JP2023118353A - 紫外線被照射部材、紫外線照射装置用エンクロージャ及び紫外線照射装置 - Google Patents

紫外線被照射部材、紫外線照射装置用エンクロージャ及び紫外線照射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】白色の外観を有し、角度依存性が低く、耐紫外線性及び耐傷付き性に優れた紫外線被照射部材を提供する。【解決手段】紫外線被照射部材1は、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成された基材10と、基材10の表面11に設けられ、第1ポーラス層22を含む陽極酸化皮膜20とを備え、第1ポーラス層22は基材10と陽極酸化皮膜20との積層方向に直線状に延びる複数の孔を有し、陽極酸化皮膜20を除去した際の陽極酸化皮膜20側における基材10の表面11の算術平均高さSaは0.25μm~0.5μmである。【選択図】図1

Description

本開示は、紫外線被照射部材、紫外線照射装置用エンクロージャ及び紫外線照射装置に関する。
従来、紫外線を照射して殺菌する技術が知られている。例えば、紫外線を照射することにより、空気中や表面に存在するウイルスの不活化や微生物の殺菌が可能なことから、医療用機器分野、及び殺菌処理が必要な食品加工分野において注目されている。また、近年では、紫外線照射技術は新型コロナウイルス感染症対策においても注目されている。
しかしながら、紫外線を人体に照射すると、人体に影響を及ぼすリスクがある。例えば、波長約254nmの深紫外線が人体に照射されると、角質層を透過して細胞のDNAを傷つけ、皮膚がんが発生するおそれがある。また、紫外線をプラスッチック製品及び塗装材などの有機物に照射すると、有機物が変質によって変色するおそれがある。そのため、紫外線を照射する際には、ステンレス等の金属製のエンクロージャ(筐体)が使用されている。
特許文献1には、エンクロージャと、エンクロージャの内部で光触媒作用によって殺菌を行う殺菌部と、殺菌部の殺菌層に紫外線を照射する光源とを備える空気浄化機が開示されている。エンクロージャは、ステンレスなどから構成された板材を組み合わせることによって成形されている。
特許第6923975号公報
上記の通り、従来技術では、ステンレスがエンクロージャに用いられている。しかしながら、ステンレスは比重が大きいため、装置自体が重くなってしまう。アルミニウムは比重が小さいため、装置を軽量化することができるものの、一般的な未処理のアルミニウムの表面硬度は低いため、傷がつきやすい。一方、アルミニウムは、陽極酸化処理により、表面の硬度を高くすることができる。また、アルミニウムは、硫酸で陽極酸化処理により白色にすることができる。しかしながら、例えば硫酸で陽極酸化処理しただけでは、角度依存性が大きい場合がある。また、角度依存性が大きい場合、光源の設置場所により、紫外線が照射されやすい箇所とされ難い箇所とで紫外線照射強度差が大きくなり、殺菌効果にバラツキが生じるおそれがある。
本開示は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本開示の目的は、白色の外観を有し、角度依存性が低く、耐紫外線性及び耐傷付き性に優れた紫外線被照射部材、紫外線照射装置用エンクロージャ及び紫外線照射装置を提供することである。
本開示の第1の態様に係る紫外線被照射部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成された基材と、基材の表面に設けられ、第1ポーラス層を含む陽極酸化皮膜とを備えている。第1ポーラス層は基材と陽極酸化皮膜との積層方向に直線状に延びる複数の孔を有している。陽極酸化皮膜を除去した際の陽極酸化皮膜側における基材の表面の算術平均高さSaは0.25μm~0.5μmである。
本開示の第2の態様に係る紫外線照射装置用エンクロージャは、紫外線被照射部材を備えている。
本開示の第3の態様に係る紫外線照射装置は、紫外線を照射する光源と、光源から発せられる紫外線が陽極酸化皮膜に照射されるように配置された紫外線被照射部材とを備えている。
本開示によれば、白色の外観を有し、角度依存性が低く、耐紫外線性及び耐傷付き性に優れた紫外線被照射部材、紫外線照射装置用エンクロージャ及び紫外線照射装置を提供することができる。
本実施形態に係る紫外線被照射部材の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る紫外線被照射部材の別の例を示す断面図である。 本実施形態に係る紫外線照射装置の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る紫外線被照射部材の製造方法の一例を示す図である。 本実施形態に係る紫外線被照射部材の製造方法の別の例を示す図である。 ゴニオフォトメーターを用いて白色度の角度依存性を評価する方法を説明する図である。 参考実施例3の紫外線被照射部材の断面をFIB(集束イオンビーム)加工し、TEM(透過型電子顕微鏡)で2,550倍に拡大した画像である。 参考実施例3の紫外線被照射部材の断面をFIB加工し、TEMで19,500倍に拡大した画像である。 参考実施例3の紫外線被照射部材の断面をFIB加工し、TEMで43,000倍に拡大した画像である。 参考比較例2の紫外線被照射部材の断面をFIB加工し、TEMで2,550倍に拡大した画像である。 参考比較例2の紫外線被照射部材の断面をFIB加工し、TEMで19,500倍に拡大した画像である。 参考比較例2の紫外線被照射部材の断面をFIB加工し、TEMで43,000倍に拡大した画像である。 参考比較例3の紫外線被照射部材の断面をFIB加工し、TEMで2,550倍に拡大した画像である。 参考比較例3の紫外線被照射部材の断面をFIB加工し、TEMで19,500倍に拡大した画像である。 参考比較例3の紫外線被照射部材の断面をFIB加工し、TEMで43,000倍に拡大した画像である。
以下、図面を用いて本実施形態に係る紫外線被照射部材、紫外線照射装置用エンクロージャ及び紫外線照射装置について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[紫外線被照射部材]
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る紫外線被照射部材1について図1を用いて説明する。図1に示すように、本実施形態の紫外線被照射部材1は、基材10と、陽極酸化皮膜20とを備える。紫外線被照射部材1は、アルミニウム部材であってもよい。以下において、これらの構成要素を説明する。
(基材10)
基材10は、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成される。基材10は、例えば、1000系合金、3000系合金、5000系合金、6000系合金又は7000系合金で形成されていてもよい。基材10は、0質量%~10質量%のマグネシウムと、0.1質量%以下の鉄と、0.1質量%以下のケイ素とを含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物であるアルミニウム又はアルミニウム合金により形成されてもよい。基材10は、0質量%~10質量%のマグネシウムと、0.1質量%以下の鉄と、0.1質量%以下のケイ素と、10質量%以下の亜鉛とを含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物であるアルミニウム又はアルミニウム合金により形成されてもよい。
