィラメントを幅方向に拡展させる方法である。流体力学的に強化繊維束を構成するフィラメントを幅外方へ移動される。各構成フィラメントの間に気流の通過した空隙を形成することによって強化繊維束を拡幅できる。空気流を用いる方法は擦過が起こりにくいため好ましい。気流は高圧空気流であってもよい。フィラメント及び気流の温度は拡幅に適した範囲に調整される機能を有することが好ましい。フィラメントの張力が拡幅に適した範囲へ調整される機能を有することが好ましい。
4.張力を制御することによる拡幅
張力の制御を利用して拡幅の程度を制御しても良い。
[拡幅と張力の関係]
拡幅前後で張力、張力差を検知する検知手段をそれぞれ備えていることが好ましい。張力と張力差は、別々に備えていても良いし、組み合わせて備えていても良い。ここで、張力を検知する張力検知手段は、拡幅手段から強化繊維束の長手方向に沿って前後の少なくとも一方10~5000mm離れた範囲に配置することが好ましい。拡幅前で測定すれば十分であるが、拡幅前後に張力検知手段を設けていても構わない。
張力、張力差の検出値に応じて拡幅手段を制御することもできる。空気拡幅の場合、拡幅前の好ましい張力値は0.01~1N/mmであり、拡幅前後の張力差は0.01~0.8N/mmの範囲で設定することが好ましい。一方、空気拡幅ではなく、物理的な手段(バー拡幅など)で拡幅する場合、これらの値は大きくなる。
ここで、張力、張力差の単位(N/mm)は、強化繊維束の幅あたりに作用する力を示す。張力、張力差の下限値を下回ると、拡幅が不十分になる。一方、上限値の範囲を上回ると、拡幅したときに強化繊維束に単糸の切断が増えるため、拡幅処理が施された強化繊維束が枝毛状に飛び出すことや、発生する毛羽が増えるなどの不具合が発生しやすくなる。飛び出した枝毛は、搬送中のロールに巻きついたり、毛羽は駆動ロールに堆積し強化繊維束に滑りを発生させたりする等、搬送不良を発生させやすくする。
[分繊装置・スリット]
上述の固定強化繊維束を分繊する、分繊装置に特に限定は無いが、以下の分繊装置が用いられる。
1.1 ローラーへの押し付け分繊(図4)
図4に、ローラーへ強化繊維束(401)を押し付けて刃(402)で分繊する模式図を示す。焼き入れなどの熱処理を行った高硬度の下受けローラー(403、ゴムローラー)に押し付けて分繊する。この場合、ゴムロールに傷がついて、強化繊維束が挟み込まれないように調整する必要がある。
1.2 シェア刃方式(図5)
図5に、シェア刃方式で強化繊維束を分繊させる模式図を示す。図5では、逃げ角がついた鋭角な刃先(504)を上回転刃(501)に備え、下回転刃(502)の先端(505)の側面に押し付けて刃組して切断する。この場合、高精度のクリアランス管理が経時で必要となる。
1.3 ギャング方式(図6)
図6に、ギャング方式で強化繊維束を分繊させる模式図を示す。図6では、回転丸刃である上回転刃(601)に備えた上刃(604)と、下回転刃に備えた下刃(605)とを、微小な隙間ができるようにして先端を重ね合わせた構成で刃を組み合わせ、重なる部分に強化繊維束を挟み込んで、上刃と下刃の重なる部分のせん断力で分繊する。シェア刃方式と同様に、高精度のクリアランス管理が経時で必要となる。
1.4 抜き差し方式(図7・図8)
図7に分繊装置を描く。強化繊維束(701)を、刃付き分繊装置(703)に挿入し、分繊された強化繊維束(702)を得る。このとき、図8のように、ブレード(801)を抜き差しすることで、強化繊維束を刃の中で再配置させにくくすると好ましい。言い換えると、刃の中に強化繊維束を通し続けると、スリットにズレが生じるが、ブレード(801)で抜き差しすることで、スリットにズレが生じたときに、スリット幅を矯正しやすくなる。
ブレード(801)と回転刃(803)の回転速度は固定しておくことが好ましい。一方、強化繊維の速度1.0に対して、ブレード(801)の回転速度は1.1超えが好ましい。より具体的にはブレード(801)と回転刃(803)の回転の周速をV(m/min)、強化繊維束の搬送速度をW(m/min)としたとき、1.0≦V/Wが好ましく、1.0≦V/W≦1.5がより好ましく、1.1≦V/W≦1.3が更に好ましく、1.1≦V/W≦1.2がより一層好ましい。
[カット]
1.ロータリーカッタ
