JP2023112692A - 広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法 - Google Patents

広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023112692A
JP2023112692A JP2023013303A JP2023013303A JP2023112692A JP 2023112692 A JP2023112692 A JP 2023112692A JP 2023013303 A JP2023013303 A JP 2023013303A JP 2023013303 A JP2023013303 A JP 2023013303A JP 2023112692 A JP2023112692 A JP 2023112692A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
risk
progression
group
alleles
snps
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023013303A
Other languages
English (en)
Inventor
啓 田代
Hiroshi Tashiro
茂 木下
Shigeru Kinoshita
和彦 森
Kazuhiko Mori
陽子 池田
Yoko Ikeda
盛夫 上野
Morio Ueno
正和 中野
Masakazu Nakano
健悟 吉井
Kengo Yoshii
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sysmex Corp
Santen Pharmaceutical Co Ltd
Kyoto Prefectural PUC
Original Assignee
Sysmex Corp
Santen Pharmaceutical Co Ltd
Kyoto Prefectural PUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sysmex Corp, Santen Pharmaceutical Co Ltd, Kyoto Prefectural PUC filed Critical Sysmex Corp
Publication of JP2023112692A publication Critical patent/JP2023112692A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法を提供すること。【解決手段】(1)被検者から採取した生体試料を用いて、SNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第一SNP群と、異なるSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第二SNP群についてアレルを測定する測定工程、並びに(2)前記測定工程で得られた測定結果に基づいて、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報を取得する情報取得工程、を含む、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法。【選択図】なし

Description

本発明は、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法に関する。
広義原発開放隅角緑内障は、網膜視神経細胞が障害され、長時間をかけてゆっくりと不可逆的に進行する疾患である。患者の中には症状が安定する者もいれば、重症化する者もいることが経験的に知られている。
特許文献1は、緑内障患者の遺伝的要因として一塩基多型(SNP)を評価することが記載されている。
国際公開第2008/003523号パンフレット
しかしながら、特許文献1は発症リスクを評価するものであって、進行リスクを評価するものではない。本発明の課題は広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法を提供することである。
本発明は、下記〔1〕~〔2〕に関する。
〔1〕 (1)被検者から採取した生体試料を用いて、表1に記載のSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第一SNP群と、表2に記載のSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第二SNP群についてアレルを測定する測定工程、並びに
(2)前記測定工程で得られた測定結果に基づいて、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報を取得する情報取得工程、
を含む、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法。
〔2〕 被検者から採取した生体試料を用いて、表1に記載のSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第一SNP群と、表2に記載のSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第二SNP群についてアレルを測定する測定工程
を含み、前記測定工程で得られた測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクの指標となる、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法。
本発明により、被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクを精度よく判定することができる。
図1は、アレル測定に用いられるDNAマイクロアレイの模式図である。 図2Aは、GPA進行リスクに関するカットオフ値を学習するために表1から選択された第一SNP群を測定対象とし、第一SNP群を構成するSNP数を30個とした場合のGPA進行リスクの判定に用いるグラフの一例を示した図である。 図2Bは、学習で得たカットオフ値による別検体での検証例を示した図である。 図3Aは、GPA進行リスクに関する進行リスク分類のカットオフ値を学習するために表1から選択された第一SNP群を測定対象とし、第一SNP群を構成するSNP数を60個とした場合の進行リスクの判定に用いるグラフの一例を示した図である。 図3Bは、学習で得たカットオフ値による別検体での検証例を示した図である。 図4Aは、GPA進行リスクに関する進行リスク分類のカットオフ値を学習するために表1から選択された第一SNP群を測定対象とし、SNP数を90個とした場合の進行リスクの判定に用いるグラフの一例を示した図である。 図4Bは、学習で得たカットオフ値による別検体での検証例を示した図である。 図5Aは、ステージ進行リスクに関する進行リスク分類のカットオフ値を学習するために表2から選択された第二SNP群を測定対象とし、SNP数を30個とした場合の進行リスクの判定に用いるグラフの一例を示した図である。 図5Bは、学習で得たカットオフ値による別検体での検証例を示した図である。 図6Aは、ステージ進行リスクに関する進行リスク分類のカットオフ値を学習するために表2から選択された第二SNP群を測定対象とし、SNP数を60個とした場合の進行リスクの判定に用いるグラフの一例を示した図である。 図6Bは、学習で得たカットオフ値による別検体での検証例を示した図である。 図7Aは、ステージ進行リスクに関する進行リスク分類のカットオフ値を学習するために表2から選択された第二SNP群を測定対象とし、SNP数を90個とした場合の進行リスクの判定に用いるグラフの一例を示した図である。 図7Bは、学習で得たカットオフ値による別検体での検証例を示した図である。 図8Aは、GPA進行リスク及びステージ進行リスクに関する統合進行リスク分類のカットオフ値を学習するために表1から選択された第一SNP群と表2から選択された第二SNP群を測定対象とし、各SNP群を構成するSNP数を30個(表3と表6)、さらに、第一SNP群の重みを0.8、第二SNP群の重みを0.2と設定した場合の統合進行リスクの判定に用いるグラフの一例を示した図である。 図8Bは、学習で得たカットオフ値による別検体での検証例を示した図である。 図9Aは、GPA進行リスク及びステージ進行リスクに関する統合進行リスク分類のカットオフ値を学習するために表1から選択された第一SNP群と表2から選択された第二SNP群を測定対象とし、各SNP群を構成するSNP数を60個(表4と表7)、さらに、第一SNP群の重みを0.8、第二SNP群の重みを0.2と設定した場合の統合進行リスクの判定に用いるグラフの一例を示した図である。 図9Bは、学習で得たカットオフ値による別検体での検証例を示した図である。 図10Aは、統合進行リスク分類のカットオフ値を学習するために表1から選択された第一SNP群と表2から選択された第二SNP群を測定対象とし、各SNP群を構成するSNP数を90個(表5と表8)、さらに、第一SNP群の重みを0.8、第二SNP群の重みを0.2と設定した場合の統合進行リスクの判定に用いるグラフの一例を示した図である。 図10Bは、学習で得たカットオフ値による別検体での検証例を示した図である。
本明細書において、「広義POAG」とは、広義原発開放隅角緑内障(広義primary open-angle glaucoma, 広義POAG;狭義原発開放隅角緑内障と正常眼圧緑内障,日眼会誌116巻1号15頁から18頁)のことである。
本明細書において、「リスクアレル」とは、広義POAGと関連するアレルのうち、視野障害安定群より視野障害進行群において頻度が高いアレルを言う。「非リスクアレル」とは、リスクアレルではないアレルを言う。
本明細書において、GPA進行とは、広義POAG患者の治療開始日(初回検査日)からGlaucoma Progression Analysis (GPA) (FORUM(商標):Zeiss社)で「進行の可能性あり」または「進行の可能性が高い」警告をイベントと定義し、イベントが起きるまでの時間により確認される広義POAG進行を意味する。両眼の場合は、状態の悪いほうの眼を採用する。