マグネシウムは必ずしも基材10に含有されている必要はないが、基材10がマグネシウムを含有していると、アルミニウムとマグネシウムとが固溶して、基材10の強度を向上させることができる。また、マグネシウムの含有量を10質量%以下とすることにより、基材10の耐食性の低下を抑制しつつ、基材10の強度を向上させることができる。マグネシウムの含有量は、0.5質量%以上であってもよく、1質量%以上であってもよい。また、マグネシウムの含有量は、8質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよい。
鉄及びケイ素はアルミニウムと固溶しにくい。そのため、基材10がこれらの元素を含有する場合、これらの元素は陽極酸化皮膜20内に鉄又はケイ素を含む第二相として析出しやすい。陽極酸化皮膜20がこれらのような第二相を含有する場合、陽極酸化皮膜20内を透過する光の一部が第二相に吸収されるため、紫外線被照射部材1が黄色を帯びた色のように見えてしまうことがある。基材10は0.05質量%以下の鉄を含有していてもよい。また、基材10は0.05質量%以下のケイ素を含有していてもよい。
亜鉛は必ずしも基材10に含有されている必要はないが、基材10が亜鉛を含有していると、基材10の強度を維持することができる。また、亜鉛の含有量を10質量%以下とすることにより、基材10の強度を維持しつつ紫外線被照射部材1の外観が損なわれない。亜鉛の含有量は8質量%以下であってもよい。
基材10は不可避不純物を含有していてもよい。本実施形態において、不可避不純物とは、原料中に存在したり、製造工程において不可避的に混入したりするものを意味する。不可避不純物は、本来は不要なものであるが、微量であり、アルミニウム又はアルミニウム合金中の特性に影響を及ぼさないため、許容されている不純物である。アルミニウム又はアルミニウム合金中に含有される可能性がある不可避不純物は、アルミニウム、マグネシウム、鉄、及びケイ素以外の元素である。アルミニウム又はアルミニウム合金中に含有される可能性がある不可避不純物としては、例えば、銅、マンガン、クロム、チタン、ガリウム、ホウ素、バナジウム、ジルコニウム、鉛、カルシウム及びコバルトなどが挙げられる。不可避不純物の量は、アルミニウム又はアルミニウム合金中に合計で0.5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましく、0.15質量%以下がさらに好ましく、0.10質量%以下が特に好ましい。また、不可避不純物として含まれる個々の元素の含有量は0.05質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましい。
基材10は陽極酸化皮膜20側の表面11に凹凸を有していてもよい。紫外線被照射部材1は、表面11に形成された凹凸によって陽極酸化皮膜20を透過する光を拡散反射することができる。表面11の凹凸は、後述する粗面化処理によって形成することができる。陽極酸化皮膜20を除去した際の陽極酸化皮膜20側における基材10の表面11の算術平均高さSaは0.25μm~0.5μmである。また、陽極酸化皮膜20を除去した際の陽極酸化皮膜20側における基材10の表面11の最大高さSzは2μm~5μmであってもよい。また、陽極酸化皮膜20を除去した際の陽極酸化皮膜20側における基材10の表面11の粗さ曲線要素の平均長さRSmは4μm~10μmであってもよい。基材10の表面11の算術平均高さSaは0.25μm~0.5μmであり、最大高さSzは2μm~5μmであり、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRSmは4μm~10μmであってもよい。
算術平均高さSaを0.25μm以上とすることにより、陽極酸化皮膜20を透過した光が基材10の表面11で拡散反射するため、紫外線被照射部材1を斜めから見た場合の白色度を高くすることができる。また、算術平均高さSaを0.5μm以下とすることにより、陽極酸化皮膜20を透過した光が基材10の表面11の凹凸間で捕捉されるのを抑制することができるため、紫外線被照射部材1の外観が灰色になるのを抑制することができる。算術平均高さSaは0.3μm以上であってもよい。算術平均高さSaは0.4μm以下であってもよい。算術平均高さSaは、ISO25178に準じて測定することができる。
最大高さSzを2μm以上とすることにより、陽極酸化皮膜20を透過した光が基材10の表面11で拡散反射するため、紫外線被照射部材1を斜めから見た場合の白色度をさらに高くすることができる。また、最大高さSzを5μm以下とすることにより、陽極酸化皮膜20を透過した光が基材10の表面11の凹凸間で捕捉されるのを抑制することができるため、紫外線被照射部材1の外観が灰色になるのを抑制することができる。最大高さSzは3μm以上であってもよい。最大高さSzは4.7μm以下であってもよい。最大高さSzは、ISO25178に準じて測定することができる。
粗さ曲線要素の平均長さRSmを4μm以上とすることにより、基材10の表面11の凹凸のピッチが小さくなりすぎないため、陽極酸化皮膜20を透過した光が基材10の表面11の凹凸間で捕捉されるのを抑制することができる。したがって、紫外線被照射部材1の外観が灰色になるのをさらに抑制することができる。また、粗さ曲線要素の平均長さRSmを10μm以下とすることにより、基材10の表面11の凹凸のピッチが大きくなりすぎない。そのため、陽極酸化皮膜20を透過した光が基材10の表面11で拡散反射し、紫外線被照射部材1を斜めから見た場合の白色度をさらに高くすることができる。粗さ曲線要素の平均長さRSmは、6μm以上であってもよく、7μm以上であってもよい。また、粗さ曲線要素の平均長さRSmは、9.5μm以下であってもよい。粗さ曲線要素の平均長さRSmは、JIS B0601:2013(ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に準じて測定することができる。
基材10の表面11の算術平均高さSa、最大高さSz及び粗さ曲線要素の平均長さRSmは、基材10から陽極酸化皮膜20を除去することにより測定することができる。なお、基材10の表面11の凹凸は陽極酸化によって滑らかになるため、陽極酸化前の基材10の表面11の凹凸と陽極酸化後の基材10の表面11の凹凸とは形状が異なっているおそれがある。そのため、本実施形態では、陽極酸化皮膜20除去後の基材10の表面11の形状を測定している。基材10から陽極酸化皮膜20を除去する方法は特に限定されない。例えばJIS H8688:2013(アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の単位面積当たりの質量測定方法)に準じ、紫外線被照射部材1をリン酸クロム酸(VI)溶液に浸し、陽極酸化皮膜20を溶解して除去することができる。
基材10の形状や厚さは特に限定されず、用途に応じて適宜変更することができる。また、基材10は、加工処理又は熱処理などがされていてもよい。
(陽極酸化皮膜20)
陽極酸化皮膜20は、基材10の表面11に設けられる。このような陽極酸化皮膜20により、耐食性や耐摩耗性などを向上させることができる。陽極酸化皮膜20の膜厚は特に限定されないが、1μm~50μmであることが好ましい。陽極酸化皮膜20の膜厚を1μm以上とすることで、基材10が腐食するのを抑制することができる。また、陽極酸化皮膜20の膜厚を50μm以下とすることにより、光が陽極酸化皮膜20で吸光されるのを抑制することができるため、紫外線被照射部材1の明度を向上させることができる。
図1に示すように、陽極酸化皮膜20は、一般的には、バリア層21を含んでいる。また、図1に示すように、陽極酸化皮膜20は、第1ポーラス層22を含んでいる。
バリア層21は基材10の表面11と接している。バリア層21は緻密な無孔質の層である。バリア層21の厚さは特に限定されないが、例えば1nm以上であってもよく、10nm以上であってもよい。また、バリア層21の厚さは、500nm以下であってもよく、300nm以下であってもよい。
