JP2023112825A - 歪補償回路、無線装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運用信号がバースト信号である場合において、安定して高精度の歪補償を行う。【解決手段】係数選択部152が更新歪補償係数、固定歪補償係数のどちらを選択するかは、方式制御部18によって設定される。方式制御部18は、入力信号のバースト長と、記憶部20に記憶されたバースト長閾値の大小関係とを比較し、バースト長がバースト長閾値以上である場合には更新歪補償係数を選択させ、バースト長がバースト長閾値未満である場合には固定歪補償係数を選択させる。固定歪補償係数は、帯域幅、周波数、変調方式だけでなく、バースト信号のデューティ比、電力増幅器100の温度に応じても定められる。【選択図】図1

Description

本発明は、無線装置等において用いられる電力増幅回路において、増幅時に発生する非線形性を補償する歪補償回路、及びこれが用いられた無線装置に関する。
移動体通信システム等における無線装置には、送信信号を大電力化するために、電力増幅器が用いられている。一般的には、電力増幅器の増幅特性は入力信号の電力が小さな(適正な範囲にある)間は高い直線性(線形性)を有するが、入力信号の電力が大きな(適正な範囲外である)場合には出力信号の電力が飽和するような飽和特性を有する。このため、特に入力信号の電力が大きな場合には、出力信号における入力信号からの波形の変化(非線形歪)が発生する。このため、一般的には出力信号を大電力化する場合には、非線形歪は大きくなり、出力信号の大電力化と非線形歪の抑制はトレードオフの関係となる。
このような出力信号における非線形歪を補償するために、歪補償回路が電力増幅器に接続される。歪補償の方式として、このような非線形歪を予め予測し、電力増幅器に入力する前の入力信号に、出力信号における非線形歪をキャンセルするような歪を入力信号に導入する処理を行い、これによって、出力信号における非線形歪を小さくするプリディストーション方式が知られている。
このようなプリディストーション方式において、出力信号における非線形歪を安定して補償するためには、入力信号に導入される歪を、出力信号における非線形歪が常に最小となるように適正にする必要がある。この際、プリディストーション方式の歪補償回路においては、入力信号に導入される歪はあるパラメータ(歪補償係数)によって設定される。しかしながら、このような非線形歪の状況は、入力信号の種類(周波数、変調方式、及び帯域幅等)や、電力増幅器の環境(温度等)に応じて変動する。このため、プリディストーション方式の歪補償回路においては、歪補償係数としては、入力信号の種類や、電力増幅器の環境等の条件に応じた最適な値が条件毎に予め定められ、記憶されている。この場合、現在の入力信号や電力増幅器の状態がどの条件に対応するかを認識した上で、適切な歪補償係数を選定して用いることができる(固定係数方式)。このような条件毎の歪補償係数は、この電力増幅器が用いられている装置(無線装置等)の本来の動作の際の入力信号となる運用信号とは異なり、歪補償係数の算出のためのみに用いられるダミーの入力信号であるテスト信号を用いて算出される。テスト信号は歪補償回路の内部で生成され、歪補償係数の算出が高精度で行われるような態様とされ、例えば連続波とされる。
一方、非線形歪の状況は、電力増幅器(無線装置等)の経時変化によっても変動する。このため、歪補償係数としては、最新のものを算出し、上記のように記憶された歪補償係数を更新して用いることが好ましい(更新方式)。この場合においては、テスト信号を電力増幅装置の入力信号とした場合には無線装置等の本来の使用が不可能であるため、テスト信号を用いる場合と比べると精度は劣るものの、実際の運用信号を歪補償係数の算出のために用いることもできる。これによって、歪補償係数の更新の頻度を高めることができる。
しかしながら、運用信号が、歪補償係数の算出には適さない態様である場合が存在する。例えば、運用信号が、一定の短時間(バースト長)の間のみ強度が維持されるバースト信号である場合があり、バースト長が短い場合には、入力信号の波形と出力信号の波形を比較する際のサンプル数が不十分となるために、歪補償係数を正確に算出することが困難となる。特許文献1に記載の技術においては、更新方式において入力信号(運用信号)がこのようなバースト信号であった場合において、その旨を適切に認識し、その場合に算出された歪補償係数を採用しない(最新の歪補償係数として更新しない)ことにより、より適正な歪補償を実現している。
特許文献2には、運用信号とテスト信号とが電力増幅器に対して入力する設定とされ、連続波であるテスト信号に対応した電力増幅器の出力信号から歪補償係数が算出される装置が記載されている。ここでは基本的に固定係数方式が採用され、歪補償係数の算出は、電力増幅器の温度を変えて温度毎に行われ、電力増幅器の温度が同一であっても、運用信号に適用される歪補償係数は、連続波信号の場合とバースト信号である場合には、異なるものが適用される。ただし、運用信号が電力増幅器に入力していない間において、テスト信号を電力増幅器に入力させて歪補償係数を算出し、更新することも可能である。テスト信号をバースト信号とすることも可能であり、バースト信号に対応した歪補償係数を算出することもできる。
また、前記のように、最適な歪補償係数の際の算出の精度は、バースト長が長い場合と比べて、バースト長が短い場合には、低くなる。このため、特許文献3には、上記のように適宜更新される歪補償係数(更新歪補償係数)と、このような更新は行われずに予め設定された歪補償係数(固定歪補償係数)とを、認識されたバースト長に応じて切り替えて用いる技術が記載されている。この際、この切り替えを行うためのバースト長に対する閾値も、適宜行われる更新歪補償係数の算出の際の精度に応じて、更新歪補償係数と同様に適宜更新される。これによって、更新歪補償係数の精度が高い場合にはこれが用いられると共に、バースト長が短く前記のように算出された歪補償係数の精度が低い場合には固定歪補償係数が用いられる。このため、固定歪補償係数を適正な値にすれば、バースト長によらずに歪補償を高精度で行わせることができる。すなわち、特許文献3に記載の技術によれば、特許文献1、2に記載の技術と比べて、より高精度で、様々なバースト長の信号に対して歪補償を行わせることができる。
