JP2023123756A - 血友病を有する対象の出血事象を処置するための方法および組成物 - Google Patents

血友病を有する対象の出血事象を処置するための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】血友病などの出血障害を有する対象に対する代替的な処置を提供する。【解決手段】インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象を処置する方法であって、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約30mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、該二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む、工程と、補充因子の治療有効量を対象に投与する工程であって、該補充因子の有効量は、該補充因子の推奨される有効量に比較して低減される工程と、を含む方法とする。【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は、2017年7月10日に出願された米国仮特許出願第62/530,518号、2017年12月15日に出願された米国仮特許出願第62/599,223号、2018年1月5日に出願された米国仮特許出願第62/614,111号、および2018年5月18日に出願された米国仮特許出願第62/673,424号の優先権の利益を主張するものである。前述の特許出願のそれぞれの内容全体を、参照によって本明細書に組み入れる。
本出願は、2016年12月7日に出願された国際出願第PCT/US2016/065245号、2015年12月7日に出願された米国仮特許出願第62/264,013号、2016年3月30日に出願された米国仮特許出願第62/315,228号、2016年7月25日に出願された米国仮特許出願第62/366,304号、および2016年12月2日に出願された米国仮特許出願第62/429,241号にも関連する。前述の特許出願のそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
さらに、本出願は、2014年5月12日に出願された米国仮特許出願第61/992,057号、2014年12月8日に出願された米国仮特許出願第62/089,018号、2015年1月12日に出願された米国仮特許出願第62/102,281号、および2015年5月12日に出願された国際出願第PCT/US2015/030337号に関連する。前述の特許出願のそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
本出願はまた、2012年4月26日に出願された米国仮特許出願第61/638,952号、2012年7月9日に出願された米国仮特許出願第61/669,249号、2012年12月7日に出願された米国仮特許出願第61/734,573号、2013年3月15日に出願された米国特許出願第13/837,129号、現米国特許第9,127,274号、2015年7月22日出願された米国特許出願第14/806,084号、現米国特許第9,376,680号、2016年3月15日に出願された米国特許出願第15/070,358号、および2013年4月25日に出願された国際出願第PCT/US2013/038218号に関連する。本出願はまた、2012年11月16日に出願された国際出願第PCT/US2012/065601号に関連する。前述の特許出願のそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる配列表を含む。2018年7月2日に作成された上記ASCIIコピーは、117811-02720_SL.TXTの名称で、21,147バイトのサイズである。
Serpinc1は、セリンプロテイナーゼインヒビター(セルピン)スーパーファミリーのメンバーである。Serpinc1は、トロンビンならびに第X、IX、XI、XIIおよびVII因子などの凝固系の他の活性型セリンプロテアーゼを阻害し、それにより血液凝固カスケードを調節する血漿プロテアーゼインヒビターである。Serpinc1の抗凝固活性は、ヘパリンおよびトロンビン:アンチトロンビン(TAT)複合体の形成を触媒する他の関連グリコサミノグリカンの存在により増強される。
遺伝性または後天性のいずれかの出血障害は、血液凝固が不十分な状態である。例えば、血友病は、血液凝固または凝血を制御する体の能力を害する遺伝する遺伝性出血障害のグループである。血友病Aは、機能的な凝固第VIII因子の欠如を伴う劣性X連鎖遺伝障害であり、血友病症例の80%に相当する。血友病Bは、機能的な凝固第IX因子の欠如を伴う劣性X連鎖遺伝障害である。血友病Bは、血友病症例のおよそ20%を構成する。血友病Cは、機能的な凝固第XI因子の欠如を伴う常染色体性遺伝性障害である。血友病Cは、ヘテロ接合型個体も出血の増加を示すため、完全に劣性ではない。
現在のところ、血友病に対する治療法はないが、不足した凝固因子、例えば、血友病Aでは第VIII因子を定期的に注入することにより制御することができる。しかしながら、一部の血友病患者は、患者に与えられた補充因子に対する抗体(インヒビター)を生じ、それにより、補充凝固因子に対して抵抗性になる。したがって、そのような対象の出血は、適切に制御することができない。
例えば、第VIII因子およびその他の凝固因子に対する高力価のインヒビターの発生は、血友病治療の最も深刻な問題であり、出血の処置を極めて難しくする。現在、そのような対象の出血を止める唯一の方法は、第VIII因子インヒビターバイパス活性(ファイバ)および遺伝子組換え活性型第VII因子(rFVIIa)などの「バイパス薬剤」、血漿交換療法、継続的な因子の補充、ならびに免疫寛容療法の使用であるが、どれも完全に効果的ではない。したがって、当該技術分野において血友病などの出血障害を有する対象に対する代替的な処置が必要とされている。
本発明は、少なくとも部分的には、インヒビターを有さず、Serpinc1遺伝子のRNA転写物のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)媒介型切断を引き起こすiRNA組成物の治療有効量が投与された、血友病を有する対象において、例えば世界血友病連盟によって(例えば、Srivastavaら、「Guidelines for the Management of Hemophilia」、Hemophilia
Epub 6、2012年7月;DOI:10.1111/j.1365-2516.2012.02909.x参照)および/または食品医薬品局によって推奨された、補充因子の推奨される有効量よりも少ない、第VIII因子または第XI因子などの補充因子の治療有効量で、出血事象を処置することができ;かつインヒビターを有し、Serpinc1遺伝子のRNA転写物のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)媒介型切断を引き起こすiRNA組成物の治療有効量が投与された、血友病を有する対象において、例えば世界血友病連盟によって(例えば、Srivastavaら、「Guidelines for the Management of Hemophilia」、Hemophilia Epub 6、2012年7月;DOI:10.1111/j.1365-2516.2012.02909.x参照)および/または食品医薬品局によって推奨された、バイパス薬剤の推奨される有効量よりも少ない、活性型プロトロンビン複合体製剤(aPCC)または組換え第VIIa因子(rFVIIa)などのバイパス薬剤の治療有効量で、出血事象を処置することができるという意外な発見に基づく。
したがって一態様では、本発明は、インヒビターを有さない血友病などの出血障害を有する対象の出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約30mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続
するヌクレオチドを含む、Serminc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と;補充因子の治療有効量を対象に投与する工程であって、補充因子の有効量は、補充因子の推奨される有効量に比較して低減される工程とを含み、それによって、インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象が処置される。
別の態様では、本発明は、インヒビターを有する血友病などの出血障害を有する対象の出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約30mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と;バイパス薬剤の治療有効量を対象に投与する工程であって、バイパス薬剤の有効量は、バイパス薬剤の推奨される有効量に比較して低減される工程とを含み、それによってインヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象が処置される。
一態様では、本発明は、インヒビターを有さない血友病などの出血障害を有する対象の出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約40mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と;補充因子の治療有効量を対象に投与する工程であって、補充因子の有効量は、補充因子の推奨される有効量に比較して低減される工程とを含み、それによってインヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象が処置される。
別の態様では、本発明は、インヒビターを有する血友病などの出血障害を有する対象の出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約40mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と;バイパス薬剤の治療有効量を対象に投与する工程であって、バイパス薬剤の有効量は、バイパス薬剤の推奨される有効量に比較して低減される工程とを含み、それによってインヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象が処置される。
二本鎖RNAi薬剤は、2回分またはそれ以上の用量で対象に投与することができる。
一部の実施形態では、二本鎖RNAi薬剤は、1カ月に1回、5週毎に1回、6週毎に1回、7週毎に1回、2カ月毎に1回、四半期に1回、または必要に応じて対象に投与さ
れる。
一実施形態では、二本鎖RNAi薬剤は、対象に月に1回投与される。別の実施形態では、二本鎖RNAi薬剤は、対象に6週毎に1回投与される。一実施形態では、二本鎖RNAi薬剤は、対象に2カ月毎に1回投与される。さらに別の実施形態では、二本鎖RNAi薬剤は、対象に四半期に1回投与される。
二本鎖RNAi薬剤は、例えば、約25mgから約100mgの間、例えば、約25mgから約95mgの間、約25mgから約90mgの間、約25mgから約85mgの間、約25mgから約80mgの間、約25mgから約75mgの間、約25mgから約70mgの間、約25mgから約65mgの間、約25mgから約60mgの間、約25mgから約50mgの間、約50mgから約100mgの間、約50mgから約95mgの間、約50mgから約90mgの間、約50mgから約85mgの間、約50mgから約80mgの間、約30mgから約100mgの間、約30mgから約90mgの間、約30mgから約80mgの間、約40mgから約100mgの間、約40mgから約90mgの間、約40mgから約80mgの間、約60mgから約100mgの間、約60mgから約90mgの間、約25mgから約55mgの間、約25mgから約65mgの間、約30mgから約95mgの間、約30mgから約85mgの間、約30mgから約75mgの間、約30mgから約65mgの間、約30mgから約55mgの間、約40mgから約95mgの間、約40mgから約85mgの間、約40mgから約75mgの間、約40mgから約65mgの間、約40mgから約55mgの間、または約45mgから約95mgの間の固定用量として対象に投与することができる。
いくつかの実施形態では、二本鎖RNAi薬剤は、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、または約100mgの固定用量で投与することができる。
一部の実施形態では、二本鎖RNAi薬剤は、約25mgの固定用量で;または約50mgの固定用量で;または約80mgの固定用量で;または約100mgの固定用量で対象に投与される。
一実施形態では、二本鎖RNAi薬剤は、対象に皮下投与される。
一実施形態では、対象はヒトである。
血友病は、血友病A、血友病B、または血友病Cである場合もある。
一実施形態では、センス鎖のすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。
一実施形態では、修飾ヌクレオチドは、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミデート、およびヌクレオチドを含む非天然塩基からなる群から独立して選択される。
相補性の領域は、少なくとも17ヌクレオチド長または19ヌクレオチド長である場合もある。
一実施形態では、相補性の領域は、19から21の間のヌクレオチド長である。別の実施形態では、相補性の領域は、21から23の間のヌクレオチド長である。
一実施形態では、それぞれの鎖は、30ヌクレオチド長を超えない。
二本鎖RNAi薬剤の少なくとも1つの鎖は、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングまたは少なくとも2ヌクレオチド、例えば、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、もしくは15ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む場合もある。他の実施形態では、RNAi薬剤の少なくとも1つの鎖は、少なくとも1ヌクレオチドの5’オーバーハングを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの鎖は、少なくとも2ヌクレオチド、例えば、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、または15ヌクレオチドの5’オーバーハングを含む。さらに別の実施形態では、RNAi薬剤の一方の鎖の3’および5’末端の両方は、少なくとも1ヌクレオチドのオーバーハングを含む。
特定の実施形態では、リガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。リガンドは、一価、二価、または三価の分岐リンカーを介してRNAi薬剤と結合した1つまたはそれ以上のGalNAcである場合もある。リガンドは、二本鎖RNAi薬剤のセンス鎖の3’末端、二本鎖RNAi薬剤のセンス鎖の5’末端、二本鎖RNAi薬剤のアンチセンス鎖の3’末端、または二本鎖RNAi薬剤のアンチセンス鎖の5’末端とコンジュゲートしている場合もある。
いくつかの実施形態では、本発明の二本鎖RNAi薬剤は、それぞれが独立して複数の一価のリンカーを介して二本鎖RNAi薬剤の複数のヌクレオチドに結合した複数、例えば、2、3、4、5、または6つのGalNAcを含む。
特定の実施形態では、リガンドは、以下のものである。
Figure 2023123756000001
一実施形態では、RNAi薬剤は、以下の概略図に示されるとおりリガンドとコンジュゲートし
Figure 2023123756000002
XはOまたはSである。
一実施形態では、XはOである。
一実施形態では、相補性の領域は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列からなる。
一実施形態では、二本鎖RNAi薬剤は、5’-GGUUAACACCAUUUACUUCAA-3’(配列番号16)のヌクレオチド配列を含むセンス鎖、および5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖を含む。
一実施形態では、センス鎖は、5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)を含み、アンチセンス鎖は、5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)を含み、a、c、g、およびuは、2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、Gf、またはUfは、2’-フルオロA、C、G、またはUであり;sはホスホロチオエート連結である。
一実施形態では、センス鎖は、5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)を含み、アンチセンス鎖は、5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)を含み、a、c、g、およびuは、2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、Gf、またはUfは、2’-フルオロA、C、G、またはUであり;sは、ホスホロチオエート連結であり;センス鎖は、以下の概略図
Figure 2023123756000003
(式中、Xは、OまたはSである。)
に示されるようにリガンドとコンジュゲートしている。
一実施形態では、薬剤は、医薬組成物として投与される。一実施形態では、RNAi薬剤は、生理食塩液または水などの非緩衝溶液に投与される。
別の実施形態では、siRNAは、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、もしくはリン酸塩またはそれらの任意の組み合わせを含む緩衝液などの緩衝液と共に投与される。一実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝食塩水(PBS)である。
一実施形態では、dsRNA剤の対象への投与は、Serpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる。
一実施形態では、補充因子が第VIII因子である。対象に投与される第VIII因子の治療有効量は、約200IU/kg未満、または約190IU/kg未満、または約180IU/kg未満、または約170IU/kg未満、または約160IU/kg未満、または約150IU/kg未満、または約140IU/kg未満、または約130IU/kg未満、または約120IU/kg未満、または約110IU/kg未満、または約100IU/kg未満、または約90IU/kg未満、または約80IU/kg未満、または約70IU/kg未満、または約60IU/kg未満、または約50IU/kg未満、または約40IU/kg未満、または約30IU/kg未満、または約20IU/kg未満、または約10IU/kg未満にすることができる。一実施形態では、対象に投与される第VIII因子の治療有効量は、第VIII因子の推奨される有効量の、約3分の2から約5分の1であり、例えば約5IU/kgから20IU/kg、または約10IU/kgから約20IU/kgの用量、例えば約5、10、15、または20IU/kgである。一実施形態では、出血事象は中程度の出血事象である。別の実施形態では、出血事象は、大量の出血事象である。
別の実施形態では、補充因子が第IX因子である。第IX因子の治療有効量は、約200IU/kg未満、または約190IU/kg未満、または約180IU/kg未満、または約170IU/kg未満、または約160IU/kg未満、または約150IU/kg未満、または約140IU/kg未満、または約130IU/kg未満、または約120IU/kg未満、または約110IU/kg未満、または約100IU/kg未満、または約90IU/kg未満、または約80IU/kg未満、または約70IU/kg未満、または約60IU/kg未満、または約50IU/kg未満、または約40IU/kg未満、または約30IU/kg未満、または約20IU/kg未満、または約10IU/
kg未満にすることができる。一実施形態では、対象に投与される第IX因子の治療有効量は、第IX因子の推奨される有効量の、約2分の1から約6分の1であり、例えば、約10IU/kgから約30IU/kg、または約20から約30IU/kgの用量、例えば約10、15、20、25、または約30IU/kgの用量である。一実施形態では、出血事象が中程度の出血事象である。別の実施形態では、出血事象が大量の出血事象である。
一実施形態では、バイパス薬剤が、活性型プロトロンビン複合体製剤(aPCC)である。aPCCの治療有効量は、約100U/kg未満、または約90U/kg未満、または約80U/kg未満、または約70U/kg未満、または約60U/kg未満、または約50U/kg未満、または約40U/kg未満、または約30U/kg未満、または約20U/kg未満、または約10U/kg未満にすることができる。一実施形態では、対象に投与されるaPCCの治療有効量は、aPCCの推奨される有効量の、約2分の1から約3分の1であり、例えば約30から約50U/kgの用量である。一実施形態では、出血事象は中程度の出血事象である。別の実施形態では、出血事象は大量の出血事象である。
別の実施形態では、バイパス薬剤が、組換え第VIIa因子(rFVIIa)である。バイパス薬剤の治療有効量は、約120μg/kg未満、または約110μg/kg未満、または約100μg/kg未満、または約90μg/kg未満、または約80μg/kg未満、または約70μg/kg未満、または約60μg/kg未満、または約50μg/kg未満、または約40μg/kg未満、または約30μg/kg未満、または約20μg/kg未満にすることができる。一実施形態では、対象に投与されるrFVIIaの治療有効量は、rFVIIaの推奨される有効量の約2分の1であり、例えば約45μg/kgの用量である。一実施形態では、出血事象が中程度の出血事象である。別の実施形態では、出血事象が大量の出血事象である。
一態様では、本発明は、インヒビターを有さない血友病、例えば血友病A、血友病B、または血友病Cの対象の、出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約80mgの固定用量を対象に投与する、例えば皮下投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)を含み、アンチセンス鎖は、5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)を含み、a、c、g、およびuは、2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、Gf、またはUfは、2’-フルオロA、C、G、またはUであり;sは、ホスホロチオエート連結であり;センス鎖の3’-末端は、以下の概略図
Figure 2023123756000004
(式中、Xは、OまたはSである。)
に示されるようにリガンドとコンジュゲートしている工程と;補充因子の治療有効量を対象に投与する工程であって、補充因子の有効量は、補充因子の推奨される有効量に比較して低減される工程とを含み、それによって、インヒビターを有さない血友病を有する対象における出血事象が処置される。
別の態様では、本発明は、インヒビターを有する血友病、例えば血友病A、血友病B、または血友病Cの対象の、出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約80mgの固定用量を対象に投与する、例えば皮下投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)を含み、アンチセンス鎖は、5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)を含み、a、c、g、およびuは、2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、Gf、またはUfは、2’-フルオロA、C、G、またはUであり;sは、ホスホロチオエート連結であり;センス鎖の3’-末端は、以下の概略図
Figure 2023123756000005
(式中、Xは、OまたはSである。)
に示されるようにリガンドとコンジュゲートしている工程と;バイパス薬剤の治療有効量を対象に投与する工程であって、バイパス薬剤の有効量’、バイパス薬剤の推奨される有効量に比較して低減される工程とを含み、それによって、インヒビターを有する血友病を有する対象での出血事象が処置される。
一実施形態では、RNAiの固定用量が、皮下から対象に投与される。
一実施形態では、RNAiの工程用量が、1カ月に1回、対象に投与される。
血友病は、血友病A、血友病B、または血友病Cとされる。
図1Aは、1人の健常なヒト対象における血漿のトロンビン形成レベルへの、0.03mg/kgのAT3SC-001の単回皮下投与の効果を示すグラフである。 図1Bは、1人の健常なヒト対象における血漿のトロンビン形成レベルへの、0.03mg/kgのAT3SC-001の単回皮下投与の効果を示すグラフである。 図1Cは、1人の健常なヒト対象における血漿のトロンビン形成レベルへの、0.03mg/kgのAT3SC-001の単回皮下投与の効果を示すグラフである。 図1Dは、1人の健常なヒト対象における血漿のトロンビン形成レベルへの、0.03mg/kgのAT3SC-001の単回皮下投与の効果を示すグラフである。 図2Aは、1人の健常なヒト対象における血漿のAT(Serpinc1)タンパク質レベルへの、0.03mg/kgのAT3SC-001の単回皮下投与の効果を示すグラフである。 図2Bは、1人の健常なヒト対象における血漿のAT(Serpinc1)タンパク質レベルへの、0.03mg/kgのAT3SC-001の単回皮下投与の効果を示すグラフである。 図3は、0.03mg/kgのAT3SC-001の単回皮下投与を受けた健常な対象における、AT(Serpinc1)ノックダウンの割合とピークトロンビン形成の増加の割合の間の関連を示すグラフである。 図4は、血友病AまたはBのヒト対象における血漿のAT(Serpinc1)タンパク質レベルへの0.015mg/kg、0.045mg/kg、または0.075mg/kgのAT3SC-001の複数回用量の効果を示すグラフである。 図5Aは、血友病AまたはBのヒト対象における血漿のAT(Serpinc1)タンパク質レベルへの0.225mg/kg、0.450mg/kg、0.900mg/kg、1.800mg/kg、または80mgのAT3SC-001の複数回用量の効果を示すグラフである。 図5Bは、ヒト対象における血漿のAT(Serpinc1)タンパク質レベルへのAT3SC-001の用量依存的効果を示すグラフである。 図6Aは、血友病AまたはBのヒト対象におけるピークトロンビンレベルへの0.015mg/kgまたは0.045mg/kgのAT3SC-001の複数回用量の効果を示すグラフである。 図6Bは、血友病AまたはBのヒト対象におけるトロンビン形成への0.015mg/kgまたは0.045mg/kgのAT3SC-001の複数回用量の効果をベースライン群に対する変化率として示すグラフである。 図7は、血友病Aの1人の対象(対象101-009)における凝血塊形成時間および凝固時間への0.045mg/kgのAT3SC-001の複数回用量の効果を示すグラフである。 図8は、月1回の等価用量による平均最大AT低下を示すグラフである。 図9は、ATの四分位低下によるトロンビン形成へのAT3SC-001の複数回用量の効果を示すグラフである。 図10Aは、225mcg/kg qMのAT3SC-001を投与した対象において測定された、第VIII因子によって達成されたピークトロンビン形成の割合と関連する相対AT活性を示すグラフである。 図10Bは、1800mcg/kg qMのAT3SC-001を投与した対象において測定された、第VIII因子によって達成されたピークトロンビン形成の割合と関連する相対AT活性を示すグラフである。 図10Cは、80mg qMのAT3SC-001を投与した対象において測定された、第VIII因子によって達成されたピークトロンビン形成の割合と関連する相対AT活性を示すグラフである。 図11は、ATの四分位低下による出血事象へのAT3SC-001の複数回用量の効果を示すグラフである。 図12は、AT3SC-001のフェーズI臨床試験のパートCに登録された対象の出血事象データを示す表である。 図13Aは、AT3SC-001のフェーズI臨床試験のパートCのすべての投与コホートに関して試験の開始前、試験の開始部分時、および試験の観察部分中の年間出血率(ABR)中央値を示すグラフである。 図13Bは、AT3SC-001のフェーズI臨床試験のパートCの月1回80mg(80mg qM×3)のコホートに関して試験の開始前、試験の開始部分時、および試験の観察部分中の年間出血率(ABR)中央値を示すグラフである。 図14Aは、月1回50mgの固定用量のAT3SC-001を投与したインヒビター対象において測定した、第VIII因子によって達成されたピークトロンビン形成の割合と関連する相対AT活性を示すグラフである。 図14Bは、月1回50mgの固定用量のAT3SC-001を投与したインヒビター対象において測定した、第VIII因子によって達成されたピークトロンビン形成の割合と関連する相対AT活性を示すグラフである。 図14Cは、月1回50mgの固定用量のAT3SC-001を投与したインヒビター対象において測定した、第VIII因子によって達成されたピークトロンビン形成の割合と関連する相対AT活性を示すグラフである。 図14Dは、月1回50mgの固定用量のAT3SC-001を投与したインヒビター対象において測定した、第VIII因子によって達成されたピークトロンビン形成の割合と関連する相対AT活性を示すグラフである。 図14Eは、月1回50mgの固定用量のAT3SC-001を投与したインヒビター対象において測定した、第VIII因子によって達成されたピークトロンビン形成の割合と関連する相対AT活性を示すグラフである。 図14Fは、月1回50mgの固定用量のAT3SC-001を投与したインヒビター対象において測定した、第VIII因子によって達成されたピークトロンビン形成の割合と関連する相対AT活性を示すグラフである。 図15は、インヒビターを有する血友病AまたはBのヒト対象のベースラインに対する平均AT(Serpinc1)活性への、50mgまたは80mgのAT3SC-001の複数回用量の効果を示すグラフである。 図16は、50mgのAT3SC-001の複数回用量のAT低下効果が血友病Aの対象におけるトロンビン形成の増加と相関することを示すグラフである。 図17Aは、AT3SC-001のフェーズI臨床試験のパートDに登録された対象の出血事象データを示す表である。 図17Bは、AT3SC-001のフェーズI臨床試験のパートDのすべての対象に関して試験の開始前、試験の開始部分時、および試験の観察部分中の年間出血率(ABR)中央値を示すグラフである。 図18は、AT3SC-001のフェーズII非盲検延長(OLE)試験において、インヒビターを有さない血友病のヒト対象におけるベースラインに対する平均AT(Serpinc1)活性への80mgのAT3SC-001の複数回用量の効果を示すグラフである。 図19Aは、AT3SC-001のフェーズII非盲検延長(OLE)試験において、インヒビターを有するまたは有さない血友病AまたはBのヒト対象におけるベースラインに対する平均AT(Serpinc1)活性への50mgまたは80mgのAT3SC-001の複数回用量の効果を示すグラフである。 図19Bは、AT3SC-001のフェーズII非盲検延長(OLE)試験において、インヒビターを有するまたは有さない血友病AまたはBのヒト対象におけるピークトロンビン形成への50mgまたは80mgのAT3SC-001の複数回用量の効果を示すグラフである。グラフの影を付けた部分は、AT3SC-001を投与された健常なヒトボランティア(HV)において観察されたピークトロンビンレベルの範囲を表し、実施例1に記載のAT3SC-001のフェーズI試験において25%より少ないATノックダウンを示す。HV範囲中の点線は、健常なヒトボランティア(HV)において観察されたピークトロンビンレベル中央値を表し、実施例1に記載のAT3SC-001のフェーズI試験においてAT3SC-001の投与による25%より少ないATノックダウンを示す。 AT3SC-001のフェーズII OLE臨床試験における対象のインヒビターを有さない血友病AまたはBの対象に関する、研究開始前、研究の開始時、および研究の観察部分の最中の、メジアン年間出血率(ABR)を示すグラフである。 AT3SC-001のフェーズII OLE臨床試験における対象のインヒビターを有する血友病AまたはBの対象に関する、研究開始前、および研究の観察部分の最中の、メジアン年間出血率(ABR)を示すグラフである。 AT3SC-001のフェーズII OLE臨床試験で、インヒビターを有するまたは有さない血友病AまたはBの患者が経験する出血事象の特徴を示す表である。 AT3SC-001のフェーズII OLE臨床試験で、インヒビターを有さない血友病AまたはBの患者が経験する出血事象の管理を示す表である。 AT3SC-001のフェーズII OLE臨床試験で、インヒビターを有する血友病AまたはBの患者が経験する出血事象の特徴を示す表である。 インヒビターを有さない血友病Aの対象の出血を管理するのに必要とされる第VIII因子の量に対する、AT3SC-001 50mgまたは80mgの毎月の固定用量の影響を示す、グラフである。 インヒビターを有さない血友病Bの対象の出血を管理するのに必要とされる第IX因子の量に対する、AT3SC-001 50mgまたは80mgの毎月の固定用量の影響を示す、グラフである。 インヒビターを有する血友病AまたはBの対象の出血を管理するのに必要とされるrFVIIaの量に対する、AT3SC-001 50mgまたは80mgの毎月の固定用量の影響を示す、グラフである。 インヒビターを有する血友病AまたはBの対象の出血を管理するのに必要とされるaPCCの量に対する、AT3SC-001 50mgまたは80mgの毎月の固定用量の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有する血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するaPCCの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有する血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するrFVIIaの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するaPCCの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するrFVIIaの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するaPCCの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するrFVIIaの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するaPCCの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するrFVIIaの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するaPCCの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するrFVIIaの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するaPCCの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するrFVIIaの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するaPCCの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するrFVIIaの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するaPCCの添加の影響を示す、グラフである。 対象にAT3SC-001が投与される前(下線)および投与された後(上線)の、インヒビターを有さない血友病Aの対象からの血漿サンプル中のトロンビン形成に対するrFVIIaの添加の影響を示す、グラフである。 フェーズI/II非盲検延長(OLE)臨床サンプル中でATの四分位低下によるトロンビン形成に対する、AT3SC-001の多回用量の影響を示す、グラフである。 ATの四分位低下によるトロンビン形成に対する、AT3SC-001の多回用量のシミュレートされた影響を示す、グラフである。 シミュレートされたTG(図27B)と測定されたTG(図27A)との間の強力な相関を示す、散布図である。 様々なATレベルおよび0.1%の第FVIII因子に関してシミュレートされた(重症の血友病Aをシミュレートする)、in silicoトロンビン形成曲線を示す図である。 重症の血友病Aに関する様々な第VIII因子の用量(単回用量)およびATレベルでの、ピークトロンビンのヒートマップ表示である。 重症の血友病Bに関する様々なFIX用量(単回用量)およびATレベルでの、ピークトロンビンのヒートマップ表示である。 100%でATを持つ第FVIII因子の5、10、20、および50IU/kgに関し、時間の関数として、シミュレートされたピークトロンビンポテンシャル(nM)を示すグラフである。 ベースラインの20%でATを持つ第FVIII因子の5、10、20IU/kgに関し、時間の関数としてシミュレートされたピークトロンビン産生能(nM)を示すグラフである。
本発明は、少なくとも部分的には、インヒビターを有さず、Serpinc1遺伝子のRNA転写物のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)媒介型切断を引き起こすiRNA組成物の治療有効量が投与された、血友病(例えば、血友病A、血友病B、または血友病C)の対象において、例えば世界血友病連盟によって(例えば、Srivastavaら、「Guidelines for the Management of Hemophilia」、Hemophilia Epub 6、2012年7月;DOI:10.1111/j.1365-2516.2012.02909.x参照;その内容全体を参照によって本明細書に組み入れる)および/または食品医薬品局によって(例えば、ADVATE(Antihemophilic Factor(Recombinant))product insert;11/2016;BeneFIX(Coagulation Factor IX(Recombinant)product insert;11/2011参照;そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。)推奨された、補充因子の推奨される有効量よりも少ない、第VIII因子または第XI因子などの補充因子の治療有効量で、出血事象を処置することができる、という以外な発見に基づく。したがって本発明は、インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約30mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と;補充因子の治療有効量を対象に投与する工程であって、補充因子の有効量は、補充因子の推奨される有効量に比較して低減される工程とを含み、それによって、インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象が処置される。
別の態様では、本発明は、インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約40mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と;補充因子の治療有効量を対象に投与する工程であって、補充因子の有効量は、補充因子の推奨される有効量に比較して低減される工程とを含み、それによってインヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象が処置される。
本発明は、少なくとも部分的には、インヒビターを有さず、Serpinc1遺伝子のRNA転写物のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)媒介型切断を引き起こすiRNA組成物の治療有効量が投与された、血友病(例えば、血友病A、血友病B、または血友病C)の対象において、例えば世界血友病連盟によって(例えば、Srivastavaら、「Guidelines for the Management of Hemophilia」、Hemophilia Epub 6、2012年7月;DOI:10.1111/j.1365-2516.2012.02909.x参照)および/または食品医薬品局によって(例えば、NovoSeven RT,Coagulation FactorVIIA(Recombinant)product insert;07/2014;FEIBA,Anti-Inhibitor Coagulation
Complex product insert;11/2013参照;そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。)推奨された、バイパス薬剤の推奨される有効量よりも少ない、活性型プロトロンビン複合体製剤(aPCC)または組換え第VIIa(rFVIIa)因子などのバイパス薬剤の治療有効量で、出血事象を処置することができる、という発見にも基づく。
したがって別の態様では、本発明は、インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約30mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と;バイパス薬剤の治療有効量を対象に投与する工程であって、バイパス薬剤の有効量は、バイパス薬剤の、例えば食品医薬品局によって承認された、推奨される有効量に比較して低減される工程とを含み、それによって、インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象が処置される。
別の態様では、本発明は、インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約40mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と;バイパス薬剤の治療有効量を対象に投与する工程であって、バイパス薬剤の有効量は、バイパス薬剤の、例えば食品医薬品局によって承認された、推奨される有効量に比較して低減される工程とを含み、それによって、インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象が処置される。
本発明の方法に使用するためのiRNA薬剤は、一般に約30ヌクレオチド長またはそれ以下、例えば、15~30、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、
19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24,20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22ヌクレオチド長の領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含み、この領域は、Serpinc1遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部と実質的に相補的である。
他の実施形態では、本発明の二本鎖RNAi薬剤の一方または両方の鎖は、最大66ヌクレオチド長、例えば、36~66、26~36、25~36、31~60、22~43、27~53ヌクレオチド長であり、Serpinc1遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部と実質的に相補的な少なくとも19の連続するヌクレオチドの領域を有する。いくつかの実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖は、18~30の連続するヌクレオチドの二重鎖を形成する。
いくつかの実施形態では、本発明の方法に使用するためのiRNA薬剤は、最大66ヌクレオチド長、例えば、36~66、26~36、25~36、31~60、22~43、27~53ヌクレオチド長が可能であり、Serpinc1遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部と実質的に相補的な少なくとも19の連続するヌクレオチドの領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含む。いくつかの実施形態では、より長い長さのアンチセンス鎖を有するそのようなiRNA薬剤は20~60ヌクレオチド長の第2のRNA鎖(センス鎖)を含む場合もあり、センス鎖およびアンチセンス鎖は、18~30の連続するヌクレオチドの二重鎖を形成する。
以下の詳細な説明は、Serpinc1遺伝子の発現を阻害するためのiRNAを含む組成物の生成および使用の仕方、ならびにこの遺伝子の発現の阻害および/または低下から利益を得るであろう疾患ならびに障害を有する対象を処置するための組成物、使用、ならびに方法を開示する。
I.定義
本発明をより容易に理解できるように、特定の用語をまず定義する。さらに、パラメーターの値または値の範囲が挙げられる場合はいつでも、挙げられた値の中間の値および範囲も本発明の一部であることが意図されることに留意すべきである。
冠詞「1つの(aおよびan)」は、1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の冠詞の文法的対象物を指すよう本明細書中で使用される。例として、「1つの要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素、例えば、複数の要素を意味する。
「含むこと」という用語は、「含むが、それらに限定されるものではない」という語句を意味して本明細書中で使用され、それと同義に使用される。
「または」という用語は、文脈が明らかに別のことを示さない限り、「および/または」という用語を意味して本明細書中で使用され、それと同義に使用される。
本明細書中で使用される場合、「Serpinc1」とは、細胞で発現する特定のポリペプチドを指す。Serpinc1は、セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードC(アンチトロンビン;AT)、メンバー1;アンチトロンビンIII;AT3;アンチトロンビン;およびヘパリン補因子1としても知られている。ヒトSerpinc1 mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:254588059(NM_000488;配列番号1)に見出すことができる。アカゲザルSerpinc1 m
RNAの配列は、例えば、GenBank受託番号GI:157167169(NM_001104583;配列番号2)に見出すことができる。マウスSerpinc1 mRNAの配列は、例えば、GenBank受託番号GI:237874216(NM_080844;配列番号3)に見出すことができる。ラットSerpinc1 mRNAの配列は、例えば、GenBank受託番号GI:58865629(NM_001012027;配列番号4)に見出すことができる。
「Serpinc1」という用語はまた、本明細書中で使用される場合、Serpinc1遺伝子の一塩基多型などのSerpinc1遺伝子の天然に生じるDNA配列多様性により細胞で発現する特定のポリペプチドも指す。Serpinc1遺伝子内の数々のSNPが特定され、例えば、NCBI dbSNP(例えば、www.ncbi.nlm.nih.gov/snpを参照)に見出すことができる。Serpinc1遺伝子内のSNPの非限定例は、NCBI dbSNP受託番号rs677;rs5877;rs5878;rs5879;rs941988;rs941989;rs1799876;rs19637711;rs2008946;およびrs2227586に見出すことができる。
本明細書中で使用される場合、「対象」は、霊長類(ヒト、非ヒト霊長類、例えば、サル、およびチンパンジーなど)、非霊長類(雌ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、テンジクネズミ、ネコ、イヌ、ラット、マウス、およびクジラなど)を含む哺乳動物、または鳥(例えば、カモもしくはガチョウ)などの動物である。一実施形態では、対象は、本明細書に記載されるSerpinc1発現の低下から利益を得るであろう疾患、障害もしくは状態に対して処置もしくは評価されるヒト;Serpinc1発現の低下から利益を得るであろう疾患、障害もしくは状態のリスクがあるヒト;Serpinc1発現の低下から利益を得るであろう疾患、障害もしくは状態を有するヒト;および/またはSerpinc1発現の低下から利益を得るであろう疾患、障害もしくは状態に対して処置されるヒトなどのヒトである。
本明細書中で使用される場合、「処置すること」または「処置」という用語は、検知可能か、検知不能かにかかわらず、1つもしくはそれ以上の症状の軽減もしくは改善、出血の程度の減少、出血の安定化状態(すなわち、悪化しない)、出血の改善もしくは軽減、または出血を止めることが挙げられるが、それらに限定されるものではない有益なもしくは所望の結果を指す。「処置」はまた、処置をしない場合に予測される生存期間と比較した生存期間の延長を意味することがある。本発明の方法において、処置は、オンデマンドの処置および制御、出血の周術期管理および出血症状の頻度を低減するための通常の予防を含む。
対象におけるSerpinc1または疾患のマーカーもしくは症状のレベルと関連した「低下させる」という用語は、そのようなレベルの統計学的に有意な低下を指す。低下は、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上である場合もあり、そのような障害のない個体の正常な範囲内と受け入れられるレベルまで下がっているのが好ましい。
本明細書中で使用される場合、「予防」または「予防すること」とは、Serpinc1遺伝子の発現の低下から利益を得るであろうその疾患、障害もしくは状態に関して使用されるとき、対象が疾患、障害、または状態、例えば、出血などの症状などに関連する症状を発症する可能性の低下を指す。例えば、出血に対する1つまたはそれ以上のリスク因
子を有する個体が同じリスク因子を有するが、本明細書において記載されるとおりの処置を受けていない集団と比較して、出血を起こさないか、または出血を起こすが重症度が低いかのいずれかの場合に、出血を起こす可能性が低下している。疾患、障害もしくは状態を発症しない、またはそのような疾患、障害もしくは状態と関連する症状の発症が(例えば、その疾患もしくは障害に対して臨床的に認められているスケールにおいて少なくとも約10%)低下する、または(例えば、何日、何週、何カ月または何年の)症状の遅延が示されると、有効な予防と考慮される。
