JP2023116950A - 浚渫制御装置、浚渫制御方法及びプログラム - Google Patents

浚渫制御装置、浚渫制御方法及びプログラム Download PDF

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章 山野井
Akira Yamanoi
哲義 野田
Tetsuyoshi Noda
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Abstract

Figure 2023116950000001
【課題】スイングウインチとラダーウインチを制御して高精度な法面浚渫を実現する。
【解決手段】制御部113は、取得部111により取得された浚渫データに含まれる法面の形状に沿ってカッター3が移動するように、インバータ盤12を介してラダーウインチ6及びスイングウインチ8の巻き取り速度及び繰り出し速度をそれぞれ制御する。より具体的には、制御部113は、カッター3の位置を算出し、浚渫データに含まれる法面の形状に対して、算出されたカッター3の位置が閾値以上乖離した場合には、カッター3の位置が浚渫データに含まれる法面の形状に対して闕値未満となるように、ラダーウインチ6及びスイングウインチ8を連動して制御する。
【選択図】図4

Description

本発明は、法面浚渫を行うための技術に関する。
航路の維持や泊地等を目的とする浚渫工事では、水平方向に対して或る角度をなすライン(法面傾斜ラインという)に沿って浚渫施工エリア側端部を上方が開口となる斜め方向に浚渫する法面浚渫が行われている。例えばポンプ浚渫では、操作に熟練したオペレータが、ラダーを水平方向に動かすスイングウインチと鉛直方向に動かすラダーウインチとを同時に操作し、そのラダー先端に設けられたカッターを設計上の法面傾斜ラインに応じた施工管理上の法面傾斜ラインに沿って移動させることで法面浚渫を行っている。
例えば特許文献1には、水底に凹路を構築するための浚渫施工管理システムが開示されている。
特開2020-56250号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、法面の下端からもう一方の法面の下端間である凹部をラダーウインチのみを用いてカッター深度を調整して水平方向にスイングして自動浚渫を行うことには対応できるが、凹部の両端にある法面を所定の傾斜角を得られるように浚渫作業を自動化するには対応できていない。
また、床掘以上に法面の浚渫作業においては、熟練のオペレータの豊富な経験と技能が求められるが、高齢化による熟練オペレータの退職によりそのような経験と技能を有するオペレータを確保することは難しくなる一方である。また、若いオペレータにおいてもそのような熟練オペレータから経験と技能を取得する機会も減ってきている。
近年の熟練オペレータ不足を鑑み、このような法面浚渫を熟練のオペレータに頼るのではなく、システムにより自動化することが望まれている。そこで、本発明は、スイングウインチとラダーウインチを制御して熟練オペレータによる高精度な法面浚渫と同等の機械操作を実現することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、船舶に設置されたラダーの先端に設けられたカッターを用いるポンプ浚渫を自動制御する浚渫制御装置であって、ポンプ浚渫によって形成される水中の法面の形状を含む浚渫データを取得する取得部と、取得された前記浚渫データに含まれる法面の形状に沿って前記カッターが移動するように、前記カッターを鉛直方向に移動させるラダーウインチ及び前記カッターを水平方向に移動させるスイングウインチをそれぞれ制御する制御部とを備えることを特徴とするものである。
前記制御部は、前記カッターの水中内の位置を算出し、取得された前記浚渫データに含まれる法面の形状に対して、算出された前記カッターの位置が閾値以上乖離した場合には、前記カッターの位置が前記浚渫データに含まれる法面の形状に対して前記闕値内となるように、前記ラダーウインチ及び前記スイングウインチを連動して制御するようにしてもよい。
前記制御部は、前記カッターの移動速度を示すベクトルが、前記ラダーウインチの制御速度を示すベクトル、及び、前記スイングウインチの制御速度を示すベクトルの和に相当するという関係を用いて、前記ラダーウインチ及び前記スイングウインチの移動速度をそれぞれ制御するようにしてもよい。
