JP2023113108A - 粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】電子部品を移送する際に用いられ得る粘着シートであって、生産コスト向上に寄与し得、電子部品の位置精度、電子部品の粘着シートに対する固定性と剥離性とに優れ、電子部品の汚染防止および電子部品へのダメージ防止を可能とする粘着シートを提供すること。【解決手段】本発明の粘着シートは、活性エネルギー線硬化型粘着剤から構成される粘着剤層を備える粘着シートであって、該活性エネルギー線硬化型粘着剤が、紫外線吸収剤および/または光重合開始剤を含み、該粘着剤層の23℃における初期押し込み弾性率が4MPa以下であり、該粘着剤層が、460mJ/cm2の紫外線を照射した後に、23℃における押し込み弾性率が150MPa以上となる層であり、該粘着シートの波長355nmの光透過率が、50%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、粘着シートに関する。
従来より、所定の部材上に配置された電子部品を別の部材に載せかえる際には、粘着シートで当該電子部品を受け取り、その後、当該電子部品を別の部材を受け渡すことが行われている。例えば、LEDチップを装置に組み込む際には、部材上に形成されたLEDチップを、一旦、粘着シート上に転写して受け取り、その後、粘着シートから所定の装置または部材にLEDチップを受け渡すようにして、LEDチップの移送が行われる。
上記のような電子部品の移送においては、生産コスト向上(所要資材の削減、所要時間・工数の短縮等)、電子部品の位置精度、電子部品の粘着シートに対する固定性と剥離性との両立、電子部品の汚染防止、電子部品へのダメージ防止等が求められる。
特許5875850号 特許6053756号
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電子部品を移送する際に用いられ得る粘着シートであって、生産コスト向上に寄与し得、電子部品の位置精度、電子部品の粘着シートに対する固定性と剥離性とに優れ、電子部品の汚染防止および電子部品へのダメージ防止を可能とする粘着シートを提供することにある。
[1]本発明の粘着シートは、活性エネルギー線硬化型粘着剤から構成される粘着剤層を備える粘着シートであって、該活性エネルギー線硬化型粘着剤が、紫外線吸収剤および/または光重合開始剤を含み、該粘着剤層の23℃における初期押し込み弾性率が4MPa以下であり、該粘着剤層が、460mJ/cmの紫外線を照射した後に、23℃における押し込み弾性率が150MPa以上となる層であり、該粘着シートの波長355nmの光透過率が、50%以下である。
[2]1つの実施形態においては、上記粘着シートは、基材を含まない。
[3]上記[1]または[2]の粘着シートにおいて、上記粘着剤層の600秒後の応力緩和率が10%以上であってもよい。
[4]上記[1]~[3]の粘着シートにおいて、上記粘着剤層の厚みが、20μm以下であってもよい。
[5]上記[1]~[4]の粘着シートにおいて、上記活性エネルギー線硬化型粘着剤が光重合開始剤を含み、該光重合開始剤が、光分解性基を2個以上有していてもよい。
[6]上記[1]~[5]の粘着シートにおいて、上記活性エネルギー線硬化型粘着剤が光重合開始剤を含み、該光重合開始剤が、リン原子および/または窒素原子を含む化合物であってもよい。
[7]上記[1]~[6]の粘着シートにおいて、上記活性エネルギー線硬化型粘着剤が活性エネルギー線反応性化合物を含み、該活性エネルギー線反応性化合物が、官能基を5つ以上有する多官能(メタ)アクリレートであってもよい。
[8]上記[1]~[7]の粘着シートは、電子部品の転写に用いられてもよい。
[9]上記[1]~[8]の粘着シートにおいて、レーザーリフトオフプロセスによる電子部品のキャッチ、およびその後のレーザー光照射による電子部品の剥離を含む電子部品の移送に用いられてもよい。
[10]上記[8]~[9]の粘着シートにおいて、上記電子部品が、ミニLEDまたはマイクロLEDであってもよい。
[11]本発明の別の局面によれば、電子部品の移送方法が提供される。この電子部品の移送方法は、上記粘着シートを用いた、電子部品の移送方法である。
[12]1つの実施形態においては、上記電子部品の移送方法は、基板上に配列された複数の電子部品を、前記粘着シートの前記粘着剤層上に転写する第1工程;および、該粘着シート上の該電子部品を別の部材に転写する第2工程を含む。
[13]1つの実施形態においては、上記第1工程および上記第2工程において、同一の上記粘着シートが用いられる。
本発明によれば、電子部品を移送する際に用いられ得る粘着シートであって、生産コスト向上に寄与し得、電子部品の位置精度、電子部品の粘着シートに対する固定性と剥離性とに優れ、電子部品の汚染防止および電子部品へのダメージ防止を可能とする粘着シートを提供することができる。
(a)は、本発明の1つの実施形態による粘着シートの概略断面図である。(b)は、本発明の別の実施形態による粘着シートの概略断面図である。
A.粘着シートの概要
図1(a)は、本発明の1つの実施形態による粘着シートの概略断面図である。この実施形態による粘着シート100は、粘着剤層10を備える。粘着剤層10は、活性エネルギー線硬化型粘着剤から構成される。活性エネルギー線硬化型粘着剤は、紫外線吸収剤および/または光重合開始剤を含む。図1(b)は、本発明の1つの実施形態による粘着シートの概略断面図である。この実施形態による粘着シート200は、基材20をさらに備え、基材20の少なくとも片側に粘着剤層10が配置される。図示していないが、本発明の粘着シートは、使用に供するまでの間、粘着面を保護する目的で、粘着剤層の外側にはく離ライナーが設けられていてもよい。また、粘着シートは、本発明の効果が得られる限り、任意の適切なその他の層をさらに含んでいてもよい。なお、本発明においては、後述のように、粘着剤層の粘着力低下および高弾性率化に伴うひずみの発生により被着体を良好に剥離することが可能であるため、粘着シートから被着体を分離するための粘着剤層以外の層(いわゆる分離層)を設けることなく粘着シートを構成することが可能である。1つの実施形態において、上記粘着シートは、電子部品の転写に用いられる。より詳細には、上記粘着シートは、レーザーリフトオフプロセスによる電子部品の受け取り、およびその後のレーザー光照射による電子部品の剥離を含む電子部品の移送に用いられ得る。電子部品としては、例えば、ミニLED、マイクロLED等が挙げられる。
1つの実施形態においては、上記粘着シートは、基材を含まない。1つの実施形態において、本発明の粘着シートは、図1(a)に示すように、粘着剤層1層のみから構成される。基材を含まず構成された粘着シートは、レーザー光照射により被着体を剥離する際のエネルギー利用効率に優れる点で好ましい。別の実施形態においては、本発明の粘着シートは、図1(b)に示すように、基材および粘着剤層を含み、粘着剤層は基材に直接(すなわち、その他の層を介することなく)配置される。
上記粘着剤層は、23℃における初期押し込み弾性率が4MPa以下である。本発明においては、粘着剤層がこのような押し込み弾性率を有することにより、電子部品を貼着する際に、当該電子部品の一部が好ましく粘着剤層に埋まった状態とすることができ、当該電子部品を固定性よく仮固定することができる。例えば、後述のように、電子部品を硬質基板から粘着シートに転写する場合においては、硬質基板を除去する際、被着体の位置ずれ、被着体のかたむき等が防止される。押し込み弾性率は、23℃における単一押し込み法により、押し込み速度10nm/s、押し込み深さ100nmにより測定され得る。
1つの実施形態においては、上記粘着シートは、基板(例えば、サファイア基板等の硬質基板)上に配列された複数の電子部品(例えば、LEDチップ)を、当該粘着シートに転写し;当該粘着シート上の電子部品を別の部材に転写する;ようにして、用いられ得る。1つの実施形態においては、基板から粘着シートへの電子部品の転写は、基板/電子部品界面部分にレーザー光を照射することを含むプロセス、すなわち、レーザーリフトオフプロセスにより行われ得る。本発明によれば、上記のように、被着体である電子部品のかたむきを防止するなど好ましい状態で電子部品を粘着シート上に配置することができるため、例えば、レーザーリフトオフプロセスによる電子部品の受け取りを好ましく行うことが可能となる。また、レーザーリフトオフプロセスが採用される場合において、レーザー光照射の影響により粘着剤層から生じる汚染物が被着体である電子部品に付着することを防止することができる。