国際公開公報2007/049474号 特開2005-33535号公報 国際公開公報2021/039256号
例えば、前記のような電力増幅器の温度は、単純にバースト長のみでは定まらず、様々な要因で複雑に変化する。このため、特許文献3に記載の技術においても、歪補償を高精度で行えない場合があった。
例えば、バースト信号を間欠的に繰り返し送信する場合には、バースト信号が発せられる区間(送信区間)と信号が発せられない区間(未送信区間)が交互に設けられた状態が、周期的に長期間にわたり繰り返される場合がある。この場合、バースト長が同一であっても、未送信区間が長い場合(デューティ比が小さな場合)と、未送信区間が短い場合(デューティ比が大きな場合)では、後者の場合は実質的には連続波(バースト長が極端に長い場合に対応)に近くなり、前者の場合よりも温度上昇が激しくなる。すなわち、同じバースト長であっても、繰り返しの状況によって電力増幅器の温度状況は大きく異なる。また、後者の動作が長時間にわたり繰り返される場合には、この温度は時間の進行によって徐々に上昇する。このため、単にバースト長だけから歪補償の条件を設定することは適切ではなく、特許文献3に記載の技術によっても、適正に歪補償が行われない場合があった。
このため、特に運用信号がバースト信号である場合において、安定して高精度の歪補償を行うことが望まれた。
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
本発明は、入力信号が電力増幅器により増幅された出力信号の波形における前記入力信号の波形からの相違である非線形歪を補償する歪を前記入力信号に付与する歪補償を行い、前記歪の態様が前記入力信号の態様に応じて選択された歪補償係数によって設定されるプリディストーション方式の歪補償回路であって、バースト信号が間欠的に繰り返されて前記入力信号が構成され、前記入力信号の態様に応じて設定された複数の歪補償係数を記憶する記憶部と、前記電力増幅器の温度を検知する温度通知部と、前記入力信号の態様を認識して前記記憶部に記憶された複数の前記歪補償係数の中から一つの前記歪補償係数を選択する制御部と、前記制御部により選択された前記歪補償係数に応じた前記歪を前記入力信号に付与する歪付与部と、を具備し、前記バースト信号のデューティ比及び前記温度に応じて前記歪補償係数が設定され、前記制御部は、前記入力信号における前記デューティ比及び前記温度に応じて前記歪補償係数を選択する。
本発明において、前記歪補償係数として、前記入力信号におけるバースト長に応じて、更新歪補償係数と、固定歪補償係数の2種類が設定され、前記記憶部は、複数の前記更新歪補償係数、複数の前記固定歪係数、及び、前記更新歪補償係数と前記固定歪補償係数のどちらを前記歪補償係数として選択するかを定める閾値となる前記バースト長であるバースト長閾値を記憶し、前記入力信号における前記デューティ比及び前記温度に応じて前記固定歪補償係数が設定され、前記制御部は、前記入力信号における前記バースト長が前記バースト長閾値以上である場合には、当該バースト長に対応した前記更新歪補償係数を前記歪補償係数として選択し、前記入力信号における前記バースト長が前記バースト長閾値未満である場合には、前記入力信号のデューティ比及び前記温度に応じた前記固定歪補償係数を前記歪補償係数として選択してもよい。
本発明において、前記バースト信号のフレーム構成において、前記入力信号及び前記出力信号で伝送すべき対象となるデータが転送されるデータ区間と、前記データの伝送に伴う前記データ以外の情報が転送される非データ区間と、が設けられ、前記制御部は、前記電力増幅器の前記温度が認識された時点が前記バースト信号における前記非データ区間に対応する場合において、当該温度を前記データ区間における値に補正して前記固定歪補償係数の選択の際に用いてもよい。
本発明において、前記入力信号における前記バースト長を認識し、前記入力信号と、対応する前記出力信号との比較により前記歪補償係数を算出し、かつ当該歪補償係数の算出の精度を認識し、当該精度が高いと認識された場合において、算出された前記歪補償係数を前記バースト長と対応付けて前記更新歪補償係数として記憶部において更新させ、前記制御部は、前記入力信号に応じて前記係数生成部において前記歪補償係数を算出した際の前記精度と、当該入力信号の前記バースト長に応じて、前記記憶部に記憶された前記バースト長閾値を更新させてもよい。
また、本発明の無線装置は、前記歪補償回路と、前記電力増幅器と、を具備する。
本発明によると、運用信号がバースト信号である場合において、安定して高精度の歪補償を行うことができる。
実施の形態に係る歪補償回路が用いられた無線装置の構成を示す図である。 使用される運用信号、テスト信号のフレーム構成を模式的に示す図である。 実施の形態に係る歪補償回路において記憶部で記憶される更新歪補償係数、バースト長閾値のフォーマットを模式的に示す図である。 実施の形態に係る歪補償回路において記憶部で記憶される固定歪補償係数のフォーマットを模式的に示す図である。 実施の形態に係る歪補償回路における、歪補償の動作を示すフローチャートである。 実施の形態に係る歪補償回路における、運用信号を用いた更新歪補償係数、バースト長閾値の更新の動作を示すフローチャートである。 実施の形態に係る歪補償回路における、テスト信号を用いた更新歪補償係数の更新の動作を示すフローチャートである。 実施の形態に係る歪補償回路における、固定歪補償係数の設定の動作を示すフローチャートである。 入力信号におけるデューティ比が異なる2種類の場合における電力増幅器の温度の時間的変化の状況を模式的に示す図である。 単一のバースト信号が入力した場合における電力増幅器の温度の時間的変化の状況を模式的に示す図である。
