JP2023118045A - 電動圧縮機 - Google Patents

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武史 川田
Takeshi Kawada
信明 小川
Nobuaki Ogawa
岳史 今西
Takeshi Imanishi
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Abstract

【課題】可動スクロールを当接させるための適切な圧力を維持しやすい電動圧縮機を提供する。【解決手段】電動圧縮機100は、固定スクロール111、及び、可動スクロール112を有する圧縮部101を備え、固定スクロール111は、第1基部111aと、凸部111cと、を有し、可動スクロール112は、固定スクロール111側の第1主面112e及び反対側の第2主面112fを有する第2基部112aを有し、第2基部112aには、第1主面112eに形成された第1連通口112gと第2主面112fに形成された第2連通口112hとをつなぐ連通孔112cが設けられ、凸部111cの可動スクロール112側の端面は、可動スクロール112の旋回に伴う第1連通口112gの移動範囲に重なる領域にわたって設けられ、かつ、少なくとも一部が第1連通口112gに対して離間している。【選択図】図2

Description

本開示は、電動圧縮機に関する。
従来、種々の用途に用いられる電動圧縮機が知られている。例えば、特許文献1には、各種の駆動部分を支持する軸受が配置された空間に向けて延びる通路が設けられており、当該通路を介して供給される潤滑油により、各軸受において良好な潤滑性が確保される電動圧縮機が開示されている。
特開2013-155643号公報
ところで、電動圧縮機による冷媒の圧縮では、圧縮用の固定スクロールに可動スクロールを当接させながら、可動スクロール側を旋回させて冷媒の圧縮を行う。このとき、電動圧縮機の構成によっては、圧縮後の冷媒の一部を利用して可動スクロールを当接させるための適切な圧力を発生させる機構が備えられるものもある。しかしながら、可動スクロールを当接させるための適切な圧力の維持は困難である場合がある。
そこで、本開示は、可動スクロールを当接させるための適切な圧力を維持しやすい電動圧縮機を提供する。
本開示の一態様に係る電動圧縮機は、駆動部及び前記駆動部によって回転する軸部を有するモータと、固定スクロール、及び、前記軸部の回転に応じて前記固定スクロールに対して旋回する可動スクロールを有する圧縮部と、を備え、前記固定スクロールは、前記モータの回転軸方向に厚みを有する第1基部と、前記第1基部から前記可動スクロールに向かう方向に沿って立設され、平面視において渦状の第1羽部と、前記第1基部から前記可動スクロールに向かう方向に沿って立設された凸部と、を有し、前記可動スクロールは、前記回転軸方向に厚みを有し、前記固定スクロール側の第1主面及び反対側の第2主面を有する第2基部と、前記第2基部から前記固定スクロールに向かう方向に沿って立設され、平面視において渦状の第2羽部と、を有し、前記第2基部には、前記第1主面に形成された第1連通口と前記第2主面に形成された第2連通口とをつなぐ連通孔が設けられ、前記凸部の前記可動スクロール側の端面は、前記可動スクロールの旋回に伴う前記第1連通口の移動範囲に対して前記回転軸方向において重なる領域にわたって設けられ、かつ、少なくとも一部が前記第1連通口に対して離間している。
本開示の電動圧縮機によれば、可動スクロールを当接させるための適切な圧力を容易に維持することが可能となる。
図1は、実施の形態に係る電動圧縮機の分解斜視図である。 図2は、実施の形態に係る電動圧縮機を示す断面図である。 図3は、実施の形態に係る電動圧縮機のスクロール圧縮部の構成を示す分解図である。 図4は、実施の形態の別例に係る電動圧縮機のスクロール圧縮部の構成を示す分解図である。 図5は、実施の形態に係る電動圧縮機の可動スクロールの反対側の面を平面視した図である。 図6は、実施の形態の別例に係る電動圧縮機の可動スクロールの反対側の面を平面視した図である。 図7Aは、実施の形態のさらに別例に係る電動圧縮機の固定スクロールの傾斜面を説明するための斜視図である。 図7Bは、実施の形態のさらに別例に係る電動圧縮機の固定スクロールの傾斜面を説明するための三面図である。 図8Aは、実施の形態のさらに別例に係る電動圧縮機の固定スクロールの傾斜面を説明するための斜視図である。 図8Bは、実施の形態のさらに別例に係る電動圧縮機の固定スクロールの傾斜面を説明するための三面図である。
(本開示に至った経緯)
電動圧縮機は、様々な用途に用いられ、例えば、車載用の空気調和装置の冷却装置として使用される。このような電動圧縮機では、筐体の内部に電動のモータと、当該モータの回転駆動によって低温を媒介する媒質(言い換えると、冷媒)の圧縮を行う圧縮部とが内蔵されている。圧縮部の一例としては、スクロール圧縮部が挙げられる。スクロール圧縮部は、圧縮用の固定スクロールに可動スクロールを当接させながら、可動スクロール側を旋回させて冷媒の圧縮を行う。背景技術の欄において説明したように、このとき、電動圧縮機の構成によっては、圧縮後の冷媒の一部を利用して可動スクロールを当接させるための適切な圧力を発生させる機構が備えられるものもある。具体的には、可動スクロールの固定スクロールに対向する側とは反対側(裏面側ともいう)の空間に圧縮前の冷媒よりも高圧の冷媒を滞留させることで、この圧力差によって可動スクロールを固定スクロール側に向けて付勢することが可能である。このために、可動スクロールの裏面側の空間に圧縮後の冷媒の一部を流入させる経路を設ける構成が用いられる。
一方で、この可動スクロールの裏面側の空間に圧縮後の冷媒を流入させるためには、低圧側の空間へ、さらに一部の冷媒を流出させる必要がある。したがって、上記の構成では、可動スクロールの裏面側の空間から滞留する冷媒の一部を流出させる経路が同時に設けられる。