また、粘着シートから別の部材への転写は、レーザー光照射により行うことができる。本発明においては、粘着剤層が紫外線吸収剤または光重合開始剤を含むことにより、レーザー光照射による被着体(電子部品)の剥離が可能となる。より詳細には、粘着剤層にレーザー光を照射することにより、紫外線吸収剤または光重合開始剤が加熱されて粘着剤層にひずみが生じ、その結果、レーザー光が照射された部分において、剥離性が発現する。本発明によれば、上記のようにして、微小な範囲で粘着剤層にひずみを生じさせることができるため、小型電子部品(例えば、50μm角)を加工する際にも当該電子部品を良好に剥離させることができる。このような粘着シートを用いれば、剥離後に行う電子部品の洗浄を省略することができる。また、剥離を要する小型電子部品と、剥離を要さない小型電子部品が隣り合って仮固定されている場合であっても、剥離を要する小型電子部品のみを剥離させることができ、小型電子部品の不要な脱離を防止することもできる。
上記のとおり、本発明の粘着シートは、レーザーリフトオフプロセスによる電子部品の受け取り、および、レーザー光照射による電子部品の剥離の両方において、優れた特性を発揮する。したがって、本発明によれば、レーザーリフトオフプロセスによる電子部品の受け取り、および、レーザー光照射による電子部品の剥離を含む方法により、電子部品を移送する際、上記粘着シートのみを用いて当該移送を完了させることができる。複数の粘着シートを要さないため、転写プロセス数を少なくすることができ、その結果、高い位置精度で電子部品を移送することができる。また、生産コストを低減させることができる。
上記粘着剤層は、活性エネルギー線硬化型粘着剤から構成される。活性エネルギー線硬化型粘着剤を含む粘着シートは、活性エネルギー線を照射することにより、粘着剤層全体の粘着力が低下する。被着体(電子部品)が貼着された粘着シートの粘着剤層の全体に活性エネルギー線を照射して、粘着力を低下させた後に、上記のようにレーザー光を照射することにより、剥離後の糊残りを防止することができる。このような粘着シートを用いれば、剥離後に行う電子部品の洗浄を省略することができる。また、活性エネルギー線硬化型粘着剤を含む粘着剤層を形成することにより、剥離の際のレーザー出力を低くすることができる。本発明の粘着シートは、低出力のレーザー光で剥離性を発現するため、当該粘着シートを用いれば、剥離の際の被着体である電子部品へのダメージを低減し、当該電子部品の破損を防止することができる。また、粘着剤層自体の分解(熱分解)を生じさせない程度の出力のレーザー光により剥離性を発現させることができるため、粘着剤層分解物による被着体である電子部品の汚染を防止することができる。活性エネルギー線としては、例えば、ガンマ線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)、ラジオ波、アルファ線、ベータ線、電子線、プラズマ流、電離線、粒子線等が挙げられる。好ましくは、紫外線である。
上記粘着剤層は、460mJ/cmの紫外線を照射した後に、23℃における押し込み弾性率が150MPa以上となる層である。紫外線照射後にこのような押し込み弾性率を有し得る粘着剤層を備えていれば、低エネルギーでのレーザー光照射により粘着剤層にひずみが生じ、その結果、被着体(電子部品)を良好に剥離させることができる。また、剥離時における電子部品の汚染を防止することができる。
本発明の粘着シートの波長355nmの光透過率は、50%以下である。本発明においては、当該光透過率を低くすることにより、剥離の際のレーザー出力を低くすることができる。本発明の粘着シートは、低出力のレーザー光で剥離性を発現するため、当該粘着シートを用いれば、剥離の際の被着体である電子部品へのダメージを低減し、当該電子部品の破損を防止することができる。本発明の粘着シートの波長355nmの光透過率は、好ましくは40%以下であり、より好ましくは30%以下である。このような範囲であれば、上記効果はより顕著となる。なお、粘着シートの光透過率とは、粘着シートの厚み方向の光透過率であり、粘着シートの構成層全層を対象として測定される光透過率である。本発明において、粘着シートの波長355nmの光透過率は、粘着剤層に含有する紫外線吸収剤の含有割合を調整して制御することができる。また、粘着シートの波長355nmの光透過率は、粘着剤層を構成するベースポリマー、光重合開始剤の構成によっても、制御することができる。例えば、粘着剤層に含まれる光重合開始剤の種類、量等により、特に、光重合開始剤とベースポリマーとの相溶性により、粘着シートの波長355nmの光透過率を制御することができる。
上記粘着シートの可視光透過率は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。このような範囲であれば、レーザー光照射による被着体の剥離の際に、剥離対象となる被着体を粘着シート越しに良好に視認可能となる粘着シートを得ることができる。粘着シートの可視光線透過率は高いほど好ましいが、その上限は、例えば、95%(好ましくは100%)である。
上記粘着シートのヘイズ値は、好ましくは70%以下であり、より好ましくは65%以下である。このような範囲であれば、レーザー光照射による被着体の剥離の際に、剥離対象となる被着体を粘着シート越しに良好に視認可能となる粘着シートを得ることができる。粘着シートのヘイズ値は低いほど好ましいが、その下限は、例えば、0.1%である。
上記粘着シートをステンレス板に貼着した直後の23℃における初期粘着力Aは、好ましくは0.1N/20mm~15N/20mmであり、より好ましくは0.5N/20mm~10N/20mmである。このような範囲であれば、良好に被着体を保持し得る粘着シートを得ることができる。粘着力は、JIS Z 0237:2000に準じて測定される。具体的には、2kgのローラーを1往復により粘着シートをステンレス板(算術平均表面粗さRa:50±25nm)に貼着し、23℃下で30分間放置した後、剥離角度180°、剥離速度(引張速度)300mm/minの条件で、粘着シートを引きはがして測定される。粘着剤層は、活性エネルギー線照射およびレーザー光照射により粘着力が変化するが、本明細書において、「初期粘着力」とは、活性エネルギー線およびレーザー光を照射する前の粘着力を意味する。
1つの実施形態においては、粘着シートをステンレス板に貼着し、300mJ/cmの紫外線を照射した後の23℃における粘着力B(硬化後粘着力Bともいう)は、好ましくは0.2N/20mm以下であり、より好ましくは0.01N/20mm~0.2N/20mmであり、より好ましくは0.02N/20mm~0.15N/20mmである。このような範囲であれば、糊残りの少ない粘着シートを得ることができる。上記紫外線照射は、例えば、紫外線照射装置(日東精機社製、商品名「UM-810」)を用いて、高圧水銀灯の紫外線(特性波長:365nm、積算光量:300mJ/cm)を粘着剤層に照射して行われる。
上記硬化後粘着力Bの上記初期粘着力Aに対する低下率は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である。このような範囲であれば、剥離性に優れる粘着シートを得ることができる。なお、上記低下率(%)は、(初期粘着力A-硬化後粘着力B)/初期粘着力A×100の式により求めることができる。
粘着シートの厚みは、好ましくは1μm~300μmであり、より好ましくは5μm~200μmである。
B.粘着剤層
上記粘着剤層の厚みは、好ましくは20μm以下である。このような範囲であれば、剥離の際のレーザー出力をより低くすることを可能とし、剥離発現性に優れる粘着シートを得ることができる。粘着剤層の厚みは、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましく、1μm~10μmであることより好ましい。このような範囲であれば、上記効果が顕著となる。
上記のとおり、上記粘着剤層は、23℃における初期押し込み弾性率が4MPa以下である。粘着剤層の23℃における初期押し込み弾性率は、好ましくは3MPa以下であり、より好ましくは2MPa以下である。このような範囲であれば、本発明の上記効果が顕著となる。また、粘着剤層の23℃における初期押し込み弾性率は、好ましくは0.1MPa以上であり、より好ましくは0.2MPa以上であり、さらに好ましくは0.3MPa以上であり、特に好ましくは0.7MPa以上である。このような範囲であれば、被着体を汚染し難く、剥離性に優れる粘着シートを得ることができる。