バリア層21は、酸化アルミニウムを含んでいる。また、バリア層21は、アルミニウム及び酸素の他、陽極酸化で用いた電解液の成分に由来する元素を含んでいてもよい。電解液の成分に由来する元素は、硫黄、炭素、ナトリウム、カリウム、リン、ケイ素、アンモニアの構成元素である窒素からなる群より選択される少なくとも一種の元素であってもよい。
第1ポーラス層22は、図1に示すように、バリア層21の基材10とは反対の面に接している。図1に示すように、第1ポーラス層22は紫外線被照射部材1の最外層として配置され、露出していてもよい。第1ポーラス層22は、陽極酸化皮膜20の最外層であってもよい。
第1ポーラス層22は、基材10と陽極酸化皮膜20との積層方向に直線状に延びる複数の孔を有している。第1ポーラス層22の複数の孔の平均孔径は、1nm~200nmの範囲内であってもよい。第1ポーラス層22の平均孔径は、5nm以上であってもよく、10nm以上であってもよい。また、第1ポーラス層22の平均孔径は、100nm以下であってもよく、50nm以下であってもよく、20nm以下であってもよい。
第1ポーラス層22の厚さは、特に限定されないが、2μm以上50μm以下であってもよい。第1ポーラス層22の厚さを2μm以上とすることにより、基材10の上に生成された陽極酸化皮膜20の干渉色を抑制することができ、紫外線被照射部材1のL値を向上させることができる。第1ポーラス層22の厚さを50μm以下とすることにより、陽極酸化皮膜20を形成する際の溶解を低減することができる。第1ポーラス層22の厚さは、5μm以上であってもよく、8μm以上であってもよい。また、第1ポーラス層22の厚さは、25μm以下であってもよく、15μm以下であってもよい。
第1ポーラス層22は、酸化アルミニウムを含んでいる。また、第1ポーラス層22は、酸化アルミニウムに加え、陽極酸化の電解液に由来する成分を含んでいてもよい。陽極酸化の電解液に由来する成分は、硫酸、アミド硫酸、リン酸及びこれらの塩類、蓚酸、サリチル酸、クエン酸、マレイン酸及び酒石酸等のようなカルボキシル基を含む酸並びにこれらの塩類、ケイ酸塩、並びに、アンモニウム塩などであってもよい。塩としては、ナトリウム塩及びカリウム塩などが挙げられる。第1ポーラス層22が上記成分を含むことにより、第1ポーラス層22の透光性が高くなることから、基材10の表面11で拡散された光を透過しやすくなり、白色度を高い状態で維持した紫外線被照射部材1が得られる。
第1ポーラス層22の複数の孔、及び第2ポーラス層23の複数の孔は、アルミニウムが水和されたアルミニウム水和物を含む封孔物を有していてもよく、封孔物を有していなくてもよい。封孔物はニッケル化合物を含んでいてもよい。また、封孔処理の代わりに透明の有機系材料、無機系材料、複合材料でコーティングされてもよく、コーティングされていなくてもよい。有機系材料のコーティングの例としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びフッ素樹脂のような樹脂コーティングなどが挙げられる。無機系材料のコーティングの例としては、DLC(Diamond-like Carbon)及びケイ素などの金属がスパッタリングされたスパッタ膜、及び株式会社ディ・アンド・ディ製のパーミエイト(登録商標)シリーズ等でコーティングされた無機成分を含有する無機コーティング膜などが挙げられる。複合材料のコーティングの例としては、樹脂と無機物質とを含むコーティングなどが挙げられる。
陽極酸化皮膜20の露出する表面24の算術平均高さSaは0μm~0.45μmであってもよい。表面24の算術平均高さSaを0.45μm以下とすることにより陽極酸化皮膜20の表面24で光の一部が反射するため、紫外線被照射部材1の白色度をより向上させることができる。算術平均高さSaは、ISO25178に準じて測定することができる。また、陽極酸化皮膜20の表面24の算術平均高さSaは、表面24を研磨するなどして調整することができる。
陽極酸化皮膜20側から測定した紫外線被照射部材1のL表色系におけるL値は82.5~100であり、a値は-2~+2であり、b値は-2~+2であってもよい。L表色系におけるL値、a値及びb値は、JIS Z8781-4:2013(測色-第4部:CIE 1976 L*a*b*色空間)に準じて求めることができる。L値、a値及びb値は色彩色差計などを用いて測定することができ、拡散照明垂直受光方式(D/0)、視野角2°、C光源のような条件で測定することができる。
値を82.5以上とすることにより、明度が向上することから、紫外線被照射部材1の白色度をより向上させることができる。また、L値の上限は特に限定されず、Lの最大値である100である。L値は85以上であってもよい。
また、a値を-2~+2、b値を-2~+2とすることで、彩度が0に近くなることから、紫外線被照射部材1が赤色、黄色、緑色、青色などを帯びることを抑制することができ、紫外線被照射部材1の白色度をより向上させることができる。なお、a値は-1.5~+1.5、-1.2~+1.2、-1~+1、又は-0.8~+0.8であってもよい。b値は-1.5~+1.5、-1.2~+1.2、-1~+1、又は-0.8~+0.8であってもよい。
ゴニオフォトメーターを用いて陽極酸化皮膜20側の反射強度を-80度~+20度の検出器角度で測定した場合において、最小反射強度に対する最大反射強度の比が300以下であってもよい。上記比が300以下であると、様々な角度から紫外線被照射部材1を見た場合であっても白色に見えるため、白色度の角度依存性をさらに低くすることができる。上記比は、200以下であってもよく、100以下であってもよく、50以下であってもよく、30以下であってもよく、20以下であってもよい。上記比は小さい程角度依存性が低いため、上記比の下限値は1である。
以上の通り、紫外線被照射部材1は、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成された基材10と、基材10の表面11に設けられ、第1ポーラス層22を含む陽極酸化皮膜20とを備えている。第1ポーラス層22は、基材10と陽極酸化皮膜20との積層方向に直線状に延びる複数の孔を有している。陽極酸化皮膜20を除去した際の陽極酸化皮膜20側における基材10の表面11の算術平均高さSaは0.25μm~0.5μmである。
陽極酸化皮膜20を備える紫外線被照射部材1は表面硬度が高く、耐傷付き性に優れている。また、第1ポーラス層22は、直線状に延びる複数の孔を有するために透光性が高く、入射光の大部分が第1ポーラス層22で吸収されずに基材10の表面11まで到達する。基材10の表面11の算術平均高さSaは所定の範囲内である。そのため、第1ポーラス層22を通過した光が基材10の表面11で拡散反射する。そのため、本実施形態の紫外線被照射部材1は、角度依存性が低いと推定される。また、上述のように、第1ポーラス層22の透光性は高く、多くの光が第1ポーラス層22で吸収されずに基材10の表面11で反射するため、白色の外観を有する紫外線被照射部材1が得られる。また、本実施形態に係る紫外線被照射部材1は塗装などを施さなくても白色の外観を有しているため、耐紫外線性に優れている。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る紫外線被照射部材1について図2を用いて説明する。図2に示すように、本実施形態の紫外線被照射部材1は、基材10と、陽極酸化皮膜20とを備える。本実施形態の紫外線被照射部材1では、陽極酸化皮膜20は第2ポーラス層23をさらに備えている。その他の点については特に言及がなければ第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、第2ポーラス層23はバリア層21の基材10とは反対側の面に接している。第1ポーラス層22は、第2ポーラス層23のバリア層21とは反対の面に接している。第1ポーラス層22は、第2ポーラス層23と接する面から露出する表面24に向かって整列して直線状に延びる複数の孔を有している。
