JP2023109323A - 燃料電池セルの積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体1の製造方法に於いて、バックシート2上に離型剤層3を介して接着された電解質膜4に触媒電極層5を形成し、その上にガス拡散層6を接合した後に、バックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離する際に、離型剤層が電解質膜上に残留しないようにする。【解決手段】 ロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法は、バックシート上に離型剤層を介して接着された電解質膜上に触媒電極層を形成する工程と、触媒電極層の上にガス拡散層を接合する工程と、バックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離する工程とを含み、バックシートを電解質膜から剥離する工程に於いて、バックシートの剥離開始位置に基づいてバックシートを牽引する張力を制御し、電解質膜4から剥離されたバックシート2の牽引方向と電解質膜4の搬送方向との間の角度を適正に維持し、離型剤層の過剰な曲げを回避する。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池セルに於ける電解質膜と触媒電極層とガス拡散層とを積層して成る積層体の製造方法に係り、より詳細には、所謂「ロールツーロール方式」にて燃料電池セルの積層体を製造する方法に係る。
燃料電池セルは、電解質膜をその両側から一対の触媒電極層と一対のガス拡散層とで挟持して成る積層体の構成を有するところ、かかる積層体を量産する手法の一つとして、「ロールツーロール方式」による積層体の製造方法が用いられている。かかるロールツーロール方式により燃料電池セルの積層体を製造する方法の一つの態様に於いては、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂から成るシート(バックシート)上に離型剤層を介して電解質膜を積層してなるシート状部材を複数のロール上にて搬送しながら、電解質膜上に一方の触媒電極層(典型的にはアノード側)となるペーストが適用され、かかる触媒電極層に膜状部材であるガス拡散層が加熱圧着され、しかる後に、シート状部材に於いて、電解質膜からバックシートが離型剤層と共に剥離される。そして、離型剤層が剥離され露出した電解質膜の面にもう一方の触媒電極層(典型的にはカソード側)が適用され、その上にもう一方のガス拡散層が加熱圧着されることとなる。上記の如きロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法に於いて、電解質膜からバックシートを離型剤層と共に剥離する際に、条件によっては離型剤層の一部が電解質膜に残ってしまうことがある。この点に関し、特許文献1に於いては、ガス拡散層の接合時の温度を170℃以下にすると共に、バックシートの剥離時の張力とシート状部材の搬送速度とを適切に制御することによって、電解質膜に離型剤層が残らないようにバックシートを電解質膜から剥離できることが開示されている。また、特許文献2に於いては、支持基材上に貼付された電解質膜と転写用基材に予め形成された触媒層とを二つのロールの間にて押圧しながら通過させて、電解質膜と触媒層とを接合する形式にて積層体を製造する構成に於いて、接合後の触媒層の厚みを計測し、その結果に基づいて、二つのロール間の圧力や温度をフィードバック制御し、高品質な電解質膜と触媒層との接合を達成することが提案されている。
特開2021-144863 特開2014-203523
上記のロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法に於けるバックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離する工程に於いては、図1(A)に模式的に描かれている如く、バックシート2が電解質膜4に接着した状態の積層体1を剥離ロールR1にて抑えながら搬送する際に、バックシート2を電解質膜4の搬送方向T1から離れる方向T2に牽引することにより、バックシート2が電解質膜4から剥離される。