本明細書中で使用される場合、「出血障害」という用語は、不良な血液凝固および/または過剰な出血をもたらす疾患または障害である。出血障害は、血友病もしくはフォン・ヴィルブランド病などの遺伝性障害、または例えば、播種性血管内凝固、妊娠関連子癇、ビタミンK欠乏、自己免疫性障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、皮膚障害(例えば、乾癬、天疱瘡)、呼吸器疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患)、アレルギー性薬物反応、例えば、アスピリン、ヘパリン、およびワルファリンなどの薬剤の結果、糖尿病、急性B型肝炎感染症、急性C型肝炎感染症、悪性腫瘍もしくは固形腫瘍(例えば、前立腺、肺、結腸、膵臓、胃、胆管、頭頸部、頸部、乳房、メラノーマ、腎臓、および/もしくは血液悪性腫瘍)に関連する後天性障害である場合もある。一実施形態では、遺伝性出血障害は、血友病、例えば、血友病A、B、またはCである。一実施形態では、遺伝性出血障害、例えば、血友病を有する対象は、補充凝固療法に対してインヒビター、例えば、同種抗体インヒビターを持つようになっており、本明細書において「インヒビター対象」と称される。一実施形態では、インヒビター対象は、血友病Aを有する。別の実施形態では、インヒビター対象は、血友病Bを有する。さらに別の実施形態では、インヒビター対象は、血友病Cを有する。
一実施形態では、出血障害は、まれな出血障害(RBD)である。RBDは、後天性RBDまたは遺伝性RBDとされる。遺伝性RBDは、凝固因子フィブリノゲン、FII、FV、組み合わせたFVおよびFVIII、FVII、FX、FXI、FXIIIの欠乏、ならびにビタミンK依存性因子の先天性欠乏(VKCFD)を伴う障害を含む。それらは一般に、常染色体劣勢状態として伝えられるが、場合によっては、FXIおよび異常フィブリノゲン血症など、常染色体優性とすることができる。RBDは、ほとんどの母集団で報告され、ホモ接合性または二重ヘテロ接合の発生率は、FVII欠乏で500,000中の1から、プロトトンビンおよびFXIII欠乏で2から3百万中の1まで様々である。相対頻度は、母集団毎に様々であり、血族または族内結婚が一般的である場合により高く、特異的な変異遺伝子の頻度が増大する。
例示的なRBDは、無フィブリノゲン血症(フィブリノゲン;第I因子欠乏);低フィブリノゲン血症(フィブリノゲン;第I因子欠乏);異常フィブリノゲン血症(フィブリノゲン;第I因子欠乏);機能不全底フィブリノゲン血症(フィブリノゲン;第I因子欠乏);低プロトロンビン血症(プロトロンビン;第II因子欠乏);プロトロンビン欠乏(プロトロンビン;第II因子欠乏);血栓形成傾向(プロトロンビン;第II因子欠乏);先天性抗トロンビンIII欠乏(トロンボプラスチン;第III因子;組織因子);パラ血友病(プロアクセレリン;第V因子;不安定因子);オーレン病(プロアクセレリン;第V因子;不安定因子);活性化タンパク質C抵抗(プロアクセレリン;第V因子;不安定因子);アレキサンダー病(安定因子プロコンベルチン;第VII因子);先天性プロコンベルチン/第VII因子欠乏(安定因子プロコンベルチン;第VII因子);スチュアート・プラウアー欠乏(スチュアート・プラウアー因子;第X因子);先天性第XIIIa/b因子欠乏(フィブリン安定化因子である;第XIII因子);遺伝性第XIII因子欠乏(フィブリン安定化因子;第XIII因子);およびフィブリン安定化因子欠乏(フィブリン安定化因子;第XIII因子)を含む。
「治療有効量」は、本明細書中で使用される場合、出血障害および出血を有する対象に投与されたときに、(例えば、既存の疾患もしくは疾患の1つもしくはそれ以上の症状を低減、改善または維持することによって)疾患の処置をもたらすのに十分なRNAi薬剤の量を含むことが意図される。「治療有効量」は、RNAi薬剤、どのように薬剤が投与されるか、疾患およびその重症度ならびに処置される対象の病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、先行するもしくは併用の処置のタイプ、あれば、その他の個々の特性により変化する場合もある。
「予防有効量」は、本明細書中で使用される場合、出血障害を有するが出血していない対象、例えば、出血障害を有し、手術が計画されている対象に投与されたときに(例えば、周術期処置)、疾患もしくは疾患の1つもしくはそれ以上の症状を予防または改善するのに十分なiRNAの量を含むことが意図される。疾患を改善することは、疾患の過程を遅らせること、または後に発症する疾患の重症度を低下させることを含む。「予防有効量」は、iRNA、どのように薬剤が投与されるか、疾患のリスクの程度、ならびに処置される患者の病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、先行するもしくは併用の処置のタイプ、あれば、その他の個々の特性により変化する場合もある。
「治療有効量」または「予防有効量」はまた、任意の処置に対する妥当な利益/リスク比でいくらかの所望の局所的または全身的効果をもたらすRNAi薬剤の量を含む。本発明の方法に利用されるiRNAは、そのような処置に対して適切な妥当な利益/リスク比をもたらすのに十分な量で投与することができる。
「補充因子の推奨される治療有効量」および「バイパス薬剤の推奨される治療有効量」は、世界血友病連盟によって(例えば、Srivastavaら、「Guidelines for the Management of Hemophilia」、Hemophilia Epub 6、2012年7月;DOI:10.1111/j.1365-2516.2012.02909.x;ADVATE(Antihemophilic
Factor(Recombinant))product insert;11/2016;およびBeneFIX(Coagulation Factor IX(Recombinant)product insert;11/2011参照)提供されるように、それぞれ、トロンビンを形成し出血をなくすのに十分な、および/または出血している対象の血漿因子のピークレベルを達成するのに十分な、補充因子またはバイパス薬剤の用量である。前述のそれぞれの内用全体を、参照によって本明細書に組み入れる。
例えば、少量の出血がある対象に関する、補充因子またはバイパス薬剤の推奨される用量は、約10~40IU/dLのピーク血漿第VIII因子レベルを達成するのに十分な用量であり;中程度の出血がある対象に関する、補充因子またはバイパス薬剤の推奨される用量は、約30~60IU/dLのピーク血漿第VIII因子レベルを達成するのに十分な用量であり;大量の出血がある対象に関する、補充因子またはバイパス薬剤の推奨される用量は、約60~100IU/dLのピーク血漿第VIII因子レベルを達成するのに十分な用量であり;手術に際する対象に関した、補充因子またはバイパス薬剤の推奨される用量は、約30~60IU/dLのピーク血漿第VIII因子レベルを達成するのに十分な用量である(例えば、ADVATE(Antihemophilic Factor(Recombinant))product insert;11/2016の表1および2参照)。
少量の出血がある対象の、補充因子またはバイパス薬剤の推奨される用量は、約10~30IU/dLのピーク血漿第IX因子レベルを達成するのに十分な用量であり;中程度の出血がある対象の、補充因子またはバイパス薬剤の推奨される用量は、約25~50IU/dLのピーク血漿第IX因子レベルを達成するのに十分な用量であり;大量の出血が
ある対象の、補充因子またはバイパス薬剤の推奨される用量は、約50~100IU/dLのピーク血漿第IX因子レベルを達成するのに十分な用量である。
「薬学的に許容される」という語句は、妥当な利益/リスク比に対応する、過度の毒性、刺激症状、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは障害を伴わずに、適切な医学的判断の範囲内でヒト対象および動物対象の組織と接触する使用に適した化合物、材料、組成物、ならびに/または剤形を言及するために本明細書において利用される。
「薬学的に許容される担体」という語句は、本明細書中で使用される場合、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば、液体もしくは固体増量剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルク、マグネシウム、カルシウムもしくは亜鉛、もしくはステアリン酸)、または1つの器官もしくは体の部分から別の器官、もしくは体の部分への対象化合物の運搬もしくは輸送に関与する材料を包む溶媒を意味する。それぞれの担体は、製剤の他の成分と適合し、処置される対象に有害でないという意味で「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体として働くことができる材料のいくつかの例としては、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;(3)セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;(4)粉末トラガント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク;(8)賦形剤、例えば、カカオバターおよび座剤ワックス;(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;(12)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ酸無水物;(22)増量剤、例えば、ポリペプチドおよびアミノ酸;(23)血清成分、例えば、血清アルブミン、HDLおよびLDL;ならびに(22)医薬製剤に利用される無毒で適合したその他の物質が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、「標的配列」は、Serpinc1遺伝子の転写の過程で形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の連続的な部分を指し、一次転写生成物のRNAプロセシングの生成物であるmRNAを含む。一実施形態では、配列の標的部分は、少なくともSerpinc1遺伝子の転写の過程で形成されたmRNA分子のヌクレオチド配列のその部分またはその付近におけるiRNA誘導切断に対する基質として働くのに十分な長さになる。
標的配列は、約9~36ヌクレオチド長、例えば、約15~30ヌクレオチド長である場合もある。例えば、標的配列は、約15~30ヌクレオチド、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24,20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22ヌクレオチド長が可能である。上で挙げた範囲および長さの中間の範囲および長さも本発明の一部で
あることが意図される。
本明細書中で使用される場合、「配列を含む鎖」という用語は、標準的なヌクレオチド命名法を使用して言及される配列によって示されるヌクレオチドの鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。
「G」、「C」、「A」、「T」および「U」はそれぞれ、一般に塩基として、それぞれグアニン、シトシン、アデニン、チミジンおよびウラシルを含むヌクレオチドを表す。ただし、当然のことながら、「リボヌクレオチド」または「ヌクレオチド」という用語は、下でさらに詳述する修飾ヌクレオチド、または代替置換部分(例えば、表1を参照)を指す場合もある。グアニン、シトシン、アデニン、およびウラシルは、そのような置換部分をもつヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性を実質的に変えることなく他の部分で置換することができることを当業者は十分にわかっている。例えば、制限なく、塩基としてイノシンを含むヌクレオチドは、アデニン、シトシン、またはウラシルを含むヌクレオチドと塩基対を形成することができる。したがって、本発明で取り上げられるdsRNAのヌクレオチド配列中のウラシル、グアニン、またはアデニンを含むヌクレオチドは、例えば、イノシンを含むヌクレオチドで置換することができる。別の例において、オリゴヌクレオチド中のどこのアデニンおよびシトシンでも、グアニンおよびウラシルにより置換されて、それぞれ標的mRNAとG-Uゆらぎ塩基対を形成する場合がある。そのような置換部分を含む配列は、本発明で取り上げられた組成物および方法に適している。
本明細書では同義に使用される「iRNA」、「RNAi薬剤」、「iRNA薬剤」、「RNA干渉薬剤」という用語は、その用語が本明細書において定義されるとおりであり、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を介したRNA転写物の標的化された切断を仲介するRNAを含む薬剤を指す。iRNAは、RNA干渉(RNAi)として知られているプロセスによるmRNAの配列特異的な分解を誘導する。iRNAは、細胞、例えば、哺乳動物対象などの対象内の細胞におけるSerpinc1の発現を調節する、例えば、阻害する。
一実施形態では、本発明のRNAi薬剤は、標的RNAの切断を誘導するための、標的RNA配列、例えば、Serpinc1標的mRNA配列と相互作用する一本鎖RNAを含む。理論に縛られることを望まないが、細胞に導入された長い二本鎖RNAは、ダイサーとして知られているIII型エンドヌクレアーゼによってsiRNAに分解されると考えられる(Sharpら、(2001年)Genes Dev.15:485頁)。ダイサー、リボヌクレアーゼIII様酵素は、特徴的な2塩基の3’オーバーハングを有する19~23塩基対の短い干渉RNAにdsRNAをプロセシングする(Bernsteinら、(2001年)Nature 409:363頁)。siRNAは、その後、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、そこで、1つまたはそれ以上のヘリカーゼがsiRNA二重鎖をほどき、相補的なアンチセンス鎖が標的認識を導くのを可能にする(Nykanenら、(2001年)Cell 107:309頁)。適切な標的mRNAと結合すると、RISC内の1つまたはそれ以上のエンドヌクレアーゼが標的を切断して、サイレンシングを誘導する(Elbashirら、(2001年)Genes Dev.15:188頁)。したがって、一態様では、本発明は、細胞内に形成される一本鎖RNA(siRNA)に関し、これは、RISC複合体の形成を促進して、標的遺伝子、すなわち、Serpinc1遺伝子のサイレンシングを引き起こす。したがって、「siRNA」という用語は、上記のとおりのRNAiも指すよう本明細書中で使用される。
別の実施形態では、RNAi薬剤は、標的mRNAを阻害するために細胞または生物に
導入される一本鎖siRNAである場合もある。一本鎖RNAi薬剤は、RISCエンドヌクレアーゼ、アルゴノート2と結合し、それが、その後、標的mRNAを切断する。一本鎖siRNAは一般に15~30ヌクレオチドであり、化学修飾されている。一本鎖siRNAの設計および試験については、米国特許第8,101,348号およびLimaら、(2012年)Cell 150:883~894頁に記載されており、それらのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。本明細書に記載されている任意のアンチセンスヌクレオチド配列は、本明細書に記載されている一本鎖siRNA、またはLimaら、(2012年)Cell 150;:883~894頁に記載されている方法によって化学修飾された一本鎖siRNAとして使用することができる。
別の実施形態では、本発明の組成物、使用、および方法に使用するための「iRNA」は二本鎖RNAであり、本明細書において「二本鎖RNAi薬剤」、「二本鎖RNA(dsRNA)分子」、「dsRNA薬剤」、または「dsRNA」と言及される。「dsRNA」という用語は、標的RNA、すなわち、Serpinc1遺伝子に対して「センス」および「アンチセンス」の向きを有すると言及される逆平行で実質的に相補的な2本の核酸鎖を含む二重鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体を指す。本発明のいくつかの実施形態では、二本鎖RNA(dsRNA)は、本明細書においてRNA干渉またはRNAiと称される転写後の遺伝子サイレンシングメカニズムにより、標的RNA、例えば、mRNAの分解を誘発する。
一般に、dsRNA分子のそれぞれの鎖の大部分のヌクレオチドは、リボヌクレオチドであるが、本明細書において詳細に記載されるとおり、それぞれまたは両方の鎖も1つまたはそれ以上の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドおよび/または修飾ヌクレオチドを含むことができる。さらに、本明細書において使用される場合、「RNAi薬剤」は化学修飾を有するリボヌクレオチドを含む場合もあり;RNAi薬剤は複数のヌクレオチドに大幅な修飾を含む場合もある。
本明細書中で使用される場合、「修飾ヌクレオチド」という用語は、独立して、修飾糖部分、修飾されたヌクレオシド間連結、および/または修飾された核酸塩基を有するヌクレオチドを指す。したがって、修飾ヌクレオチドという用語は、ヌクレオシド間連結、糖部分、または核酸塩基に対する例えば、官能基もしくは原子の置換、付加、または除去を包含する。本発明の薬剤に使用するのに適した修飾としては、本明細書中で開示されるか、または当該技術分野において既知のあらゆるタイプの修飾が挙げられる。本明細書および請求項の目的では、siRNA型分子に使用されるあらゆるそのような修飾が、「RNAi薬剤」に包含される。
二重鎖領域は、RISC経路による所望の標的RNAの特異的な分解を可能にするいかなる長さも可能であり、約9から36塩基対の長さ、例えば、約15~30塩基対の長さ、例えば、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36塩基対の長さ、例えば、約15~30、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24,20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、もしくは21~22塩基対の長さの範囲である場合もある。上で挙げた範囲および長さの中間の範囲および長さも本発
明の一部であることが意図される。
二重鎖構造を形成する2本の鎖は、より大きな1つのRNA分子の異なる部分である場合もあり、または別々のRNA分子である場合もある。2本の鎖がより大きな1つの分子の部分である、したがって、二重鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端と他方の鎖の5’末端の間のヌクレオチドの連続した鎖によって連結される場合、この連結するRNA鎖は「ヘアピンループ」と称される。ヘアピンループは、少なくとも1つの対になっていないヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘアピンループは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも23またはそれ以上の対になっていないヌクレオチドを含むことができる。
dsRNAの実質的に相補的な2本の鎖が別々のRNA分子によって含まれる場合、それらの分子は、共有結合している必要はないが、共有結合することも可能である。2本の鎖が二重鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端と他方の鎖の5’末端の間のヌクレオチドの連続した鎖以外により共有結合している場合、連結する構造は「リンカー」と称される。RNA鎖は、同じ数または異なる数のヌクレオチドを有することができる。塩基対の最大数は、dsRNAの最短の鎖中のヌクレオチドの数マイナス二重鎖中に存在するあらゆるオーバーハングである。二重鎖構造に加えて、RNAiは、1つまたはそれ以上のヌクレオチドオーバーハングを含む場合もある。
一実施形態では、本発明のRNAi薬剤は、標的RNAの切断を誘導するための、標的RNA配列、例えば、Serpinc1標的mRNA配列と相互作用する24~30ヌクレオチドのdsRNAである。理論に縛られることを望まないが、細胞に導入された長い二本鎖RNAは、ダイサーとして知られているIII型エンドヌクレアーゼによってsiRNAに分解される(Sharpら、(2001年)Genes Dev.15:485頁)。ダイサー、リボヌクレアーゼIII様酵素は、特徴的な2塩基の3’オーバーハングを有する19~23塩基対の短い干渉RNAにdsRNAをプロセシングする(Bernsteinら、(2001年)Nature 409:363頁)。siRNAは、その後、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、そこで、1つまたはそれ以上のヘリカーゼがsiRNA二重鎖をほどき、相補的なアンチセンス鎖が標的認識を導くのを可能にする(Nykanenら、(2001年)Cell 107:309頁)。適切な標的mRNAと結合すると、RISC内の1つまたはそれ以上のエンドヌクレアーゼが標的を切断して、サイレンシングを誘導する(Elbashirら、(2001年)Genes Dev.15:188頁)。
本明細書中で使用される場合、「ヌクレオチドオーバーハング」という用語は、iRNA、例えば、dsRNAの二重鎖構造から突出する少なくとも1つの対になっていないヌクレオチドを指す。例えば、dsRNAの一方の鎖の3’末端が他方の鎖の5’末端を超えて伸びる場合、逆もまた同様に、ヌクレオチドオーバーハングが存在する。dsRNAは、少なくとも1つのヌクレオチドのオーバーハングを含むことができ;あるいは、オーバーハングは、少なくとも2つのヌクレオチド、少なくとも3つのヌクレオチド、少なくとも4つのヌクレオチド、少なくとも5つのヌクレオチドまたはそれ以上を含むことができる。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドを含むヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含むか、またはそれからなることができる。オーバーハング(複数可)は、センス鎖、アンチセンス鎖またはそれらの任意の組み合わせの上にある場合がある。さらに、オーバーハングのヌクレオチド(複数可)は、dsRNAのアンチセンス鎖またはセンス鎖のいずれかの5’末端、3’末端または両端に存在することができる。
一実施形態では、dsRNAのアンチセンス鎖は、3’末端および/または5’末端に1~10ヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドのオーバーハングを有する。一実施形態では、dsRNAのセンス鎖は、3’末端および/または5’末端に1~10ヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドのオーバーハングを有する。別の実施形態では、オーバーハング中の1つまたはそれ以上のヌクレオチドは、ヌクレオシドチオホスフェートにより置換される。
特定の実施形態では、センス鎖もしくはアンチセンス鎖または両鎖にあるオーバーハングは、10ヌクレオチドより長い延長された長さ、例えば、10~30ヌクレオチド、10~25ヌクレオチド、10~20ヌクレオチドまたは10~15ヌクレオチド長を含むことができる。特定の実施形態では、延長されたオーバーハングは、二重鎖のセンス鎖にある。特定の実施形態では、延長されたオーバーハングは、二重鎖のセンス鎖の3’末端に存在する。特定の実施形態では、延長されたオーバーハングは、二重鎖のセンス鎖の5’末端に存在する。特定の実施形態では、延長されたオーバーハングは、二重鎖のアンチセンス鎖にある。特定の実施形態では、延長されたオーバーハングは、二重鎖のアンチセンス鎖の3’末端に存在する。特定の実施形態では、延長されたオーバーハングは、二重鎖のアンチセンス鎖の5’末端に存在する。特定の実施形態では、延長されたオーバーハング中の1つまたはそれ以上のヌクレオチドは、ヌクレオシドチオホスフェートにより置換される。
「平滑」または「平滑末端」は、二本鎖RNAi薬剤の末端に対になっていないヌクレオチドがない、すなわち、ヌクレオチドオーバーハングがないことを意味する。「平滑末端化」RNAi薬剤は、その全長にわたって二本鎖である、すなわち、分子のいずれの末端にもヌクレオチドオーバーハングがないdsRNAである。本発明のRNAi薬剤としては、一方の末端にヌクレオチドオーバーハングを有するRNAi薬剤(すなわち、1つのオーバーハングおよび1つの平滑末端を有する薬剤)または両端にヌクレオチドオーバーハングを有するRNAi薬剤が挙げられる。
「アンチセンス鎖」または「ガイド鎖」という用語は、標的配列、例えば、Serpinc1 mRNAと実質的に相補的な領域を含むiRNA、例えば、dsRNAの鎖を指す。本明細書中で使用される場合、「相補性の領域」という用語は、配列、例えば、標的配列、例えば、本明細書中で定義されるSerpinc1ヌクレオチド配列と実質的に相補的なアンチセンス鎖にある領域を指す。相補性の領域が標的配列と完全に相補的でない場合、分子の内部または末端領域にミスマッチがある可能性がある。一般に、最も許容されるミスマッチは、末端領域、例えば、iRNAの5’末端および/または3’末端の5、4、3、または2ヌクレオチド以内にある。
「センス鎖」、または「パッセンジャー鎖」という用語は、本明細書中で使用される場合、その用語が本明細書において定義されるとおりアンチセンス鎖の領域と実質的に相補的な領域を含むiRNAの鎖を指す。
本明細書中で使用される場合、「切断領域」という用語は、切断部位のすぐ近隣に位置する領域を指す。切断部位は、切断が起こる標的の部位である。いくつかの実施形態では、切断領域は、切断部位のいずれかの末端、およびそのすぐ近隣の3塩基を含む。いくつかの実施形態では、切断領域は、切断部位のいずれかの末端、およびそのすぐ近隣の2塩基を含む。いくつかの実施形態では、切断部位は、具体的には、アンチセンス鎖のヌクレオチド10および11が結合した部位に生じ、切断領域は、ヌクレオチド11、12および13を含む。
本明細書中で使用される場合、別に指示がある場合を除いて、第2のヌクレオチド配列に関して第1のヌクレオチド配列を説明するために使用されるときの「相補的な」という用語は、当業者が理解するであろうとおり、特定の条件下で第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとハイブリダイズし、二重鎖構造を形成する第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの能力を指す。そのような条件は、例えば、ストリンジェントな条件が可能であり、ストリンジェントな条件は、以下を含むことができる:400mMのNaCl、40mMのPIPES pH6.4、1mMのEDTA、12~16時間の50℃または70℃に続く、洗浄(例えば、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Sambrookら、(1989年)Cold Spring Harbor Laboratory Press参照)。生物の内部で直面する可能性のある生理学的に関連した条件などの他の条件が当てはまる場合がある。当業者は、ハイブリダイズしたヌクレオチドの最終的な用途に従って、2つの配列の相補性の試験に最も適切な条件のセットを決定することができる。
iRNA内、例えば、本明細書に記載されるdsRNA内の相補的な配列は、ヌクレオチド配列の一方または両方の全長にわたる、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとの塩基対合を含む。そのような配列は、本明細書において互いに対して「完全に相補的」と言及することができる。しかしながら、本明細書において第2の配列に対して第1の配列が「実質的に相補的」と言及される場合、2つの配列が完全に相補的である場合があり、またはそれらの最終用途、例えば、RISC経路による遺伝子発現の阻害に最も関連性のある条件下でハイブリダイズする能力を保持しながら、最大30塩基対の二重鎖に関するハイブリダイゼーション時に1つまたはそれ以上だが、一般にせいぜい5、4、3もしくは2のミスマッチ塩基対を形成する可能性がある。ただし、ハイブリダイゼーション時に1つまたはそれ以上の一本鎖のオーバーハングを形成するよう、2つのオリゴヌクレオチドが設計される場合、そのようなオーバーハングは、相補性の判定に関してはミスマッチとみなされないものとする。例えば、21ヌクレオチド長の1つのオリゴヌクレオチドおよび23ヌクレオチド長の別のオリゴヌクレオチドを含み、長い方のオリゴヌクレオチドが短い方のオリゴヌクレオチドと完全に相補的な21ヌクレオチドの配列を含むdsRNAは、依然として、本明細書に記載される目的に対して「完全に相補的」と言及することができる。
本明細書中で使用される場合、「相補的な」配列は、そのハイブリダイズする能力に関する上記要件が満たされる限り、非ワトソン・クリック塩基対ならびに/もしくは非天然および修飾ヌクレオチドから形成される塩基対も含むことができるか、またはそれから完全に形成される場合がある。そのような非ワトソン・クリック塩基対としては、G:Uゆらぎまたはフーグスティーン塩基対合が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「相補的な」、「完全に相補的な」および「実質的に相補的な」という用語は、本明細書において、その使用の文脈から理解されるであろうとおり、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の間、またはiRNA薬剤のアンチセンス鎖と標的配列の間の塩基マッチに対して使用することができる。
本明細書中で使用される場合、メッセンジャーRNA(mRNA)「の少なくとも一部と実質的に相補的な」ポリヌクレオチドは、対象のmRNA(例えば、Serpinc1をコードするmRNA)の連続的な部分と実質的に相補的なポリヌクレオチドを指す。例えば、配列がSerpinc1をコードするmRNAの連続した部分と実質的に相補的である場合、ポリヌクレオチドはSerpinc1 mRNAの少なくとも一部と相補的で
ある。
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書中で開示されているアンチセンス鎖ポリヌクレオチドは、標的Serpinc1配列と完全に相補的である。他の実施形態では、本明細書中で開示されているアンチセンス鎖ポリヌクレオチドは標的Serpinc1配列と実質的に相補的であり、配列番号1のヌクレオチド配列の相当する領域、または配列番号1のフラグメントとその全長にわたり少なくとも約80%相補的、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、もしくは約99%相補的な連続的なヌクレオチド配列を含む。
一実施形態では、本発明のRNAi薬剤は、アンチセンスポリヌクレオチドと実質的に相補的、ひいては、標的Serpinc1配列と相補的なセンス鎖を含み、センス鎖ポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド配列の相当する領域、または配列番号5のいずれか1つのフラグメントとその全長にわたり少なくとも約80%相補的、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、もしくは約99%相補的な連続的なヌクレオチド配列を含む。
本発明の一態様では、本発明の方法および組成物に使用するための薬剤は、アンチセンス阻害メカニズムにより標的mRNAを阻害する一本鎖アンチセンスRNA分子である。一本鎖アンチセンスRNA分子は、標的mRNA内の配列と相補的である。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNAと塩基対を形成し、翻訳機構を物理的に妨げることによって化学量論的な様式で翻訳を阻害することができる。Dias、N.ら、(2002年)Mol Cancer Ther 1:347~355頁を参照。一本鎖アンチセンスRNA分子は、約15から約30ヌクレオチド長である場合もあり、標的配列と相補的な配列を有する。例えば、一本鎖アンチセンスRNA分子は、本明細書に記載されているアンチセンス配列のいずれか1つからの少なくとも約15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の連続するヌクレオチドである配列を含む場合もある。
「阻害すること」という用語は、本明細書中で使用される場合、「低下させること」、「サイレンシングすること」、「下方制御すること」、「抑制すること」、およびその他の類似の用語と同義に使用され、あらゆるレベルの阻害を含む。
「Serpinc1の発現を阻害すること」という語句は、本明細書中で使用される場合、Serpinc1タンパク質をコードする任意のSerpinc1遺伝子(例えば、マウスSerpinc1遺伝子、ラットSerpinc1遺伝子、サルSerpinc1遺伝子、もしくはヒトSerpinc1遺伝子など)ならびにSerpinc1遺伝子バリアントまたは変異体の発現の阻害を含む。
「Serpinc1遺伝子の発現を阻害すること」は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の阻害などのSerpinc1遺伝子のあらゆるレベルの阻害、例えば、Serpinc1遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制を含む。
Serpinc1遺伝子の発現は、Serpinc1遺伝子発現と関連する任意の変数のレベル、Serpinc1 mRNAレベル、Serpinc1タンパク質レベル、または例えば、トロンビン形成能、出血時間、プロトロンビン時間(PT)、血小板数、および/もしくは活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)の尺度として例えば、トロンビン:アンチトロンビン複合体レベルに基づいて評価することができる。阻害は、対照レベルと比較したこれらの1つまたはそれ以上の変数の絶対的または相対的レベルの低下によって評価することができる。対照レベルは、当該技術分野において利用される任意のタイプの対照レベル、例えば、投与前のベースラインレベル、または未処置か、もしくは対照(例えば、緩衝剤のみの対照もしくは不活性薬剤対照など)により処置された類似の対象、細胞、もしくはサンプルから求めたレベルである場合もある。
一実施形態では、Serpinc1遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制は、第1の細胞もしくは細胞群と実質的に同一であるが、Serpinc1遺伝子の発現が阻害されるよう処置されていない第2の細胞もしくは細胞群(対照細胞)と比較した場合のSerpinc1遺伝子が転写され、Serpinc1遺伝子の発現が阻害されるよう処置された第1の細胞もしくは細胞群から単離することができるか、またはそれから検出することができるSerpinc1 mRNAの量の減少によって評価される。阻害の程度は、以下に換算して表すことができる。
Figure 2023123756000006
dsRNAなどの「RNAi薬剤と細胞を接触させること」という語句は、本明細書中で使用される場合、任意の可能な手段によって細胞を接触させることを含む。RNAi薬剤と細胞を接触させることは、インビトロでiRNAと細胞を接触させることまたはインビボでiRNAと細胞を接触させることを含む。接触させることは、直接または間接的に行うことができる。したがって、例えば、RNAi薬剤は、方法の個々の実行によって物理的に細胞と接触させることができ、あるいは、RNAi薬剤は、それがその後、細胞と接触することを可能にするか、または接触させることになる状況にすることができる。
インビトロで細胞を接触させることは、例えば、細胞をRNAi薬剤とインキュベートすることによって行うことができる。インビボで細胞を接触させることは、例えば、細胞がある組織にもしくはその付近にRNAi薬剤を注射することによって、またはRNAi薬剤が、その後、接触させられる細胞がある組織に到達することになるよう、別の領域、例えば、血流もしくは皮下空間にRNAi薬剤を注射することによって行うことができる。例えば、RNAi薬剤は、目的とする部位、例えば、肝臓にRNAi薬剤を誘導するリガンド、例えば、GalNAc3を含む、および/またはそれと結合している場合もある。インビトロおよびインビボで接触させる方法の組み合わせも可能である。例えば、細胞は、インビトロでRNAi薬剤と接触させられ、その後、対象に移植される場合もある。
一実施形態では、iRNAと細胞を接触させることは、細胞への取り込みもしくは吸収を促進することもしくは生じさせることによる「導入すること」または「iRNAを細胞に送達すること」を含む。iRNAの吸収または取り込みは、助力無しの拡散プロセスもしくは能動的な細胞内プロセスにより、または補助剤もしくはデバイスによって行うことができる。iRNAを細胞に導入することは、インビトロおよび/またはインビボにおいて可能である。例えば、インビボ導入に関して、iRNAは、組織部位に注射することができ、または全身投与することもできる。インビボ送達は、内容全体を参照によって本明
細書に組み入れる米国特許第5,032,401号および同第5,607,677号、および米国出願公開第2005/0281781号に記載されているものなどのベータ・グルカン送達系によって行うこともできる。細胞へのインビトロ導入としては、エレクトロポレーションおよびリポフェクションなどの当該技術分野において既知の方法が挙げられる。さらなるアプローチは、本明細書の下に記載される、および/または当該技術分野において知られている。
II.本発明の方法
本発明は、例えば、約75%またはそれ以上、対象内でSerpinc1活性を低下させる量の、iRNA剤、または本発明のiRNA剤を含む医薬組成物と、例えばトロンビンを形成し出血をなくす(凝血塊を形成する)のに十分な量の、例えば世界血友病連盟によって(例えば、Srivastavaら、「Guidelines for the Management of Hemophilia」、Hemophilia Epub 6、2012年7月;DOI:10.1111/j.1365-2516.2012.02909.x参照)および/または食品医薬品局によって((例えば、ADVATE(Antihemophilic Factor(Recombinant))product insert;11/2016;BeneFIX(Coagulation Factor IX(Recombinant)product insert;11/2011参照)推奨される、補充因子またはバイパス薬剤の推奨される治療有効量に比較して低減した治療有効量の補充因子またはバイパス薬剤とを、対象に投与する工程を含む、血友病(例えば、血友病A、血友病B、または血友病C)の対象の出血事象を処置するための治療方法を提供する。前述の内容全体を、参照によって本明細書に組み入れる。
以下の実施例に記述されるように、インヒビターを有するまたは有さない血友病の、例えば血友病A、血友病B、または血友病Cの対象では、対象におけるSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量でSerpinc1の発現を阻害するRNAi薬剤の投与が、メジアン年間出血率および突発性年間出血率を低減させ、出血は、補充因子またはバイパス薬剤の推奨される治療有効量に比較して低減される治療有効量の補充因子またはバイパス薬剤によって管理できる(トロンビンが形成され、出血が止まる)ことが、意外にも発見された。
本発明の方法で使用するのに適切な補充因子には、第VIII因子、例えばAdvate、Eloctate、Haemate、Helixate、Immunate、Octanate、Recombinate、およびRefacto、または第IX因子、例えばAimafix、Benefix、Immunine、およびRefactoが含まれる。本発明の方法に使用される適切なバイパス薬剤には、活性型プロトロンビン複合体製剤(aPCC)、例えばFEIBAおよびProthromplex、および組換え第VIIa因子(rFVIIa)、例えばNovoSevenが含まれる。
補充因子は第VIII因子とすることができ、本発明の方法で対象に投与される補充因子の治療有効量は、約10~100IU/dL、例えば約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または約100IU/dLのピーク血漿第VIII因子レベルを達成するのに十分な用量である。
例えば、対象に投与される第VIII補充因子の治療有効量は、約200IU/kg未満、または約190IU/kg未満、または約180IU/kg未満、または約170IU/kg未満、または約160IU/kg未満、または約150IU/kg未満、または約140IU/kg未満、または約130IU/kg未満、または約120IU/kg未満、または約110IU/kg未満、または約100IU/kg未満、または約90IU
/kg未満、または約80IU/kg未満、または約70IU/kg未満、または約60IU/kg未満、または約50IU/kg未満、または約40IU/kg未満、または約30IU/kg未満、または約20IU/kg未満、または約10IU/kg未満にすることができる。一実施形態では、対象に投与される第VIII因子の治療有効量は、補充因子の推奨される有効量の約3分の2から約5分の1であり、例えば約5から約20IU/kg、または約10から約20IU/kg、例えば5、10、15、または20IU/kgの用量である。一実施形態では、出血事象が中程度の出血事象である。別の実施形態では、出血事象が大量の出血事象である。
補充因子は、第IX因子とすることができ、本発明の方法で対象に投与される補充因子の治療有効量は、約10~100IU/dLのピーク血漿第IX因子レベルを達成するのに十分な用量、例えば約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または約100IU/dLである。
例えば、第IX補充因子の治療有効量は、約200IU/kg未満、または約190IU/kg未満、または約180IU/kg未満、または約170IU/kg未満、または約160IU/kg未満、または約150IU/kg未満、または約140IU/kg未満、または約130IU/kg未満、または約120IU/kg未満、または約110IU/kg未満、または約100IU/kg未満、または約90IU/kg未満、または約80IU/kg未満、または約70IU/kg未満、または約60IU/kg未満、または約50IU/kg未満、または約40IU/kg未満、または約30IU/kg未満、または約20IU/kg未満、または約10IU/kg未満にすることができる。一部の実施形態では、対象に投与される第IX因子の治療有効量は、補充因子の推奨される治療有効量の約2分の1から約6分の1であり、例えば、約10から約30IU/kgまたは約20から約30IU/kg、例えば約10、15、20、25、または30IU/kgの用量である。一部の実施形態では、出血事象が中程度の出血である。別の実施形態では、出血事象が大量の出血事象である。
バイパス薬剤は、aPCCとすることができ、本発明の方法で対象に投与されるバイパス薬剤の治療有効量は、トロンビンを形成し出血を止めるのに十分な用量である。
例えば、バイパス薬剤aPCCの治療有効量は、約100U/kg未満、または約90U/kg未満、または約80U/kg未満、または約70U/kg未満、または約60U/kg未満、または約50U/kg未満、または約40U/kg未満、または約30U/kg未満、または約20U/kg未満、または約10U/kg未満にすることができる。一実施形態では、対象に投与されるaPCCの治療有効量は、補充因子の推奨される有効量の約2分の1から約3分の1であり、例えば約30から約50U/kg、例えば約30、35、40、45、または50U/kgの用量である。一実施形態では、出血事象が中程度の出血事象である。別の実施形態では、出血事象が大量の出血事象である。
バイパス薬剤は、rFVIIaとすることができ、本発明の方法で対象に投与されるバイパス薬剤の治療有効量は、トロンビンを形成し出血を止めるのに十分な用量である。
例えば、バイパス薬剤rFVIIaの治療有効量は、約120μg/kg未満、または約110μg/kg未満、または約100μg/kg未満、または約90μg/kg未満、または約80μg/kg未満、または約70μg/kg未満、または約60μg/kg未満、または約50μg/kg未満、または約40μg/kg未満、または約30μg/kg未満、または約20μg/kg未満にすることができる。一実施形態では、対象に投与されるrFVIIaの治療有効量は、補充因子の推奨される有効量の約2分の1であり
、例えば約45μg/kgの用量である。一実施形態では、出血事象は中程度の出血事象である。別の実施形態では、出血事象は大量の出血事象である。
いくつかの実施形態では、RNAi薬剤は、約25mgから約100mgの間、例えば、約25mgから約95mgの間、約25mgから約90mgの間、約25mgから約85mgの間、約25mgから約80mgの間、約25mgから約75mgの間、約25mgから約70mgの間、約25mgから約65mgの間、約25mgから約60mgの間、約25mgから約50mgの間、約50mgから約100mgの間、約50mgから約95mgの間、約50mgから約90mgの間、約50mgから約85mgの間、約50mgから約80mgの間、約30mgから約100mgの間、約30mgから約90mgの間、約30mgから約80mgの間、約40mgから約100mgの間、約40mgから約90mgの間、約40mgから約80mgの間、約60mgから約100mgの間、約60mgから約90mgの間、約25mgから約55mgの間、約25mgから約65mgの間、約30mgから約95mgの間、約30mgから約85mgの間、約30mgから約75mgの間、約30mgから約65mgの間、約30mgから約55mgの間、約40mgから約95mgの間、約40mgから約85mgの間、約40mgから約75mgの間、約40mgから約65mgの間、約40mgから約55mgの間、または約45mgから約95mgの間の固定用量で投与される。
いくつかの実施形態では、RNAi薬剤は、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、または約100mgの固定用量で投与される。
一実施形態では、RNAi薬剤が、Serpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる用量で、対象に投与される。
したがって、一態様では、本発明は、インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約30mgから約90mgの固定用量(例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量)を、対象に投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と;補充因子の治療有効量を対象に投与する工程であって、補充因子の有効量は、補充因子の推奨される有効量に比較して低減された(例えば、約10~100IU/dLのピーク血漿第VIII因子レベルを達成するのに十分な量(例えば、第VIII因子が約200IU/kg未満の用量、例えば第VIII因子が約5から約20IU/kgの用量);または約10~100IU/dlのピーク血漿第IX因子レベルを達成するのに十分な量(例えば、第IX因子が約200IU/kg未満の用量、例えば第IX因子が約10から約30IU/kgの用量))工程とを含み、それによって、インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象が処置される。
別の態様では、本発明は、インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約30mgから約90mgの固定用量(例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量)を、対象に投与する工程であって、二本鎖R
NAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と;バイパス薬剤の治療有効量を対象に投与する工程であって、バイパス薬剤の有効量は、バイパス薬剤の推奨される有効量に比較して低減された(例えば、トロンビンを形成し出血を止めるのに十分な量、例えば、aPCCが約100U/kg未満である用量(例えば、aPCCが約30から50U/kgの用量);rFVIIaが約120μg/kg未満の用量(例えば、rFVIIaが約45μg/kgの用量))工程とを含み、それによって、インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象が処置される。
別の態様では、本発明は、インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約40mgから約90mgの固定用量(例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量)を、対象に投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と;補充因子の治療有効量を対象に投与する工程であって、補充因子の有効量は、補充因子の推奨される有効量に比較して低減された(例えば、約10~100IU/dLのピーク血漿第VIII因子レベルを達成するのに十分な量(例えば、第VIII因子が約200IU/kg未満の用量、例えば第VIII因子が約5から約20IU/kgの用量);または約10~100IU/dlのピーク血漿第IX因子レベルを達成するのに十分な量(例えば、第IX因子が約200IU/kg未満の用量、例えば第IX因子が約10から約30IU/kgの用量))工程とを含み、それによって、インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象が処置される。
別の態様では、本発明は、インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象を処置する方法を提供する。方法は、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約40mgから約90mgの固定用量(例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量)を、対象に投与する工程であって、二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖が、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と;バイパス薬剤の治療有効量を対象に投与する工程であって、バイパス薬剤の有効量は、バイパス薬剤の推奨される有効量に比較して低減された(例えば、トロンビンを形成し出血を止めるのに十分な量、例えば、aPCCが約100U/kg未満である用量(例えば、aPCCが約30から50U/kgの用量);rFVIIaが約120μg/kg未満の用量(例えば、rFVIIaが約45μg/kgの用量))工程とを含み、それによって、インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象が処置される。
一態様では、本発明は、インヒビターを有さない血友病、例えば血友病A、血友病B、
