JP2023122702A - 注射剤及び注射剤の製造のための粒子の使用 - Google Patents

注射剤及び注射剤の製造のための粒子の使用 Download PDF

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秀珍 南
Xiuzhen Nan
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暢次朗 江口
Nobujiro Eguchi
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Abstract

【課題】タダラフィルに徐放性を付与し、低用量で高い薬効を得ることができる注射剤及び注射剤の製造のための粒子の使用を提供する。【解決手段】注射剤は、タダラフィルと生体吸収性ポリマーとを含有する粒子を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、注射剤及び注射剤の製造のための粒子の使用に関する。
タダラフィルは、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤であって、前立腺肥大症に伴う排尿障害改善、血圧降下、勃起不全及び肺動脈性肺高血圧症等に有効である。特許文献1では、タダラフィル等のPDE5阻害剤を静脈内投与用製剤とすることで、適用する疾患の幅を広げることが検討されている。
特許文献2には、水にほとんど不溶であるタダラフィルの溶解速度及び生物学的利用能を増大させるために、ナノ粒子化されたタダラフィルが開示されている。特許文献3には、噴霧かつ吸入可能な製剤として、肺高血圧症等を治療するための活性成分としてタダラフィルと生体適合性ポリマーとを含むナノ粒子が開示されている。
特表2008-526907号公報 特表2009-507925号公報 特表2014-516044号公報
前立腺肥大症の患者の場合、一般にはタダラフィルを毎日服用する必要がある。前立腺肥大症の患者は高齢者になるほど増加し、80代では約90%が前立腺肥大症に罹患している。前立腺肥大症のような高齢患者の多い疾患の場合、服用回数が多くなると服用を忘れてしまうおそれがある。上記特許文献1~3に開示された各製剤では、服用回数を抑えることは意図されていない。
また、タダラフィルには、稀にではあるが腎機能障害等の副作用が知られている。より低用量で薬効を引き出すことができれば、副作用を抑えられることが期待できる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、タダラフィルに徐放性を付与し、低用量で高い薬効を得ることができる注射剤及び注射剤の製造のための粒子の使用を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係る注射剤は、
タダラフィルと生体吸収性ポリマーとを含有する粒子を含む。
前記生体吸収性ポリマーは、
ポリラクチドグリコライドコポリマーを含む、
こととしてもよい。
前記粒子は、
分散剤をさらに含む、
こととしてもよい。
前記分散剤は、
ポリビニルアルコールである、
こととしてもよい。
前記粒子の50%径は、
1~100μmである、
こととしてもよい。
本発明の第2の観点に係る注射剤の製造のための粒子の使用は、
注射剤の製造のための、タダラフィルと生体吸収性ポリマーとを含有する粒子の使用である。
本発明によれば、タダラフィルに徐放性を付与し、低用量で高い薬効を得ることができる。
走査電子顕微鏡(SEM)で撮像した実施例1~9の画像を示す図である。 試験例1におけるタダラフィルの放出性の評価結果を示す図である。 試験例2におけるタダラフィルの血漿中の濃度を示す図である。 試験例3におけるタダラフィルの血漿中の濃度を示す図である。
本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施の形態及び図面によって限定されるものではない。なお、下記の実施の形態において、“有する”、“含む”又は“含有する”といった表現は、“からなる”又は“から構成される”という意味も包含する。
本実施の形態に係る注射剤は、タダラフィルと生体吸収性ポリマーとを含有する粒子を含む。タダラフィルの分子式及び分子量は、それぞれC22H19N3O4及び389.4である。