前記取得部は、浚渫中の前記カッターが受ける負荷に応じた物理量を取得し、取得された前記物理量に応じた情報を出力する出力部を備えるようにしてもよい。
また、本発明は、船舶に設置されたラダーの先端に設けられたカッターを用いるポンプ浚渫を自動制御する浚渫制御方法であって、ポンプ浚渫によって形成される水中の法面の形状を含む浚渫データを取得するステップと、取得された前記浚渫データに含まれる法面の形状に沿って前記カッターが移動するように、前記カッターを鉛直方向に移動させるラダーウインチ及び前記カッターを水平方向に移動させるスイングウインチをそれぞれ又は連動して制御するステップとを備えることを特徴とするものである。
また、本発明は、コンピュータに、船舶に設置されたラダーの先端に設けられたカッターを用いるポンプ浚渫を自動制御するため、ポンプ浚渫によって形成される水中の法面の形状を含む浚渫データを取得するステップと、取得された前記浚渫データに含まれる法面の形状に沿って前記カッターが移動するように、前記カッターを鉛直方向に移動させるラダーウインチ及び前記カッターを水平方向に移動させるスイングウインチをそれぞれ又は連動して制御するステップとを実行させるものである。
前記水中の法面の形状を含む浚渫データとして、コンピュータで設定した任意の法面及び床掘の浚渫形状を用いてもよい。
本発明によれば、熟練オペレータなしでもスイングウインチとラダーウインチを制御して高精度な法面浚渫を実現することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るポンプ浚渫機構の主要部を例示する図。 浚渫制御システム10のハードウェア構成を示すブロック図。 PC11のハードウェア構成の一例を示すブロック図。 PC11の機能構成の一例を示すブロック図。 浚渫時における水中の様子を模式的に示した横断面図。 カッター3の移動速度を示すベクトルと、ラダーウインチ6の制御速度を示すベクトル、及び、スイングウインチ8の制御速度を示すベクトルとの関係を示す図。 法面傾斜ラインとカッター3との位置関係に応じた制御を例示する図。 PC11の処理を示すフローチャート。
本発明を実施するための形態の一例について説明する。
[構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るポンプ浚渫機構の主要部を例示する模式図である。図1の上段はポンプ浚渫機構を側方から見たときの側面図であり、図1の下段はポンプ浚渫機構を上方から見たときの平面図である。このポンプ浚渫機構は、例えばポンプ浚渫船と呼ばれる船舶の船首付近等に設置されている。ポンプ浚渫船の船体に設置された軸支部1において、ラダー2がその先端側(図中右側)が上下方向に揺動するように、ラダー2の基端側(図中左側)が軸支されている。ラダー2の先端には、水底を掘削するためのカッター3と、掘削した土砂を吸引するための吸引口(図示省略)が設けられている。ラダー2は軸支部1側から直線状に延び、ラダー2の先端側は、ワイヤ4によってラダーシャー5(又はラダーガントリーともいう)から吊り下げられている。ラダー2は、ラダーウインチ6によってワイヤ4の繰り出し及び巻き取りが行われることで、船体に軸支されている軸支部1を軸として鉛直方向に、つまり図中のXZ平面上で揺動する。また、ラダー2の先端側は、スイングワイヤ7によってスイングウインチ8に連結されている。ラダー2は、スイングウインチ8によってスイングワイヤ7の繰り出し及び巻き取りが行われることで、基端側を軸として水平方向に、つまり図中のXY平面上で揺動する。浚渫時には、ラダー2の先端に設けられたカッター3により水底が掘削されると共に、掘削した土砂が海水と共にラダー2先端の吸入口からポンプ(図示省略)を利用して吸い込まれ、図示しない排砂管を介して圧送される。なお、図1において、X軸を船舶の全長方向に平行な軸としてその正方向を船尾から船首に向かう方向とし、Y軸を船舶の全幅方向に平行な軸としてその正方向を左舷から右舷に向かう方向とし、Z軸をX軸及びY軸に直交する軸としてその正方向を下方から上方に向かう方向としている(以下において同じ)。
図2は、浚渫制御システム10のハードウェア構成を示す図である。浚渫制御システム10は、ポンプ浚渫時のラダー2の動きを自動制御する浚渫制御装置として機能するパーソナルコンピュータ(PC)11と、インバータ盤12と、ラダーウインチ6及びスイングウインチ8と、各種のセンサを含むセンサ群13が、例えばPLC(Programable Logic Controller)、イーサネットや光ファイバ等の通信回線によってネットワーク化されたシステムである。
