JP2023109561A - 磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク及び磁気ディスク - Google Patents

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【課題】高平滑性及び高耐力を示す磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク及び磁気ディスクを提供する。【解決手段】Mg:3.50質量%以上4.50質量%以下、Cr:0質量%以上0.20質量%以下、Cu:0質量%以上0.30質量%以下、Zn:0質量%以上0.60質量%以下、Fe:0質量%以上0.35質量%以下、Si:0質量%以上0.35質量%以下、Mn:0質量%以上0.60質量%以下、Be:0質量%以上0.0020質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクであって、前記アルミニウム合金ブランクの表面における圧延方向の方位パラメーターの合計値が800以上である磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク及び当該アルミニウム合金ブランクを用いた磁気ディスクに関する。
ハードディスクドライブ(以下、「HDD」と省略する)は、コンピュータ、映像記録装置等の電子機器における記憶装置として多用されている。HDDには、データを記録するための磁気ディスクが組み込まれている。一般に、磁気ディスクは、アルミニウム合金からなり円環状を呈するアルミニウム合金基板と、アルミニウム合金基板の表面を覆うNi-Pめっき処理層と、Ni-Pめっき処理層上に積層された磁性体層とを有している。
近年、サーバやデータセンター等の業務用、及び、パーソナルコンピュータや映像記録装置等の家庭用のいずれの用途においても、HDDに記録する情報量が多くなってきている。かかる状況に対応してHDDの容量を大きくするため、HDDに組み込まれる磁気ディスクの記録密度を高めることが求められている。磁気ディスクの記録密度を高くするためには、アルミニウム合金基板上に平滑なNi-Pめっき処理層を形成する。
磁気ディスクは、通常、以下の方法により作製される。まず、アルミニウム合金の圧延板を円環状に打ち抜いてディスクブランクを作製する。次いで、ディスクブランクを厚み方向の両側から加圧しつつ加熱してディスクブランクの反りを小さくする。その後、ディスクブランクに切削加工及び研削加工を行い、所望の形状に成形することによりアルミニウム合金基板が得られる。このようにして得られたアルミニウム合金基板に、Ni-Pめっき処理層を形成するための前処理、無電解Ni-Pめっき処理及び磁性体層のスパッタリングを順次行うことにより、磁気ディスクを作製することができる。
アルミニウム合金基板の作製に用いられるアルミニウム合金としては、例えば、JIS A5086系合金が多用されている。
磁気ディスクには、マルチメディア等のニーズから大容量化及び高密度化が求められている。更なる大容量化のため、読み書き時のヘッドの浮上量を低くする傾向があるが、磁気ディスクの表面にうねりが存在すると、磁気ディスクが磁気ヘッドと衝突し、記録エラーの原因となるため、うねりの低減が求められている。また、従来から安定した加工及び使用ができるように、磁気ディスク用のアルミニウム合金基板には高い耐力が要望されている。
そこで、うねりの低減により平滑性をより向上させることを目的として、アルミニウム合金板の表面における平均結晶粒径を低減する技術等が検討されている。例えば、特許文献1には、Mg:4.5質量%以上6.0質量%以下、Mn:0.10質量%以上0.55質量%以下、Si:0.025質量%以下、Fe:0.025質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなる磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクにおいて、アルミニウム合金ブランクの表面における平均結晶粒径を微細にする方法が記載されている。
特開2017-014584号公報
特許文献1の方法によれば、Mn等を添加することで結晶粒径を微細にし、うねりを低減することができる。しかしながら、特許文献1の方法では結晶粒径の微細化が不十分であり、近年の大容量化に要求されるヘッド浮上量の低下に対応することが困難であった。
本発明は、高平滑性及び高耐力を示す磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク及び磁気ディスクを提供することを目的とする。
本発明者らは、所定の合金組成を有するアルミニウム合金ブランクにおいて、アルミニウム合金ブランクの表面における結晶方位に関するパラメーターを適切に制御することにより、うねりの低減により平滑性が向上すると共に高い耐力を示す磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク及び磁気ディスクを実現できることを見出した。