次に、本発明を実施するための形態を図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る歪補償回路1が用いられた無線装置の構成を示すブロック図である。この歪補償回路1は、電力増幅器100に接続されて用いられ、この電力増幅器100における非線形歪を補償するために用いられる。実際にはこの歪補償回路1と電力増幅器100が組み合わされて無線装置に用いられる。この無線装置は、この電力増幅器100によって運用信号を増幅して外部に送信する。図1においては、この無線装置における電力増幅器100と歪補償回路1に関わる部分のみが記載され、他の部分についての記載は省略されている。また、後述するように、この歪補償回路1における多くの構成要素は、特許文献3に記載されたものと共通であるため、このような共通の構成要素についての説明は以下では一部簡略化されているが、その内容は特許文献3と同様である。
ここで、この歪補償回路1は、プリディストーション方式で動作するため、電力増幅器100で発生する非線形歪を補償するための歪補償係数を用いた歪が電力増幅器100に入力する前の運用信号に付与される。一方で、この歪補償係数を更新するためのみに設定された、予め態様が制御されたテスト信号がテスト信号生成部11によって生成される。テスト信号においては、周波数、帯域幅、変調方式、バースト長、デューティ比、繰り返し数等が制御されるため、このテスト信号を用いてこれらの各条件に対応した歪補償係数が算出される。運用信号とテスト信号は、セレクタ12に入力し、これらのうちの一方が電力増幅器100側への入力信号となる。この選択は図1の範囲外においてユーザ操作によって発せられる切替操作用信号によって設定される。
この入力信号は、ピーク電力抑制部13でPAPR(ピーク対平均電力比)が適正な範囲に保たれるようにスムージングされてから、送信電力制御部14でその送信電力が一定の範囲となるように調整されて、歪補償を行う歪補償演算部15に入力する。
歪補償演算部15で付与される歪の歪補償係数としては、特許文献3に記載の技術と同様に、更新歪補償係数と固定歪補償係数の2種類があり、これらは、帯域幅、周波数、変調方式、バースト長、デューティ比等に応じて、ハードディスクや不揮発性メモリで構成された記憶部20に記憶されている。後述するように、更新歪補償係数はバースト長が長い場合(連続波に近い場合)において用いられ、固定歪補償係数はバースト長が短い場合において用いられる。入力信号に対する歪の付与は、歪補償演算部15における係数乗算部(歪付与部)151によって、係数選択部152で選択された更新歪補償係数、固定歪補償係数のうちの一方によって行われる。この点については特許文献3に記載の技術と同様である。
更新歪補償係数は、この歪補償回路1(無線装置)の動作に応じて入力信号が電力増幅器100に入力した際の出力信号から係数生成部153が演算することによって算出される。この際には、歪補償演算部15への入力信号であるFF(フィードフォワード)信号と、これに対応した電力増幅器100からの出力信号であるFB(フィードバック)信号とを比較し、両者の波形における代表点の抽出、データ補完や各種の統計処理を用いて、歪補償係数が算出される。この際、係数生成部153は、算出された歪補償係数の精度(推定誤差)も数値化して認識することができる。バースト信号が繰り返し発せられる場合、時間的に、バースト信号が発せられる送信区間と(バースト)信号が全く発せられない未送信区間が交互に存在する。係数生成部153が上記の処理を行うに際しては、オフセット成分補正部16が、入力信号バースト信号である場合の未送信期間中のデータによりFB信号中のオフセット成分を算出して予めこれを補正する。
また、ここでは、入力信号がバースト信号である場合に対応して、バースト信号におけるバースト区間を認識するデータキャプチャ制御部17が設けられる。データキャプチャ制御部17において、FF信号のバーストの先頭と終端のタイミングはFF信号バッファ部171で、FB信号のバーストの先頭と終端のタイミングはFB信号バッファ部172で、それぞれ認識され、歪補償演算部15における係数生成部153は、上記の処理に際してこれらのタイミングを認識する。こうした構成によって、算出された歪補償係数(更新歪補償係数)は、帯域幅、周波数、変調方式、バースト長、デューティ比等に応じて記憶部20に記憶される。
ただし、係数生成部153は、上記のような歪補償係数の算出に際して、その精度が高くないと認識された場合においては、記憶部20における更新歪補償係数の更新を行わせず、この精度が高い場合においてのみこの更新を行わせる。このように精度が高くない場合はバースト長が短い場合に対応し、精度が高い場合はバースト長が長い場合(連続波に近い場合)に対応する。更新歪補償係数については、特許文献3に記載の技術と同様である。
固定歪補償係数は、帯域幅、周波数、変調方式、バースト長、デューティ比、電力増幅器100の温度等に応じて記憶部20に記憶される。ただし、固定歪補償係数は更新歪補償係数とは異なり、予め設定されてからは、少なくとも歪補償回路1(無線装置)の動作に応じては、更新されない。この点についても特許文献3に記載の技術と同様である。このため、上記のように更新歪補償係数の精度が低い場合において、更新歪補償係数に代わり、特にバースト長が短い場合において更新歪補償係数よりも精度の高い係数を求め、これを固定歪補償係数とすることができる。ただし、後述するように、更新歪補償係数と同様に固定歪補償係数を歪補償回路1によって算出させて記憶させる、あるいは特定の条件下で算出された更新歪補償係数を固定歪補償係数として記憶させることができる。