本実施の形態に係るポリマーは、生体への注射後、生体内に滞留し、タダラフィルを徐放するための生体吸収性の性質を有するポリマーである。本実施の形態における生体吸収性ポリマーは、生体への刺激及び毒性が低く、かつ投与後分解して代謝されるポリマーである。
生体吸収性ポリマーは、生体吸収性ポリエステルから製造することができる。生体吸収性ポリエステルは、例えば、D,L-ラクチド、D-ラクチド、L-ラクチド、D,L-乳酸、D-乳酸、L-乳酸、グリコリド、グリコール酸、ε-カプロラクトン、ε-ヒドロキシヘキサン酸、γ-ブチロラクトン、γ-ヒドロキシ酪酸、δ-バレロラクトン、δ-ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシ酪酸及びリンゴ酸等から選択される1種又はそれ以上のモノマーを重合することにより合成されるポリエステルである。
好ましくは、生体吸収性ポリマーとして、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸、乳酸・グリコール酸コポリマー、又は乳酸・アスパラギン酸コポリマーが用いられる。好適には、生体吸収性ポリマーは、ポリラクチドグリコライドコポリマー(PLGA)、PLGAのポリエチレングリコール(PEG)修飾体又はポリエチレングリコール/キトサン修飾-PLGA(PEG/CS-PLGA)である。PLGAの表面をPEGで修飾すると、血中安定性が向上する点で好ましい。
PLGAは、例えば1:99~99:1の割合で、乳酸又はラクチドとグリコール酸又はグリコライドとからなるコポリマーである。PLGAは、任意のモノマーから一般的な方法で合成してもよいし、市販のものを使用してもよい。乳酸及びグリコール酸の含有量が25~65質量%であるPLGAは非晶質であり、アセトン等の有機溶媒に可溶である点で好ましい。
好ましくは、上記の粒子は分散剤をさらに含む。分散剤としては、界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、レシチン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリソルベート等が挙げられる。分散剤は、親水性基と疎水性基の両方の官能基を有しており、界面活性剤としても機能する点でPVAが特に好ましい。
本実施の形態に係る注射剤は、賦形剤をさらに含んでもよい。賦形剤は、粒子に含有されてもよい。賦形剤としては、薬学的に許容される公知の任意の賦形剤が使用できる。粒子に含まれる賦形剤は、例えば、乳糖、マンニトール、トレハロース、イノシトール、エリスリトール、ショ糖、プルラン、ソルビトール、デンプン類、デキストリン、デキストラン、アルギン酸ナトリウム、結晶セルロース、メチルセルロース、カルメロースナトリウム、PVA、PVP、天然高分子、合成高分子、並びにグリシン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン及びヒスチジン等のアミノ酸類である。
粒子の粒子径(粒径)は、特に限定されないが、マイクロオーダー又はナノオーダーである。粒子の粒子径は、例えば、0.1~1000nm、0.01~800μm、0.1~500μm、0.5~300μm、1~100μm又は5~60μm、好ましくは10~40μmである。粒子の粒子径は、ふるい分け法、沈降法、顕微鏡法、光散乱法、レーザー回折・散乱法、電気的抵抗試験、透過型電子顕微鏡による観察、及び走査型電子顕微鏡による観察等で測定できる。粒子の粒子径は公知の粒度分布計で測定してもよい。粒子の粒子径は、測定方法に応じて、ストーク相当径、円相当径及び球相当径等で表すことができる。また、粒子の粒子径は、複数の粒子を測定対象として、レーザー回折・散乱法等の測定に基づく個数分布等から算出される平均で表した平均粒子径、体積平均粒子径及び面積平均粒子径等であってもよい。
例えば、粒子の粒子径は、レーザー回折・散乱法等の測定に基づく体積分布等から算出される平均粒子径であってもよい。具体的には、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径である体積平均粒子径(50%径;D50)を粒子径としてもよい。累積カーブ及びD50は、市販の粒度分布計を用いて求めることができる。粒度分布計としては、例えば、Nanotrac Wave-EX150(MicrotracBEL社製)及びNIKKISO Nanotrac Wave-EX150(日機装社製)等が挙げられる。