本明細書において、視野異常ステージ分類における連続した2回の進行(ステージ進行)とは、広義POAG患者の治療開始日(初回検査日)から視野検査のAulhorn分類Greve変法のステージ(AGステージ)が初回ステージより進行した結果が2回連続で悪化した場合、初回ステージより初めてステージが悪化した時点をイベントと定義し、イベントが起きるまでの時間により確認される広義POAG進行を意味する。両眼の場合は、状態の悪いほうの眼を採用する。
本明細書において、「安定群」とは、GPAによる進行警告が晩期の患者群、又はAulhorn分類Greve変法のステージが2回連続で初回検査より悪化が晩期におこった患者群を意味する。
本明細書において、「進行群」とは、GPAによる進行警告が早期の患者群、Aulhorn分類Greve変法のステージが2回連続で初回検査より悪化が早期におこった患者群、又は医師の進行判断としての手術を行った患者群を意味する。
本明細書において、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報は、2種類の異なるSNP群(即ち、第一SNP群及び第二SNP群)を用いて取得する。このような2種類の異なるSNP群を採用する理由は、前者が視野全体の平均感度を表すMD(mean deviation)値の変化を用いるGPA進行の情報を取得するためであり、後者が視野における病期分類の程度を用いるステージ進行の情報を取得するためであり、別角度から進行リスクに関する情報を取得する必要があるためである。
それぞれのSNP群を用いて得られたリスクアレルの数に重みを付けて、重み付きリスクアレルの数を算出してもよい。たとえば、視野全体の平均感度値の変化をより重視したい場合、第一SNP群を用いて測定されたアレルから得られたリスクアレルの数に、第二SNP群を用いて測定されたアレルから得られたリスクアレルの数よりも大きい係数を乗じて得られた値を、情報取得工程に用いることができる。また、いずれかのリスクアレルの数の全ての係数をゼロにすることにより、残りの一方のみの工程による進行リスクに関する情報を得ることもできる。
〔マーカーSNP及び選択SNPを見出す方法〕
アレル測定工程で用いられる、表1及び表2に記載のSNP IDで特定されるSNP(本明細書において「マーカーSNP」と略記する。)や、マーカーSNPから選択された特定のSNP(本明細書において「選択SNP」と略記する。)は、例えば次のようにして見出すことができる。
(1)マーカー候補のSNPを見出す方法
GPA進行リスクに関する進行群と安定群、及びステージ進行リスクに関する進行群と安定群のそれぞれの生体試料からゲノムDNAを抽出する。生体試料中のゲノムDNAは公知の任意の方法によって抽出することができる。細胞を含む生体試料の場合、細胞を溶解して溶出させたDNAを、シリカでコーティングした磁性ビーズの表面に結合させ、磁気を利用して分離、回収することによってDNAを抽出することができる。
抽出したDNAサンプル中のSNPにおけるアレルの同定手段は特に限定されず、当該技術において公知のSNP検出方法から適宜選択すればよい。
ここでは、公知のSNP検出方法として、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を用いる手法について説明する。具体的には、ゲノム全領域に分布するSNPを含むDNAマイクロアレイ(たとえば、アフィメトリクス社、Genome-Wide Human SNP Array 6.0)を用いて行うことができる。その際に、Quality controlを行うことで、抽出するSNPを選択してもよい。
Quality controlにおけるSNP採否の基準となるコールレートとしては、例えば、85%以上、90%以上、95%以上のコールレートを示すSNPを採用することが望ましい。また、その他に、マイナーアレル頻度(MAF)が0.01未満のSNP、及び遺伝子型の分布がハーディー・ワインバーグ平衡(HWE)から有意に(false discovery rateが0.001未満)逸脱したSNPについては、候補から除外することが望ましい。
Quality controlで選択されたSNPについては、更に絞り込みを行うことができる。例えば、統計ソフトウェアを用いてCox回帰分析やカイ二乗検定を行うことで、P値が好ましくは1×10-3以下、より好ましくは3×10-4以下、更に好ましくは1×10-4以下を満たすSNPを選択する。
次に、前記抽出されたSNPについては、ジェノタイピング不良SNPを除外するための2次元クラスタープロット解析、例えば、ジェノタイピングソフトウェア(例えば、アフィメトリクス社、Genotyping Console)から得られるクラスタープロット画像を目視で観察することによって、ジェノタイピング不良のSNPを除外して、マーカー候補のSNPを決定することができる。
このようにして選択されたSNPは、GenBankやdbSNPのような公知配列や公知SNPのデータベースを参照することにより、そのSNPが存在するゲノム上の位置、配列情報、SNPが存在する遺伝子又は近傍に存在する遺伝子、遺伝子上に存在する場合にはイントロン又はエキソンの区別やその機能、他の生物種における相同遺伝子などの情報を得ることができる。
(2)マーカーSNPを見出す方法
次に、前記で得られたマーカー候補のSNPから、マーカーSNPが抽出され得る。具体的には、マーカー候補のSNPのジェノタイプデータを数値化して、マーカーSNPを抽出することができる。
数値化においては、たとえば、ジェノタイプデータ及びリスクアレルデータベースを参照して、例えばジェノタイプデータに含まれる所定のアレルにおいて、リスクアレルがホモの場合には数値2を、リスクアレルがヘテロの場合には数値1を、非リスクアレルがホモの場合には数値0を、それぞれ付与する。そして、得られた数値を、各アレルの出現頻度の平均値と観測される頻度とを用いて以下の数式により正規化し、選択されたSNPにおける数値化したジェノタイプデータ行列を作成することができる。
Figure 2023112692000001
なお、リスクアレルとは、進行群に高頻度に出現するアレルをいう。本明細書では、リスクアレルはハザード比やオッズ比に基づいて規定することができる。ハザード比とは、進行群と安定群のイベント発生率の比を示したもので、カプランマイヤー解析やCox回帰分析のような生存時間解析におけるリスクを客観的に比較する研究で用いられることが多い。またオッズ比とは、一般に進行群における危険因子を持つ人の割合と持たない人の割合の比、即ちオッズを、安定群において同様に求めたオッズで除したものであり、ケース・コントロール研究において用いられることが多い。本明細書においてオッズ比はアレル頻度に基づいて求められ、進行群における、あるアレルの出現頻度と他のアレルの出現頻度の比を、安定群において同様にして得られる出現頻度の比で除して算出することができる。なお、各アレルの出現頻度は、例えば、被検者のデータを取得するに伴って、そのデータが追加更新されて随時再算出可能なものである。
次いで、数値化したジェノタイプデータ行列を用いて、クラスター解析を行うことができる。例えば、SNP間の連鎖不平衡(linkage disequilibrium, LD)を考慮し、独立性が高いと思われるSNPを主成分分析(principal component analysis, PCA)により決定する。主成分分析の方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、前記で選択されたSNPについて、全ゲノム又は染色体のそれぞれにおいて情報縮約を行って因子負荷量(主成分と元の変数との間の相関係数に相当)を算出する。次いで、それに基づいて候補領域を決定し、当該領域内でP値が最も低いSNPを候補SNPとして選択する。以上により、本発明におけるマーカーSNPを決定することができる。但し、全ゲノムからの計算と染色体のそれぞれからの計算から重複したSNPは除く。
以下の表1(本明細書において、表1-1~表1-29を併せて「表1」という)に、第一SNP群を構成する候補SNPとして抽出されたマーカーSNP及びその関連情報を示す。以下の表2(本明細書において、表2-1~表2-28を併せて「表2」という)に、第二SNP群を構成する候補SNPとして抽出されたマーカーSNP及びその関連情報を示す。マーカーSNPは、表1及び表2の「SNP ID」の列に記載された番号によって特定される。これらのSNPのゲノム上の位置は、表中「染色体」の列及び「位置」の列に記載される。表中、各SNPのアレルを検出するための配列は、表中「SNPとその前後の塩基配列」の列に記載される。「SNPとその前後の塩基配列」のうち、リスクアレルと非リスクアレルは、角括弧内に記載される。リスクアレルを含む配列の配列番号は配列番号Aの列に記載され、非リスクアレルを含む配列の配列番号は配列番号Bの列に記載される。
Figure 2023112692000002
Figure 2023112692000003
Figure 2023112692000004
Figure 2023112692000005
Figure 2023112692000006
Figure 2023112692000007
Figure 2023112692000008
Figure 2023112692000009
Figure 2023112692000010
Figure 2023112692000011
Figure 2023112692000012
Figure 2023112692000013
Figure 2023112692000014
Figure 2023112692000015
Figure 2023112692000016
Figure 2023112692000017
Figure 2023112692000018
Figure 2023112692000019
Figure 2023112692000020
Figure 2023112692000021
Figure 2023112692000022