本実施態様に係る磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクは、Mg:3.50質量%以上4.50質量%以下、Cr:0質量%以上0.20質量%以下、Cu:0質量%以上0.30質量%以下、Zn:0質量%以上0.60質量%以下、Fe:0質量%以上0.35質量%以下、Si:0質量%以上0.35質量%以下、Mn:0質量%以上0.60質量%以下、Be:0質量%以上0.0020質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記アルミニウム合金ブランクの表面における圧延方向の方位パラメーターの合計値が800以上である。
本発明の一実施態様において、前記アルミニウム合金ブランクの表面における平均結晶粒径が12.0μm以上である。
本発明の一実施態様において、前記方位パラメーターは、EBSD解析によって得られた結晶方位から変換したミラー指数に基づき算出される。
本発明の実施態様に係る磁気ディスクは、上述の磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクを用いて形成されたアルミニウム合金基板と、前記アルミニウム合金基板の表面に設けられたNi-Pめっき処理層と、前記Ni-Pめっき処理層上に設けられた磁性体層とを備える。
本発明によれば、高平滑性及び高耐力を示す磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク及び磁気ディスクを実現することができる。
図1は、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクの方位パラメーターを算出するために、EBSD解析ソフトを用いて作成したアルミニウム合金ブランクの集合組織表層モデルを示す。
以下、本実施形態に係る磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク及び磁気ディスクについて詳細に説明する。
1.磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク
本実施形態に係る磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク(以下、「アルミニウム合金ブランク」とも称する)は、所定の合金組成のアルミニウム合金を用いてアルミニウム合金板を作製し、これをディスクブランク状に打ち抜くことで得られる。アルミニウム合金ブランクは、Mg:3.50質量%以上4.50質量%以下、Cr:0質量%以上0.20質量%以下、Cu:0質量%以上0.30質量%以下、Zn:0質量%以上0.60質量%以下、Fe:0質量%以上0.35質量%以下、Si:0質量%以上0.35質量%以下、Mn:0質量%以上0.60質量%以下、Be:0質量%以上0.0020質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる合金組成を有する。また、アルミニウム合金ブランクは、アルミニウム合金ブランクの表面における圧延方向の方位パラメーターの合計値が800以上である金属組織を有する。
このように、所定の合金組成を有するアルミニウム合金ブランクの表面において、結晶方位に関するパラメーターである方位パラメーターを適切に制御することにより、アルミニウム合金ブランクの剛性が向上すると共に、変形を抑えることが可能となり、更にはうねりの発生を抑制することができる。また、アルミニウム合金ブランクの合金組成として、必須成分であるMgの含有量が3.50質量%以上4.50質量%以下であることによって高い耐力を達成することができる。この理由は、Mgは、主として固溶Mgとして存在し、強度を向上させる効果を発揮することから、Mgの含有量を3.50質量%以上4.50質量%以下とすることで耐力が向上するためである。この結果、アルミニウム合金ブランクにおいて、うねりの低減による平滑性の向上と高い耐力を両立させることができる。
<合金組成>
アルミニウム合金ブランクに用いるアルミニウム合金の合金組成について、以下に詳細に説明する。
(Mg:マグネシウム)
Mgはアルミニウム合金に必須元素として含有され、主として固溶Mgとして存在し、アルミニウム合金ブランクの強度を向上させる効果を発揮する。また、アルミニウム合金ブランクのジンケート処理時のジンケート皮膜を均一に、薄く、且つ緻密に付着させるため、ジンケート処理工程の次工程であるめっき工程において、Ni-Pからなるめっき表面の平滑性を向上させる。
