JP2023118185A - 電力変換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマ発生装置用の高電圧発生装置を個別に設ける必要がなく、電力効率を向上させることができる電力変換器を提供すること。【解決手段】本発明の電力変換器は、プラズマアクチュエータを備え、上記プラズマアクチュエータが、誘電体層と、上記誘電体層の表面に露出した上部電極と、上記誘電体層に覆われた下部電極とを有し、上記下部電極が、上記誘電体層の面内方向に上記上部電極からオフセットして設けられている。そして、上記電力変換器の変換回路が、スイッチング素子を有する共振回路を含み、上記プラズマアクチュエータが、上記電力変換回路の電圧共振が発生する部品と並列接続され、発生する誘起流で上記スイッチング素子を冷却することしたため、プラズマアクチュエータ用の高電圧発生装置を個別に設けることなく正弦波状の電力を供給でき、プラズマアクチュエータの誘起流の発生効率が向上する。【選択図】図2
Description
本発明は、電力変換器に係り、更に詳細には、プラズマ発生装置を備える電力変換器に関する。
電力変換器は、電力変換により発熱するので冷却が必要であり、プラズマアクチュエータを設けて冷却することが知られている。
このプラズマアクチュエータは、プラズマを発生するために電極間に高電圧、かつ高周波の電力を供給する必要があり、一般的に、電子デバイスの回路とは別にプラズマ発生装置用の高電圧発生装置が設けられる。
上記高電圧発生装置の昇圧回路としては、トランスを介して一次側の低電圧を二次側に昇圧させるフライバック方式が知られており、この 昇圧回路は、簡易な構成で部品点数が少ないので、安価に高電圧を発生させることができる。
しかしながら、プラズマアクチュエータの電力効率を向上させるには、電圧波形が正弦波状であることが好ましいことが知られており、フライバック方式の昇圧回路の出力波形は一般的に矩形波であることから、フライバック方式の高電圧発生装置では電圧波形を変えるために部品点数が増加してしまう。
加えて、フライバック方式は電力効率が低いので、プラズマアクチュエータに要求される出力電圧を得るにはトランス等の部品が大型化して高電圧発生装置が大型化してしまう。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プラズマ発生装置用の高電圧発生装置を個別に設ける必要がなく、電力効率を向上できる電力変換器を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、電力変換回路に共振回路を組み込み、電圧共振が発生する部品とプラズマアクチュエータを並列に接続して電力を供給することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の電力変換器は、プラズマアクチュエータを備え、上記プラズマアクチュエータが、誘電体層と、上記誘電体層の表面に露出した上部電極と、上記誘電体層に覆われた下部電極とを有し、上記下部電極が、上記誘電体層の面内方向に上記上部電極からオフセットして設けられている。
そして、上記電力変換器の変換回路が、スイッチング素子を有する共振回路を含み、
上記プラズマアクチュエータが、上記電力変換回路の電圧共振が発生する部品と並列接続され、発生する誘起流で上記スイッチング素子を冷却することを特徴とする。
そして、上記電力変換器の変換回路が、スイッチング素子を有する共振回路を含み、
上記プラズマアクチュエータが、上記電力変換回路の電圧共振が発生する部品と並列接続され、発生する誘起流で上記スイッチング素子を冷却することを特徴とする。
本発明によれば、電力変換回路に共振回路を組み込み、電圧共振が発生する部品とプラズマアクチュエータとを並列に接続して電力を供給することしたため、プラズマアクチュエータ用の高電圧発生装置を個別に設けることなく正弦波状の電力を供給でき、プラズマアクチュエータの誘起流の発生効率が向上した電力変換器を提供することができる。
本発明の電圧共振形電力変換器について詳細に説明する。
本発明の電圧共振形電力変換器はプラズマアクチュエータを備え、該プラズマアクチュエータが発生する誘起流によって、電力変換器の変換回路のスイッチング素子(Q)を冷却するものであり、電力変換器の変換回路が共振回路を含み、上記プラズマアクチュエータが、上記電力変換回路の電圧共振が発生する部品と並列接続されている。
本発明の電圧共振形電力変換器はプラズマアクチュエータを備え、該プラズマアクチュエータが発生する誘起流によって、電力変換器の変換回路のスイッチング素子(Q)を冷却するものであり、電力変換器の変換回路が共振回路を含み、上記プラズマアクチュエータが、上記電力変換回路の電圧共振が発生する部品と並列接続されている。