Figure 2023112692000023
Figure 2023112692000024
Figure 2023112692000025
Figure 2023112692000026
Figure 2023112692000027
Figure 2023112692000028
Figure 2023112692000029
Figure 2023112692000030
Figure 2023112692000031
Figure 2023112692000032
Figure 2023112692000033
Figure 2023112692000034
Figure 2023112692000035
Figure 2023112692000036
Figure 2023112692000037
Figure 2023112692000038
Figure 2023112692000039
Figure 2023112692000040
Figure 2023112692000041
Figure 2023112692000042
Figure 2023112692000043
Figure 2023112692000044
Figure 2023112692000045
Figure 2023112692000046
Figure 2023112692000047
Figure 2023112692000048
Figure 2023112692000049
Figure 2023112692000050
Figure 2023112692000051
Figure 2023112692000052
Figure 2023112692000053
Figure 2023112692000054
Figure 2023112692000055
Figure 2023112692000056
Figure 2023112692000057
Figure 2023112692000058
本実施形態の方法は、抽出されたマーカーSNPを用いて、広義POAGの進行リスクに関する情報を取得する方法に関する。この方法は、被検者から採取した生体試料を用いて、マーカーSNPについてアレルを測定する工程と、測定結果に基づいて被検者の広義POAGの進行リスクに関する情報を取得する工程を含む。
〔アレル測定工程〕
アレル測定工程では、被検者から採取した生体試料を用いて、表1に記載のSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第一SNP群と、表2に記載のSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第二SNP群についてアレルを測定する。アレル測定工程で用いられるSNP数は、少なくとも30個であればよく、40個以上、50個以上、または60個以上であり得る。
本発明で用いられる生体試料としては、ゲノム由来のDNAを抽出可能なものであれば何でも良い。例えば、全血、白血球、リンパ球、血漿、血清、リンパ液、涙液、唾液、鼻汁、脳脊髄液、骨髄液、精液、汗、粘膜組織、皮膚組織及び毛根からなる群より選択される1種以上が用いられる。かかる生体試料からのDNA抽出方法としては、公知の任意の方法を採用することができる。
測定対象のSNPに関しては、公知の方法に従って、そのアレルを決定して測定結果を得ることができる。具体的には、例えば、選択SNPの配列情報に基づき設計した、各アレルに特異的なプローブ(例えば、表3~8に記載されたもの)を用いて、前記生体試料からのDNAにハイブリダイズさせ、そのシグナルを検出することによりそれぞれのアレルを検出することができる。プローブを用いてハイブリダイズさせる方法の例としてはタックマン法、インベーダー(Invader(登録商標))法、ライトサイクラー法、サイクリンプローブ法、MPSS法、ビーズアレイ法、DNAチップ法、マイクロアレイ法などがある。また、プローブによるハイブリダイズを行わずにアレルを検出することも可能である。例えば、PCR-RFLP法、SSCP法、質量分析法、次世代シークエンス法、ダイレクトシークエンス法などを用いることができる。これらの方法は公知の条件に従って行うことができる。
図1は、アレル測定に用いられるDNAマイクロアレイの一例の模式図である。DNAマイクロアレイ1では、前述の表1又は表2に記載の「SNPとその前後の塩基配列」がプローブとして固定化されており、表1及び表2に記載の各SNPのアレル測定を行うことができるよう設計されている。本発明の一実施形態は、被検者における広義POAGの進行リスクに関する情報を生成するための、当該マイクロアレイの使用である。
かくして得られた測定結果を次の情報取得工程に供する。また、該測定結果は、下記情報取得工程の項に示す基準に従って、被検者における広義POAGの進行リスクの指標となり得る。
〔情報取得工程〕
情報取得工程では、前記アレル測定工程で得られた測定結果に基づいて、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報を取得する。例えば、第一SNP群について得られた測定結果(例えばリスクアレル数)及び第二SNP群について得られた測定結果(例えばリスクアレル数)に基づいて、被検者における広義POAGの進行リスクに関する情報を取得することができる。進行リスクは累積生存率やハザード比により示してもよい。また、進行リスクは、高リスク、中程度、低リスクなどの複数の段階で示してもよい。情報取得工程は、進行リスクを判定する工程を含んでいてもよい。
情報取得工程は、判定精度を向上する観点から、
(a)前記測定工程において測定されたアレルの各々がリスクアレルであるか否かを判別する工程、
(b)前記リスクアレルを計数する工程、および
(c)前記工程(b)で得られたリスクアレルの数に基づいて、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報を取得する工程
を含むことが好ましい。
表1及び表2の「リスクアレル」の情報に基づいて、測定されたアレルがリスクアレルであるか否かの判別を行い、リスクアレルの数(リスクアレル保有数ともいう)を算出することができる。
あるいは、第一SNP群及び第二SNP群のそれぞれについて、リスクアレルを計数してもよい。この場合、情報取得工程は、好ましくは、
(a1)前記第一SNP群について測定されたアレルの各々がリスクアレルであるか否かを判別する工程、
(b1)前記リスクアレルを計数する工程、
(a2)前記第二SNP群について測定されたアレルの各々がリスクアレルであるか否かを判別する工程、
(b2)前記リスクアレルを計数する工程、並びに
(c12)前記工程(b1)で得られたリスクアレルの数、及び前記工程(b2)で得られたリスクアレルの数に基づいて、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報を取得する工程
を含む。
(1)カットオフ値の設定
カットオフ値は以下のようにして設定することができる。例えば、被検者の定量値を取得する際に測定対象として選択された選択SNPと同じSNPに関して、予め広義POAG発症から進行イベントの診断を受けるまでの時間が測定された被検者から採取した生体試料を用いて、上述のようにしてリスクアレル数を測定し、「広義POAGの進行リスク」と「リスクアレル数」を統計的に処理することにより、両データ間の関連を解析する。解析された結果から、例えば、真陽性率の高さ(感度の高さ)を重視するか、真陰性率の高さ(特異度の高さ)を重視するか、又は真陽性率と真陰性率をどの程度でバランスさせるか等の目的に応じて、カットオフ値を設定することができる。例えば、測定対象の選択SNPが異なれば、そこに存在するリスクアレルも当然異なることから、測定対象の選択SNPによってカットオフ値は変動する。ここで、真陽性率とは、広義POAGの進行イベントが早期に発生する者を正しく広義POAGの進行リスクが高い者として判定する確率のことであり、真陰性率とは、広義POAGの進行イベントが晩期に発生する者を正しく広義POAGの進行リスクが低い者として判定する確率のことである。
カットオフ値の設定においては、判定精度の向上の観点から、正規化や重み付けを行ってもよい。例えば、正規化の方法としては、正規分布曲線と比較する方法を用いることができる。また、重み付けの方法としては、各SNPのハザード比やオッズ比を考慮して重み付けを行うことができる。
重み付きリスクアレル数を用いて、複数の群に分けて解析する場合、二群に分けてもよく、三群に分けても良く、四群以上に分けてもよい。
具体的なカットオフ値の設定方法としては、例えば、先ず、被験者の定量値を取得する際に測定対象として選択された選択SNPと同じSNPに関して、例えばリスクアレルに重み付けを行う場合、重みリスクアレルの数を昇順に並び替え、パーセンタイル点を算出する。本明細書において、カットオフ値は一個のみ設定してもよく、複数個設定してもよい。カットオフ値を二個設定する場合、全体の任意の%に位置する値をそれぞれ第一のカットオフ値、第二のカットオフ値としてもよく、任意の特異度や感度になるような点をカットオフ値として設定してもよい。本発明では、全体の33%、66%に位置するパーセンタイル点をそれぞれ第一のカットオフ値、第二のカットオフ値と設定することができる。
なお、カットオフ値は、被検者の定量値を取得する際に別途同時に取得してもよく、事前に取得しておいたものであってもよい。また、被検者の定量値と比較する際に、それまでに得られた解析結果を随時追加更新して、取得されたものであってもよい。
こうして予め設定されたカットオフ値と被検者の定量値とを対比することで、被検者が広義POAGの進行リスクの程度を判定することができる。
例えば、前記工程(c)において、
前記工程(b)で得られた前記リスクアレルの数が所定のカットオフ値以上の場合に、前記被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが高いという情報を取得することができる。
あるいは、前記工程(c)において、
前記工程(b)で得られたリスクアレルの数が所定のカットオフ値未満の場合に、前記被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが低いという情報を取得することもできる。
