JP2023115810A - 燃料電池用電極触媒の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、高い初期性能及び高い耐久性を兼ね備える燃料電池用電極触媒を高い生産性で製造する手段を提供する。【解決手段】本発明の一態様は、カーボン担体と、該カーボン担体に担持された触媒粒子とを含み、該カーボン担体が、200 m2/g以下の比表面積を有し、0.7~1.5 μmの範囲の90%累積粒径分布値(D90)を有する、燃料電池用電極触媒の製造方法であって、以下の工程:カーボン担体原料を粉砕して、200 m2/g以下の比表面積を有し、0.7~1.5 μmの範囲のD90を有するカーボン担体を得る、カーボン担体調製工程、及びカーボン担体に触媒粒子が担持された電極触媒を濾過して、電極触媒の微細な粒子を得る、電極触媒濾過工程、を含む、前記方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用電極触媒の製造方法に関する。
燃料電池は、水素及び酸素を電気化学的に反応させて電力を得る。燃料電池の発電に伴って生じる生成物は、原理的に水のみである。それ故、地球環境への負荷がほとんどない、クリーンな発電システムとして注目されている。
燃料電池は、電解質膜の両面に電極触媒層が配置された、膜電極接合体(以下、「MEA」とも記載する)を基本単位として構成される。燃料電池の運転時には、アノード(燃料極)側の電極触媒層に水素を含む燃料ガスを、カソード(空気極)側の電極触媒層に酸素を含む酸化ガスを、それぞれ供給することにより、起電力を得る。アノードでは酸化反応が、カソードでは還元反応が進行し、外部回路に起電力を供給する。
燃料電池においては、通常は、MEAの各電極触媒層の外側にガス拡散層が配置され、ガス拡散層の外側にセパレーターがさらに配置されて、燃料電池セルが構成される。燃料電池は、通常は、所望の電力に基づき、必要となる複数の燃料電池セルの組み合わせ(以下、「燃料電池スタック」とも記載する)として使用される。
燃料電池は、電解質の種類によって、固体高分子型(PEFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)及び固体酸化物型(SOFC)等に分類される。このうち、PEFC及びPAFCにおいては、カーボン担体等の導電性の担体と、該導電性の担体に担持された白金又は白金合金等の触媒活性を有する触媒金属の粒子(以下、「触媒粒子」とも記載する)とを有する電極触媒によって電極触媒層を構成することが一般的である。
電極触媒に使用されるカーボン担体は、触媒粒子の担持密度を高めるために高比表面積を有する場合がある。高比表面積を有するカーボン担体としては、多数の細孔を有するカーボン担体を挙げることができる。高比表面積を有するカーボン担体を使用して作製された電極触媒を含む燃料電池は、高い初期性能を発現し得る。
また、電極触媒に使用されるカーボン担体は、耐久性を高めるために高い結晶性を有する場合もある。
例えば、特許文献1は、カーボン粒子に触媒金属が担持された触媒担持カーボン粒子からなる触媒材料であって、前記カーボン粒子は、炭素で形成されており、前記触媒金属が担持されている外殻部と、前記外殻部の内部に形成されている内部空間と、前記外殻部に複数形成されており、前記内部空間と連通している微細孔とを備えた多孔質且つ中空のカーボン粒子であり、前記触媒担持カーボン粒子の平均粒径が200 nm以上10μm未満である、触媒材料を記載する。
特許文献2は、触媒担体、前記触媒担体に担持されている白金又は白金合金の触媒粒子、及び前記触媒担体を被覆しているプロトン伝導性アイオノマーを含む、燃料電池用電極であって、前記触媒担体が、300~700 m2/gのBET比表面積を有し、かつ結晶子サイズLcが2.0 nm以上である高結晶性カーボンブラックであり、前記プロトン伝導性アイオノマーの前記触媒担体への被覆率が、88%以上であり、かつ触媒酸量が0.55 mmol/g以上0.70 mmol/g未満である、燃料電池用電極を記載する。
特許文献3は、燃料電池のための電極を製造するための組成物及び方法を記載する。当該文献は、電極触媒粒子は少なくとも約10 m2/g、より好ましくは少なくとも約25 m2/g、さらに好ましくは少なくとも約90 m2/g、さらに好ましくは少なくとも約600 m2/gの表面積を有することを記載する。当該文献はまた、平均凝集粒径は約100 μm以下であることが好ましく、約20 μm以下であることがより好ましく、約10 μm以下であることがさらに好ましいことを記載する。