かかるバックシート2の剥離工程に於いて、離型剤層3の一部が電解質膜4に残ってしまう原因の一つとしては、図6に模式的に描かれている如く、電解質膜4から剥離されたバックシート2の牽引方向と電解質膜4の搬送方向との間の角度θa(以下、「剥離角度」と称する。)が過大となり、或いは、剥離ロールR1に対する剥離開始位置Pa(バックシートが電解質膜から剥離し始める位置)が電解質膜4の搬送方向T1側へ移動し過ぎたときに、バックシート2上での離型剤層3の曲げが過剰となって、破断してしまい(3b)、牽引されるバックシート2から剥がれ、電解質膜4上に付着したままとなってしまうことが挙げられる。そこで、バックシートの剥離工程に於いては、上記のバックシートの剥離角度又は剥離開始位置を適正に制御し、バックシート上での離型剤層の過剰な曲げを回避することにより、離型剤層が電解質膜上に残留する可能性が低減されることが期待される。
上記のバックシートの剥離角度又は剥離開始位置は、バックシート上の離型剤層と電解質膜との間の吸着力、即ち、離型剤層を電解質膜から剥離するのに要する力(以下、「剥離力」と称する。)とバックシートを牽引する張力とのバランスによって決定される。より具体的には、図2(A)に描かれている如く、バックシート2の剥離は、バックシート2の張力Ftの電解質膜4の面に垂直な方向の成分(張力垂直成分)Ft・sinθrが剥離力Faを超えたところで開始するところ、かかる張力垂直成分は、バックシートの剥離角度又は剥離開始位置の関数となる。従って、剥離角度又は剥離開始位置は、剥離力に応じてバックシートの張力を調整することにより、制御することが可能である。この点に関し、剥離力は、電解質膜と離型剤層のそれぞれの材料の特性だけでなく、積層体の製造工程に於ける種々の条件、例えば、触媒層の適用の際の溶媒の条件、かかる溶媒の乾燥条件、ガス拡散層の接合時の加熱圧着条件など、によって変化するので、剥離力を常に一定に保持することは、通常、困難である。従って、剥離力が変動しても、剥離角度又は剥離開始位置を適正に制御できるようにバックシートの張力を調節できるようになっていることが好ましい。
かくして、本発明の一つの課題は、ロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法に於いて、バックシート上に離型剤層を介して接着された電解質膜に触媒電極層を形成し、その上にガス拡散層を接合した後に、バックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離する際に、離型剤層が電解質膜上に残留しないようにするために、剥離角度又は剥離開始位置を適正に制御できる構成を提供することである。
本発明によれば、上記の課題は、ロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法であって、
バックシート上に離型剤層を介して接着された電解質膜上に触媒電極層を形成する工程と、
前記触媒電極層の上にガス拡散層を接合する工程と、
前記バックシートを前記離型剤層と共に前記電解質膜から剥離する工程と
を含み、
前記バックシートを前記電解質膜から剥離する工程に於いて、前記バックシートの剥離開始位置に基づいて前記バックシートを牽引する張力を制御する方法によって達成される。
上記の構成に於いて、「燃料電池セル」は、所謂「固体高分子形燃料電池」の単セルであってよく、「積層体」は、上記の如く、電解質膜をその両側から一対の触媒電極層と一対のガス拡散層とで挟持して成る構成を有する。電解質膜、触媒電極層、ガス拡散層の材料組成は、この分野に於いて通常の、任意の材料組成であってよい。「ロールツーロール方式」の積層体の構成方法は、上記の如く、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂から成るバックシートに離型剤層を介して電解質膜を積層してなるシート状部材を、一つのロールから別のロールへ向かって引き出して搬送しながら、電解質膜上に触媒電極層を形成する工程(典型的には、電解質膜上に触媒電極層となるペーストが適用され、それが固化される。)と、その触媒電極層の上にガス拡散層を、加熱圧着などによって、接合する工程とを実行し、バックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離する工程が実行される。