第2ポーラス層23は複数の分岐する孔を有していてもよい。第1ポーラス層22の孔は、第2ポーラス層23の孔と連なっていてもよい。第2ポーラス層23の各孔は樹状構造を有しており、第2ポーラス層23にはバリア層21の表面から第1ポーラス層22に向かって分岐しながら延びる複数の孔が設けられてもよい。第2ポーラス層23には、バリア層21の表面から第1ポーラス層22に向かって延びる直線状の孔が設けられており、直線状の孔から分岐する孔が設けられていてもよい。
第2ポーラス層23の複数の孔の平均孔径は、5nm~350nmの範囲内であってもよい。第2ポーラス層23の平均孔径は、20nm以上であってもよく、50nm以上であってもよい。また、第2ポーラス層23の平均孔径は、300nm以下であってもよく、200nm以下であってもよく、150nm以下であってもよい。第2ポーラス層23の複数の孔の平均孔径は、第1ポーラス層22の複数の孔の平均孔径よりも大きくてもよい。
第2ポーラス層23の厚さは、特に限定されないが、10nm以上5000nm以下であってもよい。第2ポーラス層23の厚さを10nm以上とすることにより、紫外線被照射部材1の白さをより向上させることができる。第2ポーラス層23の厚さを5000nm以下とすることにより、陽極酸化皮膜20を形成した際の白色度を高い状態で維持することができる。第2ポーラス層23の厚さは、50nm以上であってもよく、100nm以上であってもよい。第2ポーラス層23の厚さは、4000nm以下であってもよく、3500nm以下であってもよい。
第2ポーラス層23は、酸化アルミニウムを含んでいる。また、第2ポーラス層23は、アルミニウム及び酸素の他、陽極酸化の電解液に由来する成分を含んでいてもよい。電解液に由来する成分は、硫酸、リン酸及びこれらの塩類、蓚酸、サリチル酸、クエン酸、マレイン酸及び酒石酸等のようなカルボキシル基を含む酸並びにこれらの塩類、ケイ酸塩、並びに、アンモニウム塩などであってもよい。塩としては、ナトリウム塩及びカリウム塩などが挙げられる。第2ポーラス層23が上記元素を含むことにより、第2ポーラス層23が白色になることから、白色度のさらに高い紫外線被照射部材1が得られる。
第2ポーラス層23は複数の分岐する孔及び第1ポーラス層22よりも大きい平均孔径の複数の孔の少なくともいずれか一方を有していてもよい。すなわち、第2ポーラス層23は、複数の分岐する孔、又は、第1ポーラス層22よりも大きい平均孔径の複数の孔のいずれか一方を有していてもよい。また、第2ポーラス層23は、第1ポーラス層22よりも大きい平均孔径の複数の分岐する孔を有していてもよい。これらにより、第2ポーラス層23での拡散反射を促進し、白色度の角度依存性を低減することができる。なお、本明細書において、平均孔径は、透過型電子顕微鏡で紫外線被照射部材1の断面を観察して10以上の孔を測定した平均値である。
以上の通り、陽極酸化皮膜20は、基材10の表面11と接するバリア層21と、バリア層21の基材10とは反対側の面に接する第2ポーラス層23と、第2ポーラス層23のバリア層21とは反対の面に接する第1ポーラス層22とを含んでいてもよい。第2ポーラス層23は複数の分岐する孔及び第1ポーラス層22よりも大きい平均孔径の複数の孔の少なくともいずれか一方を有していてもよい。
陽極酸化皮膜20が第2ポーラス層23を含んでいる場合、第2ポーラス層23を通過した光が第2ポーラス層23で拡散反射する。すなわち、第1ポーラス層22を通過して基材10の表面11に向かう入射光、及び、基材10の表面11から第1ポーラス層22へ向かう反射光が第2ポーラス層23で拡散反射される。そのため、紫外線被照射部材1の角度依存性がさらに低下する場合がある。
したがって、紫外線被照射部材1は、白色の外観を有し、角度依存性が低く、耐紫外線性及び耐傷付き性に優れている。
[紫外線照射装置]
次に、本実施形態に係る紫外線照射装置100について図3を用いて説明する。図3に示すように、本実施形態に係る紫外線照射装置100は、光源110と、エンクロージャ120とを備えている。
光源110は紫外線を照射する。光源110から放たれる光のスペクトルは、10nm以上400nm未満に強度が最大値を示すピークを有していてもよい。光源110から放たれる光のスペクトルは、10nm以上200nm未満に強度が最大値を示すピークを有していてもよい。このような光源110は、例えばオゾンの生成に適している。具体的には、光源110は深紫外線を照射してもよい。このような光源110は、例えば微生物の殺菌及びウイルスの不活性化に適している。例えば、光源110から放たれる光のスペクトルは、200nm以上300nm未満に強度が最大値を示すピークを有していてもよい。光源110から放たれる光のスペクトルは、300nm以上400nm未満に強度が最大値を示すピークを有していてもよい。このような光源110は、例えば紫外線硬化型樹脂の硬化に適している。
光源110は、殺菌灯、ブラックライト、水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、又は、LEDランプを含んでいてもよい。
エンクロージャ120は、光源110から発せられる紫外線が陽極酸化皮膜20に照射されるように配置されている。紫外線照射装置100用エンクロージャ120は、紫外線被照射部材1を備えている。エンクロージャ120により光源110から発せられる紫外線を遮ることができる。そのため、光源110の紫外線による人体への影響及び有機物の変質を抑制することができる。本実施形態に係るエンクロージャ120は断面が矩形状をしているが、エンクロージャ120の形状は用途に応じ適宜変更することができる。
紫外線照射装置100は、例えば殺菌装置、紫外線硬化型樹脂硬化装置、日焼けマシン、オゾン生成装置、UV洗浄装置、及び、UV改質装置などであってもよい。
なお、本実施形態では、エンクロージャ120が紫外線被照射部材1を備えている例について説明した。しかしながら、紫外線被照射部材1はこのような用途に限定されない。紫外線被照射部材1は、例えば、紫外線が陽極酸化皮膜20に照射されるように配置された部材であってもよい。このような部材の例としては、紫外線が照射される被照射物質を載置するための載置部材、載置部材などのような装置に必要な部品を取り付けるための取り付け部材、及び、載置部材から落下したゴミを受けるための受け皿などが挙げられる。
以上の通り、紫外線照射装置100は、紫外線を照射する光源110と、光源110から発せられる紫外線が陽極酸化皮膜20に照射されるように配置された紫外線被照射部材1とを備える。紫外線被照射部材1は白色の外観を有し、角度依存性が低く、耐紫外線性及び耐傷付き性に優れている。特に、紫外線被照射部材1の角度依存性が低いことにより、光源110の正面だけでなく、光源110から見て低角度領域の部位でも反射光度があるため、安定した殺菌効果が得られる。そのため、紫外線被照射部材1を紫外線照射装置100に好適に用いることができる。
[紫外線被照射部材の製造方法]
<第1実施形態>
次に、第1実施形態に係る紫外線被照射部材1の製造方法について図4を用いて説明する。本実施形態に係る紫外線被照射部材1の製造方法は、図4に示すように、粗面化処理工程S1と、エッチング工程S2と、第1陽極酸化工程S3と、封孔処理工程S4とを含んでいる。
(粗面化処理工程S1)