一般的に、非線形歪の状況(あるいはこれに対応した歪補償係数)は、電力増幅器の環境(温度等)や経時変化によって変動する。この観点からは、歪補償のためには更新歪補償係数を用いることが好ましい。このため、例えば入力信号(運用信号)が連続波である場合には、最新の更新歪補償係数を用いた歪補償を歪補償演算部15で行うことによって、非線形歪の補償を適正に行わせることができる。
しかしながら、特に入力信号のバースト長が短い場合には、これを用いて歪補償係数を前記のように算出する際の精度は高くない。すなわち、入力信号のバースト長が短い場合には、これを用いて算出された更新歪補償係数は適正ではない場合が多い。このため、入力信号のバースト長が短い場合には、特にバースト長が短い場合に適する固定歪補償係数を予め別途算出し、これを用いることが好ましい。また、バースト長の短い入力信号を用いて算出された精度の低い歪補償係数はその後の歪補償で使用しないことが好ましい。このための判断の指標として、前記のような係数生成部153が歪補償係数を算出した際の精度を用いることができる。すなわち、この精度(推定誤差)を数値化し、推定誤差がある一定値を超えた場合にはこの歪補償係数を使用しない(更新歪補償係数として更新しない)ような設定とすることができる。
一方、バースト長が短い場合に使用される固定歪補償係数は、上記のように動作に応じては更新されず、固定歪補償係数は少なくとも更新歪補償係数のように歪補償回路1(無線装置)の動作に応じては、更新されない。ただし、後述するように、ユーザの操作等によって適宜更新することは可能である。
上記のように、係数選択部152が更新歪補償係数、固定歪補償係数のどちらを選択するかは、方式制御部(制御部)18によって設定される。方式制御部18は、入力信号のバースト長と、記憶部20に記憶された、この入力信号の態様に対応したバースト長閾値(図3)の大小関係とを比較し、バースト長がバースト長閾値以上である場合には更新歪補償係数を選択させ、バースト長がバースト長閾値未満である場合には固定歪補償係数を選択させる。ここで、前記の更新歪補償係数と同様に、このバースト長閾値の値も、この歪補償回路1(無線装置)の動作に応じて更新される。特に、この更新に際しては、係数生成部153によって更新歪補償係数が算出される際の精度を参照することができる。この点についても、特許文献3に記載の技術と同様である。
ただし、特許文献3に記載の技術においては、使用される更新歪補償係数、固定歪補償係数は、共に、運用信号の変調方式、帯域幅、周波数、バースト長をパラメータとし、これらの各条件毎に定められたのに対し、この歪補償回路1で用いられる固定歪補償係数においては、これらに加えて、電力増幅器100の温度とデューティ比もパラメータとして用いられる。このため、図1において、電力増幅器100の温度を測定する温度通知部19が設けられる。温度通知部19は、電力増幅器100の温度を実測する温度検出部191と、温度の変化に応じた切替が適正に行われるように、実測された温度の値に対して平均化等のフィルタリング処理を行う温度演算部192を具備する。
仮に温度通知部19で認識された温度と電力増幅器100で発生する非線形歪の状況とが1対1に対応するなら、この温度のみに応じて歪補償係数を選択すれば、理想的な歪補償が可能である。しかしながら、実際には、温度通知部19(温度検出部191)で実測される温度、あるいは温度演算部192から出力された温度は、電力増幅器100の一部の温度に対応し、この温度と電力増幅器100で発生する非線形歪の状況は必ずしも1対1には対応しない。しかしながら、この温度と非線形歪の状況の間に相関があることは明らかであるため、この歪補償回路1においては、温度通知部19から通知された温度は、他のパラメータと共に、歪補償係数の選択のために用いられる。
このような上記の温度以外のパラメータとしては、特許文献3に記載の技術と同様に、変調方式、帯域幅、周波数、バースト長がある。また、後述するように、バースト信号が間欠的に発せられる場合には、そのデューティ比もこのパラメータに含まれる。これらのパラメータの値(あるいは変調方式に関する情報)については、入力信号(運用信号、テスト信号)中にヘッダとして含ませることができる。図2は、ここで使用される運用信号、テスト信号のフレーム構成を模式的に示す図である。ここでは、同期のために用いられるプリアンブルPの後において、本来伝送されるべき情報を送信するデータDのフレームの前に、変調方式、帯域幅、周波数、バースト長、デューティ比を情報として含むヘッダHを設けることができる。テスト信号生成部11は、テスト信号におけるヘッダHを適正に設定する。
図1における方式制御部18は、このような入力信号(運用信号、テスト信号)における各種の情報を認識する。まず、フレーム情報制御部181は、現在入力信号が認められる場合において、現在入力している信号が図2におけるプリアンブルP、ヘッダH、データDのいずれであるかを認識する。ここで、プリアンブルP、ヘッダH、データDであると認識された場合には、例えば送信フレーム種別信号として、1、2、3が設定される。また、バースト信号が間欠的に送信される場合、未送信区間では送信フレーム種別信号は0に設定される。
また、フレーム情報制御部181は、入力信号のヘッダHを認識することにより、図2におけるヘッダHで指定された変調方式、帯域幅、周波数、バースト長、デューティ比を認識することができる。方式選択部182は、ここでヘッダHから認識した情報に加え、温度通知部19によって認識された温度を用いて、係数選択部152を制御する。この動作については後述する。
係数更新判定部183は、前記のような更新歪補償係数の更新(記憶部20への記憶)のタイミングを、ユーザ操作によって認識し、通知する。ユーザは、これによって最新の更新歪補償係数が得られたタイミングを認識することができる。この際、前記のように更新歪補償係数は帯域幅、周波数、変調方式、バースト長の条件毎に得られるが、このタイミングもこの条件毎に認識することができる。