または血友病Cの対象の出血事象を処置する方法で使用される、約30mgから90mgの固定用量(例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量)での対象への投与に適切なSerpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤と;補充因子の推奨される有効量に比較して低減した用量(例えば、約10~100IU/dLのピーク血漿第VIII因子レベルを達成するのに十分な量(例えば、第VIII因子が約200IU/kg未満の用量、例えば第VIII因子が約5から約20IU/kgの用量);または約10~100IU/dlのピーク血漿第IX因子レベルを達成するのに十分な量(例えば、第IX因子が約200IU/kg未満の用量、例えば第IX因子が約10から約30IU/kgの用量))で、対象への投与に適切な補充因子とを提供する。RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドであり、センス鎖が、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている。
別の態様では、本発明は、インヒビターを有する血友病、例えば血友病A、血友病B、または血友病Cの対象の出血事象を処置する方法で使用される、約30mgから90mgの固定用量(例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量)での対象への投与に適切な、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤と;バイパス薬剤の推奨される有効量に比較して低減した用量(例えば、トロンビンを形成し出血を止めるのに十分な量、例えばaPCCが約100IU/kg未満の用量(例えば、aPCCが約30から50U/kgの用量);rFVIIaが約120μg/kg未満の用量(例えば、rFVIIaが約45μg/kgの用量))で、対象への投与に適切なバイパス薬剤とを提供する。RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドであり、センス鎖が、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている。
一態様では、本発明は、インヒビターを有さない血友病、例えば血友病A、血友病B、または血友病Cの対象の出血事象を処置する方法で使用される、約40mgから90mgの固定用量(例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量)での対象への投与に適切なSerpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤と;補充因子の推奨される有効量に比較して低減した用量(例えば、約10~100IU/dLのピーク血漿第VIII因子レベルを達成するのに十分な量(例えば、第VIII因子が約200IU/kg未満の用量、例えば第VIII因子が約5から約20IU/kgの用量);または約10~100IU/dlのピーク血漿第IX因子レベルを達成するのに十分な量(例えば、第IX因子が約200IU/kg未満の用量、例えば第IX因子が約10から約30IU/kgの用量))で、対象への投与に適切な補充因子とを提供する。RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドであり、センス鎖が、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている。
別の態様では、本発明は、インヒビターを有する血友病、例えば血友病A、血友病B、または血友病Cの対象の出血事象を処置する方法で使用される、約40mgから90mgの固定用量(例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量)での対象への投与に適切な、Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤と;バイパス薬剤の推奨される有効量に比較して低減した用量(例えば、トロンビンを形成し出血を止めるのに十分な量、例えばaPCCが約100IU/kg未満の用量(例えば、aPCCが約30から50U/kgの用量);rFVIIaが約120μg/kg未満の用量(例えば、rFVIIaが約45μg/kgの用量))で、対象への投与に適切なバイパス薬剤とを提供する。RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドであり、センス鎖が、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている。
前述の方法および使用において、一実施形態では、相補性の領域が、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列からなる。
一実施形態では、二本鎖RNAi薬剤は、5’-GGUUAACACCAUUUACUUCAA-3’(配列番号16)のヌクレオチド配列を含むセンス鎖、および5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖を含む。
一実施形態では、センス鎖は、5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)を含み、アンチセンス鎖は、5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)を含み、a、c、g、およびuは2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、GfまたはUfは2’-フルオロA、C、GまたはUであり;sはホスホロチオエート連結である。
一実施形態では、センス鎖は、5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)を含み、アンチセンス鎖は、5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)を含み、a、c、g、およびuは2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、GfまたはUfは2’-フルオロA、C、GまたはUであり;sはホスホロチオエート連結であり;センス鎖は、以下の概略図に示されるとおりリガンドとコンジュゲートし、
Figure 2023123756000007
XはOまたはSである。
一実施形態では、薬剤は、医薬組成物として投与される。一実施形態では、食塩水または水などの非緩衝液中のRNAi薬剤が投与される。
別の実施形態では、RNAi薬剤は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、もしくはリン酸塩またはそれらの任意の組み合わせを含む緩衝液などの緩衝液と共に投与される。一実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝食塩水(PBS)である。
一態様では、本発明は、インヒビターを有さない血友病、例えば血友病A、血友病B、または血友病Cの対象の出血事象を処置する方法で使用される、約80mgの固定用量(例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量)での対象への投与に適切なSerpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤と;補充因子の推奨される有効量に比較して低減した用量(例えば、約10~100IU/dLのピーク血漿第VIII因子レベルを達成するのに十分な量(例えば、第VIII因子が約200IU/kg未満の用量、例えば第VIII因子が約5から約20IU/kgの用量);または約10~100IU/dlのピーク血漿第IX因子レベルを達成するのに十分な量(例えば、第IX因子が約200IU/kg未満の用量、例えば第IX因子が約10から約30IU/kgの用量))で、対象への投与に適切な補充因子とを提供する。RNAi薬剤はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)を含み、アンチセンス鎖は、5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)を含み、a、c、g、およびuは、2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、Gf、またはUfは、2’-フルオロA、C、G、またはUであり;sは、ホスホロチオエート連結であり;センス鎖の3’-末端は、以下の概略図
Figure 2023123756000008
(式中、XはOまたはSである。)
に示されるようにリガンドとコンジュゲートしている。
別の態様では、本発明は、インヒビターを有する血友病、例えば血友病A、血友病B、または血友病Cの対象の出血事象を処置する方法で使用される、約80mgの固定用量(例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量)での対象への投与に適切なSerpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤と;バイパス薬剤の推奨される有効量に比較して低減した用量(例えば、トロンビンを形成し出血を止めるのに十分な量、例えば、aPCCが約100U/kg未満の用量(例えば、aPCCが約30から50U/kgの用量);rFVIIaが約120μg/kg未満の用量(例えば、rFVIIaが約45μg/kgの用量))で、対象への投与に適切なバイパス薬剤とを提供する。RNAi薬剤はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)を含み、アンチセンス鎖は、5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)を含み、a、c、g、およびuは、2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、Gf、またはUfは、2’-フルオロA、C、G、またはUであり;sは、ホスホロチオエート連結であり;センス鎖の3’-末端は、以下の概略図
Figure 2023123756000009
(式中、XはOまたはSである。)
に示されるようにリガンドとコンジュゲートしている。
一実施形態では、RNAi薬剤の固定用量は、皮下投与に適切である。
一実施形態では、RNAi薬剤の固定用量は、1カ月に1回、対象に投与するのに適切である。
本発明は、Serpinc1発現の低減から利益を得るであろう障害、例えば出血障害、例えば血友病を持つ対象の少なくとも1つの症状を予防する方法も提供する。方法は、本発明のiRNA剤、例えばdsRNA(例えば、本発明のdsRNAを含む医薬組成物)の予防有効量、例えば対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量、例えば約25mgから約100mgの固定用量を対象に投与する工程を含み、それによって、Serpinc1発現の低減から利益を得るであろう障害を持つ対象の少なくとも1つの症状が予防される。一実施形態では、方法は、予防有効用量、例えば、約50mgの固定用量の本発明のiRNA薬剤、例えば、dsRNA(例えば、本発明のdsRNAを含む医薬組成物)を対象に投与することを含み、それにより、Serpinc1発現の低下から利益を得るであろう障害を有する対象の少なくとも1つの症状を予防する。別の実施形態では、方法は、予防有効用量、例えば、約80mgの固定用量の本発明のiRNA薬剤、例えば、dsRNA(例えば、本発明のdsRNAを含む医薬組成物)を対象に投与することを含み、それにより、Serpinc1発現の低下から利益を得るであろう障害を有する対象の少なくとも1つの症状を予防する。
別の態様では、本発明は、Serpinc1発現の低下から利益を得るであろう障害、例えば、出血障害、例えば、血友病を有する対象を処置する方法であって、治療有効用量、例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量、例えば、約25mgから約100mgの固定用量のSerpinc1遺伝子を標的とするiRNA薬剤またはSerpinc1遺伝子を標的とするiRNA薬剤を含む医薬組成物を、対象、例えば、ヒトに投与することを含み、それによりSerpinc1発現の低下から利益を得るであろう障害を有する対象を処置する方法を提供する。一実施形態では、方法は、治療有効用量、例えば、約50mgの固定用量の本発明のiRNA薬剤、例えば、dsRNA(例えば、本発明のdsRNAを含む医薬組成物)を対象に投与することを含み、それによりSerpinc1発現の低下から利益を得るであろう障害を有する対象を処置する。別の実施形態では、方法は、治療有効用量、例えば、約80mgの固定用量の本発明のiRNA薬剤、例えば、dsRNA(例えば、本発明のdsRNAを含む医薬組成物)を対象に投与することを含み、それによりSerpinc1発現の低下から利益を得るであろう障害を有する対象を処置する。
別の態様では、本発明は、出血障害、例えば、血友病などのSerpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう障害を患っている対象の少なくとも1つの症状を予防するための、予防有効用量、例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量、例えば、約25mgから約100mgの固定用量の本発明のiRNA、例えば、dsRNAの使用を提供する。一実施形態では、本発明は、出血障害、例えば、血友病などのSerpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう障害を患っている対象の少なくとも1つの症状を予防するための、予防有効用量、例えば、約50mgの固定用量の本発明のiRNA、例えば、dsRNAの使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、出血障害、例えば、血友病などのSerpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう障害を患っている対象の少なくとも1つの症状を予防するための、予防有効用量、例えば、約80mgの固定用量の本発明のiRNA、例えば、dsRNAの使用を提供する。
さらなる態様では、本発明は、出血障害、例えば、血友病などのSerpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう障害を患っている対象の少なくとも1つの症状を予防するための薬剤の製造における、予防有効用量、例えば、対象のSerp
inc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量、例えば、約25mgから約100mgの固定用量の本発明のiRNA薬剤の使用を提供する。一実施形態では、本発明は、出血障害、例えば、血友病などのSerpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう障害を患っている対象の少なくとも1つの症状を予防するための薬剤の製造における、予防有効用量、例えば、約50mgの固定用量の本発明のiRNA薬剤の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、出血障害、例えば、血友病などのSerpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう障害を患っている対象の少なくとも1つの症状を予防するための薬剤の製造における、予防有効用量、例えば、約80mgの固定用量の本発明のiRNA薬剤の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、対象、例えば、Serpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう対象を処置するための、治療有効用量、例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量、例えば、約25mgから約100mgの固定用量の本発明のiRNA薬剤の使用を提供する。一実施形態では、本発明は、対象、例えば、Serpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう対象を処置するための、治療有効用量、例えば、約50mgの固定用量の本発明のiRNA薬剤の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、対象、例えば、Serpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう対象を処置するための、治療有効用量、例えば、約80mgの固定用量の本発明のiRNA薬剤の使用を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、対象、例えば、出血障害、例えば、血友病を有する対象などのSerpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう対象を処置するための薬剤の製造における、Serpinc1遺伝子を標的とする本発明のiRNA薬剤、例えば、dsRNAまたは治療有効用量、例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量、例えば、約25mgから約100mgの固定用量のSerpinc1遺伝子を標的とするiRNA薬剤を含む医薬組成物の使用を提供する。一実施形態では、本発明は、対象、例えば、出血障害、例えば、血友病を有する対象などのSerpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう対象を処置するための薬剤の製造における、Serpinc1遺伝子を標的とする本発明のiRNA薬剤、例えば、dsRNAまたは治療有効用量、例えば、約50mgの固定用量のSerpinc1遺伝子を標的とするiRNA薬剤を含む医薬組成物の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、対象、例えば、出血障害、例えば、血友病を有する対象などのSerpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう対象を処置するための薬剤の製造における、Serpinc1遺伝子を標的とする本発明のiRNA薬剤、例えば、dsRNAまたは治療有効用量、例えば、約80mgの固定用量のSerpinc1遺伝子を標的とするiRNA薬剤を含む医薬組成物の使用を提供する。
本発明のいくつかの実施形態では、例えば、二本鎖RNAi薬剤がセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドであり、センス鎖が3’末端で結合するリガンドとコンジュゲートしている場合、そのような薬剤は、約25mgから約100mgの固定用量で、例えば、約25mgの固定用量で;または約50mgの固定用量で;または約80mgの固定用量で;または約100mgの固定用量で投与される。一実施形態では、固定用量は50mgである。別の実施形態では、固定用量は80mgである。
したがって、一態様では、本発明は、Serpinc1発現の低下から利益を得るであろう障害、例えば、出血障害、例えば、血友病を有する対象の少なくとも1つの症状を予
防する方法を提供する。方法は、予防有効用量、例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量、例えば、約25mgから約100mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’末端で結合するリガンドとコンジュゲートしている、二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤(例えば、RNAi薬剤を含む医薬組成物)を対象に投与することを含み、それにより、Serpinc1発現の低下から利益を得るであろう障害を有する対象の少なくとも1つの症状を予防する。一実施形態では、固定用量は50mgである。別の実施形態では、固定用量は80mgである。
別の態様では、本発明は、Serpinc1発現の低下から利益を得るであろう障害、例えば、出血障害、例えば、血友病を有する対象を処置する方法を提供し、方法は、治療有効用量、例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量、例えば、約25mgから約100mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’末端で結合するリガンドとコンジュゲートしている、二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤またはSerpinc1遺伝子を標的とするiRNA薬剤を含む医薬組成物を対象、例えば、ヒトに投与することを含み、それによりSerpinc1発現の低下から利益を得るであろう障害を有する対象を処置する。一実施形態では、固定用量は50mgである。別の実施形態では、固定用量は80mgである。
別の態様では、本発明は、出血障害、例えば、血友病などのSerpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう障害を患っている対象の少なくとも1つの症状を予防するための、予防有効用量、例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量、例えば、約25mgから約100mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’末端で結合するリガンドとコンジュゲートしている、二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の使用を提供する。一実施形態では、固定用量は50mgである。別の実施形態では、固定用量は80mgである。
さらなる態様では、本発明は、出血障害、例えば、血友病などのSerpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう障害を患っている対象の少なくとも1つの症状を予防するための薬剤の製造における、予防有効用量、例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量、例えば、約25mgから約100mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的
にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’末端で結合するリガンドとコンジュゲートしている、二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の使用を提供する。一実施形態では、固定用量は50mgである。別の実施形態では、固定用量は80mgである。
別の態様では、本発明は、対象、例えば、Serpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう対象を処置するための、治療有効用量、例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量、例えば、約25mgから約100mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’末端で結合するリガンドとコンジュゲートしている、二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の使用を提供する。一実施形態では、固定用量は50mgである。別の実施形態では、固定用量は80mgである。
さらに別の態様では、本発明は、対象、例えば、出血障害、例えば、血友病を有する対象などのSerpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう対象を処置するための薬剤の製造における、Serpinc1遺伝子を標的とする本発明のiRNA薬剤、例えば、dsRNAまたは治療有効用量、例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量、例えば、約25mgから約100mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’末端で結合するリガンドとコンジュゲートしている、二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤を含む医薬組成物の使用を提供する。一実施形態では、固定用量は50mgである。別の実施形態では、固定用量は80mgである。
本発明の方法および使用は、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、または約80日間、標的Serpinc1遺伝子の発現が低下するよう、本明細書に記載される組成物を投与することを含む。一実施形態では、標的Serpinc1遺伝子の発現が、長い持続時間の間、例えば、少なくとも約7日間またはそれ以上、例えば、およそ1週間、2週間、3週間、およそ4週間、およそ5週間、およそ6週間、およそ2カ月、およそ四半期、またはそれ以上の間低下する。
遺伝子発現の低下は、当該技術分野において既知の任意の方法によって評価することができる。例えば、Serpinc1の発現の低下は、当業者には通常の方法、例えば、ノーザンブロッティング、qRT-PCRを使用してSerpinc1のmRNA発現レベルを求めることによって、ウエスタンブロッティング、免疫学的手法などの当業者には通常の方法を使用してSerpinc1のタンパク質レベルを求めることによって、および
/または例えば、細胞の血液凝固メカニズムに関連する1つまたはそれ以上の分子(またはインビボ環境における、血液凝固自体)に影響を及ぼすSerpinc1の生物学的活性を確認することによって判断することができる。一実施形態では、Serpinc1発現を評価するために、例えば、全血のROTEM(登録商標)Thromboelastometry分析を使用してトロンビン形成時間、凝血塊形成時間および/または凝固時間が求められる。
本発明の方法および使用によるdsRNAの投与は、Serpinc1関連疾患を有する患者の重症度、徴候、症状、および/またはそのような疾患もしくは障害のマーカーの低減をもたらすことができる。この状況における「低減」とは、そのようなレベルの統計学的に有意な低下を意味する。低減は、例えば、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または約100%である場合がある。
疾患の処置または予防の有効性は、例えば、疾患進行、疾患寛解、症状の重症度、出血の頻度、疼痛の緩和、クオリティオブライフ、処置の効果を持続するために必要とされる薬剤の用量、疾患マーカーまたは所与の処置される疾患、もしくは予防のために標的とされる疾患に適した任意のその他の測定可能なパラメーターのレベルを測定することによって評価することができる。そのようなパラメーターの任意の1つ、またはパラメーターの任意の組み合わせを測定することによって、処置または予防の有効性を監視することは、十分に当業者の能力の範囲内である。例えば、出血障害の処置の有効性は、例えば、トロンビン:抗トロンビンレベルを定期的に監視することによって評価することができる。後の測定値の初期の測定値との比較は、医師に処置が有効かどうかの目安を提供する。そのようなパラメーターの任意の1つ、またはパラメーターの任意の組み合わせを測定することによって、処置または予防の有効性を監視することは、十分に当業者の能力の範囲内である。Serpinc1を標的とするiRNAまたはその医薬組成物の投与に関連して、出血障害「に対して有効な」とは、臨床的に適切な様式での投与が、少なくとも統計学的に有意な割合の患者に関して、症状の改善、回復、疾患の緩和、寿命の延長、クオリティオブライフの向上、または出血障害の処置および関連する原因に精通している医師がプラスと一般に認識するその他の効果などの有益な効果をもたらすことを示す。
処置または予防効果は、疾患状態の1つまたはそれ以上のパラメーターに統計学的に有意な改善がある場合、またはそうでなければ予想されるであろう症状の悪化がないか、もしくは発症をしないことによって、明白である。例として、疾患の測定可能なパラメーターの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、30%、40%、50%またはそれ以上の好ましい変化が有効な処置であることを示す。与えられるiRNA薬物またはその薬物の製剤の有効性は、当該技術分野において既知の所与の疾患に対する実験動物モデルを使用して判断することもできる。実験動物モデルを使用する場合、処置の有効性は、マーカーまたは症状に統計学的に有意な低減が観察された場合に立証される。
あるいは、有効性は、臨床的に認められた疾患の重症度評価スケールに基づく診断の当業者によって判断される疾患の重症度の低下によって評価することができる。例えば、適切なスケールを使用して判断される疾患の重症度の低下の結果として生じるあらゆるプラスの変化は、本明細書に記載されるiRNAまたはiRNA製剤を使用した適正な処置を表す。
iRNA(またはiRNAを含む医薬組成物)は、およそ週に1回、およそ月に2回、およそ6週毎に1回、およそ2カ月毎に1回、または四半期に1回、対象に投与することができる。
二本鎖iRNA薬剤は、1回またはそれ以上の用量として対象に投与することができる。例えば、二本鎖iRNA薬剤は、約0.200mg/kgから約1.825mg/kgの月1回の用量として対象に投与することができる。あるいは、二本鎖iRNA薬剤は、約25mgから約100mgの固定用量で対象に投与することができる。
一実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は、3’末端で結合するリガンドとコンジュゲートしている、二本鎖RNAi薬剤は、約25から約100mg、例えば、約25mg、50mg、80mg、または100mgの固定用量で対象に投与される。一実施形態では、固定用量は50mgである。別の実施形態では、固定用量は80mgである。
投与は、例えば、月に1回の1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間またはそれより長い期間などの定期的なベースで繰り返すことができる。最初の処置レジメンの後に、より少ない回数ベースで処置を施すことも可能である。例えば、月に1回の3カ月間の投与後に、四半期毎に1回、1年間またはそれ以上の期間の投与を繰り返すことができる。
したがって、いくつかの実施形態では、RNAi薬剤は、間隔が短い投与の「負荷段階」を含む投薬計画で投与され、それにRNAi薬剤がより長い間隔を開けて投与される「維持段階」が続くこともある。
負荷投薬スケジュールおよび/または維持投薬スケジュールは、場合により、1回またはそれ以上の反復で繰り返されることもある。反復の回数は、所望の効果の達成、例えば、Serpinc1遺伝子の抑制、ならびに/または治療もしくは予防効果の達成、例えば、血液凝固の増加、凝血塊形成時間の短縮、および/もしくは凝固時間の短縮により決まる場合もある。
iRNAの投与は、例えば、患者の細胞、組織、血液、尿またはその他の区画中のSerpinc1レベルを、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%もしくはそれ以上、低下させることができる。
iRNAは、ある時間にわたって、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または約25分間にわたる静脈内注入によって投与することができる。
iRNAの全用量の投与前に、患者に5%の注入などのより少ない用量を投与し、アレルギー反応などの有害な影響について監視することができる。別の例において、サイトカイン(例えば、TNF-アルファまたはINF-アルファ)レベルの増加などの望ましく
ない免疫賦活性の影響に関して患者を監視することができる。
Serpinc1発現に対する阻害効果のために、本発明による組成物またはそれから調製される医薬組成物は、クオリティオブライフを向上させることができる。
本発明のiRNAは、「裸の」形態、または「遊離型iRNA」として投与することができる。裸のiRNAは、医薬組成物の非存在下で投与される。適した緩衝液中の裸のiRNAである場合もある。緩衝液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、もしくはリン酸塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む場合もある。一実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝食塩水(PBS)である。iRNAを含む緩衝液のpHおよびモル浸透圧濃度は、対象への投与に適するよう、調節することができる。
あるいは、本発明のiRNAは、dsRNAリポソーム製剤などの医薬組成物として投与することができる。
Serpinc1遺伝子発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう対象は、本明細書に記載される出血障害、例えば、遺伝性出血障害または後天性出血障害を有する対象である。一実施形態では、遺伝性出血障害を有する対象は、血友病、例えば、血友病A、B、またはCを有する。一実施形態では、遺伝性出血障害、例えば、血友病を有する対象は、インヒビター対象である(補充凝固因子に対して抵抗性になった対象)。一実施形態では、インヒビター対象は、血友病Aを有する。別の実施形態では、インヒビター対象は、血友病Bを有する。さらに別の実施形態では、インヒビター対象は、血友病Cを有する。Serpinc1遺伝子発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう対象の処置は、治療的処置(例えば、オンデマンド、例えば、対象が出血しており(自然発生的出血もしくは外傷の結果としての出血)、凝固しない)および予防的処置(例えば、対象が出血しておらず、および/もしくは手術を受ける)を含む。
本発明は、例えば、他の医薬品および/または他の治療方法と、例えば、これらの障害を処置するために現在利用されているものなどの例えば、既知の医薬品および/もしくは既知の治療方法と組み合わせて、Serpinc1発現の低下および/または阻害から利益を得るであろう対象、例えば、出血障害を有する対象を処置するための、iRNAまたはその医薬組成物の使用のための方法ならびに使用をさらに提供する。
例えば、特定の実施形態では、Serpinc1を標的とするiRNAは、例えば、本明細書中の別の場所に記載されている出血障害を処置する際に有用な薬剤と組み合わせて投与される。例えば、Serpinc1発現の低下から利益を得るであろう対象、例えば、出血障害を有する対象を処置するのに適した追加の治療薬および治療方法としては、新鮮凍結血漿(FFP);組換え型FVIIa;組換え型FIX;FXI濃縮物;ウイルス不活化vWF含有FVIII濃縮物;ステロイドもしくは静注用免疫グロブリン(IVIG)およびシクロホスファミドを伴い大用量のFVIIIまたはFIXを含む場合もある減感作療法;抗線溶療法を伴うか、または伴わずに免疫抑制およびFVIIIまたはFIXの注入と併せた血漿交換療法;免疫抑制療法(例えば、シクロホスファミド、プレドニゾン、および/もしくは抗CD20)を伴うか、または伴わない免疫寛容誘導(ITI);酢酸デスモプレシン[DDAVP];アミノカプロン酸およびトラネキサム酸などの抗線溶薬;活性化プロトロンビン複合体濃縮物(PCC);抗血友病薬剤;副腎皮質ステロイド薬;免疫抑制剤;ならびにエストロゲンが挙げられる。
iRNAならびに追加の治療薬および/もしくは処置は、同時におよび/もしくは同じ組み合わせとして、例えば、非経口的に施すことができ、または追加の治療薬は、別々の組成物の一部としてもしくは別々の時間におよび/もしくは当該技術分野において既知の
もしくは本明細書に記載されている別の方法によって投与することができる。
一実施形態では、本発明は、約25mgから約100mgの固定用量、例えば、約25mg、約50mg、約80mgまたは約100mgの固定用量(例えば、対象のSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる量)で化合物AT3SC-001(AD-57213-センス鎖:5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)およびアンチセンス鎖:5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)、ここで、a、c、g、およびuは2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、GfまたはUfは2’-フルオロA、C、GまたはUであり;sはホスホロチオエート連結である)を対象に皮下投与することによって、出血障害、例えば、血友病を患っている対象を処置するための方法を提供する。一実施形態では、固定用量は50mgである。別の実施形態では、固定用量は80mgである。
III.本発明の方法における使用のためのiRNA
本明細書において、例えば出血性障害、例えば血友病などのSerpinc1関連障害のヒトのような、例えば哺乳動物などの対象内の細胞のような、細胞におけるSerpinc1遺伝子の発現を阻害する改善された二本鎖RNAi薬剤の使用のための方法を記載する。
したがって、本発明はインビボでの標的遺伝子(すなわち、Serpinc1遺伝子)の発現を阻害することができる化学修飾を有する二本鎖RNAi薬剤を提供する。本発明の特定の態様では、本発明のiRNAの実質的にすべてのヌクレオチドが修飾されている。本発明の他の実施形態では、本発明のiRNAのすべてのヌクレオチドが修飾されている。「実質的にすべてのヌクレオチドが修飾されている」本発明のiRNAは、完全ではないが大部分が修飾され、5、4、3、2、または1つ以下の非修飾ヌクレオチドを含み得る。
RNAi薬剤はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む。RNAi薬剤の各鎖は12~30ヌクレオチド長の範囲であり得る。例えば、各鎖は14~30ヌクレオチド長、17~30ヌクレオチド長、19~30ヌクレオチド長、25~30ヌクレオチド長、27~30ヌクレオチド長、17~23ヌクレオチド長、17~21ヌクレオチド長、17~19ヌクレオチド長、19~25ヌクレオチド長、19~23ヌクレオチド長、19~21ヌクレオチド長、21~25ヌクレオチド長、または21~23ヌクレオチド長の間であり得る。
センス鎖およびアンチセンス鎖は、典型的には二重鎖の二本鎖RNA(「dsRNA」)を形成し、本明細書において「RNAi薬剤」とも呼ばれる。RNAi薬剤の二重鎖領域は12~30ヌクレオチド対長であり得る。例えば、二重鎖領域は、14~30ヌクレオチド対長、17~30ヌクレオチド対長、27~30ヌクレオチド対長、17~23ヌクレオチド対長、17~21ヌクレオチド対長、17~19ヌクレオチド対長、19~25ヌクレオチド対長、19~23ヌクレオチド対長、19~21ヌクレオチド対長、21~25ヌクレオチド対長、または21~23ヌクレオチド対長の間であり得る。別の例では、二重鎖領域は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、および27ヌクレオチド長から選択される。
一実施形態では、RNAi薬剤は1つまたは両方の鎖の3’末端、5’末端、または両端において1つまたはそれ以上のオーバーハング領域および/またはキャッピング基を含有し得る。オーバーハングは1~6ヌクレオチド長、例えば2~6ヌクレオチド長、1~5ヌクレオチド長、2~5ヌクレオチド長、1~4ヌクレオチド長、2~4ヌクレオチド
長、1~3ヌクレオチド長、2~3ヌクレオチド長、または1~2ヌクレオチド長であり得る。オーバーハングは、1つの鎖が他の鎖よりも長い結果、または同じ長さの2つの鎖がずれた結果であり得る。オーバーハングは、標的mRNAとのミスマッチを形成し得るか、または標的とされた遺伝子配列に相補的であり得るか、または別の配列であり得る。第1および第2の鎖も例えばヘアピンを形成するさらなる塩基、または他の非塩基リンカーによって結合される。
一実施形態では、RNAi薬剤のオーバーハング領域のヌクレオチドはそれぞれ独立に、限定はされないが、2-F、2’-O-メチル、チミジン(T)、2’-O-メトキシエチル-5-メチルウリジン(Teo)、2’-O-メトキシエチルアデノシン(Aeo)、2’-O-メトキシエチル-5-メチルシチジン(m5Ceo)、およびそれらの任意の組み合わせのような2’-糖修飾を含む、修飾または非修飾ヌクレオチドであり得る。例えば、TTは、いずれかの鎖のいずれかの末端のオーバーハング配列であり得る。オーバーハングは標的mRNAとミスマッチを形成し得るか、または標的とされた遺伝子配列と相補的であり得るか、または別の配列であり得る。
RNAi薬剤のセンス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖における5’-または3’-オーバーハングはリン酸化される。いくつかの実施形態では、オーバーハング領域は2つのヌクレオチドの間にホスホロチオエートを有する2つのヌクレオチドを含有し、2つのヌクレオチドは同じまたは異なっていてもよい。一実施形態では、オーバーハングはセンス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖の3’末端に存在する。一実施形態では、この3’-オーバーハングはアンチセンス鎖に存在する。一実施形態では、この3’-オーバーハングはセンス鎖に存在する。
RNAi薬剤は、その全体的安定性には影響せずにRNAiの緩衝活性を強化し得る、単一のオーバーハングのみを含有し得る。例えば、一本鎖オーバーハングはセンス鎖の3’末端、または代わりにアンチセンス鎖の3’末端に位置し得る。RNAiは、アンチセンス鎖の5’末端(またはセンス鎖の3’末端)またはその逆に位置する平滑末端も有し得る。通常、RNAiのアンチセンス鎖は3’末端にヌクレオチドオーバーハングを有し、5’末端は平滑である。理論に制約されることを望むものではないが、アンチセンス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の3’末端オーバーハングにおける非対称の平滑末端は、RISC工程へのガイド鎖導入に有利である。
本発明で取り上げられる任意の核酸は、参照によって本明細書に組み入れる「Current protocols in nucleic acid chemistry」、Beaucage,S.L.ら(Edrs.)、John Wiley&Sons,Inc.,New York、NY、USAに記載される方法のように、当技術分野において確立された方法によって合成および/または修飾される。修飾としては、例えば末端修飾、例えば5’末端修飾(リン酸化、コンジュゲーション、逆連結)もしくは3’末端修飾(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド、逆連結等);塩基修飾、例えば安定塩基、不安定塩基、もしくは広範なパートナーと塩基対合する塩基による置換、塩基の除去(脱塩基ヌクレオチド)、もしくはコンジュゲート塩基;糖修飾(例えば、2’位もしくは4’位で)または糖の置換;および/またはホスホジエステル連結の修飾もしくは置換を含む骨格修飾が挙げられる。本明細書に記載の実施形態に有用なiRNA化合物の具体例としては、限定はされないが、修飾骨格を含有するか、または天然のヌクレオシド間連結を含有しないRNAが挙げられる。修飾骨格を有するRNAとしては、中でも、骨格にリン原子を有さないものが挙げられる。本明細書の目的のため、および当技術分野において時々言及されるように、そのヌクレオシド間骨格にリン原子を有さない修飾RNAもオリゴヌクレオシドであると考えられる。いくつかの実施形態では、修飾iRNAは、そのヌクレオシド間骨格にリン原子を有する。
修飾RNA骨格としては、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび3’-アルキレンホスホネートを含む他のアルキルホスホネート、ならびにキラルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホロアミデートおよびアミノアルキルホスホロアミデートを含むホスホロアミデート、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびに正常な3’-5’連結を有するボラノリン酸、これらの2’-5’結合類似体、ならびにヌクレオシド単位の隣接する対が、3’-5’から5’-3’または2’-5’から5’-2’に結合する、逆極性を有するものが挙げられる。様々な塩、混合塩、および遊離酸形態も含まれる。
上記のリン含有連結の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第3,687,808号;第4,469,863号;第4,476,301号;第5,023,243号;第5,177,195号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5,455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,316号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;第5,625,050号;第6,028,188号;第6,124,445号;第6,160,109号;第6,169,170号;第6,172,209号;第6,239,265号;第6,277,603号;第6,326,199号;第6,346,614号;第6,444,423号;第6,531,590号;第6,534,639号;第6,608,035号;第6,683,167号;第6,858,715号;第6,867,294号;第6,878,805号;第7,015,315号;第7,041,816号;第7,273,933号;第7,321,029号;および米国再発行特許第RE39464号が挙げられ、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
リン原子を含まない修飾RNA骨格は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、または1つもしくはそれ以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間連結によって形成される骨格を有する。これらとしては、モルホリノ連結(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される)を有するもの;シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド、およびスルホン骨格;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファミン酸骨格;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格;スルホン酸およびスルホンアミド骨格;アミド骨格;ならびに混合N、O、S、およびCH構成部分を有するその他の骨格が挙げられる。
上記のオリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第5,034,506号;第5,166,315号;第5,185,444号;第5,214,134号;第5,216,141号;第5,235,033号;第5,64,562号;第5,264,564号;第5,405,938号;第5,434,257号;第5,466,677号;第5,470,967号;第5,489,677号;第5,541,307号;第5,561,225号;第5,596,086号;第5,602,240号;第5,608,046号;第5,610,289号;第5,618,704号;第5,623,070号;第5,663,312号;第5,633,360号;第5,677,437号;および第5,677,439号が挙げられ、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
他の実施形態では、好適なRNA模倣体がiRNAにおける使用のために考えられ、ここでは糖およびヌクレオシド間連結の両方、すなわちヌクレオチド単位の骨格が新規の基で置換される。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されているそのようなオリゴマー化合物の1つであるRNA模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物において、RNAの糖骨格が、アミド含有骨格、特にアミノエチルグリシン骨格で置換される。核酸塩基は保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子と直接または間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第5,539,082号;第5,714,331号;および第5,719,262号が挙げられ、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。本発明のiRNAに使用するのに好適なさらなるPNA化合物が、例えばNielsenら、Science、1991、254、1497~1500頁に記載されている。
本発明で取り上げられるいくつかの実施形態は、ホスホロチオエート骨格を有するRNAおよびヘテロ原子骨格を有するオリゴヌクレオシド、特に、上述の米国特許第5,489,677号の--CH--NH--CH-、--CH--N(CH)--O--CH--[メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として公知]、--CH--O--N(CH)--CH--、--CH--N(CH)--N(CH)--CH--および--N(CH)--CH--CH--[式中、天然のホスホジエステル骨格は、--O--P--O--CH--として表される]、ならびに上述の米国特許第5,602,240号のアミド骨格を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で取り上げられるRNAは、上述した米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を持つ。