可動スクロールの裏面側の空間から滞留する冷媒の一部を流出させる経路は、通常、その流量を制御するために細管や流量調整用のバルブを利用することで実現される。しかしながら、このような細管や流量調整用のバルブは、異物の混入によって閉塞する可能性があり、一度閉塞が生じてしまうと、可動スクロールを当接させるための適切な圧力の維持することができなくなる。そこで、本開示では、可動スクロールの裏面側の空間から滞留する冷媒の一部を流出させる経路に、混入した異物による閉塞が生じにくく、かつ流量を調整することが可能な構成を適用することによって、可動スクロールを当接させるための適切な圧力を維持しやすい電動圧縮機を提供することを目的とする。
(開示の概要)
上記に鑑みて、本開示の第1態様に係る電動圧縮機は、駆動部及び駆動部によって回転する軸部を有するモータと、固定スクロール、及び、軸部の回転に応じて固定スクロールに対して旋回する可動スクロールを有する圧縮部と、を備え、固定スクロールは、モータの回転軸方向に厚みを有する第1基部と、第1基部から可動スクロールに向かう方向に沿って立設され、平面視において渦状の第1羽部と、第1基部から可動スクロールに向かう方向に沿って立設された凸部と、を有し、可動スクロールは、回転軸方向に厚みを有し、固定スクロール側の第1主面及び反対側の第2主面を有する第2基部と、第2基部から固定スクロールに向かう方向に沿って立設され、平面視において渦状の第2羽部と、を有し、第2基部には、第1主面に形成された第1連通口と第2主面に形成された第2連通口とをつなぐ連通孔が設けられ、凸部の可動スクロール側の端面は、可動スクロールの旋回に伴う第1連通口の移動範囲に対して回転軸方向において重なる領域にわたって設けられ、かつ、少なくとも一部が第1連通口に対して離間している。
このような電動圧縮機では、第2基部の第2主面が対向する空間へと、圧縮部で圧縮された冷媒を供給すれば、この冷媒が第2連通口から連通孔を通って第1連通口へとさらに通流される。そして、第2主面が対向する空間からの冷媒の通流量を、連通口の直径と、第1連通口と凸部の可動スクロール側の端面との離間距離とにより調節することによって、第2主面が対向する空間には、圧縮前の冷媒よりも高圧、かつ、圧縮後の冷媒よりも低圧(中間圧ともいう)の冷媒を滞留させることができ、可動スクロールを当接させるための適切な圧力を維持することができる。
また、第1連通口と凸部の可動スクロール側の端面との離間距離が、第2主面が対向する空間内に中間圧の冷媒を滞留させることができる距離に設定した場合に、冷媒中に含まれる異物は、第1連通口と凸部の可動スクロール側の端面との間に詰まる可能性がある。
しかしながら、上記構成によれば、第1連通口が旋回スクロールとともに固定スクロールに対して旋回するため、第1連通口と凸部の可動スクロール側の端面との間に詰まった異物は、容易にその姿勢が変更され、通流可能な姿勢となったときにこの異物の詰まりが解消される。このように、上記構成の電動圧縮機では、可動スクロールを固定スクロールに当接させるための適切な圧力を維持しやすい。
また、例えば、第2態様に係る電動圧縮機は、第1羽部と、凸部とが、一体化されている、第1態様に記載の電動圧縮機である。
これによれば、第1羽部と凸部とを別体として形成する場合に比べて、凸部の形成が容易になる。また、凸部の一部を第1羽部として、あるいは第1羽部の一部を凸部として形成できるため、筐体の内部空間を有効利用でき、電動圧縮機の小型化に寄与することができる。
また、例えば、第3態様に係る電動圧縮機は、凸部の可動スクロール側の端面が、第1羽部から離れた一端側から、第1羽部と一体化された他端側にかけて、第1連通口との離間距離が一定の平坦面である、第2態様に記載の電動圧縮機である。
これによれば、平坦面という簡易な設計によって、凸部の可動スクロール側の端面を構成できる。よって、簡易な構成によって、可動スクロールを固定スクロールに当接させるための適切な圧力を維持しやすい電動圧縮機を実現できる。
また、例えば、第4態様に係る電動圧縮機は、凸部の可動スクロール側の端面が、第1羽部から離れた一端側から、第1羽部と一体化された他端側にかけて、第1連通口との離間距離が漸増する傾斜面である、第2態様に記載の電動圧縮機である。
これによれば、第1連通口が第1羽部から離れた一端側の位置に位置するとき、及び、第1羽部と一体化された他端側の位置に位置するときの冷媒の通流しやすさの差を低減できる。言い換えると、冷媒の通流量を安定化することができる。よって、より安定に、可動スクロールを固定スクロールに当接させるための適切な圧力を維持しやすい電動圧縮機を実現できる。
また、例えば、第5態様に係る電動圧縮機は、凸部の可動スクロール側の端面が、第1羽部から離れた一端側に形成された頂部において第1連通口との離間距離が最小であり、頂部からいずれの方向にかけても、第1連通口との離間距離が漸増する傾斜面である、第4態様に記載の電動圧縮機である。
これによれば、第1連通口が第1羽部から離れた一端側に設けられた頂部の位置に位置するとき、及び、頂部以外の位置に位置するときの冷媒の通流しやすさの差を低減できる。言い換えると、冷媒の通流量を安定化することができる。よって、より安定に、可動スクロールを固定スクロールに当接させるための適切な圧力を維持しやすい電動圧縮機を実現できる。
また、例えば、第6態様に係る電動圧縮機は、第1主面が、第1連通口が形成されている部分が、第1羽部の、可動スクロール側の先端が当接する部分よりも第1基部からの距離が遠い段差面形状であり、第1主面のうちの第1連通口が形成されている部分が、平面視において第2基部の外周側に近づくほど広がる拡径形状である、第1~第3態様のいずれか1態様に記載の電動圧縮機である。
これによれば、第1連通口は、外周側に向けて拡径された平板状の空間に接続されるので、少量の異物が詰まり部分的に閉塞したとしても、その閉塞が形成された方向とは異なる他の方向に冷媒を通流させることができるので、第2主面が対向する空間内の冷媒の圧力が異常に高まることが抑制される。
また、例えば、第7態様に係る電動圧縮機は、第1羽部の、可動スクロール側の先端が、凸部の端面よりも第1基部からの距離が遠い、第1~第6態様のいずれか1態様に記載の電動圧縮機である。
これによれば、凸部の端面は、第1羽部の可動スクロール側の先端よりも第1基部に近くなっているので、第1羽部の可動スクロール側の先端と当接される第1主面に対して、凸部の端面が離れている構成となっている。したがって、第1連通口は、凸部の端面との間に形成された平板状の空間に接続されるので、少量の異物が詰まり部分的に閉塞したとしても、その閉塞が形成された方向とは異なる他の方向に冷媒を通流させることができる。したがって、第2主面が対向する空間内の冷媒の圧力が異常に高まることが抑制される。
