JP2023108342A - 酸化反応用電極、電気化学反応装置および人工光合成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性が良好な酸化反応用電極、ならびにそれを用いた電気化学反応装置および人工光合成装置を提供する。【解決手段】基板上に酸化反応触媒として酸化イリジウムが担持された酸化反応電極であって、酸化イリジウムに含まれる水和水と水酸基の量が、0を超え0.36未満である、酸化反応用電極である。【選択図】なし

Description

本発明は、酸化反応用電極、ならびにそれを用いた電気化学反応装置および人工光合成装置に関する。
太陽光エネルギーのみを用いて水(HO)と二酸化炭素(CO)からギ酸(HCOOH)、一酸化炭素(CO)等を合成する人工光合成は、地球温暖化防止のためのCO排出量削減の技術の1つとして期待され、研究が極めて活発に行われている。人工光合成反応において、酸化反応用電極ではHOが酸化されて電子とプロトンを供給し、Oが生成される。この電子とプロトンを用いて還元反応用電極でCOが還元される。中性に近い電解液を用いる場合には、酸化反応の触媒に酸化イリジウム(IrOx)が用いられる。
触媒としてIrOxを用いた酸化反応用電極の電解液中での動作により、IrOx粒子が電極上から脱落して短時間で電流密度が低下するために電極の耐久性が低いという問題がある。
特許文献1には、酸化反応用電極、還元反応用電極に用いる基板表面の集電電極上にガラスコート、樹脂コート等の保護層を形成することが記載されている。酸化反応用電極の作製方法として、IrOxナノコロイド溶液を基板上に塗布し、加熱により溶媒の水を蒸発させることが記載されている。非特許文献1にも同様の記載がある。
特許文献1および非特許文献1では、IrOxを塗布するプロセスにおいて、IrOxナノコロイド溶液を基板上に滴下後、水を蒸発させるために大気中60℃で加熱を行っている。しかし、このプロセスで製造した酸化反応用電極では、動作における電極上からのIrOx粒子の脱落を抑制することができない。
特開2019-052347号公報
「A monolithic device for CO2 photoreduction to generate liquid organic substances in a single-compartment reactor」, Energy Environ. Sci., 2015, 8, pp.1998-2002
本発明の目的は、耐久性が良好な酸化反応用電極、ならびにそれを用いた電気化学反応装置および人工光合成装置を提供することにある。
本発明は、基板上に酸化反応触媒として酸化イリジウムが担持された酸化反応電極であって、前記酸化イリジウムに含まれる水和水と水酸基の量が、0を超え0.36未満である、酸化反応用電極である。
前記酸化反応用電極において、前記基板は、フッ素ドープ酸化スズガラス基板またはチタン基板であることが好ましい。
前記酸化反応用電極において、前記酸化イリジウムは、ヘキサクロロイリジウム酸カリウムを出発原料とする酸化イリジウム粒子であることが好ましい。
本発明は、前記酸化反応用電極と、還元反応用電極と、電解液と、を備える、電気化学反応装置である。
前記電気化学反応装置において、前記還元反応用電極は、ルテニウム錯体を含むことが好ましい。
前記電気化学反応装置において、前記電解液は、pH6以上8以下のリン酸緩衝水溶液であり、前記電気化学反応装置は、二酸化炭素を還元する装置であることが好ましい。
本発明は、前記電気化学反応装置と、前記酸化反応用電極および前記還元反応用電極に供給される電力を生成する太陽電池セルと、を備える、人工光合成装置である。
本発明により、耐久性が良好な酸化反応用電極、ならびにそれを用いた電気化学反応装置および人工光合成装置を提供することができる。
比較例2で作製した小型アノード電極上のIrOxのIRスペクトルを示す図である。 実施例および比較例におけるFTO基板上のIrOx塗布エリア1cm角におけるIRスペクトルの測定場所(丸9箇所)を示す図である。 各アノード電極のCV測定を行った結果を示すグラフである。 (a)比較例2および(b)実施例2のi-t測定を行った結果を示すグラフである。 (a)FTOガラス基板表面および(b)触媒塗布後(初期)の電極表面の二次電子像を示す写真である。 耐久試験後の(a)比較例2および(b)実施例2の電極表面の二次電子像を示す写真である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