修飾RNAは、1つまたはそれ以上の置換された糖部分も含有し得る。本明細書で取り上げられるiRNA、例えばdsRNAは、2’位に以下:OH;F;O-、S-、もしくはN-アルキル;O-、S-、もしくはN-アルケニル;O-、S-もしくはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキルのうちの1つを含むことができ、ここで、アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換または非置換のC~C10アルキルまたはC~C10アルケニルおよびアルキニルであり得る。例示的に好適な修飾は、O[(CHO]CH、O(CHOCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、およびO(CHON[(CHCH)]を含み、式中、nおよびmは1から約10である。他の実施形態では、dsDNAは2’位に以下:C~C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリルまたはO-アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA開裂基、レポーター基、インターカレーター、iRNAの薬物動態学的特性を向上する基、またはiRNAの薬力学的特性を改善する基、および同様の特性を有する他の置換基のうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、修飾は2’-メトキシエトキシ(2’-O-(2-メトキシエチル)または2’-MOEとしても公知の2’-O--CHCHOCH)(Martinら、Helv.Chim.Acta、1995、78:486~504頁)、すなわちアルコキシ-アルコキシ基を含む。別の例示的な修飾は、本明細書の以下の実施例に記載のように、2’-DMAOEとしても公知の2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわちO(CHON(CH基、および2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当技術分野において2’-O-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’-DMAEOEとしても公知)、すなわち2’-O--CH--O--CH--N(CHである。
他の修飾は、2’-メトキシ(2’-OCH)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCHCHCHNH)および2’-フルオロ(2’-F)を含む。同様の修飾が、iRNAのRNAにおける他の位置、特に3’末端ヌクレオチドまたは2’-5’結合dsRNAの糖の3’位、および5’末端ヌクレオチドの5’位でも行われる。iRNAは、ペントフラノシル糖に代わるシクロブチル部分のような糖模倣体も有し得る。そのような修飾糖構造の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第4,981,957号;第5,118,800号;第5,319,080号;第5,359,044号;第5,393,878号;第5,446,137号;第5,466,786号;第5,514,785号;第5,519,134号;第5,567,811号;第5,576,427号;第5,591,722号;第5,597,909号;第5,610,300号;第5,627,053号;第5,639,873号;第5,646,265号;第5,658,873号;第5,670,633号;および第5,700,920号が挙げられ、そのいくつかは本出願と所有者が同一である。上記のそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
iRNAは、核酸塩基(当技術分野において多くの場合、単に「塩基」と呼ばれる)修飾または置換も含み得る。本明細書で使用する場合、「非修飾」または「天然」核酸塩基は、プリン塩基アデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾核酸塩基は、デオキシ-チミン(dT)、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルウラシルおよびシトシン、6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよび他の8-置換アデニンおよびグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換ウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニン、ならびに3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンのような他の合成および天然核酸塩基を含む。さらなる核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号に開示のもの、Modified Nucleosides in Biochemistry、Biotechnology and Medicine、Herdewijn,P.ed.Wiley-VCH、2008に開示のもの;The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering、858~859頁、Kroschwitz,J.L,ed.John Wiley&Sons、1990に開示のもの、Englischら、Angewandte Chemie、International Edition、1991、30、613頁に開示のもの、およびSanghvi,Y S.、Chapter 15,dsRNA Research and Applications、289~302頁、Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Ed.、CRC Press、1993に開示のものが挙げられる。これらの核酸塩基のいくつかは、本発明で取り上げられるオリゴマー化合物の結合親和性を高めるために特に有用である。これらとしては、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、および5-プロピニルシトシンを含む、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジンならびにN-2、N-6、およびO-6置換プリンが挙げられる。5-メチルシトシン置換基が、核酸二重鎖安定性を0.6~1.2℃増加させることが示され(Sanghvi,Y.S.、Crooke,S.T. and Lebleu,B.,Eds.、dsRNA Research and Applications、CRC Press,Boca Raton、1993、276~278頁)、それは例示的な塩基置換であり、特に2’-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わせた場合はなお
さらである。
上記の修飾核酸塩基および他の修飾核酸塩基の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第3,687,808号、第4,845,205号;第5,130,30号;第5,134,066号;第5,175,273号;第5,367,066号;第5,432,272号;第5,457,187号;第5,459,255号;第5,484,908号;第5,502,177号;第5,525,711号;第5,552,540号;第5,587,469号;第5,594,121号、第5,596,091号;第5,614,617号;第5,681,941号;第5,750,692号;第6,015,886号;第6,147,200号;第6,166,197号;第6,222,025号;第6,235,887号;第6,380,368号;第6,528,640号;第6,639,062号;第6,617,438号;第7,045,610号;第7,427,672号;および第7,495,088号を含み、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
iRNAのRNAはまた、1つまたはそれ以上の二環式糖部分を含むようにも修飾される。「二環式糖」は、2つの原子の架橋によって修飾されたフラノシル環である。「二環式ヌクレオシド」(「BNA」)は、糖環の2つの炭素原子を結合し、それにより二環式環系を形成する架橋を含む糖部分を有するヌクレオシドである。特定の実施形態では、架橋は糖環の4’-炭素および2’-炭素を結合する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の薬剤はiRNAのRNAを含み、1つまたはそれ以上のロックド核酸(LNA)を含むようにも修飾される。ロックド核酸は、修飾リボース部分を有するヌクレオチドであり、リボース部分は2’および4’炭素を結合する追加の架橋を含む。言い換えると、LNAは4’-CH2-O-2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオチドである。この構造は、3’エンド構造的立体配座におけるリボースを有効に「ロックする」。siRNAにロックド核酸を加えると、血清中のsiRNAの安定性が増加し、オフターゲット効果が低下することが示されている(Elmen,J.ら、(2005)Nucleic Acids Research 33(1):439~447頁;Mook,OR.ら、(2007)Mol Canc Ther 6(3):833~843頁;Grunweller,A.ら、(2003)Nucleic Acids Research
31(12):3185~3193頁)。
本発明のポリヌクレオチドにおける使用のための二環式ヌクレオシドの例としては、限定はされないが、4’および2’リボシル環原子の間の架橋を含むヌクレオシドが挙げられる。特定の実施形態では、本発明のアンチセンスポリヌクレオチド剤は4’-2’架橋を含む1つまたはそれ以上の二環式ヌクレオシドを含む。そのような4’-2’架橋二環式ヌクレオシドの例としては、限定はされないが、4’-(CH2)-O-2’(LNA);4’-(CH2)-S-2’;4’-(CH2)2-O-2’(ENA);4’-CH(CH3)-O-2’(「拘束エチル」または「cEt」とも呼ばれる)および4’-CH(CH2OCH3)-O-2’(およびその類似体;例えば米国特許第7,399,845号参照);4’-C(CH3)(CH3)-O-2’(およびその類似体;例えば米国特許第8,278,283号参照);4’-CH2-N(OCH3)-2’(およびその類似体;米国特許第8,278,425号参照);4’-CH2-O-N(CH3)-2’(例えば、米国特許出願公開第2004/0171570号明細書参照);4’-CH2-N(R)-O-2’、式中RはH、C1~C12アルキル、または保護基(例えば、米国特許第7,427,672号参照);4’-CH2-C(H)(CH3)-2’(例えばChattopadhyayaら、J.Org.Chem.、2009、74、118~134頁参照);ならびに4’-CH2-C(=CH2)-2’(およびその類似体;例えば米国特許第8,278,426号参照)が挙げられる。先のそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
ロックド核酸ヌクレオチドの調製を教示するさらなる代表的な米国特許および米国特許出願公開としては、限定はされないが、以下:米国特許第6,268,490号;第6,525,191号;第6,670,461号;第6,770,748号;第6,794,499号;第6,998,484号;第7,053,207号;第7,034,133号;第7,084,125号;第7,399,845号;第7,427,672号;第7,569,686号;第7,741,457号;第8,022,193号;第8,030,467号;第8,278,425号;第8,278,426号;第8,278,283号;米国特許出願公開第2008/0039618号、第2009/0012281号が挙げられ、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
例えばα-L-リボフラノースおよびβ-D-リボフラノースを含む1つまたはそれ以上の立体化学的糖配置を有するように前述の二環式ヌクレオシドのいずれかを調製できる(国際公開第99/14226号パンフレット参照)。
iRNAのRNAはまた、1つまたはそれ以上の拘束エチルヌクレオチドを含むようにも修飾できる。本明細書で使用する場合、「拘束エチルヌクレオチド」または「cEt」は4’-CH(CH3)-0-2’架橋を含む二環式糖部分を含むロックド核酸である。一実施形態では、拘束エチルヌクレオチドは本明細書において「S-cEt」と呼ばれるS立体配座にある。
本発明のiRNAは、1つまたはそれ以上の「立体配座的制限ヌクレオチド」(「CRN」)も含み得る。CRNは、リボースのC2’およびC4’炭素またはリボースのC3および-C5’炭素を結合するリンカーを有するヌクレオチド類似体である。CRNは、リボース環を安定した立体配座へと固定し、mRNAに対するハイブリダイゼーション親和性を高める。リンカーは、酸素を安定性および親和性のために最適な位置に配置するのに十分な長さを有し、リボース環のゆがみを少なくする。
上記のCRNのいくつかの調製を教示する代表的な広報としては、限定はされないが、米国特許出願公開第2013/0190383号;およびPCT広報の国際公開第2013/036868号パンフレットが挙げられ、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
本発明のiRNAのヌクレオチドの1つまたはそれ以上はまた、ヒドロキシメチル置換ヌクレオチドも含み得る。「ヒドロキシメチル置換ヌクレオチド」は、「アンロックド核酸」(「UNA」)修飾とも呼ばれる非環式2’-3’-seco-ヌクレオチドである。
UNAの調製を教示する代表的な米国特許公報としては、限定はされないが、米国特許第8,314,227号;ならびに米国特許出願公開第2013/0096289号;第2013/0011922号;および第2011/0313020号が挙げられ、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
RNA分子の末端に対する潜在的に安定した修飾は、N-(アセチルアミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-NHAc)、N-(カプロイル4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6)、N-(アセチル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-NHAc)、チミジン-2’-O-デオキシチミジン(エーテル)、N-(アミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-アミノ)、2-ドコサノイル-ウリジン-3’’-リン酸、逆方向塩基dT(idT)などを含み得る。この修飾の開示は、PCT公開番号国際公開第2011/005861号パンフレットに見出さ
れる。
A.本発明のモチーフを含む修飾iRNA
本発明の特定の態様では、本発明の二本鎖RNAi薬剤は、例えば、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる、2011年11月18日に出願された米国仮特許出願第61/561,710号、または2012年11月16日に出願されたPCT/米国特許出願公開第2012/065691号に開示される化学的修飾を有する薬剤を含む。
本明細書、米国仮特許出願第61/561,710号、およびPCT/米国特許出願公開第2012/065691号に示されるように、より優れた結果が、3つの連続的なヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つまたはそれ以上のモチーフを、RNAi薬剤のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖、特に、切断部位またはその近くに導入することによって得られる。いくつかの実施形態では、RNAi薬剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、そうでなければ完全に修飾される。これらのモチーフの導入により、存在する場合、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の修飾パターンが中断される。RNAi薬剤は、例えばセンス鎖上で、GalNAc誘導体リガンドと場合によりコンジュゲートしている。得られたRNAi薬剤はより優れた遺伝子サイレンシング活性を示す。
より詳細には、二本鎖RNAi薬剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖が、RNAi薬剤の少なくとも1つの鎖の切断部位またはその近くに3つの連続的なヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つまたはそれ以上のモチーフを有するように修飾される場合、RNAi薬剤の遺伝子サイレンシング活性が有意に向上されたことが驚くべきことに発見された。
一実施形態では、RNAi薬剤は19ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖(double ended
bluntmer)であり、センス鎖は、5’末端から7位、8位、9位の3つの連続的なヌク
レオチドにおける3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。
別の実施形態では、RNAi薬剤は20ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖であり、センス鎖は、5’末端から8位、9位、10位の3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。
さらに別の実施形態では、RNAi薬剤は21ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖であり、センス鎖は、5’末端から9位、10位、11位の3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。
一実施形態では、RNAi薬剤は21ヌクレオチドセンス鎖および23ヌクレオチドアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’末端から9位、10位、11位の3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含有し;アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含有し、RNAi薬剤の一方の端が平滑である一方、他方の端は2つのヌクレオチドオーバーハングを含む。好ましくは、2つのヌクレオチドオーバーハングはアンチセンス鎖の3’末端にある。2つのヌクレオチドオーバーハングがアンチセンス鎖の3’末端にある場合、末端の3つのヌクレ
オチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結があり、3つのうちの2つのヌクレオチドがオーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドはオーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。一実施形態では、RNAi薬剤はセンス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の5’末端の両方における末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結をさらに有する。一実施形態では、モチーフの一部であるヌクレオチドを含むRNAi薬剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖中のすべてのヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドである。一実施形態では、各残基は独立して、例えば交互のモチーフ中で2’-O-メチルまたは3’フルオロで修飾される。場合により、RNAi薬剤はリガンド(好ましくはGalNAc)をさらに含む。
一実施形態では、RNAi薬剤はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、RNAi薬剤は少なくとも25および29以下のヌクレオチド長を有する第1の鎖と、5’末端から11位、12位、13位の3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む、30以下のヌクレオチド長を有する第2の鎖とを含み;第1の鎖の3’末端および第2の鎖の5’末端が平滑末端を形成し、第2の鎖はその3’末端で第1の鎖より1~4ヌクレオチド長く、二重鎖領域は、少なくとも25ヌクレオチド長であり、第2の鎖は、RNAi薬剤が哺乳動物細胞中に導入されたときに標的遺伝子の発現を低下させるように、第2の鎖長の少なくとも19ヌクレオチドに沿って標的mRNAに十分に相補的であり、RNAi薬剤のダイサー切断が、第2の鎖の3’末端を含むsiRNAを優先的にもたらし、それにより哺乳動物における標的遺伝子の発現を低下させる。場合により、RNAi薬剤はリガンドをさらに含む。
一実施形態では、RNAi薬剤のセンス鎖は、3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含有し、モチーフの1つはセンス鎖の切断部位に存在する。
一実施形態では、RNAi薬剤のアンチセンス鎖も3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含有することができ、モチーフの1つはアンチセンス鎖の切断部位またはその近くに存在する。
17~23ヌクレオチド長の二重鎖領域を有するRNAi薬剤では、アンチセンス鎖の切断部位は、典型的には5’末端から10位、11位、および12位の付近である。したがって、3つの同一の修飾のモチーフは、アンチセンス鎖の5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて、またはアンチセンス鎖の5’末端から、二重鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、アンチセンス鎖の9位、10位、11位;10位、11位、12位;11位、12位、13位;12位、13位、14位;または13位、14位、15位に存在し得る。アンチセンス鎖中の切断部位はまた、5’末端からのRNAiの二重鎖領域の長さによっても変化し得る。
RNAi薬剤のセンス鎖は、鎖の切断部位に3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含有していてもよく;アンチセンス鎖は、鎖の切断部位またはその近くに3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを有し得る。センス鎖およびアンチセンス鎖がdsRNA二重鎖を形成する場合、センス鎖およびアンチセンス鎖は、センス鎖における3つのヌクレオチドの1つのモチーフおよびアンチセンス鎖における3つのヌクレオチドの1つのモチーフが、少なくとも1つのヌクレオチドの重複を有し、すなわちセンス鎖中のモチーフの3つのヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、アンチセンス鎖中のモチーフの3つのヌクレオチドのうちの少なくとも1つと塩基対を形成するように整列され得る。あるいは、少なくとも2つのヌクレオチドが重複してもよく、またはすべての3つのヌクレオチドが重複してもよい。
一実施形態では、RNAi薬剤のセンス鎖は、3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含有し得る。第1のモチーフは、鎖の切断部位またはその近くに存在してもよく、他のモチーフは、ウイング修飾(wing modification)
であり得る。本明細書の用語「ウイング修飾」は、同じ鎖の切断部位またはその近くのモチーフから隔てられた鎖の別の部分に存在するモチーフを指す。ウイング修飾は、第1のモチーフに隣接するか、または少なくとも1つもしくはそれ以上のヌクレオチドによって隔てられている。モチーフが互いに直接隣接している場合、モチーフの化学構造は互いに異なり、モチーフが1つまたはそれ以上のヌクレオチドによって隔てられている場合、化学構造は同じかまたは異なり得る。2つ以上のウイング修飾が存在し得る。例えば、2つのウイング修飾が存在する場合、各ウイング修飾は切断部位もしくはその近くの第1のモチーフに対して1つの端部にまたはリードモチーフ(lead motif)のいずれかの側に存在し得る。
センス鎖と同様に、RNAi薬剤のアンチセンス鎖は、3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含有していてもよく、モチーフの少なくとも1つが、鎖の切断部位またはその近くに存在する。このアンチセンス鎖はまた、センス鎖に存在し得るウイング修飾と同様の配列で1つまたはそれ以上のウイング修飾を含有し得る。
一実施形態では、RNAi薬剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖におけるウイング修飾は、典型的には鎖の3’末端、5’末端または両端に第1の1つまたは2つの末端ヌクレオチドを含まない。
別の実施形態では、RNAi薬剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖におけるウイング修飾は、典型的には鎖の3’末端、5’末端、または両端の二重鎖領域内に第1の1つまたは2つの対合ヌクレオチドを含まない。
RNAi薬剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖がそれぞれ、少なくとも1つのウイング修飾を含有する場合、ウイング修飾は、二重鎖領域の同じ端に位置してもよく、1つ、2つまたは3つのヌクレオチドの重複を有し得る。
RNAi薬剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖がそれぞれ、少なくとも2つのウイング修飾を含有する場合、センス鎖およびアンチセンス鎖は、1つの鎖から2つの修飾がそれぞれ、二重鎖領域の1つの端に位置して、1つ、2つまたは3つのヌクレオチドの重複を有し、;1つの鎖からの2つの修飾がそれぞれ、二重鎖領域の他方の端に位置して、1つ、2つまたは3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖からの2つの修飾がリードモチーフの各側に位置して、二重鎖領域中に1つ、2つまたは3つのヌクレオチドの重複を有するように整列される。
一実施形態では、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、RNAi薬剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖中のすべてのヌクレオチドが修飾される。各ヌクレオチドは、同じまたは異なる修飾で修飾され、この修飾は、非結合リン酸酸素および/または結合リン酸酸素の1つもしくはそれ以上の一方または両方の1つまたはそれ以上の変更;リボース糖の成分、例えば、リボース糖の2’ヒドロキシルの変更;「脱リン」リンカーによるリン酸部分の大規模な置換;天然の塩基の修飾または置換;ならびにリボース-リン酸骨格の置換または修飾を含み得る。
核酸がサブユニットのポリマーであるため、例えば塩基、またはリン酸部分、またはリン酸部分の非結合Oの修飾などの修飾の多くは、核酸内の繰り返される位置に存在する。
いくつかの場合では、修飾は、核酸中の目的の位置のすべてに存在するが、多くの場合、そうではない。例としては、修飾は、3’または5’末端位置のみに存在してもよく、末端領域、例えば末端ヌクレオチド上の位置または鎖の最後の2、3、4、5、または10のヌクレオチドのみに存在してもよい。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域、またはその両方に存在してもよい。修飾は、RNAの二本鎖領域のみに存在してもよく、またはRNAの一本鎖領域のみに存在してもよい。例えば、非結合O位置におけるホスホロチオエート修飾は、一方または両端のみに存在してもよく、末端領域、例えば末端ヌクレオチド上の位置または鎖の最後の2、3、4、5、または10のヌクレオチドのみに存在してもよく、または二本鎖および一本鎖領域、特に末端に存在してもよい。5’末端または両端がリン酸化される。
例えば、安定性を高めること、オーバーハング中に特定の塩基を含むこと、または一本鎖オーバーハング、例えば5’もしくは3’オーバーハング、もしくはその両方に修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチド代用物を含むことが可能であり得る。例えば、オーバーハング中にプリンヌクレオチドを含むことが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、3’または5’オーバーハング中の塩基のすべてまたはいくつかが、例えば、本明細書に記載される修飾で修飾される。修飾は、例えば、当技術分野において公知の修飾によるリボース糖の2’位における修飾の使用、例えば、核酸塩基のリボ糖の代わりにデオキシリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロ(2’-F)または2’-O-メチル修飾の使用、およびリン酸基の修飾、例えば、ホスホロチオエート修飾を含み得る。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。
一実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、独立してLNA、HNA、CeNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-デオキシ、2’-ヒドロキシル、または2’-フルオロで修飾される。鎖は、2つ以上の修飾を含有し得る。一実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、独立して2’-O-メチルまたは2’-フルオロで修飾される。
少なくとも2つの異なる修飾が、典型的にはセンス鎖およびアンチセンス鎖に存在する。それらの2つの修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾、または他のものであり得る。
一実施形態では、Nおよび/またはNは、交互のパターンの修飾を含む。本明細書で使用する場合、用語「交互のモチーフ」は、1つまたはそれ以上の修飾を有するモチーフを指し、各修飾が1つの鎖の交互のヌクレオチドに存在する。交互のヌクレオチドは、1つおきのヌクレオチドに1つもしくは3つおきのヌクレオチドに1つ、または同様のパターンを指し得る。例えば、A、B、およびCがそれぞれ、ヌクレオチドに対する1つのタイプの修飾を表す場合、交互のモチーフは、「ABABABABABAB・・・」、「AABBAABBAABB・・・」、「AABAABAABAAB・・・」、「AAABAAABAAAB・・・」、「AAABBBAAABBB・・・」、または「ABCABCABCABC・・・」などであり得る。
交互のモチーフに含有される修飾のタイプは、同じかまたは異なり得る。例えば、A、B、C、Dがそれぞれ、ヌクレオチド上の1つのタイプの修飾を表す場合、交互のパターン、すなわち1つおきのヌクレオチドにおける修飾は同じであってもよいが、センス鎖またはアンチセンス鎖のそれぞれが、「ABABAB・・・」、「ACACAC・・・」、「BDBDBD・・・」、または「CDCDCD・・・」などの交互のモチーフ内の修飾のいくつかの可能性から選択される。
一実施形態では、本発明のRNAi薬剤は、アンチセンス鎖における交互のモチーフの
修飾パターンに対してシフトされた、センス鎖における交互のモチーフの修飾パターンを含む。このシフトは、センス鎖のヌクレオチドの修飾基が、アンチセンス鎖のヌクレオチドの異なるように修飾された基に対応するか、その逆であるようなシフトであり得る。例えば、センス鎖は、dsRNA二重鎖におけるアンチセンス鎖と対合される場合、センス鎖における交互のモチーフは、鎖の5’から3’へと「ABABAB」から開始してもよく、アンチセンス鎖における交互のモチーフは、二重鎖領域内の鎖の5’から3’へと「BABABA」から開始される。別の例として、センス鎖における交互のモチーフは、鎖の5’から3’へと「AABBAABB」から開始してもよく、アンチセンス鎖における交互のモチーフは、二重鎖領域内の鎖の5’から3’へと「BBAABBAA」から開始してもよく、それにより、センス鎖とアンチセンス鎖との間の修飾パターンの完全なまたは部分的なシフトが存在する。
一実施形態では、RNAi薬剤は、センス鎖における2’-O-メチル修飾および2’-F修飾の交互のモチーフのパターンを含み、最初にアンチセンス鎖における2’-O-メチル修飾および2’-F修飾の交互のモチーフのパターンに対するシフトを有し、すなわちセンス鎖における2’-O-メチル修飾ヌクレオチドが、アンチセンス鎖における2’-F修飾ヌクレオチドと塩基対を形成し、その逆も同様である。センス鎖の1位は、2’-F修飾から開始してもよく、アンチセンス鎖の1位は、2’-O-メチル修飾から開始してもよい。
センス鎖および/またはアンチセンス鎖への、3つの連続的なヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つまたはそれ以上のモチーフの導入は、センス鎖および/またはアンチセンス鎖中に存在する最初の修飾パターンを中断する。センス鎖および/またはアンチセンス鎖に3つの連続的なヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つまたはそれ以上のモチーフを導入することによる、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の修飾パターンのこの中断は、標的遺伝子に対する遺伝子サイレンシング活性を意外にも高める。
一実施形態では、3つの連続的なヌクレオチド上の3つの同一の修飾のモチーフが、鎖のいずれかに導入される場合、モチーフに隣接するヌクレオチドの修飾は、モチーフの修飾と異なる修飾である。例えば、モチーフを含有する配列の一部は、「・・・NYYYN・・・」であり、ここで、「Y」は3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの同一の修飾のモチーフの修飾を表し、「N」および「N」はYの修飾と異なるモチーフ「YYY」に隣接するヌクレオチドの修飾を表し、NおよびNは同じかまたは異なる修飾であり得る。あるいは、Nおよび/またはNは、ウイング修飾が存在する場合、存在していてもまたは存在していなくてもよい。
RNAi薬剤は、少なくとも1つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間連結をさらに含み得る。ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間連結の修飾は、鎖のいずれかの位置のセンス鎖またはアンチセンス鎖または両方の鎖の任意のヌクレオチドに存在し得る。例えば、ヌクレオチド間連結の修飾は、センス鎖および/もしくはアンチセンス鎖におけるすべてのヌクレオチドに存在してもよく;各ヌクレオチド間連結の修飾は、センス鎖および/もしくはアンチセンス鎖において交互のパターンで存在してもよく;またはセンス鎖もしくはアンチセンス鎖は、交互のパターンで両方のヌクレオチド間連結の修飾を含有し得る。センス鎖におけるヌクレオチド間連結の修飾の交互のパターンは、アンチセンス鎖と同じかまたは異なっていてもよく、センス鎖におけるヌクレオチド間連結の修飾の交互のパターンは、アンチセンス鎖におけるヌクレオチド間連結の修飾の交互のパターンに対するシフトを有し得る。
一実施形態では、RNAiは、オーバーハング領域にホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間連結の修飾を含む。例えば、オーバーハング領域は、2つの
ヌクレオチド間にホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間連結を有する2つのヌクレオチドを含有し得る。ヌクレオチド間連結の修飾はまた、オーバーハングヌクレオチドを、二重鎖領域内の末端の対合ヌクレオチドと結合するために形成される。例えば、少なくとも2、3、4、またはすべてのオーバーハングヌクレオチドが、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間連結によって連結し、場合により、オーバーハングヌクレオチドをオーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドと連結するさらなるホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間連結が存在し得る。例えば、末端の3つのヌクレオチド間に少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結が存在してもよく、3つのヌクレオチドのうちの2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。これらの末端の3つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’末端、センス鎖の3’末端、アンチセンス鎖の5’末端、および/またはアンチセンス鎖の5’末端に存在し得る。
一実施形態では、2つのヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にあり、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結が存在し、3つのヌクレオチドのうちの2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。場合により、RNAi薬剤は、センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の5’末端の両方において、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結をさらに有し得る。
一実施形態では、RNAi薬剤は標的とのミスマッチ、二重鎖内のミスマッチ、またはそれらの組み合わせを含む。「ミスマッチ」は、非正準塩基対合またはヌクレオチドの正準対合以外であり得る。ミスマッチはオーバーハング領域または二重鎖領域で生じ得る。塩基対は、解離または融解(例えば、特定の対合の結合または解離の自由エネルギーに対してであり、最も簡単な手法は、個々の対毎に対を調べることであるが、類似のまたは同様の分析も使用される)を促進する傾向に基づいて評価される。解離の促進に関して:A:UがG:Cより好ましく;G:UがG:Cより好ましく;I:CがG:Cより好ましい(I=イノシン)。ミスマッチ、例えば非正準または正準以外の対合(本明細書の他の箇所に記載される)が、正準な(A:T、A:U、G:C)対合より好ましく;ユニバーサル塩基を含む対合が正準な対合より好ましい。「ユニバーサル塩基」は、近傍の塩基対相互作用を著しく不安定化することなく、または修飾オリゴヌクレオチドの期待される機能的な生物化学的利用能を壊すことなく、4つの正常な塩基(G、C、A、およびU)のいずれかを置換する能力を示す塩基である。ユニバーサル塩基の非限定的な例としては、2’-デオキシイノシン(ヒポキサンチンデオキシヌクレオチド)またはその誘導体、ニトロアゾール類似体、および疎水性芳香族非水素結合塩基が挙げられる。
一実施形態では、RNAi薬剤は、A:U、G:U、I:Cの群から独立して選択されるアンチセンス鎖の5’末端からの二重鎖領域内の最初の1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの塩基対のうちの少なくとも1つ、および二重鎖の5’末端におけるアンチセンス鎖の解離を促進するためのミスマッチ対、例えば、非正準もしくは正準以外の対合またはユニバーサル塩基を含む対合を含む。
一実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端からの二重鎖領域内の1位におけるヌクレオチドは、A、dA、dU、UおよびdTからなる群から選択される。あるいは、アンチセンス鎖の5’末端からの二重鎖領域内の最初の1、2、または3塩基対のうちの少なくとも1つは、AU塩基対である。例えば、アンチセンス鎖の5’末端からの二重鎖領域内の第1の塩基対は、AU塩基対である。
別の実施形態では、センス鎖の3’末端のヌクレオチドは、デオキシチミン(dT)である。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドは、デオキシチミン(dT)である。一実施形態では、デオキシチミンヌクレオチド、例えばセンス鎖および/またはアンチセンス鎖の3’末端における2つのdTヌクレオチドの短い配列がある。
一実施形態では、センス鎖配列は、式(I):
5’ n-N-(XXX)-N-YYY-N-(ZZZ)-N-n 3’ (I)
(式中:
iおよびjが、それぞれ独立して0または1であり;
pおよびqが、それぞれ独立して0~6であり;
各Nが、独立して0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含み;
各Nが、独立して0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;各nおよびnが、独立してオーバーハングヌクレオチドを表し;
ここで、NbおよびYが、同じ修飾を有さず;
XXX、YYYおよびZZZが、それぞれ独立して3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す)
によって表される。好ましくは、YYYが、すべて2’-F修飾ヌクレオチドである。
一実施形態では、Nおよび/またはNは、交互のパターンの修飾を含む。
一実施形態では、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位またはその近くに存在する。例えば、RNAi薬剤が、17~23ヌクレオチド長の二重鎖領域を有する場合、YYYモチーフは、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;または場合により、5’末端から二重鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、センス鎖の切断部位またはその付近に存在し得る(例えば:6位、7位、8位、7位、8位、9位、8位、9位、10位、9位、10位、11位、10位、11位、12位、または11位、12位、13位に存在し得る)。
一実施形態では、iが1であり、Jが0であり、またはiが0であり、jが1であり、またはiおよびjの両方が1である。したがって、センス鎖は以下の式:
5’ n-N-YYY-N-ZZZ-N-n 3’ (1b);
5’ n-N-XXX-N-YYY-N-n 3’ (Ic);または
5’ n-N-XXX-N-YYY-N-ZZZ-N-n 3’ (Id)によって表される。
センス鎖が、式(Ib)によって表される場合、Nは、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは、独立して2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
センス鎖が、式(Ic)として表される場合、Nは、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは、独立して、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
センス鎖が、式(Id)として表される場合、各Nは、独立して0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nは、0、1、2、3、4、5、または6である。各Nは、独立
して2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
X、Y、およびZのそれぞれが、互いに同じかまたは異なり得る。
他の実施形態では、iが0であり、jが0であり、センス鎖は式:
5’ n-N-YYY-N-n 3’ (Ia)
によって表される。
センス鎖が、式(Ia)によって表される場合、各Nは、独立して2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
一実施形態では、RNAiのアンチセンス鎖配列は、式(II):
5’ nq’-N’-(Z’Z’Z’)-N’-Y’Y’Y’-N’-(X’X’X’)-N’-n’ 3’ (II)
(式中:
kおよびlが、それぞれ独立して0または1であり;
p’およびq’が、それぞれ独立して0~6であり;
各N’が、独立して0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が少なくとも2つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含み;
各N’が、独立して0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各n’およびn’が、独立してオーバーハングヌクレオチドを表し;
ここで、N’およびY’が同じ修飾を有さず;
X’X’X’、Y’Y’Y’、およびZ’Z’Z’が、それぞれ独立して3つの連続的なヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す)
によって表される。
一実施形態では、N’および/またはN’は、交互のパターンの修飾を含む。
Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の切断部位またはその近くに存在する。例えば、RNAi薬剤が、17~23ヌクレオチド長の二重鎖領域を有する場合、Y’Y’Y’モチーフは、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;または場合により、5’末端から二重鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、アンチセンス鎖の9位、10位、11位;10位、11位、12位;11位、12位、13位;12位、13位、14位;または13位、14位、15位に存在し得る。好ましくは、Y’Y’Y’モチーフは、11位、12位、13位に存在する。
一実施形態では、Y’Y’Y’モチーフはすべて2’-OMe修飾ヌクレオチドである。
一実施形態では、kが1であり、lが0であり、またはkが0であり、lが1であり、またはkおよびlの両方が1である。
したがって、アンチセンス鎖は、以下の式:
5’ nq’-N’-Z’Z’Z’-N’-Y’Y’Y’-N’-np’ 3’ (IIb);
5’ nq’-N’-Y’Y’Y’-N’-X’X’X’-np’ 3’ (IIc);または
5’ nq’-N’-Z’Z’Z’-N’-Y’Y’Y’-N’-X’X’X’-
’-np’ 3’ (IId)
によって表される。
アンチセンス鎖が、式(IIb)によって表される場合、N’は、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は、独立して2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
アンチセンス鎖が、式(IIc)として表される場合、N’は、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は、独立して2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
アンチセンス鎖が、式(IId)として表される場合、各N’は、独立して0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は、独立して2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nは0、1、2、3、4、5、または6である。
他の実施形態では、kが0であり、lが0であり、アンチセンス鎖は式:
5’ np’-Na-Y’Y’Y’-Na-nq 3’ (IIa)
によって表される。
アンチセンス鎖が、式(IIa)として表される場合、各N’は、独立して2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
X’、Y’、およびZ’のそれぞれが、互いに同じかまたは異なり得る。
センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立してLNA、HNA、CeNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-ヒドロキシル、または2’-フルオロで修飾される。例えば、センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立して2’-O-メチルまたは2’-フルオロで修飾される。各X、Y、Z、X’、Y’およびZ’は、特に、2’-O-メチル修飾または2’-フルオロ修飾を表し得る。
一実施形態では、RNAi薬剤のセンス鎖は、二重鎖領域が21ヌクレオチドである場合、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;または場合により、5’末端から、二重鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、鎖の9位、10位、および11位に存在するYYYモチーフを含有してもよく;Yは、2’-F修飾を表す。センス鎖は、二重鎖領域の反対側の端にウイング修飾としてXXXモチーフまたはZZZモチーフをさらに含有してもよく;XXXおよびZZZは、それぞれ独立して2’-OMe修飾または2’-F修飾を表す。
一実施形態では、アンチセンス鎖は、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;または場合により、5’末端から、二重鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、鎖の11位、12位、13位に存在するY’Y’Y’モチーフを含有してもよく;Y’は、2’-O-メチル修飾を表す。アンチセンス鎖は、二重鎖領域の反対側の端にウイング修飾としてX’X’X’モチーフまたはZ’Z’Z’モチーフをさらに含有してもよく;X’X’X’およびZ’Z’Z’は、それぞれ独立して2’-OMe修飾または2’-F修飾を表す。
上記の式(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)のいずれか1つよって表されるセンス鎖は、それぞれ式(IIa)、(IIb)、(IIc)、および(IId)のいずれか1つによって表されるアンチセンス鎖と二重鎖を形成する。
したがって、本発明の方法における使用のためのRNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含んでいてもよく、各鎖は、14~30のヌクレオチドを有し、RNAi二重鎖は式(III):
センス:5’ n-N-(XXX)-N-YYY-N-(ZZZ)-N-n 3’
アンチセンス:3’ n’-N’-(X’X’X’)-N’-Y’Y’Y’-N’-(Z’Z’Z’)-N’-n’ 5’
(III)
(式中:
i、j、k、およびlが、それぞれ独立して0または1であり;
p、p’、q、およびq’が、それぞれ独立して0~6であり;
各NおよびN’が、独立して0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含み;各NおよびN’が、独立して0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
ここで、
それぞれ存在していてもまたは存在していなくてもよい各n’、n、n’、およびnが、独立してオーバーハングヌクレオチドを表し;
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、およびZ’Z’Z’が、それぞれ独立して3つの連続的なヌクレオチド上に3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す)によって表される。