粗面化処理工程S1では、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成される基材10の表面11に凹凸を形成する。粗面化処理工程S1は必須の工程ではないが、紫外線被照射部材1の外観をより白色にすることができる。凹凸を形成する基材10は、例えば、所定の元素を有する溶湯の調製、鋳造、押出、圧延、熱処理などにより作製してもよい。また、凹凸を形成する基材10は、鋳造後、圧延後又は熱処理後、特段の表面処理をせずに、そのまま用いてもよい。また、凹凸を形成する基材10は、フライス盤による研削、並びに、エメリー紙、バフ研磨、化学研磨及び電解研磨等により表面11を研磨して用いてもよい。凹凸を形成する基材10の表面11は、算術平均高さSaを100nm未満程度に研磨してもよい。基材10の表面11の算術平均高さSaを100nm未満とすることにより基材10の明度が高くなる。そのため、表面11の凹凸形成、エッチング工程S2、第1陽極酸化工程S3を経ても、より紙に近い白色外観を有する紫外線被照射部材1を得ることができる。
基材10の表面11の凹凸は例えばブラスト処理で形成してもよい。ブラスト処理では、基材10の表面11に粒子を衝突させて凹凸を形成することができる。ブラスト処理の方法は特に限定されず、例えばウェットブラスト及びドライブラストの少なくともいずれか一方を用いることができる。凹凸を形成する工程(粗面化処理工程S1)では20μm以下の平均粒子径を有する粒子を基材10の表面11に衝突させて凹凸を形成してもよい。平均粒子径を20μm以下とすることにより、陽極酸化皮膜20を通過した光が基材10の表面11の凹凸で吸収されるのを抑制することができ、紫外線被照射部材1の外観をより白色にすることができる。
ブラスト処理の粒子の平均粒子径は、10.5μm以下であってもよい。一方、平均粒子径の下限は特に限定されないが、2μm以上であってもよい。平均粒子径を2μm以上とすることにより、基材10の表面11に適度に凹凸が形成されることから、陽極酸化皮膜20を通過してきた光を拡散反射させることができる。そのため、角度を変えて斜めから見た場合でも、紫外線被照射部材1が白く見えるため、紫外線被照射部材1を紙のような白色にすることができる。なお、平均粒子径は、体積基準における粒度分布の累積値が50%の時の粒子径を表し、例えば、レーザー回折・散乱法により測定することができる。
ブラスト処理に用いられる粒子としては、例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、アルミナ、ジルコニアなどを含むセラミックビーズ、ステンレス、スチールなどを含む金属ビーズ、ナイロン、ポリエステル、メラミン樹脂などを含む樹脂ビーズ、ガラスなどを含むガラスビーズなどが挙げられる。なお、ウェットブラストの場合は、粒子を水などの液体に混ぜて基材10に吹き付けることができる。ブラスト処理の際の噴射圧力、粒子総数などの条件は特に限定されず、基材10の状態などに応じて適宜変更することができる。ブラスト処理では、入射角が所定値以下となるように粒子を基材10の表面11に衝突させてもよい。入射角は、60度以下であってもよく、45度以下であってもよく、30度以下であってもよく、15度以下であってもよく、5度以下であってもよい。
基材10の表面11に凹凸を形成する方法はブラスト処理に限定されず、レーザー加工及び粗面化処理剤などを用いたエッチング処理などの他の方法で形成してもよい。レーザー加工では、基材10の表面11にレーザー光を照射することで凹凸を形成する。基材10の表面11の凹部及び凸部の径、深さ及びピッチなどは、レーザー光のスポット径、波長、出力、周波数及びパルス幅、基材10に対するレーザー光の移動速度などを調節することによって変更することができる。エッチング処理による粗面化処理は、例えば、奥野製薬工業株式会社のアルサテン(登録商標)OL-25等のフッ化物を含有した薬品を用いてエッチング処理することで凹凸を形成してもよい。基材10の表面11の凹部の深さ及び凸部の高さなどは、エッチング液の温度、濃度及び時間などを調節することによって変更することができる。
(エッチング工程S2)
エッチング工程S2は、必須の工程ではないが、粗面化処理工程S1で形成された基材10の表面11の凹凸の角を取り除き、凹凸を滑らかにすることができる。エッチングの条件は特に限定されず、白色度の高い紫外線被照射部材1が得られればよい。
エッチング工程S2では、粗面化された基材10を、酸性溶液及びアルカリ性溶液の少なくともいずれか一方によりエッチングしてもよい。酸性溶液としては、例えば、塩酸、硫酸及び硝酸などの水溶液を用いることができる。また、アルカリ性溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び炭酸ナトリウムなどの水溶液を用いることができる。酸性溶液及びアルカリ性溶液の濃度などは特に限定されないが、水酸化ナトリウム水溶液を用いる場合、例えば10g/L~100g/Lであってもよい。
エッチング時間やエッチング温度も特に限定されず、基材10の状態やエッチング液に応じて適宜調整することができる。一例を挙げると、エッチング時間は5秒~90秒、エッチング温度は40℃~60℃である。
(第1陽極酸化工程S3)
第1陽極酸化工程S3では、凹凸が形成された基材10を、直線状に延びる複数の孔を形成可能な電解液で第1陽極酸化する。第1陽極酸化で用いられる電解液は、第1ポーラス層22中にストレート状の複数の孔を形成可能であれば特に限定されない。電解液は、例えば、硫酸、アミド硫酸、リン酸及びこれらの塩類、カルボキシル基を含む酸並びにこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質を含む水溶液であってもよい。カルボキシル基を含む酸としては、蓚酸、サリチル酸、クエン酸、マレイン酸及び酒石酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸が挙げられる。これらの中でも、第1陽極酸化の電解液は硫酸、アミド硫酸及びカルボキシル基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。第1陽極酸化の電解液は酸性電解液であることが好ましく、電解液のpHは例えば0~2であることが好ましい。電解液における上記電解質の濃度は、例えば1g/L~600g/Lである。
第1陽極酸化の条件は特に制限されず、基材10の状態などに応じて適宜調整することができる。電解液の温度は、例えば0℃~30℃であってもよい。電流密度は、例えば1mA/cm~50mA/cmであってもよい。電解時間は、例えば10分~50分であってもよい。
(封孔処理工程S4)
封孔処理工程S4は必須の工程ではないが、第1ポーラス層22の孔及び第2ポーラス層23の孔を封孔することにより、紫外線被照射部材1の耐食性を向上させることができる。封孔処理は公知の方法で実施することができ、例えば、高温の水、高温の水蒸気、酢酸ニッケル水溶液、フッ化ニッケル、ケイ酸塩及びこれらの組み合わせによって実施することができる。封孔処理により、アルミニウムが水和されたアルミニウム水和物が、孔内に生成される。
以上の通り、本実施形態に係る紫外線被照射部材1の製造方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成された基材10の表面11に凹凸を形成する工程(粗面化処理工程S1)を含んでいる。また、上記方法は、凹凸が形成された基材10を、直線状に延びる複数の孔を形成可能な電解液で第1陽極酸化する工程(第1陽極酸化工程S3)を含んでいる。紫外線被照射部材1において、陽極酸化皮膜20を除去した際の陽極酸化皮膜20側における基材10の表面11の算術平均高さSaは0.25μm~0.5μmである。