[酸化反応用電極]
正極(アノード電極)である酸化反応用電極は、酸化反応によって物質を酸化するために利用される電極である。本実施形態に係る酸化反応用電極は、基板上に酸化反応触媒として酸化イリジウムが担持された酸化反応電極であって、酸化イリジウムに含まれる水和水と水酸基の量(水和水/水酸基量)が、0を超え0.36未満である電極である。水和水/水酸基量は、0.029以上0.36未満であることがより好ましく、0.029を超え0.29以下であることがさらに好ましく、0.076以上0.29以下であることがさらに好ましく、0.12以上0.29以下であることが特に好ましい。
ここで、酸化イリジウムに含まれる水和水と水酸基の量(水和水/水酸基量)は、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)で測定した電極上のIrOxのIRスペクトルにおいて、波数範囲2900~3650(cm-1)の水和水および水酸基のピーク面積を、800~1200(cm-1)のIrOのピーク面積で割った値である。
電極上に担持した酸化反応触媒(IrOx粒子)の水和水/水酸基量を上記所定の範囲に制御することによって、酸素発生反応における耐久性を大幅に向上することができる。特に、水和水/水酸基量が0.076以上0.29以下であると、高い触媒活性を維持したまま、耐久性を大幅に向上することができる。
上記の通り、酸化反応用電極の電解液中での動作により、IrOx粒子が電極上から脱落し、短時間で電流密度が低下する問題があった。本発明者らは、基板上に塗布したIrOxに含まれる水和水/水酸基量を所定の範囲に制御することによって、高い触媒活性で、電極上からの触媒粒子の脱落を抑制できることを見出した。これにより、酸化反応用電極の耐久性を大幅に向上することができる。これは、IrOx粒子に含まれる水和水が多いと粒子間の結合力が弱くなるので、動作のときに粒子が脱落しやすくなるためと考えられる。一方で、IrOx粒子表面の水酸基によって高い触媒活性を示す。電極の高温での熱処理はIrOxに含まれる水酸基を減少させて活性を低下させると考えられる。上記したような特許文献1および非特許文献1のプロセスでは、水和水を減少させる効果は不十分であり、動作における電極上からのIrOx粒子の脱落を抑制することができない。
酸化イリジウムに含まれる水和水と水酸基の量(水和水/水酸基量)を上記所定の範囲とするためには、水和水/水酸基量を上記所定の範囲とすることができればよく、特に制限はないが、例えば、真空定温乾燥装置等を用いて減圧下、所定の温度、時間で乾燥する方法が挙げられる。真空定温乾燥の条件としては、例えば、0.1~30Paの減圧下、好ましくは1~10Paの減圧下、40~150℃の温度、好ましくは40~100℃の温度、1~12時間、好ましくは4~8時間である。例えば真空定温乾燥によって、まず水和水が減少し、ある温度を超えると水酸基が減少すると考えられる。したがって、水酸基ができるだけ減少せずに、水和水ができるだけ減少するような条件であることが望ましい。
酸化反応用電極は、例えば、基板上に導電層が形成された基板とその上に形成された酸化反応触媒層とを含んで構成される。
基板は、電極を構造的に支持する部材である。基板は、特に材料が限定されるものではないが、例えば、ガラス基板等が挙げられる。基板は、例えば、金属または半導体を含むものとしてもよい。基板として用いられる金属は、特に限定されるものではないが、例えば、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、鉛(Pb)、Ti(チタン)等が挙げられる。基板として用いられる半導体は、特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、シリコン(Si)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タンタル(Ta)等が挙げられる。基板を金属または半導体を含むものとした場合、導電層と基板との間には絶縁層を形成してもよい。絶縁層は、特に限定されるものではないが、半導体の酸化物、窒化物や樹脂等が挙げられる。金属基板と導電層とが電気的に直接接続されている構成としてもよい。酸化反応用電極を、透光性を有するようにするには、基板は、例えば、ガラス基板やプラスチック等とすることが好適である。基板として金属を用いた場合には、導電層がない構成としてもよい。基板として、炭素繊維と炭素との複合基材を用いてもよい。これによって、軽量、高導電性の確保ができ、別途、導電層が不要になるという利点がある。
