JP2023112971A - 液化油の製造装置、液化油の製造方法、有機可燃物の液化装置、及び有機可燃物の液化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃プラスチック等の有機可燃物から安価で安全に液化油を製造する装置と製造方法を提供する。【解決手段】有機可燃物を重質油に加熱溶解させる溶解槽と、該溶解槽からの有機可燃物溶解重質油中の有機可燃物を熱分解させる熱分解反応器と、該熱分解反応器からの熱分解生成物と重質油を分離する重質油分離器と、該重質油分離器で分離された熱分解生成物を精製する精製器と、該重質油分離器で分離された重質油の少なくとも一部を前記溶解槽に戻すリサイクル管を有する、液化油の製造装置。及びこの製造装置を用いた液化油の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、廃プラスチック等の有機可燃物から液化油を製造する装置及び方法に関する。また、本発明は、有機可燃物を液化するための装置及び方法に関する。
廃プラスチック等の有機可燃物のリサイクル技術は、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリカバリーに大別される。ケミカルリサイクルについては、近年様々な技術が提案され、開発が進んでいる。具体的には、例えば、特許文献1には、廃プラスチックからポリオレフィン系プラスチック以外のプラスチックを分離後に、ポリオレフィン系プラスチックを加熱溶融してから加熱分解槽に供給する方法が開示されている。
縮合系ポリマーからの有用物の回収方法としては、溶媒による解重合により原料モノマーを再生するソルボリシス法の開発が進められている。例えば、PETでは、エチレングリコールを溶媒として用い、解重合によりテレフタル酸やエチレングルコールモノマー、およびオリゴマー等の回収を行っている。熱分解法としては、溶融ポリマーを流動床に投入し、部分酸化によるガス化により合成ガスとなるCO、水素ガスを得て、得られた合成ガスによるメタノール製造、水素によるアンモニア製造などが行われている。ここで、部分酸化の程度を浅くすることにより、燃料油相当の炭化水素の製造なども行われている。流動床以外の熱分解法としては、超臨界水を用いる方法もあり、高温高圧の超臨界水を用いてポリマーを熱分解させ燃料油の回収を行っている。熱分解類似の方法として、攪拌による熱分解もあり、無触媒もしくは、触媒を用いる接触分解法もあり、300~400℃前後で液化油を得ることができる。
特開2005-154518号公報
廃プラスチック等の有機可燃物から産業上有用な液体燃料、液化ガス、化学原料等を製造する場合、従来、プラスチックの大きさや種類等に応じて、破砕、切断、粉砕、分別等の前処理が必要であった。しかしながら、このような前処理には、電力等の膨大なエネルギーが必要であり、コスト高になるとともに、振動、騒音、粉塵等も発生する。
廃プラスチック処理法は、ソルボリシス法と熱分解法に大別される。エネルギー的には、廃プラスチックを原料モノマーとして回収し再利用可能なソルボリシス法が有利である。しかしながら、廃プラスチックは、様々なプラスチックの様々な形状の成形品である。例えば、廃プラスチックがポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのオレフィン系ポリマーや、ポリエステル(PET)やポリアミド、ナイロン(Ny)などの縮合系ポリマー、ポリ塩化ビニールなどの塩素系ポリマーなど多様なプラスチックの混合物となっている場合、その中から目的の廃プラスチックのみを分離するには、非常に手間とコストが掛かる。そのため、廃プラスチック処理へのソルボリシス法の適用は実用化が難しい。
流動床熱分解ガス化法では、合成ガスに分解するためのエネルギーロスがかなり大きい。また、流動床熱分解ガス化法は、一般的に1000℃程度の高温と熱媒体を流動させるための大型燃焼炉が必要となるため、建設費も大きく、コストアップ要因となる。
廃プラスチックを、攪拌槽を備えた熱分解装置を用いてバッチ運転で処理する場合は、滞留時間が長くなるため、コーキングしやすい。また、長期運転すると、溶融ポリマーを槽内に送出する部位で重質化、炭素化による閉塞の危険性も考えられる。
攪拌槽による熱分解装置としては、無触媒方式のものと、ZSM-5などの固体酸触媒を用いた接触分解方式のものがある。触媒分解方式のものは、収率は向上すると考えられるが、触媒費用および廃触媒の処理が必要となるため、コストアップ要因となる。