カットオフ値は複数設定することもできる。
例えば、第一のカットオフ値と第二のカットオフ値を設定した場合、前記工程(c)において、
前記工程(b)で得られたリスクアレルの数が第一のカットオフ値未満の場合に、前記被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが低いという情報を取得することができ、
前記リスクアレルの数が前記第一のカットオフ値以上かつ第二のカットオフ値未満の場合に、前記被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが中程度であるという情報を取得することができ、
前記リスクアレルの数が前記第二のカットオフ値以上の場合に、前記被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが高いという情報を取得することができる。
(2)リスクアレルの重み付け
それぞれのSNP群を用いて得られたリスクアレルの数に重みを付けて、重み付きリスクアレルの数を算出してもよい。たとえば、視野全体の平均感度値の変化をより重視したい場合、第一SNP群を用いて測定されたアレルから得られたリスクアレルの数に、第二SNP群を用いて測定されたアレルから得られたリスクアレルの数よりも大きい係数を乗じて得られた値を、情報取得工程に用いることができる。また、いずれかのリスクアレルの数の全ての係数をゼロにすることにより、残りの一方のみの工程による進行リスクに関する情報を得ることもできる。
リスクアレルの数に基づいて、下記の式により重み付きリスクアレルの数(Y)を算出してもよい。
Figure 2023112692000059
式中、
Y:重み付きリスクアレルの数
M:第一SNP群を構成するSNP数
α1:第一SNP群を用いる際に設定するリスクアレル数の重み
β:第一SNP群を用いる際に設定する各リスクアレルの数値の重み
:第一SNP群を用いて得られるリスクアレルの数値(各アレルについて、リスクアレルがホモの場合は数値2を、リスクアレルがヘテロの場合は数値1を、非リスクアレルがホモの場合(リスクアレルが無い場合)は数値0とすることができる)
N:第二SNP群を構成するSNP数
α2:第二SNP群を用いる際に設定するリスクアレル数の重み(なお、重み付けをする場合はα2とα1は異なる値である)
β:第二SNP群を用いる際に設定する各リスクアレルの数値の重み
:第二SNP群を用いて得られるリスクアレルの数値(各アレルについて、リスクアレルがホモの場合は数値2を、リスクアレルがヘテロの場合は数値1を、非リスクアレルがホモの場合(リスクアレルが無い場合)は数値0とすることができる)
であり、α1又はα2を0にすることにより、第1SNP群および第2SNP群のうちいずれか一方のSNP群にのみに基づく解析を行うことができる。上記式において、各アレルについてβの値を異なる値に設定することにより、Xのアレルごとに重み付けを行うことができる。上記式において、各アレルについてβの値を異なる値に設定することにより、Xのアレルごとに重み付けを行うことができる。βの値およびβの値を全て一定の値とすることによって、各SNP群ごとに重みづけを行うことができる。
上記のように、二種類のアレル測定工程の重み付けは、α1及びα2の値を変更することで設定することができる。α1及びα2の値は、ハザード比やオッズ比等の統計量や医師等の専門家の判断により適宜変更することができる。
重み付きリスクアレルの数に基づいて、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報を取得する場合、重み付きリスクアレルの数に対応する所定のカットオフ値を用いることが好ましい。例えば、重み付きリスクアレルの数に基づいてヒストグラムを作成し、パーセンタイル点により3分割のカットオフ値(即ち、高い順に第一のカットオフ値と第二のカットオフ値)を設定する。次いで、重み付きリスクアレルの数が第一のカットオフ値以上の場合、被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが高いという情報を取得することができ、重み付きリスクアレルの数が第二のカットオフ値以上かつ第一のカットオフ値未満の場合、被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが中程度であるという情報を取得することができ、重み付きリスクアレルの数が第二のカットオフ値未満の場合、被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが低いという情報を取得することができる。
(3)広義POAGの進行程度を示す累積生存率やハザード比を算出する工程
重み付きリスクアレルの算出結果に、後述するカプランマイヤー解析やCox回帰分析により広義POAGが進行する時点までの累積生存率やハザード比を算出してもよい。本明細書においては、かかる累積生存率やハザード比を算出する工程を有していてもよい。
具体的な広義POAGが進行する時点までの累積生存率を算出する方法としては、例えば、リスクアレルの測定結果を上述の説明と同様にしてカットオフ値と対比することで、広義POAGの進行グレードを判断する。そして、進行イベントが発生するまでの時間を分析する手法のひとつであるカプランマイヤー法により累積生存率を算出する。本明細書でのカプランマイヤー解析による生存曲線は、横軸に時間、縦軸に累積生存率を示し、ある時点における累積生存率の確認や進行グレードによる生存率の違いを確認することが可能である。本発明の方法を利用した検査により進行グレードの結果が出た場合は、その検査対象者が3年や5年などのある時点での累積生存率を表すことができることを意味する。
あるいは、リスクアレルの測定結果に広義POAGの進行グレードを独立変数のひとつとし、進行イベントが発生するまでの時間を複数の独立変数に基づいたCox回帰分析にあてはめる。ここで、設定される独立変数は、進行グレード、年齢、性別、発症時のAulhorn分類Greve変法のステージ等を用いることが出来る。本明細書では、進行リスクが低い群に比べてどの程度進行リスクが高いかをハザード比とその信頼区間を算出し、被験者の広義POAGが進行するリスクを提示することが可能となる。
かくして、本明細書においては、被検者の広義POAGの進行リスクを、第一SNP群を用いて得られたリスクアレルの数、第二SNP群を用いて得られたリスクアレルの数、又はそれぞれのリスクアレルの数に重みを付けた重み付きリスクアレルの数をカットオフ値と対比することで、広義POAGの進行リスクが高いか否かを判定するだけでなく、その累積生存率やハザード比を算出することによって、被検者の広義POAGの進行リスクに関する情報をより詳細に提供することができる。
本発明の方法を利用して得られた判定結果の追跡研究により、広義POAGが進行したか否かの結果を得ることができる。かかる追跡研究に基づいて、データの蓄積と更新(追加学習)を行い、マーカーSNPの入れ替えを実施することができる。
追跡研究により新たに得られたジェノタイプデータを従来の結果に加えた生存時間解析(カプランマイヤー解析やCox回帰分析)や関連解析(アレルデータによるχ検定)を実施し、マーカーSNPの入れ替えを実施することができる。また、入れ替えを実施する場合は、「情報取得工程」の重み付きリスクアレル数の予め設定されたパーセンタイル点によるカットオフ値の再設定を行うことができる。
データの蓄積と更新により、ジェノタイプデータを用いてアレルデータによるCos回帰分析やχ検定の結果が変化した場合、マーカーSNPの入れ替えを実施することができる。
本情報取得工程における好ましい態様に係る工程は、(1)被検者から採取した生体試料を用いて、表1に記載のSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第一SNP群と、表2に記載のSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第二SNP群についてアレルを測定する測定工程を含み、前記測定工程で得られた測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクの指標となる、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法に含まれ得る。
ここで、より好ましい態様の一つは、前記測定工程で得られたアレルのうちのリスクアレルの数が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクの指標となる、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法である。
更に好ましい態様の一つは、前記リスクアレルの数が所定のカットオフ値以上の場合、前記測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが高いことの指標となる、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法である。
更に好ましい態様の一つは、前記リスクアレルの数が所定のカットオフ値未満の場合、前記測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが低いことの指標となる、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法である。
カットオフ値を二個設定する場合の更に好ましい態様の一つは、前記リスクアレルの数が第一のカットオフ値未満の場合、前記測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが低いことの指標となり、
前記リスクアレルの数が前記第一のカットオフ値以上かつ第二のカットオフ値未満の場合、前記測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが中程度であることの指標となり、
