JP2023111238A - 膨張抑制用セメント混和材、セメント組成物及びその製造方法、アルカリシリカ反応抑制剤、アルカリシリカ反応抑制方法、並びにアルカリシリカ反応抑制用結合材 - Google Patents

膨張抑制用セメント混和材、セメント組成物及びその製造方法、アルカリシリカ反応抑制剤、アルカリシリカ反応抑制方法、並びにアルカリシリカ反応抑制用結合材 Download PDF

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Abstract

【課題】セメント組成物のスラリーの流動性や、材齢初期における当該組成物の硬化物の強度への悪影響を十分に低減しつつ、膨張抑制用セメント混和材を提供する。【解決手段】FCC触媒を含む、膨張抑制用セメント混和材を、セメント、骨材及び水に含有させ、アルカリシリカ反応を抑制したセメント組成物を得る。セメントに対するFCC触媒の添加量は、1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。セメントとして、ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の混合セメント、エコセメント、アルミナセメント等の特殊セメント等を用いることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、膨張抑制用セメント混和材、セメント組成物及びその製造方法、アルカリシリカ反応抑制剤、アルカリシリカ反応抑制方法、並びにアルカリシリカ反応抑制用結合材に関する。
コンクリートの耐久性は、地震の多い我が国において重要な課題である。コンクリートの劣化の一因は、コンクリートの膨張により、ひび割れが起こることである。この膨張の原因のひとつにアルカリシリカ反応がある。アルカリシリカ反応は、セメントから主に供給されるアルカリ金属と、反応性骨材中の非晶質シリカとの化学反応によって生成されるアルカリシリカゲルが吸水膨張して、コンクリートにひび割れを発生させる現象である。このひび割れは、反応の進行に伴って、コンクリート構造物全体に発生することも多く、当該構造物の耐久性の低下につながる。したがって、アルカリシリカ反応の抑制が望まれており、その方法として、シリカフュームやフライアッシュをセメント混和材として用いることが知られている。
例えば非特許文献1においては、シリカフュームの品質特性がコンクリートの諸特性に及ぼす影響を明らかにしており、シリカフュームによるアルカリシリカ反応抑制効果に関しても記載されている。
非特許文献2においては、フライアッシュの物理・化学的特性とアルカリシリカ反応抑制効果との関係が評価され、フライアッシュによるアルカリシリカ反応の抑制機構が考察されている。
土木学会論文集 Vol.520/V-28,87-98,1995.8 土木学会論文集E Vol.63 No.3,379-395,2007.7
セメント混和材としてシリカフュームやフライアッシュを用いることで、アルカリシリカ反応を抑制し、セメント組成物の膨張をある程度抑制することは可能である。しかし、シリカフュームやフライアッシュをセメント混和材として用いた場合、セメント組成物のスラリーの流動性や、材齢初期における当該組成物の硬化物の強度が低下することが知られている。
したがって本発明の課題は、セメント組成物のスラリーの流動性や、材齢初期における当該組成物の硬化物の強度への悪影響を十分に低減しつつ、アルカリシリカ反応を抑制し得るセメント混和材を提供することにある。
本発明は、FCC触媒を含む、膨張抑制用セメント混和材を提供するものである。
本発明は、前記FCC触媒の組成におけるSiOの含有量が30~85質量%であり、Alの含有量が10~60質量%である、膨張抑制用セメント混和材を提供するものである。ここでいうSiOまたはAlの含有量とは、FCC触媒組成におけるSiまたはAl成分を、SiOまたはAlと換算して測定・算出したものである。
本発明は、前記のセメント混和材、セメント、骨材及び水を含む、セメント組成物を提供するものである。
本発明は、前記セメントに対する、FCC触媒の含有量が1質量%以上30質量%以下である、セメント組成物を提供するものである。