上記のとおり、上記粘着剤層は、460mJ/cmの紫外線を照射した後に、23℃における押し込み弾性率が150MPa以上となる層である。上記粘着剤層は、460mJ/cmの紫外線を照射した後に、23℃における押し込み弾性率が200MPa以上となる層であることが好ましく、300MPa以上となる層であることがより好ましく、400MPa以上となる層であることがさらに好ましく、500MPa以上となる層であることが特に好ましく、800MPa以上となる層であることが最も好ましい。このような範囲であれば、上記効果が顕著となる。460mJ/cmの紫外線を照射した後の粘着剤層の押し込み弾性率の上限は、例えば、8000MPa(好ましくは5000MPa、より好ましくは4000MPa)である。
上記粘着剤層は、600秒後の応力緩和率が10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、チップの保持性に優れる粘着シートを得ることができる。具体的には、被着体(電子部品)配置後の時間経過によっても、粘着剤層上での被着体(電子部品)の傾きが生じ難い粘着シートを得ることができる。このような粘着シートを用いれば、位置精度よく、電部品の移送を行うことができる。粘着剤層の600秒後の応力緩和率の上限は、例えば、100%(好ましくは80%)である。粘着剤層の600秒後の応力緩和率は、粘着剤層を円柱状に丸めたサンプルについて、23℃の環境温度下で、長さ方向に50%伸長させた直後の応力値A(MPa)と、50%伸長状態で600秒経過後の応力値B(MPa)とから、(応力緩和率(%)=(A-B)/A×100)の式により得ることができる。
上記のとおり、上記粘着剤層は、活性エネルギー線硬化型粘着剤から構成される。当該活性エネルギー線硬化型粘着剤は、上記紫外線吸収剤および/または光重合開始剤を含み得る。
(活性エネルギー線硬化型粘着剤)
1つの実施形態においては、活性エネルギー線硬化型粘着剤として、母剤となるベースポリマーと、該ベースポリマーと結合可能な活性エネルギー線反応性化合物(モノマーまたはオリゴマー)とを含む活性エネルギー線硬化型粘着剤(A1)が用いられる。別の実施形態においては、ベースポリマーとして活性エネルギー線反応性ポリマーを含む活性エネルギー線硬化型粘着剤(A2)が用いられる。好ましくは、上記ベースポリマーは、光重合開始剤と反応し得る官能基を有する。該官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。
上記粘着剤(A1)において用いられるベースポリマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、ニトリルゴム(NBR)等のゴム系ポリマー;シリコーン系ポリマー;アクリル系ポリマー等が挙げられる。これらのポリマーは、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも好ましくは、アクリル系ポリマーである。
アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステルなどの炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルの単重合体または共重合体;該炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s-ブチルエステル、t-ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2-エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステルすなわちラウリルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、およびエイコシルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のシクロペンチルエステルおよびシクロヘキシルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルおよび(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられる。上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは40重量部以上であり、より好ましくは60重量部以上である。
上記他の共重合性モノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、アクリルアミド、およびアクリロニトリルなどの官能基含有モノマー等が挙げられる。カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびクロトン酸が挙げられる。酸無水物モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸および無水イタコン酸が挙げられる。ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、および(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルおよび(メタ)アクリル酸メチルグリシジルが挙げられる。スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸が挙げられる。リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが挙げられる。アクリルアミドとしては、例えばN-アクリロイルモルホリンが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記共重合性モノマー由来の構成単位の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは60重量部以下であり、より好ましくは40重量部以下である。
アクリル系ポリマーは、そのポリマー骨格中に架橋構造を形成するために、多官能性モノマー由来の構成単位を含み得る。多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート(すなわち、ポリグリシジル(メタ)アクリレート)、ポリエステル(メタ)アクリレート、およびウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記多官能性モノマー由来の構成単位の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは30重量部以下である。
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは10万~300万であり、より好ましくは20万~200万である。重量平均分子量は、GPC(溶媒:THF)により測定され得る。
上記粘着剤(A1)に用いられ得る上記活性エネルギー線反応性化合物としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、アセチレン基等の重合性炭素-炭素多重結合を有する官能基を有する光反応性のモノマーまたはオリゴマーが挙げられる。該光反応性のモノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物;多官能ウレタン(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート;オリゴエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、メタクリロイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2-イソシアナトエチルメタクリレート)、m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート等のモノマーを用いてもよい。光反応性のオリゴマーの具体例としては、上記モノマーの2~5量体等が挙げられる。光反応性のオリゴマーの分子量は、好ましくは100~3000である。
1つの実施形態においては、活性エネルギー線反応性化合物として、官能基を5つ以上有する多官能(メタ)アクリレート、または、官能基を5つ以上有する多官能(メタ)アクリレートのオリゴマーが用いられる。このような活性エネルギー線反応性化合物を用いれば、活性エネルギー線(例えば、紫外線)照射によって高弾性となり得る粘着剤層を形成することができる。粘着剤層を高弾性率化することができれば、低出力のレーザー光により、上記の剥離操作を行うことができる。
また、上記活性エネルギー線反応性化合物として、エポキシ化ブタジエン、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、ビニルシロキサン等のモノマー;または該モノマーから構成されるオリゴマーを用いてもよい。