また、例えば、第8態様に係る電動圧縮機は、第1基部の、第1羽部が形成された面とは反対側の面に締結された排気弁と、排気弁の締結に用いられるネジと、をさらに備え、凸部が、第1基部の、第1羽部が形成された面とは反対側の面から、凸部の内部に到達するネジ穴を有し、ネジが、ネジ穴に螺入されている、第1~第7態様のいずれか1態様に記載の電動圧縮機である。
これによれば、凸部を形成するためのバルク部分を、ネジを締結するためのネジ穴用の空間として利用することができるため、筐体の内部空間を有効利用でき、電動圧縮機の小型化に寄与することができる。
また、例えば、第9態様に係る電動圧縮機は、第2主面が、段差境界よりも外周側の部分が、段差境界よりも中心側の部分よりも第1主面からの距離が遠い段差面形状であり、段差境界が、第2連通口を避けて第2基部の外周側に迂回する迂回部を有する、第1~第8態様のいずれか1態様に記載の電動圧縮機である。
これによれば、第2主面を段差面形状とすることで、例えば、第2主面と、当該第2主面に対向する部材とで、中間圧の冷媒が滞留する空間を形成できる。この空間において、第2主面に対向する部材に対して、段差境界よりも外周側の部分で冷媒の漏れを抑制するシールを形成することができる。一方で、連通孔は、第1主面側(第1連通口)で低圧の冷媒が通流している外周側につながっている必要があるので、電動圧縮機の小型化の観点で旋回スクロールを小型化するには、第2連通口を外周側に配置する必要が生じる。上記のように段差境界が第2連通口を避けて第2基部の外周側に迂回する迂回部を有するようにすれば、段差境界よりも外周側の部分でシールを形成しながら、第2連通口を外周側に配置することができる。
また、例えば、第10態様に係る電動圧縮機は、第2基部の平面視において、第1連通口が、第2連通口よりも第2基部の外周に近い位置に形成される、第1~第8態様のいずれか1態様に記載の電動圧縮機である。
これによれば、例えば第2基部の厚み方向に対して傾斜した斜め孔によって、連通孔を第1主面側(第1連通口)で低圧の冷媒が通流している外周側につなげながら、一方で、第2連通口を第2基部の(少なくとも第1連通口よりも)内周側に配置することができる。このため、第2主面の段差境界よりも外周側の部分を開口のない平坦面で構成できるので、例えば、第2主面に対向する部材に対して、外周側の部分で面接触することで冷媒の漏れを抑制するシールを形成することなどに利用できる。
また、例えば、第11態様に係る電動圧縮機は、凸部の端面と第1連通口との離間距離が、連通孔の延びる方向に交差する方向における連通孔の大きさよりも小さい、第1~第10態様のいずれか1態様に記載の電動圧縮機である。
これによれば、連通孔の延びる方向に交差する方向における連通孔の大きさよりも小さい離間距離で凸部の端面と第1連通口とを離間させて、可動スクロールを固定スクロールに当接させるための適切な圧力を維持しやすい電動圧縮機を実現できる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の包括的又は具体的な一例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ及びステップの順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺などは必ずしも一致していない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態)
[構成]
図1は、実施の形態に係る電動圧縮機の分解斜視図である。図1では、本開示の電動圧縮機100の主要な構成要素を分解した状態で簡略化して図示した概念図が示されている。したがって、電動圧縮機100には、さらに各部の補強や構成要素同士を接続するための構造、及び図示しない他の構成要素等が付加されてもよい。
図1に示すように、電動圧縮機100は、ケース107(第1筐体)、及びカバー109(第2筐体)に分割される筐体と、筐体内に配置されるモータ200と、固定スクロール111及び可動スクロール112を有する圧縮部101(後述する図2参照)と、モータ200の回転軸を支持するための内部部品である軸受部材120と、を備える。筐体、圧縮部101、及び、軸受部材120は、例えば、アルミ、ステンレス等の金属及び合金、ならびに強化樹脂等の材料を組み合わせて形成される。なお、図1の固定スクロール111では、可動スクロール112との嵌合構成をわかりやすくするために、後述する図2における排気口125および凸部111cが設けられる第1基部111aの図示を省略している。また、図1の可動スクロール112では、後述する図2における連通孔112cの図示も省略している。
ケース107には、モータ200及び圧縮部101が内蔵されるための内部空間の大部分が設けられている。この内部空間では、モータ200の回転によって圧縮部101が駆動され、冷媒の圧縮が行われる。ケース107の内部空間は、このようにモータ200を回転可能に収容し、かつ、圧縮部101を駆動可能に収容するとともに、外部からモータ200及び圧縮部101を保護する。
モータ200の大部分は、カバー109側から見て内部空間の奥側に収容される。モータ200は、圧縮部101の可動スクロール112を旋回させるための動力を発生させる。具体的には、モータ200のうち、駆動部201(後述する図2参照)が、回転力を発生し、軸部202(後述する図2参照)が回転されることで、可動スクロール112を旋回させるための動力としてこの回転力が伝達される。以上のようにして、モータ200の発生した回転力によって圧縮部101で冷媒が圧縮される。圧縮された冷媒は、固定スクロール111側からカバー109側へと排気される。
カバー109は、ケース107と連結されることで内部空間を覆う筐体の一部である。カバー109内には、固定スクロール111から排気された圧縮後の高温かつ高圧の冷媒が通過するための空間(内部空間の一部)が設けられている。