このように、本発明の電圧共振形電力変換器は、プラズマアクチュエータでプラズマを発生させる電力を、その変換回路から供給するので、変換回路とは別にプラズマアクチュエータ用の高電圧発生装置を設ける必要がない。
加えて、上記変換回路は、共振コンデンサ(Cr)と共振リアクトル(Lr)とが直列に接続されて電圧が変動する共振回路を有するので、共振現象による電圧共振が発生する部品に生じる電圧の変化よって、プラズマアクチュエータでプラズマを発生させることができる。
プラズマアクチュエータは、大気圧バリア放電により生じた低温プラズマの陽イオン又は電子を電界によって加速し、これが周囲の空気分子と衝突することで、その運動量が空気分子に輸送され、気流(以下、「誘起流」ということがある。)を生じさせる。
本発明のプラズマアクチュエータは、図1に示すように、誘電体層と、上記誘電体層の表面に露出した上部電極と、上記誘電体層に覆われた下部電極とを有し、上記下部電極が、上記誘電体層の面内方向に上記上部電極からオフセットして設けられている。
したがって、誘電体層の表面で電極間に生じる電界が偏るので、陽イオン又は電子が誘電体層の面内方向で上部電極から下部電極に向けて加速され易く、一方向に誘起流が生じるため、消費電力に対する誘起流の発生効率が高い。
また、本発明のプラズマアクチュエータは、共振回路を備える変換回路の電圧共振が発生する部品と並列に接続されており、電圧波形が正弦波状の電力が供給されるので、誘起流の発生に対する電力効率が高い。
つまり、プラズマアクチュエータに供給される電力の電圧波形が矩形波であると、陽イオン又は電子は瞬間的に加速されて次の瞬間には止まってしまうため、誘起流の発生が局所的かつ断続的になり、誘起流が止まった時には、周囲との圧力差から誘起流とは逆向きの流れが生じてしまう。したがって、プラズマアクチュエータの周囲に定常的な流れは生じない。
これに対し、本発明のプラズマアクチュエータには、電圧波形が正弦波状の電力が供給されて電圧が徐々に変化し、この電圧の変化に伴い電圧が正勾配のときと負勾配のときとの両方で誘起流がほぼ連続して発生する。したがって、プラズマアクチュエータの周囲で空気の流れが略定常的に生じるため、スイッチング素子の冷却効率が向上する。
上記プラズマアクチュエータを並列に接続する、電圧共振が発生する部品としては、スイッチング素子(Q)、コンデンサ(C)、コイル(L)などを挙げることができ、上記スイッチング素子としては、電子機器を駆動するための電力を管理するパワー半導体、例えば、MOSFET、IGBT等を挙げることができる。
上記プラズマアクチュエータで発生させた誘起流で冷却するスイッチング素子が、パワー半導体であると、パワー半導体の耐熱温度を超えないように冷却することが可能になり、パワー半導体の単位面積当たりの消費電力を増加させることができるので、電力変換器を小型化できる。
また、上記変換回路は、必要に応じて、プラズマアクチュエータと直列に接続したON/OFFスイッチ(SW)を備えることができ、該スイッチによりプラズマアクチュエータに供給する電力をON/OFFすることができる。
プラズマアクチュエータに供給する電力は、上記のように電圧が徐々に変化することが好ましく、その周波数が数kHz~10数kHzであると誘起流の発生効率を向上させることができる。
上記共振回路の共振周波数(f0)は、1/(2π√(LC ))で表され、共振コンデンサCrと共振リアクトルLrとの組み合わせによって調節できるので、プラズマアクチュエータに供給する電力の周波数を上記数kHz~10数kHzに調節することが可能である。
しかし、電力変換器が外部機器に供給する電力の周波数がMHz級である場合は、プラズマアクチュエータに供給する電力の周波数もMHz級になってしまう。
そこで、プラズマアクチュエータと直列に接続したスイッチ(SW)をON/OFFすることで、電力変換器が外部機器に供給する電力の周波数がMHz級であっても、プラズマアクチュエータに周波数が数kHz~10数kHzの電力を供給することができ、誘起流による冷却効率が向上する。また、上記スイッチ(SW)をON/OFFすることで、プラズマアクチュエータを連続して動作させることや、必要に応じて、間欠的に動作させることも可能である。
なお、プラズマアクチュエータと直列に接続したスイッチは、図示しないスイッチ制御部によってオンオフが制御される。
なお、プラズマアクチュエータと直列に接続したスイッチは、図示しないスイッチ制御部によってオンオフが制御される。