かかる構成に於いて、バックシートの剥離工程に於いては、バックシートが電解質膜の搬送方向から離れる方向に牽引されるところ、バックシートが電解質膜から剥離し始める剥離開始位置の近傍に於けるバックシート上での離型剤層の曲げが過剰とならないように、本発明では、上記の如く、バックシートの剥離開始位置が検出され、かかる剥離開始位置に基づいて、剥離開始位置又は剥離角度が適正となるように、バックシートを牽引する張力が制御される。既に述べた如く、離型剤層の曲げの程度は、剥離開始位置又は剥離角度によって決定され、かかる剥離開始位置又は剥離角度は、離型剤層と電解質膜との間の剥離力とバックシートを牽引する張力とのバランスにより決定されるところ(剥離開始位置又は剥離角度は、バックシートを牽引する方向にも依存するが、バックシートの牽引方向は、積層体の搬送方向とバックシートの巻取りロールとの位置関係により装置の構造的に決定される。)、剥離力が変動し、これに伴って、バックシートに或る張力が与えられているときの剥離開始位置又は剥離角度も変動し得る。そこで、本発明に於いては、剥離開始位置を監視し、かかる剥離開始位置が適正に維持されるように、剥離力の変動に応じてバックシートの張力が調節され、バックシート上の離型剤層の過剰な曲げが抑制され、かくして、離型剤層の電解質膜上での残留の防止が図られることとなる。
上記の本発明の構成に於いて、より具体的には、搬送中の積層体に於いて、バックシートに或る張力が付与されている状況で剥離力が増大すると、剥離開始位置が電解質膜の搬送方向に沿って移動し、剥離角度が増大方向に変化するので、剥離開始位置が電解質膜の搬送方向に沿って移動しつつあるときには、バックシートを牽引する張力が増大されてよい。一方、バックシートに或る張力が付与されている状況で剥離力が低減すると、剥離開始位置が電解質膜の搬送方向の逆方向に沿って移動し、剥離角度が低減方向に変化するので、バックシートを牽引する張力が低減されてよい。この点に関し、離型剤層と電解質膜との間の剥離力は、剥離角度が小さいほど増大するので、剥離角度が小さいときには、バックシートを電解質膜から剥離するためには、バックシートにより大きな張力が必要となり、その分、エネルギーが必要となる。従って、剥離角度は離型剤層の曲げが過剰とならない程度に大きく設定されることが好ましい。そこで、上記の如く、剥離開始位置が適正な位置よりも電解質膜の搬送方向の逆方向に沿って移動したときにも、適正な位置に戻すように、即ち、剥離角度が適正な角度まで増大するように、バックシートの張力が調節されてよい。なお、剥離角度の適正値は、離型剤層の材質にもよるが、例えば、50°程度であってよい。
上記の構成に於いて、バックシートの剥離開始位置に基づくバックシートの張力の制御は、剥離開始位置に対応して変化するバックシートの位置や剥離角度を検出し、その検出値に応じたフィードバック制御により達成されてよい。一つの態様に於いては、バックシートが電解質膜から剥離されて巻き取りロールへ向かう際のバックシートの通過位置を任意の形式、例えば、光学式のセンサを用いて検出し、かかるバックシートの通過位置が適正位置に保持されるようにバックシートの張力が増減されてよい。また、別の態様に於いては、電解質膜から剥離されて巻き取りロールへ向かうバックシートの角度を任意の形式、例えば、光学式のセンサを用いて検出し、かかるバックシートの角度が適正値に保持されるようにバックシートの張力が増減されてよい。バックシートの張力は、バックシートを巻き取る巻き取りロールの回転力を調節することにより調節可能である。
かくして、上記の本発明の構成に於いては、バックシートの剥離開始位置に基づいてバックシートを牽引する張力を制御することにより、バックシートの剥離開始位置近傍に於ける曲げが過剰とならないように、電解質膜から剥離されるバックシートの剥離開始位置又は剥離角度が制御又は保持され、これにより、バックシート上の離型剤層の過剰な曲げが回避され、離型剤層の破断によるバックシートからの剥離及び離型剤層の電解質膜上への残留が防止されることが期待される。また、既に触れた如く、バックシートの剥離開始位置又は剥離角度は、離型剤層と電解質膜との間の剥離力に依存し、かかる剥離力は、積層体の形成工程に於ける種々の条件に依存するところ、本発明の構成によれば、剥離力に対抗するバックシートの張力が、剥離開始位置が適正となるように調節されるので、剥離力の或る程度の変動が許容されることとなり、従って、積層体の形成工程に於ける種々の条件の調整に於いて要求される精度が緩和され、積層体の形成工程の制御が容易となる。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
