JP2023113126A - 時計または宝飾品の外装コンポーネントおよびそのような外部コンポーネントの製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】時計、特に複雑な装飾を有する、文字盤、クリスタルまたは背面クリスタルの、外装コンポーネントを製作すること。【解決手段】本発明は、時計または宝飾品の外装コンポーネント（１０）において、透明材料で製作された基板（１００）を含み、前記基板（１００）は、外面（１０２）と反対側の内面（１０１）を含む、外装コンポーネント（１０）であって、内面（１０１）は、その表面全体に広がる構造加工部（１０３）を有し、前記外装コンポーネント（１０）は、装飾を形成するように、前記内面（１０１）の表面の一部分上に堆積された、「内側金属層（１０４）」と呼ばれる少なくとも１つの金属層を含み、内側金属層（１０４）によって覆われていない内面（１０１）の表面の部分は、反射防止コーティング（１０７）で覆われていることを特徴とする、外装コンポーネント（１０）に関する。【選択図】図２

Description

本発明は、時計製作法の分野、または宝石類の分野に属し、より具体的には、時計または宝飾品の外装コンポーネント、およびそのような外装コンポーネントを製造するための方法に関する。

特に、時計製作法の分野においては、時計、特には文字盤用の外装コンポーネントは、一般に、基板の表面上に堆積された薄層で製作された装飾を有する。

特に、詳細さのレベルに応じて、これらの装飾は、製作するのが複雑な場合があり、手作業で達成するのは難しいレベルの精度を必要とすることがある。したがって、装飾品の製作には、自動化されたツール、例えば、デジタル制御加工手段の使用が必要になることがあり、これは、ユニークな時計を得るための芸術や工芸のスキルの実施を特徴とする、高級時計の製造と両立しない場合がある。

さらに、特定の装飾は、自動化されたツールを使用しても、その複雑さ、およびそれらの製作に必要とされる精度の故に、技術的に製作不能である可能性がある。

この文脈の範囲において、本発明の目的は、時計、特に複雑な装飾を有する、文字盤、クリスタルまたは背面クリスタルの、外装コンポーネントを製作することである。

より一般的には、本発明は、複雑な装飾を有する宝飾品の製作を簡略化することを目的とする限りにおいて、宝石類の分野における同じ課題に取り組む。

本発明は、上記の欠点を解決するとともに、この目的のために、時計または宝飾品の外装コンポーネントであって、透明な材料で製作された基板を備え、前記基板は、外面と反対側の内面を含む、外装コンポーネントに関する。前記内面または外面の一方は、その表面全体に広がる構造加工部（structuring）を有し、前記外装コンポーネントは、装飾を形成するように、構造加工部の一部分に堆積された少なくとも１つの金属層を含み、内側金属層によって覆われていない構造加工部の部分は、反射防止コーティングで覆われている。

本発明は、内面の表面上にレリーフまたは凹凸を生成するように適合された任意の方法によって、構造加工部を製作することを可能にする。実際、反射防止コーティングの効果は、金属層で覆われていない内面の表面の部分に存在する構造加工部の視覚的外観を消滅させることであり、これは例えば構造加工部の手動生産を可能にする。

より具体的には、基板を通して透明に見える金属層のみがテクスチャのある外観を有するように、金属層で覆われていない表面の部分上に在り得る内面の構造加工部をマスキングすることが本発明によって探索される。換言すると、本発明は、金属層を例外として、外装コンポーネント全体の透明性を保証することを可能にする。構造加工部の製作において本発明が大きな自由度を許容することが理解される。

構造加工部の目的は、前記の反射をより多く拡散させるために、光の反射、特に金属層によって引き起こされる、鏡面反射を低減することである。

特定の実施形態において、本発明は、単独で、または任意の技術的に可能な組み合わせによって実施される、以下の特徴のうちの１つまたは複数をさらに含み得る。

特定の実施形態において、内面は、その表面全体にわたり構造加工部を含むとともに、「内側金属層」と呼ばれる、金属層を含む。

特定の実施形態において、基板の外面は研磨されている。

特定の実施形態において、外装コンポーネントは、基板の外面の表面の一部分に堆積された、「外側金属層」と呼ばれる、少なくとも１つの金属層を含み、前記外側金属層は、前記外面を覆う反射防止コーティングで覆われているか、または前記外面を覆う反射防止コーティング上に堆積されている。