電力変換器の変換回路が、電位の異なる箇所を3か所以上有する場合は、プラズマアクチュエータを複数設け、これらのプラズマアクチュエータを、それぞれ異なる電圧共振が発生する部品と並列に接続することが好ましい。
例えば、図2に示すように、電力変換器の変換回路が、高電位(a)、中電位(b)、低電位(c)である箇所を有している場合、高電位(a)と中電位(b)との間に設けられた電圧共振が発生する部品、中電位(b)と低電位(c)との間に設けられた電圧共振が発生する部品のそれぞれに、プラズマアクチュエータが並列接続されていると、1つの変換回路内で異なる複数の電位を利用して誘起流を発生させることができ、電力効率が向上する。
上記複数のプラズマアクチュエータは、それらの誘起流発生方向に並べて配置することができ、誘起流の流れ方向は異なっていても同じでであっても構わないが、図3に示すように、誘起流の方向が同じであると、誘起流の流れ方向上流側プラズマアクチュエータで発生した誘起流を下流側プラズマアクチュエータで加速することができ、誘起流が広範な範囲で滑らかに流れて冷却効率が向上する。
上記変換回路はE級回路であることが好ましい。
プラズマアクチュエータをE級回路の電圧共振する部品と並列接続することで、E級回路が電力変換器としての役割をしつつ、電力変換器の入出力の電圧よりも電圧共振が発生する箇所の電圧を高く設定できるので、プラズマを発生させるための電力効率を向上させることができる。
プラズマアクチュエータをE級回路の電圧共振する部品と並列接続することで、E級回路が電力変換器としての役割をしつつ、電力変換器の入出力の電圧よりも電圧共振が発生する箇所の電圧を高く設定できるので、プラズマを発生させるための電力効率を向上させることができる。
また、E級回路は、ゼロボルトスイッチングを行うことができるので、スイッチング損失を大幅に低減できるため、プラズマ発生に必要な電力効率が向上する。
さらに、上記E級回路は、入力部と出力部の回路構成によって機能を変えることができ、DCDC変換、ACDC変換、DCAC変換、ACAC変換が可能であり、プラズマアクチュエータをE級回路の電圧共振する部品と並列接続することで同様な効果を得られ、様々な回路バリエーションに対応可能である。
図2に示す変換回路は、E級回路によるDCDCコンバータの電力変換回路の一種であり、プラズマアクチュエータ(a)がスイッチング素子と並列に接続され、プラズマアクチュエータ(b)がコイルと並列に接続されている。この回路の出力電圧は回路上の部品定数やスイッチング素子の動かし方で制御することができる。
具体的にはコイルを追加することで、電圧共振で得られる電圧を上げることができる。
具体的にはコイルを追加することで、電圧共振で得られる電圧を上げることができる。
図4に、プラズマアクチュエータ(PA1)とスイッチング素子に印加される電圧の波形のタイミングチャート及び、プラズマアクチュエータ(PA2)とコイルに印加される電圧の波形のタイミングチャートを示す。
図4に示すようにプラズマアクチュエータ(PA1)には、上に凸の半波整流状の波形をした入出力の電圧よりも高い電圧が印加され、プラズマアクチュエータ(PA2)には、下に凸の半波整流状の波形をした入出力の電圧よりも高い電圧が印加される。
なお、図4では、プラズマアクチュエータ(PA1)とプラズマアクチュエータ(PA2)に印加される電圧の波形を上下に分けて示しており、入力電圧と出力電圧のレベルは上図と下図とで同じである。
なお、図4では、プラズマアクチュエータ(PA1)とプラズマアクチュエータ(PA2)に印加される電圧の波形を上下に分けて示しており、入力電圧と出力電圧のレベルは上図と下図とで同じである。
上記プラズマアクチュエータのプラズマが発生する電圧は、上記パワー半導体の耐圧以下であることが好ましい。
プラズマアクチュエータは、E級回路に必要な静電容量を確保し、直流成分のみを取り出すデカップリングコンデンサとしての役目を担うことができ、過剰な電圧がかかった際にプラズマを発生させて過剰な電圧を消費することができる。
したがって、例えば、回路の誤動作や制御範囲が外れたときなど、パワー半導体に絶縁耐圧以上の電圧が印加されてしまう際にも、パワー半導体が絶縁耐圧を向かえる前にプラズマアクチュエータがプラズマを発生して、過剰なエネルギーを消費することができるのでパワー半導体の絶縁破壊による故障を予防・抑制することができる。
プラズマアクチュエータの上部電極と下部電極との間の静電容量は、電極の長さや誘電体の厚さ等によって調節することができる。
また、プラズマアクチュエータは、図5に示すように、変換回路の出力側のコンデンサ等と並列に接続することもできる。