圧縮された冷媒は、電動圧縮機100の吐出口(不図示)から冷凍サイクルへと吐出され、当該冷凍サイクルを循環した後、電動圧縮機100の吸入口(不図示)から吸入される。なお、吐出口及び吸入口の具体的な位置は、特に限定されないが、少なくとも、吐出口がカバー109に設けられ、吸入口がケース107に設けられる。
なお、内部空間で圧縮される冷媒の漏れを抑制し、かつ、外部から内部空間への空気の流入を抑制するためにガスケット(不図示)が、ケース107とカバー109との間に配置されていてもよい。
以下、電動圧縮機100のより詳細な構成について図2を用いて説明する。図2は、実施の形態に係る電動圧縮機を示す断面図である。図2に示すように、ケース107及びカバー109は、一体化されることで電動圧縮機100の筐体を形成する。
ここで、軸受部材120は、ケース107の奥側の空間(以下、モータ室121ともいう)に向けて凹む構造を有する。言い換えると、軸受部材120よりも手前側の空間(以下、圧縮室122ともいう)は、モータ室121側に向けて突出するように広がっている。つまり、軸受部材120は、モータ室121と圧縮室122とを隔てる隔壁である。
軸受102は、軸受部材120の凹む構造によって広がる空間内に圧入されることで設置される。軸受102は、例えば、ボールベアリングであるが、貫通される軸が回転可能に保持される構成であればこれに限らない。ローラベアリング、又は、軸部202及び筐体との摩擦係数が比較的低い筒状部材が用いられてもよい。また、モータ室121の最も奥側(つまり紙面右側)に副軸受104が設けられている。副軸受104の種類も、軸受102と同様に、任意の構成が用いられる。また、副軸受104の設置方法にも特に限定はないが、一例として、ケース107の内面に設けられたモータ室121の内部に向けて筒形状に突出する箇所に副軸受104が圧入されることで設置される。
軸受102と副軸受104とは、貫通される軸の方向が一致しており、これら2つの軸受機構によって、モータ200の軸部202が回転可能に保持されている。また、軸部202を回転させる駆動部201は、ケース107の内面に固定されたコイル211で実現される固定子と、軸部202と一体化された永久磁石212とを有する。軸部202と一体化した永久磁石212によって回転子が形成され、回転子は、固定子であるコイル211への電圧の印加によって回転する。つまり、モータ200は、いわゆるPM同期モータである。また、モータ200の制御は、U相、V相、W相の三相交流によって行われる。
軸部202の圧縮室122側の端部は、上記したように、軸受部材120を貫通して軸受102に保持されて圧縮室122の内部に存在する。当該端部には、偏心軸105が設置され、軸部202の回転に応じて軸部202の回転軸を中心に公転する。つまり偏心軸105によって軸部202の回転軸回りに旋回する軌道が形成される。また、偏心軸105は、軸部202を可動スクロール112に接続するための接続部材106に接続されている。偏心軸105は、一例として、軸部202及び接続部材106のそれぞれに形成された穴に挿入されることでこれらに接続されている。接続部材106は、可動スクロール112と接続し、偏心軸105とともに旋回する軌道を形成して回転する本体部と、当該本体部と対応して180度ずれて回転するバランスウェイトとが一体形成された構造である。このようにすることで、偏心に伴って発生し得る電動圧縮機100の振動が軽減される。
接続部材106の本体部には、駆動軸受103が設けられており、接続部材106の回転を伝達することなく、可動スクロール112を旋回させる。可動スクロール112は、第2基部112aと、当該第2基部112aから立設された渦巻き状の第2羽部112bとを有する。一方、固定スクロール111も同様に第1基部111aと、当該第1基部111aから立設された渦巻き状の壁部(第1羽部111b)とを有する。可動スクロール112及び固定スクロール111の各々の羽部は、可動スクロール112の旋回を許容するように嵌合している。
この状態で可動スクロール112が旋回されることで、圧縮部101の低圧端124(渦巻き状の最外周)に存在している冷媒は、固定スクロール111の第1羽部111b及び可動スクロール112の第2羽部112b同士の間に形成された空間によって圧縮部101中心(渦巻き状の中心部)の高圧端へと誘導される。なお、低圧端124には、ケース107と軸受部材120との隙間に設けられた流路を介してモータ室121から媒質が供給される。
上記の羽部同士の間に形成された空間は、高圧端に向かうにつれて容積が減少されるため、冷媒が圧縮される。このようにして圧縮された冷媒は、固定スクロール111の第1基部111aの中心近傍に形成された排気口125から排気される。なお、排気口125は、単純な貫通孔であり、排気口125の外部側(つまりカバー109側)に排気口125を覆う排気弁113が設けられている。排気弁113はネジ114によって締結されて固定されている。そして、ネジ114は、ネジ穴114aに螺入されることで挿入されている。気体は、排気弁113を変形し得る圧力に達するまで、圧縮部101内に押し留められている。このようにして、カバー109及び固定スクロール111が覆う空間(以下、高圧室123ともいう)内に、高圧の気体が排気される。このように内部空間は、モータ室121、圧縮室122、及び、高圧室123を含む。ここで、排気口125から排気された高圧の冷媒は、排気弁113を変形させたわずかな隙間から排気されるため、高速で高圧室123に排気される。
高圧室123には、図示しない分離機構が形成されており、上記の冷媒の流速を利用することで、冷媒に混ざる比較的比重の大きい潤滑剤を分離して、冷媒のみが冷凍サイクルへと吐出される。一方で、高圧室123は、流路123aに接続されており、圧縮された冷媒の一部は、流路123aを介して、別の空間へと流入する。流路123aは、ケース107とカバー109と、軸受部材120とのそれぞれに形成された孔が接続されて形成されている。