導電層は、酸化反応用電極における集電を効果的にするために設けられる。導電層は、特に限定されるものではないが、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電層等が挙げられる。特に、熱的および化学的な安定性を考慮すると、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)を用いることが好適である。
上記のうち、基板は、化学的安定性、耐食性等の点から、チタン基板であることが好ましい。基板は、同様の観点から、ガラス板の上に透明導電材料であるフッ素ドープ酸化スズ導電層が成膜されたフッ素ドープ酸化スズガラス基板であることが好ましい。
酸化反応触媒層は、酸化触媒機能を有する酸化イリジウム(IrOx)を含んで構成される。酸化触媒機能を有する材料として、例えば、酸化ルテニウムを含んでもよい。酸化イリジウムや酸化ルテニウムは、ナノコロイド溶液として導電層または基板の表面上に担持することができる(T.Arai et.al, Energy Environ. Sci 8, 1998 (2015)参照)。
酸化イリジウムは、活性が高い、例えば広いpH範囲で活性が高い等の点から、ヘキサクロロイリジウム酸カリウム(KIrCl)を出発原料とする酸化イリジウム粒子であることが好ましい。
[電気化学反応装置および人工光合成装置]
本実施形態に係る電気化学反応装置は、酸化反応を生起するアノード電極である上記酸化反応用電極と、二酸化炭素等の還元反応を進行させるカソード電極である還元反応用電極と、電解質を溶媒に溶解させた電解液と、を備える装置である。電気化学反応装置において、例えば、酸化反応用電極および還元反応用電極は電解液に浸漬されている。
本実施形態に係る人工光合成装置は、酸化反応を生起するアノード電極である上記酸化反応用電極と、二酸化炭素等の還元反応を進行させるカソード電極である還元反応用電極と、電解質を溶媒に溶解させた電解液と、を備える電気化学反応装置と、酸化反応用電極および還元反応用電極に供給される電力を生成する太陽電池セルと、を備える装置である。
電気化学反応装置は、例えば、電解質を溶媒に溶解させた電解液が収容容器に収容され、酸化反応を生起する上記酸化反応用電極および二酸化炭素等の還元反応を進行させる還元反応用電極が電解液に浸漬されており、酸化反応用電極と還元反応用電極とが電気的に接続されている装置である。電解液には、二酸化炭素等の反応基質を含有させている。二酸化炭素等の反応基質は予め電解液に飽和させても、系内に二酸化炭素ガス等の反応基質ガスをフローさせた状態でもよい。
酸化反応用電極と還元反応用電極との間に適切なバイアス電圧を印加すると、酸化反応用電極においては酸化反応が生起される。還元反応用電極においては、例えば二酸化炭素(CO)が還元されて一酸化炭素(CO)やギ酸(HCOOH)等が生成される。
酸化反応用電極と還元反応用電極との間を電気的に接続し、適切なバイアス電圧を印加した状態とする。バイアス電圧を印加する手段は、特に限定されるものではなく、化学的電池(一次電池、二次電池等を含む)、定電圧源、太陽電池等が挙げられる。このとき、酸化反応用電極に正極が接続され、還元反応用電極に負極が接続されればよい。
バイアス電圧を印加する手段として太陽電池セルを用いることにより、上記電気化学反応装置と、酸化反応用電極および還元反応用電極に供給される電力を生成する太陽電池セルと、を備える人工光合成装置とすることができる。バイアス電圧を印加する手段として太陽電池セルを用いる場合、太陽電池セルの正極を酸化反応用電極に接続し、負極を還元反応用電極に接続すればよい。本実施形態に係る人工光合成装置は、電気化学反応装置の酸化反応用電極と還元反応用電極が太陽電池を介して接続され、太陽光をエネルギー源として駆動される。
二酸化炭素(CO)からギ酸(HCOOH)等を合成する場合、水(HO)は酸化されて二酸化炭素(CO)に電子とプロトンを供給する。pH7付近では水(HO)の酸化電位は0.82V、還元電位は-0.41V(いずれも標準水素電極(NHE))である。また、二酸化炭素(CO)から一酸化炭素(CO)、ギ酸(HCOOH)、メチルアルコール(CHOH)への還元電位はそれぞれ-0.53V,-0.61V,-0.38Vである。したがって、酸化電位と還元電位の電位差は1.20~1.43Vである。炭素化合物である二酸化炭素(CO)を還元する場合、太陽電池セルは、例えば4~6枚の結晶系シリコン太陽電池を直接に接続した構成やアモルファスシリコン系3接合太陽電池とすることが好適である。