さらに、上記活性エネルギー線反応性化合物として、オニウム塩等の有機塩類と、分子内に複数の複素環を有する化合物との混合物を用いてもよい。該混合物は、活性エネルギー線(例えば、紫外線、電子線)の照射により有機塩が開裂してイオンを生成し、これが開始種となって複素環の開環反応を引き起こして3次元網目構造を形成し得る。上記有機塩類としては、例えば、ヨードニウム塩、フォスフォニウム塩、アンチモニウム塩、スルホニウム塩、ボレート塩等が挙げられる。上記分子内に複数の複素環を有する化合物における複素環としては、オキシラン、オキセタン、オキソラン、チイラン、アジリジン等が挙げられる。
上記粘着剤(A1)において、活性エネルギー線反応性化合物の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~500重量部であり、より好ましくは5重量部~300重量部であり、さらに好ましくは40重量部~150重量部である。
上記粘着剤(A2)に含まれる活性エネルギー線反応性ポリマー(ベースポリマー)としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、アセチレン基等の炭素-炭素多重結合を有する官能基を有するポリマーが挙げられる。活性エネルギー線反応性ポリマーの具体例としては、多官能(メタ)アクリレートから構成されるポリマー;光カチオン重合型ポリマー;ポリビニルシンナマート等のシンナモイル基含有ポリマー;ジアゾ化されたアミノノボラック樹脂;ポリアクリルアミド;等が挙げられる。
1つの実施形態においては、上記アクリル系ポリマー(前駆体樹脂)の側鎖、主鎖および/または主鎖末端に、活性エネルギー線重合性の炭素-炭素多重結合が導入されて構成された活性エネルギー線反応性ポリマーが用いられる。アクリル系ポリマー(前駆体樹脂)への放射線重合性の炭素-炭素二重結合の導入手法としては、例えば、所定の官能基(第1の官能基)を有するモノマーを含む原料モノマーを共重合させてアクリル系ポリマー(前駆体樹脂)を得た後、第1の官能基との間で反応を生じて結合しうる所定の官能基(第2の官能基)と放射線重合性炭素-炭素二重結合とを有する化合物(以下、単に、炭素二重結合を有する化合物ともいう)を、炭素-炭素二重結合の放射線重合性を維持したままアクリル系ポリマーに対して縮合反応または付加反応させる方法が、挙げられる。
上記炭素二重結合を有する化合物の導入量は、アクリル系ポリマー(前駆体樹脂)固形分100重量部に対して、好ましくは10重量部以上であり、より好ましくは12重量部以上であり、さらに好ましくは15重量部以上である。このような範囲であれば、低極性な活性エネルギー線反応性ポリマー(ベースポリマー)を得ることができ、当該ベースポリマーを用いれば、紫外線照射後の弾性率が比較的低い粘着剤層であっても、低エネルギーでのレーザー光照射による被着体剥離を好ましく行うことができる。炭素二重結合を有する化合物の導入量の上限は、アクリル系ポリマー(前駆体樹脂)固形分100重量部に対して、例えば、80重量部(好ましくは60重量部、より好ましくは50重量部)である。
第1の官能基と第2の官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシ基とエポキシ基、エポキシ基とカルボキシ基、カルボキシ基とアジリジル基、アジリジル基とカルボキシ基、ヒドロキシ基とイソシアネート基、イソシアネート基とヒドロキシ基が挙げられる。これら組み合わせのうち、反応追跡の容易さの観点からは、ヒドロキシ基とイソシアネート基の組み合わせや、イソシアネート基とヒドロキシ基の組み合わせが、好ましい。また、反応性の高いイソシアネート基を有するポリマーを作製するのは技術的難易度が高いところ、アクリル系ポリマーの作製または入手のしやすさの観点からは、アクリル系ポリマー側の上記第1の官能基がヒドロキシ基であり且つ上記第2の官能基がイソシアネート基である場合が、より好ましい。この場合、放射線重合性炭素-炭素二重結合と第2の官能基たるイソシアネート基とを併有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、およびm-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートが挙げられる。また、第1の官能基を有するアクリル系ポリマーとしては、上記のヒドロキシ基含有モノマー由来の構成単位を含むものが好ましく、2-ヒドロキシエチルビニルエーテルや、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルなどのエーテル系化合物由来の構成単位を含むものも好ましい。
上記活性エネルギー線反応性ポリマー(ベースポリマー)のガラス転移温度Tgは、好ましくは-60℃以上であり、より好ましくは-50℃以上であり、さらに好ましくは-40℃以上である。このような範囲であれば、低極性な活性エネルギー線反応性ポリマー(ベースポリマー)を得ることができ、当該ベースポリマーを用いれば、紫外線照射後の弾性率が比較的低い粘着剤層であっても、低エネルギーでのレーザー光照射による被着体剥離を好ましく行うことができる。活性エネルギー線反応性ポリマー(ベースポリマー)のガラス転移温度Tgの上限は、好ましくは0℃であり、より好ましくは-20℃である。ベースポリマーのTgとは、ベースポリマーを構成する各モノマーの単独重合体(ホモポリマー)のTgおよび該モノマーの重量分率(重量基準の共重合割合)に基づいて、フォックス(Fox)の式から求められる値をいう。Foxの式とは、以下に示すように、共重合体のTgと、該共重合体を構成するモノマーのそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
上記Foxの式において、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Wiは該共重合体におけるモノマーiの重量分率(重量基準の共重合割合)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。ホモポリマーのTgとしては、公知資料に記載の値を採用するものとする。
上記粘着剤(A2)は、上記活性エネルギー線反応性化合物(モノマーまたはオリゴマー)をさらに含んでいてもよい。
上記活性エネルギー線硬化型粘着剤は、紫外線吸収剤および/または光重合開始剤を含み得る。用いられる紫外線吸収剤および光重合開始剤の詳細は、上記のとおりである。
1つの実施形態においては、上記活性エネルギー線硬化型粘着剤は、光増感剤を含み得る。
1つの実施形態においては、上記光増感剤は、上記光重合開始剤と併用され得る。当該光増感剤は、自らが光を吸収して得たエネルギーを光重合開始剤に渡すことで、光重合開始剤からラジカルを発生させることができるため、光重合開始剤自身の吸収ピークが無い長波長側の光で重合を進行させることができる。このため、光増感剤を含有させることにより、上記紫外線吸収剤の吸収波長と光重合開始剤からラジカルを発生さることが可能な波長との差を大きくすることが可能となる。その結果、粘着剤層の光重合と紫外線吸収剤による剥離を互いに影響せずに行うことができる。1つの実施形態においては、光重合開始剤としての2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(例えば、BASF社製、商品名「イルガキュア651」)と、光増感剤とが併用される。このような光増感剤としては、川崎化成工業株式会社製の商品名「UVS-581」、9,10-ジエトキシアントラセン(例えば、川崎化成工業社製、商品名「UVS1101」)等が挙げられる。
上記光増感剤のその他の例としては、9,10-ジブトキシアントラセン(例えば、川崎化成工業社製、商品名「UVS-1331」)、2-イソプロピルチオキサントン、ベンゾフェノン、チオキサントン誘導体、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン誘導体としては、例えば、エトキシカルボニルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
上記光増感剤の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部~2重量部であり、より好ましくは0.5重量部~2重量部である。
好ましくは、上記活性エネルギー線硬化型粘着剤は、架橋剤を含む。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。
上記架橋剤の含有割合は、粘着剤のベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.5重量部~10重量部であり、より好ましくは1重量部~8重量部である。