超臨界水を溶媒として分散、溶解させ熱分解させる廃プラスチック処理方法も行われている。この方法は、超臨界状態の水を利用することから、数百気圧、400℃前後と高温高圧の反応条件が必要となるため、建設費は過大なものとなる。また、水蒸気として持ち去られる潜熱の回収や大量の廃水の処理も必要となることから、相当な設備投資を伴うことになる。
廃プラスチックのケミカルリサイクルは、廃プラスチックが高温で粘稠になるために、ハンドリングが難しく、分別などの付帯設備や工程が必要となり、また、高温高圧処理のために相当な建設費が必要となる。このようなことから、廃プラスチックのケミカル原料や燃料油としての回収、再利用はコストの壁が立ちはだかり困難であり、結局はサーマルリサイクルとして、セメント工業や鉄鋼業での加熱源や、ごみ焼却設備等での発電用熱源としての利用が主となってきた。
本発明の一態様は、以上のような従来の欠点に鑑み、安価かつ安全に、廃プラスチック等の有機可燃物から液化油を製造する装置とその製造方法を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、有機可燃物を簡便に軟化溶解し、塩化水素等の有害ガスが発生させずに液化燃料等に加工処理することができる有機可燃物の液化装置及び液化方法を提供することを課題とする。
本発明の要旨は次の通りである。
[1] 有機可燃物を重質油に加熱溶解させる溶解槽と、
該溶解槽からの有機可燃物溶解重質油中の有機可燃物を熱分解させる熱分解反応器と、
該熱分解反応器からの熱分解生成物と重質油を分離する重質油分離器と、
該分離された熱分解生成物を精製する精製器と、
該分離された重質油の少なくとも一部を前記溶解槽に戻すリサイクル管を有する、液化油の製造装置。
[2] 前記有機可燃物がプラスチックである、[1]に記載の液化油の製造装置。
[3] 前記有機可燃物が廃棄物である、[1]又は[2]に記載の液化油の製造装置。
[4] 前記重質油が原油の蒸留残渣である、[1]~[3]のいずれかに記載の液化油の製造装置。
[5] 前記熱分解反応器が管型反応器である、[1]~[4]のいずれかに記載の液化油の製造装置。
[6] 有機可燃物を重質油に加熱溶解させる溶解槽と、
該溶解槽からの有機可燃物溶解重質油中の有機可燃物を熱分解させる熱分解反応器と、
該熱分解反応器からの熱分解生成物と重質油を分離する重質油分離器と、
該分離された熱分解生成物を精製する精製器と、
該分離された重質油の少なくとも一部を前記溶解槽に戻すリサイクル管を有する、
有機可燃物の液化装置。
[7] 有機可燃物を重質油に加熱溶解させる工程と、
該溶解槽からの有機可燃物溶解重質油中の有機可燃物を熱分解させる工程と、
該熱分解反応器からの熱分解生成物と重質油を分離する工程と、
該分離された熱分解生成物を精製する工程と、
該分離された重質油の少なくとも一部を前記溶解槽に戻す工程を有する、
液化油の製造方法。
[8] 有機可燃物を重質油に加熱溶解させる工程と、
該溶解槽からの有機可燃物溶解重質油中の有機可燃物を熱分解させる工程と、
該熱分解反応器からの熱分解生成物と重質油を分離する工程と、
該分離された熱分解生成物を精製する工程と、
該分離された重質油の少なくとも一部を前記溶解槽に戻す工程を有する、
有機可燃物の液化方法。
本発明によると、廃プラスチック等の有機可燃物を安価かつ安全に熱分解させることにより、液化油を製造するができる。
本発明では、廃プラスチック等の有機可燃物を、安価な高温重質油に軟化溶解させてから熱分解液化反応を起こさせるため、ハンドリングが容易で、安定運転が可能となる。また、塩化水素等の有害ガスが発生させずに液化燃料等に加工処理することができる。
本発明の一態様では、短時間の熱分解反応とすることにより、重質化反応の進行を回避するとともに反応器建設費を削減し、有機可燃物の液化に経済合理性をもたらすことができる。