本発明は、前記のセメント混和材、セメント、骨材及び水を含み、JIS A1146:2017に準拠して測定された前記骨材の材齢26週における膨張率が0.05%以上である、セメント組成物を提供するものである。
本発明は、前記のセメント混和材、セメント、骨材及び水を混合する工程を含む、セメント組成物の製造方法を提供するものである。
本発明は、FCC触媒を含む、セメント組成物用のアルカリシリカ反応抑制剤を提供するものである。
本発明は、セメント、骨材及び水を含むセメント組成物を製造する工程のうちのいずれかの工程において、FCC触媒を含むセメント混和材が混合された状態とする、セメント組成物のアルカリシリカ反応抑制方法を提供するものである。
本発明は、FCC触媒を含む、セメント組成物用のアルカリシリカ反応抑制用結合材を提供するものである。
本発明のセメント混和材によれば、セメント組成物のスラリーの流動性や、材齢初期における当該組成物の硬化物の強度への悪影響を十分に低減しつつ、アルカリシリカ反応を抑制することができる。
(FCC触媒)
FCC触媒は、ゼオライト、アルミナ、シリカ、及びカオリン等の粘土を含む触媒であって、原料油が流動床で接触分解する過程(FCCプロセス)で使用される触媒の総称であり、例えば、低品位の重質原料油からガソリンやLCOを分留する過程で、分子量の大きな残油の分解やV、Niなどのメタルトラップ剤として使用されるものである。FCC触媒は、通常、前記アルミナ、シリカ、及びカオリン等からなる基質上にイオン交換のゼオライトが適宜に分布され、球状の小粒径粉末をなしている。
また、機能の相違により種々のグレードが存在する。具体的には、市販のFCC触媒、FCCプロセスにて使用されたFCC触媒(以下FCC廃触媒)などを用いることができ、特にFCC廃触媒を用いることにより、コスト低減効果や廃棄物の再利用により環境にも優しい点でも優れる。
FCC触媒全量に対するAl含有量は、10~60質量%であり、15~55質量%であることが好ましく、20~55質量%であることがより好ましく、25~55質量%であることがさらに好ましく、25~50質量%であることがさらにより好ましい。また、FCC触媒全量に対するSiOの含有量は、30~85質量%であり、35~80質量%であることが好ましく、40~75質量%であることがより好ましく、40~70質量%であることがさらに好ましく、45~63質量%であることがさらにより好ましい。
FCC触媒の一例として、平均粒径は20~90μmであることが好ましく、40~90μmであることがより好ましく、50~80μmであることがさらに好ましい。またFCC触媒を粉砕して用いてもよい。
FCC触媒の一例として、比表面積は50m/g以上であることが好ましく、50~300m/gであることがより好ましく、80~250m/gであることがさらに好ましい。
なお、平均粒径の測定は、篩い分け法により行い、比表面積の測定は、BET吸着法により行う。
(膨張抑制用セメント混和材)
FCC触媒は、セメント組成物の膨張を抑制することができる。したがって、セメント混和材として使用するFCC触媒そのものを膨張抑制用セメント混和材と称することもできる。また、FCC触媒は、それを単独で使用した場合と比較して、その特性を失わない範囲で、既知の膨張抑制材料と混合することができ、この混合物を膨張抑制用セメント混和材と称することもできる。例えば、前述のシリカフュームやフライアッシュ、もしくはその他成分をFCC触媒と混合して、セメント混和材として使用することができる。
(その他成分)
その他成分の一例としては、高炉スラグ、亜硝酸リチウム、リチウム含有鉱物、ジカルボン酸又はその塩、ジカルボン酸エステル及び酢酸又はその塩などが挙げられる。
(セメント組成物)
本発明のセメント組成物は、セメント、骨材、及び水を含む。これに加えて、前記セメント混和材を含む。またセメント組成物の形状はスラリー、硬化物、構造物などを包含する。
発明者らは鋭意検討の結果、FCC触媒を水硬性成分であるセメントに含有させることで、セメント組成物のスラリーの流動性や材齢初期における当該組成物の硬化物の強度への悪影響を十分に低減しつつ、セメント組成物の劣化の一因であるアルカリシリカ反応の発生を抑制できることを見出した。
FCC触媒の上述のような機能から、本発明で使用するFCC触媒は、膨張抑制用セメント混和材及びセメント組成物用のアルカリシリカ反応抑制剤として機能する。