一実施形態では、iが0であり、jが0であり;またはiが1であり、jが0であり;またはiが0であり、jが1であり;またはiおよびjの両方が0であり;またはiおよびjの両方が1である。別の実施形態では、kが0であり、lが0であり;またはkが1であり、lが0であり;kが0であり、lが1であり;またはkおよびlの両方が0であり;またはkおよびlの両方が1である。
RNAi二重鎖を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖の例示的な組み合わせは、以下の式:
5’ n-N-YYY-N-n 3’
3’ n’-N’-Y’Y’Y’-N’n’ 5’
(IIIa)
5’ n-N-YYY-N-ZZZ-N-n 3’
3’ n’-N’-Y’Y’Y’-N’-Z’Z’Z’-N’n’ 5’
(IIIb)
5’ n-N-XXX-N-YYY-N-n 3’
3’ n’-N’-X’X’X’-N’-Y’Y’Y’-N’-n’ 5’
(IIIc)
5’ n-N-XXX-N-YYY-N-ZZZ-N-n 3’
3’ n’-N’-X’X’X’-N’-Y’Y’Y’-N’-Z’Z’Z’-N-n’ 5’
(IIId)
5’ -N -YYY-N- 3’
3’ n’-N’-Y’Y’Y’-N’ 5’
(IIIe)
を含む。
RNAi薬剤が、式(IIIa)によって表される場合、各Nは、独立して2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi薬剤が、式(IIIb)によって表される場合、各Nは、独立して1~10、1~7、1~5、または1~4の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは、独立して2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi薬剤が、式(IIIc)として表される場合、各N、N’は、独立して0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは、独立して2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi薬剤が、式(IIId)として表される場合、各N、N’は、独立して0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N、N’は、独立して2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。N、N’、N、およびN’のそれぞれは、独立して交互のパターンの修飾を含む。
RNAi薬剤が、式(IIId)として表される場合、各N、N’は、独立して0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N、N’は、独立して2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。N、N’、N、およびN’のそれぞれは、独立して交互のパターンの修飾を含む。
RNAi薬剤が、式(IIIe)として表される場合、各NおよびN’は、独立して0~25のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、それらは、修飾もしくは非修飾またはそれらの組み合わせであり、各配列は少なくとも2つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含む。
式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、および(IIIe)中のX、Y、およびZのそれぞれは、互いに同じかまたは異なり得る。
RNAi薬剤が、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、および(IIIe)によって表される場合、Yヌクレオチドの少なくとも1つが、Y’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、Yヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成し;またはYヌクレオチドのすべての3つがすべて、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
RNAi薬剤が、式(IIIb)または(IIId)によって表される場合、Zヌクレオチドの少なくとも1つが、Z’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、Zヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成し;またはZヌクレオチドのすべての3つがすべて、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
RNAi薬剤が、式(IIIc)または(IIId)として表される場合、Xヌクレオチドの少なくとも1つが、X’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、X
ヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成し;またはXヌクレオチドのすべての3つがすべて、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
一実施形態では、Yヌクレオチド上の修飾は、Y’ヌクレオチド上の修飾と異なり、Zヌクレオチド上の修飾は、Z’ヌクレオチド上の修飾と異なり、および/またはXヌクレオチド上の修飾は、X’ヌクレオチド上の修飾と異なる。
一実施形態では、RNAi薬剤が式(IIId)によって表される場合、N修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾である。別の実施形態では、RNAi薬剤が式(IIId)によって表される場合、N修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、n’>0であり、少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドと連結している。さらに別の実施形態では、RNAi薬剤が、式(IIId)によって表される場合、N修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、n’>0であり、少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結し、センス鎖は、一価、二価、または三価の分枝リンカーを介して結合した1つまたはそれ以上のGalNAc誘導体にコンジュゲートしている。別の実施形態では、RNAi薬剤が式(IIId)によって表される場合、N修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、n’>0であり、少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドと連結し、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含み、センス鎖は一価、二価、または三価の分枝リンカーを介して結合した1つまたはそれ以上のGalNAc誘導体にコンジュゲートしている。
一実施形態では、RNAi薬剤が式(IIIa)によって表される場合、N修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、n’>0であり、少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドと連結し、センス鎖は少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含み、センス鎖は一価、二価、または三価の分枝リンカーを介して結合した1つまたはそれ以上のGalNAc誘導体にコンジュゲートしている。
一実施形態では、RNAi薬剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、および(IIIe)によって表される少なくとも2つの二重鎖を含有する多量体であり、この二重鎖はリンカーによって結合される。リンカーは、切断可能または切断不可能であり得る。場合により、多量体はリガンドをさらに含む。二重鎖のそれぞれは、同じ遺伝子もしくは2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;または二重鎖のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
一実施形態では、RNAi薬剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、および(IIIe)によって表される3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の二重鎖を含有する多量体であり、この二重鎖はリンカーによって結合される。リンカーは、切断可能または切断不可能であり得る。場合により、多量体はリガンドをさらに含む。二重鎖のそれぞれは、同じ遺伝子もしくは2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;または二重鎖のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
一実施形態では、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、および(IIIe)によって表される2つのRNAi薬剤は、5’末端および3’末端の一方または両方で互いに連結し、場合により、リガンドにコンジュゲートしてい
る。薬剤のそれぞれは、同じ遺伝子もしくは2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;または薬剤のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
様々な刊行物に、本発明の方法に使用される多量体RNAi薬剤が記載されている。このような刊行物は、国際公開第2007/091269号パンフレット、米国特許第7858769号、国際公開第2010/141511号パンフレット、国際公開第2007/117686号パンフレット、国際公開第2009/014887号パンフレットおよび国際公開第2011/031520号パンフレットを含み、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
RNAi薬剤に対する1つまたはそれ以上の炭水化物部分のコンジュゲーションを含有するRNAi薬剤は、RNAi薬剤の1つまたはそれ以上の特性を最適化することができる。多くの場合、炭水化物部分は、RNAi薬剤の修飾サブユニットに結合される。例えば、dsRNA薬剤の1つまたはそれ以上のリボヌクレオチドサブユニットのリボース糖は、別の部分、例えば炭水化物リガンドが結合される非炭水化物(好ましくは環状の)担体で置換される。サブユニットのリボース糖がこのように置換されたリボヌクレオチドサブユニットは、本明細書において、リボース置換修飾サブユニット(RRMS)と呼ばれる。環状担体は、炭素環系であってもよく、すなわちすべての環原子が炭素原子であり、または複素環系、すなわち1つもしくはそれ以上の環原子が、ヘテロ原子、例えば窒素、酸素、硫黄であり得る。環状担体は、単環系であってもよく、または2つ以上の環、例えば縮合環を含有し得る。環状担体は、完全に飽和した環系であってもよく、または1つもしくはそれ以上の二重結合を含有し得る。
リガンドは、担体を介してポリヌクレオチドとコンジュゲートしている。担体は、(i)少なくとも1つの「骨格結合点」、好ましくは2つの「骨格結合点」および(ii)少なくとも1つの「テザリング結合点(tethering attachment point)」を含む。本明細書において使用される「骨格結合点」は、官能基、例えばヒドロキシル基、または一般に骨格、例えばリン酸塩もしくは修飾リン酸塩、例えば硫黄を含有する、リボ核酸の骨格中への担体の組み込みに利用可能であり、それに適した結合を指す。いくつかの実施形態では、「テザリング結合点」(TAP)は、選択された部分を接続する環状担体の構成環原子、例えば炭素原子またはヘテロ原子(骨格結合点を提供する原子と異なる)を指す。この部分は、例えば炭水化物、例えば単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖および多糖であり得る。場合により、選択された部分は、介在するテザーによって環状担体に接続される。したがって、環状担体は、多くの場合官能基、例えばアミノ基を含み、または一般に、構成環への別の化学成分、例えばリガンドの組み込みもしくはテザリングに適した結合を提供する。
RNAi薬剤は、担体を介してリガンドとコンジュゲートしてもよく、この担体は、環式基または非環式基であり得;好ましくは、環式基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピぺラジニル、[1,3]ジオキソラン、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル(pyridazinonyl)、テ
トラヒドロフリルおよびデカリンから選択され;好ましくは、非環式基は、セリノール骨格またはジエタノールアミン骨格から選択される。
ある特定の実施形態では、本発明の方法における使用のためのRNAi薬剤は、AT3SC-001(AD-57213-センス鎖:5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)およびアンチセンス鎖:5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg
-3’(配列番号14)、ここでa、c、g、およびuは2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、GfまたはUfは2’-フルオロA、C、GまたはUであり;sはホスホロチオエート連結である)である。
これらの薬剤は、リガンドをさらに含み得る。
リガンド
本発明の二本鎖RNA(dsRNA)薬剤は、場合により1つまたはそれ以上のリガンドとコンジュゲートしている。リガンドは、3’末端、5’末端、または両端において、センス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖と結合している。例えば、リガンドはセンス鎖にコンジュゲートしている。好ましい実施形態では、リガンドはセンス鎖の3’末端とコンジュゲートしている。
一実施形態では、リガンドは、単糖のような炭水化物コンジュゲートである。一実施形態では、リガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)またはGalNAc誘導体である。本発明の特定の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、本発明のiRNA薬剤に一価のリンカーを介して結合する。いくつかの実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、本発明のiRNA薬剤に二価のリンカーを介して結合する。本発明のさらに他の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、本発明のiRNA薬剤に三価のリンカーを介して結合する。
一実施形態では、本発明の組成物および方法における使用のための炭水化物コンジュゲートは、
Figure 2023123756000010
Figure 2023123756000011
Figure 2023123756000012
Figure 2023123756000013
Figure 2023123756000014
からなる群から選択される。
一実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体はGalNAc
Figure 2023123756000015
である。
いくつかの実施形態では、リガンド、例えばGalNAcリガンドは、RNAi薬剤の3’末端に結合する。一実施形態では、RNAi薬剤は以下の図式
Figure 2023123756000016
(式中、XはOまたはSである)
に示すように、リガンド、例えばGalNAcリガンドとコンジュゲートしている。一実施形態では、XはOである。
様々な物質が本発明のRNAi薬剤に結合し得る。好ましい成分は、介在するテザーを介して直接または間接のいずれかで、好ましくは共有結合により結合するリガンドである。
好ましい実施形態では、リガンドは、このリガンドが組み込まれる分子の分布、標的化、または寿命を変更する。好ましい実施形態では、リガンドは、例えば、このようなリガンドのない種と比較して、選択された標的、例えば分子、細胞もしくは細胞型、区画、受容体、例えば細胞もしくは器官の区画、身体の組織、器官または領域に対する向上した親和性を提供する。選択された標的に対する向上した親和性を提供するリガンドは、標的化リガンドとも呼ばれる。
いくつかのリガンドは、エンドソーム溶解特性を有し得る。エンドソーム溶解リガンドは、エンドソームの溶解および/または本発明の組成物、もしくはその成分の、エンドソームから細胞の細胞質への輸送を促進する。エンドソーム溶解リガンドは、pH依存的膜活性および膜融合性を示すポリアニオン性ペプチドまたはペプチド模倣体であり得る。一実施形態では、エンドソーム溶解リガンドは、エンドソームのpHでのその活性型立体配座をとると推定される。「活性型」立体配座は、エンドソーム溶解リガンドがエンドソームの溶解および/または本発明の組成物、もしくはその成分の、エンドソームから細胞の細胞質への輸送を促進する立体配座である。例示的なエンドソーム溶解リガンドとしては、GALAペプチド(Subbaraoら、Biochemistry、1987、26:2964~2972頁)、EALAペプチド(Vogelら、J.Am.Chem.Soc.、1996、118:1581~1586頁)、およびそれらの誘導体(Turk
et al.、Biochem.Biophys.Acta、2002、1559:56~68頁)が挙げられる。一実施形態では、エンドソーム溶解成分は、pHの変化に応じて電荷またはプロトン化の変化を起こす化学基(例えば、アミノ酸)を含有し得る。エンドソーム溶解成分は直鎖状または分枝鎖状であり得る。
リガンドは、輸送、ハイブリダイゼーション、および特異性の特性を向上することができ、結果として得られる天然もしくは修飾オリゴリボヌクレオチド、または本明細書に記載するモノマーおよび/もしくは天然もしくは修飾リボヌクレオチドの任意の組み合わせを含むポリマー分子のヌクレアーゼ耐性も向上し得る。
リガンドは一般に、例えば、取り込みを増強するための治療用修飾因子;例えば、分布をモニターするための診断化合物またはレポーター基;架橋剤;およびヌクレアーゼ耐性を付与する部分を含み得る。一般的な例としては、脂質、ステロイド、ビタミン、糖、タンパク質、ペプチド、ポリアミン、およびペプチド模倣体が挙げられる。
リガンドは、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、またはグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、またはヒアルロン酸);または脂質のような天然の物質を含み得る。リガンドはまた、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸、オリゴヌクレオチド(例えば、アプタマー)のような組換えまたは合成分子であり得る。ポリアミノ酸の例としては、ポリアミノ酸は、ポリリジン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸、スチレン-マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマー、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸)、N-イソプロピルアクリルアミドポリマー、またはポリホスファジンである。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリジン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、疑似ペプチド-ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩、またはα-ヘリックスペプチドが挙げられる。
リガンドはまた、標的基、例えば細胞または組織標的剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質、またはタンパク質、例えば腎細胞のような特定の細胞型に結合する抗体を含み得る。標的基は、サイロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、界面活性剤タンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン、多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタメート、ポリアスパルテート、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、フォレート、ビタミンB12、ビオチン、RGDペプチド、RGDペプチド模倣体またはアプタマーであり得る。
リガンドの他の例としては、色素、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、ソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ、またはキレート剤(例えば、EDTA)、親油性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシへキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチドコンジュゲート(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、リン酸、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾース、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾールコンジュゲート、Eu3+テトラアザ大員環複合体)、ジニトロフェニル、HRP、またはAPが挙げられる。
リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質、またはペプチド、例えば、コリガン
ド、または抗体、例えば、がん細胞、内皮細胞、もしくは骨細胞のような特定の細胞型に結合する抗体に対する特異親和性を有する分子であり得る。リガンドはまた、ホルモンおよびホルモン受容体を含んでもよい。リガンドはまた、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン、多価マンノース、多価フコース、またはアプタマーのような非ペプチド種を含み得る。リガンドは、例えば、リポ多糖、p38MAPキナーゼの活性化因子、またはNF-κBの活性化因子であり得る。
リガンドは、例えば、細胞の微小管、マイクロフィラメント、および/または中間径フィラメントを破壊することによって、例えば、細胞骨格を破壊することによって、細胞中へのiRNA薬剤の取り込みを向上させ得る物質、例えば薬物であり得る。薬物は、例えば、タクソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャスプラキノリド、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、またはミオセルビンであり得る。
リガンドは、例えば、炎症反応を活性化することによって、オリゴヌクレオチドの細胞への取り込みを増加させることができる。このような効果を有し得る例示的なリガンドとしては、腫瘍壊死因子アルファ(TNFアルファ)、インターロイキン-1ベータ、またはガンマインターフェロンが挙げられる。
一態様では、リガンドは、脂質または脂質ベースの分子である。このような脂質または脂質ベースの分子は、好ましくは血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合する。HSA結合リガンドは、コンジュゲートが、標的組織、例えば、身体の非腎臓標的組織に分布するのを可能にする。例えば、標的組織は、肝臓の実質細胞を含む肝臓であってもよい。HSAに結合し得る他の分子もリガンドとして使用できる。例えば、ナプロキセンまたはアスピリンを使用できる。脂質または脂質ベースのリガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する耐性を増大させ、(b)標的細胞もしくは細胞膜への標的化もしくは輸送を増大させ、および/または(c)血清タンパク質、例えば、HSAに対する結合を調節するために使用できる。
脂質ベースのリガンドは、標的組織に対するコンジュゲートの結合を調節、例えば、制御するために使用できる。例えば、HSAにより強く結合する脂質または脂質ベースのリガンドは、腎臓を標的とする可能性が低く、したがって、体内から除去される可能性が低い。HSAにそれほど強く結合しない脂質または脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートが腎臓を標的にするように使用できる。
好ましい実施形態では、脂質ベースのリガンドはHSAに結合する。好ましくは、脂質ベースのリガンドは、このコンジュゲートが好ましくは非腎臓組織に分散するように十分な親和性でHSAに結合する。しかしながら、この親和性は、HSA-リガンド結合が反転されないような強くない親和性であることが好ましい。
別の好ましい実施形態では、脂質ベースのリガンドは、HSAに弱く結合するか、または全く結合しないため、このコンジュゲートは、好ましくは腎臓に分散される。腎臓細胞を標的とする他の部分も、脂質ベースのリガンドの代わりに、またはこれに加えて使用することができる。
別の態様では、リガンドは、標的細胞、例えば増殖細胞によって取り込まれる部分、例えば、ビタミンである。これらは、例えば悪性型または非悪性型の、例えば、がん細胞の望ましくない細胞増殖を特徴とする障害を処置するのに特に有用である。例示的なビタミンとしては、ビタミンA、E、およびKが挙げられる。他の例示的なビタミンとしては、
ビタミンB、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサール、またはがん細胞によって取り込まれる他のビタミンもしくは栄養素が挙げられる。また、HAS、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)も含む。
別の態様では、リガンドは、細胞透過剤、好ましくはヘリックス型の細胞透過剤である。好ましくは、薬剤は両親媒性である。例示的な薬剤は、tatまたはアンテナペディアのようなペプチドである。薬剤がペプチドである場合、ペプチジル模倣体、反転異性体、非ペプチドまたは偽ペプチド連結、およびD-アミノ酸の使用を含む修飾を施すことができる。好ましくは、このヘリックス型の薬剤は、好ましくは親油性相および疎油性相を有するアルファヘリックス型の薬剤である。
リガンドは、ペプチドまたはペプチド模倣体であり得る。ペプチド模倣体(本明細書ではオリゴペプチド模倣体とも呼ばれる)は、天然ペプチドと同様の定められた3次元構造に折りたたむことができる分子である。ペプチド部分またはペプチド模倣体部分は、約5~50のアミノ酸長、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50のアミノ酸長であり得る。ペプチドまたはペプチド模倣体は、例えば細胞透過ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、または疎水性ペプチド(例えば、主にTyr、Trp、もしくはPheから構成される)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、拘束ペプチド、または架橋ペプチドであり得る。別の代替では、ペプチド部分は、疎水性の膜輸送配列(MTS)を含み得る。例示的な疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号9)を有するRFGFである。疎水性MTSを含有するRFGF類似体(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号10))も標的化部分であり得る。ペプチド部分は、「送達」ペプチドであってもよく、この送達ペプチドは、ペプチド、オリゴヌクレオチド、およびタンパク質を含む大きな極性分子を、細胞膜を通過して運搬することができる。例えば、HIV Tatタンパク質由来の配列(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号11))およびショウジョウバエアンテナペディアタンパク質由来の配列(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号12))は、送達ペプチドとして機能できることが見出されている。ファージディスプレイライブラリー、または1ビーズ1化合物(OBOC)コンビナトリアルライブラリーから同定されたペプチドのようなペプチドまたはペプチド模倣体は、DNAのランダム配列によってコードされる(Lamら、Nature、354:82~84頁、1991)。好ましくは、組み込まれたモノマー単位を介してiRNA薬剤に連結されたペプチドまたはペプチド模倣体は、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)-ペプチドまたはRGD模倣体のような細胞標的化ペプチドである。ペプチド部分は、約5アミノ酸長~約40アミノ酸長の範囲であり得る。ペプチド部分は、安定性または直接的な立体配座特性を高めるためのような、構造修飾を有し得る。下記の構造修飾のいずれも利用できる。RGDペプチド部分は、内皮腫瘍細胞または乳がん腫瘍細胞のような腫瘍細胞を標的とするために使用できる(Zitzmannら、Cancer Res.、62:5139~43頁、2002)。RGDペプチドは、肺、腎臓、脾臓、または肝臓を含む種々の他の組織の腫瘍に対するiRNA薬剤の標的化を促進することができる(Aokiら、Cancer Gene Therapy 8:783~787、2001)。好ましくは、RGDペプチドは、腎臓に対するiRNA薬剤の標的化を促進する。RGDペプチドは、直鎖状または環状であってよく、特定の組織に対する標的化を促進するために修飾、例えばグリコシル化またはメチル化される。例えば、グリコシル化RGDペプチドは、αβを発現する腫瘍細胞にiRNA薬剤を送達できる(Haubnerら、Jour.Nucl.Med.、42:326~336頁、2001)。増殖細胞に豊富なマーカーを標的とするペプチドを使用できる。例えば、RGD含有ペプチドおよびペプチド模倣体は、がん細胞、特に、インテグリンを提示する細胞を標的とすることができる。したがって、RGDペプチド、RGDを含有する環状ペプチド、D-アミノ酸を含むRGDペプチド、ならびに合成RGD模倣体を使用できる。RGDに加えて、インテグ
リンリガンドを標的とする他の部分を使用できる。一般に、このようなリガンドは、増殖細胞および血管新生を制御するために使用できる。この種のリガンドの好ましいコンジュゲートは、PECAM-1、VEGF、または他のがん遺伝子、例えば、本明細書に記載のがん遺伝子を標的とする。
「細胞透過ペプチド」は、細胞、例えば、細菌細胞もしくは真菌細胞のような微生物細胞、またはヒト細胞のような哺乳動物細胞を透過できる。微生物細胞を透過するペプチドは、例えば、α-ヘリックス直鎖状ペプチド(例えば、LL-37もしくはセロピンP1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α-ディフェンシン、β-ディフェンシン、もしくはバクテネシン)、または1種もしくは2種の優勢なアミノ酸のみを含有するペプチド(例えば、PR-39もしくはインドリシジン)であってもよい。細胞透過ペプチドは、核局在化シグナル(NLS)も含み得る。例えば、細胞透過ペプチドは、HIV-1gp41の融合ペプチドドメインおよびSV40ラージT抗原のNLSに由来するMPGのような、二部両親媒性ペプチドであり得る(Simeoniら、Nucl.AcidsRes.31:2717~2724頁、2003)。
一実施形態では、標的化ペプチドは、両親媒性α-ヘリックスペプチドであり得る。例示的な両親媒性α-ヘリックスペプチドとしては、限定はされないが、セクロピン、リコトキシン、パラダキシン、ブフォリン、CPF、ボンビニン-様ペプチド(BLP)、カテリシジン、セラトトキシン、エボヤ(S.clava)ペプチド、メクラウナギ腸抗菌ペプチド(HFIAP)、マガイニン、ブレビニン-2、デルマセプチン、メリチン、プレウロシジン、HAペプチド、アフリカツメガエル(Xenopus)ペプチド、エスクレンチニス-1、およびカエリンを含む。好ましくは、多数の因子が、ヘリックス安定性の完全性を維持するとみなされる。例えば、最大数のヘリックス安定化残基(例えば、leu、ala、またはlys)を利用し、最少のヘリックス不安定化残基(例えば、プロリン、または環状モノマー単位)を利用する。キャッピング残基も考慮される(例えば、Glyは、例示的なN-キャッピング残基であり、および/またはC末端アミド化は、追加的な水素結合を提供してヘリックスを安定するために使用できる。i±3位、またはi±4位離れた、反対の電荷を有する残基間の塩架橋の形成によって安定化することができる。リジン、アルギニン、ホモ-アルギニン、オルニチン、またはヒスチジンのようなカチオン性残基は、アニオン性残基であるグルタミン酸またはアスパラギン酸と塩架橋を形成し得る。
ペプチドおよびペプチド模倣体リガンドとしては、天然または修飾ペプチド、例えば、DもしくはLペプチド;α、β、もしくはγペプチド;N-メチルペプチド;アザペプチド;1つもしくはそれ以上の尿素、チオ尿素、カルバミン酸、もしくはスルホニル尿素連結で置換された1つもしくはそれ以上のアミド結合、すなわちペプチド連結を有するペプチド;または環状ペプチドを有するものを含む。
標的化リガンドは、特定の受容体を標的化することができる任意のリガンドであり得る。例としては:葉酸塩、GalNAc、ガラクトース、マンノース、マンノース-6P、GalNAcクラスター、マンノースクラスター、ガラクトースクラスターのような糖クラスター、またはアプタマーを含む。クラスターは、2つ以上の糖単位の組み合わせである。標的化リガンドとしては、インテグリン受容体リガンド、ケモカイン受容体リガンド、トランスフェリン、ビオチン、セロトニン受容体リガンド、PSMA、エンドセリン、GCPII、ソマトスタチン、LDL、およびHDLリガンドも挙げられる。リガンドはまた、核酸、例えば、アプタマーをベースにし得る。アプタマーは、未修飾でもよいし、または本明細書に開示する修飾の任意の組み合わせを有し得る。
エンドソーム放出剤としては、イミダゾール、ポリまたはオリゴイミダゾール、PEI
、ペプチド、融合性ペプチド、ポリカルボキシレート、ポリカチオン、マスクオリゴもしくはポリカチオンもしくはアニオン、アセタール、ポリアセタール、ケタール/ポリケチアル、オルトエステル、マスクもしくは非マスクカチオン、またはアニオン電荷を有するポリマー、マスクもしくは非マスクカチオン、またはアニオン電荷を有するデンドリマーを含む。
PK調節剤とは、薬物動態学的調節剤を意味する。PK調節剤としては、親油性物質、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどが挙げられる。例示的なPK調節剤としては、限定はされないが、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどが挙げられる。多数のホスホロチオエート連結を含むオリゴヌクレオチドも、血清タンパク質に結合することが公知であり、したがって、骨格に多数のホスホロチオエート連結を含む短鎖オリゴヌクレオチド、例えば、約5塩基、10塩基、15塩基、または20塩基のオリゴヌクレオチドも、リガンドとして(例えば、PK調節リガンドとして)本発明に適用可能である。
さらに、血清成分(例えば、血清タンパク質)に結合するアプタマーも、PK調節リガンドとして本発明に適用可能である。
本発明に適用可能な他のリガンドコンジュゲートは、2004年8月10日に出願された米国特許第10/916,185号;2004年9月21日に出願された同第10/946,873号;2007年8月3日に出願された同第10/833,934号;2005年4月27日に出願された同第11/115,989号、および2007年11月21日に出願された同第11/944,227号に記載され、その内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
2つ以上のリガンドが存在する場合、リガンドは、すべて同じ特性を有してもよく、すべてが異なる特性を有してもよく、またはいくつかのリガンドが同じ特性を有する一方、他のリガンドが異なる特性を有してもよい。例えば、リガンドは、標的化特性を有してもよく、エンドソーム溶解活性を有してもよく、またはPK調節特性を有してもよい。好ましい実施形態では、すべてのリガンドが異なる特性を有する。
リガンドは、様々な位置、例えば3’末端、5’末端、および/または内部位置で、オリゴヌクレオチドに結合できる。好ましい実施形態では、リガンドは、介在テザー、例えば、本明細書に記載の担体を介してオリゴヌクレオチドに結合する。モノマーが成長している鎖に組み込まれる場合、リガンドまたはテザーリガンドは、このモノマーに存在し得る。いくつかの実施形態では、リガンドは、「前駆体」モノマーが、成長している鎖に組み込まれた後、この「前駆体」モノマーへの結合によって組み込まれる。例えば、アミノ末端テザー(すなわち、リガンドが結合していない)、例えば、TAP-(CHNHを有するモノマーは、成長しているオリゴヌクレオチド鎖に組み込まれる。続く操作において、すなわち、前駆体モノマーが鎖に組み込まれた後、リガンドの求電子基と前駆体モノマーのテザーの末端求核基との結合によって、求電子基、例えば、ペンタフルオロフェニルエステルまたはアルデヒド基を有するリガンドを、その後、前駆体モノマーに結合させる。
別の例では、クリック化学反応に参加するのに適した化学基を有するモノマーを、例えば、アジドまたはアルキン末端のテザー/リンカーに組み込むことができる。続く操作において、すなわち前駆体モノマーが鎖に組み込まれた後、相補的な化学基、例えば、アルキンまたはアジドを有するリガンドを、アルキンおよびアジドを共に結合することによっ
て前駆体モノマーに結合できる。
二本鎖オリゴヌクレオチドにおいて、リガンドは1つまたは両方の鎖に結合できる。いくつかの実施形態では、二本鎖iRNA薬剤は、センス鎖とコンジュゲートしたリガンドを含有する。他の実施形態では、二本鎖iRNA薬剤は、アンチセンス鎖とコンジュゲートしたリガンドを含有する。
いくつかの実施形態では、リガンドは核酸分子の核酸塩基、糖部分、またはヌクレオシド間連結にコンジュゲートできる。プリン核酸塩基またはその誘導体に対するコンジュゲーションは、環内原子および環外原子を含む任意の位置に生じ得る。いくつかの実施形態では、プリン核酸塩基の2位、6位、7位、または8位が、コンジュゲート部分に結合している。また、ピリミジン核酸塩基またはその誘導体に対するコンジュゲーションは、任意の位置で生じ得る。いくつかの実施形態では、ピリミジン核酸塩基の2位、5位、および6位を、コンジュゲート部分と置換できる。ヌクレオシドの糖部分に対するコンジュゲーションは、任意の炭素原子で生じ得る。コンジュゲート部分に結合できる糖部分の炭素原子の例には、2’、3’、および5’炭素原子を含む。1’位も、脱塩基残基のようなコンジュゲート部分に結合できる。ヌクレオシド間連結も、コンジュゲート部分を保持できる。リン含有連結(例えば、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミデートなど)の場合、コンジュゲート部分は、リン原子に直接結合する、またはリン原子に結合しているO、N、もしくはS原子に結合することができる。アミンまたはアミドを含有するヌクレオシド間連結(例えば、PNA)の場合、コンジュゲート部分は、アミンもしくはアミドの窒素原子に、または隣接する炭素原子に結合できる。
RNA干渉の分野における任意の好適なリガンドを使用するが、リガンドは、典型的には炭水化物、例えば単糖(GalNAcのような)、二糖、三糖、四糖、多糖である。
リガンドを核酸にコンジュゲートするリンカーは、上記で論じたものを含む。例えば、リガンドは、一価、二価、または三価の分枝リンカーを介して結合する1つまたはそれ以上のGalNAc(N-アセチルグルコサミン)誘導体であり得る。
一実施形態では、本発明のdsRNAは、式(IV)~(VII):
Figure 2023123756000017
のいずれかに示される構造を含む二価および三価の分枝リンカーとコンジュゲートし、
式中、
2A、q2B、q3A、q3B、q4A、q4B、q5A、q5B、およびq5Cは、出現する毎に独立して0~20を表し、繰返し単位は同一または異なっていてもよく;
2A、P2B、P3A、P3B、P4A、P4B、P5A、P5B、P5C、T2A、T2B、T3A、T3B、T4A、T4B、T5A、T5B、T5Cがそれぞれ、出現する毎に独立して、存在しないか、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH、CHNHまたはCHOであり;
2A、Q2B、Q3A、Q3B、Q4A、Q4B、Q5A、Q5B、Q5Cが、出現する毎に独立して、存在しないか、アルキレン、置換アルキレンであり、ここで1つまたはそれ以上のメチレンが、O、S、S(O)、SO、N(R)、C(R’)=C(R’’)、C≡CまたはC(O)のうちの1つまたはそれ以上により中断または終端されてもよく;
2A、R2B、R3A、R3B、R4A、R4B、R5A、R5B、R5Cがそれぞれ、出現する毎に独立して、存在しないか、NH、O、S、CH、C(O)O、C(O)NH、NHCH(R)C(O)、-C(O)-CH(R)-NH-、CO、CH=N-O、
Figure 2023123756000018
またはヘテロシクリルであり、
2A、L2B、L3A、L3B、L4A、L4B、L5A、L5B、およびL5Cが、リガンドを表し;すなわち、それぞれ、出現する毎に独立して、単糖(GalNAcのような)、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、または多糖であり;
が、Hまたはアミノ酸側鎖である。
三価コンジュゲートGalNAc誘導体は、式(VII):
Figure 2023123756000019
のもののような、標的遺伝子の発現を阻害するためにRNAi薬剤との使用に特に有用であり、
式中、L5A、L5BおよびL5Cが、GalNAc誘導体のような単糖を表す。GalNAc誘導体とコンジュゲートする好適な二価および三価の分枝リンカー基の例としては、限定はされないが、以下の化合物:
Figure 2023123756000020
Figure 2023123756000021
Figure 2023123756000022
を含む。
RNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第4,828,979号;第4,948,882号;第5,218,105号;第5,525,465号;第5,541,313号;第5,545,730号;第5,552,538号;第5,578,717号、第5,580,731号;第5,591,584号;第5,109,124号;第5,118,802号;第5,138,045号;第5,414,077号;第5,486,603号;第5,512,439号;第5,578,718号;第5,608,046号;第4,587,044号;第4,605,735号;第4,667,025号;第4,762,779号;第4,789,737号;第4,824,941号;第4,835,263号;第4,876,335号;第4,904,582号;第4,958,013号;第5,082,830号;第5,112,963号;第5,214,136号;第5,082,830号;第5,112,963号;第5,214,136号;第5,245,022号;第5,254,469号;第5,258,506号;第5,262,536号;第5,272,250号;第5,292,873号;第5,317,098号;第5,371,241号、第5,391,723号;第5,416,203号、第5,451,463号;第5,510,475号;第5,512,667号;第5,514,785号;第5,565,552号;第5,567,810号;第5,574,142号;第5,585,481号;第5,587,371号;第5,595,726号;第5,597,696号;第5,599,923号;第5,599,928号、および第5,688,941号;第6,294,664号;第6,320,017号;第6,576,752号;第6,783,931号;第6,900,297号;第7,037,646号;第8,106,022号を含み、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
所与の化合物のすべての位置が均一に修飾されている必要はなく、実際には、上記の修飾のうちの1つより多くを、単一の化合物中にまたはさらにはiRNA内の単一のヌクレ
オシドに組み込むことができる。本発明は、キメラ化合物であるiRNA化合物も含む。
本発明に関連して、「キメラ」iRNA化合物または「キメラ」は、少なくとも1つのモノマー単位、すなわち、dsRNA化合物の場合はヌクレオチドからそれぞれ構成される2つ以上の化学的に異なる領域を含有するiRNA化合物、好ましくは、dsRNAである。これらのiRNAは、典型的には少なくとも1つの領域を含有し、ここで、RNAは、ヌクレアーゼ分解に対する耐性の増加、細胞取り込みの増加、および/または標的核酸に対する結合親和性の増加をiRNAに与えるように修飾される。iRNAのさらなる領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断することが可能な酵素のための基質としての役割を果たし得る。例として、RNアーゼHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。したがって、RNアーゼHの活性化は、RNA標的の切断をもたらし、それによって、遺伝子発現のiRNA阻害の効率を大幅に高める。その結果として、キメラdsRNAが使用される場合、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して、より短いiRNAによって同等の結果が得られることが多い。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動によって、および必要に応じて、当技術分野において公知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって、通例検出される。
特定の例では、iRNAのRNAは、非リガンド基によって修飾される。いくつかの非リガンド分子が、iRNAの活性、細胞分布または細胞取り込みを向上させるためにiRNAとコンジュゲートしており、このようなコンジュゲートを行うための手順は、科学文献で入手可能である。このような非リガンド部分は、コレステロール(Kubo,T.ら、Biochem.Biophys.Res.Comm.、2007,365(1):54~61頁;Letsingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1989、86:6553頁)、コール酸(Manoharanら、Bioorg.Med.Chem.Lett.、1994、4:1053頁)、チオエーテル、例えばヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharanら、Ann.N.Y.Acad.Sci.、1992、660:306頁;Manoharanら、Bioorg.Med.Chem.Let.、1993、3:2765頁)、チオコレステロール(Oberhauserら、Nucl.AcidsRes.、1992、20:533頁)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison-Behmoarasら、EMBO J.、1991、10:111頁;Kabanovら、FEBS Lett.、1990、259:327頁;Svinarchukら、Biochimie、1993、75:49頁)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharanら、Tetrahedron Lett.、1995、36:3651頁;Sheaら、Nucl.Acids Res.、1990、18:3777頁)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら、Nucleosides & Nucleotides、1995、14:969頁)、またはアダマンタン酢酸(Manoharanら、Tetrahedron Lett.、1995、36:3651頁)、パルミチル部分(Mishraら、Biochim.Biophys.Acta、1995、1264:229頁)、またはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crookeら、J.Pharmacol.Exp.Ther.、1996、277:923頁)のような脂質部分を含んでいた。このようなRNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許が上に列挙されている。典型的なコンジュゲーションプロトコルは、配列の1つまたはそれ以上の位置にアミノリンカーを有するRNAの合成を含む。次に、適切なカップリング剤または活性化試薬のいずれかを用いて、アミノ基をコンジュゲートされた分子と反応させる。コンジュゲーション反応は固体担体に依然として結合されたRNAを用いて、または溶液相中のRNAの切断の後に行うことができる。HPLCによるRNAコンジュゲート
の精製により、典型的には純粋なコンジュゲートを得る。
いくつかの実施形態では、本発明の二本鎖RNAi薬剤はAT3SC-001(AD-57213)である。
IV.本発明のiRNAの送達
細胞、例えば、ヒト対象(例えば、出血性障害を有する対象のような、それを必要とする対象)のような対象中の細胞への本発明のiRNAの送達は、いくつかの様々な方法で達成できる。例えば、送達は、細胞を、本発明のiRNAとインビトロまたはインビボのいずれかで接触させることによって行われる。インビボ送達はまた、iRNA、例えばdsRNAを含む組成物を対象に投与することによって直接行われる。あるいは、インビボ送達は、iRNAの発現をコードし、導く1つまたはそれ以上のベクターを投与することによって、間接的に行われる。これらの代替例は、以下でさらに論じる。