(還元反応用電極)
負極(カソード電極)である還元反応用電極は、還元反応によって物質を還元するために利用される電極である。還元反応用電極は、例えば、基板上に順に形成される導電層および導電体層を含んで構成される。
基板は、電極を構造的に支持する部材である。基板は、特に材料が限定されるものではないが、例えば、ガラス基板等が挙げられる。基板は、例えば、金属または半導体を含むものとしてもよい。基板として用いられる金属は、特に限定されるものではないが、例えば、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、鉛(Pb)、Ti(チタン)等が挙げられる。基板として用いられる半導体は、特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、シリコン(Si)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タンタル(Ta)等が挙げられる。基板を金属または半導体を含むものとした場合、導電層および導電体層と基板との間には絶縁層を形成してもよい。絶縁層は、特に限定されるものではないが、半導体の酸化物、窒化物や樹脂等が挙げられる。金属基板と導電層および導電体層とが電気的に直接接続されている構成としてもよい。基板として金属を用いた場合には、導電層がない構成としてもよい。
基板は、炭素繊維を含むものとしてもよい。基板は、例えば、高温で熱処理された炭素繊維と炭素との複合基材であり、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス等が挙げられる。カーボンペーパーは、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維等の有機繊維をポリビニルアルコールと水系媒体との分散液に含浸させ、約2000℃で炭化させて結着させたものをシート状にしたものである。カーボンペーパーには、約25質量%程度のテフロン(登録商標)系素材が含まれることもある。カーボンクロスは、有機繊維を焼成、炭化することで得られる炭素繊維を紡織したものである。カーボンペーパー、カーボンクロスは、多孔質体であり、無数の数十μm(10μm~100μm程度)の細孔を有する。カーボンペーパー、カーボンクロスの厚さは、例えば、0.1mm~0.4mm/1枚の範囲である。この複合基材としては、多層化(例えば、5~10層)されて厚みが約10倍になった1mm~4mmの範囲のものを使用してもよい。多層化された複合基材は、例えば、接着剤として、導電性のカーボン素材、例えばグラファイトまたはグラフェンを含むポリマー(例えば、アクリルポリマー結合剤)を含むカーボン系接着剤を用いて複数のカーボンペーパー、カーボンクロス等を接着して積層することにより形成することができる。
導電層は、還元反応用電極における集電を効果的にするために設けられる。導電層は、特に限定されるものではないが、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電層等が挙げられる。特に、熱的および化学的な安定性を考慮すると、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)を用いることが好適である。
導電体層は、還元触媒機能を有する材料を含む導電体を含んで構成される。導電体は、カーボン材料(C)を含む材料を含んで構成することができる。カーボン材料の構造体の単体のサイズが1nm以上1μm以下であることが好適である。カーボン材料は、例えば、マルチウォール・カーボンナノチューブ(MWCNTs)等のカーボンナノチューブ、グラフェンおよびグラファイトの少なくとも1つ等が挙げられる。グラフェンおよびグラファイトであればサイズが1nm以上1μm以下であることが好適である。カーボンナノチューブであれば直径が1nm以上40nm以下であることが好適である。導電体は、例えば、エタノール等の液体に混ぜ合わせたカーボン材料をスプレーで塗布し、加熱することによって形成することができる。スプレーの代わりに、スピンコートによって塗布してもよい。また、スピンコートを用いず、直接溶液を滴下して乾かして塗布してもよい。