特定の実施形態において、内側金属層は反射防止コーティングで覆われている。

別の態様によれば、本発明は、上述のような外装コンポーネントによって形成された、時計の文字盤、クリスタルまたは背面クリスタルに関する。

さらに別の態様によれば、本発明は、時計または宝飾品の外装コンポーネントを製造する方法であって：
構造加工部を生成するように、基板の内面の表面全体を構造加工するステップと、
装飾を形成するように、内面の表面の一部分上に、「内側金属層」と呼ばれる少なくとも１つの金属層を堆積させるステップと、
基板の内面上、少なくとも、内側金属層によって覆われていない基板の内面の部分上に、反射防止コーティングを堆積させるステップと
を含む、方法に関する。

特定の実現例において、方法は、装飾を形成するように、基板の外面の一部分上に「外側金属層」と呼ばれる金属層を堆積させるステップであって、外面上に反射防止コーティングを堆積させる前または後に実行される、ステップを含む。

特定の実現例において、外面は、予備研磨ステップの間に研磨される。

特定の実現例において、反射防止コーティングを堆積させるステップの間に、内側金属層は反射防止コーティングによって覆われる。

特定の実現例において、構造加工ステップは、レーザー加工によるか、または機械加工により実施される。

本発明のその他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられた以下の詳細な説明を読めば、明らかになるであろう。

本発明の好ましい実施形態による、時計の外装コンポーネントの斜視図である。 本発明の好ましい実施形態による、図１に記載の外装コンポーネントを模式的に示す断面図である。 本発明の別の実施形態による、図１の外装コンポーネントを模式的に示す断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による、図１の外装コンポーネントを模式的に示す断面図である。

本発明は、実施形態において図１から４に示されているような、時計または宝飾品の外装コンポーネント１０に関する。

外装コンポーネント１０は、サファイアやガラスなどの透明材料で製作された基板１００を備える。基板１００は、その波長が少なくとも可視スペクトル内に位置する光が通過することを可能にする意味で、透明である。基板１００は、外面１０２と反対側の内面１０１を有する。

本発明の好ましい適用例では、外装コンポーネント１０は、時計の文字盤、クリスタル，または背面クリスタルを形成する。その時、内面１０１は時計ムーブメントに面して配設するように意図され、外面１０２は時計クリスタルに対向して配設するように意図されている。

有利には、内面１０１または外面１０２は、その表面全体にわたって構造加工部１０３を有する。

好ましくは、実施形態において図２から図４に模式的に見られるように、内面１０１は構造加工部１０３を有する。構造加工部１０３は、例えばエングレービング、ギョーシェ彫り（ｅｎｇｉｎｅ－ｔｕｒｎｉｎｇ）などによって、資格のある作業者による手仕事によるか、または機械加工、化学加工、レーザー加工などによって、内面１０１の表面にレリーフまたは凹凸を生成することによる任意の材料除去作業によって、製作することができる。結果的に、構造加工部１０３は、内面１０１のエングレービング、機械旋削、サテン仕上げなどによることができる。

内面１０１の構造加工部１０３は、構造加工部作業を簡略化するように、その表面全体に広がっている。

さらに、基板１００の透明性を向上させるために、外面１０２は、好ましくは、その表面全体を研磨してもよい。

外装コンポーネント１０は、内面１０１の表面の少なくとも一部分にわたって、装飾を形成するように堆積された、少なくとも１つの金属層を備える。本願では、前記外装コンポーネントが、内面１０１の表面上に、単一の金属層により形成された装飾を含む実施形態について記述する。もちろん、記述されていない本発明のその他の実施形態では、複数の金属層を、内面１０１の前記表面上に重ね合わせるか、または並置してもよい。

より具体的には、金属層は、装飾を形成するグラフィック表現を具体化するように堆積される。金属層は、任意の金属材料から、または任意の金属材料合金から、または任意の金属材料酸化物から製作することができる。

例えば、金属層は、クロム酸化物またはクロム、パラジウム、金、銀、などで製作してもよい。

図１から図３に示す実施形態では、外面１０２はまた、その表面の一部分上に、装飾を形成する少なくとも１つの金属層を有する。本願では、前記外装コンポーネントが、外面１０２の表面上に、単一の金属層により形成された装飾を含む、実施形態について記述する。もちろん、記述されていない本発明のその他の実施形態では、複数の金属層を、外面１０２の前記表面上に重ね合わせるか、または並置してもよい。