セメントに対するFCC触媒の含有量は、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上25質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが一層好ましい。セメントに対するFCC触媒の含有量を上述の範囲に設定することにより、セメント組成物のスラリーの流動性や材齢初期における当該組成物の硬化物の強度への悪影響を更に十分に低減しつつ、セメント組成物の劣化の一因であるアルカリシリカ反応の発生をより十分に低減することができる。
セメント組成物1m当たりの全アルカリ(NaOeq)の含有量は、好ましくは1~10kg、より好ましくは2~7kg、更に好ましくは3~5kgである。このような範囲であることによって、セメント組成物の硬化物の強度を十分に発現させることができる。
全アルカリは、測定対象物としてセメント組成物の硬化物を微粉砕した粉体を用い、これをJIS R5202:2015に記載の測定方法で測定することができる。セメント組成物に使用された各材料中のアルカリ量が判明している場合には、JIS A5308:2019の附属書Bの記載に従って、各材料中のアルカリを総和して算出してもよい。全アルカリを上述の範囲に調整するためには、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの金属水酸化物を添加する等の方法が挙げられる。
セメントは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等の各種のポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の混合セメント、エコセメント、アルミナセメント等の特殊セメント等を用いることができる。これらは単独で使用してもよく、複数組み合わせて用いることができる。これらのセメントとして、例えばJIS R5210:2019、JIS R5211:2009、JIS R5212:2009、JIS R5213:2009及びJIS R5214:2019にそれぞれ規定されるセメントを用いることもできる。
骨材としては、細骨材及び粗骨材が挙げられる。これらの骨材は、目的とする組成物の性状に応じて、細骨材のみを使用したモルタルの態様とするか、あるいは、細骨材及び粗骨材をともに使用したコンクリートの態様とすることができる。
細骨材としては、例えば、川砂、山砂、陸砂及び海砂等の天然骨材、砕砂、珪砂、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材及び電気炉酸化スラグ細骨材等の人工細骨材や、再生細骨材、ガラスカレット等が挙げられる。これらは単独で又は複数組み合わせて用いることができる。これらの細骨材として、例えばJIS A1102:2014に規定される細骨材が挙げられる。
粗骨材としては、例えば、川砂利、海砂利、山砂利、砕石、スラグ砕石等が挙げられる。これらは単独で又は複数組み合わせて用いることができる。これらの粗骨材として、例えばJIS A5005:2020に規定される粗骨材が挙げられる。
密度を高めて強度が十分に発現したセメント組成物の硬化物を得る観点から、細骨材の含有量は、セメント100質量部に対して、50~450質量部であることが好ましく、100~350質量部であることがより好ましく、150~300質量部であることがさらに好ましい。
また同様の観点から、粗骨材を含む場合、当該粗骨材の含有量は、セメント100質量部に対して、100~450質量部であることが好ましく、150~400質量部であることがより好ましく、200~350質量部であることがさらに好ましい。
セメント組成物に含まれる骨材は、その膨張率が所定の範囲であることが好ましい。詳細には、JIS A1146:2017に準拠して測定された材齢26週における骨材の膨張率は、0.05%以上であることが好ましく、0.05~5%であることがより好ましく、0.10~3%であることがさらに好ましく,0.20~2%であることがさらにより好ましく、0.40~1%であることがより一層好ましい。このような範囲であることによって、得られるセメント組成物におけるアルカリシリカ反応の抑制効果を十分に発現できる。