図1(A)は、本実施形態による燃料電池セルの積層体の製造方法に於いて、電解質膜からバックシートを離型剤層と共に剥離する工程を模式的に表わした図である。図1(B)は、バックシートの剥離開始位置に基づいて、バックシートの張力を制御するシステムの概略をブロック図の形式で表わした図である。 図2(A)は、本実施形態による方法に於いて、積層体に於いて、バックシート及び離型剤層を電解質膜から剥離する際にバックシートの剥離開始位置近傍に作用する力を示した積層体を側方から見た模式図である。図2(B)、(C)は、それぞれ、本実施形態による方法に於ける電解質膜からバックシートを離型剤層と共に剥離する工程に於いて、剥離角度が過大である場合と過小である場合の模式図である。 図3は、バックシートの剥離開始位置に於ける剥離角度に対するバックシートに作用する力と、離型剤層と電解質膜との間に作用する剥離力との変化を示したグラフ図である。 図4(A)は、本実施形態による方法に於ける電解質膜からバックシートを離型剤層と共に剥離する工程に於いて、剥離開始位置に対応する検出値として、バックシートが電解質膜から剥離された後に巻取りロールへ向かう際に通過する位置(通過位置)を光学式に検出する構成を模式的に表わした図であり、図4(B)は、検出器10Rに於いて検出される光の輝度分布を模式的表わしている(輝度の無い位置にバックシートが通過する。)。図4(C)は、本実施形態による方法に於ける電解質膜からバックシートを離型剤層と共に剥離する工程に於いて、剥離開始位置に対応する検出値として、電解質膜の搬送方向に対するバックシートの移動方向の角度(剥離角度)を光学式に検出する構成を模式的に表わした図である。 図5は、燃料電池セルの積層体の製造工程の模式図である。(i)は、基材フィルム上に電解質膜が積層された状態の積層体の模式的な断面図であり、(ii)は、更に、電解質膜上に触媒電極層が積層された状態の模式的な断面図であり、(iii)は、積層体にガス拡散層が更に積層された状態の積層体の模式的な断面図である。 図6は、図1(A)と同様の図であって、離型剤層3の曲げが大きすぎて、離型剤層3が一部で破断して電解質膜上に残留してしまった状態を模式的に表わしている。
1…燃料電池セルの積層体
2…バックシート
3…離型剤層
3b…離型剤層の残留部
4…電解質膜
5…触媒電極層
6…ガス拡散層
10、10E、10R…センサ
R1、Ra…ロール
T1…電解質膜の搬送方向
T2…バックシートの牽引方向
Ft…張力
Fa…剥離力
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
燃料電池セルの積層体の基本的な製造工程
本実施形態による製造方法は、特許文献1にも記載されている如く、ロールツーロール方式にて、バックシート上に離型剤層を介して接着された電解質膜上に触媒電極層とガス拡散層とを積層し、バックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離して、積層体が製造される一連の工程に於いて適用される。より具体的には、図5を参照して、(i)に描かれている如く、先ず、バックシート2上に離型剤層3が適用され電解質膜4が接着された積層体1が準備され、ロール(図示せず)により駆動されて搬送される。バックシート2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、その他の樹脂(リテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリビニリデンフルオライドなど)から成るシートであってよい。電解質膜4は、高分子電解質材料により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、例えば、側鎖末端にスルホ基を有するパーフルオロスルホン酸ポリマなどから形成されてよい。離型剤層3は、バックシート2と電解質膜4とに粘着性を有し、バックシート2上に電解質膜4を保持することができ、且つ、適当な張力にて、バックシート2を電解質膜4から剥離する方向に牽引すると、バックシート2と共に電解質膜4から剥離される任意の材料にて形成されてよい。