特許文献4は、炭素材料と、窒素元素及び/又は遷移金属元素を含有する化合物とを湿式混合する工程1と、工程1で得られた湿式混合物を噴霧乾燥し造粒する工程2と、工程2で得られた造粒体を熱処理して焼結体を得る工程3とを有することを特徴とする炭素触媒の製造方法を記載する。当該文献はまた、炭素元素と、窒素元素と、遷移金属元素とを構成元素として有する焼結体であり、かつ平均粒子径が0.5~100 μmであり、前記炭素元素が少なくとも無機炭素材料由来であることを特徴とする炭素触媒を記載する。
特開2013-85988号公報 特許第6478677号公報 特表2006-524989号公報 特開2014-028360号公報
前記のように、燃料電池用途に種々の電極触媒が開発されている。しかしながら、従来技術の電極触媒の製造方法にはいくつかの課題が存在した。例えば、触媒粒子の担持密度を高めるために高比表面積を有するカーボン担体を使用して電極触媒を作製する場合、通常は、高比表面積を有するカーボン担体は結晶性が低い。結晶性が低いカーボン担体は耐久性が低いため、燃料電池の使用に伴いカーボン担体が酸化され得る。このため、高比表面積を有するカーボン担体を使用して電極触媒を作製する場合、燃料電池の耐久性が低いという課題が存在した。
他方、耐久性を高めるために高い結晶性を有するカーボン担体を使用して電極触媒を作製する場合、通常は、カーボン担体の結晶化のために高温焼成を行う。高温焼成によってカーボン担体の結晶性は向上するものの、同時にカーボン担体の凝集が発生する場合がある。カーボン担体の凝集が発生する場合、カーボン担体の凝集物を粉砕する必要がある。カーボン担体の凝集物を過度に粉砕すると、結果として得られる電極触媒が緻密になり得る。この場合、電極触媒の製造において、緻密な電極触媒の粒子が濾過に使用するフィルターを標準閉塞して目詰まりを生じ得る。他方、カーボン担体の粉砕が不足すると、結果として得られる電極触媒が粗大になり得る。この場合、電極触媒の製造において、粗大な電極触媒の粒子が濾過に使用するフィルターを完全閉塞して目詰まりを生じ得る。また、結果として得られる電極触媒層の厚みが増大し且つ/又は電極触媒層の空隙の粗密が偏在し欠損を生じ得る。このため、高い結晶性を有するカーボン担体を使用して電極触媒を作製する場合、生産性が低下するだけでなく、結果として燃料電池の性能が低下するという課題が存在した。
それ故、本発明は、高い初期性能及び高い耐久性を兼ね備える燃料電池用電極触媒を高い生産性で製造する手段を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者は、カーボン担体の比表面積を所定の値以下とし、且つ90%累積粒径分布値(D90)を所定の範囲とすることにより、該カーボン担体を用いて調製された電極触媒の濾過における目詰まりを実質的に回避し得ることを見出した。本発明者は、前記知見に基づき、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様及び実施形態を包含する。
(1) カーボン担体と、該カーボン担体に担持された触媒粒子とを含み、該カーボン担体が、200 m2/g以下の比表面積を有し、0.7~1.5 μmの範囲の90%累積粒径分布値(D90)を有する、燃料電池用電極触媒の製造方法であって、以下の工程:
カーボン担体原料を粉砕して、200 m2/g以下の比表面積を有し、0.7~1.5 μmの範囲のD90を有するカーボン担体を得る、カーボン担体調製工程、及び
カーボン担体に触媒粒子が担持された電極触媒を濾過して、電極触媒の微細な粒子を得る、電極触媒濾過工程、
を含む、前記方法。
本発明により、高い初期性能及び高い耐久性を兼ね備える燃料電池用電極触媒を高い生産性で製造する手段を提供することが可能となる。
図1は、カーボン担体の粒径と該カーボン担体を含む電極触媒インクにおける電極触媒の粒径との関係を示すグラフである。横軸は、カーボン担体のD90(μm)であり、縦軸は、電極触媒インクにおける電極触媒のD90(μm)である。 図2は、MEAを構成する電極触媒におけるカーボン担体の粒径と該MEAにおける電極触媒層の欠損率との関係を示すグラフである。横軸は、カーボン担体のD90(μm)であり、縦軸は、電極触媒層の欠損率(%)である。 図3は、本発明に係る一態様の燃料電池用電極触媒の製造方法において、電極触媒インクの粒径分布とフィルターの目詰まりの態様との関係を示す模式図である。粒径分布のグラフにおいて、横軸は、電極触媒インク中の電極触媒の粒径(μm)であり、縦軸は、粒子の検出頻度(%)である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1:燃料電池用電極触媒の製造方法>