前記リスクアレルの数が前記第二のカットオフ値以上の場合、前記測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが高いことの指標となる、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法である。
〔情報提供工程〕
本実施形態の方法は、上記の情報取得工程で得られた情報を提供する工程をさらに含んでいてもよい。情報提供工程では、前述の情報取得工程で得られた情報を、被検者の広義POAGの進行リスクの判定を補助する情報として、例えば、被検者、医師又はコメディカルに提供する。提供の態様としては、例えば、モバイルデバイスを含むコンピュータの画面への出力や印刷等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。なお、以下の実施例では、特に詳細な説明がない一般的に用いられる分子生物学的手法については、モレキュラークローニング (Joseph Sambrook et al., Molecular Cloning - A Laboratory Manual, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)などの成書に記載された方法及び条件が参照される。
試験例1 第一SNP群を構成するマーカーSNPの選択
広義POAGと診断された1030例の患者群のうち388例を検体群Aとし、642例を検体群Bとした。検体群Aの内訳は、Aulhorn分類Greve変法のステージ(AGステージ)が0~1と判断された患者159例、2~4と判断された患者209例、及び5~6と判断された患者20例であった。検体群Bの内訳は、AGステージが0~1と判断された患者280例、2~4と判断された患者349例、及び5~6と判断された患者13例であった。また、GPA進行またはステージ進行であった手術457例を加えた全1487例の患者群から血液検体を採取した後、これらの血液検体から市販の自動核酸抽出機を使用して、ゲノムDNAを抽出した。ゲノムDNAの抽出は機器及びキットの取扱説明書に従い実施した。本方法により、血液検体350μLから約5μgのゲノムDNAを得た。
SNPの分析は、ヒトゲノム上の公知のSNP約100万個の分析が可能な市販のマイクロアレイ型のSNP分析キットDNAマイクロアレイ(Genome-Wide Human SNP Array 6.0(アフィメトリクス社)又はAsian Screening Array-24 v1.0 BeadChip(イルミナ社))を用いてジェノタイプデータを取得し、QCフィルター (Call Rate≧0.95; MAF≧0.01; HWE≧0.001) を用いて高精度なSNPデータを選択した。
以下のようにして、427個のマーカーSNP(表1)を抽出した。
(1) ゲノムワイド関連解析(アレルデータによるCox回帰分析)を用いた場合、検体群Aの検体及び検体群Bの検体を用いてそれぞれの検定結果のP値がP<0.001であり、かつMAF≧0.1のもの(下記の(5)~(7)を行った結果、49SNPを抽出できた)。
(2) ゲノムワイド関連解析(アレルデータによるχ検定)を用いた場合、検体群Aと手術例及び検体群Bと手術例の検体を用いて、GPA進行とステージ進行の2種類の進行イベントから、GPA進行を優先した進行群と安定群の群分けを進行イベント発生時期により複数実施し、それぞれの検定結果と、(1)の検定結果の両方においてP<0.05であり、かつMAF≧0.1のものを抽出した。(下記の(5)~(7)を行った結果、176SNPを抽出できた)。
(3) 上記の(1)と(2)の解析でP値が共にP<0.05であり、かつMAF≧0.01であるもの(下記の(5)~(7)を行った結果、150SNPを抽出できた)。
(4) (2)の解析のいずれかでP値がP<0.001であり、かつMAF≧0.1であるもの(下記の(5)~(7)を行った結果、52SNPを抽出できた)。
(5) 抽出された全SNPについて、アフィメトリクス社のジェノタイピングソフトウェア (Genotyping Console) から得られる2Dクラスタープロット画像に基づき、3人の検者の目視による判定によってクラスター不良のSNPを除外した。また、イルミナ社のジェノタイピングソフトウェア(GenomeStudio)から得られる2Dクラスタープロット画像を3人の検者の目視による判定によってクラスター不良を手動で修正した。
(6) ジェノタイピングデータを、以下の手順でコード化(数値変換)及び正規化を行った。
(a) Risk Allele Homo: 2、Risk Allele Hetero: 1、Other Allele Homo: 0とした。
(b) 数値変換は全検体の平均値及び観測アレル頻度を用いて、前述の数式に従って数値の正規化を行った。
(7) 連鎖不平衡(linkage disequilibrium, LD)を考慮したマーカーSNP候補の組合せを主成分分析(principle component analysis, PCA)を用いたクラスター解析により算出した。
(a) (6)で得たマーカーSNP候補を用いて、全検体をPCAに供し、検体で情報縮約(Cluster SNP)することで得られる因子負荷量(主成分と元の変数との間の相関係数に相当)を算出した。次に、各SNPの最も高い因子負荷量の絶対値を示す主成分を基準とするクラスターにより候補領域を決定し、各候補領域内で最小のP値を得たSNPをマーカーSNPの候補とした。
(b) 「各染色体」における、(6)で得た候補を用いて、(a)と同様に各染色体で候補領域を決定し、マーカーSNPの候補とした。
(c) (a)と(b)のマーカーSNPの候補を組み合わせて、重複を除いた。
試験例2 第二SNP群を構成するマーカーSNPの選択
広義POAGと診断された1568例の患者群のうち662例を検体群Cとし、906例を検体群Dとした。検体群Cの内訳は、Aulhorn分類Greve変法のステージ(AGステージ)が0~1と判断された患者235例、2~4と判断された患者320例、及び5~6と判断された患者107例であった。検体群Dの内訳は、AGステージが0~1と判断された患者396例、2~4と判断された患者428例、及び5~6と判断された患者82例であった。また、GPA進行またはステージ進行であった手術457例を加えた全2025例の患者群から血液検体を採取した後、これらの血液検体から市販の自動核酸抽出機を使用して、ゲノムDNAを抽出した。ゲノムDNAの抽出は機器及びキットの取扱説明書に従い実施した。本方法により、血液検体350μLから約5μgのゲノムDNAを得た。
SNPの分析は、ヒトゲノム上の公知のSNP約100万個の分析が可能な市販のマイクロアレイ型のSNP分析キットDNAマイクロアレイ(Genome-Wide Human SNP Array 6.0(アフィメトリクス社)又はAsian Screening Array-24 v1.0 BeadChip(イルミナ社))を用いてジェノタイプデータを取得し、QCフィルター (Call Rate≧0.95; MAF≧0.01; HWE≧0.001) を用いて高精度なSNPデータを選択した。
以下のようにして、400個のマーカーSNP(表2)を抽出した。
(1) ゲノムワイド関連解析(アレルデータによるCox回帰分析)を用いた場合、検体群Cの検体及び検体群Dの検体を用いてそれぞれの検定結果のP値がP<0.001であり、かつMAF≧0.1のもの(下記の(5)~(7)を行った結果、50SNPを抽出できた)。
(2) ゲノムワイド関連解析(アレルデータによるχ検定)を用いた場合、検体群Cと手術例及び検体群Dと手術例の検体を用いて、GPA進行とステージ進行の2種類の進行イベントから、ステージ進行の進行イベントを優先した進行群と安定群の群分けを進行イベント発生時期により複数実施し、それぞれの検定結果と、(1)の検定結果の両方においてP<0.05であり、かつMAF≧0.1のものを抽出した。(下記の(5)~(7)を行った結果、169SNPを抽出できた)。
(3) 上記の(1)と(2)の解析でP値が共にP<0.05であり、かつMAF≧0.01であるもの(下記の(5)~(7)を行った結果、150SNPを抽出できた)。
(4) (2)の解析のいずれかでP値がP<0.001であり、かつMAF≧0.1であるもの(下記の(5)~(7)を行った結果、31SNPを抽出できた)。
(5) 抽出された全SNPについて、アフィメトリクス社のジェノタイピングソフトウェア (Genotyping Console) から得られる2Dクラスタープロット画像に基づき、3人の検者の目視による判定によってクラスター不良のSNPを除外した。また、イルミナ社のジェノタイピングソフトウェア(GenomeStudio)から得られる2Dクラスタープロット画像を3人の検者の目視による判定によってクラスター不良を手動で修正した。
(6) ジェノタイピングデータを、以下の手順でコード化(数値変換)及び正規化を行った。
(a) Risk Allele Homo: 2、Risk Allele Hetero: 1、Other Allele Homo: 0とした。
(b) 数値変換は全検体の平均値及び観測アレル頻度を用いて、前述の数式に従って数値の正規化を行った。
(7) 連鎖不平衡(linkage disequilibrium, LD)を考慮したマーカーSNP候補の組合せを主成分分析(principle component analysis, PCA)を用いたクラスター解析により算出した。
(a) (6)で得たマーカーSNP候補を用いて、全検体をPCAに供し、検体で情報縮約(Cluster SNP)することで得られる因子負荷量(主成分と元の変数との間の相関係数に相当)を算出した。次に、各SNPの最も高い因子負荷量の絶対値を示す主成分を基準とするクラスターにより候補領域を決定し、各候補領域内で最小のP値を得たSNPをマーカーSNPの候補とした。
(b) 「各染色体」における、(6)で得た候補を用いて、(a)と同様に各染色体で候補領域を決定し、マーカーSNPの候補とした。
(c) (a)と(b)のマーカーSNPの候補を組み合わせて、重複を除いた。
検体群Aと検体群CでGPA進行とステージ進行の両方の進行イベント情報を持つ383例を検体群Eとし、同様に検体群Bと検体群DでGPA進行とステージ進行の両方の進行イベント情報を持つ645例を検体群Fとした。