本発明の一態様では、廃プラスチック等の分散溶解溶媒として、廃プラスチック等が容易に熱分解する温度域において安定で蒸気圧が低い重質油を用いることにより、常圧での熱分解が可能となり、耐圧性反応器を用いずに安定運転を実現することができ、製造装置の建設費を大幅に削減することができる。また、重質油は、安価で熱的に安定なため、運転費の削減も期待できる。さらに、接触熱分解等でよく用いられる水素や触媒等を用いなくとも、重質油と廃プラスチックとを反応させることが可能なため、付随する水素製造装置が不要となり、建設費の低減ができる。また、水素ガスおよびスラリーの昇圧や廃触媒の処理を不要にできることから、運転費の大幅な削減をはかることもできる。すなわち、水素供与性溶媒として熱分解ラジカル安定効果ひいては脱水素重縮合反応による重質化反応の抑制、コーキング反応による粘度上昇や閉塞の回避が期待できることから、安定操業が可能となり経済合理性をさらに向上させることができる。
本発明の一態様では、生成物の蒸留残渣を廃プラスチックの溶媒としてリサイクルするため、高温リサイクル油としてエネルギーロスが少なく、また新規追加する重質油の供給も低減できることから、経済性の向上が期待できる。
本発明の一態様では、触媒を用いないことにより、触媒費用や触媒分離費用を不要とすることができ、また、水素を用いないことにより、改質装置などの水素製造設備および水素化高圧反応設備を不要とすることができ、運転費、建設費の大幅低減を図ることができる。
実施の形態に係る液化油の製造装置及び方法を示すフロー図である。
本発明の液化油の製造装置及び本発明の有機可燃物の液化装置は、有機可燃物を重質油に加熱溶解させる溶解槽と、該溶解槽からの有機可燃物溶解重質油中の有機可燃物を熱分解させる熱分解反応器と、該熱分解反応器からの熱分解生成物と重質油を分離する重質油分離器と、該分離された熱分解生成物を精製する精製器と、該分離された重質油の少なくとも一部を前記溶解槽に戻すリサイクル管を有する。
また、本発明の液化油の製造方法及び本発明の有機可燃物の液化方法は、有機可燃物を重質油に加熱溶解させる工程と、該溶解槽からの有機可燃物溶解重質油中の有機可燃物を熱分解させる工程と、該熱分解反応器からの熱分解生成物と重質油を分離する工程と、該分離された熱分解生成物を精製する工程と、該分離された重質油の少なくとも一部を前記溶解槽に戻す工程を有する。
以下、図1を参照して実施の形態について更に詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る液化油の製造装置のフロー図である。なお、この実施の形態の液化油の製造装置は、有機可燃物の液化装置としても使用される。
この液化油の製造装置(有機可燃物の液化装置)は、有機可燃物を重質油に加熱溶解させる溶解槽1、有機可燃物が溶解した重質油中の有機可燃物を熱分解させる熱分解反応器2、熱分解反応器2からの熱分解生成物と重質油を分離する重質油分離器(図1の実施の形態では、気液分離器5及び蒸留塔3)、分離された熱分解生成物を精製する精製器(図示略)および分離された重質油の少なくとも一部を溶解槽1に戻す重質油リサイクル管4を有する。
そして、液化油の製造及び有機可燃物の液化は、溶解槽1にて、有機可燃物を重質油に加熱溶解させる工程が行われ、熱分解反応器2にて、溶解槽からの有機可燃物溶解重質油中の有機可燃物を熱分解させる工程が行われ、気液分離器5及び蒸留塔3にて、熱分解反応器からの熱分解生成物と重質油を分離する工程が行われ、精製器(図示略)にて分離された熱分解生成物を精製する工程が行われ、重質油リサイクル管4により、分離された重質油の少なくとも一部を前記溶解槽に戻す工程が行われる。
有機可燃物としては、プラスチックが好ましい。また、可燃性廃棄物が好ましく、廃プラスチックがさらに好ましい。有機可燃物としては、具体的には、例えば、生ごみ、バガス、廃材、稲わら、麦わら、牛糞、豚糞、鶏糞、椰子殻、豆かす、おがくず、おから、酒粕、紙、段ボール、ビート滓、活性汚泥、竹材、木材等のチップ、繊維、衣類等が挙げられる。有機可燃物が水分を含んでいる場合には、溶解槽1に投入する前に脱水処理しておくことが好ましい。
以下、各機器及び各工程の好ましい態様について説明する。
[溶解槽及び溶解工程]
溶解槽1には、有機可燃物と重質油を供給する。すなわち、溶解槽1は、溶解槽1に重質油を供給する供給口と有機可燃物を供給する供給口を備える。
有機可燃物は、通常、加熱された重質油に投入する。重質油の温度は、好ましくは100~300℃、特に好ましくは150~250℃に加温しておく。重質油は、新規重質油と後述するリサイクル重質油を混合して用いる。新規重質油としては、加熱により有機可燃物を溶解させることができれば特に限定されないが、原油の蒸留残渣を用いることが好ましく、アスファルトやコールタールピッチ等を用いることがさらに好ましい。