しかしながら、Mgの含有量が3.50質量%未満ではアルミニウム合金ブランクの強度が不十分であり、切削や研削の加工時等に変形してしまう。更に、ジンケート処理により生成するジンケート皮膜が不均一となり、めっきの密着性や平滑性が低下する。一方、Mgの含有量が4.50質量%を超えると、強度が高くなりすぎて圧延時に割れが発生するおそれがある。そのため、アルミニウム合金ブランクにおいて、アルミニウム合金中のMgの含有量は3.50質量%以上4.50質量%以下である。なお、Mgの含有量は、強度と製造性との兼合いから、好ましくは3.70質量%以上4.40質量%であり、より好ましくは3.80質量%以上4.30質量%以下である。
アルミニウム合金は、Mgに加えて、更に、Cr、Cu、Zn、Fe、Si、Be及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素を更なる任意成分として含んでいてもよい。以下に、各任意成分について詳細に説明する。
(Cr:クロム)
アルミニウム合金には、任意成分として0.20質量%以下のCrが含まれていてもよい。Crは、Al-Cr系金属間化合物や固溶Crとして存在し、アルミニウム合金ブランクの再結晶組織をより微細化させる効果を発揮する。Crの含有量を0.20質量%以下にすることにより、アルミニウム合金ブランクの表面のうねりが低減し、平滑性を高めることができる。
一方、Crの含有量が多過ぎると、アルミニウム合金ブランク中に粗大なAl-Cr系金属間化合物が形成されやすくなる。このような粗大なAl-Cr系金属間化合物がアルミニウム合金ブランクの表面から脱落した場合、後工程の無電解Ni-Pめっき処理においてめっきピットが形成されやすくなる。また、粗大晶出物と呼ばれる最長径1000μm程度のAl-Cr系金属間化合物が形成される場合があり、圧延時等にこのような粗大晶出物を起点に割れが発生する可能性がある。
アルミニウム合金中のCrの含有量が0.20質量%以下、好ましくは0.15質量%以下であることにより、めっきピットの形成を抑制し、磁気ディスクの作製の際にNi-Pめっき処理層の平滑性をより高めることができる。なお、Crの含有量の下限は0.01質量%であることが好ましく、0.02質量%であることがより好ましい。
(Cu:銅)
アルミニウム合金には、任意成分として0.30質量%以下のCuが含まれていてもよい。Cuは、磁気ディスクの製造過程においてジンケート処理を行った際に、アルミニウム合金からのAlの溶出を抑制する作用を有する。Cuの含有量が0.30質量%以であることにより、磁気ディスクの製造過程においてジンケート処理を行った際に、アルミニウム合金基板の表面に、緻密で厚みが薄く、且つ厚みのバラつきが小さいZn皮膜を付着させることができる。そして、このようなZn皮膜を形成することにより、後工程である無電解Ni-Pめっき処理によって平滑なNi-Pめっき処理層を形成することができる。
一方、Cuの含有量が多過ぎると、アルミニウム合金ブランクの耐食性が低下し、局所的にAlが溶出しやすい領域が形成される。そのため、磁気ディスクの製造過程においてジンケート処理を行った際に、アルミニウム合金基板の表面においてAlの溶解量にムラが発生し、Zn皮膜の厚みのバラつきが大きくなりやすい。その結果、Ni-Pめっき処理層とアルミニウム合金基板との密着性の低下やNi-Pめっき処理層の平滑性の低下を招くおそれがある。
アルミニウム合金中のCuの含有量が0.30質量%以下、好ましくは0.15質量%以下とすることにより、めっきピットの形成を抑制し、Ni-Pめっき処理層の平滑性をより高めることができる。なお、Cuの含有量の下限は、0.0050質量%であることが好ましく、0.010質量%であることがより好ましい。
(Zn:亜鉛)
アルミニウム合金中には、任意成分として0.60質量%以下のZnが含まれていてもよい。Znは、Cuと同様に、ジンケート処理におけるアルミニウム合金からのAlの溶出を抑制する作用を有する。Znの含有量が0.60質量%以下であることにより、磁気ディスクの製造過程においてジンケート処理を行った際に、アルミニウム合金基板の表面に、緻密で厚みが薄く、且つ厚みのバラつきが小さいZn皮膜を付着させることができる。そして、このようなZn皮膜を形成することにより、後工程である無電解Ni-Pめっき処理によって平滑なNi-Pめっき処理層を形成することができる。
一方、Znの含有量が多過ぎると、アルミニウム合金ブランクの耐食性が低下し、局所的にAlが溶出しやすい領域が形成される。そのため、磁気ディスクの製造過程においてジンケート処理を行った際に、アルミニウム合金基板の表面においてAlの溶解量にムラが発生し、Zn皮膜の厚みのバラつきが大きくなりやすい。その結果、Ni-Pめっき処理層とアルミニウム合金基板との密着性の低下やNi-Pめっき処理層の平滑性の低下を招くおそれがある。
アルミニウム合金中のZnの含有量が0.60質量%以下、好ましくは0.50質量%以下であることにより、めっきピットの形成を抑制し、Ni-Pめっき処理層の平滑性をより高めることができる。なお、Znの含有量の下限は、0.10質量%であることが好ましく、0.25質量%であることがより好ましい。
(Fe:鉄、Si:ケイ素)