本発明者は、燃料電池用電極触媒の製造において、使用するカーボン担体の比表面積を所定の値以下とし、且つD90を所定の範囲とすることにより、電極触媒の濾過における目詰まりを実質的に回避し得ることを見出した。それ故、本発明の一態様は、燃料電池用電極触媒の製造方法に関する。本態様の方法は、カーボン担体調製工程、及び電極触媒濾過工程を含む。また、本態様の方法は、所望により、触媒粒子形成工程を含む。各工程について、以下において説明する。
[1-1:カーボン担体調製工程]
本工程は、カーボン担体原料を粉砕して、所定の粒径を有するカーボン担体を得ることを含む。
本工程において使用するカーボン担体原料としては、当該技術分野で通常使用されるカーボン担体を使用することができる。カーボン担体原料は、200 m2/g以下の比表面積を有することが好ましく、100~200 m2/gの範囲の比表面積を有することがより好ましく、150~171 m2/gの範囲の比表面積を有することがさらに好ましい。前記範囲の比表面積を有するカーボン担体原料を使用することにより、所望の特徴を備えるカーボン担体を容易に得ることができる。
本工程において得られるカーボン担体は、通常は前記で説明したカーボン担体材料と同様の比表面積を有する。カーボン担体は、200 m2/g以下の比表面積を有することが好ましく、100~200 m2/gの範囲の比表面積を有することがより好ましく、150~171 m2/gの範囲の比表面積を有することがさらに好ましい。カーボン担体の比表面積が前記上限値を超える場合、本態様の方法によって得られる燃料電池用電極触媒及び該電極触媒を備える燃料電池の耐久性が低下する可能性がある。また、カーボン担体の比表面積が前記下限値未満の場合、本態様の方法によって得られる燃料電池用電極触媒を備える燃料電池の性能が低下する可能性がある。それ故、本工程において、前記範囲の比表面積を有するカーボン担体を得ることにより、高い初期性能及び高い耐久性を兼ね備える電極触媒を得ることができる。
本発明の各態様において、カーボン担体原料又はカーボン担体の比表面積は、例えば、比表面積測定装置を用いて、ガス吸着法に基づくBET比表面積(m2/g)を測定することにより、決定することができる。
本工程において、カーボン担体原料を粉砕する手段は、例えば、ビーズミル、ジェットミル及び超音波を挙げることができる。前記手段でカーボン担体原料を粉砕する場合、粉砕条件としては、例えば、ビーズミルを使用する場合、ビーズミル粉砕における通常の粉砕条件を適用することができる。前記手段でカーボン担体原料を粉砕することにより、所望の特徴を備えるカーボン担体を容易に得ることができる。
本工程において得られるカーボン担体は、0.7~1.5 μmの範囲のD90を有する。カーボン担体のD90は、0.7~1.2 μmの範囲であることが好ましく、0.83~1.15 μmの範囲であることがより好ましい。本発明の各態様において、カーボン担体のD90は、カーボン担体の粒径分布において90%累積頻度の粒径として定義される値を意味する。カーボン担体のD90が前記上限値を超える場合、本態様の方法によって得られる電極触媒が粗大になり得る。この場合、以下において説明する電極触媒濾過工程において、粗大な電極触媒の粒子が濾過に使用するフィルターを完全閉塞して目詰まりを生じる可能性がある(図3、右下の場合)。また、カーボン担体のD90が前記下限値未満の場合、本態様の方法によって得られる電極触媒が緻密になり得る。この場合、以下において説明する電極触媒濾過工程において、緻密な電極触媒の粒子が濾過に使用するフィルターを標準閉塞して目詰まりを生じる可能性がある(図3、左下の場合)。また、本態様の方法によって得られる電極触媒を備える燃料電池において、電極触媒層の厚みが増大し且つ/又は電極触媒層の空隙の粗密が偏在し欠損を生じる可能性がある。それ故、本工程において、前記範囲のD90を有するカーボン担体を得ることにより、高い初期性能及び高い耐久性を兼ね備える電極触媒を高い生産性で得ることができる。
本発明の各態様において、カーボン担体のD90は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、カーボン担体の粒径分布を取得し、該粒径分布に基づき、決定することができる。
[1-2:触媒粒子形成工程]
本工程は、カーボン担体調製工程で得られたカーボン担体に触媒金属材料を担持させ、該触媒金属材料を還元して金属形態の触媒粒子を形成することを含む。