骨材の膨張率とアルカリシリカ反応の発生とは相関関係があるところ、このような膨張率であることによって、「無害でない」とされた膨張率(材齢26週で0.1%以上)を有する骨材を使用した場合でも、アルカリシリカ反応を十分に抑制することができる。また骨材は、その産地や採取時期、あるいは用いる原材料によって膨張率の変動が生じ得るところ、使用する骨材の選別に時間やコストを過度に要する必要がなくなるとともに、資源を有効に利用することができる。
上述した骨材の膨張率は、アルカリシリカ反応抑制の観点から、少なくとも細骨材において満たすことが好ましく、粗骨材を用いる場合には、細骨材及び粗骨材の双方において満たすことがより好ましい。
細骨材の絶乾密度は、2.4~5g/cmであることが好ましく、2.5~4g/cmであることがより好ましく、2.5~3g/cmであることがさらに好ましい。細骨材がこのような密度であることによって、アルカリシリカ反応を効果的に抑制することができるとともに、得られるセメント組成物の品質が向上する。絶乾密度は、例えばJIS A1109:2020に準じて測定することができる。また、本明細書において、セメント組成物の品質とは、硬化後の強度、耐久性、水密性、ひび割れ抵抗性及び鋼材を保護する性能等を意味する。
細骨材の表乾密度は、2.4~5g/cmであることが好ましく、2.5~4g/cmであることがより好ましく、2.6~3g/cmであることがさらに好ましい。細骨材がこのような密度であることによって、アルカリシリカ反応を効果的に抑制することができるとともに、得られるセメント組成物の品質が向上する。表乾密度は、例えばJIS A1109:2020に準じて測定することができる。
細骨材の吸水率は、少なければ少ないほど好ましいが、0%超4.0%以下であることが好ましく、0.5~3.0%であることがより好ましく、1.0%~2.0%であることがさらに好ましい。細骨材がこのような吸水率であることによって、打設時や圧送時におけるセメント組成物のスラリーのワーカビリティが向上するとともに、得られるセメント組成物の品質が向上する。吸水率は、例えばJIS A1109:2020に準じて測定することができる。
細骨材の粗粒率は、1.0~4.5であることが好ましく、1.5~4.0であることがより好ましく、2.0~3.5であることがさらに好ましく、2.5~3.0であることがさらにより好ましい。細骨材がこのような粗粒率であることによって、フレッシュ時のセメント組成物のスラリーのワーカビリティを向上させるといった効果が奏される。粗粒率は、例えばJIS A1102:2020に準じて測定することができる。
水は、例えば上水道水、井戸水、雨水、蒸留水、精製水、イオン交換水等の本技術分野において通常用いられる水を特に制限なく用いることができる。
セメント組成物の硬化物の強度を更に高める観点から、水セメント比(セメント質量に対する水質量の比)は、0.3~0.7であることが好ましく、0.35~0.65であることがより好ましく、0.4~0.6であることがさらに好ましい。
本発明の効果が奏される限りにおいて、必要に応じて、上述したセメント、骨材、水、並びに膨張抑制用セメント混和材以外の他の混和材料を、任意の順序で又は同時に更に添加してもよい。
膨張抑制用セメント混和材以外の他の混和材料は、例えばJIS R5212:2009に規定されるシリカ質混合材、石膏、炭酸カルシウム、石灰石又はその粉末、化学混和剤等が挙げられる。
化学混和剤としては、例えばJIS A6204:2011に規定される混和剤などが挙げられ、具体的には、減水剤、高性能減水剤、AE剤、AE減水剤、消泡剤、収縮低減剤、流動化剤、増粘剤、硬化促進剤等が挙げられる。
(セメント組成物の製造方法及びアルカリシリカ反応抑制方法)
上述した実施形態のセメント組成物は、当該セメント組成物を構成するセメント、骨材、水及び膨張抑制用セメント混和材を混合して製造する。膨張抑制用セメント混和材、すなわちセメント組成物用のアルカリシリカ反応抑制剤は、これらの原料の混合工程における、任意の工程、すなわちいずれかの工程において、前記原料中に投入して混合する。