アルミニウム合金中には、任意成分として各々0.35質量%以下のFe及びSiが含まれていてもよい。Feは、Alマトリクス中にほとんど固溶せず、Al-Fe系金属間化合物としてアルミニウム合金ブランク内に分散している。Siは、アルミニウム合金にMgが含有される場合に、Mgとの間にMg-Si系金属間化合物を形成する。
このようなAl-Fe系金属間化合物やMg-Si系金属間化合物がアルミニウム合金ブランクの表面から脱落した場合、後工程である無電解Ni-Pめっき処理においてめっきピットが形成されやすくなる。アルミニウム合金中のFe及びSiの含有量がそれぞれ0.35質量%以下、好ましくは0.050質量%以下であることにより、アルミニウム合金ブランク中に存在する上記金属間化合物量をより低減することができる。その結果、めっきピットの形成を抑制し、Ni-Pめっき処理層の平滑性をより高めることができる。
上記金属間化合物によるめっきピットの発生を抑制するためには、Fe及びSiの各含有量を少なくすることが好ましい。しかしながら、これらの元素は、一般的な純度の地金はもとより、Alの純度が99.9質量%以上である高純度の地金にも含まれている。そのため、FeとSiを殆ど含有しないアルミニウム合金ブランクを作製しようとすると、鋳造時にこれらの元素を除去するための特殊な処理を行う必要があり、アルミニウム合金ブランクの製造コストの増大を招くことになる。
また、アルミニウム合金中のFe及びSiの含有量がそれぞれ0.0010質量%以下であれば、これらの元素を除去するための特殊な処理を行うことなくアルミニウム合金ブランクを作製することができる。その結果、アルミニウム合金ブランクの製造コストの増大を回避しつつ、アルミニウム合金ブランクの平滑性をより高めることができる。一方、アルミニウム合金中のFe及びSiの含有量がそれぞれ0.0010質量%を超えても0.35質量%以下であれば、より純度の低い地金を用いてアルミニウム合金ブランクを作製することができる。これにより、アルミニウム合金ブランクの材料コストをより低減することができる。
(Be:ベリリウム)
アルミニウム合金中には、任意成分として0.0020質量%以下のBeが含まれていてもよい。Beは、Mgを含むアルミニウム合金を鋳造する際に、Mgの酸化を抑制することを目的として溶湯内に添加される元素である。アルミニウム合金中に含まれるBeの含有量が0.0020質量%以下であることにより、磁気ディスクの製造過程においてアルミニウム合金基板の表面に形成されるZn皮膜をより緻密にするとともに、厚みのバラつきをより小さくすることができる。その結果、アルミニウム合金ブランク上に形成されるNi-P処理層の平滑性をより高めることができる。
一方、アルミニウム合金中のBeの含有量が多過ぎると、アルミニウム合金ブランクの製造過程においてアルミニウム合金ブランクが加熱された際に、アルミニウム合金ブランクの表面にBe系酸化物が形成されやすくなる。また、アルミニウム合金が更にMgを含有する場合、アルミニウム合金ブランクが加熱された際に、アルミニウム合金ブランクの表面にAl-Mg-Be系酸化物が形成されやすくなる。これらの酸化物量が多くなると、Zn皮膜の厚みのバラつきが大きくなり、めっきピットの発生を招くおそれがある。
アルミニウム合金中のBe含有量が0.0020質量%以下、好ましくは0.0010質量%以下であることにより、Al-Mg-Be系酸化物の量が低減し、Ni-Pめっき処理層の平滑性をより高めることができる。なお、Beの含有量の下限については、0.0002質量%であることが好ましい。
(Mn:マンガン)
アルミニウム合金中には、任意成分として0.60質量%以下のMnが含まれていてもよい。Mnの一部は、鋳造時に生じる微細な金属間化合物としてアルミニウム合金ブランク内に分散している。鋳造時に金属間化合物を形成しなかったMnはAlマトリクス中に固溶し、固溶強化によってアルミニウム合金ブランクの強度を向上させる作用を有する。
一方、アルミニウム合金中のMnの含有量が多過ぎると、アルミニウム合金ブランク中に粗大なAl-Mn系金属間化合物が形成されやすくなる。このような粗大なAl-Mn系金属間化合物がアルミニウム合金ブランクの表面から脱落した場合、後工程の無電解Ni-Pめっき処理においてめっきピットが形成されやすくなる。
アルミニウム合金中のMn含有量が0.60質量%以下、好ましくは0.50質量%以下であることにより、めっきピットの形成を抑制し、平滑なNi-Pめっき処理層を形成するとともにアルミニウム合金基板の強度をより向上させることができる。なお、Mnの含有量の下限は、0.001質量%であることが好ましく、0.005質量%であることがより好ましい。
(その他の元素)