流路123aを介して、高圧室123につながる空間は、可動スクロール112の第2羽部112bが形成された面(第1主面112e)とは反対側の面(裏面又は第2主面112fともいう)と対向する空間であり、圧縮室122の一部である。この空間は、可動スクロール112及び軸受部材120の間に形成された空間である。ここに、圧縮後の冷媒の一部が流入すると、さらにその一部が可動スクロール112の第2基部112aを軸方向に貫通する連通孔112cを介して、低圧端124へと流出する。この可動スクロール112の裏面と対向する空間への冷媒の流入と、当該空間からの冷媒の流出の量とが調整されることで、冷媒が滞留するので、低圧端124での冷媒の圧力よりも高い圧力を維持することができる。この圧力差によって、可動スクロール112は、固定スクロール111へと付勢されており、冷媒の圧縮を適切に行うことが可能となっている。なお、連通孔112cの直径は、後述する図3に比べ、図2ではわかりやすくするために大きく記載しているが、実際は、可動スクロール112の裏面と対向する空間が、低圧端124での冷媒の圧力よりも高い圧力を維持するように調整された直径を有する。
ここで、図3は、実施の形態に係る電動圧縮機のスクロール圧縮部の構成を示す分解図である。図3では、固定スクロール111及び可動スクロール112の両方の羽部が紙面手前側に向く姿勢で配置されている。連通孔112cは、第1主面112eに形成された開口である第1連通口112gと、第2主面112fに形成された開口である第2連通口112h(図示せず、後述する図5に図示)とがつながって形成されている。図2及び図3に示すように、連通孔112cの第1連通口112gは、固定スクロール111に形成された凸部111cと対向している。そして、凸部111cは、第1連通口112gが可動スクロール112の旋回に伴って移動する範囲内を覆うようにその端面が広く形成されている。なお、凸部111cは、固定スクロール111の第1羽部111bと一体化されて形成されており、単一の工程で、第1羽部111bとともに形成される。
また、凸部111cは、排気弁113を締結するためのネジ114のネジ穴114aを形成するためにも利用される。つまり、第1基部111aの、第1羽部111bが形成された面とは反対側の面に締結された排気弁113の締結に用いられるネジ114は、第1基部111aの、第1羽部111bが形成された面とは反対側の面から、凸部111cの内部に到達するネジ穴114aに螺入される。このネジ穴114aの空間を囲む肉部として、凸部111cを利用することができる。
図2に示すように、凸部111cと、連通孔112cの第1連通口とは離間されている。この離間距離は、例えば、連通孔112cの延びる方向に交差する方向における当該連通孔112cの大きさ(言い換えると連通孔112cの直径)よりも小さくなっている。
このように、連通孔112cの直径と、連通孔112cの第1連通口112gと凸部111cとの離間距離が調整されることによって、連通孔112cを介して可動スクロール112の裏面が対向する空間からの冷媒の通流量(流出量)が調整される。具体的には、連通孔112cを通って流出した冷媒は、第1連通口112gを通った後に対向する凸部111cの端面に衝突して対流が発生する。これにより流体抵抗が形成され、連通孔112cから流出する冷媒の量が制御可能となる。なお、連通孔112cの第1連通口112gと、凸部111cとの離間距離は、電動圧縮機100の仕様に応じて適宜設定される必要がある。例えば、高圧室123から流入する冷媒の流量が大きい場合、それに応じて、大きな流量となるように離間距離が大きくなる。反対に、高圧室123から流入する冷媒の流量が小さい場合、それに応じて、小さな流量となるように離間距離が小さくなる。
ここで、図3に示すように、離間距離を形成するために、本実施の形態では、第2基部112aの第1主面112eが段差面形状となっている。より詳しくは、第1主面112eにおいて、第1連通口112gが形成されている部分が、第1羽部111bの、可動スクロール112側の先端が当接する部分よりも第1基部111aからの距離が遠い段差面形状であり、第1主面112eのうちの第1連通口112gが形成されている部分は、平面視において第2基部112aの外周側に近づくほど広がる拡径形状となっている。
例えば、連通孔112cを介して、異物が第1連通口112gに到達した場合、離間距離によっては異物が第1連通口112gと凸部111cの端面との間に閉塞する場合がある。しかしながら、可動スクロールが旋回するために、このような異物は同じ場所には留まりにくく、離間している間を通過可能な姿勢となったときに、異物が排除されるため、異物による閉塞が発生しにくい。さらに、上記のように、第1主面112eのうちの第1連通口112gが形成されている部分は、平面視において第2基部112aの外周側に近づくほど広がる拡径形状となっていることで、可動スクロール112の旋回に伴って異物の姿勢が変化しやすくなることや、異物が閉塞した後にも、その両側を通過可能であるために異物の閉塞が冷媒の流出に与える影響を少なくする効果などが得られる。
また、第1主面112eを段差面形状とする代わりに、凸部の端面を利用することもできる。この例について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態の別例に係る電動圧縮機のスクロール圧縮部の構成を示す分解図である。図4に示すように、この別例では、固定スクロール111mの、第1羽部111oの可動スクロール112m側の先端は、凸部111pの端面よりも第1基部111nからの距離が遠くなっている。これにより、可動スクロール112mは、平坦な第1主面112qを有する第2基部112nと第2羽部112oとから形成することができる。連通孔112pは、平坦な第1主面112qに形成された第1連通口112sと、第2主面112rに形成された第2連通口(図示せず)とをつなぐことで形成されている。
以下、可動スクロール112の裏面が対向する空間を維持するためのシール部分について説明する。図5は、実施の形態に係る電動圧縮機の可動スクロールの反対側の面を平面視した図である。図2に示すように、可動スクロール112は、最外周の一部が、他部に比べて厚みが増しており、この厚みが増している部分が軸受部材120と接触することで、連通孔112cを介さずに、軸受部材120と可動スクロール112との間から冷媒が流出することを抑制している。この裏面における厚みが変化する部分は、段差境界とも呼ばれる。可動スクロール112では、段差境界よりも外周側の部分が、段差境界の中心側の部分よりも第1主面112eからの距離が遠い段差面形状となっている。