更新不可検出部184は、入力した入力信号に対して、前記のような係数生成部153における算出の精度が高くなかった(推定誤差が大きかった)ために更新歪補償係数の更新ができなかったか否かを認識をする。特許文献3に記載されたように、特にバースト長が短い場合において、このような推定誤差が大きくなる。方式選択閾値生成部185は、この更新ができなかった入力信号のバースト長をフレーム情報制御部181によって認識することができる。方式選択閾値生成部185は、このように更新ができなかった場合のバースト長を考慮して、記憶部20に記憶されたバースト長閾値を更新することができる。
例えば、バースト長閾値の値として20μsecが記憶部20に記憶されていた場合において、方式選択閾値生成部185が新たにバースト長が21μsecの場合に更新歪補償係数の更新ができなかったことを認識した場合、バースト長閾値の値を20μsecから22μsec(21μsec+α)に更新することができる。これによって、バースト長が21μsecの場合において、これよりも前は更新歪補償係数が用いられたのに対し、このよりも後では固定歪補償係数が用いられる。閾値更新判定部186は、前記の係数更新判定部183と同様に、このようなバースト長閾値の更新(記憶部20への記憶)のタイミングを、ユーザ操作によって認識し、通知する。
前記のように、バースト長が短い場合に適用される固定歪補償係数については、動作に応じての更新は行われない。一方で、その代わりに、バースト長閾値については、動作に応じた更新が行われる。このため、経時変化があっても、更新歪補償係数が適用されるバースト長の範囲は適正に保たれ、歪補償の対応が、より適正となる。この点についても、特許文献3に記載の技術と同様である。
図3は、ここで記憶部20で記憶、更新される更新歪補償係数、バースト長閾値のフォーマットを模式的に示す。ここでは、帯域幅としてA1、その中での周波数としてB1、B2、更にこの各周波数における変調方式としてC1、C2、C3があるものとしており、各条件に対応してバースト長閾値と更新歪補償係数がそれぞれ設定されており、各値は各々の項目ごとに更新が行われる。ここで、aaa、bbb等は実際の歪補償係数(更新歪補償係数)となる数値であり、これらは単一の数値ではなく数値列や行列であってもよい。図示は省略されているが、帯域幅A2についても同様であり、更に多くの帯域幅についても同様に設定が行われる。方式選択部182は、入力信号において認識された図3における各条件に対応したバースト長閾値を認識し、入力信号のバースト長がこのバースト長閾値以上である場合には、係数乗算部151で用いる歪補償係数として更新歪補償係数を用いる方式(更新方式)を設定する。この場合、係数選択部152は、この条件に対応した更新歪補償係数を選択して、係数乗算部151に出力する。上記の更新歪補償係数の内容、及びこの動作は、特許文献3に記載されたものと同様である。
特許文献3に記載の技術においては、バースト長がバースト長閾値よりも短い場合に用いられる固定歪補償係数も、図3に示された更新歪補償係数と同様に、帯域幅、周波数、変調方式毎に定められた。これに対して、この方式制御部18が用いる固定歪補償係数は、帯域幅、周波数、変調方式だけでなく、バースト信号のデューティ比、電力増幅器100の温度に応じても定められる。図4は、このような固定歪補償係数のフォーマットを図3と同様に示す。ここでは、帯域幅A1の場合においてのみ記載されているが、他の帯域幅についても同様である。
ここでは、周波数B1、B2毎に変調方式C1、C2、C3が設定され、更にその中でバースト信号のデューティ比D1、D2、D3・・・(D1<D2<D3<・・・)が設定される。また、前記の温度としてT1、T2、T3・・・(T1<T2<T3<・・・)が設定される。この場合におけるデューティ比D1の項目は、0<デューティ比≦D1の場合を示し、D2の項目はD1<デューティ比≦D2の場合を示す(D3以降についても同様)。同様に、温度T1の項目は、室温<温度≦T1の場合を示し、温度T2の項目はT1<温度≦T2の場合を示す(T3以降についても同様)。A、AA、A1等は実際には歪補償係数(固定歪補償係数)となる数値であり、更新歪補償係数と同様に、数値列や行列であってもよい。このため、図4において、例えば周波数B1、変調方式C2、D1<デューティ比≦D2、T1<温度≦T2の場合の固定歪補償係数は、BB1となる。
図4中の各数値は、予め実験等によって設定することができるが、後述するように、特定の条件下で更新歪補償係数として係数生成部153によって算出された値を用いることもできる。また、入力信号の帯域幅、周波数、変調方式、デューティ比、現在の電力増幅器100の温度は、前記のように認識することができる。このため、バースト長が短い場合において、係数選択部152は、認識されたこれらの情報を用いて、図4の中から使用すべき固定歪補償係数を特定することができる。
以下に、この歪補償装置1の動作の例について例示する。この歪補償装置1の動作には、大別すると、(1)運用信号に対して非線形歪を補償するための歪を歪補償係数を選択して付与する動作、(2)更新歪補償係数、バースト長閾値を更新する動作、(3)固定歪補償係数を設定・記憶させる動作、の3種類がある。
まず、(1)運用信号に対して非線形歪を補償するための歪を歪補償係数を選択して付与する動作、について説明する。図5は、この動作を示すフローチャートである。
図5において、運用信号が入力した場合、方式選択部182は、フレーム情報制御部181を介して、運用信号の入力を認識し(S11)、この運用信号がバースト信号である場合には、図2におけるヘッダHの内容(帯域、周波数、変調方式、バースト長、デューティ比)を認識し(S12)、図3において、対応する帯域、周波数、変調方式の最新のバースト長閾値を認識し、このバースト長閾値と、認識されたバースト長の大小関係を判定する(S13)。