本工程において、カーボン担体に担持させる触媒金属材料は、通常は触媒金属の塩を含む。例えば、触媒金属が白金の場合、白金の塩は、ヘキサヒドロキソ白金硝酸、ジニトロジアンミン白金(II)硝酸又はヘキサヒドロキソ白金アンミン錯体であることが好ましい。触媒金属が白金合金の場合、本工程において使用される触媒金属材料は、白金の塩に加えて、白金合金を形成するさらなる金属の塩を触媒金属の塩として含有することが好ましい。
本工程において、カーボン担体への触媒金属材料の担持は、例えば、コロイド法又は析出沈殿法等のような、当該技術分野で通常使用される反応を用いることにより、実施することができる。
本工程において、触媒金属材料を担持したカーボン担体を加熱処理することによって、カーボン担体に担持された触媒金属材料に含有される触媒金属の塩を還元する。これにより、金属形態の触媒金属を含有する、カーボン担体に担持された触媒粒子を形成させる。前記加熱処理は、エタノール、ヒドラジン、メタノール、プロパノール、水素化ホウ素ナトリウム又はイソプロピルアルコールのような還元剤の存在下で実施されることが好ましい。前記条件で触媒金属材料を担持したカーボン担体を加熱処理することにより、触媒金属の塩を還元して、触媒金属を含有する触媒粒子を形成させることができる。
[1-3:電極触媒濾過工程]
本工程は、カーボン担体に触媒粒子が担持された電極触媒を濾過して、所望の粒径を有する電極触媒の微細な粒子を得ることを含む。
本工程において、電極触媒を濾過する手段は、例えば、スクリーンフィルター及びデプスフィルター等の各種フィルターを挙げることができる。前記手段で電極触媒を濾過する場合、濾過条件としては、例えば、スクリーンフィルターの一種である綾畳織金網フィルターを使用する場合、綾畳織金網フィルターにおける通常の濾過条件を適用することができる。
本態様の方法では、前記で説明したカーボン担体調製工程により、所定の範囲の比表面積及びD90を有するカーボン担体を調製する。このようなカーボン担体を用いて作製された電極触媒は、通常は3 μm以下、特に1~3 μmの範囲のD90を有する。前記範囲のD90を有する電極触媒は、完全閉塞又は標準閉塞によってフィルターの目詰まりを生じることなく、効率的に濾過することができる(図3)。それ故、前記手段で電極触媒を濾過することにより、所望の特徴を備える電極触媒の微細な粒子を容易に得ることができる。また、前記範囲のD90を有する電極触媒を用いることにより、所定の厚み及び/又は欠損の少ない電極触媒層を得ることができる。
本発明の各態様において、電極触媒のD90は、前記で説明したカーボン担体のD90の決定と同様の手段で決定することができる。
本態様の方法によって得られる燃料電池用電極触媒は、カーボン担体と、該カーボン担体に担持された触媒粒子とを含む。カーボン担体は、200 m2/g以下の比表面積を有する。カーボン担体の比表面積は、100~200 m2/gの範囲であることが好ましく、150~171 m2/gの範囲であることがより好ましい。また、カーボン担体は、0.7~1.5 μmの範囲のD90を有する。カーボン担体のD90は、0.7~1.2 μmの範囲であることが好ましく、0.83~1.15 μmの範囲であることがより好ましい。
本態様の方法によって得られる燃料電池用電極触媒に含まれる触媒粒子は、通常は、白金(Pt)又は白金合金を触媒金属として含有する。前記触媒粒子は、白金合金を含有することが好ましい。前記白金合金は、通常は、Pt及び1種以上のさらなる金属からなる。この場合、白金合金を形成する1種以上のさらなる金属としては、コバルト(Co)、金(Au)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、イットリウム(Y)、並びにガドリニウム(Gd)、ランタン(La)及びセリウム(Ce)等のランタノイド元素を挙げることができる。前記1種以上のさらなる金属は、Co、Au、Pd、Ni、Mn、Cu、Ti、Ta又はNbが好ましく、Coがより好ましい。好ましくは、触媒金属は、Pt又はPt3Coである。本態様の方法によって得られる燃料電池用電極触媒に含まれる触媒粒子が前記の触媒金属を含有する場合、高い初期性能及び高い耐久性を兼ね備える電極触媒を得ることができる。
本態様の方法によって得られる燃料電池用電極触媒に含まれる触媒粒子は、通常は20~50質量%の範囲の担持密度を有する。本発明の各態様において、触媒粒子の担持密度は、電極触媒の総質量に対する触媒粒子、好ましくはPtの質量の百分率を意味する。