図6に、図5に示す回路のプラズマアクチュエータ(PA1)とスイッチング素子に印加される電圧の波形のタイミングチャート及び、プラズマアクチュエータ(PA3)とコイルに印加される電圧の波形のタイミングチャートを示す。
なお、図6も図4と同様に、プラズマアクチュエータ(PA1)とプラズマアクチュエータ(PA3)に印加される電圧の波形を上下に分けて示しており、入力電圧と出力電圧のレベルは上図と下図とで同じである。
なお、図6も図4と同様に、プラズマアクチュエータ(PA1)とプラズマアクチュエータ(PA3)に印加される電圧の波形を上下に分けて示しており、入力電圧と出力電圧のレベルは上図と下図とで同じである。
プラズマアクチュエータ(PA3)をダイオードよりも出力側に設けた場合は、図2に示すように、プラズマアクチュエータ(PA2)をダイオードよりも入力側に配置する場合と比較して、共振する時間が異なることがわかり、このように、回路構成によって、様々な回路バリエーションに対応可能である。
なお、図3、図5では、プラズマアクチュエータを2つ設けた場合を示したが、図3、図5に示すプラズマアクチュエータはいずれか一方であってもよく、プラズマアクチュエータが1つである場合のタイミングチャートの波形は、図4、図6に示される対応するプラズマアクチュエータと同様になる。
1 上部電極
2 下部電極
3 誘電体層
4 電源装置
5 プラズマ
6 誘起流
Vin 入力電圧
Vout 出力電圧
Lr 共振リアクトル
Cr 共振コンデンサ
PA1~PA3 プラズマアクチュエータ
Q スイッチング素子
L1~L2 コイル
C1~C3 コンデンサ
D ダイオード
SW ON/OFFスイッチ
R 負荷
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3 誘電体層
4 電源装置
5 プラズマ
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Vin 入力電圧
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PA1~PA3 プラズマアクチュエータ
Q スイッチング素子
L1~L2 コイル
C1~C3 コンデンサ
D ダイオード
SW ON/OFFスイッチ
R 負荷
Claims (8)
- プラズマアクチュエータを備える電力変換器であって、
上記プラズマアクチュエータが、誘電体層と、上記誘電体層の表面に露出した上部電極と、上記誘電体層に覆われた下部電極とを有し、
上記下部電極が、上記誘電体層の面内方向に上記上部電極からオフセットして設けられており、
上記電力変換器の変換回路が、スイッチング素子を有する共振回路を含み、
上記プラズマアクチュエータが、上記電力変換回路の電圧共振が発生する部品と並列接続され、発生する誘起流で上記スイッチング素子を冷却することを特徴とする電圧共振形電力変換器。 - 上記変換回路が、電位の異なる箇所を3か所以上有し、
上記プラズマアクチュエータを複数備え、
各プラズマアクチュエータが、それぞれ異なる電圧共振が発生する部品と並列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電圧共振形電力変換器。 - 上記複数のプラズマアクチュエータが、それらの誘起流発生方向に並んで配置され、
各プラズマアクチュエータの発生する誘起流の流れ方向が同じであることを特徴とする請求項2に記載の電圧共振形電力変換器。 - 上記プラズマアクチュエータと直列に接続されたスイッチを備え、
上記スイッチでプラズマ発生装置のオンオフを制御することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つの項に記載の電力変換器。 - 上記変換回路が、E級回路であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つの項に記載の電力変換器。
- 上記電圧共振が発生する部品が、スイッチング素子、コンデンサ及びコイルから成る群から選択された少なくとも1つの部品である特徴とする請求項1~5のいずれか1つの項に記載の電力変換器。
- 上記スイッチング素子が、パワー半導体であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1つの項に記載の電力変換器。
- 上記プラズマアクチュエータのプラズマが発生する電圧が、上記パワー半導体の耐圧以下であることを特徴とする請求項7に記載の電力変換器。
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