本文の残りの部分では、基板１００の内面１０１に堆積された金属層を「内側金属層１０４」と呼び、基板１００の外面１０２に堆積された金属層を「外側金属層１０５」と呼ぶ。

内側金属層１０４と外側金属層１０５とで形成される装飾の一例を図１の斜視図で示す。

さらに、それぞれ内側金属層１０４および外側金属層１０５によって覆われていない、基板１００の内面１０１および外面１０２の表面の部分を、本明細書では「自由領域１０６」と呼ぶ。

有利には、内側金属層１０４の全部または一部は、前記内側金属層１０４が覆う表面の部分上の内面１０１の構造加工部１０３と同様に、ユーザにとって視認可能である。したがって、構造加工部１０３のおかげで、内側金属層１０４は、前記構造加工部１０３のレリーフまたは凹凸による、（図の明瞭さの理由から図１には示されていない）テクスチャのある視覚的外観を有する。

これらの内側金属層１０４および外側金属層１０５をそれぞれ基板１００の内面１０１および外面１０２上に堆積させることにより、豪華な装飾を容易に生成することができる。より具体的には、この特徴は、２つの金属層の間に奥行き効果を加えること、したがって装飾に奥行き効果を加えることを可能にし、前記奥行き効果は、この距離が２つの、内側金属層１０４および外側金属層１０５を互いに分離する限り、基板の厚さに比例する。

図２から図４の断面図に模式的に示すように、外装コンポーネント１０は、内面１０１の自由領域１０６の全てを覆う、反射防止コーティング１０７を含む。好ましくは、図２から図４の実施形態に示されるように、反射防止コーティングも外面１０２全体に広がっている。特に、外側金属層１０５は、図２に示すように、前記反射防止コーティング１０７上に堆積されるか、または図３に示すように、反射防止コーティング１０７によって覆われている。

反射防止コーティングは、内面１０１および外面１０２の自由領域１０６上、またはそれらの一方などの、選択された表面にのみ堆積させることができることに留意されたい。

図４に示すように、外面１０２が、反射防止コーティング１０７および／または金属層を含まないことも可能である。換言すれば、外面は、反射防止コーティング１０７は含んでもよいが、金属層は含まなくてもよいか、または金属層は含んでもよいが、反射防止コーティング１０７は含まなくともよいか、または金属層もしくは反射防止コーティング１０７を含まなくてもよい。

反射防止コーティング１０７は、当業者にはよく知られている、時計クリスタル用に使用されるものと同じタイプのものでよい。

有利には、反射防止コーティング１０７の効果は、基板１００の内面１０１の自由領域１０６上に存在する構造加工部１０３の視覚的外観を消滅させることである。換言すれば、反射防止コーティング１０７は、図２に示すように構造加工部１０３上に堆積されると、構造加工部１０３を肉眼に対して視認不能にすること、結果的には、内面１０１がこの場所で研磨されている場合と同様に、自由領域１０６において基板１００を均一に透明にすることにおいて、光学的効果を生じる。

上述のような外装コンポーネント１０は、製造方法の以下のステップ：
構造加工部１０３を生成するように基板１００の内面１０１の表面全体を構造加工するステップと、
少なくとも１つの内側金属層１０４を、装飾を形成するように、内面１０１の一部分上に堆積させるステップであって、本発明の一実施形態においては、外側金属層１０５を基板１００の外面１０２の一部分上に堆積させることによる別の金属層堆積作業を含む、ステップと、
少なくとも、内面１０１の自由領域１０６上、つまり、金属層によって覆われない内面１０１の部分上に、反射防止コーティング１０７を堆積させるステップと
を実施することによって、製作することができる。好ましくは、反射防止コーティング１０７の層はまた、内側金属層１０４上に堆積される。

有利には、本発明の一実施形態では、反射防止コーティング１０７は、図２に示すように、外面１０２の表面全体上に堆積させ、次いで可能な外側金属層１０５を、外面１０２の前記反射防止コーティング１０７上に堆積させるか、または、図３に示すように、外側金属層１０５上に加えて、外面１０２の自由領域１０６上に堆積させてもよい。