強化繊維束をカットする工程について述べる。強化繊維束のカット方法は、好ましくはロータリーカッタ等のナイフを用いて強化繊維をカットする工程である。ロータリーカッタを用いたカット工程の一例を図9に示す。強化繊維を連続的にカットするためのナイフ角度は特に限定されるものではなく、一般的な、繊維に対し、90度の刃を用いても、角度を持たせたものでも、螺旋状に並べたものでも構わない。螺旋状ナイフを有するロータリーカッタの例を図10に示す。
ロールは、金属製(ステンレス鋼製等)であると好ましい。ロールaの周面には、切断刃を嵌合するための溝がロールの回転方向に対して1度以上90度の傾き(捩じり)を有するように螺旋状に形成されていると良い。角度は大きくとも小さくても良い(小さいときは3度~15度であり、大きいときは80~89度である)。
切断刃は、平板状の平刃であり、ロールの溝に嵌合される平板状の基部と、基部の長さ方向に沿った一方の辺に形成された刃先部とから構成されるものである。
切断刃の材料としては、鉄鋼材料、超硬合金等が挙げられ、ロールの周面の螺旋状の溝に取り付ける際に捩じりを加えても割れにくく、かつ安価である点から、鉄鋼材料が好ましい。鉄鋼材料としては、日本工業規格(JIS)に工具鋼として規定された鉄鋼材料(JIS G 4401:2009の炭素工具鋼鋼材(SK)、JIS G 4403:2006の高速度工具鋼鋼材(SKH)、JIS G 4404:2006の合金工具鋼鋼材(SKS、SKD、SKT)等)、ステンレス鋼等が挙げられる。
切断刃と切断刃とのロールの周方向の間隔は、切断された強化繊維束(チョップド繊維束)の長さと同じとされる。切断刃と切断刃との間隔、すなわち切断された強化繊維束の長さは、通常、5~100mmであり、10~55mmが好ましい。
ロールの回転軸方向に対する切断刃の長さ方向の傾き(捩じり)は、切断刃の第2の端部の周方向の位置と、これと隣り合う切断刃の第1の端部の周方向の位置とが同じ位置になるように設定されることが好ましい。切断刃の長さ方向をロールの回転軸方向と同じ方向とした場合、平行に配列した複数の強化繊維束が1本の切断刃によって同時に切断されるため、切断のたびにロータリーカッタおよびアンビルロールに大きな力が加わり、これが連続して発生することによってチョッパユニットが大きく振動し、大きな騒音となる。一方、切断刃が、切断刃の第2の端部の周方向の位置と、これと隣り合う切断刃の第1の端部の周方向の位置とが同じ位置になるように、ロールの回転軸方向に対して長さ方向が傾き(捩じり)を有して取り付けられることによって、平行に配列した複数の強化繊維束における各強化繊維束が、1本の切断刃の第1の端部から第2の端部に向かって順番に切断され、かつ1本の切断刃による切断が完了した後に、これと隣り合う切断刃による切断が開始される。そのため、切断のたびにロータリーカッタおよびアンビルロールに大きな力が加わることがなく、チョッパユニットの振動が抑えられる。
切断刃の長さは、ロールの回転軸方向に対する切断刃の長さ方向の傾き(捩じり)を小さくできる点、および一度に多くの強化繊維束を切断でき、切断された強化繊維束の生産性が向上する点から、300mm以上が好ましく、500mm以上がより好ましい。切断刃の長さは、切断刃の取扱性(割れにくさ)の点から、2000mm以下が好ましく、1800mm以下がより好ましい。
アンビルロールは、ロータリーカッタの切断刃を受けるためのゴム部材が周面に設けられたものである。ゴム部材の材料としては、合成ゴム(ウレタンゴム、ニトリルゴム、ネオプレンゴム等)等が挙げられる。
2.ドラムカッター
強化繊維束をカットする方法に特に限定は無いが、切断刃を一対の対面するロータに形成したスリット間に放射状に植込んでなるドラムに強化繊維束を巻きつけ押えローラーで押切るドラムカッター型の繊維切断装置を用いても良い。回転自在に支持された押えローラーがドラムに沿って複数個設けられていると好ましい。押えローラーを複数個設けることによりドラム1回転中の切断仕事を押えローラーに有効に分散させ、これによって切断刃がドラム1回転中にする切断仕事の稼動率を上げることにより切断抵抗による品質欠点の発生なくカッターの処理能力を上げるという目的を達成することが可能になる。
[散布工程]
カットされた強化繊維束の散布工程について、好ましい態様を以下に述べる。
カットされた強化繊維束をカッター下流のテーパ管もしくは直管内に導入し、散布する工程を行う。強化繊維束をテーパ管へ搬送する方法については特に限定はないが、テーパ管に吸引風速を発生させ、空気によりテーパ管内部へと搬送させることが好ましい。