センサ群13は、船舶本体に設けられたGNSS(Global Navigation Satellite System)ユニット、船舶本体に設けられた喫水計、ラダー2の中段部等の所定の位置に設けられた水深計、船舶本体に設けられたジャイロセンサ等の方位検出器、振動計、岸壁等に設けられた潮位計からの検出信号を受信する受信装置、ラダーウインチ6に設けられたロータリーエンコーダ、スイングウインチ8に設けられたロータリーエンコーダ等を含む。これらのセンサによって検出された船舶のGNSS座標及び姿勢、浚渫施工エリアにおける潮位、船舶の喫水位置、水深系が設置された位置の水深のほか、ポンプ船及びポンプ浚渫機構の各部位の寸法や、GNSSユニットとポンプ浚渫機構との相対的な位置関係から、カッター3の水中での3次元座標(X,Y,Z)がPC11により算出される。このカッター3の3次元座標を適切に制御するべく、ラダーウインチ6及びスイングウインチ8に設けられたロータリーエンコーダの検出データがインバータ盤12を介してPC11により利用される。つまり、PC11は、浚渫施工エリアの水底が目標どおりの形状となるようにカッター3を移動させるべく、ラダーウインチ6及びスイングウインチ8をそれぞれ個別に又はこれらを連動させて適切に制御する。
図3は、PC11のハードウェア構成を示す図である。PC11は、物理的には、プロセッサ1101、メモリ1102、ストレージ1103、通信装置1104、入力装置1105、出力装置1106及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。これらの各装置は図示せぬ電源から供給される電力によって動作する。PC11のハードウェア構成は、図3に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。また、PC11の外部に外付けするようにしてもよい。
PC11における各機能は、プロセッサ1101、メモリ1102などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1101が演算を行い、通信装置1104による通信を制御したり、他の装置から送信されてきたデータを取得したり、メモリ1102及びストレージ1103におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
プロセッサ1101は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1101は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などがプロセッサ1101によって実現されてもよい。
プロセッサ1101は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1103及び通信装置1104の少なくとも一方からメモリ1102に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。
メモリ1102は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1102は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1102は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1103は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1103は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。
通信装置1104は、有線又は無線の少なくとも一方を介してコンピュータと他の装置間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
入力装置1105は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタンなど)である。出力装置1106は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1105及び出力装置1106は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