一般に、核酸分子を(インビトロまたはインビボで)送達する任意の方法は、本発明のiRNAと共に使用するために適合される(例えば、その全体を参照によって本明細書に組み入れる、Akhtar S.and Julian RL.(1992)Trends Cell.Biol.2(5):139~144頁および国際公開第94/02595号パンフレット参照)。インビボ送達の場合、iRNA分子を送達するために考慮する因子としては、例えば、送達される分子の生物学的安定性、非特異的効果の防止、および標的組織における送達される分子の蓄積を含む。iRNAの非特異的効果は、局所投与によって、例えば、組織への直接注入もしくは移植によって、または製剤を局所的に投与することによって、最小限に抑えられる。処置部位への局所投与は、薬剤の局所濃度を最大にし、薬剤によって悪影響を受けるかまたは薬剤を分解し得る、全身組織への薬剤の曝露を制限し、投与されるiRNA分子の総投与量を少なくすることができる。いくつかの研究が、iRNAが局所投与される場合の遺伝子産物のノックダウンの成功を示している。例えば、カニクイザルのガラス体内注射によるVEGF dsRNAの眼内送達(Tolentino,MJ.ら(2004)Retina 24:132~138頁)およびマウスの網膜下注射(Reich,SJ.ら(2003)Mol.Vis.9:210~216頁)は両方とも、加齢性黄斑変性症の実験モデルにおける新血管形成を防ぐことを示した。さらに、マウスにおけるdsRNAの直接腫瘍内投与が腫瘍容積を減少させ(Pille,J.ら(2005)Mol.Ther.11:267~274頁)、腫瘍担持マウスの生存を延長し得る(Kim,WJ.ら(2006)Mol.Ther.14:343~350頁;Li,S.ら(2007)Mol.Ther.15:515~523頁)。RNA干渉は、直接注入によるCNSへの局所送達(Dorn,G.ら(2004)Nucleic Acids 32:e49;Tan,PH.ら(2005)Gene Ther.12:59~66頁;Makimura,H.ら(2002)BMC Neurosci.3:18頁;Shishkina,GT.,ら(2004)Neuroscience 129:521~528頁;Thakker,ER.ら(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101:17270~17275頁;Akaneya,Y.ら(2005)J.Neurophysiol.93:594~602頁)および鼻腔内投与による肺への局所送達(Howard,KA.ら(2006)Mol.Ther.14:476~484頁;Zhang,X.ら(2004)J.Biol.Chem.279:10677~10684頁;Bitko,V.ら(2005)Nat.Med.11:50~55頁)による成功も示している。疾患の処置のためにiRNAを全身投与するために、RNAは、修飾されるか、あるいは薬剤送達システムを用いて送達され;両方の方法は、インビボでのエンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼによるdsRNAの急速な分解を防ぐ役割を果たす。RNAまたは医薬担体の修飾は、標的組織へのiRNA組成物の標的化を可能にし、望ましくないオフターゲット効果を回避することもできる。iRNA分子は、細胞取り込みを向上させ、分解を防ぐコレステロール
のような親油基への化学的コンジュゲーションによって修飾される。例えば、親油性コレステロール部分とコンジュゲートしたApoBに対するiRNAをマウスに全身投与し、肝臓および空腸の両方においてapoB mRNAのノックダウンを得た(Soutschek,J.ら(2004)Nature 432:173~178頁)。アプタマーへのiRNAのコンジュゲーションは、前立腺がんのマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害し、腫瘍退縮を仲介することが示されている(McNamara,JO.ら(2006)Nat.Biotechnol.24:1005~1015頁)。代替的な実施形態では、iRNAは、ナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソーム、またはカチオン性送達システムのような薬剤送達システムを用いて送達される。正に帯電したカチオン性送達システムは、iRNA分子(負に帯電した)の結合を促進し、また、負に帯電した細胞膜における相互作用を向上させて、細胞によるiRNAの効率的な取り込みを可能にする。カチオン性脂質、デンドリマー、またはポリマーは、iRNAに結合されるか、またはiRNAを包む小胞もしくはミセル(例えば、Kim SH.ら(2008)Journal
of Controlled Release 129(2):107~116頁参照)を形成するように誘導される。小胞またはミセルの形成は、全身投与される場合のiRNAの分解をさらに防ぐ。カチオン性iRNA複合体を作製し、投与するための方法は、十分当業者の能力の範囲内である(例えば、その全体を参照によって本明細書に組み入れる、Sorensen,DR.ら(2003)J.Mol.Biol 327:761~766頁;Verma,UN.ら(2003)Clin.Cancer Res.9:1291~1300頁;Arnold,ASら(2007)J.Hypertens.25:197~205頁参照)。iRNAの全身送達に有用な薬剤送達システムのいくつかの非限定的な例としては、DOTAP(Sorensen,DR.ら(2003)、上記参照;Verma,UN.ら(2003)、上記参照)、オリゴフェクタミン、「固体核酸脂質粒子」(Zimmermann,TS.ら(2006)Nature 441:111~114頁)、カルジオリピン(Chien,PY.ら(2005)Cancer Gene Ther.12:321~328頁;Pal,A.ら(2005)Int J.Oncol.26:1087~1091頁)、ポリエチレンイミン(Bonnet ME.ら(2008)Pharm.Res.Aug 16 Epub ahead of print;Aigner,A.(2006)J.Biomed.Biotechnol.71659頁)、Arg-Gly-Asp(RGD)ペプチド(Liu,S.(2006)Mol.Pharm.3:472~487頁)、およびポリアミドアミン(Tomalia,DA.ら(2007)Biochem.Soc.Trans.35:61~67頁;Yoo,H.ら(1999)Pharm.Res.16:1799~1804頁)を含む。いくつかの実施形態では、iRNAは、全身投与のためにシクロデキストリンと共に複合体を形成する。投与のための方法およびiRNAおよびシクロデキストリンの医薬組成物が、その全体を参照によって本明細書に組み入れる、米国特許第7,427,605号に見出される。
A.ベクターでコードされた本発明のiRNA
Serpinc1遺伝子を標的とするiRNAは、DNAまたはRNAベクターに挿入された転写単位から発現される(例えば、Couture,Aら、TIG.(1996),12:5~10頁;Skillern,A.らの国際PCT公開番号国際公開第00/22113号パンフレット、Conradの国際PCT公開番号国際公開第00/22114号パンフレット、およびConradの米国特許第6,054,299号参照)。発現は、使用される特定の構築物および標的組織または細胞型に応じて、一時的(およそ数時間から数週間)であるかまたは持続される(数週間から数カ月またはそれ以上)。これらの導入遺伝子は、線状構築物、環状プラスミド、またはウイルスベクターとして導入することができ、これらは、組み込みまたは非組み込みベクターであり得る。導入遺伝子は、染色体外プラスミドとして継承されるのを可能にするように構築することもできる(Gassmannら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)92:
1292頁)。
iRNAの個々の1つまたは複数の鎖は、発現ベクターにおけるプロモーターから転写される。2本の別々の鎖が発現されて、例えば、dsRNAを生成する場合、2つの別個の発現ベクターが、(例えば、トランスフェクションまたは感染によって)標的細胞中に共導入される。あるいは、dsRNAの各個々の鎖が、同じ発現プラスミド上に位置するプロモーターによって転写される。一実施形態では、dsRNAは、ステム・ループ構造を有するように、リンカーポリヌクレオチド配列によって接合される逆方向反復ポリヌクレオチドとして発現される。
iRNA発現ベクターは、一般に、DNAプラスミドまたはウイルスベクターである。真核細胞と適合する発現ベクター、好ましくは、脊椎動物細胞と適合する発現ベクターを用いて、本明細書に記載されるiRNAの発現のための組換え構築物を産生することができる。真核細胞の発現ベクターは、当技術分野において周知であり、多くの商業的供給源から入手可能である。典型的には、所望の核酸セグメントを挿入するのに好都合な制限部位を含有するこのようなベクターが提供される。iRNA発現ベクターの送達は、静脈内もしくは筋肉内投与によるか、患者から移植された標的細胞に投与した後に患者に再導入することによるか、または所望の標的細胞への導入を可能にする任意の他の手段のような全身送達であり得る。
iRNA発現プラスミドは、カチオン性脂質担体(例えば、Oligofectamine)または非カチオン性の脂質ベースの担体(例えば、Transit-TKO(商標))との複合体として標的細胞中にトランスフェクトされる。1週間以上の期間にわたる標的RNAの異なる領域を標的とするiRNAを介したノックダウンのための複数回の脂質のトランスフェクションも、本発明によって想定される。宿主細胞中へのベクターの導入の成功は、様々な公知の方法を用いてモニターされる。例えば、一過性のトランスフェクションは、緑色傾向タンパク質(GFP)のような蛍光マーカーのようなレポーターを用いて示される。エクスビボでの細胞の安定したトランスフェクションは、トランスフェクト細胞にハイグロマイシンB耐性のような特定の環境因子(例えば、抗生物質および薬剤)に対する耐性を与えるマーカーを用いて確実にすることができる。
本明細書に記載する方法および組成物と共に用いられるウイルスベクター系としては、限定はされないが、(a)アデノウイルスベクター;(b)レンチウイルスベクター、モロニ-マウス白血病ウイルスなどを含むが、これらに限定されないレトロウイルスベクター;(c)アデノ随伴ウイルスベクター;(d)単純ヘルペスウイルスベクター;(e)SV40ベクター;(f)ポリオーマウイルスベクター;(g)パピローマウイルスベクター;(h)ピコルナウイルスベクター;(i)オルソポックス(orthopox)、例えば、ワクシニアウイルスベクターまたは鳥ポックス、例えばカナリア痘または鶏痘などのポックスウイルスベクター;および(j)ヘルパー依存性または弱毒アデノウイルスが挙げられる。複製欠損ウイルスも有利であり得る。異なるベクターが、細胞のゲノムに組み込まれるかまたは組み込まれないであろう。構築物は、必要に応じて、トランスフェクションのためのウイルス配列を含み得る。あるいは、構築物は、エピソーム複製が可能なベクター、例えばEPVおよびEBVベクターに組み込まれる。iRNAの組換え発現のための構築物は、一般に、標的細胞内でのiRNAの発現を確実にするために、調節要素、例えば、プロモーター、エンハンサーなどを必要とする。ベクターおよび構築物について考慮される他の態様が、以下にさらに記載される。
iRNAの送達に有用なベクターは、所望の標的細胞または組織におけるiRNAの発現に十分な調節要素(プロモーター、エンハンサーなど)を含むであろう。調節要素は、構成的または調節性/誘導性発現のいずれかを提供するように選択される。
iRNAの発現は、例えば、特定の生理的調節因子、例えば、血中グルコースレベル、またはホルモンに対して感受性がある誘導性調節配列を使用することによって、正確に調節される(Dochertyら、1994,FASEB J.8:20~24頁)。細胞または哺乳動物におけるdsRNAの発現の制御に好適なこのような誘導性発現系としては、例えばエクジソン、エストロゲン、プロゲステロン、テトラサイクリン、二量化の化学誘導物質、およびイソプロピル-ベータ-D1-チオガラクトピラノシド(IPTG)による調節が挙げられる。当業者は、iRNA導入遺伝子の目的とする使用に基づいて、適切な調節/プロモーター配列を選択することができるであろう。
iRNAをコードする核酸配列を含有するウイルスベクターが使用される。例えば、レトロウイルスベクターが使用される(Millerら、Meth.Enzymol.217:581~599頁(1993)参照)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの適切なパッケージングおよび宿主細胞DNAへの組み込みに必要な構成要素を含有する。iRNAをコードする核酸配列は、患者への核酸の送達を促進する、1つまたはそれ以上のベクターにクローニングされる。レトロウイルスベクターについてのさらなる詳細は、例えば、Boesenら、Biotherapy 6:291~302頁(1994)に見出すことができ、これには、造血幹細胞を化学療法に対してより耐性にするために、造血幹細胞にmdr1遺伝子を送達するレトロウイルスベクターの使用が記載されている。遺伝子療法におけるレトロウイルスベクターの使用を示す他の参照文献は、Clowesら、J.Clin.Invest.93:644~651頁(1994);Kiemら、Blood 83:1467~1473頁(1994);Salmons and Gunzberg、Human Gene Therapy 4:129~141頁(1993);およびGrossman and Wilson、Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:110~114頁(1993)である。使用のために考えられるレンチウイルスベクターとしては、例えば、参照によって本明細書に組み入れる、米国特許第6,143,520号;第5,665,557号;および第5,981,276号に記載されるHIVに基づいたベクターが挙げられる。
アデノウイルスも、本発明のiRNAの送達における使用のために考えられる。アデノウイルスは、例えば、呼吸上皮に遺伝子を送達するための特に魅力的なビヒクルである。アデノウイルスは、本来、呼吸上皮に感染し、軽度の疾患を引き起こす。アデノウイルスに基づいた送達システムの他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスには、非分裂細胞に感染することが可能であるという利点がある。Kozarsky and Wilson,Current Opinion in Genetics and Development 3:499~503頁(1993)には、アデノウイルスに基づいた遺伝子療法の概説が示されている。Boutら、Human
Gene Therapy 5:3~10頁(1994)は、アカゲザルの呼吸上皮に遺伝子を移送するアデノウイルスベクターの使用を実証した。遺伝子療法におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeldら、Science 252:431~434頁(1991);Rosenfeldら、Cell 68:143~155頁(1992);Mastrangeliら、J.Clin.Invest.91:225~234頁(1993);PCT広報の国際公開第94/12649号パンフレット;およびWangら、Gene Therapy 2:775~783頁(1995)に見出すことができる。本発明で取り上げられるiRNAを発現するのに好適なAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法、およびベクターを標的細胞中に送達するための方法が、Xia Hら、(2002)、Nat.Biotech.20:1006~1010頁に記載されている。
アデノ随伴ウイルス(AVV)ベクターも、本発明のiRNAを送達するのに使用され
る(Walshら、Proc.Soc.Exp.Biol.Med.204:289~300頁(1993);米国特許第5,436,146号)。一実施形態では、iRNAは、例えば、U6もしくはH1 RNAプロモーター、またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのいずれかを有する組換えAAVベクターから、2つの別個の相補的な一本鎖RNA分子として発現される。本発明で取り上げられるdsRNAを発現するのに好適なAAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法、およびベクターを標的細胞中に送達するための方法が、その開示全体を参照によって本明細書に組み入れるSamulski Rら(1987)、J.Virol.61:3096~3101頁;Fisher K Jら(1996)、J.Virol、70:520~532頁;Samulski Rら(1989)、J.Virol.63:3822~3826頁;米国特許第5,252,479号;米国特許第5,139,941号;国際特許出願番号国際公開第94/13788号パンフレット;および国際特許出願番号国際公開第93/24641号パンフレットに記載されている。
本発明のiRNAの送達に好適な別のウイルスベクターは、ワクシニアウイルス、例えば、改変ウイルスアンカラ(MVA)またはNYVACのような弱毒化ワクシニア、鶏痘またはカナリア痘のような鳥ポックスのようなポックスウイルスである。
ウイルスベクターの指向性は、エンベロープタンパク質または他のウイルスからの他の表面抗原を用いてベクターをシュードタイピングすることによって、または異なるウイルスカプシドタンパク質を必要に応じて置換することによって、改変される。例えば、レンチウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病、エボラ、モコラなどからの表面タンパク質を用いてシュードタイピングされる。AAVベクターは、異なるカプシドタンパク質血清型を発現するようにこのベクターを操作することによって、異なる細胞を標的とするように作製される。例えば、その全開示を参照によって本明細書に組み入れる、Rabinowitz J Eら(2002)、J Virol 76:791~801頁を参照。
ベクターの医薬製剤は、許容可能な希釈剤中のベクターを含むことができ。または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれる徐放性マトリックスを含むことができる。あるいは、組換え細胞から、完全な遺伝子送達ベクター、例えば、レトロウイルスベクターが無傷で産生される場合、医薬製剤は遺伝子送達システムを産生する1つまたはそれ以上の細胞を含むことができる。
V.本発明の医薬組成物
本発明は、本発明のiRNAを含む医薬組成物および製剤も提供する。一実施形態では、本明細書に記載のiRNAと、薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物も本明細書に提供される。iRNAを含有する医薬組成物は、Serpinc1遺伝子の発現または活性に関連する疾患または障害、例えばSerpinc1関連疾患を処置するのに有用である。このような医薬組成物は、送達様式に基づいて製剤化される。一例は、非経口投与を介した、例えば皮下(SC)または静脈内(IV)送達による全身投与用に製剤化される組成物である。別の例は、例えば、持続性ポンプ注入のような脳への注入による、脳実質への直接送達用に製剤化される組成物である。本発明の医薬組成物は、Serpinc1遺伝子の発現を阻害するのに十分な投与量で投与される。
本発明の特定の実施形態では、例えば、医薬組成物が、3つの連続的なヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つまたはそれ以上のモチーフを含み、薬剤の切断部位またはその近くにそのようなモチーフを含む、二本鎖RNAi薬剤を含み、6つのホスホロチオエート連結、およびGalNAcリガンドを含む場合、組成物は、0.200~約1.825mg/kg、0.200~約1.800mg/kg、約0.200~約1.700mg/
kg、約0.200~約1.600mg/kg、約0.200~約1.500mg/kg、約0.200~約1.400mg/kg、約0.200~約1.400mg/kg、約0.200~約1.200mg/kg、約0.200~約1.100mg/kg、約0.200~約1.000mg/kg、約0.200~約0.900mg/kg、約0.200~約0.800mg/kg、約0.200~約0.700mg/kg、約0.200~約0.600mg/kg、約0.200~約0.500mg/kg、約0.200~約0.400mg/kg、約0.225~約1.825mg/kg、約0.225~約1.800mg/kg、約0.225~約1.700mg/kg、約0.225~約1.600mg/kg、約0.225~約1.500mg/kg、約0.225~約1.400mg/kg、約0.225~約1.400mg/kg、約0.225~約1.200mg/kg、約0.225~約1.100mg/kg、約0.225~約1.000mg/kg、約0.225~約0.900mg/kg、約0.225~約0.800mg/kg、約0.225~約0.700mg/kg、約0.225~約0.600mg/kg、約0.225~約0.500mg/kg、約0.225~約0.400mg/kg、約0.250~約1.825mg/kg、約0.250~約1.800mg/kg、約0.250~約1.700mg/kg、約0.250~約1.600mg/kg、約0.250~約1.500mg/kg、約0.250~約1.400mg/kg、約0.250~約1.400mg/kg、約0.250~約1.200mg/kg、約0.250~約1.100mg/kg、約0.250~約1.000mg/kg、約0.250~約0.900mg/kg、約0.250~約0.800mg/kg、約0.250~約0.700mg/kg、約0.250~約0.600mg/kg、約0.250~約0.500mg/kg、約0.250~約0.400mg/kg、約0.425~約1.825mg/kg、約0.425~約1.800mg/kg、約0.425~約1.700mg/kg、約0.425~約1.600mg/kg、約0.425~約1.500mg/kg、約0.425~約1.400mg/kg、約0.425~約1.400mg/kg、約0.425~約1.200mg/kg、約0.425~約1.100mg/kg、約0.425~約1.000mg/kg、約0.425~約0.900mg/kg、約0.425~約0.800mg/kg、約0.425~約0.700mg/kg、約0.425~約0.600mg/kg、約0.425~約0.500mg/kg、約0.450~約1.825mg/kg、約0.450~約1.800mg/kg、約0.450~約1.700mg/kg、約0.450~約1.600mg/kg、約0.450~約1.500mg/kg、約0.450~約1.400mg/kg、約0.450~約1.400mg/kg、約0.450~約1.200mg/kg、約0.450~約1.100mg/kg、約0.450~約1.000mg/kg、約0.450~約0.900mg/kg、約0.450~約0.800mg/kg、約0.450~約0.700mg/kg、約0.450~約0.600mg/kg、約0.450~約0.500mg/kg、約0.475~約1.825mg/kg、約0.475~約1.800mg/kg、約0.475~約1.700mg/kg、約0.475~約1.600mg/kg、約0.475~約1.500mg/kg、約0.475~約1.400mg/kg、約0.475~約1.400mg/kg、約0.475~約1.200mg/kg、約0.475~約1.100mg/kg、約0.475~約1.000mg/kg、約0.475~約0.900mg/kg、約0.475~約0.800mg/kg、約0.475~約0.700mg/kg、約0.475~約0.600mg/kg、約0.475~約0.500mg/kg、約0.875~約1.825mg/kg、約0.875~約1.800mg/kg、約0.875~約1.700mg/kg、約0.875~約1.600mg/kg、約0.875~約1.500mg/kg、約0.875~約1.400mg/kg、約0.875~約1.400mg/kg、約0.875~約1.200mg/kg、約0.875~約1.100mg/kg、約0.875~約1.000mg/kg、約0.875~約0.900mg/kg、約0.900~約1.825mg/kg、約0.900~約1.800mg/kg、約0.900~約1.700mg/kg、約0.900~約1.600mg/kg、約0
.900~約1.500mg/kg、約0.900~約1.400mg/kg、約0.900~約1.400mg/kg、約0.900~約1.200mg/kg、約0.900~約1.100mg/kg、約0.900~約1.000mg/kg、約0.925~約1.825mg/kg、約0.925~約1.800mg/kg、約0.925~約1.700mg/kg、約0.925~約1.600mg/kg、約0.925~約1.500mg/kg、約0.925~約1.400mg/kg、約0.925~約1.400mg/kg、約0.925~約1.200mg/kg、約0.925~約1.100mg/kg、または約0.925~約1.000mg/kgの用量で投与される。先に列挙した値に対する中間の値および範囲も、本発明の一部であるものとし、例えば、RNAi薬剤は、約0.015mg/kg~約0.45mg/kgの用量で対象に投与される。
例えば、RNAi薬剤、例えば医薬組成物中のRNAi薬剤は、約0.2mg/kg、0.225mg/kg、0.25mg/kg、0.275mg/kg、0.3mg/kg、0.325mg/kg、0.35mg/kg、0.375mg/kg、0.4mg/kg、0.425mg/kg、0.45mg/kg、0.475mg/kg、約0.5mg/kg、0.525mg/kg、0.55mg/kg、0.575mg/kg、約0.6mg/kg、0.625mg/kg、0.65mg/kg、0.675mg/kg、約0.7mg/kg、0.725mg/kg、0.75mg/kg、0.775mg/kg、約0.8mg/kg、0.925mg/kg、0.95mg/kg、0.975mg/kg、約1.0mg/kg、1.025mg/kg、1.05mg/kg、1.075mg/kg、約1.1 mg/kg、1.125mg/kg、1.15mg/kg、1.17
5mg/kg、約1.2mg/kg、1.225mg/kg、1.25mg/kg、1.275mg/kg、約1.3mg/kg、1.325mg/kg、1.35mg/kg、1.375mg/kg、約1.4mg/kg、1.425mg/kg、1.45mg/kg、1.475mg/kg、約1.5mg/kg、1.525mg/kg、1.55mg/kg、1.575mg/kg、約1.6mg/kg、1.625mg/kg、1.65mg/kg、1.675mg/kg、約1.7mg/kg、1.725mg/kg、1.75mg/kg、1.775mg/kg、または約1.8mg/kgの用量で投与される。先に列挙した値に対する中間の値も、本発明の一部であるものとする。
本発明のいくつかの実施形態では、例えば、二本鎖RNAi薬剤がセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む場合、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と異なるヌクレオチドが3つ以下である少なくとも15の連続ヌクレオチドを含む、Serpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドであり、センス鎖は3’末端で結合するリガンドにコンジュゲートし、そのような医薬組成物中の薬剤は約0.200~約1.825mg/kg、0.200~約1.800mg/kg、約0.200~約1.700mg/kg、約0.200~約1.600mg/kg、約0.200~約1.500mg/kg、約0.200~約1.400mg/kg、約0.200~約1.400mg/kg、約0.200~約1.200mg/kg、約0.200~約1.100mg/kg、約0.200~約1.000mg/kg、約0.200~約0.900mg/kg、約0.200~約0.800mg/kg、約0.200~約0.700mg/kg、約0.200~約0.600mg/kg、約0.200~約0.500mg/kg、約0.200~約0.400mg/kg、約0.225~約1.825mg/kg、約0.225~約1.800mg/kg、約0.225~約1.700mg/kg、約0.225~約1.600mg/kg、約0.225~約1.500mg/kg、約0.225~約1.400mg/kg、約0.225~約1.400mg/kg、約0.225~約1.200mg/kg、約0.225~約1.100mg/kg、約0.225~約1.000mg/kg、約0.225~約0.900mg/kg、約0.225~
約0.800mg/kg、約0.225~約0.700mg/kg、約0.225~約0.600mg/kg、約0.225~約0.500mg/kg、約0.225~約0.400mg/kg、約0.250~約1.825mg/kg、約0.250~約1.800mg/kg、約0.250~約1.700mg/kg、約0.250~約1.600mg/kg、約0.250~約1.500mg/kg、約0.250~約1.400mg/kg、約0.250~約1.400mg/kg、約0.250~約1.200mg/kg、約0.250~約1.100mg/kg、約0.250~約1.000mg/kg、約0.250~約0.900mg/kg、約0.250~約0.800mg/kg、約0.250~約0.700mg/kg、約0.250~約0.600mg/kg、約0.250~約0.500mg/kg、約0.250~約0.400mg/kg、約0.425~約1.825mg/kg、約0.425~約1.800mg/kg、約0.425~約1.700mg/kg、約0.425~約1.600mg/kg、約0.425~約1.500mg/kg、約0.425~約1.400mg/kg、約0.425~約1.400mg/kg、約0.425~約1.200mg/kg、約0.425~約1.100mg/kg、約0.425~約1.000mg/kg、約0.425~約0.900mg/kg、約0.425~約0.800mg/kg、約0.425~約0.700mg/kg、約0.425~約0.600mg/kg、約0.425~約0.500mg/kg、約0.450~約1.825mg/kg、約0.450~約1.800mg/kg、約0.450~約1.700mg/kg、約0.450~約1.600mg/kg、約0.450~約1.500mg/kg、約0.450~約1.400mg/kg、約0.450~約1.400mg/kg、約0.450~約1.200mg/kg、約0.450~約1.100mg/kg、約0.450~約1.000mg/kg、約0.450~約0.900mg/kg、約0.450~約0.800mg/kg、約0.450~約0.700mg/kg、約0.450~約0.600mg/kg、約0.450~約0.500mg/kg、約0.475~約1.825mg/kg、約0.475~約1.800mg/kg、約0.475~約1.700mg/kg、約0.475~約1.600mg/kg、約0.475~約1.500mg/kg、約0.475~約1.400mg/kg、約0.475~約1.400mg/kg、約0.475~約1.200mg/kg、約0.475~約1.100mg/kg、約0.475~約1.000mg/kg、約0.475~約0.900mg/kg、約0.475~約0.800mg/kg、約0.475~約0.700mg/kg、約0.475~約0.600mg/kg、約0.475~約0.500mg/kg、約0.875~約1.825mg/kg、約0.875~約1.800mg/kg、約0.875~約1.700mg/kg、約0.875~約1.600mg/kg、約0.875~約1.500mg/kg、約0.875~約1.400mg/kg、約0.875~約1.400mg/kg、約0.875~約1.200mg/kg、約0.875~約1.100mg/kg、約0.875~約1.000mg/kg、約0.875~約0.900mg/kg、約0.900~約1.825mg/kg、約0.900~約1.800mg/kg、約0.900~約1.700mg/kg、約0.900~約1.600mg/kg、約0.900~約1.500mg/kg、約0.900~約1.400mg/kg、約0.900~約1.400mg/kg、約0.900~約1.200mg/kg、約0.900~約1.100mg/kg、約0.900~約1.000mg/kg、約0.925~約1.825mg/kg、約0.925~約1.800mg/kg、約0.925~約1.700mg/kg、約0.925~約1.600mg/kg、約0.925~約1.500mg/kg、約0.925~約1.400mg/kg、約0.925~約1.400mg/kg、約0.925~約1.200mg/kg、約0.925~約1.100mg/kg、または約0.925~約1.000mg/kgの用量で投与される。先に列挙した値に対する中間の値および範囲も、本発明の一部であるものとし、例えば、RNAi薬剤は、約0.015mg/kg~約0.45mg/kgの用量で対象に投与される。
例えば、RNAi薬剤、例えば医薬組成物中のRNAi薬剤は、約0.2mg/kg、0.225mg/kg、0.25mg/kg、0.275mg/kg、0.3mg/kg、0.325mg/kg、0.35mg/kg、0.375mg/kg、0.4mg/kg、0.425mg/kg、0.45mg/kg、0.475mg/kg、約0.5mg/kg、0.525mg/kg、0.55mg/kg、0.575mg/kg、約0.6mg/kg、0.625mg/kg、0.65mg/kg、0.675mg/kg、約0.7mg/kg、0.725mg/kg、0.75mg/kg、0.775mg/kg、約0.8mg/kg、0.925mg/kg、0.95mg/kg、0.975mg/kg、約1.0mg/kg、1.025mg/kg、1.05mg/kg、1.075mg/kg、約1.1mg/kg、1.125mg/kg、1.15mg/kg、1.175mg/kg、約1.2mg/kg、1.225mg/kg、1.25mg/kg、1.275mg/kg、約1.3mg/kg、1.325mg/kg、1.35mg/kg、1.375mg/kg、約1.4mg/kg、1.425mg/kg、1.45mg/kg、1.475mg/kg、約1.5mg/kg、1.525mg/kg、1.55mg/kg、1.575mg/kg、約1.6mg/kg、1.625mg/kg、1.65mg/kg、1.675mg/kg、約1.7mg/kg、1.725mg/kg、1.75mg/kg、1.775mg/kg、または約1.8mg/kgの用量で投与される。先に列挙した値に対する中間の値も、本発明の一部であるものとする。
いくつかの実施形態では、iRNA薬剤を含む医薬組成物は、固定用量で対象に投与される。「固定用量」(例えばmg単位の用量)は、iRNA薬剤の1回用量が体重などの任意の特定の対象関連因子に関係なくすべての対象に使用されることを意味する。特定の一実施形態では、本発明のiRNA薬剤の固定用量は、所定の体重または年齢に基づく。
いくつかの実施形態では、iRNA薬剤を含む医薬組成物は、約25mg~約100mgの間、例えば、約25mg~約95mgの間、約25mg~約90mgの間、約25mg~約85mgの間、約25mg~約80mgの間、約25mg~約75mgの間、約25mg~約70mgの間、約25mg~約65mgの間、約25mg~約60mgの間、約25mg~約50mgの間、約50mg~約100mgの間、約50mg~約95mgの間、約50mg~約90mgの間、約50mg~約85mgの間、約50mg~約80mgの間、約30mg~約100mgの間、約30mg~約90mgの間、約30mg~約80mgの間、約40mg~約100mgの間、約40mg~約90mgの間、約40mg~約80mgの間、約60mg~約100mgの間、約60mg~約90mgの間、約25mg~約55mgの間、約30mg~約95mgの間、約30mg~約85mgの間、約30mg~約75mgの間、約30mg~約65mgの間、約30mg~約55mgの間、約40mg~約95mgの間、約40mg~約85mgの間、約40mg~約75mgの間、約40mg~約65mgの間、約40mg~約55mgの間、または約45mg~約95mgの間の固定用量で投与される。
いくつかの実施形態では、iRNA薬剤を含む医薬組成物は、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、または約100mgの固定用量で投与される。
iRNAを含む医薬組成物は、約1カ月に1回、約5週毎に1回、約6週毎に1回、約2カ月毎に1回、または四半期に1回、対象に投与される。
iRNA薬剤を含む医薬組成物は、1つまたはそれ以上の用量として対象に投与される。いくつかの実施形態では、二本鎖RNAi薬剤を含む医薬組成物は、約0.200mg/kg~約0.250mg/kgの月1回の用量、約0.425mg/kg~約0.47
5mg/kgの月1回の用量、約0.875mg/kg~約0.925mg/kgの月1回の用量、または約1.775mg/kg~約1.825 mg/kgの月1回の用量と
して対象に投与される。いくつかの実施形態では、二本鎖iRNA薬剤を含む医薬組成物は、約25mg~約100mg、例えば、約25mg、約50mg、約80mg、または約100mgの固定用量で対象に投与される。
医薬組成物は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、および21、22、23、24、または約25分間のような期間にわたって、静脈内注入によって投与される。投与は、例えば、毎週、隔週(すなわち、2週毎)、毎月、2カ月毎、3カ月毎、4カ月毎またはそれ以上のように、定期的に繰り返される。最初の処置レジメンの後、治療剤は、より少ない頻度で投与される。例えば、毎週または隔週で3カ月間の投与後、投与は月に1回で6カ月間または1年間またはそれ以上にわたって繰り返される。
医薬組成物は1日1回投与され、またはiRNAは、1日を通して適切な間隔で2、3、もしくはそれ以上の部分用量として、もしくは連続的な注入もしくは持続放出製剤による送達を使用して投与される。その場合、各部分用量に含有されるiRNAは、総1日投与量に達するように対応して少量である必要がある。投与単位はまた、例えば、数日間にわたりiRNAを持続放出する従来の持続放出製剤を使用して、数日間にわたる送達のために配合される。持続放出製剤は当技術分野において周知であり特定の部位での薬剤の送達に特に有用であり、本発明の薬剤と使用される。本実施形態では、投与単位は1日用量の対応する倍数を含有する。
他の実施形態では、医薬組成物の単回用量は、長期間継続することができるため、その後の用量が1、2、3、4、5、6、7、または8週間以下の間隔で投与される。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物の単回用量は、1カ月に1回投与される。
当業者は、限定はされないが、疾患または障害の重症度、以前の処置、対象の全体的な健康および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含む特定の因子が対象を効果的に処置するのに必要な投与量および時間に影響し得ることを認識するであろう。さらに、治療有効用量の組成物による対象の処置は、単一の処置または一連の処置を含み得る。本発明により包含される個々のiRNAに関する有効な投与量、およびインビボでの半減期は、従来の方法論を用いて、または本明細書の他の箇所に記載されるような適切な動物モデルを使用するインビボでの試験に基づいて見積もることができる。
マウス遺伝学の進展により、Serpinc1の発現の低下から利益を受けるであろう出血性障害のような様々なヒトの疾患の研究のために多くのマウスモデルが作製されている。このようなモデルは、iRNAのインビボ試験、および治療有効用量の決定に使用することができる。当技術分野で公知の好適なマウスモデルとしては、Bolligerら(2010)Thromb Haemost 103:1233~1238頁、Bi Lら(1995)Nat Genet 10:119~21頁、Linら(1997)Blood 90:3962~6頁、Kunduら(1998)Blood 92:168~74頁、Wangら(1997)Proc Natl Acad Sci USA 94:11563~6頁、およびJinら(2004) Blood 104:1733頁に記載されるような、例えば、凝固因子遺伝子のノックアウトを含有するマウスなど、血友病Aマウスモデルおよび血友病Bマウスモデルが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、局所的または全身的処置が必要かどうか、および処置される領域に応じていくつかの方法で投与される。投与は、局所(例えば、経皮パッチによる)、
例えば、噴霧器による粉末もしくはエアロゾルの吸入または吹送による経肺;気管内、鼻腔内、表皮および経皮、経口、または非経口であり得る。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、もしくは筋肉内注射もしくは注入;例えば、埋め込み装置による皮下;または、例えば、実質内、髄腔内、もしくは脳室内による頭蓋内の投与を含む。
iRNAは、肝臓(例えば、肝臓の肝細胞)のような特定の組織を標的とするように送達される。
局所投与用の医薬組成物および製剤としては、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐薬、噴霧剤、液剤および散剤が挙げられる。従来の医薬担体、水性、粉末、または油性基材、増粘剤などが必要であり、または所望される。被覆コンドーム、手袋なども有用であり得る。好適な局所製剤は、本発明で取り上げられるiRNAが、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート化剤、および界面活性剤のような局所送達薬剤との混合物であるものを含む。局所製剤は、参照によって本明細書に組み入れる米国特許第6,747,014号に詳細に記載される。
A.さらなる製剤
i.エマルション
本発明の組成物は、エマルションとして調製および製剤化される。エマルションは、典型的には、1つの液体が、通常、直径が0.1μmを超える液滴の形態の別の液体中に分散された不均一系である(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、Allen,LV.、Popovich NG.、and Ansel HC.、2004、Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.)、New York、NY;Idson、in Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman,Rieger and Banker(Eds.)、1988,Marcel Dekker,Inc.,New York、N.Y.、volume 1、199頁;Rosoff、in Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman,Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.,New York、N.Y.、Volume 1、245頁;Block in Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman,Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.,New York、N.Y.、volume 2、335頁;Higuchiら、in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.、Easton,Pa.、1985、301頁参照)。エマルションは、多くの場合、互いに親密に混合および分散された2つの非混和性液体相を含む二層系である。一般に、エマルションは、油注水(w/o)または水中油(o/w)の種類のいずれかであり得る。水性相は微小滴として塊の油相中に微細に分割および分散された場合、得られた組成物は油中水(w/o)エマルションと呼ばれる。代替的に、油相が微小滴として塊の水性相中に微細に分割および分散された場合、得られた組成物は水中油(o/w)エマルションと呼ばれる。エマルションは、分散相および活性薬物に加えて追加の構成成分を含有することができ、その構成成分は、水性相、油相中いずれかの溶液として、またはそれ自体が別個の相として存在し得る。必要に応じて、エマルション中に乳化剤、安定剤、染料、および抗酸化剤のような医薬賦形剤も存在し得る。医薬エマルションは、例えば、油中水中油(o/w/o)および水中油中水(w/o/w)エマルションの場合のような、2つより多くの相からなる多エマルションでもあり得る。そのような複合製剤は、多くの場合、単純な二成分エマルションが提供しない特定の利点を提供する。o/wエマルションの個々の油小滴が小さい水小滴を囲い込む多エマルションは、w/o/wエマルションを構成する。同様に、油の連続相中で安定化された水の小球中に囲い込まれた油
小滴の系は、o/w/oエマルションを提供する。
エマルションは、熱力学的安定性がほとんどまたは全くないことにより特徴付けられる。多くの場合、エマルションの分散または不連続相は、外部または連続相中に良好に分散され、乳化剤の手段または製剤の粘度によってこの形態に維持される。エマルションの相のいずれかは、エマルション型軟膏ベースおよびクリームの場合のように半固体または固体であり得る。エマルションを安定化させる他の手段には、エマルションのいずれかの相に組み込まれる乳化剤の使用が含まれる。乳化剤は、合成界面活性剤、天然乳化剤、吸収基材、および微細に分散した固体の4つのカテゴリーに大きく分類される(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.、2004、Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York、NY;Idson、in Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman,Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.、volume 1、199頁参照)。
表面活性剤としても公知の合成界面活性剤は、エマルションの製剤化に広範な適用性が見出されており、文献に概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.、2004、Lippincott Williams and Wilkins(8th ed.)、New York、NY;Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.、New York,N.Y.、volume 1、285頁;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.)、Marcel Dekker,Inc.、New York,N.Y.、1988、volume 1、199頁参照)。界面活性剤は、典型的には、両親媒性であり、親水性部分および疎水性部分を含む。界面活性剤の疎水性に対する親水性の比率は、親水性/親油性バランス(HLB)と称されており、製剤の調製の際の界面活性剤の分類および選択の際の貴重な手段である。界面活性剤は親水性基の性質に基づいて、異なる種類:非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性に分類される(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.、2004、Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.)、New York,NY、Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker (Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.、New York,N.Y.、volume 1、285頁参照)。
エマルション製剤中に使用される、天然に存在する乳化剤としては、ラノリン、蜜蝋、ホスファチド、レシチンおよびアカシアが挙げられる。吸収ベースは、無水ラノリンおよび親水性ワセリンのように、水を取り入れてw/oエマルションを形成するが、それらの半固体稠度を維持する親水性特性を持つ。微粉化固体は、特に界面活性剤の組み合わせ中、および粘性の製剤中で、良好な乳化剤としても使用されている。これらとしては、重金属水酸化物のような極性無機固体、ベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド状ケイ酸アルミニウムおよびコロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムのような非膨張粘土、顔料、および炭素のような非極性固体または
トリステアリン酸グリセリンが挙げられる。
非常に多様な非乳化材料もエマルション製剤中に含まれ、エマルションの特性に寄与する。それらとしては、脂肪、油、蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪エステル、湿潤剤、親水性コロイド、保存剤および抗酸化剤が挙げられる(Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker (Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.、New York,N.Y.、volume 1、335頁;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.、New York,N.Y.、volume 1、199頁)。
親水性コロイドまたは親水コロイドとしては、多糖(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、カラゲナン、グアーガム、カラヤガム、およびトラガカント)のような天然に存在するゴムおよび合成ポリマー、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシプロピルセルロース)、ならびに合成ポリマー(例えば、カルボマー、セルロースエーテル、およびカルボキシビニルポリマー)が挙げられる。これらは水中に分散または膨張して、分散相の小滴の周囲に強力な界面フィルムを形成することにより、および、外部相の粘度を増大させることにより、エマルションを安定化するコロイド溶液を形成する。
エマルションは、多くの場合、微生物の増殖を容易に支持し得る炭水化物、タンパク質、ステロール、およびホスファチドのような多数の成分を含有するため、これらの製剤は、多くの場合、保存剤を組み込んでいる。エマルション製剤に含まれる、通常使用される保存剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、第四級アンモニウム塩、塩化ベンズアルコニウム、p-ヒドロキシ安息香酸のエステル、およびホウ酸が挙げられる。抗酸化剤も、通常、エマルション製剤に加えられ、製剤の変質を防止する。使用される抗酸化剤は、トコフェロール、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンのような遊離基スカベンジャー、またはアスコルビン酸およびメタ重亜硫酸ナトリウムのような還元剤、ならびにクエン酸、酒石酸およびレシチンのような抗酸化剤共力剤であり得る。
皮膚、経口および非経口経路を介したエマルション製剤の適用ならびにそれらの製造方法は、文献に概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical
Dosage Forms and Drug Delivery Systems、Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.、2004、Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.)