ナノ粒子の粒子径のスパン値は3.0以下である。スパン値は、(D90-D10)/D50で求められる。ここで、D90は上記累積カーブが90%となる点の粒子径である90%径である。D10は上記累積カーブが10%となる点の粒子径である10%径である。D90及びD10も、市販の粒度分布計を用いて求めることができる。好ましくは、粒子の粒子径のスパン値は、より好ましくは、2.5以下である。
本実施の形態に係る粒子の製造方法として、公知の任意の製造方法を採用できる。例えば、粒子は、水中エマルジョン法で製造できる。水中エマルジョン法では、生体吸収性ポリマーが溶解する良溶媒と、生体吸収性ポリマーが溶解しない貧溶媒の2種類の溶媒を用いる。良溶媒には、生体吸収性ポリマーが溶解し、かつ貧溶媒へ混和する有機溶媒を用いる。良溶媒及び貧溶媒の種類は、特に限定されない。
貧溶媒としては、水が挙げられ、水に分散剤を添加してもよい。なお、貧溶媒によっては分散剤を必要としない場合もある。
良溶媒としては、難水溶性の有機溶媒であるジメチルスルホキシド(DMSO)、ジクロロメタン(CHCl)、ハロゲン化アルカン類、アセトン、メタノール、エタノール、エチルアセテート、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、ベンゼン及びトルエン等が挙げられる。好ましくは、DMSOとジクロロメタンとの混合溶媒が良溶媒として用いられる。
水中エマルジョン法では、まず、タダラフィル及び生体吸収性ポリマーを良溶媒に溶解させる。タダラフィルと生体吸収性ポリマーとを含む混合液を、撹拌している貧溶媒中に滴下すると、混合液中の良溶媒が貧溶媒中へ急速に拡散移行する。その結果、貧溶媒中で良溶媒の乳化が起き、良溶媒のエマルジョン滴が形成される。
さらに良溶媒と貧溶媒の相互拡散により、エマルジョン内から有機溶媒が貧溶媒へと継続的に拡散するため、エマルジョン滴内の生体吸収性ポリマー及びタダラフィルの溶解度が低下する。最終的には、タダラフィルを含有する生体吸収性粒子が生成する。その後、良溶媒である有機溶媒を遠心分離又は減圧留去し、必要に応じて凍結乾燥等により再分散可能な生体吸収性粒子を得る。得られた生体吸収性粒子におけるタダラフィルの含有率は、例えば2~99質量%、5~30質量%、10~25質量%又は15~22質量%である。
なお、生体吸収性粒子内部へのタダラフィルの含量を高めるため、貧溶媒にカチオン性高分子を添加してもよい。カチオン性高分子としては、キトサン及びキトサン誘導体、セルロースに複数のカチオン基を結合させたカチオン化セルロース並びにポリエチレンイミン、ポリビニルアミン及びポリアリルアミン等のポリアミノ化合物等が挙げられる。
本実施の形態に係る注射剤の投与経路は注射を介する投与経路である。例えば、当該注射剤は、皮下、皮内又は筋肉内に注射される。
本実施の形態に係る注射剤は、ヒト及び非ヒト動物に投与される。非ヒト動物は、好ましくは哺乳類で、より具体的には、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ及びシカ等である。
本実施の形態に係る注射剤の投与量は、投与対象の性別、年齢、体重及び症状等によって適宜決定される。当該注射剤は、タダラフィルが有効量となるように投与される。有効量とは、所望の結果を得るために必要なタダラフィルの量であり、治療又は処置する状態の進行の遅延、阻害、予防、逆転又は治癒をもたらすのに必要な量である。
好ましくは、当該注射剤は、毎日ではなく、数日に1回、好ましくは1、2、3、4又は5週間に1回、より好ましくは1か月に1回、投与される。この場合の当該注射剤の投与量は、投与間隔とタダラフィルの放出速度及び血中濃度の経時変化等を検討して、適宜決定される。好ましくは、当該注射剤の投与量は、投与から次の投与までに一定以上の血中濃度を維持するように設定される。