1つの実施形態においては、イソシアネート系架橋剤が好ましく用いられる。イソシアネート系架橋剤は、多種の官能基と反応し得る点で好ましい。上記イソシアネート系架橋剤の具体例としては、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートHL」)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートHX」)等のイソシアネート付加物;等が挙げられる。好ましくは、イソシアネート基を3個以上有する架橋剤が用いられる。
活性エネルギー線硬化型粘着剤は、必要に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、活性エネルギー線重合促進剤、ラジカル捕捉剤、粘着付与剤、可塑剤(例えば、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤等)、顔料、染料、充填剤、老化防止剤、導電材、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、軟化剤、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤等が挙げられる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、紫外線(例えば、波長355nm)を吸収する化合物であれば、任意の適切な紫外線吸収剤が用いられ得る。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。なかでも好ましくは、トリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはトリアジン系紫外線吸収剤である。特に、粘着剤としてアクリル系粘着剤を用いる場合に、当該アクリル系粘着剤のベースポリマーとの相溶性が高いことから、トリアジン系紫外線吸収剤は好ましく用いられ得る。トリアジン系紫外線吸収剤は、水酸基を有する化合物から構成されていることがより好ましく、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物から構成された紫外線吸収剤(ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤)であることが特に好ましい。
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルと[(C10-C16(主としてC12-C13)アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(商品名「TINUVIN 400」、BASF社製)、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール)、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物(商品名「TINUVIN 405」、BASF社製)、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(商品名「TINUVIN 460」、BASF社製)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(商品名「TINUVIN 1577」、BASF社製)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]-フェノール(商品名「アデカスタブ LA-46」、(株)ADEKA製)、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン(商品名「TINUVIN 479」、BASF社製)、BASF社製の商品名「TINUVIN 477」などが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系化合物)としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(商品名「TINUVIN PS」、BASF社製)、ベンゼンプロパン酸および3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ(C7-9側鎖および直鎖アルキル)のエステル化合物(商品名「TINUVIN 384-2」、BASF社製)、オクチル3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートおよび2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2イル)フェニル]プロピオネートの混合物(商品名「TINUVIN 109」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(商品名「TINUVIN 900」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(商品名「TINUVIN 928」、BASF製)、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物(商品名「TINUVIN 1130」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール(商品名「TINUVIN P」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(商品名「TINUVIN 234」、BASF社製)、2-[5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール(商品名「TINUVIN 326」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール(商品名「TINUVIN 328」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(商品名「TINUVIN 329」、BASF社製)、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](商品名「TINUVIN 360」、BASF社製)、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物(商品名「TINUVIN 213」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール(商品名「TINUVIN 571」、BASF社製)、2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド-メチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(商品名「Sumisorb 250」、住友化学(株)製)、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール(商品名「SEESORB 703」、シプロ化成社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール(商品名「SEESORB 706」、シプロ化成社製)、2-(4-ベンゾイルオキシ-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール(シプロ化成社製の商品名「SEESORB 7012BA」)、2-tert-ブチル-6-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノール(商品名「KEMISORB 73」、ケミプロ化成社製)、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール](商品名「アデカスタブ LA-31」、(株)ADEKA製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-セルロース(商品名「アデカスタブ LA-32」、(株)ADEKA製)、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール(商品名「アデカスタブ LA-36」、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