また、散布工程において、強化繊維束に圧縮空気を直接吹きつけることで、強化繊維束幅の分布を適宜広げることも好ましい。分布の広さは吹きつける圧縮空気の圧力によってコントロールする事も出来る。
搬送した強化繊維束は散布装置下部に設けた通気性シート上に散布することが好ましい。また定着工程のためにも、吸引機構を持つ可動式の通気性シートや不織布上に散布することが好ましい。
また、散布工程において、樹脂を同時に散布しても良い。すなわち、カットされた強化繊維を、繊維状又は粉末状の樹脂(熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂)を同時に、シート上に散布することで、強化繊維と樹脂とを含む複合組成物を好適に得ることができる。本明細書において、散布された強化繊維マットと樹脂をあわせて複合組成物と呼ぶ場合がある。
樹脂は散布工程と同時に散布しても良いが、樹脂を散布せずに強化繊維マットを作成した場合は、強化繊維マットにシート状やフィルム状やなどの樹脂(熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂)を搭載または積層して複合組成物とすることもできる。熱可塑性樹脂を用いる場合、シート状またはフィルム状の熱可塑性樹脂は溶融状態であっても良い。
当然であるが、散布工程で、粉末状等の樹脂を散布して得られた複合組成物に対して、シート状やフィルム状、または粉末状などの樹脂を搭載または積層しても良い。
また、散布する際、打撃機構に強化繊維束を接触させて複数に分割し、分散させる装置を用いても良い。打撃機構は、回転軸が取り付けられる散布ブース内に配置され、散布ブースには打撃機構の下方に分散開口部を設け、散布ブース内に、回転軸の軸方向と直交する方向に延在する散布ブース仕切り板が、前記軸方向に複数配置していても良い。
[定着工程]
次いで散布された強化繊維束を定着させ、強化繊維マットを得る。本発明において、強化繊維マットとは、連続した強化繊維束をカットした後、散布させたものであり、好ましくは強化繊維束と単糸の強化繊維が混ざった繊維マットである。具体的には、散布された強化繊維束を通気性シート下部よりエアを吸引して、強化繊維束を定着させて強化繊維マットを得る方法が好ましい。強化繊維束と同時に繊維状または、粉末状の樹脂を散布する場合であっても、強化繊維束に伴って定着される。なお、この定着工程の処理は、前記の散布工程において、強化繊維束などを散布するのと連続して行っても良い。
[含浸]
複合組成物に含まれる樹脂の含浸工程を経て、複合材料とする。含浸板と呼ぶ場合もある。
[成形体の製造方法]
本発明における複合材料の成形は、プレス成形であることが好ましく、得られる成形体はプレス成形体であることが好ましい。すなわち、本発明の成形体を製造するにあたっての好ましい成形方法としては、コールドプレスやホットプレスを用いた圧縮成形(プレス成形)が利用される。射出成形で強化繊維と樹脂とを含む複合材料を成形した場合、成形において強化繊維の折損が起き、成形体中の炭素繊維の重量平均繊維長が短くなりすぎてしまい、成形体の機械物性が不十分になる場合があるが、プレス成形を利用するとそのような問題が起き難い。よって、プレス成形で得られた成形体中の強化繊維の平均繊維長(好ましくは重量平均繊維長)を圧縮成形に用いられた複合材料中の強化繊維の平均繊維長とみなすことができる。
1.コールドプレス法
複合材料に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂である場合、コールドプレス法が利用できる。コールドプレス法は、例えば、第1の所定温度に加熱した複合材料を第2の所定温度に設定された金型内に投入した後、加圧・冷却を行う。すなわち、コールドプレス法は、少なくとも以下の工程A-1)~工程A-3)を含んでいる。
工程A-1) 複合材料を、複合材料に含まれる熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加温する工程。
工程A-2) 上記工程A-1)で得られた加温させた複合材料を、熱可塑性樹脂が軟化温度未満に温度調節された成形型に配置する工程。
工程A-3) 上記工程A-2)で成形型に配置した複合材料を加圧し、成形する工程。