上記方法は、第1陽極酸化工程S3を含むため、第1ポーラス層22を含む陽極酸化皮膜20が形成される。そして、紫外線被照射部材1の基材10の表面11の算術平均高さSaは所定の範囲内である。そのため、上述したような第1実施形態に係る紫外線被照射部材1を製造することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る紫外線被照射部材1の製造方法について図5を用いて説明する。本実施形態に係る紫外線被照射部材1の製造方法は、図5に示すように、粗面化処理工程S1と、エッチング工程S2と、第1陽極酸化工程S3と、第2陽極酸化工程S5と、封孔処理工程S4とを含んでいる。本実施形態に係る方法は第1実施形態に係る方法と比較し、第2陽極酸化工程S5を含んでいる点が異なっている。これ以外の点については、特に言及がなければ同じであるため説明を省略する。
(第2陽極酸化工程S5)
第2陽極酸化工程S5では、第1陽極酸化された基材10を電解液で第2陽極酸化する。第2陽極酸化の電解液は、複数の分岐する孔及び上記直線状に延びる複数の孔よりも大きい平均孔径を有する複数の孔の少なくともいずれか一方を形成可能な電解液である。第2陽極酸化工程S5で用いられる電解液は、第2ポーラス層23中に複数の分岐する孔及び上記直線状に延びる複数の孔よりも大きい平均孔径を有する複数の孔の少なくともいずれか一方を形成可能であれば特に限定されない。電解液は、例えば酒石酸などのようなカルボキシル基を有する化合物、リン酸、クロム酸、ホウ酸及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種の電解質を含む水溶液であってもよい。これらの中でも、第2陽極酸化の電解液は、カルボキシル基を有する化合物及びリン酸並びにこれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。具体的には、第2陽極酸化の電解液は酒石酸塩水溶液であることが好ましい。酒石酸塩水溶液は、少なくとも複数の分岐する孔を形成することができる。また、第2陽極酸化の電解液はリン酸水溶液であることも好ましい。リン酸水溶液は上記直線状に延びる複数の孔よりも大きい平均孔径を有する複数の孔を形成することができる。第2陽極酸化の電解液はナトリウム、カリウム及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも一種を含有していてもよい。第2陽極酸化の電解液は酸性又はアルカリ性電解液であってもよい。第2陽極酸化の電解液がアルカリ性電解液である場合、電解液のpHは例えば9~14である。電解液をアルカリ性にするため、電解液に水酸化ナトリウムなどを混合してもよい。電解液における上記電解質の濃度は、例えば0.5g/L~300g/Lである。
第2陽極酸化の条件は特に制限されず、基材10の状態などに応じて適宜調整することができる。一例を挙げると、電解液の温度は、例えば0℃~40℃であってもよい。電圧は、例えば2V~500Vであってもよい。単位面積当たりの電気量は、例えば0.05C/cm~40C/cmであってもよい。電解時間は、例えば0.1分~180分であってもよい。
以上の通り、本実施形態に係る紫外線被照射部材1の製造方法は、第1陽極酸化された基材10を電解液で第2陽極酸化する工程(第2陽極酸化工程S5)をさらに含んでいる。第2陽極酸化の電解液は、複数の分岐する孔及び直線状に延びる複数の孔よりも大きい平均孔径を有する複数の孔の少なくともいずれか一方を形成可能な電解液である。
上記方法は、第2陽極酸化工程S5を含むため、第2ポーラス層23を含む陽極酸化皮膜20が形成される。そして、紫外線被照射部材1の基材10の表面11の算術平均高さSaは所定の範囲内である。そのため、上述した第2実施形態に係る紫外線被照射部材1を製造することができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例並びに参考実施例及び参考比較例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例に係る紫外線被照射部材を作製した。そして、各例で得られた紫外線被照射部材の表面特性(Sa,Sz及びRSm)、第1ポーラス層平均孔径、第2ポーラス層平均孔径、色調、光沢及び角度依存性を以下の通り評価した。結果を表1及び表2に示す。
[実施例1]
(粗面化処理)
圧延及び焼鈍した厚さ3mmの5000系アルミニウム合金板を、長さ50mm及び幅50mmに切り出したものを基材とした。5000系アルミニウム合金は、マグネシウム4.31質量%、鉄0.02質量%及びケイ素0.02質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物である。
上記基材にドライブラストで粒子を衝突させ、基材の表面に凹凸を形成した。粒子は、株式会社不二製作所製のフジランダムWA 粒番号1200(アルミナ粒子、最大粒子径27.0 μm 平均粒子径 9.5±0.8μm)を用いた。ブラスト処理後、基材を200g/Lの硝酸水溶液に室温(約20℃)で3分間浸漬させて脱脂した。
(エッチング)
凹凸が形成された基材を、温度50℃で濃度100g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に60秒間浸漬してエッチングした後、濃度200g/Lの硝酸水溶液に室温(約20℃)で2分間浸漬してスマットを除去した。
(第1陽極酸化)
エッチングされた基材を、濃度180g/Lの硫酸を含むpH0の酸性水溶液に浸漬し、温度18℃、電流密度15mA/cm及び電解時間22分の電解条件で第1陽極酸化した。
(第2陽極酸化)
第1陽極酸化された部材を、濃度200g/Lの酒石酸二ナトリウム・2水和物と濃度5g/Lの水酸化ナトリウムとを含有するpH13のアルカリ性水溶液に浸漬させた。そして、上記部材を、温度5℃、電圧100V、昇圧速度1V/秒及び電解時間約3分の電解条件で第2陽極酸化した。
(封孔処理)
陽極酸化した部材を、酢酸ニッケル系封孔剤(花見化学株式会社製 商品名:Sealing X)によって封孔処理した。封孔条件は、封孔剤の濃度33mL/L、封孔温度95℃、封孔時間20分とした。このようにして、本例の紫外線被照射部材を作製した。
[実施例2]
第1陽極酸化された部材を、濃度98g/Lのリン酸水溶液(pH1)に浸漬させた。そして、上記部材を、温度5℃、電圧100V、昇圧速度1V/秒及び電解時間約4分の電解条件で第2陽極酸化した。上記以外は実施例1と同様にして紫外線被照射部材を作製した。
[実施例3]
第2陽極酸化をせずに第1陽極酸化した部材を封孔処理した以外は実施例1と同様にして紫外線被照射部材を作製した。
[比較例1]
実施例1で用いた基材をブラスト処理せずに実施例1と同様に第1陽極酸化した。第1陽極酸化された部材を、第2陽極酸化せず、染色した。染色液は奥野製薬工業株式会社製のFIERYRED-GBM(105)を用い、温度55℃、濃度10g/Lで10分間浸漬処理して染色した。そして、染色された部材を実施例1と同様に封孔処理した。
[比較例2]
実施例1で用いた基材にポリエステル系塗料(大日本塗料株式会社製のVニットの白色塗料)をロールコーターで塗装した。塗膜の焼付は、200℃×30分間実施した。
[比較例3]
ブラスト処理をせずに基材を陽極酸化した以外は実施例1と同様にして紫外線被照射部材を作製した。
[比較例4]
ブラスト処理をせずに基材を陽極酸化した以外は実施例2と同様にして紫外線被照射部材を作製した。
[比較例5]
ブラスト処理をせずに基材を陽極酸化した以外は実施例3と同様にして紫外線被照射部材を作製した。
[比較例6]
エッチングされた基材を、第1陽極酸化をせずに第2陽極酸化した以外は実施例1と同様にして紫外線被照射部材を作製した。
[比較例7]
エッチングされた基材を、第1陽極酸化をせずに第2陽極酸化した以外は実施例2と同様にして紫外線被照射部材を作製した。
(算術平均高さSa及び最大高さSz)