アルミニウム合金には、上述した必須成分及び任意成分以外の不可避的不純物となる元素が含まれていてもよい。これらの元素としては、例えば、Zr、Ti、B、Si、Gaなどが挙げられ、その含有量は、各元素について0.10質量%以下、合計で0.30質量%以下であれば本発明の作用効果を損なわない。上述のように、本発明においては、Siを任意成分として積極的に添加することもできるが、積極的に添加せず不可避的不純物となる場合もある。Siは、一般的な純度の地金はもとより、Alの純度が99.9質量%以上である高純度の地金にも不可避的不純物として含まれるため、このように不可避的不純物として含まれる場合も、0.10質量%以下であれば本発明の作用効果を損なわない。なお、Siを任意成分として積極的に添加する場合は、上記のように金属間化合物量低減の観点から、アルミニウム合金中のSiの含有量は0.35質量%以下であることが好ましい。
<金属組織>
アルミニウム合金ブランクが有する金属組織について、以下に詳細に説明する。
(方位パラメーター)
本実施形態に係るアルミニウム合金ブランクの表面において、圧延方向の方位パラメーターの合計値は800以上である。アルミニウム合金ブランクの表面における圧延方向の方位パラメーターの合計値を800以上とすることにより、アルミニウム合金ブランクの表面の圧延方向の剛性を向上させる効果を発揮する。その結果、アルミニウム合金ブランクの表面の変形が抑制され、うねりが低減し、平滑性を高めることができる。このような方位パラメーターは、EBSD解析によって得られた結晶方位から変換したミラー指数に基づき算出され、具体的には、以下の式(1)で表される。
Figure 2023109561000002
式(1)中、hklは各結晶の方位を表すためのミラー指数であり、<hkl>方位は{hkl}面の法線方向を意味する。この方位パラメーターと材料の剛性を表す指標であるヤング率は良好な相関があり、方位パラメーターが大きい程ヤング率も大きくなる。アルミニウム合金ブランクの表面における各結晶は、方位によってヤング率が異なるものの、特に圧延方向では低くなる傾向にあるため、表面研削時等の加工時にその方向にアルミニウム合金ブランクの表面が変形しやすくなり、うねりが大きくなる。そのため、圧延方向における方位パラメーターの合計値を大きくすることで、うねりを低減することが可能となり、平滑性を高めることができる。なお、方位パラメーターの算出をアルミニウム合金ブランクの表面としたのは、アルミニウム合金ブランクの表面が、曲げ等の変形の際に変形が一番大きくなる部分であり、この表面の方位を制御することで変形を抑制できるためである。
方位パラメーターの合計値が800未満の場合、剛性が不十分であるため、うねりが増加し、平滑性が低下する原因になる。そのため、方位パラメーターの合計値は800以上であり、好ましくは850以上であり、より好ましくは900以上である。なお、アルミニウム合金ブランクの表面における圧延方向の各結晶の方位は、走査電子顕微鏡に付属の後方散乱電子回折測定装置(SEM-EBSD)を用いることで測定可能である。
(平均結晶粒径)
本実施形態に係るアルミニウム合金クブランクの表面における平均結晶粒径は、12.0μm以上であることが好ましい。平均結晶粒径が小さ過ぎると、欠陥部である粒界が増えて全体のヤング率が低下し、うねりが大きくなるおそれがある。そのため、アルミニウム合金ブランクの表面における平均結晶粒径は、12.0μmであることが好ましく、15.0μm以上であることがより好ましくい。
<アルミニウム合金ブランクの製造方法>
以下、アルミニウム合金ブランクの製造方法について詳細に説明する。
1.アルミニウム合金板の作製
(1)鋳造工程
まず、所定の合金組成を有するアルミニウム材の原料を溶解し、溶湯を溶製してからこれを鋳造して鋳塊を作製する。鋳造としては、例えば、半連続鋳造(DC鋳造)法、金型鋳造法、連続鋳造(CC鋳造)法が用いられる。DC鋳造法においては、スパウトを通して注がれた溶湯が、ボトムブロック、水冷されたモールドの壁、及びインゴット(鋳塊)の外周部に直接吐出される冷却水で熱を奪われることによって凝固し、鋳塊として下方に引き出される。金型鋳造法においては、鋳鉄等で作られた中空の金型に注がれた溶湯が、金型の壁に熱を奪われることによって凝固し、鋳塊が作製される。CC鋳造法では、一対のロール(又は、ベルトキャスタ、ブロックキャスタ)の間に鋳造ノズルを通して溶湯を供給し、ロールからの抜熱により薄板を直接鋳造する。
このような鋳造工程において、溶湯中の溶存ガスを低減する脱ガス処理、及び溶湯中の固形物を除去するろ過処理をインラインで行うことが好ましい。
脱ガス処理としては、例えば、SNIF(Spinning Nozzle Inert Flotation)プロセスと呼ばれる処理方法やAlpurプロセスと呼ばれる処理方法等を採用することができる。これらのプロセスにおいては、羽根付き回転体により溶湯を高速で攪拌しながらアルゴンガスやアルゴンと塩素との混合ガス等のプロセスガスを吹き込み、溶湯中にプロセスガスの微細な気泡を形成する。これにより、溶湯中に溶存した水素ガスや介在物を短時間で除去することができる。脱ガス処理には、インライン式の脱ガス装置を使用することができる。