そして、(ii)に描かれている如く、上記の積層体1が搬送されながら、電解質膜4上に、触媒電極層5が積層される。触媒電極層5は、電気化学反応を進行する触媒金属(例えば、白金若しくは白金とルテニウムなどの他の金属とから成る白金合金など)を担持するカーボン粒子とプロトン伝導性を有する高分子電解質とを含み、典型的には、触媒電極層5となるペーストが電解質膜4上に塗布され、固化されることで形成されてよい。なお、層状に予め形成された触媒電極層5が電解質膜4に積層されてもよい。次いで、(iii)の如く、固化された触媒電極層5上に、カーボンクロスやカーボンペーパなどのカーボン製材料によって形成されてよいガス拡散層7が加熱圧着される。しかる後、図1(A)の如く、積層体1は、バックシート2の側にてロールR1により面に垂直な方向の動きが抑えられながらT1の方向へ搬送され、積層体1がロールR1を通過すると、バックシート2が積層体1の搬送方向T1から離れる方向T2へ張力Ftにて牽引され、電解質膜4上から、バックシート2が引張られて離型剤層3と共に剥離される。そして、剥離後、図示されていないが、露出された電解質膜4の面に、もう一方の側の触媒電極層とガス拡散層とが積層されることとなる。
バックシート2の剥離時の電解質膜4に於ける離型剤層3の残留
上記の積層体1に於いて電解質膜4上からバックシート2を剥離する工程(図1(A))に際して、図6に模式的に描かれている如く、しばしば、離型剤層3の一部3bが電解質膜4に残留してしまい、その場合、その部分には、もう一方の側の触媒電極層を積層することができなくなってしまう。この点に関し、発明の概要の欄に於いても述べた如く、バックシート2の剥離時に離型剤層3の一部3bが電解質膜4上に残留する理由の一つは、電解質膜4から剥離し始める位置(剥離開始位置)に於ける電解質膜4の搬送方向とバックシート2の牽引方向との間の角度(剥離角度)が大き過ぎ、これにより、バックシート2の曲げが過剰となって、図6に示されている如く、離型剤層3がバックシート2上で破断し、破断した離型剤層3の一部3bがバックシート2から剥がれて、電解質膜4上に貼り付いたままとなってしまうことが挙げられる。
ところで、図2(A)を参照して、上記の剥離開始位置に於けるバックシート2の剥離角度θrは、電解質膜4と離型剤層3との間の吸着力、即ち、電解質膜4から離型剤層3を剥離するのに要する力(剥離力)Faとバックシート2を牽引する張力Ftとのつり合いによって決定される。より詳細には、図示の如く、剥離開始位置は、張力Ftの電解質膜4の面に垂直な方向の成分Ft・sinθrが剥離力Fa以上となる位置に決定されるので、剥離開始位置に於いては、
Ft・sinθr=Fa …(1a)
sinθr=Fa/Ft …(1b)
の条件が成立することとなる。即ち、剥離力Faが大きいほど、剥離角度θrが増大し、また、張力Ftを大きくするほど、剥離角度θrが低減することとなる。従って、剥離開始位置に於けるバックシート2の曲げが過剰とならないようにするには、剥離角度θrが適当な大きさとなるように、剥離力Faに応じて、張力Ftを調節すればよいことが理解される。
電解質膜4と離型剤層3との間の剥離力Faは、電解質膜4と離型剤層3との材料の特性に依存するが、更に、触媒層5の適用の際の溶媒の条件、かかる溶媒の乾燥条件、ガス拡散層6の接合時の加熱圧着条件など、積層体の製造工程に於ける種々の条件によっても変化するので、剥離力Faを常に一定に保持し、或いは、予測することは、通常、困難であり、従って、剥離力Faを予測して張力Ftを予め調節しておくことも困難となる。そこで、剥離角度θrを適正に維持するために、剥離力Faに応じて、張力Ftが可変に制御できるようにすることが考えられる。この点に関し、剥離角度θrが剥離力Faに依存し、剥離開始位置は剥離角度θrに依存する。従って、本実施形態に於いては、剥離開始位置又は剥離角度θrを監視し、張力Ftがその監視された剥離開始位置又は剥離角度θrに基づいて、フィードバック制御によって、剥離角度θrを適正に保持するように調節されてよい。なお、剥離開始位置によって、バックシート2が電解質膜4から剥離されて回収されるまでのその通過位置が変化するので、剥離開始位置は、電解質膜4から剥離された後のバックシート2の通過位置を参照して間接的に監視されるようになっていてもよい。
本実施形態の構成-張力Ftの調節