例えば、混合に使用するミキサにセメントと前記混和材とを入れ、その後に、骨材及び水を順次投入するようにしてもよいし、当該ミキサにセメント及び骨材を入れ、その後に混和材を入れた後、水を混合するようにしてもよい。更には、ミキサにセメント、骨材及び水を入れた後、混和材を入れるようにしてもよい。また、膨張抑制用セメント混和材以外の他の混和材料を用いる場合、両者を別々にミキサに入れてもよいし、同時に入れてもよい。さらに、一方をミキサに入れて混合してから、他方を入れてもよい。
このように混合することで、セメント組成物用のアルカリシリカ反応抑制方法を提供することができる。すなわち、本発明のセメント組成物用のアルカリシリカ反応抑制方法とは、セメント、骨材及び水を含むセメント組成物を製造する工程のうちのいずれかの工程において、FCC触媒を含む膨張抑制用セメント混和材が混合された状態とすることである。
混合に使用するミキサは特に限定されず、ケミカルミキサ、モルタル用ミキサ、二軸強制練りミキサ、パン型ミキサ、グラウトミキサ等を使用することができる。
(アルカリシリカ反応抑制用結合材)
結合材は、水と反応し、セメント組成物の硬化物の強度発現に寄与する物質を生成するものであり、具体的にはセメント、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等である。
本発明のアルカリシリカ反応抑制用結合材は、FCC触媒を含み、さらに当該結合材はセメントを含む。セメントとしては上述した種類のセメントが挙げられる。これらのうち一種を単独で使用してもよく二種以上を組み合わせて使用してもよい。またFCC触媒や他の混和材料を適時セメントに加えて使用してもよい。
本発明のアルカリシリカ反応抑制用結合材は、FCC触媒を含むため、アルカリシリカ反応を抑制することができる。
本発明のセメント混和材や結合材は、FCC触媒を含むことで、セメント組成物のアルカリシリカ反応を抑制することができるため、セメント組成物用のアルカリシリカ反応抑制剤として機能する。
以上の実施形態のセメント組成物は、アルカリシリカ反応を抑制しつつ、セメント組成物のスラリーの流動性や当該組成物の硬化物の強度を発現することができる。このセメント組成物はアルカリシリカ反応を抑制するための特徴の一つであるFCC触媒を含むので、アルカリシリカ反応を予防保全的に抑制できる点でも有利である。また例えばFCC廃触媒を用いることにより、製造コストが低減され、かつ産業廃棄物の有効利用促進による地球環境保全に貢献できる技術となる。
以下に、実施例を挙げて本発明の内容を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の例中、特に断らない限り「%」は質量%を意味する。
[1.使用材料]
使用した材料を以下の表1に示す。なお本実施例では、評価の便宜上、骨材として細骨材のみを含むモルタルを用いて評価した。
各アルカリ量は、JIS R5202:2015によって測定された値である。
[2.モルタルの配合]
アルカリシリカ反応抑制試験に用いたセメント組成物(モルタル)の配合を表2に示す。配合は、JIS A1146:2017に準拠し、混和材は、表1に示す材料を表3に示す割合となるように添加した。骨材はアルカリシリカ反応を促進させる反応性骨材として知られるガラスカレットや川砂を用いた。ガラスカレット及び川砂の粒度調整はJIS A1146:2017に準拠し、表2に示す。セメントの全アルカリ量はNaOeqで1.2%となるように水酸化ナトリウム水溶液を添加した。またこれとは別に、混和材を非含有のものも併せて作製した。
フロー値及び圧縮強度試験に用いたセメント組成物(モルタル)の配合は、質量比でセメント又はセメントと混和材の混合物1、標準砂2.25、水0.5とした。混和材は、表4に示す割合で添加した。
[3.膨張率の評価]
表2のとおり材料を配合したセメント組成物を用いて、JIS A1146:2017に記載の方法に準じて供試体を作成し、材齢4週(28日)または8週(56日)における供試体の膨張率を測定した。なお、養生は、外部に流出しないように水分が常に保たれている吸取紙で供試体を覆い、これをビニール袋に入れ密閉した状態で、温度40±2℃、相対湿度95%RH以上の環境下で行った。その結果を表3に示す。また表3で示している判定の基準を以下に示す。
○:膨張率が0.1%未満。
△:膨張率が0.1%以上、0.2%未満。
×:膨張率が0.2%以上。