実施例1
(態様1)
表1に記載のSNPから表3に示す30個のSNPを抽出した。
Figure 2023112692000060
検体群Aについて、上記表3に示す30個のSNPをプローブとして全てを一度に用いて測定を行い、リスクアレルの数を算出した。リスクアレルの数を横軸にした度数分布図を作成し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図2Aに示す。次いで、上記区別の性能を検証するために、検体群Bについて、検体群Aと同様に試験し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図2Bに示す。
図2Aより、進行リスク別の5年累積生存率は、進行リスクが低い群89.0%、中等度群72.4%、高い群43.1%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=2.53(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=5.48(P<0.001)の結果を得た。また、図2Bより、進行リスク別の5年累積生存率は、進行リスクが低い群73.4%、中等度群67.5%、高い群60.1%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=1.44(P=0.008)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=1.94(P<0.001)であり、図2Aおよび図2Bから、表3に示されるSNPを用いて進行リスクを精度よく判定することができた。
(態様2)
表1に記載のSNPから表4に示す60個のSNPを抽出した。
Figure 2023112692000061
検体群Aについて、上記表4に示す60個のSNPをプローブとして全てを一度に用いて測定を行い、リスクアレルの数を算出した。リスクアレルの数を横軸にした度数分布図を作成し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図3Aに示す。
次いで、上記区別の性能を検証するために、検体群Bについて、検体群Aと同様に試験し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図3Bに示す。
図3Aより、進行リスク別の5年累積生存率は、進行リスクが低い群93.0%、中等度群76.5%、高い群39.6%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=4.58(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=11.03(P<0.001)の結果を得た。また、図3Bより、進行リスク別の5年累積生存率は、進行リスクが低い群83.6%、中等度群69.3%、高い群49.7%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=2.02(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=3.66(P<0.001)であり、図3Aおよび図3Bから、表4に示されるSNPを用いて進行リスクを精度よく判定することができた。
(態様3)
表1に記載のSNPから表5に示す90個のSNPを抽出した。
Figure 2023112692000062
検体群Aについて、上記表5に示す90個のSNPをプローブとして全てを一度に用いて測定を行い、リスクアレルの数を算出した。リスクアレルの数を横軸にした度数分布図を作成し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図4Aに示す。
次いで、上記区別の性能を検証するために、検体群Bについて、検体群Aと同様に試験し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図4Bに示す。
図4Aより、進行リスク別の5年累積生存率は、進行リスクが低い群93.1%、中等度群68.6%、高い群41.6%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=4.49(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=8.90(P<0.001)の結果を得た。また、図4Bより、進行リスク別の5年累積生存率は、進行リスクが低い群87.2%、中等度群64.4%、高い群46.6%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=2.99(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=5.19(P<0.001)であり、図4Aおよび図4Bから、表5に示されるSNPを用いて進行リスクを精度よく判定することができた。
実施例2
(態様1)
表2に記載のSNPから表6に示す30個のSNPを抽出した。
Figure 2023112692000063
検体群Cについて、上記表6に示す30個のSNPをプローブとして全てを一度に用いて測定を行い、リスクアレルの数を算出した。リスクアレルの数を横軸にした度数分布図を作成し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図5Aに示す。
次いで、上記区別の性能を検証するために、検体群Dについて、検体群Cと同様に試験し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図5Bに示す。
図5Aより、進行リスク別の5年累積生存率は、進行リスクが低い群77.2%、中等度群56.3%、高い群38.0%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=2.18(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=3.90(P<0.001)の結果を得た。また、図5Bより、進行リスク別の5年累積生存率は、進行リスクが低い群63.5%、中等度群48.5%、高い群28.6%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=1.48(P=0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=2.72(P<0.001)であり、図5Aおよび図5Bから、表6に示されるSNPを用いて進行リスクを精度よく判定することができた。
(態様2)
表2に記載のSNPから表7に示す60個のSNPを抽出した。
Figure 2023112692000064
検体群Cについて、上記表7に示す60個のSNPをプローブとして全てを一度に用いて測定を行い、リスクアレルの数を算出した。リスクアレルの数を横軸にした度数分布図を作成し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図6Aに示す。
次いで、上記区別の性能を検証するために、検体群Dについて、検体群Aと同様に試験し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図6Bに示す。
図6Aより、進行リスク別の5年累積生存率は、進行リスクが低い群75.6%、中等度群54.0%、高い群36.6%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=2.09(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=3.77(P<0.001)の結果を得た。また、図6Bより、進行リスク別の5年累積生存率は、進行リスクが低い群64.6%、中等度群45.8%、高い群22.2%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=1.62(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=2.92(P<0.001)であり、図6Aおよび図6Bから、表7に示されるSNPを用いて進行リスクを精度よく判定することができた。
(態様3)
表2に記載のSNPから表8に示す90個のSNPを抽出した。
Figure 2023112692000065
検体群Cについて、上記表8に示す90個のSNPをプローブとして全てを一度に用いて測定を行い、リスクアレルの数を算出した。リスクアレルの数を横軸にした度数分布図を作成し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図7Aに示す。
次いで、上記区別の性能を検証するために、検体群Dについて、検体群Aと同様に試験し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図7Bに示す。
図7Aより、進行リスク別の5年累積生存率は、進行リスクが低い群78.8%、中等度群51.1%、高い群36.6%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=2.68(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=4.58(P<0.001)の結果を得た。また、図7Bより、進行リスク別の5年累積生存率は、進行リスクが低い群73.7%、中等度群36.9%、高い群23.4%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=2.49(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=3.77(P<0.001)であり、図7Aおよび図7Bから、表8に示されるSNPを用いて進行リスクを精度よく判定することができた。
実施例3
(態様1)
表1に記載のSNPから表3に示す30個のSNPを抽出した。これとは別に、表2に記載のSNPから表6に示す30個のSNPを抽出した。