図4は、PC11の機能構成の一例を示す図である。PC11によって実現される各機能は、プロセッサ1101、メモリ1102などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1101が演算を行い、通信装置1104による通信を制御したり、メモリ1102及びストレージ1103におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
取得部111は、PC11の外部からデータを取得する。例えば取得部111は、ポンプ浚渫によって形成される水中の法面の設計形状(法面浚渫ライン)を含む浚渫データや、その他の浚渫施工に関する各種データを取得する。この水中の法面の設計形状を含む浚渫データとして、PC11等のコンピュータで設定した任意の法面形状や両側部の法面間の床掘形状を含む浚渫形状を示すデータを用いることができる。また、取得部111は、センサ群13から各センサによって検出された検出データを取得する。
ポンプ浚渫船による浚渫施工では、幅方向の側端面が安定した傾斜角度を有する法面となるように、又は側端の法面が階段状となるように浚渫を行う。図5は、浚渫時における水中の様子を模式的に示した横断面図である。図5において、破線Sは水面であり、実線G1は浚渫されていない水底であり、実線G2,G3は浚渫された後の法面と水底である。まず、ポンプ浚渫船により、矢印m1,m2,m3,m4…という順序で水平方向又は鉛直方向にカッター3が移動させられる。これにより、水底がG3で、浚渫施工エリア端部が階段状の形状gとなるように浚渫される。次に、浚渫施工エリア端部が水平方向に対して或る角度をなす法面傾斜ラインG2に沿って浚渫される。前述した浚渫データは、図5に例示した法面傾斜ラインG2を示す3次元座標を少なくとも含んでいる。
記憶部112は、取得部111により取得された各種データのほか、制御部113が実行するプログラム等を記憶する。
制御部113は、取得部111により取得された浚渫データに含まれる法面の形状に沿ってカッター3が移動するように、インバータ盤12を介してラダーウインチ6及びスイングウインチ8の巻き取り速度及び繰り出し速度(以下、これらを制御速度という)、をそれぞれ又は連動して制御する。より具体的には、制御部113は、カッター3の移動方向及び移動速度を示すベクトルが、ラダーウインチ6の制御速度を示す鉛直方向のベクトル、及び、スイングウインチ8の制御速度を示す水平方向のベクトルの和に相当するという関係を用いて、ラダーウインチ6及びスイングウインチ8をそれぞれ又は連動して制御する。
ここで、図6は、カッター3の移動速度を示すベクトルと、ラダーウインチ6の制御速度を示すベクトル、及び、スイングウインチ8の制御速度を示すベクトルとの関係を示す図である。図6において、ラダーウインチ6の制御速度を意味するベクトルVlの大きさは、ラダーウインチ6の繰り出し又は巻き取りの速度から計算されるカッター3のXZ平面上における単位時間当たりの移動量に相当し、ベクトルVlの方向は、ラダーウインチ6の繰り出し又は巻き取りの速度から計算されるカッター3のXZ平面上の移動方向に相当する。また、スイングウインチ8の制御速度を意味するベクトルVsの大きさは、スイングウインチ8の繰り出し又は巻き取りの速度から計算されるカッター3のXY平面上における単位時間当たりの移動量に相当し、ベクトルVsの方向は、スイングウインチ8の繰り出し又は巻き取りの速度から計算されるカッター3のXY平面上の移動方向に相当する。従って、ラダーウインチ6の制御速度を意味するベクトルVlとスイングウインチ8の制御速度を意味するベクトルVsとの和である合成ベクトルVcは、カッター3の実際の制御速度を示すベクトルに相当する。制御部113は、このベクトルVcが法面傾斜ラインに一致するようにしてラダーウインチ6及びスイングウインチ8を連動して制御する。
また、制御部113は、カッター3の位置を算出し、浚渫データに含まれる法面の設計形状に対して、算出されたカッター3の位置が閾値以上乖離した場合には、カッター3の位置が上記浚渫データに含まれる法面の設計形状に対して闕値未満となるように、ラダーウインチ6及びスイングウインチ8を連動して制御する。