還元触媒機能を有する材料として、錯体触媒等を用いることができる。錯体触媒は、例えば、ルテニウム錯体とすることが好適である。錯体触媒は、例えば、[Ru{4,4’-di(1-H-1-pyrrolypropyl carbonate)-2,2’-bipyridine}(CO)(MeCN)Cl]、[Ru{4,4’-di(1-H-1-pyrrolypropyl carbonate)-2,2’-bipyridine}(CO)Cl]、[Ru{4,4’-di(1-H-1-pyrrolypropyl carbonate)-2,2’-bipyridine}(CO)、[Ru{4,4’-di(1-H-1-pyrrolypropyl carbonate)-2,2’-bipyridine}(CO)(CHCN)Cl]等が挙げられる。さらに、ルテニウム錯体は、Ru錯体モノマーと重合開始剤(例えばピロールおよび酸化剤(例えば塩化鉄等のFe系酸化剤))を含むRu錯体が高分子化(ポリマー)された状態のRu錯体ポリマーであってもよい。還元反応用電極は、例えば、カーボン系材料(マルチウォール・カーボンナノチューブ(MWCNTs)等のカーボンナノチューブおよびグラファイト)を含み、還元触媒としてRu錯体ポリマーと、Fe系酸化剤(FeCl)とを含む電極である。
還元触媒の担持は、例えば、金属錯体(触媒)をアセトニトリル(MeCN)溶液に溶解した液をカーボンペーパー、カーボンクロス等のカーボン系材料の上に塗布、乾燥することで作製することができる。例えば、Ru錯体ポリマーの担持は、例えば、Ru錯体モノマー、重合開始剤(例えばピロールおよび酸化剤(例えば塩化鉄等のFe系酸化剤))をアセトニトリル(MeCN)等の溶媒に溶解した液(Ru錯体ポリマー溶液)をカーボンペーパー、カーボンクロス等のカーボン系材料の上に塗布、乾燥することで作製することができる。また、還元触媒の担持は、電解重合法により行うこともできる。例えば、作用極としてカーボン系材料の電極、対極にフッ素含有酸化スズ(FTO)で被覆したガラス基板、参照電極にAg/Ag電極を用い、還元触媒を含む電解液中においてAg/Ag電極に対して負電圧となるようにカソード電流を流した後、Ag/Ag電極に対して正電位となるようにアノード電流を流すことによりカーボン系材料に還元触媒で担持することができる。電解質の溶液には、例えば、アセトニトリル(MeCN)、電解質には、例えば、Tetrabutylammoniumperchlorate(TBAP)を用いることができる。
(電解液)
電解液は、例えば、リン酸緩衝水溶液やホウ酸緩衝水溶液が挙げられ、実用的な電解液として中性が適している等の観点から、pH6以上8以下のリン酸緩衝水溶液であることが好ましい。
(反応基質)
反応基質は、例えば、炭素化合物が挙げられ、例えば、二酸化炭素(CO)とすることができる。
(収容容器)
収容容器は、還元反応用電極および酸化反応用電極を支持するとともに、電解液を収容する部材である。収容容器は、電気化学反応装置をセルとして構成するために必要な機械的な強度を備える材料で構成される。例えば、収容容器は、金属、プラスチック等によって構成することができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1~6,比較例1,2>
1.実験方法
1.1.FTO/IrOxアノード電極の作製
まず、酸化イリジウム(IrOx)のナノコロイドを合成した。2mMの塩化イリジウム酸(IV)カリウム(KIrCl)水溶液50mLに10質量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を加えてpH13に調整した溶液を、ホットスターラーを用いて90℃で20分間加熱した。この溶液を氷水で1時間冷却し、ここに3Mの硝酸(HNO)を滴下してpH1に調整した後、80分撹拌してIrOxナノコロイド水溶液を得た。この溶液に1.5質量%NaOH水溶液(1~2mL)を滴下してpH12に調整した。
次に、FTOガラス基板上への触媒の塗布を行った。1.5cm×2cmのFTOガラス基板上に、塗布エリア1cm角を残してテープでマスキングを行った。そこに、上記のIrOxナノコロイド水溶液を125μL滴下した。60℃の乾燥器で1時間加熱して水を蒸発させ、析出した塩を落とすため、電極表面を純水で洗浄した。この工程を6回繰り返してアノード電極を作製した。