検体群Eについて、上記表3に示す30個のSNPをプローブとして全てを一度に用いて測定を行い、第一SNP群を用いて得られたリスクアレルの数を算出した。これとは別に、検体群Eについて、上記表6に示す30個のSNPをプローブとして全てを一度に用いて測定を行い、第二SNP群を用いて得られたリスクアレルの数を算出した。
次いで、下記の式により重み付きリスクアレルの数(Y)を算出した。
Figure 2023112692000066
式中、
Y:重み付きリスクアレルの数
M:第一SNP群を構成するSNP数(=30)
α1:第一SNP群を用いる際に設定したリスクアレル数の重み(=0.8)
β:第一SNP群を用いる際に設定した各リスクアレルの数値の重み(=1.0)
:第一SNP群を用いて得られたリスクアレルの数値
N:第二SNP群を構成するSNP数(=30)
α2:第二SNP群を用いる際に設定するリスクアレル数の重み(=0.2)
β:第二SNP群を用いる際に設定する各リスクアレルの数値の重み(=1.0)
:第二SNP群を用いて得られたリスクアレルの数値
重み付きリスクアレルの数を横軸にした度数分布図を作成し、各測定工程の進行イベントを用いた進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図8Aに示す。
次いで、上記区別の性能を検証するために、検体群Fについて、検体群Eと同様に試験し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図8Bに示す。
図8Aより、GPA進行リスクに関する5年累積生存率は、進行リスクが低い群91.8%、中等度群75.3%、高い群40.5%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=2.61(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=6.30(P<0.001)の結果を得た。ステージ進行リスクに関する5年累積生存率は、進行リスクが低い群71.7%、中等度群52.1%、高い群40.6%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=1.78(P=0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=2.46(P<0.001)の結果を得た。
また、図8Bより、GPA進行リスクに関する5年累積生存率は、進行リスクが低い群77.5%、中等度群64.5%、高い群61.9%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=1.67(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=2.06(P<0.001)の結果を得た。ステージ進行リスクに関する5年累積生存率は、進行リスクが低い群59.4%、中等度群45.3%、高い群38.1%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=1.55(P=0.002)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=1.90(P<0.001)であり、図8Aおよび図8Bから、進行リスクを精度よく判定することができた。
(態様2)
表1に記載のSNPから表4に示す60個のSNPを抽出した。これとは別に、表2に記載のSNPから表7に示す60個のSNPを抽出した。
検体群Eについて、上記表4に示す60個のSNPをプローブとして全てを一度に用いて測定を行い、第一SNP群を用いて得られたリスクアレルの数を算出した。これとは別に、検体群Eについて、上記表7に示す60個のSNPをプローブとして全てを一度に用いて測定を行い、第二SNP群を用いて得られたリスクアレルの数を算出した。
次いで、上記態様1に記載した式により重み付きリスクアレルの数(Y)を算出した。
式中、
Y:重み付きリスクアレルの数
M:第一SNP群を構成するSNP数(=60)
α1:第一SNP群を用いる際に設定したリスクアレル数の重み(=0.8)
β:第一SNP群を用いる際に設定した各リスクアレルの数値の重み(=1.0)
:第一SNP群を用いて得られたリスクアレルの数値
N:第二SNP群を構成するSNP数(=60)
α2:第二SNP群を用いる際に設定するリスクアレル数の重み(=0.2)
β:第二SNP群を用いる際に設定する各リスクアレルの数値の重み(=1.0)
:第二SNP群を用いて得られたリスクアレルの数値
重み付きリスクアレルの数を横軸にした度数分布図を作成し、各測定工程の進行イベントを用いた進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図9Aに示す。
次いで、上記区別の性能を検証するために、検体群Fについて、検体群Eと同様に試験し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図9Bに示す。
図9Aより、GPA進行リスクに関する5年累積生存率は、進行リスクが低い群93.5%、中等度群73.1%、高い群38.2%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=3.87(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=9.69(P<0.001)の結果を得た。ステージ進行リスクに関する5年累積生存率は、進行リスクが低い群64.9%、中等度群58.8%、高い群38.1%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=1.29(P=0.142)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=2.32(P<0.001)の結果を得た。
また、図9Bより、GPA進行リスクに関する5年累積生存率は、進行リスクが低い群82.0%、中等度群68.0%、高い群49.2%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=1.64(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=3.22(P<0.001)の結果を得た。ステージ進行リスクに関する5年累積生存率は、進行リスクが低い群61.1%、中等度群41.8%、高い群36.2%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=1.68(P=<.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=1.94(P<0.001)であり、図9Aおよび図9Bから、進行リスクを精度よく判定することができた。
(態様3)
表1に記載のSNPから表5に示す90個のSNPを抽出した。これとは別に、表2に記載のSNPから表8に示す90個のSNPを抽出した。
検体群Eについて、上記表5に示す90個のSNPをプローブとして全てを一度に用いて測定を行い、第一SNP群を用いて得られたリスクアレルの数を算出した。これとは別に、検体群Eについて、上記表8に示す90個のSNPをプローブとして全てを一度に用いて測定を行い、第二SNP群を用いて得られたリスクアレルの数を算出した。
次いで、上記態様1に記載した式により重み付きリスクアレルの数(Y)を算出した。
式中、
Y:重み付きリスクアレルの数
M:第一SNP群を構成するSNP数(=90)
α1:第一SNP群を用いる際に設定したリスクアレル数の重み(=0.8)
β:第一SNP群を用いる際に設定した各リスクアレルの数値の重み(=1.0)
:第一SNP群を用いて得られたリスクアレルの数値
N:第二SNP群を構成するSNP数(=90)
α2:第二SNP群を用いる際に設定するリスクアレル数の重み(=0.2)
β:第二SNP群を用いる際に設定する各リスクアレルの数値の重み(=1.0)
:第二SNP群を用いて得られたリスクアレルの数値
重み付きリスクアレルの数を横軸にした度数分布図を作成し、各測定工程の進行イベントを用いた進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図10Aに示す。
次いで、上記区別の性能を検証するために、検体群Fについて、検体群Eと同様に試験し、進行リスク別のカプランマイヤー解析による累積生存率及びCox回帰分析によるハザード比の算出を行った結果を図10Bに示す。
図10Aより、GPA進行リスクに関する5年累積生存率は、進行リスクが低い群97.6%、中等度群67.6%、高い群39.7%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=4.51(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=10.39(P<0.001)の結果を得た。ステージ進行リスクに関する5年累積生存率は、進行リスクが低い群74.5%、中等度群50.3%、高い群36.9%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=1.92(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=3.17(P<0.001)の結果を得た。
また、図10Bより、GPA進行リスクに関する5年累積生存率は、進行リスクが低い群85.8%、中等度群67.7%、高い群45.2%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=2.18(P<0.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=4.77(P<0.001)の結果を得た。ステージ進行リスクに関する5年累積生存率は、進行リスクが低い群60.9%、中等度群41.2%、高い群35.7%であり、進行リスクが低い群と比較して中等度群でハザード比(HR)=1.58(P=<.001)、進行リスクが低い群と比較して高い群でHR=1.79(P<0.001)であり、図10Aおよび図10Bから、進行リスクを精度よく判定することができた。