本態様の方法によって得られる燃料電池用電極触媒に含まれる触媒粒子の組成及び担持密度は、例えば、王水を用いて、電極触媒から触媒粒子に含まれる触媒金属を溶解させた後、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置を用いて該溶液中の触媒金属イオンを定量することにより、決定することができる。
本態様の方法によって得られる燃料電池用電極触媒の性能は、例えば、該燃料電池用電極触媒をアノード及び/又はカソードとして備える燃料電池の膜電極複合体(MEA)を作製し、該MEAを用いて当該技術分野で通常使用されるI-V特性、ガス拡散抵抗、プロトン抵抗及び質量活性等の評価試験を実施することにより、評価することができる。本態様の方法によって得られる燃料電池用電極触媒の初期性能は、該燃料電池用電極触媒を使用してMEAを作製した直後に、前記で例示した評価試験を実施することにより、評価することができる。また、本態様の方法によって得られる燃料電池用電極触媒の耐久性は、例えば、該燃料電池用電極触媒を使用して作製したMEAに耐久処理(例えば、1.3 V、4時間の高電位試験)を実施した後、前記で例示した評価試験を実施し、初期の試験結果と耐久処理後の試験結果とを比較することにより、評価することができる。
以上、詳細に説明したように、本態様の燃料電池用電極触媒の製造方法により、高い初期性能及び高い耐久性を兼ね備える電極触媒を高い生産性で得ることができる。本態様の方法によって得られる燃料電池用電極触媒をアノード及びカソードの少なくともいずれかに適用した燃料電池は、高い初期性能を有するだけでなく、耐久処理後であっても高い性能を維持することができる。それ故、本態様の方法によって得られる燃料電池用電極触媒を適用した燃料電池を自動車等の用途に適用することにより、該燃料電池は長期に亘る使用においても性能低下を実質的に防止して、安定的に高い性能を発揮することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<I:電極触媒の製造>
[I-1:カーボン担体の調製]
カーボン担体(Li-435、Denka製)を30%エタノール溶媒中に分散させ、ビーズミルを用いて該分散液中のカーボン担体を2時間粉砕の条件下で粉砕した。粉砕後のカーボン担体は、159 m2/gの比表面積を有し、0.96 μmのD90を有した。
[I-2:電極触媒の調製]
前記手順で調製した10 gのカーボン担体を純水に分散させた。この分散液に、硝酸水溶液を加えてpHを2以下に調整して、カーボン担体を脱気した。この分散液に、最終生成物の総質量に対して3質量%のPt担持量となるPt仕込量(5 g)を含有するジニトロアンミン白金(II)硝酸溶液、及び5 gの99.5%エタノールを順に加えた。この混合物を、実質的に均質な状態となるように十分に攪拌した後、90℃、1時間の条件で加熱した。加熱終了後、得られた分散液を、濾液の導電率が5 μS/cm以下となるまで繰り返し濾過及び洗浄した。得られた固形分を、100℃で12時間送風乾燥した。乾燥後の粉末を、アルゴンガス中、300℃で熱処理した。得られた33質量%Pt担持カーボン担体を、該カーボン担体の総質量に対して50倍の質量の純水に分散させた。この分散液に、硝酸コバルト水溶液を、Coに対するPtのモル比が0.2となる量まで滴下した。前記硝酸コバルト水溶液は、市販の硝酸コバルト六水和物を純水に溶解させることによって調製した。硝酸コバルト水溶液の滴下後、得られた混合物に、純水で希釈した水素化ホウ素ナトリウムを、Coに対するモル比が2~5の範囲となる量まで滴下した。水素化ホウ素ナトリウムの滴下後、得られた混合物を3時間攪拌した。攪拌後、得られた分散液を、濾過排液の導電率が5 μS/cm以下になるまで、繰り返し濾過及び洗浄した。得られた粉末ケーキを、100℃で12時間送風乾燥した。乾燥後の粉末を、アルゴンガス中、800℃で熱処理して合金化した。前記手順により、電極触媒の粉末を得た。
[I-3:電極触媒インクの調製]
1 gの電極触媒に、10 mLの水を添加して攪拌した。これに、5 mLのエタノールを添加して、攪拌棒を用いて攪拌して十分に懸濁させた。この懸濁液にアイオノマ(ナフィオン(登録商標);デュポン社製)溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、混合液を、超音波ホモジナイザーを用いて30分間分散処理することにより、電極触媒インクの粗生成物を得た。この粗生成物を、スクリーンフィルターの一種である綾畳織金網フィルターで濾過して、電極触媒インクを調製した。得られた電極触媒インクを用いてMEAを作製した。