上記紫外線吸収剤は、染料または顔料であってもよい。顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、レーキ系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサンジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の顔料が挙げられる。染料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、カルボニル系、インジゴ系、キノンイミン系、メチン系、キノリン系、ニトロ系等の染料が挙げられる。
上記紫外線吸収剤を構成する化合物の分子量は、好ましくは1000以下であり、より好ましくは800以下であり、さらに好ましくは600以下である。上記範囲の分子量を有する紫外線吸収剤は、ベースポリマーとの相溶性に優れるため、当該紫外線吸収剤を用いると、レーザー光が照射された際にレーザー照射箇所のみにひずみが発生する為、非常に低いレーザーエネルギーで剥離することが可能となる。その結果、粘着剤層の熱分解を防止することができる。このような粘着剤層を形成すれば、被着体を汚染し難い粘着シートを得ることができる。紫外線吸収剤を構成する化合物の分子量の下限は、例えば、100である。
上記紫外線吸収剤の最大吸収波長は、好ましくは300nm~450nmであり、より好ましくは320nm~400nmであり、さらに好ましくは330nm~380nmである。紫外線吸収剤の最大吸収波長と上記光重合開始剤の最大吸収波長との差は、好ましく10nm以上であり、より好ましくは25nm以上である。
上記紫外線吸収剤の含有割合は、粘着剤層中のベースポリマー100重量部に対して、好ましくは1重量部~50重量部であり、より好ましくは2重量部~30重量部であり、さらに好ましくは3重量部~25重量部である。このような範囲であれば、活性エネルギー線の照射により粘着剤層全体の粘着力を良好に低下させる際に、粘着剤層の硬化が良好に進み、かつ、レーザー光照射により、良好な剥離性を示す粘着シートを得ることができる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、任意の適切な開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α’-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα-ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2-ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1-フェノン-1,1―プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4-ジクロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の使用量は、任意の適切な量に設定され得る。
1つの実施形態においては、上記光重合開始剤として、光分解性基を2個以上(好ましくは2個~5個)有する光重合開始剤が用いられる。このような光重合開始剤を用いれば、活性エネルギー線(例えば、紫外線)照射によって高弾性となり得る粘着剤層を形成することができる。粘着剤層を高弾性率化することができれば、低出力のレーザー光により、上記の剥離操作を行うことができる。光分解性基とは、照射された活性エネルギー線を吸収しラジカルを発生させる官能基を意味し、その具体例としては、ケトン基、ハロゲン化アルキル基、エステル基、スルホン基、ペルオキシ基等が挙げられる。
光分解性基を2個以上有する光重合開始剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン(商品名 Omnirad127、BASFジャパン製)、1-[4-(4-ベンゾイキシルフェニルサルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルホニル)プロパン-1-オン(商品名 ESURE1001M)、メチルベンゾイルフォーメート(商品名 SPEEDCURE MBF LAMBSON製)、O-エトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン(商品名 SPEEDCURE PDO LAMBSON製)、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン(商品名 ESCURE KIPI50 LAMBERTI製)等が挙げられる。
1つの実施形態においては、上記光重合開始剤として、リン原子および/または窒素原子を含む化合物が用いられる。このような光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名 Omnirad907、BASFジャパン製)、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン(商品名 Omnirad369、BASFジャパン製)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)ブタン-1-オン(商品名 Omnirad379、BASFジャパン製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名 Omnirad819、BASFジャパン製)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名 OmniradTPO、BASFジャパン製)、1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)フェニル-2-(O-ベンゾイルオキシム)](商品名 OmniradOXE01、BASFジャパン製)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)(商品名 OmniradOXE02、BASFジャパン製)等が挙げられる。このような光重合開始剤を用いれば、活性エネルギー線(例えば、紫外線)照射によって高弾性となり得る粘着剤層を形成することができる。粘着剤層を高弾性率化することができれば、低出力のレーザー光により、上記の剥離操作を行うことができる。
上記光重合開始剤の含有割合は、粘着剤層中のベースポリマー100重量部に対して、好ましくは1重量部~30重量部であり、より好ましくは2重量部~20重量部であり、さらに好ましくは3重量部~15重量部である。このような範囲であれば、活性エネルギー線の照射により粘着剤層全体の粘着力を良好に低下させる際に、粘着剤層の硬化が良好に進み、かつ、レーザー光照射による粘着剤層のひずみ量が多く、良好な剥離性を示す粘着シートを得ることができる。
C.基材
上記基材は、任意の適切な樹脂から構成され得る。該樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、セルロース系樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。なかでも好ましくはポリオレフィン系樹脂である。
上記基材の厚みは、好ましくは2μm~300μmであり、より好ましくは2μm~100μmであり、さらに好ましくは2μm~50μmである。
基材の波長355nmの光透過率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である。基材の全光線透過率の上限は、例えば、98%(好ましくは99%)である。
D.粘着シートの製造方法
上記粘着シートは、任意の適切な方法により製造され得る。粘着シートは、例えば、基材またははく離ライナー上に、上記粘着剤を塗工して得られ得る。塗工方法としては、バーコーター塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、グラビアリバース塗工、リバースロール塗工、リップ塗工、ダイ塗工、ディップ塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷など種々の方法を採用することができる。また、別途、はく離ライナーに粘着剤層を形成した後、それを基材に貼り合せる方法等を採用してもよい。
E.電子部品の移送方法
1つの実施形態においては、上記粘着シートを用いた電子部品の移送方法が提供される。当該移送方法は、例えば、基板上に配列された複数の電子部品を、上記粘着シートの粘着剤層上に転写する第1工程;および、当該粘着シート上の電子部品を別の部材に転写する第2工程を含む。好ましくは、第1工程および第2工程において、同一の粘着シートが用いられる。すなわち、上記移送方法においては、さらなる転写工程を含まず、上記電子部品の移送が行われ得る。