本実施の形態に係る注射剤は、下記実施例に示すように、投与後初期のバーストを低く抑え、タダラフィルを緩やかに徐々に放出する。しかも当該注射剤によれば、1か月後でも注射部位にタダラフィルが残存していた。当該注射剤によって、長期にわたってタダラフィルの血中濃度を、副作用が出現する傾向がある血中濃度未満で、かつ薬効が得られる血中濃度以上に維持することで、低用量で高い薬効を得ることができる。
別の実施の形態では、注射剤の製造のための、タダラフィルと生体吸収性ポリマーとを含有する粒子の使用が提供される。また、本実施の形態に係る注射剤は、少なくともタダラフィル又はPDE5阻害剤が有効性を示す疾患用治療薬として使用できる。当該疾患として、例えば、前立腺肥大症、排尿障害、血圧降下、勃起不全及び肺高血圧症が挙げられる。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。なお、以下では“%”は特に言及のない限り“質量%”を意味する。
[マイクロ粒子の調製]
タダラフィル及びポリマーを含有するマイクロ粒子を上述の水中エマルジョン法(O/W法)により以下のように調製した。表1にマイクロ粒子(実施例1~9)の調製条件を示す。なお、表1におけるポリマー“PLGA(50/50)-60,000-10% PEG”はMerck社製で、その他のポリマーは多木化学社製である。また、表1におけるポリマーの種類におけるPLGAに記載された(x/y)は乳酸/グリコール酸の比率を示し、ハイフンに続く数値はポリマーの平均重量分子量を示す。実施例5に使用したポリマーは10%PEGで修飾されたPLGAである。
タダラフィル及びポリマーをDMSO/CHClの混合液に溶解させて油相溶液を得た。油相溶液の粘性が粒子形状に主に影響するため、O/W乳化前の油相溶液の温度を都度変化させた。その後、クレアミックス(エムテクニック社製)にて撹拌(室温、6000rpm)させた100mLの0.1%PVA中に油相溶液を滴下し、滴下後3分間、同じ条件で撹拌しO/Wエマルシヨンを調製した。その後撹拌機にて、有機溶媒を留去(室温、1000rpm、3時間)した。留去後、75μm又は100μmメッシュの篩で篩過した溶液を遠心分離(室温、1500rpm、5分間)で集め、マイクロ粒子を回収した。回収したマイクロ粒子を100mLのMilliQ水で洗浄し、遠心分離(室温、1500rpm、5分)にて回収した。2回洗浄し、洗浄後のマイクロ粒子をMilliQ水100mLに分散させ、凍結乾燥にてマイクロ粒子(実施例1~9)を得た。得られたマイクロ粒子の粒度分布をマイクロトラック粒子径分布・粒子形状解析装置Sync Analyzer(MicrotracBEL社製)を用いて湿式測定した。さらに、マイクロ粒子をSEMで観察した。
[粒度分布と含有率の測定]
上記で調製したマイクロ粒子10mgをチューブに量りとり、DMSO 0.1mLを加え、ボルテックスミキサーで30秒間撹拌した。10mMリン酸二水素カリウム水溶液(pH3.2)/アセトニトリル(1/1(v/v))の混液4.9mL及びアセトニトリル10mLを添加し、ボルテックスミキサーで30秒間撹拌後、5分間超音波処理を行い試料溶液とした。試料溶液についてn=3で試験を実施した。試料溶液を下記条件1にて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、標準溶液の検量線から試料溶液中のタダラフィル含量を計算により求めた。
条件1
機器:LC-2000plus series(日本分光社製)
カラム:L-ColoumnODS、4.6×150mmI.D, 5μm
カラム温度:40℃
移動相:10mMリン酸二水素カリウム水溶液(pH3.2):アセトニトリル(1:1)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
注入量:20μL
検出:UV295nm
測定時間:10分
(結果)
図1に実施例1~9のSEM画像を示す。表2にマイクロ粒子の物性を示す。
[試験例1:放出性の評価]