[I-4:電極触媒層の作製]
前記I-3の手順で得られた電極触媒インクを、スキージを用いて基材シートの表面に均一に塗工した。塗工後の基材シートを、80℃で3時間乾燥させて、電極触媒層を作製した。電極触媒インクは、塗工面の単位面積あたりの電極触媒に含まれるPtの質量が0.3 mg-Pt/cm2となるように塗工した。また、基材シートは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを用いた。
[I-5:MEAの作製]
固体高分子電解質膜として、ナフィオン(登録商標)117(デュポン社製)を用いた。前記I-4の手順で得られた電極触媒層をアノード及びカソードの両極に用いた。アノードとカソードとの間に固体高分子電解質膜を挟持し、170℃、300秒間の条件でホットプレスすることによって接合して、MEAを作製した。
<II:電極触媒及びMEAの評価方法>
[II-1:カーボン担体又は電極触媒の粒径]
レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、カーボン担体又は電極触媒の粒径を測定した。得られた測定値に基づき、カーボン担体又は電極触媒の粒径分布を得た。粒径分布に基づき、カーボン担体又は電極触媒の90%累積粒径分布値(D90)又は50%累積粒径分布値(D50)を決定した。
[II-2:カーボン担体の比表面積]
比表面積測定装置(BELSORP MR1)を用いて、カーボン担体の、ガス吸着法に基づくBET比表面積(m2/g)を測定した。測定条件は、以下のとおりである:前処理:150℃、8時間真空脱気;測定:定容法を用いた窒素による吸着等温線の測定。
[II-3:MEAにおける電極触媒層の厚み]
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、MEAにおける電極触媒層の厚みを測定した。各MEAについて5個の測定値を得て、その平均値を算出した。
[II-4:MEAにおける電極触媒層の欠損率]
光学顕微鏡を用いて、MEAにおける電極触媒層の欠損を観察した。各MEAについて5個の観察点で観察を行い、観察点の総数に対する欠損の検出点の百分率を、電極触媒層の欠損率(%)として算出した。
<III:電極触媒及びMEAの評価結果>
カーボン担体(比表面積:150~171 m2/g)の粒径と該カーボン担体を含む電極触媒インクにおける電極触媒の粒径との関係を図1に示す。図中、横軸は、カーボン担体のD90(μm)であり、縦軸は、電極触媒インクにおける電極触媒のD90(μm)である。
図1に示すように、0.7~1.5 μmの範囲、好ましくは0.7~1.2 μmの範囲、特に0.83~1.15μmの範囲のD90を有するカーボン担体を用いて電極触媒インクを調製することにより、該インクに含まれる電飾触媒のD90を3 μm以下の範囲に制御することができる。電極触媒インクに含まれる電極触媒のD90が前記範囲の場合、電極触媒濾過工程において、完全閉塞又は標準閉塞によってフィルターの目詰まりを生じることなく、効率的に濾過することができる。
MEAを構成する電極触媒におけるカーボン担体(比表面積:150~171 m2/g)の粒径と該MEAにおける電極触媒層の欠損率との関係を図2に示す。図中、横軸は、カーボン担体のD90(μm)であり、縦軸は、電極触媒層の欠損率(%)である。
図2に示すように、1.2 μmを超える、特に1.15μmを超えるD90を有するカーボン担体を用いて電極触媒インクを調製した場合、結果として得られる電極触媒層の欠損率が上昇した。
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び/又は置換をすることが可能である。

Claims (1)

  1. カーボン担体と、該カーボン担体に担持された触媒粒子とを含み、該カーボン担体が、200 m2/g以下の比表面積を有し、0.7~1.5 μmの範囲の90%累積粒径分布値(D90)を有する、燃料電池用電極触媒の製造方法であって、以下の工程:
    カーボン担体原料を粉砕して、200 m2/g以下の比表面積を有し、0.7~1.5 μmの範囲のD90を有するカーボン担体を得る、カーボン担体調製工程、及び
    カーボン担体に触媒粒子が担持された電極触媒を濾過して、電極触媒の微細な粒子を得る、電極触媒濾過工程、
    を含む、前記方法。
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