ここで、図7は、施工管理上の法面傾斜ラインとカッター3との位置関係に応じた制御を例示する図である。図7において、例えば法肩から法尻に至る法面傾斜ラインG2において、或るZ座標=Z0における法面傾斜ラインのY座標=Yn0に対し、カッター3のY座標=Yc0が閾値Lth以上乖離している場合、制御部113は、両者の差が閾値Lth未満になるように、ラダーウインチ6及びスイングウインチ8を連動して制御する。また、法面傾斜ラインG2において、或るZ座標=Z1における法面傾斜ラインのY座標=Yn1に対し、カッター3のY座標=Yc1が閾値Lth以上乖離している場合、制御部113は、両者の差が閾値Lth未満になるように、ラダーウインチ6及びスイングウインチ8を連動して制御する。
出力部114は、表示又は送信等の方法で各種情報を外部に出力する。出力部114は、例えばオペレータが浚渫の状態を監視するために、前述した法面傾斜ラインとともに、ラダー2の姿勢及びカッター3の位置をディスプレイ等に表示する。
[動作]
次に、図8を参照してPC11の動作について説明する。まず、オペレータによりカッター3の位置が法面浚渫の開始点まで移動させられ、浚渫が開始される。まず、取得部111は、PC11の外部から各種のデータが取得され、取得された各種データが記憶部112に記憶される。これにより、ポンプ浚渫によって形成される水中の法面の設計形状を含む浚渫データやセンサ群13による検出データが取得されることになる(ステップS10)。
本実施形態に係るポンプ浚渫船は、上述したようなコンピュータ制御による自動浚渫のほか、オペレータの操作に応じた手動浚渫が可能である。そこで、制御部113は、自動浚渫を行うのか手動浚渫を行うのかを判断する(ステップS11)。
自動浚渫を行う場合(ステップS11;自動)、制御部113は、前述したようにセンサ群13による検出データ等を用いて、カッター3の水中の位置を算出する(ステップS12)。そして、制御部113は、算出したカッター3の位置と、ステップS10にて取得した浚渫データに含まれる法面傾斜ライン(施工管理上の法面傾斜ライン)と比較する(ステップS13)。
そして、制御部113は、施工管理上の法面傾斜ラインに沿ってカッター3が移動するように、インバータ盤12を介してラダーウインチ6及びスイングウインチ8の制御速度を制御する(ステップS14)。具体的には、制御部113は、図6にて説明したような方法に従ってラダーウインチ6の制御速度を例えば0~100%の間で設定し、その設定値どおりにラダーウインチ6が動作するようインバータ制御を行うとともに、図6にて説明したような方法に従ってスイングウインチ8の制御速度を例えば0~100%の間で設定し、その設定値どおりにスイングウインチ8が動作するようインバータ制御を行う。このとき、制御部113は、図7で説明したような方法に従って、浚渫データに含まれる法面の設計形状に対してカッター3の位置が閾値以上乖離した場合には、カッター3の位置が上記浚渫データに含まれる法面の設計形状に対して闕値内となるように、ラダーウインチ6及びスイングウインチ8をそれぞれ又は連動するようなインバータ制御を行う。
出力部114は、オペレータが浚渫作業中の状態を監視するために、前述した施工管理上の法面傾斜ラインとともに、ラダー2の姿勢及びカッター3の位置等の必要な情報をディスプレイ等に表示する(ステップS15)。これにより、オペレータはこれらの両者を比較することが容易となる。
一方、ステップS11において手動浚渫を行うと判断された場合(ステップS11;手動)、ディスプレイ等に表示されたカッター3の水中の位置をオペレータが確認しながら(ステップS16)、手動浚渫のための操作を行うので、制御部113はこの操作に応じて、ラダーウインチ6及びスイングウインチ8をそれぞれ制御する(ステップS17)。
以上説明した実施形態によれば、ラダー2の水平方向の速度と鉛直方向の速度を自動制御することにより、ラダー2の先端に設けられたカッターの位置をステップS10にて取得した施工管理上の法面傾斜ラインに沿って移動させることができるため、熟練オペレータと同等の高精度な法面浚渫を行うことが可能となる。
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。