これらの工程を行うことで、複合材料の成形を完結させることができる。コールドプレス法でプレス成形する場合、後述するホットプレス法に比べて成形時間が短い利点がある一方、成形型の温度が低いため、複合材料が流動性しにくくなったり、賦形性が低下したりする。
2. ホットプレス法
ホットプレス成形は、成形型内で樹脂が加熱される成形方法である。
樹脂が熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であっても、ホットプレス法は利用できる。
2.1 樹脂が熱可塑性樹脂の場合、ホットプレス法は、少なくとも以下の工程B-1)~工程B-3)を含んでいる。
工程B-1) 複合材料を成形型に配置する工程
工程B-2) 樹脂が熱可塑性樹脂の場合、成形型を熱可塑性樹脂の軟化温度以上まで昇温し、加圧する工程
工程B-3) 熱可塑性樹脂の軟化温度未満に成形型の温度を調節して成形する工程
2.2 樹脂が熱硬化性樹脂の場合、以下の工程C―1)~工程C-4)を用いて成形できる。
工程C-1) 複合材料を成形型へ配置する工程。
工程C-2) 成形型上に載置された複合材料を加熱し、加圧する工程。
成形型上に載置された複合材料を、硬化が開始される温度以上に加熱する。成形型内で樹脂は型締めされて加圧され、賦形される。加熱されることで硬化が進められ、同時に賦形が完了する。
工程C-3) 目標圧力で保圧する工程。目標圧力は0.1MPa~20MPaであり、好ましくは0.2MPa~10MPaである。保圧する時間の目安は1~20分である。
工程C-4) 冷却する工程。
3. 両者のプレス方法に共通事項に関して
なお、成形型に投入する際、複合材料は、対象の成形体の板厚に合わせて、単独(1枚で)又は複数枚用いられる。複数枚用いる場合、複数枚を予め積層して加熱してもよいし、加熱した複合材料を積層した後に成形型内に投入してもよいし、加熱した複合材料を成形型内に順次積層してもよい。なお、積層した場合の最下層の複合材料と最上層の複合材料との温度差は少ない方が良く、この観点からは、成形型に投入する前に積層した方が好ましい。
上記の各工程は、上記の順番で行う必要があるが、各工程間に他の工程を含んでもよい。他の工程とは、例えば、工程A-3)又は工程B-2)の前に、工程A-3)又は工程B-2)で利用される成形型と別の賦形装置を利用して、成形型のキャビティの形状に予め賦形する予備賦形工程等がある。
また、工程A-3)と工程B-2)は、複合材料に圧力を加えて所望形状の成形体を得る工程であるが、このときの成形圧力については特に限定はしないが、30MPa未満が好ましく、20MPa以下であるとより好ましく、10MPa以下であると更に好ましい。
また、当然のことであるが、プレス成形時に種々の工程を上記の工程間に入れてもよく、例えば真空にしながらプレス成形する真空圧縮成形を用いてもよい。
11:クリール
12:拡幅装置
13:糸導ガイド
14:切断・開繊装置
15:樹脂供給部
16:通気性支持体(通気性ネットを有するコンベア)
17:吸引装置
18:予熱装置
19:分繊装置
20:スプライス装置
21:ニップロール
22:ボビン
M:強化繊維と樹脂を含む複合組成物
401、503、603、804:強化繊維束
402:刃
403:下受けローラー(ゴムローラー)
501、601:上回転刃
502、602:下回転刃
504:刃先
505:下回転刃の先端
604:上回転刃に備えた上刃
605:下回転刃に備えた下刃
701:未分繊の強化繊維束
702:分繊された強化繊維束
703、802:回転スリッター
704:ライン方向
801:回転ブレード(点線の回転ブレード支持台によって回転させられる)
803:回転スリッターの回転方向
901:炭素繊維
902:ピンチローラー
903:ゴムローラー
904、1001:ロータリーカッタ本体
905、1002:刃
906:カットされた炭素繊維
1003:刃のピッチ

Claims (2)

  1. 複数の強化繊維からなる強化繊維束を長手方向に沿って連続的にスリットし、複数の細幅ストランドにした状態で、繊維長3~100mmに連続的にカットし、前記強化繊維の束間に樹脂を含浸させて、強化繊維と樹脂とを含む複合材料を製造する方法。
  2. 樹脂は熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である、請求項1に記載の複合材料の製造方法。
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