図1(A)を再度参照して、本実施形態に於いては、図示の如く、バックシート2が電解質膜4から剥離し始める剥離開始位置又はそこでの剥離角度θrをセンサ10により直接的に又は間接的に監視し、剥離力Faが変動しても、剥離開始位置又は剥離角度が、離型剤層3の曲げが過剰とならない適正な位置Pt又は角度θtに保持されるように、剥離開始位置又は剥離角度に基づいてバックシート2の張力Ftが可変に制御される。装置に於いては、図1(B)に模式的に描かれている如く、センサ10の検出結果によって、バックシートをロール等に巻き取る力(巻取り力)又は牽引する力が制御部にて決定され、そこからの制御指令に従って、バックシートを巻き取るロール等のモータ等が制御されてよい。
張力Ftの制御に於いては、図2(B)、(C)を参照して、バックシート2の曲げが過剰とならないように任意に設定されてよい剥離開始位置の適正位置Ptに、実際の剥離開始位置Paが一致するように、即ち、剥離角度の適正値θtに、実際の剥離角度θaが一致するように、張力Ftが調節される。この点に関し、図2(A)及び式(1a)、(1b)から理解される如く、或る張力Ftのときに、剥離力Faが大きくなるほど、実際の剥離角度θaが増大し、実際の剥離開始位置Paは、電解質膜4の搬送方向に沿って移動することとなるので、その場合には、張力Ftを増大することで、剥離開始位置Paの移動が抑制され、剥離角度θaの増大が抑制されることとなる。従って、剥離開始位置Paについて、電解質膜4の搬送方向に沿った方向を正として、実際の剥離開始位置Paと適正な剥離開始位置Ptとの差分Pa-Ptが増大するほど、又は、実際の剥離角度θaと適正な剥離角度θtとの差分θa-θtが増大するほど、張力Ftが増大するように制御されることで、実際の剥離角度θaが適正な剥離開始位置Ptに維持されることとなる。即ち、張力Ftの制御に於いて、張力Ftの増分ΔFtは、
ΔFt=k(Pa-Pt) …(2a)
又は、
ΔFt=k(θa-θt) …(2b)
により与えられてよい。ここで、kは、適宜設定される係数である。具体的には、実際の剥離開始位置Paが、実際の剥離角度θaが適正となる剥離開始位置Ptよりも電解質膜4の搬送方向T1に沿って移動したときには、図2(B)の如く、張力Ftが増大され、実際の剥離開始位置Paが、実際の剥離角度θaが適正となる剥離開始位置Ptよりも電解質膜4の搬送方向T1の逆方向に沿って移動したときには、図2(C)の如く、張力Ftが低減されてよい。かくして、積層体1が順次搬送されながら、バックシート2が剥離されていく間に、剥離力Faが変動しても、それに応じて、張力Ftが増減されることとなり、実際の剥離開始位置Paが、適正な剥離開始位置Ptに一致し、実際の剥離角度θaが適正な剥離角度θtに一致することとなる。[実際の剥離角度θaと実際の剥離角度θaとは、バックシート2の牽引方向にも依存するところ、図示の如く、バックシート2は、典型的には、例えば、ロールRaに支持されながら、電解質膜4の搬送方向T1から離れる方向T2へ搬送されるので、バックシート2の牽引方向は、装置に於けるロールの配置により決定され、通常、変化しない。]
上記の適正な剥離開始位置Pt或いは適正な剥離角度θtは、離型剤層3が曲げにより破断されないような適当な値に任意に、実験等を通じて、設定されてよい。適正な剥離角度θtは、典型的には、例えば、50°程度に設定されてよい。この点に関し、実際の剥離角度θaが適正な剥離角度θtよりも小さいときには、離型剤層3の曲げが過剰となることはないが、適正な剥離角度θtまで制御されることが好ましい。実際の積層体に於いては、電解質膜4と離型剤層3との間の剥離力Faは、電解質膜4と離型剤層3との間の接合状態が同一であっても、図3中の太実線に描かれている如く、剥離角度が小さくなるほど、増大することが見出されている。従って、実際の剥離角度θaが適正な剥離角度θtよりも小さい場合には(例えば、状態Aの場合に、図中の点1に対して点4の角度の場合)、バックシートの剥離に要する張力Ftが大きくなり、その分、エネルギーが余計に必要となる(或いは、剥離角度θaが際限なく小さくなると、バックシートの剥離に要する張力Ftが装置に於いて発生可能な最大張力を超えることもあり得る。)。そこで、本実施形態に於いては、Pa-Pt<0、又は、θa-θt<0となる場合には、実際の剥離開始位置Pa及び実際の剥離角度θaがそれぞれ適正な剥離開始位置Pt及び適正な剥離角度θtに一致するように、張力Ftが低減されることが好ましい。