第1工程において、基板から粘着シートへの電子部品の転写は、基板/電子部品界面部分にレーザー光を照射することを含むプロセス、すなわち、レーザーリフトオフプロセスにより行われ得る。レーザーリフトオフプロセスの諸条件は、任意の適切な条件とすることができる。
上記基板としては、例えば、サファイア基板等の硬質基板が用いられ得る。
1つの実施形態においては、第2工程は以下の操作を含む、すなわち、第2工程は、(i)粘着シートに活性エネルギー線(例えば、紫外線)を照射して、粘着シートの粘着剤層の粘着力を低下させ、(ii)剥離性発現を所望する箇所にレーザー光を照射して、粘着剤層にひずみを生じさせて粘着力をさらに低下させることを含む。当該方法によれば、レーザー光を照射した個所においてのみ、電子部品をはく離させることができる。本発明の粘着シートを用いれば、自然落下するほどまでに粘着力を低下させることができるため、非常に小さい(例えば、50μm角)電子部品であっても、個々別々に剥離させることが可能である。
上記(i)における活性エネルギー線は粘着剤層の表面全面に照射され得る。1つの実施形態においては、積算光量200mJ/cm~600mJ/cmの紫外線が照射される。
上記(ii)におけるレーザー光としては、例えば、波長200nm~360nm(好ましくは355nm)のレーザー光が用いられる。レーザー光出力は、例えば、100mJ/cm~1200mJ/cmである。
1つの実施形態において、上記電子部品は、ミニLEDまたはマイクロLEDである。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例における試験および評価方法は以下のとおりである。また、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。
(1)粘着力
粘着シートのPETはく離ライナーを剥離し、厚み25μmのPET(東レ製ルミラーS10)を貼り合わせた。その後もう一方の面のPETはく離ライナーを剥離し、2kgのローラーを1往復によりSUS304に貼り合わせ、JIS Z 0237:2000に準じた方法(剥離角度180°、剥離速度(引張速度)300mm/min、測定温度:23℃)で粘着力を測定し初期粘着力とした。
同様の方法で、SUS304に粘着シートを貼り合わせた後、粘着シート側から紫外線照射装置(日東精機製、商品名「UM-810」)を用い、高圧水銀灯の紫外線(特定波長:365nm、積算光量:300mJ/cm)を全面に照射した後、同様に粘着力を測定し、硬化後粘着力とした。
(2)波長355nm光透過率
粘着シートのPETはく離ライナーを剥離し、大型スライドグラス(松浪硝子製、商品名「S9111」)にハンドローラーを用い貼り合わせ、もう一方の面のPETはく離ライナーを剥離した状態で、測定を行った。具体的には、分光光度計(商品名「分光光度計 U-4100」,日立ハイテクサイエンス製)を使用して、大型スライドグラス上の粘着シートについて、粘着シート自体における波長355nmの透過率を測定した。
(3)押し込み弾性率
粘着シートのPETはく離ライナーを剥離し、大型スライドグラス(松浪硝子製、商品名「S9111」)にハンドローラーを用い貼り合わせた。得られたサンプルのスライドグラス面側から紫外線照射装置(日東精機製、商品名「UM-810」)を用い、高圧水銀灯の紫外線(特定波長:365nm、積算光量:460mJ/cm)を全面に照射した。その後、もう一方のPETはく離ライナーを剥離し粘着剤層を露出させ、Hysitron社製トライポインデンターTI-950を用い、押し込み弾性率を測定した。測定は、23℃における単一押し込み法により、押し込み速度10nm/s、押し込み深さ100nmで行った。
(4)600秒後の応力緩和率
粘着剤層を長さ50mm×幅40mmのサイズに切り出し、丸め、円柱状試験片(直径:0.5643mm、長さ:40mm)を得た。この試験片を、23℃、50%RHの雰囲気下で、初期チャック間距離20mmとし、引張速度50mm/分で引張試験機(商品名「AFX-50NX」、島津製作所社製)を用いて、伸び率50%まで延伸(伸長)させて停止して、応力値A(MPa)を測定した。その後、停止から600秒経過したときの応力値B(MPa)を測定した。応力値A、Bから下記式により、応力緩和率を求めた。
応力緩和率(%)=(A-B)/A × 100
(5)レーザーリフトオフ(LLO)評価
4inch角の石英ガラス上に粘着剤を貼り合わせた後、LEDチップが粘着剤面に来るようにサファイア基盤を貼り合わせした。貼り合わせは、真空+プレス機構付き保護テープ貼り付け装置(商品名「DV 3000」、日東精機社製)を用い、真空時間:90秒間、圧着条件:0.25MPa、圧着時間:0秒間とした。
圧着完了後、サファイア面からレーザー(エムレイズ社製エキシマレーザー)を照射し、LLOを実施した。LLO条件は、波長:248nm、エネルギー密度:900mJ/cmとした。LLO後、サファイヤガラスを除去し、収率を確認した。収率:90%以上を良(〇)、80%以上90%未満を可(△)、80%未満を不可(×)とした。
粘着テープ上のLEDチップを共焦点顕微鏡(製品名「OLS 5100」、島津製作所社製)を用いて観察し、チップ100個の傾き角度を測定し、平均値を算出した。傾き平均値が、0.15°以下である場合を優(◎)、0.15°より大きく0.25°以下である場合を良(〇)、0.25°より大きい場合を不可(×)とした。
(6)Laser Transfer評価
LLO後、得られたサンプルの石英ガラス面側から、窒素雰囲気下で紫外線照射装置(商品名「UM 810」、日東精機社製)を用い、粘着剤を光硬化させた。硬化条件は、高圧水銀灯の紫外線を用い、波長:365nm換算、460mJ/cmとした。
その後、石英ガラス側から狙いのチップ位置にのみレーザー(波長:355nm、パルス幅:5ns)を照射し、Laser Transferを行った。100mJ/cmから1200mJ/cmまで100mJ/cm刻みのレーザー光を照射し、最も位置精度が良かったエネルギーをEnergy値とし、500mJ/cm以下であった場合を優(◎)、500mJ/cmより大きく1000mJ/cm以下であった場合を良(〇)、1000mJ/cmより大きい場合、および、1200mJ/cmで転写不可であった場合を不可(×)とした。
転写後のチップをデジタルマイクロスコープ(商品名「VHX2000」、キーエンス社製)を用いて観察し、位置精度を評価した。チップ長辺方向のズレ距離が2μm以下の場合を優(◎)、2μmより大きく5μm以下の場合を良(〇)、5μmより大きい場合を不可(×)とした。
[製造例1]アクリルポリマーAの調整
2-メトキシエチルアクリレート100重量部、アクリロイルモルホリン27重量部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル22重量部を混合して、モノマー組成物を調製した。
次いで、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた反応容器に窒素を導入し、窒素雰囲気下で、トルエン500重量部、上記モノマー組成物149量部、および、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)0.3重量部を仕込み、60℃で5時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート24重量部を添加し反応させて、共重合体中のアクリル酸2-ヒドロキシエチルの側鎖末端OH基にNCO基を付加し、末端に炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーAを含有するアクリル系ポリマー溶液Aを得た。
[製造例2]アクリルポリマーBの調整
2-エチルヘキシルアクリレート100重量部、アクリロイルモルホリン25.5重量部、ヒドロキシエチルアクリレート18.5重量部を混合して、モノマー組成物を調製した。
次いで、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた反応容器に窒素を導入し、窒素雰囲気下で、トルエン60重量部、上記モノマー組成物144重量部、および、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)0.3重量部を仕込み、60℃で4時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート12重量部を添加し反応させて、共重合体中のアクリル酸2-ヒドロキシエチルの側鎖末端OH基にNCO基を付加し、末端に炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーBを含有するアクリル系ポリマー溶液Bを得た。