この重質油に廃プラスチック等の有機可燃物を供給する。溶解槽1は、攪拌機1aと加熱機(図示略)を備えていることが好ましく、攪拌機1aを用いて攪拌することにより、有機可燃物が分散、溶解される。加熱機としては、熱分解反応器2の廃熱を用いることができる。有機可燃物の供給量(乾燥重量)は、重質油の供給量(100重量部)に対し、10~35重量部とすることが好ましく、15~30重量部とすることがさらに好ましい。
溶解槽1に有機可燃物を供給して所定時間経過後に、不溶物をメッシュ等により濾過分離して除去することが好ましい。
溶解槽1の有機可燃物が溶解した重質油は、通常、スラリーの状態で、溶解槽1から直接もしくは別タンクに移送後に、高低差もしくはポンプ等を用いるなどして、熱分解反応器2に供給される。ポンプを用いる場合、その吐出圧力は10kg/cm以下とすることが好ましい。
[熱分解反応器及び熱分解工程]
この実施の形態では、有機可燃物が溶解した重質油がスラリーであり、熱分解反応器2として、管型反応器を用いた場合について説明するが、これに限定されない。
熱分解工程では、有機可燃物が溶解した重質油のスラリーは、有機可燃物が熱分解する温度に昇温される。熱分解は、350~550℃で行うことが好ましく、350~450℃で行うことが特に好ましい。有機可燃物は、加熱により、熱分解反応を起こし、低分子化され、各種ガスや液化成分に分解される。具体的には、例えば、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレンやそれ以上の留分などのガス成分、ナフサ相当、軽沸油分、中沸油分、重質油等の液状成分に分解される。
熱分解反応は、ラジカル反応であり、反応の深化により不均化分解へと進み、軽沸成分の生成と共に重質分が生成する可能性がある。そこで、重質化を防ぐために、低分子化した成分は反応系内から早急に取り出すことが好ましい。従って、スラリーを熱分解温度まで昇温させた後は、熱分解温度に0.5~10分間保持した後、そのまま気液分離器5に供給し、気液分離し、次いで蒸留分離を行うことが好ましい。これにより、熱分解反応時間を短くすることができ、重質化が防止される。
重質油は、比較的安定な物質であるが、徐々に脱水素重質化反応が進む。そして、重質化が極端に進むと、コーキング反応による固化や閉塞などの運転トラブルを生じる可能性がある。固化や閉塞が起こると稼働率の低下のみならず、装置復旧のために多大な労力が必要となり、最悪の場合には運転不能に陥る可能性もある。そこで、このようなコーキング反応を極力回避するために、熱分解反応と並列して起こる脱水素重質化反応が生じる400~500℃領域でのスラリーの滞留時間を短時間とすることが好ましい。具体的には、400~500℃領域での滞留時間を10分以下とすることが好ましく、廃プラスチック等の熱分解反応を選択的に進めることにより、副反応である重質油の脱水素重質化反応を抑制することが好ましい。
短時間で熱分解反応を行いやすいことから、廃プラスチック等の有機可燃物を溶解、分散させた重質油スラリーは、チューブ型(管型)の反応器を用いて急速加熱し、この反応器内で廃プラスチック等の有機可燃物の熱分解を行うことが好ましい。すなわち、熱分解反応は、管型反応器を用いて行うことが好ましい。また、スラリーを管内(チューブ内)に流通させ、管外(チューブ外)から加熱する構造の管型反応器を用いることがさらに好ましい。チューブを外側から加熱するための熱源(チューブ加熱機構)としては、一部抜き出した分解生成物残渣、或はメタン等の未利用炭化水素類などを燃料として用いることが好ましい。
管型反応器内の流速は、管壁のコーキング防止、スケールの析出防止、熱伝達性の向上のため乱流状態を維持することが望ましく、滞留時間と管径と処理量、発生する差圧から望ましい流速とする。
管型反応器の後段に別形式の反応器を設置してもよいが、建設費の節約、重質化の抑制及び運転の安定性の点からは、設置しない方が好ましい。
[重質油分離器及び重質油分離工程]
熱分解反応器で熱分解された生成物と重質油は、重質油分離器を用いて分離する。熱分解反応器2で得られたスラリーは、気液分離器5に供給し、気液分離し、次いで蒸留分離することが好ましい。これにより、生成物である軽沸化した燃料油等と、重質油とを分離することができる。
気液分離器5において、液相量を保持し、滞留時間を調整することにより、熱分解反応の深度を調整することもできる。
[精製器及び精製工程]