内側金属層１０４および可能な外側金属層１０５は、好ましくは、物理蒸着（ＰＶＤ）法によって堆積される。

反射防止コーティング１０７は、好ましくは、プラズマ強化物理蒸着法によって堆積される。

なお、図２および図３に示す実施形態では、反射防止コーティング１０７同士の相互の堆積の実行と同様に、内側金属層１０４および外側金属層１０５の相互の堆積の実行の時系列は重要ではないことに留意すべきである。

有利には、外面１０２は、構造加工ステップの実施前または実施直後に実行される、予備研磨ステップの間に研磨される。

より一般的には、上記で検討された実現例および実施形態は、非限定的な例として説明されており、その結果、他の変形例が可能であることに留意すべきである。

特に、本発明のその他の実施形態において、上述の、内面１０１、内側金属層１０４および構造加工部１０３に関する全ての配設は、外面１０２、外側金属層１０５、および前記外面１０２の在り得る構造加工部に対して、同様の方法で適用できることに留意されたい。

１０ 外装コンポーネント
１００ 基板
１０１ 内面
１０２ 外面
１０３ 構造加工部
１０４ 内側金属層
１０５ 外側金属層
１０６ 自由領域
１０７ 反射防止コーティング

Claims (11)

1. 時計または宝飾品の外装コンポーネント（１０）において、透明材料で製作された基板を備え、前記基板（１００）は、外面（１０２）と反対側の内面（１０１）を含む、外装コンポーネント（１０）であって、
   前記内面（１０１）または外面（１０２）の一方は、その表面全体に広がる構造加工部（１０３）を有し、前記外装コンポーネント（１０）は、装飾を形成するように、前記構造加工部（１０３）の一部分に堆積された少なくとも１つの金属層を含み、前記内側金属層（１０４）によって覆われていない前記構造加工部（１０３）の部分は、反射防止コーティング（１０７）で覆われていることを特徴とする、外装コンポーネント（１０）。
2. 前記内面（１０１）は、その表面全体にわたり前記構造加工部（１０３）を含むとともに、「内側金属層（１０４）」と呼ばれる、金属層を含む、請求項１に記載の外装コンポーネント（１０）。
3. 前記基板（１００）の外面（１０２）が研磨されている、請求項２に記載の外装コンポーネント（１０）。
4. 基板（１００）の外面（１０２）の表面の一部分に堆積された、「外側金属層（１０５）」と呼ばれる、少なくとも１つの金属層を備え、前記外側金属層（１０５）は、前記外面（１０２）を覆う前記反射防止コーティング（１０７）で覆われているか、または前記外面（１０２）を覆う前記反射防止コーティング（１０７）上に堆積されている、請求項２に記載の外装コンポーネント（１０）。
5. 前記内側金属層（１０４）は、前記反射防止コーティング（１０７）で覆われている、請求項２に記載の外装コンポーネント（１０）。
6. 請求項１に記載の外装コンポーネント（１０）によって形成されていることを特徴とする、時計文字盤。
7. 時計または宝飾品の外装コンポーネント（１０）を製造する方法であって、
   構造加工部（１０３）を生成するように、基板（１００）の内面（１０１）の表面全体を構造加工するステップと、
   装飾を形成するように、前記内面（１０１）の表面の一部分上に、「内側金属層（１０４）」と呼ばれる少なくとも１つの金属層を堆積させるステップと、
   前記基板（１００）の前記内面（１０１）上、少なくとも、前記内側金属層（１０４）によって覆われていない前記基板（１００）の前記内面（１０１）の部分上に、反射防止コーティング（１０７）を堆積させるステップと
   を含む、製造方法。
8. 装飾を形成するように、前記基板（１００）の前記外面（１０２）の一部分上に「外側金属層（１０５）」と呼ばれる金属層を堆積させるステップであって、前記外面（１０２）上に反射防止コーティング（１０７）を堆積させる前または後に実行される、ステップを含む、請求項７に記載の製造方法。
9. 前記外面（１０２）は、予備研磨ステップの間に研磨される、請求項７に記載の製造方法。
10. 前記反射防止コーティング（１０７）を堆積させるステップの間に、前記内側金属層（１０４）は、前記反射防止コーティング（１０７）によって覆われる、請求項８に記載の製造方法。
11. 前記構造加工ステップは、レーザー加工によるか、または機械加工により実施される、請求項１０に記載の製造方法。

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