但し、ここでの「%」は質量%ではなく、長さの変化率を表す。
[4.15打モルタルフローの評価]
モルタルフローの評価は、JIS R5201:2015に記載の「12.2 フロー値の測定」に準じて測定した。結果を以下の表4に示す。また表4で示している判定の基準を以下に示す。
○:フロー値が185mm以上。
△:フロー値が155mm以上185mm未満。
×:フロー値が155mm未満。
[5.圧縮強度の評価]
圧縮強度の評価は、JIS R5201:2015に記載の「11.5 供試体の作り方」に準じて、温度23±3℃で24±2時間、封かん養生を行った後に脱型して供試体を取得し、その後、材齢28日まで、23±3℃の水中で養生し、JIS R5201:2015に記載の「11.6 測定」に準じて圧縮強度(N/mm)を測定した。
混和材非含有の圧縮強度の値を100とし、各混和材含有時の圧縮強度を相対値で表した。結果を以下の表4に示す。また表4で示している判定の基準を以下に示す。
○:圧縮強度相対値が96以上。
△:圧縮強度相対値が93以上96未満。
×:圧縮強度相対値が93未満。
表3に示すように、実施例1の膨張率は、比較例1よりも小さくなっており、アルカリシリカ反応を抑制できることが判る。また実施例2より、FCC触媒の配合量を増やすことでアルカリシリカ反応を更に抑制できることが判る。実施例1と実施例3より、SiOの含有量やAlの含有量が異なるFCC触媒を用いてもアルカリシリカ反応を同様に抑制できることが判る。実施例1及び実施例2と比較例2及び比較例4より、FCC触媒はフライアッシュよりアルカリシリカ反応を抑制できることが判る。また実施例4と比較例5、比較例6より反応性骨材を使用した場合においてもFCC触媒はアルカリシリカ反応を抑制でき、さらにその効果はフライアッシュよりも高いことが判る。FCC触媒とフライアッシュはともにSiO、Alを主成分とする組成物であり、その含有量にも大きな違いは見られないが、アルカリシリカ反応抑制効果が大きく異なることから、FCC触媒とフライアッシュはその合成プロセスの違いにより、アルカリシリカ抑制効果に違いが生じていると考えられる。
また表4に示す実施例5と比較例7から9より、FCC触媒はセメント組成物のスラリーの流動性を大きく低下させず、更に当該組成物の硬化物の圧縮強度は混和材非含有の時の強度を維持できることが判る。シリカフュームは添加によりセメント組成物のスラリーの流動性に対する悪影響が大きいこと、フライアッシュは添加によりセメント組成物の硬化物の圧縮強度の低下があることが大きな課題となっていることから、FCC触媒はアルカリシリカ反応の抑制効果に優れるとともに、セメント組成物のスラリーの流動性や当該組成物の硬化物の強度発現に対する影響も少ないバランスの取れた優れた混和材であることが判る。
更にFCC触媒としてFCC廃触媒を用いることで、コスト低減効果に優れ、かつ産業廃棄物の有効利用促進による地球環境保全に貢献できる技術となり得る。

Claims (9)

  1. FCC触媒を含む、膨張抑制用セメント混和材。
  2. 前記FCC触媒の組成におけるSiOの含有量が30~85質量%であり、Alの含有量が10~60質量%である、請求項1に記載の膨張抑制用セメント混和材。
  3. 請求項1又は2に記載のセメント混和材、セメント、骨材及び水を含む、セメント組成物。
  4. 前記セメントに対する、FCC触媒の含有量が1質量%以上30質量%以下である、請求項3に記載のセメント組成物。
  5. 前記骨材はJIS A1146:2017に準拠して測定された骨材の材齢26週における膨張率が0.05%以上である、請求項3又は4に記載のセメント組成物。
  6. 請求項1又は2に記載のセメント混和材、セメント、骨材及び水を混合する工程を含む、セメント組成物の製造方法。
  7. FCC触媒を含む、セメント組成物用のアルカリシリカ反応抑制剤。
  8. セメント、骨材及び水を含むセメント組成物を製造する工程のうちのいずれかの工程において、FCC触媒を含むセメント混和材が混合された状態とする、セメント組成物のアルカリシリカ反応抑制方法。
  9. FCC触媒を含む、セメント組成物用のアルカリシリカ反応抑制用結合材。
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