6週齢のSD系雄性ラット(チャールス・リバー社製)の後頭部皮下に、実施例1~4、6~9のマイクロ粒子それぞれを、5%マンニトール、0.5%カルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩(CMC-Na)及び0.1%ポリソルベート80の分散媒に懸濁して麻酔(イソフルラン吸入)下で注射により投与した。投与量はタダラフィルとして10mg/0.2mL/ラットとした。皮下投与後は、直ちに穿刺した穴をアロンアルファでその都度封じた。投与後、1日、1週、2週、3週、4週間経過した時点で投与部位を切開し、マイクロ粒子をコラーゲン皮膜とともに採取し、残存する薬物の測定用試料とした。マイクロ粒子の採取は麻酔下(イソフルラン吸入)で腹部下大静脈より血液を抜き、更に下大動脈をハサミで切断し脱血死させた後に行った。
測定用試料に残存するタダラフィルの量を以下の方法で測定した。測定用試料を50mL容スクリューキャップ付ガラス遠心管に入れ、DMSO/HPLCの移動相/アセトニトリル(0.2/9.8/20(v/v/v))(以下、抽出溶媒とする)の混液30mLを加え、ヒスコトロンNS-56S(マイクロテック・ニチオン社製)でホモジナイズした(10000rpm、4分間)。なお、タダラフィル含有率21.4%の実施例9は、DMSO/HPLCの移動相/アセトニトリル(0.2/9.8/30(v/v/v))の混液40mLで抽出した。10分間超音波処理を行い、遠心分離(20℃、3500rpm、10分間)にてタンパク質を除去した。上清1mLを2mLエッペンドルフチューブに採取し、遠心分離(室温、10000rpm、10分間)後の上清を試料溶液とした。試料溶液についてはn=3で試験を実施した。試料溶液は上記条件1にてHPLCで分析し、標準溶液の検量線から試料溶液中のタダラフィル含量を計算により求めた。
(結果)
図2にタダラフィルの残存率の経時変化を示す。実施例3、4、7~9は4週間にわたってタダラフィルの放出を維持した。特に実施例9は、投与直後にタダラフィルが一気に放出される初期バーストが10%未満であった。
[試験例2:タダラフィルの動態評価(6時間)]
実施例9及びタダラフィル原体について、ラットを用いて投与後6時間の動態を評価した。固有の病原体を有していないラット(雄、7週齢、Sprague-Dawley〔Crl:CD(SD)〕、日本チャールス・リバー社製)を馴化飼育し、8週齢の時点で実施例9又はタダラフィル原体を投与した。実施例9は、5%マンニトール、0.5%CMC-Na及び0.1%ポリソルベート80を含む水溶液に溶解し50mg/mLとした。タダラフィル原体は、0.5%CMC-Naを含む水溶液に溶解し0.375mg/mLとした。
実施例9を、投与容量4mL/kg体重とし、イソフルラン吸入麻酔下で、投与前一夜(約16時間)絶食させたラットに23Gの注射針を用いて後頭部皮下に投与した。注射針の刺入部は医療用接着剤で直ちに封じた。一方、タダラフィル原体は、4mL/kg体重とし、投与前一夜(約16時間)絶食させたラットにフレキシブル胃ゾンデを用いて単回強制経口投与した。いずれの投与群においても、絶食下での試験を行い、絶食開始から試験終了までの時間は24時間以内とした。試験群の詳細を表3に示す。
投与前及び投与0.5、1、2、3、4及び6時間後に約450μLずつ採血した。採血では、ヘパリンナトリウム処理シリンジを用いて無麻酔下で頸静脈から採血した。血液を遠沈管に移し、4℃で10分間の遠心分離(1100g)により血漿を約180μL得た。血漿を測定時まで-80℃で保存した。非投与のラットの血液を同様に採取し、遠沈管に移し、4℃で10分間の遠心分離(1600g)により調製したブランク血漿を測定時まで-80℃で保存した。
血漿に含まれるタダラフィルの濃度を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS/MS)法で測定した。
LC-MS/MS法によるタダラフィルの濃度の測定では、標準物質及び内標準物質として、それぞれタダラフィル及びシルデナフィルクエン酸塩を使用した。タダラフィルをメタノールに溶解させて1mg/mLの標準原液とした。標準原液を純水/メタノール混液(1:1、v/v)で系列希釈し標準溶液を得た。シルデナフィルクエン酸塩をメタノールに溶解させて500μg/mLの内標準原液とした。内標準原液を純水/メタノール混液(1:1、v/v)で系列希釈し内標準溶液を得た。ブランク血漿と純水/メタノール混液(1:1、v/v)とを等量混合し、ブランクサンプル及びゼロサンプルとした。