まず、JIS H8688:2013に準じ、上記のようにして得られた紫外線被照射部材をリン酸クロム酸(VI)溶液に浸し、陽極酸化皮膜を溶解させて除去した。次に、基材の陽極酸化皮膜側の表面の算術平均高さSa及び最大高さSzを、ブルカー・エイエックスエス株式会社の3次元白色干渉型顕微鏡ContourGT-Iを用いて、ISO25178に準じて測定した。算術平均高さSa及び最大高さSzは、測定範囲を60μm×79μm、対物レンズを115倍、内部レンズを1倍の条件で測定した。
(粗さ曲線要素の平均長さRSm)
まず、JIS H8688:2013に準じ、上記のようにして得られた紫外線被照射部材の陽極酸化皮膜をリン酸クロム酸(VI)溶液に溶解させて除去した。次に、基材の陽極酸化皮膜側の表面における粗さ曲線要素の平均長さRSmを、ブルカー・エイエックスエス株式会社の3次元白色干渉型顕微鏡ContourGT-Iを用いて、JIS B0601:2013に準じて測定した。粗さ曲線要素の平均長さRSmは、カットオフλcを80μm、対物レンズを115倍、内部レンズを1倍、測定距離を79μmの条件で測定した。
(平均孔径)
紫外線被照射部材の断面を透過型電子顕微鏡で観察し、ポーラス層の平均孔径を測定した。
(殺菌灯照射試験)
殺菌灯照射後の紫外線被照射部材の色調を測定し、照射前後のL値、a値及びb値から色差(ΔE)を算出した。また、殺菌灯照射後の紫外線被照射部材の光沢値を測定し、殺菌灯照射前後の光沢値から光沢差(照射後光沢値-照射前光沢値)を算出した。殺菌灯の照射は、ナビス(登録商標)殺菌線消毒保管庫によって実施した。殺菌灯の照射波長は253.7nmにピーク波長を有し、殺菌灯の出力は15Wであった。また、照射距離は約10cm、照射時間は96hとした。なお、1m離れた距離の照度は49.5μW/cmであった。
(色調)
JIS Z8722に準拠し、コニカミノルタジャパン株式会社製の色彩色差計CR400を用い、陽極酸化皮膜の表面から紫外線被照射部材の色調を測色し、L値、a値及びb値を求めた。色調は、照明・受光光学系を拡散照明垂直受光方式(D/0)、観察条件をCIE2°視野等色関数近似、光源をC光源、及び、表色系をLの条件で測定した。
(光沢)
スガ試験機株式会社製の光沢計 Gloss Mobile MODEL GM-1を用い、紫外線被照射部材の陽極酸化皮膜側の表面の光沢を測定した。光沢は、基材の圧延面に対して平行方向に光が入射した場合と、垂直方向に光が入射した場合とについて、60°の入射角度で測定した。
(SWOM)
サンシャインウェザーメータ(SWOM)(スガ試験機株式会社製 S80HB型)を用い、JIS H4001:2006に従って紫外線被照射部材に光を125時間照射した。その後、紫外線被照射部材の色調を測色し、照射前後の色差を算出した。また、紫外線被照射部材の光沢値を測定し、照射前後の光沢差(照射後光沢値-照射前光沢値)を算出した。試験は、JIS H4001の表4に記載のサンシャインカーボン促進対抗試験機の条件で実施した。
(角度依存性)
紫外線被照射部材の白色度の角度依存性を、ニッカ電測株式会社製のゴニオフォトメーター(GP-2型)を用いて評価した。具体的には、図6に示すように、紫外線被照射部材201に対して光を照射し、検出器202が受光する光の強度を測定した。検出器202は、紫外線被照射部材201を中心として所定の距離をおいて回転可能に設けられている。入射光203の入射角が45度及び反射光204の反射角が45度の位置に検出器202が配置される場合を検出器角度0度とした。検出器角度が-80度~+40度の範囲において0.5度間隔で紫外線被照射部材201が反射する反射光204の陽極酸化皮膜側の反射強度を測定した。そして、検出器角度が-80度~+20度の範囲における最小反射強度に対する最大反射強度(最大反射強度/最小反射強度)の比を算出した。
(引っかき硬度)
JIS K5600-5-4:1999に従い、鉛筆法によって引っかき硬度を測定した。
Figure 2023118353000002
Figure 2023118353000003
Figure 2023118353000004
Figure 2023118353000005
Figure 2023118353000006
表1及び表2に示すように、ブラスト処理した実施例1の紫外線被照射部材は、ブラスト処理されていない比較例3の紫外線被照射部材よりもL値が高かった。ブラスト処理した実施例2の紫外線被照射部材は、ブラスト処理されていない比較例4の紫外線被照射部材よりもL値が高かった。ブラスト処理した実施例3の紫外線被照射部材は、ブラスト処理されていない比較例5の紫外線被照射部材よりもL値が高かった。ブラスト処理した実施例1~実施例3の紫外線被照射部材の算術平均高さSaは0.25以上であった。
また、表2に示すように、実施例1の紫外線被照射部材は、比較例6の紫外線被照射部材よりもL値が高かった。実施例2の紫外線被照射部材は、比較例7の紫外線被照射部材よりもL値が高かった。また、表2に示すように、実施例1~実施例3の紫外線被照射部材は、比較例5~比較例7の紫外線被照射部材と比較し、反射強度の強度比が小さいため角度依存性が低かった。
これらの結果から、硫酸を用いて陽極酸化した場合には、角度依存性が低く、L値が高くなる傾向にあることが分かった。硫酸を用いて陽極酸化した場合には、直線状に延びる複数の孔が形成される。そのため、紫外線被照射部材の算術平均高さSa及び直線状に延びる複数の孔が角度依存性及びL値に寄与したと考えられる。
また、表3に示すように、実施例1~実施例3の殺菌灯照射後の色差は、比較例1~比較例2の紫外線被照射部材よりも小さかった。また、表4に示すように、実施例1~実施例3の殺菌灯照射後の光沢差は、比較例1~比較例2の紫外線被照射部材よりも小さかった。また、表5に示すように、SWOMによる紫外線照射前後において、実施例1~実施例3の紫外線被照射部材は、比較例1の紫外線被照射部材よりも色差及び光沢差が小さかった。また、SWOMによる紫外線照射前後において、実施例1~実施例3の紫外線被照射部材は、比較例2の紫外線被照射部材よりも光沢差が小さかった。これらの結果から、実施例1~実施例3の紫外線被照射部材は、耐紫外線性に優れていると考えられる。
また、表5に示すように、実施例1~実施例3の紫外線被照射部材の引っかき硬度は、陽極酸化皮膜を含んでいるため、耐傷付き性に優れていた。
次に、参考実施例1~参考実施例2及び参考比較例1に係る紫外線被照射部材を作製した。そして、各例で得られた紫外線被照射部材において、算術平均高さSa、最大高さ粗さSz、粗さ曲線要素の平均長さRSm及び色調をそれぞれ上記と同様に評価した。各例の詳細と評価結果をそれぞれ表6に示す。
[参考実施例1]
圧延処理した3mm厚のアルミニウム合金板から50mm×50mmの試験片を切り取り、基材を準備した。なお、基材は、4質量%のマグネシウムと、0.02質量%の鉄と、0.02質量%のケイ素と、を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物である。
次に、基材にドライブラストで粒子を衝突させ、基材の表面に凹凸を形成した。粒子は、株式会社不二製作所製のフジランダムWA 粒番号800(最大粒子径38.0μm 平均粒子径14.0±1.0μm)を用いた。
そして、水1L当たり50gの水酸化ナトリウムを溶解させた5%水酸化ナトリウム水溶液を50℃に加温し、凹凸が形成された基材をこの水溶液に90秒浸漬させ、基材をエッチングした。
エッチングされた基材を15%硫酸水溶液に浸し、硫酸水溶液の温度18℃、電圧15V、電気量20C/cmの条件で陽極酸化処理をし、基材の表面に陽極酸化皮膜を形成し、紫外線被照射部材を得た。
[参考実施例2]