ろ過処理としては、例えば、ケークろ過方式やろ材ろ過方式等を採用することができる。また、ろ過処理には、例えば、セラミックチューブフィルター、セラミックフォームフィルター、アルミナボールフィルタ-等のフィルターを使用することができる。
(2)均質化処理工程
鋳塊を作製した後、熱間圧延を行うまでの間に均質化処理を行う。均質化処理における保持温度は、500~570℃の範囲であることが好ましい。また、均質化処理における保持時間は、例えば1~60時間の範囲から適宜設定することができる。また、鋳塊を作製した後、均質化処理を行う前に必要に応じて鋳塊の面削を行ってもよい。
(3)熱間圧延工程
均質化処理を施した鋳塊に熱間圧延を行い、熱間圧延板を作製する。熱間圧延の圧延条件は特に限定されるものではないが、例えば、開始温度が300~550℃の範囲、終了温度が260~380℃の範囲である熱間圧延を行うことができる。
(4)冷間圧延工程
熱間圧延を行った後、得られた熱間圧延板に1パス以上の冷間圧延を行うことにより、冷間圧延板を得ることができる。冷間圧延板の厚みは、例えば、0.2~1.9mmの範囲から適宜設定することができる。なお、冷間圧延は複数回圧延を行い、所定の板厚とするが最終回1回前の圧下率と最終回の圧下率の差は12%以上とすることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。この圧下率の差を大きくすることで、アルミニウム合金ブランクの表面における方位パラメーターが大きくなりやすい。これにより、所望の方位パラメーターを得ることが可能となり、高い平滑性を実現させることができる。
(5)焼鈍工程
上記態様の製造方法においては、冷間圧延における1パス目の前及びパス間のうち少なくとも一方において、必要に応じて焼鈍処理を行ってもよい。焼鈍処理は、バッチ式熱処理炉を用いて行ってもよく、連続式熱処理炉を用いて行ってもよい。バッチ式熱処理炉を用いる場合、焼鈍時の保持温度は250~430℃、保持時間は0.1~10時間の範囲であることが好ましい。また、連続式熱処理炉を用いる場合、炉内の滞在時間は60秒以内、炉内の温度は400~500℃であることが好ましい。このような条件で焼鈍処理を行うことにより、冷間圧延時の加工性を回復させることができる。このような工程を経てアルミニウム合金板が作製される。
2.アルミニウム合金ブランクの作製
上記の工程を経て作製したアルミニウム合金板からアルミニウム合金ブランクを作製する際、例えば、以下の方法を採用することができる。まず、アルミニウム合金板に打ち抜き加工を行って円環状を呈するディスクブランクを作製する。その後、ディスクブランクを厚み方向の両側から加圧しながら加熱して加圧焼鈍を行うことにより、ディスクブランクの歪みを低減させ、平坦度を向上させる。加圧焼鈍における保持温度と圧力は、例えば、250~430℃で1.0~3.0MPaの範囲から適宜選択することができる。また、加圧焼鈍における保持時間は、例えば、30分以上とすることができる。以上の工程を経によって、アルミニウム合金ブランクが作製される。
<アルミニウム合金基板の製造方法>
加圧焼鈍を行ったアルミニウム合金ブランクに切削加工及び研削加工を順次行うことにより、所望の形状を有するアルミニウム合金基板を作製する。これらの加工を行った後、必要に応じて、加工時の歪を除去する歪取り加熱処理を行ってもよい。加熱処理における加熱温度と加熱時間は、例えば、150~350℃で0.1~10.0時間の範囲から適宜選択することができる。以上の工程によって、アルミニウム合金基板が作製される。
<磁気ディスク>
本実施形態に係る磁気ディスクが、上述のアルミニウム合金ブランクを用いて形成されたアルミニウム合金基板と、アルミニウム合金基板の表面に設けられたNi-Pめっき処理層と、Ni-Pめっき処理層上に設けられた磁性体層とを備える。なお、Ni-Pめっき処理層は、無電解めっき処理により形成した無電解Ni-Pめっき処理層であることが好ましい。
磁気ディスクは、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素系材料からなり、磁性体層上に積層された保護層を有していてもよく、保護層上に潤滑油が塗布された潤滑層を有していてもよい。
<磁気ディスクの製造方法>
アルミニウム合金基板から磁気ディスクを製造する際、例えば、以下の方法を採用することができる。まず、めっき前処理として、アルミニウム合金基板に脱脂洗浄を行いアルミニウム合金基板の表面に付着した加工油等の油分を除去する。脱脂洗浄の後、必要に応じて、酸を用いてアルミニウム合金基板にエッチングを施してもよい。エッチングを行った場合には、エッチング後に、エッチングによって生じたスマットをアルミニウム合金基板から除去するデスマット処理を行なうことが好ましい。これらの処理における処理条件は、処理液の種類に応じて適宜設定することができる。