標準溶液とブランク血漿とを混合し、タダラフィルの濃度が異なる検量線用の標準試料を調製した。ブランクサンプル40μLに純水/メタノール混液(1:1、v/v)20μL及びアセトニトリル100μLを加え、4℃で5分間の遠心分離(20400g)により得られた上清を測定実測試料とした。ゼロサンプル40μL及び標準試料40μLそれぞれに内標準原液20μL及びアセトニトリル100μLを加え、4℃で5分間の遠心分離(20400g)により得られた上清を測定実測試料とした。測定サンプル20μLには、純水/メタノール混液(1:1、v/v)20μL、内標準原液20μL及びアセトニトリル100μLを加え、4℃で5分間の遠心分離(20400g)により得られた上清を測定実測試料とした。
測定実測試料を下記条件2にてLC-MS/MSで分析し、検量線から測定サンプル中のタダラフィルの濃度を求めた。質量分析には四重極タンデム型質量分析計Triple Quad 5500(AB SCIEX社製)を使用し、データ処理にはAnalyst 1.5(AB SCIEX社製)を用いた。
条件2
機器:Prominence UFLC(島津製作所製)
カラム:XTerra MS C18、3.5μm(粒子径)、2.1mm(内径)、100mm(長さ)(Waters社製)
カラム温度:30℃
移動相A:10mmol/Lギ酸アンモニウム緩衝液(pH3)
移動相B:アセトニトリル
流速:0.5mL/分
移動相の送液:
0.00分 移動相A;60%、移動相B;40%
0.30分 移動相A;60%、移動相B;40%
0.90分 移動相A;10%、移動相B;90%
1.50分 移動相A;10%、移動相B;90%
1.51分 移動相A;60%、移動相B;40%
3.51分 移動相A;60%、移動相B;40%
PKパラメーターとして、タダラフィルの濃度に基づいて各試験群の個体ごとに最高薬物濃度(Cmax)、最高薬物濃度到達時間(Tmax)及び濃度時間曲線下面積(AUC0-6h)を算出した。
(結果)
図3に血漿中のタダラフィルの濃度の経時変化を示す。表4にPKパラメーターを示す。28倍量投与した実施例9の頭部皮下投与群のAUC0-6hは、原体の経口投与群の2倍未満に抑えられており、初期バーストが少ないことが示された。
[試験例3:タダラフィルの動態評価(6週間)]
実施例9について、ラットを用いて投与後6週間の動態を評価した。固有の病原体を有していないラット(雄、5週齢、Sprague-Dawley〔Crl:CD(SD)〕、日本チャールス・リバー社製)を馴化飼育し、6週齢の時点で上記表3の実施例9と同様に後頭部皮下に投与した。
投与前及び投与1日後並びに1、2、3、4及び6週後に約450μLずつ採血し、試験例2と同様に血漿に含まれるタダラフィルの濃度をLC-MS/MS法で測定した。
(結果)
図4に血漿中のタダラフィルの濃度の経時変化を示す。表5にPKパラメーターを示す。1日目における少量の初期バースト後、4週目までほぼ一定の薬物血中濃度を維持できることを確認した。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等な発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本発明は、タダラフィルの薬物動態の改変に好適である。

Claims (6)

  1. タダラフィルと生体吸収性ポリマーとを含有する粒子を含む、
    注射剤。
  2. 前記生体吸収性ポリマーは、
    ポリラクチドグリコライドコポリマーを含む、
    請求項1に記載の注射剤。
  3. 前記粒子は、
    分散剤をさらに含む、
    請求項1又は2に記載の注射剤。
  4. 前記分散剤は、
    ポリビニルアルコールである、
    請求項3に記載の注射剤。
  5. 前記粒子の50%径は、
    1~100μmである、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の注射剤。
  6. 注射剤の製造のための、タダラフィルと生体吸収性ポリマーとを含有する粒子の使用。
JP2022026352A 2022-02-24 2022-02-24 注射剤及び注射剤の製造のための粒子の使用 Pending JP2023122702A (ja)

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