図3は、バックシートの張力Ftが右端の値に調整されている場合に、剥離角度が各角度であったときに、剥離開始位置にて電解質膜からバックシートを剥離する方向にバックシートに作用する力の成分(Ft・sinθr、一点鎖線)と、電解質膜4と離型剤層3との間の接合状態が状態A、Bにあったとした場合に、剥離角度が各角度であったときに、剥離開始位置にて電解質膜と離型剤層との剥離に要する剥離力(Fa、太実線)と模式的に表わした図である。同図を参照して、張力Ftの制御は、例えば、以下の如く実行されてよい。電解質膜4と離型剤層3との間の接合状態が状態Aである場合、張力Ftが21(N/m)のときに、剥離角度θaが適正な剥離角度θtである約40°に調整されると仮定される場合(点1)、電解質膜4と離型剤層3との間の接合状態が状態Bに変化し、剥離力が増大したときには、張力Ftがそのままの場合には、剥離角度θaが約55°まで増大することとなる(点2)。そこで、張力Ftが増大されて(約41N/mまで増大)、剥離角度θaが適正値の約40°に維持される(点3)。しかる後、電解質膜4と離型剤層3との間の接合状態が再び状態Aに戻ったときには、張力Ftがそのままの場合には、剥離角度θaが約30°まで増大することとなるので(点4)、張力Ftが元の値まで低減され、かくして、剥離角度θaが適正値の約40°(点1)にまで低減するように制御されることとなる。
剥離開始位置又は剥離角度の監視
上記の如く、本実施形態に於いては、剥離開始位置に基づいて、バックシートの張力が制御されるところ、剥離開始位置は、任意の手法にて、任意のセンサ10を用いて、直接的又は間接的に検出され、或いは、監視されてよい。
具体的な手法の一つとしては、例えば、バックシートが剥離された後にロールRaまでに通過する位置(通過位置)が剥離開始位置によって変化するので、任意の手法により、バックシートの通過位置を検出し、その検出位置が維持されるようにフィードバック制御により、張力が調節されてよい。バックシートの通過位置は、例えば、図4(A)に模式的に描かれている如く、バックシート2の一方の端に配置された発光器10Eよりバックシート2を横断する方向にレーザー光を発し、そのレーザー光を検出する受光器10Rをバックシート2のもう一方の端に配置し、受光器10Rに於いて、受光されるレーザー光に於いて、図4(B)の如く、バックシート2により遮られている位置Xを特定することにより、検出されてよい。この場合、レーザー光の遮られている位置が保持されるように、バックシートの張力を制御することにより、剥離開始位置に基づくバックシートの張力の制御が達成されることとなる。
また、別の手法としては、例えば、図4(C)に模式的に描かれている如く、センサ10からレーザー光を、電解質膜4と、剥離されたバックシート2とに順に反射するように発し、センサ10に戻ってきた反射光を検出するよう構成を準備し、センサ10に戻ってきた反射光の位置から、電解質膜4とバックシート2との角度、即ち、剥離角度が検出されるようになっていてよい。かかる構成に於いては、剥離角度が保持されるように、バックシートの張力を制御することにより、剥離開始位置に基づくバックシートの張力の制御が達成されることとなる。
その他の手法としては、剥離開始位置の近傍を撮像するカメラの画像から剥離開始位置の像を検出し、その剥離開始位置の像が移動しないようにバックシートの張力を制御することにより、剥離開始位置に基づくバックシートの張力の制御が達成されてもよい。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。

Claims (1)

  1. ロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法であって、
    バックシート上に離型剤層を介して接着された電解質膜上に触媒電極層を形成する工程と、
    前記触媒電極層の上にガス拡散層を接合する工程と、
    前記バックシートを前記離型剤層と共に前記電解質膜から剥離する工程と
    を含み、
    前記バックシートを前記電解質膜から剥離する工程に於いて、前記バックシートの剥離開始位置に基づいて前記バックシートを牽引する張力を制御する方法。
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