法面浚渫時において、カッター3が主に水底からの抵抗を受ける方向は水平方向、つまりスイングウインチ8によるカッターの移動方向である。そこで、カッター3が受ける負荷を把握するものとして、スイングウインチ8の動作に要する電流値を用い、その電流値をオペレータの操作端末に表示するようにしてもよい。この場合、その電流値が規定値以上となるとオペレータが手動介入したり、又は、非常停止ボタンで自動制御を停止したりするようにしてもよい。このように、取得部111は、浚渫中のカッター3が受ける負荷に応じた物理量(スイングウインチ8の動作に要する電流値)を取得し、出力部114は、取得された物理量に応じた情報(電流値そのものや、その電流値に応じた警告に関する情報等)を出力するようにしてもよい。なお、浚渫中のカッター3が受ける負荷に応じた物理量は、上記に例示したスイングウインチ8の動作に要する電流値以外の物理量であってもよい。
なお、本発明を、船舶に設置されたラダーの先端に設けられたカッターを用いるポンプ浚渫を自動制御する浚渫制御方法として実施することも可能である。また、本発明は浚渫制御方法を実行するためのプログラムであってもよい。
1:軸支部、2:ラダー、3:カッター、4:ワイヤ、5:ラダーシャー、6:ラダーウインチ、7:スイングワイヤ、8:スイングウインチ、10:浚渫制御システム、11:パーソナルコンピュータ(PC)、12:インバータ盤、13:センサ群、1101:プロセッサ、1102:メモリ、1103:ストレージ、1104:通信装置、1105:入力装置、1106:出力装置、111:取得部、112:記憶部、113:制御部、114:出力部

Claims (7)

  1. 船舶に設置されたラダーの先端に設けられたカッターを用いるポンプ浚渫を自動制御する浚渫制御装置であって、
    ポンプ浚渫によって形成される水中の法面の形状を含む浚渫データを取得する取得部と、
    取得された前記浚渫データに含まれる法面の形状に沿って前記カッターが移動するように、前記カッターを鉛直方向に移動させるラダーウインチ及び前記カッターを水平方向に移動させるスイングウインチをそれぞれ又は連動して制御する制御部と
    を備えることを特徴とする浚渫制御装置。
  2. 前記制御部は、
    前記カッターの水中内の位置を算出し、
    取得された前記浚渫データに含まれる法面の形状に対して、算出された前記カッターの位置が閾値以上乖離した場合には、
    前記カッターの位置が前記浚渫データに含まれる法面の形状に対して前記闕値内となるように、前記ラダーウインチ及び前記スイングウインチを連動して制御する
    ことを特徴とする請求項1記載の浚渫制御装置。
  3. 前記制御部は、
    前記カッターの移動速度を示すベクトルが、前記ラダーウインチの制御速度を示すベクトル、及び、前記スイングウインチの制御速度を示すベクトルの和に相当するという関係を用いて、前記ラダーウインチ及び前記スイングウインチの移動速度をそれぞれ制御する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の浚渫制御装置。
  4. 前記取得部は、浚渫中の前記カッターが受ける負荷に応じた物理量を取得し、
    取得された前記物理量に応じた情報を出力する出力部を備える
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の浚渫制御装置。
  5. 船舶に設置されたラダーの先端に設けられたカッターを用いるポンプ浚渫を自動制御する浚渫制御方法であって、
    ポンプ浚渫によって形成される水中の法面の形状を含む浚渫データを取得するステップと、
    取得された前記浚渫データに含まれる法面の形状に沿って前記カッターが移動するように、前記カッターを鉛直方向に移動させるラダーウインチ及び前記カッターを水平方向に移動させるスイングウインチをそれぞれ又は連動して制御するステップと
    を備えることを特徴とする浚渫制御方法。
  6. コンピュータに、
    船舶に設置されたラダーの先端に設けられたカッターを用いるポンプ浚渫を自動制御するため、
    ポンプ浚渫によって形成される水中の法面の形状を含む浚渫データを取得するステップと、
    取得された前記浚渫データに含まれる法面の形状に沿って前記カッターが移動するように、前記カッターを鉛直方向に移動させるラダーウインチ及び前記カッターを水平方向に移動させるスイングウインチをそれぞれ又は連動して制御するステップと
    を実行させるためのプログラム。
  7. 前記水中の法面の形状を含む浚渫データとして、コンピュータで設定した任意の浚渫形状を用いる
    請求項6に記載のプログラム。
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