1 DNAマイクロアレイ

Claims (11)

  1. (1)被検者から採取した生体試料を用いて、表1に記載のSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第一SNP群と、表2に記載のSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第二SNP群についてアレルを測定する測定工程、並びに
    (2)前記測定工程で得られた測定結果に基づいて、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報を取得する情報取得工程、
    を含む、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法。
  2. 前記情報取得工程が、
    (a)前記測定工程において測定されたアレルの各々がリスクアレルであるか否かを判別する工程、
    (b)前記リスクアレルを計数する工程、および
    (c)前記工程(b)で得られたリスクアレルの数に基づいて、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報を取得する工程
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(c)において、
    前記工程(b)で得られた前記リスクアレルの数が所定のカットオフ値以上の場合に、前記被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが高いという情報が取得される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記工程(c)において、
    前記工程(b)で得られたリスクアレルの数が所定のカットオフ値未満の場合に、前記被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが低いという情報が取得される、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記工程(c)において、
    前記工程(b)で得られたリスクアレルの数が第一のカットオフ値未満の場合に、前記被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが低いという情報が取得され、
    前記リスクアレルの数が前記第一のカットオフ値以上かつ第二のカットオフ値未満の場合に、前記被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが中程度であるという情報が取得され、
    前記リスクアレルの数が前記第二のカットオフ値以上の場合に、前記被検者の広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが高いという情報が取得される、
    請求項2に記載の方法。
  6. 被検者から採取した生体試料を用いて、表1に記載のSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第一SNP群と、表2に記載のSNP IDで特定されるSNPから選択される少なくとも30個のSNPからなる第二SNP群についてアレルを測定する測定工程
    を含み、前記測定工程で得られた測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクの指標となる、広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法。
  7. 前記測定工程で得られたアレルのうちのリスクアレルの数が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクの指標となる、請求項6に記載の方法。
  8. 前記リスクアレルの数が所定のカットオフ値以上の場合、前記測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが高いことの指標となる、請求項7に記載の方法。
  9. 前記リスクアレルの数が所定のカットオフ値未満の場合、前記測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが低いことの指標となる、請求項7又は8に記載の方法。
  10. 前記リスクアレルの数が第一のカットオフ値未満の場合、前記測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが低いことの指標となり、
    前記リスクアレルの数が前記第一のカットオフ値以上かつ第二のカットオフ値未満の場合、前記測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが中程度であることの指標となり、
    前記リスクアレルの数が前記第二のカットオフ値以上の場合、前記測定結果が、前記被検者における広義原発開放隅角緑内障の進行リスクが高いことの指標となる、請求項7に記載の方法。
  11. 前記生体試料が、全血、白血球、血漿、血清、リンパ液、涙液、唾液、鼻汁、脳脊髄液、骨髄液、精液、汗、粘膜組織、皮膚組織及び毛根からなる群より選択される1種以上である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
JP2023013303A 2022-02-01 2023-01-31 広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法 Pending JP2023112692A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022014338 2022-02-01
JP2022014338 2022-02-01

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023112692A true JP2023112692A (ja) 2023-08-14

Family

ID=87562201

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023013303A Pending JP2023112692A (ja) 2022-02-01 2023-01-31 広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023112692A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108624650B (zh) 判断实体瘤是否适合免疫治疗的方法和检测试剂盒
KR101614471B1 (ko) 유전체 서열분석을 이용한 태아 염색체 이수성의 진단 방법 및 장치
EA017966B1 (ru) Диагностика фетальной хромосомной анэуплоидии с использованием геномного секвенирования
WO2011006119A2 (en) Gene expression profiles associated with chronic allograft nephropathy
CN114317532B (zh) 用于预测白血病预后的评估基因集、试剂盒、系统及应用
CN114891876A (zh) 一种诊断高度近视的功能基因组区生物标志物组合
CN115394357A (zh) 用于判断样本配对或污染的位点组合及其筛选方法和应用
US20170058347A1 (en) Predicting increased risk for alzheimer&#39;s disease
RU2612630C2 (ru) Способ определения индивидуального генетического риска развития ишемического инсульта
Babker et al. The frequency of factor V leiden mutation among Sudanese pregnant women with recurrent miscarriage
JP7064215B2 (ja) 落屑症候群又は落屑緑内障の発症リスクの判定方法
JP2023112692A (ja) 広義原発開放隅角緑内障の進行リスクに関する情報の取得方法
CN107723370A (zh) 一种用于鼻咽癌基因筛查的荧光定量pcr检测系统及其应用
JP7072803B2 (ja) 広義原発開放隅角緑内障の発症リスクの判定方法
CN116469552A (zh) 一种用于乳腺癌多基因遗传风险评估的方法和系统
JP2023038111A (ja) 広義原発開放隅角緑内障の重症化リスクに関する情報の取得方法
WO2011035249A2 (en) Methods for detecting thrombocytosis using biomarkers
EP3055425B1 (en) Predicting increased risk for cancer
JPWO2007032496A1 (ja) 2型糖尿病の発症リスクの判定方法
WO2012002529A1 (ja) ベーチェット病罹患リスクの判定方法
CN115579056B (zh) 一组用于评估精神分裂症分子分型的基因群及其诊断产品和应用
KR102254341B1 (ko) 유전적 위험도 평가 기반 당뇨병 고위험군 진단 방법
KR102193657B1 (ko) 사상체질 중 태음인 진단용 snp 마커 및 이의 용도
KR102193659B1 (ko) 사상체질 중 소양인 진단용 snp 마커 및 이의 용도
KR102193658B1 (ko) 사상체질 중 소음인 진단용 snp 마커 및 이의 용도

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230206