粒番号800の粒子に代えて、株式会社不二製作所製のフジランダムWA 粒番号1000(最大粒子径32.0μm 平均粒子径11.5±1.0μm)を用い、エッチング時間を30秒とした。上記以外は、参考実施例1と同様にして紫外線被照射部材を作製した。
[参考比較例1]
粒番号800の粒子に代えて、株式会社不二製作所製のフジランダムWA 粒番号400(最大粒子径75.0μm 平均粒子径30.0±2.0μm)を用い、エッチング時間を30秒とした。上記以外は、参考実施例1と同様にして紫外線被照射部材を作製した。
Figure 2023118353000007
表6に示すように、参考実施例1~参考実施例2の紫外線被照射部材では、L値が82.5以上であった。一方、参考比較例1の紫外線被照射部材では、ブラスト処理に大きい粒子径の粒子を用いたため、基材の表面が荒れてしまい、L値が82.5未満であった。これらの結果から、算術平均高さSaが0.5μm以下の場合にL値が高くなることが確認できた。
次に、透過型電子顕微鏡で断面を観察するために紫外線被照射部材を以下のようにして作製した。
[参考実施例3]
(粗面化処理)
圧延及び焼鈍した厚さ3mmの5000系アルミニウム合金板を、長さ50mm及び幅50mmに切り出したものを基材とした。5000系アルミニウム合金は、マグネシウム4.31質量%、鉄0.02質量%及びケイ素0.02質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物である。
上記基材にドライブラストで粒子を衝突させ、基材の表面に凹凸を形成した。粒子は、株式会社不二製作所製のフジランダムWA 粒番号1200(アルミナ粒子、最大粒子径27.0μm 平均粒子径9.5±0.8μm)を用いた。ブラスト処理後、基材を200g/Lの硝酸水溶液に室温(約20℃)で3分間浸漬させて脱脂した。
(エッチング)
凹凸が形成された基材を、温度60℃で濃度50g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に60秒間浸漬してエッチングした後、濃度200g/Lの硝酸水溶液に室温(約20℃)で2分間浸漬してスマットを除去した。
(第1陽極酸化)
エッチングされた基材を、濃度180g/Lの硫酸を含むpH0の酸性水溶液に浸漬し、温度18℃、電流密度15mA/cm及び電解時間11分の電解条件で第1陽極酸化した。
(第2陽極酸化)
第1陽極酸化された部材を、濃度106g/Lの酒石酸二ナトリウム・2水和物と濃度3g/Lの水酸化ナトリウムとを含有するpH13のアルカリ性水溶液に浸漬させた。そして、上記部材を、温度5℃、電圧160V、昇圧速度1V/秒及び電解時間180秒の電解条件で第2陽極酸化した。このようにして、本例の紫外線被照射部材を作製した。
[参考比較例2]
第2陽極酸化を実施しなかった以外は参考実施例3と同様にして本例の紫外線被照射部材を作製した。
[参考比較例3]
第1陽極酸化を実施せず、第2陽極酸化の電圧を110V、電解時間を11分とした以外は参考実施例3と同様にして紫外線被照射部材を作製した。
図7、図8及び図9は、参考実施例3の紫外線被照射部材の断面をFIB加工し、透過型電子顕微鏡で2,550倍、19,500倍及び43,000倍にそれぞれ拡大した画像である。図10、図11及び図12は、参考比較例2の紫外線被照射部材の断面をFIB加工し、透過型電子顕微鏡で2,550倍、19,500倍及び43,000倍にそれぞれ拡大した画像である。図13、図14及び図15は、参考比較例3の紫外線被照射部材の断面をFIB加工し、透過型電子顕微鏡で2,550倍、19,500倍及び43,000倍にそれぞれ拡大した画像である。図7~図15に示すように、第1ポーラス層は直線状に延びる複数の孔を有し、第2ポーラス層は複数の分岐する孔を有することが分かる。図7~図15並びに図示しないEDSによる元素分析の結果から、参考実施例3の陽極酸化皮膜は、第2陽極酸化に由来するバリア層及び第2ポーラス層が基材の表面に形成されていることが分かった。また、第1陽極酸化に由来する第1ポーラス層が第2ポーラス層の表面に形成されていることが分かった。
なお、実施例1の紫外線被照射部材についても、第1ポーラス層は直線状に延びる複数の孔を有し、第2ポーラス層は複数の分岐する孔を有していた。実施例2の紫外線被照射部材については、第1ポーラス層は直線状に延びる複数の孔を有していたが、第2ポーラス層は複数の分岐する孔を有していなかった。しかしながら、第2ポーラス層は、表2に示すように、第1ポーラス層よりも大きい平均孔径の複数の孔を有していた。以上の結果から、第1ポーラス層と第2ポーラス層を備え、第2ポーラス層が複数の分岐する孔及び第1ポーラス層よりも大きい平均孔径の複数の孔の少なくともいずれか一方を有する紫外線被照射部材は、白色の外観を有し、角度依存性が低いことが分かる。
以上、本実施形態を実施例及び比較例によって説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
1 紫外線被照射部材
10 基材
11 表面
20 陽極酸化皮膜
21 バリア層
22 第1ポーラス層
23 第2ポーラス層
100 紫外線照射装置
110 光源
120 エンクロージャ

Claims (8)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金により形成された基材と、
    前記基材の表面に設けられ、第1ポーラス層を含む陽極酸化皮膜と、
    を備え、
    前記第1ポーラス層は前記基材と前記陽極酸化皮膜との積層方向に直線状に延びる複数の孔を有し、
    前記陽極酸化皮膜を除去した際の前記陽極酸化皮膜側における前記基材の表面の算術平均高さSaは0.25μm~0.5μmである、紫外線被照射部材。
  2. 前記陽極酸化皮膜を除去した際の前記陽極酸化皮膜側における前記基材の表面の最大高さSzは2μm~5μmである、請求項1に記載の紫外線被照射部材。
  3. 前記陽極酸化皮膜を除去した際の前記陽極酸化皮膜側における前記基材の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmは4μm~10μmである、請求項1又は2に記載の紫外線被照射部材。
  4. 前記陽極酸化皮膜側から測定した前記紫外線被照射部材のL表色系におけるL値は82.5~100であり、a値は-2~+2であり、b値は-2~+2である、請求項1~3のいずれか一項に記載の紫外線被照射部材。
  5. ゴニオフォトメーターを用いて前記陽極酸化皮膜側の反射強度を-80度~+20度の検出器角度で測定した場合において、最小反射強度に対する最大反射強度の比が300以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の紫外線被照射部材。
  6. 前記陽極酸化皮膜は、前記基材の表面と接するバリア層と、前記バリア層の前記基材とは反対側の面に接する第2ポーラス層と、前記第2ポーラス層の前記バリア層とは反対の面に接する前記第1ポーラス層とを含み、
    前記第2ポーラス層は複数の分岐する孔及び前記第1ポーラス層よりも大きい平均孔径の複数の孔の少なくともいずれか一方を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の紫外線被照射部材。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の紫外線被照射部材を備える、紫外線照射装置用エンクロージャ。
  8. 紫外線を照射する光源と、
    前記光源から発せられる紫外線が前記陽極酸化皮膜に照射されるように配置された請求項1~6のいずれか一項に記載の紫外線被照射部材と、
    を備える、紫外線照射装置。
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