1.2.加熱処理条件
IrOxを塗布したアノード電極について、角型真空定温乾燥器(ヤマト科学社製、DP610)を用いて40℃(実施例1)、60℃(実施例2)、80℃(実施例3)、100℃(実施例4)、120℃(実施例5)、および150℃(実施例6)で真空加熱処理を6時間行った。さらに、大気中500℃、30分加熱した電極(比較例1)と、従来品としてIrOx塗布後、デシケータ内で1週間、室温(25±2℃)保管した電極(比較例2)を作製した。なお、比較例2のアノード電極は、特許文献1および非特許文献1と同様のプロセスで作製した電極である。
1.3.電極上のIrOxの水和水/水酸基量の定量
装置はフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)(サーモフィッシャー社製、NICOLET iS50)を使用した。測定条件は、ATR法(SMART-iTR(Ge結晶)使用)を用いて、測定面積:φ3mm、波数分解能:4cm-1、積算回数:64回、検出器:TDGS KBrで行い、600~4000cm-1の波数範囲のIRスペクトルを測定した。図1に比較例2の電極のIRスペクトルを示す。図2に示すように、測定は1cm角のIrOx塗布エリアに対して9カ所行った。
IrOxの水和量/水酸基量の定量は、解析ソフトOMNIC(バージョン:9.12.923)を用いて解析した。測定したIRスペクトルを開き、ピーク面積ツールを使用してピーク面積範囲、およびバックグラウンド範囲を2900~3650cm-1に設定した。選択したバックグラウンド範囲からバックグラウンドとなる直線が作成され、ピーク面積範囲の面積が計算されるので、ピーク面積の表示値を読み取った。800~1200cm-1の範囲についても同様の操作を行ってピーク面積を取得した。上記の操作を9カ所で測定した各IRスペクトルに対して行った。波数範囲:2900~3650cm-1のピーク面積(9カ所の和)を800~1200cm-1のピーク面積(9カ所の和)で割った値をIrOxの水和水/水酸基量の定量値として算出した。
1.4.電極上のIr量の測定方法
装置は蛍光X線分析装置(XRF)(リガク社製、ZSX PrimusII)を使用した。測定領域は測定径:φ20mmで行い、酸化イリジウム(IrOx)の塗布面積を全て含む範囲としてイリジウム(Ir)のX線強度を測定した。イジリウム(Ir)の測定線は、Ir-Lα線とした。最もX線強度が高くなる39.200°をピーク角度として設定した。また、Ir-Lα線のピーク両端においてX線強度が平坦かつその他のX線の影響を受けない38.000°および40.500°をバックグラウンド角度として設定した。測定時間は、各試料に対してそれぞれ60秒とした。その他の条件は、Ir-Lα線を選択した際に自動で選択される条件とした。
1.5.アノード電極上のIrOxの走査型電子顕微鏡(SEM)観察
装置は走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S-4300)を使用した。測定条件は、加速電圧:5kV、working distance(WD):5mm、取得:二次電子像(SEI)で行った。触媒を塗布したエリアの中央部を観察した。
1.6.電気化学測定による活性評価および耐久試験
装置はポテンシオ/ガルバノスタット(BIOLOGIC社製、VMP3)を用いて行った。3極式セルの作用極:各処理を行った上記アノード電極、対極:Pt線、参照極:Ag/AgClを用いて、リン酸緩衝水溶液中で反応基質としてCOガスをバブリングしながら測定した。リン酸緩衝水溶液は、KHPOとKHPOをモル比1:1で混合し、リン酸濃度0.6Mになるように純水を用いて調製した。触媒活性は、0~2.0V(vs.Ag/AgCl)の電位範囲でサイクリックボルタモグラム(CV)測定で評価した。耐久試験は、電位を1.2V(vs.Ag/AgCl)に固定して電流-時間(i-t)測定を6時間行った。
2.結果
2.1.各アノード電極上のIrOxに含まれる水和水/水酸基量の定量
各アノード電極について、上記1.3の通り、FT-IRから電極上のIrOxの水和水/水酸基量を定量した。その結果を表1に示す。未処理の電極(比較例2)に比べて、IrOxの水和水/水酸基量が加熱処理の温度が高くなるに従い減少することがわかった。一方、大気中500℃で加熱した電極(比較例1)では0であった。