ここで、方式選択部182は、バースト長がバースト長閾値未満であった場合(S13:Yes)には、固定歪補償係数を用いた歪補償を行う方式(固定方式)を選択する(S14)。この場合、係数選択部152は、温度通知部19によって電力増幅器100の温度を認識し(S15)、図4において、ヘッダHから認識された(S12)デューティ比と、この温度に対応した固定歪補償係数を読み出し(S16)、これを歪補償に用いることとする。
方式選択部182は、バースト長がバースト長閾値以上であった場合(S13:No)には、方式選択部182は、更新歪補償係数を用いた歪補償を行う方式(更新方式)を選択する(S17)。この場合、係数選択部152は、図3において、先に用いたバースト長閾値に対応した現時点での更新歪補償係数(図3)を読み出し(S18)、これを歪補償に用いることとする。
その後、読み出された固定歪補償係数(S16)、更新歪補償係数(S18)のいずれかを用いて、係数乗算部151は、この運用信号に対して歪を付与する(S19)。以上によって、プリディストーション方式での歪補償が行われる。
次に、(2)更新歪補償係数、バースト長閾値を更新する動作について説明する。前記のように、この場合には、運用信号を用いる場合とテスト信号を用いる場合の2種類がある。図6は、運用信号を用いて更新歪補償係数、バースト長閾値を更新するための動作のフローチャートである。実際には1回の運用信号の入力の際にこれらの動作は前後して行われるが、どちらを前後としてもよく、可能な範囲で並列して行ってもよい。
図6において、歪補償演算部15は、運用信号(FF信号)が入力し、かつ電力増幅器100からFB信号が発せられたことを認識し(S21)、係数生成部153は、前記のようにこのFF信号、FB信号に対応する歪補償係数及びその算出の精度(推定誤差)を認識する。係数生成部153は、前記のようにこの精度が高いと認識された場合(S22:Yes)には、この運用信号の条件に対応して記憶部20で記憶された更新歪補償係数を、ここで算出された歪補償係数に更新する(S23)。一方、この精度が低いと認識された場合(S22:No)には、更新歪補償係数の更新は行われない。
その後、方式選択閾値生成部185は、フレーム情報制御部181によって、この運用信号のバースト長を認識し(S24)、かつ更新不可検出部184によって、この運用信号によって更新歪補償係数の更新ができたか否か(歪補償係数の算出の精度が高かったか否か)を認識することができる。ここで、方式選択閾値生成部185は、認識されたバースト長とこの時点でのバースト長閾値との大小関係が、更新歪補償係数の更新の可否の結果と矛盾していないかを認識することができる(S25)。すなわち、例えば、バースト長がバースト長閾値以上であったにも関わらず更新ができなかった場合、バースト長がバースト長閾値未満であったにも関わらず更新ができた場合には、現時点でのバースト長閾値は適正でないと認識できるため、この結果に基づいて、バースト長閾値を更新する(S26)。この動作は、特許文献3におけるものと同様である。
一方、図7は、テスト信号を用いて更新歪補償係数、バースト長閾値を更新するための動作のフローチャートである。この動作は、この無線装置が休止状態(運用信号を増幅して出力させていない状態)において行われる。ここでは、前記のバースト長閾値の場合と同様に、ユーザがこの更新歪補償係数を更新する場合も含めて記載されている。このため、まず、ユーザ自身がこの更新を行うか否かが問い合わせられ(S31)、ユーザが行う場合(S31:Yes)には、ユーザによって前記の場合と同様に更新が行われる(S32)。一方、テスト信号を用いて自動的に更新を行う場合に(S31:No)には、使用するテスト信号のフレーム制御(図2のヘッダHに含まれる情報に対応したテスト信号の態様の設定)をユーザが行うか否かが問い合わせられる(S33)。フレーム制御をユーザが行う場合(S33:Yes)には、フレーム情報制御部181は、ユーザによって指定された条件でフレーム条件を決定し(S34)、これによってヘッダHを含みこの条件に従ったテスト信号をテスト信号生成部11に生成させる(S35)。一方、フレーム制御をユーザが行わない場合(S33:No)には、フレーム情報制御部181が、所定の条件によって自動的にこのフレーム制御を行った(S36)上で、同様にテスト信号をテスト信号生成部11に生成させる(S35)。
その後、このテスト信号を入力信号として歪補償係数を算出し、その精度に基づいて更新歪補償係数の更新の可否を判断する動作は、図6におけるS22と同様であり、更新する場合には、前記と同様に更新歪補償係数の更新が行われる(S32)。この動作も、特許文献3におけるものと同様である。
次に、(3)固定歪補償係数を設定・記憶させる動作について説明する。固定歪補償係数は、ユーザが図4のように条件毎に求めて記憶部20に記憶させることができるが、更新歪補償係数と同様に、一定の条件下で歪補償装置1自身に算出させた値を固定歪補償係数として記憶させることもできる。ここでは、この場合の動作について説明する。この動作は、入力信号が運用信号、テスト信号のどちらであっても同様に行うことができる。前記のように、バースト長が短い場合には、これを用いて歪補償係数を算出する際のサンプル長が短くなるために、算出された更新歪補償係数の精度は低くなり、これを用いることは好ましくない。しかしながら、一定のデューティ比で短いバースト長の入力信号が繰り返される場合には、サンプル長は必ずしも短くならず、この場合にはこの入力信号を用いて歪補償係数を算出する際の精度も低くはならない。
このため、例えば、バースト長が図3におけるバースト長閾値と等しかった場合において算出された歪補償係数(更新歪補償係数)を、これよりバースト長が短い場合において用いる歪補償係数としても、大きな誤差はないと推定される。この際、デューティ比と共に、実際にこの入力信号が入力した際の電力増幅器100の温度を対応付けることによって、特にこの歪補償係数の適正性を高めることができる。