、New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.、New York,N.Y.、volume 1、199頁参照)。経口送達用のエマルション製剤は、製剤化の容易さ、ならびに吸収および生物学的利用能の観点からの有効性のため、非常に広範に使用されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.、2004、Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.)、New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.、New York,N.Y.、volume 1、245頁;Idson,in Pharmaceutical Dosage
Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.、New York,N.Y.、volume 1、199頁参照)。鉱油基材の緩下剤、油溶性ビタミンおよび高脂肪栄養製剤が、o/w型エマルションとして一般的に経口投与されている材料に含まれる。
ii.マイクロエマルション
本発明の一実施形態では、iRNAおよび核酸の組成物は、マイクロエマルションとして製剤化される。マイクロエマルションは、単一の光学的に等方性であり、熱力学的に安定した液体溶液である、水、油、および両親媒性物質の系として定義される(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.、2004、Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.)、New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.、New York,N.Y.、volume 1、245頁参照)。典型的には、マイクロエマルションは、最初に油を水性界面活性剤溶液中に分散し、次いで十分な量の第4の構成成分、一般に中間の鎖長のアルコールを加えて透明系を形成することにより調製される系である。したがって、マイクロエマルションは、表面活性分子の界面フィルムにより安定化されている2つの非混和性液体の熱力学的に安定な、当方的に透明な分散物としても記載されている(Leung and Shah,in:Controlled Release of Drugs:Polymers and Aggregate Systems,Rosoff,M.,Ed.、1989、VCH Publishers、New York、185~215頁)。マイクロエマルションは通常、油、水、界面活性剤、補助界面活性剤および電解質を含む3~5つの構成成分の組み合わせを用いて調製される。マイクロエマルションが油中水(w/o)タイプまたは水中油(o/w)タイプのいずれのものであるかは、使用される油および界面活性剤の特性、ならびに界面活性剤分子の極性頭部および炭化水素尾部の構造および幾何学的充填に依存する(Schott,in Remington’s Pharmaceutical
Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.、1985、271頁)。
状態図を用いる現象論的手法が広範に研究されており、マイクロエマルションを製剤化する方法についての広範な知識を当業者にもたらしている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.、2004、Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.)、New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger
and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.、New York,N.Y.、volume 1、245頁;Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker,Inc.、New York,N.Y.、volume 1、335頁参照)。従来のエマルションと比較して、マイクロエマルションは自発的に形成する熱力学的に安定な小滴の製剤中で水不溶性薬物を可溶化する利点を提供する。
マイクロエマルションの調製に使用される界面活性剤としては、単独または補助界面活性剤との組み合わせで、限定はされないが、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステ
ル、モノラウリン酸テトラグリセロール(ML310)、モノオレイン酸テトラグリセロール(MO310)、モノオレイン酸ヘキサグリセロール(PO310)、ペンタオレイン酸ヘキサグリセロール(PO500)、モノカプリン酸デカグリセロール(MCA750)、モノオレイン酸デカグリセロール(MO750)、セスキオレイン酸デカグリセロール(SO750)、デカオレイン酸デカグリセロール(DAO750)が挙げられる。通常、エタノール、1-プロパノール、および1-ブタノールのような短鎖アルコールである補助界面活性剤は、界面活性剤フィルム中に浸透し、その結果、界面活性剤分子間に生成された空隙空間によって不規則フィルムを形成することにより、界面流動性を増大させる役割を果たす。しかしながら、マイクロエマルションは、補助界面活性剤を使用することなく調製され、アルコールフリー自己乳化型マイクロエマルション系は、当技術分野において公知である。水性相は、典型的には、限定はされないが、水、薬物の水性溶液、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール、およびエチレングリコールの誘導体であり得る。油相は、限定はされないが、Captex300、Captex355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C8~C12)モノ、ジ、およびトリ-グリセリド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C8~C10グリセリド、植物油ならびにシリコーン油のような材料を含み得る。
マイクロエマルションは、薬物可溶化および薬物吸収向上の観点から特に興味深い。脂質ベースのマイクロエマルション(o/wおよびw/oの両方)は、ペプチドを含む薬物の経口バイオアベイラビリティの向上に提案されている(例えば、米国特許第6,191,105号;第7,063,860号;第7,070,802号;第7,157,099号;Constantinidesら、Pharmaceutical Research、1994、11、1385~1390頁;Ritschel,Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.、1993、13、205頁参照)。マイクロエマルションは、薬物可溶化の改善、酵素加水分解からの薬物の保護、界面活性剤誘導による膜流動性および透過性の変更に起因する薬物吸収の可能な向上、調製の容易さ、固体剤形を超える経口投与の容易さ、臨床的効能の改善、ならびに毒性の低下の利点を提供する(例えば、米国特許第6,191,105号;第7,063,860号;第7,070,802号;第7,157,099号;Constantinidesら、Pharmaceutical Research、1994、11、1385頁;Hoら、J.Pharm.Sci.、1996、85、138~143頁参照)。多くの場合、マイクロエマルションは、その構成成分が周囲温度で一緒にされた際に自発的に形成される。このことは、易熱性薬物、ペプチド、またはiRNAを製剤化する際に特に有利であり得る。マイクロエマルションはまた美容および医薬用途の両方において活性構成成分の経皮送達にも有効である。本発明のマイクロエマルション組成物および製剤が胃腸管からのiRNAおよび核酸の全身吸収の増大、ならびにiRNAおよび核酸の局部細胞取り込みの改善を促進することが期待される。
本発明のマイクロエマルションはまた、モノステアリン酸ソルビタン(Grill 3)、ラブラソール、および透過促進剤のような追加の構成成分および添加剤を含有し、製剤の特性を改善し、本発明のiRNAおよび核酸の吸収を向上させる。本発明のマイクロエマルション中で使用される浸透促進剤は、5つの広いカテゴリーの1つに属するものとして分類される--界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート化剤、および非キレート化非界面活性剤(Leeら、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1991、92頁)。これらのクラスの各々は、上記で論じられている。
iii.微粒子
本発明のRNAi薬剤は、粒子、例えば、微粒子に組み込まれてもよい。微粒子は、噴
霧乾燥によって生成されるが、凍結乾燥、蒸発、流体床乾燥、真空乾燥、またはこれらの技術の組み合わせを含む他の方法によって生成されてもよい。
iv.浸透促進剤
一実施形態では、本発明は、動物の皮膚への、核酸、特にiRNAの効率的な送達を行うために様々な浸透促進剤を用いる。ほとんどの薬剤が、イオン化および非イオン化の両方の形態で溶液中に存在する。しかしながら、通常、脂溶性または親油性の薬剤のみが、細胞膜を容易に透過する。透過される膜が浸透促進剤で処理されている場合、非親油性薬剤でも細胞膜を透過できることが発見されている。細胞膜をわたる非親油性薬剤の拡散の補助に加えて、浸透促進剤は、親油性薬剤の浸透性も向上させる。
浸透促進剤は、5つの広いカテゴリー、すなわち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート剤、および非キレート非界面活性剤のうちの1つに属するものとして分類される(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery、Informa Health Care、New York,NY、2002;Leeら、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1991、92頁参照)。浸透促進剤の上記のクラスのそれぞれが、以下により詳細に記載される。
界面活性剤(または「表面活性剤」)は、水溶液に溶解されると、溶液の表面張力または水溶液と別の液体との間の界面張力を低下させ、粘膜を通るiRNAの吸収が向上されるという結果を生じる化学物質である。胆汁塩および脂肪酸に加えて、これらの浸透促進剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン-20-セチルエーテル)(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery、Informa Health Care、New York,NY、2002;Leeら、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1991、92頁参照);およびFC-43のようなペルフルオロ化合物エマルション(Takahashiら、J.Pharm.Pharmacol.、1988、40、252頁)を含む。
浸透促進剤として作用する様々な脂肪酸およびそれらの誘導体としては、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n-デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン(1-モノオレイル-rac-グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセロール1-モノカプレート、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、それらのC1~20アルキルエステル(例えば、メチル、イソプロピル、およびt-ブチル)、ならびにそれらのモノおよびジグリセリド(すなわち、オレエート、ラウレート、カプレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、リノレエートなど)が挙げられる(例えば、Touitou,E.ら、Enhancement in Drug Delivery、CRC Press、Danvers,MA、2006;Leeら、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1991、92頁;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1990、7、1~33頁;El Haririら、J.Pharm.Pharmacol.、1992、44、651~654頁参照)。
胆汁の生理学的役割には、脂質および脂溶性ビタミンの分散および吸収の促進が含まれる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery、Informa Health Care、N
ew York,NY、2002;Brunton、Chapter 38 in:Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed.、HardmanらEds.,McGraw-Hill,New York、1996、934~935頁参照)。様々な天然の胆汁塩、およびそれらの合成誘導体が、浸透促進剤として作用する。したがって、「胆汁塩」という用語は、胆汁の天然成分のいずれかおよびそれらの合成誘導体のいずれかを含む。好適な胆汁塩としては、例えば、コール酸(またはその薬学的に許容されるナトリウム塩、コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(グルコール酸ナトリウム)、グリコール酸(グリコール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ナトリウムタウロ-24,25-ジヒドロ-フシデート(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウムおよびポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル(POE)が挙げられる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery、Informa Health Care、New York,NY、2002;Leeら、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1991、92頁;Swinyard、Chapter 39 In:Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.、Gennaro,ed.、Mack Publishing Co.、Easton,Pa.、1990、782~783頁;Muranishi、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1990、7、1~33頁;Yamamotoら、J.Pharm.Exp.Ther.、1992、263、25頁;Yamashitaら、J.Pharm.Sci.、1990、79、579~583頁参照)。
本発明に関連して使用されるキレート剤は、金属イオンとの錯体を形成することによって溶液から金属イオンを除去し、粘膜を通るiRNAの吸収が向上されるという結果を生じる化合物として定義される。本発明における浸透促進剤としてのキレート剤の使用に関して、ほとんどの特徴付けられたDNAヌクレアーゼが触媒作用のために二価金属イオンを必要とし、したがって、キレート剤によって阻害されるため、キレート剤は、DNアーゼ阻害剤としても作用するというさらなる利点を有する(Jarrett,J.Chromatogr.、1993、618,315~339頁)。好適なキレート剤としては、限定はされないが、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチレート(例えば、サリチル酸ナトリウム、5-メトキシサリチレート、およびホモバニレート)、コラーゲンのN-アシル誘導体、ラウレス-9およびβ-ジケトンのN-アミノアシル誘導体(エナミン)が挙げられる(例えば、Katdare,A.ら、Excipient development for pharmaceutical,biotechnology,and drug delivery,CRC Press,Danvers,MA、2006;Leeら、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1991、92頁;Muranishi、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1990、7、1~33頁;Buurら、J.Control Rel.、1990、14、43~51頁参照)。
本明細書で使用する場合、非キレート非界面活性剤の浸透促進化合物は、キレート剤または界面活性剤としてのわずかな活性を示すが、それにもかかわらず、消化器粘膜を通るiRNAの吸収を増大する化合物として定義される(例えば、Muranishi、Cr
itical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1990、7、1~33頁参照)。このクラスの浸透促進剤としては、例えば、不飽和環状尿素、1-アルキル-および1-アルケニルアザシクロ-アルカノン誘導体(Leeら、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1991、92頁);ならびにジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、およびフェニルブタゾンのような非ステロイド性抗炎症剤(Yamashitaら、J.Pharm.Pharmacol.、1987、39、621~626頁)が挙げられる。
細胞レベルにおけるiRNAの取り込みを促進する薬剤も、本発明の医薬組成物および他の組成物に加えられる。例えば、リポフェクチンなどのカチオン性脂質(Junichiら、米国特許第5,705,188号)、カチオン性グリセロール誘導体、およびポリリジンのようなポリカチオン性分子(Lolloら、PCT出願の国際公開第97/30731号パンフレット)も、dsRNAの細胞取り込みを促進することが公知である。市販のトランスフェクション試薬の例としては、特に、例えば、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad、CA)、Lipofectamine 2000(商標)(Invitrogen;Carlsbad、CA)、293fectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad、CA)、Cellfectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad、CA)、DMRIE-C(商標)(Invitrogen;Carlsbad、CA)、FreeStyle(商標)MAX(Invitrogen;Carlsbad、CA)、Lipofectamine(商標)2000 CD(Invitrogen;Carlsbad、CA)、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad、CA)、RNAiMAX(Invitrogen;Carlsbad、CA)、Oligofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad、CA)、Optifect(商標)(Invitrogen;Carlsbad、CA)、X-tremeGENE Q2 Transfection Reagent(Roche;Grenzacherstrasse、Switzerland)、DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Grenzacherstrasse、Switzerland)、DOSPER Liposomal Transfection Reagent(Grenzacherstrasse、Switzerland)、またはFugene(Grenzacherstrasse、Switzerland)、Transfectam(登録商標)Reagent(Promega;Madison、WI)、TransFast(商標)Transfection Reagent(Promega;Madison、WI)、Tfx(商標)20 Reagent(Promega;Madison、WI)、Tfx(商標)-50 Reagent(Promega;Madison、WI)、DreamFect(商標)(OZ Biosciences;Marseille、France)、EcoTransfect(OZ Biosciences;Marseille、France)、TransPass D1 Transfection Reagent(New England
Biolabs;Ipswich、MA、USA)、LyoVec(商標)/LipoGen(商標)(Invitrogen;San Diego、CA、USA)、PerFectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego、CA、USA)、NeuroPORTER Transfection
Reagent(Genlantis;San Diego、CA、USA)、GenePORTER Transfection reagent(Genlantis;San Diego、CA、USA)、GenePORTER 2 Transfection reagent(Genlantis;San Diego、CA、USA)、Cytofectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego、CA、USA)、BaculoPORTER Transfec
tion Reagent(Genlantis;San Diego、CA、USA)、TroganPORTER(商標) transfection Reagent(Genlantis;San Diego、CA、USA)、RiboFect(Bioline;Taunton、MA、USA)、PlasFect(Bioline;Taunton、MA、USA)、UniFECTOR(B-Bridge International;Mountain View、CA、USA)、SureFECTOR(B-Bridge International;Mountain View、CA、USA)、またはHiFect(商標)(BーBridge International、Mountain View、CA、USA)が挙げられる。
エチレングリコールおよびプロピレングリコールのようなグリコール、2-ピロールのようなピロール、アゾン、ならびにリモネンおよびメントンのようなテルペンを含む、他の薬剤を用いて、投与される核酸の浸透を促進することができる。
v.担体
本発明の特定の組成物は、製剤中に担体化合物も組み込んでいる。本明細書で使用する場合、「担体化合物」または「担体」は、不活性(すなわち、それ自体が生物学的活性を持たない)であるが、例えば、生物学的に活性な核酸を分解する、または循環からの核酸の除去を促進することによる、生物学的活性を有する核酸のバイオアベイラビリティを低下させるインビボでのプロセスによって核酸と認識される核酸またはその類似体を指すことができる。核酸および担体化合物の共投与、典型的には過剰な後者の物質による共投与により、おそらくは共通の受容体に対する担体化合物と核酸との競合に起因して、肝臓、腎臓、または他の循環外リザーバーの中で回収される核酸の量が実質的に低下し得る。例えば、肝組織内での部分的ホスホロチオエートdsRNAの回収は、それがポリイノシン酸、デキストラン硫酸塩、ポリシチジル酸、または4-アセトアミド-4’イソチオシアノ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸と共投与された場合、低下する(Miyaoら、DsRNA Res.Dev.、1995、5、115~121頁;Takakuraら、DsRNA & Nucl.Acid Drug Dev.、1996、6、177~183頁)。
vi.賦形剤
担体化合物とは対照的に、「医薬担体」または「賦形剤」は、動物に1つまたはそれ以上の核酸を送達するための薬学的に許容される溶媒、懸濁剤、または任意の他の薬学的に不活性なビヒクルである。賦形剤は、液体または固体とすることができ、計画された投与方法を考慮に入れて、核酸および所与の医薬組成物の他の構成成分と組み合わされた場合に、所望の容積、稠度などを提供するように選択される。典型的な医薬担体としては、限定はされないが、結合剤(例えば、α化トウモロコシでんぷん、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);充填剤(例えば、乳糖および他の糖、微結晶セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレート、またはリン酸水素カルシウムなど);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、金属ステアリン酸塩、水素化植物油、トウモロコシでんぷん、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);錠剤崩壊剤(例えば、でんぷん、でんぷんグリコール酸ナトリウムなど);および湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)が挙げられる。
核酸と有害に反応しない、非-非経口投与に好適な薬学的に許容される有機または無機賦形剤も本発明の組成物の製剤化に使用される。好適な薬学的に許容される担体としては、限定はされないが、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
核酸の局所投与用の製剤は、アルコールのような通常の溶媒中の無菌および非無菌水性溶液、非水性溶液、または液体もしくは固体油ベース中の核酸の溶液を含み得る。溶液は、緩衝剤、希釈剤、および他の好適な添加剤も含み得る。核酸と有害に反応しない、非-非経口投与に好適な薬学的に許容される有機または無機賦形剤を使用し得る。
好適な薬学的に許容される賦形剤としては、限定はされないが、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
vii.他の構成成分
本発明の組成物はさらに、医薬組成物中に従来見出される他の補助構成成分も、当技術分野で確立されたそれらの使用レベルで含有し得る。したがって、例えば、組成物は、例えば、鎮痒薬、収斂薬、局所麻酔薬もしくは抗炎症薬剤のような、さらなる適合可能な、薬学的に活性な材料を含有することができ、または染料、風味剤、保存剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤、および安定剤のような本発明の組成物の様々な剤形を物理的に製剤化するのに有用なさらなる材料を含有することができる。しかしながら、そのような材料は、加えられたときに、本発明の組成物の構成成分の生物学的活性を過度に妨害しない必要がある。製剤は滅菌されてもよく、また所望の場合、製剤の核酸と有害に相互作用しない補助剤、例えば潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、着色料、調味料および/または芳香性物質などと混合される。
水性懸濁液は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む、懸濁液の粘度を増大させる物質を含有し得る。懸濁液は、安定剤も含み得る。
いくつかの実施形態では、本発明で取り上げられる医薬組成物は、(a)1つまたはそれ以上のiRNA化合物、および(b)非RNAi機構によって機能し、溶血性障害を処置するのに有用な1つまたはそれ以上の薬剤を含む。そのような薬剤の例としては、限定はされないが、抗炎症剤、抗脂肪症剤、抗ウイルス剤、および/または抗繊維症剤が挙げられる。さらに、シリマリンのような、肝臓を保護するのに一般的に使用される他の物質も、本明細書に記載のiRNAと共に使用される。肝疾患を処置するのに有用な他の薬剤としては、テルビブジン、エンテカビル、およびテラプレビルのようなプロテアーゼ阻害剤、ならびに例えば、Tungら、米国特許出願公開第2005/0148548号、第2004/0167116号、および第2003/0144217号;ならびにHaleら、米国特許出願公開第2004/0127488号に開示されている他の薬剤を含む。
そのような化合物の毒性および処置効果は、例えば、LD50(個体群の50%に致死的な用量)およびED50(個体群の50%に治療有効な用量)を決定するための、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定される。毒性作用と処置効果との間の用量比は、治療指数であり、LD50/ED50比として表される。高い治療指数を示す化合物が好ましい。
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトにおける使用のためのある範囲の投与量を製剤化するのに使用される。本発明において本明細書で取り上げられる組成物の投与量は、一般に、ほとんどまたは全く毒性を伴わずにED50を含む血中濃度の範囲内である。投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。本発明で取り上げられる方法に使用される任意の化合物では、治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に推測される。用量は、細胞培養物中で測定して、
ISERPINC10(すなわち、症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む、化合物の、または適切な場合、標的配列のポリペプチド産物の循環血漿濃度範囲を動物モデル内で達成する(例えば、ポリペプチドの濃度の低下を達成する)ように製剤化される。そのような情報を使用して、ヒトでの有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
上記で論じたように、それらの投与に加えて、本発明で取り上げられるiRNAは、SERPINC1発現により仲介される病理仮定の処置に有効な他の公知の薬剤と組み合わせて投与される。いずれの場合でも、投与する医師は、観察された結果に基づいて、当技術分野で公知のまたは本明細書に記載の標準的な有効性の尺度を使用して、iRNA投与の量および時間を調整することができる。
VI.キット
本発明は、本発明の任意の方法を行うためのキットも提供する。このようなキットは、1つまたはそれ以上のRNAi薬剤および使用説明書、例えば予防または治療有効用量のRNAi薬剤の投与のための説明書を含む。キットは場合により、RNAi薬剤を投与するための手段(例えば、注入装置)、またはSerpinc1の阻害を測定するための手段(例えば、Serpinc1 mRNA、Serpinc1タンパク質、および/またはSerpinc1活性の阻害を測定するための手段)をさらに含み得る。Serpinc1の阻害を測定するためのこのような手段は、例えば血漿サンプルのような対象からのサンプルを得るための手段を含み得る。本発明のキットは、場合により、治療有効用量または予防有効量を決定するための手段をさらに含み得る。
特に定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者により通常に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと同様のまたは等価な方法および材料を、本発明で取り上げられるiRNAおよび方法の実践または試験に使用できるが、好適な方法および材料は下記に記載されている。本明細書に言及したすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、それらの全体を参照によって本明細書に組み入れる。さらに、材料、方法、および実施例は、単なる例示であり、限定を意図するものではない。
Figure 2023123756000023
Figure 2023123756000024
健常なヒト対象への単回用量のAT3SC-001の投与
3:1(実薬:プラセボ)のコホートの、24人の健常なヒトボランティアに、単回用量0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.6mg/kg、または1.0mg/kgのAT3SC-001(センス(5’から3’):GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAfL96(配列番号13);アンチセンス(5’から3’):usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg(配列番号14))を投与した。血漿試料を、投与後0、1、2、3、7、10、14、21、28、42、56、および70日目に回収し、ATタンパク質レベル、AT活性、およびATタンパク質サイレンシングの期間をモニターした。ATタンパク質レベルは、ELISAを使用してモニターし、AT活性レベルは、Calibrated Automated Thrombinoscope(組織因子=1pM)を使用してトロンビン形成曲線の作製によってモニターした。ピークトロンビンの倍数変化は、各対象に対する2つのプレ用量値に関して平均ピークトロンビン値と比較して算出した。
重大な有害事象はなく、薬剤の投与に関連しないと考えられる3つの軽度の有害事象、および薬剤の投与に関連すると考えられる1つの軽度の有害事象(頭痛)があった。また、注射部位の反応もなく、すべての対象の身体検査、バイタルサイン、および心電図は正常範囲内であった。さらに、すべての対象のすべての肝機能検査、総ビリルビンレベル、プロトロンビン時間の国際標準比(PT/INR)、血小板数、ヘモグロビンレベル、および凝固検査(すなわち、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、プロトロンビン時間(PT)、フィブリノーゲンレベル、およびフィブリンD-ダイマーレベル)は、試験期間中変化せず、正常範囲内であった。
図1A~Dおよび2A~Bは、単回用量0.03mg/kgのAT3SC-001が、ATタンパク質レベルのおよそ20%から最大33%の低下(図2Aおよび2B)、ならびに60日より長い持続時間で低下する、相対するAT活性の低下(図1A~D)をもたらすことを示す。
図3は、ATノックダウンおよびピークトロンビン形成の間に重要な関連があることをさらに実証する。特に、ピークトロンビン形成の最大152%増加が観察され、ピークトロンビンの平均最大増加は138%±8.9%(平均±SEM)であった。さらに、ATノックダウンの増加に伴うトロンビン形成の増加と一致して、第VIII因子または第IX因子のレベルは正常であった。
血友病AまたはBのヒト患者への複数回用量のAT3SC-001の投与
フェーズI-パートB、C、およびD臨床試験
AT3SC-001(センス(5’から3’):GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAfL96(配列番号13);アンチセンス(5’から3’):usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg(配列番号14))のフェーズI臨床試験のパートBでは、血友病A(n=2)またはB(n=1)の3人の患者に、AT3SC-001を3週間毎週0.015mg/kg皮下投与し(15μg/kg qw×3;15mcg/kg);血友病Aの6人の患者に、AT3SC-001を3週間毎週0.045mg/kg皮下投与し(45μg/kg qw×3;45mcg/kg);血友病A(n=2)またはB(n=1)の3人の患者に、AT3SC-001を3週間毎週0.075mg/kg皮下投与した(75μg/kg qw×3;75mcg/kg)。
AT3SC-001(センス(5’から3’):GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAfL96(配列番号13);アンチセンス(5’から3’):usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg(配列番号14))のフェーズI臨床試験のパートCでは、血友病A(n=2)またはB(n=1)の3人の患者に、0.225mg/kg用量のAT3SC-001を3カ月間毎月皮下投与し(225μg/kg qm×3;225mcg/kg);血友病A(n=2)またはB(n=1)の3人の患者に、0.450mg/kg用量のAT3SC-001を3カ月間毎月皮下投与し(450μg/kg qm×3;450mcg/kg);血友病Aの3人の患者に、0.900mg/kg用量のAT3SC-001を3カ月間毎月皮下投与し(900μg/kg qm×3;900mcg/kg);血友病Aの3人の患者に、1.800mg/kg用量のAT3SC-001を3カ月間毎月皮下投与し(1800μg/kg qm×3;1800mcg/kg);血友病A(n=3)またはB(n=3)の6人の患者に、固定用量80mgのAT3SC-001を3カ月間毎月皮下投与した(80mg qM×3)。
AT3SC-001(センス(5’から3’):GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAfL96(配列番号13);アンチセンス(5’から3’):usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg(配列番号14))のフェーズI臨床試験のパートDでは、血友病A(n=5)またはB(n=1)であり、出血管理のためバイパス止血製剤(BPA)を使用している6人のインヒビター患者に、固定用量50mgのAT3SC-001を3カ月間毎月皮下投与し(50mg qM×3);血友病Aであり、出血管理のためバイパス止血製剤(BPA)を使用している10人の患者に、固定用量80mgのAT3SC-001を3カ月間毎月皮下投与した(80mg qM×3)。
血漿試料を、AT3SC-001の投与後に回収し、ATタンパク質レベル、AT活性、およびATタンパク質サイレンシングの期間をモニターした。ATタンパク質レベルは、ELISAを使用してモニターし、AT活性レベルは、Calibrated Automated Thrombinoscope(組織因子=1pM)を使用してトロンビン形成曲線の作製によってモニターした。ピークトロンビンの倍数変化は、各対象に対する2つのプレ用量値に関して平均ピークトロンビン値と比較して算出した。
試験のパートB、C、およびDに参加する患者の人口統計学的特性およびベースライン特性を表2に提供する。
Figure 2023123756000025
試験のパートB、C、およびDに関しては、重大な有害事象はなく、中断もなく、注射部位の反応もなく、すべての患者の身体検査、バイタルサイン、および心電図は正常範囲
内であった。さらに、すべての患者のすべての肝機能検査、総血球数は試験期間中変化せず、正常範囲内であった。また、本試験の期間中、血栓塞栓事象は見られず、いずれの患者においてもフィブリンD-ダイマーレベルの臨床的に著しい増加は見られなかった。いずれの出血事象も、標準的な補充因子またはバイパス止血製剤の投与によって成功裏に管理された。さらに、抗薬物抗体(ADA)形成の事例はなかった。
ベースラインに対する平均ATノックダウンとして示される、15mcg/kg、45mcg/kg、および75mcg/kgのコホートにおけるATレベルのノックダウンを、図4に示す。図4は、3週間、0.015mg/kgのAT3SC-001の週1回の用量が、29%±12%(平均±SEM)の平均最大ATノックダウンをもたらすことを実証する。最大ATノックタウンは最大53%であった。図4はまた、3週間、0.045mg/kgのAT3SC-001の週1回の用量が、55±9%(平均±SEM)の平均最大ATノックダウンおよび86%の最大ATノックタウンをもたらすことを実証する。さらに、図4はまた、3週間、0.075mg/kgのAT3SC-001の週1回の用量が、61±8%(平均±SEM)の平均最大ATノックダウンおよび74%の最大ATノックタウンをもたらすことを実証する。
ベースラインに対する平均ATノックダウンとして示される、225mcg/kg、450mcg/kg、900mcg/kg、1800mcg/kg、および80mgのコホートにおけるATレベルのノックダウンを、図5Aに示す。図5Aは、3カ月間、0.225mg/kgのAT3SC-001の月1回の用量が、70%±9%(平均±SEM)の平均最大ATノックダウンをもたらすことを実証する。最大ATノックタウンは最大80%であった。図5Aはまた、3カ月間、0.450mg/kgのAT3SC-001の月1回の用量が、77±5%(平均±SEM)の平均最大ATノックダウンおよび85%の最大ATノックタウンをもたらすことを実証する。さらに、図5Aはまた、3カ月間、0.900mg/kgのAT3SC-001の月1回の用量が、78±7%(平均±SEM)の平均最大ATノックダウンおよび88%の最大ATノックタウンをもたらすことを実証する。さらに、図5Aは、3カ月間、1.800mg/kgのAT3SC-001の月1回の用量が、79±3%(平均±SEM)の平均最大ATノックダウンおよび84%の最大ATノックタウンをもたらすことを実証する。図5Aはまた、3カ月間、80mgのAT3SC-001の月1回の用量が、87±1%(平均±SEM)の平均最大ATノックダウンをもたらすことを実証する。
AT3SC-001の用量対ATタンパク質レベルの相対最下点をグラフ化した図5Bで実証したように、AT3SC-001のヒト患者への投与は用量依存的にATタンパク質レベルを低下する。
健常なヒトボランティア(実施例1)および血友病AまたはBの患者におけるトロンビン形成の評価により、AT3SC-001の週1回の用量が、ATを≧50%ノックダウンした場合、ベースラインと比較して、トロンビン形成が平均112±38%(p<0.05)増加し、血友病患者のトロンビン形成において最大334%の増加(ベースラインと比較して)をもたらすことを実証した(図6B)。図6Aは、AT3SC-001を週1回の用量投与した血友病AまたはBの患者において達成された最大ピークトロンビンは、正常な対象におけるトロンビン形成の低範囲であったことを実証する。
1人の対象(対象101-009)由来の全血液のROTEM(登録商標)Thromboelastometry分析(例えば、Youngら、(2013)Blood 121:1944頁参照)により、3週間、毎週0.045mg/kgでのAT3SC-001の投与が、ピークトロンビン形成の増加をもたらすだけでなく、凝血塊形成および凝固時間の増加によって実証されるように全血液の凝血塊形成の明白で永続的な改善ももた
らすことが実証される(図7)。対象101-009は2日目から出血事象がなく、現時点では47日間出血がない。
AT低下四分位値によるトロンビン形成の事後分析(パートBおよびC)は、最高AT低下四分位値(>75% AT低下)において、ベースラインと比較して平均トロンビン形成において289%の増加を実証する(図9)。トロンビン形成のこのレベルは、健常なボランティアにおいて観察されたトロンビン形成の範囲内である。
3人の患者のサブ解析により、AT3SC-001投与および第VIII因子投与の等価性を調査した。簡潔に言うと、第VIII因子を3人の患者それぞれに投与し、投与後-0.5、1、2、6、24、および48時間で患者から血漿を回収した。各対象からの試料は、第VIII因子レベルおよびトロンビン形成レベルに関して分析し、個別化した第VIII因子-ピークトロンビン形成の関連を確立するために使用した。このデータは、次いで、AT3SC-001の投与によって達成されたピークトロンビン形成レベルとの比較のために使用した。図10A~10Cに示すように、AT3SC-001の投与は、対象への第VIII因子の投与によって達成されるのとほぼ同じレベルまで対象におけるピークトロンビン形成レベルを達成するのに十分であり、対象において約40%より高いピークトロンビン形成レベルを達成するのに十分である。
AT低下四分位値による出血事象の事後分析(パートBおよびC)は、最高AT低下四分位値において、平均推定年間出血率(ABR)5±2(中央値=1)の、AT低下レベルの増加による出血傾向の減少を実証する(図11)。この分析は、16人の患者における>75%のAT低下を伴う、1100日より多くの累積日数を含む。