重質油分離器で分離された熱分解生成物は、精製器を用いて精製する。精製は、気液分離や蒸留により行うことができる。特に有機可燃物が窒素分や硫黄分を含む場合や燃料やケミカル原料と用いる場合には原料スペックから外れることが想定されるため、精製工程において除去することが好ましい。すなわち、熱分解工程からの液化油等を、必要に応じ脱窒素処理などの更なる分離精製を行い、メタンや液化ガスなどのガス成分やナフサ相当品や各種ケミカル原料、軽沸油、中沸油に相当する灯軽油、重油などの燃料油を得ることができる。
[重質油リサイクル管及びリサイクル工程]
廃プラスチック等のケミカルリサイクルをより安価で安定的に行うために、重質油分離工程からの重質油は、少なくともその一部をリサイクルさせる。すなわち、本発明の装置は、重質油リサイクル管を有し、蒸留残渣分の少なくとも一部をリサイクルさせる。
重質油をリサイクルする場合、不均化分解により重質化した成分や無機不溶分の蓄積を防止するため、重質油分離器からの重質油の一部を抜出して系外に排出すとともに、新しい重質油を補給して、溶解槽1に供給することが好ましい。ここで、重質油は、所定温度(100~300℃が好ましい)となるよう調整してから溶解槽に供給することが好ましい。
[その他の工程]
有機可燃物が塩化ビニール等の塩素系ポリマーを含む場合は、溶解槽において中和処理を行うことが好ましい。また、有機可燃物がナイロンなどのアミド系ポリマーのように窒素分を含む場合は、気液分離器5、蒸留塔3の後段処理として生成物の脱窒素処理を行うことが好ましい。このような処理を行うことにより、有機可燃物が多種多様なポリマーを含む廃プラスチックであっても事前分別する手間をかけることなく、また塩化水素発生による装置腐食等の懸念が解消され、処理費用の削減にもつながる。
また、溶解槽において、塩基性無機化合物を添加することにより中和してもよい。塩基性無機化合物としては、Na、K、Mg、Caなどの炭酸塩などを用いることができる。塩基性無機化合物を用いる場合は、蒸留塔ボトムの一部抜出しにおいて無機塩を除去することが好ましい。
1 溶解槽
2 熱分解反応器
3 蒸留塔
5 気液分離器

Claims (8)

  1. 有機可燃物を重質油に加熱溶解させる溶解槽と、
    該溶解槽からの有機可燃物溶解重質油中の有機可燃物を熱分解させる熱分解反応器と、
    該熱分解反応器からの熱分解生成物と重質油を分離する重質油分離器と、
    該重質油分離器で分離された熱分解生成物を精製する精製器と、
    該重質油分離器で分離された重質油の少なくとも一部を前記溶解槽に戻すリサイクル管を有する、液化油の製造装置。
  2. 前記有機可燃物がプラスチックである、請求項1に記載の液化油の製造装置。
  3. 前記有機可燃物が廃棄物である、請求項1又は2に記載の液化油の製造装置。
  4. 前記重質油が原油の蒸留残渣である、請求項1~3のいずれかに記載の液化油の製造装置。
  5. 前記熱分解反応器が管型反応器である、請求項1~4のいずれかに記載の液化油の製造装置。
  6. 有機可燃物を重質油に加熱溶解させる溶解槽と、
    該溶解槽からの有機可燃物溶解重質油中の有機可燃物を熱分解させる熱分解反応器と、
    該熱分解反応器からの熱分解生成物と重質油を分離する重質油分離器と、
    該重質油分離器で分離された熱分解生成物を精製する精製器と、
    該重質油分離器で分離された重質油の少なくとも一部を前記溶解槽に戻すリサイクル管を有する、
    有機可燃物の液化装置。
  7. 有機可燃物を重質油に加熱溶解させる工程と、
    該溶解槽からの有機可燃物溶解重質油中の有機可燃物を熱分解させる工程と、
    該熱分解反応器から熱分解生成物と重質油を分離する工程と、
    該分離された熱分解生成物を精製する工程と、
    該分離された重質油の少なくとも一部を前記溶解槽に戻す工程を有する、
    液化油の製造方法。
  8. 有機可燃物を重質油に加熱溶解させる工程と、
    該溶解槽からの有機可燃物溶解重質油中の有機可燃物を熱分解させる工程と、
    該熱分解反応器からの熱分解生成物と重質油を分離する工程と、
    該分離された熱分解生成物を精製する工程と、
    該分離された重質油の少なくとも一部を前記溶解槽に戻す工程を有する、
    有機可燃物の液化方法。
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