[製造例3]アクリルポリマーCの調整
イソノニルアクリレート100重量部、ヒドロキシエチルアクリレート32重量部を混合し、モノマー組成物を調整した。
次いで、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた反応容器に窒素を導入し、窒素雰囲気下で、酢酸エチル280重量部、上記モノマー組成物132重量部、および、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)0.3重量部を仕込み、60℃で4時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート56重量部を添加し反応させて、共重合体中のアクリル酸2-ヒドロキシエチルの側鎖末端OH基にNCO基を付加し、末端に炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーCを含有するアクリル系ポリマー溶液Cを得た。
[製造例4]アクリルポリマーDの調整
2-エチルヘキシルアクリレート88.8重量部、ヒドロキシエチルアクリレート11.2重量部を混合し、モノマー組成物を調整した。
次いで、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた反応容器に窒素を導入し、窒素雰囲気下で、トルエン150重量部、上記モノマー組成物100重量部、および、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)0.3重量部を仕込み、60℃で4時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート12重量部を添加し反応させて、共重合体中のアクリル酸2-ヒドロキシエチルの側鎖末端OH基にNCO基を付加し、末端に炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーDを含有するアクリル系ポリマー溶液Dを得た。
[実施例1]
(粘着剤の調製)
アクリルポリマーAを100重量部含むアクリル系ポリマー溶液Aに、架橋剤(三井化学社製、商品名「タケネートD-101A」)3重量部、紫外線吸収剤(BASF社製、商品名「Tinuvin PS」)5重量部、光重合開始剤(BASF社製、商品名「Omnirad TPO」)3重量部を加え粘着剤(1)を得た。
(粘着シート)
PETはく離ライナー(厚さ:38μm)のシリコーン処理面に、上記粘着剤(1)を塗布し、その後、130℃で2分間加熱して、厚さ5μmの粘着剤層を形成した。
ハンドローラーを用いて、粘着剤層の上にPETはく離ライナーを貼り合わせ、はく離ライナー付粘着シートを得た。
得られたはく離ライナー付粘着シートを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例2~14、比較例1~5]
表1に示すアクリル系ポリマー溶液、架橋剤、紫外線吸収剤、活性エネルギー線反応性化合物(オリゴマー)、光重合開始剤を、表1に示す配合量で用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを得た。得られた粘着シートを上記評価に供した。結果を表1に示す。
活性エネルギー線反応性化合物(オリゴマー)を用いた実験例においては、粘着剤の調製の際に当該オリゴマーを添加して、粘着剤を得た。
実施例および比較例で用いた化合物等は、以下のとおりである。
(架橋剤)
・D-101A:イソシアネート系架橋剤、三井化学社製、商品名「タケネートD-101A」
・コロネートHX:イソシアネート系架橋剤、・東ソー社製、商品名「コロネート/HX」
(紫外線吸収剤)
・Tinuvin PS:BASF社製、商品名「Tinuvin PS」、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール
・Tinuvin 405:BASF社製、商品名「Tinuvin 405」、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物
・Tinuvin 460:BASF社製、商品名「Tinuvin 460」、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン
・Tinuvin 477:BASF社製、商品名「Tinuvin 460」、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物
・KEMISORB111:ケミプロ化成製、商品名「KEMISORB111」
・KEMISORB71:ケミプロ化成製、商品名「KEMISORB71」、
(活性エネルギー線反応性化合物(オリゴマー))
・UV-1700TL:ウレタンアクリレート系多官能オリゴマー、日本合成化学社製、商品名「UV-1700TL」
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(光重合開始剤)
・Omni127D:BASF社製、商品名「Omnirad127D」、化合物名:2-hydroxy-1-(4-(4-(2-hydroxy-2-methylpropionyl)benzyl)phenyl)-2-methylpropan-1-one
・OmniTPO:BASF社製、商品名「OmniradTPO」、化合物名:2,4,6-trimethylbenzoyl-diphenyl phosphine oxide
・Omni379:BASF社製、商品名「Omnirad379」、化合物名:2-dimethylamino-2-(4-methyl-benzyl)-1-(4-morpholin-4-yl-phenyl)-butan-1-one
・Omni369:BASF社製、商品名「Omnirad369」、化合物名:2-benzyl-2-(dimethylamino)-4‘-morpholinobutyrophenone
Figure 2023113108000002
10 粘着剤層
20 基材
100、200 粘着シート

Claims (13)

  1. 活性エネルギー線硬化型粘着剤から構成される粘着剤層を備える粘着シートであって、
    該活性エネルギー線硬化型粘着剤が、紫外線吸収剤および/または光重合開始剤を含み、
    該粘着剤層の23℃における初期押し込み弾性率が、4MPa以下であり、
    該粘着剤層が、460mJ/cmの紫外線を照射した後に、23℃における押し込み弾性率が150MPa以上となる層であり、
    該粘着シートの波長355nmの光透過率が、50%以下である、
    粘着シート。
  2. 基材を含まない、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記粘着剤層の600秒後の応力緩和率が10%以上である、請求項1に記載の粘着シート。
  4. 前記粘着剤層の厚みが、20μm以下である、請求項1に記載の粘着シート。
  5. 前記活性エネルギー線硬化型粘着剤が光重合開始剤を含み、
    該光重合開始剤が、光分解性基を2個以上有する、
    請求項1に記載の粘着シート。
  6. 前記活性エネルギー線硬化型粘着剤が光重合開始剤を含み、
    該光重合開始剤が、リン原子および/または窒素原子を含む化合物である、
    請求項1に記載の粘着シート。
  7. 前記活性エネルギー線硬化型粘着剤が活性エネルギー線反応性化合物を含み、
    該活性エネルギー線反応性化合物が、官能基を5つ以上有する多官能(メタ)アクリレートである、
    請求項1に記載の粘着シート。
  8. 電子部品の転写に用いられる、請求項1に記載の粘着シート。
  9. レーザーリフトオフプロセスによる電子部品のキャッチ、およびその後のレーザー光照射による電子部品の剥離を含む電子部品の移送に用いられる、請求項1に記載の粘着シート。
  10. 前記電子部品が、ミニLEDまたはマイクロLEDである、請求項8または9記載の粘着シート。
  11. 請求項1から7のいずれかに記載の粘着シートを用いた、電子部品の移送方法。
  12. 基板上に配列された複数の電子部品を、前記粘着シートの前記粘着剤層上に転写する第1工程;および、
    該粘着シート上の該電子部品を別の部材に転写する第2工程を含む、
    請求項11に記載の電子部品の移送方法。
  13. 前記第1工程および前記第2工程において、同一の前記粘着シートが用いられる、請求項12に記載の電子部品の移送方法。
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