ところで、連通孔112cは、低圧端124につながる必要があるため、第1連通口112gは可能な限り可動スクロール112の外周側に配置される。一方で、裏面の外周側には、シール用の厚みの大きい部分がある。そこで、図5に示すように、本実施の形態では、段差境界が第2連通口112hを避けて第2基部112aの外周側に迂回する迂回部112dを有する。これにより、連通孔112cを外周側に設けながら、シール用の厚みの大きい部分の確保が可能となる。
また、図6のようにして、迂回部112dを設けないことも可能である。図6は、実施の形態の別例に係る電動圧縮機の可動スクロールの反対側の面を平面視した図である。図6に示す可動スクロール112では、連通孔112cが第2基部112aを斜めに貫通している。このため、第2基部112aの平面視において、第1連通口112gは、第2連通口112hよりも第2基部112aの外周に近い位置に形成されている。これにより、迂回部を形成する必要がなくなるため、可動スクロール112を形成することが容易になる。
以下、さらに、実施の形態のさらなる別例について説明する。以下で説明する別例では、上記実施の形態における凸部111pの端面が、第1連通口112sとの離間距離が一定の平坦面であるのに対して、この端面が傾斜面によって形成される例を説明する。
図7Aは、実施の形態のさらに別例に係る電動圧縮機の固定スクロールの傾斜面を説明するための斜視図である。図7Bは、実施の形態のさらに別例に係る電動圧縮機の固定スクロールの傾斜面を説明するための三面図である。
図7Aでは、図4の固定スクロール111と同じ視点で示した別例に係る固定スクロール111の斜視図を示している。特に、図7Aでは、固定スクロール111の凸部111pを拡大した部分拡大図を併せて示している。この部分拡大図における二点鎖線は、第1主面112qとの距離、すなわち、旋回に伴う各位置での第1連通口112sと、凸部111pの端面との離間距離が同じである等高線を示している。この等高線は、第1基部111nからの高さが同じである端面上の位置を示しているともいえる。
また、図7Bでは、3方向のそれぞれから凸部111pを平面視した平面図を示している。ここでの3方向は、第1基部111nの厚み方向に平行な第1方向(図中の(b)に対応)、第1方向に直交し、第1羽部111oと凸部111pとがつながる(一体化される)第2方向(図中の(a)に対応)、及び、第1方向と第2方向とのそれぞれに直交する第3方向(図中の(c)に対応)を含む。
図7A及び図7Bに示すように、凸部111pの可動スクロール112に対向する側の端面は、第1羽部111oから離れた一端側に形成された頂部111qにおいて第1基部111nからの高さが最も高くなっており、第1連通口112sとの離間距離が最小となる。また、傾斜面では、頂部111qからいずれの方向にかけても、頂部111qから離れるほど、第1基部111nからの高さが漸減して(徐々に低くなって)おり、第1連通口112sとの離間距離が漸増している。
傾斜面によって、可動スクロール112の可動に伴う第1連通口112sの各位置で凸部111pの可動スクロール112側の端面との離間距離を変化させることができる。その結果、離間距離が短いほど、凸部111pの可動スクロール112側の端面と第1連通口112sとの間の空間で流体抵抗を大きくさせ、第1連通口112sの各位置での冷媒の通流量を変化させることができる。
ところで、第1連通口112sは、可動スクロール112の可動に伴って、第1羽部111oから離れた一端側の位置と第1羽部111oと一体化された他端側の位置との間を往復する。このとき、一端側に最近接したときに、第1連通口112sと最も近い一端側の位置(例えば、第3方向における凸部111pの中央)に頂部111qが設けられている。頂部111qは、厳密には一端側に最近接したときの第1連通口112sの位置に重なる必要はない。したがって、頂部111qは、一端側に最近接したときの第1連通口112sの位置に対応する位置に設けられている。このため、第1連通口112sが頂部111qの位置に位置する、とは、頂部111qに対応する位置に第1連通口112sが位置していることを意味し、頂部111qと第1連通口112sとが重なっていてもよく、重なっていなくてもよい。同様に、第1連通口112sが一端側の位置に位置する、とは、一端側に対応する位置に第1連通口112sが位置していることを意味し、一端側と第1連通口112sとが重なっていてもよく、重なっていなくてもよい。同様に、第1連通口112sが他端側の位置に位置する、とは、他端側に対応する位置に第1連通口112sが位置していることを意味し、他端側と第1連通口112sとが重なっていてもよく、重なっていなくてもよい。
上記の第1連通口112sの往復では、例えば、図7Bの(b)の視点での紙面上下の方向(第3方向)においての位置もさらに変化する。具体的には、可動スクロール112は旋回するため、第1連通口112sが、一端側の位置から他端側の位置へと移動する間に、図7Bの(b)の視点での紙面上側又は下側の一方に移動し、他端側の位置から一端側の位置へと移動する間に、図7Bの(b)の視点での紙面上側又は下側の他方に移動する。
このとき、第1連通口112sは、低圧側の空間(第1羽部111o及び凸部111pの外側)から見たときに、第1羽部111oと一体化された他端側の位置でいずれの方向からも最も奥まった位置となる。一方で、第1連通口112sは、低圧側の空間から見たときに、第1羽部111oから離れた一端側の位置で、第1羽部111oと一体化された他端側の位置に位置する場合に比べていずれの方向からも浅い位置となる。さらに、第1連通口112sは、一端側の位置から他端側の位置へと移動する間に、図7Bの(b)の視点での紙面上側又は下側の一方に移動したとき、低圧側の空間から見たときに、当該一方側の方向から浅く、他方側の方向から奥まっており、かつ、一端側の方向から中程度の浅さの位置となる。同様に、第1連通口112sは、他端側の位置から一端側の位置へと移動する間に、図7Bの(b)の視点での紙面上側又は下側の他方に移動したとき、低圧側の空間から見たときに、当該他方側の方向から浅く、一方側の方向から奥まっており、かつ、一端側の方向から中程度の浅さの位置となる。