これらのめっき前処理を行った後に、アルミニウム合金基板の表面にZn皮膜を形成するジンケート処理を行う。ジンケート処理においては、AlをZnに置換する亜鉛置換めっきを行うことにより、Zn皮膜を形成することができる。ジンケート処理としては、1回目の亜鉛置換めっきを行った後に、アルミニウム合金基板の表面に形成されたZn皮膜を一旦剥離し、再度亜鉛置換めっきを行ってZn皮膜を形成する、いわゆるダブルジンケート法を採用することが好ましい。ダブルジンケート法によれば、1回目の亜鉛置換めっきのみによって形成されるZn皮膜に比べて、より緻密なZn皮膜をアルミニウム合金基板の表面に形成することができる。その結果、後工程の無電解Ni-Pめっき処理においてNi-Pめっき処理層の欠陥を低減することができる。
ジンケート処理によってアルミニウム合金基板の表面にZn皮膜を形成した後に、無電解Ni-Pめっき処理を行うことにより、Zn皮膜をNi-Pめっき処理層によって置換することができる。アルミニウム合金基板の表面において、粗大なSi-K-O系粒子やTi-B系粒子が減少させることができれば、ジンケート処理後のアルミニウム合金基板の表面には、緻密で厚みが薄く、且つ厚みのバラつきが小さいZn皮膜が形成される。無電解Ni-Pめっき処理において、このようなZn皮膜をNi-Pめっき処理層によって置換することにより、めっきピットが少なく、平滑なNi-Pめっき処理層を形成することができる。
Ni-Pめっき処理層の厚さを厚くすると、めっきピットが少なくなる傾向があり、平滑なNi-Pめっき処理層を形成することができる。そのため、Ni-Pめっき処理層の厚さ(めっき厚)は、好ましくは7μm以上であり、より好ましくは18μm以上であり、更に好ましくは25μm以上である。なお、実用上、めっき厚の上限は40μm程度である。
無電解Ni-Pめっき処理の後に、Ni-Pめっき処理層を研磨することにより、Ni-Pめっき処理層の表面の平滑性を更に高めることができる。
無電解Ni-Pめっき処理又は研磨処理の後、Ni-Pめっき処理層上に、スパッタリングによって磁性体を付着させて磁性体層を形成する。磁性体層は、単一の層から構成されていてもよく、又は、互いに異なる組成を有する複数の層から構成されていてもよい。スパッタリングを行った後に、必要に応じて、CVDによって磁性体層上に炭素系材料からなる保護層を形成し、次いで、保護層上に潤滑油を塗布して潤滑層を形成する。以上の工程により、磁気ディスクが作製される。
以上、本実施形態に係るアルミニウム合金ブランク及び磁気ディスクについて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づき、各種の変形及び変更が可能である。
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1~2、比較例1~2>
(1)アルミニウム合金板の作製
以下の方法によりアルミニウム合金板を作製した。まず、溶解炉において、表1に示す化学成分を有する溶湯を調製した。
Figure 2023109561000003
次に、溶解炉内の溶湯を移し、表2に示す鋳造方法で鋳塊を作製した。次いで、鋳塊の表面を面削し、鋳塊表面に存在する偏析層を除去した。面削を行った後に鋳塊を表2に示す条件で加熱処理することによって均質化処理を行った。その後、熱間圧延を実施して熱間圧延板を得た。更に、表2に示す条件で冷間圧延を実施し、アルミニウム合金板を作製した。
(2)アルミニウム合金ブランクの作製
作製したアルミニウム合金板に打ち抜き加工を施し、外径98mm、内径24mmの円環状を呈するディスクブランクを作製した。次いで、得られたディスクブランクを厚み方向の両側から加圧しつつ表2に示す温度及び0.1MPaの圧力で3時間保持して加圧焼鈍を実施し、アルミニウム合金ブランクの試験材を作製した。
(方位パラメーターの算出と平均結晶粒径の測定)
アルミニウム合金ブランクの表面における圧延方向の結晶方位と平均結晶粒径は、組織観察用のアルミニウム合金ブランクの試験材の圧延面に対して、グロー放電発光分析装置(Glow Discharge Spectroscopy:GDS、JY5000RF、HORIBA社製)を用い、ガス圧力400Pa、出力30Wの条件で、60秒スパッタリングを実施した。スパッタ面において、走査電子顕微鏡に付属の後方散乱電子回折測定装置(SEM-EBSD)で測定することによって集合組織の方位情報を取得した。試料の測定領域は200μm×200μmとし、測定ステップ間隔は平均結晶粒径が10μm以上の場合、ステップ間隔は3μmとし、平均結晶粒径が8μm以上10μm未満の場合、ステップ間隔は2μmとし、平均結晶粒径が8μm未満の場合、ステップ間隔は平均結晶粒径の1/4程度とした。
得られたデータから、EBSD解析ソフト(TSL社製の「OIM Analysis」)を使用して方位パラメーターを算出し、さらに平均結晶粒径を測定した。方位パラメーターは、各ステップの圧延方向の結晶方位をミラー指数に変換し、前述の式(1)に基づき算出した。平均結晶粒径は、ミスオリエンテーション5°以上の結晶境界線を結晶粒界とみなし、円相当として算出した直径を平均結晶粒径とした。なお、EBSD測定のステップ間隔が3μmの場合を基準とし、ステップ間隔に応じて方位パラメーターの総合計値(S0)を算出後に、規格化を行う。ステップ間隔Xμmの場合、A=(3/X)×(3/X)とすると、S0/Aにより算出した値を方位パラメーターの合計値(S1)とする。