2.2.各アノード電極の電気化学特性評価による初期の触媒活性
上記1.6の通り、3極式セルを用いて、各アノード電極について0~2.0V(vs.Ag/AgCl)の電位でCV測定を行った結果を図3に示す。また、電位が2.0Vのときの電流密度を表2に示す。実施例1~6では比較例2よりも高い優れた触媒活性が得られた。比較例2において触媒活性が大きく低下した要因として、高温での熱処理により、水和水/水酸基量が0となったことが考えられる。
2.3.各アノード電極の電気化学特性評価による耐久試験
上記1.6の通り、電位を1.2V(vs.Ag/AgCl)に固定して耐久試験を行った。比較例2と実施例2のi-t測定の結果を図4に示す。未処理の比較例2では、動作時間の経過に伴い電流値が大きく低下した(図4(a))。これに対し、実施例2では電流の低下はほとんどみられず、安定した動作が得られた(図4(b))。各アノード電極について初期および6時間動作後の電流密度から電流維持率を算出した。初期の電流密度は動作30分後の電流値とした。その結果を表3に示す。比較例2と比較して実施例1~6では大幅に電流維持率が向上することがわかった。なお、比較例1は、1.2V(vs.Ag/AgCl)の電位においてほとんど電流が発現しなかったため、計算から除外した。
2.4.耐久試験後のアノード電極のSEM観察
上記1.5の通り、触媒塗布前のFTOガラス基板、および触媒塗布後の電極表面(耐久試験前)の二次電子像を図5に示す。FTOガラス基板の表面はFTOの結晶粒子で覆われている様子が観察される(図5(a))。これに対し、触媒を塗布した電極表面はIrOx粒子で被覆されており、基板のFTO結晶粒子は観察されない(図5(b))。
次に、耐久試験後の比較例2と実施例2の電極表面の二次電子像を示す(図6)。従来品である比較例2では電極表面のIrOx粒子が脱落しており、基板のFTOの結晶粒子が観察された(図6(a))。これに対し、実施例2では、初期と同様に電極表面にIrOx粒子が担持されている様子が観察された(図6(b))。このことから、IrOxの水和水/水酸基量を所定の範囲に制御することによって、高い触媒活性を維持したまま、劣化要因であるIrOx粒子の脱離を抑制できたことを確認した。
2.5.耐久試験後のIr量維持率の比較
上記1.4の通り、電極上の触媒全体のIr量を、XRF分析法を用いて測定し、耐久試験前後のIr量維持率を算出した。その結果を表4に示す。従来品である比較例2と比較して、実施例1~6ではIr量維持率が大幅に向上したことから、動作における劣化要因である触媒粒子の脱離を抑制できたことを確認した。なお、比較例1は、1.2V(vs.Ag/AgCl)の電位においてほとんど電流が発現しなかったため、表3と同様に計算から除外した。
以上のように、実施例の酸化反応用電極は、耐久性が良好であった。

Claims (7)

  1. 基板上に酸化反応触媒として酸化イリジウムが担持された酸化反応電極であって、前記酸化イリジウムに含まれる水和水と水酸基の量が、0を超え0.36未満であることを特徴とする酸化反応用電極。
  2. 請求項1に記載の酸化反応用電極であって、
    前記基板は、フッ素ドープ酸化スズガラス基板またはチタン基板であることを特徴とする酸化反応用電極。
  3. 請求項1または2に記載の酸化反応用電極であって、
    前記酸化イリジウムは、ヘキサクロロイリジウム酸カリウムを出発原料とする酸化イリジウム粒子であることを特徴とする酸化反応用電極。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の酸化反応用電極と、還元反応用電極と、電解液と、を備えることを特徴とする電気化学反応装置。
  5. 請求項4に記載の電気化学反応装置であって、
    前記還元反応用電極は、ルテニウム錯体を含むことを特徴とする電気化学反応装置。
  6. 請求項4または5に記載の電気化学反応装置であって、
    前記電解液は、pH6以上8以下のリン酸緩衝水溶液であり、
    前記電気化学反応装置は、二酸化炭素を還元する装置であることを特徴とする電気化学反応装置。
  7. 請求項4~6のいずれか1項に記載の電気化学反応装置と、
    前記酸化反応用電極および前記還元反応用電極に供給される電力を生成する太陽電池セルと、
    を備えることを特徴とする人工光合成装置。
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