その結果、第1連通口112sから低圧側の空間に通流する冷媒は、第1羽部111oと一体化された他端側の位置に第1連通口112sが位置するときに比べて、一端側の位置から他端側の位置、又は、他端側の位置から一端側の位置へと移動する間の図7Bの(b)の視点での紙面上側又は下側のいずれかに位置するときの方が、低圧側の空間から見た第1連通口112sまでの浅さによって冷媒が通流しやすくなっている。
また、一端側の位置から他端側の位置、又は、他端側の位置から一端側の位置へと移動する間の図7Bの(b)の視点での紙面上側又は下側のいずれかに位置するときに比べて、第1羽部111oから離れた一端側の位置に第1連通口112sが位置するときの方が、低圧側の空間から見た第1連通口112sまでの浅さによって冷媒が通流しやすくなっている。
そこで、上記の傾斜面の構成とすることによって、冷媒が通流しやすい第1羽部111oから離れた一端側の位置に第1連通口112sが位置するときに、凸部111pの可動スクロール112側の端面と第1連通口112sとの間の空間で流体抵抗を、相対的に大きくさせる。一方で、一端側の位置から他端側の位置、又は、他端側の位置から一端側の位置へと移動する間の図7Bの(b)の視点での紙面上側又は下側のいずれかに位置するときに、凸部111pの可動スクロール112側の端面と第1連通口112sとの間の空間で流体抵抗を、相対的に中程度にさせる。また、一方で、冷媒が通流しにくい第1羽部111oと一体化された他端側の位置に第1連通口112sが位置するときに、凸部111pの可動スクロール112側の端面と第1連通口112sとの間の空間で流体抵抗を、相対的に小さくさせる。
これにより、第1連通口112sが第1羽部111oから離れた一端側の位置に位置するとき、一端側の位置から他端側の位置、又は、他端側の位置から一端側の位置へと移動する間の図7Bの(b)の視点での紙面上側又は下側のいずれかに位置するとき、及び、第1羽部111oと一体化された他端側の位置に位置するときの冷媒の通流しやすさの差を低減できる。言い換えると、冷媒の通流量を安定化することができる。よって、より安定に、可動スクロール112を固定スクロール111に当接させるための適切な圧力を維持しやすい電動圧縮機100を実現できる。
以下、さらに、実施の形態のさらなる別例について説明する。以下で説明する別例では、上記実施の形態の別例である凸部111pの端面が傾斜面である例について、より簡易な構成で実現する場合を説明する。
図8Aは、実施の形態のさらに別例に係る電動圧縮機の固定スクロールの傾斜面を説明するための斜視図である。図8Bは、実施の形態のさらに別例に係る電動圧縮機の固定スクロールの傾斜面を説明するための三面図である。
図8Aでは、図7Aと同様の視点で示した別例に係る固定スクロール111の斜視図を示している。特に、図8Aでは、固定スクロール111の凸部111pを拡大した部分拡大図を併せて示している。この部分拡大図における二点鎖線は、第1主面112qとの距離、すなわち、旋回に伴う各位置での第1連通口112sと、凸部111pの端面との離間距離が同じである等高線を示している。この等高線は、第1基部111nからの高さが同じである端面上の位置を示しているともいえる。
また、図8Bでは、3方向のそれぞれから凸部111pを平面視した平面図を示している。ここでの3方向は、第1基部111nの厚み方向に平行な第1方向(図中の(b)に対応)、第1方向に直交し、第1羽部111oと凸部111pとがつながる(一体化される)第2方向(図中の(a)に対応)、及び、第1方向と第2方向とのそれぞれに直交する第3方向(図中の(c)に対応)を含む。
図8A及び図8Bに示すように、本例では、図7A及び図7Bに示す別例に対して、傾斜面の傾斜方向が一方向に限られる点で異なっている。より具体的には、凸部111pの可動スクロール112に対向する側の端面は、第1羽部111oから離れた一端側において第1基部111nからの高さが最も高くなっており、第1連通口112sとの離間距離が最小となる。また、傾斜面では、一端側から、第1羽部111oと一体化された他端側にかけて、第1連通口112sとの離間距離が漸増している。
傾斜面によって、可動スクロール112の可動に伴う第1連通口112sの各位置で凸部111pの可動スクロール112側の端面との離間距離を変化させることができる。その結果、離間距離が短いほど、凸部111pの可動スクロール112側の端面と第1連通口112sとの間の空間で流体抵抗を大きくさせることができ、第1連通口112sの各位置での冷媒の通流量を変化させることができる。
第1連通口112sは、可動スクロールの可動に伴って、第1羽部111oから離れた一端側の位置と第1羽部111oと一体化された他端側の位置との間を往復する。このとき、第1連通口112sは、低圧側の空間(第1羽部111o及び凸部111pの外側)から見たときに、第1羽部111oと一体化された他端側の位置で最も奥まった位置となる。一方で、第1連通口112sは、低圧側の空間から見たときに、第1羽部111oから離れた一端側の位置で、第1羽部111oと一体化された他端側の位置に比べて浅い位置となる。その結果、第1連通口112sから低圧側の空間に通流する冷媒は、第1羽部111oと一体化された他端側の位置に第1連通口112sが位置するときに比べて、第1羽部111oから離れた一端側の位置に第1連通口112sが位置するときの方が、低圧側の空間から見た第1連通口112sまでの浅さによって冷媒が通流しやすくなっている。
そこで、上記の傾斜面の構成とすることによって、冷媒が通流しやすい第1羽部111oから離れた一端側の位置に第1連通口112sが位置するときに、凸部111pの可動スクロール112側の端面と第1連通口112sとの間の空間で流体抵抗を、相対的に大きくさせる。一方で、冷媒が通流しにくい第1羽部111oと一体化された他端側の位置に第1連通口112sが位置するときに、凸部111pの可動スクロール112側の端面と第1連通口112sとの間の空間で流体抵抗を、相対的に小さくさせる。これにより、第1連通口112sが第1羽部111oから離れた一端側の位置に位置するとき、及び、第1羽部111oと一体化された他端側の位置に位置するときの冷媒の通流しやすさの差を低減できる。言い換えると、冷媒の通流量を安定化することができる。よって、より安定に、可動スクロール112を固定スクロール111に当接させるための適切な圧力を維持しやすい電動圧縮機100を実現できる。ここでの別例では、図7A及び図7Bに示す別例に対して、傾斜面が単純な一方向傾斜によって構成されており、設計及び製造容易性の観点で優れている。したがって、設計及び製造精度、歩留まり等に応じて、これらの別例が使いわけされるようにすればよい。