図8は、この動作を示すフローチャートである。この動作は、更新歪補償係数の更新(図6)とは異なり、ユーザの操作によって適宜、特に初期設定時において行われる。ここでは、図5の動作と同様に、方式選択部182は、フレーム情報制御部181を介して、入力信号の入力を認識し(S41)、図2におけるヘッダHの内容(帯域、周波数、変調方式、バースト長、デューティ比)を認識する(S42)。その後、歪補償演算部15は、図6の動作によって更新歪補償係数の更新を行わせる(S43)。すなわち、これによって、この入力信号を用いて新たな更新歪補償係数が算出され、場合によってはバースト長閾値も更新される。
次に、方式選択部182は、ヘッダHから認識された(S42)バースト長と、図3においてこのヘッダHにおける他の条件に対応したバースト長閾値が等しいか否かを判定する(S44)。ここで、これらが等しいとは、これらが厳密に等しいことを意味せず、バースト長とバースト長閾値の差の絶対値が一定の範囲内にあることを意味する。
バースト長とバースト長閾値が等しい場合(S44:Yes)には、係数生成部153は、温度通知部19によって電力増幅器100の温度を認識し(S45)、図4における、この入力信号の帯域、周波数、変調方式、バースト長、デューティ比と、この温度に対応した固定歪補償係数の値を、更新された更新歪補償係数(S43)の値とする(S46)。これによって、固定歪補償係数の値が入力される。
このように、特にバースト長が短い場合に電力増幅器100の温度とデューティ比を用いて固定歪補償係数を選択することによって、より適正な歪補償が可能となる点について説明する。
バースト信号が電力増幅器100に入力した場合には、バースト信号によらず電力増幅器100の温度は上昇する。ただし、バースト長が十分に長い場合(連続波に近い場合)には、この温度上昇は一定時間経過後には飽和して一定となり、少なくともこの状態では非線形歪の状況は一定となると考えられる。ただし、前記のようにこの状況には長期的な経時変化があるため、最新の状況がフィードバックされた更新歪補償係数を用いることが好ましく、これによって歪補償を適正に行うことができる。
一方、バースト長が短い場合には、上記のように温度が上昇して飽和する前に送信区間が終了し、その後の未送信区間で温度が低下するという動作が、バースト信号の入力の度に繰り返される。図9は、このようにバースト長が短く、かつバースト長が同じでありデューティ比が異なる2種類の場合における電力増幅器100の温度変化を模式的に示す図であり、横軸は時間の進行を示し、下段はバースト信号の発信の状況を示し、上段がこれに対応した電力増幅器100の温度変化を示す。図9(a)、(b)の各々の下段において、ハッチング部分が送信区間(バースト信号)を示し、ハッチング部分以外が未送信区間となっている。図9(a)においては、デューティ比が約0.1(送信区間長:未送信区間長≒1:9)の場合が、図9(b)においては、デューティ比が約0.9(送信区間長:未送信区間長≒9:1)の場合が示されている。
図9(a)のようにデューティ比が小さな場合には、バースト信号の入力に際し、温度は、初期温度(室温)を基準として、一つのバースト信号(送信区間)の開始時から徐々に上昇し、その終了時に温度が極大(最大)となった後で温度が再び初期温度となるまで徐々に下降する。この際の温度の最大値は、前記のような連続波の場合における温度の最大値(飽和値)よりも低い。この動作は、バースト信号が入力する度に繰り返され、次のバースト信号が入力した場合における温度変化の状況も同様となる。このため、この場合の電力増幅器100の温度の時間経過は、図9(a)上側に示されるとおりとなり、バースト信号の周期と同様に、温度も周期的に変化する。
一方、図9(b)のようにデューティ比が大きな場合には、一つのバースト信号によって温度が上昇し、その終了時に温度が極大となった後で温度が下降することは図9(a)の場合と同様であるが、このバースト信号の終了後に温度が初期温度まで下がりきらないうちに、次のバースト信号が入力して再び温度が上昇するという動作が繰り返される。このため、次のバースト信号の開始時における温度はその前のバースト信号の開始時における温度よりも高くなり、その後の温度も、前のバースト信号における対応する時点と比べて高くなる。図9(b)においては、一つ目のサイクルの終了時(2つ目のサイクルの開始時)における温度がTaであり、最後のサイクルの終了時における温度がTbとなり、Tb>Taとなる。この動作は、バースト信号が入力する度に繰り返される。このため、一つのバースト信号に対応した極大(最大)温度も、バースト信号の入力の度に徐々に高くなり、この場合の電力増幅器100の温度の時間経過は、図9(b)上段に示されるとおりとなる。なお、この動作のサイクル数が十分に大きくなった場合(図9(b)における右側の図示の範囲外)では、連続波の場合と同様に、この温度上昇は飽和する。
このため、このようにバースト長が短く、一つの送信区間の間における温度上昇が小さな場合には、電力増幅器100の温度上昇の状況は、バースト長が同一であっても、デューティ比によって大きく異なる。前記のように、温度通知部19で認識される温度と非線形歪の状況は1対1には対応しないが、この温度と非線形歪の状況に相関があることは明らかであるため、この温度とデューティ比とを組み合わせて、歪補償係数を選択するための指針とすることによって、より適正な歪補償が可能となる。
また、図10は、図9に示された温度変化の状況を時間的に拡大して1サイクル内において模式的に示す図である。図10において、下段は図9と同様にバースト信号の時間経過を示し、中段はこれに対応したフレーム構成(図2)を示し、上段はこの場合における温度変化を模式的に示す。ここで、前記の通り、このフレーム構成においては、図10に示されるように送信フレーム種別信号(0~3)が認識される。