パートCコホートにおける出血事象の事後分析も実施した。図12は、この分析に使用した患者のデータを提供する。図13Aで実証したように、コホートCに登録され、予防(PPx)補充因子を投与したすべての患者の過去のABR中央値は2であり、コホートCに登録され、オンデマンド(OD)補充因子を投与したすべての患者の過去のABR中央値は28であった。これらの患者へのAT3SC-001の投与は、ABR中央値の著しい減少をもたらした。特に、AT3SC-001の投与は、観察期間中(29日目から最終診察日または最終投与+56日、いずれか早い方)、出血を報告しない患者の53%の中央値をもたらし、観察期間中、突発性出血を報告しない患者の82%の中央値をもたらした。図13Bは、コホートCで80mgのAT3SC-001を毎月投与され、予防(PPx)補充因子を投与した患者に関して、過去のABR中央値が6であることを実証する。しかしながら、AT3SC-001の投与後、観察期間中のABR中央値は0であった。
フェーズI試験のパートDでは、投与した補充因子に対する抗体(インヒビター)を産生し、したがって補充凝固因子に対して無反応性になった血友病AまたはBの患者における、AT3SC-001投与の効果を評価した。したがって、AT3SC-001の投与前に、これらの患者のピークトロンビン応答を評価するため、50mgのコホートに登録された患者に、それらの標準的なバイパス止血製剤(BPA)を投与し(例えば、活性型プロトロンビン複合体製剤(APCC)および/または組換え活性型FVII(rFVIIa))、血漿試料をBPA投与後-1、2、6、および24時間で回収し、試料はトロンビン形成に関して分析した。図14A~14Fに示すように、AT3SC-001を投与したインヒビター患者におけるAT低下およびトロンビン形成は、非インヒビター患者において同様の用量のAT3SC-001の投与後に観察されたAT低下およびトロンビン形成に匹敵した。さらに、図14A~14Fは、AT3SC-001の投与後のトロンビン形成が、BPA投与によって達成された一過性のレベルを一貫して超えることを実証する。
図15で実証したように、50mgおよび80mgのAT3SC-001の1カ月に1回の皮下投与により、インヒビターを有する血友病患者において約80%の用量依存的なAT低下を達成した。さらに、図16で実証したように、AT3SC-001を投与した患者において達成されたAT低下効果は、トロンビン形成の増加と関連した。
試験のパートDの患者における出血事象の試験的事後分析も実施した。図17Aは、血友病AまたはBのインヒビター患者への、50mgまたは80mgのいずれかの用量で毎月1回AT3SC-001の投与により、プレ試験ABRにおける著しい減少をもたらしたことを示す。さらに、図17Bで実証したように、年間出血率(ABR)中央値は、本フェーズI試験のパートDにおいてAT3SC-001を投与したすべてのインヒビター患者に関してゼロであり、56%の患者が出血せず、69%の患者が突発性出血ゼロを経験した。
要約すると、AT3SC-001は、インヒビターを有するまたは有さない血友病AおよびBの患者において良好な耐用性を示した。試験薬に関連するSAEおよび血栓塞栓事象はなかった。データは、非インヒビター患者において血友病表現型の臨床活性および相関があることを実証する。データはさらに、1カ月に1回の皮下投与レジメンによる用量依存的なAT低下およびトロンビン形成の増加、ならびに50mgまたは80mgの固定用量のAT3SC-001の投与がおよそ80%の一貫したAT低下を提供することを実証する。
さらに、データは、インヒビター患者へのAT3SC-001の投与が非インヒビター患者と一貫して、AT低下およびトロンビン形成の増加をもたらし、トロンビン形成がBPA投与によって一過的に達成されたものを超えて一貫して増加することを実証する。
血友病AまたはBのヒト患者への複数回用量のAT3SC-001の投与
フェーズII非盲検継続投与(OLE)臨床試験
AT3SC-001(センス(5’から3’):GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAfL96(配列番号13);アンチセンス(5’から3’):usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg(配列番号14))のフェーズII OLE研究では、上述のフェーズIパートBおよびC臨床試験でAT3SC-001が事前に投与されたインヒビターを有するまたは有さない患者が、フェーズII非盲検延長(OLE)研究に登録するのに適格であった。AT3Sc-001が3週間にわたって毎週0.015mg/kg皮下投与された(15マイクログラム/kg qw×3;15mcg/kg);またはAT3SC-001が3週間にわたって毎週0.045mg/kg皮下投与された(45マイクログラム/kg qw×3;45mcg/kg);またはAT3SC-001が3週間にわたって毎週0.075mg/kg皮下投与された、インヒビターを有さない血友病AまたはBを有するフェーズIパートB研究からの15名の患者と;3カ月にわたってAT3SC-001が毎月0.225mg/kg用量で皮下投与された(225マイクログラム/kg qm×3;225mcg/kg);または3カ月にわたってAT3SC-001が毎月0.450mg/kg用量で皮下投与された(450マイクログラム/kg qm×3;450mcg/kg);または3カ月にわたってAT3SC-001が毎月0.900mg/kg用量で皮下投与された(900マイクログラム/kg qm×3;900mcg/kg);または3カ月にわたってAT3SC-001が毎月1,800mg/kg用量で皮下投与された(1800マイクログラム/lg qm×3;1800mcg/kg);または3カ月にわたってAT3SC-001が80mgの月間固定用量で皮下投与された(80mg qM×3)、インヒビターを有さない血友病AまたはBを有するフェーズIパートC研究
からの18名の患者と;3カ月にわたってAT3SC-001が50mgの月間固定用量で皮下投与された(50mg qM×3);または3カ月にわたってAT3SC-001が80mgの月間固定用量で皮下投与された(80mg qM×3)、インヒビターを有する血友病AまたはBを有するフェーズIパートD研究からの16名の患者は、この研究に登録するのに適格であった。
33名の患者をこの研究に登録し、29名の患者は研究を継続し、5名の患者は中断した(4名は承諾の撤回に起因し、1名はAEに起因する。)。インヒビターを有さない血友病A(n=7)または血友病B(n=3)を有する10名の患者に、3カ月にわたって毎月、AT3SC-001を、50mgの固定用量で皮下投与し(50mg qM×3);インヒビターを有さない血友病A(n=7)または血友病B(n=2)を有する9名の患者に、3カ月にわたって毎月、AT3SC-001を、80mgの固定用量で皮下投与した(50mg qM×3)。同様に、インヒビターを有する血友病A(n=3)を有する3名の患者に、3カ月にわたって毎月、AT3SC-001を50mgの固定用量で皮下投与し(50mg qM×3);インヒビターを有する血友病A(n=11)または血友病B(n=1)を有する11名の患者に、3カ月にわたって毎月、AT3SC-001を80mgの固定用量で皮下投与した(50mg qM×3)。この研究に登録された患者の、人口統計学的、ベースライン特性、およびAT3SC-001への曝露の持続時間を、下記の表3に示す。
Figure 2023123756000026
AT3SC-001は一般に、フェーズII OLEにおいて、インヒビターを有さない患者で十分な耐容性を示した。6名の患者は重大な有害事象(SAE)が報告され、その2つのSAEがおそらくはAT3SC-001の投与に関連しているとみなされ;慢性HCV感染症の1名の対象は、ALTおよびASTの上昇を経験し、その後、研究を中断し、発作性障害を持つ1名の対象は、患者の混乱を伴う発作を経験した。血栓塞栓事象がなく、または病的な凝血塊の形成の実験室での証拠もなかった。有害事象(AE)の大部分は、その重症度が軽度または中程度であり、AT3SC-001の投与に関係なかった
。正常上限(ULN)の3倍を超えた無症候性アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増大が、ULNの2倍を超えたビリルビンの同時上昇なしに、11名の患者で観察され、それらのすべてはC型肝炎感染症の病歴を有する。すべての破綻出血事象は、補充因子またはバイパス薬剤で首尾良く管理された。さらに、抗薬物抗体(ADA)形成の例もなかった。
図18、19A、および19Bはさらに、AT3SC-001投与の臨床活性を実証する。詳細には、図18で実証されるように、80mgでのAT3SC-001の毎月1回の皮下投薬は、ATの低下を一貫して実現した。図19Aで実証されるように、50mgまたは80mgでのAT3SC-001の毎月1回の皮下投薬は、低い患者間変動を伴う約80%の用量依存性AT低下を実現し、図19Bで実証されるように、50mgまたは80mgでのAT3SC-001の毎月1回の皮下投薬は、正常範囲の下限に近づくトロンビン形成レベルを実現する。
フェーズII OLE研究におけるインヒビターおよび非インヒビター患者の出血事象の試験的事後分析も行った。図20Aは、50mgまたは80mgのいずれかの用量での毎月1回の、インヒビターを有さない血友病AまたはBを有する患者へのAT3SC-001の投与が、研究前ABRの有意な低減をもたらすことを示し、図20Bは、50mgまたは80mgのいずれかの用量での毎月1回の、インヒビターを有する血友病AまたはBを有する患者へのAT3SC-001の投与が、研究前ABRの有意な低減をもたらすことを示す。OLE研究に参加するすべての患者のメジアンABRまとめると、観察期間中、患者の48%(16/33)で出血がなく、観察期間中のメジアンABRの全体は、1であった。さらに、患者の67%は、観察期間中に突発的な出血がないことが報告され、全体として、観察期間中のABRは0であった。OLE研究中、インヒビターを有するおよび有さない患者が経験する出血事象の特性を、図21に示す。対象の出血事象を、抗トロンビンの低下が≧75%であるときに評価した。
図22は、インヒビターを有さない血友病AまたはBの患者が経験する出血事象の管理の詳細を提供し、図23は、インヒビターを有する血友病AまたはBの患者が経験する出血事象の管理の詳細を提供する。意外にも、インヒビターを有さない血友病AまたはBの対象、およびインヒビターを有する血友病AまたはBを有する患者であって、50mgまたは80mgのいずれかの用量で毎月1回AT3SC-001が投与されたもの、および出血事象を経験したものは、出血を処置するために推奨される用量に比較して著しく低い補充因子またはバイパス薬剤、例えば、より低い用量の第VIII因子またはより低い用量のaPCCを必要とした。
まとめると、AT3SC-001は一般に、インヒビターを有するおよび有さない血友病AおよびBの患者において十分な耐容性を示した。さらにデータは、50mgおよび80mgでの毎月1回の皮下投薬が、低い患者間変動で約80%の用量依存性AT低下を、ならびに正常範囲の下端に近づくトロンビン形成レベルを実現させるので、AT3SC-001が臨床活性を有することを実証する。さらに、インヒビターを有するまたは有さない血友病AまたはBの患者における出血事象の試験的事後分析は、AT3SC-001の投与が、メジアンABRを1に低減させ、メジアン年間換算突発性出血率(AsBR)をゼロに低減させたことを実証する。観察期間中、33名のうち16名(48%)の患者には出血がなく、33名のうち22名(67%)の患者は、ゼロの突発性出血を経験した。すべての出血事象は、補充因子またはバイパス薬剤で首尾良く管理された。
更新される出血管理投薬指針:補充因子/バイパス薬剤の用量低減
上記にて提示される、フェーズIおよびフェーズI/II OLE研究から得られたデ
ータは、AT3SC-001が50mgまたは80mgである固定用量の毎月1回の皮下投薬が、約80%の一貫したAT低下もたらし、インヒビターを有するおよび有さない血友病AまたはBの対象において用量依存性ATの低下およびトロンビン形成の増大があることを実証する。
in silicoモデリングデータはこれらの観察を裏付け、一部の実施形態では約75%またはそれ以下のATレベルの減少も含めた、ATレベルの減少に応答して、高いトロンビン形成があることを予測する。インヒビターを有するおよび有さない血友病AおよびBの患者の血漿サンプルから得られたデータは、AT3SC-001での患者の投薬後、補充因子およびバイパス薬剤に応答した高いトロンビン形成を示す。さらに臨床データは、インヒビターを有さない血友病AまたはBを有する患者(図22)、およびインヒビターを有する血友病AまたはBを有する患者(図23)であって、50mgまたは80mgのいずれかの用量で毎月1回、AT3SC-001が投与されたもの、および出血事象を経験したものは、出血の処置に推奨される用量に比較して、より低い用量の補充因子またはバイパス薬剤、例えば、より低い用量の第VIII因子、またはより低い用量の第IX因子、またはより低い用量の延長された半減期の第IX因子、またはより低い用量の組換え第VIIa因子、またはより低い用量のaPCCを使用したことを実証する。
図24A~24Dに提示される、追加の臨床出血管理データはさらに、補充因子またはバイパス薬剤のより低い量で、AT3SC-001が投与された対象における出血の首尾良い処置を実証する。
したがって本明細書に提示されるデータは、AT3SC-001が投与された、すなわち毎月固定された皮下用量50mgまたは80mgが投与された対象への、より低い用量の補充因子またはバイパス薬剤の投与を裏付け、例えば対象へのdsRNA剤の投与は、Serpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる。したがって表4で述べるように、50mgまたは80mgのAT3SC-001の毎月皮下用量を受ける対象の出血管理の指針は、更新され、そのような出血は、より低い用量の補充因子またはバイパス薬剤を使用して管理されることになる。
例えば、インヒビターを有する血友病Aを有する対象の出血、例えば中程度の出血または大量の出血を処置するための、補充因子(第VIII因子)の推奨される有効量は、約30~50IU/kgである。しかし、血友病Aを有しかつ毎月固定皮下用量50mgまたは80mgのAT3SC-001が投与された対象の出血、例えば中程度の出血または大量の出血は、例えば対象に対するdsRNA剤の投与がSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる場合、第VIII因子が約5から約20IU/kgの用量で処置することができる。インヒビターを有さない血友病Bを有する対象では、出血、例えば大量の出血を処置するための補充因子(第IX因子または延長された半減期の第IX因子)の推奨される有効量は、約65~130IU/kgである。しかし、血友病Bを有しかつAT3SC-001の毎月固定皮下用量50mgまたは80mhが投与された対象の出血、例えば大量の出血は、例えば対象に対するdsRNA剤の投与がSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる場合、第IX因子または延長された半減期の第IX因子の用量約10から約30IU/kgの用量で処置することができる。インヒビターを有する血友病AまたはBを有する対象では、出血、例えば中程度の出血または大量の出血を処置するためのバイパス薬剤(活性型プロトロンビン複合体製剤;aPCC)の推奨される有効量は、約100U/kgである。しかしインヒビターを有する血友病AまたはBを有しかつAT3SC-001が50mgまたは80mgの毎月固定皮下用量で投与される対象の出血、例えば中程度の出血または大量の出血は、対象に対するdsRNA剤の投与がSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる場合、aPCCの用量約30から約50U/kgの用量で処置することができる。インヒビターを有する血友
病AまたはBを有する対象では、出血、例えば中程度の出血または大量の出血を処置するためのバイパス薬剤(組換え第VIIa因子;rFVIIa)の推奨される有効量は、約90マイクログラム/kgである。しかしインヒビターを有する血友病AまたはBを有しかつAT3SC-001が50mgまたは80mgの毎月固定皮下用量で投与される対象の出血、例えば中程度の出血または大量の出血は、例えば対象に対するdsRNA剤の投与がSerpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる場合、約10から約45μg/kgのrFVIIaの用量で処置することができる。
Figure 2023123756000027
血友病Aの処置に関し、AT3SC-001で処置したヒト患者の血漿におけるバイパス薬剤の添加によるトロンビン形成応答
実施例4で示したように、インヒビターを有するおよび有さない血友病Aの患者の血漿サンプルから得られたデータは、AT3SC-001を患者に投薬した後に、補充因子およびバイパス薬剤(BPA)に対して高いトロンビン形成応答を示す。特に、フェーズII OLE研究から得られたデータは、AT3SC-001の皮下投薬が、BPAの添加による投薬前血漿サンプルに比較して投薬後血漿サンプル中で高いトロンビン形成をもたらすことを実証し;より低い用量のBPAを、類似の止血効果を実現するために潜在的に使用できることを示唆する。
AT3SC-001媒介型AT低下の患者からの、選択された血漿サンプルでのBPAに対するトロンビン形成応答を調査するために、AT3SC-001での処置の前後の両方で、血小板に乏しい血漿を血友病Aの8名の患者(7名はインヒビターを有さず、1名
はインヒビターを有する)から収集した。患者の血漿AT活性を測定し、FXa活性ベースの色素産生アッセイ(SIEMENS INNOVANCE(登録商標)抗トロンビン)によって、正常なプール血漿に対して正規化した。血漿に、ex vivoで様々な用量のBPAをスパイクした:aPCC(0.5または1U/mL;それぞれ37.5および75U/kgの用量に対応する)またはrFVIIa(0.75、1.75、または2.5μg/mL;27、63、および90μg/kgの用量に対応する)。トロンビン形成応答およびAT活性レベルを、較正自動化トロンビノスコープ(組織因子=1pM)を使用してトロンビン形成曲線を作成することによりモニターした。トロンビン較正物質、FluCaキット、およびPPP-試薬-Low(1pM組織因子[TF]および4μMリン脂質)を含むすべての試薬は、Thrombinoscope BVから得た。
図25A~26Nに提示されるデータは、AT低下後に対象から得られた血漿サンプル中の高いトロンビン形成が、AT3SC-001の投与によって実現されたことを実証する。事実、AT低下は単独で、増大するピークトロンビン形成をもたらした。aPCCおよびrFVIIaは共に、AT3SC-001で処置した患者の血漿に添加されたとき、ピークトロンビン形成に直線的な増大をもたらした。より低い用量のaPCCは、インヒビターを有する(図25Aおよび25B)またはインヒビターを有さない(図26A~26N)血友病A患者のプレAT3SC-001血漿中の完全aPCC投薬で実現された場合に等しい、ピークトロンビン形成レベルをもたらすのに十分であった。すべての患者の血漿において、トロンビン形成は、AT低下血漿までrFVIIaの全量を添加して、正常な(LLN)範囲の下限に近づいたがその下限よりも低いままであった。
まとめると、バイパス薬剤の添加による投薬前血漿サンプルに比較して、高いトロンビン形成が、投薬後血漿サンプルでのAT3SC-001投与により実現された。これらの結果はさらに、例えば補充因子またはバイパス薬剤の低減した初期用量および補充因子またはバイパス薬剤の低減した最大用量、投薬間の最小間隔、ならびに24時間未満の間隔での補充因子またはバイパス薬剤の反復投薬が不要であること(rFVIIaを除く)も含め、上記実施例4で記述されるAT3SC-001処置中の突発的出血を経験する患者の止血を実現するために、推奨される用量に比較してより低い用量のバイパス薬剤の使用を裏付ける。
併用されるAT低下および因子補充によるトロンビン形成を予測するための定量的システム薬理学(QSP)
血友病AおよびBは、それぞれ第VIII因子および第IX因子の欠乏に起因する、不十分なトロンビン形成を特徴とする出血障害である。上述のように、AT3SC-001は、インヒビターを有するまたは有さない血友病Aおよび血友病Bの患者におけるトロンビン形成を改善しかつ止血を促進させる手段としての、毎月1回皮下投与される治験用RNAi治療標的抗トロンビン(AT)である。AT3SC-001を受ける患者は、それにも関わらず、補充因子での処置が必要とされる突発的出血を経験する。上述のように、臨床データおよびex vivoスパイクデータは、AT3SC-001処置中に突発的出血を経験する患者における止血を実現するのに推奨される用量に比較して、より低い用量のバイパス薬剤および補充因子の使用を裏付ける。
AT3SC-001処置中の突発的出血を経験する患者において止血を実現するのに推奨される用量に比較して、より低い用量のバイパス薬剤および補充因子の使用をさらに裏付けるために、ならびにATレベル、因子投薬、およびトロンビン形成(TG)の関係のより深い理解を得るために、凝血カスケードについて記述するin silico定量的システム薬理学(QSP)の動力学的モデルを使用して(Nayakら、(2015)CPT:pharmacometrics & systems pharmacolog
y 4.7:396~405)、ex vivoトロンビン形成(TG)アッセイをシミュレートした。詳細には、モデルは、66の反応および106のパラメーターによって記述され、初期血漿因子濃度は、血友病およびまれな出血障害がシミュレートされるように様々であった。さらに、血漿因子濃度は個体全体を通して±50%変動するので、Monte Carlo法を適用することにより、TGの正常範囲をシミュレートした:平均-140nM;範囲50~250nM。
下記の表は、様々な病状のモデルに使用される入力因子濃度を提示する。
Figure 2023123756000028
図27A~27Cに示されるように、QSPモデルを使用して作成されたデータは、AT低下を伴うトロンビン形成(TG)を予測した。特に、TGに関する臨床正常範囲はQSP予測に整合し、相関が、AT低下のある患者に関して臨床的に測定されたおよびモデル予測されたTGの間に観察された。図27Aは、暫定フェーズI(パートA~C)の結果から測定されたTGを示し、図27Bは、シミュレートされたTG(ATノックダウンに基づく)を示し、それぞれは、ATの四分位低下によってビニング(binned)された通りである。図27Cは、シミュレートされたTGデータと測定されたTGデータとの間の強力な相関を示す、散乱プロットである。
in silico QSPモデルは、重症の血友病Aに関するTG、AT低下、および第VIII因子用量の間の非線形関係を定量するためにも適用した(図28A)。AT低下および第VIII因子投薬を伴うTGの、ヒートマップの表示は、AT3SC-001で観察されたATレベル(10~25%)での5~10IU/kgの間の第VIII因子は、TGを正規化するのに十分になることを実証する(図28B)。同様に、AT低下および第IX因子投薬を伴うTGのヒートマップの表示は、10~25%のATでの10~20IU/kgの第IX因子が、TGを正規化するのに十分になることを実証する(図28C)。
因子薬物動態(1コンパートメントモデル)およびQSPモデルを統合して、因子投薬後の時間の関数としてピークトロンビンポテンシャル(PTP)をシミュレートした。図
29A(100%AT)に対して図29B(20%ベースラインAT)は、重症の血友病Aの患者における因子投薬の時間経過の影響を示し、AT低下が、突発的出血エピソードに関するFVIII投与後のピークおよびトラフ時点の両方でトロンビン形成を増強することを実証する。

Claims (56)

  1. インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象を処置する方法であって、
    Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約30mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、
    該二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、該アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含むSerminc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、該センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよび該アンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、該センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と、
    補充因子の治療有効量を対象に投与する工程であって、該補充因子の有効量は、該補充因子の推奨される有効量に比較して低減される工程と
    を含み、それによって、インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象を処置する、前記方法。
  2. インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象を処置する方法であって、
    Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約30mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、
    該二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、該アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含むSerpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、該センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよび該アンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、該センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と、
    バイパス薬剤の治療有効量を対象に投与する工程であって、該バイパス薬剤の有効量は、該バイパス薬剤の推奨される有効量に比較して低減される工程と
    を含み、それによって、インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象を処置する、前記方法。
  3. インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象を処置する方法であって、
    Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約40mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、
    該二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、該アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含むSerpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、該センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよび該アンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、該センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と、
    補充因子の治療有効量を対象に投与する工程であって、該補充因子の有効量は、該補充因子の推奨される有効量に比較して低減される工程と
    を含み、それによって、インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象を処置する、前記方法。
  4. インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象を処置する方法であって、
    Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約40mgから約90mgの固定用量を対象に投与する工程であって、
    該二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、該アンチセンス鎖は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列と3ヌクレオチドを超えずに異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含むSerpinc1をコードするmRNAに相補的な領域を含み、該センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよび該アンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、該センス鎖は、3’-末端で結合したリガンドとコンジュゲートしている工程と、
    バイパス薬剤の治療有効量を対象に投与する工程であって、該バイパス薬剤の有効量は、該バイパス薬剤の推奨される有効量に比較して低減される工程と
    を含み、それによって、インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象を処置する、前記方法。
  5. 固定用量の二本鎖RNAi薬剤は、月に1回、6週毎に1回、2カ月毎に1回、または年に4回、対象に投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 二本鎖RNAi薬剤は、約50mgの固定用量で対象に投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 二本鎖RNAi薬剤は、約80mgの固定用量で対象に投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  8. 二本鎖RNAi薬剤は、対象に皮下投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 対象はヒトである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  10. 血友病は血友病A、血友病B、または血友病Cである、請求項9に記載の方法。
  11. センス鎖のすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 修飾ヌクレオチドは、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミデート、およびヌクレオチドを含む非天然塩基からなる群から独立して選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 相補性の領域は、少なくとも17ヌクレオチド長である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 相補性の領域は、19から21の間のヌクレオチド長である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 相補性の領域は19ヌクレオチド長である、請求項14に記載の方法。
  16. それぞれの鎖は30ヌクレオチド長を超えない、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. センス鎖およびアンチセンス鎖のそれぞれは独立して19~25ヌクレオチド長である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. センス鎖およびアンチセンス鎖のそれぞれは独立して21から23ヌクレオチド長である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
  19. センス鎖は21ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は23ヌクレオチド長である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 少なくとも1つの鎖は、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 少なくとも1つの鎖は、少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
  22. リガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)誘導体である、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
  23. リガンドは
    Figure 2023123756000029
    である、請求項22に記載の方法。
  24. 二本鎖RNAi薬剤は、以下の概略図に示されるとおりリガンドとコンジュゲートし、
    Figure 2023123756000030
    XはOまたはSである、請求項23に記載の方法。
  25. XはOである、請求項24に記載の方法。
  26. 相補性の領域は、5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列からなる、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 二本鎖RNAi薬剤は、5’-GGUUAACACCAUUUACUUCAA-3’(配列番号16)のヌクレオチド配列を含むセンス鎖、および5’-UUGAAGUAAAUGGUGUUAACCAG-3’(配列番号15)のヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖を含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
  28. センス鎖は、5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)を含み、アンチセンス鎖は、5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)を含み、
    a、c、g、およびuは2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、GfまたはUfは2’-フルオロA、C、GまたはUであり;sはホスホロチオエート連結である、請求項27に記載の方法。
  29. センス鎖は、5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)を含み、アンチセンス鎖は、5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)を含み、
    a、c、g、およびuは2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、GfまたはUfは2’-フルオロA、C、GまたはUであり;sはホスホロチオエート連結であり、
    該センス鎖は、以下の概略図に示されるとおりリガンドとコンジュゲートし、
    Figure 2023123756000031
    XはOまたはSである、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 二本鎖RNAi薬剤は、医薬組成物として対象に投与される、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
  31. dsRNA剤の対象への投与は、Serpinc1活性を約75%またはそれ以上低下させる、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 補充因子は第VIII因子である、請求項1、3、および5~31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 対象に投与される第VIII因子の治療有効量は、約200IU/kg未満、または約190IU/kg未満、または約180IU/kg未満、または約170IU/kg未満、または約160IU/kg未満、または約150IU/kg未満、または約140IU/kg未満、または約130IU/kg未満、または約120IU/kg未満、または約110IU/kg未満、または約100IU/kg未満、または約90IU/kg未満、または約80IU/kg未満、または約70IU/kg未満、または約60IU/kg未満、または約50IU/kg未満、または約40IU/kg未満、または約30IU/kg未満、または約20IU/kg未満、または約10IU/kg未満である、請求項32に記載の方法。
  34. 対象に投与される第VIII因子の治療有効量は、第VIII因子の推奨される有効量の約3分の2から約5分の1である、請求項32に記載の方法。
  35. 対象に投与される第VIII因子の治療有効量は、約10から約20IU/kgの用量である、請求項34に記載の方法。
  36. 補充因子は第IX因子である、請求項1、3、および5~28のいずれか1項に記載の方法。
  37. 対象に投与される第IX因子の治療有効量は、約200IU/kg未満、または約190IU/kg未満、または約180IU/kg未満、または約170IU/kg未満、または約160IU/kg未満、または約150IU/kg未満、または約140IU/kg未満、または約130IU/kg未満、または約120IU/kg未満、または約110IU/kg未満、または約100IU/kg未満、または約90IU/kg未満、または約80IU/kg未満、または約70IU/kg未満、または約60IU/kg未満、または約50IU/kg未満、または約40IU/kg未満、または約30IU/kg未満、または約20IU/kg未満、または約10IU/kg未満である、請求項36に記載の方法。
  38. 対象に投与される第IX因子の治療有効量は、第IX因子の推奨される有効量の約2分の1から約6分の1である、請求項36に記載の方法。
  39. 対象に投与される第IX因子の治療有効量は、約20から約30IU/kgの用量である、請求項38に記載の方法。
  40. バイパス薬剤は、活性型プロトロンビン複合体製剤(aPCC)である、請求項2および4~31のいずれか1項に記載の方法。
  41. 対象に投与されるaPCCの治療有効量は、約100U/kg未満、または約90U/kg未満、または約80U/kg未満、または約70U/kg未満、または約60U/kg未満、または約50U/kg未満、または約40U/kg未満、または約30U/kg未満、または約20U/kg未満、または約10U/kg未満である、請求項40に記載の方法。
  42. 対象に投与されるaPCCの治療有効量は、aPCCの推奨される有効量の約2分の1から約3分の1である、請求項40に記載の方法。
  43. 対象に投与されるaPCCの治療有効量は、約30から約50U/kgの用量である、請求項42に記載の方法。
  44. バイパス薬剤は、組換え第VIIa因子(rFVIIa)である、請求項2および4~31のいずれか1項に記載の方法。
  45. 対象に投与されるrFVIIaの治療有効量は、約120μg/kg未満、または約110μg/kg未満、または約100μg/kg未満、または約90μg/kg未満、または約80μg/kg未満、または約70μg/kg未満、または約60μg/kg未満、または約50μg/kg未満、または約40μg/kg未満、または約30μg/kg未満、または約20μg/kg未満である、請求項44に記載の方法。
  46. 対象に投与されるrFVIIaの治療有効量は、rFVIIaの推奨される有効量の約2分の1である、請求項45に記載の方法。
  47. 対象に投与されるrFVIIaの治療有効量は、約45μg/kgの用量である、請求項46に記載の方法。
  48. 対象のトロンビンレベルを測定する工程をさらに含む、請求項1~47のいずれか1項に記載の方法。
  49. 対象の補充因子レベルを測定する工程をさらに含む、請求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
  50. インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象を処置する方法であって、
    Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約80mgの固定用量を対象に投与する工程であって、
    該二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
    該センス鎖は、5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)を含み、該アンチセンス鎖は、5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)を含み、
    a、c、g、およびuは、2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、Gf、またはUfは、2’-フルオロA、C、G、またはUであり;sは、ホスホロチオエート連結であり、
    該センス鎖の3’-末端は、以下の概略図
    Figure 2023123756000032
    (式中、Xは、OまたはSである。)
    に示されるようにリガンドとコンジュゲートしている工程と、
    補充因子の治療有効量を対象に投与する工程であって、
    該補充因子の有効量は、該補充因子の推奨される有効量に比較して低減される工程と
    を含み、それによって、インヒビターを有さない血友病を有する対象の出血事象を処置する、前記方法。
  51. インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象を処置する方法であって、
    Serpinc1の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)薬剤の約80mgの固定用量を対象に投与する工程であって、
    該二本鎖RNAi薬剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
    該センス鎖は、5’-GfsgsUfuAfaCfaCfCfAfuUfuAfcUfuCfaAf-3’(配列番号13)を含み、該アンチセンス鎖は、5’-usUfsgAfaGfuAfaAfuggUfgUfuAfaCfcsasg-3’(配列番号14)を含み、
    a、c、g、およびuは、2’-O-メチル(2’-OMe)A、C、G、またはUであり;Af、Cf、Gf、またはUfは、2’-フルオロA、C、G、またはUであり;sは、ホスホロチオエート連結であり、
    該センス鎖の3’-末端は、以下の概略図
    Figure 2023123756000033
    (式中、Xは、OまたはSである。)
    に示されるようにリガンドとコンジュゲートしている工程と、
    バイパス薬剤の治療有効量を対象に投与する工程であって、
    該バイパス薬剤の有効量は、該バイパス薬剤の推奨される有効量に比較して低減される工程と
    を含み、それによって、インヒビターを有する血友病を有する対象の出血事象を処置する、前記方法。
  52. RNAi薬剤の固定用量は、対象に皮下投与される、請求項50または51に記載の方法。
  53. RNAi薬剤の固定用量は、対象に、1カ月に1回投与される、請求項50または51に記載の方法。
  54. 血友病は、血友病Aである、請求項50または51に記載の方法。
  55. 血友病は、血友病Bである、請求項50または51に記載の方法。
  56. 血友病は、血友病Cである、請求項50または51に記載の方法。
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