(シミュレーションモデルの作成とうねりの計算)
汎用有限要素法ソフトを用いて、アルミニウム合金ブランクの試験材について集合組織における表層のモデル化とそのモデルを用いた応力作用時の表層のうねりのシミュレーション計算による評価を行った。初めに、200μm×200μmの領域において、2次元1層に整列した正六角形要素から構成される表層のモデル化を行った。各要素に、EBSD解析ソフトの出力データを用いて取得した各結晶粒の形状及び結晶方位から算出されるXYZ3方向(X方向:圧延直角方向、Y方向:圧延方向、Z方向:圧延面法線方向)のヤング率とポアソン比を対応させて設定することにより、試験材の集合組織における表層モデルを作成した(図1)。ヤング率の算出は、アルミニウムの弾性定数と方位パラメーターを用いたReussモデルにて算出し、ポアソン比は、ヤング率の値から算出した。なお、初期状態において表層は平坦であるとした。次に、この表層モデルにおいて、側端面からX方向に圧縮荷重を作用させ、Z方向に発生する厚み変化の分布をシミュレーション計算した。圧縮荷重値は1.5MPaとした。得られた厚み変化の分布より、以下の式(2)に従って計算うねり値を求め、平滑性を評価した。ここで式(2)中のmは各点の厚み変化z(x,y)の全体平均である。
Figure 2023109561000004
(耐力の測定)
耐力(強度)は、JIS Z2241:2011に準拠し、冷間圧延後のアルミニウム合金板を用い、320℃で3時間の焼鈍(加圧焼鈍模擬加熱)を行った後、圧延方向に沿ってJIS5号試験片を採取してn=1にて測定した。耐力が90MPa以上の場合をA(優)、90MPa未満をB(劣)として評価した。
各測定及び評価結果を表2に示す。なお、比較例1では、強度が低すぎて、加圧焼鈍後の剥離時に変形してしまったため、平均結晶粒径の測定、方位パラメーターの評価及びシミュレーション計算による平滑性の評価は行っていない。
Figure 2023109561000005
表1及び2に示すように、所定の合金組成を有するアルミニウム合金ブランクにおいて、アルミニウム合金ブランクの表面における圧延方向の方位パラメーターの合計値が800以上である実施例1~2では、うねりの低減により高い平滑性を示すと共に、高い耐力を達成することができた。
一方、比較例1では、アルミニウム合金ブランクの合金組成において、Mgの含有量が3.50質量%未満であり、耐力が低く、それに伴い、加圧焼鈍後の剥離時に変形してしまったため、平滑性を評価することができなかった。
また、比較例2では、アルミニウム合金ブランクの表面における圧延方向の方位パラメーターの合計値が800未満であり、実施例1~2に対してうねりが大きくなり、高い平滑性を得ることができなかった。
本発明に係るアルミニウム合金ブランクは、うねりの低減による高い平滑性と共に高い耐力を達成できる。これにより、アルミニウム合金ブランクの安定した加工及び使用が可能となり、また、アルミニウム合金ブランクを用いて作製した磁気ディスクにおいても、磁気ヘッドとの衝突に伴う記録エラーの発生を抑制することができる。

Claims (4)

  1. Mg:3.50質量%以上4.50質量%以下、Cr:0質量%以上0.20質量%以下、Cu:0質量%以上0.30質量%以下、Zn:0質量%以上0.60質量%以下、Fe:0質量%以上0.35質量%以下、Si:0質量%以上0.35質量%以下、Mn:0質量%以上0.60質量%以下、Be:0質量%以上0.0020質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクであって、前記アルミニウム合金ブランクの表面における圧延方向の方位パラメーターの合計値が800以上であることを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク。
  2. 前記アルミニウム合金ブランクの表面における平均結晶粒径が、12.0μm以上である、請求項1に記載のアルミニウム合金ブランク。
  3. 前記方位パラメーターが、EBSD解析によって得られた結晶方位から変換したミラー指数に基づき算出される、請求項1又は2に記載のアルミニウム合金ブランク。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブランクを用いて形成されたアルミニウム合金基板と、前記アルミニウム合金基板の表面に設けられたNi-Pめっき処理層と、前記Ni-Pめっき処理層上に設けられた磁性体層とを備える磁気ディスク。
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