図10において、本来送信すべき情報が転送されるデータDの区間(送信フレーム種別信号=3:データ区間)においては、入力信号を構成するがデータDとは異なるプリアンブルPとヘッダHの区間((送信フレーム種別信号=1、2:非データ区間)よりも、歪補償を特に高精度で行う必要がある。一方、温度通知部19(温度演算部192)から出力される温度は、特に温度演算部192で温度の測定結果にフィルタリング処理等が行われる場合には、この送信フレームのうちのどの時点における温度に対応するかは不定となり、データ区間における温度となるとは限らない。
この場合において、例えば図10の温度変化の特性を、バースト長やデューティ比毎に予め記憶部20に記憶させていれば、温度演算部192は、この特性を認識することができる。この場合、算出された温度が前記の非データ区間におけるものであると認識された場合には、この温度から推定されるその後のデータ区間における温度(>プリアンブルPの区間における温度)を推定することができ、このように推定された温度を、係数選択部152が歪補償係数の選択動作において用いる温度(図5のS15)とすることができる。これによって、特にデータ区間における歪補償を特に高精度で行うことができる。すなわち、フレーム構成と温度を認識することによって、特にデータDの信号に対する歪補償を高精度で行うことができる。
なお、前記の例では、記憶部20で記憶される歪補償係数として、バースト長が長い場合に用いられる更新歪補償係数と、バースト長が短い場合に用いられる固定歪補償係数の2種類が設けられ、固定歪補償係数のみがデューティ比と電力増幅器100の温度毎に設定された。しかしながら、更に更新歪補償係数も、デューティ比とこの温度毎に設定してもよい。この場合においては、歪補償の精度を更に高めることができる。
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
1 歪補償回路
11 テスト信号生成部
12 セレクタ
13 ピーク電力抑制部
14 送信電力制御部
15 歪補償演算部
16 オフセット成分補正部
17 データキャプチャ制御部
18 方式制御部(制御部)
19 温度通知部
20 記憶部
100 電力増幅器
151 係数乗算部(歪付与部)
152 係数選択部
153 係数生成部
171 FF信号バッファ部
172 FB信号バッファ部
181 フレーム情報制御部
182 方式選択部
183 係数更新判定部
184 更新不可検出部
185 方式選択閾値生成部
186 閾値更新判定部
191 温度検出部
192 温度演算部
D データ
H ヘッダ
P プリアンブル

Claims (5)

  1. 入力信号が電力増幅器により増幅された出力信号の波形における前記入力信号の波形からの相違である非線形歪を補償する歪を前記入力信号に付与する歪補償を行い、前記歪の態様が前記入力信号の態様に応じて選択された歪補償係数によって設定されるプリディストーション方式の歪補償回路であって、
    バースト信号が間欠的に繰り返されて前記入力信号が構成され、
    前記入力信号の態様に応じて設定された複数の歪補償係数を記憶する記憶部と、
    前記電力増幅器の温度を検知する温度通知部と、
    前記入力信号の態様を認識して前記記憶部に記憶された複数の前記歪補償係数の中から一つの前記歪補償係数を選択する制御部と、
    前記制御部により選択された前記歪補償係数に応じた前記歪を前記入力信号に付与する歪付与部と、
    を具備し、
    前記バースト信号のデューティ比及び前記温度に応じて前記歪補償係数が設定され、前記制御部は、前記入力信号における前記デューティ比及び前記温度に応じて前記歪補償係数を選択することを特徴とする歪補償回路。
  2. 前記歪補償係数として、前記入力信号におけるバースト長に応じて、更新歪補償係数と、固定歪補償係数の2種類が設定され、
    前記記憶部は、複数の前記更新歪補償係数、複数の前記固定歪係数、及び、前記更新歪補償係数と前記固定歪補償係数のどちらを前記歪補償係数として選択するかを定める閾値となる前記バースト長であるバースト長閾値を記憶し、
    前記入力信号における前記デューティ比及び前記温度に応じて前記固定歪補償係数が設定され、
    前記制御部は、前記入力信号における前記バースト長が前記バースト長閾値以上である場合には、当該バースト長に対応した前記更新歪補償係数を前記歪補償係数として選択し、前記入力信号における前記バースト長が前記バースト長閾値未満である場合には、前記入力信号のデューティ比及び前記温度に応じた前記固定歪補償係数を前記歪補償係数として選択することを特徴とする請求項1に記載の歪補償回路。
  3. 前記バースト信号のフレーム構成において、前記入力信号及び前記出力信号で伝送すべき対象となるデータが転送されるデータ区間と、前記データの伝送に伴う前記データ以外の情報が転送される非データ区間と、が設けられ、
    前記制御部は、前記電力増幅器の前記温度が認識された時点が前記バースト信号における前記非データ区間に対応する場合において、当該温度を前記データ区間における値に補正して前記固定歪補償係数の選択の際に用いることを特徴とする請求項2に記載の歪補償回路。
  4. 前記入力信号における前記バースト長を認識し、前記入力信号と、対応する前記出力信号との比較により前記歪補償係数を算出し、かつ当該歪補償係数の算出の精度を認識し、当該精度が高いと認識された場合において、算出された前記歪補償係数を前記バースト長と対応付けて前記更新歪補償係数として記憶部において更新させ、
    前記制御部は、前記入力信号に応じて前記係数生成部において前記歪補償係数を算出した際の前記精度と、当該入力信号の前記バースト長に応じて、前記記憶部に記憶された前記バースト長閾値を更新させることを特徴とする請求項2又は3に記載の歪補償回路。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の歪補償回路と、前記電力増幅器と、を具備する無線装置。
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