以上に説明したように、本例における電動圧縮機100は、可動スクロール112の裏面側の空間から滞留する冷媒の一部を流出させる経路に、混入した異物による閉塞が生じにくく、かつ流量を調整することが可能な構成を適用することによって、可動スクロール112を当接させるための適切な圧力を維持しやすい電動圧縮機100を提供することが可能となる。
(その他の実施の形態)
以上、本開示の一つ又は複数の態様に係る電動圧縮機について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
本開示は、例えば車両等に搭載される空気調和装置に使用され得る電動圧縮機などとして有用である。
100 電動圧縮機
101 圧縮部
102 軸受
103 駆動軸受
104 副軸受
105 偏心軸
106 接続部材
107 ケース
109 カバー
111、111m 固定スクロール
111a、111n 第1基部
111b、111o 第1羽部
111c、111p 凸部
111q 頂部
112、112m 可動スクロール
112a、112n 第2基部
112b、112o 第2羽部
112c、112p 連通孔
112d 迂回部
112e、112q 第1主面
112f、112r 第2主面
112g、112s 第1連通口
112h 第2連通口
114 ネジ
114a ネジ穴
113 排気弁
120 軸受部材(内部部品)
121 モータ室
122 圧縮室
123 高圧室
124 低圧端
125 排気口
200 モータ
201 駆動部
202 軸部
211 コイル
212 永久磁石

Claims (11)

  1. 駆動部及び前記駆動部によって回転する軸部を有するモータと、
    固定スクロール、及び、前記軸部の回転に応じて前記固定スクロールに対して旋回する可動スクロールを有する圧縮部と、を備え、
    前記固定スクロールは、
    前記モータの回転軸方向に厚みを有する第1基部と、
    前記第1基部から前記可動スクロールに向かう方向に沿って立設され、平面視において渦状の第1羽部と、
    前記第1基部から前記可動スクロールに向かう方向に沿って立設された凸部と、を有し、
    前記可動スクロールは、
    前記回転軸方向に厚みを有し、前記固定スクロール側の第1主面及び反対側の第2主面を有する第2基部と、
    前記第2基部から前記固定スクロールに向かう方向に沿って立設され、平面視において渦状の第2羽部と、を有し、
    前記第2基部には、前記第1主面に形成された第1連通口と前記第2主面に形成された第2連通口とをつなぐ連通孔が設けられ、
    前記凸部の前記可動スクロール側の端面は、前記可動スクロールの旋回に伴う前記第1連通口の移動範囲に対して前記回転軸方向において重なる領域にわたって設けられ、かつ、少なくとも一部が前記第1連通口に対して離間している
    電動圧縮機。
  2. 前記第1羽部と、前記凸部とは、一体化されている
    請求項1に記載の電動圧縮機。
  3. 前記凸部の前記可動スクロール側の端面は、前記第1羽部から離れた一端側から、前記第1羽部と一体化された他端側にかけて、前記第1連通口との離間距離が一定の平坦面である
    請求項2に記載の電動圧縮機。
  4. 前記凸部の前記可動スクロール側の端面は、前記第1羽部から離れた一端側から、前記第1羽部と一体化された他端側にかけて、前記第1連通口との離間距離が漸増する傾斜面である
    請求項2に記載の電動圧縮機。
  5. 前記凸部の前記可動スクロール側の端面は、前記第1羽部から離れた前記一端側に形成された頂部において前記第1連通口との離間距離が最小であり、前記頂部からいずれの方向にかけても、前記第1連通口との離間距離が漸増する傾斜面である
    請求項4に記載の電動圧縮機。
  6. 前記第1主面は、前記第1連通口が形成されている部分が、前記第1羽部の、前記可動スクロール側の先端が当接する部分よりも前記第1基部からの距離が遠い段差面形状であり、
    前記第1主面のうちの前記第1連通口が形成されている部分は、平面視において前記第2基部の外周側に近づくほど広がる拡径形状である
    請求項1~5のいずれか1項に記載の電動圧縮機。
  7. 前記第1羽部の、前記可動スクロール側の先端は、前記凸部の前記端面よりも前記第1基部からの距離が遠い
    請求項1~5のいずれか1項に記載の電動圧縮機。
  8. 前記第1基部の、前記第1羽部が形成された面とは反対側の面に締結された排気弁と、
    前記排気弁の締結に用いられるネジと、をさらに備え、
    前記凸部は、前記第1基部の、前記第1羽部が形成された面とは反対側の面から、前記凸部の内部に到達するネジ穴を有し、
    前記ネジは、前記ネジ穴に螺入される
    請求項1~5のいずれか1項に記載の電動圧縮機。
  9. 前記第2主面は、段差境界よりも外周側の部分が、前記段差境界よりも中心側の部分よりも前記第1主面からの距離が遠い段差面形状であり、
    前記段差境界は、前記第2連通口を避けて前記第2基部の外周側に迂回する迂回部を有する
    請求項1~5のいずれか1項に記載の電動圧縮機。
  10. 前記第2基部の平面視において、前記第1連通口は、前記第2連通口よりも前記第2基部の外周に近い位置に形成されている
    請求項1~5のいずれか1項に記載の電動圧縮機。
  11. 前記凸部の前記端面と前記第1連通口との離間距離は、前記連通孔の延びる方向に交差する方向における前記連通孔の大きさよりも小さい
    請求項1~5のいずれか1項に記載の電動圧縮機。
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